(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/325 20060101AFI20241122BHJP
B41J 17/36 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B41J17/36 Z
(21)【出願番号】P 2020155228
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辺見 精孝
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-013468(JP,A)
【文献】特開2019-130692(JP,A)
【文献】特開平03-049976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/325
B41J 17/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一周期分のパネルの数が異なる複数の種別のインクリボンを使用可能な画像形成装置であって、
インクリボンを加熱して各パネルから転写フィルムへインクを転写するサーマルヘッドであって、前記インクリボンの画像形成領域を加熱して記録媒体に転写する画像を前記転写フィルム上に形成するサーマルヘッドと、
前記転写フィルムを加熱して、前記転写フィルム上の前記画像を前記記録媒体へ転写する転写手段と、
前記インクリボンの搬送経路に設置され、前記パネルを透過する光量を検出する透過型センサと、
前記画像形成装置を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記画像形成装置が起動したときに、
前記透過型センサで前記インクリボンの前記画像形成領域の外の読み取りを行い、
前記
インクリボンの種別を示すコード画像
が読み取れた場合には、前記コード画像の読み取り結果に応じて前記画像形成装置の制御を行
うとともに、前記インクリボンから前記転写フィルムへ画像を転写するときに、読み取った前記コード画像と同じ画像を前記インクリボンの前記画像形成領域の外に形成し、
前記コード画像
が読み取れなかった場合には、
前記透過型センサで一周期分の前記インクリボンを読み取った結果に応じて前記画像形成装置の制御を行うとともに、前記インクリボンから前記転写フィルムへ画像を転写するときに、前記一周期分の前記インクリボンを読み取った結果に応じた前記コード画像を前記インクリボンの前記画像形成領域の外に形成する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記インクリボンに形成された前記コード画像は、前記インクリボンから前記転写フィルムへインクが転写された部分とインクが転写されていない部分とで構成され、前記インクリボンを搬送しながら前記透過型センサで前記コード画像を検出したときに、前記透過型センサの検出値が変化する画像であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記インクリボンは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのパネルを含み、前記制御手段は、前記コード画像を前記ブラックのパネルに形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンを用いて転写媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転写フィルム若しくは画像担持体等の転写媒体、又はカード若しくはシート等の記録媒体に画像を形成する画像形成装置が広く知られている。この種の画像形成装置では、インクリボンを用いて転写媒体に画像(鏡像)を形成し、次いで転写媒体に形成された画像を記録媒体に転写する間接印刷方式(再転写方式)、又はインクリボンを用いて記録媒体に直接画像を形成する直接印刷方式が用いられている。
【0003】
また、従来の画像形成装置は、一般に、複数の加熱素子が配設されたサーマルヘッドと、サーマルヘッドに対向配置されたプラテンローラ等のプラテンと、を有する画像形成部を備えている。このような画像形成部では、間接印刷方式では転写媒体又は直接印刷方式では記録媒体である媒体の背面側(画像形成面の反対面側)をプラテンで支持しつつ、インクリボンと媒体とを同一速度で搬送する。また、画像形成部では、インクリボンに対して圧接されたサーマルヘッドの加熱素子を選択的に作動させる加熱制御を行うことにより、媒体に画像を形成する。
【0004】
また、従来の画像形成装置では、複数色のインクによる各画像を重ねてカラー画像を生成するカラー印刷が行われる場合が多い。カラー印刷の場合には、入力された印刷データ又は入力された画像データを変換した印刷データ(例えば、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)毎の印刷データ)に従って、媒体に複数色のインク(例えば、YMCのインク)毎の画像を重ねて印刷する。このため、カラー印刷では、複数色のインクパネル及びK(ブラック)のインクパネルを面順次に繰り返したインクリボンが用いられる。
【0005】
このようなインクリボンは、印刷する画像に関わらず、通常一回の印刷で必要な領域を使いはたす。そのため、例えば500枚印刷することができるインクリボンの場合には、500枚分のインクリボンをコイル状に巻き付けて、このインクリボンを引き出しながら印刷していく方法が一般的である。
【0006】
また、インクリボンは、印刷する内容に応じて様々のインクパネルパターンを有しており、印刷する内容に応じて使い分けることにより、最適な印刷を提供することができる。例えば、両面カラー印刷に使用されるインクリボンは、Y、M、C、K、Y、M、C、K、・・・の順番で繰り返されるインクパネルパターンになっている。また、表面はカラー印刷及び裏面は白黒印刷に使用されるインクリボンは、Y、M、C、K、K、Y、M、C、K、K、・・・の順番で繰り返されるインクパネルパターンになっている。従って、このようなインクリボンを用いる画像形成装置は、複数種類のインクリボンを間違いなく運用するために、装着されたインクリボンを識別する必要がある。
【0007】
従来のインクリボンの識別方法としては、装置に装着した際に装置の操作部を用いてインクリボンの種類を直接入力して指示する方法が知られている。しかしながら、この方法では、指示する内容を間違えた場合には印刷ミスをしてしまうリスクがある。
【0008】
これに対して、特許文献1は、インクリボンの種類の情報を持った無線タグを設けて、インクリボンを装置に装着した際にインクリボンの種類の情報を無線タグより読み取る構成を開示している。特許文献1によれば、指示する内容を間違えることによる印刷ミスを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1においては、専用の通信手段を必要とするためにコストの増大を招くという課題を有する。また、特許文献1においては、製品の変更又は追加等によってインクリボンの種類が製品販売後に増えた場合に、後付けで装置に組み込むことができず運用することが難しいという課題を有する。
【0011】
これに対して、未使用のインクリボンを送り出して、インクリボンの搬送経路上に設けたセンサでKインクパネルの数及び間隔を検出してインクリボンの種別を識別することにより、上記の課題を解決することが可能となる。しかしながら、この方法においては、新品のインクリボンを供給コイルから引き出して種類を確定した後に、供給コイルに巻き戻す必要があるため、インクリボンの巻き精度を低下させるという課題を有する。また、上記の動作を繰り返すことにより、インクリボンの蓄積された巻き精度の低下によって、インクリボンに皺を生じたりインクリボンが印刷領域を逸脱する等によって、画像不良を引き起こす場合があるという課題を有する。
【0012】
本発明の目的は、コストを増大させることなく、インクリボンの巻き精度の低下に伴う画像不良を引き起こすことなく、インクリボンの種別を決定することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、一周期分のパネルの数が異なる複数の種別のインクリボンを使用可能な画像形成装置であって、インクリボンを加熱して各パネルから転写フィルムへインクを転写するサーマルヘッドであって、前記インクリボンの画像形成領域を加熱して記録媒体に転写する画像を前記転写フィルム上に形成するサーマルヘッドと、前記転写フィルムを加熱して、前記転写フィルム上の前記画像を前記記録媒体へ転写する転写手段と、前記インクリボンの搬送経路に設置され、前記パネルを透過する光量を検出する透過型センサと、前記画像形成装置を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記画像形成装置が起動したときに、前記透過型センサで前記インクリボンの前記画像形成領域の外の読み取りを行い、前記インクリボンの種別を示すコード画像が読み取れた場合には、前記コード画像の読み取り結果に応じて前記画像形成装置の制御を行うとともに、前記インクリボンから前記転写フィルムへ画像を転写するときに、読み取った前記コード画像と同じ画像を前記インクリボンの前記画像形成領域の外に形成し、前記コード画像が読み取れなかった場合には、前記透過型センサで一周期分の前記インクリボンを読み取った結果に応じて前記画像形成装置の制御を行うとともに、前記インクリボンから前記転写フィルムへ画像を転写するときに、前記一周期分の前記インクリボンを読み取った結果に応じた前記コード画像を前記インクリボンの前記画像形成領域の外に形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コストを増大させることなく、インクリボンの巻き精度の低下に伴う画像不良を引き起こすことなく、インクリボンの種別を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムを示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の待機ポジションの状態の印刷部の一部の模式図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の搬送ポジションの状態の印刷部の一部の模式図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の印刷ポジションの状態の印刷部の一部の模式図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で使用されるインクリボンの模式図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の待機ポジションの状態の印刷部の模式図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の搬送ポジションの状態の印刷部の模式図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る画像形成処理の印刷ポジションの状態の印刷部の模式図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るコード形成処理を示すフロー図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で使用されるインクリボンのKパネルを示す図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で使用されるインクリボンのKパネルに形成されるコードの一例を示す図である。
【
図14】本発明の実施の形態に係るインクリボン種別判定処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<画像形成システムの構成>
本発明の実施の形態1に係る画像形成システム200の構成について、
図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0018】
画像形成システム200は、画像形成装置1と、上位装置201と、モニタ202と、入力装置203と、画像入力装置204と、を有している。
【0019】
画像形成装置1は、図示しないインターフェースを介して上位装置201に接続されており、上位装置201から印刷データ若しくは画像データ、又は磁気的記録データ若しくは電気的記録データ等を受信し、受信した各種データに基づいて記録動作等を行う。画像形成装置1は、後述のオペパネ部(操作表示部)5を有しており、上位装置201からの記録動作を指示する信号の受信に加えて、オペパネ部5からの記録動作を指示する信号の受信も可能である。画像形成装置1は、ここではプリンタを例示する。なお、画像形成装置1の構成の詳細については後述する。
【0020】
上位装置201には、画像形成装置1に加えて、モニタ202、入力装置203及び画像入力装置204が接続されている。上位装置201は、入力装置203からの命令により、モニタ202に表示された画像の若しくは画像入力装置204から入力された印刷データ若しくは画像データ、又は磁気的若しくは電気的記録データ等を画像形成装置1に送信して記録動作等を指示する。上位装置201は、例えばパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータである。
【0021】
モニタ202は、上位装置201に接続されており、上位装置201によって生成されたデータ等に基づいて所定の表示を行なう液晶ディスプレイ等である。
【0022】
入力装置203は、上位装置201に接続されており、上位装置201に対して命令又はデータを入力するためのキーボード又はマウス等である。入力装置203は、ここではキーボードを例示する。
【0023】
画像入力装置204は、上位装置201に接続されており、デジタルカメラ又はスキャナ等である。画像入力装置204は、ここではデジタルカメラを例示する。
【0024】
<画像形成装置の構成>
本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の構成について、
図2及び
図3を参照しながら、詳細に説明する。
【0025】
画像形成装置1は、ハウジング2を有しており、ハウジング2内に情報記録部Aと、印刷部Bと、媒体収容部Cと、収容部Dと、回動ユニットFと、オペパネ部5と、制御部100と、電源部120と、を備えている。
【0026】
情報記録部Aは、回動ユニットFから搬送されてくるカードCaに対して、文字や画像を記録すると共に磁気的又は電気的な情報記録を行う。
【0027】
印刷部Bは、回動ユニットFから搬送されてくるカードCaの表面、又は表面と裏面とに顔写真又は文字データ等の画像を形成し、画像を形成したカードCaを収容部Dに向けて搬送する。
【0028】
媒体収容部Cは、複数枚のカードCaを立位姿勢で整列して収納し、収納しているカードCaを順次回動ユニットFに供給する。
【0029】
収容部Dは、印刷部Bより搬送されるカードCaを収容する。
【0030】
回動ユニットFは、媒体収容部Cから供給されるカードCaを情報記録部Aに向けて搬送する。回動ユニットFは、情報記録部Aにおいて文字や画像を記録すると共に磁気的又は電気的な情報記録を行ったカードCaを印刷部Bに向けて搬送する。回動ユニットFは、印刷部Bから搬送されてくるカードCaを保持した状態で所定角度旋回し、保持したカードCaの表面と裏面とを反対向きに引っ繰り返した後に、カードCaを印刷部Bに向けて搬送する。
【0031】
オペパネ部5は、操作表示制御部106の制御によって画像形成装置1に対する記録動作の指示を受ける。
【0032】
制御手段としての制御部100は、後述のコード形成処理及びインクリボン種別判定処理を含む画像形成装置1の全体の制御処理を行う。制御部100は、バッファメモリ101と、マイコン102と、センサ制御部103と、アクチュエータ制御部104と、サーマルヘッド制御部105と、操作表示制御部106と、を備えている。
【0033】
バッファメモリ101は、カードCaに記録するための印刷データ、カードCaの磁気ストライプ若しくはカードCaに収容されているICに、磁気的若しくは電気的に記録するための記録データ等を一時的に格納する。
【0034】
マイコン102は、いずれも図示を省略する中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、画像形成装置1のプログラムやパターンデータ等が記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAM、及びこれらを接続する内部バスを備えている。マイコン102は、画像形成装置1の動作を制御する。
【0035】
マイコン102のROMは、インクリボン41の種別と所定のコードとを対応付けたテーブルを予め記憶している。マイコン102は、インクリボン41の種別を示すコードをインクリボン41に形成して記録するコード形成処理を実行する。また、マイコン102は、コード形成処理によってインクリボン41に形成されたコード及びROMに記憶しているテーブルに基づいて、インクリボン41の種別を決定するインクリボン種別判定処理を実行する。
【0036】
センサ制御部103は、マイコン102の制御により、各種のセンサからの信号を制御する。
【0037】
アクチュエータ制御部104は、マイコン102の制御により各モータに駆動パルス又は駆動電力を供給する図示しないモータドライバ等を含んでいる。
【0038】
サーマルヘッド制御部105は、マイコン102の制御により、サーマルヘッド40に備えられた図示しない発熱素子から供給する熱エネルギーの供給量を制御する。
【0039】
操作表示制御部106は、マイコン102の制御により、オペパネ部5を制御する。
【0040】
電源部120は、商用交流電源に接続し、商用交流電源から供給される電源を交流から直流に変換して制御部100、サーマルヘッド40、オペパネ部5及び情報記録部A等に供給する。
【0041】
上記の構成を有する画像形成装置1は、上位装置201に接続する図示しないインターフェースを有している。このインターフェース、バッファメモリ101、マイコン102、センサ制御部103、アクチュエータ制御部104、サーマルヘッド制御部105、操作表示制御部106及び情報記録部A等は、互いに外部バスによって接続されている。
【0042】
<情報記録部の構成>
本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の情報記録部Aの構成について、
図2を参照しながら、詳細に説明する。
【0043】
情報記録部Aは、非接触式IC記録部23と、磁気記録部24と、接触式IC記録部27と、を備えている。
【0044】
非接触式IC記録部23は、回動ユニットFから搬送されてくるカードCaに対して非接触で電気的な情報記録を行い、電気的な情報記録を行ったカードCaを回動ユニットFに向けて搬送する。
【0045】
磁気記録部24は、回動ユニットFから搬送されてくるカードCaに磁気的な情報記録を行い、磁気的な情報記録を行ったカードCaを回動ユニットFに向けて搬送する。
【0046】
接触式IC記録部27は、回動ユニットFから搬送されてくるカードCaに対して接触しながら電気的な情報記録を行い、電気的な情報記録を行ったカードCaを回動ユニットFに向けて搬送する。
【0047】
<印刷部の構成>
本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の印刷部Bの構成について、
図2及び
図4から
図6を参照しながら、詳細に説明する。
【0048】
印刷部Bには、媒体搬送路65の延長上の上流側においてカードCaを移送する媒体搬送経路P1と、下流側において収容スタッカ60に印刷後のカードCaを移送する媒体搬送経路P2と、が設けられている。印刷部Bは、フィルム状媒体搬送機構により搬送される転写フィルム46に対して、サーマルヘッド40によって画像を形成する転写手段としての画像形成部B1と、カードCaの表面に転写フィルム46に形成された画像を転写する転写部B2と、を備えている。
【0049】
具体的には、印刷部Bは、剥離コロ25と、搬送ローラ29と、搬送ローラ30と、プラテンローラ31と、ピンチローラ32a及びピンチローラ32bと、ヒートローラ33と、を備えている。また、印刷部Bは、デカール機構36と、搬送ローラ37と、搬送ローラ38と、インクリボンカセット42と、プラテンローラ45と、巻取スプール47と、供給スプール48と、フィルム搬送ローラ49と、を備えている。
【0050】
また、印刷部Bは、ブラケット50と、ブラケット50Aと、張力受け部材52と、張力受け部材52Aと、カム53と、カム53Aと、を備えている。更に、印刷部Bは、プラテン支持部材72と、基板87と、剥離コロ支持部材88と、バネ部材97と、ベルト98と、バネ部材99と、センサSe2と、を備えている。
【0051】
剥離コロ25は、ブラケット50Aがサーマルヘッド40に対して進出した際に、
図5に示すように後述のインクリボンカセット42の剥離部材28と当接して、剥離部材28と共に転写フィルム46とインクリボン41とを挟持して剥離する。なお、
図2の状態の剥離コロ25は、インクリボン41及び転写フィルム46を介して剥離部材28と当接している。
【0052】
搬送ローラ29は、媒体搬送経路P1に設けられていると共に、図示しない搬送モータに連結されている。搬送ローラ29は、搬送モータが駆動することにより回転して、回動ユニットFから搬送されてくるカードCaを媒体搬送経路P1において搬送ローラ30に向けて搬送する。
【0053】
搬送ローラ30は、媒体搬送経路P1に設けられていると共に、図示しない搬送モータに連結されている。搬送ローラ30は、搬送モータが駆動することにより回転して、搬送ローラ29から搬送されてくるカードCaを媒体搬送経路P1において転写部B2に向けて搬送する。
【0054】
プラテンとしてのプラテンローラ31は、ヒートローラ33と共に転写フィルム46及びカードCaを挟持して、転写フィルム46上の画像をカードCaの表面に転写させる。
【0055】
ピンチローラ32a及びピンチローラ32bは、フィルム搬送ローラ49の周囲に設けられている。ピンチローラ32a及びピンチローラ32bは、フィルム搬送ローラ49に当接する位置と、フィルム搬送ローラ49から離間する位置と、の間で移動可能に構成されている。なお、
図2の状態のピンチローラ32a及びピンチローラ32bは、フィルム搬送ローラ49に圧接することで転写フィルム46をフィルム搬送ローラ49に巻き付けている。
【0056】
ヒートローラ33は、転写フィルム46及びカードCaを介してプラテンローラ31に圧接する位置と、プラテンローラ31から離間する位置と、の間で移動可能になっている。ヒートローラ33は、プラテンローラ31と共に転写フィルム46及びカードCaを挟持して、転写フィルム46上の画像をカードCaの表面に転写させる。なお、
図2の状態のヒートローラ33は、プラテンローラ31から離間している。
【0057】
プラテンローラ31とヒートローラ33とは、媒体搬送経路P1を搬送されるカードCaの表面に転写フィルム46に形成された画像を溶融転写させる転写部B2を構成している。
【0058】
デカール機構36は、搬送ローラ37と搬送ローラ38との間に設けられている。デカール機構36は、搬送ローラ37と搬送ローラ38とによって保持されたカードCaの搬送方向の中央部を押圧することにより、ヒートローラ33による熱転写で生じたカードCaのカールを矯正する。デカール機構36は、図示しないカムを含む昇降機構により
図2において上下方向に移動可能に構成されている。
【0059】
搬送ローラ37は、図示しない搬送モータに連結されている。搬送ローラ37は、搬送モータが駆動した際に回転して、媒体搬送経路P2において転写部B2から搬送されてくるカードCaを、デカール機構36を介して搬送ローラ38に向けて搬送する。
【0060】
搬送ローラ38は、図示しない搬送モータに連結されている。搬送ローラ38は、搬送モータが駆動した際に回転して、媒体搬送経路P2において搬送ローラ37からデカール機構36を介して搬送されてくるカードCaを、収容スタッカ60に向けて搬送する。
【0061】
インクリボンカセット42は、剥離部材28と、冷却ファン39と、サーマルヘッド40と、供給スプール43と、巻取スプール44と、を備えており、供給スプール43と巻取スプール44との間で張架された状態のインクリボン41を収納している。
【0062】
剥離部材28は、インクリボンカセット42に固設されている。剥離部材28は、
図5に示すように剥離コロ25と当接した際に、剥離コロ25と共に転写フィルム46とインクリボン41とを挟持する。
【0063】
冷却ファン39は、サーマルヘッド40を冷却する。
【0064】
サーマルヘッド40は、プラテンローラ45に対向する位置に設けられていると共に、主走査方向に配列された図示しない複数の加熱素子を備えている。サーマルヘッド40は、図示しないヘッドコントロール用ICにより印刷データに従って選択的に加熱制御される加熱素子によって、インクリボン41を介して転写フィルム46に画像を形成する。この際に、インクリボン41と転写フィルム46とは同じ速度で搬送される。
【0065】
供給スプール43は、正転及び逆転可能なDCモータであるモータMr3に連結されている。供給スプール43は、モータMr3が正転駆動した際のモータMr3の駆動力で回転して、インクリボン41を巻出方向(
図2において上方向)に搬送して巻き出す。また、供給スプール43は、モータMr3が逆転駆動した際のモータMr3の駆動力で回転して、インクリボン41を巻出方向と反対方向(
図2において下方向)に搬送して巻き取る。
【0066】
巻取スプール44は、正転及び逆転可能なDCモータであるモータMr1に連結されている。巻取スプール44は、モータMr1が正転駆動した際のモータMr1の駆動力で回転して、インクリボン41を巻出方向に搬送して巻き取る。また、巻取スプール44は、モータMr1が逆転駆動した際のモータMr1の駆動力で回転して、インクリボン41を巻出方向と反対方向に搬送して巻き出す。
【0067】
プラテンローラ45は、印刷部Bが
図4に示す待機状態である場合に、サーマルヘッド40から離間した離間位置に位置し、印刷部Bが
図5に示す印刷状態に移行した際に、サーマルヘッド40に圧接する。即ち、プラテンローラ45は、サーマルヘッド40に圧接する位置と、サーマルヘッド40から離間する待機位置と、の間で移動可能になっている。プラテンローラ45は、サーマルヘッド40に圧接した際に、転写フィルム46の幅方向への圧接力が均一となるように作用する。
【0068】
プラテンローラ45とサーマルヘッド40とは、搬送される転写フィルム46に対して画像を形成する画像形成部B1を構成している。
【0069】
巻取スプール47は、図示しないギヤを介してモータMr2に連結されており、モータMr2の回転駆動力が伝達されて回転して、転写フィルム46を巻き出すか又は巻き取る。
【0070】
供給スプール48は、図示しないギヤを介してモータMr4に連結されており、モータMr4の回転駆動力が伝達されて回転して、転写フィルム46を巻き取るか又は巻き出す。
【0071】
フィルム搬送ローラ49は、図示しないステッピングモータに連結されており、ステッピングモータが駆動することにより回転して転写フィルム46を搬送する。フィルム搬送ローラ49は、転写フィルム46の搬送量及び搬送停止位置を決定するための主要な駆動ローラである。
【0072】
ブラケット50は、回動可能にハウジング2に取り付けられている。ブラケット50は、カム53の回動により回動する。
【0073】
ブラケット50Aは、回動可能にハウジング2に取り付けられており、基板87を備えている。ブラケット50Aは、カム53Aの回動によりサーマルヘッド40に対して進出又は退避する。
【0074】
張力受け部材52は、ブラケット50に固定されており、
図4に示すように、ブラケット50の軸支82側の端部と反対側の端部に設けられている。
【0075】
張力受け部材52Aは、ブラケット50Aに固定されており、
図4に示すように、ブラケット50Aの軸支83側の端部と反対側の端部に設けられている。
【0076】
カム53及びカム53Aには、ベルト98が張架されている。カム53及びカム53Aは、同一の図示しない駆動モータにより駆動される。
【0077】
プラテン支持部材72は、プラテンローラ45を回転可能に支持している。プラテン支持部材72には、バネ部材99が接続されている。
【0078】
基板87には、バネ部材97を介して剥離コロ支持部材88が設けられていると共に、バネ部材99の一端が当接している。
【0079】
剥離コロ支持部材88は、バネ部材97を介して基板87に一対設けられており、剥離コロ25を回転自在に支持している。剥離コロ支持部材88は、剥離部材28に対する転写フィルム46の幅方向の圧接力が均一となるように構成されている。
【0080】
バネ部材97は、基板87と剥離コロ支持部材88との間において伸縮自在に設けられており、転写フィルム46の幅方向における圧接力を均一にするために設けられている。
【0081】
ベルト98は、カム53とカム53Aとに張架されており、カム53及びカム53Aの駆動によって回転する。
【0082】
バネ部材99は、基板87とプラテン支持部材72との間において伸縮自在に設けられている。
【0083】
センサSe2は、後述のインクリボン41に設けられているエンプティマーク及びK(ブラック)のインクパネル(以下、「Kパネル」と記載する)を検出するための透過型センサである。センサSe2は、センサ制御部103の制御によって動作する。センサSe2は、エンプティマーク又はKパネルの検出結果を制御部100に出力する。
【0084】
<媒体収容部の構成>
本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の媒体収容部Cの構成について、
図2を参照しながら、詳細に説明する。
【0085】
媒体収容部Cは、分離開口7と、ピックアップローラ19と、を備えている。
【0086】
分離開口7は、収容されているカードCaを搬入ローラ22に供給する。
【0087】
ピックアップローラ19は、収容されているカードCaを最前列のカードCaから順次分離開口7に繰り出す。
【0088】
<収容部の構成>
本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の収容部Dの構成について、
図2を参照しながら、詳細に説明する。
【0089】
収容部Dは、収容スタッカ60と、昇降機構61と、を備えている。
【0090】
収容スタッカ60は、印刷部Bから搬送されてきたカードCaを収容する。
【0091】
昇降機構61は、収容スタッカ60を
図2において下方に移動するように構成されている。
【0092】
<回動ユニットの構成>
本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の回動ユニットFの構成について、
図2を参照しながら、詳細に説明する。
【0093】
回動ユニットFは、ローラ対20及びローラ対21と、搬入ローラ22と、回動フレーム80と、を備えている。
【0094】
ローラ対20及びローラ対21は、回動フレーム80に回転自在に支持されている。ローラ対20及びローラ対21は、媒体搬送路65を形成している。ローラ対20及びローラ対21は、搬入ローラ22、搬送ローラ29、非接触式IC記録部23、磁気記録部24又は接触式IC記録部27によって搬送されてくるカードCaを回動フレーム80内に搬入する。
【0095】
ローラ対20及びローラ対21は、回動フレーム80内に搬入したカードCaを媒体搬送路65において、搬送ローラ29、非接触式IC記録部23、磁気記録部24又は接触式IC記録部27に向けて搬送する。ローラ対20及びローラ対21は、非接触式IC記録部23、磁気記録部24又は接触式IC記録部27から回動フレーム80内に搬入したカードCaを、媒体搬送路65において搬送ローラ29に向けて搬送する。
【0096】
搬入ローラ22は、分離開口7から繰り出されるカードCaを回動フレーム80に向けて搬送する。
【0097】
回動フレーム80は、ハウジング2に回動可能に軸支されている。
【0098】
<インクリボンの構成>
本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1に装着されるインクリボン41の構成について、
図7を参照しながら、詳細に説明する。
【0099】
図7において、
図7(a)は、インクリボン41の斜視図であり、
図7(b)は、インクリボン41の平面図であり、
図7(c)は、インクリボン41の側面図である。
【0100】
インクリボン41は、インクリボンカセット42に設けられたインクリボン41を供給する供給スプール43とインクリボン41を巻き取る巻取スプール44との間で張架された状態でインクリボンカセット42に収納されている。
【0101】
インクリボン41は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のインクパネルとKパネルとを長手方向に面順次に繰り返すことで構成されている。顔料インクのインクリボン41は、各色の印画を形成するインク層411、412、413及び414と、サーマルヘッド40の過熱制御によりインクの剥離を促す剥離層415と、を備えている。インクリボン41は、インク層411、412、413及び414と剥離層415とを保持する基層416を備えている。インクリボンの種類によっては、Kパネルの後にPr(プライマー層)を備えるものもある。また、インクリボン41の終端部には、インクリボン41の使用限界を示す図示しないエンプティマークが付されている。
【0102】
<印刷部の動作>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の印刷部Bの動作について、
図8から
図10を参照しながら、詳細に説明する。
【0103】
転写フィルム46は、モータMr4の駆動により回転する供給スプール48より繰り出されると共に、モータMr2の駆動により回転する巻取スプール47に巻き取られる。
【0104】
転写フィルム46の搬送量、搬送停止位置、サーマルヘッド40による印刷開始位置及び転写部B2におけるカードCaに対する転写位置は、フィルム搬送ローラ49の駆動を制御することによって決まる。
【0105】
具体的には、制御部100は、転写フィルム46の搬送による移動量、即ち印刷が施される印刷領域の搬送方向の長さを、フィルム搬送ローラ49に設けられた図示しないエンコーダによって検出する。制御部100は、このエンコーダによる検出結果に応じて、アクチュエータ制御部104よりフィルム搬送ローラ49を駆動する図示しないステッピングモータへ出力されるパルス数を管理し、又はフィルム搬送ローラ49の回転を停止する。これにより、制御部100は、転写フィルム46の搬送量、搬送停止位置、印刷開始位置及び転写位置を制御することができる。
【0106】
また、制御部100は、フィルム搬送ローラ49の回転を停止する際に、アクチュエータ制御部104によりモータMr1、モータMr2、モータMr3及びモータMr4の駆動も停止させる。
【0107】
印刷部Bが
図8に示す待機状態である場合には、カム53及びカム53Aは
図4に示す状態にあり、ピンチローラ32a及びピンチローラ32bはフィルム搬送ローラ49に圧接していない。また、プラテンローラ45とサーマルヘッド40とは、圧接せずに互いに離間した離間位置に位置している。
【0108】
この待機状態において、カム53及びカム53Aは連動して回転を開始する。これにより、印刷部Bは、ピンチローラ32a及びピンチローラ32bがフィルム搬送ローラ49に転写フィルム46を巻き付けると共に、張力受け部材52が転写フィルム46に当接して
図9に示す搬送状態になる。
【0109】
この際に、ピンチローラ32a及びピンチローラ32bは、フィルム搬送ローラ49に対して進出及び退避するように移動可能に構成されており、フィルム搬送ローラ49に対して進出して圧接することで転写フィルム46をフィルム搬送ローラ49に巻き付ける。これにより、転写フィルム46は、フィルム搬送ローラ49の回転数に応じた距離の正確な搬送が行われる。
【0110】
そして、搬送状態において、カム53及びカム53Aは連動して更に回転する。これにより、印刷部Bは、ブラケット50Aがカム53Aの回動によりサーマルヘッド40に対して進出して、プラテンローラ45がサーマルヘッド40に圧接すると共に、剥離コロ25が剥離部材28に圧接して
図10に示す印刷状態になる。このような印刷状態では、プラテンローラ45とサーマルヘッド40とによって転写フィルム46とインクリボン41とを挟持及び圧接すると共に、剥離コロ25と剥離部材28とによって転写フィルム46とインクリボン41とを挟持及び圧接する。
【0111】
この印刷状態において、転写フィルム46はフィルム搬送ローラ49の回転により搬送が開始されると共に、インクリボン41はモータMr1の動作により巻取スプール44によって巻き取られ、転写フィルム46とインクリボン41とは同じ方向に搬送される。また、フィルム搬送ローラ49が再び正方向への回転を行って転写フィルム46を印刷準備位置から印刷開始位置に移動させてサーマルヘッド40に対する位置合わせ(頭出し)行う。
【0112】
この際に、バネ部材99は、プラテンローラ45がサーマルヘッド40に圧接した際に、転写フィルム46の幅方向における圧接力が均一となるように作用する。これにより、転写フィルム46がフィルム搬送ローラ49により搬送される際におけるスキュー(斜行)を防止することができると共に、転写フィルム46の印刷領域が幅方向にずれることを防止することができる。従って、サーマルヘッド40による転写フィルム46への画像形成を正確に行うことができる。
【0113】
そして、転写フィルム46に設けた図示しない位置出し用マークがセンサSe1を通過して所定量移動し、転写フィルム46が印刷開始位置に到達した際に、転写フィルム46の所定領域にサーマルヘッド40による印刷が行われる。サーマルヘッド40の複数の加熱素子によってインクリボン41を介して転写フィルム46に画像を形成する際に、インクリボン41と転写フィルム46とは同一速度で搬送される。
【0114】
印刷が終了したインクリボン41と転写フィルム46とは、剥離コロ25と剥離部材28とによって挟持されて引き剥がされる。そして、引き剥がされたインクリボン41はモータMr1の駆動力で巻取スプール44に巻き取られ、転写フィルム46はフィルム搬送ローラ49により転写部B2まで搬送される。
【0115】
印刷中の転写フィルム46の張力は、大きく、フィルム搬送ローラ49からピンチローラ32a及びピンチローラ32bを離間させる方向、及び剥離部材28及びサーマルヘッド40から剥離コロ25及びプラテンローラ45を離間させる方向に働く。
【0116】
この際に、張力受け部材52及び張力受け部材52Aが転写フィルム46の張力を受けていることにより、ピンチローラ32a及びピンチローラ32bの圧接力が低下することがないため、正確な転写フィルム46の搬送を行うことができる。また、サーマルヘッド40とプラテンローラ45との圧接力、及び剥離部材28と剥離コロ25との圧接力も低下することがないため、正確な印刷及び剥離を行うことができる。
【0117】
転写フィルム46の張力は、張力受け部材52Aが上述の張力受け部材52と同様にブラケット50Aに固定されているため、張力受け部材52A及びブラケット50Aを介してカム53Aで受けることになる。従って、張力受け部材52Aは、転写フィルム46の張力に負けることはない。これにより、サーマルヘッド40とプラテンローラ45との圧接力、及び剥離部材28と剥離コロ25との圧接力が保たれるので、良好な印刷及び剥離を行うことができる。また、フィルム搬送ローラ49の駆動時に転写フィルム46の搬送量に誤差を生じることがなく、印刷領域の長さ分が正確にサーマルヘッド40に搬送されて精度よく印刷することができる。
【0118】
このように、印刷状態及び搬送状態の動作は、全て又は所定のインクパネルのインクによる印刷が終了するまで繰り返される。そして、サーマルヘッド40による印刷が終了した際に、転写フィルム46の画像形成領域をヒートローラ33まで搬送し、待機状態となって転写フィルム46への圧接を解除する。
【0119】
そして、転写部B2では、転写フィルム46はカードCaと共にヒートローラ33及びプラテンローラ31とで挟持されて、転写フィルム46上の画像がカードCaの表面に転写される転写処理を行う。また、カードCaの表面に画像を転写した後の転写フィルム46は、巻取スプール47によって搬送されて巻き取られる。この際に、転写フィルム46とカードCaとは同一速度で搬送される。
【0120】
制御部100は、転写処理において、アクチュエータ制御部104により、カードCaと転写フィルム46の所定領域(または次の領域)に形成された画像とが同期して転写部B2に到着するように制御する。
【0121】
転写処理されたカードCaは、デカール機構36においてヒートローラ33による熱転写で生じたカールを矯正された後に、収容スタッカ60に向けて排出される。これにより、印刷ルーチンを終了する。
【0122】
<コード形成処理>
本発明の実施の形態に係るコード形成処理について、
図11から
図13を参照しながら、詳細に説明する。なお、
図13は、
図12の破線で囲った部分を拡大した図である。
【0123】
図11に示すコード形成処理は、画像形成装置1において画像形成ジョブが開始されたタイミングで開始される。
【0124】
まず、制御部100は、1次転写処理を実行する(S1)。具体的には、制御部100は、アクチュエータ制御部104によりインクリボン41及び転写フィルム46を搬送する。また、制御部100は、上位装置201より入力された印刷データに基づいて、サーマルヘッド制御部105によりサーマルヘッド40の複数の加熱素子を選択的に加熱制御して、インクリボン41を介して転写フィルム46に画像を形成する。そして、制御部100は、アクチュエータ制御部104によりインクリボン41及び転写フィルム46を搬送して、印刷を終了したインクリボン41と転写フィルム46とを剥離コロ25と剥離部材28とによって引き剥がす。
【0125】
転写フィルム46から引き剥がされたインクリボン41は、巻取スプール44に巻き取られる。また、インクリボン41から引き剥がされた転写フィルムは、転写部B2に向けて搬送される。
【0126】
次に、制御部100は、操作表示制御部106によりオペパネ部5に入力された1つの画像形成ジョブにおいて使用するインクリボン41のKパネルの数が1枚であるか否かを判定する(S2)。
【0127】
制御部100は、インクリボン41のKパネルの数が1枚である場合に(S2:Yes)、アクチュエータ制御部104により転写フィルム46を次の画像形成ジョブの頭出しライン書き込み位置に移動させる(S3)。また、制御部100は、アクチュエータ制御部104によりインクリボン41を前の画像形成ジョブで使用したKパネルの先端を書き込み位置に移動させる(S3)。
【0128】
ここで、インクリボン41の1インクパネル当たりの巻出方向における長さとしては、110mm程度を用意されている。また、カードCaの搬送方向における規格の長さは、85.6mmである。この際に、1次転写処理においてカードCaの転写領域をインクリボン41の中心付近にした場合に、インクリボン41の各色のインクパネルの巻出方向の両端には、転写領域外の未使用領域である非画像形成領域が約10mm程度できる。
【0129】
例えば、
図12に示すように、インクリボン41の1インクパネル当たりの巻出方向(
図12において左方向)における長さを111mmとした場合に、インクリボン41の1インクパネルの巻出方向の両端には、12mmの非画像形成領域R1ができる。なお、この場合に、インクリボン41の1インクパネルの巻出方向の中央付近には、85.6mmの画像形成領域R2ができる。
【0130】
次に、制御部100は、アクチュエータ制御部104及びサーマルヘッド制御部105により、Kパネルの巻出方向の先端の未使用領域に対して、転写処理により種別情報としてのコード(ON/OFFパターン)を形成する(S4)。具体的には、制御部100は、Kパネルの巻出方向の先端の12mmの未使用領域に対して、転写処理によりコードを形成する。
【0131】
制御部100は、Y、M、C、K、Y、M、C、K、・・・のインクパネルパターン(YMCKインクリボンであること)を示す例えば
図13(c)の1mm幅の白帯2本のコードを形成する。
【0132】
そして、制御部100は、アクチュエータ制御部104により転写フィルム46とインクリボン41とを次の画像形成ジョブの待機位置まで移動させた後に、画像形成ジョブを終了してコード形成処理を終了する。
【0133】
一方、制御部100は、インクリボン41のKパネルの数が2枚である場合に(S2:No)、アクチュエータ制御部104により転写フィルム46を次の画像形成ジョブの頭出しライン書き込み位置に移動させる(S5)。また、制御部100は、アクチュエータ制御部104によりインクリボン41を前の画像形成ジョブで使用した1面目のKパネルの先端を書き込み位置に移動させる(S5)。ここで、1面目のKパネルとは、1つのカードCaの印刷に使用される2つのKパネルのうちのカードCaの表面のカラー印刷に使用されるKパネルである。
【0134】
次に、制御部100は、アクチュエータ制御部104及びサーマルヘッド制御部105により、Kパネルの巻出方向の先端の未使用領域に対して、転写処理により白帯を形成する(S6)。
【0135】
制御部100は、2面目のKパネルにコードが形成されていることを示す例えば
図13(a)の9mm幅の白帯を1面目のKパネルに形成する。ここで、2面目のKパネルとは、1つのカードCaの印刷に使用される2つのKパネルのうちのカードCaの裏面の白黒印刷に使用されるKパネルである。
【0136】
次に、制御部100は、アクチュエータ制御部104により転写フィルム46を再度次の画像形成ジョブの頭出しライン書き込み位置に移動させる(S7)。また、制御部100は、アクチュエータ制御部104によりインクリボン41を前の画像形成ジョブで使用した2面目のKパネルの先端を書き込み位置に移動させる(S7)。
【0137】
そして、制御部100は、ステップS4の処理を行う。制御部100は、Y、M、C、K、K、Y、M、C、K、K、・・・のインクパネルパターン(YMCKUKインクリボンであること)を示す例えば
図13(d)の1mm幅の白帯3本のコードを2面目のKパネルに形成する。
【0138】
図13に示すコードをKパネルに形成することにより、制御部100はインクリボン41の種別を容易に決定することができる。
【0139】
<インクリボン種別判定処理>
本発明の実施の形態に係るインクリボン種別判定処理について、
図13及び
図14を参照しながら、詳細に説明する。
【0140】
図14に示すインクリボン種別判定処理は、マイコン102の図示しないRAMにインクリボン41の種別に関する情報が記憶されていない状態に陥った場合の画像形成装置1の起動時に実行される。インクリボン41の種別に関する情報が記憶されていない状態は、画像形成装置1の電源を切る、又はインクリボンカセット42を画像形成装置1から抜き出す等の場合に起こり得る。
【0141】
図14に示すインクリボン種別判定処理は、インクリボン41を装着したインクリボンカセット42及び転写フィルム46を装着したフィルムカセットを、セット位置に挿入セットして、最初の画像形成動作を開始するタイミングで開始される。
【0142】
まず、制御部100は、アクチュエータ制御部104によりモータMr1を駆動させてインクリボン41を巻き取り側である巻取スプール44側へ所定量搬送させる。この際に、制御部100は、モータMr3の軸上に取り付けられた図示しないエンコーダからのクロックの変化量を計測して、インクリボン41が装着されていることを確認する。
【0143】
次に、制御部100は、インクリボン41の径を算出すると共に、アクチュエータ制御部104によりモータMr3を駆動して、インクリボン41の供給側である供給スプール43側への搬送を開始して巻き戻しを開始する(S11)。
【0144】
次に、制御部100は、インクリボン41が巻き戻せるか否かを判定する(S12)。
【0145】
制御部100は、インクリボン41が巻き戻せる場合に(S12:Yes)、インクリボン41の巻出方向の先端ではないと判断して、アクチュエータ制御部104によりモータMr1を駆動させてインクリボン41を巻き出す。
【0146】
また、制御部100は、センサ制御部103によりセンサSe2を制御して、センサSe2により未使用のKパネル、又は使用済みインクパネルを取り除いたインクリボン41のKパネルを検出して見つける(S13)。
【0147】
この際に、制御部100は、
図13(b)に示す非画像形成領域R1において巻出方向の先端から10mm以上連続する黒色領域を検出した場合に、未使用のKパネル又は使用済みインクパネルを取り除いたインクリボン41のKパネルであると判断する。また、制御部100は、Kパネルが巻出方向の先端から10mm以上連続する黒色(べた黒)領域を検出した際に、巻出方向の次のKパネルを見に行く指示であると判断する。これにより、未使用のKパネル又は使用済みインクパネルを取り除いたインクリボン41のKパネルを容易に判断することができる。
【0148】
次に、制御部100は、アクチュエータ制御部104によりモータMr3を駆動させて使用済みのインクリボン41を巻き戻す。また、制御部100は、センサ制御部103によりセンサSe2を制御して、センサSe2により一つ前のKパネルの巻出方向の後端を検出して見つける(S14)。
【0149】
次に、制御部100は、センサ制御部103及びアクチュエータ制御部104により、ステップS14で見つけたKパネルの巻出方向の先端がセンサSe2により検出されるまで、モータMr3を駆動させて使用済みのインクリボン41を更に巻き戻す(S15)。
【0150】
そして、制御部100は、Kパネルの巻出方向の先端がセンサSe2により検出された際に、Kパネルの巻出方向の先端がセンサSe2の上流に来るまで、アクチュエータ制御部104によりモータMr3を駆動させて使用済みのインクリボン41を更に巻き戻す。この際に、制御部100は、Kパネルの巻出方向における後端から先端までの搬送量と、モータMr1の回転数と、モータNr3の回転数と、より巻取スプール44の径及び供給スプール43の径を算出する。
【0151】
次に、制御部100は、アクチュエータ制御部104によりモータMr1を駆動させてインクリボン41を巻き出す。例えば、制御部100は、センサSe2によってKパネルの巻出方向の先端を検出した後に、アクチュエータ制御部104によって
図12の場合には12mm搬送する。また、制御部100は、センサ制御部103によりセンサSe2によってコードのON/OFFパターンを検出して読み取る(S16)。このように、エンプティマークを検出するセンサSe2によってコードを検出することにより、コードを検出するための専用のセンサを新たに設ける必要をなくすることができ、コストの増大を抑制することができる。
【0152】
次に、制御部100は、ON/OFFパターンの有無を判定する(S17)。
【0153】
制御部100は、ON/OFFパターンが無い場合に(S17:No)、ステップS14の処理に戻る。
【0154】
一方、制御部100は、ON/OFFパターンが有る場合に(S17:Yes)、読み取ったON/OFFパターンに基づいてインクリボン41の種別を決定する(S18)。具体的には、制御部100は、マイコン102の図示しないROMに予め記憶されているコードとインクリボン41の種別とを対応付けたテーブルを参照して、読み取ったコードに対応付けられているインクリボン41の種別を決定する。
【0155】
この際に、制御部100は、ON/OFFパターンにおいて所定幅以上の白帯を検出した場合に、2面目のKパネルのON/OFFパターンを見に行く指示であるため、アクチュエータ制御部104によってインクリボン41を巻き出す。そして、制御部100は、センサ制御部103によってセンサSe2を制御して、センサSe2によって2面目のKパネルを検出し、2面目のKパネルに形成されているON/OFFパターンに基づいてインクリボン41の種別を決定する。
【0156】
例えば、制御部100は、
図13(c)のON/OFFパターンを読み取った場合に、Y、M、C、K、Y、M、C、K、・・・のインクパネルパターンを有するインクリボン41の種別を決定する。また、制御部100は、
図13(d)のON/OFFパターンを読み取った場合に、Y、M、C、K、K、Y、M、C、K、K、・・・のインクパネルパターンを有するインクリボン41の種別を決定する。
【0157】
制御部100は、このようにして決定したインクリボン41の種別の決定結果をマイコン102の記憶手段としての図示しないRAMに記憶する。
【0158】
次に、制御部100は、アクチュエータ制御部104によりモータMr1を駆動させてインクリボン41を巻き戻した分だけ巻き出して巻取スプール44で巻き取り、未使用のインクパネルの書き込み開始位置を書き出し開始位置まで搬送する(S19)。そしてその後に、制御部100は、インクリボン種別判定処理を終了する。
【0159】
一方、制御部100は、エンコーダによりモータMr1及びモータMr3の回転数を検出できず、インクリボン41が巻けない場合に(S12:No)、新品の又は使用済みインクパネルを取り除いたインクリボン41であると判断する(S20)。
【0160】
次に、制御部100は、既存の径&パネル確定シーケンスに移行し(S21)、その後にインクリボン種別判定処理を終了する。
【0161】
具体的には、制御部100は、モータMr1を駆動してインクリボン41を巻取方向に搬送させて、センサSe2でKパネルを3回検出する。また、制御部100は、モータMr1の回転数とモータMr3の回転数に基づいて、1回目の検出位置と2回目の検出位置との間のインクリボン41の長さ、及び2回目の検出位置と3回目の検出位置とのインクリボン41の長さを算出する。
【0162】
そして、制御部100は、これらのKパネルのインクパネル間の長さの算出結果に基づいて、インクリボン41の種類及びインクリボン41の残量を判定する。制御部100は、判定したインクリボン41の種類に対応するコードを、
図11に示すコード形成処理を実行してKパネルに形成する。これにより、次回からはステップS13以降の処理を実行することができるので、インクリボンの巻き精度の低下を抑制することができ、異常画像に至るような問題を防ぐことができる。
【0163】
なお、制御部100は、ステップS21の処理に代えて、画像形成ジョブを停止して、インクリボン41の種別の情報の入力を促す表示又は音声を出力するようにしてもよい。これにより、インクリボン41の種別が確実に入力されるようにすることができる。
【0164】
制御部100は、上記のインクリボン種別判定処理を実行した後に、印刷工程に移る。この際に、制御部100は、例えば、
図13(c)のコードを検出した場合にYMCKインクリボンによる印刷処理を行い、
図13(d)のコードを検出した場合にYMCKUKインクリボンによる印刷処理を行う。
【0165】
上記のインクリボン種別判定処理を実行することにより、インクリボン41の種別を決定するためのインクリボン41の巻き出し及び巻き戻し作業を、使用済みのインクリボン41の範囲で行うことができる。また、インクリボン41の種別の決定に必要なインクリボン41の巻き出し及び巻き戻し動作は前の画像形成ジョブのKパネルまでであるため、巻き精度を乱す可能性を減少させることができ、インクリボン41の種別の決定に要する時間を短縮することができる。
【0166】
また、画像形成装置の起動時においてRAMにインクリボン41の種別の決定結果が記憶されていない場合に、最初の画像形成動作においてインクリボン41の種別を決定することにより、処理負荷を軽減することができる。
【0167】
本実施の形態では、転写処理を行った後のインクリボン41を巻出方向と反対方向に搬送して、インクリボン41の使用済みのKパネルの非画像形成領域に形成されているインクリボン41の種別を示すコードに基づいて、インクリボン41の種別を決定する。これにより、コストを増大させることなく、インクリボン41の巻き精度の低下に伴う画像不良を引き起こすことなく、インクリボン41の種別を決定することができる。
【0168】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【0169】
具体的には、1つのインクパネルパターンに2つのKパネルを含む場合に、2つのKパネルのうち、一方にコードを形成すると共に、他方に一方にコードが形成されていることを示す情報を形成することができる。即ち、1つのインクパネルパターンの中にKパネルが2つある場合に、1面目のKパネルにインクリボン41の種別を示すコードを形成し、1面目のKパネルに種別を示すコードが形成されていることを示すコードを2面目のKパネルに形成してもよい。これにより、1つのインクパネルパターンに2つのKパネルを含む場合に、2つのKパネルのうちの何れか一方又は他方のコードに基づいてインクリボン41の種別を決定することができる。
【0170】
また、コードが形成されているKパネルとコードが形成されていないKパネルとの境界を検出する制御を組み込むことで、インクリボン41の読み飛ばし、又は使用済みインクリボン41の再使用による印刷ミスを防止することも可能になる。
【0171】
また、コードにインクリボン41の種別の情報に加えて、インクリボン41の残量の情報を含めてもよい。
【0172】
また、ニアエンプティー動作を行う場合等に、転写フィルム46側に転写されるコードに転写フィルム46の種類又は残量の情報を含めて、センサSe1によってこれらの情報を検出するようにしてもよい。これにより、転写フィルム46側において、転写フィルム46の種類又は残量を検知するための搬送動作を削減することが可能となる。
【0173】
また、黒色の使用済みのインクパネルの非画像形成領域にコードを形成する場合に限らず、黒色以外の色の使用済みのインクパネルの非画像形成領域にコードを形成してもよい。
【符号の説明】
【0174】
A 情報記録部
B 印刷部
B1 画像形成部
B2 転写部
C 媒体収容部
Ca カード
D 収容部
F 回動ユニット
1 画像形成装置
5 オペパネ部
25 剥離コロ
28 剥離部材
31 プラテンローラ
40 サーマルヘッド
41 インクリボン
42 インクリボンカセット
43 供給スプール
44 巻取スプール
45 プラテンローラ
46 転写フィルム
100 制御部
102 マイコン
103 センサ制御部
104 アクチュエータ制御部
105 サーマルヘッド制御部
200 画像形成システム