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特許7591850ソリューションマッチングシステムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ソリューションマッチングシステムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20241122BHJP
【FI】
G06Q10/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024016407
(22)【出願日】2024-02-06
【審査請求日】2024-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】523088176
【氏名又は名称】BigM株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185317
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】村儀 実
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-30568(JP,A)
【文献】特開2018-10415(JP,A)
【文献】特開2023-10246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のプロセッサを備え、
前記1または複数のプロセッサは、
複数のソリューション提供者からソリューションに関する提供条件の入力を受け付け、
ソリューション利用者からプロジェクトに関する要件についてのテキストの入力を受け付け、
前記テキストを対象とした要因分析により導出された要因と、前記要因に関連付けられた前記提供条件と、を表示し、
前記要因に関連付けられた前記提供条件に基づいて前記ソリューションを表示させる、
ソリューションマッチングシステム。
【請求項2】
前記提供条件は、サプライチェーン管理範囲に関連する条件であり、
前記要件は、前記ソリューション利用者の関与するプロジェクトの課題又は目標である、
請求項1に記載されたソリューションマッチングシステム。
【請求項3】
前記1または複数のプロセッサは、
さらに前記ソリューション提供者から入力された前記サプライチェーン管理範囲の項目の重み付けを利用してスコアを算出する、
請求項2に記載のソリューションマッチングシステム。
【請求項4】
前記1または複数のプロセッサは、
さらに、前記ソリューション提供者及び前記ソリューション利用者から、それぞれ予算規模及び遂行期間の入力を受け付け、
前記予算規模又は前記遂行期間を含めてスコアを計算する、
請求項1又は請求項2に記載のソリューションマッチングシステム。
【請求項5】
コンピュータに、
複数のソリューション提供者からソリューションに関する提供条件の入力を受け付ける機能と、
ソリューション利用者からプロジェクトに関する要件についてのテキストの入力を受け付ける機能と、
前記テキストを対象とした要因分析により導出された要因と、前記要因に関連付けられた前記提供条件と、を表示する機能と、
前記要因毎に、前記提供条件に基づいたスコアを算出する機能と、
前記算出されたスコアに基づいて前記ソリューションを表示させる機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソリューションマッチングシステムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、ソリューションの提供者による提供条件及びソリューション利用者による利用条件に基づく取引を支援するマッチングシステムがある。
【0003】
特許文献1には、ソリューションの提供者による提供条件及び購入者による購入条件に基づくソリューションの取引の交渉を支援するソリューションマッチングシステムが記載されている。ソリューションマッチングシステムの記憶部は、過去に取引が交渉されたソリューションの提供条件及び購入条件で対応付けられる条件項目の項目値の組合せ毎に、各項目値の組合せを有する提供条件及び購入条件でソリューションの取引が成約した成約率を記憶する。ソリューションマッチングシステムの適合度算出部は、記憶部を参照して、ソリューションの提供者による提供条件及び購入者による購入条件で対応付けられる条件項目の項目値の組合せに該当する成約率に応じたスコアを算出し、スコアから、提供条件及び購入条件に基づいてソリューションの取引が成約する可能性の度合いを示す適合度を算出する。ソリューションマッチングシステムは、適合度の高い順にソリューションを表示画面に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-152760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術は、ソリューションの提供者による提供条件及び利用者による利用条件で対応付けられる条件項目の項目値の組合せに該当する成約率に基づいて、適合度を算出している。しかしながら、上記の従来技術では、提供されるソリューションが解決し得る要素と利用者が真に必要とする条件とが適切に一致しておらず、最適なソリューションを提示できないおそれがある。また、過去の実績が存在しない場合には、上記の従来技術では、適切な適合度を算出することができないおそれもある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザの関与するプロジェクトの要件に合致するソリューションを提示できるマッチングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、1または複数のプロセッサを備え、前記1または複数のプロセッサは、複数のソリューション提供者からソリューションに関する提供条件の入力を受け付け、ソリューション利用者からプロジェクトに関する要件の入力を受け付け、前記要件に基づいて要因分析した結果である要因と前記提供条件とを関連付けた結果を表示し、前記要因に関連付けられた前記提供条件に基づいて前記ソリューションを表示させる、ソリューションマッチングシステムである。
請求項2に記載された発明は、前記提供条件は、サプライチェーン管理範囲に関連する条件であり、前記要件は、前記ソリューション利用者の関与するプロジェクトの課題又は目標である、請求項1に記載されたソリューションマッチングシステムである。
請求項3に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、さらに前記ソリューション提供者から入力された前記サプライチェーン管理範囲の項目の重み付けを利用してスコアを算出する、請求項2に記載のソリューションマッチングシステムである。
請求項4に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、さらに、前記ソリューション提供者及び前記ソリューション利用者から、それぞれ予算規模及び遂行期間の入力を受け付け、前記予算規模又は前記遂行期間を含めてスコアを計算する、請求項1又は請求項2に記載のソリューションマッチングシステムである。
請求項5に記載された発明は、コンピュータに、複数のソリューション提供者からソリューションに関する提供条件の入力を受け付ける機能と、ソリューション利用者からプロジェクトに関する要件の入力を受け付ける機能と、前記要件に基づいて要因分析した結果である要因と前記提供条件とを関連付けた結果に基づいて計算されたスコアを算出する機能と、前記算出されたスコアに基づいて前記ソリューションを表示させる機能と、を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザに対しプロジェクトの要件に合致するソリューションを提示できるマッチングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態が適用されるマッチングシステムの全体構成を示す図である。
図2】マッチングシステムのサーバの機能構成を示す図である。
図3】(A)は、提供者端末装置におけるユーザアカウント入力画面を示す図であり、(B)は、提供者端末装置における企業アカウント入力画面を示す図である。
図4】提供者端末装置におけるソリューションの説明とスローガンの入力画面を示す図である。
図5】提供者端末装置におけるソリューションの提供条件の入力画面を示す図である。
図6】(A)は、提供者端末装置におけるソリューションの予算規模の入力画面を示す図である。(B)は、提供者端末装置における実装プロジェクトの期間の入力画面を示す図である。
図7】(A)は、利用者端末装置における利用者の個人情報を示す図であり、(B)は、利用者端末装置におけるプロジェクトに関する情報の入力画面を示す図である。
図8】利用者端末装置におけるプロジェクトに関する要件の入力画面を示す図である。
図9】利用者端末装置における課題と目標を要因分析した結果を要因分析図として表示した図である。
図10】要因とサプライチェーンのスコープとを関連付けた結果を示す図である。
図11】利用者端末装置におけるマッチしたソリューションを表示する画面を示す図である。
図12】マッチングシステムにおける処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るマッチングシステムについて、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
(第一の実施形態)
図1は、本実施の形態が適用されるマッチングシステムの全体構成を示す図である。
本実施の形態におけるマッチングシステム1は、ソリューション提供者とソリューション利用者とのマッチングを行うマッチングサーバ10と、ソリューション提供者の使用する提供者端末装置20と、ソリューション利用者の使用する利用者端末装置30と、言語処理サーバ40と、それらを繋ぐネットワーク50とから構成されるシステムである。
【0012】
マッチングサーバ10は、例えばワークステーション、デスクトップPC、ノートPCなどであるコンピュータ装置で構成される。マッチングサーバ10は、ソリューション提供者の入力したソリューションと、ソリューション利用者の関与しているプロジェクトの課題及び/又は目標の情報とに基づき、マッチングの処理を実行するサーバである。マッチングサーバ10の機能構成については、後述する。
【0013】
提供者端末装置20及び利用者端末装置30は、例えばスマートフォン、タブレット、ノート型パソコン、デスクトップパソコンなどであるコンピュータ端末装置で構成される。提供者端末装置20及び利用者端末装置30は、装置全体を制御するプロセッサ(CPU(Central Processing Unit))である制御部と、演算に際して作業エリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)などのメモリと、プログラムや各種設定データなどの記憶に用いられるHDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリ等の記憶装置である記憶部と、を有している。また、提供者端末装置20及び利用者端末装置30は、ネットワーク50を介して音声やテキストデータの送受信等を行う通信部を有している。更に、提供者端末装置20はソリューション提供者からの、利用者端末装置30はソリューション利用者からの入力操作を受け付けるタッチパネル、キーボード、ポインティングデバイスなどの操作部と、画像やテキスト情報などを表示する液晶ディスプレイなどからなる表示部と、表示部を制御する表示制御部とを有している。
【0014】
言語処理サーバ40は、大規模言語モデル(Large Language Model)を格納するサーバである。大規模言語モデルは、大量のデータとディープラーニング(深層学習)技術によって構築された言語モデルであり、さまざまな入力テキストを分析した結果を出力することができる。例えば、プロジェクトの要件に関する課題及び/又は目標の入力テキストを分析し、その要件の原因となる要因を明確にする要因分析を行うことにより、要因を出力することができる。大規模言語モデルは、公知の技術を使うことができる。例えば、OpenAI社のCHATGPT(登録商標)を利用することもできる。
【0015】
ネットワーク50は、例えば、インターネットなどのネットワークであり、ソリューション提供者は、提供者端末装置20からインターネットを介して、マッチングサービス画面にアクセスすることができる。例えば、ソリューション利用者は、利用者端末装置30からインターネットを介して、マッチングサービス画面にアクセスすることができる。例えば、マッチングサーバ10は、提供者端末装置20及び利用者端末装置30から入力されたソリューション提供者のソリューションの情報と利用者のプロジェクトの情報とをインターネットを介して受信し、プロジェクトにマッチするソリューションを算出し、マッチしたソリューションの情報を利用者端末装置30に送信する。
【0016】
図2は、マッチングサーバ10の機能構成を示す図である。マッチングサーバ10は、装置全体を制御するプロセッサ(CPU(Central Processing Unit))である制御部11と、演算に際して作業エリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)などのメモリ12と、プログラムや各種設定データなどの記憶に用いられるHDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリ等の記憶装置である記憶部13と、を有している。また、ネットワーク50を介してデータの送受信を行う通信部14を有している。更に、マッチングサーバ10側の操作者からの入力操作を受け付けるキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネルなどの操作部15と、サーバ利用者に対して画像やテキスト情報などを表示する液晶ディスプレイなどからなる表示部16と、前記入力操作により入力データを受け付ける受付部17とを有している。
記憶部13には、ソリューション提供者情報13a、ソリューション情報13b、ソリューション利用者情報13c、プロジェクト情報13d、分析データ13eなどが格納されている。
データ処理部18は、ソリューション利用者の入力した課題及び/又は目標のテキストを対象として要因分析する要因分析実行部18aと、要因分析した要因とサプライチェーン管理範囲とを関連付ける分類遂行部18bと、ソリューション利用者のプロジェクトとソリューションの適合度を算出するスコア算定部18cと、スコアに基づいてソリューションを特定するソリューション特定部18dとを備えている。
【0017】
要因分析実行部18aは、ソリューション利用者の入力した課題又は目標のテキストを対象として要因分析を行う。マッチングサーバ10内に格納された要因分析実行部18aが、要因分析を全て実行してもよいし、クラウド上の他のサーバに処理させてもよい。例えば、マッチングサーバ10は、ソリューション利用者により入力された課題又は目標を、言語処理サーバ40に送信し、要因分析を実行した言語処理サーバ40から実行結果をマッチングサーバ10が受信するという形態であっても構わない。要因分析とは、プロジェクトの課題又は目標に関する文章を分析することにより、要因を導き出す分析手法である。例えば、「欠品増加」という課題について要因分析を実行すると、市場需要の急増、生産能力の不足、需要予測の不正確さ、入庫・在庫管理の遅延、製造プロセスの効率低下、原材料供給の遅延、途中工程の品質問題、販売データの不足、予測モデルの精度低下、輸送手段の制約、仕入先の遅延、機械のメンテナンス不足、作業者のスキル不足、仕入先の生産能力不足、検査スキップ、機械故障による生産停止、運送会社のストライキ、交通渋滞の増加、調達先の生産能力不足などの要因が結果として導き出される。上記の課題の例の他に、「過剰在庫の多発」という課題などでもよく、ソリューションを利用者の関与するプロジェクトの課題を文章で表現したものであればよい。
また、目標の例としては「サプライチェーンネットワーク内のリスクを低減する」や、「サプライチェーン内のCO2排出量を半減する」などであってもよい。要因分析実行部18aでは、ソリューション利用者の入力した課題又は目標のテキストを対象として言語モデルが因果関係に関する分析である要因分析を行い、課題又は目標の要因を特定する。要因分析自体は、OpenAI社のCHATGPT(登録商標)が提供する公知のツールを用いてもよい。
【0018】
分類遂行部18bは、サプライチェーンの管理範囲の要素を、要因分析された要因に分類する作業を実行する。例えば、交通渋滞の増加という要因には、輸送計画、輸送ルートの策定、サプライチェーン計画というサプライチェーン管理範囲の項目が関連付けされる。ただし、1つの要素には、複数のサプライチェーン管理範囲の項目が関連付けられると同時に1つのサプライチェーン管理範囲の項目であっても、複数の要素と関連付けられる。
【0019】
スコア算定部18cは、プロジェクトに対するソリューションの適合度を示すスコアを計算する。各ソリューションについてソリューション利用者が選択した要因に対して1つのスコアが計算される。複数の一致するステージ・プロセスがある場合はその数分「加算」されスコアが計算される。
また、スコアの算定については、単に関連付けられたサプライチェーン管理範囲の要素の個数をカウントしてもよいが、より好ましくは、ソリューション提供者が入力したサプライチェーン管理範囲の要素の重みを反映させたカウントをすることが望ましい。重み係数の大きいサプライチェーン管理範囲の要素がより反映されたスコアが算出されることになれば、プロジェクトの課題及び目標により合致したソリューションをマッチングさせることができる。
【0020】
ソリューション特定部18dは、スコア算定部18cが算定したスコアに基づいてソリューションを特定する。ソリューション特定部18dは、算定されたスコアの高い順にソリューション利用者に提示するマッチング候補を特定し、さらに、ソリューション利用者の選択したソリューションを利用ソリューションの候補として特定する。
【0021】
図3(A)は、提供者端末装置20におけるユーザアカウント入力画面を示す図であり、図3(B)は、提供者端末装置20における企業アカウント入力画面を示す図である。
図3(A)のユーザアカウント入力画面は、ソリューション提供者側の担当者の名前、企業名、部署名、役職、業種、メールアドレスなどを入力する画面である。ソリューション利用者は、マッチしたソリューションの提供者に連絡をする場合には、ここで入力されたメールアドレス宛に連絡をすることができる。ソリューション提供者は、アカウント作成の確定ボタンをクリックすることで、次に、図3(B)の企業アカウント入力画面に遷移させることができる。図3(B)の企業アカウント入力画面は、ソリューション提供者である企業名、就業者数、本社所在地、設立年、ウェブサイトのURLなどを入力する画面である。ソリューション利用者は、マッチしたソリューションの提供者の企業情報を確認する場合には、ここで入力されたウェブサイトのURLを確認することができる。
図3(A)及び(B)の表示画面は、Webサイト上に用意された入力画面を表示するものであってもよく、提供者端末装置20にインストールされたアプリケーションプログラムが表示するものであってもよい。図3(B)に示す画面において、ソリューション提供者は、アカウント作成の確定ボタンをクリックすることにより、次の図4に示す画面に遷移させることができる。
【0022】
図4は、提供者端末装置20におけるソリューションの説明とスローガンの入力画面を示す図である。ソリューション提供者は、ソリューション名とソリューションの説明、スローガンを入力することができる。ここで入力された情報は、ソリューション利用者がマッチしたソリューションの名称や内容を確認する際に表示されることになる。ソリューション提供者は、作成ボタンをクリックすることで、次に、図5に示す画面に遷移させることができる。
【0023】
図5は、提供者端末装置20におけるソリューションの提供条件の入力画面を示す図である。入力画面において、ソリューション提供者が、提供するソリューションの提供条件として、例えばサプライチェーン管理範囲を入力する。例えば、サプライチェーン管理範囲には、サプライチェーン管理ステージとサプライチェーン管理プロセスがある。サプライチェーン管理ステージには、設計ステージ、計画ステージ、実行ステージがある。より初期段階のプロジェクトには、設計要素が高く、成熟段階のプロジェクトでは、より具体的な計画や実行が求められる。それぞれのステージに重点が置かれたソリューションの特徴を提供条件として反映させるために、ソリューション提供者は、それぞれのステージについて重みを入力することができる。例えば、図5においては、「設計」が70%、「計画」が30%の比重で入力されている。サプライチェーン管理ステージの各項目の比重の合計は100%になるように入力される。「実行」については、比重が入力されていないので0%として扱われる。
また、サプライチェーン管理プロセスは、ソリューションが解決する具体的なプロセスであり、ネットワーク設計、IBP/S&OP(統合事業計画/販売事業計画)、需要予測、需要計画、注文管理、供給計画、在庫計画、サプライヤー管理、倉庫管理、輸送管理などの項目が用意されている。図5に示す画面例では、「ネットワーク設計」が50%、「供給計画」が30%、「在庫計画」が20%の比重で入力されている。サプライチェーン管理プロセスの各項目の比重の合計は100%になるように入力される。比重が入力されていない項目は0%として扱われる。
【0024】
上述のサプライチェーン管理範囲は、ソリューション提供者が提供するソリューションの提供条件であり、後述するソリューション利用者のプロジェクトとマッチングさせる際に考慮される条件である。上記のように詳細な提供条件を入力することにより、ソリューション利用者のプロジェクトの課題及び目標に合致した最適なソリューションをマッチさせることが可能になる。
【0025】
図6(A)は、提供者端末装置20におけるソリューションの予算規模の入力画面を示す図である。ソリューション提供者は、図6(A)に示す画面において、ソリューションに関する予算規模を入力することができる。ソリューション提供者は、最低金額と最大金額とを入力することで予算金額の範囲を入力することができるし、テキスト入力欄に直接金額を入力することもできる。
ソリューションの予算規模には、ソリューションにおいて使用するソフトウェア等のライセンス料に関わる予算と、導入サービスに関わる予算とがある。図6(A)に示すように、これらをそれぞれ分けて入力することができる。
図6(B)は、提供者端末装置20における実装プロジェクトの期間の入力画面を示す図である。ソリューション提供者は、図6(B)に示す画面において、ソリューションに関する実装プロジェクトの期間を入力することができる。実装プロジェクトの期間としては、最小期間と最大期間を入力することができる。
また、ソリューションの情報リソースを登録しておくことができる。図6(B)では、ソリューションに関するビデオやソリューション情報を説明する資料を登録できる画面となっている。ソリューション利用者は、マッチしたソリューションに関する内容を確認する場合には、ここで入力された紹介ビデオや説明資料を閲覧することができる。
【0026】
図7(A)は、利用者端末装置30における利用者の個人情報を示す図であり、(B)は、利用者端末装置30におけるプロジェクトに関する情報の入力画面を示す図である。
図7(A)のソリューション利用者のカウント入力画面は、ソリューション利用者である担当者の名前、企業名、部署名、役職、業種などを入力する画面である。ソリューション利用者は、アカウントの作成ボタンをクリックすることで、次に、図7(B)のプロジェクトの入力画面に遷移させることができる。図7(B)のプロジェクトの入力画面において、ソリューション利用者が関与しているプロジェクトの名称、プロジェクトの説明、最小予算と最大予算で表される予算規模、プロジェクトの開始日と終了日の予定を入力することができる。入力された予算規模とプロジェクト期間は、ソリューションをマッチングする際に考慮される要素である。ソリューション利用者は、作成ボタンをクリックすることで、図8の画面に遷移させることができる。
【0027】
図8は、利用者端末装置30におけるプロジェクトに関する要件の入力画面を示す図である。ソリューション利用者は、通常、ソリューションの適用を必要とするプロジェクトを抱えている。ソリューション利用者は、プロジェクトに関する要件として、プロジェクトの課題や目標をそれぞれの入力欄に文章テキストとして入力することができる。例えば、課題入力欄には、「注文を受けた商品の欠品が増加しており苦慮している」、目標欄には、「欠品をなくし、注文数量を確実に納品したい」のように入力される。入力された課題及び目標は、確定ボタンをクリックすることで確定される。
【0028】
図9は、利用者端末装置30における課題と目標を要因分析した結果を要因分析図として表示した図である。例えば、ソリューション利用者が入力したプロジェクトの課題及び目標は、利用者端末装置30からマッチングサーバ10に送信されて、記憶部13に記憶されるとともに、言語処理サーバ40にも送信され、言語処理サーバ40にて、要因分析が実行される。要因分析された結果としての要因データは、マッチングサーバ10に送信されて記憶されるとともに、利用者端末装置30にも送信され、図9に示す要因分析図として表示される。例えば、課題及び目標であった欠品増加の要因分析結果として、市場需要の急増、生産能力の不足、需要予測の不正確さ、入庫・在庫管理の遅延、製造プロセスの効率低下、原材料供給の遅延、途中工程の品質問題、販売データの不足、予測モデルの精度低下、輸送手段の制約、仕入先の遅延、機械のメンテナンス不足、作業者のスキル不足、仕入先の生産能力不足、検査スキップ、機械故障による生産停止、運送会社のストライキ、交通渋滞の増加、調達先の生産能力不足などが挙げられる。
【0029】
図10は、要因とサプライチェーンのスコープとを関連付けた結果を示す図である。図10には、特定プロジェクトに関して、要因分析された要因が各行に記載されている。各行の要因に対し、分類されたタグ欄には、ソリューション提供者の提供条件である、サプライチェーン管理範囲が表示されている。つまり、各要因に対し関連する1以上のサプライチェーン管理範囲が関連付けられていることになる。例えば、この関連付けは、言語処理サーバ40が実行する。関連付け処理が行われる前の全ての要因と全てのサプライチェーン管理範囲の情報は、言語処理サーバ40に送信される。言語処理サーバ40では、要因別にサプライチェーン管理範囲の項目を分類処理される。分類結果は、マッチングサーバ10に送信され、図10に示す表が作成され、利用者端末装置30の外面に、Web画面として表示される。
【0030】
ソリューション利用者は、図10に示す表示画面における「Match」ボタンをクリックすると、プロジェクトの要因に関連付けられたサプライチェーン管理範囲をカウントすることにより、プロジェクトに対するソリューションの適合度を示すスコアを計算する。各ソリューションについてソリューション利用者が選択した要因に対して1つのスコアが計算される。複数の一致するステージ・プロセスがある場合はその数分「加算」されスコアが計算される。
また、スコアの算定については、単に関連付けられたサプライチェーン管理範囲の要素の個数をカウントしてもよいが、より好ましくは、ソリューション提供者が入力したサプライチェーン管理範囲の要素の重みを反映させたカウントをすることが望ましい。重み係数の大きいサプライチェーン管理範囲の要素がより反映されたスコアが算出されることになれば、プロジェクトの課題及び目標により合致したソリューションをマッチングさせることができる。
【0031】
例えば、ソリューション利用者は、図10に示す画面において、要因分析された結果である要因のうちから「入庫・在庫管理の遅延」を選択した場合、スコア算定部18cは、「入庫・在庫管理の遅延」に関連付けられた、ソリューション提供条件であるサプライチェーン管理範囲の項目として「在庫計画」「供給計画」「在庫管理」「サプライチェーン計画」の4項目をカウントし、スコアを4として算定することもできる。重みを反映した算定手法であれば、関連付けられた項目のうち「在庫計画」が20%、「供給計画」が30%と設定されているソリューションの場合には、0.2と0.3とを加算してスコアを0.5と算定することもできる。
【0032】
図11は、利用者端末装置30におけるマッチしたソリューションを表示する画面を示す図である。前述のように、ソリューション利用者の関与するプロジェクトに対し、各ソリューションのスコアが計算される。ソリューション利用者に対し、高いスコアを優先的に利用者端末装置30に表示させることで、ソリューション利用者は、自分のプロジェクトに最適なソリューションを見つけることができる。図11の例では、最適と思われるソリューションは、a社の提供するソリューションAAAであり、次にb社の提供するソリューションBBBである。ソリューション利用者は、マッチング結果として表示されたソリューションの内容を確認し、ソリューション提供者に対し、メールを送信するなどして、取引を開始することができる。
【0033】
図3から図11の表示画面は、マッチングサーバ10から送信されたデータに基づいて表示されるWebサイトの表示としての入力画面であってもよく、提供者端末装置20又は利用者端末装置30にインストールされたアプリケーションプログラムが表示するものであってもよい。
【0034】
〔マッチングシステムの処理〕
図12は、マッチングシステムにおける処理の流れを示す図である。マッチングサービスを実行するアプリケーションプログラムがマッチングサーバ10、提供者端末装置20、利用者端末装置30にインストールされているか、インターネット上にマッチングサイトのプラットフォームを表示するWebサイトが構築されていることを前提に、以下の処理が実行される。
図2に示す制御部11は、ユーザからの開始の指定を受けてマッチングシステムの利用者端末装置30にインストールされた対話アプリケーションの処理を開始する(START)。次に、ソリューション提供者が連絡先を含むアカウント情報を入力すると、記憶部13はアカウント情報を記憶する(ステップ1)。次に、記憶部13は、ソリューション提供者が入力したソリューションの提供条件等の情報を記憶する(ステップ2)。記憶部13は、ソリューション利用者のアカウント情報を記憶する(ステップ3)。次に、記憶部13は、プロジェクトに関する要件等の情報を記憶する(ステップ4)。さらに、要因分析実行部18aは、プロジェクトの課題及び目標に基づき、要因分析を行う(ステップ5)。分類遂行部18bは、要因分析の結果である要因とソリューションの提供条件とを関連付ける(ステップ6)。そして、スコア算定部18cは、プロジェクトの要因に関連するソリューションの提供条件の要素をカウントすることで適合度に関するスコアを計算する(ステップ7)。ここで、スコア算定部18cは、ソリューション提供者側の提供条件である予算と期間と、ソリューション利用者側の要件である予算と期間との一致度が高いほど、スコアを増加させる処理を行う(ステップ8)。ソリューション特定部18dは、算出されたスコアの高い順に、利用者端末装置30の画面にマッチング候補として表示するソリューションを特定する。ソリューション利用者は、プロジェクトにマッチしていると提案された候補であるソリューションの内容を確認することで、利用したいソリューションを特定する(ステップ10)。利用者端末装置30に特定されたソリューション提供者の連絡先が表示される(ステップ11)。特定されたソリューション提供者のメールアドレスに、ソリューション利用者からソリューションを利用することに関心がある旨のメールが届く(ステップ12)。マッチングシステムを終了する場合、画面上の終了ボタンなどをタッチすることによりインストールされたマッチングアプリケーションの処理は終了する、又はWebサイト上のマッチングプラットフォームからログアウトすることにより、マッチングの一連の動作は終了する(END)。
【0035】
マッチングサーバ10、提供者端末装置20、利用者端末装置30のCPU、又はそれらに接続される各種装置などに用いられるCPUによって、本件における「1または複数のプロセッサ」を構成し、本実施の形態における各種機能を実現している。
また、図1に示すマッチングサーバ10や利用者端末装置30の各種構成は、必ずしも筐体を同じくする必要はなく、システムとして把握される態様がある。本体装置と筐体が異なる場合には、有線または無線で接続される。
【0036】
また、本実施形態においては、対話に用いられる言語の変換についても、適宜行われるものとする。ソリューション提供者及び利用者の入力する言語と言語処理サーバ40で扱う言語が異なっていても、マッチングサーバ10、提供者端末装置20、利用者端末装置30、言語処理サーバ40、その他のクラウド上の翻訳サイトなどのいずれかを利用するものであればよい。
【0037】
また、本実施形態においては、言語処理サーバ40とネットワーク50を介して送受信する実施形態を例に説明したが、マッチングサーバ10に要因分析や分類処理ができる言語処理モデルを具備できるのであれば、言語処理サーバ40とマッチングサーバ10とは統合することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1…マッチングシステム、10…マッチングサーバ、11…制御部、12…メモリ、13…記憶部、14…通信部、15…操作部、16…表示部、17…受付部、18…データ処理部、18a…要因分析実行部、18b…分類遂行部、18c…スコア算定部、18d…ソリューション特定部、20…提供者端末装置、30…利用者端末装置、40…言語処理サーバ、50…ネットワーク
【要約】
【課題】ユーザの関与するプロジェクトの要件に合致するソリューションを提示できるマッチングシステムを提供する。
【解決手段】本発明のマッチングシステムは、ソリューションの提供条件であるサプライチェーン管理範囲と、プロジェクトに関する要件であるプロジェクトの課題及び目標の入力を受け付ける。そして、マッチングシステムは、課題及び目標を要因分析した結果である要因とサプライチェーンの管理範囲の項目とを関連付けて、プロジェクトの要因別に関連付けられたサプライチェーン管理範囲の項目をカウントする。マッチングシステムは、カウントされたスコアの高い順に、マッチしたソリューションとしてユーザに対し提示する。
【選択図】図1
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