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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/31 20060101AFI20241122BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 31/205 20060101ALI20241122BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20241122BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20241122BHJP
   A61Q 19/06 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61K36/31
A61K36/28
A61K36/185
A61K31/205
A61P43/00 107
A61P43/00 121
A61K8/9789
A61K8/44
A61Q19/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020115937
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2021011475
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2019125547
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年6月20日に2019年度FIAリーダーズシンポジウムにて「propo(ウォーミングセラム)」の販売促進用資料を配付
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118382
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 央子
(72)【発明者】
【氏名】岡山 みゆき
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-229653(JP,A)
【文献】特開2004-244355(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230733(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A61Q
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)脂肪の燃焼を促進する成分、及び(B)発汗を促進する成分を含み、(A)脂肪の燃焼を促進する成分が、(A1)クリサンテルムインジクムエキス、(A2)L-カルニチン、及び(A3)レピジウムメイエニエキスであり、(B)発汗を促進する成分が、タンブリッサトリコフィラ葉エキス、及びフキ葉/茎エキスである、皮膚外用剤。
【請求項2】
運動に際して、(A)脂肪の燃焼を促進する成分、及び(B)発汗を促進する成分を含む皮膚外用剤を皮膚に適用する工程を含み、(A)脂肪の燃焼を促進する成分が、(A1)クリサンテルムインジクムエキス、(A2)L-カルニチン、及び(A3)レピジウムメイエニエキスであり、(B)発汗を促進する成分が、タンブリッサトリコフィラ葉エキス、及びフキ葉/茎エキスである、運動効果の持続又は向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動による効果を持続又は向上させることができる皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
便利な世の中になるにつれ、日常生活で身体を動かすことが少なくなり、多くの人が運動不足を感じている。このため、日常的に運動又はスポーツをする人が増えている。その目的は様々であり、筋力や持久力の維持又は向上のため、心肺機能の向上のため、生活習慣病の予防など健康を維持するため、加齢に伴う身体機能低下の予防のため、腰やひざの痛みの軽減のため、血行促進のため、痩せるためといった身体的効果を目的とする場合の他、気分転換やストレス解消のため、認知症予防のため、不定愁訴の改善のためといった精神的効果を目的とする場合もある。また、筋力、持久力、心肺機能などの向上を目的とする、強度が非常に大きい運動から、健康維持やストレス解消を目的とする、強度がそれほど大きくない運動まで様々である。
【0003】
筋力、持久力、心肺機能などの向上を目的とする、強度が非常に大きい運動の場合、運動後は、運動量を徐々に減らしたり、ストレッチをしたりする、アクティブレストや、負荷をかけることで傷ついた筋組織の修復を促すため、氷や外用剤で筋肉を冷やしつつ(アイシング)、マッサージするなどのクールダウンを行うことが良いとされている(非特許文献1、2)。そのため、クールダウンのための器具や皮膚外用剤は、多く市販されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「筋肉痛を早く治す方法と予防について」神奈川県立体育センターメールマガジン「体育センター通信第57号」
【文献】Warmup&Cooldown Special Edition for Selected Athleres(発行:財団法人東京都スポーツ文化事業団、競技力向上スポーツ医・科学サポート事業)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、これまで強度がそれほど大きくない運動の場合は、運動中及び後のケアについて、何ら提唱されてはいなかった。しかしながら、近年の生活環境や労働環境等の変化により、健康維持やストレス解消などの目的で軽い運動をする人が増えている。本発明者は、これら軽い運動をする人は、その運動頻度も低いため、運動した後の気持ちの良い感覚が持続することが好む傾向があることを見出した。即ち、軽い運動でしっかり運動したという実感を得たい、運動効果の効率向上または運動の時短を図りたいという新たなニーズを見出した。具体的には、ポカポカする、汗をかくなどの感覚が続くことで、しっかり運動したことを長く感じていたい、ウォームダウンをしたい等の要望である。
【0006】
ところが、筋肉のクールダウンのための皮膚外用剤は多く市販されているが、運動後も温まった身体を冷やさないようにしたり、運動により得られる温感、爽快感などの気持ちの良い感覚を維持したりするための皮膚外用剤は知られていない。
【0007】
そこで、本発明は、運動により得られる効果を持続又は増大させることができる皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、運動に際して、脂肪の燃焼を促進する成分と発汗を促進する成分を含む組成物を皮膚に適用することで、体温上昇、発汗などの運動による効果が効果的に持続することを見出した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の皮膚外用剤を提供する。
〔1〕 (A)脂肪の燃焼を促進する成分、及び(B)発汗を促進する成分を含む皮膚外用剤。
〔2〕 (A)成分が(A1)トリグリセリドの分解を促進する作用を有する成分、(A2)トリグリセリドの分解により生成した脂肪酸の取り込み促進作用を有する成分、及び(A3)ミトコンドリア内での脂肪酸の燃焼を促進する作用を有する成分からなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔1〕に記載の皮膚外用剤。
〔3〕 (A1)成分がキク科植物抽出物であり、(A2)成分がL-カルニチンであり、(A3)成分がアブラナ科植物抽出物である、〔2〕に記載の皮膚外用剤。
〔4〕 (B)成分として、タンブリッサトコフィラ抽出物、及び/又はキク科植物抽出物を含む、〔1〕~〔3〕の何れかに記載の皮膚外用剤。
〔5〕 (A)成分の総含有量が、植物抽出物については乾燥重量に換算して、皮膚外用剤の全量に対して、0.0002~10重量%である、〔1〕~〔4〕の何れかに記載の皮膚外用剤。
〔6〕 (B)成分の総含有量が、植物抽出物については乾燥重量に換算して、皮膚外用剤の全量に対して、0.0001~10重量%である、〔1〕~〔5〕の何れかに記載の皮膚外用剤。
〔7〕 さらに、香料を含む、〔1〕~〔6〕の何れかに記載の皮膚外用剤。
〔8〕 運動効果の持続又は向上のために用いられる、〔1〕~〔7〕の何れかに記載の皮膚外用剤。
〔9〕 運動効果の持続又は向上が、皮膚温度、発汗、血流、及び/又は爽快感の維持又は向上である、〔8〕に記載の皮膚外用剤。
〔10〕 運動中、又は運動後に皮膚に適用される、〔1〕~〔9〕の何れかに記載の皮膚外用剤。
〔11〕 運動に際して、(A)脂肪の燃焼を促進する成分、及び(B)発汗を促進する成分を含む皮膚外用剤を皮膚に適用する工程を含む運動効果の持続又は向上方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮膚外用剤を、運動の際に、皮膚に適用すると、運動により得られる効果が持続又は向上する。このため、軽い運動でも、しっかり運動したという実感(実効感)が得られ、満足感が得られる。具体的には、運動により上昇した体温(特に、皮膚又は体表面温度)、運動による発汗増大、運動による血流増大、運動による爽快状態などが持続又は増大する。
通常、運動により体温(特に、皮膚又は体表面温度)は上昇するものの、運動を止めると体温上昇が緩やかになったり、汗の蒸散により却って低下したりするが、本発明の皮膚外用剤を使用すると、発汗が持続するにも拘らず、運動により上昇した体温(特に、皮膚又は体表面温度)が維持され、さらに体温上昇する場合もある。また、本発明の皮膚外用剤を使用することにより、運動後の発汗が持続し、また発汗量が増大する。
また、運動後の気持ちの良い感覚ないしは体感、例えば、ポカポカする温感、発汗感、血流増大感、爽快感も持続又は増大する。
【0011】
また、本発明の皮膚外用剤は、運動前に使用しても効果が得られるが、運動中又は運動後に使用することで、一層効果的に、運動効果、運動実感、運動体感が持続又は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1、実施例2、比較例2の皮膚外用剤を首に塗布した場合、及び何も塗布しなかった場合(比較例1)の、運動10分後及び20分後の首の表面温度の変化率を示す図である。
図2】実施例1、実施例2、比較例2の皮膚外用剤を手の甲に塗布した場合、及び何も塗布しなかった場合(比較例1)の、運動10分後及び20分後の手の甲の表面温度の変化率を示す図である。
図3】実施例1、実施例2、比較例2の皮膚外用剤を手のひらに塗布した場合、及び何も塗布しなかった場合(比較例1)の、運動10分後及び20分後の手のひらの表面温度の変化率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の皮膚外用剤は、(A)脂肪の燃焼を促進する成分、及び(B)発汗を促進する成分を含む製剤である。
【0014】
(A)脂肪の燃焼を促進する成分
脂肪の燃焼を促進する成分としては、(A1)トリグリセリドの分解を促進する作用を有する成分、(A2)トリグリセリドの分解により生成した脂肪酸の取り込み促進作用を有する成分、及び(A3)ミトコンドリア内での脂肪酸の燃焼を促進する作用を有する成分が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、脂肪の燃焼を促進する成分を1種、又は2種以上含むことができる。また、(A1)成分、(A2)成分、及び(A3)成分の何れか一つ、又は二つ以上を含むことができる。特に、(A1)成分、(A2)成分、及び(A3)成分を含むことが好ましい。
【0015】
(A1)トリグリセリドの分解を促進する作用を有する成分
脂肪細胞に脂肪滴として蓄積されている脂肪は、中性脂肪、即ち、トリグリセリドである。ヒトを含む動物の中性脂肪は、様々な脂肪酸組成のトリグセリドの混合物である。
脂肪細胞において、アドレナリン、ノルアドレナリンなどのカテコールアミン系ホルモンが細胞表面の受容体に結合すると、ホルモン感受性リパーゼとペリリピンがリン酸化により活性化される。リパーゼは、トリグリセリドをグリセロールと脂肪酸に分解する酵素である。また、ペリリピンは、脂肪滴表面に結合しているタンパク質であり、平常時にはホルモン感受性リパーゼが脂肪滴に作用するのを防ぐが、カテコールアミン系ホルモン刺激によりリン酸化されると、ホルモン感受性リパーゼの作用を促進する。また、脂肪滴表面には、CGI-58と称されるタンパク質がペリリピンと相互作用して存在しているが、カテコールアミン系ホルモン刺激によりペリリピンがリン酸化されると、CGI-58が脂肪滴から遊離し、脂肪細胞特異的トリグリセリドリパーゼを活性化する。脂肪細胞特異的トリグリセリドリパーゼはホルモン感受性リパーゼよりトリグリセリドに対して特に強く作用する。さらに、トリグリセリドが完全に3つの脂肪酸とグリセロールにまで分解されるには、モノアシルグリセロールリパーゼが段階的に作用することが必要である。
【0016】
トリグリセリドの分解を促進する作用を有する成分は、トリグリセリドが3つの脂肪酸とグリセロールにまで分解されるまでの何れの段階を促進するものであってもよい。
このような成分として、キク科植物(中でも、クリサンテルムインジクム(ゴールデンカモミール)のようなクリサンテルム属植物、ステビアのようなステビア属植物)の抽出物、ニーム葉抽出物、レモングラス抽出物、アシタバ抽出物、褐藻抽出物(コンブ抽出物、ヒジキ抽出物、ヒバマタ抽出物、ワカメ抽出物など)、緑藻抽出物(アオサ抽出物、アオノリ抽出物など)、紅藻抽出物(テングサ抽出物、アサクサノリ抽出物、スサビノリ抽出物など)、ナツメ(大棗)果実抽出物、トチュウ(杜仲)抽出物、クロレラ抽出物、ユーグレナグラシリス(ユーグレナ、ミドリムシとも称される)抽出物、ツノゲシ葉抽出物、グロブラリアコルジホリアカルス培養抽出物、ハナショウガ抽出物、ミシマサイコ根抽出物、コエンチームA、カフェインなどが挙げられる。
また、上記作用を有する成分の混合物としては、ユーグレナグラシリスエキス、カフェイン、及びツノゲシ葉抽出物の混合物(フィトソニック(商品名);セダーマ社)、グロブラリアコルジホリアカルス培養抽出物、カフェイン、及びハナショウガ抽出物の混合物(インテスリム(商品名);セダーマ社)、ミシマサイコ根抽出物、カフェイン、及びコエンチームAの混合物(リポケア(商品名);セダーマ社)などが挙げられる。
中でも、トリグリセリドの分解促進作用が強い点で、キク科植物(中でも、クリサンテルムインジクム、ステビア)の抽出物、ユーグレナグラシリスエキスとカフェインとツノゲシ葉抽出物の混合物(例えば、フィトソニック(セダーマ社))が好ましく、キク科植物(中でも、クリサンテルムインジクム)の抽出物がより好ましい。クリサンテルムインジクム抽出物を含有する製品として、ラナクリス(ルーカスマイヤー社)が挙げられる。
トリグリセリドの分解を促進する作用を有する成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤が(A1)成分(特に、キク科植物、中でもクリサンテルム属植物及び/又はステビサ属植物、中でもクリサンテルムインジクム及び/又はステビアの抽出物)を含む場合のその含有量は、皮膚外用剤の全量に対して、0.000005重量%以上が好ましく、0.00001重量%以上がより好ましく、0.00005重量%以上がさらにより好ましい。また、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下がさらにより好ましい。この含有量は、植物抽出物については、乾燥重量に換算した重量から算出した値である。この範囲であれば、(B)成分と共に作用して、十分に運動効果を持続又は向上させることができる。
【0018】
(A2)脂肪酸の取り込み促進作用を有する成分
トリグリセリドの分解により生じた脂肪酸は、アルブミンと結合して血中を運ばれ、身体の各組織の細胞内に取り込まれる。細胞内に取り込まれた脂肪酸は、ミトコンドリア内で酸化及び分解されてエネルギーが取り出される。脂肪酸の中でも中鎖脂肪酸は他成分を介さずミトコンドリア膜を透過することができるが、長鎖脂肪酸は単独ではミトコンドリア膜を透過できない。
脂肪酸の取り込み促進作用を有する成分としては、脂肪酸の細胞内への取り込みを促進する作用を有する成分と、細胞内に取り込まれた脂肪酸をミコンドリア内に運搬させる作用又はミトコンドリア膜を透過させる作用を有する成分が挙げられる。
【0019】
脂肪酸の細胞内への取り込みを促進する作用を有する成分としては、バチルス/ダイズ発酵エキスが挙げられる。脂肪酸をミトコンドリア内に運搬させる作用又はミトコンドリア膜を透過させる作用を有する成分としては、L-カルニチン、その塩(酒石酸塩、フマル酸塩、塩酸塩など)、又はその誘導体(酢酸、パルミチン酸のような脂肪酸とのエステルなど)、アスタキサンチン、カンカ(カンカニクジュヨウ)エキスが挙げられる。中でも、L-カルニチンが好ましい。
脂肪酸の取り込み促進作用を有する成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤が(A2)成分(特に、L-カルニチン)を含む場合のその含有量は、皮膚外用剤の全量に対して、0.0001重量%以上が好ましく、0.001重量%以上がより好ましく、0.005重量%以上がさらにより好ましい。また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらにより好ましい。この含有量は、植物抽出物については、乾燥重量に換算した重量から算出した値である。この範囲であれば、(B)成分と共に作用して、十分に運動効果を持続又は向上させることができる。
【0021】
(A3)ミトコンドリア内での脂肪酸の燃焼を促進する作用を有する成分
上記の通り、細胞内に取り込まれた脂肪酸は、ミトコンドリア内でβ-酸化を受けてアセチルCoAとなり、さらにクエン酸回路で二酸化炭素にまで分解され、電子伝達系を経てエネルギーが取り出される。本発明において、ミトコンドリア内での脂肪酸の燃焼を促進する成分は、脂肪酸のβ-酸化、クエン酸回路、電子伝達系の何れの段階の反応を促進するものであってもよい。
このような成分として、アブラナ科植物(中でも、レピジウムメイエニ(マカ)などのマメグンバイナズナ属植物)の抽出物(特に、根又は葉の抽出物)、茶葉抽出物、高麗人参抽出物、アシタバ抽出物、リンゴ酸、ケトオクタデカジエン酸、バチルス/ダイズ発酵エキスなどが挙げられる。中でも、アブラナ科植物(中でも、レピジウムメイエニ(マカ)などのマメグンバイナズナ属植物)の抽出物(特に、根又は葉の抽出物)が好ましい。
レピジウムメイエニ(マカ)抽出物を含有する製品として、マカライン(エクスパンサイエンス社)が挙げられる。
ミトコンドリア内での脂肪酸の燃焼を促進する成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤が(A3)成分(特に、レピジウムメイエニなどのアブラナ科植物抽出物)を含む場合のその含有量は、皮膚外用剤の全量に対して、0.00001重量%以上が好ましく、0.0001重量%以上がより好ましく、0.0005重量%以上がさらにより好ましい。また、10重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下がさらにより好ましい。この含有量は、植物抽出物については、乾燥重量に換算した重量から算出した値である。この範囲であれば、この範囲であれば、(B)成分と共に作用して、十分に運動効果を持続又は向上させることができる。
【0023】
本発明の皮膚外用剤の(A)成分の総含有量は、皮膚外用剤の全量に対して、0.0002重量%以上が好ましく、0.002重量%以上がより好ましく、0.006重量%以上がさらにより好ましい。0.01重量%以上とすることもできる。また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらにより好ましい。0.3重量%以下とすることもできる。この含有量は、植物抽出物については、乾燥重量に換算した重量から算出した値である。この範囲であれば、(B)成分と共に作用して、十分に運動効果を持続又は向上させることができる。
【0024】
(B)発汗を促進する成分
発汗を促進する成分としては、タンブリッサトリコフィラ(Tambourissa trichophylla)(特に、葉)の抽出物、キク科植物(中でも、フキなどのフキ属植物(特に、葉、茎、根)、カミツレ(カモミール、ジャーマンカモミール、ローマカモミールとも称される)などのシカギク属植物(特に、花))の抽出物のような発汗作用と保湿作用を併せ持つ成分が挙げられる。また、石菖(特に、根)の抽出物、トウガラシ(特に、果実)の抽出物、ショウガ(特に、根茎)の抽出物なども挙げられる。
発汗を促進する成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
中でも、発汗作用と保湿作用の両方を有する成分が好ましく、タンブリッサトリコフィラの抽出物、キク科植物(中でも、フキなどのフキ属植物、カミツレなどのシカギク属植物)の抽出物がより好ましい。
タンブリッサトリコフィラは、マダガスカル島及びコモロス諸島に生息する樹木であり、マダガスカル島ではアンボラーサ又はアンボラと呼ばれて、創傷治癒などに古くから用いられている。タンブリッサトリコフィラ葉抽出物を含有する製品として、アンボラエキス(Bayer Sante Familliale社)が挙げられる。
フキ抽出物を含有する製品として、フキエキス-WSPC、フキエキス-PC、フキエキス-LC(オリザ油化社)、NBA Butter Bur Extract(Arch Personal Care社)が挙げられる。
カミツレ抽出物として、カミツレ抽出液、カミツレ抽出液BG-J、カミツレ抽出液LA(丸善製薬社、イワセコスファ社)、カミツレ抽出液LS、油溶性カミツレ抽出液M、油溶性カミツレ抽出液P(香栄興業社)が挙げられる。この他、カミツレ抽出物は、カモミラエキス、カミツレ水、ローマカミツレ油、ローマカミツレ花油などの名称で市販されており、利用可能である。
【0026】
本発明の皮膚外用剤の(B)成分の総含有量は、皮膚外用剤の全量に対して、0.0001重量%以上が好ましく、0.001重量%以上がより好ましく、0.005重量%以上がさらにより好ましい。0.01重量%以上とすることもできる。また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらにより好ましい。1重量%以下とすることもできる。この含有量は、植物抽出物については、乾燥重量に換算した重量から算出した値である。この範囲であれば、(A)成分と共に作用して、十分に運動効果を持続又は向上させることができる。
【0027】
本発明の皮膚外用剤がタンブリッサトリコフィラの抽出物を含む場合のその含有量は、乾燥重量に換算して、皮膚外用剤の全量に対して、0.00001重量%以上が好ましく、0.0001重量%以上がより好ましい。また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、(A)成分と共に作用して、十分に運動効果を持続又は向上させることができる。
本発明の皮膚外用剤がフキなどのフキ属植物の抽出物を含む場合のその含有量は、乾燥重量に換算して、皮膚外用剤の全量に対して、0.0001重量%以上が好ましく、0.001重量%以上がより好ましい。また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。この範囲であれば、(A)成分と共に作用して、十分に運動効果を持続又は向上させることができる。
本発明の皮膚外用剤がカミツレなどのシカギク属植物の抽出物を含む場合のその含有量は、乾燥重量に換算して、皮膚外用剤の全量に対して、0.0001重量%以上が好ましく、0.001重量%以上がより好ましい。また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。この範囲であれば、(A)成分と共に作用して、十分に運動効果を持続又は向上させることができる。
【0028】
(A)成分の総含有量1重量部に対する(B)成分の総含有量の比率は、0.0001重量部以上が好ましく、0.001重量部以上がより好ましく、0.01重量部以上がさらにより好ましい。0.1重量部以上とすることもできる。また、1000重量部以下が好ましく、100重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらにより好ましい。1重量部以下とすることもできる。この含有量は、植物抽出物については、乾燥重量に換算した重量から算出した値である。この範囲であれば、十分に運動効果を持続又は向上させることができる。
【0029】
本発明において、植物の抽出物は、特に言及しない限り、葉、茎、花、果実、根、根茎などの何れの抽出物であってもよく、全草の抽出物であってもよい。
【0030】
抽出に用いる溶媒としては、水;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウムのような無機塩の水溶液;リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス-塩酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液のような緩衝液;塩酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸のような無機酸の水溶液;酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、アスコルビン酸、フマル酸、リンゴ酸のような有機酸の水溶液;サポニン、レシチンのような界面活性剤の水溶液;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのような低級アルコール;アセトン、エチルメチルケトンのようなケトン類などの親水性溶媒ないしは極性溶媒が挙げられる。
また、プロパン、ブタン、ヘキサン、シクロヘキサンのような炭化水素;グリセリン;ジエチルエーテルのようなエーテル;プロピレングリコールのようなグリコール;ジクロロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2-トリクロロエテンのようなハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、酢酸メチルのような酢酸エステルなどの疎水性溶媒も挙げられる。
溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
抽出温度は、適宜設定できるが、例えば4~130℃、中でも20~100℃とすることができる。また、室温で行うこともできる。
抽出物は、液状(流動状、粘液状などを含む)の状態で用いることもでき、或いは、乾燥して、固形状(半固形状、ゲル状などを含む)、例えば粉状にしたものを用いることもできる。
【0032】
(C)温感成分
本発明の皮膚外用剤は、さらに(C)温感成分を含むことができる。
温感成分としては、バニリルブチルエーテルに代表されるバニリルエーテル類や、ノナン酸バニリルアミド、カプサイシンに代表されるバニリルアミド類などの、バニリル基を有する化合物が挙げられるが、本発明の効果を効果的に奏するという観点で、バニリルエーテル類が好ましく、バニリルブチルエーテルがより好ましい。
温感成分は、本発明の(A)成分、(B)成分と共に作用して、顕著に又は相乗的に、運動効果を持続又は向上させることができる。
【0033】
(D)香料
本発明の皮膚外用剤は、さらに香料を含むことができ、これにより、汗などの臭いがマスキングされ、また一層効果的に運動効果を持続又は向上させる場合もある。
香料としては、精油が好ましく、ベルガモット油、ハッカ油、ラベンダー油、ユーカリ油、ローズマリー油、ローズヒップ油、キダチハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、ベチベル油、リトシア・キュベバ油、レモン油、白檀油、ナツメグ油、シナモン油、ヒソップ油、キャラウェー油、オレンジ油、カデ油、グレープフルーツ油、ライム油、サルビア油、タイム油、クローブ油、アロエ油、ジャスミン油、ネロリ油、ローズ油、カンファー油、ゼラニウム油、サンダルウッド油、イランイラン油、メリッサ油、バジル油、パチュリー油、ジュニパー油、ジュニパーベリー油、セージ油、黒コショウ油、マージョラム油、アミリス油、ヨモギ油、ニガヨモギ油、アンゲリカ油、ショウガ油、オールスパイス油、カスカリラ油、カラムス油、クラリセージ油、セロリ油、ティーツリー油、キャロット油、パチョリ油、ベチバー油、ホップ油、マスティック油、ミルラ油、ラブダナム油、ウコン油、オリガナム油、ガランガ油、シトロネラ油、ベイ油、ヤロー油、ピメントベリー油、ロベージ油などが挙げられる。
中でも、ベルガモット油、ユーカリ油が好ましく、ベルガモット油がより好ましい。ベルガモット油の主成分であるリモネン、リナロール、酢酸リナリルも使用することができる。
また、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノールのようなテルペン類(これらはd体、l体又はdl体の何れでもよい。)も好ましい。
【0034】
本発明の皮膚外用剤が香料を含む場合のその含有量は、皮膚外用剤の全量に対して、0.0001重量%以上が好ましく、0.001重量%以上がより好ましく、0.01重量%以上がさらにより好ましい。また、5重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、マスキング効果が十分に得られ、また香料によっては運動効果を持続又は向上させる。
【0035】
その他の成分
本発明の皮膚外用剤は、上記(A)成分、(B)成分、場合によっては(C)成分を含む成分を、化粧品、又は医薬部外品に使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤や、その他の生理活性又は薬理活性成分と混合して、化粧品、又は医薬部外品の皮膚外用剤とすることができる。
【0036】
添加剤としては、例えば、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤又はキレート剤、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤、刺激軽減剤、着色剤などが挙げられる。
添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0037】
界面活性剤としては、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸類、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80など)等の硬化ヒマシ油誘導体、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル、グリセリンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンセチルエーテル(セトマクロゴール)、ステアリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。
【0038】
増粘剤としては、増粘多糖類(グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、デキストランなど)、セルロース系増粘剤(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、アルギン酸、その塩、及びその誘導体(アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなど)、ビニル系増粘剤(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウムなど)、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチンなどが挙げられる。
【0039】
保存剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、BHTなどが挙げられる。
【0040】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸など)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、コハク酸ナトリウム、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジンなど)などが挙げられる。
【0041】
安定化剤又はキレート剤としては、エデト酸ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸四ナトリウム四水塩などが挙げられる。
【0042】
紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤としては、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ)-1,3,5-トリアジン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピロン酸エチルヘキシル、エトルヘキシルトリアゾリン、パラアミノ安息香酸およびその誘導体、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。
【0043】
刺激軽減剤としては、甘草エキス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0044】
着色料としては、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編(2004))に記載された色素などが挙げられる。
【0045】
その他の生理活性又は薬理活性成分としては、例えば、保湿成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、血行促進成分、細胞賦活化成分、老化防止成分、美白成分、アミノ酸、タンパク質、植物エキス((A)成分及び(B)成分を除く)などが挙げられる。
その他の生理活性又は薬理活性成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、その他の生理活性又は薬理活性成分は、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0046】
保湿成分としては、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールのような多価アルコール、トレハロース、キシリトール、ソルビトールのような糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ケラチン、キチン、キトサンのような高分子化合物、セラミド、コレステロール、リン脂質のような脂質、ハマメリスエキス、チャエキスのような植物抽出物などが挙げられる。
【0047】
ビタミン類としては、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等のビタミンE類、ユビキノン誘導体及びその薬学的又は生理学的に許容される塩、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル、アスコルビゲン-A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、フィロキノン、ファルノキノン、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン、葉酸、プテロイルグルタミン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、ビオチシン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸、ヘスペリジン、γ-オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリン及びその薬学的又は生理学的に許容される塩などが挙げられる。
【0048】
ペプチド又はその誘導体としては、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、加水分解シルクなどが挙げられる。
【0049】
血行促進成分としては、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシなどの抽出物や、グルコシルヘスペリジン(柑橘類皮抽出物)、セファランチン(タマサキツヅラフジ根抽出物)などが挙げられる。
血行促進成分は、本発明の(A)成分、(B)成分と共に作用して、顕著に又は相乗的に、運動効果を持続又は向上させることができる。
【0050】
細胞賦活成分としては、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ε-アミノカプロン酸のようなアミノ酸類、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類、ビオチンのようなビタミン類、グリコール酸、乳酸のようなα-ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号、胎盤抽出液、ヒノキチオール、セファランチン、キウイ種子抽出物などが挙げられる。
【0051】
老化防止成分としては、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N-メチル-L-セリン、メバロノラクトンなどが挙げられる。
【0052】
美白成分としては、トコフェロール、アスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、4-アルキルレゾルシノール4-メトキシサリチル酸、ハイドロキノン、コウジ酸、それらの塩、又はそれらの誘導体、胎盤抽出物、オウバク抽出物、ユキノシタ抽出物、アロエ抽出物、マテチャ抽出物のような植物抽出物などが挙げられる。
【0053】
基剤又は担体
基剤又は担体としては、油性基剤、水性基剤が挙げられる。
油性基剤としては、流動パラフィン、ワセリン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、及び軽質流動パラフィンのような炭化水素;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジンのようなシリコーン油;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールのような高級アルコール;コレステロール、フィトステロール、及びヒドロキシステアリン酸フィトステリルのようなステロール類;シアバター、カルバナロウ、及びキャンデリラロウのような植物脂;ラノリン、オレンジラフィー油、スクワラン、馬油、鯨ロウ、及びミツロウのような動物油脂;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化グアガム、及びアセチル化ヒアルロン酸のような天然高分子誘導体;ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、及びアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体のような合成高分子;カラギーナン、アルギン酸、セルロース、キサンタンガム、グアーガム、クインスシード、デキストラン、ジェランガム、及びヒアルロン酸のような天然高分子;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのような脂肪酸エステル類;デキストリン、及びマルトデキストリンのような多糖類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなグリコールエーテルなどが挙げられる。
また、水性基剤としては、水、緩衝液の他に、エタノール、及びイソプロパノールのような低級アルコール;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、ジグリセリン、及びジプロピレングリコールのような多価アルコールなどが挙げられる。
基材又は担体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0054】
本発明の皮膚外用剤の製剤形態は特に限定されず、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ジェル剤(ゲル剤)、リニメント剤、ローション剤、フォーム剤、スプレー剤、エアゾール剤、パウダー剤、パップ剤、不織布等のシートに薬液を含浸させたシート剤などが挙げられる。中でも、皮膚に塗り伸ばし易く、使用感が良い点で、ローション剤、ジェル剤(ゲル剤)、乳剤、クリーム剤、スプレー剤、エアゾール剤が好ましい。
乳剤、クリーム剤、乳剤性軟膏剤などの乳化状態の剤型である場合は、水中油型又は油中水型の何れでも良いが、使用感が良い点で、水中油型が好ましい。
【0055】
用途
本発明の皮膚外用剤は、運動の際に皮膚に塗布して、運動により得られる効果を持続又は向上させるために使用できる。具体的には、皮膚又は身体の温度(特に、運動により上昇した皮膚又は身体の温度)の維持又は上昇のため、発汗(特に、運動により増大した発汗)の持続又は増大のため、血流(特に、運動により増大した血流)の維持又は増大のため、爽快状態(特に、運動により高まった爽快状態)の持続又は促進のためなどに使用できる。
本発明の皮膚外用剤を使用すれば、軽い運動であっても、運動効果が持続又は増大するため、しっかり運動したという実感(実効感)が得られる。従って、運動効果持続又は向上は、運動実感の持続又は向上と捉えることもできる。
また、運動効果が持続すると、運動による気持ちの良い体感又は感覚が持続するため、運動効果の持続又は向上は、運動体感又は感覚の持続又は向上と捉えることもできる。具体的には、本発明の皮膚外用剤は、温感(特に、運動により増大した温感)の維持又は向上のため、発汗実感(特に、運動により増大した発汗実感)の維持又は向上のため、血流増大感(特に、運動により上昇した血流増大感)の維持又は向上のため、爽快感(特に、運動により高まった爽快感)の維持又は向上のために使用できる。
【0056】
使用方法
本発明の皮膚外用剤は、運動に際して皮膚に適用すればよい。運動前、運動中、運動後の何れに使用しても良いが、運動中、運動後に使用するのが好ましく、運動後に使用するのがより好ましい。運動前は、運動の前10分以内、中でも5分以内、中でも1分以内とすることができる。また、運動後は、運動の後30分以内、中でも10分以内、中でも5分以内、中でも1分以内、中でも30秒以内とすることができる。運動後は、そのまま塗布しても良く、汗を拭って塗布しても良く、あるいはシャワー等で汗を流してから塗布しても良い。塗布する場合は、軽くなじませるように塗布しても良いが、マッサージしながら塗布するのが好ましい。
また、運動前、運動中、運動後にそれぞれ、1回、又は複数回塗布することができる。
【0057】
本発明の皮膚外用剤の使用に適した運動時間は、特に限定されない。例えば、1分間~12時間、3分間~3時間、5分間~2時間、10分間~1時間、20~30分間、10~15分間などの運動時間が挙げられる。
【0058】
本発明の皮膚外用剤の適用部位は、特に限定されない。首、腕、手、胴体(腹、腰回り、背中、胸、臀部)、足、顔などの皮膚が挙げられる。中でも首、腕、手、胴体(腹、腰回り、背中、胸、臀部)、足、特に腕、手、胴体(腹、腰回り、背中、胸、臀部)、足に適用すれば、運動効果持続又は向上作用が大きくなる。
本発明の皮膚外用剤の使用量は、特に限定されず、皮膚になじむ程度の量であればよい。皮膚の1cm当たり0.001~0.01g程度が挙げられる。
皮膚への適用方法は、剤型により異なり、塗布、噴霧、貼付などとすることができる。
【0059】
運動効果の持続又は向上方法
本発明は、運動に際して、(A)脂肪の燃焼を促進する成分、及び(B)発汗を促進する成分を含む製剤(本発明の皮膚外用剤)を皮膚に適用する工程を含む運動効果の持続又は向上方法を包含する。
この運動効果持続又は向上方法は、皮膚又は身体の温度(特に、運動により上昇した皮膚又は身体の温度)の維持又は上昇方法、発汗(特に、運動により増大した発汗)の維持又は増大方法、血流(特に、運動により増大した血流)の維持又は増大方法、爽快状態の維持又は向上方法、運動実感の維持又は向上方法、運動体感又は感覚の維持又は増大方法、温感(特に、運動により上昇した温感)の維持又は向上方法、発汗実感(特に、運動により上昇した発汗実感)の維持又は向上方法、血流増大感(特に、運動により上昇した血流増大感)の維持又は向上方法、爽快感の維持又は向上方法であり得る。
【0060】
本発明の各方法は、医療方法を含まない。即ち、治療方法や、医療方法としての予防方法などを含まない。
本発明方法における各成分の種類や量、用量、用法、適用箇所などは、本発明の皮膚外用剤について説明した通りである。
【実施例
【0061】
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0062】
(1)体表面温度の評価
恒温環境(22℃±1℃)にて、20~30代の被験者4名(女性4名)が、エアロバイク(登録商標、ヤマトヒューマン(株)、YAB-881N)を、一定負荷条件(負荷3)にて15分間漕ぎ、エアロバイク運動の直後にサーモグラフィー(NEC Avio Infrared Technologies Co., Ltd.、TVS-500EX)にて体表面の皮膚(首の前面、手のひら、手の甲)の温度を計測した。直ちに汗を拭い、表1に記載の各組成物を首、手のひら、手の甲に約2mg/cmで塗布した後、座位にて安静にし、運動終了後10分後、及び20分後に、組成物塗布部位の体表面温度を計測し、運動後の体表面温度の変化率を、下記式(1)に従い算出した。

運動後の体表面温度変化率
=[(運動10分後又は20分後の体表面温度-運動直後の体表面温度)/運動直後の体表面温度]×100(%)
・・・・・・・式(1)

なお、比較例1では組成物は塗布せず、体表面温度のみを計測した。
【0063】
【表1】
実施例1、実施例2、比較例2の組成物は、その他成分として、さらに、メチルポリシロキサン、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、高重合メチルポリシロキサン、2-エチルヘキサン酸セチル、ヒアルロン酸Na、エタノール、ニコチン酸アミド、キレート剤、香料を含む。これらの成分は、実施例1、実施例2、比較例2の各組成物に同濃度が配合されている。
【0064】
体表面温度変化率の平均値を表2及び図1図3に記載する。
【表2】
【0065】
実施例1、2の皮膚外用剤を運動後に塗布することにより、運動直後より10分後又は20分後の方が体表面温度は概ね上昇した。一方、本発明の(A)成分、(B)成分の何れも含まない比較例2の皮膚外用剤を運動後に塗布した場合、運動直後より10分後又は20分後の方が体表面温度は低くなった。従って、本発明の(A)成分、(B)成分の配合により、運動後に体表面温度が上昇したことが分かる。
また、本発明の(A)成分及び(B)成分を含み、バニリルブチルを含まない実施例2の皮膚外用剤と、本発明の(A)成分及び(B)成分とバニリルブチルを含む実施例1の皮膚外用剤とでは、体表面温度変化率は同程度であった。バニリルブチルを含むが本発明の(A)成分及び(B)成分を含まない比較例2の皮膚外用剤を塗布した場合は、体温変化率はマイナスになったことを考慮すると、バニリルブチルと、本発明の(A)成分及び(B)成分とは、相乗的に作用して、運動後の体表面温度を上昇させたことが分かる。
【0066】
(2)官能試験
「(1)体表面温度の評価」試験において、被験者4名が感じた感覚を、官能試験により評価した。官能試験は、(1)爽快感、(2)温感(ぽかぽかとした感覚)、及び(3)発汗感について、ビジュアルアナログスケール(VAS)法で実施した。VASは、各質問項目について、左端(0)が「全く感じない」で最悪の状態、右端(100)が「大変強く感じる」で最良の状態を表す10cm線分を用い、各被験者は感じた感覚の大きさを、10cm線分に斜線を入れることで回答した。なお、被験者には製剤の内容が識別できないようにして官能試験を実施した。
【0067】
VASスコアは、どの項目も概ね時間の経過とともに低下傾向に変化することが確認された。
下記式(2)に従い、無塗布の場合(比較例1)の、運動10分又は20分経過することによるVASスコアの低下を基準とし、各外用組成物を塗布した場合のVASスコア低下抑制の割合を算出し、効果感低下抑制率とした。

効果感低下抑制率(%)
={1-(各例の運動直後のVAS値-各例の運動10分後又は20分後のVAS値)/(比較例1の運動直後のVAS値-比較例1の運動10分後又は20分後のVAS値)}×100
・・・・・・・(2)
【0068】
結果を表3に示す。
【表3】
【0069】
実施例1、2の皮膚外用剤を運動後に塗布することにより、運動10分後、20分後において「爽快感」「温感」「発汗感」の何れの項目においても、高い効果感低下抑制効果があることが確認された。従って、本発明の(A)成分、(B)成分の配合により、運動効果感の持続効果が高まったことが分かる。
また、バニリルブチルを含むが本発明の(A)成分及び(B)成分を含まない比較例2の皮膚外用剤を塗布した場合は発汗感低下の抑制率が3.9%と非常に低く、また、本発明の(A)成分及び(B)成分を含み、バニリルブチルを含まない実施例2の皮膚外用剤では31.5%であるのに対して、本発明の(A)成分及び(B)成分とバニリルブチルを含む実施例1の皮膚外用剤とでは、発汗感低下抑制率45.5%と非常に高かった。バニリルブチルと、本発明の(A)成分及び(B)成分とは、相乗的に作用して、運動後の効果感を維持させたことが分かる。
【0070】
(3)体表面温度・発汗量の評価
20代~40代の被験者5名(男性3名、女性2名)が、プロテイン含有飲料を飲んだ後に、エアロバイク(登録商標、ヤマトヒューマン(株)、YAB-881N)を一定負荷条件(負荷3)で20分間漕ぎ、エアロバイク運動直後、10分後、及び20分後に、サーモグラフィー(NEC Avio Infrared Technologies Co., Ltd.、TVS-500EX)を用いて、体表面の皮膚(首の前面、手のひら、手の甲)の温度を計測した。また、エアロバイク運動の後10分間の前腕の発汗量と、10分後~20分後の10分間の発汗量を、SKN-2000 PERSPIRATION METER(Nishizawa Electric Meters Mfg. Co., Ltd.)を用いて測定した。
被験者5名は、上記運動及び測定を2回行い、2回のうち一方は「皮膚外用剤の塗布なし」、2回のうち他方は「運動直後に、実施例1のジェル状皮膚外用剤を各部位に、約2mg/cm塗布」の条件とした。
プロテイン含有飲料は、ブラックジンジャー抽出物及び、トウガラシエキスを配合した、プロテイン末を、タンパク質量7g/回にて、水150mLと混ぜたものを飲用した。
【0071】
結果を表4に示す。
表4中の体表面温度の項目の数値は、上記式(1)にて算出した運動後の体温変化率の平均値である。
また、発汗量として10分間の発汗量の積算値の平均値をとり、皮膚外用剤を塗布しない場合の運動直後から10分間の発汗量を基準とし、下記式(3)にて発汗量比を算出した。発汗量比も表4に示す。

発汗量比
=運動直後から運動10分後までの10分間の発汗量又は運動10分後から20分後までの10分間の発汗量)/塗布なしの場合における運動直後から運動10分後までの10分間の発汗量
・・・・・・・(3)
【0072】
【表4】
【0073】
本発明の皮膚外用剤を運動後に塗布することにより、無塗布の場合に比べて、体表面温度の上昇率が大きかった。また、無塗布の場合は、運動後に体表面温度が低下する場合もあるが、本発明の皮膚外用剤を運動直後に塗布することにより、運動後に一旦体表面温度が低下しても、その後速やかに上昇に転じた。皮膚外用剤の使用による体表面温度の上昇は、特に女性において顕著であった。
また、発汗量は、皮膚外用剤の使用により明らかに増大し、さらに増加傾向は、運動後に時間が経過しても維持され、総発汗量は外用剤を塗布しない場合に比べ、顕著に増大することが確認された。
【0074】
また、皮膚外用剤の使用による体感を各被験者にインタビューした結果、「無塗布の場合は冷え易い箇所が、塗布により冷えなかった。」「皮膚外用剤の塗布後しばらくすると掌や首がじんわり暖まったが、無塗布の場合はこのような温感は感じられなかった。」「無塗布の場合は、運動20分後には汗をかいた身体が冷えた感覚があったが、運動直後に皮膚外用剤を塗布し20分経過後も、汗をかいた身体がじんわり暖かく、冷えていなかった。」というコメントが得られた。官能評価では、本発明の皮膚外用剤を使用することにより、運動後の体温上昇の体感が大きくなることが確認された。皮膚外用剤の使用による体表面温度の上昇の体感は、特に女性において顕著であった。
【0075】
以下に、本発明の皮膚外用剤の製剤処方例を示す。処方例の「%」は「重量%」を示す。
処方例1(ジェルクリーム)
精製水 残量
エタノール 10%
スクワラン 5%
エチルヘキサン酸セチル 1%
カルボマー 0.5%
ジメチコン 0.5%
BG 5%
DPG 5%
TEA 適量
フェノキシエタノール 0.3%
イソステアリン酸PEG-20ソルビタン 0.5%
セスキオレイン酸ソルビタン 0.4%
ヒアルロン酸 0.05%
バニリルブチル 0.02%
タンブリッサトリコフィラ葉エキス 0.01%
フキ葉/茎エキス 0.005%
レピジウムメイエニエキス 0.003%
カルニチン 0.1%
ハマメリス葉エキス 0.1%
ベルガモット油 0.1%
【0076】
処方例2(ジェル)
精製水 残量
エタノール 10%
1,3-プロパンジオール 7%
ペンタンジオール 1%
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 0.7%
キサンタンガム 0.05%
TEA 適量
メチルパラベン 0.1%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5%
ヒアルロン酸 0.01%
バニリルブチル 0.01%
タンブリッサトリコフィラ葉エキス 0.05%
フキ葉/茎エキス 0.001%
レピジウムメイエニエキス 0.001%
カルニチン 0.2%
l-メントール 0.2%
ユーカリ油 0.05%
香料 0.1%
【0077】
処方例3(ジェル)
精製水 残量
エタノール 10%
1,3-プロパンジオール 5%
ペンタンジオール 1%
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 0.5%
キサンタンガム 0.05%
TEA 適量
メチルパラベン 0.1%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5%
ヒアルロン酸 0.01%
フィトソニック(セダーマ) 0.1%
高麗人参エキス 0.01%
フキ葉/茎エキス 0.001%
レピジウムメイエニエキス 0.001%
カルニチン 0.2%
l-メントール 0.2%
グレープフルーツ油 0.05%
香料 0.1%
【0078】
処方例4(ジェル)
精製水 残量
エタノール 8%
BG 10%
DPG 5%
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 0.5%
キサンタンガム 0.05%
TEA 適量
メチルパラベン 0.1%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5%
ヒアルロン酸 0.02%
ノナン酸バニリルアミド 0.005%
アシタバエキス 0.1%
フキ葉/茎エキス 0.001%
ニンジンエキス 0.001%
カルニチン 0.2%
l-メントール 0.2%
ラベンダー油 0.05%
香料 0.1%
【0079】
処方例5(ローション)
精製水 残量
エタノール 3%
1,3-プロパンジオール 7%
グリセリン 3%
ペンタンジオール 1%
カラギーナン 0.05%
メチルパラベン 0.2%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.3%
トウガラシエキス 0.001%
タンブリッサトリコフィラ葉エキス 0.0001%
フキ葉/茎エキス 0.0005%
レピジウムメイエニエキス 0.005%
カルニチン 0.05%
香料 0.05%
【0080】
処方例6(乳液)
精製水 残量
ワセリン 5%
流動パラフィン 2%
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 3%
ヒドロキシエチルセルロース 0.5%
ジメチコン 0.5%
BG 5%
グリセリン 5%
TEA 適量
ヘキサンジオール 2%
フェノキシエタノール 0.5%
イソステアリン酸PEG-20ソルビタン 1%
ステアリン酸グリセリル 0.5%
バニリルブチル 0.005%
タンブリッサトリコフィラ葉エキス 0.03%
フキ葉/茎エキス 0.01%
レピジウムメイエニエキス 0.001%
カルニチン 0.01%
チャエキス 0.05%
カンフル 0.01%
香料 0.1%
【0081】
処方例7(スプレー)
精製水 残量
エタノール 40%
BG 5%
PPG-6デシルテトラデセス 0.3%
ヒアルロン酸 0.01%
バニリルブチル 0.03%
タンブリッサトリコフィラ葉エキス 0.001%
フキ葉/茎エキス 0.001%
レピジウムメイエニエキス 0.005%
カルニチン 0.005%
l-メントール 0.5%
ベルガモット油 0.05%
香料 0.05%
タルク 3%
【0082】
処方例8(ジェル)
精製水 残量
エタノール 10%
1,3-ブチレングリコール 5%
ペンタンジオール 1.5%
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 0.6%
ヒドロキシエチルセルロース 0.1%
TEA 適量
メチルパラベン 0.05%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5%
ヒアルロン酸 0.01%
バニリルブチル 0.01%
タンブリッサトリコフィラ葉エキス 0.05%
フキ葉/茎エキス 0.001%
ステビアエキス 0.001%
カルニチン 0.2%
l-メントール 0.2%
ユーカリ油 0.05%
香料 0.1%
【0083】
処方例9(ジェルクリーム)
精製水 残量
エタノール 8%
スクワラン 5%
エチルヘキサン酸セチル 1%
カルボマー 0.5%
ジメチコン 0.2%
1,3-ブチレングリコール 5%
DPG 2%
TEA 適量
フェノキシエタノール 0.3%
イソステアリン酸PEG-20ソルビタン 0.5%
セスキオレイン酸ソルビタン 0.4%
ヒアルロン酸 0.05%
バニリルブチル 0.02%
バチルス/ダイス発酵エキス 0.01%
タンブリッサトリコフィラ葉エキス 0.05%
レピジウムメイエニエキス 0.003%
カルニチン 0.1%
グレープフルーツ油 0.05%
ベルガモット油 0.03%
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の皮膚外用剤を、運動に際して皮膚に適用することで、運動効果が持続又は向上する。従って、軽い運動でも大きな運動効果が得られ、満足感が大きくなる。近年、運動人口が増加しており、ほとんどの人は軽い運動をしているため、本発明の皮膚外用剤は、ニーズに合った商品価値が高いものである。
図1
図2
図3