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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】第IX因子ポリペプチド製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20241122BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 38/36 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241122BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241122BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K9/08
A61K38/36
A61K47/02
A61K47/18
A61K47/26
A61P7/04
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019188574
(22)【出願日】2019-10-15
(62)【分割の表示】P 2018119813の分割
【原出願日】2014-03-14
(65)【公開番号】P2020002182
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2019-11-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】61/794,874
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512147244
【氏名又は名称】バイオベラティブ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】マーク ブレーダー
【合議体】
【審判長】吉田 佳代子
【審判官】田村 直寛
【審判官】松波 由美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-513705(JP,A)
【文献】特表2009-525986(JP,A)
【文献】国際公開第2012/006624(WO,A2)
【文献】特表2013-515754(JP,A)
【文献】特表2013-517324(JP,A)
【文献】特表2013-531034(JP,A)
【文献】BeneFIX[凝固第IX因子(遺伝子組換え)])の添付文書、2011年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
A61K 47/00
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象における血友病Bの治療における使用のための薬学的キットであって、
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約250IU、約500IU、約1000IU、約2000IU、約3000IU、または約4000IUの、ヒト抗体のFcドメインに融合したヒト第IX因子を含む組換え第IX因子(「rFIXFc」)ポリペプチドと、
(ii)約59.5mgのスクロースと、
(iii)約119mgのマンニトールと、
(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.50mgのポリソルベート20と
を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせた場合に、以下の溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaCl溶液を含む第2の容器であって、前記溶液が、
(i)約50IU/ml、約100IU/ml、約200IU/ml、約400IU/ml、約600IU/ml、または約800IU/mlのrFIXFcポリペプチドと、
(ii)約11.9mg/mlのスクロースと、
(iii)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(iv)約3.25mg/mlのNaClと、
(v)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.10mg/mlのポリソルベート20と
を含む、第2の容器と、
を含む、薬学的キット。
【請求項2】
前記凍結乾燥粉末が250IUのrFIXFcポリペプチドを含み、前記溶液が50IU/mlのrFIXFcポリペプチドを含む、請求項1に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項3】
前記凍結乾燥粉末が500IUのrFIXFcポリペプチドを含み、前記溶液が100IU/mlのrFIXFcポリペプチドを含む、請求項1に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項4】
前記凍結乾燥粉末が1000IUのrFIXFcポリペプチドを含み、前記溶液が200IU/mlのrFIXFcポリペプチドを含む、請求項1に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項5】
前記凍結乾燥粉末が2000IUのrFIXFcポリペプチドを含み、前記溶液が400IU/mlのrFIXFcポリペプチドを含む、請求項1に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項6】
前記凍結乾燥粉末が3000IUのrFIXFcポリペプチドを含み、前記溶液が600IU/mlのrFIXFcポリペプチドを含む、請求項1に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項7】
前記凍結乾燥粉末が4000IUのrFIXFcポリペプチドを含み、前記溶液が800IU/mlのrFIXFcポリペプチドを含む、請求項1に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項8】
前記第1の容器がゴム栓を備えるガラスバイアルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項9】
前記第2の容器がシリンジ本体であり、前記シリンジ本体がプランジャーと関連付けられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項10】
前記第2の容器は5mlの0.325%(w/v)NaCl溶液を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項11】
rFIXFcポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸1~642と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む第1のサブユニットと、配列番号4のアミノ酸1~227と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む第2のサブユニットとを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項12】
前記rFIXFcポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸1~642を含む第1のサブユニットと、配列番号4のアミノ酸1~227を含む第2のサブユニットとを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための薬学的キット。
【請求項13】
前記第1のサブユニットおよび前記第2のサブユニットが、Fcのヒンジ領域における2つのジスルフィド結合を介して結合されている、請求項11または請求項12に記載の使用のための薬学的キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、止血障害の治療分野に関する。
【背景技術】
【0002】
血友病B(クリスマス病としても知られる)は、世界中で最も一般的な遺伝性出血障害のうちの1つである。それは、生体内及び生体外の血液凝固活性の減少をもたらし、罹患した個人の一生にわたる、広範囲に及ぶ医療監視を必要とする。介入の不在下では、罹患した個人は、関節における突発性出血を患うことになり、それが重度の疼痛及び消耗性の不動状態をもたらし、筋肉中への出血は、それらの組織内での血液の蓄積をもたらし、咽喉及び頚部における突発性出血は、直ちに処置されない場合、窒息の原因となり得、腎出血、及び外科手術、小さな偶発性損傷、または抜歯後の重度の出血もよく見られる。
【0003】
通常の生体内の血液凝固には、最低でも、セリンプロテアーゼII(プロトロンビン)、VII、IX及びXI因子(水溶性血漿タンパク質)が必要とされ、補因子として、膜貫通タンパク質組織因子及び血漿タンパク質V及びVIII因子、フィブリノゲン、トランスグルタミナーゼXIII因子、リン脂質(活性化血小板を含む)、及びカルシウムが含まれる。生体外の凝固テストには、カリクレイン、高分子量キニノゲン、及びXII因子を含む追加のタンパク質が必要であり、病態診断下で生体内に影響を及ぼし得る。
【0004】
血友病では、ある特定の血漿中凝固因子の欠如によって、血液凝固が妨げられる。血友病Bは、IX因子タンパク質の合成低下、または活性が低下した不完全分子のうちのいずれかに起因し得る、IX因子欠損症が原因となる。血友病の治療は、不足している凝固因子を、IX因子に高濃度で濃縮される外的因子濃縮物と置換することによって、行われる。しかしながら、以下で説明するように、血液からこのような濃度物を生成することには、技術的困難が伴う。
【0005】
血漿からの第IX因子(血漿由来のIX因子、つまりpdFIX)の精製によって、活性IX因子がほとんど排他的にもたらされる。しかしながら、IX因子は血漿内に低濃度でのみ存在するので、IX因子を血漿からそのように精製することは、非常に困難である(5μg/mL。Andersson,Thrombosis Research 7:451 459(1975)。さらに、血液からの精製では、IV及びHCV等の感染体の除去または不活化が必要となる。その上、pdFIXの半減期は短く、それ故に、頻繁な投与が必要となる。また、組換え型第IX因子(rFIX)も利用可能であるが、半減期が同じく短いという問題があり、pdFIXと同様に頻繁な投与を必要とする(例えば、予防のために、1週間に2~3回)。rFIXは、pdFIXと比較して、低い増分回収率(K値)を有するので、pdFIXの投与よりも高い、rFIXの投与の使用が必要となる。
死亡率の低下、関節損傷の予防及び生活の質の改善は、血漿由来及び組換え型第IX因子の開発による重要な成果である。出血からの長期保護によって、血友病Bの対象の治療において、別の重要な進歩が示される。しかしながら、今まで、長期保護を可能にする製品が開発されていない。したがって、現在の治療法よりもさらに耐性があり、かつさらに有効である、第IX因子欠損症に起因する血友病を治療する改善された方法が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Andersson,Thrombosis Research 7:451 459(1975)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(a)FcRn結合パートナーと融合したヒト第IX因子を含む第IX因子ポリペプチド(rFIXFBPポリペプチド)であって、長時間作用型第IX因子活性を有する、ポリペプチドと、(b)スクロース及びマンニトールを含む炭水化物混合物と、(c)塩化ナトリウム(NaCl)と、(d)L-ヒスチジンと、(e)ポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む薬学的組成物を対象とする。一実施形態では、薬学的組成物は、約1%(w/v)~約2%(w/v)のスクロース(例えば、約1.2%(w/v)または約1.7%(w/v)のスクロース)、または約10mg/ml~約20mg/mlのスクロース(例えば、約11.9mg/mlまたは約16.7mg/mlのスクロース)を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、約2%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトール(例えば、約2.4%(w/v)のマンニトールまたは約3.3%(w/v)のマンニトール)、または約20mg/ml~約40mg/mlのマンニトール(例えば、約23.8mg/mlのマンニトールまたは約33.3mg/mlのマンニトール)を含む。他の実施形態では、薬学的組成物は、約50mM~約60mMのNaCl(例えば、約55.6mMのNaCl)、または、約3mg/ml~約4mg/mlのNaCl(例えば、約3.25mg/mlのNaCl)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約20mM~約40mMのL-ヒスチジン(例えば、約25mMのL-ヒスチジンまたは約35mMのL-ヒスチジン)、または、約3mg/ml~約6mg/mlのL-ヒスチジン(例えば、約3.88mg/mlのL-ヒスチジンまたは約5.43mg/mlのL-ヒスチジン)を含む。特定の実施形態では、薬学的組成物は、約0.008%(w/v)~約0.020%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80(例えば、約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80、あるいは、約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80)、または約0.08mg/ml~約0.2mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80(例えば、約0.10%mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80、あるいは、約0.14mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80)を含む。
【0008】
薬学的組成物は、rFIXFBPポリペプチドを含むことができ、rFIXFBPポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1~642と少なくとも90%または95%同一のアミノ酸配列を含む第1のサブユニット、及び、配列番号4のアミノ酸1~227と少なくとも90%~100%同一のアミノ酸配列を含む第2のサブユニットを含む、rFIXFcポリペプチドである。
【0009】
いくつかの態様では、IX因子活性を有するrFIXFBPポリペプチドは、約25IU/ml~約1200IU/ml(例えば、50IU/ml、100IU/ml、200IU/ml、400IU/ml、または600IU/mlのrFIXFBPポリペプチド)の濃度で存在する。
【0010】
一態様では、薬学的組成物は、(a)約25IU/ml~約700IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(b)約1%(w/v)~約2%(w/v)のスクロースと、(c)約2%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトールと、(d)約50mM~約60mMのNaClと、(e)約20mM~約40mMのL-ヒスチジンと、(f)約0.008%(w/v)~約0.015%のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む。例えば、薬学的組成物は、(a)約50IU/ml、約100IU/ml、約200IU/ml、または約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(b)約1.2%(w/v)のスクロースと、(c)約2.4%(w/v)のマンニトールと、(d)約55.6mMのNaClと、(e)約25mMのL-ヒスチジンと、(f)約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含むことができる。
【0011】
別の態様では、薬学的組成物は、(a)約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(b)約1.7%(w/v)のスクロースと、(c)約3.3%(w/v)のマンニトールと、(d)約55.6mMのNaClと、(e)約35mMのL-ヒスチジンと、(f)約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む。
【0012】
他の態様では、薬学的組成物は、(a)約25IU/ml~約700IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(b)約10mg/ml~約20mg/mlのスクロースと、(c)約20mg/ml~約40mg/mlのマンニトールと、(d)約3mg/ml~約4mg/mlのNaClと、(e)約3mg/ml~約6mg/mlのL-ヒスチジンと、(f)約0.08mg/ml~約0.15mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む。例えば、薬学的組成物は、(a)約50IU/ml、約100IU/ml、約200IU/ml、または約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(b)約11.9mg/mlのスクロースと、(c)約23.8mg/mlのマンニトールと、(d)約3.25mg/mlのNaClと、(e)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、(f)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む。いくつかの態様では、薬学的組成物は、(a)約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(b)約16.7mg/mlのスクロースと、(c)約33.3mg/mlのマンニトールと、(d)約3.25mg/mlのNaClと、(e)約5.43mg/mlのL-ヒスチジンと、(f)約0.14mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む。
【0013】
特定の態様では、本発明は、(a)粉末が、(i)rFIXFBPポリペプチドと、(ii)スクロースと、(iii)マンニトールと、(iv)L-ヒスチジンと、(v)ポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、凍結乾燥粉末を含む第1の容器と、(b)第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられる、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む薬学的キットを対象とする。一実施形態では、薬学的キットは、(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、(i)約250IU、約500IU、約1000IU、または約約2000IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約59.5mgのスクロースと、(iii)約119mgのマンニトールと、(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、(b)第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)それぞれ、約50IU/ml、約100IU/ml、約200IU/ml、または約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約1.2%(w/v)のスクロースと、(iii)約2.4%(w/v)のマンニトールと、(iv)約55.6mMのNaClと、(v)約25mMのL-ヒスチジンと、(vi)約0.01%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む、第2の容器と、含む。別の実施形態では、薬学的キットは、(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、(i)約3000IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約83.3mgのスクロースと、(iii)約167mgのマンニトールと、(iv)約27.2mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.7mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、(b)第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約1.7%(w/v)のスクロースと、(iii)約3.3%(w/v)のマンニトールと、(iv)約55.6mMのNaClと、(v)約35mMのL-ヒスチジンと、(vi)約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む。
【0014】
いくつかの態様では、本発明は、rFIXFBPポリペプチドを、予防を必要とする血友病Bの対象に投与する方法であって、本発明の薬学的組成物を、約50IU/kgの初期用量で1週間に1度、または、約100IU/kgの初期用量で10日~14日に1度、対象に静脈内投与することを含み、その投与が、対象の出血エピソードを防止する、またはその頻度を減少させる方法を提供する。他の態様では、本発明は、少量から中等度の出血エピソードの治療が必要な血友病Bの対象に、rFIXFBPポリペプチドを投与する方法であって、約30IU/kg~約60IU/kgの初期用量で、本発明の薬学的組成物を対象に静脈内投与することを含み、その投与が、出血エピソードを制御する、軽減する、または逆転させる、方法を提供する。本方法は、対象がさらに出血の兆候を示した場合、48時間毎に1回以上の用量を投与することをさらに含むことができる。さらに他の態様では、本発明は、大量出血エピソードの治療が必要な血友病Bの対象に、rFIXFBPポリペプチドを投与する方法であって、約100IU/kgの初期用量で、本発明の薬学的組成物を、対象に静脈内投与することを含み、この投与が、前記出血エピソードを制御する、軽減する、または逆転させる、方法を含む。一実施形態では、本方法は、出血エピソードが継続する場合、約6~10時間後に、薬学的組成物の追加用量を、約80IU/kgで投与することをさらに含む。別の実施形態では、本方法は、前記出血エピソードが継続する場合、24時間毎に3日間、薬学的組成物の1回以上の追加用量を、80IU/kgで投与することをさらに含む。他の実施形態では、本方法は、出血エピソードを制御するまで、48時間毎に、薬学的組成物の1回以上の追加用量を、80IU/kgで投与することをさらに含む。
【0015】
他の態様では、本発明は、rFIXFBPポリペプチドを、外科的予防を必要とする血友病Bの対象に投与する方法であって、本発明の薬学的組成物を、約50IU/kg~80IU/kgの用量で、小手術を受けている血友病Bの対象に静脈内投与することを含み、この投与が、術中及び術後の対象の出血を制御する、方法を含む。一実施形態では、本方法は、術後の出血を制御する必要がある場合、術後約24~約48時間に、薬学的組成物の追加用量を、約50IU/kg~80IU/kgで投与することをさらに含む。
【0016】
さらに他の態様では、本発明は、rFIXFBPポリペプチドを、外科的予防を必要とする血友病Bの対象に投与する方法であって、本発明の薬学的組成物を、約100IU/kgの用量で、大手術を受けている血友病Bの対象に静脈内投与することを含み、この投与が、術中及び術後の対象の出血を制御する、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、術後の出血を制御する必要がある場合、約6~約10時間後に、薬学的組成物の追加用量を、約80IU/kgで投与することをさらに含む。別の実施形態では、本方法は、術後の出血を制御する必要がある場合、24時間毎に3日間、薬学的組成物の1回以上の追加用量を、80IU/kgで投与することをさらに含む。他の実施形態では、本方法は、術後の出血を制御する必要がある場合、48時間毎に、薬学的組成物の1回以上の追加用量を、80IU/kgで投与することをさらに含む。
【0017】
さらに他の態様では、rFIXFBPポリペプチドの望ましい投与は、本発明の単一の薬学的キットから、または本発明の2つ以上の薬学的キットから得ることができ、投与前に、それら2つ以上の薬学的キットの内容物を貯蔵する。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
(a)FcRn結合パートナー(FBP)と融合したヒト第IX因子を含む第IX因子ポリペプチド(rFIXFBPポリペプチド)であって、長時間作用型第IX因子活性を有する、ポリペプチドと、
(b)スクロース及びマンニトールを含む炭水化物混合物と、
(c)塩化ナトリウム(NaCl)と、
(d)L-ヒスチジンと、
(e)ポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、薬学的組成物。
(項目2)
約1%(w/v)~約2%(w/v)のスクロースを含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目3)
約1.2%(w/v)のスクロースを含む、項目2に記載の薬学的組成物。
(項目4)
約1.7%(w/v)のスクロースを含む、項目2に記載の薬学的組成物。
(項目5)
約10mg/ml~約20mg/mlのスクロースを含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目6)
約11.9mg/mlのスクロースを含む、項目5に記載の薬学的組成物。
(項目7)
約16.7mg/mlのスクロースを含む、項目5に記載の薬学的組成物。
(項目8)
約2%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトールを含む、項目1~7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目9)
約2.4%(w/v)のマンニトールを含む、項目8に記載の薬学的組成物。
(項目10)
約3.3%(w/v)のマンニトールを含む、項目8に記載の薬学的組成物。
(項目11)
約20mg/ml~約40mg/mlのマンニトールを含む、項目1~7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目12)
約23.8mg/mlのマンニトールを含む、項目11に記載の薬学的組成物。
(項目13)
約33.3mg/mlのマンニトールを含む、項目11に記載の薬学的組成物。
(項目14)
約1.0%~約2.0%のスクロース及び約2.0%(w/v)~約4.0%(w/v)のマンニトールを含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目15)
約1.2%(w/v)のスクロース及び約2.4%(w/v)のマンニトールを含む、項目14に記載の薬学的組成物。
(項目16)
約1.7%(w/v)のスクロース及び約3.3%(w/v)のマンニトールを含む、項目14に記載の薬学的組成物。
(項目17)
約10mg/ml~約20mg/mlのスクロース及び約20mg/ml~約40mg/mlのマンニトールを含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目18)
約11.9mg/mlのスクロース及び約23.8mg/mlのマンニトールを含む、項目17に記載の薬学的組成物。
(項目19)
約16.7mg/mlのスクロース及び約33.3mg/mlのマンニトールを含む、項目17に記載の薬学的組成物。
(項目20)
約50mM~約60mMのNaClを含む、項目1~19のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目21)
約55.6mMのNaClを含む、項目20に記載の薬学的組成物。
(項目22)
約3mg/ml~約4mg/mlのNaClを含む、項目1~19のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目23)
約3.25mg/mlのNaClを含む、項目22に記載の薬学的組成物。
(項目24)
約20mM~約40mMのL-ヒスチジンを含む、項目1~23のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目25)
約25mMのL-ヒスチジンを含む、項目24に記載の薬学的組成物。
(項目26)
約35mMのL-ヒスチジンを含む、項目24に記載の薬学的組成物。
(項目27)
約3mg/ml~約6mg/mlのL-ヒスチジンを含む、項目1~23のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目28)
約3.88mg/mlのL-ヒスチジンを含む、項目27に記載の薬学的組成物。
(項目29)
約5.43mg/mlのL-ヒスチジンを含む、項目27に記載の薬学的組成物。
(項目30)
約0.008%(w/v)~約0.020%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む、項目1~29のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目31)
約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む、項目30に記載の薬学的組成物。
(項目32)
約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む、項目30に記載の薬学的組成物。
(項目33)
約0.08mg/ml~約0.2mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む、項目1~29のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目34)
約0.10%mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む、項目33に記載の薬学的組成物。
(項目35)
約0.14mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む、項目33に記載の薬学的組成物。
(項目36)
前記rFIXFBPポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸1~642と少なくとも90%または95%同一のアミノ酸配列を含む第1のサブユニット、及び配列番号4のアミノ酸1~227と少なくとも90%~95%同一のアミノ酸配列を含む第2のサブユニットを含む、rFIXFcポリペプチドである、項目1~35のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目37)
前記rFIXFcポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸1~642を含む第1のサブユニット、及び配列番号4のアミノ酸1~227を含む第2のサブユニットを含む、項目36に記載の薬学的組成物。
(項目38)
第IX因子活性を有する前記ポリペプチドが、約25IU/ml~約1200IU/mlの濃度で存在する、項目1~37のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目39)
50IU/ml、100IU/ml、200IU/ml、400IU/ml、または600IU/mlの前記rFIXFBPポリペプチドを含む、項目38に記載の薬学的組成物。
(項目40)
50IU/ml、100IU/ml、200IU/ml、または400IU/mlの前記rFIXFBPポリペプチドを含む、項目39に記載の薬学的組成物。
(項目41)
600IU/mlの前記rFIXFBPポリペプチドを含む、項目39に記載の薬学的組成物。
(項目42)
(a)約25IU/ml~約700IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約1%(w/v)~約2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約50mM~約60mMのNaClと、
(e)約20mM~約40mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.008%(w/v)~約0.015%のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目43)
(a)約50IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約25mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目42に記載の薬学的組成物。
(項目44)
(a)約100IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約25mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目42に記載の薬学的組成物。
(項目45)
(a)約200IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約25mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目42に記載の薬学的組成物。
(項目46)
(a)約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約25mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目42に記載の薬学的組成物。
(項目47)
(a)約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約1.7%(w/v)のスクロースと、
(c)約3.3%のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約35mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目42に記載の薬学的組成物。
(項目48)
(a)約25IU/ml~約700IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約10mg/ml~約20mg/mlのスクロースと、
(c)約20mg/ml~約40mg/mlのマンニトールと、
(d)約3mg/ml~約4mg/mlのNaClと、
(e)約3mg/ml~約6mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.08mg/ml~約0.15mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目49)
(a)約50IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約11.9mg/mlのスクロースと、
(c)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目48に記載の薬学的組成物。
(項目50)
(a)約100IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約11.9mg/mlのスクロースと、
(c)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目48に記載の薬学的組成物。
(項目51)
(a)約200IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約11.9mg/mlのスクロースと、
(c)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目48に記載の薬学的組成物。
(項目52)
(a)約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約11.9mg/mlのスクロースと、
(c)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目48に記載の薬学的組成物。
(項目53)
(a)約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(b)約16.7mg/mlのスクロースと、
(c)約33.3mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約5.43mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.14mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目48に記載の薬学的組成物。
(項目54)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)rFIXFBPポリペプチと、
(ii)スクロースと、
(iii)マンニトールと、
(iv)L-ヒスチジンと、
(v)ポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられる、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、薬学的キット。
(項目55)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約250IUのrFIXFBPポリペプチド、
(ii)約59.5mgのスクロースと、
(iii)約119mgのマンニトールと、
(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約50IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(iii)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(iv)約55.6mMのNaClと、
(v)約25mMのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.01%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、項目54に記載の薬学的キット。
(項目56)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約500IUのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約59.5mgのスクロースと、
(iii)約119mgのマンニトールと、
(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約100IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(iii)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(iv)約55.6mMのNaClと、
(v)約25mMのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.01%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、項目54に記載の薬学的キット。
(項目57)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約1000IUのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約59.5mgのスクロースと、
(iii)約119mgのマンニトールと、
(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約200IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(iii)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(iv)約55.6mMのNaClと、
(v)約25mMのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.01%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、項目54に記載の薬学的キット。
(項目58)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約2000IUのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約59.5mgのスクロースと、
(iii)約119mgのマンニトールと、
(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(iii)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(iv)約55.6mMのNaClと、
(v)約25mMのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.01%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、項目54に記載の薬学的キット。
(項目59)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約3000IUのrFIXFBPポリペプチドと、
(i)約83.3mgのスクロースと、
(iii)約167mgのマンニトールと、
(iv)約27.2mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.7mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約1.7%(w/v)のスクロースと、
(iii)約3.3%(w/v)のマンニトールと、
(iv)約55.6mMのNaClと、
(v)約35mMのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む、第2の容器と、を含む項目54に記載の薬学的キット。
(項目60)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約250IUのrFIXFBPポリペプチド、
(ii)約59.5mgのスクロースと、
(iii)約119mgのマンニトールと、
(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約50IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約11.9mg/mlのスクロースと、
(iii)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(iv)約3.25mg/mlのNaClと、
(v)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む、第2の容器と、を含む項目54に記載の薬学的キット。
(項目61)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約500IUのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約59.5mgのスクロースと、
(iii)約119mgのマンニトールと、
(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約100IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約11.9mg/mlのスクロースと、
(iii)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(iv)約3.25mg/mlのNaClと、
(v)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む、第2の容器と、を含む項目54に記載の薬学的キット。
(項目62)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約1000IUのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約59.5mgのスクロースと、
(iii)約119mgのマンニトールと、
(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約200IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約11.9mg/mlのスクロースと、
(iii)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(iv)約3.25mg/mlのNaClと、
(v)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む、第2の容器と、を含む項目54に記載の薬学的キット。
(項目63)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約2000IUのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約59.5mgのスクロースと、
(iii)約119mgのマンニトールと、
(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約11.9mg/mlのスクロースと、
(iii)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(iv)約3.25mg/mlのNaClと、
(v)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む、第2の容器と、を含む項目54に記載の薬学的キット。
(項目64)
(a)凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、前記粉末が、
(i)約3000IUのrFIXFBPポリペプチドと、
(i)約83.3mgのスクロースと、
(iii)約167mgのマンニトールと、
(iv)約27.2mgのL-ヒスチジンと、
(v)約0.7mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、
(b)前記第1の容器の前記凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、
(i)約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、
(ii)約16.7mg/mlのスクロースと、
(iii)約33.3mg/mlのマンニトールと、
(iv)約3.25mg/mlのNaClと、
(v)約5.43mg/mlのL-ヒスチジンと、
(vi)約0.14mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む、第2の容器と、を含む項目54に記載の薬学的キット。
(項目65)
前記第1の容器がゴム栓を備えるガラスバイアルである、項目54~64のいずれか一項の記載のキット。
(項目66)
前記第2の容器がシリンジ本体であり、前記シリンジ本体がプランジャーと関連付けられる、項目54~65のいずれか一項に記載のキット。
(項目67)
前記ガラスバイアルを前記シリンジ本体に接続するためのアダプターをさらに備える、項目66に記載のキット。
(項目68)
静脈内注入に好適である、前記シリンジに接続される針と関連付けられた注入管をさらに備える、項目66または項目67に記載のキット。
(項目69)
rFIXFBPポリペプチドの、予防を必要とする血友病Bの対象への投与方法であって、項目1~53のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、1週間に1度投与される、約50IU/kgの初期用量で、前記対象に静脈内投与することを含み、前記投与が、前記対象の出血エピソードを防止する、またはその頻度を減少させる、方法。
(項目70)
rFIXFBPポリペプチドの、予防を必要とする血友病Bの対象への投与方法であって、項目1~53のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、10日~14日に1度投与される、約100IU/kgの初期用量で、対象に静脈内投与することを含み、前記投与が、前記対象の出血エピソードを防止する、またはその頻度を減少させる、方法。
(項目71)
予防的投薬量または投薬頻度は、対象の反応に基づいて、その後調整される、項目69または項目70に記載の方法。
(項目72)
少量から中等度の出血エピソードの治療が必要な血友病Bの対象への、rFIXFBPポリペプチドの投与方法であって、約30IU/kg~約60IU/kgの初期用量で、項目1~53のいずれか一項に記載の薬学的組成物を前記対象に静脈内投与することを含み、前記投与が、前記出血エピソードを制御する、軽減する、または逆転させる、方法。(項目73)
前記対象がさらに出血の兆候を示した場合、48時間毎に1回以上の追加用量を投与することをさらに含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
大量出血エピソードの治療が必要な血友病Bの対象への、rFIXFBPポリペプチドの投与方法であって、約100IU/kgの初期用量で、項目1~53のいずれか一項に記載の薬学的組成物を前記対象に静脈内投与することを含み、前記投与が、前記出血エピソードを制御する、軽減する、または逆転させる、方法。
(項目75)
前記出血エピソードが継続する場合、約6~10時間後に、前記薬学的組成物の追加用量を、約80IU/kgで投与することをさらに含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記出血エピソードが継続する場合、24時間毎に3日間、前記薬学的組成物の1回以上の追加用量を、80IU/kgで投与することをさらに含む、項目75に記載の方法。(項目77)
前記出血エピソードを制御するまで、48時間毎に、前記薬学的組成物の1回以上の追加用量を、約80IU/kgで投与することをさらに含む、項目76に記載の方法。
(項目78)
rFIXFBPポリペプチドの、外科的予防を必要とする血友病Bの対象への投与方法であって、項目1~53のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、約50IU/kg~80IU/kgの用量で、小手術を受けている血友病Bの対象に静脈内投与することを含み、前記投与が、術中及び術後の前記対象の出血を制御する、方法。
(項目79)
術後の出血を制御する必要がある場合、術後約24~約48時間に、前記薬学的組成物の追加用量を、約50IU/kg~80IU/kgで投与することをさらに含む、項目78に記載の方法。
(項目80)
rFIXFBPポリペプチドの、外科的予防を必要とする血友病Bの対象への投与方法であって、項目1~53のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、約100IU/kgの用量で、大手術を受けている血友病Bの対象に静脈内投与することを含み、前記投与が、術中及び術後の前記対象の出血を制御する、方法。
(項目81)
術後の出血を制御する必要がある場合、約6~10時間後に、前記薬学的組成物の追加用量を、約80IU/kgで投与することをさらに含む、項目80に記載の方法。
(項目82)
術後の出血を制御する必要がある場合、24時間毎に3日間、前記薬学的組成物の1回以上の追加用量を、80IU/kgで投与することをさらに含む、項目81に記載の方法。
(項目83)
術後の出血を制御する必要がある場合、48時間毎に、前記薬学的組成物の1回以上の追加用量を、約80IU/kgで投与することをさらに含む、項目82に記載の方法。
(項目84)
前記rFIXFBPポリペプチドの前記望ましい投与を、項目54~68のいずれか一項に記載の単一の薬学的キットから得ることができる、項目69~82のいずれか一項に記載の方法。
(項目85)
前記rFIXFBPポリペプチドの前記望ましい投与を、項目54~68のいずれか一項に記載の2つ以上の薬学的キットから得ることができ、投与前に、前記2つ以上の薬学的キットの内容物を貯蔵する、項目69~82のいずれか一項に記載の方法。
(項目86)
前記rFIXFBPポリペプチドが、50IU/kgのrFIXFBPの単回静脈内注入後、約70時間~約95時間の平均T1/2beta(活性)を有する、項目1~53のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目87)
前記平均T1/2beta(活性)が、約82時間である、項目1~53のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目88)
前記平均T1/2beta(活性)が、50IU/kgのBENEFIX(登録商標)の単回静脈内注入後、完全長成熟第IX因子(BENEFIX(登録商標))からなるポリペプチドよりも、少なくとも約2倍~約3倍高い、項目86または項目87に記載の薬学的組成物。
(項目89)
前記平均T1/2beta(活性)が、完全長成熟第IX因子(BENEFIX(登録商標))からなるポリペプチドよりも、約2.4倍高い、項目88に記載の薬学的組成物。
(項目90)
50IU/kgのrFIXFcの単回静脈内注入後、前記rFIXFcポリペプチドが、約30IU/dL~約50IU/dLの平均Cmaxを有する、項目1~53または86~89のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目91)
前記平均Cmaxが約40.8IU/dLである、項目90に記載の薬学的組成物。
(項目92)
50IU/kgのrFIXFcの単回静脈内注入後、前記rFIXFcポリペプチドが、IU/kgにつき約27IU*h/dL~IU/kgにつき約35IU*h/dLの用量当たりの平均曲線下面積(AUC/用量)を有する、項目1~53または86~91のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目93)
前記平均AUC/用量が、IU/kgにつき、約31.32IU*h/dLである、項目92に記載の薬学的組成物。
(項目94)
50IU/kgの完全長成熟第IX因子(BENEFIX(登録商標))からなるポリペプチドの単回静脈内注入後、前記平均AUC/用量が、前記完全長成熟第IX因子(BENEFIX(登録商標))からなるポリペプチドよりも少なくとも約1.8倍~約2.1倍高い、項目92または項目93に記載の薬学的組成物。
(項目95)
前記平均AUC/用量が、完全長成熟第IX因子(BENEFIX(登録商標))からなるポリペプチドよりも約1.99倍高い、項目94に記載の薬学的組成物。
(項目96)
血友病Bの対象の年間出血率を低下させる方法であって、項目1~53または項目86~95のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、予防的に、定期的なまたは個別化した投与間隔で、固定量または個別化した用量を投与することを含む、方法。
(項目97)
前記薬学的組成物を、固定用量、固定投与間隔で、前記対象に投与する、項目96に方法。
(項目98)
前記薬学的組成物の前記固定用量が、約50IU/kgであり、前記固定投与間隔が、約1週間である、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記薬学的組成物の前記固定用量が、約100IU/kgであり、前記固定投与間隔が、約10日~約14日である、項目97に記載の方法。
(項目100)
前記薬学的組成物を、個別化した用量、固定投与間隔で、前記対象に投与する、項目96に方法。
(項目101)
前記固定投与間隔が、約1週間である、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記個別化した用量が、約1IU/dl~約3IU/dlのFIX活性の血漿トラフレベルを実現するために調整される、項目100または項目101に記載の方法。
(項目103)
前記個別化した用量が、約30IU/kg~約60IU/kgであり、約1週間に1度投与される、項目101~102のいずれか一項に記載の方法。
(項目104)
前記個別化した用量が、約32IU/kg~約54IU/kgであり、約1週間に1度投与される、項目103に記載の方法。
(項目105)
前記個別化した用量の平均が、約41IU/kgであり、約1週間に1度投与される、項目104に記載の方法。
(項目106)
前記対象の年間出血率を、エピソードまたはオンデマンド投与での治療を受けている血友病Bの対象の前記平均年間出血率全体の、約70%~約90%低下させる、項目100~105のいずれか一項に記載の方法。
(項目107)
前記対象の年間出血率を、約76%~約89%低下させる、項目106に記載の方法

(項目108)
前記対象の年間出血率を、約83%低下させる、項目107に記載の方法。
(項目109)
前記薬学的組成物を、固定用量、個別化した投与間隔で、前記対象に投与する、項目96に方法。
(項目110)
前記固定用量が、約100IU/kgである、項目109に記載の方法。
(項目111)
前記個別化した投与間隔が、約1IU/dl~約3IU/dlのFIX活性の血漿トラフレベルを実現するために調整される、項目109または項目110に記載の方法。
(項目112)
前記個別化した投与間隔が、約10日~約14日である、項目109~111のいずれか一項に記載の方法。
(項目113)
前記個別化した投与間隔が約13日である、項目112に記載の方法。
(項目114)
前記対象の年間出血率を、エピソードまたはオンデマンド投与での治療を受けている血友病Bの対象の前記平均年間出血率全体の、約80%~約95%低下させる、項目109~113のいずれか一項に記載の方法。
(項目115)
前記対象の年間出血率を、約80%~約92%低下させる、項目114に記載の方法。(項目116)
前記対象の年間出血率を、約87%低下させる、項目115に記載の方法。
(項目117)
(a)約25IU/ml~約700IU/mlのrFIXポリペプチドと、
(b)約1%(w/v)~約2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約50mM~約60mMのNaClと、
(e)約20mM~約40mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.008%(w/v)~約0.015%のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む薬学的組成物。
(項目118)
(a)約50IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約25mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目117に記載の薬学的組成物。
(項目119)
(a)約100IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約25mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目117に記載の薬学的組成物。
(項目120)
(a)約200IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約25mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目117に記載の薬学的組成物。
(項目121)
(a)約400IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約1.2%(w/v)のスクロースと、
(c)約2.4%(w/v)のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約25mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目117に記載の薬学的組成物。
(項目122)
(a)約600IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約1.7%(w/v)のスクロースと、
(c)約3.3%(w/v)のマンニトールと、
(d)約55.6mMのNaClと、
(e)約35mMのL-ヒスチジンと、
(f)約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目117に記載の薬学的組成物。
(項目123)
(a)約25IU/ml~約700IU/mlのrFIXポリペプチドと、
(b)約10mg/ml~約20mg/mlのスクロースと、
(c)約20mg/ml~約40mg/mlのマンニトールと、
(d)約3mg/ml~約4mg/mlのNaClと、
(e)約3mg/ml~約6mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.08mg/ml~約0.15mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、薬学的組成物。
(項目124)
(a)約50IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約11.9mg/mlのスクロースと、
(c)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目123に記載の薬学的組成物。
(項目125)
(a)約100IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約11.9mg/mlのスクロースと、
(c)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目123に記載の薬学的組成物。
(項目126)
(a)約200IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約11.9mg/mlのスクロースと、
(c)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目123に記載の薬学的組成物。
(項目127)
(a)約400IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約11.9mg/mlのスクロースと、
(c)約23.8mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目123に記載の薬学的組成物。
(項目128)
(a)約600IU/mlのFIXポリペプチドと、
(b)約16.7mg/mlのスクロースと、
(c)約33.3mg/mlのマンニトールと、
(d)約3.25mg/mlのNaClと、
(e)約5.43mg/mlのL-ヒスチジンと、
(f)約0.14mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、項目123に記載の薬学的組成物。
(項目129)
前記FIXポリペプチドが長時間作用型FIXポリペプチドである、項目117~128のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目130)
前記長時間作用型FIXポリペプチドが、FcRn結合パートナー(rFIXFBP)に融合するヒトFIXを含む、項目128に記載の薬学的組成物。
(項目131)
前記FcRn結合パートナーがFc領域である、項目129に記載の薬学的組成物。
(項目132)
血友病Bの対象の年間出血率の低下方法であって、項目117~130のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、予防的に、定期的なまたは個別化した投与間隔で、固定量または個別化した用量を投与することを含む、方法。
(項目133)
短時間作用型FIXポリペプチドをさらに含む、項目1~53、86~95、及び117~130のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目134)
前記短時間作用型FIXポリペプチドが、野生型FIXを含むまたはそれからなる、項目132に記載の薬学的組成物。
(項目135)
液剤である、項目1~53、86~95、117~130、及び132~133のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目136)
凍結乾燥粉末である、項目1~53、86~95、117~130、及び132~133のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目137)
懸濁液である、項目1~53、86~95、117~130、及び132~133のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目138)
項目134~136のいずれか一項に記載の薬学的組成物を含む、バイアル。
(項目139)
項目134に記載の薬学的組成物を含む、カートリッジ。
(項目140)
項目134または項目135に記載の薬学的組成物を含む、シリンジ。
(項目141)
二重チャンバシリンジである、項目139に記載のシリンジ。
(項目142)
前記第2の容器が、抗菌作用を提供するのに十分な量の保存料を含む、項目54~68のいずれか一項の記載のキット。
(項目143)
前記液剤が、抗菌作用を提供するのに十分な量の保存料をさらに含む、項目134に記載の薬学的組成物。
(項目144)
前記保存料が、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、任意の他の薬学的に許容される保存料、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目141に記載のキット、または、項目142に記載の薬学的組成物。
(項目145)
前記保存料がベンジルアルコールである、項目141もしくは143のいずれか一項に記載のキット、または、項目142もしくは143に記載の薬学的組成物。
(項目146)
前記ベンジルアルコールが0.5%~0.9%の濃度である、項目144に記載のキットまたは薬学的組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、FIX欠損症、例えば、血友病Bを、最適な製剤、最適な投与間隔、最適な投与頻度、及び/または最適な薬物動態パラメータを用いるキメラrFIXFBPポリペプチドを投与することによって治療する方法を提供する。また、rFIXFBPを投与するための製剤及び薬学的キットも提供する。
【0019】
定義
本開示中で、「a」または「an」主体という用語は、その主体の1つ以上を示し、例えば、「ポリヌクレオチド」は、1つ以上のポリヌクレオチドを示すように理解される。したがって、「a」(または「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書において同義に使用され得る。
【0020】
さらに、「及び/または」は、本明細中で使用される場合、2つの特定の特徴または構成要素のそれぞれの、もう一方の特徴または構成要素を含むまたは含まない特定の開示として解釈される。したがって、本明細書中で使用する、「A及び/またはB」といった句の、「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)及び「B」(単独)、を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/またはC」といった句で使用する、「及び/または」という用語は、次の態様のそれぞれを包括することを意図する、すなわち、A、B、及びC、A、BまたはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)、及びC(単独)。
【0021】
本明細書において、「を含む」という言葉を用いて態様について説明する場合、さもなければ、「からなる」及び/または「本質的にからなる」という用語で説明された類似する態様も提供する、ということを理解されたい。
【0022】
他に定義されない限り、本明細書中で使用する全ての技術及び科学用語は、本開示に関連する当業者が一般に理解している意味と同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press、The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press、及び、the Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressによって、当業者に、本開示中で使用する多くの用語の一般辞書が提供される。
【0023】
単位、接頭語、及び記号は、それらのSysteme International
de Unites(SI)が容認する形式で示される。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。他に示されない限り、アミノ酸配列を、アミノからカルボキシの方向に、左から右へ記載する。本明細書中に設ける見出しは、全体として本明細書を参照することにより得られる、本開示の様々な態様を限定するものではない。したがって、直後に定義される用語は、本明細書を参照することによりその全体がさらに十分に定義される。
【0024】
「約」という用語は、およそ、大体、近く、または辺りで、を意味するために、本明細書中で使用される。「約」という用語が、数値範囲と併せて使用される場合、それは、設定された数値の上下に境界を延長することによって、その範囲を修正する。一般に、「約」という用語は、数値を、例えば、10%の上下に(より高くまたはより低く)、分散させることによって、記載された値の上下に修正することができる。
【0025】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、同義に使用され、共有結合しているアミノ酸残基からなる高分子化合物を示す。
【0026】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、同義に使用され、共有結合しているヌクレオチド残基からなる高分子化合物を指す。ポリヌクレオチドは、DNA、cDNA、RNA、一本鎖、または二重鎖、ベクター、プラスミド、ファージ、またはウイルスであり得る。
【0027】
本明細書中で「投与する」という用語は、例えば、長時間作用型rFIXFBPポリペプチドを含む薬学的組成物を、対象に処方するまたは与えることを意味する。投与経路の例には、静脈の、例として、例えば、中心静脈アクセスによる静脈注射及び静脈内注入が含まれるが、それらに限定されるものではない。さらなる投与経路には、皮下、筋肉内、経口、鼻腔、及び肺内投与が含まれる。長時間作用型rFIXFBPポリペプチドを含む薬学的組成物は、本明細中に記載の1つ以上の賦形剤を含むことができる。本明細書中に提供される方法、組成物、及び薬学的キットの利点には、服薬コンプライアンスの改善、破綻出血の低減、出血からの関節の保護の向上、関節損傷の防止、疾病率の低下、死亡率の低下、出血からの長期にわたる保護、血栓事象の低減、及び生活の質の向上が含まれる。
【0028】
本明細書中で使用する「rFIXFBP」または「rFIXFBPポリペプチド」という用語は、ヒト凝固第IX因子(FIX)及びFcRn結合パートナー(rFIXFBP)を含む、組換え型融合タンパク質を示す。特に明記されない限り、FcRn結合パートナー(「FBP」)は、機能的な新生児Fc受容体(FcRn)結合パートナーを含む。FcRn結合パートナーは、FcRn受容体によって特異的に結合され得、その結果FcRn結合パートナーのFcRn受容体による能動輸送を有する、任意の分子である。したがって、FcRn BPという用語には、機能的であるIgG Fcの任意の変異体が含まれる。例えば、FcRn受容体に結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶学に基づいて、記載されている(Burmeister et al.1994,Nature
372:379、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。FcRnとのFcの主な接触域は、CH2領域とCH3領域との接合部の近くにある。Fc-FcRn接触部は全て、1本のIg重鎖内にある。FcRn BPは、IgG全体、IgGのFc断片、及びFcRnの完全結合領域を含むIgGの他の断片を含む。主な接触部位には、CH2領域のアミノ酸残基248、250~257、272、285、288、290~291、308~311、及び314、ならびにCH3領域のアミノ酸残基385~387、428、及び433~436が含まれる。免疫グロブリンまたは免疫グロブリン断片、あるいは領域のアミノ酸番号付けに対して行う参照は全て、Kabat et al.1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Public Health,Bethesda;MDに基づき、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。(FcRn受容体は、ヒトを含むいくつかの哺乳類種から単離されている。ヒトFcRn、ラットFcRn、及びマウスFcRnの配列が周知である(Story et al.1994,J.Exp.Med.180:2377)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)FcRn BPは、免疫グロブリンのCH2領域及びCH3領域を免疫グロブリンのヒンジ領域とともに、または、ヒンジ領域無しで、含んでもよい。例示的なFcRn BP変異体は、WO2004/101740及びWO2006/074199に提供され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
一実施形態では、rFIXBPは、rFIXFc、ヒト凝固第IX因子(FIX)からなる組換え型融合タンパク質、及びヒト抗原(IgG1アイソ種類)のFc領域である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2011に7月11日に出願され、WO2012/006624として公開されたPCT出願第PCT/US2011/043569号を参照されたい。rFIXFcポリペプチドは、Fcのヒンジ領域内の2つのジスルフィド結合を介して、FIXFc一本鎖(FIXFc-sc)結合及びFc一本鎖(Fc-sc)結合をともに含む、ヘテロ二量体タンパク質である。rFIXFcは、トランスフェクト細胞株内に集合して最終タンパク質生成物であるrFIXFcを形成ために、2つのタンパク質サブユニット、FIXFc-sc(642アミノ酸、配列番号2)及びFc-sc(227アミノ酸、配列番号4)を必要とする。FIXFc-sc及びFc-scをコードするポリヌクレオチド配列はそれぞれ、配列番号1及び配列番号3として示される。
【0030】
rFIXFcの第IX因子部分は、血漿由来の第IX因子のThr148対立形質と同一である一次アミノ酸配列を有し、内因性の第IX因子に類似する構造的及び機能的特徴を有する。rFIXFcのFc領域は、IgG1のヒンジ、CH2領域、及びCH3領域を含む。集合したrFIXFcの二量体の成熟形態は、およそ98キロダルトンの分子量を有する869個のアミン酸を含む。
【0031】
rFIXFBPは、組換えDNA技術によって、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞株内に生成される。細胞株は、動物源またはヒト源由来のいかなるタンパク質も含まない、定義された細胞培養基内のrFIXFBPを示す。rFIXFBPは、モノクローナル抗原の使用を必要としない一連のクロマトグラフィーステップによって精製される。本プロセスは、15nmのウイルス捕捉ナノ濾過を含む、複数のウイルス除去ステップを含む。ヒトまたは動物添加物は、細胞培養、精製、及び製剤化プロセスにおいて使用されていない。
【0032】
「長時間作用型」及び「長期持続性」という用語は、本明細書において同義に使用される。一実施形態では、「長時間作用性」または「長期持続性」という用語は、rFIXFBPポリペプチドを投与した結果のFIX活性は、野生型FIX(例えば、BENEFIX(登録商標)または血漿由来のFIX(「pdFIX」))のFIX活性より長いことを示す。当業界の既知の任意の方法、例えば、aPTTアッセイ、発色アッセイ、ROTEM、TGA等を用いて、「より長い」FIX活性を測定することができる。一実施形態では、「より長い」FIX活性は、T1/2beta(活性)によって示され得る。別の実施形態では、「より長い」FIX活性は、血漿に存在するFIX抗原のレベル、例えば、T1/2beta(抗原)、によって推測され得る。
【0033】
第IX因子凝固活性はとして、国際単位(複数可)(IU)として示される。第IX因子活性の1つのIUは、通常のヒト血漿の1ミリリットル中の第IX因子の量にほぼ対応する。一段階凝固アッセイ(活性化部分トロンボプラスチン時間、すなわちaPTT)、トロンビン生成時間(TGA)、及び回転トロンボエラストメトリ(ROTEM(登録商標))を含む、第IX因子活性を測定するためのいくつかのアッセイが利用可能である。
【0034】
本発明による製剤と関連して本明細書中で使用する「凍結乾燥体」または「凍結乾燥物」という用語は、本質的に当業界に既知である凍結乾燥方法によって製造される製剤を示す。溶媒(例えば、水)は、真空下での昇華に続く凍結によって及び昇温での残留水の脱離によって除去される。製剤の分野において、凍結乾燥体は、通常、約0.1%~5%(w/w)の残留水分を有し、粉末または物理的に安定した固形物として存在する。凍結乾燥体は、再構成溶媒を添加した後の高速溶解を特徴とする。
【0035】
本明細書中で使用される「再構成製剤」という用語は、希釈剤の添加によって凍結乾燥され、再溶解された製剤を示す。この希釈剤は、限定することなく、注射用蒸留水(WFI)、注射用静菌水(BWFI)、塩化ナトリウム溶液(例えば、0.9%(w/v)のNaCl)、グルコース溶液(例えば、5%のグルコース)、界面活性剤含有溶液(例えば、0.01%のポリソルベート20またはポリソルベート80)、pH緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)、及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
本明細書で使用する「投与間隔」は、対象に投与される複数回投与間で経過する時間を意味する。したがって、投与間隔は範囲として示され得る。本明細書で提供される方法におけるrFIXFBPポリペプチドの投与間隔は、当量(IU/kgの)の野生型第IX因子が必要とする投与間隔よりも、少なくとも1.5~8倍長い可能性がある。
【0037】
本明細書中で使用する「投与頻度」という用語は、一定時間でrFIXFBPポリペプチドを投与する頻度を示す。投与頻度は、例えば、1週間に1度または2週間に1度の、一定時間毎の投与回数として示され得る。
【0038】
本明細書で使用する「1つ以上の出血エピソードの予防」または「予防的治療」という用語は、対象の血漿中の第IX因子活性レベルを増加させ、出血エピソードが発症するのを防止するために、時間の経過とともに、標準の複数回投与でrFIXFBPポリペプチドを対象に投与することを意味する。一実施形態では、「1つ以上の出血エピソードの予防」という用語は、rFIXFBPポリペプチドを使用して、1つ以上の突発性または制御不能の出血または出血エピソードを防止するまたは抑制すること、あるいは、1つ以上の突発性または制御不能の出血または出血エピソードの頻度を低減すること示す。別の実施形態では、向上したFIX活性レベルは、突発性出血の発生率を低下させる、または、予期せぬ負傷の場合の出血を防止するのに十分である。予防的治療は、出血エピソード、例えば、オンデマンド治療下で説明される出血エピソードを減少させるまたは防止する。例えば、対象間変動を補償するために、「投与間隔」下で説明するように、予防的治療を個別に調節することができる。
【0039】
本明細書中で使用する「約1週間に1度」という用語は、およそを意味し、7日±2日毎、すなわち、5日毎~9日毎を含むことができる。したがって、「約1週間に1度」の投与頻度は、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、または9日毎であってよい。
【0040】
本明細書中で使用する「個別化した予防間隔」、または「個別化した予防」、あるいは「適合した予防」という用語は、個別化した投与間隔または頻度のためにrFIXFBPポリペプチドを使用して、1つ以上の突発性及び/または制御不能の出血または出血エピソードを防止するまたは抑制すること、あるいは、1つ以上の突発性及び/または制御不能の出血または出血エピソードの頻度を低減すること意味する。一実施形態では、「個別化した間隔」は、10日±3日毎、すなわち、7日毎~13日毎を含む。したがって、「個別化した予防間隔」の投与頻度は、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、11日毎、12日毎、または13日毎であってよい。
【0041】
本明細書で使用する「オンデマンド治療」は、短期間で行われることが意図され、出血エピソード等の現状、または予定されている手術等の予測される短期間の必要性に応える治療を意味する。「オンデマンド治療」は、「エピソード」治療と同義に使用される。オンデマンド治療を必要とし得る状態には、出血エピソード、関節血症、筋肉出血、口腔出血、大出血、筋肉への出血、口腔大出血、外傷、頭部外傷、胃腸出血、頭蓋内大出血、腹腔内大出血、胸腔内大出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙の出血、後腹膜腔内出血、または腸腰筋鞘内の出血が含まれる。これら以外の出血エピソードも含まれる。対象は、外科的予防、術中管理、または手術のための治療を必要とし得る。このような手術には、小手術、大手術、抜歯、へんとう摘出術、他の歯科/胸部から顔面にかけての手術、鼠径部ヘルニア切開手術、滑膜切除、人工膝関節置換術、他の関節置換手術、開頭術、骨接合術、外傷手術、頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術が含まれる。これらの以外の手術も含まれる。
【0042】
オンデマンド治療を必要とする可能性があるさらなる状態には、小出血、関節血症、表面筋肉の出血、軟部組織出血、中等度の出血、解離を伴う筋肉内または軟部組織出血、粘膜出血、血尿症、大出血、咽頭出血、咽頭後部出血、後腹膜出血、中神経系出血、皮下出血、切り傷、擦り傷、関節出血、鼻血、口内出血、歯茎出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、突発性小出血、大外傷後の出血、中等度の皮膚損傷、または関節、筋肉、内臓器官、あるいは脳への突発性出血が含まれる。オンデマンド治療のさらなる理由には、手術または抜歯、大手術、広範囲に及び口腔手術、泌尿器科手術、ヘルニア手術、例えば、膝、臀部、または他の大関節の置換等の整形外科手術の術中管理の必要性が含まれる。
【0043】
本明細書中で使用する「治療」または「治療すること」という用語は、血友病Bを含むがそれに限定されるものではない、出血性疾患または出血性障害の1つ以上の症状の改善または軽減を意味する。一実施形態では、出血性疾患または障害の「治療」または、それを「治療すること」には、出血性疾患または障害の1つ以上の症状予防が含まれる。FIX欠損症(例えば、低基準値のFIX活性)が原因の出血性疾患または障害では、「治療」または「治療すること」という用語は、FIX補充療法を意味し得る。FIXFcポリペプチドを対象に投与することによって、対象は、約1IU/dlのまたは1IU/dlを超えるFIX活性の血漿トラフレベルを、実現及び/または維持することができる。他の実施形態では、「治療」または「治療すること」という用語は、例えば、突発性または制御不能の出血エピソードの出血性疾患または出血性障害の1つ以上の症状の頻度の低減を意味する。しかしながら、「治療」は治癒である必要はない。
【0044】
本明細書中で使用する「術中管理」という用語は、例えば、外科手術の手術的処置の前の、同時の、または後の、FIXFcポリペプチドの使用を意味する。1つ以上の出血エピソードの「術中管理」の使用には、1つ以上の出血または出血エピソードを防止するための、または手術前、中、及び後の突発性及び/または制御不能の出血エピソードを低減または抑制する手術の前の(すなわち、術前の)、中の(すなわち、術中の)、または後の(すなわち、術後の)外科的予防が含まれる。
【0045】
薬物動態(PK)パラメータは、別途記載されない限り当業界で通常の意味を有する上記の用語及び以下の用語を含む。いくつかの用語は実施例でより詳細に説明される。PKパラメータは、FIX抗原レベル(本明細書中で「抗原」として挿入句的に示されることが多い)、またはFIX活性レベル(本明細書中で「活性」として挿入句的に示されることが多い)に基づき得る。文献では、PKパラメータは、投与された(すなわち、外因性の)FIXを、抗FIX抗体を使用して測定する能力を阻害する、内因性の不活性FIXの対象の何人かの血漿内における存在のために、FIX活性レベルに基づくことが多い。しかしながら、FIXが、本明細書中で提供されるFc融合タンパク質の一部として投与される場合、投与された(外因性の)FIX抗原を、異種のポリペプチドに対する抗体を使用して、正確に測定することができる。さらに、特定のPKパラメータは、モデル予測データ(本明細書中で「モデル予測」として挿入句的に示されることが多い)、または観察データ(本明細書中で「観察」として挿入句的に示されることが多い)に基づき得て、好ましくは、観察データに基づく。
【0046】
本明細書中で使用する「基準値」は、投与前に測定された対象の血漿第IX因子の最低レベルである。第IX因子血漿レベルを、投与する前に、2時点で、すなわち、スクリーニング検診時及び投与直前に、測定することができる。あるいは、(a)前処理したFIX活性が<1%であり、検出可能なFIX抗原を有しておらず、ナンセンス遺伝子型を有する対象の基準値を0%と定義することができ、(b)前処理した<1%のFIX活性を有し、検出可能なFIX抗原を有する対象の基準値を0.5%に設定することができ、(c)前処理したFIX活性が1~2%である対象の基準値は、Cmin(PK研究中で最低活性)で、(d)前処理したFIX活性が≧2%である対象の基準値を、2%に設定することができる。投与前基準値を超える活性は、前の治療からの残留薬剤と考えられ得て、基準値に低下し、rFIXFBP投与に続くPKデータから差し引かれ得る。
【0047】
本明細書中で使用する「T1/2β」または「T1/2beta」、もしくは「Beta HL」は、排出相、t1/2β=(In2)/終末期に関連する消失速度定数に関連する半減期である。T1/2betaを、血漿中のFIX活性またはFIX抗原レベルで、測定することができる。活性に基づくT1/2betaは、T1/2beta(活性)として示され、FIX抗原レベルに基づくT1/2betaは、T1/2beta(抗原)として示され得る。T1/2beta(活性)及びT1/2beta(抗原)はいずれも、範囲または幾何平均として示され得る。
【0048】
本明細書中で使用する「トラフ」は、本発明のキメラポリペプチドまたは別の第IX因子分子の投与後に、及び、もしあれば、次の投与の前に到達する、最低血漿第IX因子活性レベルである。本明細書において、トラフは、「閾値」と同義に使用される。第IX因子基準値レベルは、トラフレベルを計算するために、測定された第IX因子レベルから差し引かれる。
【0049】
本明細書中で使用する「年間出血率」(「ABR)という用語は、対象が、1年と推定される定義された期間中に経験した出血エピソード(突発性及び外傷出血を含む)の数を示す。例えば、6ヶ月内の2つの出血は、4つのうちのABRを示すであろう。ABRの中央値は、単数を提供して全対象を記載し、対象の半数が中央値以下の個別的ABRを有し、半数が中央値以上のABRを有したこと示す。
【0050】
本明細書で使用する「対象」は、ヒトを意味する。本明細書中で使用する対象には、制御されていない出血エピソードの少なくとも1つの発症率有し、例えば、出血性疾患または出血性障害、例えば、血友病Bの制御されていない出血エピソードに関連する疾患または障害と診断され、例えば、血友病またはそれらの任意の組み合わせの制御されていない出血エピソードの影響を受けやすいことで知られる個人が含まれる。また、対象には、例えば、手術、スポーツ活動、または任意の活発な活動の、特定の活動の前に、1つ以上の制御不能の出血エピソードの危険にさらされている個人も含まれ得る。対象は、1%未満、0.5%未満、2%未満、2.5%未満、3%未満、または4%未満のFIX活性基準値を有することができる。また、対象には、小児も含まれる。小児の対象は、出生から20歳まで、好ましくは出生から18歳まで、出生から16歳まで、出生から15歳まで、出生から12歳まで、出生から11歳まで、出生から6歳まで、出生から5歳まで、出生から2歳まで、及び2から11歳までである。
【0051】
本明細書中で(同義に)使用する、「用量」、「効果的な用量」、または「投与量」は、FIXFcポリペプチドを投与された対象で、少なくとも約1IU/dl、または1IU/dlを超えるFIX活性の血漿トラフレベルを実現する投与を意味する。一実施形態では、「用量」は、FIX活性の血漿トラフレベルが、FIXFcポリペプチドの投与を通じて、少なくとも約1IU/dlでまたは1IU/dlを超えて、少なくとも約2IU/dlでまたは2IU/dlを超えて、少なくとも約3IU/dlでまたは3IU/dlを超えて、少なくとも約4IU/dlでまたは4IU/dlを超えて、または少なくとも約5IU/dlでまたは5IU/dlを超えて維持される用量を示す。別の実施形態では、「効果的な用量」によって、出血または出血障害の頻度が減少または低下する。他の実施形態では、「効果的な用量」によって、進行する制御不能の出血または出血エピソードが止まる。さらに他の実施形態では、「効果的な用量」は、突発性出血または出血エピソードの影響を受けやすい対象の、そのような突発性出血または出血エピソードを防止する。「治療量」は、血友病を治癒する必要がない。様々な出血状況におけるrFIXFBPポリペプチドの例示的な治療量が、本明細書中に提供されている。
【0052】
第IX因子Fc製剤
本開示は、rFIXFBPを含む製剤または薬学的組成物を提供する。本明細書中に提供される特定の製剤では、rFIXFBPは、静脈内(iv)投与のための、無菌で、保存料を含まない、非発熱性の、凍結乾燥された、ホワイトからオフホワイトの粉末から固形物として製剤化される。使い捨てのバイアル内に製剤を提供することができる。また、rFIXFBPの特定の例示的な製剤も、エフトレノナコグアルファとして示される。
【0053】
特定の実施形態では、rFIXFBP製剤は、適量の希釈剤と再構成した後、約50IU/ml、約100IU/ml、約200IU/ml、約400IU/ml、または約600IU/mlのrFIXFBPを含むようにされた使い捨てバイアル内に提供される。希釈剤を約5mlの最終量まで添加する特定の実施形態では、使い捨てのバイアルは通常、約250、約500、約1000、約2000、または約3000の国際単位(IU)のrFIXFBPを含むことができる。
【0054】
特定の実施形態では、rFIXFBPはrFIXFcである。いくつかの実施形態では、rFIXFcポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1~642と少なくとも90%、95%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0055】
特定の実施形態では、製剤は、活性rFIXFBPに加え、スクロース(安定剤または充填剤として機能することができる)、マンニトール(安定剤または充填剤として機能することができる)、L-ヒスチジン(緩衝材として機能することがきる)、及びポリソルベート20またはポリソルベート80(安定剤として機能することができる)を含む。無菌塩化ナトリウム溶液を含む希釈剤を、製剤に提供する。特定の実施形態では、希釈剤はプレフィルドシリンジに提供される。
【0056】
したがって、賦形剤、スクロース、マンニトール、L-ヒスチジン、Nacl、及びポリソルベート20またはポリソルベート80とともに、特定量のrFIXFBP(IUで)を含む薬学的組成物が本明細書中に提供される。本明細書中に提供される組成物は、様々な濃度の様々な賦形剤を含み、その濃度は様々な方法で示され得る。例えば、所定の賦形剤の濃度を、モル濃度(例えば、MまたはmM)として、重量/体積パーセント、例えば、希釈剤100ml当たりのグラムとして、またはミリリットル当たりのミリグラム(mg/ml)として、示すことができる。本明細書中に提供される製剤は、およそ、例えば、単に示された濃度から、1つの有効数字(例えば、約0.1%(w/v))、または、さらに精密に、例えば、2、3、4、5、または6の有効数字(例えば、3つの有効数字が精密な、3.88mg/ml)までの範囲の精密度で、特定量の様々な賦形剤を含むことができる。必要な精密度は、例えば、所定の規制機関の要件、または製造プロセス次第で変動し得る。特定の実施形態では、薬学的組成物は、凍結乾燥体として提供され得、希釈剤が選択的に添加された再構成製剤を含む。
【0057】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、約25IU/ml~約1200IU/mlのrFIXFBP、例えば、50IU/ml、100IU/ml、200IU/ml、400IU/ml、または600IU/mlのrFIXFBPを含む。特定の実施形態では、薬学的組成物は、50IU/ml、100IU/ml、200IU/ml、または400IU/mlのrFIXFBPを製剤内に含み、その製剤は、約3.88mg/mlまたは25mMのL-ヒスチジン、約23.8mg/mlまたは約2.4%(w/v)のマンニトール、約11.9mg/mlまたは約1.2%(w/v)のスクロース、約0.10mg/mlまたは約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80、及び約3.25mg/mlまたは約55.6mMのNaClを含む。
【0058】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、600IU/mlのrFIXFBPを製剤内に含み、その製剤は、約5.43mg/mlまたは35mMのL-ヒスチジン、約33.3mg/mlまたは約3.3%(w/v)のマンニトール、約16.7mg/mlまたは約1.7%(w/v)のスクロース、約0.14mg/mlまたは約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80、及び約3.25mg/mlまたは約55.6mMのNaClを含む。
【0059】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される量のスクロースを含む。特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1%(w/v)~約2(w/v)のスクロース、例えば、約1.2%(w/v)のスクロースまたは約1.7(w/v)のスクロースを含む。特定の関連実施形態では、薬学的組成物は、約10mg/ml~約20mg/mlのスクロース、例えば、約11.9mg/mlのスクロースまたは約16.7mg/mlのスクロースを含む。
【0060】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される量のマンニトールを含む。特定の実施形態では、薬学的組成物は、約2%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトール、例えば、約2.4%(w/v)のマンニトールまたは約3.3%(w/v)のマンニトールを含む。特定の関連実施形態では、薬学的組成物は、約20mg/ml~約40mg/mlのマンニトール、例えば、約23.8mg/mlのマンニトールまたは約33.3mg/mlのマンニトールを含む。
【0061】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される量のスクロース及びマンニトールのいずれも含む。特定の実施形態では、薬学的組成物は、約1.0%~約2.0%のスクロース及び約2.0%(w/v)~約4.0%(w/v)のマンニトール、例えば、約1.2%(w/v)のスクロース及び約2.4%(w/v)のマンニトール、または、約1.7%(w/v)のスクロース及び約3.3%(w/v)のマンニトールを含む。特定の関連実施形態では、薬学的組成物は、約10mg/ml~約20mg/mlのスクロース及び約20mg/ml~約40mg/mlのマンニトール、例えば、約11.9mg/mlのスクロース及び約23.8mg/mlのマンニトール、または約16.7mg/mlのスクロース及び約33.3mg/mlのマンニトールを含む。特定の実施形態では、スクロース及びマンニトールは凍結乾燥体の一部として提供され、その凍結乾燥体は、適量の希釈剤と再構成後に、望ましい濃度のスクロース及びマンニトールを提供する。
【0062】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、約50Mm~約60MnのNaCl、例えば、約55.6mMのNaClを含む。特定の関連実施形態では、薬学的組成物は、約3mg/ml~約4mg/mlのNaCl、例えば、約3.25mg/mlのNaClを含む。特定の実施形態では、NaClは、望ましい濃度で希釈剤溶液中に提供され、その中で、rFIXFBPを含む凍結乾燥体が再構成される。
【0063】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される量のL-ヒスチジンを含む。特定の実施形態では、薬学的組成物は、約20mM~約40mMのL-ヒスチジン、例えば、約25mMのL-ヒスチジンまたは約35mMのL-ヒスチジン)を含む。特定の関連実施形態では、薬学的組成物は、約3mg/ml~約6mg/mlのL-ヒスチジン、例えば、約3.88mg/mlのL-ヒスチジンまたは約5.43mg/mlのL-ヒスチジンを含む。特定の実施形態では、L-ヒスチジンは凍結乾燥体の一部として提供され、その凍結乾燥体は、適量の希釈剤と再構成後に、望ましい濃度のL-ヒスチジンを提供する。
【0064】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される量のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む。特定の関連実施形態では、薬学的組成物は、約0.008%(w/v)~約0.020%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80、例えば、約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80、あるいは、約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む。特定の関連実施形態では、薬学的組成物は、約0.08mg/ml~約0.2mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80、例えば、約0.10%mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80、あるいは、約0.14mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む。特定の実施形態では、ポリソルベート20またはポリソルベート80は凍結乾燥体の一部として提供され、その凍結乾燥体は、適量の希釈剤と再構成後に、望ましい濃度のポリソルベート20またはポリソルベート80を提供する。
【0065】
一実施形態では、薬学的組成物は、約25IU/ml~約700IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約1%(w/v)~約2%(w/v)のスクロース、約2%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトール、約50mM~約60mMのNaCl、約20mM~約40mMのL-ヒスチジン、及び約0.008%(w/v)~約0.015%のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む。特定の実施形態では、薬学的組成物は、凍結乾燥体または希釈剤として提供される。特定の実施形態では、凍結乾燥体の量によって、望ましい濃度の望ましい成分を含む、約5mlの薬学的組成物が提供される。
【0066】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、約25IU/ml~約700IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約10mg/ml~約20mg/mlのスクロース、約20mg/ml~約40mg/mlのマンニトール、約3mg/ml~約4mg/mlのNaCl、約3mg/ml~約6mg/mlのL-ヒスチジン、及び約0.08mg/ml~約0.15mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む。特定の実施形態では、薬学的組成物は、凍結乾燥体または希釈剤として提供される。特定の実施形態では、凍結乾燥体の量によって、望ましい濃度の望ましい成分を含む、約5mlの薬学的組成物が提供される。
【0067】
例示的な組成物が、実施例の表1及び表2に示される。
【0068】
例えば、本開示は、約50IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約1.2%(w/v)のスクロース、約2.4%(w/v)のマンニトール、約55.6mMのNaCl、約25mMのL-ヒスチジン、及び約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物を提供する。本開示は、約100IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約1.2%(w/v)のスクロース、約2.4%(w/v)のマンニトール、約55.6mMのNaCl、約25mMのL-ヒスチジン、及び約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物をさらに提供する。本開示は、約200IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約1.2%(w/v)のスクロース、約2.4%(w/v)のマンニトール、約55.6mMのNaCl、約25mMのL-ヒスチジン、及び約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物をさらに提供する。本開示は、約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約1.2%(w/v)のスクロース、約2.4%(w/v)のマンニトール、約55.6mMのNaCl、約25mMのL-ヒスチジン、及び約0.010%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物をさらに提供する。本開示は、約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約1.7%(w/v)のスクロース、約3.3%(w/v)のマンニトール、約55.6mMのNaCl、約35mMのL-ヒスチジン、及び約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物をさらに提供する。
【0069】
本開示は、約50IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約11.9mg/mlのスクロース、約23.8mg/mlのマンニトール、約3.25mg/mlのNaCl、約3.88mg/mlのL-ヒスチジン、及び約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物をさらに提供する。本開示は、約100IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約11.9mg/mlのスクロース、約23.8mg/mlのマンニトール、約3.25mg/mlのNaCl、約3.88mg/mlのL-ヒスチジン、及び約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物をさらに提供する。本開示は、約200IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約11.9mg/mlのスクロース、約23.8mg/mlのマンニトール、約3.25mg/mlのNaCl、約3.88mg/mlのL-ヒスチジン、及び約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物をさらに提供する。本開示は、約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約11.9mg/mlのスクロース、約23.8mg/mlのマンニトール、約3.25mg/mlのNaCl、約3.88mg/mlのL-ヒスチジン、及び約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物をさらに提供する。本開示は、約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチド、約16.7mg/mlのスクロース、約33.3mg/mlのマンニトール、約3.25mg/mlのNaCl、約5.43mg/mlのL-ヒスチジン、及び約0.14mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80を含む薬学的組成物をさらに提供する。
【0070】
また、本開示は、薬学的キットの構成要素も提供する。そのようなキットは、1つ以上の容器及び任意の付属品を含む。本明細書中に提供されるキットは、効果的な量のrFIXFBPを、それを必要とする対象に投与することを容易にする。特定の実施形態では、このキットは、静脈内注入によるrFIXFBPの投与を容易にする。特定の実施形態では、このキットは、静脈内注入によるrFIXFBPの自己投与を容易にする。
【0071】
特定の実施形態では、本開示は、凍結乾燥粉末または固形物を含む第1の容器であって、粉末または固形物が、(i)rFIXFBPポリペプチド、(ii)スクロース、(iii)マンニトール、(iv)L-ヒスチジン、及び(v)ポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられる、0.325%(w/v)のNaCl希釈剤溶液を含む第2の容器と、を含む、薬学的キットを提供する。特定の実施形態では、十分な希釈剤が提供され、本明細書中で開示された望ましい特性を有する約5mlのrFIXFBP製剤を生成する。特定の実施形態では、第2の容器は、プランジャーと関連付けられるプレフィルドシリンジであり、希釈剤を第1の容器に添加し、第1の容器の内容物を再構成して、それをシリンジ内に戻すことができる。特定の実施形態では、キットは、シリンジを第1の容器に取り付けるためのアダプターをさらに提供する。特定の実施形態では、キットは、再構成されたrFIXFBP製剤を含むシリンジに取り付ける針及ぶ注入管をさらに提供し、製剤を静脈内注入することを可能にする。
【0072】
特定の実施形態では、rFIXFBPは、約200IU~約4000IU、例えば、約250IU、約500IU、約1000IU、約2000IU、または約3000IUの総量で提供される。
【0073】
一実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約250IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約59.5mgのスクロースと、(iii)約119mgのマンニトールと、(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約50IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約1.2%(w/v)のスクロースと、(iii)約2.4%(w/v)のマンニトールと、(iv)約55.6mMのNaClと、(v)約25mMのL-ヒスチジンと、(vi)約0.01%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む薬学的キットが提供される。
【0074】
さらなる実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約500IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約59.5mgのスクロースと、(iii)約119mgのマンニトールと、(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約100IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約1.2%(w/v)のスクロースと、(iii)約2.4%(w/v)のマンニトールと、(iv)約55.6mMのNaClと、(v)約25mMのL-ヒスチジンと、(vi)約0.01%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む薬学的キットが提供される。
【0075】
さらなる実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約1000IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約59.5mgのスクロースと、(iii)約119mgのマンニトールと、(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約200IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約1.2%(w/v)のスクロースと、(iii)約2.4%(w/v)のマンニトールと、(iv)約55.6mMのNaClと、(v)約25mMのL-ヒスチジンと、(vi)約0.01%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、薬学的キットが提供される。
【0076】
さらなる実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約2000IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約59.5mgのスクロースと、(iii)約119mgのマンニトールと、(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約1.2%(w/v)のスクロースと、(iii)約2.4%(w/v)のマンニトールと、(iv)約55.6mMのNaClと、(v)約25mMのL-ヒスチジンと、(vi)約0.01%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、薬学的キットが提供される。
【0077】
さらなる実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約3000IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約83.3mgのスクロースと、(iii)約167mgのマンニトールと、(iv)約27.2mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.7mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約1.7%(w/v)のスクロースと、(iii)約3.3%(w/v)のマンニトールと、(iv)約55.6mMのNaClと、(v)約35mMのL-ヒスチジンと、(vi)約0.014%(w/v)のポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、薬学的キットが提供される。
【0078】
さらなる実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約250IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約59.5mgのスクロースと、(iii)約119mgのマンニトールと、(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約50IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約11.9mg/mlのスクロースと、(iii)約23.8mg/mlのマンニトールと、(iv)約3.25mg/mlのNaClと、(v)約3.88mt.mlのL-ヒスチジンと、(vi)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、薬学的キットが提供される。
【0079】
さらなる実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約500IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約59.5mgのスクロースと、(iii)約119mgのマンニトールと、(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約100IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約11.9mg/mlのスクロースと、(iii)約23.8mg/mlのマンニトールと、(iv)約3.25mg/mlのNaClと、(v)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、(vi)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、薬学的キットが提供される。
【0080】
さらなる実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約1000IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約59.5mgのスクロースと、(iii)約119mgのマンニトールと、(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約200IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約11.9mg/mlのスクロースと、(iii)約23.8mg/mlのマンニトールと、(iv)約3.25mg/mlのNaClと、(v)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、(vi)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、薬学的キットが提供される。
【0081】
さらなる実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約2000IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約59.5mgのスクロースと、(iii)約119mgのマンニトールと、(iv)約19.4mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.50mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約400IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約11.9mg/mlのスクロースと、(iii)約23.8mg/mlのマンニトールと、(iv)約3.25mg/mlのNaClと、(v)約3.88mg/mlのL-ヒスチジンと、(vi)約0.10mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、薬学的キットが提供される。
【0082】
さらなる実施形態では、凍結乾燥粉末を含む第1の容器であって、粉末が、(i)約3000IUのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約83.3mgのスクロースと、(iii)約167mgのマンニトールと、(iv)約27.2mgのL-ヒスチジンと、(v)約0.7mgのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む、第1の容器と、第1の容器の凍結乾燥粉末と組み合わせられた際に、(i)約600IU/mlのrFIXFBPポリペプチドと、(ii)約16.7mg/mlのスクロースと、(iii)約33.3mg/mlのマンニトールと、(iv)約3.25mg/mlのNaClと、(v)約5.43mg/mlのL-ヒスチジンと、(vi)約0.14mg/mlのポリソルベート20またはポリソルベート80と、を含む溶液を生成するのに十分な量で、0.325%(w/v)のNaClを含む第2の容器と、を含む、薬学的キットが提供される。
【0083】
特定の実施形態では、本明細書中に提供される薬学的キットの第1の容器は、ゴム栓を備えるガラスバイアルである。特定の実施形態では、本明細書中に提供される薬学的キット、第2の容器は、プランジャーと関連付けられるシリンジ本体である。特定の実施形態では、シリンジは、希釈剤を含むプレフィルドシリンジである。特定の実施形態では、本明細書中に提供される薬学的キットは、ガラスバイアルをシリンジ本体に接続するためのアダプターをさらに備える。特定の実施形態では、本明細書中に提供される薬学的キットは、静脈内注入に好適である、シリンジに接続される針と関連付けられた注入管をさらに備える。
【0084】
特定の実施形態では、本明細書中に提供される1つの薬学的キットを使用することによって、rFIXFBPの望ましい投与を実現することができる。特定の実施形態では、望ましい投与を実現するために、1つを超える薬学的キットを使用することができる。望ましい投与を実現するために、本明細書中に提供される、2つ以上の薬学的キットに含まれる製剤を合わせる、または貯蔵する方法が、本明細書中に提供される。
【0085】
投与方法
本発明はrFIXFBPポリペプチドを、それを必要とするヒト対象に投与する方法を提供し、その方法には、特定のまたは計画的な投与間隔で、特定のまたは計画的な容量のrFIXFBPポリペプチドを、対象に投与することが含まれる。rFIXFBPポリペプチドの投与は、組換え型FIXをFIX欠損症の対象に付加することによる、補充治療である。rFIXFBPポリペプチドの投与が、対象の出血または出血エピソードの回数を低減する、または抑えることができる。
【0086】
rFIXFBPは、血友病B(先天的第IX因子欠損症)の成人及び小児(≧12歳)において示される、長時間作用型の抗血友病因子(組換え体)であり、例えば、出血エピソードの制御及び防止、出血エピソードを防止するまたはその頻度を低減するための日常的予防、及び術中管理(外科的予防)を目的とする。
【0087】
本明細書中で用いられる対象は、出血または出血エピソードの制御または防止を必要とするヒト対象である。対象は、投与時に出血する可能性がある、または出血することが予測される可能性がある、あるいは、小出血、関節血症、表面筋肉の出血、軟部組織出血、中等度の出血、解離を伴う筋肉内または軟部組織出血、粘膜出血、血尿症、大出血、咽頭出血、咽頭後部出血、後腹膜出血、中神経系出血、皮下出血、切り傷、擦り傷、関節出血、鼻血、口内出血、歯茎出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、突発性小出血、大外傷後の出血、中等度の皮膚損傷、または関節、筋肉、内臓器官、あるいは脳への突発性出血における出血の影響を受けやすい可能性がある。このような対象には、例えば、外科手術または抜歯と関連付けられる出血の管理等の、術中管理を必要とする対象も含まれる。一実施形態では、対象は、1つ以上の出血エピソードの予防を必要とする。別の実施形態では、対象は個別化した予防間隔を必要とする。他の実施形態では、対象は、1つ以上の出血エピソードのオンデマンド治療を必要とする。さらに他の実施形態では、対象は、1つ以上の出血エピソードの術中管理を必要とする。
【0088】
本明細書中に提供され、1つ以上の出血エピソードを治療または防止することができる、製剤、薬学的組成物、及び/または1つ以上の薬学的キットを用いた使用のための、最適化された及び/または適切な容量及び投与間隔が本明細書中に提供される。投与間隔で適切な用量を投与することによって、rFIXFBPポリペプチドを投与された対象の間隔中に、少なくとも約1IU/dlのまたは1IU/dlを超えるFIX活性の血漿トラフレベルを実現することができる。一実施形態では、本発明は、間隔を通じて少なくとも約1IU/dl(1%)のまたは1IU/dl(1%)を超える、少なくとも約2IU/dl(2%)のまたは2IU/dl(2%)を超える、少なくとも約3IU/dl(3%)のまたは3IU/dl(3%)を超える、少なくとも約4IU/dl(4%)のまたは4IU/dl(4%)を超える、または少なくとも約5IU/dl(5%)のまたは5IU/dl(5%)を超えるFIX活性の血漿トラフレベルを維持することができる、用量(または用量の範囲)及び投与間隔(または投与間隔の範囲)を含む。別の実施形態では、出血または出血障害の頻度を減少または低下させる投与量(または投与量の範囲)及び投与間隔(または投与間隔の範囲)。
【0089】
特定の実施形態では、固定間隔での固定用量、個別化した間隔での固定用量、固定間隔での個別化した用量、または個別化した間隔での個別化した用量による、rFIXFBPの予防的治療によって、FIX活性の望ましいトラフレベルを実現することができる。
【0090】
特定の実施形態では、rFIXFBPの固定量を、固定間隔で、予防的に投与することによって、FIX活性の望ましいトラフレベルを実現することができる。例えば、rFIXFBPを、約50IU/kgの量で、約1週間の間隔(例えば、7日毎)で、投与することができる、または、rFIXFBPを、約100IU/kgの量で、約10日~約14日の間隔で、投与することができる。特定の実施形態では、固定用量及び固定間隔スケジュール中に、対象のFIX活性のトラフレベルを測定することができ、この用量及び/または間隔を調整して、望ましいトラフレベルを実現することができる。特定の実施形態では、血友病Bの対象のグループの個別化した週用量の平均は、約30IU/kg~約60IU/kgで、例えば約32IU/kg~約54IU/kgで、例えば、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、56、47、48、49、50、51、52、53、または54IU/kgで、例えば、約41IU/kgである。特定の実施形態では、100IU/kgを投与する平均個別投与間隔は、約10日~約14日で、例えば、10日、11日、12日、13日、14日で、例えば、約13日である。
【0091】
特定の実施では、rFIXFBPの予防的投与が、対象の年間出血率(ABR)をエピソード(オンデマンド)プロトコルによって治療された対象の平均年間出血率よりも、少なくとも70%低下させ得る。
【0092】
血友病Bの対象が、固定間隔での固定用量によって、例えば、1週間に1度50IU/kgで、または10日、11日、12日、13日、または14日に1度100IU/kgで、予防的に治療される、特定の実施形態では。
【0093】
血友病Bの対象が、固定間隔での個別化した用量、例えば、例えば、約30IU/kg~約60IU/kgで1週間に1度、例えば、約32IU/kg~約54IU/kgで1週間に1度、例えば、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、56、47、48、49、50、51、52、53、または54IU/kgで1週間に1度、例えば、約41IU/kgで1週間に1度予防的に治療される特定の実施形態では、対象のABRは、エピソードまたはオンデマンド治療の平均ABRと比較して、約70%~約90%減少し、例えば、ABRは、約76%~約89%減少し、例えば、ABRは、約70%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、または約90%減少し、例えば、ABRは、約83%減少する。
【0094】
血友病Bの対象が、個別化した間隔での固定用量、例えば、約10日毎~約14日毎に、例えば、10日毎、11日毎、12日毎、13日毎、または14日毎、例えば、または約13日毎に投与された約100IU/kgで、予防的に治療される特定の実施形態では、対象のABRは、エピソードまたはオンデマンド治療の平均ABRと比較して、約80%~約95%減少し、例えば、例えば、ABRは、約80%~約92%減少し、例えば、ABRは、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、または約95%減少し、例えば、約87%減少する。
【0095】
特定の実施形態では、固定間隔で固定用量の、個別化した間隔で固定用量の、固定間隔で個別化した用量の、または個別化した間隔で個別化した用量によってrFIXFBPを用いて、血友病Bの対象を予防的に治療することによって、1年に1つ未満、2つ未満、3つ未満、4つ未満、または5つ未満の出血エピソード、例えば、1年に約1つ~約5つの出血エピソードのABRを実現することができる。
【0096】
他の実施形態では、rFIXFBPポリペプチドの投与量(または投与量の範囲)及び投与間隔(または投与間隔の範囲)によって、投与間隔中に投与量を投与された対象において、進行する制御不能の出血または出血エピソードが止まる。さらに他の実施形態では、rFIXFBPポリペプチドの投与量(または投与量の範囲)及び投与間隔(または投与間隔の範囲)によって、突発性出血または出血エピソードの影響を受けやすい対象において、そのような突発性出血または出血エピソードを防止する。様々な投与量及び投与間隔が、2011に7月11日に出願され、2012年1月12日にWO2012/006624として発行された、国際出願第PCT/US2011/043569号に記載されおり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
一態様では、本開示は、rFIXFBPポリペプチドを、予防を必要とする血友病Bの対象に投与する方法を提供し、その方法には、本明細書中で開示された薬学的組成物、例えば、本明細書中に提供された1つ以上の薬学的キットから再構成された薬学的組成物を、約1週間に1度、例えば、6、7、または8日毎を含むことができる、例えば、約7日毎に1度投与される約50IU/kgの初期用量で、対象に静脈内投与することが含まれる。本態様に従って、この投与が、対象の出血エピソードを防止する、またはその頻度を低減することできる。さらなる態様では、本開示は、rFIXFBPポリペプチドを、予防を必要とする血友病Bの対象に投与する方法を提供し、その方法には、本明細書中で開示された薬学的組成物、例えば、本明細書中に提供された1つ以上の薬学的キットから再構成された薬学的組成物を、10~14日毎に1度、例えば、約10、11、12、13、または14日毎に1度投与される約100IU/kgの初期用量で、対象に静脈内投与することが含まれる。本態様に従って、この投与が、対象の出血エピソードを防止する、またはその頻度を低減することできる。これらの方法のさらなる態様として、例えば、一段階凝固(活性化部分トロンボプラスチン時間、すなわち、aPTT)、トロンビン生成時間アッセイ(TGA)、または回転トロンボエラストメトリアッセイ(ROTEM(登録商標))によって測定される対象の反応に基づいて、予防的投与量または投与頻度をその後調整することができる。当業者、例えば、血友病Bの対象を治療する医師であれば、対象の出血エピソードを積極的に防止/または軽減するために、どのようにまたはどの程度対象の用量または投与頻度を調整すべきかを容易に想定することができる。
【0098】
一態様では、本開示は、rFIXFBPポリペプチドを、小~中等度の出血エピソードの治療が必要な血友病Bの対象に投与する方法を提供し、その方法には、本明細書中で開示された薬学的組成物、例えば、本明細書中に提供された1つ以上の薬学的キットから再構成された薬学的組成物を、約30IU/kg~約60IU/kg、例えば、30IU/kg、40IU/kg、50IU/kg、または60IU/kgの初期用量で、対象に静脈内投与することが含まれる。本態様に従って、この投与が、出血エピソードを制御する、軽減する、または逆転させることができる。本方法は、対象がさらに出血の兆候を示した場合、第1の追加用量が約48時間後に投与され、その後の用量が48時間毎に投与される、1回以上の追加用量の投与をさらに含むことができる。本態様に従って、出血エピソードが沈静化するまで、投与を継続することができる。当業者、例えば、血友病Bの対象を治療する医師であれば、出血エピソードの重症度、対象の反応に基づいて、かつ対象の血液中のFIX活性のレベルによって、初期用量を決定することができる。
【0099】
一態様では、本開示は、rFIXFBPポリペプチドを、大出血エピソードの治療が必要な血友病Bの対象に投与する方法を提供し、その方法には、本明細書中で開示された薬学的組成物、例えば、本明細書中に提供された1つ以上の薬学的キットから再構成された薬学的組成物を、約100IU/kgの初期用量で、対象に静脈内投与することが含まれる。本態様に従って、この投与が、出血エピソードを制御する、軽減する、または逆転させることができる。本方法は、出血エピソードが継続する場合、約6~10時間後に、約80IU/kgの追加用量を投与することをさらに含むことができる。本方法は、出血エピソードが継続する場合、3日間約24時間毎に、約80IU/kgの1回以上の追加用量を投与することをさらに含むことができる。本方法は、出血エピソードを制御するまで、48時間毎に、80IU/kgの1回以上の追加用量を投与することをさらに含むことができる。本態様に従って、出血エピソードが沈静化するまで、投与を継続することができる。
【0100】
一態様では、本開示は、rFIXFBPポリペプチドを、外科的予防が必要な血友病Bの対象に投与する方法を提供し、その方法には、本明細書中で開示された薬学的組成物、例えば、本明細書中に提供された1つ以上の薬学的キットから再構成された薬学的組成物を、手術の際、例えば、小手術的処置の前、同時に、または後に、投与される、約50IU/kg~約80IU/kg、例えば、50IU/kg、60IU/kg、70IU/kg、または80IU/kgの用量で、例えば、簡単な抜歯等の小手術を受けている対象に静脈内投与することが含まれる。本態様に従って、この投与が、手術中また手術後の対象の出血を制御することができる。本方法は、術後の出血を制御する必要がある場合、術後約24~約48時間に、約50IU/kg~80IU/kgの追加用量を投与することをさらに含むことができる。
【0101】
一態様は、本開示は、rFIXFBPポリペプチドを、外科的予防を必要とする血友病Bの対象に投与する方法を提供し、その方法には、本明細書中で開示された薬学的組成物、例えば、本明細書中に提供された1つ以上の薬学的キットから再構成された薬学的組成物を、手術の際、例えば、大手術的処置の前、同時に、または後に投与される、約100IU/kgの用量で、大手術を受けている対象に静脈内投与することが含まれる。本態様に従って、この投与が、術中また術後の対象の出血を制御することができる。大手術には、限定することなく、人工膝関節置換術、関節鏡処置、例えば、関節鏡視下膝固定術、直腸瘻閉鎖術、膝外固定、腱移行術、抜歯を伴う歯の膿瘍の切開排膿、毛巣嚢胞の切開排膿、創面切除、部分切断術、または指の切断術を含むことができる。本方法は、術後の出血を制御する必要がある場合、約6~10時間後に、約80IU/kgの追加用量を投与することをさらに含むことができる。本方法は、出血エピソードが継続する場合、3日間約24時間毎に、約80IU/kgの1回以上の追加用量を投与することをさらに含むことができる。本方法は、出血エピソードを制御するまで、48時間毎に、80IU/kgの1回以上の追加用量を投与することをさらに含むことができる。本態様に従って、出血エピソードが沈静化するまで、投与を継続することができる。
【0102】
一態様では、本開示は、市販のrFIX(完全長成熟第IX因子、例えば、BENEFIX(登録商標)からなるポリペプチド)と比較した、本明細書中に提供される薬学的組成物の薬物動態パラメータを提供する。
【0103】
一実施形態では、本明細書中に提供される薬学的組成物は、50IU/kgのrFIXFBPの単回静脈内注入後、約70時間~約95時間の平均T1/2beta(活性)、例えば、約82時間の平均T1/2beta(活性)を有する。特定の実施形態では、50IU/kgのBENEFIX(登録商標)の単回静脈内注入後、50IU/kgのrFIXFBPの単回静脈内注入として投与される本明細書中に提供される薬学的組成物は、平均T1/2beta(活性)を有し、それはBENEFIX(登録商標)よりも少なくとも約2倍~約3倍高く、例えば、平均T1/2beta(活性)は、BENEFIX(登録商標)よりも約2.4倍高い。
【0104】
一実施形態では、約50IU/kgのrFIXFBPの単回静脈内注入後、本明細書中に提供される薬学的組成物は、約30IU/dL~約50IU/dLの平均Cmax、例えば約40.8IU/dLを有する。一実施形態では、50IU/kgのrFIXFBPの単回静脈内注入後、本明細書中に提供される薬学的組成物は、IU/kgにつき約27IU*h/dL~IU/kgにつき約35IU*h/dL、例えば、IU/kgにつき約31.32IU*h/dLの用量当たりの平均曲線下面積(AUC/用量)を有する。特定の実施形態では、50IU/kgのBENEFIX(登録商標)の単回静脈内注入後、50IU/kgのrFIXFBPの単回静脈内注入として投与される本明細書中に提供される薬学的組成物は、BENEFIX(登録商標)より少なくとも約1.8倍~約2.1倍、例えば、約1.99倍高い平均AUC/用量を有する。
【0105】
本発明の特定の実施形態では、本発明の方法は、rFIXFBPポリペプチドを初期投与する前に、対象のFIX活性の基準値を測定することをさらに含む。FIX活性の基準値の測定では、当業界で既知の任意の凝固アッセイ、例えば、1段階aPTTアッセイ、2段階発色アッセイ、ROTEM、TGA等を採用することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、rFIXFBPポリペプチドの投与後、対象のrFIXFBPポリペプチドのT1/2beta(活性)またはT1/2beta(抗原)を測定することをさらに含む。
【0107】
本発明をこれまで詳細に説明してきたが、それは次の実施例を参照することによって、より明確に理解されることになり、これらの実施例は、例示説明の目的のみで本明細書とともに含まれるものであり、本発明を限定するようには意図されない。本明細書で言及する全ての特許及び刊行物は、参照により明確に組み込まれる。
【実施例
【0108】
実施例1:製品説明
rFIXFcは、ヒト免疫グロブリンG1(lgG1)のFc領域に共有結合しているヒト凝固第IX因子(FIX)からなる、長時間作用型の完全組換え型融合タンパク質である。rFIXFcの第IX因子部分は、血漿由来の第IX因子のThr148対立形質と同一である一次アミノ酸配列を有し、内因性の第IX因子に類似する構造的及び機能的特徴を有する。rFIXFcのFc領域は、ヒンジと、lgG1のCH2及びCH3領域と、を含む。rFIXFcは、およそ98キロダルトンの分子量を有する869個のアミノ酸を含む。
【0109】
rFIXFcは、広く特徴付けられているヒト胎児腎臓(HEK)細胞株組換え型DNA技術によって生成される。細胞株は、動物源またはヒト源由来のいかなるタンパク質も含まない、定義された細胞培養基内へのrFIXFcを示す。rFIXFcは、モノクローナル抗原の使用を必要としない一連のクロマトグラフィーステップによって精製される。本プロセスは、15nmのウイルス捕捉ナノ濾過を含む、複数のウイルス除去ステップを含む。ヒトまたは動物添加物は、細胞培養、精製、及び製剤化プロセスにおいて使用されていない。
【0110】
rFIXFcは、薬物療法群、すなわち、止血薬B02BD04に存在する。それは、プレフィルドシリンジ内に液体希釈剤を伴う、使い捨てバイアルでの静脈内(IV)投与のための、無菌で、保存料を含まない、非発熱性の、凍結乾燥された、ホワイトからオフホワイトの粉末から固形物として製剤化される。rFIXFcに加え、薬学的組成物は、凍結乾燥体のスクロースと、L-ヒスチジンと、マンニトールと、ポリソルベート20とに含み、また、無菌の溶媒塩化ナトリウム溶液(0.325%)に含む。各使い捨てのバイアルは、名目上、250、500、1000、2000、または3000の国際単位(IU)のrFIXFcを含む。提供された希釈剤と再構成された場合、生成物は、次の賦形剤、すなわち、スクロースと、塩化ナトリウムと、L-ヒスチジと、マンニトールと、ポリソルベート20とを、以下の表1または表2に示される濃度で、含む。薬学的組成物は、再構成された後にのみ、静脈内投与のために製剤化される。
【0111】
各パックは、栓(ブチル)及びフリップオフシール(アルミニウム)を有する粉末バイアル(1型グラス)と、プランジャー栓(ブチル)を備えるプレフィルドシリンジ(1型グラス)内の5mlの溶媒と、先端キャップ(ブチル)と、無菌のバイアルアダプター再構成デバイスと、を含む。
【表1】
【表2】
【0112】
実施例2:製剤化方法
rFIXFc薬物生成物は、静脈内投与を対象とした無菌の注射用凍結乾燥粉末である。これは、無菌状態で充填された使い捨てのバイアル内に供給され、そのバイアルは名目上、1つのバイアルにつき、250、500、1000、2000、及び3000IUを含む。バイアルは10mLUSP/phである。Eur.20mmのテフロン(登録商標)加工のブチルゴムの凍結乾燥栓及びアルミニウムのフリップオフ波形シールで封をされる1型ガラスバイアル。凍結乾燥前、250~2000IUのバイアルの名目上の充填容積目標は、3000IUのバイアルの5mL及び7mLである。凍結乾燥前の製剤賦形剤の組成物は、全有効性成分含量で同じである。注入用の粉末は、無菌のプレフィルドシリンジに供給された0.325%(w/v)の塩化ナトリウムを含む5mLの希釈剤で再構成される。
【0113】
凍結乾燥前の薬物生成物溶液の組成物は、表3で示され、凍結乾燥粉末の組成物は表4で示される。再構成後の薬物生成物の組成物は、表1または表2で示される。(実施例1)。
【表3】
【表4】
【0114】
当業者に既知である標準的な方法で、シリンジを配置された標準の静脈内注入管/針に取り付けることによって、かつrFIXFcを静脈内に到達させることによって、投与を実行することができる。
【0115】
実施例3:投与量及び投与方法/推定初期用量を計算する方法
rFIXFcは、血友病B(先天的第IX因子欠損症)の成人及び小児(≧12歳)において示される、長時間作用型の抗血友病因子(組換え体)であり、例えば、出血エピソードの制御及び防止、出血エピソードを防止するまたはその頻度を低減するための日常的予防、及び術中管理(外科的予防)を目的とする。
【0116】
実施例1に記載するように製剤化されたrFIXFcの投与を、本実施例に記載するように推定することできるが、例えば、本明細書中の別の箇所に記載されるFIX活性アッセイ等の標準的な検査によって決定することもできる。
【0117】
体重1kg毎の1IUのrFIXFcは、第IX因子の血中濃度を1%[IU/dL]増加させることが予測される。rFIXFcは長期の循環半減期を有するものとして示されている。
【0118】
一般に、回復のための用量調整は不要である。対象は、その薬物動態(例えば、半減期、生体内の回復)及びrFIXFcへの臨床反応で変化し得るので、IU/dL(または正常に対する%)として示される第IX因子の推定される生体内ピークの上昇または必要用量を、以下の式を用いて推定することができる:
IU/dL(または正常に対する%)=[総用量(IU)/体重(kg)]×回収(IU/kg毎のIU/dL)
または、
用量(IU)=体重(kg)×望ましい第IX因子増加(IU/dLまたは正常に対する%)×回収(IU/dL毎のIU/kg)の逆数
【0119】
出血エピソードにおける投与を誘導するために以下の表(表5)を使用することができる。
【表5】
【0120】
その後の投与量及び処置時間を、個々の臨床反応、第IX因子欠損症の重症度、ならびに出血の位置及び程度によって決定する(以下の実施例5の薬物動態を参照)。
【0121】
投与及び術中管理(外科的予防)を誘導するために、以下の表(表6)を使用することができる:
【表6】
【0122】
日常的予防のために推奨された開始服薬は、1週間に1度50IU/kg、または10~14日に一度100IU/kgのいずれかである。対象の反応に基づいて、いずれかの服薬を調整することができる(薬物動態、以下の実施例5参照)。
【0123】
rFIXFcは、生成物またはその成分に対するアナフィラキシーを含む重度の過敏性反応を示している対象には禁忌である。
【0124】
rFIXFcへの臨床反応は変化し得る。推奨された用量で出血が制御されない場合、良好な臨床反応を実現するために、第IX因子の血漿レベルを決定することができ、十分な用量のrFIXFcを投与することができる。rFIXFcを投与した後、対象の血漿第IX因子レベルが期待した程上昇しない場合、または出血が制御されない場合、対象の血漿の抑制因子、例えば中和抗体の存在について検査することができる。当業者に既知の適切な臨床観察及び臨床試験によって、rFIXFcを使用する対象の第IX因子抑制因子が発達しているかどうかを、監視することができる。
【0125】
臨床的に示される場合、例えば、一段階凝固アッセイを行い、適切な第IX因子レベルが実現及び維持されていることを確認することによって、対象の血漿の第IX因子活性レベルを監視することができる。対象の血漿の第IX因子抑制因子の発達をさらに監視することができる。
【0126】
実施例4:B-LONG試験設計
設計は、グローバル、非盲検、多角的な第3相試験である
【0127】
目的は、静脈内に注入され、制御された組換え型第IX因子Fc融合タンパク質(rFIXFc)の有効性及び安全性、及び重度の血友病Bを伴う個人の出血エピソードの防止、日常的予防、及び術中管理について評価することである。
【0128】
主要な試験対象患者基準(a)男性、(b)12歳超、(c)2%(≦2IU/dL FIX:C)の内因性の第IX因子活性として定義される重度血友病Bと診断されている、及び(d)現在市販されているFIX製品に対して、以前に≧100の暴露日数が記録された病歴を持つ。
【0129】
治療アームには、アーム1(毎週の予防)、アーム2(個別化された間隔での予防)、アーム3(エピソード[オンデマンド]治療)、及びアーム4(術中管理)が含まれる。
【0130】
アーム1(毎週の予防)下において、対象は、毎週50IU/kgの初期用量で治療されたが、この用量はその後、出血を防止するに十分なトラフ因子レベルを維持するために調整された。
【0131】
アーム2(個別化された予防間隔)下において、対象は、10日の初期間隔で、100IU/kgを用いて治療されたが、この間隔はその後、出血を防止するに十分なトラフ因子レベルを維持するために調整された。
【0132】
アーム3(エピソード[オンデマンド]治療)下において、対象は、出血のためのrFIXFcのエピソード治療を、必要に応じて受けた。
【0133】
アーム4(術中管理)下において、大手術の前及び後に、rFIXFcが投与され、対象が試験中に手術を要した場合、周術期中に、対象は手術アーム内に直接入ることができ、次いで、手術後の治療アーム(アーム1、アーム2、またはアーム3)のいずれか1つに移ることができた、または、別のアームから手術アーム内に移ることができた。
【0134】
PK評価のために、全アーム内の全対象は、rFIXFcの第1投与後、初期PK評価を有した。アーム1からの対象のサブセットは、FIXFcのPKと組換え型第IX因子(rFIX、BENEFIX(登録商標))を、以下のように比較するために、プロトコル特定逐次的PK小群に割り当てられた:(1)アーム1での治療の前に、PKは、BENEFIX(登録商標)の50IU/kgでの単回投与後に、割り当てられた。次いで、PKは、これらの同じ対象内で、rFIXFcの50IU/kgでの単回投与後に、評価され、(2)rFIXFcのPKは週26で繰り返された。
主要な有効性の転帰測定は、(1)アーム1、2、及び3((i)エピソード治療アームと比較した毎週の予防アーム、及び(ii)エピソード治療アームと比較した個別化された予防間隔アーム)における年間出血率(ABR)、(2)出血エピソードを止めるために要した注入の数、及び(3)rFIXFcを用いた手術に対する対象の反応を、治療する医師が4段階評価を用いて評価すること含む。
【0135】
薬物動態(PK)の結果測定には、rFIXFcのPK及び組換え型第IX因子(rFIX、BENEFIX(登録商標))が含まれる。
【0136】
主要な安全性の結果測定には、(a)抑制因子の成長発生率、及び、(b)術中管理アーム(アーム1、2、及び3であるが、4は含まない)外で生じる有害事象(AE)の発生率が含まれる。
【0137】
B-LONG結果
対象
rFIXFcの安全性、有効性、及び薬物動態は、エピソード(オンデマンド)治療、出血エピソードの治療における決定した止血剤の有効性、及び、大外科手術を受ける対象の、術中管理中の決定した止血剤の有効性、に対する2つのそれぞれの予防的治療服薬有効性を比較した、多角的な、非盲検で、有望な研究で評価された。以前に治療を受けた、重度の血友病B(≦2%の内因性のFIX活性)の12歳~71歳の合計123人の対象(PTP)を、最大77週間にわたって調査した。対象の93.5%が試験を終了し、115人の対象が少なくとも26週間治療を受け、56人の対象が少なくとも52週間治療を受けた。
【0138】
固定化された週1回の間隔アームの63(63)人の対象は、日常的予防のために、50IU/kgの初期用量で、rFIXFc受け始めた。トラフを、基準値を超える、または出血を防止するために臨床的に必要とされるのと同じくらい高い、1~3%に維持するために、用量は調整された。少なくとも9か月研究を受けていた対象58人の、研究での最後の6ヶ月間の週用量の中央値は、40.7IU/Kg(四分位範囲、32.3、54.1)であった。
【0139】
個別化された間隔アームの対象29(29)人は、日常的予防のために、10日毎に、100IU/kgの用量で、rFIXFcを受け、その間隔は、トラフを、基準値を超える、または出血を防止するために臨床的に必要とされるのと同じくらい高い1~3%に維持するために、調整された。少なくとも9か月研究を受けていた対象26人の、最後の6ヶ月間の間隔の中央値は、13.8日(四分位範囲、10.5、14.0)であった。
【0140】
対象27(27)人は、エピソード(オンデマンド)治療アームにおいて、必要に応じて、出血エピソードの治療のために、rFIXFcを受けた。
【0141】
対象12(12)人は、14の大外科手術における術中管理のために、rFIXFcを受けた。4人の対象は、他のアームに参加しなかった。
【0142】
日常的予防の有効性
負の2項モデルに基づくエピソード(オンデマンド)治療アームと比較して、年間出血率(ABR)は、固定化された毎週の間隔アームの対象で、83%(76%~89%)低下し、個別化された間隔アームの対象で、87%(80%~92%)低下した。
【0143】
研究における処置時間の中央値は、51.4週(<1~77範囲)であった。有効性を評価することができる対象におけるABRの比較が表7に要約される。
【表7】
【0144】
出血の制御における有効性
固定用量、固定間隔、及びエピソード(オンデマンド)アームにおいて、合計636の出血事象が観察された。各注入への反応の評価は、治療後8~12時間の対象によって記録された。出血エピソードが表8に要約される。
【表8】
【0145】
術中管理(外科的予防)における有効性
12人の対象で、14(14)の大外科手術が行われた。調査員によって、非常に良い、良い、普通、乏しい、及び無しの4段階評価を用いて、術後24時間で止血について評価された。大手術の100%で、非常に良い、または、良いとして、止血剤の反応が評価された。いかなる対象のおいても血栓性合併症の臨床的証拠がなかった。手術中及び手術後の投与に対する止血剤の反応は、表9に要約されている。
【表9】
【0146】
生活の質への影響
HAEM-A-QoL、血友病専用の生活の質の評価法を用いて、生活の質が測定された。HAEM-A-QoLは、予防的治療アームの成人(18歳以上)で行われた。研究前の服薬による、組み合わされた予防アームでの週26における基準値からの変更が、表10に要約される。
【表10】
【0147】
個別化された予防間隔アームにおける投与間隔の中央値は、研究における最後の6ヶ月の間14日であった。
【0148】
出血の制御:出血エピソードの90%(90.4%)以上が、rFIXFcの単回注入によって制御された。
【0149】
術中管理:治療医師はrFIXFcの止血剤の有効性を、非常に良い、または、良いとして、手術の100%で評価した。
【0150】
日常的予防またはエピソード(オンデマンド)治療を用いて治療した119人中10人(8.4%)の対象で、薬物有害反応(ADR)が報告された。薬物有害反応は、調査員によって、rFIXFcを用いた治療に関連する、または関連する可能性があるものとして考えられる、有害事象である。薬物有害反応が表11に要約される。
【0151】
薬物有害反応のために研究への参加を棄権した対象はいなかった。研究において、抑制因子は検出されず、アナフィラキシー事象は報告されなかった。
【表11】
【0152】
実施例5:薬理学及び薬物動態
薬理学
rFIXFcは、効果的な止血に必要な欠乏する第IX凝固因子に一時的に置換する、長時間作用型の完全組換え型融合タンパク質である。rFIXFcは、新生児型Fc受容体(FcRn)に結合するヒト免疫グロブリンG1(IgG1)のFc領域を含み、この領域は、免疫グロブリンのリソソーム分解を、それらを血液循環に戻して循環させることによって遅延させ、それらの長期の血漿半減期に関与する、自然発生的な経路の一部である。
【0153】
rFIXFcは、ヒト免疫グロブリンG1(lgG1)のFc領域に共有結合し、組換えDNA技術によって生成されるヒト凝固第IX因子(FIX)を含む、長時間作用型の完全組換え型融合タンパク質である。
【0154】
第IX因子(FIX)は、止血プロセスに重要な凝固カスケードにおいて必須の凝固因子である、およそ55kDaのビタミンK依存性セリンプロテアーゼである。FIXは通常、活性化VII因子/組織因子複合体、または活性化XI因子によって、活性化FIX(FIXa)に変換される。FIXaは、リン脂質表面に活性化VIII因子を伴う複合体を形成し、この複合体は、X因子を活性化X因子に変換し、最終的にプロトロンビンをトロンビンに変換し、フィブリン血栓の形成をもたらす。
【0155】
血友病Bの対象は、機能的FIXを欠損するが、このことが、外傷後の出血を長引かせ、軟組織及び関節内への突発性再出血をもたらす。rFIXFcのFIX部分は、内因性のFIXに類似する構造的及び機能的特徴を有し、機能的FIXの欠損を修正することによって止血を促進する。
【0156】
rFIXFcの他の部分は、ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)Fc領域であり、これは新生児型Fc受容体(FcRn)と結合する。この受容体は、一生を通して自然発生的な経路の一部として示さるが、この経路は、免疫グロブリンのタンパク質を血液循環に戻して循環させることによって、免疫グロブリンをリソソーム分解から保護し、その結果免疫グロブリンの血漿半減期を長期化させる。
【0157】
rFIXFcは補充治療として使用され、第IX因子活性の血漿レベルを上昇させ、これによって、一時的に因子欠損症を修正し、出血傾向を修正することができる。
【0158】
血友病Bは、機能的第IX凝固因子(FIX)の欠損を特徴とする出血障害であり、機能的第IX凝固因子(FIX)の欠損によって、FIXの生物活性のための従来の生体外検査である、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイにおける凝固時間が長く。rFIXFcを用いた治療によって、効果的な投与期間にわたってaPTTが短縮され得る。
【0159】
薬物動態
rFIXFcの薬物動態(PK)対BENEFIX(登録商標)[ノナコグアルファ](rFIX)は、臨床研究から、22人の評価可能な対象(≧19歳)において、10分間の静脈内注入後に評価された。対象は、50IU/kgのBENEFIX(登録商標)を受ける前に、5日間のウォッシュアウト期間を経た。PKサンプリングは投与前に行われ、続いて投与後に、8時点で96時間までの評価が行われた。120時間(5日間)のウォッシュアウト期間の後、対象は、rFIXFcの50IU/kgでの単回投与を受けた。PKサンプルは投与前に回収され、続いて投与後に、11時点で240時間(10日間)までで回収された。rFIXFcのPK評価が、週26で繰り返し行われた。
【0160】
rFIXFcのPKパラメータは、時間プロフィールにわたる血漿FIX活性に基づいて評価された。FIXFcでは、注入後直ちに、例えば、投与開始から10分後に、最大活性(Cmax)が観察された。注入前のレベルからの循環FIX活性の幾何平均上昇は、IU/kgにつき0.92IU/dLであり、排出半減期は82時間であった。この半減期は、rFIXFcのFc領域の影響を受け、動物モデルにおいてこの領域は、FcRn循環経路に介在されていることが示された。rFIXFcPKプロフィールは、週26における比較可能なPKパラメータに示すように、繰り返し投与にわたって安定していた。
【0161】
rFIXFc及びBENEFIX(登録商標)のPKパラメータの要約は、表12に示される。
【表12】
【0162】
母集団PKモデルは、2つの臨床研究において、12~76歳及び体重45kg~186.7kgの対象135人(第1/2a相試験の対象12人及び第3相試験の対象123人)のPKデータに基づいて発展した。母集団評価は、典型的なrFIXFcのCLは2.39dL/hで、中心コンパートメントの典型的な量(V1)は、71.4dLで、Vssは198.3dLである。rFIXFcの幾何平均終末相半減期はおよそ82時間であったが、これはBeneFIX(登録商標)の時間(およそ34時間)よりも、2.4倍長い。
【0163】
全対象は、血友病Bを有する対象の代表母集団で、rFIXFcのPKを特徴付ける初期PK評価を有した。
【0164】
BeneFIX(登録商標)を50IU/kgで単回投与し、続いて、rFIXFcを50IU/kgで単回投与した後、基準値の毎週の予防アーム(アーム1)の対象のサブセットにおいて、より広範囲のPKサンプリングが行われた。血液サンプルは、96時間の期間にわたって、BeneFIX(登録商標)に用いられた。血液サンプルは、240時間の期間にわたって、rFIXFcに用いられた。rFIXFcのPK評価が、26週目で、繰り返し行われた。
【0165】
第1/2相試験のPK結果に基づいて、100-IU/kgの用量が選択されたが、これは、この用量によって、FIXレベルが、正常に対しておよそ100%に上昇したことを示した(Shapiro et al 2011)。100IU/kg(n=5)のrFIXFcを用いた第1/2相試験では、基準値を1%超えるFIXレベルに到達するまでの時間は、およそ11日で、9~14日で変動した。これらのデータに基づいて、固定用量100IU/kgで、出血からの保護を1週間を超えてもたらすことができるかどうかを検査するために、アーム2は設計された。
【0166】
B-LONGで決定した、およそ34時間のBeneFIX(登録商標)の終末相半減期は、BeneFIX(登録商標)添付文書で報告された終末相半減期(~18時間)、ならびに、48時間のサンプル持続時間を用いたFIXのPK評価のEMAガイドラインに続いた複数の研究で報告された終末相半減期(13.7~19.3時間)(Ewenstein 2002、Kisker et al.2003、Negrier et al.2011)よりも長い。しかしながら、発表されたPK研究では、BeneFIX(登録商標)は投与後72時間までサンプリングされたが、21.3~33.4時間のより長い半減期も報告された(Ragni et al.2002、Lambert et al.2007、Chang et al.2007、及びMartinowitz et al.2012)。
【0167】
本研究で採用した96時間のより長期のPKサンプリング計画に起因するBeneFIX(登録商標)の半減期の相違を決定するために、投与後48時間までのデータのみを用いて、BeneFIX(登録商標)のPKデータも分析した。この分析によって、BeneFIX(登録商標)の著しく短縮した終末相半減期(~17時間)がもたらされたが、この半減期は、48時間のサンプリング持続時間を用いた前の報告と一致する。
【0168】
B-LONG研究では、rFIXFcとBeneFIX(登録商標)との間で直接的な比較がなされ、一方、第1/2相試験では、rFIXFcの半減期は、BeneFIX(登録商標)Product Insert(2009)で報告された病歴データと比較された。したがって、B Long研究の、BeneFIX(登録商標)にわたる、rFIXFcのPK改善の測定は、より信頼性があり、正確である。
【0169】
特定の実施形態の上述の説明は、他の者が当業者の技能の範囲内で知識を適用することによって、過度の実験を用いずに、本発明の一般の概念から逸脱することなく、様々な用途のために、そのような特定の実施形態を容易に修正及び/または適合させることができる本発明の一般の性質を十分に明らかにするであろう。したがって、かかる適合及び修正は、本明細書に示される教示及び手引きに基づいて、開示される実施形態の均等物の意味及び範囲内にあることが意図される。本明細書における表現法または用語法は、本明細書の用語法または表現法が教示及び手引きを考慮して、当業者によって解釈されるものであるように、限定目的ではなく説明目的のためのものであることを理解されたい。
【0170】
本発明の他の実施形態は、本明細書に開示される本発明の明細及び実施を考慮することから、当業者に明らかとなろう。明細及び実施例が、以下の請求項によって示される本発明の真の範囲及び精神を有する例示であるとのみ考えられることが意図される。
【配列表】
0007591866000001.app