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特許7591846ガス配送処理方法、システム、プログラム、サーバー装置および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ガス配送処理方法、システム、プログラム、サーバー装置および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241122BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20241122BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20241122BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20241122BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20241122BHJP
【FI】
G06Q50/06
G16Y20/30
G16Y40/10
G16Y40/30
G16Y10/35
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023204339
(22)【出願日】2023-12-04
(62)【分割の表示】P 2019217049の分割
【原出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2024015165
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 耕一郎
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190253(JP,A)
【文献】特開2018-190237(JP,A)
【文献】特開平11-211534(JP,A)
【文献】特開2014-199552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16Y 20/30
G16Y 40/10
G16Y 40/30
G16Y 10/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針情報取得手段が、ガス供給先の指針情報を取得する工程と、
サーバー装置が、設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出する工程と、
前記サーバー装置が、前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出する工程と、
前記サーバー装置が、前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定する工程と、
前記サーバー装置が、前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比し、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断し、新たに前記ガス使用情報を算出する工程と、
前記サーバー装置が、異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整する工程と、
を含むことを特徴とするガス配送処理方法。
【請求項2】
前記サーバー装置が、前記配送予定日および前記配送区分の設定や調整を契機に、通知情報を生成してガス容器の配送者に通知する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス配送処理方法。
【請求項3】
前記サーバー装置が、ガス使用量とともに前記ガス供給先に設置されたガス容器の設置容量またはガス容器の本数を参照して前記ガス使用量の状態を判定する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス配送処理方法。
【請求項4】
ガス供給先の指針情報を取得する指針情報取得部と、
設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出し、前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出し、前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定し、前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比して、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断して新たに前記ガス使用情報を算出し、異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整するサーバー装置と、
を備えることを特徴とするガス配送処理システム。
【請求項5】
前記サーバー装置は、前記配送予定日および前記配送区分の設定や調整を契機に、通知情報を生成してガス容器の配送者に通知することを特徴とする請求項4に記載のガス配送処理システム。
【請求項6】
前記サーバー装置は、ガス使用量とともに前記ガス供給先に設置されたガス容器の設置容量またはガス容器の本数を参照して前記ガス使用量の状態を判定することを特徴とする請求項4に記載のガス配送処理システム。
【請求項7】
コンピュータにより実現させるためのプログラムであって、
ガス供給先の指針情報を取得する機能と、
設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出する機能と、
前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出する機能と、
前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定する機能と、
前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比して、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断し、新たに前記ガス使用情報を算出する機能と、
異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整する機能と、
を前記コンピュータにより実現させるためのプログラム。
【請求項8】
前記配送予定日および前記配送区分の設定や調整を契機に、通知情報を生成してガス容器の配送者に通知する機能を含むことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
ガス使用量とともに前記ガス供給先に設置されたガス容器の設置容量またはガス容器の本数を参照して前記ガス使用量の状態を判定する機能を含むことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項10】
ガス供給先の指針情報を取得する指針情報取得部と、
設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出し、前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出し、前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定し、前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比して、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断し、新たに前記ガス使用情報を算出し、異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整する処理部と、
を備えることを特徴とするサーバー装置。
【請求項11】
前記処理部は、前記配送予定日および前記配送区分の設定や調整を契機に、通知情報を生成してガス容器の配送者に通知することを特徴とする請求項10記載のサーバー装置。
【請求項12】
前記処理部は、ガス使用量とともに前記ガス供給先に設置されたガス容器の設置容量またはガス容器の本数を参照して前記ガス使用量の状態を判定することを特徴とする請求項10に記載のサーバー装置。
【請求項13】
コンピュータにより実現させるためのプログラムを格納した記録媒体であって、
ガス供給先の指針情報を取得する機能と、
設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出する機能と、
前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出する機能と、
前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定する機能と、
前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比して、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断し、新たに前記ガス使用情報を算出する機能と、
異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整する機能と、
を前記コンピュータにより実現させるためのプログラムを格納した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば、LPG(Liquefied Petroleum Gas:液化石油ガス)など、ガス供給先のガスメーターの指針情報を用いた配送予測とともに、ガスの異常使用による配送予測を調整したガス配送処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LPGは、一般に、ガス事業者からガス供給先にボンベで配送される。ガス使用量は、ガスメーターから得られる指針情報によって管理される。ガス事業者は、たとえば1月に1回のように定期検針業務によって得られた指針値を利用し、ガス料金を算出するとともに、次回のガス容器の配送計画を策定している。この配送計画では、たとえば過去のガス使用量と今年のガス使用量とから1日あたりのガス使用量を予測する手法がとられている。
従来、ガスメーターの検針処理は、たとえば1月に1回などのペースで行われていた。ガス事業者は、少ない検針情報に基づき、ガス利用者側でガス切れを発生させないように配送計画を設定する必要があった。ガスの使用量は、ガス利用者側の生活状態などにより一定ではなく、また気候の変動などの要因が大きく影響するため、予想したガス使用量に対して誤差が生じる。このため、ガス事業者では、予測の誤差を考慮して、ガス容器内の残ガス量の閾値を高く設定して配送計画を策定することで、ガス切れを発生させないようにしていた。
【0003】
このようなガス使用量の予測に関し、ガスメーターから指針情報を受け、各指針情報を比較してガス使用量を算出するとともに、指針情報の検針日よりも所定期間前における複数のガス使用量の比較に基づいて過去のガス使用量の変化率を算出し、この変化率に応じてガス使用量を変更し、変更後のガス使用量を将来のガス使用量として予測することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-254414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガスの検針において、ガスメーターに給電するバッテリーや通信技術の改良により、多頻度で検針処理が行えるため、ガス使用量や現在の残ガス量を容易に把握することが可能となっている。
しかしながら、ガス配送処理では、たとえば多頻度で行われた検針処理に合わせてガス切れ時期の予測処理を行うのでは、処理能力に対する負荷の増大、データの保存容量の増大に繋がる。また、検針頻度に対して一律に予測処理の実行回数を減らして算出処理の負荷を軽減した場合、ガス使用量の変動に追従した精緻なガス容器の配送計画を策定することができないことになる。
一方、ガス容器の配送処理として、たとえばガス切れの予測処理を行わずに多頻度で検針した検針値に基づいてガス容器の配送指示を出力する手法をとった場合、ガス事業者は、突発的な配送件数の増加や、逆に配送指示が出ない期間が続くなどの状態に対応することとになるため、計画的なガス容器の配送処理が行えず、作業者の負担増加に繋がるという課題がある。
斯かる課題について、特許文献1には開示も示唆もなく、特許文献1に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、ガス供給先の残ガス量を正確に把握するとともに、計画的なガス容器の配送処理を実現することにある。
また本発明の他の目的は、多頻度でのガス検針処理を行いつつ、ガス配送予測処理の負荷軽減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のガス配送処理方法の一側面は、指針情報取得手段が、ガス供給先の指針情報を取得する工程と、サーバー装置が、設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出する工程と、前記サーバー装置が、前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出する工程と、前記サーバー装置が、前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定する工程と、前記サーバー装置が、前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比し、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断し、新たに前記ガス使用情報を算出する工程と、前記サーバー装置が、異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整する工程とを含む。
【0008】
上記ガス配送処理方法において、前記サーバー装置が、前記配送予定日および前記配送区分の設定や調整を契機に、通知情報を生成してガス容器の配送者に通知する工程を含んでよい。
上記ガス配送処理方法において、前記サーバー装置が、ガス使用量とともに前記ガス供給先に設置されたガス容器の設置容量またはガス容器の本数を参照して前記ガス使用量の状態を判定してよい。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のガス配送処理システムの一側面は、ガス供給先の指針情報を取得する指針情報取得部と、設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出し、前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出し、前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定し、前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比して、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断して新たに前記ガス使用情報を算出し、異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整するサーバー装置とを備える。
【0010】
上記ガス配送処理システムにおいて、前記サーバー装置は、前記配送予定日および前記配送区分の設定や調整を契機に、通知情報を生成してガス容器の配送者に通知してよい。
上記ガス配送処理システムにおいて、前記サーバー装置は、ガス使用量とともに前記ガス供給先に設置されたガス容器の設置容量またはガス容器の本数を参照して前記ガス使用量の状態を判定してよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面は、コンピュータにより実現させるためのプログラムであって、ガス供給先の指針情報を取得する機能と、設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出する機能と、前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出する機能と、前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定する機能と、前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比して、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断し、新たに前記ガス使用情報を算出する機能と、異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整する機能とを前記コンピュータにより実現させる。
【0012】
上記プログラムにおいて、前記配送予定日および前記配送区分の設定や調整を契機に、通知情報を生成してガス容器の配送者に通知する機能を含んでよい。
上記プログラムにおいて、ガス使用量とともに前記ガス供給先に設置されたガス容器の設置容量またはガス容器の本数を参照して前記ガス使用量の状態を判定する機能を含んでよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のサーバー装置の一側面は、ガス供給先の指針情報を取得する指針情報取得部と、設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出し、前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出し、前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定し、前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比して、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断し、新たに前記ガス使用情報を算出し、異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整する処理部とを備える。
【0014】
上記サーバー装置において、前記処理部は、前記配送予定日および前記配送区分の設定や調整を契機に、通知情報を生成してガス容器の配送者に通知してよい。
上記サーバー装置において、前記処理部は、ガス使用量とともに前記ガス供給先に設置されたガス容器の設置容量またはガス容器の本数を参照して前記ガス使用量の状態を判定してよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の記録媒体の一側面は、コンピュータにより実現させるためのプログラムを格納した記録媒体であって、ガス供給先の指針情報を取得する機能と、設定された算出期間のガス使用量の傾向を表すガス使用情報を算出する機能と、前記ガス使用情報および前記ガス供給先のガス容量情報を利用して、ガス切れ予測日を算出する機能と、前記ガス切れ予測日および配送条件情報により、配送区分および配送予定日を設定する機能と、前記指針情報に基づいて取得した前記算出期間内における合計ガス使用量または平均ガス使用量と前記ガス供給先のガス使用量閾値とを対比して、前記合計ガス使用量または前記平均ガス使用量が前記ガス使用量閾値を超える場合にガス使用量が異常と判断し、新たに前記ガス使用情報を算出する機能と、異常と判断された前記ガス供給先に対し、新たに算出した前記ガス使用情報によりガス切れ予測日を再計算して、前記配送区分を調整する機能とを前記コンピュータにより実現させるためのプログラムを格納している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、次のいずれかの効果が期待できる。
(1) 多頻度のガス検針によりユーザーのガス使用傾向を精緻に把握して、ガス切れを防止しつつ、残ガス量の閾値を低く設定したガス配送計画を設定できる。
(2) 交換するガス容器の残ガス量を少なくすることで、配送処理を行う作業者の負担軽減が図れる。
(3) ユーザーのガス使用状態を定期的に監視し、異常なガス使用が行われたユーザーについてのみガス切れ予測や配送区分の調整を行うので、ガス切れ予測や配送予定の算出処理の負荷が軽減できる。
(4) 随時検針結果を利用した精緻な残ガス量管理に基づく配送処理と、ガスの使用状態に応じて解析したガス容器交換予測処理とにより残ガス量の低減およびガス切れ防止の両立が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係るガス配送管理処理の一例を示すフローチャートである。
図2】ガス管理システムの一例を示す図である。
図3】ガス配送管理ファイルの一例を示す図である。
図4】随時検針ファイルの一例を示す図である。
図5】配送条件データベースの一例を示す図である。
図6】配送区分テーブルの一例を示す図である。
図7】ガスの使用傾向に基づくガス切れ予測日の判断処理および再計算処理の一例を示す図である。
図8】ガス使用量に基づくガス使用状態の監視処理の一例を示す図である。
図9】ガス容器配送の区分処理の一例を示す図である。
図10】ガス容器の配送管理処理の一例を示すフローチャートである。
図11】第2の実施形態に係るガス管理システムの一例を示す図である。
図12】配送者端末の一例を示す図である。
図13】管理者端末に表示される管理情報画面の一例を示す図である。
図14】配送者端末に表示される配送指示情報の一例を示す図である。
図15】ガス供給先に対する情報提示画面の一例を示す図である。
図16】ガス配送管理処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係るガス配送管理処理の工程例を示している。図1に示す処理内容、処理工程などは一例であり、斯かる構成に本発明が限定されない。
このガス配送管理処理は、本発明のガス配送処理方法、またはガス配送処理プログラムの一例であって、たとえば図1に示すように、ガス供給先10の特定(S101)、ガス配送管理ファイル22の特定(S102)、指針情報の取得(S103)、指針情報をガス配送管理ファイル22に格納(S104)、ガス使用情報の算出(S105)、ガス配送予測算出処理タイミングの監視(S106)、ガス使用状態の異常監視(S107)、ガス切れ予測日および配送予定日の再計算(S108)、ガス配送区分の調整(S109)、ガス配送管理ファイル22に格納(S110)などが含まれる。
【0019】
ガス供給先10の特定(S101):ガス供給先10-1、10-2、・・・、10-N(図2、以下単に「ガス供給先10」と称する)はガス事業者と契約し、たとえば、軒先などにガス容器が設置され、このガス容器からLPGを消費するガスユーザーである。ガスユーザーは個人または法人(業者)のいずれかを問わない。LPGの使用量はガスメーターの指針情報により把握される。
ガス配送管理ファイル22の特定(S102):ガス配送管理ファイル22は、ガス供給先10のガス使用量、残ガス量、ガス使用状態、ガス切れ予測日などを管理する管理データベースの一例である。管理サーバー4(図2)は、たとえばガスメーターの指針情報を取得時などに特定されたガス供給先10に応じて、ガス供給先10のガス配送管理ファイル22を特定する。
指針情報の取得(S103):指針情報は、たとえばガス供給先10のガスメーターに設置された通信部88(図11)から取得するほか、外部の指針情報源20(図2)から取得してもよい。この指針情報源20は、たとえばガスメーターから収集した指針情報をとりまとめて所定のタイミングで管理サーバー4に提供する情報収集手段が含まれる。
指針情報をガス配送管理ファイル22に格納(S104):管理サーバー4は、毎日もしくは数日ごとの一定期間にガスメーターまたは指針情報源20から取得した指針情報をガス配送管理ファイル22に格納する。
【0020】
ガス使用情報の算出(S105):管理サーバー4は、取得した指針情報を利用して、ガス供給先10に登録されたガスユーザーごとにガス使用量情報を算出する。このガス使用情報は、指針情報の値を利用して算出するガス使用量と、ガスユーザーごとのガス使用量の傾向を表す情報が含まれる。管理サーバー4は、ガスの使用傾向として、算出したガス使用量に基づいて、所定期間ごとにガス使用量の変化量を算出する。
【0021】
ガス配送予測算出処理タイミングの監視(S106):管理サーバー4はカレンダー機能を含むタイマー機能を備えており、ガス配送予測を算出するタイミングか否かを監視し、管理するユーザーについてのガス配送予測の算出指示を出力する。管理サーバー4は、監視するタイミングとして、たとえばユーザーごとに異なる値を設定してもよく、または全てユーザーに同じ値を設定してもよい。管理サーバー4は、算出処理のタイミングになっていないユーザーについては、ガスメーターや指針情報源20からの指針情報の取得を継続する。また管理サーバー4は、算出処理のタイミングになっている場合には、そのユーザーに関する処理として、ガス配送予測算出処理モードを設定する。
ガス使用状態の異常監視(S107):管理サーバー4は、たとえばガス配送予測算出処理モードに設定されたユーザーについてガス使用情報を利用して、所定の算出期間内のガスの使用状態を監視する。この監視処理では、たとえば日ごとまたは所定期間全体のガス使用量またはガスの使用傾向についての基準情報およびガス使用量閾値を読込む。そして管理サーバー4は、ガス使用量もしくはガスの使用傾向がガス使用量閾値の範囲外となった場合、ガスの使用状態を異常と判断する。また管理サーバー4は、ガス使用量もしくはガスの使用傾向がガス使用量閾値の範囲内の場合、ガスの使用状態を正常と判断する。
このガス管理システム2では、所定期間内のガス使用状態が異常の場合にガス切れ予測日や配送予定日の再計算処理を行い、ガス使用状態が正常の範囲内にある場合には、前回算出したガス切れ予測日および配送予定日を維持する。
このガス使用量閾値は、たとえばユーザーごとに設定された値でもよく、または複数のユーザーで共通の値であってもよい。またガス使用量閾値は、固定値が設定される場合のほか、季節やユーザーのガス使用傾向の変化に応じて、変動した値が設定されてもよい。
なお、ガス管理システム2は、たとえばガス容器を交換した後の最初のガス配送予測算出タイミング場合や、前回のガス切れ予測日および配送予定日が算出されていない場合には、ガス使用状態に関わらず算出処理に移行すればよい。
【0022】
ガス切れ予測日および配送予定日の再計算(S108):管理サーバー4は、算出したガス使用情報やガス供給先10に供給されているガス容量情報などを利用してガス切れ予測日を算出するとともに、このガス切れ予測日と配送条件情報を利用して配送予定日の再計算モードに移行する。このガス容量情報には、たとえば設置されているガス容器全体の容量のほか、設置された複数本のガス容器のうちガス供給状態となっている一部のガス容器の容量を含む。
ガス配送区分の調整(S109):管理サーバー4は、算出したガス切れ予測日と配送予定日に基づき、ガス配送区分を調整する。このガス配送区分は、顧客であるユーザーを配送予定日ごとに区分した情報であり、配送者の人数や配送能力などに応じて配送先情報や配送順序などを区分した作業指示情報が含まれる。管理サーバー4は、再計算によりガス切れ予測日や配送予定日が変動したユーザーについて、配送日や配送順序の変動調整を行う。
ガス配送管理ファイルに格納(S110):管理サーバー4は、再計算したガス切れ予測日および配送予定日の情報やガス配送区分の調整情報をガス配送管理ファイル22に格納する。
そのほか、管理サーバー4は、少なくとも調整したガス配送区分情報をガス容器の配送者が有する端末装置や、この配送者を管理する管理サーバーなどに通知する。
【0023】
<ガス管理システム2>
図2のAは、ガス管理システム2を示している。図2のAに示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
ガス管理システム2は、たとえば図2のAに示すように管理サーバー4、情報提示部6、情報入力部8を備える。
管理サーバー4は、ガス使用量や使用状態の監視処理やガス切れ予測、およびガス容器の配送処理を管理する本発明のサーバー装置の一例であり、各ガス供給先10(=10-1、10-2、・・・・、10-N)に対するLPGの供給、ガス売上げなどを管理するガス事業者や、複数のガス事業者を管理する管理センターなどに設置される。
この管理サーバー4は、コンピュータで構成されており、各ガス供給先10に設置されたガスメーターや指針情報源20から指針情報を受信するほか、配送者端末12(12-1、12-2、・・・、12-N)に対して指示情報を通知する通信機能を備える。また管理サーバー4は、取得した指針情報から各ガス供給先10のガス使用量や使用傾向などの使用情報の算出などの情報処理機能を有する。管理サーバー4が行う情報処理には、たとえば、
a)ガス配送管理ファイル22の作成および更新
b)ガス供給先10の管理
c)指針情報の取得
d)ガス使用量の算出タイミングの監視
e)ガス使用量およびガス使用傾向を含むガス使用情報の算出
f)ガス使用状態の異常監視
g)配送区分の調整
h)指示情報の生成および情報提示
i)指示情報の送信
などが含まれる。
【0024】
情報提示部6は、管理サーバー4で生成された管理情報や指示情報を表示する機能を備えた機器である。この情報提示部6には、たとえば図2のBに示すように、管理サーバー4と有線接続または無線接続される管理者端末14のほか、管理サーバー4による制御によって画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)など、管理サーバー4と情報の授受や、ガス配送管理ファイル22を含む情報提示が可能な機器が含まれる。
情報入力部8は、管理サーバー4に対して情報を入力する手段の一例であり、たとえば管理者端末14のキーボード18のほか、画面表示を行うモニター16と入力操作を一体化させたタッチパネルを利用してもよい。
【0025】
ガス管理システム2には、ガス容器の配送者が利用する配送者端末12が接続される。この配送者端末12は、たとえば携帯電話機やタブレット(Tablet)型端末などの情報処理装置であって、配送者が所持または身に付けるほか、配送に利用する車両などに設置されてもよい。配送者端末12には、たとえば配送者ごとに識別されており、所定の配送日に担当するガス供給先10の区分情報や配送順序、配送経路情報などを含む指示情報が送信される。そのほか、配送者端末12は、たとえば常時もしくは定期的に管理サーバー4と接続されており、ガス容器の配送状況などをリアルタイムで送受信してもよい。これによりガス管理システム2は、配送状況を精緻に把握および管理することができ、その配送状況や配送結果をユーザーであるガス供給先10に通知してもよい。
【0026】
<ガス配送管理ファイル22>
図3は、ガス配送管理ファイル22の構成例を示している。
ガス配送管理ファイル22は、ガス供給先10についてのガス容器の供給情報やガス使用量、ガス使用状態の異常状態の検知情報など、ガス管理システム2を構成する管理情報データベースの一例である。このガス配送管理ファイル22は、たとえばガス供給先10ごとに複数のファイル22-1、22-2、22-3、・・・、22-Nが含まれている。このガス配送管理ファイル22は、たとえば管理サーバー4の記憶部に格納されてもよく、または図示しない外部のデータベース(DB)や外部サーバーなどに格納されてもよい。管理サーバー4は、たとえばガス容器の配送管理処理において、データベースや外部サーバーなどからガス配送管理ファイル22の全ての情報、または管理対象となるガス供給先ごとのデータを読込んでもよい。
ガス配送管理ファイル22には、たとえばガス供給先情報部24、ガス供給情報部26、指針情報部28、ガス使用量情報部30、積算情報部32、異常情報部34、再計算情報部36、ガス切れ予測日部38、ガス配送日部40、配送条件部42などが含まれる。
ガス供給先情報部24は、ガスの供給サービスに契約したガス供給先10を識別するための識別情報が格納される。この識別情報には、たとえば契約したユーザー名や配送先の住所のほか、その住所を含む地域が表示された地図データや地図データにアクセスするためのリンク情報などを含んでよい。そのほかこのガス供給先情報部24には、ガス供給に関する属性情報を格納してもよい。この属性情報は、たとえばガス供給を契約したユーザーについて、個人契約か法人契約かの情報や、ガスの使用が多い飲食店か否かの情報などの情報が含まれる。そしてガス管理システム2は、たとえば属性情報を利用したガス供給処理として、多くのガス使用が見込まれるユーザーに関し、ガス使用状態が異常であるとの判断をした場合や残ガス量がガス切れ閾値に近い値と判断した場合、ガス配送処理の優先度を高く設定するなどの処理に利用してもよい。
【0027】
ガス供給情報部26は、ガス容器の供給条件などの情報が格納される。このガス供給情報部26には、たとえばガス供給先10の設置されたガス容器の供給可能容量を示す容器設置容量部26-1、設置本数部26-2、交換方法部26-3、平均使用量部26-4などの情報が格納される。
指針情報部28は、ガスメーターや指針情報源20から取得した指針情報が格納される。この指針情報部28には、たとえば取得した指針値自体が格納されるほか、指針値が格納される随時検針ファイル44(図4)に対するリンク情報が記録されてもよい。
ガス使用量情報部30は、指針情報に基づいて算出した所定期間内のガス使用量情報が格納される。このガス使用量情報部30は、たとえばガス使用量の算出値が格納されてもよく、またはガス使用量が格納される随時検針ファイル44(図4)に対するリンク情報が記録されてもよい。
【0028】
積算情報部32には、たとえば取得した指針情報や算出したガス使用量の積算値などが格納される。ここでは、たとえば前回のガス容器交換からの指針情報やガス使用量などの情報が積算される。
異常情報部34は、設定された算出期間内において、ガス供給先10のガスの使用状態が異常であったか否かの監視情報が格納される。また異常情報部34には、たとえば前回の算出期間におけるガス使用状態の異常判断結果のほか、過去の異常判断の回数情報を格納してもよい。
再計算情報部36は、ガス使用状態が異常であると判断した場合に、ガス切れ予測日やガス容器の配送日が格納される。この再計算情報部36には、再計算の有無を示す情報のほか、再計算によるガス切れ予測日や配送予定日の変化値などを格納してもよい。
【0029】
ガス切れ予測日部38は、ガス管理システム2により算出されるガス切れ予測日の情報が格納される。管理サーバー4は、たとえばそれぞれのガス供給先10のガス容器の本数またはガス容器設置容量、ガス使用量情報から算出したガス使用傾向などの情報を利用してガス切れ予測日を算出する。このガス管理システム2では、算出期間におけるガス使用状態が異常であると判断した場合に、ガス切れ予測日を再計算してガス切れ予測日部38の情報を更新する。またガス管理システム2は、ガス使用状態が異常でないと判断した場合には、すでに算出されて格納されているガス切れ予測日情報を格納すればよい。
ガス配送日部40は、ガス供給先10ごとのガス容器の交換指示情報が格納される。このガス配送日部40には、たとえば過去のガス容器配送日のほか、ガス切れ予測日に基づいて設定されるガス配送予定日などが格納される。このガス配送予定日は、たとえばガス切れ予測日や配送条件情報などを利用して設定される。またガス配送日部40は、たとえば配送地域や配送条件などに基づいて、他のガス供給先10と区分された配送区分テーブル64(図6)と関係付けされてもよい。
配送条件部42は、ガス供給先10ごとの配送条件情報が格納される。この配送条件は、たとえば配送条件データベース54(図5)と関係付けられており、他のガス供給先10からの配送時間やガス容器の交換作業に必要な時間などの情報が含まれる。
【0030】
なお、ガス配送管理ファイル22は、ガス供給先10であるユーザーごとに作成される場合に限られず、複数のユーザーの情報をまとめて作成されてもよい。このときガス配送管理ファイル22は、たとえば配送先が近傍なユーザーをグループ化して、ガスの指針情報や異常情報などの情報をまとめて記録してよい。
【0031】
<随時検針ファイル44>
図4は、随時検針ファイルの構成例を示している。
この随時検針ファイル44は、たとえば取得した指針情報が格納されるほか、この指針情報に基づいて算出されたガス使用量が格納される情報格納部の一例である。随時検針ファイル44は、たとえば図4に示すように、ガス供給先10-1、10-2、10-3、・・・10-Nごとの複数のファイル44-1、44-2、44-3、・・・、44-Nを有している。そして随時検針ファイル44は、たとえば検針日時部46、ガスメーター指針部48、前回からのガス使用量部50、残ガス量情報部52を含んでおり、これらの情報部の一部または全部がガス配送管理ファイル22に対してリンクが設定されるなどの関係付けがされている。随時検針ファイル44は、たとえば管理サーバー4の記憶部に記憶されるほか、管理サーバー4の外部にある外部データベースや他の管理サーバーなどに格納されてもよい。
【0032】
検針日時部46は、たとえばガスメーターの指針情報を取得した日、または検針値とともにガスメーターが記憶していた検針日などの情報が格納される。ガス切れ予測日の算出処理では、たとえば検針日時部46に格納された日時情報、ガスの使用傾向や残ガス量などを利用する。
ガスメーター指針部48には、ガス供給先10や指針情報源20から取得した指針情報が格納される。この指針情報は、ガス供給先10におけるガス使用量を算出するための基礎情報であり、毎日または所定の日数間隔で検針される。
前回からのガス使用量部50は、指針情報を利用して、所定の期間ごとに算出したガス使用量が格納される。この期間は、ガス使用量の算出処理を実行するタイミングであり、たとえば新たな指針情報を取得していれば毎日でもよく、または数回分の指針情報を取得する日数が設定されてもよい。
残ガス量情報部52は、前回のガス容器交換から算出したガス使用量の積算値を利用して算出した、ガス供給先10の残ガス量が格納される。
【0033】
<配送条件データベース54>
図5は、配送条件データベースの一例を示している。
この配送条件データベース54は、ガス容器の輸送や交換作業などの条件および要する時間情報などを記録したデータベースの一例であり、ガス容器の交換日や配送区分の設定処理に利用する。配送条件データベース54には、たとえば図5に示すように、ガス供給先部56、配送条件部58、所要時間部60、記録日時部62が含まれる。
ガス供給先部56は、ガス供給先10を特定するための識別情報が格納されており、たとえばガス配送管理ファイル22のガス供給先情報部24とリンクなどにより関係付けられてもよい。
配送条件部58は、ガス供給先10ごとに過去の配送実績が格納される。この配送実績には、たとえばガス容器を補充する営業所や配送基地もしくは他のガス供給先10からの配送経路情報、配送時の天候条件、配送経路上の道路や混雑状態などの情報、ガス供給先10の敷地内にあるガス容器のストック場所までの距離や建物の情報、作業スペースの広さなどが記録されてよい。
所要時間部60は、過去のガス容器の配送処理に要した時間の実績情報が格納される。さらに配送条件の情報を加味すれば、たとえば同じガス供給先10に対する過去の配送実績において、天候の違いによる配送処理の所要時間の違いが把握でき、配送日当日の天候状態または配送日設定時に取得した天気予報などを参照して、ガス容器の配送処理の所要時間が推測できる。
記録日時部62は、過去の配送処理を実行した日時情報、またはその配送実績情報を登録した日時情報が登録される。
【0034】
<配送区分テーブル64>
配送区分テーブル64は、たとえば図6に示すように、1または複数のガス供給先10ごとに区分した配送グループの配送指示情報の一例である。この配送区分テーブル64は、たとえばガス管理システム2に登録された配送者ごとに生成され、定期的に配送者端末12に通知される。配送区分テーブル64には、たとえば配送グループごとに、ガス供給先部66、設置場所部68、容器設置容量部70、設置本数部72、交換方法部74、ガス切れ予測日部76、配送日部78を有する。
ガス供給先部66は、ガス供給先10を特定するための識別情報が格納されており、たとえばガス配送管理ファイル22のガス供給先情報部24とリンクなどにより関係付けられてもよい。
設置場所部68は、ガス供給先10ごとに設置場所の地図や設置場所の情報などが格納される。
容器設置容量部70は、ガス供給先10ごとの設置されたガス容器のガス供給可能量の情報が格納される。この容器設置容量部70には、ガス配送管理ファイル22の容器設置容量部26-1とリンクなどにより関係付けられてもよい。
設置本数部72は、ガス供給先10に設置されるガス容器の本数情報が格納される。この設置本数部72は、ガス配送管理ファイル22の設置本数部26-2とリンクなどにより関係付けられてもよい。
交換方法部74は、ガス容器の交換指示が格納される。この交換指示は、たとえばガス供給先10との契約に基づき、設置されているガス容器の全部の交換か、または設定された本数のみの交換かの指示情報のほか、設置された複数のガス容器に対し、交換すべきガス容器を特定する指示情報などが含まれる。この交換方法部74は、ガス配送管理ファイル22の交換方法部26-3とリンクなどにより関係付けられてもよい。
ガス切れ予測日部76は、指針情報に基づくガスの使用情報により算出されたガス切れ予測日が格納される。このガス切れ予測日部76には、たとえば算出された予測日情報のほか、この予測日に基づいて設定される図示しない交換の緊急度を表す優先度情報が格納されてもよい。このガス切れ予測日部76は、ガス配送管理ファイル22のガス切れ予測日部38とリンクなどにより関係付けられてもよい。
配送日部78は、ガス容器の配送処理を実行する日付指示が格納される。この配送の日付指示は、たとえばグループごとに設定されればよい。また、管理サーバー4は、たとえば天候条件や配送経路の条件などにより設定された日に配送が完了しなかったガス供給先10については、ガス切れ予測日部76の情報を参照して、他の配送グループに振り分ける。
【0035】
<ガス配送管理処理について>
図7は、ガスの使用傾向に基づくガス切れ予測日の判断処理および再計算処理例を示している。図7に示す処理内容および判断基準は一例であり、本発明が斯かる処理内容や処理手順に限定されない。
管理サーバー4は、ガス使用状態の監視処理モードに移行し、ガス使用状態が異常か否かを監視する。管理サーバー4は、監視結果に基づいてガス切れ予測日txを再計算するとともに、このガス切れ予測日txに応じてガス配送予定日を調整する。
管理サーバー4は、たとえば設定日数xごとの監視日t1、t2、・・・、tnの間のガス使用量LG1、LG2、・・・、LGnと設定されたガス使用量閾値LGXとを対比し、ガスの使用状態が異常か否かを判断する(図8)。
管理サーバー4は、たとえば図7のAに示すように、監視日t2において、監視日t1から監視日t2のガス使用量LG1に基づいてガス切れ予測日tx1を算出する。次に、管理サーバー4は、監視日t3において、監視日t2から監視日t3のガス使用量LG2がガス使用量閾値LGXによる条件を満たすと判断すると、ガス使用状態が正常と判断して、先に算出したガス切れ予測日tx1を採用する。
これに対し、管理サーバー4は、たとえば図7のBに示すように、監視日t3において、監視日t2から監視日t3のガス使用量LG2がガス使用量閾値LGXにより条件を満たさないと判断した場合、ガス使用状態が異常と判断する。そして管理サーバー4は、ガス使用量LG2をガス使用傾向として新たなガス切れ予測日tx2を再計算してガス配送管理ファイル22の再計算情報部36やガス切れ予測日部38に算出したガス切れ予測日tx2を格納する。管理サーバー4は、たとえば再計算したガス切れ予測日tx2と元のガス切れ予測日tx1との変動値に応じて、ガス配送日を先行または後退させるなどの調整を行う。
【0036】
管理サーバー4は、たとえばガス配送日の調整処理として、ガス切れ予測日tx1、tx2を基準とし、それよりも数日前にガス配送日を設定すればよい。また管理サーバー4は、ガス容器の残ガス量LGrに対する残ガス量閾値LGEを設定しており、ガス切れ予測日tx1、tx2を基準に残ガス量LGrが残ガス量閾値LGE以下になる日を予測して、ガス配送日を設定してもよい。
なお、残ガス量LGrは、たとえば以下の式により算出できる。
管理サーバー4は、ガスメーターや指針情報源20の指針値の変化量に基づいて算出したガス使用量LGとガス供給先10のガス容量情報LMとから残ガス量LGrを算出する。監視日t1をガス容器交換直後とすると、監視日t1、t2、・・・、tn時点の残ガス量LGr1、LGr2、・・・LGrnは、
LGr1=LM ・・・(1)
LGr2=LM-LG1 ・・・(2)
LGr3=LGr2-LG2 ・・・(3)
LGrn=(LGr(n-1))-(LG(n-1)) ・・・(4)
となる。
【0037】
<ガス使用状態の監視処理について>
図8は、ガス供給先のガス使用量に基づくガス使用状態の監視処理の一例を示している。
管理サーバー4は、たとえばガス供給先10に対し、取得した指針情報からガス使用量を算出し、そのガス使用量LGをガス配送管理ファイル22に格納する。
図8は、たとえば横軸に計測日を表し、縦軸に日ごとのガス使用量LGを表している。
監視日t1、t2、t3、・・・、tnは、ガス配送予測算出処理タイミングの一例であり、設定日数xとしてたとえば5日間が設定される。設定日数xは、たとえば全てのガス供給先10に対して同じ日数が設定されてもよく、またはガス供給先10ごとに異ならせてもよい。そしてガス配送管理処理では、たとえば監視日t1からt2までのガス使用量LGの合計値がガス使用量LG1、監視日t2からt3までのガス使用量LGの合計値がガス使用量LG2として、残ガス量LGrの算出に利用すればよい。
【0038】
このガス使用状態の監視では、たとえばガス使用量閾値LGXによる条件として、指針値により算出したガス使用量LGを利用して判断する。すなわち、管理サーバー4は、たとえば算出処理タイミングとして、監視日t1、t2、t3、・・・tn内のガス使用量LGがガス使用量閾値LGXを超えた日があるかを判断する。
管理サーバー4は、たとえば図8に示すように監視日t1から監視日t2の間にガス使用量LGがガス使用量閾値LGXを超えた日が無いため、ガス使用状態が正常であると判断する。
また、管理サーバー4は、たとえば監視日t2から監視日t3の間で、ガス使用量LGがガス使用量閾値LGXを超えた日があるため、ガス使用状態が異常であると判断する。これにより管理サーバー4は、ガス切れ予測日の再計算および配送区分を調整する再計算処理モードに移行する。
【0039】
なお、ガス使用量閾値LGXは、固定値であってもよく、または判断時期や過去のガス使用状態などによる変動値であってもよい。
【0040】
<配送区分について>
図9は、ガス容器配送の区分処理例を示している。
管理サーバー4は、たとえば算出したガス切れ予測日とともに、ガス供給先10(ここではNo.01~No.16の16ユーザー)の住所やガス容器を供給する基地からの距離などの条件によりガス供給先10を複数のグループに区分する。このグループには、同一のガス配送日が設定される。
また、管理サーバー4は、ガス使用状態の監視処理によってガス切れ予測日を再計算したガス供給先10に対する配送日の調整に応じて、配送区分の変更処理を行う。この配送区分の変更処理は、たとえば配送日に基づいてガス供給先10の追加や削除を行えばよい。そのほか、変更処理では、たとえばグループを担当する配送者の配送能力に応じて、ガス供給先10の登録数を増加させないために、グループ間でガス供給先10同士を入れ替えてもよい。配送区分の入れ替えでは、たとえば配送日がガス切れ予測日に対して余裕があるガス供給先10が選択されればよい。
【0041】
そして管理サーバー4は、たとえば配送区分が変更されたガス供給先10について、配送区分テーブル64を変更するほか、配送者や変更となったガス供給先10に変更通知を出力してもよい。
【0042】
<配送管理処理>
図10は、ガス容器の配送管理処理の一例を示している。図10に示す処理は、本発明のガス配送処理方法、プログラムの一例であり、斯かる処理内容、処理手順に本発明が限定されない。
この配送管理処理では、指針情報を取得(S201)した管理サーバー4がガス使用量LGを算出し(S202)、指針情報およびガス使用量LGをガス配送管理ファイル22に格納する(S203)。管理サーバー4は、監視日tとなっていない場合(S204のNO)にはS201に戻ってガス検針を継続する。また管理サーバー4は、監視日tとなっている場合(S204のYES)、ガス使用量閾値LGXを読込み(S205)、ガス使用量LGがガス使用量閾値LGXを超えた日があるか否かを判断する(S206)。
管理サーバー4は、ガス使用量閾値LGXを超えた日がある場合(S206のYES)、設定日数xにおけるガス使用傾向を算出し(S207)、その算出値を利用してガス切れ予測日を算出する(S208)。ガス使用傾向は、たとえばx日間のガス使用量LGの合計値のほか、1日当たりの平均ガス使用量であってもよい。そしてガス切れ予測日の算出処理では、たとえばガス使用量とともにガス供給先10のガス容量情報LMやガス容器の設置本数などの情報を参照して、ガス容器内の残ガス量LGrが0または残ガス量閾値LGE以下となる日数などを算出すればよい。
【0043】
管理サーバー4は、新たなガス切れ予測日に基づき、ガス供給先10への配送日を調整する(S209)。配送日の調整では、たとえば算出したガス使用傾向に応じて、ガス切れ予測日を基準に数日前に設定すればよい。さらに、管理サーバー4は、設定した配送日に基づいて他のガス供給先10とともに配送グループを生成、または調整する。
【0044】
また管理サーバー4は、ガス使用量閾値LGXを超えた日がない場合(S206のNO)、予め設定されているガス切れ予測日を維持して指針情報の取得処理に戻る(S210)。
【0045】
<第1の実施形態の効果>
斯かる構成により、以下のような効果が得られる。
(1) ガスメーターによる多頻度検針とともに、所定の期間ごとにガス使用状態の監視およびガス切れ監視、および配送処理の調整を行うことで、ガス使用状態を精緻に把握できるとともに、監視処理による管理サーバーの負荷を軽減することができる。
(2) 多頻度検針によるガス使用状態の監視により、残ガス率を小さく設定したガス容器の配送日を設定することができ、作業者の負荷軽減が図れる。
(3) ガス供給先10に対する配送条件を加えて配送区分の設定や調整処理を行うことで、配送に要する時間や負荷などを軽減した配送指示の策定が行える。
【0046】
〔第2の実施形態〕
図11は、第2の実施形態に係るガス管理システム2を示す図である。図11において、図2と同一部分には同一符号を付してある。
各ガス供給先10にはガス事業者から提供される複数のガス容器80-1、80-2、またはユーザー宅の軒先などに固定されておりガス容器よりも大型のバルク容器が設置されている。ガス容器80-1、80-2はガスメーター82を介してガス機器84に接続される。またガス容器80-1、80-2とガスメーター82との間には切替器86が設置されており、ガス容器80-1、80-2のいずれかによりLPGがガス機器84に供給される。ガス機器84はガス給湯器、ガスコンロなど、ガスを消費する機器である。
【0047】
ガスメーター82はたとえば、マイコンメーターであり、LPGの通過量を計測する。この通過量が指針情報である。通信部88はガスメーター82に接続され、ガスメーター82から提供される指針情報を中継部90に向けて送信する。中継部90はインターネットなどのネットワーク92に有線接続または無線接続により接続されている。指針情報は中継部90を通して指針情報源20に提供される。
管理サーバー4は、ガス供給先10から中継部90を通して指針情報を取得することができ、または指針情報源20からも指針情報の提供を受けられる。
【0048】
管理サーバー4は通信機能を備えるコンピュータで構成される。この管理サーバー4にはプロセッサ94、記憶部96、入出力部(I/O)98、タイマー100、通信部102が設置されている。
プロセッサ94は記憶部96にあるOS(Operating System)を用いてガス管理を行うプログラムなどによって既述の情報処理を行う。記憶部96にはOSの他、ガス管理を行うプログラムや、ガス配送管理ファイル22を含むデータベースが格納されている。この記憶部96には各種情報の記憶手段としてROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)などの記憶素子が設置される。
タイマー100はプロセッサ94により制御されるカレンダー機能や計時機能を備えており、監視日tの間隔である設定日数xを計時するための日時情報をプロセッサ94に提供する。
通信部102は、プロセッサ94で制御されてガス供給先10の通信部88、中継部90、配送者端末12、管理者端末14、指針情報源20と有線接続または無線接続により通信が可能である。
【0049】
<配送者端末12>
図12は、ガス容器の配送指示などが出力される配送者端末12のハードウェアを示している。この配送者端末12には既述のように、通信機能を備えるコンピュータとしてスマートフォンやタブレット端末を用いることができる。この配送者端末12はたとえば、プロセッサ104、記憶部106、I/O108、通信部110、情報提示部112、操作入力部114を備える。
プロセッサ104はガス管理情報を処理する処理部の一例であり、記憶部106にあるOSに基づき、ガス管理プログラムなどの情報処理を行うため、管理サーバー4や管理者端末14との情報の授受を行う。記憶部106は、OSの他、ガス管理プログラムなど、各種のプログラムを格納している。この記憶部106にはROMやRAMなどの記憶素子が用いられる。
I/O108は、プロセッサ104と通信部110、情報提示部112または操作入力部114との情報の授受に用いられる。通信部110はたとえば、公衆回線を用いた管理サーバー4や管理者端末14との通信の他、ガスメーター側の通信部88との通信も可能である。
情報提示部112は、管理サーバー4から提供されるガス配送管理ファイル22やガス容器の配送指示情報などの情報提示に用いられる。
操作入力部114は、ガス供給先10の識別情報の入力、配送指示情報の要求、ガス供給先10の位置情報の要求、ガス容器配送経過情報の入力などに用いられる。
【0050】
<ガス配送管理の情報提示>
図13は、ガス配送管理の情報提示の一例を示している。
管理サーバー4は、たとえば図13に示すように、ガス配送管理に係る管理情報画面120を生成して、情報提示部6に表示させる。この情報提示部6は、たとえば管理サーバー4のモニターのほか、管理サーバー4に優先または無線で接続された管理者端末14のモニター16で構成される。
この管理情報画面120には、たとえばガス管理情報提示部122、指針情報提示部124、配送管理情報提示部126が設定されている。
ガス管理情報提示部122には、ガス供給先10ごとに既述のガス配送管理ファイル22が提示される。
指針情報提示部124には、たとえば管理サーバー4が取得した指針値のほか、算出したガス使用量、残ガス量情報などを含む随時検針ファイル44が提示される。
配送管理情報提示部126には、たとえば管理対象であるガス供給先10について、配送グループの区分情報や、配送日、ガス切れ予測日などの情報を含む配送区分テーブル64の一部または全部が提示される。
【0051】
<配送者端末12に対する情報提示>
図14は、配送者端末12に表示された配送指示画面の一例を示している。
配送者端末12の情報提示部112には、それぞれの配送者が担当するガス供給先10の情報を含む配送指示画面128が表示される。
この配送指示画面128には、ガス供給先情報や本数情報、交換方法など配送区分テーブル64に含まれる1または複数のグループが含まれる。また配送指示画面128には、ガス供給先10に対して優先度情報129が設定されてもよい。この優先度情報129は、管理サーバー4により設定された指示情報の一例であり、たとえばグループ分けされたガス供給先10の中におけるガス容器配送の緊急度などを示している。これにより配送処理では、たとえば管理サーバー4の指示により、優先度の高いガス供給先10への配送を先行させるほか、優先度の高いガス供給先10を基準にするとともに配送経路に沿って近いガス供給先10を組み合せて配送順序を設定してもよい。
【0052】
そのほか配送指示画面128には、たとえば配送者端末12の操作入力部114を利用して、配送完了や配送不可などの作業報告のほか、天候や道路状況の変化による配送予定が遅れるなどの経過情報を入力させてもよい。
【0053】
<ガス供給先10に対する情報提示>
図15は、ガス供給先に対する情報提示画面の一例を示している。
ガス供給先10のユーザーが利用する情報端末の表示部130A、130Bには、たとえば図15に示すように、ユーザーのガス容量管理画面132A、132Bが表示される。このガス容量管理画面132A、132Bは、たとえば定期的に通知されるほか、ユーザーから管理サーバー4側に要求、またはアクセスすることで提示される。ガス供給先10のユーザーが利用する情報端末は、PCや携帯電話機、携帯情報端末など通信によって管理サーバー4やその他の情報提示サーバーなどに接続可能なものであればよい。
ガス容量管理画面132Aは、たとえば図15のAに示すように、複数のガス容器が設置されており、ガス供給先10の情報を示している。またガス容量管理画面132Bは、たとえば図15のBに示すように、ガス供給先10の軒先に設置された大型のガス容器にガスを充填するガス供給先10の情報を示している。
これらのガス容量管理画面132A、132Bには、ガス容器内の残ガス量提示部134A、134Bやガス容器の配送日情報136A、充填日情報136B、ガス切れ予測日情報138A、138Bが含まれる。
【0054】
<ガス配送管理処理>
図16は、ガス管理システム2を用いたガス配送管理の処理シーケンスを示している。このガス配送管理処理は、本発明のガス配送処理方法、プログラムの一例であり、斯かる処理内容、処理手順に本発明が限定されない。
ガス供給先10の指針情報は通信部88または指針情報源20から送信され(S301)、管理サーバー4に提供される。
管理サーバー4は、指針情報の提供を受けたとき、ガス供給先10を特定し(S302)、特定されたガス供給先10に関するガス配送管理ファイル22を特定する(S303)。管理サーバー4は、指針情報を取得すると(S304)、この指針情報に基づいて、定期的にガス使用量LGおよびガス使用情報を算出し(S305)、ガス配送管理ファイル22に格納する。
【0055】
管理サーバー4は、設定日数xの間隔におけるガス使用量LGなどによりガス供給先10のガス使用傾向を算出するとともに、ガス供給先10のガス容量などの情報を参照して、残ガス量LGrを算出し、その残ガス量LGrが設定した残ガス量閾値LGE以下かを監視する(S306)。そして管理サーバー4は、残ガス量LGrが閾値LGEに達していない場合(S306のNO)、ガス配送予測算出処理タイミングになっているかを判断する(S307)。管理サーバー4は、ガス配送予測算出処理タイミングである場合(S307のYES)、ガス使用状態の異常監視に移行し(S308)、ガス配送予測算出処理タイミングとなっていない場合(S307のNO)、指針情報の取得(S304)に戻り、ガス使用量LGの算出を繰り返す。ガス使用状態の異常監視では、既述のように日ごとのガス使用量LGまたは算出した平均ガス使用量とガス使用量閾値LGXとの対比を行うほか、日ごとのガス使用量LGの変化量などを利用して判断してもよい。
【0056】
管理サーバー4は、ガス使用状態が異常であると判断した場合(S308のYES)、ガス切れ予測日および配送日を再計算し(S309)、各ガス供給先10を所定の条件により区分する、ガス配送区分の調整を行う(S310)。ガス供給先10の配送区分の条件は、たとえば配送日とともに配送先の住所や配送ルートなどの配送条件に基づいて区分処理を行えばよい。
そして管理サーバー4は、ガス配送指示を作成し、配送者端末12に送信する(S311)。
管理サーバー4は、ガス使用状態が異常でないと判断した場合(S308のNO)、既に設定されているガス切れ予測日および配送日を維持してガス送信指示を作成し配送者に送信する(S311)。
【0057】
また、管理サーバー4は、ガス容器の残ガス量LGrが閾値LGE以下となったと判断した場合(S306のYES)、ガス配送区分の調整処理(S310)に移行させて、ガス切れ予測日や配送日の算出を行わずに、優先的にガス容器を配送させるように、ガス配送区分を調整させ、ガス送信指示を作成し配送者に送信する(S311)。この閾値LGE以下と判断した場合のガス配送区分の調整では、たとえば判断した当日、またはより直近の配送区分にガス切れとなる可能性が高いガス供給先を割込ませる。
【0058】
配送者端末12は、管理サーバー4からガス配送指示を受信すると(S312)、指示内容に従って、ガス容器の配送および交換処理を開始する。
なお、配送者端末12は、管理サーバー4にアクセスし、または管理サーバー4に対してガス配送管理の経過や管理情報を要求することで、管理情報画面120や配送指示画面128、ガス容量管理画面132A、132Bなどを受信することができる。
【0059】
<第2の実施形態の効果>
斯かる構成によれば、以下のような効果が期待できる。
(1) 第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(2) ガス使用傾向に基づくガス切れ予測の精度を向上できるとともに、残ガス量の少ない状態でのガス配送処理を実行できる。
(3) ガス使用量に基づくガス配送管理と残ガス量の監視を組み合せることで、急激なガス消費量の増加が発生しても、ガス切れが発生するリスクを低減できる。
【0060】
〔変形例〕
【0061】
以上説明した実施形態について、変形例を以下に列挙する。
【0062】
(1) 上記実施形態では、ガス管理システム2は、ガス使用状態の監視処理として、設定日数x内でガス使用量LGがガス使用量閾値LGXを超えた日があるか否かでガス使用状態が異常か否かを判断しているがこれに限らない。この監視処理では、たとえばガス使用量LGがガス使用量閾値LGXを超えた日が複数ある場合にガス使用状態の異常と判断してもよく、または設定日数x内で算出したガス使用量LGの合計値や1日ごとの平均値を利用してガスの使用状態が異常か否かを判断してもよい。これにより、数日分のガス使用量やその平均値をとり、監視期間内のガス使用傾向によってガス使用状態を把握することで、一時的なガス使用量の増減による影響が少なくなり、ガス切れ予測日の再計算や配送日調整の負荷を軽減できる。
【0063】
(2) 上記実施形態では、管理サーバー4は異常監視として、上限のガス使用量閾値LGXを設定し、この値よりもガス使用量LGが多い場合を異常と判断する場合を示したがこれに限らない。異常の判断では、たとえば下限のガス使用量閾値LGXを設定し、ガス使用量LGがガス使用量閾値LGXよりも少ない場合を異常と判断してもよい。また管理サーバー4は、少なくとも上限と下限の2つのガス使用量閾値LGXを設定し、ガス使用量LGがこれらの閾値LGXの範囲外にある場合を異常と判断してもよい。すなわち、ガス配送管理では、たとえばガス使用量が低減した場合、先に設定した配送日を維持すると、残ガス量が多くなるため、作業者の負荷が増加することになる。そのためガス配送管理では、先に算出したガス切れ予測日および設定した配送日にずれが生じるようなガスの使用があった場合をガス使用状態の異常と判断してもよい。
【0064】
(3) 上記実施形態では、ガス使用状態を監視するガス配送予測算出処理のタイミングの期間として、設定日数xを固定値とした場合を示したがこれに限らない。設定日数xは、たとえばガス供給先10の過去のガス使用実績などを考慮した変動値としてもよい。すなわち、管理サーバー4は、監視対象のガス供給先10について、過去にガス使用状態が異常と判断された回数や頻度が小さい場合、ガスの異常使用が発生する可能性は少ないと判断し、設定日数xを大きな値に設定することで、ガス切れ予測日や配送日の再計算処理の負荷を軽減することができる。
そのほか、管理サーバー4は、たとえばガス供給先10の過去のガス使用履歴に基づき、季節または月ごとに設定日数xを変動させてもよい。
【0065】
さらに、管理サーバー4は、ガス容器交換直後から残ガス量LGrが少なくなるのに応じて、ガス使用状態の監視期間である設定日数xが少なくなるように変動させてもよい。これにより、ガス容器の交換直後などガス切れの発生リスクが少ない状態のときに設定日数xを長く設定することでガス使用状態の監視処理およびガス切れ予測日の再計算の頻度を減らして、処理負荷の軽減を図る。また、管理サーバー4は、ガスの使用が進み、残ガス量LGrが少なくなってきたときに設定日数xを小さくして高い頻度でガス使用状態を監視して、ガス使用量が突発的に多くなった場合でも、ガス切れ予測日の精度を高めることができ、ガス切れが発生するリスクを軽減できる。そのほか、設定日数xは、たとえばガス供給先10におけるガス使用形態の違いを考慮して期間を設定してもよい。設定日数xは、たとえばガス使用量が多い飲食点の場合と、ガスを使用量が少ない会社やオフィスなどの場合とでは、異なる設定日数xを用いてガス使用の異常状態を判断してもよい。
【0066】
(4) 上記実施形態では、全てのガス供給先10に対して同じガス使用量閾値LGXを利用してガス使用状態に異常があるか否かを判断する場合を示したがこれに限らない。ガス使用量閾値LGXは、たとえばガス供給先10の過去のガス使用履歴により変動させてもよい。
【0067】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、所定期間におけるガス供給先のガス使用状態を監視して、その使用状態が異常である場合にガス切れ予測日や配送日を再計算することで、ガス切れの発生リスクを低減させつつ、再計算の処理負荷を軽減することができ、有用である。
【符号の説明】
【0069】
2 ガス管理システム
4 管理サーバー
6 情報提示部
8 情報入力部
10、10-1、10-2、10-3、・・・、10-N ガス供給先
12、12-1、12-2、12-3、・・・、12-N 配送者端末
14 管理者端末
20 指針情報源
22、22-1、22-2、22-3、・・・、22-N ガス配送管理ファイル
24 ガス供給先情報部
26 ガス供給情報部
28 指針情報部
30 ガス使用量情報部
32 積算情報部
34 異常情報部
36 再計算情報部
38、76 ガス切れ予測日部
40 ガス配送日部
42 配送条件部
44、44-1、44-2、44-3、・・・、4-N 随時検針ファイル
46 検針日時部
48 ガスメーター指針部
50 前回からのガス使用量部
52 残ガス量情報部
54 配送条件データベース
56、66 ガス供給先部
58 配送条件部
60 所要時間部
62 記録日時部
64 配送区分テーブル
68 設置場所部
70 容器設置容量部
72 設置本数部
74 交換方法部
78 配送日部
80-1、80-2 ガス容器
82 ガスメーター
84 ガス機器
86 切替器
88 通信部
90 中継部
92 ネットワーク
112 情報提示部
114 操作入力部
120 管理情報画面
122 ガス管理情報提示部
124 指針情報提示部
126 配送管理情報提示部
128 配送指示画面
129 優先度情報
130A、130B 表示部
132A、132B ガス容量管理画面
134A、134B 残ガス量提示部
136A 配送日情報
136B 充填日情報
138A、138B ガス切れ予測日情報
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