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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】成膜装置、および成膜方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/22 20060101AFI20241122BHJP
   C23C 24/04 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
C23C14/22 Z
C23C24/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020206760
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2021098891
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2019228895
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】古谷 優樹
(72)【発明者】
【氏名】織田 達広
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-017045(JP,A)
【文献】特開2004-277852(JP,A)
【文献】特開2007-308748(JP,A)
【文献】特開2007-031737(JP,A)
【文献】特開2006-159137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
C23C 24/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に処理物を収納可能なチャンバと、
前記チャンバの内部に、複数の粒子とガスとを含むエアロゾルを供給可能なエアロゾル生成部と、
管状を呈し、一方の端部がエアロゾル生成部と接続され、他方の端部がチャンバと接続された供給部と、
前記処理物の上、および、前記チャンバの内部の少なくともいずれかにおける、前記複数の粒子の状態を検出可能な第1の検出部と、
前記供給部の内部に前記ガスを導入し、前記供給部の内部において、前記エアロゾルの流速の分布および流量の分布の少なくともいずれかを制御可能な、少なくとも1つのエアロゾル制御部と、
前記第1の検出部からの検出値に基づいて、前記エアロゾル制御部を制御して、前記チャンバの内部における、前記エアロゾルの流れの方向を制御可能なコントローラと、
を備えた成膜装置。
【請求項2】
前記エアロゾル制御部は、前記供給部の内部において、前記供給部が延びる方向と交差する方向の、前記エアロゾルの前記流速の分布および前記流量の分布の少なくともいずれか制御可能である請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記供給部は、第1の部分と、第2の部分と、を有し、
前記第1の部分は、前記チャンバの天井に接続され、前記チャンバの底部側から天井側に向かう方向に延び、
前記第2の部分は、前記エアロゾル生成部に接続され、前記第1の部分が延びる方向と交差する方向に延びる請求項1または2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記エアロゾル制御部は、ガス源に接続されている請求項1~3のいずれか1つに記載の成膜装置。
【請求項5】
前記ガスは、空気であり、
前記エアロゾル制御部は、前記成膜装置の周囲の空気を引き込む開閉可能な開口部を有する請求項1~のいずれか1つに記載の成膜装置。
【請求項6】
前記エアロゾル生成部と前記供給部との間に設けられ、前記エアロゾルの流速および流量の少なくともいずれかを検出可能な第2の検出部をさらに備え、
前記コントローラは、前記第2の検出部からの検出値に基づいて、前記供給部の内部に導入される前記ガスの量を制御可能な請求項4記載の成膜装置。
【請求項7】
前記エアロゾル制御部は、複数設けられ、
前記コントローラは、前記第1の検出部からの検出値に基づいて、制御対象とする前記エアロゾル制御部を選択可能な請求項1~6のいずれか1つに記載の成膜装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1の検出部からの検出値と、第1の予測モデルと、を用いて、前記エアロゾル制御部を制御可能であり、
前記第1の予測モデルは、前記第1の検出部からの検出値を入力として、前記処理物の上の前記複数の粒子を含む膜の厚みの予測値を出力とする請求項1~7のいずれか1つに記載の成膜装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1の検出部からの検出値と、前記第2の検出部からの検出値と、第2の予測モデルと、を用いて、前記エアロゾル制御部を制御可能であり
前記第2の予測モデルは、前記第2の検出部からの検出値を入力として、前記第1の検出部からの検出値を予測し、前記予測された前記第1の検出部からの検出値を入力として、前記処理物の上の前記複数の粒子を含む膜の厚みの予測値を出力とする請求項6記載の成膜装置。
【請求項10】
処理物に対して複数の粒子とガスとを含むエアロゾルを供給する工程を備え、
前記工程において、
前記処理物の上、および、前記エアロゾルが供給される空間の少なくともいずれかにおける、前記複数の粒子の状態を検出し、
前記空間に接続された供給部の内部に前記ガスを導入し、前記供給部の内部において、前記エアロゾルの供給方向と交差する方向の、前記エアロゾルの流速の分布および流量の分布の少なくともいずれかを制御し、前記エアロゾルが供給される前記空間における、前記エアロゾルの流れの方向を制御する成膜方法。
【請求項11】
前記エアロゾルの流速の分布および流量の分布の少なくともいずれかを制御する際に、前記供給部の外部から、前記エアロゾルの供給方向と交差する方向に流れる前記ガスを前記エアロゾルに導入する請求項10記載の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、成膜装置、および成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板などの表面に複数の粒子とガスを含むエアロゾルを供給して、基板などの表面に複数の粒子を含む膜を形成する技術がある。また、エアロゾルに含まれる複数の粒子の濃度を測定し、エアロゾルに含まれる複数の粒子の濃度が略一定となる様にフィードバック制御を行う技術も提案されている。一般的に、この様な成膜はチャンバの内部において行われる。
【0003】
ここで、チャンバの内部においてエアロゾルの流れが偏る場合がある。エアロゾルの流れが偏ると、エアロゾルに含まれる粒子の濃度を略一定にしたとしても、エアロゾルの流れが向かった領域の粒子の堆積量が他の領域の粒子の堆積量よりも多くなる。そのため、形成された膜の厚みに面内分布が生じることになる。
そこで、膜の厚みの均一化を図ることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-348659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、膜の厚みの均一化を図ることができる成膜装置、および成膜方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る成膜装置は、 部に処理物を収納可能なチャンバと、前記チャンバの内部に、複数の粒子とガスとを含むエアロゾルを供給可能なエアロゾル生成部と、管状を呈し、一方の端部がエアロゾル生成部と接続され、他方の端部がチャンバと接続された供給部と、前記処理物の上、および、前記チャンバの内部の少なくともいずれかにおける、前記複数の粒子の状態を検出可能な第1の検出部と、前記供給部の内部に前記ガスを導入し、前記供給部の内部において、前記エアロゾルの流速の分布および流量の分布の少なくともいずれかを制御可能な、少なくとも1つのエアロゾル制御部と、前記第1の検出部からの検出値に基づいて、前記エアロゾル制御部を制御して、前記チャンバの内部における、前記エアロゾルの流れの方向を制御可能なコントローラと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る成膜装置を例示するための模式図である。
図2】(a)は、エアロゾルの流速の分布を例示するための図である。(b)は、エアロゾルの流れの方向を例示するための模式図である。
図3】(a)は、エアロゾルの流速の分布を例示するための図である。(b)は、エアロゾルの流れの方向を例示するための模式図である。
図4】(a)、(b)は、エアロゾル制御部の効果を例示するための図である。
図5】時間の経過と、エアロゾルの流速との関係を例示するためのグラフ図である。
図6】他の実施形態に係る成膜装置を例示するための模式図である。
図7】他の実施形態に係るエアロゾル制御部を例示するための模式斜視図である。
図8】(a)~(d)は、エアロゾルの流速の分布を例示するための図である。
図9】(a)~(d)は、チャンバの内部におけるエアロゾルの流れの方向を例示するための模式図である。
図10】エアロゾル制御部の効果を例示するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、一般的に、1つの配管系において、流量と流速は正の相関関係にある。例えば、流量が減少すれば、流速も減少する。そのため、以下において、「流速」についての説明は、「流量」に置き換えることができ、「流量」についての説明は、「流速」に置き換えることができる。
本実施の形態に係る成膜装置1は、エアロゾルを生成し、生成したエアロゾルを処理物に向けて供給し、エアロゾルに含まれていた複数の粒子を処理物の表面に堆積させて膜を形成することができる。本願明細書において、エアロゾルは、複数の粒子とガスを含むものとすることができる。
【0009】
この場合、粒子は固体または液体とすることができる。以下においては、一例として、粒子が固体である場合を例に挙げて説明する。固体の粒子の材料には特に限定はないが、例えば、カーボン、セラミックス、あるいはプラチナなどの金属を例示することができる。固体の粒子の大きさにも特に限定はないが、例えば、粒子径は1μm以下とすることができる。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る成膜装置1を例示するための模式図である。
図1に示すように、成膜装置1には、チャンバ2、エアロゾル生成部3、検出部4(第1の検出部の一例に相当する)、エアロゾル制御部5、およびコントローラ6を設けることができる。
【0011】
チャンバ2は、箱状を呈し、外部からゴミが侵入しない程度の気密構造を有することができる。チャンバ2の内部は、エアロゾル102を用いて処理物100の表面に膜を形成する領域となる。
【0012】
チャンバ2の内部において、エアロゾル102の流れ102aの乱れが大きくなると形成された膜の厚みに面内分布が生じ易くなる。そのため、チャンバ2の形状は、気流の乱れが小さくなるような形状とすることが好ましい。また、チャンバ2の底部側には、処理物100が載置されるが、処理可能な処理物100の大きさを大きくしたり、処理可能な処理物100の数を多くしたりすることが好ましい。そのため、チャンバ2の形状は、例えば、チャンバ2の断面寸法(チャンバ2の天井から底部に向かう方向と垂直な方向の寸法)が処理物100が載置される領域に近づくに従い漸増するような形状とすることが好ましい。例えば、チャンバ2の外観形状は、角錐台や円錐台とすることができる。図1に例示をしたチャンバ2の外観形状は、四角錐台である。
【0013】
成膜を行う処理物100は、チャンバ2の内部に収納することができる。例えば、処理物100は、チャンバ2の底部に載置したり、チャンバ2の底部に設けられた載置台の上に載置したりすることができる。複数の処理物100を同時に成膜する場合には、チャンバ2の底部や載置台に枠21を設けることができる。図1に例示をした枠21は、第1の方向に並ぶ複数の凸部と、第1の方向に直交する第2の方向に並ぶ複数の凸部とを有している。処理物100は凸部により画された領域に載置することができる。
【0014】
また、チャンバ2の底部には排気部22を設けることができる。例えば、枠21に少なくとも1つの孔を設け、孔に排気部22を接続することができる。排気部22は、チャンバ2の内部にあるガスを排気することができる。排気部22により、チャンバ2の内部にあるガスが排気されることで、チャンバ2の天井に設けられた供給部23の内部にあるエアロゾル102がチャンバ2の内部に引き出される。そして、チャンバ2の内部において、チャンバ2の天井側から底部側に向かうエアロゾル102の流れ102aが形成される。
【0015】
処理物100の材料、形状、大きさなどには特に限定はない。例えば、図1に例示をしたように、処理物100は平面形状が四角形の基板などとすることができる。また、処理物100は、通気性を有するものとすることができる。通気性を有する処理物100であれば、処理物100を介して、チャンバ2の内部にあるガスを排気することができる。例えば、枠21の凸部により画された領域に少なくとも1つの孔を設け、孔に排気部22を接続することができる。処理物100を介して、チャンバ2の内部にあるガスを排気すれば、エアロゾル102を処理物100の表面に引き込むことができる。また、処理物100を枠21の凸部により画された領域に保持することができる。
【0016】
供給部23は、チャンバ2の天井に設けることができる。供給部23は、第1の部分23aと第2の部分23bを有することができる。第1の部分23aは、例えば、チャンバ2の底部側から天井側に向かう方向に延びる管状体とすることができる。例えば、第1の部分23aの一方の端部は、チャンバ2の天井に設けられた孔に接続することができる。第2の部分23bは、例えば、第1の部分23aが延びる方向と交差する方向に延びる管状体とすることができる。第2の部分23bの一方の端部は、第1の部分23aの他方の端部に接続することができる。供給部23は、屈曲したパイプなどとしてもよい。第2の部分23bの他方の端部には、エアロゾル生成部3を接続することができる。エアロゾル生成部3により生成されたエアロゾル102は、第1の部分23aおよび第2の部分23bを介して、チャンバ2の内部に供給することができる。
【0017】
エアロゾル生成部3は、エアロゾル102を生成することができる。また、エアロゾル生成部3は、生成したエアロゾル102を供給部23に供給することができる。すなわち、エアロゾル生成部3は、チャンバ2の内部に、複数の粒子101とガスとを含むエアロゾル102を供給することができる。
エアロゾル生成部3は、容器3a、供給制御部3b、混合部3c、およびガス供給部3dを有することができる。
【0018】
容器3aは、供給制御部3bを介して混合部3cと接続することができる。容器3aは、筒状を呈し、内部に複数の粒子101を収納することができる。容器3aは、例えば、重力を利用して、収納された複数の粒子101を供給制御部3bに送ることができる。
【0019】
また、容器3aの外面には、振動部3a1を設けることもできる。振動部3a1は、超音波振動、電磁振動、機械的振動などにより、容器3aの内部に収納された複数の粒子101に対して運動エネルギーを与えることができる。振動部3a1は、必ずしも必要ではなく、複数の粒子101の形状や大きさなどに応じて適宜設けるようにすればよい、ただし、振動部3a1が設けられていれば、複数の粒子101の供給制御部3bへの供給を安定させることができる。
【0020】
供給制御部3bは、容器3aから混合部3cへの複数の粒子101の供給量を制御したり、複数の粒子101の供給の開始と供給の停止を制御したりすることができる。例えば、供給制御部3bは、複数の粒子101が通過する孔の大きさを変化させるものとすることができる。
【0021】
混合部3cは、ガス供給部3dと供給部23との間に設けることができる。混合部3cは、供給制御部3bから供給された複数の粒子101と、ガス供給部3dから供給されたガスとを混合してエアロゾル102を生成することができる。例えば、混合部3cは、ガス供給部3dから供給されたガスの流れに、供給制御部3bから供給された所定の量の粒子101を投入することでエアロゾル102を生成することができる。この場合、ベンチュリ効果を利用して、複数の粒子101をガスの流れの中に引き込むこともできる。混合部3cにより生成されたエアロゾル102は、供給部23を介してチャンバ2の内部に供給される。
【0022】
なお、以上は、固体の粒子101の場合であるが、液体の粒子の場合も同様にしてエアロゾルを生成することができる。例えば、容器3aに液体を収納し、混合部3cにおいて、ベンチュリ効果を利用して、液体を霧状にするとともに、ガスの流れの中に引き込むようにすればよい。
【0023】
ガス供給部3dは、所定の流量のガスを混合部3cに供給することができる。ガスは、処理物100および粒子101と反応し難いものであれば特に限定はない。ガスは、例えば、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの不活性ガス、窒素ガス、空気などとすることができる。
【0024】
ガス供給部3dは、ガス源3d1、流量制御部3d2、および開閉弁3d3を有することができる。
ガス源3d1は、ガスを流量制御部3d2に供給することができる。ガス源3d1は、例えば、高圧のガスが収納されたボンベや、ガスを供給する工場配管などとすることができる。
【0025】
流量制御部3d2は、混合部3cに供給するガスの流量を制御することができる。流量制御部3d2は、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。また、流量制御部3d2は、ガスの供給圧力を制御することでガスの流量を間接的に制御するものであってもよい。この場合、流量制御部3d2は、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0026】
開閉弁3d3は、ガスの供給の開始と、ガスの供給の停止とを切り替えることができる。開閉弁3d3は、例えば、二方弁などとすることができる。なお、流量制御部3d2が、ガスの供給の開始と、ガスの供給の停止とを切り替える機能を有するものであれば、開閉弁3d3を省くことができる。
【0027】
検出部4は、処理物100の上における複数の粒子101の状態(例えば、堆積状態)を検出することができる。
検出部4は、例えば、複数の粒子101を含む膜の厚みを直接検出することができる。検出部4は、例えば、レーザ距離計などとすることができる。例えば、レーザ距離計を用いる場合には、複数の粒子101が堆積する前の処理物100の面の位置と、複数の粒子101を含む膜の表面の位置との差から膜の厚みを検出することができる。そして、検出部4は、複数の検出ポイントにおいて膜の厚みを検出することで、膜の厚みの面内分布、すなわち、複数の粒子101の堆積状態を検出することができる。
【0028】
また、検出部4は、処理物100の面の近傍における粒子101の数や分布を検出することができる。検出部4は、例えば、パーティクルカウンタなどとすることができる。例えば、処理物100の面の近傍における粒子101の数や分布などと、膜の厚みとの関係を、予めシミュレーションや実験を行うことで求め、求められたデータをコントローラ6の記憶部に格納しておく。そして、コントローラ6の演算部6aは、記憶部に格納されているデータと検出された粒子101の数や分布などとから、膜の厚みを算出することができる。なお、演算プログラムは、コントローラ6の記憶部に格納しておくことができる。
【0029】
検出ポイントの数や位置は、チャンバ2や処理物の大きさ、成膜条件などにより適宜変更することができる。この場合、検出ポイントの数を多くすれば、膜の厚みや厚みのばらつきの検出精度を高めることができる。ただし、検出ポイントの数を多くし過ぎると、前述した演算に時間を要し、エアロゾル制御部5の制御に遅延が生じるおそれがある。例えば、検出ポイントの数は3箇所以上とすることが好ましい。例えば、検出ポイントは、チャンバ2の内部の成膜を行う領域の中央及び両端などとすることができる。
【0030】
検出部4は、例えば、チャンバ2の外部に設けられ、チャンバ2の側面に設けられた窓を介して、複数の粒子101の状態を検出することができる。チャンバ2の側面に設けられた窓は、例えば、ガラスなどの透光性を有する材料から形成することができる。
【0031】
また、ガス供給部3dと供給部23との間に検出部41(第2の検出部の一例に相当する)をさらに設けることができる。検出部41は、エアロゾル102の流量および流速の少なくともいずれかを検出することができる。検出部41は、例えば、流量計および流速計の少なくともいずれかとすることができる。
なお、検出部41に関する詳細は後述する。
【0032】
エアロゾル制御部5は、供給部23の第1の部分23aの内部において、第1の部分23aが延びる方向と交差する方向の、エアロゾル102の流速および流量の少なくともいずれかの分布を制御する。エアロゾル制御部5は、供給部23の第1の部分23aに接続することができる。第1の部分23aの中心軸に沿った方向から見た場合に、エアロゾル制御部5は、第1の部分23aの中心軸に対して、第2の部分23bが延びる側とは反対側に設けることができる。エアロゾル制御部5は、第1の部分23aの内部にガスを導入することができる。
【0033】
次に、エアロゾル制御部5の作用、効果について説明する。
図2(a)は、供給部23の内部におけるエアロゾル102の流速の分布を例示するための図である。エアロゾル102の流速の分布は、シミュレーションにより求めた。流速はモノトーン色の濃淡で表し、色のトーンが明るいほど流速が速いことを示している。
図2(b)は、チャンバ2の内部におけるエアロゾル102の流れ102aの方向を例示するための模式図である。
図2(a)、(b)は、エアロゾル制御部5から、第1の部分23aの内部にガスが導入されなかった場合である。
【0034】
図3(a)は、供給部23の内部におけるエアロゾル102の流速の分布を例示するための図である。エアロゾル102の流速の分布は、シミュレーションにより求めた。流速の分布はモノトーン色の濃淡で表し、色のトーンが明るいほど流速が速いことを示している。
図3(b)は、チャンバ2の内部におけるエアロゾル102の流れ102aの方向を例示するための模式図である。
図3(a)、(b)は、エアロゾル制御部5から、第1の部分23aの内部にガスが導入された場合である。
【0035】
図2(a)、図3(a)から分かるように、供給部23の第2の部分23bの内部においては、エアロゾル102の流速は、ほぼ一定である。ところが、第1の部分23aが延びる方向は、第2の部分23bが延びる方向と交差しているので、第2の部分23bと第1の部分23aとの間において、エアロゾル102の流れの方向が変化する。この場合、図2(a)に示すように、曲率が小さい側(コーナーの外側)の流速が、曲率が大きい側(コーナーの内側)の流速よりも速くなる。第2の部分23bと第1の部分23aの接続部分において流速の分布が生じると、その下流に位置する第1の部分23aの内部においても同様の流速の分布が生じる。例えば、図2(a)に示すように、第1の部分23aの内部において、第2の部分23bが延びる側とは反対側の流速が、第2の部分23bが延びる側の流速よりも速くなる。
【0036】
第1の部分23aの内部において流速の分布が生じると、チャンバ2の内部において、エアロゾル102の流れ102aがチャンバ2の中心軸に対して傾く。例えば、図2(b)に示すように、エアロゾル102の流れ102aが、流速の速い側から遅い側に向けて傾く。チャンバ2の内部において、エアロゾル102の流れ102aが傾くと、エアロゾル102の流れ102aが向かった領域の膜の厚みが厚くなり、エアロゾル102の流れ102aが向かわなかった領域の厚みが薄くなる。すなわち、膜の厚みの面内分布が生じることになる。
【0037】
本発明者の得た知見によれば、第1の部分23aの内部の流速が速い領域にガスを導入すれば、流速を低下させることができる。
例えば、図3(a)に示すように、エアロゾル制御部5から、供給部23の内部にガスを導入すれば、図2(a)において流速が速かった側の流速を遅くし、図2(a)において流速が遅かった側の流速を速くすることができる。前述したように、エアロゾル102の流れ102aは、流速の速い側から遅い側に向けて傾くので、図3(b)に示すように、エアロゾル102の流れ102aの方向を、図2(b)におけるエアロゾル102の流れ102aの方向と異なるようにすることができる。この様にすれば、膜の厚みが厚くなる領域を移動させることができるので、膜の厚みの均一化が可能となる。
【0038】
この場合、検出部4により、膜の厚みの分布を検出し、膜の厚みの分布が小さくなる様に、エアロゾル制御部5を制御することができる。検出部4による検出は、常時行ってもよいし、所定の間隔で行っても良い。
【0039】
エアロゾル制御部5から供給されるガスは、エアロゾル102に含まれるガスと同じ種類のガスとすることができる。例えば、エアロゾル102に含まれるガスが空気の場合には、エアロゾル制御部5は周囲の空気を第1の部分23aの内部に導入することができる。この場合、エアロゾル制御部5は、第1の部分23aの内部に強制的に空気を導入するものであってもよいし、周囲の空気が第1の部分23aの内部の流れに引き込まれるようにしてもよい。
【0040】
第1の部分23aの内部に強制的にガスを導入する場合には、エアロゾル制御部5は、例えば、前述したガス供給部3dと同様の構成を有することができる。この場合、流量制御部および開閉弁を別途設け、ガス源を共用とすることができる。例えば、流量制御部により第1の部分23aの内部に導入されるガスの量を変化させることで、エアロゾル102の流れ102aの方向を変化させることができる。
【0041】
周囲の空気が第1の部分23aの内部の流れに引き込まれるようにする場合には、エアロゾル制御部5は、例えば、開閉可能な開口部を有するものとすることができる。この場合、開口面積を変化させることで、第1の部分23aの内部の流れに引き込まれるガスの量、ひいては、エアロゾル102の流れ102aの方向を変化させることもできる。
【0042】
図4(a)、(b)は、エアロゾル制御部5の効果を例示するための図である。図4(a)、(b)は、膜厚の分布をモノトーン色の濃淡で表したものである。この場合、色のトーンが明るいほど膜が薄いことを示している。
図4(a)は、エアロゾル制御部5から、第1の部分23aの内部にガスが供給されなかった状態を維持した場合である。すなわち、図4(a)は、エアロゾル制御部5が設けられていない場合に相当する。
図4(b)は、検出部4による検出値に基づいて、エアロゾル制御部5の制御を行った場合である。例えば、膜厚の分布に応じて、エアロゾル102の流れ102aの方向を変化させた場合である。
【0043】
エアロゾル102の流れ102aが一方向に傾いたままで成膜を行うと、図4(a)に示すように、膜の厚みの面内分布が生じることになる。例えば、エアロゾル102の流れ102aが向かった領域に載置された処理物100aは膜厚が厚くなる。エアロゾル102の流れ102aが向かった領域から一番離れた位置に載置された処理物100bは膜厚が薄くなり、且つ、膜厚のムラが生じている。
【0044】
これに対して、膜厚の分布に応じて、エアロゾル102の流れ102aの方向を変化させた場合には、図4(b)に示すように、処理物100aの膜厚と、処理物100bの膜厚を同程度とすることができる。また、膜厚のムラが生じた処理物が発生するのを抑制することができる。例えば、図4(a)の場合には膜厚のばらつきが30%程度であったが、図4(b)の場合には膜厚のばらつきを8%程度とすることができた。
【0045】
次に、検出部41の作用、効果について説明する。
前述したように、エアロゾル102はチャンバ2の内部に噴射されているのではなく、主に、排気部22による排気で、第1の部分23aの内部からチャンバ2の内部に引き出される。この場合、エアロゾル102に含まれている複数の粒子101が、枠21に設けられた孔の内部に堆積する場合がある。また、通気性を有する処理物100を介して、チャンバ2の内部にあるガスを排気する場合には、複数の粒子101が処理物100の上に堆積するに従い、通気性が徐々に悪くなる。そのため、時間の経過とともに、排気部22による排気量が減少し、第1の部分23aの内部を流れるエアロゾル102の流速が徐々に低下する場合がある。
【0046】
図5は、時間の経過と、第1の部分23aの内部を流れるエアロゾル102の流量との関係を例示するためのグラフ図である。
前述したように、時間の経過とともに、排気部22による排気量が減少する場合には、図5中のAに示すように、第1の部分23aの内部を流れるエアロゾル102の流量が徐々に低下する。
【0047】
この場合、ガスが、エアロゾル制御部5から常に導入されるようにすると、時間の経過とともに、エアロゾル102の量に対するガスの量の割合が増加して、エアロゾル102の流れ102aの方向制御の精度が悪くなるおそれがある。エアロゾル102の流れ102aの方向制御の精度が悪くなると、膜厚のばらつきが大きくなるおそれがある。
【0048】
そこで、本実施の形態に係る成膜装置1には、エアロゾル102の流量および流速の少なくともいずれかを検出する検出部41が設けられている。そして、検出部41による検出値に基づいて、エアロゾル制御部5の制御を行うようにしている。
【0049】
例えば、コントローラ6は、検出部41からの検出値に基づいて、第1の部分23aの内部に導入されるガスの量を制御する。この場合、例えば、検出部41による検出値に基づいて、エアロゾル制御部5からのガスの導入を断続的に行うようにしたり、ガスの導入量を変化させたりすることができる。この場合、エアロゾル制御部5が、検出部4による検出値および検出部41による検出値に基づいて、制御されることになる。例えば、図5中のBに示すように、エアロゾル制御部5からのガスの導入が断続的に行われる場合がある。
【0050】
コントローラ6は、CPU(Central Processing Unit)などの演算部6aと、メモリなどの記憶部とを備えたものとすることができる。コントローラ6は、例えば、コンピュータなどとすることができる。記憶部には、成膜装置1に設けられた各要素の動作を制御するための制御プログラムを格納することができる。例えば、コントローラ6は、検出部4による検出値、または、検出部4による検出値および検出部41による検出値に基づいて、エアロゾル制御部5を制御することができる。
【0051】
ここで、前述した検出部4は、処理物100の上における複数の粒子101の堆積状態を直接または間接的に検出している。この場合、膜の厚みや、処理物100の面の近傍における粒子101の数や分布に基づいて、エアロゾル制御部5を制御することになるが、チャンバ2の内部の、検出部4よりも上側の領域には、チャンバ2の内部に既に導入された複数の粒子101が存在する。そのため、検出部4による検出値に基づいて、エアロゾル制御部5を制御すると、制御に遅延が生じる場合がある。制御に遅延が生じると、チャンバ2の大きさや成膜条件などによっては、膜の厚みがばらついたり、厚みの面内分布が大きくなったりするおそれがある。
【0052】
制御の遅延が問題となる場合には、機械学習により作成された予測モデルと、検出部4による検出値とに基づいて、エアロゾル制御部5を制御することができる。例えば、検出部4による検出値と、再帰型ニューラルネットワークの予測モデルとを用いて、膜の厚みや厚みの面内分布を予測し、予測値に基づいてエアロゾル制御部5を制御することができる。この様にすれば、制御の遅延を少なくすることができる。なお、予測モデルは、予め実験やシミュレーションを行うことで作成することもできる。
【0053】
また、検出部41により、配管内を流れるエアロゾル102の流量のデータを取得し、機械学習を用いてチャンバ2の内部におけるエアロゾル102の速度ベクトルの予測をし、さらに、予測される速度ベクトルから処理物100の近傍における粒子101の挙動を予測することもできる。そして、粒子101の挙動の予測値に応じて、配管内を流れるエアロゾル102の流量を制御して、形成される膜の厚みの均一化を図ることもできる。
【0054】
以上においては、検出部4による検出値に基づいて、エアロゾル制御部5を制御する場合を例示したが、検出部4による検出値および検出部41による検出値に基づいて、エアロゾル制御部5を制御する場合も同様である。
【0055】
図6は、他の実施形態に係る成膜装置1aを例示するための模式図である。
図6に示すように、成膜装置1aには、チャンバ2、エアロゾル生成部3、検出部42(第1の検出部の一例に相当する)、エアロゾル制御部5、およびコントローラ6を設けることができる。
【0056】
検出部42は、チャンバ2の内部の天井近傍におけるエアロゾル102の流れ102aのベクトルを測定することができる。検出部42は、例えば、パーティクルカウンタなどとし、粒子101の数と挙動を検出するものとすることができる。コントローラ6は、検出部42による検出値、または、検出部42による検出値および検出部41による検出値に基づいて、エアロゾル制御部5を制御することができる。
【0057】
例えば、検出部42による検出値と、再帰型ニューラルネットワークの予測モデルとを用いて、膜の厚みや厚みの面内分布を予測し、予測値に基づいてエアロゾル制御部5を制御することができる。なお、予測モデルは、予め実験やシミュレーションを行うことで作成することもできる。
【0058】
検出部42は、チャンバ2の内部の天井近傍における粒子101の数と挙動を検出しているので、制御対象であるエアロゾル制御部5と検出部42との間の距離を短くすることができる。そのため、前述した検出部4の場合に比べて、制御の遅延を少なくすることができる。また、前述した検出部4の場合と同様に、予測モデルを用いてエアロゾル制御部5を制御すれば、制御の遅延をさらに少なくすることができる。
【0059】
図7は、他の実施形態に係るエアロゾル制御部を例示するための模式斜視図である。
図7中の矢印X、Y、Zは互いに直交する三方向を表している。例えば、第1の部分23aの中心軸に沿った方向から見た場合に、第2の部分23bが延びる方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向としている。また、第1の部分23aの中心軸に沿った方向をZ方向としている。
【0060】
図1に例示をした供給部23の場合には、第1の部分23aと第2の部分23bとの接続部分が、屈曲した形態を有していた。しかしながら、本発明は、第2の部分23bと第1の部分23aとの間において、エアロゾル102の流れの方向が変化するものに適用が可能である。すなわち、第1の部分23aと第2の部分23bとの接続形態には特に限定はない。そのため、図7に示すように、第2の部分23bは、第1の部分23aの側壁の任意の位置に接続されていてもよい。
【0061】
図7に示すように、本実施の形態においては、エアロゾル制御部5a~5dが設けられている。
X方向において、エアロゾル制御部5aは、第1の部分23aの中心軸に対して、第2の部分23bとは反対側に設けられている。エアロゾル制御部5aは、前述したエアロゾル制御部5に相当する。
X方向において、エアロゾル制御部5bは、第1の部分23aの中心軸に対して、第2の部分23bの側に設けられている。
Y方向において、エアロゾル制御部5cは、第1の部分23aの中心軸に対して、一方の側に設けられている。
Y方向において、エアロゾル制御部5dは、第1の部分23aの中心軸に対して、エアロゾル制御部5cとは反対側に設けられている。
【0062】
エアロゾル制御部5a~5dは、第1の部分23aの内部にガスを導入することができる。
図8(a)~(d)は、エアロゾル102の流速の分布を例示するための図である。
エアロゾル102の流速の分布は、シミュレーションにより求めた。流速はモノトーン色の濃淡で表し、色のトーンが明るいほど流速が速いことを示している。
図9(a)~(d)は、チャンバ2の内部におけるエアロゾル102の流れ102aの方向を例示するための模式図である。
図8(a)および図9(a)は、エアロゾル制御部5aから、第1の部分23aの内部にガスが導入された場合である。
図8(b)および図9(b)は、エアロゾル制御部5bから、第1の部分23aの内部にガスが導入された場合である。
図8(c)および図9(c)は、エアロゾル制御部5cから、第1の部分23aの内部にガスが導入された場合である。
図8(d)および図9(d)は、エアロゾル制御部5dから、第1の部分23aの内部にガスが導入された場合である。
【0063】
図8(a)に示すように、第1の部分23aの内部を「-Z方向」に流れるエアロゾル102の流れ102aに、エアロゾル制御部5aから「-X方向」に流れるガスを導入すれば、第1の部分23aの内部を「-Z方向」に流れるエアロゾル102の流れ102aに、「-X方向」に流れるガスの流れが合成されて、チャンバ2の内部では「-Z方向」と「-X方向」の流れ成分を含むエアロゾル102の流れ102aを形成することができる。図8(b)~(d)に示すように、ガスを導入するエアロゾル制御部5b~5dに関しても、上述と同様の原理でエアロゾル102の流れ102aの方向を形成することができる。そのため、ガスを導入するエアロゾル制御部5a~5dを選択することで、図8(a)~(d)、および、図9(a)~(d)に示すように、エアロゾル102の流れ102aの方向を変えることができる。エアロゾル102の流れ102aの方向を変えることができれば、膜の厚みが厚くなる領域を移動させることができるので、膜の厚みの均一化が可能となる。
【0064】
本実施の形態においては、エアロゾル制御部5a~5dが設けられているので、エアロゾル102の流れ102aの方向を4方向に変えることができる。そのため、1つのエアロゾル制御部5が設けられている場合に比べて、膜の厚みを、さらに均一にすることができる。
【0065】
図10は、エアロゾル制御部5a~5dの効果を例示するための図である。
図10は、膜厚の分布をモノトーン色の濃淡で表したものである。この場合、色のトーンが明るいほど膜が薄いことを示している。
図10は、検出部4による検出値に基づいて、エアロゾル制御部5a~5dの選択を行った場合である。例えば、膜厚の分布に応じて、ガスを導入するエアロゾル制御部5a~5dを選択して、エアロゾル102の流れ102aの方向を変化させた場合である。
【0066】
図4(b)において例示をした様に、1つのエアロゾル制御部5を用いた場合には、膜厚のばらつきを8%程度とすることができる。4つのエアロゾル制御部5a~5dを選択的に用いた場合には、図10に示すように、膜厚のばらつきを6%程度とすることができる。すなわち、膜の厚みを、さらに均一にすることができる。
【0067】
なお、以上においては、4つのエアロゾル制御部5a~5dが設けられる場合を例示したが、エアロゾル制御部は、少なくとも1つ設けられていればよい。例えば、複数のエアロゾル制御部が設けられる場合には、コントローラ6は、検出部4、42からの検出値に基づいて、制御対象とするエアロゾル制御部を選択することができる。この場合、エアロゾル制御部の数が多くなれば、エアロゾル102の流れ102aの方向をより精密に制御することができるので、膜の厚みをより均一にすることができる。
【0068】
また、以上においては、Z方向において、同じ位置に4つのエアロゾル制御部5a~5dを設けるようにしたが、Z方向において、エアロゾル制御部の配設位置がズレていてもよい。Z方向において、エアロゾル制御部の配設位置がズレていれば、より多くのエアロゾル制御部を設けることが容易となる。
【0069】
本実施の形態に係る成膜方法は、処理物100に対して複数の粒子101とガスとを含むエアロゾル102を供給する工程を備えることができる。また、この工程において、処理物100の上、および、エアロゾル102が供給される空間の少なくともいずれかにおける、複数の粒子101の状態を検出し、空間に接続された供給部23の内部において、エアロゾル102の供給方向と交差する方向の、エアロゾル102の流速の分布を制御することができる。
エアロゾル102の流速の分布を制御する際に、供給部23の外部から、エアロゾル102にガスを導入することができる。
なお、各要素の内容は前述したものと同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 成膜装置、1a 成膜装置、2 チャンバ、3 エアロゾル生成部、4 検出部、5 エアロゾル制御部、6 コントローラ、23 供給部、41 検出部、42 検出部、100 処理物、101 粒子、102 エアロゾル、102a 流れ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10