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  • 特許-情報管理装置、及び情報抽出方法 図1
  • 特許-情報管理装置、及び情報抽出方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】情報管理装置、及び情報抽出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04815 20220101AFI20241122BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20241122BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20241122BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20241122BHJP
【FI】
G06F3/04815
G06F3/0484
G06Q50/08
G06T19/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020185644
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075084
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕樹
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-068698(JP,A)
【文献】特開2010-134792(JP,A)
【文献】特開2018-088065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0156576(US,A1)
【文献】特開2014-164003(JP,A)
【文献】特開平10-011248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0236844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/048- 3/04895
30/00 - 30/398
G06T 1/00
3/00 - 5/94
11/60 - 13/80
17/05
19/00 - 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元空間に配置された仮想建物に関わる対象物の情報と、前記仮想建物に係る建物の情報を、前記仮想建物内の所定の位置に関連付けて記憶領域に保持させることが可能な情報管理装置であって、
前記仮想建物内の第1地点を含むように第1範囲が前記仮想建物内に規定され、前記第1範囲の少なくとも一部を包含するように第2範囲が規定され、前記第1範囲と前記第2範囲との間が抽出対象領域として決定され、前記抽出対象領域内に関連付けられた第1対象物の情報と、前記第1範囲内に関連付けられた第3対象物の情報とを抽出する抽出処理部と、
前記第1対象物の位置情報又は前記第3対象物の位置情報に係る前記仮想建物内の所定の位置に関連する屋内画像を前記建物において撮影した画像に基づいて生成する表示画像情報生成部と、
少なくとも前記第3対象物の情報を前記仮想建物内の所定の位置に関連付けて前記記憶領域に保持させるモデル情報処理部と
を備え、
前記第3対象物の情報に基づいた3次元モデルを前記屋内画像に重ねて表示させる
情報管理装置。
【請求項2】
前記抽出処理部は、
前記第2範囲外の抽出範囲外領域に関連付けられた第2対象物の情報を抽出しない、
請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記モデル情報処理部は、
前記第1対象物の情報又は前記第3対象物の情報に基づいた、当該情報に係る対象物の3次元モデルの情報を前記仮想建物内の所定の位置に関連付けて前記記憶領域に保持させる
請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記抽出処理部は、
前記第1対象物と第3対象物の情報を表示対象にするように抽出する、
請求項1から3の何れか1項に記載の情報管理装置。
【請求項5】
3次元空間に配置された仮想建物に関わる対象物の情報と、前記仮想建物に係る建物の情報を、前記仮想建物内の所定の位置に関連付けて記憶領域に保持させることが可能なコンピュータによる情報抽出方法であって、
前記仮想建物内の第1地点を含むように前記仮想建物内に規定される第1範囲と、前記第1範囲の少なくとも一部を包含するように規定される第2範囲との間が抽出対象領域として定められ、前記抽出対象領域内に関連付けられた第1対象物の情報と、前記第1範囲内に関連付けられた第3対象物の情報とを抽出するステップと、
前記第1対象物の位置情報又は前記第3対象物の位置情報に係る前記仮想建物内の所定の位置に関連する屋内画像を前記建物において撮影した画像に基づいて生成するステップと、
少なくとも前記第3対象物の情報を前記仮想建物内の所定の位置に関連付けて前記記憶領域に保持させるステップと
を含む情報抽出方法において、
前記第3対象物の情報に基づいた3次元モデルを前記屋内画像に重ねて表示させること
を含む情報抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理装置、及び情報抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物やプラント施設などの現況を管理するための資料として、主に2次元図面が用いられていた。これに対して近年、その現況を記録して管理する手段として、撮影地点の周囲の状況を収めた画像(全天球画像、全天周画像、全方位画像など。)を利用すること、BIM(Building Information Modeling/Management)を利用することなどが着目されている。
【0003】
例えば、全天球画像は、上下左右の状況を1つの画像に収めた画像になり、全天周画像又は全方位画像に比べて1つの画像に収まる範囲が広くなる。全天球画像用の専用のカメラを用いることで、一般的な写真を撮影するのと同様の操作で、上記のように広い範囲を1つの画像(全天球画像)に収めることができる。このような全天球画像を単に2次元平面に射影すると空間的に歪のある画像になる。歪のある全天球画像から、これを自然画に近い2次元画像に変換して、閲覧させることを可能にする情報閲覧装置(ソフトウエアまたはサービス)が知られている。このような情報閲覧装置には、単なる画像の閲覧ツールとして利用可能なもの、これに加えて、画像内に簡単なコメントをメモとして付与しておき、画像の閲覧時に一緒に閲覧可能にするものなどが知られている。
【0004】
一方で、BIMを形成するための情報管理装置がある。情報管理装置は、建物に関する情報(モデル)を管理して、管理する情報を利用可能にする。例えば、情報管理装置が管理する情報には、建物などの対象物の形状をモデル化したデータが含まれる。情報管理装置は、モデル化した対象物の形状などのデータに基づいて、仮想3次元空間に対象物の形状を再現させて表示させる。さらに、情報管理装置は、その対象物に関連する属性情報を、対象物のデータに関連付けて管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-88065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、全天球画像を閲覧すれば、写真を閲覧するのと同じように周囲の状況把握が可能になるが、このような全天球画像に、建物及び建物に関連する設備の詳細な情報を関連付けることが容易でない。
これに対し、BIMは、仮想3次元空間を利用して対象物を3次元で表現し、その対象物に関連する情報を対象物に関連付けて格納させることができる。基本的にBIM用の情報管理装置(またはソフトウエア)がないと、BIMのデータを利用することができない。大規模の構造物の場合、又は詳細に情報を記述する場合などには、そのデータ量が大きくなる。情報管理装置として比較的処理能力が高いコンピュータを利用しても、データ量が比較的大きな場合の閲覧操作を行うときなどに、その処理を軽快に行わせることが困難な場合があった。BIMのデータを利用することの利点が知られていても、容易に利用できない場合があった。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、簡易な方法で建物内の状況把握を可能にする情報管理装置、及び情報抽出方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、3次元空間に配置された仮想建物に関わる対象物の情報を、前記仮想建物内の所定の位置に関連付けて記憶領域に保持させることが可能な情報管理装置であって、前記仮想建物内の第1地点を含むように前記仮想建物内に規定される第1範囲と、前記第1範囲の少なくとも一部を包含するように規定される第2範囲との間が抽出対象領域として決定され、前記抽出対象領域内に関連付けられた第1対象物の情報を抽出する抽出処理部を備える情報管理装置である。
【0009】
上記の一態様の情報管理装置における前記抽出処理部は、前記第2範囲外の抽出範囲外領域に関連付けられた第2対象物の情報を抽出しない。
上記の一態様の情報管理装置における前記抽出処理部は、前記第1範囲内に関連付けられた第3対象物の情報を、夫々関連付けられた位置の情報に基づいて前記第1対象物と区分して抽出する。
上記の一態様の情報管理装置における前記抽出処理部は、前記第1対象物を表示対象にするように抽出する。
【0010】
上記の一態様の情報管理装置は、要求に基づいて、前記第1対象物の情報と前記第3対象物の情報とを、前記仮想建物内の所定の位置に関連する屋内画像に重畳させて表示させる画像を生成して、前記第1対象物の情報と前記第3対象物の情報とに夫々規定されている位置情報から、前記第1対象物と前記第3対象物とを識別可能に前記表示させる表示画像情報生成部を備える。
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、3次元空間に配置された仮想建物に関わる対象物の情報を、前記仮想建物内の所定の位置に関連付けて記憶領域に保持させることが可能なコンピュータによる情報抽出方法であって、前記仮想建物内の第1地点を含むように前記仮想建物内に規定される第1範囲と、前記第1範囲の少なくとも一部を包含するように規定される第2範囲との間が抽出対象領域として決定され、前記抽出対象領域内に関連付けられた第1対象物の情報を抽出するステップを含む情報抽出方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、簡易な方法で建物内の状況把握を可能にする情報管理装置、及び情報抽出方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る情報共有支援システムの構成図である。
図2】実施形態に係る情報共有支援システムを説明するための図である。
図3】実施形態に係る対象範囲の座標系について説明するための図である。
図4A】実施形態に係る正距円筒図法による画像について示す図である。
図4B】実施形態に係る全天球画像について示す図である。
図5】実施形態に係る端末装置200の構成図である。
図6】実施形態に係る情報管理装置400のハードウェア構成図である。
図7】実施形態に係る情報管理装置400の機能構成図である。
図8】実施形態に係る空間管理情報411の内容の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る収集情報412の内容の一例を示す図である。
図10】実施形態に係る提供情報413の内容の一例を示す図である。
図11】実施形態に係る情報管理装置400がBIMデータを共有するための処理の手順を示すフローチャートである。
図12】実施形態の対象範囲の一例を説明するための図である。
図13図12示す部屋の合成画像の表示例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る情報共有支援システムの構成図である。図2は、実施形態に係る情報共有支援システムを説明するための図である。図3は、実施形態の対象範囲の座標系について説明するための図である。
【0015】
[情報共有支援システム]
最初に、情報共有支援システム1の概要について説明する。情報共有支援システム1は、実空間内の対象範囲10に関する情報の共有を支援する。例えば、対象範囲10には、実在する建物2の一部又は全部が含まれるように、その範囲が予め決定される。実空間内の対象範囲10における位置は、直交座標系(X,Y,Z)を用いて特定される。対象範囲10内に、幾つかの観測点(不図示)が設けられる。例えば、観測点Pの位置は、観測点Pの周囲の状況を共有するように決定される。以下の説明では、観測点Pを単に観測点という。
【0016】
例えば、情報共有支援システム1は、撮像装置100と、端末装置200(情報閲覧装置)と、情報共有支援装置300と、情報管理装置400と、設備管理装置500と、を備える。撮像装置100、端末装置200、情報共有支援装置300、情報管理装置400、及び設備管理装置500は、ネットワークNWに接続可能である。
【0017】
情報共有支援システム1は、この観測点を基準にして、その周囲の状況の共有を支援する。情報共有支援システム1により共有される情報には、観測点の周囲の状況を収めた画像が含まれる。これを、観測点の周囲画像と呼ぶ。
【0018】
観測点の周囲画像とは、撮像装置100が観測点において撮像して得た画像、又は、観測点において撮像して得た複数の画像の組のことである。観測点の周囲画像は、全天球画像、全天周画像、全方位画像などの何れであってもよい。観測点の周囲画像は、ユーザU1が撮像装置100を操作して撮像したものであってもよく、撮像装置100が予め定められタイミングで撮像したものであってもよい。観測点の位置は、撮像装置100を用いて撮影した位置(撮影地点の位置)である。
【0019】
情報共有支援システム1は、観測点の周囲画像を利用可能にして、端末装置200などを操作する複数のユーザ間で、対象範囲10内の状況を共有できるように支援する。
【0020】
対象範囲10内の状況は、対象範囲10内に配置されるものの有無、それが配置されている位置によって決定される。例えば、対象範囲10内に配置されるものには、上記の建物に設けられた設備、什器などのように比較的容易に視認可能な位置に配置されるものと、配管(例えば、水道、ガス、電気配線用の配管。)、配線(例えば、電力用、制御用、通信用、接地母線などの配線。)などのように視認することが比較的困難な位置に配置されるものとが含まれる。
【0021】
情報共有支援装置300は、観測点の周囲画像が共有されるように支援する。例えば、情報共有支援装置300は、撮像装置100によって撮像された画像のデータを、撮像装置100から収集する。情報共有支援装置300は、収集した画像のデータを、端末装置200又は情報管理装置400からの要求に応じて、それぞれに対して提供する。端末装置200又は情報管理装置400は、これをそれぞれの表示部に表示させる。
【0022】
設備管理装置500は、建物に設けられている各種設備を管理する。例えば、設備管理装置500は、対象範囲10内に配置されるセンサ又は各種設備に設けられているセンサなどの情報を収集して、これに基づいて各種設備を制御する。各種設備には、空気調和設備、照明設備などが含まれていてよい。設備管理装置500は、収集したセンサのデータ、設備の稼働状況を示すデータなどを、端末装置200又は情報管理装置400からの要求に応じて、それぞれに対して提供する。端末装置200又は情報管理装置400は、これをそれぞれの表示部に表示させる。
【0023】
このように、ユーザU2は、端末装置200又は情報管理装置400を操作することにより、対象範囲10に関する所望の情報を得ることができる。
【0024】
情報共有支援システム1は、上記のように対象範囲10の情報の共有に係る処理を行うに当たり、観測点を基準にして、周囲の状況、事象が発生している位置などの情報を管理して共有可能にする。
【0025】
以下、情報共有支援システム1に係る各装置について順に説明する。
【0026】
[撮像装置]
撮像装置100の一例について説明する。
例えば、撮像装置100が出力する周囲画像には、正距円筒図法による画像、全天球画像などのような全方向の画像が含まれていることが望ましい。図4Aは、実施形態に係る正距円筒図法による画像について示す図である。図4Bは、実施形態に係る全天球画像について示す図である。正距円筒図法は、前述の図3に示すような球体の表面を展開し、その表面を長方形に射影して示す図法である。球体の緯度経度は、長方形内で直角かつ等間隔に交差するように各部の尺度が調整される。これと反対に、撮像装置100は、円筒の側面に描かれた正距円筒図法による画像を、図3に示す球体の表面に射影すると、球体の表面に射影された画像は、球体の内側からみれば全天球画像になる。撮像装置100は、正距円筒図法による画像と全天球画像の何れかの画像を出力するとよい。
【0027】
なお、上記の撮像装置100に代えて、広角レンズ又は標準レンズを用いる一般的なカメラを利用してもよい。このような撮影方法で撮像された画像については、それらを組み合わせる合成処理を施すとよい。全周囲を複数回に分割して撮像した画像の合成方法は、一般的な手法を適用できる。
【0028】
以下の実施形態の説明では、撮像装置100は、全天球画像による屋内画像を、対象の周囲画像として出力するものとする。例えば、撮像装置100は、上記の対象の周囲画像を情報共有支援装置300に対して送信する。
【0029】
[端末装置]
図5は、実施形態に係る端末装置200の構成図である。端末装置200は、例えば、CPU200Aと、RAM(Random Access Memory)200Bと、不揮発性記憶装置200Cと、可搬型記憶媒体ドライブ装置200Dと、入出力装置200Eと、通信インターフェース200Fとを備える。端末装置200は、CPU200Aに代えて、任意の形態のプロセッサを備えてもよいし、図5に示した各構成要素のうち一部を省略してもよい。端末装置200の典型的な一例は、パーソナルコンピュータ、又はタブレット装置などの携帯型の端末装置であり、これに制限されない。
【0030】
CPU200Aは、不揮発性記憶装置200Cに格納されたプログラム、又は可搬型記憶媒体ドライブ装置200Dに装着された可搬型記憶媒体に格納されたプログラムをRAM200Bに展開して実行することで、以下に説明する種々の処理を行う。RAM200Bは、CPU200Aによってワーキングエリアとして使用される。不揮発性記憶装置200Cは、例えば、HDDやフラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)などである。可搬型記憶媒体ドライブ装置200Dには、DVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)、SDカードなどの可搬型記憶媒体が装着される。入出力装置200Eは、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、表示装置などを含む。通信インターフェース200Fは、ネットワークNWに接続され、端末装置200における通信を制御する。
【0031】
図5を参照して、実施形態に係る端末装置200の機能構成について説明する。端末装置200は、受付処理部211と、データ取得部212と、表示制御部213とを備える。これらの機能部は、例えば、CPU200Aがプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアが協働することで実現されてもよい。
【0032】
受付処理部211は、入出力装置200Eによって検出されたユーザの操作を受け付ける。例えば、受付処理部211は、入出力装置200Eにより表示された画像V21(図2)上のボタンなどを選択する操作を検出して、ユーザの操作として受け付ける。受付処理部211は、検出したユーザの操作に基づいて、情報を共有するための要求を情報共有支援装置300と、情報管理装置400と、設備管理装置500とのそれぞれ宛に送信する。
【0033】
データ取得部212は、情報共有支援装置300と、情報管理装置400と、設備管理装置500との中の何れかから送信された情報を取得する。例えば、情報共有支援装置300から取得する情報には、特定の観測点に対応する観測点の周囲画像が含まれる。情報管理装置400から取得する情報には、特定の観測点に対応するBIMデータが含まれる。設備管理装置500から取得する情報には、特定の観測点に対応する設備の動作状況などの情報が含まれる。
【0034】
表示制御部213は、情報共有支援装置300と情報管理装置400と設備管理装置500の中の何れかから送信された情報に基づいて、入出力装置200Eにおける表示部(不図示)に表示させる画像を生成する。例えば、表示制御部213は、特定の観測点に対応する取得情報に基づいた閲覧画像を生成して、その表示部に表示させる。
【0035】
なお、端末装置200は、受付処理部211、データ取得部212、及び、表示制御部213の一部又は全部を、Webシステムに適用されるブラウザを利用して実現してもよい。
【0036】
[情報共有支援装置]
情報共有支援装置300は、対象範囲10に含まれる建物2に関する画像の情報を管理するコンピュータである。例えば、図1に示すように、情報共有支援装置300は、記憶部310と、制御部320とを備える。
【0037】
記憶部310には、建物2の対象地点の画像(全天球画像など。)と、その撮影日時などの情報が格納されている。
【0038】
制御部320は、撮像装置100から取得した画像を、記憶部310に格納する。制御部320は、撮像装置100から取得した画像を、記憶部310に格納されている画像を、端末装置200又は後述する情報管理装置400に提供する。
【0039】
制御部320は、撮像装置100から取得した画像が撮影された日時を、その画像に関連付けて記憶部310に格納する。例えば、制御部320は、画像が撮影された日時を、その画像に関連付けて、記憶部310に格納する。ユーザは、この関連付けを、画像の撮影に合わせて現場で行ってもよく、画像の撮影後にその画像の整理の段階で行ってもよい。これに変えて、制御部320は、各画像に付与される属性情報に基づいて、この属性情報によって示される撮影日時の情報を用いてもよい。
【0040】
[設備管理装置]
設備管理装置500は、対象範囲10内に配置される設備を管理するコンピュータである。例えば、図1に示すように、設備管理装置500は、記憶部510と、制御部520とを備える。記憶部510には、対象範囲10内に配置される設備に関する各種センサによって検出された情報などが格納されている。制御部520は、上記の各種センサの情報を、端末装置200又は後述する情報管理装置400からの要求に応じて提供する。
【0041】
[情報管理装置]
図6から図11を参照して、情報管理装置400の一例について説明する。情報管理装置400は、対象範囲に含まれる建物2に関する情報を管理するコンピュータである。
【0042】
図6は、実施形態に係る情報管理装置400のハードウェア構成図である。情報管理装置400は、例えば、CPU400Aと、RAM400Bと、不揮発性記憶装置400Cと、可搬型記憶媒体ドライブ装置400Dと、入出力装置400Eと、通信インターフェース400Fとを備える。情報管理装置400は、CPU400Aに代えて、任意の形態のプロセッサを備えてもよいし、図6に示した各構成要素のうち一部を省略してもよい。
【0043】
CPU400Aは、不揮発性記憶装置400Cに格納されたプログラム、又は可搬型記憶媒体ドライブ装置400Dに装着された可搬型記憶媒体に格納されたプログラムをRAM400Bに展開して実行することで、以下に説明する種々の処理を行う。RAM400Bは、CPU400Aによってワーキングエリアとして使用される。不揮発性記憶装置400Cは、例えば、HDDやフラッシュメモリ、ROMなどである。可搬型記憶媒体ドライブ装置400Dには、DVDやCD、SDカードなどの可搬型記憶媒体が装着される。入出力装置400Eは、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、表示装置などを含む。通信インターフェース400Fは、ネットワークNWに接続され情報管理装置400における通信を制御する。なお、通信インターフェース400Fは、Webシステムに適用されるWebサーバとしての機能を有していてもよく、さらにブラウザとしての機能有していてもよい。
【0044】
図7は、実施形態に係る情報管理装置400の機能構成図である。情報管理装置400は、記憶部410と、制御部420とを備える。
【0045】
記憶部410は、RAM400B又は不揮発性記憶装置400Cに設けられた記憶領域である。記憶部410は、情報管理装置400からアクセス可能なNAS装置などの外部記憶装置によって実現されてもよい。
【0046】
例えば、記憶部410は、空間管理情報411、収集情報412、提供情報413、BIMデータ414などの情報を格納する。
【0047】
図8を参照して、実施形態に係る空間管理情報411について説明する。図8は、実施形態に係る空間管理情報411の内容の一例を示す図である。空間管理情報411は、各観測点に対応する空間の範囲を規定する情報を含む。例えば、各観測点に対応する対象範囲が割り付けられる。空間管理情報411には、対象範囲に関する情報が含まれる。例えば、空間管理情報411には、観測点ID、フロアID、観測点位置情報、第1範囲、第2範囲などの情報が、対象範囲ごとの情報として含まれる。
【0048】
観測点IDは、観測点に対して割り付けられた対象範囲を識別するための識別情報である。例えば、観測点IDは、観測点を識別するための識別情報であってもよく、観測点の座標値、又は、座標値に基づいて生成された値であってもよい。
【0049】
フロアIDは、対象範囲を含むフロアを識別するための識別情報である。例えば、エリアを建物の層(階)に対応させた場合、エリアIDが建物における階数を示し、1階を1Fとして、2階を2Fとして示してもよい。さらに、建物における階数、同一階におけるゾーン、テナント、部屋などのように、所望の規則に従って建物内を複数のエリアに区分してもよい。この場合には、フロアIDは、区分された各エリアの識別番号などの情報を含めてもよい。
【0050】
観測点位置情報は、対象範囲ごとに決定される観測点の位置を示す情報であり、例えば3次元直交座標系の位置情報で規定される。
【0051】
第1範囲と第2範囲は、対象範囲を特定するための情報である。これらは、互いの位置が関連付けられていて、かつ、特定の観測点(仮想建物内の第1地点)を含むように規定される。この詳細については、後述する。
【0052】
図7に戻り、記憶部410の説明を続ける。収集情報412は、観測点の周囲の状況として収集した各種情報を含む。提供情報413は、観測点の周囲の状況として収集された情報から抽出された情報を含む。収集情報412、及び、提供情報413のより具体的な説明は後述する。BIMデータ414は、建物と設備などをモデル化したデータの集合体である。BIMデータ414は、建物と設備などのBIMに関するデータを含む。例えば、BIMデータ414には、BIMを形成するためのデータとして、建物内の各部、各設備などのデータが格納される。BIMデータ414のデータ構造、データの種類などに制限はなく、周知のデータ構造のBIMデータを適用してもよい。例えば、BIMデータには、建物2を3次元モデルにした情報、上記の設備の属性情報、建物2及び付帯する設備の保守点検の履歴情報などが格納されている。
【0053】
制御部420は、指定情報取得部421と、周囲画像取得部422と、抽出処理部423と、提供情報生成部424と、閲覧画像情報生成部425と、表示画像情報生成部426と、BIM処理部427とを備える。
【0054】
指定情報取得部421は、端末装置200におけるユーザの操作の検出結果を、端末装置200から取得する。例えば、上記のユーザの操作の検出結果には、対象範囲を指定する情報が含まれる。指定情報取得部421は、端末装置200から取得した情報を、記憶部410における収集情報412に追加する。
【0055】
周囲画像取得部422は、情報共有支援装置300から実空間における観測点の周囲画像を取得して、同様に収集情報412に追加する。
【0056】
ここで、図9を参照して、収集情報412について説明する。図9は、実施形態に係る収集情報412の内容の一例を示す図である。収集情報412には、対象範囲ごとに収集された画像情報、BIMデータなどの情報が含まれる。
【0057】
例えば、収集情報412は、観測点ID、対象範囲情報、有効フラグ、データ種別、データ識別ID(ファイル名)、日時(時刻)、基準方向(θ0)などの情報を含む。
【0058】
観測点IDは、空間管理情報の観測点IDに対応する。この観測点IDによって、建物内に複数設けられた対象範囲が一意に識別される。
【0059】
対象範囲情報は、上記の観測点IDを含む範囲を一意に識別するための識別情報である。この範囲を識別するための情報として、第1範囲又は第2範囲の何れかが、BIMデータに対して付与される。
【0060】
有効フラグは、収集情報としての有効性を示す情報である。例えば、収集情報が利用できない状況にある場合に無効とされ、利用できる状況にある場合に有効とされる。収集情報が利用できない状況とは、新しい情報が収集されて情報が陳腐化した場合などが含まれる。
【0061】
データ種別は、画像、BIMデータ(BIMと表記。)など、データの種別を示す情報である。例えば、ファイル名の拡張子を流用してもよい。
【0062】
データ識別IDは、収集情報として扱うデータを識別するための識別情報である。例えば、収集情報をファイルとして扱う場合のファイル名などであってよい。
【0063】
日時は、収集情報に関連する日時を示す情報である。例えば、データ種別が画像である場合に付与され、その日時は、画像の撮影日時、画像情報が格納された日時などである。
【0064】
基準方向(θ0)は、情報の種別が画像情報である場合に適用される。例えば、周囲画像取得部422は、対象範囲に画像を割り付ける際に、画像の方向が3次元仮想空間における方向が合うように、鉛直方向のz軸(図3)周りに画像を回転して、画像の方向を調整する。基準方向(θ0)は、調整が必要となる場合の補正角であり、補正を行わない場合には、その値を0にする。
【0065】
データの幾つかの例について説明する。例えば、観測点IDを「1F1」、データ識別IDを「FP001」として参照される画像のデータは、撮影日が比較的古いため、「無効」なデータとして管理される。これに対し、データ識別IDを「FP002」として参照される画像のデータは、撮影日が比較的新しいため、「有効」なデータとして管理される。このように、特定の観測点IDに関連付けられる画像の中で、撮影日が最新のものが「有効」とされる。特定の観測点IDに関連付けられる新たな画像が追加された段階で、最新のものが「有効」とされ、これまで「有効」とされていたデータ(ファイル)は、「無効」に変更される。このように有効フラグが「有効」のデータを参照すれば、最新の画像を抽出することができる。
【0066】
同じく観測点IDが「1F1」であり、データ識別IDを「FP003」として参照されるBIMデータには、第1範囲内の対象物のデータが含まれる。これに対し、データ識別IDを「FP004」として参照されるBIMデータには、第2範囲内の対象物のデータが含まれる。「FP004」として参照されるBIMデータは、BIM処理部427によって生成され、ここに追加される。
【0067】
図7に戻り、抽出処理部423について説明する。抽出処理部423は、端末装置200から指示された対象範囲に基づいて決定される範囲(第1範囲、第2範囲)に含まれる情報を抽出する。抽出処理部423は、上記の抽出において、収集情報412に格納されている情報を、この情報に付与されている識別情報に基づいて参照する。上記の付与されている識別情報には、収集情報412に格納されている情報の位置を示す観測点IDなどが含まれる。この抽出処理部423は、端末装置200から指示され得る対象範囲のうちから、特定の対象範囲を決定し、これに基づいて、対象範囲ごとのデータを抽出する。
【0068】
提供情報生成部424は、上記の閲覧画像として選択する範囲に基づいて、観測点に対応する提供情報413を生成する。
【0069】
ここで、図10を参照して提供情報413について説明する。図10は、実施形態に係る提供情報413の内容の一例を示す図である。提供情報413は、前述の収集情報412から抽出された情報が含まれる。提供情報413の各項目は、前述の収集情報412の項目に対応する。
【0070】
さらに、提供情報413の項目には、表示範囲の情報が含まれる。表示範囲の情報には、対象範囲の閲覧画像として選択する情報であることを示す情報(フラグ)が含まれる。「YES」が付与された情報は、対象範囲の閲覧画像として表示するために選択する情報であり、「NO」が付与された情報は、対象範囲の閲覧画像として表示させない情報である。
【0071】
提供情報413には、収集情報412から抽出された情報のほかに、収集情報412から抽出された情報に基づいて生成されるデータが含まれる。
【0072】
例えば、観測点IDが「1F1」であり、かつ、「FP005」のデータ識別IDが付与されたBIMデータは、「FP004」のデータ識別IDが付与されたBIMデータに代えて利用されるデータとして生成される。
例えば、「FP004」のデータ識別IDが付与されたBIMデータには、表示範囲に「NO」が付与されている。これによって、対象範囲の閲覧画像として表示させない情報として識別される。これに代わり、「FP005」のデータ識別IDが付与されたBIMデータは、表示範囲に「YES」が付与されている。これによって、対象範囲の閲覧画像として表示させる情報として識別される。観測点IDが「1F1」とは異なる情報は、表示範囲に「NO」が付与されている。これによって、その対象範囲の閲覧画像として表示させる情報でないものとして識別される。
【0073】
図7に戻り、説明を続ける。閲覧画像情報生成部425は、上記周囲画像に基づいて範囲が識別された閲覧画像を表示させるための情報(閲覧画像情報)を生成する。閲覧画像の表示の例について後述する。
【0074】
表示画像情報生成部426は、記憶部410に格納された提供情報の有無を、観測点に対応させて表示する一覧画像情報を生成する。提供情報の有無の表示の例について後述する。
【0075】
BIM処理部427は、BIMデータ414を管理する。例えば、BIM処理部427は、ユーザの操作に基づいて、BIMデータ414の各情報の追加、削除、変更などを行う。BIM処理部427は、ユーザの操作に応じて、BIMデータ414の各情報を、表示部に表示させるための画像を生成する。これによって、建物と設備の情報を、仮想空間の情報として表示することを可能にする。
【0076】
このようなBIM処理部427は、情報管理装置400をBIMデータの管理装置として機能させる。BIM処理部427は、入出力処理部からの要求を検出すると、その要求に応じた所望の範囲の対象物のデータを抽出して、抽出した対象物のデータを3次元のモデルとして表示部に表示させる。さらに、BIM処理部427は、後述する抽出処理部からの要求を検出すると、その要求に応じた所望の範囲の対象物のデータを抽出して、抽出したデータを記憶部の提供情報413に格納する。
【0077】
さらに、BIM処理部427は、特定の範囲内の建物と設備の情報を抽出する。本実施形態では、この抽出機能を、情報の抽出に利用する。例えば、BIM処理部427は、抽出処理部423によって指定される対象範囲に対応する範囲の建物と設備の情報を抽出して、その結果を収集情報412に追加する。これにより、BIM処理部427は、例えば、所望の大きさの任意の箱(部屋)の中にあるオブジェクトを抽出して、それを描画させることができる。このようなBIM処理部427は、壁面の表面よりも内側に配置されているオブジェクト(上記の装置など。)を抽出して表示部に表示させることができる。
【0078】
オブジェクトが壁面の表面よりも内側に配置されていると、そのオブジェクトを表示させることができない場合がある。このようなオブジェクトには、ふかし部分の配線、埋設配管、スラブを挟んだ位置になる他の部屋側のオブジェクトなどが含まれる。
【0079】
[BIMデータを共有させるための処理]
次に、BIMデータを共有させるための処理について説明する。
【0080】
図11は、実施形態に係るBIMデータを共有させるための処理の手順を示すフローチャートである。例えば、情報管理装置400は、ユーザの端末装置200の操作、又は入出力装置400Eに応じて以下の処理を実施する。
【0081】
指定情報取得部421は、端末装置200からの要求に対応する観測点の位置を取得する(ステップS12)。例えば、端末装置200は、画像V22(図2)の中に表示されている複数のアイコン(ボタン)のうち操作されたボタンを検出する。これにより、端末装置200は、ユーザが要求する位置を識別する。その識別結果を画像V41(図2)に示す。画像V41内の丸印が、ユーザが要求した位置を示す。
【0082】
次に、抽出処理部423は、BIM処理部427を制御して、上記の観測点に対応する対象範囲(第1範囲と第2範囲)のBIMデータを抽出させる(ステップS13)。BIM処理部427は、上記の制御に応じて、観測点に対応する対象範囲に関する第1範囲と第2範囲のそれぞれについてBIMデータを抽出して、収集情報412に追加する。例えば、画像V43(図2)は、第1範囲のBIMデータに基づく画像の表示例である。
【0083】
次に、提供情報生成部424は、BIM処理部427によって追加された収集情報412の情報に基づいて、第1範囲と第2範囲とに関連付けられた抽出対象範囲内のデータを抽出して提供情報413に追加する(ステップS14)。さらに、提供情報生成部424は、第1範囲と第2範囲との間の抽出領域内に存在する抽出対象を抽出して(ステップS15)、その結果を提供情報413に追加する。
【0084】
次に、周囲画像取得部422は、観測点の位置に基づいて、周辺画像を取得して(ステップS16)、収集情報412に追加する。例えば、画像V42(図2)は、第1範囲の全天球画像の表示例である。
【0085】
次に、提供情報生成部424は、上記の観測点の位置に基づいて、抽出対象範囲内の各種データを抽出して(ステップS17)、提供情報413に追加する。抽出対象範囲内の各データには、例えば、ステップS16において取得した周辺画像の中の最新の周辺画像と、ステップS14において抽出された第3対象物に関する情報と、ステップS15において抽出された、第1範囲と第2範囲との間の抽出領域内に存在する抽出対象の情報などが含まれる。
【0086】
次に、閲覧画像情報生成部425は、ステップS17において抽出した各種データに基づいた合成画像を生成する(ステップS18)。例えば、画像V44(図2)は、上記の合成画像の表示例である。この合成画像が端末装置200宛てに送信されて、端末装置200を用いて閲覧可能になる。
【0087】
なお、各種データに基づいた合成画像を生成するには、各情報が示すそれぞれの方向を整合させる必要がある。これについては、特開2018-88065号公報などに開示されている手法を用いて、閲覧画像情報生成部425は、上記の方向の整合をとるとよい。閲覧画像情報生成部425は、この手法に制限されることなく、他の方法を利用して方向を整合させてもよい。
【0088】
情報管理装置400は、観測点の位置を代えて、各観測点について同様の処理を実施する。情報管理装置400は、全ての観測点について同様の処理を実施したのち、一連の処理を終える。
【0089】
上記の処理により、情報共有支援システム1は、観測点の周囲の状況を共有可能にする。
【0090】
図12は、実施形態の対象範囲の一例を説明するための図である。図13は、図12の事例の対象範囲の情報の表示例を説明するための図である。
【0091】
この図12に示されている断面図は、建物2の特定の層に設けられた部屋であって、特定の観測点に係る対象範囲に含まれる部屋の縦断面図である。断面を示すハッチングの表記を省略する。図13に示す画像は、図12に示す部屋の合成画像の表示例になる。
【0092】
図12に示す符号611は、第1範囲の境界を示す。符号612は、第2範囲の境界を示す。例えば、第1範囲は、対象範囲10と一致させてよい。第1範囲を、部屋の大きさに相当する大きさの箱体として規定してもよい。この場合、第2範囲を、部屋の大きさよりも一回り大きな箱体として規定してもよい。このとき、第1範囲の大きさは、部屋の大きさに基づいて決定してもよい。第2範囲の大きさは、所望の抽出対象が含まれるような大きさに決定するとよい。
【0093】
例えば、第1範囲の境界611は、観測点P(仮想建物内の第1地点)を含むように規定される。例えば、観測点Pは、対象範囲10に該当する部屋の内部に規定される。この場合、境界611は、その部屋の床と天井と壁などの面に対応付けられている。境界611は、その部屋の床と天井と壁などの面と同じ位置に配置されているとよい。離隔AH1は、この部屋の天井高である。離隔AW1は、この部屋の幅である。ここでは奥行方向の説明を省略するが、幅方向と同様である。
【0094】
上記のように、第1範囲は、対象範囲に対応する部屋とその大きさに対応付けて規定される。第1範囲を直方体で規定する場合、直交座標系の原点に近い頂点(P11)と、原点から遠い頂点(P12)とによって規定される範囲を、第1範囲としてもよい。
【0095】
第2範囲の境界612は、第2範囲が第1範囲の少なくとも一部を包含するように規定される。この図12に示す例では、第2範囲が第1範囲を包含するように規定されている。この場合、境界612は、建物の構造物の面に必ずしも対応付けられていなくてもよい。離隔AH2は、第2範囲の高さである。離隔AW2は、第2範囲の幅である。上記と同様に、奥行方向の説明を省略するが、幅方向と同様である。
【0096】
境界611をなす面が、この部屋の床面、天井面及び壁面になっている。
この部屋の床をなす構造物の下面が、当該層の下層側の部屋の天井面613Sになっている。例えば、下層側の部屋の天井面613Sは、第2範囲の下端(境界612)よりも高い位置になる。
【0097】
この部屋の天井をなす構造物の上面が、当該層の上層側の部屋の床面613Fになっている。例えば、上層側の部屋の床面613Fは、第2範囲の上端(境界612)よりも低い位置になる。
【0098】
この部屋の第1の壁面には、隣の部屋に通じる開口部614が設けられていて、開口部614には開口部614を塞ぐ扉615が設けられている。第1の壁面に対向する第2の壁面には、開口部はないが、その壁の中に埋設配管631が存在する。
【0099】
同様に、この部屋の床を形成する構造物内に、埋設配管632が存在する。同構造物を挟み、下層の天井面613Sにプルボックス633が設けられていて、そのプルボックス633から延在する露出配管634が存在する。これらは、この部屋の部屋外設備である。
【0100】
上記のように、第1範囲と同様に第2範囲を直方体で規定する場合、直交座標系の原点に近い頂点(P21)と、原点から遠い頂点(P22)とによって規定される範囲を、第2範囲としてもよい。第2範囲の位置と大きさを規定する際に、埋設配管631、埋設配管632、プルボックス633、露出配管634などが第2範囲に含まれるように規定する。これにより、埋設配管631、埋設配管632、プルボックス633、露出配管634などが第2範囲内に設けられている。
【0101】
また、埋設配管631、埋設配管632、プルボックス633、露出配管634などは、第1範囲と第2範囲との間の抽出対象領域(オブジェクト抽出範囲)に位置する。これらは、第1対象物の一例である。第1対象物について換言すれば、部屋の中で写真を撮ったときに写らないものに分類される。周囲画像を確認しても第1対象物の存在及び位置を確認することができないため、図13に示すように、例えば、これらをオブジェクトで表示する。オブジェクトで表示するとは、第1対象物の位置及び形状をモデル化して示す。このとき形状を破線で示すなどの方法で表記してもよい。
【0102】
これに対して、装置621が、第1範囲内に位置するように配置されている。装置621は、第3対象物の一例である。第3対象物について換言すれば、部屋の中で写真を撮ったときに写るものに分類される。第1対象物が存在していれば、周囲画像に写りこむ。そのため、周囲画像を確認すれば第1対象物の存在及び位置を確認することができる。これについても、図13に示すようにオブジェクトで表示してもよい。この場合のオブジェクトで表示するとは、第3対象物の位置及び形状がBIMデータとしてすでにモデル化されているので、その形状を配置された位置に整合するように画像内に表示することである。これにより、前述した第1対象物の表記と互いに異なるものにすることができる。
【0103】
ユーザは、このようにオブジェクトが重畳されて表示された画像から、当該オブジェクトが第1対象物に対応するものか、又は第3対象物に対応するものかを識別できる。
【0104】
なお、第1対象物と第3対象物が、第1範囲の境界と第2範囲の境界をそれぞれ跨いで配置される場合がある。この場合、抽出の対象にするか否かの識別条件を予め規定しておき、これに基づいて抽出処理を実行するとよい。例えば、施工予定個所の確認に利用する場合には、対象物の一部が含まれていれば抽出の対象にするとよい。これにより、施工個所の近傍の状況を漏らさずに確認できる。
【0105】
前述の図10に示した提供情報413について、より具体的に説明する。
データ識別IDが「FP003」によって識別されるファイルには、例えば、装置621などの第3対象物の情報が含まれる。
【0106】
これに対して、データ識別IDが「FP004」によって識別されるファイルには、例えば、装置621などの第3対象物の情報と、上記の埋設配管631、埋設配管632、プルボックス633、露出配管634などの第1対象物の情報が含まれる。このファイルのデータをそのまま情報提供に利用してもよいが、本実施形態では、この中から第1対象物を表示対象として抽出して、これをデータ識別IDが「FP005」によって識別されるファイルに纏める。
【0107】
これにより、第3対象物の情報は、データ識別IDが「FP003」によって識別されるファイルに格納される。第1対象物の情報は、データ識別IDが「FP005」によって識別されるファイルに格納される。このように対象物の位置をキーにしてファイル単位に区分することができる。
【0108】
このように、提供情報413には、仮想建物内の第1地点を含むように仮想建物内に規定される第1範囲と、第1範囲の少なくとも一部を包含するように規定される第2範囲との間が抽出対象領域として定められているデータが格納されている。
【0109】
(抽出処理部423による抽出処理)
上述した抽出処理部423による抽出処理について、別の観点で整理する。
抽出処理部423は、記憶部410の提供情報413を参照して、抽出対象領域内に関連付けられた第1対象物の情報を抽出する。この抽出処理部423は、第2範囲外の抽出範囲外領域に関連付けられた第2対象物の情報を抽出しないように構成されている。抽出処理部423は、第1範囲内に関連付けられた第3対象物の情報を抽出する。その際に、抽出処理部423は、夫々の対象物に関連付けられた位置の情報に基づいて第1対象物と、第3対象物の情報とを区分して抽出する。
【0110】
例えば、抽出処理部423は、夫々関連付けられた位置の情報に基づいて、第1範囲内に関連付けられた第3対象物の情報を、BIM処理部427に抽出させる。同様に、第2範囲内に関連付けられた対象物の情報を、BIM処理部427に抽出させる。このとき、第2範囲よりも内側にある第1範囲内に関連付けられた第3対象物の情報も一緒に抽出される。抽出処理部423は、第2範囲内に関連付けられた対象物の情報と、第3対象物の情報とを対比して、重複する情報を対象から除いて、これを第1対象物の情報として抽出するとよい。抽出処理部423は、抽出した結果を、記憶部410の提供情報413に追加するとよい。
【0111】
上記の処理により、情報管理装置400は、第1対象物と第3対象物とを識別して、それぞれの表示を変えることができる。
【0112】
(利用形態の例)
上記の実施形態によれば、全天球画像の撮影位置を共有することでBIMモデルの属性情報を、全天球画像に基づいた画像上にプロットし、操作に専門知識が必要なBIMソフトウェアに頼ることなくオブジェクトごとの詳細な情報の閲覧を可能にする。これに加えて、全天球画像、BIMモデルを重畳した画像、BIMデータに基づいたオブジェクトごとの詳細な情報を表示した画像の利用を可能にする。これらの画像をウォークスルーに用いたり、全天球画像などに対する任意のメモの添付、上記のメモ等の横断検索などを合わせて実施したりしてもよい。上記のオブジェクトごとの詳細な情報として、実際の機器に取り付けられたセンサ情報を適用すれば、これらの情報も共通の画面内に表示させることが可能になり、ユーザは端末装置200に表示させる画面を切り替えることなく、共通の画面内の情報として閲覧することが可能になる。
【0113】
撮像装置100を用いて撮像しても画像に写らない死角領域がある。情報管理装置400は、その死角領域にあるものを、そのオブジェクトとして画像に重畳して表示させることを可能にする。上記のオブジェクトの一例は、例えば、床スラブを超えて下の階の天井部分に設けられている装置(プルボックス633など。)とその配管(露出配管634など。)である。その輪郭を破線で描画するとよい。さらに、壁に埋設されている配管(埋設配管631、632など。)、内装によって隠れるふかし部分の配管などを、上記と同様にその配管の輪郭を破線で描画するとよい。
【0114】
これに対し、撮像装置100によって撮像すれば画像に写る領域がある。情報管理装置400は、その領域内にあるものに対応するオブジェクトを、画像に重畳して表示部に表示させる。上記のオブジェクトの一例は、例えば、部屋に設けられている什器又は設備である。その形状を示す輪郭線を描画するとよい。この画像にオブジェクトを重ね合わせることにより、実際にあるものと、仮想空間に定義されたオブジェクトとの一致度を対比しやすく表示することが可能になる。この領域内のオブジェクトに、BIMデータとして属性情報が付与されている場合には、これを上記のオブジェクトに対応付けて表示させるとよい。この属性情報には、予め規定されたテキスト、図面などを含めてもよく、さらには、センサなどによって所定の周期で検出され、これに基づいて更新されるセンサデータ(検出値)や、その加工データを含めてもよい。このように逐次更新されるデータを、端末装置200の画像に重畳させて表示させることができる。なお、重畳させて表示させる方法は、一例であり、これに制限されない。例えば、操作や異常値の検出をトリガにして開くプッポアップウインドウを、端末装置200の表示部内に表示させて、そこに上記の情報を表示させたり、端末装置200の表示部内の一部の領域に表示させたりしてもよい。
【0115】
上記の実施形態によれば、以下のような利用形態を可能にして、これにより以下に示す効果を奏する。
【0116】
・情報管理装置400を利用することにより、情報の一元管理が可能になる。これによって、関連する情報の2重管理を防ぐことができる。全天球画像に重畳された情報が合成画像に表示されるので、単に全天球画像を閲覧するだけでなく、より高次元に情報を活用することができる。
【0117】
・情報管理装置400を利用することにより、現況の確認が容易になる。これにより、誤認による作業ミスを抑制することができる。
【0118】
・情報管理装置400を利用することにより、情報管理装置400に管理されている複数種類の情報へのアクセスが容易になり、利便性が向上する。
【0119】
・情報管理装置400は、全天球画像にBIMモデルに基づく情報を重畳させて表示することを可能にする。これにより、BIMモデルと現実(全天球画像)との対比が容易になる。さらに、BIMモデルに存在する現実との乖離を修正することを容易にする。
【0120】
・情報を連携させることで、現況の情報として不足する情報を相互に補完し合うことが可能になる。
【0121】
(第1変形例)
第1の変形例について説明する。前述の実施形態において、端末装置200の表示部に表示させる画像を、情報管理装置400が生成し、これを端末装置200を用いて閲覧する事例を説明した。これに代えて、本変形例では、端末装置200が、その表示部に表示させる画像を生成する事例について説明する。
【0122】
本変形例の情報管理装置400は、実施形態と同様の方法で、第1対象物の情報と第3対象物の情報を識別する。情報管理装置400は、これらの情報を端末装置200に送信する。端末装置200は、上記の第1対象物の情報と第3対象物の情報と、全天球画像とを取得して、閲覧画像情報生成部425に代わって、上記の各情報に基づいて合成画像を生成するとよい。
これによれば、本変形例の場合も、実施形態と同様の効果を奏する。
【0123】
(第2変形例)
実施形態の変形例について説明する。実施形態において対象範囲を特定する際に、第1範囲と第2範囲の特徴点を利用してその範囲を特定したが、これに代えて、第1範囲と第2範囲にそれぞれ対応付けられた第1範囲識別番号と、第2範囲識別番号とを利用して識別してもよい。この場合、第1範囲識別番号は、第1範囲を識別するための識別番号である。第2範囲識別番号は、第2範囲を識別するための識別番号である。第1範囲識別番号と第2範囲識別番号に対する仮想空間内の範囲が予め規定されていれば、これに基づいて、それぞれの仮想空間内の範囲を特定することができる。
これによれば、本変形例の場合も、実施形態と同様の効果を奏する。
【0124】
なお、情報共有支援システム1を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより建物2等における対象物を識別するための処理動作を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0125】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、ネットワークや通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
1…設備選択システム、2…建物、100…撮像装置、200…端末装置、300…情報共有支援装置、400…情報管理装置、410…記憶部、420…制御部、421…指定情報取得部、422…周囲画像取得部、423…抽出処理部、424…提供情報生成部、425…閲覧画像情報生成部、426…表示画像情報生成部、427…BIM処理部、500…設備管理装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13