IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋エンジニアリング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-積層型熱交換器 図1
  • 特許-積層型熱交換器 図2
  • 特許-積層型熱交換器 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】積層型熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20241122BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20241122BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F28F3/08 301A
F28D9/02
F28F3/08 311
F16B2/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020154432
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048554
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000222174
【氏名又は名称】東洋エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】永田 聡
(72)【発明者】
【氏名】酒井 健二
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-016949(JP,B1)
【文献】国際公開第95/010746(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03312530(EP,A1)
【文献】特開平09-273887(JP,A)
【文献】特開2004-042055(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01199067(GB,A)
【文献】英国特許出願公開第02151347(GB,A)
【文献】米国特許第09746246(US,B2)
【文献】欧州特許出願公開第00043113(EP,A2)
【文献】国際公開第96/019708(WO,A1)
【文献】中国実用新案第210486614(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111521046(CN,A)
【文献】特開2019-082299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28D 1/03
F28D 9/00- 9/04
B23K 1/00
F16B 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部であって、該コア部の内部を複数の流路に仕切るように積層された複数のプレートを有するコア部前記コア部を前記複数のプレートの積層方向に挟持して固定するクランプ装置と、を有する積層型熱交換器であって、
前記クランプ装置が、
前記コア部の前記積層方向の両側に配置された2枚の端板と、
前記2枚の端板を連結し、前記2枚の端板の間隔を前記コア部の前記積層方向の長さよりも大きい間隔に保持する連結部材と、
前記各端板に形成された複数の貫通ねじ孔にそれぞれ挿入され、前記コア部を前記積層方向に押圧する複数のボルトと、を有し、
前記複数のボルトが、前記コア部の周縁領域を押圧する第1のボルトと、前記コア部の前記周縁領域の内側の領域を押圧する第2のボルトとを含み、前記第1のボルトの押圧力は、前記第2のボルトの押圧力よりも大きい、積層型熱交換器
【請求項2】
前記複数のボルトは、前記各端板に格子状に配置されている、請求項1に記載の積層型熱交換器
【請求項3】
前記2枚の端板の互いに反対側を向いた面にそれぞれ形成され、前記端板の厚み方向に突出する複数の補強リブを有する、請求項1または2に記載の積層型熱交換器
【請求項4】
前記各端板は、長方形状に形成され、前記複数の補強リブは、前記端板の短辺方向に沿って互いに平行に配置されている、請求項に記載の積層型熱交換器
【請求項5】
前記複数の補強リブは、前記端板の長辺方向に等間隔に配置されている、請求項に記載の積層型熱交換器
【請求項6】
前記連結部材は、前記コア部の前記積層方向と直交する方向の両側で前記2枚の端板を連結する、請求項1からのいずれか1項に記載の積層型熱交換器
【請求項7】
前記連結部材が複数のロッドからなる、請求項に記載の積層型熱交換器
【請求項8】
前記連結部材が2枚の平板からなる、請求項に記載の積層型熱交換器
【請求項9】
前記コア部が、前記複数のプレートと交互に積層された複数のフィンを有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の積層型熱交換器。
【請求項10】
前記コア部が、前記複数のフィンと共に前記複数のプレートの間に配置された複数のスペーサを有し、前記複数のスペーサは、前記積層方向から見て互いに重なって位置し、前記複数のボルトは、前記積層方向から見て前記複数のスペーサと重なる位置で前記コア部を押圧する、請求項に記載の積層型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、小型かつ軽量で熱交換効率に優れた積層型熱交換器として、プレートフィン型熱交換器が知られている(例えば、特許文献1~4参照)。プレートフィン型熱交換器は、複数のプレートと、複数のプレートと交互に積層された複数のフィンとを有するコア部を備えている。コア部の内部は、複数のプレートによって複数の流路に仕切られ、それら複数の流路を2種類以上の流体が流れることで熱交換が行われる。プレートとフィンは、通常、ろう付けによって接合され、それにより、コア部の耐圧強度と伝熱性能の両方が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-152225号公報
【文献】特開2014-040945号公報
【文献】特開2012-255646号公報
【文献】特開2006-313030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プレートフィン型熱交換器において、ろう付けによるプレートとフィンの接合箇所は膨大な数に上るが、接合不良が一箇所でも存在すると、それが直ちにコア部の耐圧強度に影響を及ぼすことになる。したがって、プレートとフィンのろう付けには接合強度や品質の点で高い信頼性が要求される。しかしながら、それを実現するには、真空炉などの大規模な設備を要するとともに、専門的かつ高度な技術や知識を要するため、耐圧強度と伝熱性能を安定して確保することはかなりの困難を伴う。また、プレートとフィンの材料としては、工業的規模で安定的に、かつ合理的なコストでろう付け可能な材料を選択する必要がある。そのため、材料選択の自由度が低く、耐圧強度と伝熱性能の両立を高いレベルで実現するには限界がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、コア部を構成する材料の自由な組み合わせを可能にし、簡潔な構造で積層型熱交換器の耐圧強度と伝熱性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明の積層型熱交換器は、コア部であって、コア部の内部を複数の流路に仕切るように積層された複数のプレートを有するコア部コア部を複数のプレートの積層方向に挟持して固定するクランプ装置と、を有する積層型熱交換器であって、クランプ装置が、コア部の積層方向の両側に配置された2枚の端板と、2枚の端板を連結し、2枚の端板の間隔をコア部の積層方向の長さよりも大きい間隔に保持する連結部材と、各端板に形成された複数の貫通ねじ孔にそれぞれ挿入され、コア部を積層方向に押圧する複数のボルトと、を有し、複数のボルトが、コア部の周縁領域を押圧する第1のボルトと、コア部の周縁領域の内側の領域を押圧する第2のボルトとを含み、第1のボルトの押圧力は、第2のボルトの押圧力よりも大きい
【0008】
このような積層型熱交換器によれば、流体の圧力によってコア部に内圧が作用しても、ボルトによる押圧によって、コア部の膨張による破損が抑制されるとともに、プレートを含むコア部の構成要素間の接触が良好に保たれ、コア部の耐圧強度と伝熱性能が確保される。そのため、プレートを含むコア部の構成要素をろう付けや溶接などの公知の接合方法によって機械的に接合する必要がなくなる。これにより、材料選択の自由度が高まり、耐圧強度と伝熱性能の両立を高いレベルで実現する材料の組み合わせを選択することも可能になる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、コア部を構成する材料の自由な組み合わせが可能になり、簡潔な構造で積層型熱交換器の耐圧強度と伝熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る熱交換器の概略斜視図および概略断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る熱交換器の概略斜視図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る熱交換器の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。本明細書では、プレートフィン型の熱交換器を例示するが、本発明のクランプ装置が適用される積層型熱交換器はこれに限定されず、後述するように、プレート型の熱交換器であってもよい。なお、ここでいう「熱交換器」とは、流体が流れる流路内に触媒が充填されることで触媒反応を行うもの、すなわち触媒反応器を含む。
【0012】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る熱交換器の概略斜視図である。図1(b)は、図1(a)のC-C線に沿った概略断面図である。なお、図1に示す熱交換器の配置は、便宜的なものであり、使用時における姿勢を限定するものではない。また、以下の説明における「上」や「下」などの方向を表す用語も、相対的な意味で用いられ、熱交換器の使用時における姿勢を限定するものではない。
【0013】
熱交換器1は、第1の流体Aと第2の流体Bとの間で熱交換を行う直方体状のコア部10を有している。コア部10は、長方形状の複数のプレート11と、波板状の複数のフィン12とを有している。複数のプレート11は、コア部10の内部を複数の流路F1,F2に仕切るように積層され、複数のフィン12のそれぞれは、各流路F1,F2内に上下のプレート11と接するように配置されている。したがって、複数のプレート11と複数のフィン12は交互に積層されている。以下、プレート11の積層方向をZ方向とし、これに直交するプレート11の長辺方向および短辺方向をそれぞれX方向およびY方向とする。
【0014】
複数の流路F1,F2は、第1の流体Aが流れる第1の流路F1と、第1の流路F1とZ方向に交互に配置され、第2の流体Bが流れる第2の流路F2とからなる。各流路F1,F2は、プレート11と、プレート11の周縁部にフィン12を取り囲むように配置されたサイドバー13とによって区画されている。サイドバー13は、ろう付けや溶接などの公知の接合方法によって上下のプレート11に接合され、これにより、各流路F1,F2の密閉性が確保されている。なお、後述するように、フィン12は、必ずしも上下のプレート11に接合されていなくてもよい。加えて、コア部10は、コア部10のZ方向の最外面を構成するサイドプレート14を有している。
【0015】
また、熱交換器1は、それぞれ第1の流路F1に連通する第1の流入ヘッダ2と第1の流出ヘッダ3を有している。第1の流入ヘッダ2は、コア部10のX方向の一方の端面に取り付けられ、第1の流体Aをコア部10に流入させる機能を有している。第1の流出ヘッダ3は、コア部10のX方向の他方の端面に取り付けられ、第1の流体Aをコア部10から流出させる機能を有している。これにより、第1の流体Aは、第1の流入ヘッダ2を通じて第1の流路F1に流入し、コア部10内を一方の端面から他方の端面に(図1(b)の紙面の表側から裏側に)流れた後、第1の流出ヘッダ3を通じて第1の流路F1から流出する。
【0016】
また、熱交換器1は、それぞれ第2の流路F2に連通する第2の流入ヘッダ(図示せず)と第2の流出ヘッダ4を有している。第2の流入ヘッダ(図示せず)は、コア部10のX方向の他方の端面に取り付けられ、第2の流体Bをコア部10に流入させる機能を有している。第2の流出ヘッダ4は、コア部10のX方向の一方の端面に取り付けられ、第2の流体Bをコア部10から流出させる機能を有している。これにより、第2の流体Bは、第2の流入ヘッダを通じて第2の流路F2に流入し、コア部10内を他方の端面から一方の端面に(図1(b)の紙面の裏側から表側に)流れた後、第2の流出ヘッダ4を通じて第2の流路F2から流出する。
【0017】
さらに、熱交換器1は、コア部10をZ方向(プレート11の積層方向)に挟持して固定するクランプ装置20を有している。
【0018】
クランプ装置20は、2枚の端板21,22と、複数のロッド23と、複数の押圧ボルト24とを有している。2枚の端板21,22は、コア部10のZ方向の両側に配置され、互いに平行になるように複数のロッド23によって連結されている。また、2枚の端板21,22は、その間隔がコア部10のZ方向の長さよりも大きい間隔に保持されるように複数のロッド23によって連結されている。各端板21,22には複数の貫通ねじ孔21a,22aが形成されている。複数の押圧ボルト24は、各端板21,22の複数の貫通ねじ孔21a,22aにそれぞれ挿入され、コア部10をZ方向の両側から押圧している。
【0019】
このようなクランプ装置20の構成によれば、流体A,Bの圧力によってコア部10に内圧が作用しても、押圧ボルト24による押圧によって、コア部10が膨張して破損することを抑制することができる。その結果、コア部10に十分な耐圧強度を付与することができ、その構成要素であるプレート11とフィン12をろう付けや溶接などの公知の接合方法によって機械的に接合する必要がなくなる。また、コア部10の膨張が抑制されることで、プレート11とフィン12との良好な熱的接触も常時確保される。その結果、コア部10の伝熱性能も良好に維持することができる。加えて、プレート11とフィン12との熱的接触が常時確保されることで、伝熱性能の面でも、プレート11とフィン12をろう付けや溶接などの公知の接合方法によって機械的に接合する必要がなくなる。そのため、プレート11とフィン12の材料選択の自由度が高まり、耐圧強度と伝熱性能の両立を高いレベルで実現する材料の組み合わせを選択することも可能になる。
【0020】
例えば、これまでは、プレートの材料として、機械的強度の観点からステンレス鋼を用いた場合、コア部の耐圧強度を担うフィンの材料として、機械的強度が低く、工業的規模で安定的に、かつ合理的なコストでろう付けすることが難しいために、ステンレス鋼との組み合わせで銅を採用することは考えられなかった。しかしながら、本実施形態では、プレート11の材料としてステンレス鋼を用いた場合でも、フィン12の材料として、熱伝導性の観点から銅を用いることも可能になる。このような材料上の制約がなくなることは、本実施形態の熱交換器1を触媒反応器として使用する場合に特に有用である。なお、選択する材料によっては、耐圧強度と伝熱性能のさらなる向上のために、プレート11とフィン12をろう付けや溶接などの公知の接合方法によって接合してもよい。
【0021】
端板21,22の材料は、剛性が高く、押圧ボルト24の反力に耐え得る強度を有するものであれば、特に限定されるものではなく、その形状や寸法(厚みなど)も特に限定されるものではない。図示した構成では、端板21,22の形状は、コア部10の形状に合わせて長方形状であるが、例えば、多角形などの他の幾何形状であってもよい。
【0022】
ロッド23の材料も特に限定されないが、端板21,22の材料と同じであることが好ましく、そのような材料として、例えば、ステンレス鋼を用いることができる。ロッド23の断面形状は、図示した円形に限定されず、多角形などの他の幾何形状であってもよく、その寸法(直径など)も特に限定されるものではない。また、図示した構成では、ロッド23は、コア部10のY方向の両側にそれぞれ5つ設けられているが、端板21,22同士の連結が良好に維持できれば、ロッド23の数はこれに限定されず、それぞれ4つ以下であっても6つ以上であってもよい。ロッド23の位置も図示した位置に限定されず、例えば、コア部10に対するヘッダ2~4の位置に応じて適宜変更してもよい。端板21,22とロッド23の固定方法は、押圧ボルト24の反力が端板21,22に作用しても端板21,22とロッド23との固定が解除されない十分な強度を確保できれば、特に限定されるものではない。そのような固定方法として、例えば、溶接やねじ込みなどの公知の方法を用いることができる。
【0023】
押圧ボルト24の材料は特に限定されないが、端板21,22の材料と同じであることが好ましい。押圧ボルト24の配置および寸法は、所望の押圧力をコア部10に付与できる配置および寸法であれば、特に限定されるものではない。図示した構成では、押圧ボルト24は、各端板21,22に矩形格子状に配置されているが、押圧ボルト24の配置はこれに限定されず、正方格子や三角格子などの他の格子状の配置であってもよく、他の周期的な配置であってもよい。あるいは、押圧ボルト24は、非周期的に配置されていてもよい。
【0024】
押圧ボルト24の締め方やその順番も、所望の押圧力をコア部10に付与できれば、特定の締め方や順番に限定されるものではない。例えば、コア部10のZ方向の両側のそれぞれにおいて、格子状の複数の押圧ボルト24のうち四隅のボルトを先に締め込んでクランプ装置20に対するコア部10の位置決めを行った後、それぞれの押圧ボルト24を適切なトルクで締め込み、コア部10に対して所望の押圧力を付与してもよい。なお、押圧ボルト24によりコア部10をZ方向の両側から押圧する構成は、コア部10およびクランプ装置20の加工誤差や組立誤差、押圧時の荷重による変形に対し、押圧ボルト24の締め込み量を調整することで対応することができる点でも有利である。
【0025】
複数のボルト24は、それぞれ異なるトルクで締め込まれてもよく、すなわち、それぞれ異なる押圧力でコア部10を押圧してもよい。例えば、コア部10の内圧が上昇した場合、流体A,Bの漏れは、プレート11の周縁部におけるサイドバー13との接合部分で発生しやすい。そのため、プレート11とサイドバー13との接合部分に対応するコア部10の周縁領域では、その内側の領域よりも大きい押圧力でコア部10が押圧されることが好ましい。なお、このように、コア部10がそれぞれ異なる押圧力で複数のボルト24に押圧される場合、コア部10に対する押圧力の分布を任意かつ正確に制御しやすくなる点で、複数のボルト24は、図示したように格子状に配置されていることが好ましい。
【0026】
また、コア部10の構成は、図示した構成に限定されるものではない。例えば、図1(b)には、それぞれ3つの流路F1,F2が示されているが、流路F1,F2の数はこれに限定されず、それぞれ4つ以上であってもよい。また、図示した構成では、第1の流体Aと第2の流体Bは、同一方向(X方向)で逆向きに流れるようになっているが、同一方向(X方向)で同じ向きに流れるようになっていてもよい。あるいは、第1の流体Aと第2の流体Bは、互いに直交する方向に流れるようになっていてもよい。すなわち、2つの流体A,Bのうち一方がX方向に流れ、他方がY方向に流れるようになっていてもよく、それに応じて、2組のヘッダ2~4のうち一方がコア部10のX方向の端面に取り付けられ、他方がコア部10のY方向の端面に取り付けられていてもよい。また、コア部10は、3種類以上の流体の熱交換を行うようになっていてもよく、それに応じて、流入ヘッダと流出ヘッダの組も3組以上設けられていてもよい。
【0027】
フィン12の形状も図示した形状に限定されず、押圧ボルト24の押圧力に耐え得る十分な強度を確保できる範囲で適宜変更可能である。ただし、フィン12の形状に十分な強度を付与する代わりに、複数のプレート11の間のZ方向から見て押圧ボルト24と重なる位置に複数のスペーサ(図示せず)が設けられていてもよい。これにより、押圧ボルト24の押圧力を複数のスペーサで受け止めることが可能になる。なお、フィン12の形状は、それが配置される流路F1,F2ごとに異なっていてもよい。
【0028】
また、図示していないが、本実施形態の熱交換器1は、別の圧力容器の内部に格納されて使用されてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、コア部10の構造としてプレートフィン型のものを例示したが、本実施形態のクランプ装置20が適用されるコア部の構造はこれに限定されず、複数の伝熱プレートが積層されて構成されたプレート型のものであってもよい。プレート型の熱交換器は、伝熱プレートの密封方法の違いによっていくつかの種類に分類される。すなわち、プレス加工などにより波形に成形された伝熱プレートがガスケットを介して積層されたガスケット式、同じく波形に成形された伝熱プレートの周縁部が溶接により接合された溶接式、エッチングなどにより加工された流路を有する伝熱プレートが拡散接合により接合された拡散接合式などの種類に分類される。このようなプレート型熱交換器のいずれの種類においても、本実施形態のクランプ装置20を適用することで、内圧によるコア部の膨張や破損を抑制し、コア部の耐圧強度と伝熱性能を確保することができる。
【0030】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る熱交換器の概略斜視図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0031】
本実施形態は、2枚の端板21,22を連結する連結部材の構成が第1の実施形態と異なっている。すなわち、第1の実施形態では、コア部10のY方向の両側にそれぞれ複数のロッド23が設けられているのに対し、本実施形態では、それぞれ1枚の平板25,26が設けられている。したがって、本実施形態のクランプ装置20は、2枚の端板21,22と2枚の平板25,26とによって角筒状に形成されている。このような構成により、クランプ装置20全体の構造強度を高めることができ、その結果、コア部10に対してより大きな押圧力を付与することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る熱交換器の概略斜視図である。以下、上述した実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、上述した実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0033】
本実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、複数の補強リブ27が追加して設けられている点で第2の実施形態と異なっている。複数の補強リブ27は、2枚の端板21,22の互いに反対側を向いた面にそれぞれZ方向(端板21,22の厚み方向)に突出するように形成されている。また、複数の補強リブ27は、Y方向(端板21,22の短辺方向)に沿って互いに平行に配置され、かつX方向(端板21,22の長辺方向)に等間隔に配置されている。なお、ここでいう「等間隔」とは、複数の補強リブ27の間隔(厚み方向の中心間の距離)が厳密に等しい場合だけでなく、製造誤差の範囲内で異なる場合も含む。このような構成により、端板21,22の剛性を高め、クランプ装置20全体の構造強度をさらに高めることができる。補強リブ27の形状や寸法(厚みなど)、その数は、図示したものに限定されず、端板21,22の形状や要求される強度に応じて適宜変更可能である。
【0034】
なお、本実施形態では、補強リブ27が設けられていることで、各端板21,22の厚みを第2の実施形態より薄くしてもよい。また、本実施形態の補強リブ27が第1の実施形態のクランプ装置20に追加して設けられていてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1 熱交換器
2 第1の流入ヘッダ
3 第1の流出ヘッダ
4 第2の流出ヘッダ
10 コア部
11 プレート
12 フィン
13 サイドバー
14 サイドプレート
20 クランプ装置
21,22 端板
21a,22a 貫通ねじ孔
23 ロッド
24 押圧ボルト
25,26 平板
27 補強リブ
図1
図2
図3