(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】フリップチップレーザーボンディング装置のボンディングツール
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
(21)【出願番号】P 2023025259
(22)【出願日】2023-02-21
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】10-2023-0010665
(32)【優先日】2023-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523062512
【氏名又は名称】エムアイ エキップメント コリア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】カン、ヒョン グ
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-104693(JP,A)
【文献】特表2022-532523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/67
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを真空で吸着して固定した後、基板上に置いて押圧するボンディングツールと、前記ボンディングツールの上部に設けられ、半導体チップと基板との間のボンディングのためのレーザービームを照射するレーザー発生器と、前記半導体チップの表面温度を監視するための非接触温度測定器とを含むフリップチップレーザーボンディング装置であって、
前記ボンディングツールはレーザー発生器から照射されるレーザー波長帯が透過することができる単結晶素材の光学ウィンドウからなり、前記ボンディングツールは、真空提供手段から供給される真空が作用するように、半導体チップ吸着用真空ホールが上下に貫設され、前記ボンディングツールの半導体チップ接触面の外郭には、吸着の際に真空を維持するための真空壁が形成され、前記ボンディングツールの半導体チップ接触面には、半導体チップからボンディングツールへの熱移動を制御するために接触面積を減らすための接触突起が形成され、前記接触突起は、レーザーによる昇温の際、半導体チップの中央部では熱伝逹面積が相対的に大きく外郭に行くほど熱伝逹面積が小さくなるように前記接触突起は隣接した接触突起から独立的に離隔して形成され、ボンディングツールの中央部に形成された接触突起の断面積は相対的に大きく、ボンディングツールの外郭に行くほど接触突起の断面積は段々小さくなるパターンに形成されることにより、半導体チップの中央部から外郭まで均一な温度分布を成すようにしたことを特徴とする、フリップチップレーザーボンディング装置のボンディングツール。
【請求項2】
半導体チップを真空で吸着して固定した後、基板上に置いて押圧するボンディングツールと、前記ボンディングツールの上部に設けられ、半導体チップと基板との間のボンディングのためのレーザービームを照射するレーザー発生器と、前記半導体チップの表面温度を監視するための非接触温度測定器とを含むフリップチップレーザーボンディング装置であって、
前記ボンディングツールはレーザー発生器から照射されるレーザー波長帯が透過することができる単結晶素材の光学ウィンドウからなり、前記ボンディングツールは、真空提供手段から供給される真空が作用するように、半導体チップ吸着用真空ホールが上下に貫設され、前記ボンディングツールの半導体チップ接触面の外郭には、吸着の際に真空を維持するための真空壁が形成され、前記ボンディングツールの半導体チップ接触面には、半導体チップからボンディングツールへの熱移動を制御するために接触面積を減らすための接触突起が形成され、前記接触突起は、レーザーによる昇温の際、半導体チップの中央部では熱伝逹面積が相対的に大きく外郭に行くほど熱伝逹面積が小さくなるように前記接触突起は隣接した接触突起から独立的に離隔して形成され、互いに同じ断面積を有するように形成され、前記ボンディングツールの中央部から外郭に行くほど隣接した接触突起の間の離隔距離が大きくなるパターンに形成されたことを特徴とするフリップチップレーザーボンディング装置のボンディングツール。
【請求項3】
半導体チップを真空で吸着して固定した後、基板上に置いて押圧するボンディングツールと、前記ボンディングツールの上部に設けられ、半導体チップと基板との間のボンディングのためのレーザービームを照射するレーザー発生器と、前記半導体チップの表面温度を監視するための非接触温度測定器とを含むフリップチップレーザーボンディング装置であって、
前記ボンディングツールはレーザー発生器から照射されるレーザー波長帯が透過することができる単結晶素材の光学ウィンドウからなり、前記ボンディングツールは、真空提供手段から供給される真空が作用するように、半導体チップ吸着用真空ホールが上下に貫設され、前記ボンディングツールの半導体チップ接触面の外郭には、吸着の際に真空を維持するための真空壁が形成され、前記ボンディングツールの半導体チップ接触面には、半導体チップからボンディングツールへの熱移動を制御するために接触面積を減らすための接触突起が形成され、前記接触突起は、レーザーによる昇温の際、半導体チップの中央部では熱伝逹面積が相対的に大きく外郭に行くほど熱伝逹面積が小さくなるように前記接触突起は隣接した接触突起から独立的に離隔して形成され、前記ボンディングツールの中央部から外郭に行くほど隣接した接触突起の間の離隔距離が大きくなるように形成されるとともに中央部から外郭に行くほど接触突起の断面積が段々小さくなるパターンに形成されたことを特徴とするフリップチップレイヤードボンディング装置のボンディングツール。
【請求項4】
前記接触突起は、円形または多角形の断面形態を有することを特徴とする、請求項
1~3のいずれか一項に記載のフリップチップレイヤードボンディング装置のボンディングツール。
【請求項5】
前記ボンディングツールの中央部から外郭に行くほど接触突起の断面積が減少する比は、レーザーの照射によって加熱された半導体チップの中心部から外郭に行くほど変化する温度差に比例することを特徴とする、請求項
1~3のいずれか一項に記載のフリップチップレイヤードボンディング装置のボンディングツール。
【請求項6】
前記接触突起は四角形断面を有し、横方向には縦幅は同一であるが横幅が段々減少し、縦方向には横幅は同一であるが縦幅が段々減少するパターンを成すことを特徴とする、請求項
4に記載のフリップチップレイヤードボンディング装置のボンディングツール。
【請求項7】
前記接触突起の断面積は横方向及び縦方向に段々減少するとともに対角線方向にも段々減少するように形成され、対角線方向に配置された接触突起の断面は横幅及び縦幅が同時に減少し、横方向及び縦方向に配置された接触突起よりも小さくなる比で形成されることを特徴とする、請求項
6に記載のフリップチップレイヤードボンディング装置のボンディングツール。
【請求項8】
前記接触突起と半導体チップとの間の接触率は70%~1%であることを特徴とする、請求項1に記載のフリップチップレーザーボンディング装備のボンディングツール。
【請求項9】
請求項
1~3のいずれか一項に記載のボンディングツールを備えたことを特徴とする、フリップチップレーザーボンディング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフリップチップレーザーボンディング工程で半導体チップを押圧した状態でレーザーを照射して基板にボンディングするためのボンディングツールに関するものであり、詳しくは、半導体チップを押した状態でレーザーを透過させるボンディング過程で発生する熱が半導体チップの全面に対して均一に分布するようにすることで、ボンディング品質を向上させるようにしたボンディングツールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、フリップチップボンディング工程は、無鉛半田またはCuピラー(pillar)というバンプ構造を対流リフローに通過させることでなされるが、リフロー方式の構造上、基板及び半導体チップが同時に熱を受けることによって望まない問題が発生することになる。よって、基板が熱を受ければ膨張し、半導体チップと基板との熱膨張係数の差によってバンプまたは半導体チップの微細回路層が破損される現象が発生する。一番深刻な問題は半導体チップの反り(Warpage)によって正常にボンディングされなくて不良を発生させる。
【0003】
数千個~数万個を超えるバンプのうちの一つでも正常にソルダリングされなければ、パッケージ機能に問題が発生することがあるので、リフローを通過しているうちにバンプが損傷されないように多くの努力を傾けて来た。
【0004】
このような問題を解決するために、レーザーアシストボンディング(laser assisted bonding)技術が研究されて来た。一般的に、リフローを通過する時間が5~7分程度であるに対して、レーザー技術を活用したレーザーアシストボンディングは一領域当たり1~5秒のとても短い時間にチップ部分にのみ熱を加えてボンディングする。したがって、半導体チップ及びその周辺のみ高温が維持され、その外の領域は相対的に温度が低い。熱に露出される時間が短く領域も局部的なので、半導体チップ及びバンプで発生する熱衝撃(thermal stress)も相対的に低い。さらに、レーザーアシストボンディングは、既存の対流リフロー設備に比べて1/7位の小さなサイズを有し、N2ガスが不要であるので、空間活用の側面でも非常に優れる。
【0005】
また、最近の半導体IC集積化及び機能の多様化のために、単一の半導体チップ内にできるだけ多くの端子(bump pad)を形成しなければならないので、端子間の間隔(pitch)が狭くなり、軽量化及び多機能化の趨勢に応じるために、基板及び半導体チップもやはり変化している。フィルムタイプの基板が活用されており、高密度実装に適するようにチップの厚さは薄くなりながら接合面積は増えており、2.5D/3Dパッケージの適用の比が高くなっている。
【0006】
一方、半導体チップを押圧せずにレーザーのみを照射してボンディングすれば、短時間に熱を加えても小さな屈曲によっても不良を引き起こすことがある。短時間に局部的に熱を加えるといっても、何かが半導体チップを精密に押さなければ、サブストレート(基板)及びチップの屈曲による品質低下をもたらすことになる。
【0007】
このような理由で、レーザーを透過させながら半導体チップを押すことができるボンディングツールが必要である。レーザーから発振したエネルギーを半導体チップが吸収するとともに温度が急に上がり、ねじれ及び屈曲を抑えるために押すとともに真空吸着して半導体チップの屈曲を平坦にすることができなければならない。また、ボンディングツールはレーザー透過率が非常に良くなければならない。
【0008】
一方、ボンディングツールを透過したレーザーのエネルギーを吸収して1次加熱された半導体チップからの熱はまたボンディングツールに移動する。この際、半導体チップの形状または周辺の構造により、このような熱の移動に変化が発生する。ボンディング品質を高めるために一番好ましいことは、半導体チップの面積に対する温度分布を均一に維持することである。
【0009】
本発明に関連した従来技術として、本出願人は、特許文献1の「レーザーを用いた半導体ボンディング装置」を開発したことがあり、その他にも、特許文献2の「半導体チップ付着方法」では、ボンディングツール内の熱的ヒーティングソースを排除し、単にボンディングツールは半導体チップを基板に対して圧着する手段としてのみ使い、半導体チップの伝導性バンプを基板に融着させるヒーティングソースをボンディングツールの上部に配置されるレーザー照射手段(レーザー発生器)として採択した技術が提示されている。これに使われるボンディングツールは、レーザービーム及び非接触温度測定器の波長が通過することができるとともに物理的に半導体チップを押すことができる石英やサファイア単結晶を含む光学ウィンドウ素材から製造されなければならない。
【0010】
その他にも、レーザーを用いた半導体ボンディング装置に関連した従来技術として、特許文献3の「レーザー圧着方式のフリップチップボンディングのためのレーザーオプティック装置」、特許文献4の「フリップチップボンディング方法」などが開示されている。
【0011】
また、上述した光学ウィンドウを使えば、高熱及び圧力を受けるようになる。これは、耐久性が普遍的である光学ガラスに比べて悪くはないが、直接的に半導体チップの上面を3~500N(Newton)の力で押圧しなければならないので、非常に高い剛性を有しなければならなく、半導体チップを押圧するときに直接接触しなければならない。この際、光学ウィンドウの材料が有する熱伝導率によって、上面にボンディングツール接触面からレーザーを照射した直後、直接的に接触している光学ウィンドウの接触面に熱伝導がなされ、光学ウィンドウの形状によって、半導体チップから下側にはバンプを経てサブストレート側に熱が移動することになり、上側にはボンディングツールに急激に熱が伝逹される。したがって、一般的には、半導体チップの中央は温度が高い反面、外郭側は温度が相対的に低い。レーザーが半導体チップに照射されれば、レーザービームのエネルギーを吸収して昇温し、同時に半導体チップから光学ウィンドウ及びサブストレート(基板)に熱が移動する。熱の相当部分は光学ウィンドウと半導体チップとの接触面を介して移動(伝達)される。このような理由で、ボンディングツールへの熱移動によって半導体チップがめったに昇温しない欠点及び半導体チップの温度が均一にならない欠点がある。このような理由で、半導体チップを押圧するためにボンディングツールが直接半導体チップに全体的に接触すれば、ボンディングツールの熱伝導率や熱抵抗率によって多くの変数が発生する。熱伝導率はそれぞれの媒質が有している固有の値であり、熱抵抗率はボンディングツールの形状に関係がある。すなわち、熱力学第2法則に従って、熱は高温の所から低温の所に流れ、すべての物質は熱平衡状態を維持しようとする。
【0012】
一方、前記光学ウィンドウとして使われるサファイアの化学式はAl2O3であり、無色または白色の結晶であり、レーザー透過波長は0.17-5.5μmであり、融点は2040℃であり、硬度はKnoop Hardness 1900(Kg/mm2)であり、熱伝導率は323Kで27.21Wm-1K-1である。一方、石英は無色または白色の結晶であり、レーザー透過波長は0.4-3μmであり、融点は1710℃であり、硬度はKnoop Hardness 741(Kg/mm2)であり、熱伝導率は323Kで10.7Wm-1K-1であり、熱押圧ボンディングの際に適した耐久性及びレーザー透過性において優れた光学的特性を有している。半導体チップにボンディングツールが接触した状態でレーザービームを照射すれば、ビームのエネルギーを吸収して発生した半導体チップの熱の相当量が光学ウィンドウ側に移動することになる。
【0013】
本出願人はこのような点に着眼して特許文献5の「フリップチップレーザーボンディング装備のボンディングツール」を提示したことがある。これは、ボンディングツールの下面、すなわち、半導体チップと接触する面の形状、すなわち、接触面積を減らすことができる表面形状を形成することで、半導体チップからボンディングツールへの熱移動を妨げることにより、半導体チップのボンディングの際、昇温温度(250℃~400℃)を無理なく上げることができるようにした。
【0014】
一方、特許文献5では、接触面積を減らすために、半導体チップとの接触面に単純なグルーブを縦横に形成することで、レーザーによる昇温の際、半導体チップの熱のボンディングツールへの移動を最小化することができるようにしたが、ボンディングツールが半導体チップに接触した状態でボンディングツールを透過したレーザーの熱エネルギーを半導体チップが吸収すれば、中心部の温度は高く外郭に行くほど相対的に段々低くなるので、すべてのバンプが均一な温度に加熱及び溶融されなくてボンディング品質が一定にならない問題点を見つけた。
【0015】
すなわち、前記半導体チップの中心部は、外部に開放した外郭と違い、上部のボンディングツール及び下部の基板にのみ熱が伝達され、外気との接触がなくて熱が排出される所が相対的に少ないので、半導体チップの外郭との温度偏差が大きくなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】韓国登録特許第10-1785092号公報
【文献】韓国公開特許第10-2014-0094086号公報
【文献】韓国登録特許第10-1416820号公報
【文献】韓国登録特許第10-1143838号公報
【文献】韓国公開特許第10-2023-0009297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、レーザーを用いた半導体チップボンディングの際、半導体チップからボンディングツールに移動する熱を最小化するようにボンディングツールの半導体チップとの接触面積を減らすとともに半導体チップの熱的分布を中心部から外郭まで均一に維持することで、ボンディング品質を向上させることができる改善された構造のボンディングツールを提供することにある。
【0018】
また、本発明の他の目的は、上述したボンディングツールを備えたフリップチップレーザーボンディング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述した目的を達成するために、本発明は、半導体チップを真空で吸着して固定した後、基板上に置いて押圧するボンディングツールと、前記ボンディングツールの上部に設けられ、半導体チップと基板との間のボンディングのためのレーザービームを照射するレーザー発生器と、前記半導体チップの表面温度を監視するための非接触温度測定器とを含むフリップチップレーザーボンディング装置であって、前記ボンディングツールはレーザー発生器から照射されるレーザー波長帯が透過することができる単結晶素材の光学ウィンドウからなり、前記ボンディングツールは、真空提供手段から供給される真空が作用するように、半導体チップ吸着用真空ホールが上下に貫設され、前記ボンディングツールの半導体チップ接触面の外郭には、吸着の際に真空を維持するための真空壁が形成され、前記ボンディングツールの半導体チップ接触面には、半導体チップからボンディングツールへの熱移動を制御するために接触面積を減らすための接触突起が形成され、前記接触突起は、レーザーによる昇温の際、半導体チップの中央部では熱伝逹面積が相対的に大きく外郭に行くほど熱伝逹面積が段々小さくなるパターンに形成されることにより、半導体チップの中央部から外郭まで均一な温度分布を成すようにしたフリップチップレーザーボンディング装置のボンディングツールを提供する。
【0020】
本発明の一実施例で、前記接触突起は隣接した接触突起から独立的に離隔して形成され、ボンディングツールの中央部に形成された接触突起の断面積は相対的に大きく、ボンディングツールの外郭に行くほど接触突起の断面積は段々小さくなるように形成されることができる。
【0021】
本発明の他の実施例で、前記接触突起は隣接した接触突起から独立的に離隔して形成され、互いに同じ断面積を有するように形成され、前記ボンディングツールの中央部から外郭に行くほど隣接した接触突起の間の離隔距離が大きくなるように形成されることができる。
【発明の効果】
【0022】
上述した本発明の実施例によれば、ボンディングツールの半導体チップ接触面への不必要な熱移動(熱伝逹または熱損失)を最小化するための接触突起が所定のパターンに形成されることで、高パワーのレーザー発振を行わなくてもボンディング可能温度に昇温させることができるので、エネルギー節減が可能であり、上述した接触突起によって、半導体チップの昇温の際に全体的に均一な温度分布を成すことができるので、ボンディング品質を向上させることができる有用な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明によるレーザーボンディング装置においてボンディングツール及びレーザー発生器の配置状態を示す正面図である。
【
図2】本発明において、レーザーボンディングの際、半導体チップと基板のボンディング状態及び非接触温度測定器による温度モニタリング状態を示す図である。
【
図3】本発明によるボンディングツールの底面斜視図である。
【
図4】本発明によるボンディングツールの底面図である。
【
図5】本発明によるボンディングツールの側断面図である。
【
図6】本発明の他の実施例によるボンディングツールの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を限定しない好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明によるレーザーボンディング装置のボンディングツール及びレーザー発生器の配置状態を示し、
図2は本発明において非接触式温度測定器による温度モニタリング状態を示す。
【0026】
図1及び
図2に示すように、本発明によるレーザーボンディング装置は、半導体チップCを真空で吸着して固定した後、基板P上に置いてから押圧するボンディングツール10と、前記ボンディングツール10の上部に設けられ、半導体チップCと基板Pとの間のボンディングのためのレーザービームBを照射するレーザー発生器20と、前記半導体チップCの表面温度を監視するための非接触温度測定器30とを含んでなる。
【0027】
図面で、参照符号Mはボンディングツール10を昇降させて半導体チップCを押圧するための昇降用回転サーボモーターまたはリニアアクチュエーターであり、参照符号Sは基板Pを固定するためのチャックであり、基板PをチャックSに固定する方式としては真空吸着方式を使うことで、基板とチャックの接触面との間に空間をなくすことにより、熱が自然にチャック側に移動することができるようにする。また、チャックは、基板にレーザーを照射する前、所定の温度に予熱することで、レーザー照射の後、半導体チップCが早く昇温することができるようにする。
【0028】
本発明で、前記非接触温度測定器30として赤外線熱画像カメラまたはパイロメーターを適用する場合、
図2のように、ボンディングの際に発振する所定の波長のレーザーと半導体チップCから放出される赤外線Iがボンディングツール10を同時に透過してカメラに到逹することにより、実時間で正確に半導体チップCの表面温度を測定することができるようになる。非接触温度測定器30はレーザー発生器20から照射されるレーザービームBの一つの位置または照射範囲と一致するかまたはこれより広い領域を測定することで、レーザー照射領域での温度分布及び温度変化を実時間で測定することにより、ボンディングの温度の分布を均一にするためのボンディングツール接触面積の比を決定することができるようにし、レーザー発振中に温度の変化を実時間で測定して半導体チップの熱的変化または屈曲による半導体チップの表面温度の変化によって正常にボンディングされたか否かを観察して分析することができるようにし、高品質のボンディング結果を出すことができるように最適化した接触比が適用されたボンディングツールを提供することができる。
【0029】
前記ボンディングツール10が半導体チップCに接触した状態でレーザー発振すれば、レーザービームの大部分はボンディングツール10を透過し、半導体チップCがレーザービームのエネルギーを吸収し、半導体チップの熱はボンディングツール10側に移動する。このように、半導体チップの屈曲を広げるための押圧式ボンディング装置においてボンディングツールとの接触による熱伝達の欠点は、半導体チップとの接触面積を位置別に異なるようにする方法で半導体チップとの接触面に独立的な接触突起Eを形成することで、位置によって接触面積を異にしながら接触率をできるだけ落とす。このようにすれば、半導体チップCから熱がボンディングツール10にそのまま伝達されず、部分的にのみ一部が伝達され、残りの熱は孤立されるので、レーザーを高出力で上昇させなくても短時間内にボンディングに必要な温度に半導体チップの温度を均一に上げて半導体チップCのボンディング品質を高めることができる。
【0030】
本発明で、前記光学ウィンドウを形成するボンディングツール10は、
図3~
図5に示す実施例から分かるように、既存のレーザーボンディング装置に使われるものと同様に、真空提供手段と連結されるマニホールドブロック12と、このマニホールドブロック12の底面に一体に形成され、半導体チップCを真空吸着して固定させるアタッチメント14とから構成される。前記マニホールドブロック12及びアタッチメント14は、レーザー発生器20から放出されるレーザービームを透過させるとともに非接触温度測定器30で熱を感知することができる素材からなり、前記マニホールドブロック12及びアタッチメント14には真空提供手段から供給される真空が作用するようにするチップ吸着用真空ホール16が貫設されている。
【0031】
本実施例で、前記アタッチメント14の底面には、
図4の底面図から分かるように、複数の接触突起E1~E6が縦横に形成されており、外郭には、半導体チップCの吸着の際に真空を維持するための真空壁Wが形成されている。
【0032】
本実施例で、前記接触突起Eと真空壁Wとは、
図5に示すように、同じ高さを有する。前記接触突起Eは、レーザーによる昇温の際、半導体チップCの中央部では熱伝逹面積が相対的に大きく、外郭に行くほど熱伝逹面積が小さくなるパターンに形成されているので、半導体チップCの中央部から外郭まで均一な温度分布を成すことができる。
【0033】
これを具体的に説明すると、前記ボンディングツール10のアタッチメント14の底面、すなわち、半導体チップとの接触面に形成される複数の接触突起E1、E2、E3、E4、E5、E6は隣接した接触突起から独立的に離隔して形成されており、ボンディングツール10の中央部に形成された接触突起E1の断面積は相対的に大きく、外郭に行くほど接触突起E2~E6の断面積は段々小さくなるように形成されている。
【0034】
本実施例では、前記複数の接触突起E1~E6が縦横方向に一定の間隔で離隔するように配置されている。これは、接触突起E1~E6のみを残し、ボンディングツール10の底面にグルーブGを所定の深さに陰刻で形成することによって形成することができる。このために、微小電気機械システム(MEMS)加工、レーザー加工または化学的エッチング加工法などを適用することができる。
【0035】
本実施例で、前記接触突起E1~E6は所定の高さの四角柱状に形成されており、末端部、すなわち、表面の接触面は半導体チップとの密着のために平面(flatまたはplain)を成している。
【0036】
本実施例で、添付図面では、前記接触突起E1~E6のそれぞれが長方形を成しているが、本発明はこれに限定されず、正方形に形成されることもできるというのは言うまでもなく、接触突起E1~E6の耐久性のために、各接触突起E1~E6の外郭をフィレット(fillet)または面取り(champer)処理することにより、半導体チップとの頻繁な接触にもかかわらず、角部分やエッジ部分が衝撃によって壊れるか亀裂が発生するなどの破損が発生することを防止することが好ましい。
【0037】
一方、上述した接触突起E1~E6の断面積の漸進的な縮小、すなわち、ボンディングツール10の中央部から外郭に行くほどに接触突起E1~E6の断面積が減少する比は、レーザーの照射によって加熱された半導体チップCの中心部から外郭に行くほど段々変化する温度の差を勘案して設計することで、半導体チップの温度を中央部から外郭まで均一に維持することができる。
【0038】
また、前記接触突起E1~E6の間の離隔した位置に形成されるグルーブGの幅及び深さによって半導体チップCからボンディングツール10への熱伝導率が変わるので、設計の際にこれを勘案する必要がある。基本的には、前記グルーブGを除いた接触突起E1~E6の面積、すなわち、半導体チップCとの接触面積を70%~1%の範囲内で可能な限り小さく設計して熱の移動を最小化する必要がある。
【0039】
本実施例で、前記グルーブGは横方向及び縦方向に中央部から外郭まで同じ幅で形成されており、横方向に接触突起E1~E6の縦幅は同一であるが、横幅が段々減少し、縦方向に接触突起E1~E6の横幅は同一であるが、縦幅が段々減少するパターンを成している。
【0040】
また、このような接触突起E1~E6の断面積は横方向及び縦方向に段々減少することはもちろんのこと、対角線方向にも段々減少する。対角線方向には横方向及び縦方向より中心部からの距離が大きくなるので、大きくなる距離の分だけ、対角線方向に配置された接触突起の断面積は横幅及び縦幅が同時に減少し、横方向及び縦方向に配置された接触突起より小さくなる比で形成されているので、対角線方向の最外側の接触突起が最小断面積を有するようになる。
【0041】
本実施例では、接触突起E1~E6が四角柱状になっており、縦横に並んで列を成すように配置されているが、本発明はこれに限定されず、接触突起が菱柱形、ダイヤモンド柱形または円柱形を成し、対角線方向にまたは放射状に一定の間隔で離隔して配置されることもできるというのは言うまでもない。
【0042】
実際に、本発明者らは、接触突起なしに平坦な接触面を有する公知のボンディングツールと特許文献5のボンディングツール及び本実施例によるボンディングツールを適用し、実際に半導体チップをレーザーの出力及び照射時間を同一条件にしてボンディングしながら実験した結果、半導体チップのボンディング温度は半導体チップの種類によって異なることができるが、普通はソルダーが溶融する温度が220℃~400℃であると見なしたとき、中央部の温度を350℃程度に昇温させることができるようにレーザー発振のパワー及び時間の条件を合わせれば、接触突起がない公知の偏平なボンディングツールでは、昇温の際に相対的に高いレーザー出力が必要であることはもちろんのこと、半導体チップの中央部と対角線方向の最外郭との間には最大150の温度偏差があり、特許文献5は、公知の偏平なボンディングツールに比べて、レーザー出力を低くして照射しても350℃に昇温することはできたが、中央部と対角線方向の最外郭との間に最大100℃の温度偏差があり、本実施例では、350℃までの昇温にレーザー出力は特許文献5のボンディングツールと類似したが、中央部と対角線方向の最外郭との間に最大40℃の温度偏差のみが存在することが分かった。すなわち、ボンディングツールの中央部と外郭の接触突起の断面積を異にすること、すなわち、中央部から外郭に行くほど接触面積を段々減少させることによって、中央部と外郭との間の温度偏差を最小化することができることを確認することができた。
【0043】
また、
図6に示す本発明の他の実施例は、接触突起E1~E6の断面積を中央部から外郭に行くほど段々小さくなるように変化させる代わりに、接触突起E1~E6の間の離隔距離d1~d5を中央部から外郭に行くほど段々大きくなるように形成することで、半導体チップの熱的分布を均一に維持するようになっている。
【0044】
すなわち、本実施例では、接触突起E1~E6の断面積はすべて同一であり、その代わり中央部から外郭に行くほど隣接した接触突起E1~E6の間の離隔距離d1~d5を段々大きくなるように形成することで、レーザー照射によって加熱された半導体チップの中央部の高温の熱は接触突起E1~E6の密度が相対的に高い中央部ではボンディングツールに多く伝逹され、相対的に中央部より温度が低い外郭ではボンディングツールへの熱伝逹が最小化するようにすることで、半導体チップの熱的分布が中央部から外郭まで均一な状態を維持するようになっている。
【0045】
本実施例では、横方向及び縦方向の接触突起の間の離隔距離がいずれの方向にも段々大きくなるように形成されている。これにより、中心部では接触突起の密度が高く、外郭に行くほど接触突起の密度が低くなり、結果的に半導体チップとの接触面積に変化が発生することで、半導体チップの中心部の高熱は相対的に多く吸収し、外郭の熱は相対的に少なく吸収して、均一な熱的分布を成すようにすることにより、ボンディング品質の向上を図ることができる。
【0046】
本実施例でも、上述した第1実施例と同様に、中心部から横方向及び縦方向への接触突起の密度変化に比べて対角線方向への密度変化が相対的に大きくなることで、中心部からの距離が大きくなる対角線方向の外郭での熱移動がもっと少なくなる効果が発生する。
【0047】
図面上に示されていないが、本発明は、上述した両実施例を組み合わせることにより、すなわち、中央部の接触突起は大きくし、外郭に行くほど断面積を減らす方式とともに中央部の接触突起の間の離隔間隔は小さく外郭に行くほど隣接した接触突起の間の離隔間隔を大きく形成することにより、半導体チップの熱的分布をより均一にすることもできるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
B レーザービーム
C 半導体チップ
d1~d5 離隔距離
E、E1~E6 接触突起
M サーボモーター(またはリニアアクチュエーター)
G グルーブ
P 基板
S チャック
W 真空壁
10 ボンディングツール
12 マニホールドブロック
14 アタッチメント
16 真空ホール
20 レーザー発生器
30 非接触温度測定器