(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】自動車校正信号の自動読み書き方法及び自動車校正システム
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20241122BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B60L3/00 N
F02D45/00 376
(21)【出願番号】P 2023203441
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】202310755109.5
(32)【優先日】2023-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2023-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522308967
【氏名又は名称】シャンハイ トサン テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shanghai TOSUN Technology Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ チュ
(72)【発明者】
【氏名】シェ ユェイン
(72)【発明者】
【氏名】ムォ マン
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-096668(JP,A)
【文献】特許第7296025(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車校正信号の自動読み書き方法であって、
各校正信号が、車両に関する測定に基づいた量である観測量、車両の運転状態を設定するためのパラメータである校正変数、
及び、車両に関する測定に基づいた量のうち書き込み可能な量である書き込み可能観測量
のいずれであるかを定義する
校正信号データを記憶する校正データベースに基づいて、各校正信号に対応するマッピングシステム変数をそれぞれ校正モジュール内部に作成し、
マッピングシステム変数に初期値を割り当て、
前記校正信号が観測量を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールが前記校正信号の値を前記自動車ECUからリアルタイムに読み取って、対応するマッピングシステム変数として記憶し、
該マッピングシステム変数を読み取るとき、校正モジュール内部のマッピングシステム変数の最後の記憶値を読み出す、
ことを特徴とする自動車校正信号の自動読み書き方法。
【請求項2】
前記校正信号が校正変数を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、校正変数の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、
校正モジュールは非同期関数を呼び出し、校正変数の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、前記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了することを特徴とする請求項1に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法。
【請求項3】
前記校正信号が書き込み可能観測量を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、
校正モジュールは非同期関数を呼び出し、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、上記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了することを特徴とする請求項1に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法。
【請求項4】
校正モジュールが書き込みコマンド及び読み取りコマンドを実行することに同時に成功した後、前記マッピングシステム変数の最後の記憶値を、書き込み待ち目標値でリフレッシュすることを特徴とする請求項2又は3に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法。
【請求項5】
校正モジュールが起動されず校正信号が無効である場合、無効の校正信号が対応するマッピングシステム変数に書き込まれようとすると、前記校正モジュールがエラーを報告することを特徴とする請求項4に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法。
【請求項6】
前記マッピングシステム変数は式の構築に関与し、観測量信号式、又はテスト結果式を構築することを特徴とする請求項5に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法。
【請求項7】
自動車校正方法であって、
バスアダプタは、自動車ECUから校正信号を読み取り、
コンピュータ装置は、バスアダプタと通信接続し且つ請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法を実行し、また前記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行した後に生成された書き込み値を、バスアダプタを介して自動車ECUに送信することを特徴とする自動車校正方法。
【請求項8】
自動車校正信号の自動読み書き方法であって、
各校正信号が、車両に関する測定に基づいた量である観測量、車両の運転状態を設定するためのパラメータである校正変数、
及び、車両に関する測定に基づいた量のうち書き込み可能な量である書き込み可能観測量
のいずれであるかを定義する
校正信号データを記憶する校正データベースに基づいて、各校正信号に対応するマッピングシステム変数をそれぞれ校正モジュール内部に作成し、
マッピングシステム変数に初期値を割り当て、
前記校正信号が校正変数を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、校正変数の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、また校正モジュールは非同期関数を呼び出し、校正変数の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、前記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了し、及び/又は、
前記校正信号が書き込み可能観測量を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、また校正モジュールは非同期関数を呼び出し、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、前記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する、
ことを特徴とする自動車校正信号の自動読み書き方法。
【請求項9】
自動車校正システムであって、
コンピュータ装置を含み、前記コンピュータ装置は、
各校正信号が、車両に関する測定に基づいた量である観測量、車両の運転状態を設定するためのパラメータである校正変数、
及び、車両に関する測定に基づいた量のうち書き込み可能な量である書き込み可能観測量
のいずれであるかを定義する
校正信号データを記憶する校正データベースと、
校正データベースに基づいて、各校正信号に対応するマッピングシステム変数をそれぞれ校正モジュール内部に作成するマッピングシステム変数作成モジュールと、
マッピングシステム変数に初期値を割り当てる割当モジュールと、
各校正信号を
対応するマッピングシステム変数に書き込む、及び/又は
対応するマッピングシステム変数から読み取る実行モジュールとを含むように構成されている、
ことを特徴とする自動車校正システム。
【請求項10】
前記校正信号が観測量を表す信号であるときには、実行モジュールは校正信号の値をリアルタイムに読み取って、対応するマッピングシステム変数として記憶し、
該マッピングシステム変数を読み取るとき、マッピングシステム変数の最後の記憶値を読み出すことを特徴とする請求項9に記載の自動車校正システム。
【請求項11】
前記校正信号が校正変数を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、校正変数の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、
校正モジュールは非同期関数を呼び出し、校正変数の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、前記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で実行モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了することを特徴とする請求項9に記載の自動車校正システム。
【請求項12】
前記校正信号が書き込み可能観測量を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、
校正モジュールは非同期関数を呼び出し、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、前記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で実行モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了することを特徴とする請求項9に記載の自動車校正システム。
【請求項13】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
コンピュータ読み取り可能なコマンドが記憶され、少なくとも一つのプロセッサにより実行されると、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法を実行させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
電子機器であって、
プロセッサ、読み取り可能な記憶媒体、通信バス、及び通信インターフェースを含み、
前記プロセッサ、前記読み取り可能な記憶媒体及び前記通信インターフェースは、前記通信バスを介して相互間の通信を実現し、
前記読み取り可能な記憶媒体は、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法を実行するプログラムを記憶するように構成され、前記プロセッサは、前記自動車校正信号の自動読み書き方法のプログラムを実行するように構成されることを特徴とする電子機器。
【請求項15】
車両用開発デバッグシステムであって、
コンピュータ装置とバスアダプタを含み、
前記コンピュータ装置は、プロセッサ、読み取り可能な記憶媒体、通信バス及び通信インターフェースを含み、
前記読み取り可能な記憶媒体は、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法を実行するプログラムを記憶するように構成され、前記プロセッサは、前記自動車校正信号の自動読み書き方法のプログラムを実行するように構成され、
前記プロセッサ及び前記読み取り可能な記憶媒体は、前記通信インターフェース及び前記通信バスを介してバスアダプタとの間の通信を実現し、
前記バスアダプタは、自動車ECUから校正信号を読み取るように構成され、またプロセッサが前記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行した後に生成された書き込み値を、自動車ECUに送信するようにさらに構成されることを特徴とする車両用開発デバッグシステム。
【請求項16】
前記バスアダプタは、CANバスアダプタ、CANFDバスアダプタ、FastLINバスアダプタ、LINバスアダプタ、Ethernetバスアダプタ、又はFlexRayバスアダプタであり、
XCP又はCCPプロトコルによってECUと通信して書き込み値を出力し、
前記自動車ECUは、電動パワーステアリングシステム、アンチロック・ブレーキシステム、電子安定性制御システム、自動車エンジン管理システム、及びバッテリーマネジメントシステムを含むことを特徴とする請求項15に記載の車両用開発デバッグシステム。
【請求項17】
自動車校正システムであって、
コンピュータ装置を含み、前記コンピュータ装置は、
各校正信号が、車両に関する測定に基づいた量である観測量、車両の運転状態を設定するためのパラメータである校正変数、
及び、車両に関する測定に基づいた量のうち書き込み可能な量である書き込み可能観測量
のいずれであるかを定義する
校正信号データを記憶する校正データベースに基づいて、各校正信号に対応するマッピングシステム変数をそれぞれ校正モジュール内部に作成するマッピングシステム変数作成モジュールと、
マッピングシステム変数に初期値を割り当てる割当モジュールと、
前記校正信号が校正変数を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、校正変数の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、また校正モジュールは非同期関数を呼び出し、校正変数の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、前記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了し、及び/又は、前記校正信号が書き込み可能観測量を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、また校正モジュールは非同期関数を呼び出し、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、前記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する校正割当モジュールとを含むように構成されている、
ことを特徴とする自動車校正システム。
【請求項18】
車両用開発デバッグシステムであって、
コンピュータ装置とバスアダプタを含み、
前記コンピュータ装置は、プロセッサ、読み取り可能な記憶媒体、通信バス及び通信インターフェースを含み、
前記読み取り可能な記憶媒体は、校正信号の自動読み書き方法を実行するプログラムを記憶するように構成され、前記プロセッサは、前記校正信号の自動読み書き方法のプログラムを実行するように構成され、
前記プロセッサ及び前記読み取り可能な記憶媒体は、前記通信インターフェース及び前記通信バスを介してバスアダプタとの間の通信を実現し、
前記バスアダプタは、自動車ECUから校正信号を読み取るように構成され、またプロセッサが前記校正信号の自動読み書き方法を実行した後に生成された書き込み値を、自動車ECUに送信するようにさらに構成され、
前記校正信号の自動読み書き方法は、
各校正信号が、車両に関する測定に基づいた量である観測量、車両の運転状態を設定するためのパラメータである校正変数、
及び、車両に関する測定に基づいた量のうち書き込み可能な量である書き込み可能観測量
のいずれであるかを定義する
校正信号データを記憶する校正データベースに基づいて、各校正信号に対応するマッピングシステム変数をそれぞれ校正モジュール内部に作成し、
マッピングシステム変数に初期値を割り当て、
前記校正信号が校正変数を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、校正変数の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、また校正モジュールは非同期関数を呼び出し、校正変数の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、前記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了し、及び/又は、
前記校正信号が書き込み可能観測量を表す信号であるときには、自動車ECUに接続された校正モジュールは、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、また校正モジュールは非同期関数を呼び出し、書き込み可能観測量の書き込み待ち目標値を非同期関数に入力し、前記非同期関数によってマッピングシステム変数に対する書き込みコマンドと読み取りコマンドがこの順番で非同期方式で校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する、
ことを特徴とする車両用開発デバッグシステム。
【請求項19】
コンピュータプログラム製品であって、
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含み、それにコンピュータ読み取り可能なプログラムコードが記憶され、該コンピュータ読み取り可能なプログラムコードはコマンドを含み、これらのコマンドは少なくとも一つのプロセッサ又は少なくとも一つのコンピュータ装置に、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車校正信号の自動読み書き方法を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2023年6月25日に出願された中国特許出願第202310755109.5号、及び、2023年8月16日に出願された米国特許出願第18/234,423号に基づき優先権を主張しており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。本発明は車両用ソフトウェア開発技術分野に属し、具体的には自動車校正信号の自動読み書き方法及び自動車校正システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車における信号の校正過程において、モニター信号の読み取り方法は、以下を含む。校正データベースを開く。校正データベースからモニターする必要がある信号を選択する。この信号をモニターウィンドウ、例えばグラフィックウィンドウにドラッグし又は関連付ける。信号の変化を、モニターウィンドウから観察する。
【0003】
校正信号を書き込む方法は以下を含む。校正データベースを開く。校正データベースから書き込む必要がある信号を選択する。この信号をテキストウィンドウにドラッグ又は関連付ける。このウィンドウにおいて、修正が必要な値を入力し、エンターキーで修正を確認する。信号値の修正成功を確認する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、自動車校正信号の自動読み書き方法及び自動車校正システムに関する。該自動車校正信号の自動読み書き方法は、
校正モジュールにおける各校正信号に対して、それぞれ対応するマッピングシステム変数(mapping system variable)を作成すること、
マッピングシステム変数に初期値を割り当てること、
観測量として定義された校正信号に対し、校正モジュールが校正信号値をリアルタイムに読み取って、対応するマッピングシステム変数として記憶すること、
該マッピングシステム変数を読み取るとき、マッピングシステム変数の最後の記憶値を読み出すことを含む。
【0005】
また、本発明はさらに自動車校正方法を提供する。この方法は、
バスアダプタが、ECU(電子制御ユニット)から校正信号を読み取ること、
コンピュータ装置が、バスアダプタに通信接続され且つ上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行し、また上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行した後に生成した書き込み値をバスアダプタによってECUに送信することを含む。
【0006】
第三態様では、本発明はさらに自動車校正信号の自動読み書き方法を提供する。この方法は、
校正モジュールにおける各校正信号に対して、それぞれ対応するマッピングシステム変数を作成することと、
マッピングシステム変数に初期値を割り当てることと、
校正変数(calibration variable)として定義された校正信号に対し、書き込み待ち目標値(to-be-written target value)をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数(assignment function)を一つの非同期関数(asynchronous function)に関連付け、また校正変数が書き込まれると、上記非同期関数が書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了すること、又は、
書き込み可能観測量(writable observation variable)として定義された校正信号に対して、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である割当関数を一つの非同期関数に関連付け、また書き込み可能観測量が書き込まれると、上記非同期関数が書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了することとを含む。
【0007】
第四態様では、本発明はさらに自動車校正システムを提供する。このシステムは、コンピュータ装置を含む。上記コンピュータ装置は、
各校正信号に対してそれぞれ対応するマッピングシステム変数を作成するマッピングシステム変数作成モジュールと、
マッピングシステム変数に初期値を割り当てる割当モジュールと、
校正信号データを記憶し且つ校正信号を観測量又は校正変数又は書き込み可能観測量として定義する校正データベースと、
対応する校正信号を、マッピングシステム変数に書き込む、及び/又はマッピングシステム変数から読み取る実行モジュールとを含むように構成される。
【0008】
第五態様では、本発明はさらにコンピュータ読み取り可能な(可読)記憶媒体を提供する。この記憶媒体にはコンピュータ読み取り可能なコマンドが記憶され、少なくとも一つのプロセッサにより実行されると、上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行させる。
【0009】
第六態様では、本発明はさらに電子機器を提供する。この電子機器は、プロセッサ、読み取り可能な記憶媒体、通信バス、及び通信インターフェースを含む。ここで上記プロセッサ、上記読み取り可能な記憶媒体及び上記通信インターフェースは、上記通信バスを介して相互間の通信を実現する。
上記読み取り可能な記憶媒体は、上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行するプログラムを記憶するように構成され、上記プロセッサは、上記自動車校正信号の自動読み書き方法のプログラムを実行するように構成される。
【0010】
第七態様では、本発明はさらに車両用開発デバッグシステムを提供する。このシステムはコンピュータ装置とバスアダプタを含む。
上記コンピュータ装置は、プロセッサ、読み取り可能な記憶媒体、通信バス及び通信インターフェースを含む。
上記読み取り可能な記憶媒体は、上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行するプログラムを記憶するように構成され、上記プロセッサは、上記自動車校正信号の自動読み書き方法のプログラムを実行するように構成される。
上記プロセッサ、上記読み取り可能な記憶媒体及び上記通信インターフェースは、上記通信バスを介してバスアダプタとの間の通信を実現する。
上記バスアダプタは、ECUから校正信号を読み取るように構成され、また、プロセッサが上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行した後に生成された書き込み値を、ECUに送信するようにさらに構成される。
【0011】
第八態様では、本発明はさらにコンピュータプログラム製品を提供する。この製品はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含み、それにコンピュータ読み取り可能なプログラムコードが記憶され、該コンピュータ読み取り可能なプログラムコードはコマンドを含み、これらのコマンドは少なくとも一つのプロセッサ又は少なくとも一つのコンピュータ装置に、上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行させる。
【0012】
本発明は、本明細書に記載されている主題のいくつかの簡単な概要を提供することを意図している。したがって、上記の特徴は単なる例であり、本明細書に記載された主題の範囲又は本質を如何なる方法でも狭めるものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【0013】
本明細書に記載された主題の他の特徴、態様、及び利点は、以下の具体的な実施形態、添付の図面、及び特許請求の範囲によって明らかになる。
本発明の他の特徴及び利点は以下の明細書に記載され、且つ、一部は明細書から明らかになり、又は本発明を実施することによって理解される。本発明の目的及び他の利点は明細書及び図面に特に指摘された構造によって実現及び取得される。
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下は好適な実施例を挙げ、且つ添付図面と合わせ、詳細に説明する。
本発明の具体的な実施形態又は先行技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、具体的な実施形態又は先行技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明する。以下の説明に記載された図面は本発明の一部の実施形態であり、当業者にとって創造的な労力を払うことなく、これらの図面から他の図面を得ることができることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態に係る自動車校正信号の自動読み書き方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態に係る自動車校正信号の自動読み書き方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態に係る自動車校正システムの原理ブロック図である。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態に係る自動車校正システムの原理ブロック図である。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態に係る電子機器の原理ブロック図である。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態に係る車両用開発デバッグシステムの原理ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に添付図面と関連して本発明の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明された実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことは明らかである。発明の実施例に基づいて、当業者が創作的な労働を行わないことを前提として取得した他のすべての実施例は、本発明の保護の範囲に属する。
【0016】
自動車信号を校正する過程において、例えばグラフィックウィンドウによって信号モニター曲線を描き、テキストウィンドウによって信号値を修正するように、校正信号の読み取り及び書き込み制御はAPI関数又は特定のモニタープログラムを使用する必要がある。よって校正信号を一つの変数として使用することができず、これによって以下の問題が生じる。すなわちユーザーは、複数の校正信号が数学的演算を経た後の値の曲線を描き、又はカスタム変数の値を演算に組み込んで目標校正信号を修正したい場合、実現可能な方法がない。
【0017】
したがって、少なくとも一つの実施例は、自動車校正信号の自動読み書き方法を提供する。この方法は、以下のステップを含む。校正モジュールにおける各校正信号に対して、それぞれ対応するマッピングシステム変数を作成する。最後の記憶値マッピングシステム変数に初期値を与える。観測量として定義された校正信号に対し、校正モジュールが校正信号値をリアルタイムに読み取って、対応するマッピングシステム変数として記憶する。該マッピングシステム変数を読み取るとき、マッピングシステム変数の最後の記憶値を読み出す。
【0018】
いくつかの実施例の自動車校正信号の自動読み書き方法は、任意の校正信号を校正モジュール内部のマッピングシステム変数にマッピングすることができ、それによりマッピングシステム変数を使用するように校正信号の読み取りと書き込みを実現し、それにより校正信号の相互操作問題を解決する。
【0019】
本開示の実施例の様々な非限定的な実施形態が、添付の図面に関連して以下に詳細に説明される。
図1に示すように、いくつかの実施例は自動車校正信号の自動読み書き方法を提供する。この方法は以下を含む。
S101では、校正モジュールにおける各校正信号に対して、それぞれ対応するマッピングシステム変数を作成する。
S102では、マッピングシステム変数に初期値を与える。
S103では、観測量として定義された校正信号に対し、校正モジュールが校正信号値をリアルタイムに読み取って、対応するマッピングシステム変数として記憶する。
S104では、該マッピングシステム変数を読み取るとき、マッピングシステム変数の最後の記憶値を読み出す。
【0020】
図1のステップは自動車校正信号の自動読み書き方法だけを示すフローチャートであり、具体的なステップ順序を限定するものではない。
【0021】
いくつかの実施例において、自動的に作成されたマッピングシステム変数に対し、その命名規則は二種類があり、ソフトウェアシステムはオプションを提供してユーザーに選択させる。
(1)校正信号名を直接使用する。例えば校正信号名が“abc”であれば、マッピングシステム変数名も“abc”である。
(2)接頭辞としてECU名を用い、校正信号名とECU名との間は下線によって隔てられ、例えば校正信号名が“abc”であり、ECU名が“ABS”である場合、マッピングシステム変数名は“ABS_abc”と呼ばれる。
【0022】
各マッピングシステム変数の作成が完了した後、校正モジュールはまずECUに接続され、ECUから各校正信号の現在値(ECUの接続が成功した時の値)を読み取って、各現在値を対応するマッピングシステム変数に割り当て、それにより各マッピングシステム変数に対する初期値の割当を完了する。
【0023】
校正モジュールは校正信号値をリアルタイムに読み取って対応するマッピングシステム変数として記憶するため、これはマッピングシステム変数における値が常に最新値であることを確保する。ユーザーは校正信号の最新値を読み取るために、マッピングシステム変数の最新値を読み取るだけでよく、この最新値は最後に記憶された値である。最後に記憶された時間ノードは、校正モジュールが最後に校正信号値を読み取る時点のタイムスタンプである。
【0024】
いくつかの実施例の自動車校正信号の自動読み書き方法は、任意の校正信号を校正モジュール内部のマッピングシステム変数にマッピングすることにより、校正信号に対する読み書き操作を、ローカル変数に対する読み書き操作に変換させる。これによって、以下の効果が発生する。
(1)ソフトウェアシステムが変数を関連付けることができる全ての場合、マッピングシステム変数を関連付けることができる。
例えばパネルにおいて、ドラッグフレームを用いてマッピングシステム変数を関連付けた後、マウスドラッグによって校正信号の値を直接修正することができ、専用のプログラムを作成してドラッグフレームのイベント情報に応答する必要がない。
また、例えばグラフィックスプログラムにおいて、マッピングシステム変数に読み書きすれば、対応する校正信号への読み書きに変換することができ、校正モジュールのAPI関数を呼び出す必要がなく、プログラムの作成過程を簡潔で直感的にさせる。
【0025】
(2)マッピングシステム変数を式の構築に組み込むことができる。すなわち新たな観測量信号式を構築し、例えば新たな観測量信号cを構築することは、マッピングシステム変数aとCAN信号bとの和に等しく、c=a+bと書くことができる。すなわちグラフィックウィンドウによって観測量信号cを観察することができる。さらに新たな変数を構築することができる。すなわちテスト結果式を構築することであり、例えば総テスト結果y=x1&x2&x3であり、ここでx1、x2及びx3は三つのテスト基準であり、この三つの基準がいずれも成功する場合のみ、総テスト結果は成功である。従来の校正信号制御方法は該ニーズを満足できない。
【0026】
以下では例を挙げて観測量として定義された校正信号の読み取り方法を詳細に説明する。
自動車ECUの機能テストにおいて、グラフィックスプログラムを用いて給電電圧信号KL30が9Vより大きいか否かを判断する必要があると仮定する。
まず、校正モジュールは校正データベースをロードし、ロードされた給電電圧信号に対してマッピングシステム変数を自動的に作成する。その名は“KL30”である。
ユーザーは、給電電圧信号を判断するグラフィックスプログラムを作成する。該判断に対応する実行ユニットの式は“KL30>9”である。
続いて、ユーザーはテストを起動し、校正モジュールがまずECUに接続し、ECUからKL30信号の現在値を読み取って、値をマッピングシステム変数“KL30”に割り当てる。すなわちマッピングシステム変数“KL30”に初期値を割り当てる。
続いて、校正モジュールは問い合わせ又はDAQ方式により、KL30信号値を周期的に読み取って、マッピングシステム変数“KL30”として記憶する。
最後に、ユーザーのグラフィックスプログラムの実行ユニット“KL30>9”が実行されると、マッピングシステム変数“KL30”の値が直接読み込まれ、9と比較される。
【0027】
従来技術において校正変数の校正信号又は書き込み可能観測量の校正信号の書き換え操作は専用操作であり、それは校正モジュール内部の複雑な校正コマンドの出力、及び上位機と下位機双方の通信プロトコルのマッチングに関する。校正モジュールが提供する特定校正変数リストに、書き換え必要な数値を書き込む必要があり、書き換え効率が極めて低い。
【0028】
いくつかの実施例において、Cプログラム、グラフィックスプログラム、ユーザーカスタマイズパネル又は式(以下のケースはいずれもグラフィックスプログラムを例とする)等の様々な場合に、対応するマッピングシステム変数に値を割り当てるだけで、容易に校正変数の校正信号又は書き込み可能観測量の校正信号を修正することができ、校正変数の校正信号又は書き込み可能観測量の校正信号への書き換えを効果的に向上させる。
【0029】
具体的には、いくつかの実施例の自動車校正信号の自動読み書き方法はさらに以下を含む。
校正変数として定義された校正信号に対し、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。
校正変数が書き込まれると、上記非同期関数によって書き込みコマンドと読み取りコマンドが校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0030】
以下では例を挙げて校正変数として定義された校正信号の書き込み方法を詳細に説明する。
ここでは、自動車ECUの機能テストにおいて、グラフィックスプログラムによって校正信号EV_Currentに2.1の値を書き込むことによって、対応する電磁弁EVの電流を2.1アンペアに制御する必要があると仮定する。
まず、校正モジュールは校正データベースをロードし、且つロードされた電磁弁の電流信号に対してマッピングシステム変数を自動的に作成する。その名は“EV_Current”である。
ユーザーは、校正信号EV_Currentに書き込む値が2.1であるグラフィックスプログラムを作成する。該書き込み動作に対応する実行ユニットの式は“EV_Current=2.1”である。
続いて、ユーザーはテストを起動する。校正モジュールはまずECUに接続し、マッピングシステム変数“EV_Current”の割当関数を一つの非同期関数“set_sys_var_async”に関連付ける。該非同期関数の機能は、校正モジュールのAPI関数を呼び出し、電磁弁電流信号に対する書き込み及び読み取り操作を実行することである。
【0031】
ユーザーのグラフィックスプログラムの実行ユニット“EV_Current=2.1”が実行されると、校正モジュールはこの非同期関数“set_sys_var_async”を呼び出し、2.1の目標値をパラメータとして入力する。該非同期関数において、非同期の方式により、校正モジュールに以下のリクエストを順番に発信する。
(1)校正信号“EV_Current”を書き込むリクエストであって、携帯パラメータが書き込み値2.1であるとリクエストする。
(2)校正信号“EV_Current”を読み取るリクエストである。
実行ユニットはリクエストを開始した後、リクエスト結果を待つ必要がなく、直ちに非同期関数“set_sys_var_async”から戻ることができる。校正モジュールはバックグラウンドで順に校正信号“EV_Current”を書き込み、且つ校正信号“EV_Current”を読み取る。
【0032】
具体的には、いくつかの実施例の自動車校正信号の自動読み書き方法はさらに以下を含む。
書き込み可能観測量として定義された校正信号に対し、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。ここで、割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。
書き込み可能観測量が書き込まれると、上記非同期関数によって書き込みコマンドと読み取りコマンドが校正モジュールに出力された後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0033】
以下では例を挙げて、書き込み可能観測量として定義された校正信号の書き込み方法を詳細に説明する。
ここでは、自動車ECUの機能テストにおいて、グラフィックスプログラムによって校正信号EV_MAX_Currentに1.0の値を書き込むことによって、対応する電磁弁EVの最大サンプリング電流を、1.0アンペアに設定する必要があると仮定する。
まず、校正モジュールは校正データベースをロードし、且つロードされた電磁弁の最大サンプリング電流信号に対してマッピングシステム変数を自動的に作成する。その名は“EV_MAX_Current”である。
ユーザーは、電磁弁に書き込む最大サンプリング電流信号の値が1.0であるグラフィックスプログラムを作成する。該動作に対応する実行ユニットの式は“EV_MAX_Current=1.0”である。
続いて、ユーザーはテストを起動する。校正モジュールはまずECUに接続し、EV_MAX_Current信号の現在値がECUから読み出され、マッピングシステム変数“EV_MAX_Current”に割当される。
続いて校正モジュールは問い合わせ又はDAQ方式により、周期的にEV_MAX_Current信号値を読み取って、マッピングシステム変数“EV_MAX_Current”に(として)記憶する。
【0034】
テスト中に、ECUによって検出された電磁弁EVの最大サンプリング電流が、3.0アンペアであると仮定すると、マッピングシステム変数“EV_MAX_Current”の値は、3.0に書き換えられる。
校正モジュールは同時にマッピングシステム変数“EV_MAX_Current”の割当関数を一つの非同期関数“set_sys_var_async”に関連付ける。該非同期関数の機能は、校正モジュールのAPI関数を呼び出し、電磁弁EVの最大サンプリング電流信号に対する書き込み及び読み取り操作を実行することである。
【0035】
ユーザーのグラフィックスプログラムの実行ユニット“EV_MAX_Current=1.0”が実行されると、校正モジュールはこの非同期関数“set_sys_var_async”を呼び出し、1.0の目標値をパラメータとして入力する。該非同期関数において、非同期の方式により、校正モジュールに以下のリクエストを順番に発信する。
(1)校正信号“EV_MAX_Current”を書き込むリクエストであって、携帯パラメータが書き込み値1.0であるとリクエストする。
(2)校正信号“EV_MAX_Current”を読み取るリクエストである。
実行ユニットはリクエストを開始した後、リクエスト結果を待つ必要がなく、直ちに非同期関数“set_sys_var_async”から戻ることができる。校正モジュールはバックグラウンドで順に校正信号“EV_MAX_Current”を書き込み、校正信号“EV_MAX_Current”を読み取る。
【0036】
その後のテスト中、ECU内部信号EV_MAX_Currentの値は1.0にリセットされ、ECUによってEV弁の最大電流がこの値を超えることをモニターするとき、校正信号EV_MAX_Current及びマッピングシステム変数“EV_MAX_Current”の値は書き換えられる。
【0037】
なお、校正信号EV_MAX_Currentとは、ECU内部でサンプリングして計算した電磁弁EVの最大サンプリング電流値である。例えば、“EV_MAX_Current”の初期値が1.0であり、現在のサンプリング電流が0.5アンペアのままであれば、“EV_MAX_Current”の値は、1.0のままであり、現在のサンプリング電流が1.0アンペアより大きくなると、例えば、取得された現在の電流値が1.2になると、直ちに、“EV_MAX_Current”の値は、1.2となる。このとき現在の電流が、0.2アンペアに低下しても、履歴サンプリング電流の最大値を表す“EV_MAX_Current”は、1.2に維持され、低下に追随しない。そのためこの校正信号は双方向読み書きの信号になり、ECUはサンプリングによって得られた実電流値に基づいてそれを上昇させることができ、ユーザーは使用側でこの校正信号を相対的に低い値にリセットすることもできる。この利点は以下のとおりであり、ユーザーは異なる時間帯にこの校正信号の最大値を読み取ることができ、この校正信号が開始すると、3.0まで上昇した後、リセット措置がないため、後続のこの校正信号に対する観測は不感帯領域に入り、3.0までしか読み取らないという問題に遭遇しない。したがって、このケースでは、ECU内部信号EV_MAX_Currentの値は1.0にリセットされ、校正信号EV_MAX_Current及びマッピングシステム変数“EV_MAX_Current”の値は、ECUによってEV弁の最大電流がこの値を超えることをモニターするとき、書き換えられる。
【0038】
いくつかの実施例において、校正モジュールが書き込みコマンド及び読み取りコマンドを実行することに同時に成功した後、上記マッピングシステム変数の最後の記憶値を、書き込み待ち目標値でリフレッシュする。
【0039】
いくつかの実施例において、前記校正信号が観測量を表す信号であるときの校正信号は、純粋に観察のための校正信号を指す。例えばエンジン回転数、車速等の観測量を表す信号であり、これらの信号はいずれも物理世界関連情報の測定に基づいて決定され、客観的事実を反映し、修正する必要がない。
【0040】
いくつかの実施例において、校正信号が校正変数を表す信号であるときの校正信号は、設定するためのパラメータを指す。例えばPIDアルゴリズムのP、I及びDパラメータといった校正変数を表す信号であり、変更後にアルゴリズムの運転状態を決定する。
【0041】
いくつかの実施例において、校正信号が書き込み可能観測量を表す信号であるときの校正信号は、観測に使用されてもよく、観測値に介入されてもよい信号である。例えば、電磁弁の電流最大値のような信号は、観測が進むにつれて最大値まで連続的に増大する。例えば、現時点から2時間以内の最大値を観測したい場合には、その観測値をリセットし、2時間以内にそれを読み取る必要がある。
【0042】
いくつかの実施例において、校正モジュールが起動されず校正信号が無効である場合、無効の校正信号に対応するマッピングシステム変数にさらに書き込まれようとすると、校正モジュールはエラーを報告する。
【0043】
以下では例を挙げて校正モジュールが起動されないときに、校正信号を書き込む状況を詳しく説明する。
ここでは、自動車ECUの機能テストにおいて、グラフィックスプログラムによって校正信号EV_Currentに2.1の値を書き込むことによって、対応する電磁弁EVの電流を、2.1アンペアに制御する必要があると仮定する。
まず、校正モジュールは校正データベースをロードし、且つロードされた電磁弁の電流信号に対してマッピングシステム変数を自動的に作成する。その名は“EV_Current”である。
ユーザーは、校正信号EV_Currentに書き込む値が2.1であるグラフィックスプログラムを作成する。該書き込み動作に対応する実行ユニットの式は“EV_Current=2.1”である。
続いて、ユーザーはテストを起動する。校正モジュールはまずECUに接続するが、接続が失敗すると、校正モジュールはマッピングシステム変数“EV_Current”を無効にマークする。
ユーザーのグラフィックスプログラムの実行ユニット“EV_Current=2.1”を実行するとき、校正モジュールは該マッピングシステム変数のフラグが無効であると検出し、割当操作の実行を放棄し、校正モジュールのメッセージに、エラー通知メッセージである「無効マッピングシステム変数。EV_Current」をプリントする。
【0044】
図2に示すように、いくつかの実施例はさらに自動車校正信号の自動読み書き方法を提供する。この方法は以下を含む。
S101’では、校正モジュールにおける各校正信号に対して、それぞれ対応するマッピングシステム変数を作成する。
S102’では、マッピングシステム変数に初期値を割り当てる。
S103’では、校正変数として定義された校正信号に対し、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。また校正変数が書き込まれると、上記非同期関数が書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。及び/又は、
書き込み可能観測量として定義された校正信号に対して、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。また書き込み可能観測量が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0045】
図2のステップは、自動車校正信号の自動読み書き方法だけを示すフローチャートであり、具体的なステップ順序を限定するものではない。
具体的には、校正変数として定義された校正信号の読み書き方法について、上記校正変数として定義された校正信号の読み書き方法の具体的な説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
具体的には、書き込み可能観測量として定義された校正信号の読み書き方法について、上記書き込み可能観測量として定義された校正信号の読み書き方法の具体的な説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0046】
いくつかの実施例はさらに自動車校正方法を提供し、ECUから校正信号を読み取ること、上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行すること、及び上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行した後に生成された書き込み値を、ECUに送信することを含む。具体的にはバスアダプタを介してECUから校正信号を読み取ること、コンピュータ装置を介してバスアダプタと通信接続し且つ上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行すること、及び上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行した後に生成された書き込み値を、バスアダプタを介してECUに送信することを含む。
自動車校正信号の自動読み書き方法は、具体的には上記二種類の校正信号の読み書き方法の具体的な説明を参照して実現でき、ここでは説明を省略する。
【0047】
図3に示すように、いくつかの実施例はさらに自動車校正システムを提供する。このシステムはコンピュータ装置を含む。上記コンピュータ装置は以下を含むように構成される。
1つは、マッピングシステム変数作成モジュールであって、各校正信号に対してそれぞれ対応するマッピングシステム変数を作成する。
もう1つは、割当モジュールであって、マッピングシステム変数に初期値を割り当てる。
さらにもう1つは、校正データベースであって、校正信号データを記憶し且つ校正信号を観測量又は校正変数又は書き込み可能観測量として定義する。
さらにもう1つは、実行モジュールであって、対応する校正信号を、マッピングシステム変数に書き込む、及び/又はマッピングシステム変数から読み取るように構成する。
【0048】
図4に示すように、いくつかの実施例はさらに自動車校正システムを提供する。このシステムはコンピュータ装置を含む。上記コンピュータ装置は以下を含むように構成される。
1つはマッピングシステム変数作成モジュールであって、各校正信号に対してそれぞれ対応するマッピングシステム変数を作成する。
もう1つは割当モジュールであって、マッピングシステム変数に初期値を割り当てる。
さらにもう1つは、割当モジュールであって、校正変数として定義された校正信号に対し、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。また校正変数が書き込まれると、上記非同期関数が書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。及び/又は、書き込み可能観測量として定義された校正信号に対して、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。また書き込み可能観測量が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0049】
いくつかの実施例において、マッピングシステム変数作成モジュール、割当モジュール、校正データベース及び実行モジュールが実行する機能は、コンピュータ装置において実現され、プロセッサモジュールによって実現されてもよい。
【0050】
説明すべきものとして、校正信号のタイプはECUによって決定される。ECU内部には観測のための観測量の校正信号と書き込み可能な標準量の校正信号、書き込み可能観測量の校正信号がある。これらの校正信号は、ECUプログラムが書き込まれる前に、A2Lと呼ばれるデータベースファイルに自動的に生成され、ソフトウェアシステムはこのA2Lデータベースファイルをロードすると、ECU内にどのタイプの校正信号があるかを知ることができる。
【0051】
一つの応用実施形態において、観測量として定義された校正信号に対し、実行モジュールは校正信号値をリアルタイムに読み取って、対応するマッピングシステム変数として記憶する。
該マッピングシステム変数を読み取るとき、マッピングシステム変数の最後の記憶値を読み出す。
【0052】
具体的には、観測量として定義された校正信号の読み取り方法について、上記観測量として定義された校正信号の読み取り方法の具体的な説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0053】
他の応用実施形態において、校正変数として定義された校正信号に対し、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。
校正変数が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを実行モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0054】
具体的には、校正変数として定義された校正信号の読み書き方法について、上記校正変数として定義された校正信号の読み書き方法の具体的な説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0055】
第三の応用実施形態において、書き込み可能観測量として定義された校正信号に対して、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。
書き込み可能観測量が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを実行モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0056】
具体的には、書き込み可能観測量として定義された校正信号の読み書き方法について、上記書き込み可能観測量として定義された校正信号の読み書き方法の具体的な説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0057】
以下は、ハードウェア処理の角度からいくつかの実施例における電子機器を説明するが、電子機器の具体的な実現を限定するものではない。
【0058】
図5に示すとおり、電子機器は、プロセッサ、可読記憶媒体、通信バス、及び通信インターフェースを含む。ここで上記プロセッサ、上記可読記憶媒体及び上記通信インターフェースは、上記通信バスを介して相互間の通信を実現する。上記可読記憶媒体は、上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行するプログラムを記憶するように構成され、上記プロセッサは、上記自動車校正信号の自動読み書き方法のプログラムを実行するように構成される。
【0059】
他の実施例において、コンピュータ装置、工業用コンピュータも電子機器の一種とすることができる。
図5に示す構成は、電子機器を限定するものではなく、図示よりも少ない構成要素又はより多い構成要素を含むことができ、いくつかの構成要素を組み合わせることができ、又は異なる構成要素を配置したものであってもよい。
【0060】
いくつかの実施例において、通信インターフェースは、RS232、RS485、USBポート、及びTYPEポートなど、外部バスアダプタに接続可能な通信インターフェースであってもよい。有線又は無線ネットワークインターフェースも含まれてもよく、ネットワークインターフェースは、任意選択的に、該コンピュータ装置と他の電子機器との間の通信接続を確立するために典型的に使用される有線及び/又は無線インターフェース(例えば、WI-FIインターフェース、Bluetooth(登録商標)インターフェースなど)を含んでもよい。
【0061】
可読記憶媒体又はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は少なくとも一種のメモリを含む。メモリは、フラッシュメモリ、ハードディスク、マルチメディアカード、カード型メモリ(例えば、SD又はDXメモリなど)、磁気メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどを含む。いくつかの実施例において、それは、コンピュータ装置のハードディスクなどのコンピュータ装置の内部記憶ユニットであってもよい。メモリは、他の実施例では、コンピュータ装置の外部記憶装置、例えば、コンピュータ装置に装備されたプラグインハードディスク、スマートメディア(登録商標)カード(Smart Media Card,SMC)、セキュアデジタルカード(Secure Digital,SD)、フラッシュカード(Flash Card)などであってもよい。さらに、メモリは、コンピュータ装置の内部記憶ユニット及び外部記憶デバイスの両方を含んでもよい。メモリは、コンピュータ装置にインストールされたアプリケーションソフトやコンピュータプログラムのコード等の各種データを格納する他、出力されたデータや出力されるべきデータを一時的に格納するために使用される。
【0062】
いくつかの実施例において、プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムコードを実行し、又はデータを処理し、例えばコンピュータプログラムを実行するための中央処理装置(Central Processing Unit,CPU)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は他のデータ処理チップであってもよい。
【0063】
いくつかの実施例において、通信バスは、外部コンポーネント相互接続標準 (Peripheral Component Interconnect,略称PCI)バス又は拡張業界標準構造(Enhanced Industry Standard Architecture,略称EISA)バスなどであり得る入出力バスであってもよい。このバスは、アドレスバス、データバス、コントロールバスなどに分けることができる。
【0064】
任意選択的に、コンピュータ装置は、ユーザーインターフェースをさらに備えてもよい。 ユーザーインターフェースは、ディスプレイ(Display)、キーボード(Keyboard)などの入力ユニットを含むことができ、任意選択的に、ユーザーインターフェースは、標準的な有線インターフェース、無線インターフェースを含むこともできる。任意選択的に、いくつかの実施例において、ディスプレイは、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ、タッチ式液晶ディスプレイ及びOLED(Organic Light-Emitting Diode,有機発光ダイオード)タッチ器等であってもよい。この場合、ディスプレイは、コンピュータ装置内で処理された情報を表示するため、及び視覚化されたユーザーインターフェースを表示するため、ディスプレイスクリーン又はディスプレイユニットとも呼ばれる。
【0065】
上記プロセッサは上記プログラムを実行する時に、上記
図1に示した自動車校正信号の自動読み書き方法の実施例におけるステップを実現し、例えば
図1に示すステップS101からS104までである。或いは、プロセッサはコンピュータプログラムを実行する時に、上記各装置の実施例における各モジュール又はユニットの機能を実現する。
【0066】
いくつかの実施例において、プロセッサは具体的に以下のステップを実現するために用いる。
校正モジュールにおける各校正信号に対して、それぞれ対応するマッピングシステム変数を作成する。
マッピングシステム変数に初期値を割り当てる。
観測量として定義された校正信号に対し、校正モジュールが校正信号値をリアルタイムに読み取って、対応するマッピングシステム変数として記憶する。
該マッピングシステム変数を読み取るとき、マッピングシステム変数の最後の記憶値を読み出す。
【0067】
選択的に、可能な実施形態として、プロセッサはさらに以下のステップを実現するために用いることができる。
校正変数として定義された校正信号に対し、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。
校正変数が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0068】
選択的に、可能な実施形態として、プロセッサはさらに以下のステップを実現するために用いることができる。
書き込み可能観測量として定義された校正信号に対して、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。
書き込み可能観測量が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0069】
選択的に、可能な実施形態として、プロセッサはさらに以下のステップを実現するために用いることができる。
校正モジュールが書き込みコマンド及び読み取りコマンドを実行することに同時に成功した後、上記マッピングシステム変数の最後の記憶値を、書き込み待ち目標値でリフレッシュする。
【0070】
選択的に、可能な実施形態として、プロセッサはさらに以下のステップを実現するために用いることができる。
校正モジュールが起動されず校正信号が無効である場合、無効の校正信号が対応するマッピングシステム変数に書き込まれようとすると、上記校正モジュールはエラーを報告する。
【0071】
いくつかの実施例はさらにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には自動車校正信号の自動読み書き方法のプログラムが記憶され、該プログラムがプロセッサに実行されるとき、自動車校正信号の自動読み書き方法の具体的なステップを実現することができるが、自動車校正信号の自動読み書き方法の具体的な説明を参照することとし、ここで説明を省略する。
【0072】
図6に示すように、いくつかの実施例はさらに車両用開発デバッグシステムを提供する。このシステムは、コンピュータ装置とバスアダプタを含む。上記コンピュータ装置は、プロセッサ、可読記憶媒体、通信バス及び通信インターフェースを含む。上記可読記憶媒体は、上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行するプログラムを記憶するように構成され、上記プロセッサは、上記自動車校正信号の自動読み書き方法のプログラムを実行するように構成される。上記プロセッサ、上記可読記憶媒体及び上記通信インターフェースは、上記通信バスを介してバスアダプタとの間の通信を実現する。上記バスアダプタは、ECUから校正信号を読み取るように構成され、またプロセッサが上記自動車校正信号の自動読み書き方法を実行した後に生成された書き込み値を、ECUに送信するようにさらに構成される。
【0073】
いくつかの実施例において、自動車校正信号の自動読み書き方法は、以下を含む。校正モジュールにおける各校正信号に対して、それぞれ対応するマッピングシステム変数を作成する。マッピングシステム変数に初期値を割り当てる。観測量として定義された校正信号に対し、校正モジュールは校正信号値をリアルタイムに読み取って、対応するマッピングシステム変数として記憶する。該マッピングシステム変数を読み取るとき、マッピングシステム変数の最後の記憶値を読み出す。
【0074】
いくつかの実施例において、上記自動車校正信号の自動読み書き方法は、以下を含む。校正モジュールにおける各校正信号に対してそれぞれ対応するマッピングシステム変数を作成する。マッピングシステム変数に初期値を割り当てる。校正変数として定義された校正信号に対し、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。また校正変数が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。及び/又は、書き込み可能観測量として定義された校正信号に対して、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。また書き込み可能観測量が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0075】
いくつかの実施例において、コンピュータ装置は上記電子機器に対応し、ここで説明を省略する。
【0076】
いくつかの実施例において、校正変数として定義された校正信号に対し、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。校正変数が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0077】
いくつかの実施例において、書き込み可能観測量として定義された校正信号に対して、割当関数を一つの非同期関数に関連付ける。割当関数は、書き込み待ち目標値をマッピングシステム変数に書き込むための関数である。書き込み可能観測量が書き込まれると、上記非同期関数は書き込みコマンドと読み取りコマンドを校正モジュールに出力した後、直ちに戻り、該非同期関数の呼び出しを完了する。
【0078】
いくつかの実施例において、バスアダプタは、CANバスアダプタ、CANFDバスアダプタ、FastLINバスアダプタ、LINバスアダプタ、Ethernetバスアダプタ、FlexRayバスアダプタであってもよい。一対複数であってもよく、複数対複数であってもよく、いくつかの実施例は、バスアダプタの具体的な実現を限定しない。いくつかの実施例において、XCP又はCCPプロトコルによってECUと通信して書き込み値を送信する。
【0079】
いくつかの実施例において、上記ECUは、電動パワーステアリングシステム、アンチロック・ブレーキシステム、電子安定性制御システム、自動車エンジン管理システム、及びバッテリーマネジメントシステムを含む。
【0080】
いくつかの実施例における車両用開発デバッグシステム、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、プロセッサ及び電子機器において、自動車校正信号の自動読み書き方法に関する具体的な方法は前述した二種類の自動車校正信号の自動読み書き方法と同じであり且ついずれも実現でき、ここでは説明を省略する。
【0081】
いくつかの実施例はさらに、コンピュータプログラム製品を提供する。この製品はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含み、それにコンピュータ読み取り可能なプログラムコードが記憶され、該コンピュータ読み取り可能なプログラムコードはコマンドを含み、これらのコマンドは少なくとも一つのプロセッサ又は少なくとも一つのコンピュータ装置に、上記いずれかの可能な自動車校正信号の自動読み書き方法を実行させる。
【0082】
いくつかの実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。この記憶媒体には、コンピュータ読み取り可能なコマンドが記憶され、少なくとも一つのプロセッサにより実行されると、上述の実施例の自動車校正信号の自動読み書き方法を実行させる。
【0083】
前述の実施例において、当然のことながら、開示された装置及び方法は、他の方式によって実現することもできる。上記で説明した装置の実施例は単なる例示であり、例えば、図面におけるフローチャート及びブロック図は本発明の複数の実施例による装置、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表すことができる。上記モジュール、上記プログラムセグメント又は上記コードの一部は、一つ又は複数の所定の論理機能を実現するための実行可能なコマンドを含む。なお、いくつかの代替的な実現方式において、ブロックに表記された機能は図面に表記された順序と異なる順序で発生してもよい。例えば、二つの連続するブロックは、実際には実質的に並行して実行することができ、関連する機能に応じて、時には逆の順序で実行することもできる。また、ブロック図及び/又はフローチャートの各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャートのブロックの組み合わせは、所定の機能又は動作を実行する専用のハードウェアベースのシステムで実現されてもよく、又は専用のハードウェアとコンピュータコマンドとの組み合わせで実現されてもよいことに留意されたい。
【0084】
また、本発明の各実施例における各機能モジュールは一体に集積して一つの独立した部分を形成してもよく、各モジュールが単独で存在してもよく、二つ又は二つ以上のモジュールを集積して一つの独立した部分を形成してもよい。
【0085】
上記機能はソフトウェア機能モジュールの形式で実現し且つ独立した製品として販売又は使用する場合、一つのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。このような理解に基づき、本発明の技術的解決手段は本質的に又は従来技術に寄与する部分又は該技術的解決手段の部分は、ソフトウェア製品の形式で表すことができる。該コンピュータソフトウェア製品は記憶媒体に記憶され、複数のコマンドを含んでコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク装置等であってもよい)に本発明の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させる。
【0086】
上述した本発明による好ましい実施例を啓発して、上述した説明内容から、当業者は本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な変更及び修正を行うことができる。本発明の技術的範囲は明細書の内容に限定されず、特許請求の範囲に基づいてその技術的範囲を確定しなければならない。
【要約】
【課題】本発明は車両用ソフトウェア開発技術分野に属し、具体的には自動車校正信号の自動読み書き方法及び自動車校正システムに関する。
【解決手段】自動車校正信号の自動読み書き方法は、以下を含む。校正モジュールにおける各校正信号に対して、対応するマッピングシステム変数をそれぞれ作成する。マッピングシステム変数に初期値を割り当てる。観測量として定義された校正信号に対し、校正モジュールが校正信号値をリアルタイムに読み取って、対応するマッピングシステム変数として記憶する。該マッピングシステム変数を読み取るとき、マッピングシステム変数の最後の記憶値を読み出す。
【選択図】
図1