(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ポジ型感光性樹脂組成物及びその硬化物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/039 20060101AFI20241122BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20241122BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20241122BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 503A
G03F7/075 501
C08G73/10
(21)【出願番号】P 2020153228
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】井手 正仁
(72)【発明者】
【氏名】稲成 浩史
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 貴雄
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-145453(JP,A)
【文献】特開2014-066764(JP,A)
【文献】特開2003-337415(JP,A)
【文献】特開2008-184499(JP,A)
【文献】特開2009-086311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/039
G03F 7/004
G03F 7/075
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)および/又は(2)で示される構造を繰り返し単位に含む重合体、(B)光酸発生剤、及び(C)溶剤を必須成分として含むポジ型感光性樹脂組成物。(前記一般式(1)および(2)において、Rはそれぞれ独立に水素原子、または酸によって容易に分解し水素原子に変化する酸分解性基を示し、Xは4価の有機基である。
但し、一般式(1)および/又は(2)のイソシアヌル環に連結するRが、すべて水素原子である場合を除く。)
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記一般式(1)および/又は(2)におけるRが水素原子、アルコキシメチル基、アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基、およびアセタールから選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)および/又は(2)におけるRがtert-ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、およびテトロヒドロピラニル基から選ばれるいずれかの酸分解性基であることを特徴とする請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)および/又は(2)におけるXが、少なくとも一つの芳香環構造を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記成分(B)の光酸発生剤が非イオン性光酸発生剤であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記成分(B)の光酸発生剤が、オキシムスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
光増感剤を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物が硬化した硬化物。
【請求項10】
下記一般式(2)で示されるポリイミド。
(Rは、アルコキシメチル基、アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基、およびアセタールから選ばれるいずれかの酸分解性基を示し、Xは4価の有機基である。)
【化3】
【請求項11】
前記Rがtert-ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、およびテトロヒドロピラニル基から選ばれるいずれかの酸分解性基であることを特徴とする請求項10に記載のポリイミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体やディスプレイ等のエレクトロニクス分野において広く利用されている材料であるポジ型感光性樹脂組成物に関する。また、ポジ型感光性樹脂組成物が硬化した硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体やディスプレイ等のエレクトロニクス分野において広く利用されている材料である感光性樹脂においては、フォトリソグラフィーによるパターン形成の際、アルカリ現像液への可溶性を有することが必要である。そのため、アルカリ可溶性の酸性基を有する高分子化合物が利用されている。それらの中でも、特に高耐熱性を有する感光性樹脂の開発が要求されており、例えば潜在的に高耐熱性を有しているポリイミド樹脂を用いた感光性樹脂組成物が提案されている。具体的な技術例として、例えば、特許文献1、2には、フェノール基をアルカリ可溶性の酸性基としてポリマー分子中に含有するポリイミド樹脂を用いた感光性組成物が記載されている。特許文献3、4には、カルボキシル基を酸性基としてポリマー分子中に含有するポリイミド樹脂を用いた感光性組成物が記載されている。
【0003】
但し、フェノール基を含有する樹脂の場合、フォトリソグラフィーによるパターン形成の際、アルカリ現像液への可溶性発現のためには、酸性度が低く、大量のフェノール系オリゴマーや架橋剤などの低分子成分を添加する必要があり、また、カルボシキル基を有する樹脂は酸性度が高い一方で、カルボキシ基自体が高温時に酸化・熱分解し易い。そこで酸性度の高い酸性基を含有し、かつ耐熱性に優れる高分子化合物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-040273号公報
【文献】特開2008-197418号公報
【文献】特許第3972481号
【文献】特許第5735341号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明では、優れたパターニング性を有し、かつ、優れた耐熱性と電気絶縁性を有するポリイミド系感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成する為に検討を重ねた結果、特定の酸解離性保護基で保護した特定構造酸性基を主鎖に含む重合体を用いることによって、優れたパターニング性を有し、かつ、優れた耐熱性と電気絶縁性を示すポジ型感光性樹脂組成物が得られることを見出すに至った。本発明は、以下からなるものである。
【0007】
[1](A)下記一般式(1)および/または(2)で示される構造を繰り返し単位に含む重合体、(B)光酸発生剤、(C)溶剤を必須成分として含むポジ型感光性樹脂組成物。
(ただし、一般式(1)および(2)においてRはそれぞれ独立に水素原子、または酸によって容易に分解し水素原子に変化する酸分解性基を示し、Xは4価の有機基である。)
【0008】
【0009】
【0010】
[2]上記一般式(1)および/又は(2)におけるRが水素原子、アルコキシメチル基、アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基、およびアセタールから選ばれるいずれかであることを特徴とする[1]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【0011】
[3]上記一般式(1)および/又は(2)におけるRがtert-ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、テトロヒドロピラニル基から選ばれるいずれかの酸分解性基であることを特徴とする [2]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【0012】
[4]上記一般式(1)および/又は(2)におけるXが、少なくとも一つの芳香環構造を含むことを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【0013】
[5]前記(B)光酸発生剤が非イオン性光酸発生剤であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【0014】
[6]前記(B)光酸発生剤が、オキシムスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物から選ばれる化合物であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【0015】
[7]光増感剤を含有することを特徴とする[1]~[6]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【0016】
[8]シランカップリング剤を含有することを特徴とする[1]~[7]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【0017】
[9]、上記[1]~[8]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物が硬化した硬化物。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、優れたアルカリ可溶性と耐熱性を有する高分子化合物を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(ポジ型感光性樹脂組成物)
(A)下記一般式(1)及び/又は(2)で示される構造を繰り返し単位に含む重合体、(B)光酸発生剤、(C)溶剤を必須成分とするポジ型感光性樹脂組成物であり、前記一般式(1)や(2)はイソシアヌル酸骨格を有することを特徴として、優れたパターニング性、耐熱性、電気絶縁性を有するポジ型感光性樹脂組成物を提供できることを見出した。
(一般式(1)及び(2)においてRはそれぞれ独立に水素原子、または酸によって容易に分解し水素原子に変化する酸分解性基を示し、Xは4価の有機基である)
【0020】
【0021】
【0022】
(成分(A):重合体)
上記、ポジ型感光性樹脂組成物は、成分(A)として、特定構造を繰り返し単位中に有する重合体を必須成分として含有している。
【0023】
本件発明の(A)成分は下記一般式(1)のポリアミック酸構造を有する重合体及び/又は下記(2)のポリイミド構造を有する重合体である。(ただし、一般式(1)及び(2)においてRはそれぞれ独立に水素原子、または酸によって容易に分解し水素原子に変化する酸分解性基を示し、Xは4価の有機基である。)
【0024】
【0025】
【0026】
前記一般式(1)のポリアミック酸の合成方法の一例を示すと、特に製法は限定されるものではないが、例えば、化学式(3)~(5)で表されるようなニトロ基を有するイソシアネート化合物とKCONとを反応させることでイソシアヌル酸化合物とし、ニトロ基を還元して得られる一般式(6)に示すジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物を適当な溶媒中、室温で攪拌し反応させることにより得ることができる。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
イソシアヌル酸誘導体は有機化学の常法に従って合成できる。例えば、上記一般式(1)において、有機基Rが水素原子の場合、下記反応式(7)で表されるように、イソシアネート化合物とKOCNとを適当な溶媒中で加熱攪拌することでイソシアヌル酸誘導体が得られる。
【0032】
【0033】
上記反応式(7)によって得られたジニトロ体を還元することで、ジアミン体を得ることができる。還元方法は特に限定されることはなく、公知の方法を用いることができる。例えば以下反応式(8)のようにPd/Cを触媒に用いた水素ガスによる接触還元を挙げることができる。
【0034】
【0035】
本発明のポリアミック酸(1)を得るにあたって用いるテトラカルボン酸二無水物の例としては、特に限定されるものではないが、例えば、2,2’-ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等、及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上の併用であっても構わない。
【0036】
本発明のポリアミック酸合成に用いるジアミンとしてはイソシアヌル酸骨格含有ジアミン化合物(6)に加えて、他のジアミン化合物を併せて用いることができる。これらのジアミン化合物としては特に限定されないが、例えば、[ビス(4-アミノ-3-カルボキシ)フェニル]メタン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノフェニルエタン、4,4’-ジアミノフェニルエーテル、4,4’-ジジアミノフェニルスルフィド、4,4’-ジジアミノフェニルスルホン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、5-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、6-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,5-ジアミノ-3’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5-ジアミノ-4’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,7-ジアミノフルオレン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、2,2’,5,5’-テトラクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジクロロ-4,4’-ジアミノ-5,5’-ジメトキシビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)-ビフェニル、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-(p-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(m-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチル)フェノキシ]-オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1-メタキシリレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4-ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]-ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミン等及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独または任意の割合で混合した混合物を一般式(6)に示されるイソシアヌル酸骨格含有ジアミン化合物に加えて、好ましく用いることができる。
【0037】
ポリアミック酸合成溶媒としては特に限定されるものではないが、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分、および生成したポリアミック酸が溶解するものであればよく、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n-へキサン、n-ペンタン、n-オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド等が挙げられる。これらは単独で用いられても、2種以上の併用であっても構わない。
【0038】
ポリアミック酸合成の反応条件としては、特に限定されることなく、公知の条件を用いることができる。例えばジアミンモノマーを溶媒に十分に溶解させて、酸二無水物モノマーを室温で少しずつ添加し、室温で24時間攪拌するものである。
【0039】
上記のように一般式(1)の例について説明した。Rとしては、水素原子、アルコキシメチル基、アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基、およびアセタールから選ばれるいずれかであることが好ましく、tert-ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、およびテトロヒドロピラニル基から選ばれるいずれかであることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。また、Xは、少なくとも一つの芳香環構造を含むのが好ましい。
【0040】
これは一般式(2)についても同様である。
【0041】
次に、一般式(2)で示されるポリイミドの合成法について述べる。
【0042】
本発明のポリイミド(2)は、すでに述べたポリアミック酸(1)をイミド化することによって得ることができる。イミド化法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミック酸溶液を高温で攪拌する熱イミド化法と、ポリアミック酸溶液にイミド化触媒を添加して攪拌する化学イミド化法がある。
熱イミド化法では温度範囲としては120oC~400oCであり、好ましくは150oC~250oCである。
【0043】
化学イミド化法では塩基性触媒と酸無水物とを添加して、-30oC~200oC、好ましくは0oC~150oCで反応させる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5モル倍~30モル倍、好ましくは2モル倍~20モル倍であり、酸無水物の量はアミック酸基の1モル倍~50モル倍、好ましくは3モル倍~30モル倍である。
【0044】
適用可能な塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、3-ピコリン、イソキノリン等を挙げることができる。
【0045】
触媒イミド化に用いる酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水トリフルオロ酢酸等を挙げることができる。
【0046】
上記のように得られたイソシアヌル酸基含有重合体のイソシアヌル酸基(NH基)を酸で分解する官能基によって保護する事で酸分解性基となり、本発明の重合体を得ることができる。イソシアヌル酸を保護する官能基は特に限定されるものではなく、例えば、tert-ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、ジメチルブチルシリル基、アセタール基、tert-ブチル基、が挙げられ、一方、酸で分解しないノルマルアルキル基、フェニル基などは適さない。反応性の観点から、好ましくはtert-ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基などで保護する重合体が好ましい。
【0047】
またこの特定酸性基の導入量については、フォトリソグラフィーで用いるアルカリ現像液の種類や条件にもより必ずしも限定されないが、上記(1)または(2)の構造が、成分(A)重合体1gに対して、0.01mmol/g以上10mmol/g以下であり、現像液の溶解性を制御しやすく、パターン形成しやすい観点から、好ましくは、0.1mmol/g以上5mmol/g以下である。
【0048】
(成分(B):光酸発生剤)
本発明の感光性樹脂組成物では、光酸発生剤が必須成分であり、特に種類については限定されず、複数のものを併用することもできる。
【0049】
使用できる光酸発生剤としては特に限定されず使用することができ、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロホウ素錯塩および三フッ化ホウ素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されたようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されたようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されたようなIIIa~Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されたようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されたようなMF6
-陰イオン(ここでMはリン、アンチモンおよびヒ素から選択される)の形のVIa族元素;米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩;米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、ポリマー・ケミストリー版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されたようなビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビスヘキサフルオロ金属塩(例えばリン酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩等);陰イオンがB(C6F5)4
-である芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩等が挙げられる。
【0050】
好ましい光酸発生剤としては、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム塩およびヨードニウム塩、並びにII族、V族およびVI族元素の芳香族オニウム塩、スルホネートエステル類、カルボン酸エステル類、が挙げられる。これらの塩のいくつかは、FX-512(3M社製)、UVR-6990およびUVR-6974(ユニオン・カーバイド社製)、UVE-1014およびUVE-1016(ジェネラル・エレクトリック社製)、KI-85(デグッサ社製)、並びにSP-152およびSP-172(旭電化社製)として商業的に入手できる。
【0051】
オニウム塩としては、テトラフルオロボレート(BF4
-)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6
-)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6
-)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6
-)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6
-)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、過塩素酸イオン(ClO4
-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3
-)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3
-)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸アニオンおよびトリニトロトルエンスルホン酸アニオン等のアニオンを有するスルホニウム塩およびヨードニウム塩が挙げられる。
【0052】
スルホニウム塩として具体的には、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアシルネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオベンジル)ボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリトイルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、アニシルジフェニルスルホニウムヘキサフルオルアンチモネート、4-ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4-ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、4-クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4-フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4-エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4-アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4-アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、トリス(4-チオメトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4-オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5-ビス-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5-ビス-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4-アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4-アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、フェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、10-メチルフェノキサチイニウムヘキサフルオロホスフェート、5-メチルチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート、10-フェニル-9,9-ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート、10-フェニル-9-オキソチオキサンテニウムテトラフルオロボレート、10-フェニル-9-オキソチオキサンテニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、5-メチル-10-オキソチアントレニウムテトラフルオロボレート、5-メチル-10-オキソチアントレニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、および5-メチル-10,10-ジオキソチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0053】
ヨードニウム塩として具体的には、(4-n-デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4-(2-ヒドロキシ-n-テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4-(2-ヒドロキシ-n-テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4-(2-ヒドロキシ-n-テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4-(2-ヒドロキシ-n-テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルホネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフラート、ジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’-ジクロロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’-ジブロモジフェニルヨードニウムビスルフェート、3,3’-ジニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’-ジメチルジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’-ビススクシンイミドジフェニルヨードニウムビスルフェート、3-ニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’-ジメトキシジフェニルヨードニウムビスルフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4-オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラキス(3,5-ビス-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、その他、芳香族ジアゾニウム塩を使用することができ、例えばp-メトキシベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロアンチモネート等を使用することができる。
【0054】
スルホネートエステル類としては、種々のスルホン酸誘導体を使用することができ、例えば、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、トリフルオロメチルスルホネート誘導体等のイミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1-オキシ-2-ヒドロキシ-3-プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類およびベンジルスルホネート類が挙げられる。具体的には、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルホネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、ベンゾイントシラート、1,2-ジフェニル-2-ヒドロキシプロピルトシラート、1,2-ジ(4-メチルメルカプトフェニル)-2-ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6-ジニトロフェニルメチルトシラート、オルト-ニトロフェニルメチルトシラートおよびパラ-ニトロフェニルトシラート等が挙げられる。これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、光酸発生剤としてカルボン酸エステル類も同様に使用することができる。
【0055】
上記ポジ型感光性樹脂組成物における光酸発生剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性の観点から、成分(A)100重量部に対して0.01~10重量部であることが好ましく、また、硬化物の物性バランスの観点から0.1~5.0重量部であることがさらに好ましい。光酸発生剤の量が少ないと、十分に脱保護反応が進行せず、パターニング性が低下する場合がある。また、光酸発生剤が多いと着色または耐熱性もしくは耐光性を損なったりするため、好ましくない場合がある。
【0056】
(光増感剤)
上記ポジ型感光性樹脂組成物は、光増感剤を含有していてもよい。光増感剤添加により、上記ポジ型感光性樹脂組成物において、可視光等への感度を向上させることができ、さらにg線(436nm)、h線(405nm)およびi線(365nm)等の高波長の光に感度を持たせることができる。これらの増感剤を、上述の光酸発生剤等と併用して使用することにより、上記ポジ型感光性樹脂組成物のパターニング性の調整を行うことができる。上記増感剤としては、アントラセン系化合物およびチオキサントン系化合物等が挙げられる。
【0057】
上記アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、1,4-ジメトキシアントラセン、9-メチルアントラセン、2-エチルアントラセン、2-tert-ブチルアントラセン、2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン、9,10-ジフェニル-2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン等が挙げられる。特に入手しやすい観点からは、上記アントラセン系化合物として、アントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセン等が好ましい。
【0058】
上記アントラセン系化合物として、硬化物の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、硬化性組成物との相溶性に優れる観点からは9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセン等が好ましい。
【0059】
上記チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2-クロロチオキサントンおよび2,5-ジエチルジオキサントン等が挙げられる。
【0060】
これらの増感剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0061】
本発明の硬化性組成物における増感剤の含有量は、増感効果を発揮できる量であれば、特に限定されないが、光酸発生剤1モルに対して、好ましくは0.01~300モルであり、より好ましくは0.1モル~100モルである。増感剤の量が少ないと、増感効果が得られず、現像に長時間を要するなど、現像性に好ましくない影響を及ぼしたりする場合がある。一方、増感剤の量が多いと、色が硬化物に残ったり、耐熱性または耐光性を損なったりするおそれがある。
【0062】
(シランカップリング剤)
上記ポジ型感光性樹脂組成物は、接着性改良を目的として、シランカップリング剤を含有していてもよい。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基およびカルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性および接着性の観点から、エポキシ基、メタクリル基またはアクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の観点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点からメトキシシリル基またはエトキシシリル基が特に好ましい。
【0063】
好ましいシランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシランおよびアクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0064】
シランカップリング剤の添加量は適宜設定され得るが、光重合性官能基を有する化合物100重量部に対して、好ましくは0.1~20重量部、より好ましくは0.3~10重量部、さらに好ましくは0.5~5重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0065】
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤およびエポキシ化合物等としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0066】
(充填材)
上記ポジ型感光性樹脂組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、シリカ系充填材(石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等)、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムおよび無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系充填材等の、従来の封止材の充填材として一般に使用または提案されている充填材等が挙げられる。
【0067】
(老化防止剤)
上記ポジ型感光性樹脂組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系老化防止剤等の一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸、リン酸および硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
【0068】
上記ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられ得る。
【0069】
上記硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィド類(スルフィドカルボン酸エステル類およびヒンダードフェノール系スルフィド類等)、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類およびスルホキシド類等が挙げられる。また、これら老化防止剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0070】
(紫外線吸収剤)
上記ポジ型感光性樹脂組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。上記紫外線吸収剤としては、例えば2(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよびビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)セバケート等が挙げられる。また、これら紫外線吸収剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0071】
(溶剤)
用いる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的には、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソランおよびジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)およびエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤;クロロホルム、塩化メチレンおよび1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤等が挙げられる。
【0072】
ポリアミック酸およびポリイミドの観点からは、溶剤として、DMF、DMAc、γ―ブチロラクトン、NMP、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテートが好ましい。溶剤の使用量は適宜設定され得るが、用いるポジ型感光性樹脂組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。溶剤の使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくい場合がある。また、溶剤の使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する場合がある。これらの溶剤としては、1種が使用されてもよく、2種類以上の混合溶媒として用いられてもよい。
【0073】
(その他)
上記ポジ型感光性樹脂組成物には、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤(アンチモン-ビスマス等)、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、防錆剤、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤および物性調整剤等を、本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0074】
(パターン形成方法について)
前記ポジ型感光性樹脂組成物を基材上に層状塗布し、乾燥させることによって得た積層体(基材/感光性樹脂組成物)を、露光後、アルカリ性現像液によって現像することによって、パターンを形成することが出来る。
【0075】
上記ポジ型感光性樹脂組成物を光硬化(露光)させるための光源としては、使用する重合開始剤および増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200~450nmの範囲の波長を含む光源(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプまたは発光ダイオード等)を使用できる。
【0076】
上記ネガ型感光性樹脂組成物を光硬化させるための露光量は特に制限されないが、好ましくは1~10000mJ/cm2、より好ましくは1~3000mJ/cm2である。露光量が少ないと上記ポジ型感光性樹脂組成物が現像液に溶解しない場合がある。露光量が多い未露光部まで現像液に溶解する恐れがある。
【0077】
また溶剤除去および硬化物の物性向上の目的で、光硬化前後に熱を加えプリベークおよびアフターベークさせてもよい。硬化温度は適宜設定され得るが、好ましくは40~400℃、より好ましくは60~350℃である。
【0078】
アルカリ現像液によるパターニング形成について特に限定される方法はなく、一般的に行われる浸漬法またはスプレー法等の現像方法により未露光部を溶解および除去して所望のパターンを形成することができる。
【0079】
また、アルカリ現像において使用される現像液については、一般に使用されるものであれば特に限定なく使用することができる。上記現像液の具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液およびコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液および炭酸リチウム水溶液等の無機アルカリ水溶液等が挙げられる。上記水溶液は、溶解速度等の調整のためにアルコールおよび界面活性剤等を含有していてもよい。上記水溶液の濃度は、露光部と未露光部とのコントラストがつきやすいという観点から、25重量%以下であることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。
【0080】
(用途)
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、種々の用途に用いることができる。例えば、透明材料、光学材料、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、光学部品用接着剤、光導波路結合用光学接着剤、光導波路周辺部材固定用接着剤、DVD貼り合せ用接着剤、粘着剤、ダイシングテープ、電子材料、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、高電圧絶縁材料、層間絶縁膜、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、絶縁用パッキング、絶縁被覆材、接着剤、高耐熱性接着剤、高放熱性接着剤、光学接着剤、LED素子の接着剤、各種基板の接着剤、ヒートシンクの接着剤、塗料、UV粉体塗料、インク、着色インク、UVインクジェット用インク、コーティング材料(ハードコート、シート、フィルム、剥離紙用コート、光ディスク用コートおよび光ファイバ用コート等を含む)、成形材料(シート、フィルムおよびFRP等を含む)、シーリング材料、ポッティング材料、封止材料、発光ダイオード用封止材料、光半導体封止材料、CMOS・CCDセンサ用中空構造体、MEMSデバイス用中空構造体、液晶シール剤、表示デバイス用シール剤、電気材料用封止材料、各種太陽電池の封止材料、高耐熱シール材、レジスト材料、液状レジスト材料、着色レジスト、ドライフィルムレジスト材料、ソルダーレジスト材料、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料、光造形、太陽電池用材料、燃料電池用材料、表示材料、記録材料、防振材料、防水材料、防湿材料、熱収縮ゴムチューブ、オーリング、複写機用感光ドラム、電池用固体電解質、ガス分離膜、コンクリート保護材、ライニング、土壌注入剤、蓄冷熱材、滅菌処理装置用シール材、コンタクトレンズおよび酸素透過膜等が挙げられる。また、上記イソシアヌル酸骨格含有重合体は他樹脂等への添加剤として用いられてもよい。
【実施例】
【0081】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
(パターニング性評価)
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を用いてパターニング性評価サンプルを作製した。まずガラス基板へ、実施例および比較例で得られた樹脂組成物をスピンコーティングし、100℃に加熱したホットプレート上で2分間加熱した。次に露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用い、50μmのラインアンドスペースパターンが刻まれたマスクを通して、それぞれの樹脂組成物に最適な積算光量で露光し(ソフトコンタクト露光)、露光後1分間放置した。その後、アルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に180秒間浸漬後、30秒間水洗してパターンを形成した。その後、200℃ホットプレート上で60分間加熱してパターニング性評価サンプルを得た。
【0083】
得られたパターニング性評価サンプルについて、3D測定レーザー顕微鏡(LEXT OLS4000、オリンパス社製)および触針式表面形状測定器(Dektak150、Veeco社製)を用いてパターン形状を観測し、50μmラインアンドスペースの状態を下記基準に従い評価した。
【0084】
<評価基準>
○:実用可能なレベル(50μmラインアンドスペースに残膜無し)
×:実用に適さないレベル(50μmラインアンドスペースに残膜有り)
(耐熱性評価)
熱重量測定装置(TGA、島津製作所製)を用いて、室温から500℃まで10℃/分で昇温させ、5%重量減少温度を指標として評価を行った。
【0085】
(電気絶縁性評価)
モリブデン薄膜つきガラス基板上に、実施例および比較例で得られた樹脂組成物をスピンコーティングし、100℃に加熱したホットプレート上で2分間加熱した。次に露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用いて300mJ/cm2露光後、230℃ホットプレート上で30分間加熱して感光性樹脂組成物の製膜を行い、この膜上に真空蒸着機を用いてアルミ電極(3mmΦ)を形成しコンデンサを作成した。半導体パラメーターアナライザー(Agilent4156)を用いて30V電圧印加における上下電極間のリーク電流測定を実施した。
【0086】
(合成例A)
2LフラスコにN,N-ジメチルホルムアミド1L、シアン酸カリウムを38g仕込み、75℃に加温した。次に滴下ロートで4-ニトロフェニルイソシアネートを224g滴下し、滴下終了後30分間撹拌し反応完了させた。その後、N,N-ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチル1L、水3Lを加えてから水層に濃塩酸を加えて析出した沈殿物を回収し、エタノールで再結晶を行うことにより白色結晶を得た。
【0087】
次に、500mLフラスコに上記で得た化合物白色結晶を30g、パラジウム触媒Pd/Cを1g、ジメチルアセトアミド200mLを加え、フラスコ内をH2雰囲気とし、90℃で6時間撹拌し反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、水を加えて固体分を洗浄した。エタノールで再結晶することにより、下記化学式(9)で示されるジアミン化合物1を得た。
【0088】
【0089】
(合成例1)
200mLのフラスコ中に、溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミド30g、上記合成例で得たジアミン化合物1を3.1g、2,2’-ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物を4.4g投入し、室温、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。さらにN,N-ジメチルホルムアミド10g、ピリジン1.9g、無水酢酸5.0gを順次フラスコに投入し、90℃に加熱しながら3時間撹拌した。常温に戻ってから、フラスコに300mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収した。更に300mLリットルのイソプロピルアルコールで洗浄を3回行い、得られた析出物を80℃で6時間減圧乾燥し、ポリイミド樹脂Aを得た。
【0090】
次に、ポリイミド樹脂Aの3gを1-メチルピロリドン25mLに加え、ピリジン0.1g、二炭酸ジtertブチル3gをさらに加え、70℃で1時間攪拌した。H1-NMRによってイソシアヌル酸のNHピークの消失によって保護反応の完了を確認し、イソシアヌル酸基が保護されたポリイミド樹脂A-1を得た。
【0091】
(合成例2)
合成例1と同様にポリイミドAを得た後、ポリイミド樹脂Aの3gを1-メチルピロリドン27mLに加え、さらにトルエンスルホン酸0.5g、ジヒドロピラン3gを加え、70℃で3時間攪拌した。H1-NMRによってイソシアヌル酸のNHピークの消失によって保護反応の完了を確認し、イソシアヌル酸基が保護されたポリイミド樹脂A-2を得た。
【0092】
(合成例3)
合成例1と同様にポリイミド樹脂Aを得た後、ポリイミド樹脂Aの3gを1-メチルピロリドン25mLに加え、さらにヘキサメチルジシラザン3gを加え、70℃で3時間攪拌した。H1-NMRによってイソシアヌル酸のNHピークの消失によって保護反応の完了を確認し、イソシアヌル酸基が保護されたポリイミド樹脂A-3を得た。
【0093】
(合成例4)
合成例1のテトラカルボン酸二無水物に1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を1g用いる以外は合成例1と同様に合成し、イソシアヌル酸基が保護されたポリイミド樹脂A-4を得た。
【0094】
(合成例B)
2LフラスコにN,N-ジメチルホルムアミド1L、シアン酸カリウムを38g仕込み、75℃に加温した。次に滴下ロートで3-ニトロフェニルイソシアネートを224g滴下し、滴下終了後30分間撹拌し反応完了させた。その後、N,N-ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチル1L、水3Lを加えてから水層に濃塩酸を加えて析出した沈殿物を回収し、エタノールで再結晶を行うことにより白色結晶を得た。
【0095】
次に、500mLフラスコに上記で得た化合物白色結晶を30.0g、パラジウム触媒Pd/Cを1g、ジメチルアセトアミド200mLを加え、フラスコ内をH2雰囲気とし、90℃で6時間撹拌し反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、水を加えて固体分を洗浄した。エタノールで再結晶することにより、下記化学式(10)で示されるジアミン化合物2を得た。
【0096】
【0097】
(合成例5)
200mLのフラスコ中に、溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミド30g、上記合成例で得たジアミン化合物2を3.1g、2,2’-ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物を4.4g投入し、室温、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。さらにN,N-ジメチルホルムアミド10g、ピリジン1.9g、無水酢酸5.0gを順次フラスコに投入し、90℃に加熱しながら3時間撹拌した。常温に戻ってから、フラスコに300mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収した。更に300mLリットルのイソプロピルアルコールで洗浄を3回行い、得られた析出物を80℃で6時間減圧乾燥し、ポリイミド樹脂Bを得た。
【0098】
次に、ポリイミド樹脂Bの3gを1-メチルピロリドン27mLに加え、さらにピリジン0.1g、二炭酸ジtertブチル3gを加え、70℃で1時間攪拌した。H1-NMRによってイソシアヌル酸のNHピークの消失によって保護反応の完了を確認し、イソシアヌル酸基が保護されたポリイミド樹脂B-1を得た。
【0099】
(合成例6)
合成例5と同様にポリイミド樹脂Bを得た後、ポリイミド樹脂Bの3gを1-メチルピロリドン50mLに加え、さらにトルエンスルホン酸0.5g、ジヒドロピラン3gを加え、70℃で3時間攪拌した。H1-NMRによってイソシアヌル酸のNHピークの消失によって保護反応の完了を確認し、イソシアヌル酸基が保護されたポリイミド樹脂B-2を得た。
【0100】
(合成例7)
合成例5と同様にポリイミド樹脂Bを得た後、ポリイミド樹脂Bの3gを1-メチルピロリドン27mLに加え、さらにヘキサメチルジシラザン3gを加え、70℃で3時間攪拌した。H1-NMRによってイソシアヌル酸のNHピークの消失によって保護反応の完了を確認し、イソシアヌル酸基が保護されたポリイミド樹脂B-3を得た。
【0101】
(合成例8)
合成例5のテトラカルボン酸二無水物に1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を1g用いる以外は合成例5同様に合成し、イソシアヌル酸基が保護されたポリイミド樹脂B-4を得た。
【0102】
(実施例1)
成分(A)として合成例1に記載のポリイミド樹脂(A-1)10%NMP溶液10.0g、成分(B)としてIrgacure PAG169(BASF社製)0.05gを混合させ、感光性組成物1を調製した。
【0103】
(実施例2)
成分(A)として合成例2に記載のポリイミド樹脂(A-2)10%NMP溶液10.0g、成分(B)としてIrgacure PAG169(BASF社製)0.05gを混合させ、感光性組成物2を調製した。
【0104】
(実施例3)
成分(A)として合成例3に記載のポリイミド樹脂(A-3)10%NMP溶液10.0g、成分(B)としてIrgacure PAG169(BASF社製)0.05gを混合させ、感光性組成物3を調製した。
【0105】
(実施例4)
成分(A)として合成例4に記載のポリイミド樹脂(A-4)10%NMP溶液10.0g、成分(B)としてIrgacure PAG169(BASF社製)0.05gを混合させ、感光性組成物4を調製した。
【0106】
(実施例5)
成分(A)として合成例5に記載のポリイミド樹脂(B-1)10%NMP溶液10.0g、成分(B)としてIrgacure PAG169(BASF社製)0.05gを混合させ、感光性組成物5を調製した。
【0107】
(実施例6)
成分(A)として合成例6に記載のポリイミド樹脂(B-2)10%NMP溶液10.0g、成分(B)としてIrgacure PAG169(BASF社製)0.05gを混合させ、感光性組成物6を調製した。
【0108】
(実施例7)
成分(A)として合成例7に記載のポリイミド樹脂(B-3)10%NMP溶液10.0g、成分(B)としてIrgacure PAG169(BASF社製)0.05gを混合させ、感光性組成物7を調製した。
【0109】
(実施例8)
成分(A)として合成例8に記載のポリイミド樹脂(B-4)10%NMP溶液10.0g、成分(B)としてIrgacure PAG169(BASF社製)0.05gを混合させ、感光性組成物8を調製した。
【0110】
(比較例1)
成分(A)の比較としてフェノール基含有樹脂マルカリンカーM(ポリビニルフェノール樹脂、丸善石油化学社製)をtert-ブトキシカルボニル基によって保護した樹脂を0.5g、成分(B)としてIrgacure PAG169(BASF社製)0.10gを溶剤(C)のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物9を調製した。
【0111】
(結果)
実施例1~8および比較例1で得られた感光性樹脂組成物に対し、前述の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0112】
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、半導体やディスプレイ等のエレクトロニクスデバイス用の絶縁層間膜、接着剤、コーティング剤および封止剤等の様々な分野で利用することができる。