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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】配管切削方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 35/00 20060101AFI20241122BHJP
   F16L 55/30 20060101ALI20241122BHJP
   B23B 45/00 20060101ALI20241122BHJP
   F16L 1/00 20060101ALN20241122BHJP
【FI】
B23B35/00
F16L55/30
B23B45/00 Z
F16L1/00 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021092910
(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公開番号】P2022185312
(43)【公開日】2022-12-14
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】桶川 智也
(72)【発明者】
【氏名】清水 彰人
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-260847(JP,A)
【文献】特開2002-357083(JP,A)
【文献】特開2020-34103(JP,A)
【文献】特開2017-205859(JP,A)
【文献】特開2021-139379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 35/00
B23B 41/00
B23B 45/00
B23D 75/00
F16L 1/00
F16L 55/30
B24B 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管を、管軸方向の中心周りに回動して切削することにより内径側から前記既設配管の肉厚を除去する切削部であって、前記中心を通る外径の長さが異なるよう複数の種類が含まれる切削部と、前記既設配管の外部に配置され、前記切削部に回動力を与える駆動部と、前記切削部及び前記駆動部を回動力が伝達可能に連結可能であり、前記切削部を種類変更可能に取り付けできるように構成される連結部と、を備えた配管切削装置を用いた配管切削方法であって、
前記既設配管の内径よりも外径が大きい一の種類の前記切削部を前記連結部に取り付けて回動力を与えつつ前記既設配管の管軸方向に沿って移動させることで、前記既設配管における管軸方向の切削すべき範囲の全域にわたって前記既設配管の肉厚の一部を切削する第一切削工程と、
前記第一切削工程の完了後に、前記連結部に取り付けた前記一の種類の切削部を、該一の種類の切削部よりも外径が大きい他の種類の切削部に変更して取り付ける変更工程と、
前記変更工程で前記連結部に取り付けた前記他の種類の切削部に回動力を与えつつ前記既設配管の管軸方向に沿って移動させることで、前記切削すべき範囲の全域にわたって前記第一切削工程で残された前記既設配管の肉厚の少なくとも一部を切削する第二切削工程と、を備える配管切削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を切削する配管切削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、断面円形の既設配管(埋設樹脂管)を拡径する、切断刃を備えた拡径装置が開示されている。拡径装置は、その外周を既設配管の内径を広げる拡径面とされ、拡径装置の前側に放射状に前記切断刃を複数個配置し、拡径装置の後方には、新配管(交換用樹脂管)の先端が固定された構成である。
【0003】
特許文献1に記載の構成では、切断刃で既設配管の内面に管軸方向に沿う拡径用切込みを形成し、拡径装置の拡径面により既設配管の内径を拡径し、拡径装置に後続する新配管を、拡径用切込みを広げて既設配管を導くことで、既設配管に新配管を挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-184996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
屋内に設けられる給水配管等には、内部を流れる流体の温度を保つことや、給水配管などを保護するために、配管の径外方を覆うように保護材が設けられることがある。しかしながら、特許文献1に記載の方法で保護材に覆われた既設配管を拡径すると、既設配管が保護材を径内方から圧迫する恐れがある。保護材が圧迫されると、保護材が割けたり破れたりすることがあり、好ましくない。
【0006】
そこで、径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管に対し、保護材の損傷を抑制しつつ、既設配管の内径を拡径できる配管切削方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる配管切削方法は、配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管を、管軸方向の中心周りに回動して切削することにより内径側から前記既設配管の肉厚を除去する切削部であって、前記中心を通る外径の長さが異なるよう複数の種類が含まれる切削部と、前記既設配管の外部に配置され、前記切削部に回動力を与える駆動部と、前記切削部及び前記駆動部を回動力が伝達可能に連結可能であり、前記切削部を種類変更可能に取り付けできるように構成される連結部と、を備えた配管切削装置を用いた配管切削方法であって、前記既設配管の内径よりも外径が大きい一の種類の前記切削部を前記連結部に取り付けて回動力を与えつつ前記既設配管の管軸方向に沿って移動させることで、前記既設配管における管軸方向の切削すべき範囲の全域にわたって前記既設配管の肉厚の一部を切削する第一切削工程と、前記第一切削工程の完了後に、前記連結部に取り付けた前記一の種類の切削部を、該一の種類の切削部よりも外径が大きい他の種類の切削部に変更して取り付ける変更工程と、前記変更工程で前記連結部に取り付けた前記他の種類の切削部に回動力を与えつつ前記既設配管の管軸方向に沿って移動させることで、前記切削すべき範囲の全域にわたって前記第一切削工程で残された前記既設配管の肉厚の少なくとも一部を切削する第二切削工程と、を備える。
【0008】
かかる構成によれば、内径側から複数回削って切削するので、確実に既設配管の内径を薄くして拡径することができる。よって、保護材の損傷を抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管に対し、保護材の損傷を抑制しつつ、既設配管の内径を拡径できる配管切削方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る配管切削方法を備えた配管更新方法の対象である配管の、建築物への配置例を示す概略図である。
図2】前記配管切削方法に用いられる配管切削装置を示す図である。
図3】(a)は前記配管切削装置の連結部を示す図である。(b)は(a)に示す1点鎖線部分の拡大断面図である。
図4】同配管切削装置の切削部を示す図である。(a)は第一切削部の正面図である。(b)は第一切削部の左側面図である。(c)は第二切削部の正面図である。(d)は第二切削部の左側面図である。
図5】同配管切削装置の送り部を示す図である。
図6】同配管切削装置の牽引部を示す図である。(a)は中間ガイド部が湾曲部分に差し掛かる前の段階を示す図である。(b)は中間ガイド部が湾曲部分を通過している状態を示す図である。
図7】前記配管切削方法の第一切削工程を示す図である。(a)は第一準備工程を示すである。(b)は第一切削実行工程を示す図である。(c)は第一切削工程の完了時を示す図である。
図8】前記配管切削方法の第二切削工程を示す図である。(a)は第二準備工程を示すである。(b)は第二切削実行工程を示す図である。(c)は第二切削工程の完了時を示す図である。
図9】前記配管更新方法の挿入工程を示す図である。(a)は挿入工程の準備段階を示す図である。(b)は挿入工程の完了時を示す図である。
図10】本発明に係る配管更新方法の他の実施形態を示す図である。(a)は同配管更新方法の第二切削工程を示す図である。(b)は、同第二切削工程の完了時を示す図である。
図11】(a)同配管更新方法の既設配管を引き抜く工程を示す図である。(b)は前記引き抜く工程の完了時を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る配管切削方法を含む配管更新方法について、図1乃至図9を参照して説明する。説明の便宜上入口4及び出口5は、既設配管10の管軸方向で、第一切削工程における切削部13を挿入する側を入口4として、反対側を出口5として説明する。はじめに、一般的に建物内で用いられる給湯配管1又は給水配管2の概略について説明する。
【0012】
図1に示すように、一般的に、屋内における給湯配管1又は給水配管2は、床面3によって管軸方向の少なくとも途中部分が覆われている。管軸方向は、給湯配管1又は給水配管2の軸中心に沿う方向である。また、管軸方向の入口4から出口5が床面3から露出され、給湯配管1の後方端部である入口4は給湯器に例えばヘッダー部材6を介して接続され、給湯配管1の前方端部である出口5は、例えば浴室の水栓7に接続されている。なお、入口4及び出口5は、上記のように接続される場合に限らず、例えば、入口4が、継手部材を介して給湯器に取り付けられていてもよい。
【0013】
給湯配管1と給水配管2は同様の構成であるので、給湯配管1を給水配管2に兼用して説明すると、給湯配管1は管状とされた、例えば発泡樹脂製の断熱材からなる保護材9にポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、アルミ三層管等から構成されたフレキシブルな内部配管(既設配管10)を挿通して形成される。即ち、給湯配管1(給水配管2)は、可撓性を有し、湾曲させることができる配管である。また、給湯配管1は、床面3の下側に配置されたスラブ3a等に、管軸方向において所定間隔で、強固に固定されている(図示しない)。
【0014】
本実施形態では、既設配管10(保護材9に覆われた内部配管)を更新する配管更新方法に関連し、既設配管10の肉厚を内径側から切削したうえで、保護材9の内部(具体的には、肉厚が切削された既設配管10の内部)に新配管11(図9参照)を管軸方向に沿って設置する。ここでは、既設配管10としての旧内部配管と、保護材9とを有する給湯配管1に対して新配管11を設置する。
【0015】
管軸方向とは、給湯配管1の軸方向に沿った方向であり、新配管11もまた、給湯配管1の管軸方向に沿って挿入される。新配管11は、新たな給湯配管1を構成する。新配管11は、既設配管10と同じく、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、アルミ三層管等により形成されており、軸方向で湾曲できるフレキシブルな配管である。また、本実施形態で新配管11は、既設配管10の外径よりも外径が小さい配管である。さらに、素新配管11は、既設配管10の内径よりも外径が大きい配管である。
【0016】
本実施形態に係る配管更新方法を具体的に説明すると、
(1)管軸方向の入口4から出口5までの既設配管10を切削部13により切削することで、既設配管10の肉厚の少なくとも一部を除去する配管肉厚除去工程、
(2)内径が拡径された既設配管10の内部に、新配管11を挿入具(この場合図9に示す配管挿入具23)により、出口5から引っ張って挿入する挿入工程、
を備えている。この施工方法では、保護材9、既設配管10、及び、新配管11は断面円形である。
【0017】
前述(1)の配管肉厚除去工程についてさらに詳述する。(1)の配管肉厚除去工程は、配管切削方法を適用して行う。具体的に、配管肉厚除去工程は、切削の準備段階としての取外し工程と、配管の肉厚を切削して除去する配管切削実行工程と、を施工順に備えている。
【0018】
取外し工程は、図1に二点鎖線で示すように、一本の給湯配管1につき、該給湯配管1のうち床面3に露出されている領域を、自由端とする工程である。
【0019】
取外し工程の施工方法は、ヘッダー部材6から給湯配管1の一端部(入口4側端部)を外して入口4とし、水栓7から給湯配管1の他端部を外して出口5とし、直線状及び曲線状(例えば図1の湾曲部分8)の領域を含む一本の保護材9と既設配管10とする入口4及び出口5を自由端とする。また、本取外し工程で、自由端を後工程で都合のよい(作業のしやすい)向きに向ける工程を含んでもよい。
【0020】
この取外し工程では、給湯配管1における途中部分は、前述のようにスラブ3aに強固に固定されたままであり、したがって直線状及び曲線状の領域を含む給湯配管1(保護材9及び既設配管10)が残存している。また、本工程によって、後述の配管切削実行工程で既設配管10における管軸方向の切削すべき範囲の管軸方向一端部及び管軸方向他端部が自由端となる。
【0021】
配管切削実行工程は、給湯配管1において、既設配管10の肉厚の少なくとも一部を切削して除去する工程である。既設配管10を削るには、図2及び図4に示すような、管軸方向の中心周りに回動方向Rで回動する切削部13を備えた配管切削装置12が用いられる。
【0022】
本実施形態の配管切削装置12は、保護材9内に通されている既設配管10を、管軸方向の中心周りに回動して切削することにより、肉厚の少なくとも一部を除去する切削部13と、保護材9及び既設配管10の外部に配置され、切削部13に回動力を与える駆動部14と、切削部13と駆動部14とを回動力が伝達可能に連結部15と、を備える。以下、詳しく説明する。
【0023】
配管切削実行工程で使用される配管切削装置12の構成について説明する。図2に示すように、配管切削装置12は、駆動部14の先端に着脱自在な把手16と、把手16の先端側に配置された切削部13と、把手16及び切削部13を連結する連結部15と、を備える。また、図5及び図6に示すように、配管切削装置12は、切削部13及び連結部15を入口4側から押し込むよう構成される送り部17と、切削部13を出口5側から引っ張るよう構成される牽引部18と、を備える。
【0024】
図2に示すように、駆動部14については、一般的な回動式電動工具が用いられ、その本体は、その先端に把手16を連結させて、切削部13を管軸方向が回動中心となるように回動させる。
【0025】
配管切削装置12における把手16は、駆動部14の先端形状に対し着脱可能に連結できるように形成されている。把手16は、管軸方向に沿うよう駆動部14の把持に耐えうる管軸方向の長さに形成されている。また、把手16は、駆動部14の回動力を連結部15に伝達可能に構成されている。
【0026】
図3に示すように、連結部15は、把手16と切削部13とを連結する部位である。連結部15は、後端部が把手16の先端部と接続され、先端部が切削部13の後端部と接続されることで、把手16と先端部とを連結する。また、連結部15は、把手16を介して伝達される駆動部14の回動力を切削部13に伝達可能である。さらに、連結部15は、先端部に、切削部13を着脱可能な取付部151を備える。本実施形態の連結部15は、軸線方向に延びる棒状のシャフト19を複数連結して構成されている。具体的に、シャフト19は、軸線方向の両端部に継足部191を備える。継足部191は、他の継足部191と連結可能に構成されている。即ち、一のシャフト19の継足部191と他のシャフト19の継足部191と、を連結することで、シャフト19同士を連結し、連結部15の軸線方向長さを伸ばすことができる。本実施形態のシャフト19は、先端に設けられる継足部191である先端継足部191Aが雄ねじを備え、後端に設けられる後端継足部191Bが雌ねじを備えるように構成され、先端継足部191Aと他のシャフト19の後端継足部191Bと、を螺合することで、シャフト19同士を連結可能に構成されている。なお、本実施形態で、連結部15の先端部を構成するシャフト19の先端部には、取付部151としての雄ねじが設けられている。本実施形態の取付部151は、先端継足部191Aの雄ねじと同じ形状の雄ねじである。即ち、先端部分に設けられるシャフト19の先端継足部191Aの雄ねじは取付部151である。なお、このような構成に限らず、例えば、連結部15の先端部を構成するシャフト19の先端部に先端継足部191Aを設けず、先端側に突出する雄ねじを別途設けて取付部151を構成することもできる。なお、先端継足部191Aに雌ねじを設け、後端継足部191Bに雄ねじを設けるように構成することもできる。このように構成する場合であっても、上述の場合と同様に、先端継足部191Aと後端継足部191Bを螺合してシャフト19同士を連結できる。また、このように構成する場合には、連結部15の先端部を構成するシャフト19の先端継足部191Aの雌ねじに、軸線方向の両端部に雄ねじが設けられたねじであるスタッドボルトが螺合して、取付部151としての雄ねじが設けることができる。
【0027】
シャフト19は、それぞれ、筒状の外筒部192と、外筒部192の内部に設けられる棒状の連結棒部193と、を備える。連結棒部193は、軸線方向の一端側(後端側)から他端側(先端側)に回動力を伝達可能な棒状体である。即ち、連結棒部193は、把手16から伝達される回動力によって軸線方向中心に回動し、該回動力を後端側から先端側に伝達する。また、連結棒部193と外筒部192は、軸線方向中心で相対回動自在に設けられている。即ち、連結棒部193が軸線方向中心に回動した際に、回動力は外筒部192には伝達されないように構成されている。また、継足部191は、連結棒部193と同軸で回動可能に設けられている。具体的に、継足部191は、回動力が伝達可能なように連結棒部193に連結されている。さらに、継足部191は、軸線方向中心で外筒部192と相対回動可能なように設けられている。具体的に、継足部191は、外筒部192の端部にベアリング部194を介して設けられている。そのため、連結部15の軸線方向一端部に与えられた回動力は、各シャフト19の連結棒部193及び継足部191を介して、連結部15の軸線方向他端部まで伝達される。
【0028】
シャフト19は、軸線方向において可撓性を有する。即ち、連結部15は、既設配管10に挿入された際に、既設配管10の管軸方向に沿って曲がることができるよう構成されている。具体的に、連結棒部193及び外筒部192は、軸線が湾曲可能となるように可撓性を有する。本実施形態の連結棒部193は、自然状態において直線状のねじりコイルばねから構成される。また、外筒部192は、可撓性のある筒状体で構成される。本実施形態の外筒部192は、金属製のフレキシブルチューブで構成される。
【0029】
図4に示すように、切削部13は、既設配管10の管軸中心に(回動方向Rに)回動して、既設配管10の肉厚を内径側から切削する部位(切削用工具)である。また、切削部13は、連結部15に伝達された回動力を受けて、回動方向Rに回動可能である。具体的に、切削部13は、回動力を伝達可能なように連結部15に連結される切削基部131と、切削基部131の径外方に設けられ、既設配管10に接して既設配管10の肉厚を切削可能な刃を有する切削刃部132と、を備える。本実施形態の切削部13は、図4(a)(b)に示すような、外径L1が既設配管10の内径よりも大きく、既設配管10の外径よりも小さい第一切削部13Aと、図4(c)(d)に示すような外径L2が第一切削部13Aの外径L1よりも大きい第二切削部13Bと、を有する。即ち、切削部13は、外径が異なる2種類の切削部13(第一切削部13A及び第二切削部13B)を有する。また、第二切削部13Bの外径L2は、既設配管10の内径よりも大きく外径よりも小さい。さらに、第二切削部13Bの外径L2は、後述する新配管11の外径よりも大きい。第一切削部13A及び第二切削部13Bは、それぞれの切削刃部132が異なる。即ち、第一切削部13A及び第二切削部13Bにおける切削基部131の構成は同一である。第一切削部13A及び第二切削部13Bにおける切削基部131の構成は同一であるので、後述の取付部151への取付けに際にして、第一切削部13A及び第二切削部13Bを同じように取り付けることができるため、作業性が高まる。なお、切削部13の形状はあくまで一例であり、他の形状の切削部13を採用することもできる。即ち、切削部13は、回動しながら既設配管10の肉厚を切削できる構成であればよい。
【0030】
切削基部131は、連結部15の先端部に連結可能な装着部133を備える。本実施形態の装着部133は、連結部15の先端部に設けられる取付部151に螺合可能な雌ねじを有する。また、本実施形態の切削基部131は、連結部15の先端部との連結を解除可能に構成されている。具体的に、装着部133と取付部151との螺合を解除することで、切削基部131と連結部15との連結が解除される。
【0031】
切削刃部132は、切削基部131から径外方に延びるように設けられる刃である。本実施形態の切削刃部132は複数設けられ、複数の切削基部131から周方向に均等な間隔を開けて切削基部131から径外方に向かって延びるように設けられている。切削刃部132は、回動方向Rにおける先端部が刃先134となるように構成されている。
【0032】
第一切削部13Aの切削刃部132である第一切削刃部132Aと、第二切削部13Bの切削刃部132である第二切削刃部132Bは、径方向の長さ(切削基部131からの突出量)が異なる。具体的に、第二切削刃部132Bの径方向の長さは、第一切削刃部132Aの径方向の長さよりも長い(切削基部131からの突出量が多い)。
【0033】
本実施形態の切削部13は、連結部15の取付部151に対して着脱可能に構成されている。そのため、本実施形態の切削部13は、連結部15に取り付けられる切削部13の種類(第一切削部13A及び第二切削部13B)を変更可能である。
【0034】
図5に示すように、送り部17は、連結部15(具体的にはシャフト19)を後端側から先端側に向かって押し出すことができる送り機171と、送り機171及び既設配管10の入口4を連結する管状の補助管173と、を備える。また、送り機171は、既設配管10の入口4の開口に対して横から連結部15を押し出すように配置されている。つまり、送り機171は、入口4の開口に対して径方向の一方側から連結部15を押し出すように配置されている。
【0035】
送り機171は、長尺体を長尺体の軸線方向に沿って移動させることができる器具である。本実施形態の送り機171は、円形で、連結部15を側方から挟むように配置される一対の送り本体部172を備え、送り本体部172は、上下方向を軸にそれぞれ逆向きに回動するよう構成される。このように構成されることで、送り機171は、一対の送り本体部172が回動することで、一対の送り本体部172で挟んだ連結部15を連結部15の軸線方向に沿って移動させることができる。なお、本実施形態の送り機は、連結部15を軸線方向の一方側に移動させるように動作することも、他方側に移動させるように動作することもできる。
【0036】
補助管173は、送り機171の先端部と既設配管10の入口4とを連結する管である。また、補助管173は、切削部13及び連結部15を内部に挿通可能な管である。具体的に、補助管173は、内径が既設配管10の内径よりも大きい管である。また、補助管173の内径は、連結部15の外径よりも大きい。さらに、補助管173は、軸線方向において可撓性を有する管である。本実施形態の補助管173は、既設配管10の入口4に、既設配管10の入口4の開口に対して正面に延びる管状の補助管取付治具174を介して既設配管10の入口4に取り付けられている。また、本実施形態の補助管取付治具174は、可撓性を有さない直線状に延びる管である。さらに、補助管173及び補助管取付治具174の少なくとも一部は、内部の状態を確認できるように構成されている。本実施形態では、補助管取付治具174の一部に内部の状態を確認可能な窓が設けられている。このように、補助管取付治具174の一部に窓が設けられることで、既設配管10に挿入される直前の連結部15や切削部13の状態を確認することができる。
【0037】
図6に示すように、牽引部18は、切削部13から先端側に向かって(軸線方向において連結部15と反対側に)延びる索体20と、索体20の延伸方向の中途部分に設けられる中間ガイド部21と、索体20と切削部13とを連結する索体連結部22と、を備える。このような牽引部18は、出口5側から引っ張られた引張力を切削部13に伝達し、切削部13を出口5側に牽引する。本実施形態の牽引部18は、ウインチWによって出口5側から牽引される(例えば図7(c)参照)。
【0038】
索体20は、既設配管10の内径よりも外径が小さい索状体である。また、切削部13を牽引する引張力に耐えることができる索状体である。本実施形態の索体20は、金属製のワイヤで構成される。また、索体20は、中間ガイド部21よりも先端側(既設配管10の軸線方向で切削部13とは反対側)に位置する先端側索体20Aと、中間ガイド部21よりも後端側(切削部13側)に位置する後端側索体20Bと、を備える。
【0039】
中間ガイド部21は、索体20の延伸方向の中途部分に設けられる部位である。また、中間ガイド部21は、索体20の外径よりも外径が大きい部位である。具体的に、中間ガイド部21は、外径が既設配管10の内径と略同じ筒体又は柱体である。本実施形態の中間ガイド部21は円柱体である。なお、既設配管10の内径と略同じとは、既設配管10の内径と全く同じ径を指すものではなく、既設配管10の内径に対して、既設配管10内で移動ができる程度に小さいものを指す。即ち、中間ガイド部21は、既設配管10の内径に対して、既設配管10に挿入する際に詰まったり引っかかったりしない程度にだけ外径が小さい筒体又は柱体である。本実施形態の中間ガイド部21は、軸線方向の一端部及び他端部に索体20が連結されることで、索体20の延伸方向の中途部に配置される。また、中間ガイド部21は、軸線方向の一端部と軸線方向の他端部とが軸線方向中心で相対回動するように構成されている。具体的に、中間ガイド部21のうち、一端部で索体20が連結される部位と、他端部で索体20が連結される部位と、は、軸線方向中心で相対回動するよう構成されている。本実施形態の中間ガイド部21は、内部にベアリングを備えている(図示しない)。このような中間ガイド部21は、切削部13の回動が中間ガイド部21よりも先端側に配置される索体20(先端側索体20A)に伝達しないように構成された回動絶縁部である。即ち、索体20においては、中間ガイド部21よりも後端側(後端側索体20B)の部分のみ回動が表面に現れる。また、本実施形態の中間ガイド部21は、外径の異なる複数の中間ガイド部21を備える。具体的に、中間ガイド部21は、加工前の既設配管10の内径と外径が略同一の第一中間ガイド部21A(例えば図7(a)参照)と、第一切削工程が完了した既設配管10の内径と外径が略同一の第二中間ガイド部21B(例えば図8(a)参照)と、の2種類の外径の中間ガイド部21を備える。
【0040】
索体連結部22は、切削部13の先端部に設けられ、切削部13と索体20とを連結する部位である。具体的に、索体連結部22は、外径の最大径が既設配管10の内径と略同一で、先細り形状の部位である。また、索体連結部22は、切削部13の先端側に配置される。本実施形態の索体連結部22は、連結部15の先端部に設けられる取付部151に、切削部13よりも先端側に位置するように着脱可能に取り付けられる。また、索体連結部22の先端部には、索体20が連結可能に構成される。また、本実施形態の索体連結部22は、外径の最大径が異なる複数の索体連結部22を備える。具体的に、索体連結部22は、加工前の既設配管10の内径と外径が略同一の第一索体連結部22A(例えば図7(a)参照)と、第一切削工程が完了した既設配管10の内径と外径が略同一の第二索体連結部22B(例えば図8(a)参照)と、の2種類の外径の索体連結部22を備える。
【0041】
以上のような構成の配管切削装置12を用いて既設配管10を切削する方法について図7及び図8を参照して説明する。なお、図7及び図8では、配管切削方法を模式的に説明するため、入口4側に配置される送り機171や、給湯配管1の湾曲部分8等を図示しない。
【0042】
本実施形態の配管切削方法は、前述の取外し工程と、取外し工程によって自由端となった入口4及び出口5を配管切削装置12に向ける工程と、既設配管10における管軸方向の切削すべき範囲の全域にわたって切削部13で既設配管10の肉厚の一部を切削する第一切削工程と、第一切削工程の完了後に切削部13の種類を変更する変更工程と、既設配管10における管軸方向の切削すべき範囲の全域にわたって変更後の切削部13で既設配管10の肉厚の少なくとも一部を切削する第二切削工程と、を備える。即ち、本実施形態の配管切削方法では、既設配管10の肉厚を2段階で切削する。
【0043】
図7に示すように、第一切削工程は、既設配管10の出口5側から入口4側に牽引部18を挿通する第一準備工程と、入口4側から露出した牽引部18の後端部に切削部13及び連結部15を連結し、切削部13を入口4側から出口5側に移動させつつ、既設配管10の肉厚を切削する第一切削実行工程と、を備える。また、第一切削工程では、既設配管10の管軸方向の切削すべき範囲の全域にわたって内径をΦ1からΦ2に拡径する。即ち、第一切削工程では、Φ1とΦ2の内径の差分だけ既設配管10の肉厚を切削する。また、本実施形態では、既設配管10の入口4から出口5にわたって内径を切削する場合について説明する。
【0044】
図7(a)に示すように、第一準備工程では、既設配管10の出口5から入口4側に向かって牽引部18を挿通する。具体的には、あらかじめ、索状の呼び線を既設配管10内に挿通して、該呼び線によって索体20(先端側索体20A)を既設配管10の出口5から入口4まで牽引して挿通する。索体20が入口4から露出したのちに、中間ガイド部21(第一中間ガイド部21A)、後端側索体20B、索体連結部22(第一索体連結部22A)を索体20(先端側索体20A)の後端部に連結することで、牽引部18が既設配管10の出口5側から入口4側に挿通され、第一準備工程は完了する。なお、第一準備工程では、上記のように呼び線を用いて、索体20のみを一旦既設配管10内に挿通してから、入口4側で中間ガイド部21及び索体連結部22を連結する場合について説明したが、このような場合に限らず、索体連結部22及び中間ガイド部21が取付けられた索体20を呼び線によって牽引して既設配管10内に挿通してもよい。また、牽引部18を挿通する場合に、呼び線を用いて挿通する場合に限らず、出口5側から牽引部18を押し込んで既設配管10内に挿通することもできる。
【0045】
図7(b)に示すように、第一切削実行工程では、入口4から露出した索体連結部22と切削部13及び連結部15とを連結する。具体的には、取付部151のうち、第一切削部13Aが連結される部分よりも先端側で索体連結部22と取付部151を連結する。そして、索体連結部22と切削部13及び連結部15とを連結した状態で、既設配管10の入口4側から切削部13を挿通して既設配管10の肉厚を切削する。具体的には、切削部13を既設配管10の入口4から挿通して出口5側に移動させつつ、駆動部14を回動させて、駆動部14の回動力によって第一切削部13Aを回動方向Rに回動させて、切削刃部132で既設配管10の内径を削る。また、本実施形態で、切削部13は、出口5側から牽引部18によって牽引されつつ、入口4側から送り部17によって押し込まれることで、入口4側から出口5側に移動する。なお、本実施形態で、切削部13は、主として入口4側から送り部17によって押し込まれることで入口4側から出口5側に移動し、牽引部18によって、補助的に出口5側に牽引される。さらに、本実施形態で、切削によって生じた切粉は、エアによって吹き飛ばされ、既設配管10から排出されるように構成される。エアは、出口5側から入口4側に向かう気流Fを形成し、切粉が気流Fに沿って既設配管10内を流れることで切粉が排出される。この時に、補助管取付治具174の窓から連結部15の既設配管10への挿入具合や、切粉の通過具合(排出具合)を確認できる。
【0046】
図7(c)に示すように、第一切削部13Aが入口4から出口5まで移動し、出口5から出ると第一切削実行工程は完了する。第一切削実行工程が完了すると、既設配管10の切削すべき範囲の全域、つまり、入口4から出口5までの全域の内径は、Φ1からΦ2に拡径される。また、第一切削実行工程が完了した既設配管10は、内径が第一切削部13Aの外径と略等しい外径になる。即ち、第一切削実行工程では、既設配管10の内径が加工前の内径であるΦ1から、第一切削部13Aの外径L1に略等しいΦ2に拡径される。第一切削実行工程が完了したのちに、牽引部18と連結部15及び切削部13との連結を解除して、第一切削工程は完了する。
【0047】
変更工程は、切削部13の外径を変更する工程である。具体的に、変更工程では、切削部13の外径を第一切削工程での切削部13の外径よりも大きくする工程である。即ち、変更工程は、連結部15に取り付けた一の種類の切削部13を、一の種類の切削部13よりも外径が大きい他の種類の切削部13に変更して取り付ける工程である。本実施形態では、切削部13を変更することで、切削部13の種類を変更する。具体的に、変更工程では、取付部151に取り付けられた第一切削部13Aを取外し、取付部151に第二切削部13Bを取り付けることで、切削部13の種類を変更する。
【0048】
図8に示すように、第二切削工程は、既設配管10の出口5側から入口4側に牽引部18を挿通する第二準備工程と、入口4側から露出した牽引部18の後端部に切削部13及び連結部15を連結し、切削部13を入口4側から出口5側に移動させつつ、既設配管10の肉厚を切削する第二切削実行工程と、を備える。また、本実施形態の第二切削工程では、既設配管10の管軸方向の切削すべき範囲の全域にわたって内径をΦ2からΦ3に拡径する。即ち、第二切削工程では、第一切削工程で切削した範囲と同じ範囲についてΦ2とΦ3の内径の差分だけ既設配管10の肉厚を切削する。また、本実施形態では、既設配管10の入口4から出口5にわたって内径を切削する場合について説明する。
【0049】
第二準備工程は、第一準備工程と挿入する牽引部18の構成が異なる。第二準備工程では、索体連結部22として、第一索体連結部22Aよりも外径が大きい第二索体連結部22Bを、中間ガイド部21として、第一中間ガイド部21Aよりも外径が大きい第二中間ガイド部21Bを、索体20と共に既設配管10に出口5側から挿入する。また、本実施形態では、第一切削工程で切削した既設配管10の内径Φ2と略同一の外径の第二索体連結部22Bを、中間ガイド部21として、第一切削工程で切削した既設配管10の内径Φ2と略同一の外径の第二中間ガイド部21Bを、索体20と共に既設配管10に出口5側から挿入する。具体的に、図8(a)に示すように、第二準備工程では、既設配管10の出口5から入口4側に向かって牽引部18を挿通する。具体的には、あらかじめ、索状の呼び線を既設配管10内に挿通して、該呼び線によって索体20(先端側索体20A)を既設配管10の出口5から入口4まで牽引して挿通する。索体20が入口4から露出したのちに、中間ガイド部21(第二中間ガイド部21B)、後端側索体20B、索体連結部22(第二索体連結部22B)を索体20(先端側索体20A)の後端部に連結することで、牽引部18が既設配管10の出口5側から入口4側に挿通され、第二準備工程は完了する。なお、第二準備工程では、上記のように呼び線を用いて、索体20のみを一旦既設配管10内に挿通してから、入口4側で中間ガイド部21及び索体連結部22を連結する場合について説明したが、このような場合に限らず、索体連結部22及び中間ガイド部21が取付けられた索体20を呼び線によって牽引して既設配管10内に挿通してもよい。また、牽引部18を挿通する場合に、呼び線を用いて挿通する場合に限らず、出口5側から牽引部18を押し込んで既設配管10内に挿通することもできる。
【0050】
図8(b)に示すように、第二切削実行工程では、入口4から露出した索体連結部22と切削部13及び連結部15とを連結する。具体的には、取付部151のうち、第二切削部13Bが連結される部分よりも先端側で索体連結部22と取付部151を連結する。そして、索体連結部22と切削部13及び連結部15とを連結した状態で、既設配管10の入口4側から切削部13を挿通して既設配管10の肉厚を切削する。具体的には、第二切削部13Bを既設配管10の入口4から挿通して出口5側に移動させつつ、駆動部14を回動させて、駆動部14の回動力によって第二切削部13Bを回動方向Rに回動させて、切削刃部132で既設配管10の内径を削る。また、本実施形態で、第二切削部13Bは、出口5側から牽引部18によって牽引されつつ、入口4側から送り部17によって押し込まれることで、入口4側から出口5側に移動する。本実施形態で、切削部13は、主として入口4側から送り部17によって押し込まれることで入口4側から出口5側に移動し、牽引部18によって、補助的に出口5側に牽引される。さらに、本実施形態で、切削によって生じた切粉は、エアによって吹き飛ばされ、既設配管10から排出されるように構成される。エアは、出口5側から入口4側に向かう気流Fを形成し、切粉が気流Fに沿って既設配管10内を流れることで切粉が排出される。この時に、補助管取付治具174の窓から連結部15の既設配管10への挿入具合や、切粉の通過具合(排出具合)を確認できる。
【0051】
図8(c)に示すように、第二切削部13Bが入口4から出口5まで移動し、出口5から出ると第二切削実行工程は完了する。第二切削実行工程が完了すると、既設配管10の内径は、Φ2からΦ3に拡径される。また、第二切削実行工程が完了した既設配管10は、内径が第二切削部13Bの外径L2と略等しい外径になる。即ち、第二切削実行工程では、既設配管10の内径が第一切削工程の完了時の内径であるΦ2から、第二切削部13Bの外径L2に略等しいΦ3に拡径される。また、第二切削実行工程で、既設配管10の内径は、後述する新配管11の外径よりも大きい内径に拡径される。第二切削実行工程が完了したのちに、牽引部18と連結部15及び切削部13との連結を解除して、第二切削工程は完了する。
【0052】
また、第一切削工程及び第二切削工程における中間ガイド部21の役割について図6を参照して説明する。中間ガイド部21は、索体20よりも大径で、既設配管10の内径と略同径であるので、既設配管10の内部で、管軸方向に沿って移動して、切削部13が軸線方向に沿って移動するように(径方向にずれないように)ガイドすることができる。また、中間ガイド部21は、軸線方向の一端部と他端部とが相対回動するので、回動の絶縁をすることができる。さらに、本実施形態のような、湾曲部分8を有する既設配管10に対して、配管の内径を切削する加工を行うときに、索体20で切削部13を出口5側から牽引すると、湾曲部分8で、索体20が湾曲部分8の内方に偏って位置することがある。このような場合に、切削部13を牽引すると、切削部13にも、湾曲部分8の内方に偏った引張力がかかることがあり、切削部13が管軸方向に対して斜めになるよう傾く恐れがある。切削部13が傾いた状態で切削すると、適切に既設配管10の肉厚を切削できなかったり、既設配管10の径外方に向かって切削部13が移動してしまい、刃で保護材9を傷つけてしまったりすることがある。一方で、本実施形態では、索体20の延伸方向の中途部分に中間ガイド部21が設けられているので、中間ガイド部21よりも先端側で発生した湾曲部分8の内方への偏った引張力を中間ガイド部21が吸収することができる。よって、切削部13にかかる湾曲部分8の内方に偏った引張力を抑制できるので、湾曲部分8においても適切に切削することができる。
【0053】
以上のように、第一切削工程及び第二切削工程の二段階で、既設配管10の内径がΦ1からΦ3に拡径されると、(1)配管肉厚除去工程は完了する。
【0054】
配管更新工法では、(1)配管肉厚除去工程が完了したのちに、(2)挿入工程に移行する。挿入工程では、内径が拡径された既設配管10の内部に、新配管11を挿入する。本実施形態では、既設配管10の内径以上外径未満の外径を有する新配管11を挿入する場合について説明する。また、本実施形態では、索体20及び、新配管11の端部を固定可能な配管挿入具23を用いて新配管11を既設配管10に挿入する場合について説明する。
【0055】
図9に示すように、挿入工程では、索体20の後端部に取り付けられた配管挿入具23を新配管11の先端部に取り付け、索体20を牽引することで、新配管11を入口4側から出口5側へと牽引し、既設配管10の内部に新配管11を挿入する。
【0056】
図9(a)に示すように、挿入工程では、初めに、あらかじめ、索状の呼び線を既設配管10内に挿通して、該呼び線によって索体20を既設配管10の出口5から入口4まで牽引して挿通し、入口4側から露出した索体20に配管挿入具23を取り付ける。入口4側で配管挿入具23を索体20に取り付けてから、配管挿入具23に新配管11の先端部を固定する。なお、配管挿入具23としては、新配管11の先端部を固定して、新配管11と索体20とを連結可能な種々の配管挿入具23を採用できる。
【0057】
図9(b)に示すように、新配管11の先端部が配管挿入具23に固定されてから、索体20をウインチW等で出口5から牽引し、新配管11の先端部を入口4から出口5まで移動させる。新配管11の先端部が出口5から露出すると挿入工程が完了する。
【0058】
以上の工程で、本実施形態の配管更新は完了する。
【0059】
上記のような配管切削方法によれば、内径側から複数回削って切削するので、確実に既設配管10の内径を薄くして拡径することができる。よって、保護材9の損傷を抑制できる。具体的には、複数回に分けて既設配管10の内径を切削することで、一度の切削で切削部13が受ける抵抗を小さくすることができる。よって、切削抵抗から切削部13が逃げようとして、切削部13が径外方にずれてしまうことにより、切削部13が既設配管10の径外方に移動して、刃で保護材9を傷つけてしまうことを抑制できる。
【0060】
また、第二切削工程において使用される切削部13(第二切削部13B)の外径は、既設配管10の外径よりも小さいので、第二切削工程が完了した際にも既設配管10の肉厚が残るため、切削部13によって保護材9を傷つけることを抑制できる。即ち、配管切削方法において、最後の切削工程(本実施形態では第二切削工程)において用いる切削部13の外径が既設配管10の外径よりも小さいので、配管切削方法の全工程が完了した際に、既設配管10の肉厚が残るため、切削部13によって保護材9を傷つけることを抑制できる。
【0061】
さらに、既設配管10の入口4から出口5までの管軸方向の全域について既設配管10の肉厚の一部を切削するので、第一切削工程が完了した際に、切削部13が出口5から出た状態となるため、出口5側で切削部13を連結部15から取外して変更作業をすることができる。よって、既設配管10の途中まで切削し、切削後に切削する方向とは逆向きに切削部13を移動させて、入口4から切削部13を出して変更作業をする場合に比べて作業性が向上する。
【0062】
また、連結部15は、切削部13の外径よりも外径が小さい棒状体であるシャフト19を備え、シャフト19は、径方向に曲げることができ、管軸方向一端側から他端側に回動力を伝達可能であり、かつ、シャフト19の軸線方向他端部は、他のシャフト19の軸線方向一端部と回動力を伝達可能な状態で連結可能である。よって、第一切削工程及び第二切削工程において、シャフト19を必要に応じて継ぎ足すことができるため、連結部15の長さを第一切削工程および第二切削工程の途中で適宜調整可能であるので、あらかじめ連結部15を既設配管10の切削すべき領域の全域分の長さだけ用意する場合に比べて、入口4側に露出した連結部15を配置するための作業スペースを低減できる。例えば、上記実施形態では連結部15の長さが送り機171で押し出すのに足りない場合に、シャフト19を継ぎ足すことができる。また、例えば、入口側から切削部13を引いて既設配管10を切削する場合には、1本のシャフトの全部が送り機よりも入口側にある場合にシャフト19の連結を解除して、シャフトを取外すことができる。このように、シャフトの本数を調整することで、連結部の長さを適宜調節することができる。
【0063】
さらに、配管切削装置12は、既設配管10の軸線方向において、切削部13の連結部15が位置する側とは反対側に切削部13を牽引する牽引部18を備え、牽引部18は、切削部13から少なくとも既設配管10の出口5まで延びる索体20と、索体20の中途部分に設けられ、外径が既設配管10の内径と略同径の円柱状の中間ガイド部21と、を備える。よって、索体20の途中部分に中間ガイド部21が設けられるので、既設配管10が湾曲している箇所がある場合であっても、牽引部18で切削部13を牽引した際に、切削部13を管軸方向に沿って安定して牽引することができる。また、中間ガイド部21は、管軸方向の中心を通る外径の長さが異なる複数の種類の中間ガイド部21を備え、第一切削工程では、既設配管10の内径と外径が略同じの一の種類の中間ガイド部21を用い、第二切削工程では、前記一の種類の中間ガイド部21よりも外径が大きい他の種類の中間ガイド部21を用いるので、配管切削方法の各段階に合わせて適切に切削部13をガイドできる。本実施形態では、中間ガイド部21は、加工前の既設配管10の内径と外径が略同一の第一中間ガイド部21Aと、第一切削工程が完了した既設配管10の内径と外径が略同一の第二中間ガイド部21Bと、を備えるので、既設配管10の内径が切削によって変わったとしても、中間ガイド部21を変更することで、切削部13を管軸方向に沿って安定して牽引することができる。
【0064】
また、配管切削装置12は、既設配管10の入口4に連結される補助管173を備え、補助管173は既設配管10の内径よりも内径が大きいので、まず内径の大きい補助管173に切削部13を挿入してから、内径の小さい既設配管10に切削部13を挿入できるため、切削部13を初めから既設配管10に入れる場合よりも挿入しやすい。
【0065】
さらに、補助管173は、軸線方向において可撓性を有する管状体であるので、既設配管10の入口4の開口に対して横から切削部13及び連結部15を挿入する場合に、補助管173を既設配管10の入口4の開口に対して径方向から軸線方向に向けて湾曲させることで、切削部13及び連結部15の挿入のガイドをすることができる。
【0066】
また、補助管173は、既設配管10の入口4の開口に対して正面に延びる管状の補助管取付治具174を介して既設配管10の入口4に取り付けられているので、切削部13を、補助管173を介して既設配管10に挿入する場合に、補助管取付治具174によって、切削部13が既設配管10に進入する直前の段階において、切削部13が既設配管10の入口4に対して略正対した状態とすることができる。よって、切削部13を安定した状態で既設配管10に挿入できる。
【0067】
さらに、連結部15は、駆動部14の回動力によって回動し、該回動力を駆動部14から切削部13まで伝達する連結棒部193と、連結棒部193の径外方を覆うように設けられる外筒部192と、を備え、外筒部192と連結棒部193は相対回動自在に設けられるので、連結棒部193の回動によって、既設配管10が削られ、保護材9にも損傷を与えることを抑制できる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0069】
例えば、切削部13を出口5側から牽引しつつ入口4側から押して既設配管10内を移動させる場合について説明したが、牽引又は押しのいずれか一方のみで切削部13を移動させてもよい。
【0070】
また、連結部15は、軸線方向の長さを調整可能である場合について説明したが、このような構成に限らず、既設配管10の切削すべき領域よりも長い1本の棒状体や索状体として構成することもできる。
【0071】
さらに、既設配管10の切削を第一切削工程と第二切削工程との2段階に分けて行う場合について説明したが、3段階以上に分けて切削することもできる。3段階以上に分ける場合であっても、切削部13の外径を適宜大きいものに交換して既設配管10を切削することができる。即ち、2段階以上であれば、任意の段階(例えば4回から8回の間)で既設配管10の肉厚を切削することができる。切削する回数は、既設配管10の肉厚や、硬さで任意に選択することができる。
【0072】
また、牽引部18は、索体20で切削部13を牽引する場合について説明したが、このような構成に限らず、可撓性を有する棒状体(例えばシャフト19)で切削部13を牽引するよう構成することもできる。
【0073】
さらに、牽引部18は、中間ガイド部21を備える場合について説明したが、このような構成に限らず、中間ガイド部21を備えない構成とすることもできる。中間ガイド部21を備えない場合には、例えば、索体連結部22の内部にベアリングを設け、索体連結部22を連結部15と索体20の回動を絶縁する回動絶縁部として構成することもできる。
【0074】
また、本配管切削方法を家屋内で用いられる給湯配管1又は給水配管2に対して適用する場合について説明したが、このような場合に限らず、油や空気等が内部を流れる配管に対して本配管切削方法を適用することもできる。
【0075】
さらに、内径を拡径した既設配管10に既設配管10の外径よりも外径が小さい新配管11を挿通する場合について説明したが、このような場合に限らず、既設配管10の外径と同じ外径や、既設配管10の外径よりも大きい外径の新配管11を挿通することもできる。このような場合には、第二切削工程の後に、既設配管10に対して、軸線方向に沿って肉厚を切断したスリットを形成してから新配管11を挿通したり、第二切削工程後の既設配管10の内径より大きい外径の拡径球によって既設配管10の外径をさらに拡径してから新配管11を挿通したりすることができる。また、このような場合であっても、既設配管10の肉厚が第一切削工程及び第二切削工程によって減少しているので、保護材9を圧迫することを抑制でき、保護材9の損傷を抑制できる。
【0076】
また、変更工程では、切削部13の全部を交換することで、切削部13を交換によって種類の変更をする場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、切削部13のうち一部である、切削刃部132のみを外径が大きい他の切削刃部132に交換して切削部13の種類を変更することもできる。また、切削刃部132の外径を変更可能な切削部13を用いる場合には、切削部13自体を交換せずに、単に切削刃部132の外径を変更することで、切削部13の種類を変更することもできる。即ち、変更工程では、切削部13の外径が変更されればよく、そのための手段の一例として、切削部13の交換が挙げられる。
【0077】
さらに、第二切削工程で既設配管10の肉厚の一部を切削する場合について説明したが、このような場合に限らず、第一切削工程で残された既設配管10の肉厚の全部を切削することもできる。また、既設配管10の肉厚の全部を切削する場合には、図10に記載のように、既設配管10の軸線方向の途中部分までだけ切削し、既設配管10の残りの部分を出口5側から引き抜くこともできるし、既設配管10の管軸方向の全域に亘って切削することもできる。既設配管10の一部を引き抜く場合には、既設配管10のうち、引き抜く領域における湾曲部分が1か所以下であることが好ましい。また、引き抜く領域について、引き抜きの力に負けて、途中で切れたり、折れたりすることを抑制するため、既設配管10の引き抜く領域については、第一切削工程及び第二切削工程で切削しないことが好ましい。既設配管10を引き抜く場合には、図11(a)に示すような配管引抜具24を使用することができる。配管引抜具24は、外径が既設配管10の外径と略等しい円形の板体である。このような配管引抜具24は、入口4側から索体20で牽引されることで、既設配管10のうち、残った部分の先端部に当接し、先端側から出口5側に向かって既設配管10を押すように移動することで、既設配管10を保護材9から引き抜くことができる。
【0078】
また、切削部13は、既設配管10の入口4側から出口5側へ向かって移動しながらのみ切削する場合について説明したが、このような構成に限らず、第一切削工程における切削部13が切削する際の進行方向と、第二切削工程における切削部13が切削する際の進行方向とが逆であってもよい。このように構成する場合には、例えば、交換工程は、第一切削工程における出口5側で切削部13を変更し、一の切削部13(第一切削部13A)を径が大きい他の切削部13(第二切削部13B)に、第二切削部13Bの刃先134が第一切削工程における入口4側を向くように取り付け、第二切削工程では、第一切削工程における出口5側から入口4側に向かって切削部13を既設配管10の管軸方向に沿って移動させることができる。上記構成によれば、第二切削工程を第一切削工程における出口5側から入口4側に向かって切削するように行うことができるので、既設配管10内を切削部13が往復する動作によって配管を切削できるため、既設配管10内を切削部13が入口4側から出口5側への一方通行で動作する場合に比べて作業効率が高まる。一方で、既設配管10内を切削部13が入口4側から出口5側への一方通行で動作する場合には、牽引部18で切削部13を牽引する際に、切削部13が既設配管10の内部で引っかかったり詰まったりした場合に、牽引する力は既設配管10の切削部13が詰まっている部分にかかるので、シャフト19の連結部分(継足部191)にかかることを抑制でき、シャフト19の連結が既設配管10の内部で解除されることを抑制できる。さらに、上記のように構成する場合には、第二切削工程において、必要に応じて軸線方向他端部に位置するシャフト19を取外す工程を含むことができる。上記のような構成によれば、1本のシャフト19を取外しても切削部13を移動させるのに不都合がないときにシャフト19を取外して、連結部15の長さを調整することができるので、既設配管10の切削すべき領域の全域分の長さの1本のシャフト19を用意する場合に比べて、入口4側に露出した連結部15を配置するための作業スペースを低減できる。
【0079】
さらに、取外し工程のあと、すぐに第一切削工程に移る場合について説明したが、第一切削工程に入る前に、既設配管10に事前処理を施すよう構成することもできる。例えば、第一切削工程に入る前に、既設配管10の入口4部分を切削して、切削部13を既設配管に入れやすくするような加工をすることもできる。
【符号の説明】
【0080】
1…給湯配管、2…給水配管、3…床面、4…入口、5…出口、6…ヘッダー部材、7…水栓、8…湾曲部分、9…保護材、10…既設配管、11…新配管、12…配管切削装置、13…切削部、13A…第一切削部、13B…第二切削部、131…切削基部、132…切削刃部、132A…第一切削刃部、132B…第二切削刃部、133…装着部、134…刃先、14…駆動部、15…連結部、151…取付部、16…把手、17…送り部、171…送り機、172…送り本体部、173…補助管、174…補助管取付治具、18…牽引部、19…シャフト、191…継足部、191A…先端継足部、191B…後端継足部、192…外筒部、193…連結棒部、20…索体、21…中間ガイド部、21A…第一中間ガイド部、21B…第二中間ガイド部、22…索体連結部、22A…第一索体連結部、22B…第二索体連結部、23…配管挿入具、24…配管引抜具
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11