IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マークテック株式会社の特許一覧

特許7591913ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法
<>
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図1
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図2
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図3
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図4
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図5
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図6
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図7
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図8
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図9
  • 特許-ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241122BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20241122BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20241122BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20241122BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20241122BHJP
   B05B 12/28 20180101ALN20241122BHJP
   B05B 15/55 20180101ALN20241122BHJP
   B05B 12/36 20180101ALN20241122BHJP
【FI】
B41J2/165 201
B41J2/14 501
B05C5/00 101
B05C11/10
B05B1/02 102
B05B12/28
B05B15/55
B05B12/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020202084
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089578
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390002808
【氏名又は名称】マークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
(72)【発明者】
【氏名】松本 謙二
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-204992(JP,A)
【文献】特開2006-049228(JP,A)
【文献】特開平09-047699(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0243727(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/165
B41J 2/14
B05C 5/00
B05C 11/10
B05B 1/02
B05B 12/28
B05B 15/55
B05B 12/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドット状液体塗料を吐出するための吐出ノズル、洗浄剤通路、塗料室、洗浄剤保持ノズルを備えるドット状マーキング及び印字装置であって、前記吐出ノズルの塗料の流路に設けられた弁座及び弁体からなる吐出制御弁を備えたドット状マーキング及び印字装置において、
前記ドット状マーキング及び印字装置はさらに電極部材で構成される電極部を備え、前記電極部は前記吐出ノズルに対し、前記吐出制御弁近傍で当接して設けられ、
前記洗浄剤保持ノズルは洗浄剤流路と吐出ノズル保持部を備え、前記洗浄剤流路は前記洗浄剤通路と連通しており、前記吐出ノズル保持部は前記吐出ノズルを前記洗浄剤保持ノズルの略中心に保持し、
前記吐出ノズルは抵抗を有する部材で構成され、
前記電極部材と前記吐出ノズル、前記吐出ノズル保持部を電気が通過するようにパルス通電が可能に構成されていることを特徴とする、ドット状マーキング及び印字装置。
【請求項2】
前記ドット状マーキング及び印字装置は更にノズルプレートを備え、前記洗浄剤保持ノズルは前記ノズルプレートにおいて設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のドット状マーキング及び印字装置。
【請求項3】
前記吐出ノズルの先端は薄肉状であることを特徴とする、請求項1乃至2に記載のドット状マーキング及び印字装置。
【請求項4】
ドット状液体塗料を吐出するための吐出ノズル、洗浄剤通路、塗料室、洗浄剤保持ノズルを備えるドット状マーキング及び印字装置の洗浄方法であって、
前記ドット状マーキング及び印字装置が備える前記洗浄剤保持ノズルは洗浄剤流路備え、前記洗浄剤流路は前記洗浄剤保持ノズルの内側の流路部分であり、前記洗浄剤流路は前記洗浄剤通路と連通しており、出ノズル保持部は前記吐出ノズルを前記洗浄剤保持ノズルの略中心に保持し、
前記洗浄剤流路は少なくとも複数設けられ、
前記 洗浄剤流路は、洗浄剤保持ノズル下部、前記吐出ノズル保持部、洗浄剤導入部を備え、
前記洗浄剤保持ノズル下部は、前記吐出ノズル保持部、前記洗浄剤導入部よりも流路断面が狭く構成され、
前記洗浄剤保持ノズル下部は、毛細管現象により洗浄剤を保持可能な程度の細さで構成され、
前記洗浄剤通路は外部からエアー及び前記洗浄剤を直接導入可能に構成され、
前記洗浄剤通路には圧縮空気を供給するための圧縮空気接続口が設けられ、
前記洗浄剤保持ノズルに前記洗浄剤を流入させることにより前記洗浄剤で満たす工程と、
前記洗浄剤の流入を終了し、前記洗浄剤保持ノズルを前記洗浄剤で満たした状態を、前
記洗浄剤保持ノズルの洗浄剤排出口での表面張力現象を利用して維持し、塗料の乾燥防止及び吐出ノズルを冷却する工程と、
前記洗浄剤保持ノズルに前記エアーを流入させて前記洗浄剤を除去する工程とを有することを特徴とする、ドット状マーキング及び印字装置の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼鉄材料等の製品にドット状印字をするためのドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のドット状マーキング及び印字装置は、その先端にドット状印字に適した吐出ノズルを有し、この吐出ノズルの内方に弁座と球体弁体からなる吐出制御弁が形成される構造が知られている。この球体弁体はロッドを介して振動機構の、例えば電磁ソレノイドの可動鉄心に一体的に連結される。弁座と球体弁体の周辺には加圧された塗料が充満する塗料室が設けられる。可動鉄心の往復運動により吐出制御弁が開閉して吐出ノズルよりドット状液体塗料が断続的に吐出される。しかし、このような構成ではドット状印字の乾燥時間が長くなってしまう。また、従来より消防法、有機則による規制がなく環境負荷が少ない水性塗料が印字の塗料として用いられてきた。水性塗料は人間にも優しく、その使用が望まれているが、ドット状マーキング及び印字装置においては、乾燥時間が長く、印字効率が良くないという問題点がある。このような事情により、従来の構成では、そもそも乾燥時間が長くなる構成であるのに、水性塗料を用いる場合、さらに乾燥時間が長くなってしまう、という問題があった。
【0003】
たとえば特許文献1においては、吐出ノズルの周囲にこれを取り囲む洗浄剤排出口を有するノズル二重管構造により構成され、かつ吐出ノズル先端が洗浄剤排出口より1~20ミリメートルだけ長く突出しているようにして、吐出されたドット状液体塗料の微粒子を乱さずテーリングの成長を防止できるようなドット状マーキング及び印字装置が開示されている。
【0004】
ただ、特許文献1に開示されるドット状マーキング及び印字装置では、テーリングの成長を防止できるものの、複数のノズルを設けようとした場合、吐出ノズルにそれぞれ別々の経路より洗浄剤を流通させ、複数のノズルのそれぞれが独立した二重管を設けることとなる。これによりドット状印字のピッチが広くなってしまう問題があった。また、複数の吐出ノズル及び洗浄剤排出口を設ける場合、洗浄剤をより多く使うことになるが、この点が考慮されているドット状マーキング及び印字装置の技術はなく、洗浄剤も圧力損失に改善の余地のある構造であり、このような構造により水性塗料によるドット状印字の乾燥時間もまた、長くなる傾向にあった。
【0005】
また、水性塗料は、水の蒸発速度が遅いため、乾燥時間が溶剤塗料と比して極端に遅い。このため、塗料が乾燥する前に他の材料と接触し印字が転写したり、不鮮明となり判読できなくなることがあった。このため、塗料をホットホースで加熱して供給する等の対策が従来取られてきたが、吐出ノズル先端でのペイントの乾燥時間が早くなり、印字の乱れが起きやすくなっていた。そのため、吐出ノズルに導入される前の塗料温度は常温とし、また、吐出ノズル先端を適切に冷却し、その乾燥を防止することで、塗料の詰まりのない安定した印字を可能とするドット状マーキング及び印字装置及びその使用方法を見出すことができないかが検討されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-185591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ドット状マーキング及び印字のドット間のピッチをより狭くすることで効率のよいドット状マーキング及び印字を実現し、かつ洗浄剤の通る管の圧力損失を大幅に改善するとともに、吐出ノズルを加熱可能とすることで、ドット状マーキング、及び印字の乾燥時間を大幅に削減したドット状マーキング及び印字装置を提供するとともに、ホース内ではなく、吐出ノズル内の塗料のみを加熱する、また、吐出ノズル先端部を適切に冷却することで、塗料による詰まりを防止し安定した印字を可能とする、ドット状マーキング及び印字装置及びその洗浄方法、使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明は、ドット状液体塗料を吐出するための吐出ノズル、洗浄剤通路、塗料室、洗浄剤保持ノズルを備えるドット状マーキング及び印字装置であって、前記吐出ノズルの塗料の流路に設けられた弁座及び弁体からなる吐出制御弁を備えたドット状マーキング及び印字装置において、
前記ドット状マーキング及び印字装置はさらに電極部材で構成される電極部を備え、前記電極部は前記吐出ノズルに対し、前記吐出制御弁近傍で当接して設けられ、
前記洗浄剤保持ノズルは洗浄剤流路と吐出ノズル保持部を備え、前記洗浄剤流路は前記洗浄剤通路と連通しており、前記吐出ノズル保持部は前記吐出ノズルを前記洗浄剤保持ノズルの略中心に保持し、
前記吐出ノズルは抵抗を有する部材で構成され、
前記電極部材と前記吐出ノズル、前記吐出ノズル保持部を電気が通過するようにパルス通電が可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記ドット状マーキング及び印字装置は更にノズルプレートを備え、前記洗浄剤保持ノズルは前記ノズルプレートにおいて設けられていることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記吐出ノズルの先端部は薄肉状であることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明のドット状マーキング及び印字装置の洗浄方法は、ドット状液体塗料を吐出するための吐出ノズル、洗浄剤通路、塗料室、洗浄剤保持ノズルを備えるドット状マーキング及び印字装置の洗浄方法であって、前記ドット状マーキング及び印字装置が備える前記洗浄剤保持ノズルは洗浄剤流路備え、前記洗浄剤流路は前記洗浄剤保持ノズルの内側の流路部分であり、前記洗浄剤流路は前記洗浄剤通路と連通しており、出ノズル保持部は前記吐出ノズルを前記洗浄剤保持ノズルの略中心に保持し、前記洗浄剤流路は少なくとも複数設けられ、前記 洗浄剤流路は、洗浄剤保持ノズル下部、前記吐出ノズル保持部、洗浄剤導入部を備え、前記洗浄剤保持ノズル下部は、前記吐出ノズル保持部、前記洗浄剤導入部よりも流路断面が狭く構成され、前記洗浄剤保持ノズル下部は、毛細管現象により洗浄剤を保持可能な程度の細さで構成され、前記洗浄剤通路は外部からエアー及び前記洗浄剤を直接導入可能に構成され、前記洗浄剤通路には圧縮空気を供給するための圧縮空気接続口が設けられ、前記洗浄剤保持ノズルに前記洗浄剤を流入させることにより前記洗浄剤で満たす工程と、前記洗浄剤の流入を終了し、前記洗浄剤保持ノズルを前記洗浄剤で満たした状態を、前記洗浄剤保持ノズルの洗浄剤排出口での表面張力現象を利用して維持し、塗料の乾燥防止及び吐出ノズルを冷却する工程と、前記洗浄剤保持ノズルに前記エアーを流入させて前記洗浄剤を除去する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明はドット状液体塗料を吐出するための吐出ノズル、洗浄剤通路、塗料室、洗浄剤保持ノズルを備えるドット状マーキング及び印字装置であって、前記吐出ノズルの塗料の流路に設けられた弁座及び弁体からなる吐出制御弁を備えたドット状マーキング及び印字装置において、
前記ドット状マーキング及び印字装置はさらに電極部材で構成される電極部を備え、前記電極部は前記吐出ノズルに対し、前記吐出制御弁近傍で当接して設けられ、
前記洗浄剤保持ノズルは洗浄剤流路と吐出ノズル保持部を備え、前記洗浄剤流路は前記洗浄剤通路と連通しており、前記吐出ノズル保持部は前記吐出ノズルを前記洗浄剤保持ノズルの略中心に保持し、
前記吐出ノズルは抵抗を有する部材で構成され、
前記電極部材と前記吐出ノズル、前記吐出ノズル保持部を電気が通過するようにパルス通電が可能に構成されていることを特徴とするので、ホットホースなどの技術に比して、吐出ノズル内の塗料のみを温めることができ、水性塗料を使用した際のドット印字の乾燥時間を著しく減らすことができる。
【0013】
また、本発明は、前記ドット状マーキング及び印字装置は更にノズルプレートを備え、前記洗浄剤保持ノズルは前記ノズルプレートにおいて設けられていることを特徴とするので、吐出ノズル同士の幅を狭く構成することができ、マーキング及び印字において、ドット間のピッチをより狭くすることができるとともに、簡易な構成とすることができる。
【0014】
さらに、前記吐出ノズルの先端部は薄肉状であることを特徴とするので、吐出ノズルの先端部が保持する熱量を減らすことができ、塗料詰まりを起こしやすい塗料先端部の冷却を容易にすることができる。
【0015】
更に、本発明のドット状マーキング及び印字装置の洗浄方法は、ドット状液体塗料を吐出するための吐出ノズル、洗浄剤通路、塗料室、洗浄剤保持ノズルを備えるドット状マーキング及び印字装置の洗浄方法であって、前記ドット状マーキング及び印字装置が備える前記洗浄剤保持ノズルは洗浄剤流路備え、前記洗浄剤流路は前記洗浄剤保持ノズルの内側の流路部分であり、前記洗浄剤流路は前記洗浄剤通路と連通しており、出ノズル保持部は前記吐出ノズルを前記洗浄剤保持ノズルの略中心に保持し、前記洗浄剤流路は少なくとも複数設けられ、前記 洗浄剤流路は、洗浄剤保持ノズル下部、前記吐出ノズル保持部、洗浄剤導入部を備え、前記洗浄剤保持ノズル下部は、前記吐出ノズル保持部、前記洗浄剤導入部よりも流路断面が狭く構成され、前記洗浄剤保持ノズル下部は、毛細管現象により洗浄剤を保持可能な程度の細さで構成され、前記洗浄剤通路は外部からエアー及び前記洗浄剤を直接導入可能に構成され、前記洗浄剤通路には圧縮空気を供給するための圧縮空気接続口が設けられ、前記洗浄剤保持ノズルに前記洗浄剤を流入させることにより前記洗浄剤で満たす工程と、前記洗浄剤の流入を終了し、前記洗浄剤保持ノズルを前記洗浄剤で満たした状態を、前記洗浄剤保持ノズルの洗浄剤排出口での表面張力現象を利用して維持し、塗料の乾燥防止及び吐出ノズルを冷却する工程と、前記洗浄剤保持ノズルに前記エアーを流入させて前記洗浄剤を除去する工程とを有することを特徴とするので、一次的には吐出ノズルの冷却は塗料による冷却を図るものの、二次的な手段として洗浄剤により吐出ノズルを効率的に冷やし、また毛細管現象により、吐出ノズル先端部近傍の洗浄剤保持ノズル内部も洗浄剤を満たした状態を維持することができ、吐出ノズルを効果的に冷却することが可能となるため、吐出ノズル先端部のノズル詰まりによる故障を防止することができ、また吐出ノズル先端の乾燥を防止することで印字品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係るドット状マーキング及び印字装置の一例が示された概略断面図である。
図2】(X)は、本実施形態に係るドット状マーキング及び印字装置1が備えるノズルプレート10等を示した上面図、(Y)はその側面図、(Z)はその正面図をそれぞれ示す。
図3図2のノズルプレート10等の斜視図を説明のため一部切り取り中身を露出させた図である。
図4】(X)は、図1の洗浄剤保持ノズル下部40近傍の拡大説明図、(Y)はその斜視図である。
図5】(X)は滴73が被印字物80に付着する際の正面図、(Y)はその上面図、(Z)はその斜視図である。
図6】(X)は吐出ノズル11の断面図、(Y)は図6(X)のA領域の拡大斜視図、(Z)は図6(X)のA領域拡大図である。
図7】電極板70の上面図及び正面図である。
図8】本実施形態に係るドット状マーキング及び印字装置の他の一例が示された概略断面図である。
図9】(X)図8のノズルプレート110の部分の図であって、ノズルプレート110がノズルプレート上部71とノズルプレート下部72に分割し、電極板70を挟み込むように組み立てることを示す組立斜視図である。(Y)(X)の組み立てをした後のノズルプレート10の斜視図である。
図10図8の吐出ノズル11及びノズルプレート110を取り出し、ノズルプレート10を説明のため一部切り出した、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。まず、本実施形態に係るドット状マーキング及び印字装置について説明する。図1は、ドット状マーキング及び印字装置1の内部構造の概略を示した説明図である。図2(X)は、ドット状マーキング及び印字装置1にはめ込んで使用するノズルプレート10の要部の上面図、(Y)はその側面図、(Z)はその正面図である。図3はノズルプレート10における洗浄剤流路30を説明のため露出するように、ノズルプレート10を一部切り取り開いた説明図である。図4(X)は、図1のドット状マーキング及び印字装置の洗浄剤保持ノズル下部40近傍の拡大図であり、ドット状マーキング及び印字装置1からドット状印字塗料の滴73が射出される際の概略図である。図4(Y)は図4(X)のノズルプレート10を一部説明のため切り取った説明用斜視図である。図5(X)はドット状マーキング及び印字装置1から射出されたドット状印字塗料の滴73が被印字物80に塗布される際の様子を示した正面図である。(Y)はその上面図、(Z)はその斜視図である。図6については、(X)は吐出ノズル11の断面図、(Y)は図6(X)のA領域の拡大斜視図、(Z)は図6(X)のA領域拡大図である。図7は、図1とは別の実施形態に係る電極板70の上面図及び正面図である。図8は本発明に係るドット状マーキング及び印字装置100を示したものであって、電極板70を使った実施形態であり、図1の本発明の実施形態の他の一例である。図9(X)は、図8のノズルプレート110の部分の図であり、ノズルプレート110がノズルプレート上部71とノズルプレート下部72に分割した際の組立図である。そして、ノズルプレート上部71とノズルプレート下部72電極板70を挟み込むように組み立てることを示す組立斜視図である。図9(Y)は、(X)の組み立てをした後のノズルプレート110の斜視図である。図10図8の吐出ノズル11とノズルプレート110を取り出して一部を説明のため切り出し、斜視した図である。なお、本開示においては、説明の便宜上、上側とは図1図8において右側を指し、下側とは左側を、水平方向とは図1図8において縦方向を指すものとする。
【0018】
図1に示すドット状マーキング及び印字装置1は、塗料室2、洗浄剤通路3及びノズルプレート10、洗浄剤通路3と塗料室2を遮る壁、吐出ノズル11により構成されている。まず、塗料室2は、吐出ノズル11に塗料を圧送するために設けられており、圧送を制御するため吐出制御弁22を備える。吐出制御弁22は、図1に示されるように、弁体21と弁座20からなり、弁座20の間に挟まれた吐出ノズル11に塗料を圧送する間隔を、弁体21が弁座20に圧着し、または間隙を有するように動作することにより、制御している。弁体21は、図1に示される棒状の可動鉄心23と接続しており、可動鉄心23の他の一端は、振動機構24に接続され、振動機構24が上記の弁体が弁座と圧着または間隙を有することとなるような動作を制御している。これにより加圧された塗料が吐出ノズル11から吐出されることとなる。また、吐出ノズル11の吐出制御弁22近傍には、電極部4が設けられている。電極部4の吐出ノズルに当接する位置は、のちに述べる通電による吐出ノズル11の加熱の必要上、塗料が吐出ノズル11に注入された後、その吐出ノズル11の広い範囲を温めるのが好ましいことから、吐出制御弁22から洗浄剤通路3に吐出ノズル11が達する前までの位置、つまり吐出ノズル上部13に当接することが必要である。しかし吐出制御弁22から洗浄剤通路3に吐出ノズル11が達するまでの間においては、洗浄剤により吐出ノズル11を冷却することが出来ず、加熱回数を重ねると、吐出ノズル上部13が過度に熱されてしまうこととなり、吐出ノズル11内部の塗料において過度に加熱されてしまう部分がでてくることとなり、詰まりの原因等となってしまう危険性がある。このため、吐出ノズル上部13の少なくとも一部は、吐出ノズル11の他の部分よりも太く構成されることが好ましい。吐出ノズル上部13全体が吐出ノズル11の他の部分よりも太く構成されれば、より好ましい。吐出ノズル11は抵抗を有する部材で構成されていることから、太い部分においては、抵抗値が低くなり、発熱量が小さくなる。よって、洗浄剤による冷却がないことによる吐出ノズル上部13の内部の塗料において過度な加熱がなされることを防ぐことができる。
【0019】
次に洗浄剤通路3と洗浄剤流路30について詳述する。洗浄剤通路3は、図示しないタンク等からノズルプレート10、110内に洗浄剤を導入するための通路である。また、洗浄剤の排出時に、これとは別の経路で洗浄剤を排出するためのエアーを洗浄剤通路3に流入させる。洗浄剤通路3は、吐出ノズル11と同数設けられる洗浄剤流路30と連通しており、洗浄剤は洗浄剤通路3から洗浄剤流路30へと流れ込む構造となっている。また、洗浄剤通路3は、ノズルプレート10,110をはめ込み、その間隙に通路が構成される構造のため、洗浄剤5をドット状マーキング及び印字装置1の外部に漏れることを防ぐ必要があることから、パッキンの機能を持つシート25を洗浄剤通路3の塗料室2側の壁に密着するように装着している。シート25は洗浄剤5が外に漏れないようにパッキンの機能を果たす。そのため、洗浄剤通路3の外側に、これを囲むように設けられればよい。図1の洗浄剤流路3にシート25を迂回するように図示しないエアーコンプレッサーや洗浄剤用ポンプと接続する流路が設けられている。
【0020】
洗浄剤流路30は、洗浄剤保持ノズル下部40、吐出ノズル保持部41、洗浄剤導入部42から構成されている。また、洗浄剤流路30は、洗浄剤保持ノズル12により囲まれており、吐出ノズル11を取り囲む形となっている。洗浄剤導入部42は、洗浄剤通路3から洗浄剤を洗浄剤流路30へと導入する導入部分である。洗浄剤導入部42は管路抵抗を低減するため円管状であることが好ましく、また吐出ノズル11の設計上の要求により、設けないとしても構わない。
【0021】
次に、吐出ノズル保持部41を説明する。後に詳述するが、図1に点線で示されるように、吐出ノズル保持部41は、流路方向に対し、尻すぼみのすり鉢状に設けられている。流路方向に対し、吐出ノズル保持部41を斜めに形成することで、管路抵抗を減らすことができ、好適である。
【0022】
次に、洗浄剤保持ノズル下部40について説明する。洗浄剤保持ノズル下部40は、塗料を吐出ノズル11から吐出をし、また洗浄剤5を保持、排出するための部位である。洗浄剤保持ノズル下部40の太さを0.1ミリメートル~1.5ミリメートル程度と細くすることで、洗浄剤5を洗浄剤流路30に満たした際に、毛細管現象により洗浄剤5を洗浄剤保持ノズル40より上に保持することができる。
【0023】
次に、2つの洗浄剤流路30同士を遮る壁である壁部31について述べる。壁部31は、洗浄剤流路30ごとに設けるのではなく、2つの洗浄剤流路30を遮る1枚の壁として、ノズルプレート10に、一体的に形成され設けられている。このため、吐出ノズル間のピッチZの幅を従来に比して大きく減らせることとなる。
【0024】
次に、図2を用いてノズルプレート10についてさらに説明する。洗浄剤通路3は外部から図示しないエアコンプレッサー等により空気を、またポンプ等で圧送される洗浄剤5を導入するための洗浄剤通路3を有している。図1図2(X)及び(Z)に示されるが、洗浄剤流路3は、ノズルプレート10と、洗浄剤通路3と塗料室との壁の間に、図2には図示していないシート25に囲まれて形成されている。洗浄剤通路3は洗浄剤流路30に洗浄剤を流通させつつ次の洗浄剤流路30へと続いており、1つの洗浄剤通路3につき、多数の洗浄剤流路30及びこれに対となって設けられる吐出ノズル11を設けることができる。図2に示す例では2つの吐出ノズル11及び洗浄剤流路30が示されているが、これに限定されるもではなく、3つでも4つでも、2列でも3列でも設計上可能な限り増減することが可能である。この場合洗浄剤通路3は適宜設計される。
【0025】
次に、図3を示しつつノズルプレート10につきさらに詳述する。図3では説明の便宜上、ノズルプレート10の洗浄剤流路30の内部を露出させるようにノズルプレート10を切り取って図示している。洗浄剤流路30の一部である吐出ノズル保持部41は、洗浄剤を流通させるため、図示するような洗浄剤流通管60及び洗浄剤を導入するための洗浄剤流通口61を備えることとしてもよい。また、吐出ノズル保持部41は突起33を複数備える。
【0026】
洗浄剤流通口61は、曲線により構成されていることが好ましい。また、製造上の観点からは、洗浄剤流通口61は、それぞれが円弧状であることが好ましい。このように構成することで、ドリル等で穴を開けるように製造ができることとなり、容易に製造を行うことができる。また、吐出ノズル11は、洗浄剤保持ノズル12の水平方向における略中心に、複数の突起33により保持されている。また、ノズルプレート10のうち少なくとも吐出ノズル保持部41の部分は、電極部材で構成されていることが好ましい。このようにすることで、後に述べる電気回路を形成する機能と、吐出ノズル11を保持する機能との両方を、吐出ノズル保持部41に持たせることができる。
【0027】
次に、図4を示しながら洗浄剤5の満たされた洗浄剤保持ノズル下部40近傍について述べる。洗浄剤保持ノズル下部40近傍には、吐出ノズルの下部である吐出ノズル先端部26が設けられる。また、吐出ノズル先端部26のさらに先端には、吐出ノズル先端51が設けられる。吐出ノズル先端51の位置は、洗浄剤5の出口である洗浄剤排出口52近傍より内側であることが好ましい。具体的には洗浄剤5が表面張力現象を起こし、洗浄剤排出口52の外側に、図4に示されるように楕円形にせり出す形となる。この表面張力現象が起きてせり出した洗浄剤5の、洗浄剤排出口52で表面張力現象が起きている場合において、吐出ノズル先端51が洗浄剤5に浸されるような位置に設けられると、吐出ノズル先端51を冷やし、また乾燥を防ぐ点で好適である。これはノズルプレート10を用いたドット状マーキング及び印字装置1だけでなくノズルプレート110を用いたドット状マーキング及び印字装置100についても同様である。
【0028】
当然のことながら、洗浄剤流路30と吐出ノズル11は同数設けられる。
【0029】
次に図5を用いて本発明に係るドット状マーキング及び印字装置1から吐出された滴73の印字の際について詳述する。図5(X)(Z)に示されるように、吐出ノズル先端51よりほぼ真っ直ぐに吐出された滴73は、すぐに被印字物80に到達し、被印字物80の的81に印字される。従来のノズルプレート10、110を用いない構成では、吐出ノズル11間の幅が広かったため、一度に吐出する滴73を図5の(Y)のβの間隔程度に収めることはできなかった。βとは、的81の中央同士の距離である。本発明に係るノズルプレート10、110を用いて、更に吐出ノズルの長さを0.7~5mm程度に構成することで、吐出ノズル同士の幅である、図1に示されるノズルピッチZを0.8~6mmほどとすることができる。上記のような数値で本開示のドット状マーキング及び印字装置1のように構成することにより、より幅の狭いドットピッチβとすることができる。具体的には従来3~5mm程度のドットピッチであったが、本発明のように構成することによりドットピッチβは1mmとすることが可能である。これについても、ノズルプレート10を用いたドット状マーキング及び印字装置1についてだけでなくノズルプレート110を用いたドット状マーキング及び印字装置100についても当てはまる説明である。
【0030】
次に本実施形態における洗浄剤流路30の断面及び本発明に係るこの断面の他の例について述べる。洗浄剤保持ノズル下部40において、洗浄剤流路30の断面は円形である。吐出ノズル11の内側には塗料の通り道である塗料流路32が設けられている。
【0031】
また、吐出ノズル保持部41の突起33は、図1~3に示されるように、吐出ノズル11を、洗浄剤流路30の略中央ないし中央に位置するように保持しており、かつ洗浄剤流路30を遮らないように、略円管状の洗浄剤流通管60を備えている。この洗浄剤流通管60の断面は、曲線状により形成されることが好ましく、花びら状であることが好ましい。このように構成されることにより、圧力損失を極力減らすことができる。吐出ノズル11はドット状マーキング及び印字装置1の性質上、洗浄剤流路30の略中央から位置が変わったり、ぐらつくと、吐出が適切に行われず、印字性能が落ちるため、しっかりと保持される必要がある。このため、吐出ノズル11を保持する突起33は3個以上8個以下であることが好ましい。突起33が4つ設けられている例に限定されるものではなく、突起33が3個のもの、突起33が5個のものなどでも断面が曲線状であり、花びら状に形成されている。突起33は洗浄剤の障害とならないよう、上面視で細長く、横方向からみると広い、壁状であることが好ましい。突起33は吐出ノズル11を保持するものの、あまりきつく保持するのではなく、また、突起33を上面視で細い形状とすることで、突起33を横方向(水平方向)にやや撓ませることができるように構成することが好適である。具体的には、洗浄剤流通口61同士の間に一定の幅を有する太さで突起33を形成する。この一定の幅を細く形成することで、突起33が撓むことが可能になり、様々な太さの吐出ノズル11を保持することが可能になる。ここで一定の幅とは、図2(X)に示される洗浄剤流通口61同士の間隔のうち最小のものを表す。そのため、この一定の幅は、0.03ミリメートルから0.05ミリメートルであることが好ましい。上記の幅は、洗浄剤流通管60同士の距離でもある。また、突起33は、洗浄剤流通口61と一体となって、すり鉢に形成されている。このように形成されていることで、圧力損失を減らすことや、製造時に吐出ノズル11を突起33同士の間に挿入する際に、ガイドの役目を果たし、製造を容易とすることができる。
【0032】
また、洗浄剤導入部42は省略されてもよく、従って可能な限り圧力損失を少なく形成することが好ましいことから、円管状であることが好ましい。
【0033】
次に吐出ノズル11の材質・サイズについて説明する。吐出ノズル11は、抵抗値が0.5Ω~100Ω程度を有することが好ましい。このため、吐出ノズル11は抵抗を有する部材を使用することが好ましい。抵抗を有する部材としては、電熱線(ニクロム線等)、ステンレス鋼線(SUS304)、ピアノ線・硬鋼線、バネ用りん青銅線、胴めっき鋼線、黄銅線、ベリリウム銅線等が好ましい。吐出ノズル11は、1ドットあたりの吐出量を保持するように作られるため、吐出ノズル11の内径や長さに関してはあまり大きく作成することはできない。また、外径等を大きくする方法で体積を大きくすると、今度は熱を過剰に保持してしまう問題が生じる。熱を過剰に保持してしまうと、塗料を吐出ノズル11から熱を持たせて噴射し、その後再び吐出ノズル11に再充填された際にも吐出ノズル11の余熱が塗料に伝わってしまい、この状態から吐出ノズル11に再び加熱することになるので塗料を過剰に熱してしまい、吐出ノズル11の管の詰まりなどの故障の原因となる。
【0034】
従って、吐出ノズル11の材質としては、特に導電率が低いステンレス鋼線(SUS304)が好ましい。また吐出ノズル11は全体が薄肉状に形成されることが好ましく、具体的には肉厚を一定として、0.02~0.2ミリメートルとすることがより好ましい。
【0035】
ただ、部材選択や抵抗値などの設計の都合上この範囲に吐出ノズル11の管の肉厚を大きくしなければならない場合もある。この場合でも、吐出ノズル11の先端部26の幅Σを少なくした薄肉状とすることで、吐出ノズル11の管の詰まりやすい先端部26の部分を、洗浄剤により十分冷却することができることとなり、先端部26での、噴射後に残ってしまった塗料の固形化を防止できることとなる。具体的には幅Σは0.02~0.2ミリメートルであると好ましい。これ以上細いと強度に問題が生じ、これより太いと撓みずらい場合がある。また、図6に示すようにテーパー状であり先端部26の端部である吐出ノズル先端51の肉厚自体を幅Σ、0.02~0.2ミリメートルの吐出ノズル11としてもよい。もちろん、吐出ノズル11の先端部26だけでなく、吐出ノズル上部13を除く吐出ノズル11全体を薄肉状、つまり0.02~0.2ミリメートルに構成してもよい。このようにすれば、熱容量を小さく構成することができるので、スムーズに冷却を行うことができる。
【0036】
このように吐出ノズル11は抵抗を有する部材で構成されており、電極部4が吐出ノズル11の吐出ノズル上部13に当接し、これにより電極部4から電流が吐出ノズル11に流れ、また同じく吐出ノズル先端部26より上側で吐出ノズル11と接する突起33へと、吐出ノズル11から電流が流れていく。突起33、133は電極部材で構成されている。このように、電極部4から吐出ノズル11を通って、突起33、133へと流れる電気回路が形成されている。電流の方向は逆でも構わない。
【0037】
ノズルプレート11や、少なくともその突起33、133は、電極部材で構成されていることが好ましい。電極部材としては、導電率の高い金属であればよい。具体的には銀、軟銅、クロム銅、アルミニウムなどが好ましい。
【0038】
また、電極部4には、図1に示している電極棒の他、電極箔、電極板等が好適である他、電極の性質を持つ公知の部材を用いても構わない。
【0039】
図7は電極板70の上面図及び正面図を図示したものである。図7に示すように、吐出ノズル保持部41の突起133は電極板70の一部として構成されていても構わない。この場合突起133は中央に穴を設け、十字にスリットを開けた、そのスリットとスリットに囲まれた部分である。そして、図7の円状の点線部分は吐出ノズル11の挿入予定位置である。
【0040】
この場合、図示するように、吐出ノズル保持部41は吐出ノズル11の径よりも小さい大きさの穴を中央に設けていると好ましい。このようにすることで、吐出ノズルを後に挿入した際に棒状の突起133が下にしなり、しっかりと吐出ノズル11に当接して固定することができ、またさまざまなサイズの吐出ノズル11に対応することができる。
【0041】
図8に、本実施形態に係るドット状マーキング及び印字装置の他の一例を示す。図1の場合と同様に示される点は同様の構造であるが、異なる点としては、吐出ノズル保持部41及び突起133が、電極板70を用いて構成されているという点である。これにより、後述するように組み立てが簡易となり好適である。この突起133及びスリットは4個ずつに限られるものではなく、複数以上で中央に吐出ノズル11を保持できる程度あればよい。
【0042】
次に図9を用いながら電極板70を用いたノズルプレート110の組み立てを説明する。図9(X)に示されるようにノズルプレート上部71とノズルプレート下部72が電極板70を挟み込むように位置しており、それぞれX方向に挟み込むことで、図9(Y)に示すような形態となる。このように、組立を考慮すると、ノズルプレート110などに穴をあける構成よりも簡易に組み立てることができることとなる。
【0043】
次に図10に示されるノズルプレート110に吐出ノズル11を挿入した図で説明する。
吐出ノズル11を上部から挿入すると、棒状の吐出ノズル保持部41が斜め下方にしなり、吐出ノズル11が固定される。吐出ノズル先端51が洗浄剤排出口52近傍より内側に位置する点については図1の場合と全く同様である。
【0044】
次に、本発明の実施形態において用いることのできる洗浄方法について説明する。まず、洗浄剤流路3を利用し、洗浄剤5を洗浄剤保持ノズル12内に導入する(ステップ1)。その後洗浄剤保持ノズル内を洗浄剤5で満たした状態とする(ステップ2)。このステップ2において、洗浄剤5を満たした状態を1~3秒間維持することも好適である。最後に、圧縮空気等のエアーで洗浄剤保持ノズル12内の洗浄剤5を洗浄剤排出口52から排出する(ステップ3)。ステップ2において、洗浄剤5で洗浄剤保持ノズル12内を満たすことで、吐出ノズル11及びその先端部26においては、洗浄剤5で満たされた際に表面張力現象で、下側である洗浄剤排出口52より内側に洗浄剤5が留まることになる。これにより、洗浄がなされるとともに、余分な熱を取って冷却することができる。この際に、吐出ノズル先端51が洗浄剤排出口52より大きく突出していると、先端部26を洗浄剤5に浸すことが困難になる。よって、洗浄剤吐出口52近傍ないし内側に吐出ノズル先端51が位置することが好ましい。
【0045】
次に、本発明の実施形態のドット状マーキング及び印字装置の使用方法について説明する。図1に示される電極部4に、図示しない電源と接続している。これにより吐出ノズル11に電流を流すが、吐出ノズル11に流す電流は、図示しないソレノイドコイルと同期をとって通電する。これにより通電時間を調整し、温度上昇の程度を調節することができる。通電電圧は定電圧電源を使用する。このため、一定となり、時間的にソレノイドコイルから通電するよりも前から、パルス通電を始めることとなる。
【0046】
吐出ノズル11からは、突起33、133に接続している。突起33は電極部材を用いることが好ましい。突起133は電極板の一部として構成され、電極板は電極部材であることが好ましい。また、突起33、あるいは突起133を含む電極板が図示しない電源へと接続されていることにより、吐出ノズル11は通電が可能となっている。吐出ノズル11が通電することで、吐出ノズル11は抵抗を有する部材で構成されることから、熱をもつことになる。これにより塗料を温めることが可能となる。また、パルス通電とすることで、塗料を温める工程と、温めずに吐出ノズル11を塗料等で冷やす工程とを設けることができる。
【0047】
この使用方法の工程としては、まず吐出制御弁22により、吐出ノズル11内部に塗料を吐出する。(ステップ1)ステップ1と一部並行して吐出ノズル11に通電し、吐出ノズル11を加熱する。これにより塗料を加熱する。(ステップ2)。吐出ノズル11の通電を終了する(ステップ3)。吐出制御弁22により、吐出ノズル内部に塗料を吐出する。これにより、既存の吐出ノズル11内部の塗料が吐出され、ドット印字を行う(ステップ3)。この後ステップ2とステップ3を繰り返す。
【実施例
【0048】
次に、ドット状マーキング及び印字装置1において、実際に行われた本発明の実施例の条件の一例を示す。
【0049】
実施例では、本開示のような構成、突起133が設けられ、突起133により吐出ノズル11が洗浄剤保持ノズル12の略中心に支持されている、吐出ノズル先端51が洗浄剤排出口52より内側に位置する、電極部4を備え、吐出ノズル11と電極部4、突起133が通電可能に構成され、また突起133は電極板70を用いて構成され、吐出ノズルはステンレス材(SUS304)を用いる等の特徴を備えていた。
【0050】
比較例では、吐出ノズル11を備え、洗浄剤保持ノズル12を備えるものの、電極部4を備えず、吐出ノズル11も抵抗を有する部材では構成されず、ノズルプレートも用いられず、通電可能にも構成されていない、吐出ノズル先端が洗浄剤排出口より外側に位置するなどの本開示の特徴を有していなかった。その他の構成は同様であった。
【0051】
実施例と比較例で、ドット状印字試験を行った。以下の条件で、ドット状印字を行った。そして、水性塗料の乾燥時間を計測した。
塗料圧力 0.1~0.7MPa
塗料吐出速度 0.5m~20m/sec
洗浄剤圧力 0.2~0.6МPa
吐出ノズル口径 0.1~0.3mm
ノズル電流 15A
ノズル通電時間 0.3~1.5msec
塗料温度上昇 40℃
印字速度 0.5~3m/sec
ドット間ピッチ 3~5mm
ノズル肉厚 0.04mm
実施例では、ドット印字の乾燥時間が30秒であった。比較例では、ドット印字の乾燥時間は約120秒であった。実施例のほうが比較例に比して水性インクにおいてドット印字の乾燥時間を大幅に削減することができていた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示は、検査された被印字物に印字ないしマーキングをする目的で、好適に用いることができる。しかしこれに限られず、ドット状のマーキング及び印字が必要なパッケージや検定済の部品等において、広く用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1、100 ドット状マーキング及び印字装置
2 塗料室
3 洗浄剤通路
4 電極部
5 洗浄剤
10、110 ノズルプレート
11 吐出ノズル
12 洗浄剤保持ノズル
13 吐出ノズル上部
20 弁座
21 弁体
22 吐出制御弁
23 可動鉄心
24 振動機構
26 先端部
30 洗浄剤流路
31 壁部
32 塗料流路
33、133 突起
40 洗浄剤保持ノズル下部
41 吐出ノズル保持部
51 吐出ノズル先端
52 洗浄剤排出口
60 洗浄剤流通管
61 洗浄剤流通口
70 電極板
71 ノズルプレート上部
72 ノズルプレート下部
73 滴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10