(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】外装材支持構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
E04F13/08 101K
(21)【出願番号】P 2024075275
(22)【出願日】2024-05-07
【審査請求日】2024-05-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500332984
【氏名又は名称】株式会社ヒロコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 洋
(72)【発明者】
【氏名】小貫 勝代
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特許第6671739(JP,B1)
【文献】特許第6406684(JP,B1)
【文献】特許第6238268(JP,B1)
【文献】特開平6-322933(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0096251(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に固定される下地材と、
前記下地材の前面に
当接させて左端から右端まで渡
すように留められる横長の
金具の一部に切込みを入れて前側に押し出すことで隙間を形成させたブリッジ及び当該金具の一部に切込みを入れて折り曲げることで水平位置まで立てることが可能なツメを設けた支持金具と、
立てた前記ツメに載置されて前記支持金具で支えられた状態で前記
ブリッジに絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、
前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、
前記補強ボードを前記支持金具に係止させるためのボード保持金具と、を有し、
前記ボード保持金具は、クランク状に折り曲げられた一端が前記下地材と前記支持金具の間に
挟むことで留められ、
バネ状にした他端が前記外装材と前記補強ボードの間
に挿し込まれて弾力によって前記補強ボードを係止する、
ことを特徴とする外装材支持構造。
【請求項2】
建物の外壁に固定される下地材と、
前記下地材の前面に当接させて左端から右端まで渡すように留められる横長の金具の一部に切込みを入れて前側に押し出すことで隙間を形成させたブリッジ及び当該金具の一部に切込みを入れて折り曲げることで水平位置まで立てることが可能なツメを設けた支持金具と、
立てた前記ツメに載置されて前記支持金具で支えられた状態で前記ブリッジに絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、
前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、
前記補強ボードを前記支持金具に係止させるためのボード保持金具と、を有し、
前記ボード保持金具は、上下にクランク状に折り曲げられた一端が前記外装材と前記補強ボードの間に挟まれ、
バネ状にした他端が前記下地材と前記支持金具の間
で弾力によって支持されることで、一端側の前記補強ボードを係止する、
ことを特徴
とする外装材支持構造。
【請求項3】
建物の外壁に固定される下地材と、
前記下地材の前面に
当接させて左端から右端まで渡
すように留められる横長の
金具の一部に切込みを入れて前側に押し出すことで隙間を形成させたブリッジ及び当該金具の一部に切込みを入れて折り曲げることで水平位置まで立てることが可能なツメを設けた支持金具と、
立てた前記ツメに載置されて前記支持金具で支えられた状態で前記
ブリッジに絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、
前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、を有し、
前記支持金具は、上下が前記下地材から浮くように折り曲げられた先端が前記外装材と前記補強ボードの間に挟まれる、
ことを特徴とする外装材支持構造。
【請求項4】
建物の外壁に固定される下地材と、
前記下地材の前面に
当接させて左端から右端まで渡
すように留められる横長の
金具の一部に切込みを入れて前側に押し出すことで隙間を形成させたブリッジ及び当該金具の一部に切込みを入れて折り曲げることで水平位置まで立てることが可能なツメを設けた支持金具と、
立てた前記ツメに載置されて前記支持金具で支えられた状態で前記
ブリッジに絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、
前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、
フック状に折り曲げられた先端が前記外装材と前記補強ボードの間に弾力を持たせて挿し込まれるボード保持金具と、を有し、
前記ボード保持金具は、前記下地材の不陸を整えるために前記補強ボードから前記下地材に対してバネ状に押さえる調整板が設けられる、
ことを特徴とする外装材支持構造。
【請求項5】
建物の外壁に固定される下地材と、
前記下地材の前面に
当接させて配置される横長の
金具の一部に切込みを入れて前側に押し出すことで隙間を形成させたブリッジ及び当該金具の一部に切込みを入れて折り曲げることで水平位置まで立てることが可能なツメを設けた支持金具と、
立てた前記ツメに載置されて前記支持金具で支えられた状態で前記
ブリッジに絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、
前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、
上下が前記下地材から浮くように折り曲げられた一端が前記外装材と前記補強ボードの間に挟まれ
、他端が前記支持金具の左端とそれと隣接する支持金具の右端をそれらの前側から押さえるボード保持金具と、を有し、
前記ボード保持金具は、
前記支持金具の動きによって生じる歪みを吸収するための緩衝材が前記支持金具との間に配置される、
ことを特徴とする外装材支持構造。
【請求項6】
前記ボード保持金具は、前記補強ボードの下面との間を空け、そこに緩衝材を介在させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の外装材支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装材が割れないように補強すると共に、割れたとしても飛散するのを抑止する外装材支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁にタイル等の外装材を張る方法としては、水を使用する湿式工法と、水を使用しない乾式工法がある。湿式工法は、下地材に直接モルタルで外装材を貼り付ける方法であり、乾式工法は、下地材に固定した支持金具などに弾性接着剤で外装材を間接的に貼り付ける方法である。
【0003】
乾式タイル張り工法では、タイルの裏面と下地材との間に隙間が生じるため、タイルに対して外部から衝撃を受けると、タイルが割れる可能性があり、さらに割れたタイルの欠片が周囲に飛散する可能性がある。
【0004】
そのため、飛散防止対策として、タイルの裏面にブチルテープ等を全面に貼り付けたり、グラスファイバーメッシュを接着剤で塗り付けたりすることにより、タイルが割れても欠片が落ちたりしないようにしている。
【0005】
特許文献1に記載されているように、オフィスやマンションなどのビルあるいは戸建住宅の外壁用ブロック、タイルが万が一破砕しても、破砕したブロック、タイルの飛散・落下を防ぐ好適な飛散防止施工方法の発明も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明は、透湿防水性能を有する陶磁器からなるブロック、タイルの裏面にプライマーを塗工し、スパンボンド法による合繊長繊維不織布に熱接着性不織布を積層した補強シートを、熱接着性不織布面を介して加熱、積層し、固定したものである。割れたタイルの飛散防止としては有効ではあるが、タイルへの衝撃を緩和したり、タイルの強度を上げたり、タイルの割れ自体を防止する訳ではない。
【0008】
また、地震などで建物が揺れると歪みが生じて外装材が割れる可能性がある。そのため、下地材の中央に支持金具を留めて回動可能にすることで、揺れに対して追従させることがある。しかし、外装材が大型化すると、支持金具の端のほうが風圧等によって剥がれやすくなることから、支持金具の端部を下地材に固定すると、振動に対する歪みを吸収できなくなる。
【0009】
そこで、本発明は、外装材が割れないように補強すると共に、割れたとしても飛散するのを抑止する外装材支持構造を提供することを目的とする。さらに、建物の耐震性及び耐風圧性を確保することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明である外装材支持構造は、建物の外壁に固定される下地材と、前記下地材の前面に左端から右端まで渡される横長の支持金具と、前記支持金具で支えられた状態で前記支持金具に絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、前記補強ボードを前記支持金具に係止させるためのボード保持金具と、を有し、前記ボード保持金具は、クランク状に折り曲げられた一端が前記下地材と前記支持金具の間に挟まれ、他端が前記外装材と前記補強ボードの間に弾力を持たせて挿し込まれる、ことを特徴とする。
【0011】
また、前記外装材支持構造において、前記ボード保持金具は、上下にクランク状に折り曲げられた一端が前記外装材と前記補強ボードの間に挟まれ、他端が前記下地材と前記支持金具の間に弾力を持たせて挿し込まれる、ことを特徴とする。
【0012】
また、前記外装材支持構造は、建物の外壁に固定される下地材と、前記下地材の前面に左端から右端まで渡される横長の支持金具と、前記支持金具で支えられた状態で前記支持金具に絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、を有し、前記支持金具は、上下が前記下地材から浮くように折り曲げられた先端が前記外装材と前記補強ボードの間に挟まれる、ことを特徴とする。
【0013】
また、前記外装材支持構造は、建物の外壁に固定される下地材と、前記下地材の前面に左端から右端まで渡される横長の支持金具と、前記支持金具で支えられた状態で前記支持金具に絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、フック状に折り曲げられた先端が前記外装材と前記補強ボードの間に弾力を持たせて挿し込まれるボード保持金具と、を有し、前記ボード保持金具は、前記下地材の不陸を整えるために前記補強ボードから前記下地材に対してバネ状に押さえる調整板が設けられる、ことを特徴とする。
【0014】
また、前記外装材支持構造は、建物の外壁に固定される下地材と、前記下地材の前面に配置される横長の支持金具と、前記支持金具で支えられた状態で前記支持金具に絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、上下が前記下地材から浮くように折り曲げられた一端が前記外装材と前記補強ボードの間に挟まれるボード保持金具と、を有し、前記ボード保持金具は、他端が前記支持金具の左端とそれと隣接する支持金具の右端を上方又は下方が緩衝されるように前側から押さえる、ことを特徴とする。
【0015】
また、前記外装材支持構造において、前記ボード保持金具は、前記補強ボードの下面との間を空け、そこに緩衝材を介在させる、ことを特徴とする。
【0016】
また、前記外装材支持構造において、前記支持金具は、前記弾性接着剤が絡むように隙間を確保するためのブリッジが形成される、ことを特徴とする。
【0017】
また、前記外装材支持構造において、前記支持金具は、折り曲げて立てたときに前記外装材を載置可能なツメが設けられる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、補強板を使用して外装材の強度を上げることで、外装材が割れないように補強することができ、仮に外装材が割れたとしてもその欠片が飛散しないように抑えることができる。
【0019】
また、大型の外装材でも風圧等によって支持金具の端がめくれてバタバタと音が発生することはなく、地震など大きな振動が発生しても外装材を固定している下地材と支持金具に生じる歪みを抑えて、外装材を揺れに対して追従させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明である外装材支持構造の実施例1に係る外壁を示す図である。
【
図2】本発明である外装材支持構造の実施例1に係る外壁の一部を拡大した図である。
【
図3】本発明である外装材支持構造の実施例1に係る外壁に使用する支持金具を示す図である。
【
図4】本発明である外装材支持構造の実施例1に係る外壁に使用するボード保持金具を示す図である。
【
図5】本発明である外装材支持構造の実施例2に係る外壁の一部を拡大した図である。
【
図6】本発明である外装材支持構造の実施例2に係る外壁に使用する支持金具を示す図である。
【
図7】本発明である外装材支持構造の実施例2に係る外壁に使用するボード保持金具を示す図である。
【
図8】本発明である外装材支持構造の実施例3に係る外壁を示す図である。
【
図9】本発明である外装材支持構造の実施例3に係る外壁の一部を拡大した図である。
【
図10】本発明である外装材支持構造の実施例3に係る外壁に使用する支持金具のツメを立てた状態を示す図である。
【
図11】本発明である外装材支持構造の実施例3に係る外壁に使用する支持金具のツメを倒した状態を示す図である。
【
図12】本発明である外装材支持構造の実施例4に係る外壁を示す図である。
【
図13】本発明である外装材支持構造の実施例4に係る外壁に使用するボード保持金具を示す図である。
【
図14】本発明である外装材支持構造の実施例5に係る外壁を示す図である。
【
図15】本発明である外装材支持構造の実施例5に係る外壁の一部を拡大した図である。
【
図16】本発明である外装材支持構造の実施例5に係る外壁に使用する上ボード保持金具を示す図である。
【
図17】本発明である外装材支持構造の実施例5に係る外壁に使用する下ボード保持金具を示す図である。
【
図18】本発明である外装材支持構造の実施例5に係る外壁に歪みが生じる状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。なお、建物の外側を表(前)、内側を裏(後)とする。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明である外装材支持構造を用いた外壁の(a)タイルを透過させた正面図、(b)平面図、(c)側面の断面図である。
図2は、当該外装材支持構造を用いた外壁の一部を拡大した(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図である。
図3は、当該外装材支持構造を用いた外壁に使用する(a)支持金具の斜視図、及び(b)外壁の側面の分解図である。
図4は、当該外装材支持構造を用いた外壁に使用するボード保持金具の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図、(d)斜視図である。
【0023】
図1に示すように、外装材支持構造は、建物の外壁100に固定される下地材210、下地材210の前面に左端から右端まで渡される横長の支持金具300、支持金具300で支えられた状態で支持金具300に絡ませた弾性接着剤220で裏面が下地材210と接着される外装材200、支持金具300の上方又は下方において外装材200の裏面に接着される補強ボード230、補強ボード230を支持金具300に係止させるためのボード保持金具400を有する。
【0024】
図2に示すように、下地材210は、例えば、間欠的に配置された柱や間柱など複数の柱材110の前側に、2枚の構造用合板120の間に複数の胴縁130を介在させて空間を確保したものを取り付ける。構造用合板120は、耐力壁を作るための壁材であり、耐震性、耐風性、気密性、防音性などが向上する。胴縁130は、通気性と強度を向上させるための壁材であり、柱材110のある位置に設ければ良い。下地材210から柱材110まで貫通するようにビス140が打ち込まれる。
【0025】
図3(a)に示すように、支持金具300は、外装材200を支持するための横方向に延びた金具であり、上下に間欠的に複数配置して、上側の外装材200を載せたり、下側の外装材200aを吊したりするのに用いる。下地材210を複数並べた場合は、隣接する下地材210を跨ぐように支持金具300を取り付けても良い。
【0026】
支持金具300は、下地材210に接する当接板310、当接板310の上部を前側に折り曲げた上端板320、当接板310の下部を前側に折り曲げた下端板320aを有する。上端板320及び下端板320aにより、下地材210と外装材200の間に空間が確保される。
【0027】
支持金具300は、弾性接着剤220が絡むように隙間を確保するためのブリッジ340が形成される。例えば、支持金具300の上部にブリッジ340、下部にブリッジ340aを設ける場合、上下に切込みを入れて前側に押し出すことで隙間を作れば良い。
【0028】
支持金具300は、折り曲げて立てたときに外装材200を載置可能なツメ330が設けられる。例えば、支持金具300に凹字状(左右と下)に切り込みを入れ、上方に回動させて水平位置まで立てる。ツメ330には、リブを設けて補強しても良い。
【0029】
なお、支持金具300が上側の外装材200と下側の外装材200aの間に配置される場合は、ツメ330を立てた状態にし、支持金具300が外装材200の裏側に配置される場合は、ツメ330を倒した状態にしておけば良い。
【0030】
その他、支持金具300に加工部350が形成される。下地材210に支持金具300を当ててビス140で留めるが、柱材110や胴縁130の位置に合わせられるように、支持金具300に長孔350又は丸孔350aを空ける。また、ツメ300間を補強するようにエンボス状に張出350bを設けても良い。
【0031】
外装材200は、外壁100を装飾するとともに風雨や火災などから保護するタイル等である。支持金具300に載せたり引っ掛けたり係止した上で、弾性接着剤220を用いて下地材210へ接着される。弾性接着剤220は、硬化するとゴム状になり、接着強度と柔軟性を持たせたもので、シリコーン系などがある。
【0032】
図3(b)に示すように、補強ボード230は、外装材200の裏面に接着剤240で貼り付けて補強するための板材であり、マグネシウムを含むシェルボード(マグネシウム板)などがある。
【0033】
乾式工法の場合、外装材200の裏面と下地材210の間に隙間があるので、外部からの衝撃により、外装材200が割れやすい。外装材200の裏面全体にブチルテープやグラスファイバーメッシュを貼り付けることで、外壁100として仕上げた後に、石などの飛来物が当たって割れても、破片が飛散するのは防止可能である。
【0034】
外装材200が割れること自体を防ぐ訳ではなく、特に外装材200のサイズが大きい場合、施工前の運搬時に割れないように保護することは難しいが、外装材200と下地材210の隙間を埋めるように、外装材200に補強ボード230を貼ることで、外装材200の割れと破片の飛散を共に防止する。
【0035】
外装材200の裏側には支持金具300も存在するので、上側の外装材200には支持金具300の上方において外装材200の裏面に補強ボード230を貼り付け、下側の外装材200aには支持金具300の下方において外装材200aの裏面に補強ボード230aを貼り付ければ良い。
【0036】
なお、外装材200と補強ボード230は接着剤240で接着され、外装材200と下地材210は振動を吸収可能な弾性接着剤220で接着されるが、補強ボード230と下地材210は接着されない。地震などの振動に対して、外装材200と下地材210がロックされず、独立した動きが可能となるので、耐震性も向上する。
【0037】
図4に示すように、ボード保持金具400は、上縦板410、そこから横に折り曲げた中横板420、さらにそこから縦に折り曲げた下縦板430、そして上縦板410の上端を少し折り曲げることでバネ状にした押さえ440を有する。
【0038】
ボード保持金具400は、補強ボード230をケンドン式に差し込んで、補強ボード230を保持するための金具である。ボード保持金具400は、クランク状に折り曲げられた一端である下縦板430が下地材210と支持金具300の間に挟まれ、他端である上縦板410が外装材200と補強ボード230の間に弾力を持たせて挿し込まれる。
【0039】
支持金具300をビス140で固定することで、下縦板430が挟まれたボード保持金具400も留められ、上縦板410と下地材210の間に補強ボード230を差込可能となる。
【0040】
上側のボード保持金具400も下側のボード保持金具400aも、補強ボード230、230aとの間に空間を設けるが、上側の補強ボード230の下面との間には、緩衝材250を介在させる。振動により動いても衝撃を吸収可能である。なお、下側の補強ボード230aの上面との間にも、緩衝材250を介在させても良い。
【実施例2】
【0041】
図5は、本発明である外装材支持構造を用いた外壁の一部を拡大した(a)タイルを透過させた正面図、(b)平面図、(c)側面の断面図である。
図6は、当該外装材支持構造を用いた外壁に使用する支持金具の(a)ツメを立てた状態の正面図、(b)平面図、(c)側面図、(d)ツメを倒した状態の正面図、(e)平面図、(f)側面図である。
図7は、当該外装材支持構造を用いた外壁に使用するボード保持金具の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図、(d)斜視図である。
【0042】
図5に示すように、外壁100aにおいて、ボード保持金具600は、上下にクランク状に折り曲げられた一端(上縦板610)が外装材200と補強ボード230の間に挟まれ、他端(下縦板630)が下地材210aと支持金具500の間に弾力を持たせて挿し込まれる。
【0043】
なお、下地材210aは、様々なものを用いることが可能であり、例えば、木材、RC(鉄筋コンクリート)、ALC(軽量気泡コンクリート)パネル、ECP(押出成形セメント板)、Cチャンネル(形鋼)などである。
【0044】
図6に示すように、支持金具500は、下地材210aに当てる当接板510、その上側を前方に折り曲げた上横板520、さらに上方に折り曲げた上前板510a、当接板510の下側を前方に折り曲げた下横板520a、そこから下方に折り曲げた下前板510b、さらに後方に折り曲げた下端板520bを有する。
【0045】
支持金具500には、加工部550として、ビス140用の長孔550、丸孔550a、軽量化かつ弾性接着剤220を通して絡めるための角孔550b、切抜550c、切欠部560も形成される。切抜550cは、凹字状に切り込んで、水平位置まで回動可能なツメ530を設ける。切欠部560は、下ボード保持金具600aを挿しやすくなる。
【0046】
図7に示すように、ボード保持金具600は、上縦板610、そこから横に折り曲げた中横板620、さらにそこから縦に折り曲げた下縦板630、そして下縦板630の左右には前方に折り曲げることでバネ状に設けた押さえ640を有する。
【0047】
支持金具500の上側からは、上前板510aと下地材210aの間にボード保持金具600を挿し込み、支持金具500の下側からは、下前板510bと下地材210aの間にボード保持金具600aを挿し込めば良い。
【0048】
押さえ640の弾力性によりボード保持金具600、600aが支持され、外装材200、200aの裏面に貼り付けた補強ボード230、230aがボード保持金具600、600aによって保持される。ボード保持金具600と補強ボード230の間には緩衝材250を介在させることで、動きを吸収して振動に対して追従可能にする。
【実施例3】
【0049】
図8は、本発明である外装材支持構造を用いた外壁の(a)タイルを透過させた正面図、(b)平面図、(c)側面の断面図である。
図9は、当該外装材支持構造を用いた外壁の一部を拡大した(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図である。
図10は、当該外装材支持構造を用いた外壁に使用する支持金具のツメを立てた状態の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図、(d)斜視図である。
図11は、当該外装材支持構造を用いた外壁に使用する支持金具のツメを倒した状態の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図、(d)斜視図である。
【0050】
図8に示すように、外装材支持構造は、建物の外壁100bに固定される下地材210a、下地材210aの前面に左端から右端まで渡される横長の支持金具700、支持金具700で支えられた状態で支持金具700に絡ませた弾性接着剤220で裏面が下地材210aと接着される外装材200、支持金具700の上方又は下方において外装材200の裏面に接着される補強ボード230を有する。
【0051】
図9に示すように、支持金具700は、上下が下地材210aから浮くように折り曲げられた先端が外装材200と補強ボード230の間に挟まれる。ホード保持金具を使用せずに、支持金具700によって補強ボード230を保持する。
【0052】
図10に示すように、ツメ730を立てた状態の支持金具700は、下地材210aに当てる当接板710、その上側を前方に折り曲げた上横板720、さらに上方に折り曲げた上前板710a、当接板710の下側を前方に折り曲げた下横板720a、そこから下方に折り曲げた下前板710bを有する。
【0053】
支持金具700には、弾性接着剤220を絡めるためのブリッジ740も形成される。例えば、支持金具700の上部に空けた角孔750bを利用してブリッジ740を設け、支持金具700の下部に空けた切欠750c及び切抜750dを利用してブリッジ740aを設ける。
【0054】
支持金具500の加工部550としては、ビス140用の長孔750、丸孔750a、弾性接着剤220を通して絡めるための角孔750b、切欠750c、切抜750dも形成される。切抜750dは、凹字状に切り込んで、水平位置まで回動可能なツメ730を設ける。補強ボード230aを下方から差し込むために、下前板710bの下端は後方に折り曲げず、切欠750cも空けておく。
【0055】
図11に示すように、ツメ730を倒した状態の支持金具700aは、外装材200aのサイズが大きく、支持金具700aが外装材200aの裏側に配置され、外装材200aを載せる必要がない場合である。
【0056】
支持金具700の上前板710aと下地材210aの間に補強ボード230を挿し込み、下前板710bと下地材210aの間に補強ボード230aを挿し込む。なお、上横板720と補強ボード230の下端との間には緩衝材250を介在させる。
【実施例4】
【0057】
図12は、本発明である外装材支持構造を用いた外壁の(a)タイルを透過させた正面図、(b)平面図、(c)側面の断面図である。
図13は、当該外装材支持構造を用いた外壁に使用するボード保持金具の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図、(d)斜視図である。
【0058】
図12に示すように、外装材支持構造は、建物の外壁100cに固定される下地材210b、下地材210bの前面に左端から右端まで渡される横長の支持金具300、支持金具300で支えられた状態で支持金具300に絡ませた弾性接着剤220で裏面が下地材210bと接着される外装材200、支持金具300の上方又は下方において外装材200の裏面に接着される補強ボード230、フック状に折り曲げられた先端が外装材200と補強ボード230の間に弾力を持たせて挿し込まれるボード保持金具800を有する。
【0059】
下地材210bがRC(鉄筋コンクリート)の場合、表面が平坦ではなく凹凸などの不陸が存在することが多いので、ボード保持金具800には、下地材210bの不陸を整えるために補強ボード230から下地材210bに対してバネ状に押さえる調整板820が設けられる。
【0060】
支持金具300aの上側の補強ボード230に係止させたボード保持金具800をビス140aで下地材210bに固定し、支持金具300aの下側の補強ボード230aに係止させたボード保持金具800aをビス140aで固定する。支持金具300aは、外装材200を載せない場合は、ツメ330を立てずに倒しておく。
【0061】
なお、細長いピン状の落下防止金具150を用いて、外装材200の落下を防止しても良い。例えば、落下防止金具150の一端を接着剤240aで下地材210bに貼り付けたり、支持金具300aに引っ掛けたりして固定し、落下防止金具150の他端をツメ状にして外装材200を載せたり引っ掛けて吊るしたりすれば良い。
【0062】
図13に示すように、ボード保持金具800aは、補強ボード230の裏面に当てる前板810、その左右を後方斜めに折り曲げて弾力を持たせた調整板820、前板810を補強ボード230に掛けるためにフック状にした係止板830、そして係止板830の下端を少し折り曲げることでバネ状にした押さえ840、下地材210bにビス140aで留めるために空けた留孔850を有する。
【0063】
ボード保持金具800、800aで不陸を調整するので、下地材210bに凹凸や傾斜があっても、下地材210bに調整板820がバネ状に当たることで、外装材200が傾いたりすることなく支持される。
【実施例5】
【0064】
図14は、本発明である外装材支持構造を用いた外壁の(a)タイルを透過させた正面図、(b)平面図、(c)側面の断面図である。
図15は、当該外装材支持構造を用いた外壁の一部を拡大した(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図である。
図16は、当該外装材支持構造を用いた外壁に使用する上ボード保持金具の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図、(d)斜視図である。
図17は、当該外装材支持構造を用いた外壁に使用する上ボード保持金具の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図である。
図18は、当該外装材支持構造を用いた外壁に(a)歪みが生じる前、(b)歪みが生じる状況を示す図である。
【0065】
図14に示すように、外装材支持構造は、建物の外壁100dに固定される下地材210、下地材210の前面に配置される横長の支持金具300、支持金具300で支えられた状態で支持金具300に絡ませた弾性接着剤220で裏面が下地材210と接着される外装材200、支持金具300の上方又は下方において外装材200の裏面に接着される補強ボード230、上下が下地材210から浮くように折り曲げられた一端が外装材200と補強ボード230の間に挟まれるボード保持金具900を有する。
【0066】
図15に示すように、ボード保持金具900、900aは、他端(下前板910b)が支持金具300の左端とそれと隣接する支持金具300の右端を上方又は下方が緩衝材250、250aで振動時に動きが吸収されるように前側から押さえる。
【0067】
ボード保持金具900は、2つの支持金具300の間の上側に緩衝材250を当てた上で下地材210にビス140aで固定し、ボード保持金具900aは、2つの支持金具300の間の下側に緩衝材250aを当てた上で下地材210にビス140aで固定すれば良い。
【0068】
図16に示すように、ボード保持金具900は、下地材210に当てる当接板910、その上側を前方に折り曲げた上横板920、さらに上方に折り曲げた上前板910a、当接板910の下側を前方に折り曲げた下横板920a、そこから下方に折り曲げた下前板910bを有する。
【0069】
ボード保持金具900の加工部930としては、ビス140用の長孔930、丸孔930aが空けられる。下横板920aの下側には、支持金具300の動きによって生じる歪みを吸収するために緩衝材250を配置する。
【0070】
図17に示すように、ボード保持金具900aは、ボード保持金具900を上下逆にした形状であり、上横板920の上側に、支持金具300の動きによって生じる歪みを吸収するために緩衝材250aを配置する。
【0071】
図18に示すように、地震などの振動による建物の動きに追従して、それぞれの支持金具300は下地材210に留めたビス140を軸として回動しようとするので、支持金具300の端部は歪みが大きくなる。隣接する2つの支持金具300が異なる動きをしても、その間を押さえるボード保持金具900、900aとの間に空間を設けて動く範囲を確保すると共に、緩衝材250でその動きに伴う歪みを吸収する。
【0072】
外装材200が大きいと支持金具300の端部も風圧等の影響を受けやすくなるが、支持金具300の動きを確保するために端部をビス140で固定しないことによる剥がれや捲れもボード保持金具900、900aの下前板910bで前側から押さえることで回避可能である。
【0073】
本発明によれば、補強板を使用して外装材の強度を上げることで、外装材が割れないように補強することができ、仮に外装材が割れたとしてもその欠片が飛散しないように抑えることができる。
【0074】
また、大型の外装材でも風圧等によって支持金具の端がめくれてバタバタと音が発生することはなく、地震など大きな振動が発生しても外装材を固定している下地材と支持金具に生じる歪みを抑えて、外装材を揺れに対して追従させることができる。
【0075】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
100:外壁
100a:外壁
100b:外壁
100c:外壁
100d:外壁
110:柱材
120:構造用合板
130:胴縁
140:ビス
140a:ビス
150:落下防止金具
200:(上)外装材
200a:(下)外装材
210:下地材
210a:下地材
210b:下地材
220:弾性接着剤
230:(上)補強ボード
230a:(下)補強ボード
240:接着剤
240a:接着剤
250:緩衝材
250a:緩衝材
300:支持金具(ツメ有)
300a:支持金具(ツメ無)
310:当接板
320:(上)端板
320a:(下)端板
330:ツメ
340:(上)ブリッジ
340a:(下)ブリッジ
350:加工部(長孔)
350a:加工部(丸孔)
350b:加工部(張出)
400:(上)ボード保持金具
400a:(下)ボード保持金具
410:上縦板
420:中横板
430:下縦板
440:押さえ
500:支持金具
510:当接板
510a:(上)前板
510b:(下)前板
520:(上)横板
520a:(下)横板
520b:下端板
530:ツメ
550:加工部(長孔)
550a:加工部(丸孔)
550b:加工部(角孔)
550c:加工部(切抜)
560:切欠部
600:(上)ボード保持金具
600a:(下)ボード保持金具
610:上縦板
620:中横板
630:下縦板
640:押さえ
700:支持金具(ツメ有)
700a:支持金具(ツメ無)
710:当接板
710a:(上)前板
710b:(下)前板
720:(上)横板
720a:(下)横板
730:ツメ
740:(上)ブリッジ
740a:(下)ブリッジ
750:加工部(長孔)
750a:加工部(丸孔)
750b:加工部(角孔)
750c:加工部(切欠)
750d:加工部(切抜)
800:(上)ボード保持金具
800a:(下)ボード保持金具
810:前板
820:調整板
830:係止板
840:押さえ
850:留孔
900:(上)ボード保持金具
900a:(下)ボード保持金具
910:当接板
910a:(上)前板
910b:(下)前板
920:(上)横板
920a:(下)横板
930:加工部(長孔)
930a:加工部(丸孔)
【要約】
【課題】本発明は、外装材が割れないように補強すると共に、割れたとしても飛散するのを抑止する外装材支持構造を提供する。
【解決手段】本発明である外装材支持構造は、建物の外壁に固定される下地材と、前記下地材の前面に左端から右端まで渡される横長の支持金具と、前記支持金具で支えられた状態で前記支持金具に絡ませた弾性接着剤で裏面が前記下地材と接着される外装材と、前記支持金具の上方又は下方において前記外装材の裏面に接着される補強ボードと、前記補強ボードを前記支持金具に係止させるためのボード保持金具と、を有し、前記ボード保持金具は、クランク状に折り曲げられた一端が前記下地材と前記支持金具の間に挟まれ、他端が前記外装材と前記補強ボードの間に弾力を持たせて挿し込まれる、ことを特徴とする。
【選択図】
図1