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特許7591889輸送容器及び/又は貯蔵容器を乾燥する方法
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  • 特許-輸送容器及び/又は貯蔵容器を乾燥する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】輸送容器及び/又は貯蔵容器を乾燥する方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 5/04 20060101AFI20241122BHJP
   F26B 21/10 20060101ALI20241122BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F26B5/04
F26B21/10 Z
F26B25/00 B
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020142682
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2021046999
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】19197547
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514187202
【氏名又は名称】ゲーエヌエス・ゲゼルシャフト・フューア・ヌクレアール-サービス・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・リルシュル
(72)【発明者】
【氏名】コンラート・ドレーゼン
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-156488(JP,A)
【文献】特開平09-080196(JP,A)
【文献】米国特許第09117558(US,B1)
【文献】特開2012-198105(JP,A)
【文献】特表2015-513675(JP,A)
【文献】特開2009-258096(JP,A)
【文献】特開2005-043058(JP,A)
【文献】特開2009-162574(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109545410(CN,A)
【文献】中国実用新案第206697239(CN,U)
【文献】特開2004-004038(JP,A)
【文献】特開平11-142583(JP,A)
【文献】特開2001-242294(JP,A)
【文献】特開2011-237293(JP,A)
【文献】米国特許第04427893(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B
G21C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物又は使用済燃料要素に用いられる輸送容器及び/又は貯蔵容器(1)を乾燥する方法において、
最初に容器(1)を排水する又は機械排水し、
容器(1)の排水の後で、さしあたり不活性ガス供給又はヘリウムガス供給なしで、容器内室(4)の最初の真空排気を行い、
これに続いて、容器内室(4)を持続的に真空排気する又は負圧に保持し、これと同時に持続的に不活性ガス又はヘリウムガスを、容器内室(4)に供給し、
容器内室(4)の最初の真空排気の後で、不活性ガス供給又はヘリウムガス供給の前に、真空排気を、期間tにわたって中断し、この期間tの間に、不活性ガス供給又はヘリウムガス供給の設定されるべき充填圧力p tot を求めるために容器内室(4)における圧力上昇Δpを測定し、
真空排気及び/又は不活性ガス供給又はヘリウムガス供給を、容器内室における不活性ガス含有量又はヘリウムガス含有量が50vol%~95vol%であるという条件の下で行う、
輸送容器及び/又は貯蔵容器(1)を乾燥する方法。
【請求項2】
器内室(4)の最初の真空排気を、容器内室(4)における圧力が8mbar~30mbarになるまで行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最初の真空排気の後で、容器内室(4)における水蒸気分圧pH2Oを、測定された圧力上昇Δpを用いて算出し、容器(1)における不活性ガス又はヘリウムの所望の体積パーセントの量(50vol%~95vol%)を得るための不活性ガス供給又はヘリウムガス供給に必要な充填圧力ptotを、水蒸気分圧pH2Oから算出する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
最初の真空排気の後で又は圧力上昇測定の後で、容器内室(4)の持続的な真空排気と、これと同時の持続的な不活性ガス供給又はヘリウムガス供給とを行う、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
持続的な真空排気と、持続的な不活性ガス供給又はヘリウムガス供給とを、少なくとも3時間の期間にわたって行う、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
容器内室(4)において所望の乾燥度に達すると、持続的な真空排気を終了し、容器内室(4)において所定の圧力が得られるまで、さしあたり容器内室(4)に引き続き不活性ガス又はヘリウムガスを供給する、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
容器内室(4)に、850mbar~1100mbarの内室圧力になるまで不活性ガス又はヘリウムガスを充填する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
不活性ガス又はヘリウムガスを、容器(1)の上側の領域で供給する、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの真空排気ランスを用いて、容器内室(4)の吸出し又は真空排気を、容器(1)の下側の領域で行う、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
真空排気及び不活性ガス供給又はヘリウムガス供給を、外管(6)と、外管(6)により包囲された内管(5)とからなる少なくとも1つの二重管(3)を用いて行う、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物、特に使用済燃料要素に用いられる輸送容器及び/又は貯蔵容器を乾燥する方法において、最初に容器を排水する又は機械排水し、これに続いて容器の容器内室を持続的に真空排気する又は負圧に保持する方法に関する。以下、搬送容器及び/又は貯蔵容器という用語に代えて、略して容器という用語も用いる。
【背景技術】
【0002】
前述のタイプの輸送容器及び/又は貯蔵容器を乾燥する方法は、実地において、原則的に、様々な形態で知られている。使用済燃料要素に用いられる容器には、通常、水中で使用済燃料要素が装填される。というのも、水が、発生する中性子に対して効果的な遮蔽媒体を成すからである。さらなる取扱いに際し、一般的に、最初に容器の排水又は機械排水が行われる。これに続いて、容器内に依然として残る水分が、乾燥、特に真空乾燥によって容器から除去される。
【0003】
容器内に依然として残る水分を、容器内室を通って導かれたガス、特に窒素又はヘリウムなどの不活性ガスによって除去することもすでに知られている。そのために、例えば米国特許第10229764号明細書を参照することができる。そこで公知の手段では、最初にガスが乾燥のために容器内室を通って導かれ、この手段の終了後に、容器が真空下にさらされる。
【0004】
その点において知られた乾燥方法は、一部で比較的手間がかかり、その点において費用がかさむものでもある。さらに、公知の多くの乾燥方法は、乾燥効率が不十分である点で顕著である。このことは、とりわけ高い熱出力を有する輸送容器及び/又は貯蔵容器にも当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第10229764号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対して、本発明の根底を成す技術的課題は、容易であり、あまり手間をかけずに実施可能であって、高い乾燥効率において際立っていて、そしてとりわけ高い熱出力を有する容器にも適した、冒頭で述べたタイプの方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するために、本発明は、放射性廃棄物、特に使用済燃料要素に用いられる輸送容器及び/又は貯蔵容器を乾燥する方法において、最初に容器を排水する又は機械排水し、これに続いて、容器内室を持続的に真空排気する又は負圧に保持し、特に有利には一定の又は略一定の負圧に保持し、これと同時に持続的に不活性ガス、特にヘリウムガスを、容器内室に供給し、真空排気及び/又は不活性ガス供給又はヘリウムガス供給を、容器内室における不活性ガス含有量又はヘリウムガス含有量が50vol%~95vol%、特に55vol%~90vol%、好適には60vol%~85vol%、有利には65vol%~85vol%であるという条件の下で行うことを教示する。好ましい一変化形態によれば、容器内室における不活性ガス含有量又はヘリウム含有量は、70vol%~80vol%である。以下、ヘリウム又はヘリウムガスについて言及するとき、これは、本発明の範囲内では、概して不活性ガスを意味し、有利にはヘリウム又はヘリウムガスを意味する。
【0008】
本発明に係る方法は、特に、使用済燃料要素に用いられる輸送容器及び/又は貯蔵容器の乾燥に関する。好ましくは、本発明に係る方法は、より高い又は高い熱出力を有する容器に対して、つまり12.5kW~42kWの熱出力、特に15kW~40kWの熱出力、とりわけ20kW~40kWの熱出力、例えば25kW~40kWの熱出力に対して用いられる。方法は、320℃~400℃、特に350℃~400℃の燃料棒クラッディング温度が保持される又は保持することができるように行うことができる、又は好適にはそのような条件の下で行われる。
【0009】
本発明に係る方法の範囲内で、最初に容器の排水又は機械排水が行われる。好適には、このような容器の排水の後で、さしあたりヘリウムガス供給なく、容器内室の最初の真空排気、ひいては容器内室における最初の負圧生成又は真空生成が行われる。この最初の真空排気は、合目的的には、容器内室における圧力が8mbar~30mbar、特に8mbar~25mbar、有利には8mbar~20mbar、特に有利には10mbar~20mbarになるまで行われる。本発明の極めて好ましい一実施形態によれば、この場合に生じる圧力又は負圧は、8mbar~12mbar、例えば10mbarである。実証されているように、最初の真空排気は、4時間~12時間、特に5時間~10時間の期間にわたって行われる。
【0010】
好ましくは、容器内室の最初の真空排気の後で、不活性ガス供給の前に、容器内室の真空排気が、期間tにわたって中断される。合目的的には、この期間tの間に、容器内室における圧力上昇Δpが、特に後続のヘリウムガス供給の設定されるべき充填圧力ptotを求めるために測定される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、最初の真空排気又は負圧生成の後で、容器内室における水蒸気分圧pH2Oが、測定された圧力上昇Δpを用いて算出される。合目的的には、この算出された水蒸気分圧pH2Oから、容器内のヘリウムの所望の体積パーセントの量(50vol%~95vol%)を得るためのヘリウム供給に必要な充填圧力ptotが算出される。この算出については、一実施例が後述の記載にて開示される。ヘリウムの所望の体積パーセントの量は、請求項1において請求されるvol%範囲にある。
【0012】
さらに、最初の真空排気又は負圧生成の後で、かつ好適には圧力上昇測定の後で、本発明による、容器内室の持続的な真空排気と、これと同時の持続的なヘリウムガス供給とを行うことは、本発明の範囲内である。真空排気及びヘリウムガス供給は、好適には、容器内室における圧力が8mbar~30mbar、特に8mbar~25mbar、好適には8mbar~20mbar、有利には10mbar~20mbarであるという条件の下で行われる。好ましい実施形態によれば、容器内室における圧力は、8mbar~12mbar、例えば約10mbarである。さらに、この圧力が、持続的な真空排気及びこれと同時の持続的なヘリウムガス供給の間で一定に保持される又は略一定に保持されることは、本発明の範囲内である。本発明の特に好ましい実施形態によれば、持続的な真空排気及び持続的なヘリウムガス供給は、少なくとも3時間、好適には少なくとも4時間、有利には少なくとも4.5時間、極めて有利には少なくとも5時間の期間にわたって行われる。本発明の実証された一変化形態によれば、持続的な真空排気及びこれと同時の持続的なヘリウムガス供給は、3時間~35時間の期間にわたって、特に3.5時間~32時間の期間にわたって、好適には4時間~31時間の期間にわたって、極めて有利には5時間~30時間の期間にわたって行われる。この場合、合目的的には、この期間にわたって、容器内室における前述の特定の圧力が保持され、好適には一定に保持される又は略一定に保持される。好ましくは、容器内室における圧力は、この期間の少なくとも95%にわたって保持され、好適には一定に保持される又は略一定に保持される。
【0013】
容器内室において所望の乾燥度に達すると、持続的な真空排気が終了し、容器内室において所定の圧力が得られるまで、さしあたり容器内室に引き続きヘリウムガスが供給されることは、本発明の範囲内である。合目的的には、乾燥度は、容器内室における圧力に関する圧力上昇測定により測定される。そのために、好適には、持続的な真空排気及びヘリウムガスの供給の両方が中断され、容器内の圧力上昇が、有利には、少なくとも1つの圧力センサを用いて測定される。したがって、容器内室において所望の乾燥度に達すると、合目的的には、持続的な真空排気が終了し、さしあたりヘリウムガスが引き続き容器内室に供給される。この場合、好ましくは、容器内室に、850mbar~1100mbarの内室圧力になるまで、特に900mbar~1050mbarの内室圧力になるまで、有利には900mbar~1000mbarの内室圧力になるまで、ヘリウムガスが充填される。次いで、好適には、乾燥工程が終了する。
【0014】
容器が、容器内室の持続的な真空排気及びこれと同時の持続的なヘリウムガス供給の間に閉じられていて、特に少なくとも1つの又は1つの一次蓋によって閉じられていることは、本発明に係る方法の範囲内である。さらに、容器が、容器内室の最初の真空排気時に、かつ/又は最初の真空排気後の圧力上昇測定時に、かつ/又は乾燥度を求めるための圧力上昇測定時に、かつ/又はヘリウムガスによる容器内室の最終的な充填時に閉じられている、又は少なくとも1つの一次蓋、特に1つの一次蓋よって閉じられていることは、本発明の範囲内である。好適には、容器の真空排気及び容器へのヘリウム供給は、容器の一次蓋を介して行われる。本発明の好ましい実施形態によれば、容器内室の吸出し又は真空排気は、少なくとも1つの真空排気ランスを用いて行われ、その際、真空排気ランスは、合目的的には、容器の一次蓋を貫通する。
【0015】
ヘリウムガスが容器の上側の領域で供給されることが、実証されている。好ましくは、容器内室の吸出し又は真空排気は、容器又は容器内室の下側の領域で行われる。本発明の特に好ましい一実施形態によれば、真空排気は、又は真空排気及びヘリウムガス供給は、外管と、外管によって包囲された内管とからなる少なくとも1つの二重管を用いて行われる。合目的的には、この二重管は、容器の一次蓋を貫通する。好ましくは、内管が容器の下側の領域まで延在し、外管が、容器の上側の領域で終端する。内管を介して、合目的的には、容器内室の真空排気が行われ、外管を介して、好適には、容器内室へのヘリウム供給が行われる。容器内室の自由容積が、2m~8m、好適には3m~6mであることは、本発明の範囲内である。この場合、自由容積とは、燃料バスケット及び燃料要素を含まない容器の内室容積を意味する。
【0016】
上述したように、本発明の有利な実施形態によれば、容器内室の最初の真空排気の後で、ヘリウムガス供給の前に、真空排気が、期間tにわたって中断され、この期間tの間に、ヘリウム供給の設定されるべき充填圧力ptotを求めるために容器内室における圧力上昇Δpが測定される。この特定については、以下の実施例又は計算例に基づいて詳説する。
【0017】
実施例の範囲内で、容器雰囲気において75vol%のヘリウムの割合を得るためのヘリウムガス供給のための充填圧力Ptotが求められるべきである。水蒸気分圧pH2Oに対するヘリウム分圧pHeの必要な分圧比に対して、
He/pH2O=75/25=3
が成立し、
その結果、ヘリウム分圧に対して、
He=3×pH2O
が得られ、ヘリウム供給のために必要な充填圧力ptotに対して、
tot=pHe+pH2O=4×pH2O
が得られる。
【0018】
200m/hを上回る排気速度(有効排気速度Seff≧200×0.573≧114.6m/h)での真空乾燥の継続中に最大に生じる水蒸気分圧pH2Oは、先行する圧力上昇測定によって決定され、圧力上昇測定は、この場合、15分の期間tにわたって行われる。蒸発速度qPV(hPa×l/s)に対して、
PV=p×V
PV=Δp×V/t
が成立する。
【0019】
ここで、Δpは、圧力上昇量(hPa)を表し、Vは、容器内室自由容積(l)、tは、測定時間(秒)を表す。この場合、水蒸気分圧pH2Oに対して、
H2O=qPV/Seff=Δp×V/(t×Seff
H2O=Δp*5220/(900×31.8)
が成立する。
【0020】
したがって、ヘリウム供給によって75vol%のヘリウム割合を確保するために設定されるべき充填圧力Ptot=4×pH2Oは、15分にわたる圧力上昇から、
tot=0.73×Δp
に関して算出される。
【0021】
本発明は、本発明に係る乾燥方法によって、輸送容器及び/又は貯蔵容器の容器内室の、極めて容易な、あまり手間がかからない、それと同時に極めて正確で確実に機能する乾燥が可能であるという認識に基づく。この場合、方法は、予想を超えるほど高い乾燥効率において際立っている。その点において、本発明に係る方法は、これまで実地において又は先行技術において知られた乾燥方法に対して著しい利点を有する。乾燥方法を実施するための装置にかかる手間は、得られた成果を鑑みると比較的低い。本発明に係る方法は、高い機能確実性及び低い故障頻度において際立っている。乾燥方法は、とりわけ(ただしこれに限定されない)より高い又は高い熱出力を有する容器に適している。本発明におけるパラメータは、方法を実施する際に容易にかつ再現可能に保持することができる。本発明に係る方法を実施するための費用は、比較的低い。
【0022】
以下、一実施例を示したにすぎない図面に基づいて、本発明を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る乾燥方法を実施するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明に係る乾燥方法を簡単に明確に示す。使用済燃料要素を含む図示されてない燃料バスケットが収納された、輸送容器及び/又は貯蔵容器1が図示されている。収納は、水中で行われ、最初に容器1の排水又は機械排水が行われた。好適には、実施例では、容器1に、容器1を閉鎖する一次蓋2が取り付けられている。合目的的には、実施例では、二重管3が、容器1の一次蓋2を貫通し、容器内室4に通じる。好ましくは、実施例では、二重管3は、真空排気ランスとして構成された内管5を有し、内管5は、容器内室4の下側の領域まで延在する。実証されているように、実施例では、内管5は、外管6によって包囲され、この場合、この外管6は、容器1の上側の領域で、又は有利には、実施例では、一次カバー2の下側で終端する。
【0025】
有利な実施形態によれば、実施例では、外管6に、ヘリウムガス源7が、弁V1を介して接続されている。弁V2を介して、有利には、実施例では、真空ポンプ8が接続されている。さらに、好適には、実施例では、圧力センサ9が設けられていて、圧力センサ9は、弁V3を介して、外管6に、ひいては容器内室4に接続されている。圧力センサ9は、特に圧力上昇Δpを測定するために用いられる。
【0026】
好ましくは、最初に真空ポンプ8を用いて、弁V2の開弁状態でかつ弁V1及び弁V3の閉弁状態で、容器内室4の最初の真空排気が行われる。合目的的には、この最初の真空排気は、容器内室4において10mbarの圧力になるまで行われる。実証されているように、実施例では、この真空排気は、3時間~12時間、特に4時間~11時間、好適には5時間~10時間の期間にわたって行われる。合目的的には、容器内室4の最初の真空排気の後で、ヘリウムガス供給の前に、期間tにわたって真空排気が中断される。期間tは、例えば15分であり得る。この期間tの間、好ましくは、ヘリウムガス供給の設定されるべき充填圧力ptotを求めるために、容器内室4における圧力上昇Δpが測定される。圧力上昇Δpの測定は、圧力センサ9を用いて行われる。そのために、真空ポンプ8に通じる弁V2は閉弁され、圧力センサ9に通じる弁V3は、引き続き弁1が閉弁された状態で、開弁される。測定された圧力上昇Δpから、有利には、容器内室4における水蒸気分圧pH2Oが算出され、この水蒸気分圧pH2Oから、容器1内のヘリウムの所望の体積パーセントの量を得るためのヘリウム供給に必要な充填圧力ptotが算出される。これについては、すでに詳しく前述した。
【0027】
最初の真空排気の後でかつ圧力上昇測定の後で、本発明による容器内室4の持続的な真空排気と、これと同時の容器内室4への持続的なヘリウムガス供給とを行うことは、本発明の範囲内である。そのために、弁V1及び弁V2は、開弁されている。この持続的な真空排気及びこれと同時の持続的なヘリウムガス供給は、好適には、容器内室4における圧力が8mbar~30mbar、特に10mbar~20mbarであり、特に有利には10mbarを下回らないという条件の下で行われる。合目的的には、持続的な真空排気及びこれと同時の持続的なヘリウムガス供給は、少なくとも4時間の期間にわたって、例えば5時間~30時間の期間にわたって行われる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、容器内室4において所望の乾燥度に達すると、弁V2の閉弁によって持続的な真空排気が終了し、さしあたり所定の圧力が得られるまで、弁V1の開弁状態で、容器内室4へ、引き続きヘリウムガスが供給される。所望の乾燥度は、好適には、圧力センサ9を用いた圧力上昇測定を介して再度特定することができる。合目的的には、次いで、容器内室4に、850mbar~1100mbarの内圧になるまで、好適には900mbar~1000mbarの内圧になるまで、ヘリウムガスが充填される。これにより、乾燥方法が終了する。
【0029】
図面から分かるように、ヘリウム供給は、二重管3の外管6を介して、容器内室4の上端で行われ、これに対して、吸出し又は真空排気は、真空排気ランスとして構成された内管5を介して、容器内室4の下側の領域で行われる。この有利な形態は、本発明の範囲内で格別なものとして実証されている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
放射性廃棄物、特に使用済燃料要素に用いられる輸送容器及び/又は貯蔵容器(1)を乾燥する方法において、
最初に容器(1)を排水する又は機械排水し、
これに続いて、容器内室(4)を持続的に真空排気する又は負圧に保持し、これと同時に持続的に不活性ガス、好適にはヘリウムガスを、容器内室(4)に供給し、
真空排気及び/又は不活性ガス供給又はヘリウムガス供給を、容器内室における不活性ガス含有量又はヘリウムガス含有量が50vol%~95vol%、特に55vol%~90vol%、好適には60vol%~85vol%、有利には65vol%~85vol%であるという条件の下で行う、
輸送容器及び/又は貯蔵容器(1)を乾燥する方法。
2.
容器(1)の排水の後で、さしあたり不活性ガス供給又はヘリウム供給なしで、容器内室(4)の最初の真空排気を、容器内室(4)における圧力が好適には8mbar~30mbar、特に10mbar~30mbar、有利には10mbar~20mbarになるまで行う、上記1の方法。
3.
容器内室(4)の最初の真空排気の後で、不活性ガス供給又はヘリウムガス供給の前に、真空排気を、期間tにわたって中断し、この期間tの間に、不活性ガス供給又はヘリウムガス供給の設定されるべき充填圧力p tot を求めるために容器内室(4)における圧力上昇Δpを測定する、上記2の方法。
4.
最初の真空排気の後で、容器内室(4)における水蒸気分圧p H2O を、測定された圧力上昇Δpを用いて算出し、容器(1)における不活性ガス又はヘリウムの所望の体積パーセントの量(50vol%~95vol%)を得るための不活性ガス供給又はヘリウム供給に必要な充填圧力p tot を、水蒸気分圧p H2O から算出する、上記3の方法。
5.
最初の真空排気の後で又は圧力上昇測定の後で、容器内室(4)の持続的な真空排気と、これと同時の持続的な不活性ガス供給又はヘリウムガス供給とを、好適には、容器内室(4)における圧力が8mbar~30mbar、特に10mbar~30mbar、有利には10mbar~20mbarであるという条件の下で行う、上記3又は4の方法。
6.
持続的な真空排気と、持続的な不活性ガス供給又はヘリウムガス供給とを、少なくとも3時間、好適には少なくとも4時間、有利には少なくとも4.5時間の期間にわたって行う、上記1から5のいずれか1つの方法。
7.
容器内室(4)において所望の乾燥度に達すると、持続的な真空排気を終了し、容器内室(4)において所定の圧力が得られるまで、さしあたり容器内室(4)に引き続き不活性ガス又はヘリウムガスを供給する、上記1から6のいずれか1つの方法。
8.
容器内室(4)に、850mbar~1100mbarの内室圧力になるまで、特に900mbar~1050mbarの内室圧力になるまで、有利には900mbar~1000mbarの内室圧力になるまで不活性ガス又はヘリウムガスを充填する、上記7の方法。
9.
不活性ガス又はヘリウムガスを、容器(1)の上側の領域で供給する、上記1から8のいずれか1つの方法。
10.
少なくとも1つの真空排気ランスを用いて、容器内室(4)の吸出し又は真空排気を、容器(1)の下側の領域で行う、上記1から9のいずれか1つの方法。
11.
真空排気及び不活性ガス供給又はヘリウムガス供給を、外管(6)と、外管(6)により包囲された内管(5)とからなる少なくとも1つの二重管(3)を用いて行い、好適には、内管(5)は、容器(1)の下側の領域まで延在し、外管(6)は、容器(1)の上側の領域で終端する、上記1から10のいずれか1つの方法。
【符号の説明】
【0030】
1 容器
2 一次蓋
3 二重管
4 容器内室
5 内管
6 外管
7 ヘリウムガス源
8 真空ポンプ
9 圧力センサ
図1