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特許7591899水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20241122BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20241122BHJP
   B01D 61/04 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
C02F1/44 A
C02F1/42 A
B01D61/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020170672
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062568
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇規
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一重
(72)【発明者】
【氏名】須藤 史生
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-015264(JP,A)
【文献】特開2018-038943(JP,A)
【文献】特開2004-122020(JP,A)
【文献】特開2004-261768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D61/00-71/82
C02F1/44、1/42
B01J39/00-49/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のイオン交換樹脂装置と、
前記第1のイオン交換樹脂装置と並列に配置された第2のイオン交換樹脂装置と、
第1の流路を介して前記第1のイオン交換樹脂装置と接続され、第2の流路を介して前記第2のイオン交換樹脂装置と接続され、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水および前記第2のイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される第1の逆浸透膜装置と、
第3の流路を介して前記第1のイオン交換樹脂装置と接続され、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される水処理装置と、
前記第1のイオン交換樹脂装置および前記第2のイオン交換樹脂装置それぞれから前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁と、
前記第1のイオン交換樹脂装置のイオン交換樹脂の再生または交換が行われた前記第1のイオン交換樹脂装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁と、
前記再生または交換が行われた前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水に含まれる不純物の濃度を測定する第1の測定部と、
前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の上流側に接続された配管または下流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第3の開閉弁と、
前記水処理装置から供給される水に含まれる不純物の濃度を測定する第2の測定部とを有し、
記再生または交換が行われてからの所定期間は、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水を前記第3の流路を介して前記水処理装置に供給させ、前記所定期間以外では、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水を前記第1の流路を介して前記第1の逆浸透膜装置に供給させ、前記第1の測定部が測定した値が所定の第1の閾値を超えている場合、前記複数の第1の開閉弁のうち前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記第2の開閉弁を開状態とし、前記第1の測定部が測定した値が前記第1の閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とし、前記第2の測定部が測定した値が所定の第2の閾値を超えている場合、前記第3の開閉弁を閉状態とし、前記第2の測定部が測定した値が前記第2の閾値以下の場合は、前記第3の開閉弁を開状態とすることを特徴とする水処理システム。
【請求項2】
第1のイオン交換樹脂装置と、
前記第1のイオン交換樹脂装置と並列に配置された第2のイオン交換樹脂装置と、
第1の流路を介して前記第1のイオン交換樹脂装置と接続され、第2の流路を介して前記第2のイオン交換樹脂装置と接続され、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水および前記第2のイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される第1の逆浸透膜装置と、
第3の流路を介して前記第1のイオン交換樹脂装置と接続され、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される水処理装置と、
前記第1のイオン交換樹脂装置および前記第2のイオン交換樹脂装置それぞれから前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁と、
前記第1のイオン交換樹脂装置のイオン交換樹脂の再生または交換が行われた前記第1のイオン交換樹脂装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁と、
前記再生または交換が行われた前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水に含まれる不純物の濃度を測定する第1の測定部と、
前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の上流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第1の弁と、前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の下流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第2の弁とを有する第3の開閉弁と、
前記水処理装置から供給される水に含まれる不純物の濃度を測定する第2の測定部とを有し、
前記再生または交換が行われてからの所定期間は、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水を前記第3の流路を介して前記水処理装置に供給させ、前記所定期間以外では、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水を前記第1の流路を介して前記第1の逆浸透膜装置に供給させ、前記第1の測定部が測定した値が所定の第1の閾値を超えている場合、前記複数の第1の開閉弁のうち前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記第2の開閉弁を開状態とし、前記第1の測定部が測定した値が前記第1の閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とし、前記第2の測定部が測定した値が所定の第2の閾値を超えている場合、前記第3の開閉弁を閉状態とし、前記第2の測定部が測定した値が前記第2の閾値以下であり、且つ該第2の閾値よりも小さな値である第3の閾値を超えている場合は、前記第1の弁を開状態とし、前記第2の弁を閉状態とし、前記第2の測定部が測定した値が前記第3の閾値以下の場合は、前記第1の弁を閉状態とし、前記第2の弁を開状態とすることを特徴とする水処理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記第1の逆浸透膜装置から供給された水を前記水処理装置へ導く第4の流路と、
前記第4の流路を介して前記第1の逆浸透膜装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第4の開閉弁を有し、
前記第2の開閉弁を閉状態としている場合、前記第4の開閉弁を開状態とする水処理システム。
【請求項4】
請求項からのいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記第1のイオン交換樹脂装置および前記第2のイオン交換樹脂装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第5の開閉弁を有し、
制御装置が外部から入力した情報に基づいて、前記第5の開閉弁の開閉を制御する水処理システム。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記水処理装置は、第2の逆浸透膜装置である水処理システム。
【請求項6】
複数のイオン交換樹脂装置のうち再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水に含まれる不純物の濃度を測定する第1の測定部から該測定した第1の測定値を取得し、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される水処理装置から供給される水に含まれる不純物の濃度を測定する第2の測定部から該測定した第2の測定値を取得する測定値取得部と、
前記測定値取得部が取得した第1の測定値が所定の第1の閾値を超えている場合、前記複数のイオン交換樹脂装置それぞれから供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁のうち、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁を開状態とし、前記測定値取得部が取得した第1の測定値が前記第1の閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とし、前記測定値取得部が取得した第2の測定値が所定の第2の閾値を超えている場合、前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の上流側に接続された配管または下流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第3の開閉弁を閉状態とし、前記測定値取得部が取得した第2の測定値が前記第2の閾値以下の場合は、前記第3の開閉弁を開状態とする開閉制御部とを有する制御装置。
【請求項7】
複数のイオン交換樹脂装置のうち再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水に含まれる不純物の濃度を測定する第1の測定部から該測定した第1の測定値を取得し、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される水処理装置から供給される水に含まれる不純物の濃度を測定する第2の測定部から該測定した第2の測定値を取得する測定値取得部と、
前記測定値取得部が取得した第1の測定値が所定の第1の閾値を超えている場合、前記複数のイオン交換樹脂装置それぞれから供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁のうち、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁を開状態とし、前記測定値取得部が取得した第1の測定値が前記第1の閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とし、前記測定値取得部が取得した第2の測定値が所定の第2の閾値を超えている場合、前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の上流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第1の弁と前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の下流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第2の弁とを有する第3の開閉弁を閉状態とし、前記測定値取得部が取得した第2の測定値が前記第2の閾値以下であり、且つ該第2の閾値よりも小さな値である第3の閾値を超えている場合は、前記第1の弁を開状態とし、前記第2の弁を閉状態とし、前記測定値取得部が取得した第2の測定値が前記第3の閾値以下の場合は、前記第1の弁を閉状態とし、前記第2の弁を開状態とする開閉制御部とを有する制御装置。
【請求項8】
複数のイオン交換樹脂装置のうち再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水に含まれる不純物の濃度を測定する第1の測定部から該測定した第1の測定値を取得する処理と、
前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される水処理装置から供給される水に含まれる不純物の濃度を測定する第2の測定部から該測定した第2の測定値を取得する処理と、
前記取得した第1の測定値が所定の第1の閾値を超えている場合、前記複数のイオン交換樹脂装置それぞれから供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁のうち、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁を開状態とし、前記取得した第1の測定値が前記第1の閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とする処理と
前記取得した第2の測定値が所定の第2の閾値を超えている場合、前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の上流側に接続された配管または下流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第3の開閉弁を閉状態とし、前記取得した第2の測定値が前記第2の閾値以下の場合は、前記第3の開閉弁を開状態とする処理とを行う水処理方法。
【請求項9】
複数のイオン交換樹脂装置のうち再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水に含まれる不純物の濃度を測定する第1の測定部から該測定した第1の測定値を取得する処理と、
前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される水処理装置から供給される水に含まれる不純物の濃度を測定する第2の測定部から該測定した第2の測定値を取得する処理と、
前記取得した第1の測定値が所定の第1の閾値を超えている場合、前記複数のイオン交換樹脂装置それぞれから供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁のうち、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁を開状態とし、前記取得した第1の測定値が前記第1の閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とする処理と、
前記取得した第2の測定値が所定の第2の閾値を超えている場合、前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の上流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第1の弁と前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の下流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第2の弁とを有する第3の開閉弁を閉状態とし、前記取得した第2の測定値が前記第2の閾値以下であり、且つ該第2の閾値よりも小さな値である第3の閾値を超えている場合は、前記第1の弁を開状態とし、前記第2の弁を閉状態とし、前記取得した第2の測定値が前記第3の閾値以下の場合は、前記第1の弁を閉状態とし、前記第2の弁を開状態とする処理とを行う水処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
複数のイオン交換樹脂装置のうち再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水に含まれる不純物の濃度を測定する第1の測定部から該測定した第1の測定値を取得する手順と、
前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される水処理装置から供給される水に含まれる不純物の濃度を測定する第2の測定部から該測定した第2の測定値を取得する手順と、
前記取得した第1の測定値が所定の第1の閾値を超えている場合、前記複数のイオン交換樹脂装置それぞれから供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁のうち、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁を開状態とし、前記取得した第1の測定値が前記第1の閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とする手順と
前記取得した第2の測定値が所定の第2の閾値を超えている場合、前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の上流側に接続された配管または下流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第3の開閉弁を閉状態とし、前記取得した第2の測定値が前記第2の閾値以下の場合は、前記第3の開閉弁を開状態とする手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
複数のイオン交換樹脂装置のうち再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水に含まれる不純物の濃度を測定する第1の測定部から該測定した第1の測定値を取得する手順と、
前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される水処理装置から供給される水に含まれる不純物の濃度を測定する第2の測定部から該測定した第2の測定値を取得する手順と、
前記取得した第1の測定値が所定の第1の閾値を超えている場合、前記複数のイオン交換樹脂装置それぞれから供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁のうち、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁を開状態とし、前記取得した第1の測定値が前記第1の閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とする手順と、
前記取得した第2の測定値が所定の第2の閾値を超えている場合、前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の上流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第1の弁と前記水処理装置から前記第1の逆浸透膜装置の下流側に接続された配管への前記水の流入を制御する第2の弁とを有する第3の開閉弁を閉状態とし、前記取得した第2の測定値が前記第2の閾値以下であり、且つ該第2の閾値よりも小さな値である第3の閾値を超えている場合は、前記第1の弁を開状態とし、前記第2の弁を閉状態とし、前記取得した第2の測定値が前記第3の閾値以下の場合は、前記第1の弁を閉状態とし、前記第2の弁を開状態とする手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
純水を製造する水処理システムにおいては、純水の供給が途絶えないように、互いに同じ構成を持つ複数の処理系列から構成され、任意の処理系列を停止させた状態で、他の処理系列を運転可能とさせて、処理系列の切り替えが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-215679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような技術においては、停止させた処理系列を交換した後にシステムに組み込んでも、所定の条件を満たす水を後段に供給することができず、システム全体の復旧に時間がかかってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、システム全体の復旧の時間を短縮することができる水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のイオン交換樹脂装置と、
前記第1のイオン交換樹脂装置と並列に配置された第2のイオン交換樹脂装置と、
第1の流路を介して前記第1のイオン交換樹脂装置と接続され、第2の流路を介して前記第2のイオン交換樹脂装置と接続され、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水および前記第2のイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される第1の逆浸透膜装置と、
第3の流路を介して前記第1のイオン交換樹脂装置と接続され、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水が供給される水処理装置とを有し、
前記第1のイオン交換樹脂装置のイオン交換樹脂の再生または交換が行われてからの所定期間は、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水を前記第3の流路を介して前記水処理装置に供給させ、前記所定期間以外では、前記第1のイオン交換樹脂装置が処理した水を前記第1の流路を介して前記第1の逆浸透膜装置に供給させることを特徴とする水処理システムである。
【0007】
また、本発明は、複数のイオン交換樹脂装置のうち再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水に含まれる不純物の濃度を測定する測定部から該測定した測定値を取得する測定値取得部と、
前記測定値取得部が取得した測定値が所定の閾値を超えている場合、前記複数のイオン交換樹脂装置それぞれから供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁のうち、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水が流入する水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁を開状態とし、前記測定値取得部が取得した測定値が前記閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とする開閉制御部とを有する制御装置である。
【0008】
また、本発明は、複数のイオン交換樹脂装置のうち再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水に含まれる不純物の濃度を測定する測定部から該測定した測定値を取得する処理と、
前記取得した測定値が所定の閾値を超えている場合、前記複数のイオン交換樹脂装置それぞれから供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁のうち、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水が流入する水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁を開状態とし、前記取得した測定値が前記閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とする処理とを行う水処理方法である。
【0009】
また、本発明は、コンピュータに、
複数のイオン交換樹脂装置のうち再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水に含まれる不純物の濃度を測定する測定部から該測定した測定値を取得する手順と、
前記取得した測定値が所定の閾値を超えている場合、前記複数のイオン交換樹脂装置それぞれから供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する複数の第1の開閉弁のうち、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から前記第1の逆浸透膜装置への前記水の流入を制御する第1の開閉弁を閉状態とし、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から、前記再生または交換が行われたイオン交換樹脂装置から供給された水が流入する水処理装置への前記水の流入を制御する第2の開閉弁を開状態とし、前記取得した測定値が前記閾値以下の場合は、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とする手順とを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、システム全体の復旧の時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の水処理システムの一例を示す図である。
図2図1に示した水処理システムにおいて、1つのイオン交換樹脂装置の内部に充てんされたイオン交換樹脂を交換した後の流水方法の一例を示す図である。
図3】本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。
図4図3に示した制御装置の内部構成の一例を示す図である。
図5図4に示した開閉制御部が行う開閉弁の開閉制御方法の一例を説明するための図である。
図6】本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。
図7図4に示した開閉制御部が行う開閉弁の開閉制御方法の一例を説明するための図である。
図8】本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。
図9図4に示した開閉制御部が行う開閉弁の開閉制御方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(従来の形態)
【0013】
まずは、従来の水処理システムについて説明する。図1は、従来の水処理システムの一例を示す図である。図1に示した水処理システムは、被処理水が貯留された水槽1000からポンプ2000を用いて流出された水について、互いに並列に設置されたイオン交換樹脂装置4000-1~4000-3が不純物の除去処理を行う。イオン交換樹脂装置4000-1~4000-3それぞれの前段および後段には水流(流入、流出する水の量)を調整するためのバルブである開閉弁3000-1~3000-3および開閉弁3001-1~3001-3が設けられている。イオン交換樹脂装置4000-1~4000-3の開閉弁3001-1~3001-3を介した後段には、ポンプ2001、開閉弁3002および逆浸透膜装置5000が設けられている。逆浸透膜装置5000の後段には、逆浸透膜装置5000が処理した水のユースポイントへの供給を制御する開閉弁3007が設けられている。なお、水槽1000以外にも、必要に応じてイオン交換樹脂処理水タンクや、RO(逆浸透)透過水タンクが設けられていても良い。また、図1に示した流路、開閉弁、機器類は一例であり、樹脂への薬液供給ラインやROの背圧弁などが設けられていても良い。また、図1に示した逆浸透膜装置5000は、複数本のエレメントを充てんしたベッセルを、直列または並列に複数段組み合わせて構築されたものであっても良い。また、逆浸透膜装置5000は複数のものが並列に設けられていても良い。イオン交換樹脂装置4000-1~4000-3の構成・系列については、図1に示したものは一例であって、これに限らない。イオン交換樹脂装置4000-1~4000-3の構成・系列の一例として、
(1)カチオン交換樹脂が充てんされたカチオン交換樹脂塔と、アニオン交換樹脂が充てんされたアニオン交換樹脂塔とが直列に接続された2床2塔式イオン交換装置
(2)カチオン交換樹脂が充てんされたカチオン交換樹脂塔と、水中の炭酸を除去する脱炭酸装置と、アニオン交換樹脂が充てんされたアニオン交換樹脂塔とが直列に接続された2床3塔式イオン交換装置
(3)2床3塔式イオン交換装置の後段に、カチオン交換樹脂塔が別途接続された3床4塔式イオン交換装置
(4)2床3塔式イオン交換装置の後段に、アニオン交換樹脂塔と、カチオン交換樹脂塔とが別途接続された4床5塔式イオン交換装置
(5)カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とが均一に混合され1つの塔に充てんされた混床型イオン交換樹脂装置
(6)電気再生式脱イオン装置を1段または複数段直列に接続した電気再生式イオン交換樹脂装置
などが用いられる。イオン交換樹脂装置4000-1~4000-3それぞれの後段で、処理水をタンク受けしても良い。このような形態において、イオン交換樹脂装置4000-1~4000-3から流出された水が逆浸透膜装置5000に供給される。イオン交換樹脂装置4000-1~4000-3は採水/再生を繰り返す。再生しているイオン交換樹脂装置は、採水できない。図1に示した例では、イオン交換樹脂装置4000-1が再生から待機、イオン交換樹脂装置4000-2,4000-3は並列採水しているが、流し方に特に制限はなく、すべての系列のうち一部の複数系列を同時に運転することもできるし、すべての系列を同時に運転することも可能である。
【0014】
図2は、図1に示した水処理システムにおいて、イオン交換樹脂装置4000-1の内部に充てんされたイオン交換樹脂を交換した後の流水方法の一例を示す図である。イオン交換樹脂装置4000-1を樹脂交換した後、交換したイオン交換樹脂装置4000-1を樹脂洗浄する必要がある。このとき、濃度計である測定部6000が、洗浄中のイオン交換樹脂装置4000-1からの排水に含まれる電気伝導度、ナトリウムイオンやシリカ、TOC(Total Organic Carbon:全有機炭素)といった成分の濃度を測定する。測定部6000が測定した濃度に基づいて、系外排出と被処理水タンク戻しとのいずれか一方が選択される。測定部6000が測定した濃度があらかじめ設定されている閾値を下回ったら、洗浄完了としてイオン交換樹脂装置4000-1から供給される水が採水に使用できる。この制御は、開閉弁3001-1,3005,3010の開閉で制御される。イオン交換樹脂装置4000-1の洗浄完了までは、イオン交換樹脂装置4000-2,4000-3から供給される水が採水に使用される。
【0015】
このような制御を行うと、イオン交換樹脂装置4000-1の洗浄が完了しないと、イオン交換樹脂装置4000-2,4000-3が再生工程に入ることができない。結果として、イオン交換樹脂装置4000-2,4000-3の再生(交換)予定タイミングまでにイオン交換樹脂装置4000-1の洗浄が完了しないと、イオン交換樹脂装置4000-2,4000-3を採水許容時間以上に採水に使用してしまうため、処理水質低下の懸念がある。系外排出量を増やせば洗浄時間も短縮されるが、システムの水回収率が低下する。イオン交換樹脂装置4000-2,4000-3の樹脂交換の場合も同様である。
【0016】
そこで、本発明は上述したような課題を解決するための仕組みを実現する。以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0017】
図3は、本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは図3に示すように、水槽100と、互いに並列に設置されたイオン交換樹脂装置400-1~400-3と、逆浸透膜装置500,501と、ポンプ200~202と、開閉弁300-1~300-3,301-1~301-3,302~309と、測定部600,601と、制御装置700とを有する。なお、図3には、開閉弁300-1~300-3,301-1~301-3およびイオン交換樹脂装置400-1~400-3それぞれが、3つずつである場合を例に挙げて示しているが、その数に限定しない。
【0018】
水槽100は、被処理水が貯留された水槽である。本実施の形態において、水槽100に貯留される被処理水としては、特に制限はないが、地下水、表流水、下水処理水、回収水、海水淡水化処理水等が挙げられる。また、それらの処理水が必要に応じて前処理された水であっても良い。ポンプ200は、水槽100に貯留された水をイオン交換樹脂装置400-1~400-3へ供給するために汲み上げるポンプである。開閉弁300-1~300-3それぞれは、ポンプ200が汲み上げた水のイオン交換樹脂装置400-1~400-3それぞれへの供給を制御する。イオン交換樹脂装置400-1~400-3は、例えば、陽イオンを交換するカチオン交換樹脂や陰イオンを交換するアニオン交換樹脂が充てんされたイオン交換樹脂塔を単段もしくは複数段を用いて被処理水に含まれるイオンを除去する装置である。開閉弁301-1~301-3は、イオン交換樹脂装置400-1~400-3それぞれから逆浸透膜装置500への水の流入をそれぞれ制御する第1の開閉弁である。ポンプ201は、開閉弁301-1~301-3および開閉弁304が制御した水を逆浸透膜装置500へ供給する。開閉弁302は、ポンプ201から逆浸透膜装置500への水の供給を制御する。逆浸透膜装置500は、イオン交換樹脂装置400-1~400-3それぞれから開閉弁300-1~300-3それぞれを介してポンプ201を用いて供給された水が流入する第1の逆浸透膜装置である。逆浸透膜装置500は、逆浸透膜(RO膜)を用いて、流入された水から不純物を除去する装置である。
【0019】
測定部600は、イオン交換樹脂装置400-1~400-3のうち、樹脂交換後に被処理水を用いて洗浄中として選択されたイオン交換樹脂装置(図3に示した例では、イオン交換樹脂装置400-1(第1のイオン交換樹脂装置)であり、選択された以外のイオン交換樹脂装置はイオン交換樹脂装置400-2,400-3(第2のイオン交換樹脂装置)である。以下の説明において同じ。)が処理した水(洗浄排水)に含まれる不純物の濃度を測定する濃度計(第1の測定部)である。この不純物は、例えばTOCである。ポンプ202は、イオン交換樹脂装置400-1~400-3のうち、樹脂交換後に被処理水を用いて洗浄中として選択されたイオン交換樹脂装置400-1が処理した水(洗浄排水)を逆浸透膜装置501へ供給する。開閉弁303は、ポンプ202から逆浸透膜装置501への水の供給(流入)を制御する第2の開閉弁である。逆浸透膜装置501は、イオン交換樹脂装置400-1~400-3のうち、樹脂交換後に被処理水を用いて洗浄中として選択されたイオン交換樹脂装置400-1から開閉弁303を介してポンプ202を用いて供給された水(洗浄排水)が流入する第2の逆浸透膜装置である。なお、逆浸透膜装置501は、イオン交換樹脂装置400-1~400-3のいずれも樹脂交換後の洗浄を行っていない場合、待機している。逆浸透膜装置501は、備え付けのものではなく、可搬可能なものであっても良い。逆浸透膜装置501は、洗浄中のイオン交換樹脂装置400-1からの洗浄排水に含まれるTOCの濃度を低減させる。逆浸透膜装置501は、樹脂交換の直前にラインに組み込み、フラッシング等を実施してから使用しても良い。逆浸透膜装置501は、逆浸透膜(RO膜)を用いて、流入された水から不純物を除去する装置である。逆浸透膜装置501は、逆浸透膜(RO膜)を用いたものに限定せず、流入された水に含まれる不純物の濃度を低減させる処理を行う他の水処理装置(イオン交換樹脂、UV、脱気処理、ナノろ過膜、限外ろ過膜など、一般的に水処理で使用される単位操作のうちから1つ以上が選択される)であっても良い。測定部601は、逆浸透膜装置501から供給される水に含まれる不純物の濃度を測定する濃度計(第2の測定部)である。この不純物は、例えばナトリウム、シリカ、有機物が挙げられるが、これらの濃度は導電率計、比抵抗計、TOC計を用いて管理される。
【0020】
開閉弁304および開閉弁308は、逆浸透膜装置501から逆浸透膜装置500への水の流入を制御する第3の開閉弁である。開閉弁308は、逆浸透膜装置501が処理した水の次段(例えば、ユースポイント等)への供給を制御する。開閉弁305は、イオン交換樹脂装置400-1~400-3のうち選択されたイオン交換樹脂装置400-1から流出される水の排水を制御する。開閉弁307は、逆浸透膜装置500の処理水の後段への供給を制御する。開閉弁309は、逆浸透膜装置501が処理した水の排水を制御する。制御装置700は、測定部600が測定した濃度に基づいて、開閉弁301-1~301-3,303,304の開閉を制御する。
【0021】
なお、樹脂交換後に被処理水を用いて洗浄中として選択されたイオン交換樹脂装置400-1と逆浸透膜装置500とが第1の流路を介して接続されている。また、イオン交換樹脂装置400-2,400-3と逆浸透膜装置500とが第2の流路を介して接続されている。また、イオン交換樹脂装置400-1と逆浸透膜装置501とが第3の流路を介して接続されている。
【0022】
図4は、図3に示した制御装置700の内部構成の一例を示す図である。図3に示した制御装置700は図4に示すように、測定値取得部710と、開閉制御部720と、入力部730とを有する。なお、図4には、図3に示した制御装置700が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0023】
入力部730は、外部から受け付けた操作に基づいて情報を入力する。入力部730は、制御装置700に具備されたキーやマウス、タッチパネル、スキャナ等であっても良い。入力部730は、本システムを運用または管理する運用者や管理者によって操作される。
【0024】
測定値取得部710は、測定部600,601から測定した測定値を取得する。測定値取得部710が測定部600,601から測定値を取得するタイミングは、特に規定しない。
【0025】
開閉制御部720は、測定値取得部710が取得した、測定部600が測定した測定値に基づいて、開閉弁301-1~301-3,303,305の開閉を制御する。具体的には、開閉制御部720は、測定値取得部710が取得した、測定部600が測定した測定値が所定の第1の閾値(例えば、TOC=500ppb)を超えている場合、イオン交換樹脂装置400-1から逆浸透膜装置500への水の流入を制御する開閉弁301-1を閉状態とする。また、そのとき、開閉制御部720は、開閉弁303を閉状態とし,開閉弁305を開状態とする。なお、このときの開閉弁301-2,301-3は開状態である。また、開閉制御部720は、測定値取得部710が取得した、測定部600が測定した測定値が所定の第1の閾値(例えば、TOC=500ppb)以下であって第2の閾値(例えば、TOC=20ppb)を超えている場合、イオン交換樹脂装置400-1から逆浸透膜装置500への水の流入を制御する開閉弁301-1を閉状態とする。また、そのとき、開閉制御部720は、開閉弁303を開状態とし、開閉弁305を閉状態とする。また、それ以外の場合(測定値取得部710が取得した、測定部600が測定した測定値が所定の第2の閾値以下の場合)は、開閉制御部720は、開閉弁301-1~301-3を開状態とし、開閉弁303,305を閉状態とする。
【0026】
図5は、図4に示した開閉制御部720が行う開閉弁300-1~300-3,303,305の開閉制御方法の一例を説明するための図である。図5に示すように、測定値取得部710が取得した、測定部600が測定した測定値Cが所定の第1の閾値Th1を超えている場合(ブローを行う工程)、開閉制御部720は、開閉弁301-1,303を閉状態とし、開閉弁301-2,301-2,305を開状態とする。また、測定値取得部710が取得した、測定部600が測定した測定値Cが所定の第1の閾値Th1以下であって所定の第2の閾値を超えている場合(予備水処理を行う工程)、開閉制御部720は、開閉弁301-1,305を閉状態とし、開閉弁301-2,301-3,303を開状態とする。また、測定値取得部710が取得した、測定部600が測定した測定値Cが所定の閾値Th2以下である場合(通常の運用を行う工程)、開閉制御部720は、開閉弁301-1~301-3を開状態とし、開閉弁303,305を閉状態とする。また、開閉制御部720は、すべての工程において、開閉弁300-1~300-3,302,307を開状態とする。なお、ポンプ202は、予備水処理を行う工程で運転を行い、それ以外の場合は停止する。
【0027】
さらに、予備水処理を行う工程では、開閉制御部720は、測定値取得部710が取得した、測定部601が測定した測定値に基づいて、開閉弁304,308,309の開閉を制御する。具体的には、開閉制御部720は、測定値取得部710が取得した、測定部601が測定した測定値が所定の第3の閾値(例えば、TOC=20ppb)を超えている場合、開閉弁304,308を閉状態とし、開閉弁309を開状態とする。また、それ以外の場合(測定値取得部710が取得した、測定部601が測定した測定値が所定の第3の閾値以下の場合)は、開閉制御部720は、開閉弁304を開状態とし、開閉弁308,309を閉状態する。さらに、測定値取得部710が取得した、測定部601が測定した測定値がさらに下がった場合は、開閉制御部720は、開閉弁308を開状態とし、開閉弁304,309を閉状態することもできる。
【0028】
上述した例では、樹脂交換後の洗浄のためにイオン交換樹脂装置400-1が選択された場合を例に挙げて説明したが、イオン交換樹脂装置400-2が選択された場合や、イオン交換樹脂装置400-3が選択された場合も、制御装置700は、選択されたイオン交換樹脂装置から流出する水が逆浸透膜装置501へ流れることが選択可能になるように制御する。なお、図3に示した形態では、イオン交換樹脂装置400-1が選択された場合を例に挙げているため、選択されたイオン交換樹脂装置400-1から開閉弁303およびポンプ202を介して逆浸透膜装置501への流路は、イオン交換樹脂装置400-1と接続された形態を示しているが、選択されたイオン交換樹脂装置がイオン交換樹脂装置400-2やイオン交換樹脂装置400-3である場合、その流路はそれぞれイオン交換樹脂装置400-2やイオン交換樹脂装置400-3と接続された流路となる。
【0029】
このように、樹脂交換後のイオン交換樹脂装置へ洗浄水を供給し、そのイオン交換樹脂装置からの洗浄排水に含まれる不純物の濃度に基づいて、通常使用している逆浸透膜装置とは異なる逆浸透膜装置へその洗浄排水を供給し、その逆浸透膜装置の処理水を使用する。さらに、その逆浸透膜装置からの水に含まれる不純物の濃度に基づいて、その逆浸透膜装置からの水を水槽に戻すか、メインラインへ戻すか、通常使用している逆浸透膜装置へ流入させるか等を制御する。そのため、イオン交換樹脂の再生または交換を予定しているイオン交換樹脂装置の再生または交換予定タイミングまでに、樹脂交換後のイオン交換樹脂装置の洗浄が完了しなくても、再生または交換を予定しているイオン交換樹脂装置の再生または交換を行うことができる。それにより、イオン交換樹脂装置の再生または交換ができなくなることによる水質の低下を引き起こすことがなくなり、システム全体の復旧の時間を短縮することができる。
(第2の実施の形態)
【0030】
図6は、本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは図6に示すように、図3に示した第1の実施の形態に、開閉弁310,311,312,314が追加されている。開閉弁310は、逆浸透膜装置500から供給された水を逆浸透膜装置501へ導く流路に設けられている第4の開閉弁である。開閉弁310は、逆浸透膜装置500から逆浸透膜装置501への水の流入を制御する。つまり、開閉弁310は、逆浸透膜装置500の濃縮水の逆浸透膜装置501への流入を制御し、開閉弁311は、逆浸透膜装置500の濃縮水の排出を制御する。逆浸透膜装置500から逆浸透膜装置501へ流入された濃縮水は、逆浸透膜装置501を流通して開閉弁314を通じて排出される。制御装置700の開閉制御部720は、開閉弁303,304を閉状態として通常運転が行われている場合、開閉弁310を開状態とする。通常の運転を行う工程では、開閉制御部720は、開閉弁300-1~300-3,301-1~301-3,302,307,310,314を開状態とし、開閉弁303,304,305,308,309,311,312を閉状態とする。なお、ポンプ201は運転を行い、ポンプ202は停止する。このような運転時は、逆浸透膜装置500からの濃縮水が開状態となっている開閉弁310を通り、逆浸透膜装置501を流通し、開状態となっている開閉弁314から排出される。
【0031】
図7は、図4に示した開閉制御部720が行う開閉弁301-1,303,305,310,311,312,314の開閉制御方法の一例を説明するための図である。図7に示すように、イオン交換樹脂装置400-1の再生または交換が行われた後、開閉制御部720は、ブローを行う工程では、開閉弁305,311を開状態とし、開閉弁301-1,303,310,312,314を閉状態とする。また、開閉制御部720は、予備水処理を行う工程では、開閉弁303,311,312を開状態とし、開閉弁301-1,305,310,314を閉状態とする。また、開閉制御部720は、通常の運用を行う工程では、開閉弁301-1,310,314を開状態とし、開閉弁303,305,311,312を閉状態とする。このように開閉制御部720が開閉弁301-1,303,305,310,311,312,314を制御することで、逆浸透膜装置501への流水を続けることができる。なお、ポンプ202は、予備水処理を行う工程で運転を行い、それ以外の場合は停止する。
【0032】
さらに、予備水処理を行う工程では、開閉制御部720は、測定値取得部710が取得した、測定部601が測定した測定値に基づいて、開閉弁304,308,309の開閉を制御する。具体的には、開閉制御部720は、測定値取得部710が取得した、測定部601が測定した測定値が所定の第3の閾値(例えば、TOC=20ppb)を超えている場合、開閉弁304,308を閉状態とし、開閉弁309を開状態とする。また、それ以外の場合(測定値取得部710が取得した、測定部601が測定した測定値が所定の第3の閾値以下の場合)は、開閉制御部720は、開閉弁304または開閉弁308を開状態とし、開閉弁309を閉状態する。
【0033】
このような樹脂交換は頻繁に行わないため、逆浸透膜装置501が長時間待機し、逆浸透膜装置501の内部に水を流さない状態が続くと、逆浸透膜装置501内に滞留している水の腐敗や、菌の繁殖が生じてしまうおそれがある。そうなると、その後、逆浸透膜装置501を使用した場合、逆浸透膜装置501から十分な水質が得られないおそれがある。そこで、上述したように、樹脂交換後でなくても、逆浸透膜装置500からの濃縮水を、逆浸透膜装置501に流しておく。そのタイミングは特に規定せず、例えば、1日に1時間等、任意の時間間隔で逆浸透膜装置500からの濃縮水を逆浸透膜装置501へ流すものであっても良い。こうすることで、逆浸透膜装置501内で水の滞留が起こらなくなり、逆浸透膜装置501内の水の腐敗や、菌の繁殖等を抑えることができる。このように、逆浸透膜装置500からの濃縮水を逆浸透膜装置501に流しておくことで、樹脂交換後に逆浸透膜装置501を使用しても逆浸透膜装置501の十分な性能を発揮することができる。なお、逆浸透膜装置501に逆浸透膜装置500からの濃縮水を流す際、流す方向は逆浸透膜装置501の濃縮側からであっても良いし、供給側からであっても良く、特に制限しない。また、逆浸透膜装置500から排出される濃縮水は、逆浸透膜装置500に付帯する背圧弁を用いて制御される。そのため、逆浸透膜装置501にかかる圧力はほぼ無圧である。また、逆浸透膜装置500と並列に他の逆浸透膜装置が設けられている場合、これら並列に設けられている逆浸透膜装置の一部または全部から濃縮水を合流させて逆浸透膜装置501に供給するものであっても良い。
(第3の実施の形態)
【0034】
図8は、本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは図8に示すように、図6に示した第2の実施の形態に、開閉弁313が追加されている。開閉弁313は、イオン交換樹脂装置400-1~400-3から水が流入する装置として逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501とのいずれか一方を選択するための第5の開閉弁である。制御装置700の開閉制御部720は、入力部730が外部から入力した情報に基づいて、逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501とのいずれか一方を選択するように開閉弁313の開閉を制御する。このとき、開閉制御部720は、逆浸透膜装置501を優先的に選択するように開閉弁313の開閉を制御するものであっても良い。
【0035】
図9は、図4に示した開閉制御部720が行う開閉弁302,307,308,311,312,313の開閉制御方法の一例を説明するための図である。開閉制御部720は、入力部730が外部から入力した情報に基づいて、開閉弁302,307,308,311,312,313の開閉を制御する。具体的には、図9に示すように、開閉制御部720は、入力部730が外部から入力した情報に基づいて、逆浸透膜装置500を選択する場合、開閉弁302,307,311を開状態とし、開閉弁308,312,313を閉状態とする。また、開閉制御部720は、入力部730が外部から入力した情報に基づいて、逆浸透膜装置501を選択する場合、開閉弁308,312,313を開状態とし、開閉弁302,307,311を閉状態とする。また、開閉制御部720は、入力部730が外部から入力した情報に基づいて、逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501との両方を選択する場合、開閉弁302,307,308,311,312,313を開状態とする。なお、開閉制御部720は、いずれの場合にも開閉弁301-1を開状態とし、開閉弁303,304,305,309,310,314を閉状態とする。なお、ポンプ201は運転状態となり、ポンプ202は停止状態となる。また、選択されていない逆浸透膜装置に濃縮水を注入する場合は、開閉制御部720は、開閉弁310,311,312,314の開閉を制御する。
【0036】
ここで、イオン交換樹脂装置400-1の再生または交換が行われてからの各工程における開閉制御部720が行う開閉弁300-1~300-3,303,305,310,311の開閉制御方法について説明する。開閉制御部720が行う開閉弁300-1~300-3,303,305の開閉制御は第1の実施の形態におけるものと同じである。また、ブローを行う工程および予備水処理を行う工程では、開閉制御部720は、開閉弁310を閉状態とし、開閉弁311,312を開状態とする。また、通常の運用を行う工程では、開閉制御部720は、開閉弁310を閉状態とする。このとき、逆浸透膜装置500が運転している場合は、開閉制御部720は、開閉弁311を開状態とし、開閉弁312を閉状態とする。一方、逆浸透膜装置501が運転している場合は、開閉制御部720は、開閉弁311を閉状態とし、開閉弁312を開状態とする。なお、ポンプ202は、予備水処理を行う工程で運転を行い、それ以外の場合は停止する。
【0037】
さらに、予備水処理を行う工程では、開閉制御部720は、測定値取得部710が取得した、測定部601が測定した測定値に基づいて、開閉弁304,308,309の開閉を制御する。この制御方法は、第1の実施の形態におけるものと同じである。
【0038】
本形態においては、樹脂交換後に行われる上述したような工程ではない通常工程において、逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501とを切り替えながら運転する。予備系として準備された逆浸透膜装置501も通常工程において使用することで、逆浸透膜装置501内で水の滞留が起こらない。そのため、逆浸透膜装置501内での水の腐敗や、菌の繁殖等を抑えることができる。さらに、逆浸透膜装置501の処理水ラインにも通水がなされるため、処理水側の水滞留を防止することができる。そのため、樹脂交換後に逆浸透膜装置501を使用しても逆浸透膜装置501の十分な性能を発揮することができる。通常工程に用いる逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501との切り替えは、例えば運転時間、逆浸透膜の積算通水日数、逆浸透膜の圧力(膜間差圧、通水差圧)を指標として行うことができる。このような指標を制御装置700が外部から入力し、入力された情報に基づいて、制御装置700が通常工程に用いる逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501とを切り替えるものであっても良い。また、本システムを運用する運用者が開閉弁313を調整して、通常工程に用いる逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501とを切り替えるものであっても良い。また、逆浸透膜装置500,501と並列に他の逆浸透膜装置(例えば、逆浸透膜装置502(不図示),503(不図示)等)が設けられている場合、これら並列に設けられている逆浸透膜装置の一部または全部に水を流すものであっても良い。
【0039】
上述した形態においては、逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501とを切り替えながら運転する説明を行ったが、逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501とを同時に運転させるものであっても良い。すなわち、通常工程において、イオン交換樹脂装置400-1~400-3の処理水を、逆浸透膜装置500と逆浸透膜装置501との両方に供給するものであっても良い。このとき、イオン交換樹脂装置400-1~400-3の樹脂の交換後は、逆浸透膜装置500を通水用として運転させ、逆浸透膜装置501を洗浄排水処理用として運転させるものであっても良い。
【0040】
なお、上述した樹脂交換後の工程へ移行する場合、移行する直前には逆浸透膜装置501が使用されているように運転するものであっても良い。この場合、あらかじめ設定された運転計画に従って、樹脂交換予定の日時からあらかじめ設定された時間だけ早い日時になった際に、逆浸透膜装置501が運転状態になるように、制御装置700が各開閉弁の開閉を制御する。この設定された時間は、逆浸透膜装置501がその役割を果たす機能が発揮できる状態になるために必要な時間であって、過去の使用実績等からあらかじめ算出されたもので良い。こうすることで、樹脂交換の直後から逆浸透膜装置501の十分な性能を発揮することができる。
【0041】
比較例として、図2に示した流水方法におけるアニオン交換樹脂交換後のTOC挙動について説明する。イオン交換樹脂装置4000-1のアニオン交換樹脂を交換直後、開閉弁3010を閉状態とし、開閉弁3005を開状態として、樹脂洗浄排水をブローした。測定部6000で測定されたTOCの値が100ppb未満となったとき、開閉弁3010を開状態とし、開閉弁3005を閉状態として、樹脂洗浄排水を原水タンクである水槽1000に戻した。この状態で測定部6000で測定されたTOCの値が20ppb未満となり、アニオン交換樹脂を交換したイオン交換樹脂装置4000-1の処理水がメインラインに合流できるまで、約26時間の時間を要した。
【0042】
上述した比較例と同様の樹脂および通水条件のもとで、図3に示した流水方法を用いて同様の通水を行った。イオン交換樹脂装置400-1のアニオン交換樹脂を交換直後、開閉弁303を閉状態とし、開閉弁305を開状態として、樹脂洗浄排水をブローした。測定部600で測定されたTOCの値が100ppb未満となったとき、開閉弁303を開状態とし、開閉弁305を閉状態として、ポンプ202を起動して、樹脂洗浄排水を逆浸透膜装置501のRO膜に通水した。ここで、RO膜として、SG30LE-440i(DuPont社製)を用いた。回収率を70%として運転した。開閉弁309を開状態として、逆浸透膜装置501の処理水を原水タンクである水槽100に戻した。測定部601で測定されたTOCの値が20ppb未満となったとき、開閉弁304を開状態として、逆浸透膜装置501の処理水をメインラインに合流させた。逆浸透膜装置501の処理水(アニオン交換樹脂を交換したイオン交換樹脂装置400-1の処理水)がメインラインに合流できるまでの時間は約13時間であり、合流に要する時間が比較例と比較して約半分に低減できた。
【0043】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。また、それぞれの開閉弁の開閉制御を制御装置700が行うほか、本システムを運用する運用者が行うものであっても良い。この場合、測定部600,601が測定した値に基づいて、運用者がそれぞれの開閉弁の開閉制御を行っても良い。例えば、測定部600が測定した値に基づいて、運用者が開閉弁301-1,303,305の開閉を制御したり、測定部601が測定した値に基づいて、運用者が開閉弁304,308,309の開閉を制御したりするものであっても良い。
【0044】
上述した制御装置700が行う処理は、手動で行うものであっても良いし、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を、制御装置700にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御装置700に読み込ませ、実行するものであっても良い。制御装置700にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの移設可能な記録媒体の他、制御装置700に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、制御装置700に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0045】
100 水槽
200~202 ポンプ
300-1~300-3,301-1~301-3,302~314 開閉弁
400-1~400-3 イオン交換樹脂装置
500,501 逆浸透膜装置
600,601 測定部
700 制御装置
710 測定値取得部
720 開閉制御部
730 入力部
図1
図2
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図9