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特許7591820案内装置、ならびにボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための把持搬送装置
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  • 特許-案内装置、ならびにボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための把持搬送装置 図1
  • 特許-案内装置、ならびにボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための把持搬送装置 図2
  • 特許-案内装置、ならびにボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための把持搬送装置 図3
  • 特許-案内装置、ならびにボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための把持搬送装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】案内装置、ならびにボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための把持搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
B65G47/86 B
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021083573
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2021181379
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】20175408
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512137991
【氏名又は名称】ティロロン-シュルニッヒ ゲゼルシャフト エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】シュルニッヒ エルマー
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536287(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03239078(EP,A1)
【文献】中国実用新案第202138858(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第105911071(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0065525(US,A1)
【文献】特開昭50-108085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための搬送装置(1)における位置決めプレート(2)用の案内装置であって、
複数のガイド凹部(9)を有する細長い中空体(6)
を備え、
前記複数のガイド凹部(9)の各々は、前記中空体(6)に沿って形成されているとともに前記位置決めプレート(2)を特定の高さで回転しないように挿入できるように係止突起を備えており、
前記係止突起は、前記位置決めプレート(2)またはその一部分と動作可能に係合するように形成されている、ことを特徴とする案内装置。
【請求項2】
前記中空体(6)は、中空シリンダとして形成され、
前記ガイド凹部(9)は、一定の幅を有する直線状であり、互いに等間隔で配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記ガイド凹部(9)は、前記中空体(6)の端部まで延びており、前記位置決めプレート(2)の一部分を、前記端部から前記中空体(6)の内方、特には前記ガイド凹部(9)に挿入することができる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の案内装置。
【請求項4】
1つまたは複数の位置決めプレート(2)に接続可能であり、少なくとも一部分が変位可能および/または回転可能に支持されている高さ調整軸(8)が前記中空体(6)の内部に配置されている、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項5】
前記高さ調整軸(8)は、細長いスリーブおよび該スリーブ内に配置されたロッドを有し、
前記スリーブは、高さ調整のために前記ロッドに対して変位可能および/または前記ロッド周りに回転可能である、ことを特徴とする請求項に記載の案内装置。
【請求項6】
前記高さ調整軸(8)は、少なくとも部分的または断面的にスピンドル状である、請求項またはに記載の案内装置。
【請求項7】
1つまたは複数の特には矩形の空洞(19)が前記ガイド凹部(9)の間に形成されている、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項8】
少なくとも1つの位置決めプレート(2)を有し、複数の把持装置(4)が前記位置決めプレートに固定された、特にはボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための把持搬送装置であって、
請求項1~のいずれか一項に記載の案内装置(5)
を備え、
前記位置決めプレート(2)は、前記位置決めプレート(2)が非回転かつ高さ調整可能であるように、前記案内装置(5)に固定され、前記案内装置(5)に動作可能に係合する、ことを特徴とする把持搬送装置。
【請求項9】
前記位置決めプレート(2)は、前記案内装置(5)を手動で操作することによって高さ調整可能であり、および/または前記中空体(6)内もしくは前記中空体(6)上に配置された前記案内装置(5)のモータによって高さ調整可能である、ことを特徴とする請求項に記載の把持搬送装置。
【請求項10】
前記位置決めプレート(2)は、前記ガイド凹部(9)を通って延び、高さ調整の際に前記ガイド凹部(9)によって案内される複数のガイドストリップ(10)を備える、ことを特徴とする請求項またはに記載の把持搬送装置。
【請求項11】
前記複数のガイドストリップ(10)は、前記案内装置(5)に接続または固定される、ことを特徴とする請求項10に記載の把持搬送装置。
【請求項12】
前記案内装置(5)は、当該把持搬送装置の回転軸と同軸に配置され、当該把持搬送装置に固定される、ことを特徴とする請求項11のいずれか一項に記載の把持搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用の把持搬送装置における位置決めプレート用の案内装置に関する。さらに、本発明は、ボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための把持搬送装置であって、高さ調整装置としての案内装置を有する把持搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を把持、保持、および/または案内するための把持搬送装置は、とくには「クランプスター」という名称で先行技術からすでに知られている。把持搬送装置は、把持アーム対を備えた複数の把持装置を有する。これらの装置は、主に容器または入れ物に対して液体または他のバルク品を充てんする製造ラインにおける処理に使用される。
【0003】
このような容器/入れ物を大量に処理するには、把持搬送装置をそれぞれに異なる容器の種類に合わせて定期的に配置し直すことを必要とする。これらの種類の容器は、全体的な形状、とりわけ高さ、幅、および/または直径において、互いに著しく異なる可能性がある。
【0004】
同様に、大規模なロットサイズの容器を処理する製造ラインでは、把持搬送装置による安全な取り扱いを保証し、誤充てん、誤表示、または容器の破損などの無駄を防止することができるように、把持搬送装置の調整が必須になる。
【0005】
さらに、特に食品の充てんやその後の処理を行う際には、製造・組立ラインにおける衛生面も考慮する必要がある。
【0006】
既知のシステムでは、処理する容器の種類に合わせて高さを調整するために、広範囲に及ぶ機械の改造が必要であるという欠点を有する。改造する際には、機械の完全な停止が必要となる。したがって、異なる容器の種類に合わせた配置変更に、時間とコストがかかる。
【0007】
把持装置を備える位置決めプレートまたは把持装置自体が高さ調整式である把持搬送装置が、すでに存在する。しかしながら、これらの設計は、高さ調整の際の位置決めプレートおよび/または把持装置の回転を伴わない案内および安定化のために追加の構成要素が必要であるため、多くの欠点がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、把持装置の好適な高さ調整、ならびに容器の把持、保持、案内、および搬送のための把持搬送装置を提供するという課題に基づいており、簡単、迅速、かつ経済的な高さ調整を、簡単な保守および改造と併せて提供することを目的とする。
【0009】
この課題は、独立請求項1に係る案内装置、および独立請求項9に係る把持搬送装置によって解決される。本発明の主題の有利な展開が、従属請求項に記載される。
【0010】
詳細には、ボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための搬送装置における位置決めプレート用の案内装置が提供される。この案内装置は、複数のガイド凹部を有する細長い中空体を備えることを特徴とし、各々のガイド凹部は、中空体に沿って形成されているとともに、位置決めプレートを特定の高さで回転しないように挿入できるように係止突起を備え、係止突起は、位置決めプレートまたはその一部分と動作可能に係合するように形成されている。
【0011】
これは、案内装置内および/または案内装置を介して、1つまたは複数の位置決めプレートの、案内および安定化および/または収容を提供するという利点を有する。したがって、ガイド凹部は、高さ調整の際に位置決めプレートを中空体に沿って滑らかに移動させることができるように、互いに同一形状で設けられることが好ましい。
【0012】
さらに有利な実施形態として、中空体は、中空シリンダで形成され、ガイド凹部は、一定の幅を有する直線状であり、互いに等間隔で配置される。中空シリンダは、製造がより容易かつより経済的であるが、例えば断面が正方形の管および/もしくはスリーブまたは円錐形の中空体など、他の形態の中空体も可能である。凹部が直線的な形態であることは、回転を伴わない案内に関して特に有利ある。
【0014】
位置決めプレートを案内装置へとより容易に挿入でき、同時に回転を阻止できるように、ガイド凹部は、中空体の端部まで延び、位置決めプレートの一部分を、前記端部から中空体へと、即ちガイド凹部に挿入できることが好ましい。
【0015】
案内装置は、回転の阻止に加えて、1つまたは複数の位置決めプレートに接続可能に中空体内に配置され、少なくとも一部分が変位可能および/または回転可能に支持される高さ調整軸を配置することができることが好ましい。これにより、案内装置自体が、位置決めプレートの高さ調整機能を提供することができる。
【0016】
有利な実施形態として、高さ調整軸は、細長いスリーブおよびスリーブの内側に配置されたロッドを備え、スリーブは、高さ調整のためにロッドの周りを変位可能および/または回転可能である。ロッドがスリーブの案内と安定化との役割を果たす一方で、スリーブは、位置決めプレートに接続され、または位置決めプレートに接続可能であり、ロッドに沿って変位可能および/または軸方向に移動可能である。
【0017】
さらなる好ましい実施形態によれば、高さ調整軸は、少なくとも部分的または断面的にスピンドル状である。これにより、高さ調整軸またはその一部分のより正確な上方移動を、スピンドルの回転によってもたらすことができる。
【0018】
材料および/または重量を低減するために、1つまたは複数の、とくには矩形または窓状あるいは窓の形状の空洞/凹部が、いずれの場合もガイド凹部の間に形成されることが好ましい。これらは、好ましくは、互いに等間隔に配置され、互いに同一である。これらの窓状の空洞は、案内装置、とりわけ中空体の内部へのより良好なアクセスを可能とし、内部のより容易かつ迅速な洗浄を行うことができる。
【0019】
本発明では、特にはボトル状容器を把持、保持、案内、および搬送するための把持搬送装置は、少なくとも1つの位置決めプレートを備えており、この位置決めプレートに、複数の把持装置が固定され、または固定可能である。これにより、搬送装置は、本発明に係る案内装置を備え、位置決めプレートは、位置決めプレートが非回転かつ高さ調整可能であるように、案内装置に固定され、案内装置と動作可能に係合していることを特徴とする。
【0020】
位置決めプレートは、案内装置を手動で操作することによって高さ調整可能であり、および/または中空体内もしくは中空体上に配置された案内装置のモータによって高さ調整可能であることが好ましい。
【0021】
同様に、位置決めプレートが、ガイド凹部を通って延び、高さ調節の際にガイド凹部によって案内されるガイドストリップを備えることが、有利となることが分かる。これにより、ストリップおよび/またはガイド凹部は、高さ調整または変位のために充分な遊びがもたらされるように設計され、および/または互いに動作可能に係合し、傾かない。これより、位置決めプレートの案内を改善するために、対向するストリップおよびガイド凹部の面に加えて、例えば舌部および溝部による機構などの追加のガイド要素を形成することができる。
【0022】
位置決めプレートを安定して支持するために、ガイドストリップは、案内装置、特には高さ調整軸に、接続または固定されることが好ましい。
【0023】
さらに有利な実施形態として、案内装置は、把持搬送装置の回転軸と同軸に配置され、把持搬送装置に固定される。さらに、案内装置は、好ましくは回転対称な設計である。搬送装置の回転時で不均衡状態が生じることにより損傷の可能性が、防止される。
【0024】
以下で説明される図は、本発明の案内装置および本発明の把持搬送装置の好ましい例示的な実施形態に関するものであり、これらの図は、限定としてではなく、むしろ本質的に本発明を説明する役割を果たす。異なる図の要素であっても、同じ参照符号を有している要素は、同一であり、したがって、或る図で示す或る要素の説明は、他の図における同一の名称および/または同一の符号が付された要素に適用される。
【0025】
この点で、上述のすべての構成要素または特徴が、それぞれ単独で、または任意の組み合わせにて、特には図に示される詳細で、本発明に必須であると主張されることに留意されたい。その変更は、当業者によく知られている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る案内装置を有する把持搬送装置の斜視図である。
図2図1の把持搬送装置の側面図である。
図3】本発明の他の態様に係る案内装置を有する把持搬送装置の斜視図である。
図4図3の把持搬送装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示される把持搬送装置1は、垂直な回転軸を中心にして回転可能であり、支持プレート3と、高さ調整が可能な位置決めプレート2とを備える。支持プレート3の上方の搬送装置1の上側には、案内装置5が同軸に取り付けられている。案内装置5は、中空シリンダ6と、カバー要素7と、高さ調整軸8と、高さ調整ねじ11とを備える。中空シリンダ6には、位置決めプレート2を回転軸に沿って案内するために、垂直方向のガイド凹部9が設けられている。このために、位置決めプレート2のガイドストリップ10は、ガイド凹部9内に変位可能に配置され、回転軸に沿った回転を伴わない移動を可能にするように設計され、位置決めプレート2の垂直調整部と呼ばれる。ガイド凹部10は、高さ調整軸8へと星形にて延び、高さ調整軸8、特には高さ調整軸8に接続された高さ調整ねじ11を操作することによって位置決めプレート2の高さが調整されるように、高さ調整軸8に取り付けられている。カバー要素7は、中空シリンダ6の上端にねじ止めされている。高さ調整軸8は、カバー要素7の中央に回転可能に取り付けられ、高さ調整軸8に接続された高さ調整ねじ11は、カバー要素7の上側に配置されている。これにより、位置決めプレート2の高さは、手動または追加のモータによって調整することができる。搬送装置1は、複数の把持装置を備えることができるが、ここに示されている図では、分かりやすくするために、把持装置4は1つしか描かれていない。把持装置4は、1対の把持アーム12と、閉鎖手段としてのばね要素16と、開放手段としての制御カムシャフト13と、軸受要素15と、操作要素14とを備える。把持アーム12は、それぞれの端部によって円形の位置決めプレート2の外縁に枢動可能に取り付けられている。ばね要素16は、把持アーム12を閉じようとする力を常に付勢するように、把持装置4の両方の把持アーム12に取り付けられている。制御カムシャフト13は、自身の長手軸を中心にして軸受要素15によって回転可能であり、支持プレート3に固定されるとともに、支持プレート3の軸受凹部17に配置される。制御カムシャフト13は、位置決めプレート2の円形の軸受孔18を通って延び、把持装置4の把持アーム14の間に配置される。操作要素14は、制御カムシャフト13の下端に設けられ、操作要素14を操作することで、制御カムシャフト13の回転および把持アーム装置4または把持アーム対12の開放が達成される。
【0028】
図2は、図1の把持搬送装置1を側面図にて示している。位置決めプレート2の下方に形成されたフランジによって、案内装置5が搬送装置1に取り付けられていることが分かる。ガイド凹部9は、矩形の形状であり、中空シリンダ6の上側または上端へと開口している。このように中空シリンダ6を1つの部品として製造することが可能であるが、他の実施形態においては、複数の部品からなる中空シリンダの設計も同様に可能である。
【0029】
図3に示される把持搬送装置1は、中空シリンダ6およびカバー要素7に関して、図1図2の搬送装置とは相違する。中空シリンダ6には、窓状または矩形の3つの凹部19が形成されており、1つの凹部19が2つのガイド凹部9の間に常に配置されている。これらの凹部19は、一方では、材料および重量の節約に役立ち、他方では、中空シリンダ6の内方へのアクセスとして機能して、中空シリンダ6および/または中空シリンダ内の任意の構成要素の洗浄を容易かつ迅速に行うのに役立つ。他の実施形態においては、例えばピンまたはボルトなどの位置決めプレート2の適切な要素、とくに挿入可能な要素が、付加的な案内および/または高さ調整における制限を加えるために、それぞれ凹部19に動作可能に係合するか、または凹部19の内方へと突出させることができる。カバー要素7も、同様に、材料および重量の節約を可能にするために、アーチ状の空洞を備える。
【0030】
図4は、図3の把持搬送装置1を側面図にて示している。ここで、ガイド凹部9の下縁と、中空シリンダ6の空洞または凹部19とが、同じ高さにあることが分かる。
【符号の説明】
【0031】
1 搬送装置
2 位置決めプレート
3 支持プレート
4 把持装置
5 案内装置
6 中空シリンダ
7 カバー要素
8 高さ調整シャフト/高さ調整軸
9 ガイド凹部
10 ガイドストリップ
11 高さ調整ねじ
12 把持アーム
13 制御スピンドル/制御カムシャフト
14 操作要素
15 制御スピンドル軸受要素
16 閉鎖手段/ばね要素
17 支持プレート軸受凹部
18 位置決めプレート軸受孔
19 空洞/窓/凹部
図1
図2
図3
図4