(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】シュリンク包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 53/00 20060101AFI20241122BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20241122BHJP
B65B 53/02 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B65B53/00 M
B65B57/00 C
B65B53/02 D
(21)【出願番号】P 2023016549
(22)【出願日】2023-02-07
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000110125
【氏名又は名称】トキワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柳田 耕平
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-278723(JP,A)
【文献】特開2001-048108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00
B65B 57/00
B65B 53/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムで包装された被包装物を
包装機の搬送手段から受け取って搬送する搬送手段と、該搬送手段で搬送される前記被包装物を熱収縮させてシュリンク包装するためのシュリンクトンネルと、該シュリンクトンネルの入口側及び出口側のそれぞれに配置され、前記被包装物が通過したことを検出するための検出手段と、制御部と、を備え、
前記搬送手段の終端には、移送用搬送手段が配置され、
前記制御部は、前記搬送手段により前記シュリンクトンネルへ搬送される前記被包装物を前記入口側の検出手段で検出した後、該入口側の検出手段で検出した前記被包装物が前記出口側の検出手段で検出される位置まで搬送される搬送時間又は搬送距離に基づいて設定される設定搬送時間又は設定搬送距離に達した時に、前記出口側の検出手段からの信号に基づいて該被包装物の詰まりを判定する判定手段を備
え、
前記入口側の検出手段は、一対の第1光電センサを備え、前記被包装物の搬送方向における上流端を検出可能に構成され、前記出口側の検出手段は、一対の第2光電センサを備え、前記被包装物の搬送方向における下流端を検出可能に構成され、前記設定搬送時間又は設定搬送距離は、入口側の前記一対の第1光電センサが前記上流端を検出したときのパルス信号の立下りエッジから出口側の前記一対の第2光電センサが前記下流端を検出したときのパルス信号の立上りエッジまでの搬送時間又は搬送距離に基づいて設定されることを特徴とするシュリンク包装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記入口側の検出手段が前記被包装物を検出した時の信号がレジスタに記憶され、前記記憶された信号が所定のタイミングで隣のレジスタにシフトするように構成されたシフトレジスタを備え、前記判定手段は、前記レジスタに記憶された信号が前記入口側の検出手段から前記出口側の検出手段までの距離に相当する分シフトした時に、前記設定搬送時間又は設定搬送距離に達したとみなして、前記出口側の検出手段からの信号に基づいて前記被包装物の詰まりを判定することを特徴とする請求項1記載のシュリンク包装装置。
【請求項3】
前記判定手段による判定タイミングは、前記設定搬送時間に前記一対の第2光電センサが前記被包装物を検出したときに出力するパルス信号の周期以下の時間でかつ0よりも大きな任意の時間を加えた時間に設定したことを特徴とする請求項
1に記載のシュリンク包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンク包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記シュリンク包装装置に備えているシュリンクトンネルは、包装機によりフィルム包装された被包装物を、搬送装置で受け取って搬送しつつ、前記被包装物を包装したフィルムをシュリンクトンネル内で熱収縮させてシュリンク包装するために用いられる。ところで、前記被包装物を搬送しつつ、シュリンクトンネル内で熱収縮している時に、被包装物が搬送路外にはみ出してしまうことがある。前記はみ出した被包装物は、搬送されずシュリンクトンネル内に停滞してしまい、被包装物のフィルムが溶けてしまうことがある。
【0003】
そこで、シュリンクトンネル内で搬送路の搬送方向の両端に、被包装物が搬送路外にはみ出すのを検出するための一対の光センサを設けて、一対の光センサが被包装物の搬送路外へのはみ出しを検出すると、開閉手段を介して自動的にシュリンクトンネルの開閉扉を開放するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シュリンクトンネル内においては、搬送されている被包装物が、搬送路から外へはみ出さない状態で搬送路上に停滞していることがある。特に、被包装物がエアゾール缶などの場合には、高温のシュリンクトンネル内で停滞していると、爆発して大惨事を招くおそれがあり、早期改善が要望されている。
【0006】
本発明は、被包装物がシュリンクトンネル内で停滞していることを検出することによって、多数の被包装物のフィルムが溶けてしまうことを抑制することができるシュリンク包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシュリンク包装装置は、フィルムで包装された被包装物を搬送する搬送手段と、該搬送手段で搬送される前記被包装物を熱収縮させてシュリンク包装するためのシュリンクトンネルと、該シュリンクトンネルの入口側及び出口側のそれぞれに配置され、前記被包装物が通過したことを検出するための検出手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送手段により前記シュリンクトンネルへ搬送される前記被包装物を前記入口側の検出手段で検出した後、該入口側の検出手段で検出した前記被包装物が前記出口側の検出手段で検出される位置まで搬送される搬送時間又は搬送距離に基づいて設定される設定搬送時間又は設定搬送距離に達した時に、前記出口側の検出手段からの信号に基づいて該被包装物の詰まりを判定する判定手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
かかる構成によれば、搬送手段で搬送される被包装物がシュリンクトンネルの入口側に設けた検出手段を通過すると、その検出手段が被包装物を検出する。その検出した被包装物が、搬送手段で更に搬送され、出口側の検出手段で検出される位置まで搬送される搬送時間又は搬送距離に基づいて設定搬送時間又は設定搬送距離が設定される。その設定された設定搬送時間又は設定搬送距離に搬送手段で搬送される被包装物が達した時に、出口側の検出手段からの信号に基づいて該被包装物の詰まりを判定する。つまり、設定搬送時間又は設定搬送距離に達した時に、出口側の検出手段が被包装物を検出した場合には、シュリンクトンネル内の搬送路で予定通りの搬送が行われて、被包装物が停滞していないと判定する。これに対して、設定搬送時間又は設定搬送距離に達した時に、出口側の検出手段が被包装物を検出していない場合には、シュリンクトンネル内の搬送路で予定通りの搬送が行われず、多数の被包装物が停滞して詰まってしまうと判定する。多数の被包装物が停滞して詰まってしまうと判定した場合には、例えば包装機を早期に停止させてシュリンクトンネル内への被包装物の供給を停止する等の対策を行うことができ、多数の被包装物のフィルムが溶けてしまうことを防止することができる。
【0009】
また、本発明のシュリンク包装装置は、前記制御部が、前記入口側の検出手段が前記被包装物を検出した時の信号がレジスタに記憶され、前記記憶された信号が所定のタイミングで隣のレジスタにシフトするように構成されたシフトレジスタを備え、前記判定手段は、前記レジスタに記憶された信号が前記入口側の検出手段から前記出口側の検出手段までの距離に相当する分シフトした時に、前記設定搬送時間又は設定搬送距離に達したとみなして、前記出口側の検出手段からの信号に基づいて前記被包装物の詰まりを判定してもよい。
【0010】
かかる構成によれば、搬送手段で搬送される被包装物がシュリンクトンネルの入口側で検出手段を通過すると、検出手段が被包装物の通過を検出し、その検出した信号をレジスタに記憶する。記憶された信号は、所定のタイミングで隣のレジスタにシフトする。記憶された信号が入口側の検出手段から出口側の検出手段までの距離に相当する分シフトした時に、設定搬送時間又は設定搬送距離に達したとみなして、出口側の検出手段が被包装物を検出したかどうかの信号に基づいて、被包装物が予定通りに搬送されたかどうかを判定手段が判定する。つまり、出口側の検出手段が被包装物を検出しなかった場合には、シュリンクトンネル内で被包装物が停滞して詰まってしまうと判定手段が判定する。
【0011】
また、本発明のシュリンク包装装置は、前記入口側の検出手段が、前記被包装物の搬送方向における上流端を検出可能に構成され、前記出口側の検出手段は、前記被包装物の搬送方向における下流端を検出可能に構成され、前記設定搬送時間又は設定搬送距離は、前記入口側の検出手段による上流端の検出と前記出口側の検出手段による下流端の検出とを用いて導出される搬送時間又は搬送距離に基づいて設定されてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、入口側の検出手段で被包装物を受け渡す位置で検出する場合に、スリップ等による被包装物の搬送が不安定になり、被包装物の位置が正規の位置から搬送方向でずれてしまうことがある。そのため、入口側の検出手段で被包装物の搬送方向における下流端を検出する時点では、包装機からの被包装物がシュリンクトンネルの搬送手段へ受け渡されて安定した搬送状態になっているため、被包装物の位置を精度よく検出することができる。また、出口側の検出手段で被包装物をシュリンクトンネル側の搬送手段から他の搬送手段に受け渡す前に被包装物を検出できるように被包装物の上流端を検出することによって、被包装物を受け渡す時に発生するスリップ等による被包装物の位置が正規の位置から搬送方向でずれてしまうことがない。よって、被包装物の位置を精度よく検出することができる。そして、入口側の検出手段による上流端の検出と前記出口側の検出手段による下流端の検出とを用いて設定搬送時間又は設定搬送距離を正確に求めることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上により、被包装物がシュリンクトンネル内で停滞していることを検出することによって、多数の被包装物のフィルムが溶けてしまうことを抑制することができるシュリンク包装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】入口側及び出口側のそれぞれに被包装物を検出する検出手段を備えたシュリンク包装装置の概略側面図である。
【
図2】入口側の検出手段で検出した信号に基づいて記憶した信号をシフトレジスタでシフトしている状態を示す説明図である。
【
図3】被包装物の詰まりを判定する判定タイミングを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のシュリンク包装装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1には、包装機(図示せず)で包装された被包装物Hが包装機のベルトコンベア7で搬送して受け渡されるシュリンク包装装置1を示している。
【0017】
シュリンク包装装置1は、搬送方向一端に入口側開口2Aが形成され、搬送方向他端に出口側開口2Bが形成されたトンネル状のシュリンクトンネル2と、包装機からの被包装物Hを受け取ってシュリンクトンネル2の入口側開口2Aから出口側開口2Bへ搬送する搬送手段3と、シュリンクトンネル2の入口側及び出口側のそれぞれに配置され、被包装物Hが通過したことを検出するための検出手段4,5と、を備えている。
【0018】
シュリンクトンネル2は、搬送手段3で搬送される被包装物Hを包装したフィルム(図示せず)を熱収縮させるための加熱手段6を備え、加熱手段6によって発生する熱を滞留させるために用いられる。
【0019】
加熱手段6は、シュリンクトンネル2内で被包装物Hのフィルムを熱収縮させるための熱を発生させる複数のヒータ61と、ヒータ61により発生した熱をシュリンクトンネル2内に循環させることで被包装物Hのフィルムを熱収縮させる複数のファン62と、を備えている。尚、加熱手段6の駆動によりシュリンクトンネル2内の温度は、140℃から200℃の間に維持される。
【0020】
搬送手段3は、ベルトコンベア(チェーンコンベアやローラコンベア等でもよい)から構成され、複数の従動ローラ3Aと、1個の駆動ローラ3Bと、これらローラ3A,3Bに巻き付けられる無端状のベルト3Cと、駆動ローラ3Bを回転駆動させることによってベルト3Cを周回させるためのモータ3Dと、を備えている。モータ3Dを駆動することによって、包装機のベルトコンベア(搬送手段)7で矢印の方向へ搬送される被包装物Hを受け取って
図1の右端(始端)から左端(終端)へ搬送する。終端まで搬送された被包装物Hは、搬送手段3の終端に配置される移送用搬送手段を構成するベルトコンベア8へ受け渡して、所望の位置まで搬送される。
【0021】
検出手段4,5の一方の検出手段4は、シュリンクトンネル2の入口側に搬送幅方向(搬送方向と直交する方向、
図1では紙面を貫通する方向)に間隔をおいて対向配置される透過型の一対の第1光電センサ4A,4A(図では手前側のみ示している)を備え、他方の検出手段5は、シュリンクトンネル2の出口側に搬送幅方向に間隔をおいて配置された透過型の一対の第2光電センサ5A,5A(図では手前側のみ示している)と、を備えている。
【0022】
第1光電センサ4A,4Aのうちの一方の第1光電センサ4Aは、光を照射する投光器から構成され、他方の第1光電センサ4Aは、投光器からの光を受光する受光器から構成されている。したがって、被包装物Hが第1光電センサ4A,4A間を通過していない状態では、一方の第1光電センサ4Aから照射される光を他方の第1光電センサ4Aで受光することで、受光した信号を後述する制御部Sへ出力しない。これに対して、被包装物Hの搬送方向前端が第1光電センサ4A,4Aに差し掛かると、一方の第1光電センサ4Aから照射される光が遮られ、他方の第1光電センサ4Aが受光する受光量が所定量以下になることで、被包装物Hを検出したと判定するとともに、検出した信号を後述する制御部Sへ出力する。具体的には、
図3に示すように、被包装物Hの搬送方向(矢印で示す方向)における下流端(前端)が通過してから被包装物Hの搬送方向における上流端(後端)が通過するまで検出した信号に基づいて矩形状のパルス信号P1が形成される。パルス信号P1は、被包装物Hの搬送方向における下流端を検出した時に垂直に立ち上がる立上りエッジP11と、被包装物Hの搬送方向における上流端を検出した時に垂直に立ち下がる立下りエッジP12とが形成され、立上りエッジP11から立下りエッジP12までが被包装物Hを第1光電センサ4A,4Aで検出している検出期間となる。
【0023】
第2光電センサ5A,5Aは、第1光電センサ4A,4Aと同様に、
図3に示すように、被包装物Hの搬送方向における下流端(前端)が通過してから被包装物Hの搬送方向における上流端(後端)が通過するまで検出した信号に基づいて矩形状のパルス信号P2が形成される。パルス信号P2は、被包装物Hの搬送方向における下流端を検出した時に垂直に立ち上がる立上りエッジP21と、被包装物Hの搬送方向における上流端を検出した時に垂直に立ち下がる立下りエッジP22とが形成され、立上りエッジP21から立下りエッジP22までが被包装物Hを第2光電センサ5A,5Aで検出している検出期間となる。
【0024】
シュリンク包装装置には、シュリンクトンネル内で被包装物Hが停滞して詰まってしまう詰まり検出装置を備えている。詰まり検出装置は、第1光電センサ4A,4A及び第2光電センサ5A,5Aと、搬送される被包装物の搬送手段上の位置を仮想的に認識するためのシフトレジスタ9と、シフトレジスタ9により仮想的に認識した搬送手段3上の被包装物Hの位置と第2光電センサ5A,5Aにより搬送される被包装物Hの実際の搬送位置とに基づいてシュリンクトンネル2内が被包装物Hで詰まってしまうことを判定する判定手段10と、第1光電センサ4A,4A及び第2光電センサ5A,5Aからの出力信号が入力され、シフトレジスタ9及び判定手段10を作動させるための制御部Sと、を備えている。
【0025】
シフトレジスタ9としては、タイマ式とパルス式を用いることができる。タイマ式の場合、所定時間(本実施形態では、例えば20[ms]とする)が経過する度に被包装物Hの位置データを隣のレジスタ(記憶ブロックともいう)にシフト(移動)させる。例えば第1光電センサ4A,4Aから第2光電センサ5A,5Aまでの被包装物Hの搬送時間が3秒とすれば、シフト数は、3000[ms]÷20[ms]=150シフトとなり、シフトレジスタ9は、150シフトした位置が、被包装物が第2光電センサ5A,5Aまで移動した位置として仮想的に認識する。タイマ式の場合は、後述するパルスジェネレータ(例えばエンコーダ)や、パルスジェネレータのパルス数をカウントする高速パルスカウンタ等が不要になり、コスト面において有利になる。
【0026】
また、パルス式の場合、搬送手段3の駆動に連動してパルスを発生するパルスジェネレータ(例えばエンコーダ)を用いて、パルスジェネレータのパルスが発生した分だけ被包装物の位置データをシフトさせる。パルスジェネレータから発生する1パルスが、例えば20mmである場合、第1光電センサ4A,4Aと第2光電センサ5A,5Aとの距離が2mとすると、2000[mm]÷20[mm]=100シフトとなり、シフトレジスタ9は、100シフトした位置が、被包装物Hが第2光電センサ5A,5Aまで移動した位置として仮想的に認識する。尚、各レジスタ9は、被包装物Hを入口側の第1光電センサ4A,4Aで検出した時に1という位置データをレジスタ9Aに記憶し(
図2参照)、被包装物Hを第1光電センサ4A,4Aで検出しなかった時に0という位置データをレジスタに記憶する(
図2参照)。パルス式の場合は、被包装物Hが移動する距離に基づいているため、搬送手段3の搬送速度を変更しても、タイマ式で必要となる設定値の変更が不要になる。
【0027】
前記のようにシフトを繰り返すことで、
図2に示すように、入口側のシフトレジスタの1ビット目のレジスタ9A(記憶ブロックともいう)に記憶された位置データ1が隣り合うレジスタ9B、9C、9D、9E、9F、9G(記憶ブロックともいう)に順次移動し、位置データ1が出口側の第2光電センサ5A,5Aで被包装物Hを検出する位置、つまりレジスタ9Hまで移動すると、シフトレジスタ9は、被包装物Hが第1光電センサ4A,4Aから第2光電センサ5A,5Aまでの距離を移動したと仮想的に認識する。制御部Sは、判定手段10を用いて、シフトレジスタ9で仮想的に認識した被包装物Hの位置で第2光電センサ5A,5Aが実際の被包装物Hを検出したかどうかを判定し、検出している場合には、被包装物Hの搬送が正常に行われたとして、被包装物Hがシュリンクトンネル2内で停滞していないと判定する。これに対して、第2光電センサ5A,5Aが被包装物Hを検出していない場合には、被包装物Hの搬送が正常に行われなかったとして、被包装物Hがシュリンクトンネル2内で停滞して詰ってしまうと判定する。被包装物Hが詰まってしまうと判定した場合には、例えば包装機の運転を自動的に停止して、シュリンクトンネル2内への被包装物の供給(搬送)を早期に停止することで多数の被包装物Hのフィルムが溶けてしまうことを防止することができる。特に、被包装物Hがエアゾール缶などの場合には、高温(200℃以上)となったシュリンクトンネル内で所定時間停滞してしまって爆発する等の大惨事を未然に防止することができる。また、ブザーやランプ等の報知手段を用いてオペレータに報知してオペレータが包装機の運転を手動で停止してもよいし、オペレータに報知手段で報知するとともに包装機の運転を自動的に停止するように構成してもよい。
【0028】
また、入口側の第1光電センサ4A,4Aは、
図3に示すように、被包装物Hの搬送方向における上流端(後端)を検出可能に構成されている。また、出口側の第2光電センサ5A,5Aは、被包装物Hの搬送方向における下流端(前端)を検出可能に構成されている。
【0029】
前記のように、入口側の第1光電センサ4A,4Aでは、被包装物Hの受け渡しの位置(ベルトコンベア7と搬送手段3の両方に被包装物Hが乗っている位置)、具体的には、被包装物Hが
図3の右端の実線で示す位置に位置している時には、スリップ等による被包装物Hの搬送が不安定になり、被包装物Hの位置が正規の位置からずれてしまうことがある。そのため、被包装物Hの上流側端を検出することによって、包装機からの被包装物Hがシュリンクトンネル2の搬送手段3から受け渡されて搬送手段3に完全に乗った安定した搬送状態になっているため、被包装物Hの位置を精度よく検出することができる。また、出口側の第2光電センサ5A,5Aでは、被包装物Hをシュリンクトンネル側の搬送手段3から他の移送用搬送手段であるベルトコンベア8へ受け渡す前に被包装物Hの位置を検出できるように被包装物Hの下流側端を検出することによって、
図3の左端に点線で示す被包装物Hを受け渡す時に発生するスリップ等による被包装物Hの位置ずれの影響がない状態で被包装物Hの位置を精度よく検出することができる。よって、被包装物Hの上流側端を検出したときのパルス信号P1の立下りエッジP12から被包装物Hの下流側端を検出した時のパルス信号P2の立上りエッジP21までの搬送時間に基づいて、入口側の検出手段4から出口側の検出手段5まで被包装物Hが搬送される設定搬送時間T1を正確に求めることができる。
【0030】
被包装物Hの詰まりが発生していると実際に判定する判定タイミングM1は、出口側の第2光電センサ5A,5Aで検出したパルス信号P2の立上りエッジP21を出力する時点に設定してもよいが、この判定タイミングM1では、被包装物Hが遅れて搬送された場合、出口側の第2光電センサ5A,5Aで検出することができない。そのため、
図3に示すように、前記設定搬送時間T1+出口側の第2光電センサ5A,5Aが被包装物Hを検出した時に出力するパルス信号P2の周期T2の半分(1/2)=T3となる位置を判定タイミングM2とすることが好ましい。このように判定タイミングをT2/2だけずらして設定することによって、第2光電センサ5A,5Aの検出範囲をパルス信号P2の周期T2の半分だけ搬送方向下流側へ広げることができるので、シュリンクトンネル2での滑り等により設定搬送時間T1よりも遅れて被包装物Hが第2光電センサ5A,5Aが検出する位置に到達した場合でも、第2光電センサ5A,5Aが被包装物Hを確実に検出することができる。この実施形態では、T2/2に設定しているが、T2/3、T2/4、T2/5等、どのような時間に設定してもよい。つまり、0よりも大きい値でT2/2以下の任意の値が好ましい。また、第1光電センサ4A,4Aによる被包装物Hの上流端を検出したときの信号(立下りエッジP12)と第2光電センサ5A,5Aによる被包装物Hの下流端の検出したときの信号(立上りエッジP21)とを用いて設定搬送時間T1を導出したが、設定搬送距離を導出してもよい。
【0031】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0032】
上記実施形態では、透過型の光電センサを用いたが、反射型の光電センサであってもよいし、超音波センサ等、各種の非接触式センサを用いることができる。また、搬送幅方向にセンサを配置したが、被包装物の搬送路の上方から搬送路を移動する被包装物を検出するようにしてもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、第1光電センサ4A,4Aによる被包装物Hの上流端を検出したときの信号(立下りエッジP12)と第2光電センサ5A,5Aによる被包装物Hの下流端を検出したときの信号(立上りエッジP21)とを用いて設定搬送時間T1を導出したが、第1光電センサ4A,4Aによる被包装物Hの上流端を検出したときの信号(立下りエッジP12)と第2光電センサ5A,5Aによる被包装物Hを上流端を検出したときの信号(立下りエッジP22)とを用いて設定搬送時間T1を導出してもよい。この場合、被包装物Hが詰まってしまうことを判定する判定タイミングは、設定搬送時間T1-出口側の第2光電センサ5A,5Aが検出するパルス信号P2の周期T2の半分(1/2)とすることが好ましい。また、第1光電センサ4A,4Aによる被包装物Hの下流端を検出したときの信号(立上りエッジP11)と第2光電センサ5A,5Aによる被包装物Hの下流端を検出したときの信号(立上りエッジP21)とを用いて設定搬送時間T1を導出してもよい。この場合、被包装物Hが詰まってしまうことを判定する判定タイミングは、設定搬送時間T1+出口側の第2光電センサ5A,5Aが検出するパルス信号P2の周期T2の半分(1/2)とすることが好ましい。
【0034】
また、上記実施形態では、シフトレジスタ9を用いたが、デコーダやカウンタ等であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…シュリンク包装装置、2…シュリンクトンネル、2A…入口側開口、2B…出口側開口、3…搬送手段、3A…従動ローラ、3B…駆動ローラ、3C…ベルト、3D…モータ、4,5…検出手段、4A…第1光電センサ、5A…第2光電センサ、6…加熱手段、7…ベルトコンベア(搬送手段)、8…ベルトコンベア(移送用搬送手段)、9…シフトレジスタ、9A~9H…レジスタ(記憶ブロック)、10…判定手段、61…ヒータ、62…ファン、H…被包装物、M1,M2…判定タイミング、P1,P2…パルス信号、P11,P21…立上りエッジ、P12,P22…立下りエッジ、S…制御部、T1…設定搬送時間、T2…周期