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特許7591935鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との柱梁構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との柱梁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/30 20060101AFI20241122BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
E04B1/30 K
E04B1/58 505P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021015363
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2022118668
(43)【公開日】2022-08-15
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】100098246
【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100208269
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 雅士
(72)【発明者】
【氏名】麻生 直木
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 明
(72)【発明者】
【氏名】栗田 博
(72)【発明者】
【氏名】森下 貴博
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-174735(JP,A)
【文献】特開2006-249816(JP,A)
【文献】特開2019-196637(JP,A)
【文献】特開2014-227681(JP,A)
【文献】特開2010-285780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/30
E04B 1/58
E04C 3/34
E04B 2/86
E04B 1/16
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面から第1の帯筋および第1の梁の鉄骨が突出した第1のプレキャストコンクリート柱部材と、前記第1の側面に対向する第2の側面から第2の帯筋および第2の梁の鉄骨が突出した第2のプレキャストコンクリート柱部材と、を備えるコンクリート柱と、
鉄骨の一端が前記第1の梁の鉄骨と前記第2の梁の鉄骨とのうちの少なくとも一方と交差接合された第3の梁と、からなる柱梁構造。
【請求項2】
前記コンクリート柱は、
前記第1の側面と前記第2の側面との間に打設された現場打ちコンクリート柱部材をさらに備え、
前記第3の梁の鉄骨は、前記一端が前記現場打ちコンクリート柱部材の内部に配設された請求項1に記載の柱梁構造。
【請求項3】
前記第3の梁の鉄骨は、前記一端が前記第1のプレキャストコンクリート柱部材および前記第2のプレキャストコンクリート柱部材の内部に配設された請求項1に記載の柱梁構造。
【請求項4】
前記第1の梁の鉄骨および前記第2の梁の鉄骨のうちの少なくとも一方は、前記第3の梁の鉄骨にピン接合または剛接合された請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の柱梁構造。
【請求項5】
前記コンクリート柱は、
前記第1の側面と前記第2の側面との間に打設された現場打ちコンクリート柱部材をさらに備え、
前記第3の梁の鉄骨は、前記一端が前記現場打ちコンクリート柱部材の外部に配設された請求項1に記載の柱梁構造。
【請求項6】
前記第1の梁の鉄骨と前記第2の梁の鉄骨とは、低降伏点鋼材からなる接合金物で接合された請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の柱梁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材と鉄骨梁とを用いた建築物の構築における柱梁構造に係り、特に、分割された小断面からなるプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材を含むようにした柱梁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
RC造やSRC造で建築物等を構築する場合、階数が多いときや、柱スパンが大きいとき等には柱断面が大きくなる。柱断面が大きくなると、室内空間が狭くなる、或いは、プラン上の制約が大きくなってしまう。
【0003】
この問題に対応するために、特許文献1では、外壁面に沿って柱の長辺方向が配置された矩形状の柱断面を有する壁柱を使用する施工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-245442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、工期、施工性や工事コストを考慮すると、柱にプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材(以下、プレキャスト柱部材と記す。)を使用することが好ましい。しかしながら、特許文献1に記載の壁柱をプレキャスト柱部材にしようとすると、その重量や寸法が施工上の問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、第1の側面から第1の帯筋および第1の梁の鉄骨が突出した第1のプレキャストコンクリート柱部材と、前記第1の側面に対向する第2の側面から第2の帯筋および第2の梁の鉄骨が突出した第2のプレキャストコンクリート柱部材と、を備えるコンクリート柱と、鉄骨の一端が前記第1の梁の鉄骨と前記第2の梁の鉄骨とのうちの少なくとも一方と交差接合された第3の梁と、からなる
【発明の効果】
【0007】
前記コンクリート柱は、前記第1の側面と前記第2の側面との間に打設された現場打ちコンクリート柱部材をさらに備え、前記第3の梁の鉄骨は、前記一端が前記現場打ちコンクリート柱部材の内部に配設されることが好ましい
【実施例
【0008】
前記第3の梁の鉄骨は、前記一端が前記第1のプレキャストコンクリート柱部材および前記第2のプレキャストコンクリート柱部材の内部に配設されることが好ましい。
【0010】
前記第3の梁の鉄骨は、前記一端が前記第1のプレキャストコンクリート柱部材および前記第2のプレキャストコンクリート柱部材の外部に配設されることが好ましい。
【0011】
前記第1の梁の鉄骨および前記第2の梁の鉄骨のうちの少なくとも一方は、前記第3の梁の鉄骨にピン接合または剛接合されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る柱梁構造の平面図、(b)は、(a)のIb-Ib断面線で示した正面断面図である。
図2】(a)は、図1(a)の破線の楕円で囲った部分について上フランジのスプライスプレートの外形を破線で表示した拡大平面図、(b)は、(a)のIIb-IIb断面線で示した側断面図、(c)は、(b)の鉄骨梁接合部の変形例を示した側断面図である。
図3】(a)は、本発明の第2実施形態に係る柱梁構造の平面図、(b)は、(a)のIIIb-IIIb断面線で示した正面断面図である。
図4】(a)は、図1(a)の破線の楕円で囲った部分の拡大平面図、(b)は、(a)のIVb-IVb断面線で示した側断面図である。
図5】(a)は、本発明の第3実施形態に係る柱梁構造の平面図、(b)は、(a)のVb-Vb断面線で示した正面断面図である。
図6】本発明の変形例に係る柱梁構造の柱梁ユニットの正面図である。
図7】本発明の変形例に係る鉄骨梁の接合部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の柱梁構造について、以下、添付図面を参照して説明する。なお、同一の構成要素には、同一の符号を付す。また、図1(a)、図3(a)、図5(a)に示すように、鉄骨梁50,60の長軸方向をx軸方向とし、鉄骨梁70の長軸方向をy軸方向とする。
【0014】
[第1実施形態]
図1(a)、(b)、図2(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る柱梁構造1を示している。柱梁構造1は、プレキャストコンクリート柱部材20,30(以下、プレキャスト柱部材20,30とする。)を現場打ちコンクリート柱部材40(以下、現場打ち柱部材40とする。)を打設することで一体化されて形成されたコンクリート柱10と、コンクリート柱10に支持される鉄骨梁50,60,70とで構成される。コンクリート柱10は、50cm×150cmの長方形の断面を有し、上端には鉄骨梁50,60,70との柱梁接合部Jが設けられている。鉄骨梁70は、鉄骨梁50,60とT字に交差接合されている。x方向の柱スパンX1は、6200mmであり、y方向の柱スパンY1は、9000mmである。
【0015】
(コンクリート柱の構成)
プレキャスト柱部材20は、全高5m、断面50cm×50cmの断面のプレキャスト鉄筋コンクリート製の柱である。図2(a)、(b)に示すように、プレキャスト柱部材20は、柱コンクリート21の上面22から主筋23の上端が上階のプレキャスト柱部材20との所定継手長を確保できるように突出しており、柱コンクリート21の下端には下階の主筋23と接合される図示しない公知の機械式継手(主筋継手)が装着されている。主筋23の外周には、プレキャスト柱部材20の内部で帯筋24が配筋されている。また、帯筋24は、柱コンクリート21のx軸方向の側面25から突出し、プレキャスト柱部材30の側面35から突出する帯筋34と重ね継手を形成しつつ、現場打ち柱部材40の主筋41の外周に配筋される。
【0016】
プレキャスト柱部材20の上部には、x軸方向に鉄骨梁50の長軸方向が配置され、鉄骨梁50の両端がプレキャスト柱部材20から突出するように鉄骨梁50が抱持されている。鉄骨梁50は、断面形が高さ500mm×幅250mmで梁長さS=2400mm以内のH形鋼である(通常の10tトラックの荷台幅を2500mmとし、運搬許容幅を2400mm以内に設定している)。鉄骨梁50のウェブ51および上下フランジ52の端部53は、現場打ち柱部材40の内部で、鉄骨梁60のウェブ61および上下フランジ62の端部63と対向して配置される。ウェブ51およびウェブ61の端部53,63の鉄骨梁70と接合される側に、平面視T字状のT型ガセットプレート81の端部81a,81bがそれぞれ配置され、鉄骨梁70と接合されない側に、リブプレート82,82が溶接されリブプレート82,82とウェブ51,61間に高力ボルト締めしたスプライスプレート80を配置し、T型ガセットプレート81とスプライスプレート80とを高力ボルト締めすることによって鉄骨梁50,60が剛接合される。また、鉄骨梁50のウェブ51および上下フランジ52の端部534および鉄骨梁60の上下フランジ62の端部63には、スプライスプレート80をガセットプレート81およびリブプレート82が溶接高力ボルト締めすることによって接合され、鉄骨梁50,60は剛接合される。鉄骨梁70は、ウェブ71の端部72がT型ガセットプレート81の端部81cとスプライスプレート80,80を介して鉄骨梁50,60とピン接合される。鉄骨梁50のウェブ51および上下フランジ52の端部54は、他の鉄骨梁60のウェブ61および上下フランジ62の端部64と対向して配置され、高力ボルト締めしたスプライスプレート80によってガセットプレート81および上下フランジ62と剛接合される。プレキャスト柱部材20と鉄骨梁50とは、1つの柱梁ユニット(プレキャスト構造体)U1として現場に運搬され、建て込まれる。

【0017】
以下の説明において、プレキャスト柱部材30は、プレキャスト柱部材20と対称な部材であるので、上記プレキャスト柱部材20の説明の20番台の符号を30番台に、30番台の符号を20番台に読み替え、また、鉄骨梁50の説明の50番台の符号を60番台に、60番台の符号を50番台に読み替え、柱梁ユニットU1をU2に読み替える。
【0018】
現場打ち柱部材40は、x軸方向に500mmの間隔を空けて対向して配置されたプレキャスト柱部材20,30の間に、帯筋24,34の内側に所定間隔で主筋41を配筋され、上部に鉄骨梁70のウェブ71の端部72を鉄骨梁50,60のウェブ51,61の端部53,63と両面を高力ボルト締めしたT型ガセットプレート81によってピン接合されて配設され、現場打ちコンクリート42をプレキャスト柱部材20,30の上面21,31と同じ高さまで打設されることにより形成される。現場打ち柱部材40が形成されることにより、全高5m、柱断面150cm×50cmのコンクリート柱10が形成される。
【0019】
柱梁接合部Jは、現場打ち柱部材40の上部にて、ウェブ51および上下フランジ52の端部53がウェブ61および上下フランジ62の端部63と対向して配置され、高力ボルト締めしたT型ガセットプレート81およびスプライスプレート80によって剛接合され、ウェブ71の端部72がウェブ51,61の端部53,63と両面を高力ボルト締めしたスプライスプレート80およびT型ガセットプレート81によってピン接合され、現場打ちコンクリート42を打設されることにより形成される。なお、本実施形態において、鉄骨梁が剛接合されている箇所は、ピン接合されていてもよく、ピン接合されている箇所は、剛接合されていてもよい。
【0020】
[第2実施形態]
第1実施形態では、鉄骨梁50,60(x方向)は互いに剛接合され、鉄骨梁70(y方向)は鉄骨梁50,60にピン接合されていたが、第2実施形態では、鉄骨梁50A,70Aが互いに剛接合され、鉄骨梁60A,70Aも互いに剛接合されることにより、x方向、y方向ともに剛接合されている点が第1実施形態と異なる。
【0021】
図3(a)、(b)、図4(a)、(b)は、本発明の第2実施形態に係る柱梁構造2を示している。鉄骨梁50Aは、プレキャスト柱部材20の側面25から突出する端部53Aまでの長さが鉄骨梁50に比べて鉄骨梁70Aの幅の半分だけ短い。鉄骨梁60Aも、プレキャスト柱部材30の側面35から突出する端部63Aまでの長さが鉄骨梁60に比べて鉄骨梁70Aの幅の半分だけ短い。鉄骨梁70Aは、現場打ち柱部材40Aの側面43Aから125mm程度まで延びており、梁の長さは鉄骨梁70に比べて鉄骨梁70Aの幅の半分程度だけ端部72Aが側面43A側に長く延びている。
【0022】
図4(a)、(b)に示すように、現場打ち柱部材40Aの上部において、鉄骨梁70Aの端部72A付近の側端にガセットプレート81を溶接し、これらのガセットプレート81および上下フランジ73Aに鉄骨梁50Aの端部53Aおよび鉄骨梁60Aの端部63Aのウェブおよび上下フランジの両面を高力ボルト締めしたスプライスプレート80によって剛接合されている。
【0023】
柱梁接合部J1は、現場打ち柱部材40Aの上部にて、ウェブ71Aおよび上下フランジ73Aの端部72A付近の側端にウェブ51A、上下フランジ52Aの端部53Aおよびウェブ61A、上下フランジ62Aの端部63Aが両面を高力ボルト締めしたスプライスプレート80によって剛接合されて形成される。なお、端部53A,63Aの片面をスプライスプレート80によって接合されてもよく、或いは、端部53A,63Aが図7に示すような鉄骨梁70Cの両側面に取り付けられたガセットプレート81Aに直接接合されてもよい。
【0024】
[第3実施形態]
第1および第2実施形態では、プレキャスト柱部材20,30は現場打ち柱部材40または40Aによって接合され、1本のコンクリート柱10または10Aが形成されていた。第3実施形態では、プレキャスト柱部材20A,30Aは互いに独立しており、コンクリート柱10Aは2本の柱からなり、プレキャスト柱部材20A,30A間で露出する鉄骨梁50A,60Aの継手部に低降伏点鋼材が接合金物に使用されている点が第1および第2実施形態と異なる。また、y方向に架構される鉄骨梁70Bがプレキャスト柱部材20A,30Aに予め一体化されている点も異なる。
【0025】
図5(a)、(b)は、本発明の第3実施形態に係る柱梁構造3を示している。鉄骨梁50のウェブ51が、プレキャスト柱部材20A内で、高力ボルト締めしたスプライスプレート80によって鉄骨梁70B1のウェブ71B1とピン接合されることにより、柱梁ユニットU5が形成される。同様に、鉄骨梁60のウェブ61が、プレキャスト柱部材30A内で、高力ボルト締めしたスプライスプレート80によって鉄骨梁70B2のウェブ71B2とピン接合されることにより、柱梁ユニットU6が形成される。なお、ピン接合ではなく、剛接合されてもよい。
【0026】
柱梁接合部J2は、柱梁ユニットU5,U6の鉄骨梁50,60のウェブ51,61の端部53,63を高力ボルト締めしたスプライスプレート80Aによってピン接合されて形成される。ここで、スプライスプレート80Aは、低降伏点鋼材を使用したものである。地震時等に、主要構造部のうちで、柱スパンが短いプレキャスト柱部材20、30間に設けられた低耐力のスプライスプレート80Aが最先に破壊されることにより、建築物全体の安全性を高めることができる。本実施形態に係る柱梁構造3は、制震構造に利用可能である。なお、図5では省略した位置での鉄骨梁50,60間は、ウェブ51,61および上下フランジ52,62の端部を高力ボルト締めしたスプライスプレート80によって剛接合される。
【0027】
上記第1および第2実施形態によると、コンクリート柱10(10A)がプレキャスト柱部材20,30および現場打ち柱部材40(40A)の3つの柱部材によって形成される。従って、柱梁ユニットU1,U2(U3,U4)を構成するプレキャスト柱部材20,30を小断面で軽量な柱部材とすることができるので、柱梁構造1(2)の柱梁ユニットU1,U2(U3,U4)の運搬や設置等が容易になり、施工効率を向上させることができる。また、柱梁ユニットU1,U2(U3,U4)の幅は鉄骨梁50,60の長さと等しくトラックの荷台の幅より短いので、柱梁ユニット運搬用のトラックの荷台に容易に載置することや搬出入が可能となり、施工効率を向上できる。さらに、上記第3実施形態によると、コンクリート柱10Bがプレキャスト柱部材20A,30Aの2つの柱部材によって形成され、プレキャスト柱部材20A,30A間の鉄骨梁50,60のウェブ51,61間を低降伏点鋼材で接合する。従って、現場打ち柱部材を打設する工程や型枠設置等の工程を省略でき、施工効率を向上させつつ、建築物の安全性を高めることができる。
【0028】
[変形例]
上記第1実施形態では、柱梁接合部Jは、図2(b)に示すように高力ボルト締めしたT型ガセットプレート81およびスプライスプレート80でピン接合されていたが、例えば、図2(c)に示すようにガセットプレート81BAを鉄骨梁70まで伸ばさずに異形鉄筋90でウェブ同士をピン接合されていてもよいし、他の接合部材等を用いてピン接合されていてもよい。
【0029】
上記各実施形態では、柱梁ユニットU1-U6は、1本のプレキャストコンクリート柱部材と1本の鉄骨梁とで構成されていたが、2本のプレキャストコンクリート柱部材と2本の鉄骨梁とで構成されていてもよいし、3本以上のプレキャストコンクリート柱部材とプレキャストコンクリート柱部材の本数と同数の鉄骨梁とで構成されることにより、2階分、或いは3階分以上のプレキャスト構造体であってもよい。
【0030】
上記各第3実施形態では、鉄骨梁50のウェブ51とウェブ51に対向する鉄骨梁60のウェブ61とは接合時には断面欠損の無い1つのウェブを構成し、低降伏点鋼材製のスプライスプレート80Aで接合されていたが、図6に示すように、鉄骨梁50Zのウェブ51Zの端部53Zと鉄骨梁60Zのウェブ61Zの端部63Zには接合時に円形の孔を形成する半円状の孔95,95が形成された柱梁ユニットU10,U11を使用し、ウェブ51Z,61Zを低降伏点鋼材でないスプライスプレート等で接合されていてもよい。孔95,95には設備配管や電気配線等を通すことができる。
【0031】
上記第1および第2実施形態では、鉄骨梁70,70Aは、端部72,72Aが現場打ち柱部材40,40Aの内部に配設されていたが、現場打ちコンクリート柱部材40,40Aの外部に配設されていてもよい。
【0032】
上記各実施形態では、鉄骨梁70は、鉄骨梁50,60にピン接合または剛接合されていたが、鉄骨梁50,60にピン接合も剛接合もされずに現場打ちコンクリート42に配設されていてもよい。
【0033】
上記各実施形態では、プレキャストコンクリート柱部材20,20A,20Z,30,30A,30Zは、梁長さS=2400mm以内としていたが、柱梁ユニット運搬用の車両トラックの運搬許容幅荷台の幅以内であれば梁長さが2400mmを超えてもよい。例えば、特殊車両を使用する場合には、梁長さS=3500mm程度の柱梁ユニットであってもよい。或いは、例えば、現場の敷地内でプレキャストコンクリートを製作するサイトPCを公道外で運搬する場合等においては、トラックの荷台の規格寸法を超えても、運搬に支障が無い梁長さの柱梁ユニットであってもよい。
【0034】
上記各実施形態では、柱梁構造を構成するコンクリート柱は、鉄筋コンクリート造であったが、鉄骨鉄筋コンクリート造であってもよい。
【0035】
上記各実施形態では、柱梁構造を構成する梁は、鉄骨造であったが、鉄骨鉄筋コンクリート造であってもよいし、鉄筋コンクリート造であってもよい。
【0036】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1,2,3 柱梁構造
10,10A,10B コンクリート柱
20,20A,20Z,30,30A,30Z プレキャストコンクリート柱部材
21,31 柱コンクリート
22,32 上面
23,33,41 主筋
24,34 帯筋
25,35 側面
40,40A 現場打ちコンクリート柱部材
42,42A 現場打ちコンクリート
50,50A,50Z,60,60A,60Z,70,70A,70B,70B1,70B2,70C 鉄骨梁
51,61,71 ウェブ
52,62,73 フランジ
53,54,63,64,72 端部
80 スプライスプレート
80A スプライスプレート(低降伏点鋼材製)
81 T型ガセットプレート
81A,81B ガセットプレート
82 リブプレート
90 異形鉄筋
95 孔
J,J1,J2 柱梁接合部
U1,U2,U3,U4,U5,U6,U10,U11 柱梁ユニット(プレキャスト構造体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7