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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】露光用の光照射装置および露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20241122BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20241122BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L33/00 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021069590
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2022014873
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2020117411
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020188321
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】井上 智彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 加名
(72)【発明者】
【氏名】池田 富彦
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-335949(JP,A)
【文献】特開2012-049226(JP,A)
【文献】特開2012-063390(JP,A)
【文献】特開2014-207300(JP,A)
【文献】特開平02-009480(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00335629(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24
G03F 9/00-9/02
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを有する第1光源、および、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも短い波長の光を放射する光源で構成された第2光源を備えており、前記第2光源からの光は、前記第1光源からの光では不足する波長域の光量を補うものである露光用光源と、
前記第1光源または前記第2光源からの光を露光面に導くひとつの光路を有する光学系具と、
前記第1光源および前記第2光源のうち、少なくとも前記第2光源を移動させる光源移動装置とを備えており、
前記光源移動装置は、
前記第1光源の発光中において前記光路から外れた位置にある前記第2光源を、前記第2光源が発光する際には前記光路上に移動させる
露光用の光照射装置。
【請求項2】
LEDを有する第1光源、および、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも短い波長の光を放射する光源で構成された第2光源を備えており、前記第2光源からの光は、前記第1光源からの光では不足する波長域の光量を補うものである露光用光源と、
前記第1光源または前記第2光源からの光を露光面に導くひとつの光路を有する光学系具と、
前記第1光源および前記第2光源のうち、少なくとも前記第1光源を移動させる光源移動装置とを備えており、
前記光源移動装置は、
前記第2光源の発光中において前記光路から外れた位置にある前記第1光源を、前記第1光源が発光する際には前記光路上に移動させる
露光用の光照射装置。
【請求項3】
前記光源移動装置は、前記第1光源および前記第2光源の少なくとも一方を直線的に移動させる
請求項1または2に記載の露光用の光照射装置。
【請求項4】
前記光源移動装置は、前記第1光源および前記第2光源の少なくとも一方を点対称に移動させる
請求項1または2に記載の露光用の光照射装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の露光用の光照射装置を備える
露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体を製造する際の露光に用いられる露光用光源、露光装置、および露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、半導体製造用等の露光装置の光源として、例えば定格12kWの大型水銀灯を1本ないし数本使用する方式が採用されてきた。しかし、1台の露光装置に使用される水銀灯の本数が少ない場合、1本でも水銀灯が不点灯状態になると直ちに光量不足に陥ってしまい当該露光装置を停止せざるを得ないことから、大型水銀灯を使用する露光装置には生産継続性に問題があった。
【0003】
さらにいえば、万一、大型水銀灯が破裂した場合には、その衝撃の大きさによってリフレクターや反射鏡等の光学系部材まで破損してしまい、交換費用等の多額の修繕費用が発生するおそれがあった。
【0004】
このような問題を回避するため、近年、より小型の放電灯(例えば300W)を多数(例えば、240灯)並べてひとつの光源とする多灯式が実用化されている。このように多灯式にすることにより、もし、複数個の放電灯が不点灯になったとしても、装置全体として大きな光量の低下を避けることができるので、露光装置の停止による生産継続停止を避けることができる。
【0005】
また、万一、小型の放電灯が破裂した場合であっても、その衝撃は比較的小さいので光学系部材まで破損させてしまう可能性が低くなる。
【0006】
このような利点を有していることから、現在、例えば液晶パネルのカラーフィルターの生産に使用される露光装置の大部分には多灯式のものが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-43012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように露光装置による生産継続性をさらに追求しようとすると、光源の交換頻度を減らすために、光源の長寿命化が求められる。
【0009】
光源の長寿命化を実現する方法のひとつとして放電灯の長寿命化があり、従来の平均寿命1250時間から1900時間まで延ばすことができている。
【0010】
光源の長寿命化を実現する別の方法として、光源にLED(発光ダイオード)を使用することが考えられる。LEDの平均寿命は2万時間から3万時間と非常に長いことから、光源としてLEDを使用することで光源の交換頻度は飛躍的に低くなることは明らかである。
【0011】
しかし、従来の放電灯から放射される光は複数の波長域でピークを有するような分光特性となっているのに対し、LEDから放射される光は特定の一波長にのみピークを有するような単独波長の分光特性となっている。このため、放電灯の分光特性に合致した露光感度特性を有するレジストを用いて液晶パネル等を製造している場合、単独波長の光を放射するLEDで放電灯と同じ露光特性を実現するためには、波長が互いに異なる光を放射する複数のLEDを混在させる必要がある。
【0012】
とりわけ、比較的短波長(例えば302nmや313nm)の光は、これまで露光用光源として放電灯が使用されていた経緯によって、以下のように重要な役割を有している。
【0013】
レジストへの露光は、ガラス基板に塗布されたレジストに対し、形成物に応じたマスクを介して紫外線光を照射することによって行うが、単に紫外線光を照射しただけでは、レジストの表面に近い側から優先的に反応が始まってしまい、反応の度合いにムラが生じることになる。このようにムラが生じるのを回避するため、レジストの内部まで入りやすい比較的短波長(例えば302nmや313nm)の光によって反応が開始される「開始剤」をレジスト全体に均一に分散させることによりレジスト全体が均一に露光されるようになっている。
【0014】
ところが、LEDを用いて放電灯のように複数の波長域でピークを有するような分光特性を実用しようとしたとき、単に波長の異なる光を放射するLEDを混在させても放電灯からLEDに光源の種類を変更するのは困難であることがわかった。
【0015】
すなわち、比較的長波長(例えば365nm)の光についてはLEDでも必要な光量を放射することができるものの、比較的短波長(例えば302nmや313nm)の光を十分に放射できるLEDが未だ開発されていない。例えば、365nmの光を放射するLEDの光量に対して、これよりも短波長の光を放射するLEDの光量は1/10程度のものしか存在しないのが現状である。このため、単に波長の異なる光を放射する複数のLEDを混在させただけでは比較的短波長の光量が少なくなってしまい、「開始剤」を含むレジストを均一に露光することが難しいのである。
【0016】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的長波長の光だけでなく、比較的短波長の光も十分に照射することにより、開始剤を含むレジストをより均一に露光することのできる露光用光源、光照射装置、露光装置、および露光方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一局面によれば、
LEDを有する第1光源、および、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも短い波長の光を放射する光源で構成された第2光源を備えており、前記第2光源からの光は、前記第1光源からの光では不足する波長域の光量を補うものである露光用光源と、
前記第1光源または前記第2光源からの光を露光面に導くひとつの光路を有する光学系具と、
前記第1光源および前記第2光源のうち、少なくとも前記第2光源を移動させる光源移動装置とを備えており、
前記光源移動装置は、
前記第1光源の発光中において前記光路から外れた位置にある前記第2光源を、前記第2光源が発光する際には前記光路上に移動させる
露光用の光照射装置が提供される。
【0018】
本発明の他の局面によれば、
LEDを有する第1光源、および、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも短い波長の光を放射する光源で構成された第2光源を備えており、前記第2光源からの光は、前記第1光源からの光では不足する波長域の光量を補うものである露光用光源と、
前記第1光源または前記第2光源からの光を露光面に導くひとつの光路を有する光学系具と、
前記第1光源および前記第2光源のうち、少なくとも前記第1光源を移動させる光源移動装置とを備えており、
前記光源移動装置は、
前記第2光源の発光中において前記光路から外れた位置にある前記第1光源を、前記第1光源が発光する際には前記光路上に移動させる
露光用の光照射装置が提供される。
【0019】
好適には、
前記光源移動装置は、前記第1光源および前記第2光源の少なくとも一方を直線的に移動させる。
【0020】
好適には、
前記光源移動装置は、前記第1光源および前記第2光源の少なくとも一方を点対称に移動させる。
【0023】
本発明の他の局面によれば、
上述した露光用の光照射装置を備える露光装置が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る露光用光源によれば、LEDを有する第1光源からのLED光では不足する波長域の光量を、第2光源から放射される当該LED光よりも短い波長の光で補うようになっているので、比較的長波長のLED光だけでなく、比較的短波長の光も十分に照射することにより、開始剤を含むレジストをより均一に露光することができた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明が適用された光照射装置10を示す図である。
図2】ワークに塗布されたレジストの感度特性と従来の水銀灯から放射される光の分光特性との関係を示すグラフである。
図3】ワークに塗布されたレジストの感度特性と露光用光源12から放射される光の分光特性との関係を示すグラフである。
図4】ワークに塗布されたレジストの感度特性と露光用光源12から放射される光の分光特性との関係を示すグラフである。
図5】ワークに塗布されたレジストの感度特性と露光用光源12から放射される光の分光特性との関係を示すグラフである。
図6】変形例1に係る光照射装置10を示す図である。
図7】変形例2に係る光照射装置10を示す図である。
図8】変形例3に係る光照射装置10を示す図である。
図9】変形例7に係る光照射装置10を示す図である。
図10】変形例8に係る光照射装置10を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(光照射装置10の構成)
本発明が適用された実施形態に係る光照射装置10について以下に説明する。光照射装置10は、主に液晶パネルを製造する際の露光のために露光装置に組み込まれて用いられる。この光照射装置10は、図1に示すように、大略、露光用光源12と、光学系具14とを備えている。
【0029】
露光用光源12は、レジストが塗布されたワーク(露光対象物)Xが載置される露光面Aに向けて露光用光Lを照射する部材であり、本実施形態では、第1光源20と、第2光源22とを備えている。なお、3つ以上の光源(例えば、第3光源や第4光源)で露光用光源12を構成してもよい。
【0030】
第1光源20は、複数のLED30が並べて配置された光源であり、これらLED30が放射する光(LED光)の波長は例えば365nmにピークがある。第1光源20を構成するLED30の数は特に限定されるものではなく、1つのLED30で第1光源20を構成してもよい。
【0031】
また、第1光源20から放射される光の放射角は特に限定されるものではなく、所定の開き角内にある光であってもよいし、平行化された光であってもよいし、集光された光であってもよい。
【0032】
第2光源22は、複数の光源32が並べて配置されており、これら光源32が放射する光は、上述した第1光源20からの光(LED光)では不足する波長域(主として、LED光よりも短い波長域)の光量を補うようになっている。また、第2光源22を構成する光源32の数は特に限定されるものではなく、1つの光源32で第2光源22を構成してもよい。
【0033】
さらに、光源32の種類も特に限定されるものではなく、例えば、第1光源20と同様に光源32としてLEDを使用してもよいし、長寿命放電灯(多灯式でもよい)や長尺型放電灯、又はレーザー光を放射するランプを使用してもよい。放電灯の場合、開始材の反応に必要な短い波長域は十分に出力できているので、第2光源22に使用される光源32の使用電力を下げて運転することができ、放電灯でもLEDに匹敵する寿命が確保できる。ただし、光反応を進める比較的長波長の出力は現状の光量が必要であり、第1光源20には使用できない。
【0034】
また、第2光源22から放射される光の放射角は特に限定されるものではなく、所定の開き角内にある光であってもよいし、平行化された光であってもよいし、集光された光であってもよい。
【0035】
第2光源22から放射される光の波長域の例について具体的に説明する。まず、ワークに塗布されたレジストの感度特性と従来の水銀灯から放射される光の分光特性との関係を示すグラフを図2に示す。
【0036】
従来の水銀灯の分光特性を見ると、例えば、436nm、405nm、365nm、334nm、313nm、および、302nmにそれぞれピークが存在していることがわかる。
【0037】
そして、一般に、液晶パネルのカラーフィルターの露光においては、概ね20mw/cm2から70mw/cm2の露光面照度が必要とされており、従来の水銀灯を用いてレジストの露光を行う場合、365nmの波長における露光面照度を管理することにより、この波長よりも短い313nmや302nmの波長の光量もレジストの露光に必要な程度は出力されていたことから、問題なくレジストを露光することができていた。
【0038】
次にLEDに目を向けると、近年、紫外線を放射できるLEDも高出力化されており、短波長といえども365nmまでであれば、露光面照度を上述した20mw/cm2から70mw/cm2にできる。しかしながら、図3に示すように、LEDから放射される光(LED光)の分光特性は、水銀灯とは異なり、ピークがひとつ(例えば、365nmのみ)である場合が多く、複数種類の波長でレジストを露光しようとすると、一種類のLEDではカバーできない波長を他の種類の光源で補う必要がある。
【0039】
しかしながら、比較的短波長(例えば302nm、313nmや340nm)の光を十分に放射できるLEDが未だ開発されていない。例えば、365nmの光を放射するLEDの光量に対して、これよりも短波長の光を放射するLEDの光量は1/10程度のものしか存在しないのが現状である。このため、少ない光量を補うだけの数の短波長の光を放射するLEDを第1光源20に配置するのは困難である。
【0040】
そこで、比較的短波長の光を十分に照射できる第2光源22を別途用意することにより、レジストをより均一に露光することができる。
【0041】
図3には、第2光源22を用いて波長が302nm、313nmおよび340nmの光をそれぞれ補うことを示しているが、第2光源22で補う光の波長は特に限定されるものではなく、例えば、図4では、第2光源22を用いて波長が254nm、280nmおよび308nmの光をそれぞれ補うようになっており、また、図5では、図2から図4に示したものに比べて長波長側に分光強度特性があるレジストを使用した場合を示しており、第1光源20で365nmおよび405nmの波長の光を放射し、第2光源22を用いて波長が308nmおよび340nmの光をそれぞれ補うようになっている。このように、必要に応じて、第1光源20から複数のピーク波長を有する光を放射してもよい。
【0042】
図1に戻り、光学系具14は、第1光源20および第2光源22からの光を露光面Aに導くための部材の集合体であり、本実施形態では、インテグレータレンズ40、第1光源20や第2光源22からの光をインテグレータレンズ40に導く第1反射鏡42、インテグレータレンズ40からの光を平行化するための平行化鏡44、および、平行化された光を露光面Aに導く第2反射鏡46が使用されている。
【0043】
本実施形態では、光学系具14に対して第1光源20の位置が固定されており、この第1光源20から放射された光が、2つの鏡で構成された第1反射鏡42によってインテグレータレンズ40に導かれる。そして、インテグレータレンズ40から出た光が平行化鏡44および第2反射鏡46で反射した後、露光面Aを照射するようになっている。
【0044】
また、第2光源22は、光学系具14に対して第2光源22の位置を移動させる光源移動装置48に取り付けられており、第1光源20の発光中において当該第2光源22は光学系具14の光路から外れた位置にあり、逆に、第2光源22が発光する際、当該第2光源22は、インテグレータレンズ40を直接的に照射することのできる位置に移動するようになっている。
【0045】
つまり、本実施形態では、インテグレータレンズ40を照射するまでの光路に関し、第1光源20は第1反射鏡42を介してインテグレータレンズ40を照射するようになっているが、第2光源22は当該第1反射鏡42を介することなくインテグレータレンズ40を独自に照射するようになっている。インテグレータレンズ40から出た光の光路は、第1光源20からの光も、第2光源22からの光も同じである。
【0046】
なお、本明細書全体を通して、「独自に照射する」とは、例えば、第1光源20や第2光源22からの光が直接的にインテグレータレンズ40等を照射するケース(例えば、光源移動装置48を用いて必要なときに第1光源20や第2光源22を光学系具14の光路上等必要な位置に移動させるケースや、光源移動装置48を使用することなく第1光源20や第2光源22を固定して直接的にインテグレータレンズ40等を照射するケース)だけではなく、光学系具14とは別の反射鏡や光学フィルター(例えば、第1光源20からの波長の光は透過し、第2光源22からの波長の光は反射させるようなフィルター)等を介してインテグレータレンズ40等を照射するケースも含む概念である。
【0047】
(本実施形態に係る露光用光源12および光照射装置10による露光の手順)
露光用光源12および光照射装置10による露光の手順について簡単に説明する。最初に、第2光源22を点灯し、当該第2光源22からの光で独自にインテグレータレンズ40を照射し、当該光でワークXのレジストが光反応を開始するために必要な波長の光を当該レジストに照射する。
【0048】
必要な光量の照射が終了すると、第2光源22を消灯し、光学系具14の光路から第2光源22が外れた位置にある状態で光学系具14の光路上にある第1光源20を点灯する。そして、第1光源20からの光でインテグレータレンズ40を照射し、当該光でレジストの光反応を進めて露光を完了させる。
【0049】
(本実施形態に係る露光用光源12および光照射装置10の効果)
本実施形態に係る露光用光源12および光照射装置10によれば、LED30を有する第1光源20からのLED光では不足する波長域の光量を第2光源22からのLED光よりも短い波長の光で補うようになっているので、比較的長波長のLED光だけでなく、比較的短波長の光も十分に照射することにより、開始剤を含むレジストをより均一に露光することができる。
【0050】
(変形例1)
上述した実施形態では、第1光源20が光学系具14の光路上(第1反射鏡42を介してインテグレータレンズ40を照射する位置)にあり、当該光路から外れた位置にある第2光源22がインテグレータレンズ40を独自に照射するようになっていたが、図6に示すように、第1光源20と第2光源22との位置を逆転させて、第2光源22を光学系具14の光路上に位置させ、当該光路から外れた位置にある第1光源20がインテグレータレンズ40を独自に照射するようにしてもよい。
【0051】
(変形例2)
また、上述した実施形態では、光学系具14の光路から外れた位置にある第2光源22がインテグレータレンズ40を独自に照射するようになっていたが、図7に示すように、第2光源22からの光が光学系具14の光路を通過することなく、露光面Aを直接的に独自に照射するようにしてもよい。なお、図7において、第1光源20は、第1反射鏡42を介してインテグレータレンズ40を照射する位置に配置されているが、これに変えて、インテグレータレンズ40を直接的に照射できる位置に第1光源20を配置してもよい。
【0052】
さらに、この変形例2における第1光源20と第2光源22との位置を逆転させて、第2光源22を光学系具14の光路上(第1反射鏡42を介してインテグレータレンズ40を照射する位置)に位置させ、当該光路から外れた位置にある第1光源20が露光面Aを直接的に独自に照射するようにしてもよい。このように第1光源20が露光面Aを直接的に独自に照射する位置に配置されているとき、第2光源22は、第1反射鏡42を介してインテグレータレンズ40を照射する位置に配置してもよいし、インテグレータレンズ40を直接的に照射できる位置に配置してよい。
【0053】
(変形例3)
また、上述した実施形態では、第2光源22に光源移動装置48が取り付けられており、第2光源22が発光する際には、第2光源22が直接的にインテグレータレンズ40を照射できる位置に移動するようになっていたが、図8に示すように、第1光源20にも光源移動装置48を取り付けて、第1光源20が発光する際には当該第1光源20が直接的にインテグレータレンズ40を照射できる位置にあるとともに第2光源22は光学系具14の光路から外れた位置にあり、第2光源22が発光する際には第1光源20が光学系具14の光路から外れた位置に移動するとともに第2光源22が直接的にインテグレータレンズ40を照射できる位置に移動するようにしてもよい。
【0054】
なお、図8では、直接的にインテグレータレンズ40を照射できる位置に第1光源20および第2光源22をそれぞれ移動するようにしていたが、これに変えて、第1反射鏡42を介してインテグレータレンズ40を照射できる位置や、露光面Aを直接的に照射できる位置に第1光源20および第2光源22をそれぞれ移動できるようにしてもよい。
【0055】
また、この変形例3に係る形態の場合、各光源20,22とインテグレータレンズ40との間の距離を10mm以上100mm以下に設定するとともに、各光源20,22から放射される光の広がり角Zを20°以下にするのが好適である。
【0056】
さらに、図8では第1光源20と第2光源22とを互いに分離した状態で描いているが、もちろん、第1光源20と第2光源22とを一体に形成してもよい。
【0057】
(変形例4)
また、上述した実施形態では、露光用光源12および光照射装置10による露光の手順として、先に第2光源22からの光でワークXのレジストが光反応を開始するために必要な波長の光を当該レジストに照射し、然る後、第1光源20からの光でレジストの光反応を進めて露光を完了させるようになっていたが、先に第1光源20からの光をレジストに照射した後で第2光源22からの光を当該レジストに照射してもよいし、他方の光源からの光に干渉しないのであれば、第1光源20と第2光源22とを同時に点灯して両光源からの光でレジストを同時に露光してもよい。
【0058】
(変形例5)
また、第1光源20からの光の波長と第2光源22からの光の波長とが少なくとも一方の一部において重複してもよい。例えば、第1光源20からの光のピーク波長が365nmであるときにおいて、第2光源22からの光のピーク波長が365nmおよび340nmであることが考えられる。さらに言えば、第1光源20からの光のピーク波長が365nmおよび308nmであるときにおいて、第2光源22からの光のピーク波長が340nmおよび308nmであることが考えられる。
【0059】
(変形例6)
また、第1光源20と第2光源20とは、それぞれから放射される光の平均波長が異なるものであればよい。ここで平均波長とは、以下の2つのケースが考えられるが、どちらのケースによる平均波長であってもよい。もちろん、3つ以上の光源(例えば、第3光源や第4光源)を用いる場合において、各光源20,22から光の平均波長が重複しないようにするのが好適である。
【0060】
1つ目のケースは、各光源20,22を構成するLED30や光源32の数に関係なく、ピーク波長の算術平均とする考え方である。例えば、第1光源20が365nmのピーク波長を有する2つのLED30と、340nmのピーク波長を有する4つのLED30とで構成されている場合、この1つ目のケースでは、(365nm+340nm)÷2=352.5nmが平均波長となる。
【0061】
2つ目のケースは、各光源20,22を構成するLED30や光源32の数を考慮してピーク波長の算術平均とする考え方である。例えば、同様に、第1光源20が365nmのピーク波長を有する2つのLED30と、340nmのピーク波長を有する4つのLED30とで構成されている場合、この2つ目のケースでは、(365nm×2+340nm×4)÷6=348.3nmが平均波長となる。
【0062】
(変形例7)
また、上述した変形例3に関し、例えば図9に示すように、第1光源20、第2光源22、および第3光源23をそれぞれ一体に形成して光源移動装置48に取り付けることで、各光源20,22,23それぞれの平均波長の光でインテグレータレンズ40を照射できるだけでなく、第1光源20からの光および第2光源22からの光を混ぜた状態でインテグレータレンズ40を照射したり、第2光源22からの光および第3光源23からの光を混ぜた状態でインテグレータレンズ40を照射したりできる(図9は、第1光源20からの光および第2光源22からの光を混ぜた状態でインテグレータレンズ40を照射する状態をしめしている。)。つまり、インテグレータレンズ40を照射する光の平均波長の種類を光源の数よりも多くすることができる。
【0063】
(変形例8)
さらに、変形例7では複数の光源20,22,23を一列に並べて一体的に形成していたが、図10に示すように、光源移動装置48を円盤状に形成し、当該光源移動装置48の中心Cで点対称となる位置に複数の光源20,22,23を配置してもよい。光源移動装置48を回転させて光学系具14の光路に位置している光源20,22,23を選択することにより、各光源20,22,23それぞれの平均波長の光でインテグレータレンズ40を照射できる。もちろん、上述のように、第1光源20からの光および第2光源22からの光を混ぜた状態でインテグレータレンズ40を照射したり、第2光源22からの光および第3光源23からの光を混ぜた状態でインテグレータレンズ40を照射したりすることもできる。
【0064】
(変形例9)
また、ワークXにおける1つのレジストに対して第1光源20からのLED光および第2光源22からの光を照射するのではなく、ある種類のレジストが塗布されたワークXに対しては第1光源20からのLED光を照射し、別の種類のレジストが塗布されたワークXに対しては第2光源22からの光を照射するようにしてもよい。
【0065】
例えば、レジストAに対しては、波長が365nm単波長あるいは365nmにピークがある複数種類波長混在型の第2光源22を使用し、別のレジストBに対しては、波長が380nm単波長あるいは380nmにピークがある複数種類波長混在型の第1光源20を使用し、さらに別のレジストCに対しては、波長が405nm単波長あるいは405nmにピークがある複数種類波長混在型の光源(例えば第3光源)を使用する。
【0066】
もちろん、この変形例9の場合であっても、上述した実施形態および各変形例に記載した装置構成等を採用することができる。
【0067】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
10…光照射装置
12…露光用光源、14…光学系具
20…第1光源、22…第2光源、23…第3光源
30…LED、32…(第2光源22用の)光源
40…インテグレータレンズ、42…第1反射鏡、44…平行化鏡、46…第2反射鏡、48…光源移動装置
X…ワーク(露光対象物)、A…露光面、L…露光用光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10