(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】真偽判定支援装置、真偽判定支援方法、プログラムおよび合成度合判定支援装置
(51)【国際特許分類】
G06F 16/9038 20190101AFI20241122BHJP
【FI】
G06F16/9038
(21)【出願番号】P 2024080431
(22)【出願日】2024-05-16
【審査請求日】2024-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520058088
【氏名又は名称】株式会社データグリッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庵原 明洋
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 優
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113934882(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真偽判定の対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する対象情報取得部と、
前記対象情報と関連するマルチモーダルな関連情報を取得する関連情報取得部と、
前記対象情報の各モーダルに対して、対応する前記関連情報のモーダルとの関連度をそれぞれ算出する算出部と、
算出したモーダル毎の前記関連度を出力情報として出力する出力部と、
を備える真偽判定支援装置。
【請求項2】
モーダル毎の前記関連度に基づいて、前記対象情報の真偽を判定する真偽判定部を備える
請求項1に記載の真偽判定支援装置。
【請求項3】
前記対象情報は、画像データおよびテキストデータを含む
請求項1に記載の真偽判定支援装置。
【請求項4】
前記関連情報は、画像データおよびテキストデータを含む
請求項1に記載の真偽判定支援装置。
【請求項5】
前記対象情報に含まれるデータの合成度合いを判定する合成度判定部を備える
請求項1に記載の真偽判定支援装置。
【請求項6】
前記出力情報の判断根拠を自然言語で生成する判断根拠生成部を備える
請求項1に記載の真偽判定支援装置。
【請求項7】
前記判断根拠生成部は、前記対象情報の各モーダルの判断根拠を自然言語で生成する
請求項6に記載の真偽判定支援装置。
【請求項8】
前記判断根拠生成部は、前記対象情報の真偽判定の判断根拠を自然言語で生成する
請求項6に記載の真偽判定支援装置。
【請求項9】
前記判断根拠生成部は、前記対象情報の合成度合いの判断根拠を自然言語で生成する
請求項6に記載の真偽判定支援装置。
【請求項10】
前記判断根拠生成部は、前記判断根拠の信頼度を生成する
請求項6に記載の真偽判定支援装置。
【請求項11】
前記出力部は、前記判断根拠を強調して予め定められた表示部に表示させる
請求項6に記載の真偽判定支援装置。
【請求項12】
前記出力部は、前記判断根拠を予め定められた観点毎のスコアで予め定められた表示部に表示させる
請求項6に記載の真偽判定支援装置。
【請求項13】
前記関連情報取得部は、前記判断根拠となった前記関連情報の情報源情報を出力する
請求項6に記載の真偽判定支援装置。
【請求項14】
前記対象情報を取得するための対象情報源を指定する情報源指定部を備え、
前記対象情報取得部は、前記情報源指定部が指定した前記対象情報源から前記対象情報を取得する
請求項1から13のいずれか一項に記載の真偽判定支援装置。
【請求項15】
前記出力部は、前記対象情報をモーダル毎に予め定められた表示部に表示させる
請求項1から13のいずれか一項に記載の真偽判定支援装置。
【請求項16】
前記出力部は、前記対象情報に含まれる客観的情報をサポートする前記関連情報を出力する
請求項1から13のいずれか一項に記載の真偽判定支援装置。
【請求項17】
前記対象情報取得部は、前記対象情報の対象情報源からデータの拡散指標を算出し、前記拡散指標に基づいて選択した前記対象情報を取得する
請求項1から13のいずれか一項に記載の真偽判定支援装置。
【請求項18】
前記対象情報取得部は、前記対象情報の対象情報源からデータの合成度合いを算出し、前記合成度合いに基づいて選択した前記対象情報を取得する
請求項1から13のいずれか一項に記載の真偽判定支援装置。
【請求項19】
前記対象情報取得部は、取得した前記対象情報から客観的情報を抽出する
請求項1から13のいずれか一項に記載の真偽判定支援装置。
【請求項20】
前記算出部は、前記関連度として、画像情報の類似度、人物情報の類似度、位置情報の一致度、または時間情報の一致度の少なくとも1つを算出する
請求項1から13のいずれか一項に記載の真偽判定支援装置。
【請求項21】
コンピュータが、真偽判定の対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する段階と、
コンピュータが、前記対象情報と関連するマルチモーダルな関連情報を取得する段階と、
コンピュータが、前記対象情報の各モーダルに対して、対応する前記関連情報のモーダルとの関連度をそれぞれ算出する段階と、
コンピュータが、算出したモーダル毎の前記関連度を出力情報として出力する段階と、
を備える真偽判定支援方法。
【請求項22】
コンピュータにより実行されると、前記コンピュータに、
真偽判定の対象となるマルチモーダルな対象情報を取得させ、
前記対象情報と関連するマルチモーダルな関連情報を取得させ、
前記対象情報の各モーダルに対して、対応する前記関連情報のモーダルとの関連度をそれぞれ算出させ、
算出したモーダル毎の前記関連度を出力情報として出力させる、
プログラム。
【請求項23】
合成度合いの判定対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する対象情報取得部と、
前記対象情報と関連する関連情報を取得する関連情報取得部と、
前記対象情報の合成度合いを算出する算出部と、
前記関連情報に基づいて、前記対象情報の少なくとも1つのモーダルについて前記合成度合いの判断根拠を自然言語で生成する判断根拠生成部と、
前記判断根拠を出力する出力部と、
を備える合成度合判定支援装置。
【請求項24】
前記判断根拠生成部は、前記対象情報の各モーダルについて前記判断根拠を自然言語で生成する
請求項23に記載の合成度合判定支援装置。
【請求項25】
前記対象情報を生成した合成手法を特定する合成手法特定部を備える
請求項23または24に記載の合成度合判定支援装置。
【請求項26】
前記判断根拠生成部は、予め定められた生成モデルを用いて前記判断根拠を生成し、
前記生成モデルとして、前記対象情報の内容に応じた機械学習モデルを選択するモデル選択部を備える
請求項23または24に記載の合成度合判定支援装置。
【請求項27】
前記判断根拠を生成するための生成モデルに、前記対象情報に応じたデータを学習させるための特化処理部を備える
請求項23または24に記載の合成度合判定支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真偽判定支援装置、真偽判定支援方法、プログラムおよび合成度合判定支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「偽情報や誤情報の拡散の抑制することを可能とする情報判定プログラム、情報処理装置及び情報判定方法」が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2024-007165号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、真偽判定の対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する対象情報取得部と、前記対象情報と関連するマルチモーダルな関連情報を取得する関連情報取得部と、前記対象情報の各モーダルに対して、対応する前記関連情報のモーダルとの関連度をそれぞれ算出する算出部と、算出したモーダル毎の前記関連度を出力情報として出力する出力部と、を備える真偽判定支援装置を提供する。
【0004】
上記真偽判定支援装置は、モーダル毎の前記関連度に基づいて、前記対象情報の真偽を判定する真偽判定部を備えてよい。
【0005】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記対象情報は、画像データおよびテキストデータを含んでよい。
【0006】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記関連情報は、画像データおよびテキストデータを含んでよい。
【0007】
上記いずれかの真偽判定支援装置は、前記対象情報に含まれるデータの合成度合いを判定する合成度判定部を備えてよい。
【0008】
上記いずれかの真偽判定支援装置は、前記出力情報の判断根拠を自然言語で生成する判断根拠生成部を備えてよい。
【0009】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記判断根拠生成部は、前記対象情報の各モーダルの判断根拠を自然言語で生成してよい。
【0010】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記判断根拠生成部は、前記対象情報の真偽判定の判断根拠を自然言語で生成してよい。
【0011】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記判断根拠生成部は、前記対象情報の合成度合いの判断根拠を自然言語で生成してよい。
【0012】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記判断根拠生成部は、前記判断根拠の信頼度を生成してよい。
【0013】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記出力部は、前記判断根拠を強調して予め定められた表示部に表示させてよい。
【0014】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記出力部は、前記判断根拠を予め定められた観点毎のスコアで予め定められた表示部に表示させてよい。
【0015】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記関連情報取得部は、前記判断根拠となった前記関連情報の情報源情報を出力してよい。
【0016】
上記いずれかの真偽判定支援装置は、前記対象情報を取得するための対象情報源を指定する情報源指定部を備えてよい。前記対象情報取得部は、前記情報源指定部が指定した前記対象情報源から前記対象情報を取得してよい。
【0017】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記出力部は、前記対象情報をモーダル毎に予め定められた表示部に表示させてよい。
【0018】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記出力部は、前記対象情報に含まれる客観的情報をサポートする前記関連情報を出力してよい。
【0019】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記対象情報取得部は、前記対象情報の対象情報源からデータの拡散指標を算出し、前記拡散指標に基づいて選択した前記対象情報を取得してよい。
【0020】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記対象情報取得部は、前記対象情報の対象情報源からデータの合成度合いを算出し、前記合成度合いに基づいて選択した前記対象情報を取得してよい。
【0021】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記対象情報取得部は、取得した前記対象情報から客観的情報を抽出してよい。
【0022】
上記いずれかの真偽判定支援装置において、前記算出部は、前記関連度として、画像情報の類似度、人物情報の類似度、位置情報の一致度、または時間情報の一致度の少なくとも1つを算出してよい。
【0023】
本発明の第2の態様においては、真偽判定の対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する段階と、前記対象情報と関連するマルチモーダルな関連情報を取得する段階と、前記対象情報の各モーダルに対して、対応する前記関連情報のモーダルとの関連度をそれぞれ算出する段階と、算出したモーダル毎の前記関連度を出力情報として出力する段階と、を備える真偽判定支援方法を提供する。
【0024】
本発明の第3の態様においては、コンピュータにより実行されると、前記コンピュータに、真偽判定の対象となるマルチモーダルな対象情報を取得させ、前記対象情報と関連するマルチモーダルな関連情報を取得させ、前記対象情報の各モーダルに対して、対応する前記関連情報のモーダルとの関連度をそれぞれ算出させ、算出したモーダル毎の前記関連度を出力情報として出力させる、プログラムを提供する。
【0025】
本発明の第4の態様においては、合成度合いの判定対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する対象情報取得部と、前記対象情報と関連する関連情報を取得する関連情報取得部と、前記対象情報の合成度合いを算出する算出部と、前記関連情報に基づいて、前記対象情報の少なくとも1つのモーダルについて前記合成度合いの判断根拠を自然言語で生成する判断根拠生成部と、前記判断根拠を出力する出力部と、を備える合成度合判定支援装置を提供する。
【0026】
上記合成度合判定支援装置において、前記判断根拠生成部は、前記対象情報の各モーダルについて前記判断根拠を自然言語で生成してよい。
【0027】
上記いずれかの合成度合判定支援装置は、前記対象情報を生成した合成手法を特定する合成手法特定部を備えてよい。
【0028】
上記いずれかの合成度合判定支援装置において、前記判断根拠生成部は、予め定められた生成モデルを用いて前記判断根拠を生成してよい。前記生成モデルとして、前記対象情報の内容に応じた機械学習モデルを選択するモデル選択部を備えてよい。
【0029】
上記いずれかの合成度合判定支援装置は、前記判断根拠を生成するための生成モデルに、前記対象情報に応じたデータを学習させるための特化処理部を備えてよい。
【0030】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】真偽判定支援装置100の構成の概要を示す。
【
図2】対象情報、関連情報および関連度の一例を示す。
【
図4】対象情報、関連情報、関連度および判断根拠の一例を示す。
【
図5】対象情報、関連情報、関連度、真偽判定および判断根拠の一例を示す。
【
図6】対象情報、真偽判定および判断根拠の一例を示す。
【
図7】対象情報、客観的情報、関連情報、真偽判定、判断根拠および情報源情報の一例を示す。
【
図8】対象情報、合成度合いおよび判断根拠の一例を示す。
【
図10A】対象情報取得部110による対象情報の取得の一例を示す。
【
図10B】対象情報取得部110による対象情報の取得の一例を示す。
【
図10C】対象情報取得部110による対象情報の取得の一例を示す。
【
図11】合成度合判定支援装置200の構成の概要を示す。
【
図12】対象情報、関連情報、合成度合いおよび判断根拠の一例を示す。
【
図13】合成度合判定支援装置200の変形例を示す。
【
図14】対象情報、関連情報、合成度合い、判断根拠および合成手法の一例を示す。
【
図15】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0033】
図1は、真偽判定支援装置100の構成の概要を示す。本例の真偽判定支援装置100は、対象情報取得部110と、関連情報取得部120と、算出部130と、出力部140と、を備える。真偽判定支援装置100は、表示部150を備えてよい。なお、図示されたブロックは、それぞれ機能的に分離された機能ブロックであって、実際の装置構成とは必ずしも一致していなくてよい。すなわち、本図において1つのブロックとして示されているブロックが必ずしも1つの装置により構成されていなくてよい。また、本図において別々のブロックとして示されているブロックが必ずしも別々の装置により構成されていなくてよい。他の図のブロックについても同様である。
【0034】
真偽判定支援装置100は、対象情報の真偽判定を支援する。対象情報は、マルチモーダルな情報を含んでよい。マルチモーダルな情報とは、複数種類のデータを含む情報である。マルチモーダルな情報は、テキストデータ、画像データ、映像データ、音声データ、実験データ、降水確率データの少なくとも2つ以上を含んでよい。例えば、マルチモーダルな情報は、テキストデータと画像データを含んでよく、映像データと音声データを含んでよく、音声データとテキストデータを含んでよく、実験データとテキストデータを含んでよく、降水確率データとテキストデータを含んでよい。ただし、マルチモーダルな情報は、これらの組み合わせに限定されない。
【0035】
対象情報取得部110は、真偽判定の対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する。対象情報取得部110は、対象情報を入力させるための画面を表示装置に表示させて、対象情報をユーザに入力させることで、対象情報を取得してよい。ただし、対象情報取得部110による対象情報の取得方法は、これに限定されない。対象情報取得部110は、取得した対象情報および/または対象情報に関する情報を関連情報取得部120および算出部130に供給してよい。
【0036】
関連情報取得部120は、対象情報と関連するマルチモーダルな関連情報を取得する。関連情報取得部120は、予め定められたデータベースから関連情報を取得してよい。関連情報取得部120が取得するマルチモーダルな関連情報に含まれるデータの種類は、マルチモーダルな対象情報に含まれるデータの種類と同一であってよい。例えば、対象情報取得部110が取得したマルチモーダルな対象情報がテキストデータと画像データを含む場合、関連情報取得部120が取得するマルチモーダルな関連情報は、テキストデータと画像データを含んでよい。関連情報取得部120は、取得した関連情報を算出部130に供給してよい。
【0037】
算出部130は、対象情報の各モーダルに対して、対応する関連情報のモーダルとの関連度をそれぞれ算出する。算出部130は、算出した関連度を出力部140に供給してよい。算出部130は、予め定められた機械学習モデルを用いて、対象情報のモーダルと対応する関連情報のモーダルとの関連度を算出してよい。例えば、機械学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)、リカレントニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network、RNN)、長短期記憶ネットワーク(Long Short-Term Memory、LSTM)、またはトランスフォーマー(Transformer)の少なくとも1つを含む。ただし、算出部130が関連度の算出のために用いる機械学習モデルは、これらに限定されない。
【0038】
例えば、対象情報がテキストデータと画像データを含み、関連情報がテキストデータと画像データを含む場合、算出部130は、対象情報に含まれるテキストデータと関連情報に含まれるテキストデータの関連度、および、対象情報に含まれる画像データと関連情報に含まれる画像データの関連度をそれぞれ算出してよい。対象情報および関連情報が他の様式のデータを含む場合も、同様である。
【0039】
出力部140は、算出したモーダル毎の関連度を出力情報として出力する。すなわち、出力部140が出力する出力情報は、関連度を含む。ただし、出力情報に含まれる情報はこれに限定されない。例えば、出力情報は、対象情報を含んでよく、関連情報を含んでよく、関連度を含んでよく、対象情報の真偽判定結果を含んでよく、対象情報に含まれるデータの合成度合いの判定結果を含んでよく、算出および判定の判断根拠を含んでよい。真偽判定、合成度合いの判定および判断根拠の詳細については、後述する。出力部140は、出力情報を表示部150に表示させてよい。
【0040】
以上のように、本例の真偽判定支援装置100は、対象情報に関連する関連情報を取得し、対象情報と関連情報との関連度を算出して出力することで、対象情報の真偽判定を支援することができる。例えば、真偽判定支援装置100のユーザは、出力されたモーダル毎の関連度を参照することで、対象情報の真偽を判定することができる。
【0041】
一例として、官公庁または自治体等が自然災害の発生時等にソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service;SNS)を監視する場合に、真偽判定支援装置100をSNSの情報の真偽判定に用いることができる。これにより、偽情報の流布に対する対策を講じることができる。
【0042】
また、本例の真偽判定支援装置100は、マルチモーダルな対象情報を真偽判定の対象とする。これにより、多面的な真偽判定を支援することができる。
【0043】
図2は、対象情報、関連情報および関連度の一例を示す。本例の対象情報は、テキストデータと画像データを含む。本例の関連情報は、テキストデータと画像データを含む。出力部140は、対象情報、関連情報および関連度を出力情報として出力してよい。出力部140は、出力情報を表示部150に表示させてよい。出力部140は、対象情報をモーダル毎に表示部150に表示させてよい。例えば、表示部150は、
図2に示されるような形式で出力情報を表示してよい。ただし、出力部140が出力する出力情報および表示部150による表示方法は、本例に限定されない。
【0044】
対象情報取得部110は、取得した対象情報のテキストデータを要約してよい。例えば、対象情報取得部110は、A市で大津波が発生したことを詳細に記述するテキストデータを、「A市で大津波」のように要約する。関連情報取得部120は、取得した関連情報のテキストデータを要約してよい。例えば、関連情報取得部120は、B市で大津波が発生したことを詳細に記述するテキストデータを、「B市で大津波」のように要約する。「C市で水揚量減少」および「A市で家屋倒壊」についても同様である。ただし、対象情報取得部110および/または関連情報取得部120は、テキストデータを要約しなくてもよい。
【0045】
算出部130は、対象情報の各モーダルに対して、対応する関連情報のモーダルとの関連度をそれぞれ算出する。本例の算出部130は、対象情報に含まれるテキストデータと関連情報に含まれるテキストデータの関連度、および、対象情報に含まれる画像データと関連情報に含まれる画像データの関連度をそれぞれ算出する。算出部130は、テキストデータに含まれる情報を分類して、分類された情報毎に関連度を算出してよい。例えば、算出部130は、テキストデータに含まれる情報を位置情報と時間情報に分類して、それぞれの関連度を算出する。
【0046】
算出部130は、関連度として、画像情報の類似度、人物情報の類似度、位置情報の一致度、または時間情報の一致度の少なくとも1つを算出してよい。本例の算出部130は、画像情報の類似度、位置情報の一致度および時間情報の一致度を算出する。算出部130が算出する関連度の種類は、対象情報および関連情報に含まれるマルチモーダルな情報に応じて決定されてよい。
【0047】
図3は、真偽判定支援装置100の変形例を示す。本例の真偽判定支援装置100は、真偽判定部160と、合成度判定部170と、判断根拠生成部180と、を備える点で、
図1の実施例と相違する。本例では、
図1の実施例と相違する点について特に説明し、その他は
図1の実施例と同一であってよい。
【0048】
真偽判定部160は、モーダル毎の関連度に基づいて、対象情報の真偽を判定してよい。真偽判定部160は、対象情報の真偽を「真」または「偽」の二値で判定してもよいし、対象情報が真情報である度合いまたは対象情報が偽情報である度合いを示すスコアで判定してもよい。例えば、真偽判定部160は、対象情報が偽情報である可能性が高い場合に、対象情報が偽情報である可能性を示す偽情報スコアが80%である等と判定する。真偽判定部160は、対象情報の真偽の判定結果を出力部140に供給してよい。出力部140は、真偽の判定結果を出力情報として出力してよい。
【0049】
合成度判定部170は、対象情報に含まれるデータの合成度合いを判定してよい。合成度判定部170は、対象情報に含まれるデータの合成度合いを、対象情報に含まれるデータの合成度合いを示すスコアで判定してよい。例えば、合成度判定部170は、対象情報に含まれるデータが合成である可能性が高い場合に、データが合成である可能性を示す合成スコアが80%である等と判定する。合成度判定部170は、対象情報に含まれるデータの合成度合いの判定結果を出力部140に供給してよい。出力部140は、合成度合いの判定結果を出力情報として出力してよい。
【0050】
合成度判定部170は、対象情報に含まれるデータの合成度合いの判定結果を真偽判定部160に供給してよい。真偽判定部160は、合成度判定部170が判定した合成度合いに基づいて、対象情報の真偽を判定してよい。例えば、対象情報に含まれるデータの合成度合いが高い場合、真偽判定部160は、対象情報が偽情報である可能性が高いと判定してよい。
【0051】
判断根拠生成部180は、出力情報の判断根拠を自然言語で生成してよい。例えば、判断根拠は、発信者の信頼性または真正性情報等を含む。真正性情報は、電子透かし、電子署名またはC2PAに準拠した来歴情報等を含んでよい。判断根拠生成部180は、複数の判断根拠を生成してよい。判断根拠生成部180は、生成した判断根拠を出力部140に供給してよい。出力部140は、判断根拠を出力情報として出力してよい。
【0052】
判断根拠生成部180は、予め定められた生成モデルを用いて、判断根拠を生成してよい。例えば、生成モデルは、大規模言語モデル(Large Language Model、LLM)または大規模視覚モデル(Vision Language Model、VLM)の少なくとも1つを含む。ただし、判断根拠生成部180が判断根拠の生成に用いる生成モデルは、これらに限定されない。
【0053】
判断根拠生成部180は、対象情報の各モーダルの判断根拠を自然言語で生成してよい。例えば、対象情報がテキストデータと画像データを含む場合、判断根拠生成部180は、テキストデータに関する判断根拠と画像データに関する判断根拠をそれぞれ生成してよい。
【0054】
判断根拠生成部180は、対象情報の真偽判定の判断根拠を自然言語で生成してよい。判断根拠生成部180は、対象情報の合成度合いの判断根拠を自然言語で生成してよい。このように、判断根拠生成部180は、出力情報に含まれる情報の種類に応じて、それぞれの情報に関する判断根拠を生成してよい。
【0055】
判断根拠生成部180は、判断根拠の信頼度を生成してよい。判断根拠生成部180が複数の判断根拠を生成する場合、判断根拠生成部180は、それぞれの判断根拠の信頼度を生成してよい。出力部140は、判断根拠の信頼度を出力情報として出力してよい。
【0056】
出力部140は、判断根拠を強調して表示部150に表示させてよい。例えば、出力部140は、テキストを太字表記にすることで、判断根拠を強調して表示部150に表示させてよい。別の例として、出力部140は、対象情報に含まれる画像データにヒートマップを重ねて表示することで、判断根拠を強調して表示部150に表示させてよい。さらに別の例として、出力部140は、対象情報に含まれる音声データの音量を大きくすること、または、再生時間に合わせて変化するスコアを表示し特定の時間区間のスコアを大きくすることで、判断根拠を強調して表示部150に表示させてよい。対象情報が他の形式のデータを含む場合も同様である。
【0057】
出力部140は、判断根拠生成部180が生成する判断根拠の信頼度に応じて、判断根拠を強調して表示部150に表示させるか否かを決定してよい。例えば、出力部140は、信頼度が予め定められた基準信頼度よりも高い判断根拠を強調して表示部150に表示させる。
【0058】
出力部140は、判断根拠を予め定められた観点毎のスコアで表示部150に表示させてよい。観点は、テキストの信頼度、画像の信頼度、音声の信頼度、客観的情報に対するエビデンスの網羅性、または客観的情報に対するエビデンスの合致率の少なくとも1つを含んでよい。
【0059】
本例の真偽判定支援装置100は、判断根拠を自然言語で生成する判断根拠生成部180を備える。これにより、算出部130により算出された算出結果、真偽判定部160により判定された対象情報の真偽判定結果、および/または、合成度判定部170により判定された合成度合いの判定結果の説明性を向上することができる。
【0060】
図4は、対象情報、関連情報、関連度および判断根拠の一例を示す。本例の対象情報は、テキストデータと画像データを含む。本例の関連情報は、テキストデータと画像データを含む。出力部140は、対象情報、関連情報、関連度および判断根拠を出力情報として出力してよい。出力部140は、出力情報を表示部150に表示させてよい。例えば、表示部150は、
図4に示されるような形式で出力情報を表示してよい。ただし、出力部140が出力する出力情報および表示部150による表示方法は、本例に限定されない。
【0061】
算出部130は、関連度として、画像情報の類似度、人物情報の類似度、位置情報の一致度、または時間情報の一致度の少なくとも1つを算出してよく、判断根拠生成部180は、対象情報の各モーダルの判断根拠を自然言語で生成してよい。本例の算出部130は、画像情報の類似度、位置情報の一致度および時間情報の一致度を算出する。本例の判断根拠生成部180は、画像情報の判断根拠、位置情報の判断根拠および時間情報の判断根拠をそれぞれ生成する。
【0062】
例えば、対象情報に含まれる画像データと上段の関連情報に含まれる画像データとは一致するので、算出部130は画像の類似度を1である、すなわち、完全に一致すると算出し、判断根拠生成部180は判断根拠を「画像が完全に一致」という自然言語で生成する。対象情報に含まれる位置情報と上段の関連情報に含まれる位置情報とは異なるので、算出部130は位置情報の一致度を不一致と算出し、判断根拠生成部180は判断根拠を「A市とB市で不一致」という自然言語で生成する。対象情報に含まれる時間情報と上段の関連情報に含まれる時間情報とは異なるので、算出部130が時間情報の一致度を不一致と算出し、判断根拠生成部180は判断根拠を「20XX年と20YY年で不一致」という自然言語で生成する。中段および下段の関連情報についても同様である。
【0063】
図5は、対象情報、関連情報、関連度、真偽判定および判断根拠の一例を示す。本例の対象情報は、テキストデータと画像データを含む。本例の関連情報は、テキストデータと画像データを含む。出力部140は、対象情報、関連情報、関連度、真偽判定および判断根拠を出力情報として出力してよい。出力部140は、出力情報を表示部150に表示させてよい。例えば、表示部150は、
図5に示されるような形式で出力情報を表示してよい。ただし、出力部140が出力する出力情報および表示部150による表示方法は、本例に限定されない。
【0064】
真偽判定部160は、モーダル毎の関連度に基づいて、対象情報の真偽を判定してよい。判断根拠生成部180は、対象情報の真偽判定の判断根拠を自然言語で生成してよい。例えば、対象情報に含まれる画像データと上段の関連情報に含まれる画像データが一致するものの、位置情報および時間情報が異なっているので、真偽判定部160は、対象情報は偽情報の可能性があると判定する。判断根拠生成部180は、判断根拠を「対象情報と画像が一致する記事の場所と時間は、対象情報の場所と時間と一致せず、対象情報の方が新しいので、対象情報は過去の画像を利用した偽情報の可能性がある」という自然言語で生成する。
【0065】
真偽判定部160は、対象情報が真情報である度合いまたは対象情報が偽情報である度合いを示すスコアで判定してよい。本例の真偽判定部160は、対象情報が偽情報である度合いを偽情報スコア90%として判定している。
【0066】
図6は、対象情報、真偽判定および判断根拠の一例を示す。出力部140は、判断根拠を予め定められた観点毎のスコアで表示部150に表示させてよい。本例の観点は、テキストの信頼度、画像の信頼度、客観的情報に対するエビデンスの網羅性、および客観的情報に対するエビデンスの合致率を含む。
【0067】
図7は、対象情報、客観的情報、関連情報、真偽判定、判断根拠および情報源情報の一例を示す。本例の対象情報は、マルチモーダルな対象情報の少なくとも1つのデータとして、テキストデータを含む。
【0068】
対象情報取得部110は、取得した対象情報から客観的情報を抽出してよい。本例の対象情報は、時間、位置および事象を示す客観的情報と、発信者の意見を示す主観的情報とを含んでいる。本例の対象情報取得部110は、対象情報から客観的情報である「今」および「A市で地震」を抽出している。
【0069】
関連情報取得部120は、対象情報に含まれる客観的情報をサポートする関連情報を取得してよい。出力部140は、対象情報に含まれる客観的情報をサポートする関連情報を出力してよい。本例の関連情報取得部120は、A市で地震が起こったことを示す情報を関連情報として取得している。本例の出力部140は、A市で地震が起こったことを示す関連情報を出力している。
【0070】
例えば、対象情報に含まれる客観的情報は関連情報にサポートされているので、真偽判定部160は、対象情報は偽情報ではないと判定する。判断根拠生成部180は、判断根拠を「テキスト情報中の客観的情報はすべてデータでサポートされています」という自然言語で生成する。
【0071】
関連情報取得部120は、判断根拠となった関連情報の情報源情報を出力してよい。情報源情報は、関連情報取得部120が関連情報を取得した情報源を示す情報であってよく、例えば、関連情報を取得したURL等を含んでよい。本例の関連情報取得部120は、A市で地震が起こったことを示す関連情報を取得した情報源情報としてURLを出力している。出力部140は、関連情報の情報源情報を出力情報として出力してよい。
【0072】
出力部140は、対象情報、客観的情報、関連情報、真偽判定、判断根拠および情報源情報を出力情報として出力してよい。出力部140は、出力情報を表示部150に表示させてよい。例えば、表示部150は、
図7に示されるような形式で出力情報を表示してよい。ただし、出力部140が出力する出力情報および表示部150による表示方法は、本例に限定されない。
【0073】
図8は、対象情報、合成度合いおよび判断根拠の一例を示す。本例の対象情報は、マルチモーダルな対象情報の少なくとも1つのデータとして、画像データを含む。
【0074】
合成度判定部170は、対象情報に含まれるデータの合成度合いを判定してよい。例えば、合成度判定部170は、対象情報に含まれる画像データが合成である可能性は低いと判定する。出力部140は、対象情報に含まれる画像データにヒートマップを重ねて表示することで、判断根拠を強調して表示部150に表示させてよい。
【0075】
判断根拠生成部180は、複数の判断根拠を生成してよい。本例の判断根拠生成部180は、「合成の可能性が高い特徴が画像中の20%以下です」という判断根拠と、「目の特徴に合成画像特有の特徴が見られません」という判断根拠を生成する。
【0076】
判断根拠生成部180は、それぞれの判断根拠の信頼度を生成してよい。出力部140は、判断根拠生成部180が生成する判断根拠の信頼度に応じて、判断根拠を強調して表示部150に表示させるか否かを決定してよい。本例の出力部140は、判断根拠のうち信頼度の高い方の判断根拠を太字で強調して表示部150に表示させている。
【0077】
出力部140は、対象情報、合成度合いおよび判断根拠を出力情報として出力してよい。出力部140は、出力情報を表示部150に表示させてよい。例えば、表示部150は、
図8に示されるような形式で出力情報を表示してよい。ただし、出力部140が出力する出力情報および表示部150による表示方法は、本例に限定されない。
【0078】
図9は、真偽判定支援装置100の変形例を示す。本例の真偽判定支援装置100は、情報源指定部190を備える点で、
図1の実施例と相違する。本例では、
図1の実施例と相違する点について特に説明し、その他は
図1の実施例と同一であってよい。
【0079】
情報源指定部190は、対象情報を取得するための対象情報源を指定してよい。対象情報源は、対象情報を取得するためのURLを含んでよく、対象情報を取得するための検索キーワードを含んでよく、対象情報を取得する情報源となるSNS等を含んでよい。情報源指定部190は、対象情報源を入力させるための画面を表示装置に表示させて、対象情報源をユーザに入力させることで、対象情報源を指定してよい。ただし、対象情報取得部110による対象情報の取得方法は、これに限定されない。情報源指定部190は、複数の対象情報源を指定してよい。対象情報取得部110は、情報源指定部190が指定した対象情報源から対象情報を取得してよい。
【0080】
本例の真偽判定支援装置100は、情報源指定部190が対象情報源を指定する。これにより、膨大な情報源の中から対象情報の検索範囲を絞って、効率的に真偽判定を支援することができる。
【0081】
図10Aは、対象情報取得部110による対象情報の取得の一例を示す。情報源指定部190は、対象情報を取得するための対象情報源として、例えばURLを指定する。対象情報取得部110は、情報源指定部190が指定したURLから対象情報を取得してよい。
【0082】
図10Bは、対象情報取得部110による対象情報の取得の一例を示す。対象情報取得部110は、対象情報の対象情報源からデータの拡散指標を算出し、拡散指標に基づいて選択した対象情報を取得してよい。拡散指標は対象情報源のインプレッション数、引用数、シェア数、再投稿数、ブックマーク数、いいね数、お気に入り数、再生回数、閲覧回数または対象情報の発信者の発信を追跡している人数等を示す指標であってよい。
【0083】
対象情報取得部110は、複数の対象情報源からデータの拡散指標を算出してよい。本例の対象情報取得部110は、3つの対象情報源からデータの拡散指標を算出している。対象情報取得部110は、拡散指標に基づいて対象情報を選択してよい。本例の対象情報取得部110は、3つの対象情報源のうち拡散指標が最も大きい対象情報源から対象情報を取得している。
【0084】
対象情報源の拡散指標が高い場合、対象情報源が偽情報である場合に偽情報の流布に対する対策を講じるメリットが大きい。対象情報取得部110が拡散指標に基づいて選択した対象情報を取得することで、対策を講じるメリットが大きい情報から優先的に真偽判定を支援して、偽情報の流布に対する対策を講じることができる。
【0085】
図10Cは、対象情報取得部110による対象情報の取得の一例を示す。対象情報取得部110は、対象情報の対象情報源からデータの合成度合いを算出し、合成度合いに基づいて選択した対象情報を取得してよい。
【0086】
対象情報取得部110は、複数の対象情報源からデータの合成度合いを算出してよい。本例の対象情報取得部110は、3つの対象情報源からデータの合成度合いを算出している。対象情報取得部110は、合成度合いに基づいて対象情報を選択してよい。本例の対象情報取得部110は、3つの対象情報源のうち合成度合いが最も大きい対象情報源から対象情報を取得している。
【0087】
対象情報源の合成度合いが高い場合、対象情報源が偽情報である可能性が高く、偽情報の流布に対する対策を講じるメリットが大きい。対象情報取得部110が合成度合いに基づいて選択した対象情報を取得することで、対策を講じるメリットが大きい情報から優先的に真偽判定を支援して、偽情報の流布に対する対策を講じることができる。
【0088】
図1から
図10Cに関連して説明された
図1、
図3および
図9の各機能ブロックは、他の図で説明された機能ブロックと共に設けられてよい。すなわち、真偽判定支援装置100は、
図1、
図3および
図9で説明された機能ブロックの全部または任意の組み合わせを備えてよい。
【0089】
図11は、合成度合判定支援装置200の構成の概要を示す。本例の合成度合判定支援装置200は、対象情報取得部210と、関連情報取得部220と、算出部230と、判断根拠生成部240と、出力部250と、を備える。
【0090】
合成度合判定支援装置200は、対象情報の合成度合いの判定を支援する。例えば、合成度合判定支援装置200は、対象情報が生成AIで生成されたかどうかを示す合成度合いの判定を支援する。
【0091】
対象情報取得部210は、合成度合いの判定対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する。対象情報取得部210は、対象情報を入力させるための画面を表示装置に表示させて、対象情報をユーザに入力させることで、対象情報を取得してよい。ただし、対象情報取得部210による対象情報の取得方法は、これに限定されない。対象情報取得部210は、予め指定された対象情報源から対象情報を取得してよく、対象情報の対象情報源からデータの拡散指標を算出し、拡散指標に基づいて選択した対象情報を取得してよい。対象情報取得部210は、取得した対象情報および/または対象情報に関する情報を関連情報取得部220および算出部230に供給してよい。
【0092】
関連情報取得部220は、対象情報と関連する関連情報を取得する。関連情報取得部220は、予め定められたデータベースから関連情報を取得してよい。関連情報取得部220は、マルチモーダルな対象情報に含まれるデータの種類と同一種類のデータを含むマルチモーダルな関連情報を取得してもよく、対象情報に含まれるデータのうち合成度合いの判定対象となるデータのみを含む関連情報を取得してもよい。例えば、対象情報は、テキストデータと画像データを含む。合成度合いの判定対象が画像データである場合、関連情報取得部220は、対象情報と関連する関連情報として、画像データを含む情報を取得してよい。関連情報取得部220は、取得した関連情報を算出部230に供給してよい。
【0093】
算出部230は、対象情報の合成度合いを算出する。算出部230は、予め定められた機械学習モデルを用いて、対象情報の合成度合いを算出してよい。例えば、機械学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)、リカレントニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network、RNN)、長短期記憶ネットワーク(Long Short-Term Memory、LSTM)、またはトランスフォーマー(Transformer)の少なくとも1つを含む。ただし、算出部230が合成度合いの算出のために用いる機械学習モデルは、これらに限定されない。
【0094】
判断根拠生成部240は、関連情報に基づいて、対象情報の少なくとも1つのモーダルについて合成度合いの判断根拠を自然言語で生成する。判断根拠生成部240は、対象情報の各モーダルについて判断根拠を自然言語で生成してよい。判断根拠生成部240は、判断根拠の信頼度を生成してよい。
【0095】
出力部250は、判断根拠を出力する。出力部250は、判断根拠を強調して予め定められた表示部に表示させてよい。出力部250は、算出部230が算出した合成度合いを出力してよい。
【0096】
以上のように、本例の合成度合判定支援装置200は、対象情報に関連する関連情報を取得し、対象情報の合成度合いを算出してその判断根拠を出力することで、対象情報の合成度合判定を支援することができる。例えば、合成度合判定支援装置200のユーザは、出力された判断根拠を参照することで、対象情報の合成度合いを判定することができる。また、本例の合成度合判定支援装置200は、判断根拠を出力するので、合成度合いの算出結果の説明性を向上することができる。
【0097】
図12は、対象情報、関連情報、合成度合いおよび判断根拠の一例を示す。例えば、合成度合判定支援装置200は、マルチモーダルな対象情報に含まれるデータのうち画像データの合成度合いの判定を支援する。ただし、合成度合判定支援装置200が合成度合いの判定を支援するデータは、これに限定されない。
【0098】
対象情報取得部210は、画像データを含むマルチモーダルな対象情報を取得する。本例の対象情報の画像データは、人物画像を含む。関連情報取得部220は、対象情報と関連する関連情報として、人物画像を含む画像データを取得してよい。例えば、関連情報に含まれる画像データは、全体が合成された画像データを含んでよく、一部が合成された画像データを含んでよく、合成されていない画像データを含んでよい。
【0099】
算出部230は、対象情報の画像データの合成度合いを算出する。本例の算出部230は、画像データが合成である可能性が高いと算出する。判断根拠生成部240は対象情報の画像データについて合成度合いの判断根拠を自然言語で生成する。本例の判断根拠生成部240は、判断根拠を「合成の可能性が高い特徴が画像中の80%以上です」という自然言語で生成する。
【0100】
出力部250は、対象情報に含まれる画像データにヒートマップを重ねて表示することで、判断根拠を強調して予め定められた表示部に表示させてよい。出力部250は、判断根拠の信頼度を出力してよい。
【0101】
図13は、合成度合判定支援装置200の変形例を示す。本例の合成度合判定支援装置200は、合成手法特定部260と、モデル格納部270と、モデル選択部280と、特化処理部290と、を備える点で、
図11の実施例と相違する。本例では、
図11の実施例と相違する点について特に説明し、その他は
図11の実施例と同一であってよい。
【0102】
合成手法特定部260は、対象情報を生成した合成手法を特定してよい。合成手法特定部260は、対象情報を生成した合成モデルを特定してよい。出力部250は、特定された合成手法を出力してよい。
【0103】
モデル格納部270は、判断根拠を生成するための予め定められた生成モデル272を格納してよい。例えば、生成モデル272は、大規模言語モデル(Large Language Model、LLM)または大規模視覚モデル(Vision Language Model、VLM)の少なくとも1つを含む。ただし、生成モデル272は、これらに限定されない。モデル格納部270は、複数の生成モデル272を格納してよい。判断根拠生成部240は、生成モデル272を用いて判断根拠を生成してよい。
【0104】
モデル選択部280は、生成モデル272として、対象情報の内容に応じた機械学習モデルを選択してよい。判断根拠生成部240は、モデル選択部280が選択した生成モデル272を用いて判断根拠を生成してよい。
【0105】
モデル選択部280は、生成モデル272を選択させるための画面を表示装置に表示させて、生成モデル272をユーザに選択させることで、生成モデル272を選択してよい。ただし、モデル選択部280による生成モデル272の選択方法は、これに限定されない。
【0106】
特化処理部290は、判断根拠を生成するための生成モデル272に、対象情報に応じたデータを学習させてよい。例えば、モデル格納部270は、対象情報の内容に応じた複数の生成モデル272を格納する。特化処理部290は、複数の生成モデル272毎に対象情報に応じたデータを学習させることで、特化処理を実行してよい。例えば、地震に特化したデータを学習させることで、地震に特化した生成モデル272が学習される。すなわち、特化処理部290は、対象情報に応じたデータを用いて、生成モデル272のファインチューニングを実行してよい。
【0107】
特化処理部290は、特化処理を実行する生成モデル272を選択させるための画面を表示装置に表示させて、生成モデル272をユーザに選択させることで、選択された生成モデル272に対象情報に応じたデータを学習させてよい。ただし、特化処理部290が特化処理を実行する生成モデル272の選択方法は、これに限定されない。
【0108】
図14は、対象情報、関連情報、合成度合い、判断根拠および合成手法の一例を示す。合成手法特定部260は、対象情報を生成した合成手法を特定してよい。本例の合成手法特定部260は、対象情報の画像データが画像生成モデルAで生成された可能性が高いことを特定する。
【0109】
図11から
図14に関連して説明された
図11および
図13の各機能ブロックは、他の図で説明された機能ブロックと共に設けられてよい。すなわち、合成度合判定支援装置200は、
図11および
図13で説明された機能ブロックの全部または任意の組み合わせを備えてよい。
【0110】
合成度合判定支援装置200が備える対象情報取得部210、関連情報取得部220および出力部250は、真偽判定支援装置100が備える対象情報取得部110、関連情報取得部120および出力部140と同様の構成を有してよい。したがって、合成度合判定支援装置200と真偽判定支援装置100とは、同一の装置として複合的に構成され得ることが理解される。
【0111】
図15は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作又は当該装置の1又は複数のセクションとして機能させることができ、又は当該操作又は当該1又は複数のセクションを実行させることができ、及び/又はコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0112】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、及びディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、及びICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230及びキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0113】
CPU2212は、ROM2230及びRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0114】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラム又はデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0115】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0116】
プログラムが、DVD-ROM2201又はICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、又はROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0117】
例えば、通信がコンピュータ2200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0118】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0119】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0120】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上又はコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0121】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0122】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0123】
100・・・真偽判定支援装置、110・・・対象情報取得部、120・・・関連情報取得部、130・・・算出部、140・・・出力部、150・・・表示部、160・・・真偽判定部、170・・・合成度判定部、180・・・判断根拠生成部、190・・・情報源指定部、200・・・合成度合判定支援装置、210・・・対象情報取得部、220・・・関連情報取得部、230・・・算出部、240・・・判断根拠生成部、250・・・出力部、260・・・合成手法特定部、270・・・モデル格納部、272・・・生成モデル、280・・・モデル選択部、290・・・特化処理部、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD-ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入/出力コントローラ、2222・・・通信インタフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD-ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入/出力チップ、2242・・・キーボード
【要約】 (修正有)
【課題】真偽判定支援装置、方法及びプログラム並びに合成度合判定支援装置を提供する。
【解決手段】真偽判定支援装置100は、合真偽判定の対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する対象情報取得部と、対象情報と関連するマルチモーダルな関連情報を取得する関連情報取得部と、対象情報の各モーダルに対して、対応する関連情報のモーダルとの関連度をそれぞれ算出する算出部と、算出したモーダル毎の関連度を出力情報として出力する出力部と、を備える。合成度合判定支援装置は、合成度合いの判定対象となるマルチモーダルな対象情報を取得する対象情報取得部と、対象情報と関連する関連情報を取得する関連情報取得部と、対象情報の合成度合いを算出する算出部と、関連情報に基づいて、対象情報の少なくとも1つのモーダルについて合成度合いの判断根拠を自然言語で生成する判断根拠生成部と、判断根拠を出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図1