(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20241122BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B65D51/22 120
B65D47/08 100
(21)【出願番号】P 2020166374
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2020031259
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020094557
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】早川 茂
(72)【発明者】
【氏名】立藏 亮
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-338253(JP,A)
【文献】特開2015-067360(JP,A)
【文献】特開2017-007729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/22
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、
前記キャップ本体にヒンジ回りに回動可能に連結され、前記注出口を開閉自在に覆う有頂筒状の蓋体と、
前記注出口の開口縁部に弱化部を介して連結されて当該注出口を閉塞する閉塞体と、
前記蓋体に対する下方移動が規制可能な状態で装着され、前記キャップ本体及び前記閉塞体よりも硬質な材料で形成された抜栓体と、
を備え、
前記閉塞体には、第1閉塞体係止部が設けられ、
前記抜栓体には、前記第1閉塞体係止部に対して下方から係止する第2閉塞体係止部が設けられて
おり、
前記キャップ本体、前記蓋体及び前記閉塞体が同じ材料で一体的に形成されていることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
前記閉塞体が、外筒部と、前記外筒部の内側に配設された軸部と、を有し、前記外筒部及び前記軸部の少なくとも一方には、前記第1閉塞体係止部が形成され、
前記抜栓体が、前記第2閉塞体係止部が形成され、前記外筒部と前記軸部との間に嵌装されている脚部を有することを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
前記蓋体の頂壁部には、前記抜栓体が挿入される挿入孔が形成されており、
前記蓋体が、前記挿入孔内に位置し、前記抜栓体のヘッド部を下方から支持する支持部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
前記ヘッド部が、前記挿入孔内に嵌合されており、
前記挿入孔の内周面と前記ヘッド部の外周面とには、互いに嵌合する凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
前記蓋体の頂壁部には、前記抜栓体が挿入される挿入孔が形成されており、
前記抜栓体が、前記挿入孔内に前記頂壁部に対して、前記蓋体によってさらなる下方移動が規制されるまで下方移動可能に収容されたヘッド部と、前記ヘッド部から下方に延在し、前記第2閉塞体係止部が形成された脚部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項6】
前記挿入孔の内周面には、第1蓋体係止部が設けられ、
前記ヘッド部には、当該ヘッド部が前記蓋体に対して下方へ移動した後に前記第1蓋体係止部に下方から係止可能な第2蓋体係止部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のヒンジキャップ。
【請求項7】
前記ヘッド部が、前記閉塞体に当接していることを特徴とする請求項5または6に記載のヒンジキャップ。
【請求項8】
前記閉塞体が、前記注出口を閉塞する閉塞板部と、前記閉塞板部に設けられ、前記抜栓体が取り付けられた抜栓体取付部と、を有し、
前記蓋体の頂壁部及び前記閉塞板部のうちの少なくとも一方には、前記蓋体の前記頂壁部及び前記閉塞板部のうちの他方に向けて延在し、前記蓋体の前記頂壁部に対する前記閉塞板部の移動を規制する移動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項9】
前記移動規制部が、前記注出口の周縁部に沿って延在する壁状をなしていることを特徴とする請求項8に記載のヒンジキャップ。
【請求項10】
前記蓋体の頂壁部には、前記抜栓体が挿入される挿入孔が形成されており、
前記閉塞体が、前記注出口を閉塞する閉塞板部と、前記抜栓体が取り付けられ、少なくとも一部が前記閉塞板部から下方に突出する抜栓体取付部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項11】
前記頂壁部には、下方に向けて延在して前記抜栓体を案内する案内筒部が設けられていることを特徴とする請求項3から7、10のいずれか1項に記載のヒンジキャップ。
【請求項12】
前記閉塞体が、前記抜栓体が内装または外装される抜栓体取付部を有し、
前記抜栓体取付部または前記抜栓体の周面には、上下方向に延在しかつ前記第1閉塞体係止部または前記第2閉塞体係止部が形成されたリブ部が設けられており、
前記第1閉塞体係止部が、雄ネジ部及び雌ネジ部のうちの一方であり、
前記第2閉塞体係止部が、前記雄ネジ部及び前記雌ネジ部のうちの他方であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のヒンジキャップ。
【請求項13】
前記キャップ本体の天板部には、前記注出口を囲む弾性変位部が形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のヒンジキャップ。
【請求項14】
前記抜栓体が、前記蓋体に対する下方移動が規制された状態で装着されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、キャップ本体にヒンジ回りに回動可能に連結され、注出口を開閉自在に覆う有頂筒状の蓋体と、注出口の開口縁部に弱化部を介して連結されて注出口を閉塞する閉塞体と、を備えるヒンジキャップが提案されている。
このようなヒンジキャップでは、閉塞体に抜栓用のプルリングが設けられており、蓋体をキャップ本体に対してヒンジ回りに回動させた後にプルリングを引き上げて弱化部を破断させることによって注出口を開放している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなヒンジキャップでは、蓋体をキャップ本体から取り外した後にプルリングを引き上げる操作を行う必要があるので、開封時の操作性について改善の余地があった。
そこで、本発明は、開封時の操作性を向上させたヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明のヒンジキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジ回りに回動可能に連結され、前記注出口を開閉自在に覆う有頂筒状の蓋体と、前記注出口の開口縁部に弱化部を介して連結されて当該注出口を閉塞する閉塞体と、前記蓋体に対する下方移動が規制可能な状態で装着され、前記キャップ本体及び前記閉塞体よりも硬質な材料で形成された抜栓体と、を備え、前記閉塞体には、第1閉塞体係止部が設けられ、前記抜栓体には、前記第1閉塞体係止部に対して下方から係止する第2閉塞体係止部が設けられており、前記キャップ本体、前記蓋体及び前記閉塞体が同じ材料で一体的に形成されていることを特徴とする。
【0006】
この発明では、抜栓体がキャップ本体及び閉塞体よりも硬質な材料で形成されており、蓋体をキャップ本体に対してヒンジ回りに回動させたときに抜栓体が変形しにくいので、抜栓体の第1閉塞体係止部と閉塞体の第2閉塞体係止部との係止状態が解除されにくくなる。そのため、蓋体をキャップ本体に対してヒンジ回りに回動させる動作中であっても第1閉塞体係止部及び第2閉塞体係止部の係止状態が安定して維持され、抜栓体は、蓋体と共にヒンジ回りに回動し、弱化部を破断して閉塞体を引き上げ、注出口を開放させる。これにより、開封時の操作性を向上させることができる。
【0007】
また、本発明のヒンジキャップでは、前記閉塞体が、外筒部と、前記外筒部の内側に配設された軸部と、を有し、前記外筒部及び前記軸部の少なくとも一方には、前記第1閉塞体係止部が形成され、前記抜栓体が、前記第2閉塞体係止部が形成され、前記外筒部と前記軸部との間に嵌装されている脚部を有してもよい。
この発明では、抜栓体が外筒部と軸部とによって挟み込まれているので、第1閉塞体係止部と第2閉塞体係止部との係止状態がより解除されにくくなる。そのため、蓋体をキャップ本体に対してヒンジ回りに回動させる動作に伴って、弱化部をより確実に破断させることができる。
【0008】
また、本発明のヒンジキャップでは、前記蓋体の頂壁部には、前記抜栓体が挿入される挿入孔が形成されており、前記蓋体が、前記挿入孔内に位置し、前記抜栓体のヘッド部を下方から支持する支持部を有してもよい。
この発明では、蓋体をキャップ本体に対してヒンジ回りに回動させるときに支持部からヘッド部へと上向きへの力をスムーズに伝達させることができる。これにより、弱化部をさらに確実に破断させることができる。
【0009】
また、本発明のヒンジキャップでは、前記ヘッド部が、前記挿入孔内に嵌合されており、前記挿入孔の内周面と前記ヘッド部の外周面とには、互いに嵌合する凹凸部が形成されてもよい。
この発明では、挿入孔の内周面及びヘッド部の外周面に形成された凹凸部を互いに嵌合させることにより、容器本体にヒンジキャップを装着させた状態で蓋体の外部と内部との間の液密性が向上する。これにより、例えば容器本体内に内容物を充填し、ヒンジキャップを装着し、さらに内容物を加熱した後に内容物を冷却する目的で蓋体に水をかけたときに、冷却用の水が蓋体と抜栓体との間を通って蓋体の内側に進入することを抑制できる。
【0010】
また、本発明のヒンジキャップでは、前記蓋体の頂壁部には、前記抜栓体が挿入される挿入孔が形成されており、前記抜栓体が、前記挿入孔内に前記頂壁部に対して、前記蓋体によってさらなる下方移動が規制されるまで下方移動可能に収容されたヘッド部と、前記ヘッド部から下方に延在し、前記第2閉塞体係止部が形成された脚部と、を有してもよい。
この発明では、蓋体をキャップ本体に対してヒンジ回りに回動させる、すなわち、開封操作を行うと、抜栓体が挿入孔内を蓋体に対して下方に移動する。これにより、抜栓体の位置から、開封操作が行われたことを容易に判断することができる。
【0011】
また、本発明のヒンジキャップでは、前記挿入孔の内周面には、第1蓋体係止部が設けられ、前記ヘッド部には、当該ヘッド部が前記蓋体に対して下方へ移動した後に前記第1蓋体係止部に下方から係止可能な第2蓋体係止部が設けられてもよい。
この発明では、抜栓体が挿入孔内を蓋体に対して下方に移動したときに第1蓋体係止部と第2蓋体係止部とが係止するので、抜栓体が挿入孔内を蓋体に対した再び上方に移動することを抑制できる。
【0012】
また、本発明のヒンジキャップでは、前記ヘッド部が、前記閉塞体に当接していてもよい。
この発明では、抜栓体に対して上方から加えられた力などによって抜栓体が意図せず挿入孔内を蓋体に対して下方に移動することを抑制できる。
【0013】
また、本発明のヒンジキャップは、前記閉塞体が、前記注出口を閉塞する閉塞板部と、前記閉塞板部に設けられ、前記抜栓体が取り付けられた抜栓体取付部と、を有し、前記蓋体の頂壁部及び前記閉塞板部のうちの少なくとも一方には、前記蓋体の前記頂壁部及び前記閉塞板部のうちの他方に向けて延在し、前記蓋体の前記頂壁部に対する前記閉塞板部の移動を規制する移動規制部が設けられてもよい。
この発明では、注出口の開放後に蓋体を閉じた状態で、ヒンジキャップを装着した容器を例えば振ったり倒したりしてヒンジキャップに振動を加えても、閉塞板部ががたついて閉塞板部とキャップ本体のうち注出口の開口縁部との間の隙間が広がることを抑制する。これにより、内容物が閉塞板部とキャップ本体のうち注出口の開口縁部との間の隙間から閉塞板部と蓋体との間の空間に流入することを抑制し、使用時にヒンジキャップが汚れることを抑制できる。
【0014】
また、本発明のヒンジキャップは、前記移動規制部が、前記注出口の周縁部に沿って延在する壁状をなしてもよい。
この発明では、移動規制部が壁状をなしているので、たとえ内容物が閉塞板部とキャップ本体のうち注出口の開口縁部との間の隙間から上記空間に流入しても、ヒンジキャップを再度開放したときに上記空間内に流入している内容物が零れ落ちることを抑制できる。そのため、使用時にヒンジキャップが汚れることをさらに抑制できる。
【0015】
また、本発明のヒンジキャップは、前記蓋体の頂壁部には、前記抜栓体が挿入される挿入孔が形成されており、前記閉塞体が、前記注出口を閉塞する閉塞板部と、前記抜栓体が取り付けられ、少なくとも一部が前記閉塞板部から下方に突出する抜栓体取付部と、を有してもよい。
この発明では、蓋体の頂壁部に形成されている挿入孔を通して抜栓体を閉塞体に装着する際に、抜栓体取付部による抜栓体の案内長さが長くなり、抜栓体を抜栓体取付部に対して安定して取り付けることができる。
【0016】
また、本発明のヒンジキャップは、前記頂壁部には、下方に向けて延在して前記抜栓体を案内する案内筒部が設けられてもよい。
この発明では、抜栓体を取り付ける際に、抜栓体が抜栓体取付部に到達する前に案内筒部によって案内されるため、抜栓体を抜栓体取付部に対してより安定して取り付けることができる。
【0017】
また、本発明のヒンジキャップは、前記閉塞体が、前記抜栓体が内装または外装される抜栓体取付部を有し、前記抜栓体取付部または前記抜栓体の周面には、上下方向に延在しかつ前記第1閉塞体係止部または前記第2閉塞体係止部が形成されたリブ部が設けられており、前記第1閉塞体係止部が、雄ネジ部及び雌ネジ部のうちの一方であり、前記第2閉塞体係止部が、前記雄ネジ部及び前記雌ネジ部のうちの他方であってもよい。
この発明では、抜栓体の第2閉塞体係止部として形成されているネジ山をリブ部に転写することによって抜栓体取付部に第1閉塞体係止部を形成すること、または、抜栓体取付部の第1閉塞体係止部として形成されているネジ山をリブ部に転写することによって抜栓体に第2閉塞体係止部を形成することができる。
【0018】
また、本発明のヒンジキャップでは、前記キャップ本体の天板部には、前記注出口を囲む弾性変位部が形成されてもよい。
この発明では、例えば蓋体を下方に向けた状態で落下させたときの衝撃など、蓋体に加わった衝撃が閉塞体に伝達されたときに、天板部のうち弾性変位部よりも内側の部分及び閉塞体がこの弾性変位部を起点として弾性変位する。これにより、弱化部に過剰な衝撃がかかって破断されることを抑制できる。
【0019】
また、本発明のヒンジキャップでは、前記抜栓体が、前記蓋体に対する下方移動が規制された状態で装着されてもよい。
この発明では、抜栓体が蓋体に対して下方へ移動しないように装着されているので、蓋体をキャップ本体に対してヒンジ回りに回動させる際に、蓋体をヒンジ回りに回動させる力をより確実に抜栓体に伝達させ、弱化部を破断させることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明にかかるヒンジキャップによれば、蓋体をキャップ本体に対してヒンジ回りに回動させたときに、抜栓体の第1閉塞体係止部と閉塞体の第2閉塞体係止部との係止状態が解除されにくくなるので、蓋体と共にキャップ本体に対してヒンジ回りに回動する抜栓体が閉塞体を引き上げて注出口をより確実に開放させることができ、開封時の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかるヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図2】
図1のキャップ本体の一部及び閉塞体を示す上面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態にかかるヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図4】
図3のヒンジキャップの使用状態を示す軸方向断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態にかかるヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態を適用可能な他のヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態を適用可能な他のヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態を適用可能な他のヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図9】本発明の第4実施形態にかかるヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態を適用可能な他のヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図11】本発明の第4実施形態を適用可能な他のヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図12】本発明の第5実施形態にかかるヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【
図13】本発明の第5実施形態を適用可能な他のヒンジキャップを示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明によるヒンジキャップの第1実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能とするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態にかかるヒンジキャップ1は、
図1に示すように、有頂円筒状をなしており、例えば液状の内容物を収容する有底円筒状の容器本体2の口部3に装着されている。
なお、図示の例では、容器本体2の口部3及びヒンジキャップ1は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸をキャップ軸Oとし、キャップ軸Oに沿ってヒンジキャップ1側を上側、容器本体2側を下側とし、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向、キャップ軸Oに交差する方向を径方向と称する。また、径方向のうち後述するヒンジ12側を後側、その反対側を前側と称し、径方向のうち前後方向に交差する方向を左右方向と称する。
【0023】
ヒンジキャップ1は、容器本体2の口部に装着され、内容物を注出する注出口11Aが形成された有頂円筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11にヒンジ12回りに回動可能に連結され、注出口11Aを開閉自在に覆う有頂円筒状の蓋体13と、注出口11Aの開口縁部に弱化部14を介して連結されて注出口11Aを閉塞する閉塞体15と、蓋体13に対する下方移動が規制された状態で装着された抜栓体16、を備えている。これらキャップ本体11及び蓋体13は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。
【0024】
キャップ本体11は、前後方向に長い長円状の注出口11Aが形成された平面視で円状の天板部21と、天板部21の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の装着筒部22と、装着筒部22よりも径方向内側において天板部21から上方に向けて延在する円筒状の取付筒部23と、取付筒部23よりも径方向内側において天板部21から下方に向けて延在する円筒状の嵌合筒部24と、嵌合筒部24よりも径方向内側において天板部21から上方に向けて延在する円筒状の注出筒部25と、を有する。これら天板部21、装着筒部22、取付筒部23、嵌合筒部24及び注出筒部25は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。また、キャップ本体11、蓋体13及び閉塞体15は、例えばLLDPEやLDPEのような低密度ポリエチレンで一体的に形成されている。なお、キャップ本体11、蓋体13及び閉塞体15は、他の樹脂材料などから形成されてもよい。
【0025】
天板部21に形成されている注出口11Aは、
図2に示すように、前方に向けて凸となる卵形状をなす前方部11Bと、前方部11Bの後端部から後方に向けて延在する尾部11Cと、を有する。尾部11Cの左右方向の幅は、前方部11Bの左右方向の幅よりも狭くなっている。
天板部21のうち径方向で嵌合筒部24が形成されている部分、すなわち径方向で取付筒部23と注出筒部25との間にある部分には、
図1に示すように、平面視で円環状をなし、上方に開口する薄肉化溝部21Aが形成されている。これにより、天板部21のうち嵌合筒部24と注出筒部25との間にある平面視で円環状をなす部分は、他の部分と比較して薄肉化された薄肉部(弾性変位部)21Bとなっている。この薄肉部21Bは、弱化部14よりも下方に位置している。そのため、天板部21のうち薄肉部21Bよりも径方向内側の部分及び閉塞体15は、薄肉部21Bを起点として下方に弾性変位しやすくなっている。また、薄肉部21Bは、弱化部14よりも肉厚に設定されている。
【0026】
装着筒部22は、口部3の径方向外側に配設されている。装着筒部22の下端部の内周面には、口部3の外周面に形成されて径方向外側に向けて突出する第1装着突部3Aに対して下方から係止し、径方向内側に向けて突出する第2装着突部22Aが形成されている。
取付筒部23は、取付筒部23の上端部の外周面には、径方向外側に向けて突出する第1取付突部23Aが形成されている。
【0027】
嵌合筒部24は、装着筒部22と共に口部3の上端部を径方向で挟み込む。なお、嵌合筒部24の下端は、装着筒部22の下端よりも上方に位置している。
注出筒部25は、上方に向かうにしたがって径方向外側に向かうように傾斜している。注出筒部25の前端部は、注出筒部25の後端部よりも上方に位置している。そのため、注出筒部25の上端縁は、前側から後側に向かうにしたがって漸次下側に向かうように傾斜している。なお、注出筒部25の後端の上端縁は、取付筒部23の上端縁よりも上方に位置する。
【0028】
蓋体13は、平面視で円状の頂壁部31と、頂壁部31の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の周筒部32と、周筒部32よりも径方向内側において頂壁部31から下方に向けて延在する円筒状の内筒部33と、を有する。これら頂壁部31、周筒部32及び内筒部33は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。
頂壁部31のうちキャップ軸Oよりも前側の部分には、頂壁部31を上下方向に貫通する平面視で円状の挿入孔31Aが形成されている。以下、挿入孔31Aの中心軸を抜栓軸O’と称し、抜栓軸O’回りに周回する方向を抜栓周方向、抜栓軸O’に交差する方向を抜栓径方向と称する。
【0029】
頂壁部31の内周面には、抜栓径方向外側に向けて陥没するシール凹部(凹凸部)31Bが形成されている。また、頂壁部31は、挿入孔31Aの開口縁部から下方に向けて延在する円筒状の上筒部34と、上筒部34の下端部から抜栓径方向内側に向けて突出する平面視で円環状の支持部35と、支持部35の内周縁から下方に向けて延在する円筒状の囲繞筒部(案内筒部)36と、を有する。これら上筒部34、支持部35及び囲繞筒部36は、抜栓軸O’と同軸に配設されている。
上筒部34の前端部は、周筒部32の前端部に連なっている。
囲繞筒部36は、後述する外筒部43を外側から囲んでおり、平面視で前方に向けて開口したC字状をなしている。これにより、囲繞筒部36が内筒部33の前端部と干渉することが回避される。
【0030】
周筒部32の下端部の内周面には、径方向外側に向けて突出し、取付筒部23の第1取付突部23Aに対して下方から係止する第2取付突部32Aが形成されている。また、周筒部32の下端部のうち前端部には、前方に向けて突出するツマミ部32Bが形成されている。そして、周筒部32の後端部の下端部は、ヒンジ12を介して天板部21の後縁部に連結されている。これにより、周筒部32の前端部が他の部分と比較して径方向に弾性変形しやすくなり、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる際に、周筒部32の前端部において第2取付突部32Aと第1取付突部23Aとの係止状態を解除させやすくしている。
【0031】
内筒部33は、注出筒部25よりも径方向内側に配設されており、内筒部33の下端部は、注出筒部25の内周面に当接している。また、内筒部33の前端部は、注出筒部25の後端部よりも上方に位置している。そのため、内筒部33の下端縁は、前側から後側に向かうにしたがって漸次下側に向かうように傾斜している。なお、内筒部33のうち前端部は、支持部35の前端部に連なっている。
【0032】
閉塞体15は、注出口11Aと同様に平面視で前後方向に長い長円状をなす閉塞板部41と、閉塞板部41の前端部から上方に向けて突出する円柱状の抜栓体取付部42と、を有する。この抜栓体取付部42は、抜栓軸O’と同軸に配設されている。
閉塞板部41のうち抜栓体取付部42が形成されている部分には、閉塞板部41を上下方向に貫通して抜栓体取付部42の頂部に向けて窪む凹部41Aが形成されている。
抜栓体取付部42の上端部には、上方に向けて延在する円筒状の外筒部43と、外筒部43の内側において上方に向けて延在する円柱状の軸部44と、が形成されている。これら外筒部43及び軸部44は、抜栓軸O’と同軸に配設されている。
【0033】
外筒部43の内周面には、抜栓径方向外側に向けて陥没する閉塞体係止凹部(第1閉塞体係止部)43Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。閉塞体係止凹部43Aは、上端縁から下方に向かうにしたがって漸次抜栓径方向外側に向かうように傾斜する第1傾斜面と、第1傾斜面の下端に連なり、下方に向かうにしたがって漸次抜栓径方向内側に向かうように傾斜する第2傾斜面と、を有する。ここで、抜栓軸O’と第1傾斜面とのなす角度は、抜栓軸O’と第2傾斜面とのなす角度よりも大きい。外筒部43の上端縁は、支持部35の上面とほぼ同一面となっている。外筒部43のうち前端部を除く部分は、囲繞筒部36によって抜栓径方向外側から囲まれている。
【0034】
軸部44の上端部は、軸部44の下端部よりも小径に形成されている。また、軸部44の上端は、外筒部43の上側の閉塞体係止凹部43Aよりも上方ではあるが外筒部43の上端よりも下方に位置している。
なお、閉塞体15とキャップ本体11の天板部21とを連結する弱化部14の破断強度は、例えば20N以上30N以下とされている。
【0035】
抜栓体16は、平面視で円状のヘッド部51と、ヘッド部51の中央部から下方に向けて延在する円筒状の脚筒部(脚部)52と、を有する。これらヘッド部51及び脚筒部52は、抜栓軸O’と同軸に配設されている。抜栓体16は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)など、キャップ本体11、蓋体13及び閉塞体15よりも硬質の材料で形成されている。なお、抜栓体16は、キャップ本体11、蓋体13及び閉塞体15よりも硬質の材料であれば、他の樹脂材料などから形成されてもよい。
ヘッド部51は、支持部35の上面に載置されており、ヘッド部51の上面は、頂壁部31の上面ほぼ同一面となっている。また、ヘッド部51の外周面には、抜栓径方向外側に向けて突出し、シール凹部31Bと嵌合するシール突部(凹凸部)51Aが形成されている。
【0036】
脚筒部52は、外筒部43と軸部44との間に嵌装されており、外筒部43と軸部44とによって抜栓径方向で挟み込まれている。そして、脚筒部52の外周面には、抜栓径方向外側に向けて突出し、閉塞体係止凹部43Aと各別に係止する閉塞体係止突部(第2閉塞体係止部)52Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。閉塞体係止突部52Aは、閉塞体係止凹部43Aに対して下方から係止している。閉塞体係止突部52Aは、閉塞体係止凹部43Aと同様に、上端縁から下方に向かうにしたがって漸次抜栓径方向外側に向かうように傾斜する第1傾斜面と、第1傾斜面の下端に連なり、下方に向かうにしたがって漸次抜栓径方向内側に向かうように傾斜する第2傾斜面と、を有する。ここで、抜栓軸O’と第1傾斜面とのなす角度は、抜栓軸O’と第2傾斜面とのなす角度よりも大きい。また、脚筒部52の上端部の内径は、脚筒部52の下端部の内径よりも小径とされている。
なお、抜栓体16の脚筒部52と閉塞体15の外筒部43及び軸部44との間の抜け強度は、40N以上とされており、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させたときに、弱化部14が破断する前に抜栓体16の脚筒部52が閉塞体15の外筒部43と軸部44との間から抜け出ることを回避する。
【0037】
抜栓体16は、蓋体13をキャップ本体11に装着させた状態で挿入孔31Aに挿入されて打栓機(図示略)などを用いて脚筒部52を外筒部43と軸部44との間に打ち込むことにより、蓋体13に装着される。そして、ヒンジキャップ1は、打栓機(図示略)などを用いて容器本体2の口部3に装着される。なお、ヒンジキャップ1は、容器本体2内に内容物を充填した後に容器本体2の口部3に装着されており、装着後、内容物に応じて加熱殺菌された後に冷却用のシャワー水をかけることによって冷却される。
【0038】
次に、以上のような構成のヒンジキャップ1の使用方法を概略的に説明する。
まず、蓋体13のツマミ部32Bを引き上げ、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる。このとき、抜栓体16のヘッド部51が支持部35によって蓋体13に対する下方への移動が規制されているので、抜栓体16は、蓋体13と共にキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動する。また、閉塞体15の外筒部43に形成されている閉塞体係止凹部43Aに対して抜栓体16の脚筒部52に形成されている閉塞体係止突部52Aが下方から係止しているので、抜栓体16のヒンジ12回りの回動に伴って、閉塞体15にも上方に向かう力が作用する。
【0039】
この上方に向かう力により、弱化部14が破断され、閉塞体15がキャップ本体11の天板部21から分離し、注出口11Aが開放される。弱化部14は、前端部から後端部に向けて順に破断される。ここで、閉塞体15とキャップ本体11の天板部21とを連結する弱化部14の破断強度が抜栓体16の脚筒部52と閉塞体15の外筒部43及び軸部44との間の抜け強度よりも小さいので、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させたときに、弱化部14が破断する前に抜栓体16の脚筒部52が閉塞体15の外筒部43と軸部44との間から抜け出ることが回避される。
【0040】
キャップ本体11の天板部21から分離した閉塞体15は、抜栓体16によって保持される。
その後、容器本体2を傾けるなどして容器本体2内の内容物を注出口11Aから適宜注出する。そして、内容物の注出後、蓋体13をヒンジ12回りに回動させて注出口11Aを閉じる。
以上のようにして、ヒンジキャップ1を使用する。
【0041】
以上、本実施形態にかかるヒンジキャップ1によれば、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させたときに、抜栓体16、特に脚筒部52の変形が抑制されており、抜栓体16の閉塞体係止突部52Aと閉塞体15の閉塞体係止凹部43Aとの係止状態が解除されにくいので、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる動作によって注出口11Aをより確実に開放させることができ、開封時の操作性を向上させることができる。
【0042】
また、抜栓体16の脚筒部52が外筒部43と軸部44とによって挟み込まれており、脚筒部52の抜栓径方向での弾性変形が抑制されているので、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させるときに抜栓体16が閉塞体15から抜けて分離されることをより確実に防止できる。さらに、抜栓体16のヘッド部51が蓋体13の支持部35によって下方から支持されているので、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させるときに蓋体13を引き上げる力をヘッド部51にスムーズに伝達させることができる。これらにより、弱化部14をより確実に破断させることができる。
【0043】
その上、蓋体13のシール凹部31Bと抜栓体16のシール突部51Aとが互いに嵌合しているので、抜栓体16が蓋体13に対して液密に装着され、例えばヒンジキャップ1を容器本体2の口部3に装着した後に内容物を加熱殺菌し、冷却する際に、冷却用のシャワー水が蓋体13の外部から蓋体13の内部に進入することが防止される。
【0044】
また、蓋体13にかかる衝撃が閉塞体15に伝達したときに、天板部21に形成された薄肉部21Bを起点として、天板部21のうち薄肉部21Bよりも径方向内側の部分及び閉塞体15が下方に弾性変位するので、弱化部14にこの衝撃が過剰に加わって弱化部14が破断されることを抑制する。
【0045】
次に、本発明のヒンジキャップの第2実施形態について説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
本実施形態にかかるヒンジキャップ100は、
図3に示すように、キャップ本体11と、蓋体101と、閉塞体102と、抜栓体103と、を備えている。
蓋体101の頂壁部110は、上筒部111、支持部112及び囲繞筒部(案内筒部)113を有しており、頂壁部110の内周面には、シール凹部31Bが形成されている。シール凹部31Bの下端縁は、抜栓径方向内側に向けて突出する第1蓋体係止突部(第1蓋体係止部)110Aによって画成されている。なお、第1蓋体係止突部110Aは、シール凹部31Bとは別個に、シール凹部31Bの下端縁よりも下方に離間して形成されてもよい。
閉塞体102の外筒部120の上端部は、支持部112の上面よりも上方に突出している。また、外筒部120のうち後側部分には、後方に向けて突出するリブ部120Aが上下方向に延在して形成されている。リブ部120Aの上端は、囲繞筒部113の下端に当接または近接している。
【0047】
抜栓体103は、ヘッド部130及び脚筒部52を有する。ヘッド部130は、挿入孔31A内に収容されている。なお、ヘッド部130は、少なくとも部分的に挿入孔31A内に収容されていればよい。また、ヘッド部130の上端部の外周面には、抜栓径方向外側に向けて突出し、シール凹部31Bと嵌合する第2蓋体係止突部(第2蓋体係止部)130Aが形成されている。この第2蓋体係止突部130Aは、第1蓋体係止突部110Aに対して下方から係止可能となっている。ヘッド部130の下面は、外筒部120の上端に当接または近接しており、ヘッド部130の下面と支持部112の上面との間には、空隙が形成されている。ヘッド部130の周縁部には、上面から下方に向けて延在する平面視で円状の弾性変形溝部130Bが形成されている。
【0048】
以上のような構成のヒンジキャップ100の使用方法は、第1実施形態にかかるヒンジキャップ1と同様であるが、
図4に示すように、蓋体101をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させると、脚筒部52が外筒部120に対して下方から係止しているので、抜栓体103は、蓋体101の挿入孔31A内を蓋体101に対して下方に移動し、第2蓋体係止突部130Aは、第1蓋体係止突部110Aを乗り越える。そして、ヘッド部130の下面が支持部112の上面に当接すると共に、ヘッド部130の第2蓋体係止突部130Aが蓋体101の第1蓋体係止突部110Aに対して下方から係止可能となる。
【0049】
このとき、ヘッド部130の周縁部に弾性変形溝部130Bが形成されており、ヘッド部130の周縁部の上端部が抜栓径方向内側に弾性変形しやすくなっているので、ヘッド部130の第2蓋体係止突部130Aは、シール凹部31Bとの嵌合状態から容易に解除され、蓋体101に対して下方に移動する。また、第2蓋体係止突部130Aが第1蓋体係止突部110Aに対して下方から係止可能となっているので、ヘッド部130が挿入孔31A内で蓋体101に対して上方へ移動することは、規制されている。さらに、抜栓体103の上端が頂壁部31の上端よりも下方に位置しているので、いったん挿入孔31A内に入り込んだ抜栓体103が再び蓋体101に対して第2蓋体係止突部130Aを越えて上方へ移動することが抑制される。
【0050】
この状態で蓋体101をキャップ本体11に対してヒンジ12回りにさらに回動させると、上述した第1実施形態にかかるヒンジキャップ1と同様に、弱化部14が破断され、閉塞体102がキャップ本体11の天板部21から分離し、注出口11Aが開放される。
その後、内容物を適宜注出した後、蓋体101をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させ、注出口11Aを閉じる(リキャップする)。ここで、注出口11Aの開放時に抜栓体103が蓋体101に対してヘッド部130と支持部112との間の上下方向の空隙分だけ下方に移動しているので、抜栓体103が保持している閉塞体102は、注出口11Aの開放前と比較して、上記空隙分だけ蓋体101に対して下方に移動している。そのため、注出口11Aを閉じると、閉塞体102は、注出筒部25内へより深く進入する。これにより、閉塞体102の外周縁と注出筒部25の内周面とが密接して当接し、より良好なシール性が確保される。
以上のようにして、ヒンジキャップ100を使用する。
【0051】
以上、本実施形態にかかるヒンジキャップ100によれば、第1実施形態にかかるヒンジキャップ1と同様の作用、効果を奏するが、開封操作を行うと抜栓体103が挿入孔31A内を蓋体101に対して下方に移動するので、抜栓体103の位置に応じて開封操作が行われたことを容易に判断できる。
また、抜栓体103が挿入孔31A内を蓋体101に対して下方に移動すると、第1蓋体係止突部110Aと第2蓋体係止突部130Aとが係止し、抜栓体103が蓋体101に対して再び上方に移動することを抑制できる。
さらに、ヘッド部130の下面が閉塞体102の外筒部120の上端に当接または近接しており、外筒部120がヘッド部130を下方から支持しているので、抜栓体103が意図せず挿入孔31A内を蓋体101に対して下方に移動することを抑制できる。
【0052】
次に、本発明のヒンジキャップの第3実施形態について説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
本実施形態にかかるヒンジキャップ200は、
図5に示すように、キャップ本体201と、蓋体202と、閉塞体203と、抜栓体204と、を備えている。
キャップ本体201における装着筒部22の上端部の内周面には、上下方向に延在する溝部22Bが全周にわたって形成されている。
蓋体202の頂壁部210は、平面視で円状をなす挿入孔210Aの開口縁部の下端部から抜栓径方向内側に向けて延在する平面視で円環状の支持部211と、支持部211の内周縁部から下方に向けて延在する円筒状の囲繞筒部(案内筒部)212と、囲繞筒部212よりも径方向外側に配設された蓋側移動規制壁部(移動規制部)213と、を有する。
【0054】
囲繞筒部212は、抜栓径方向の厚さが薄い円筒状の上側囲繞筒部214と、上側囲繞筒部214の下端に連設され、抜栓径方向の厚さが上側囲繞筒部214よりも厚い下側囲繞筒部215と、を有する。上側囲繞筒部214と下側囲繞筒部215との接続部分には、段部が形成されている。上側囲繞筒部214の下端部には、抜栓径方向内側に突出する第1蓋体係止突部(第1蓋体係止部)214Aが形成されている。また、上側囲繞筒部214は、上述のように抜栓径方向の厚さを薄くしているため、抜栓径方向外側へ屈曲しやすくなっている。
【0055】
蓋側移動規制壁部213は、注出口11Aの開口縁部よりも径方向内側において注出口11Aに沿って延在しており、前方に向けて開口するC字状をなしている。蓋側移動規制壁部213の下端部は、内筒部33よりも下方に位置している。蓋側移動規制壁部213の下端部は、内筒部33よりも下方に位置している。
また、頂壁部210のうち蓋側移動規制壁部213の後端部における径方向内側には、下方に向けて延在する移動規制リブ部(図示略)が設けられている。この移動規制リブ部の後縁部は、蓋側移動規制壁部213に連なっている。
【0056】
閉塞体203は、閉塞板部221と、抜栓体取付部222と、閉塞板部221の外周縁部に形成された円筒状の閉塞側移動規制壁部(移動規制部)223と、を有する。
抜栓体取付部222は、外筒部224と、軸部225と、を有している。外筒部224の上端面は、囲繞筒部212の下端面に当接または近接している。軸部225の上端縁は、外筒部224の上端縁よりも上方に位置している。
外筒部224の内周面には、抜栓径方向外側に向けて陥没する閉塞体係止凹部(第1閉塞体係止部)224Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。
【0057】
閉塞側移動規制壁部223は、注出口11Aの開口縁部及び蓋側移動規制壁部213よりも径方向内側において注出口11Aに沿って延在しており、蓋側移動規制壁部213と同様に、前方に向けて開口するC字状をなしている。閉塞側移動規制壁部223の上端部における外周面は、蓋側移動規制壁部213の下端部における内周面と当接している。また、閉塞側移動規制壁部223の後端部は、周方向で上記移動規制リブ部と位置合わせされており、上記移動規制リブ部(図示略)の下端部に当接または近接している。なお、閉塞側移動規制壁部223の外周面及び蓋側移動規制壁部213の内周面には、互いに係止する係止突部などを形成してもよい。
また、閉塞板部221のうち閉塞側移動規制壁部223よりも径方向外側には、閉塞板部221から上方に向けて延在する封止周壁部226が全周にわたって形成されている。封止周壁部226の上端は、内筒部33の下端部よりも下方に位置しており、封止周壁部226は、上下方向で内筒部33から離間している。また、封止周壁部226の内周縁は、閉塞側移動規制壁部223の外周面に連なっている。
【0058】
抜栓体204は、ヘッド部231及び脚筒部(脚部)232を有する。ヘッド部231は、挿入孔210A内に収容されており、支持部211上に載置された円板状体である上側ヘッド部233と、上側ヘッド部233の下面に接続され、囲繞筒部212の内側に配設された円柱状の下側ヘッド部234と、を有する。
上側ヘッド部233は、平面視で円状の中央部分から抜栓径方向外側に向けて突出する突出部が抜栓周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では5つ)形成されおり、平面視では開いた花びら状をなしている。
下側ヘッド部234の下端部の外周面には、抜栓径方向外側に向けて突出し、第1蓋体係止突部214Aに対して下方から係止可能な第2蓋体係止突部(第2蓋体係止部)234Aが形成されている。
脚筒部232の外周面には、抜栓径方向外側に向けて突出し、閉塞体係止凹部224Aと各別に係止する閉塞体係止突部(第2閉塞体係止部)232Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。
【0059】
以上のような構成のヒンジキャップ200の使用方法は、第1実施形態にかかるヒンジキャップ100と同様であるが、蓋体202をキャップ本体201に対してヒンジ12回りに回動させると、脚筒部232が抜栓体取付部222に対して下方から係止しているので、抜栓体204のヘッド部231は、囲繞筒部212に対して下方に移動しようとする。しかし、ヘッド部231の上側ヘッド部233が支持部211上に載置されているため、ヘッド部231が囲繞筒部212に対して下方に移動することが制限される。
【0060】
ここで、蓋体202をキャップ本体201に対してヒンジ12回りに回動させる力によって、薄肉の部材として形成されている上側ヘッド部233は、下方に向けて撓み、それに伴い、同様に薄肉の部材として形成されている支持部211は、下方に向けて撓むと共に、上側囲繞筒部214は、抜栓径方向外側に向けて撓む。これにより、下側ヘッド部234の上端部は、囲繞筒部212に対して下方に移動する。
そして、下側ヘッド部234の第2蓋体係止突部234Aは、囲繞筒部212の第1蓋体係止突部214Aに対して下方から係止する。これにより、下側ヘッド部234が囲繞筒部212に対して上方に移動することが規制されるため、上側ヘッド部233の変形状態が維持される。
【0061】
この状態で蓋体202をキャップ本体201に対してヒンジ12回りにさらに回動させると、上述した第1実施形態にかかるヒンジキャップ1と同様に、弱化部14が破断され、閉塞体203がキャップ本体201の天板部21から分離し、注出口11Aが開放される。
その後、内容物を適宜注出した後、蓋体202をキャップ本体201に対してヒンジ12回りに回動させ、注出口11Aを閉じる(リキャップする)。
注出口11Aを開放させた後、閉塞板部221は、抜栓体204による保持及び蓋側移動規制壁部213と閉塞側移動規制壁部223との係合によって、支持されている。そのため、例えばドレッシングなどの内容物を撹拌する目的でヒンジキャップ200が装着された容器本体2を振ったり、ヒンジキャップ200が装着された容器本体2を転倒させたりした場合であっても、閉塞体203(特に閉塞板部221)が蓋体202に対してがたつくことなど、移動することが規制される。これにより、容器本体2内の内容物が閉塞体203の閉塞板部221と蓋体202の頂壁部210との間の空間に進入することが抑制される。
【0062】
以上、ヒンジキャップ200によれば、第1実施形態にかかるヒンジキャップ1と同様の作用、効果を奏するが、閉塞板部221が抜栓体204による保持及び蓋側移動規制壁部213と閉塞側移動規制壁部223との係合によって支持されており、注出口11Aの開放後に蓋体202を閉じた状態で容器本体2に振動が加わっても、閉塞板部221が蓋体202に対して移動して閉塞板部221と天板部21の内縁部との間の隙間が広がることが規制される。そのため、容器本体2内の内容物が上記隙間を通って閉塞体203の閉塞板部221と蓋体202の頂壁部210との間の空間に進入することが抑制される。このとき、蓋側移動規制壁部213及び閉塞側移動規制壁部223がC字状をなす壁部として形成されているので、内容物が上記空間に進入することがより確実に抑制されると共に、たとえ内容物が上記空間に流入しても蓋体202を再度開いたときに上記空間内の内容物が上記空間から零れ出ることを抑制できる。また、蓋体202を閉じたときに閉塞板部221が注出口11Aの開放前よりも下方に移動していたとしても、天板部21のうち注出口11Aの開口縁部と封止周壁部226とが接触することによって、注出口11Aを通して内容物が上記空間に流入することを抑制できる。さらに、封止周壁部226により、蓋体202を閉じたときに封止周壁部226の上端が注出口11Aよりも下方まで移動したとしても、内容物が上記空間に流入しにくくなる。
【0063】
さらに、蓋体202をキャップ本体201に対してヒンジ12回りに回動させて注出口11Aを開放させると、上側ヘッド部233が上側囲繞筒部214と共に屈曲変形し、上側ヘッド部233の変形状態(花びら状)が維持されるので、抜栓体204の形状に応じて開封操作が行われたことを容易に判断できる。
【0064】
なお、蓋側移動規制壁部213及び閉塞側移動規制壁部223は、平面視でC字状に形成されているが、注出口11Aを開放させた後の蓋体202及び閉塞体203の相対的な移動を規制することができれば、周方向の全周に形成されていても、周方向に延在する壁状をなしていなくてもよく、周方向の延在長さを短くしてもよい。ここで、周方向の延在長さを短くした場合には、蓋側移動規制壁部213及び閉塞側移動規制壁部223は、抜栓体204よりもヒンジ12側に設けられていることが好ましい。抜栓体204と蓋側移動規制壁部213及び閉塞側移動規制壁部223とにより、蓋体202及び閉塞体203の相対的な移動を効果的に規制できる。
また、蓋側移動規制壁部213及び閉塞側移動規制壁部223は、平面視で注出口11Aの開口縁部に近接して設けられているが、例えばキャップ軸Oの近傍など、注出口11Aの開口縁部から径方向内側に離間した位置に設けられてもよい。
さらに、封止周壁部226が設けられていなくてもよい。
【0065】
図6は、第3実施形態にかかるヒンジキャップ200を適用可能な他の態様のヒンジキャップ250を示している。このヒンジキャップ250は、上述したヒンジキャップ200と同様の構成を有しているが、このヒンジキャップ250では、蓋側移動規制壁部213が設けられておらず、閉塞体251の閉塞側移動規制壁部(移動規制部)252が、蓋体253の頂壁部254の下面に当接または近接している。
また、このヒンジキャップ250の頂壁部254には、平面視で円状の挿入孔254Aが形成されており、頂壁部254は、円環状の支持部261と、囲繞筒部(案内筒部)262と、を有する。囲繞筒部262は、上側囲繞筒部263及び下側囲繞筒部264を有し、上側囲繞筒部263と下側囲繞筒部264との接続部分には、段部が形成されている。
【0066】
抜栓体271は、ヘッド部272及び脚筒部232を有する。ヘッド部272は、挿入孔254A内に収容されており、支持部211上に載置された円板状の上側ヘッド部273と、上側ヘッド部273の下面に接続され、囲繞筒部262の内側に配設された円柱状の下側ヘッド部274と、を有する。下側ヘッド部274の周縁部は、上側囲繞筒部263と下側囲繞筒部264との接続部分にある上記段部上に載置されている。
このような構成のヒンジキャップ250においても、上述したヒンジキャップ200と同様の作用、効果を奏する。
【0067】
図7は、第3実施形態にかかるヒンジキャップ200を適用可能なさらなる態様のヒンジキャップ280を示している。このヒンジキャップ280は、上述したヒンジキャップ250と同様の構成を有しているが、このヒンジキャップ280では、閉塞体281に閉塞側移動規制壁部223が設けられておらず、蓋体282の蓋側移動規制壁部(移動規制部)283が、閉塞体281の閉塞板部221の上面に当接または近接している。
このような構成のヒンジキャップ280においても、上述したヒンジキャップ200と同様の作用、効果を奏する。
【0068】
図8は、第3実施形態にかかるヒンジキャップ200を適用可能なさらなる態様のヒンジキャップ290を示している。このヒンジキャップ290は、上述したヒンジキャップ250と同様の構成を有しているが、蓋体291の蓋側移動規制壁部(移動規制部)292と閉塞体293の閉塞側移動規制壁部(移動規制部)294とは、上下方向で互いに向かい合うように延在しており、互いに近接または当接している。
このような構成のヒンジキャップ290においても、上述したヒンジキャップ200と同様の作用、効果を奏する。
【0069】
次に、本発明のヒンジキャップの第4実施形態について説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
本実施形態にかかるヒンジキャップ300は、
図9に示すように、キャップ本体201と、蓋体301と、閉塞体302と、抜栓体303と、を備えている。
蓋体301の頂壁部311は、平面視で円状をなす挿入孔311Aの開口縁部の下端部から抜栓径方向内側に向けて延在する平面視で円環状の支持部312と、支持部312の内周縁部から下方に向けて延在する円筒状の囲繞筒部(案内筒部)313と、蓋側移動規制壁部213と、を有する。
囲繞筒部313は、上側囲繞筒部314及び下側囲繞筒部315を有し、上側囲繞筒部314と下側囲繞筒部315との接続部分には、段部が形成されている。
【0071】
閉塞体302は、閉塞板部321と、閉塞板部321に形成された開口部の開口縁部から下方に向けて延在する有底円筒状の抜栓体取付部322と、閉塞側移動規制壁部223と、を有する。
抜栓体取付部322は、有底円筒状の外筒部323と、外筒部323の底壁部の中央部から上方に向けて延在する円筒状の軸部324と、を有する。外筒部323の内周面には、抜栓径方向外側に向けて陥没する閉塞体係止凹部(第1閉塞体係止部)323Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。
【0072】
抜栓体303は、ヘッド部331及び脚筒部(脚部)332を有する。
ヘッド部331は、挿入孔311A内に収容されており、支持部312上に載置された円板状の上側ヘッド部333と、上側ヘッド部333の下面に接続され、囲繞筒部313の内側に配設された円柱状の下側ヘッド部334と、を有する。下側ヘッド部334の周縁部は、上側囲繞筒部314と下側囲繞筒部315との間にある上記段部上に載置されている。
脚筒部332の下端部は、抜栓体取付部322の外筒部323と軸部324との間に挿入されており、脚筒部332の下端部の内周面には、抜栓径方向外側に向けて突出し、閉塞体係止凹部323Aと各別に係止する閉塞体係止突部(第2閉塞体係止部)332Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。
【0073】
このような構成のヒンジキャップ300の抜栓体303は、蓋体301を閉じた状態で蓋体301に対して打栓したり押し込んだりすることによって、閉塞体302の抜栓体取付部322に取り付けられる。ここで、抜栓体303は、囲繞筒部313及び外筒部323によって案内されながら、外筒部323に取り付けられる。
以上のような構成のヒンジキャップ300の使用方法は、第1実施形態にかかるヒンジキャップ1と同様である。
【0074】
以上、ヒンジキャップ300によれば、抜栓体取付部322が閉塞板部321よりも下方に延在しており、挿入孔311Aを通して抜栓体303を抜栓体取付部322に装着する際に、抜栓体303が抜栓体取付部322によって案内されるため、抜栓体303を抜栓体取付部322に安定して取り付けることができる。
なお、本実施形態において、囲繞筒部313を設けなくてもよい。
【0075】
図10は、第4実施形態にかかるヒンジキャップ300を適用可能な他の態様のヒンジキャップ350を示している。このヒンジキャップ350は、上述したヒンジキャップ300と同様の構成を有しているが、このヒンジキャップ350では、閉塞体351が、閉塞板部321から上方に向けて突出する案内リブ部352を有する。案内リブ部352は、抜栓周方向に間隔をあけて複数形成されている。
このような構成のヒンジキャップ350においても、上述したヒンジキャップ200と同様の作用、効果を奏するが、案内リブ部352が設けられているため、抜栓体303の取り付けがさらに安定する。
【0076】
図11は、第4実施形態にかかるヒンジキャップ300を適用可能なさらなる態様のヒンジキャップ360を示している。このヒンジキャップ360は、上述したヒンジキャップ300と同様の構成を有しているが、このヒンジキャップ360では、閉塞体361の抜栓体取付部362が、上端部が閉塞板部321よりも上方に突出する有底円筒状の外筒部363及び円柱状の軸部364を有している。外筒部363の上端縁は、囲繞筒部313の下端縁に近接または当接している。
このような構成のヒンジキャップ360においても、上述したヒンジキャップ300と同様の作用、効果を奏するが、外筒部363の上端部が閉塞板部321よりも上方に突出しているので、抜栓体303の取り付けがさらに安定する。
【0077】
次に、本発明のヒンジキャップの第5実施形態について説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
本実施形態にかかるヒンジキャップ400は、
図12示すように、キャップ本体201と、蓋体401と、閉塞体402と、抜栓体403と、を備えている。
蓋体401の頂壁部411は、平面視で円状をなす挿入孔411Aの開口縁部の下端部から抜栓径方向内側に向けて延在する平面視で円環状の支持部412と、支持部412の内周縁部から下方に向けて延在する円筒状の囲繞筒部(案内筒部)413と、蓋側移動規制壁部213と、を有する。
【0079】
閉塞体402は、閉塞板部421と、抜栓体取付部422と、閉塞側移動規制壁部223と、を有する。
抜栓体取付部422は、円筒状をなしており、抜栓体取付部422の外周面には、上下方向に延在する転写リブ部(リブ部)422Aが抜栓周方向に間隔をあけて複数形成されている。転写リブ部422Aには、抜栓体403の後述する雌ネジ部(第2閉塞体係止部)432Aの形状に応じた雄ネジ部(第1閉塞体係止部)422Bが形成されている。
【0080】
抜栓体403は、ヘッド部431と、脚筒部(脚部)432と、脚筒部432よりも抜栓径方向内側においてヘッド部431から下方に延在する円柱状の芯部433と、を有する。ヘッド部431は、挿入孔411A内に収容されており、支持部412上に載置されている。脚筒部432は、囲繞筒部413と抜栓体取付部422との間に挟持されており、脚筒部432の内周面には、雌ネジ部432Aが形成されている。雌ネジ部432Aは、一条ネジであっても多条ネジであってもよい。雌ネジ部432Aの抜栓径方向内側の縁部は、転写リブ部422Aの抜栓径方向内側の縁部よりも抜栓径方向外側に位置している。
【0081】
このような構成のヒンジキャップ400の抜栓体403は、蓋体401を閉じた状態で蓋体401に対して打栓することによって閉塞体402の抜栓体取付部422に取り付けられる。打栓前の状態において、転写リブ部422Aは、雄ネジ部422Bが形成されていないリブ状をなしている。
抜栓体403が閉塞体402よりも硬質な材料で形成されており、雌ネジ部432Aの抜栓径方向内側の縁部が転写リブ部422Aの抜栓径方向内側の縁部よりも抜栓径方向外側に位置しているので、雌ネジ部432Aは、打栓時に転写リブ部422Aに容易に進入し、雌ネジ部432Aのネジ形状は、転写リブ部422Aに転写される。そして、抜栓体取付部422の雄ネジ部422Bと脚筒部432の雌ネジ部432Aとは、互いに係止する。このようにして、抜栓体403は、閉塞体402の抜栓体取付部422に取り付けられる。
以上のような構成のヒンジキャップ400の使用方法は、第1実施形態にかかるヒンジキャップ1と同様である。
【0082】
以上、ヒンジキャップ400によれば、第1実施形態にかかるヒンジキャップ1と同様の作用、効果を奏するが、転写リブ部422Aを設けることにより、抜栓体403の打栓時に脚筒部432の雌ネジ部432Aの形状を転写リブ部422Aに容易に転写することができる。
なお、本実施形態では、抜栓体取付部422の外周面に形成された転写リブ部422Aに抜栓体403の雌ネジ部432Aを転写して雄ネジ部422Bを形成しているが、抜栓体取付部ではなく抜栓体に転写リブ部を形成してもよい。この場合、抜栓体取付部の外周面には、転写リブ部が形成されずに雄ネジ部が形成されており、抜栓体の脚筒部の内周面には上下方向に延在する転写リブ部が形成されている。そして、この転写リブ部には、抜栓体取付部の雄ネジ部のネジ山が転写されることによって雌ネジ部が形成されている。
【0083】
図13は、第5実施形態にかかるヒンジキャップ400を適用可能な他の態様のヒンジキャップ450を示している。このヒンジキャップ450は、上述したヒンジキャップ400と同様の構成を有しているが、このヒンジキャップ450では、蓋体451の支持部452が上述した支持部412よりも抜栓径方向内側まで延在しており、囲繞筒部413は、内筒部33とは連なっていない。
また、閉塞体454の抜栓体取付部455が、閉塞板部421に形成された開口部の開口縁部から下方に向けて延在しており、有底円筒状をなしている。この抜栓体取付部455の内周面には、上下方向に延在する転写リブ部(リブ部)455Aが抜栓周方向に間隔をあけて複数形成されており、転写リブ部455Aには、抜栓体456の後述する雄ネジ部(第2閉塞体係止部)459Aの形状に応じた雌ネジ部(第1閉塞体係止部)455Bが形成されている。
さらに、抜栓体456は、ヘッド部458と、ヘッド部458から下方に向けて延在する円柱状の脚部459と、を有しており、脚部459の下端部の外周面には、雄ネジ部459Aが形成されている。雄ネジ部456Aは、一条ネジであっても多条ネジであってもよい。
このような構成のヒンジキャップ450においても、上述したヒンジキャップ400と同様の作用、効果を奏する。
【0084】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば上記実施形態を適宜組み合わせるなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、抜栓体は、第1実施形態などのように当初から蓋体に対する下方移動が規制された状態で配設されてもよく、第2実施形態などのように当初からは蓋体に対する下方移動が規制されずに注出口の開放時に蓋体に対して下方移動し、その後この下方移動が規制されるように配設されてもよい。
閉塞体の閉塞体係止凹部及び抜栓体の閉塞体係止突部は、2つずつ各別に形成されているが、少なくとも1つ形成されていればよく、3以上形成されてもよい。また、閉塞体に閉塞体係止凹部を形成し、抜栓体に閉塞体係止突部を形成しているが、閉塞体に閉塞体係止突部を形成すると共に抜栓体に閉塞体係止凹部を形成するなど、第1及び第2閉塞体係止部の形状を適宜変更してもよい。さらに、軸部に閉塞体係止凹部を形成すると共に脚筒部の内周面に閉塞体係止突部を形成する構成など、第2閉塞体係止部が形成されている部分を第1閉塞体係止部が形成されている部分が囲む構成としてもよい。
閉塞体は、第1実施形態などのように抜栓体の脚筒部を挟み込む外筒部及び軸部を有しているが、蓋体を容器本体に対してヒンジ回りに回動させる際に抜栓体の閉塞体係止突部と閉塞体の閉塞体係止凹部との係止状態が解除されなければ、抜栓体の脚筒部を挟み込む形状でなくてもよい。また、軸部の形状は、中実の柱状体に限らず、筒状体など、適宜変更してもよい。
【0085】
蓋体には、囲繞筒部が形成されているが、囲繞筒部は、抜栓周方向の全周にわたって形成されていなくてもよく、囲繞筒部自体が形成されていなくてもよい。
キャップ本体には、注出口を囲む薄肉部が形成されているが、薄肉部が形成されていなくてもよい。また、弾性変位部は、天板部の一部を薄肉化することによって形成されているが、他の構成によって形成されてもよい。
注出口の形状は、前後方向に長い長円状に限らず、正円状や多角形状など、他の形状であってもよい。
キャップ本体は、有頂筒状をなしており、容器本体の口部を径方向外側から囲む装着筒部を有しているが、容器本体の口部に装着されれば、有頂筒状に限られず、板状など、他の形状を有してもよい。
抜栓体取付部は、キャップ軸から前方にずらした位置に形成されているが、キャップ軸と同軸に形成するなど、他の位置に形成されてもよい。ただし、蓋体をキャップ本体に対してヒンジ回りに回動させたときに弱化部が前端部から順に破断されるので、抜栓体取付部は、キャップ軸から前方にずらした位置に形成されることが好ましい。
【0086】
抜栓体は、蓋体に形成された挿入孔に挿通されているが、蓋体を容器本体に対してヒンジ回りに回動させる際に抜栓体の係止突部と閉塞体の係止凹部との係止状態が解除されなければ、他の構造を用いて蓋体に装着されてもよい。また、蓋体の挿入孔には、抜栓体のヘッド部を下方から支持する支持部が形成されているが、蓋体に装着された抜栓体の下方への移動を規制できれば、支持部が形成されていなくてもよい。また、支持部の形状は、平面視で連続的な円環状に限らず、抜栓周方向で間隔をあけて複数配列された突起を有する形状など、他の形状であってもおい。
抜栓体にはシール突部が形成されると共に蓋体にはシール凹部が形成されているが、抜栓体にシール凹部を形成すると共に蓋体にシール突部を形成してもよい。シール凹部及びシール突部は、2以上形成されてもよく、シール凹部及びシール突部を形成しなくてもよい。また、他のラビリンス構造を適用してもよい。
【0087】
第2実施形態において、蓋体及び抜栓体に蓋体係止突部を各別に形成しているが、蓋体に蓋体係止凹部を形成すると共に抜栓体に蓋体係止突部を形成したり、蓋体に蓋体係止突部を形成すると共に抜栓体に蓋体係止凹部を形成したりするなど、第1及び第2蓋体係止部の形状を適宜変更してもよい。また、第1及び第2蓋体係止部を形成しなくてもよい。さらに、閉塞体の外筒部は、ヘッド部を下方から支持していなくてもよい。
ヒンジキャップや容器本体の形状は、円筒状に限らず、楕円状や多角形筒状など、他の形状を有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
この発明によれば、開封時の操作性を向上させたヒンジキャップに関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0089】
1,100、200,250,280,290,300,350,360,400,450 ヒンジキャップ、2 容器本体、3 口部、11,201 キャップ本体、11A 注出口、12 ヒンジ、13,101,202,253,282,291,301,401,451 蓋体、14 弱化部、15,102,203,251,281,293,302,351,361,402,454 閉塞体、16,103,204,271,303,403,456 抜栓体、21 天板部、21B 薄肉部(弾性変位部)、31,110,210,254,311,411 頂壁部、31A,210A,254A,311A,411A 挿入孔、31B シール凹部(凹凸部)、35,112,211,261,312,412,452 支持部、36,113,212,262,313,413 囲繞筒部(案内筒部)、42、222,322,362,422,455 抜栓体取付部、43A,224A,323A 閉塞体係止凹部(第1閉塞体係止部)、51,130,231,272,331,431,458 ヘッド部、51A シール突部(凹凸部)、52,232,332,432 脚筒部(脚部)、52A,232A,332A 閉塞体係止突部(第2閉塞体係止部)、110A,214A 第1蓋体係止突部(第1蓋体係止部)、130A,234A 第2蓋体係止突部(第2蓋体係止部)、213,283,292 蓋側移動規制壁部(移動規制部)、223,252,294 閉塞側移動規制壁部(移動規制部)、422A,455A 転写リブ部(リブ部)、422B 雄ネジ部(第1閉塞体係止部)、432A 雌ネジ部(第2閉塞体係止部)、455B 雌ネジ部(第1閉塞体係止部)、459 脚部、459A 雄ネジ部(第2閉塞体係止部)