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特許7591942加熱食品用包装シート、包装容器、包装体、および、包装袋
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】加熱食品用包装シート、包装容器、包装体、および、包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021026336
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022128035
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】白井 直人
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0166362(US,A1)
【文献】特開2007-126165(JP,A)
【文献】特開平11-245971(JP,A)
【文献】特開2001-301803(JP,A)
【文献】特開2001-301802(JP,A)
【文献】特表2020-510585(JP,A)
【文献】特開2001-315799(JP,A)
【文献】特開2017-114538(JP,A)
【文献】特開昭61-173028(JP,A)
【文献】実開昭62-069466(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品が加熱された際に生じる水蒸気を流通させる貫通部を有する本体シートと、
該貫通部を覆うように配置されると共に本体シートの一方の面に着脱可能に貼り付けられる着脱シートと、
を備え
着脱シートは、本体シート側へ空気を流通させる空気流通部を備えており、
該空気流通部は、本体シートの貫通部と重なるように配置される、
加熱食品用包装シート。
【請求項2】
着脱シートは、粘着層を備えており、
空気流通部は、着脱シートの粘着層を備える領域を線状に貫通するように形成される、
請求項に記載の加熱食品用包装シート。
【請求項3】
着脱シートの一部を覆うように本体シートの一方の面に貼り付けられると共に本体シートから着脱シートを剥離する際に破断する破断シートをさらに備える、
請求項1又は2に記載の加熱食品用包装シート。
【請求項4】
着脱シートは、破断シートで覆われていない領域の端部に、本体シートに貼り付かない摘み部を備える、
請求項に記載の加熱食品用包装シート。
【請求項5】
摘み部は、着脱シートの一方向の一端部に形成されており、
破断シートは、着脱シートにおける摘み部から前記一方向の他端側に離れた領域を覆う、
請求項に記載の加熱食品用包装シート。
【請求項6】
破断シートは、貫通部の少なくとも一部を覆う位置に配置される、
請求項4又は5に記載の加熱食品用包装シート。
【請求項7】
請求項1乃至の何れか一項に記載の加熱食品用包装シートを用いた包装容器であって、
食品を収容する収容空間を形成する容器本体を備えており、
本体シートの一方の面が外側となるように包装シートによって収容空間が閉塞されて形成される、
包装容器。
【請求項8】
請求項1乃至の何れか一項に記載の加熱食品用包装シートによって食品が包み込まれて形成される包装体。
【請求項9】
請求項1乃至の何れか一項に記載の加熱食品用包装シートによって形成される包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱される食品の包装材として用いられる加熱食品用包装シートに関する。また、該包装シートを用いた包装容器、包装体、および、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の包装形態として、種々の形態が知られている。例えば、食品を収容する収容空間を形成する容器本体と、該容器本体に貼り付けられて収容空間を閉塞する包装シート(蓋材)とを備える包装容器が知られている。また、食品が包装シートで包み込まれることで形成される包装体も知られている。さらに、包装シートを用いて形成された包装袋も知られている。
【0003】
上記のように種々の形態で包装された食品は、包装された状態で電子レンジ等で加熱される場合がある。この場合、食品から発生した水蒸気によって、包装容器等の内圧が上昇し、包装容器等が破損する虞がある。また、発生した水蒸気が食品と接触して食品の食感や味わいが損なわれる虞もある。
【0004】
そこで、特許文献1に示すように、水蒸気の発生による圧力によって破断する破断部を備える包装シートが提案されている。該包装シートでは、水蒸気の圧力によって破断部が破断することで貫通部が形成され、該貫通部から水蒸気を排出可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-173618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような包装シートは、水蒸気の発生量や破断部の形成状態等によって、食品が加熱されてもの破断部が破断しない虞があり、確実に水蒸気を排出できるものではない。
【0007】
そこで、本発明は、水蒸気を確実に排出できる加熱食品用包装シートを提供すること、該加熱食品用包装シートを用いて形成された包装容器、包装体、および、包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱食品用包装シートは、食品が加熱された際に生じる水蒸気を流通させる貫通部を有する本体シートと、該貫通部を覆うように配置されると共に本体シートの一方の面に着脱可能に貼り付けられる着脱シートと、を備える。
【0009】
斯かる構成によれば、加熱食品用包装シートを用いて食品を包装した状態で、該食品を加熱する際に、着脱シートを本体シートから剥離することで、貫通部が露出した状態になる。このため、加熱によって生じる水蒸気を貫通部から確実に排出できる。
【0010】
着脱シートは、本体シート側へ空気を流通させる空気流通部を備えており、該空気流通部は、本体シートの貫通部と重なるように、または、本体シートの貫通部の近傍に、配置されてもよい。
【0011】
斯かる構成によれば、加熱食品用包装シートを用いて包装された状態で食品が加熱された後、着脱シートを本体シートに再度貼り付けることで、貫通部から食品が漏れ出すのを抑制することができる。また、着脱シートの空気流通部が、本体シートの貫通部と重なるように、または、本体シートの貫通部の近傍に、配置されることで、食品の加熱後に、該食品を収容した空間の内圧が下がった際に、空気流通部から本体シート側へ空気が流通し、該空気が本体シート1の貫通部から食品を収容した空間へ流入する。これにより、食品を収容した空間が意図しない程度にまで陰圧になるのを防止することができる。
【0012】
着脱シートは、粘着層を備えており、空気流通部は、着脱シートの粘着層を備える領域を線状に貫通するように形成されてもよい。
【0013】
斯かる構成によれば、着脱シートの粘着層を備える領域を線状に貫通するように空気流通部が形成されることで、空気流通部での空間の流通が生じない状態(例えば、食品を収容した空間とその外側の空間との気圧差が少ない状態)では、粘着層によって空気流通部が閉塞される。これにより、空気流通部から食品が漏れ出すのを抑制することができる。
【0014】
着脱シートの一部を覆うように本体シートの一方の面に貼り付けられると共に本体シートから着脱シートを剥離する際に破断する破断シートをさらに備えてもよい。
【0015】
斯かる構成によれば、着脱シートを本体シートから剥離する際に破断シートが破断するため、着脱シートが本体シートから意図せずに剥がされたことを容易に把握することができる。
【0016】
着脱シートは、破断シートで覆われていない領域の端部に、本体シートに貼り付かない摘み部を備えてもよい。
【0017】
斯かる構成によれば、着脱シートが摘み部を備えることで、本体シートからの着脱シートの剥離と破断シートの破断とを容易に行うことができる。
【0018】
摘み部は、着脱シートの一方向の一端部に形成されてもよく、破断シートは、着脱シートにおける摘み部から前記一方向の他端側に離れた領域を覆うようにしてもよい。
【0019】
斯かる構成によれば、着脱シートにおける摘み部から前記一方向の他端側に離れた領域を破断シートが覆うことで、摘み部を摘まみ易くなるため、着脱シートの剥離をより容易に行うことができる。
【0020】
破断シートは、貫通部の少なくとも一部を覆う位置に配置されてもよい。
【0021】
斯かる構成によれば、破断シートが貫通部の少なくとも一部を覆うことで、貫通部が露出するまで着脱シートを剥離した際に、破断シートが確実に破断される。このため、着脱シートが意図せずに剥離されたことをより確実に把握できる。
【0022】
本発明に係る包装容器は、上記の加熱食品用包装シートを用いた包装容器であって、食品を収容する収容空間を形成する容器本体を備えており、本体シートの一方の面が外側となるように包装シートによって収容空間が閉塞されて形成される。
【0023】
本発明に係る包装体は、上記の加熱食品用包装シートによって食品が包み込まれて形成される。
【0024】
本発明に係る包装袋は、上記の加熱食品用包装シートによって形成される。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、確実に蒸気を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第一実施形態に係る加熱食品用包装シートを構成する部材を示した斜視図。
図2】同実施形態に係る加熱食品用包装シートを示した斜視図。
図3】同実施形態に係る加熱食品用包装シートを用いて形成した包装容器を示した断面図。
図4】同実施形態に係る加熱食品用包装シートを用いて形成した包装体を示した斜視図。
図5】同実施形態に係る加熱食品用包装シートを用いて形成した包装袋を示した斜視図。
図6】本発明の第二実施形態に係る加熱食品用包装シートを構成する部材を示した斜視図。
図7】同実施形態に係る加熱食品用包装シートを示した斜視図。
図8】同実施形態に係る加熱食品用包装シートの本体シートから着脱シートを剥離する際の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る加熱食品用包装シートの実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において同一又は相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。また、以下の説明において、一方向とは、各図の座標軸におけるx軸に沿った方向であり、前記一方向に交差する他方向とは、各図の座標軸におけるy軸に沿った方向である。
【0028】
<第一実施形態>
本実施形態に係る加熱食品用包装シート(以下では、単に「包装シート」とも記す)10は、図1,2に示すように、食品が加熱された際に生じる水蒸気が流通可能な本体シート1と、本体シート1の一方の面に着脱可能に貼り付けられる着脱シート2と、を備える。
【0029】
本体シート1は、一方向の両端縁が該一方向に交差する他方向に延び、他方向の両端縁が前記一方向に延びる矩形状に形成される。また、本体シート1は、水蒸気を流通可能な貫通部1aを有する。該貫通部1aは、本体シート1の外周端部よりも内側の領域に形成される。また、貫通部1aは、本体シート1の前記一方向の一端部から他端側へ離れた位置に形成される。具体的には、貫通部1aは、本体シート1の前記一方向の中央部よりも他端側の位置に形成される。また、貫通部1aは、本体シート1の前記他方向の両端間の略中央部に形成される。本実施形態では、貫通部1aは、複数の貫通口を備える。具体的には、前記一方向に延びる貫通口が前記他方向に間隔を明けて複数(具体的には、3つ)形成されることで、貫通部1aが形成される。
【0030】
本体シート1の厚みとしては、特に限定されず、例えば、30~130μmであってもよい。本体シート1を構成するシート材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(NY)、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ポリエチレン(L-LDPE、LDPE、HDPE)、各種イージーピールフィルム等が挙げられる。また、本体シート1としては、上記のシート材を単独または積層して用いてもよい。なお、イージーピールフィルムは、後述する積層シートにおいて所謂シーラントフィルムとして用いることができる。また、本体シート1は、上記の各種シート材を積層した積層シートであってもよい。積層シートの構成としては、例えば、「PET#12/DL/ONY#15/DL/イージーピールフィルム(PP系)#20」、「PET#12/DL/イージーピールフィルム#20」、「PET#12/DL/PET#12/DL/イージーピールフィルム#20」、「PET#12/DL/L-LDPE#30~60」、「PET#12/DL/ONY#15/DL/CPP#30~60」等が挙げられる。積層シートの厚みとしては、特に限定されず、例えば、30~50μmであってもよく、100~130μmであってもよい。各シート材の厚みとしては、特に限定されるものではないが、OPPフィルムとしては、20μm以上のもの等が挙げられ、イージーピールフィルムとしては、20μm以上のもの、80μm以上のもの等が挙げられる。
【0031】
着脱シート2は、本体シート1の外周端部よりも内側に配置される。また、着脱シート2は、本体シート1の前記一方向の一端部から他端側へ離れた位置に配置される。さらに、着脱シート2は、貫通部1aを覆うように配置される。また、着脱シート2は、本体シート1に貼り付かない摘み部2aを備える。該摘み部2aは、前記一方向の一端部(本体シート1の前記一方向の一端側に位置する端部)に形成される。
【0032】
着脱シート2は、少なくとも一部が本体シート1に対して着脱可能に貼り付けられる。具体的には、着脱シート2は、少なくとも一部が本体シート1に対して貼り付けられた状態から剥離可能であればよく、剥離した状態から本体シート1に対して再度貼り付け可能であることが好ましい。また、着脱シート2は、着脱シート2(具体的には、摘み部2a以外の領域)の外周形状に沿った環状の領域(例えば、四角形の枠状の領域等)が本体シート1に(具体的には、貫通部1aを囲むように)貼り付けられてもよく、着脱シート2の全面が本体シート1に貼り付けられてもよい。着脱シート2を本体シート1に貼り付ける方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒートシール、超音波シール、接着剤、粘着剤等を用いることができる。
【0033】
着脱シート2の厚みとしては、特に限定されず、例えば、25~100μmであってもよく、20~60μmであってもよく、25~50μmであってもよい。着脱シート2を構成するシート材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(OPP、CPP)、紙、混抄紙、合成紙(例えば、ポリプロピレンを主原料とするもの)等が挙げられる。また、着脱シート2としては、上記のシート材を単独または積層して用いてもよい。
【0034】
本実施形態では、着脱シート2は、本体シート1側へ空気を流通させる空気流通部2bを備える。本実施形態では、空気流通部2bは、本体シート1の貫通部1aと重なる(具体的には、一部のみと重なる)ように配置される。また、空気流通部2bは、前記他方向に延びる線状(具体的には、直線状)に形成される。また、空気流通部2bは、貫通部1a(具体的には、前記一方向に延びる複数の貫通口)を前記他方向に横断するように形成される。
【0035】
着脱シート2が粘着層を備える場合、空気流通部2bは、着脱シート2の粘着層を備える領域を線状に貫通するように形成される。粘着層は、着脱シート2の最外層で本体シート1に貼り付くものであってもよく、着脱シート2の内部の層であってもよい。
【0036】
空気流通部2bは、着脱シート2の一部が線状にハーフカットされて形成されてもよく、着脱シート2を貫通するミシン目によって形成されてもよい。空気流通部2bがハーフカットである場合には、該ハーフカットが破断することで空気流通部2bが着脱シート2を貫通した状態にすることができる。空気流通部2bがミシン目である場合には、貫通した箇所(カット部)の長さは、好ましくは1mm~10mmであり、より好ましくは2mm~5mmであり、さらに好ましくは3mmである。カット部間の領域(アンカット部)の長さは、好ましくは0.1mm~5mmであり、より好ましくは0.5mm~3mmであり、さらに好ましくは1mmである。また、空気流通部2bがミシン目である場合には、カット部が本体シート1の貫通部1a(具体的には、貫通口)と重なることが好ましく、アンカット部が本体シート1の貫通部1a(具体的には、貫通口)と重なってもよい。
【0037】
上記のように構成される包装シート10を用いて食品を包装する形態としては、特に限定されず、例えば、図3に示すように、食品Xを収容する包装容器100が挙げられる。該包装容器100は、食品Xを収容する収容空間Rを形成する容器本体100aを備える。そして、収容空間Rに食品Xを収容した状態で、容器本体100aが備える開口部100bを閉塞するように包装シート10を容器本体100aに貼り付けることで、包装容器100が形成される。包装容器100では、包装シート10は、本体シート1の一方の面(具体的には、着脱シート2および破断シート3)が外側となるように容器本体100aに貼り付けられる。
【0038】
包装シート10を用いて食品を包装する他の形態としては、例えば、図4に示すように、食品Xを包装シート10で包み込むことで形成される包装体200が挙げられる。該包装体200は、本体シート1の一方の面(着脱シート2および破断シート3)が外側となるように、食品Xの形状に沿って包装シート10で食品Xを包み込んで形成される。
【0039】
包装シート10を用いて食品を包装するさらに他の形態としては、例えば、図5に示すように、包装シート10を袋状に形成した包装袋300が挙げられる。また、包装シート10を用いて食品を包装するさらに他の形態としては、例えば、ピロー包装によって形成される袋(図示せず)等が挙げられる。
【0040】
上記のような各包装形態(包装容器100、包装体200、および、包装袋300)内の食品Xを加熱する際には、上述のように、着脱シート2を本体シート1から剥離する。これにより、貫通部1aを露出した状態にする。そして、斯かる状態で、加熱機器(電子レンジや赤外線加熱器等)によって食品Xを加熱する。これにより、発生した水蒸気を貫通部1aから排出させつつ食品Xを加熱できる。また、加熱後には、貫通部1aを覆うように着脱シート2を本体シート1に再度貼り付ける。これにより、貫通部1aからの異物の侵入を防止できると共に、貫通部1aから食品(具体的には、液状の食品)が漏れ出すのを防止することができる。
【0041】
<第二実施形態>
本実施形態の加熱食品用包装シートは、第一実施形態の加熱食品用包装シート10と比較して、主に、空気流通部2bを備えない点、および、後述する破断シート3を備える点が異なる。そこで、以下では、第一実施形態と異なる点について説明し、共通する点については、説明を繰り返さない。
【0042】
破断シート3は、本体シート1から着脱シート2を剥離する際に破断する。具体的には、破断シート3は、図6,7に示すように、本体シート1の外周端部よりも内側に配置される。また、破断シート3は、着脱シート2の一部を覆うように本体シート1の一方の面に貼り付けられる。具体的には、破断シート3は、着脱シート2の摘み部2a以外の領域(具体的には、摘み部2a以外の領域の全体)を覆うように本体シート1の一方の面に貼り付けられる。より好ましくは、破断シート3は、着脱シート2における摘み部2aから前記一方向の他端側に離れた領域を覆うように配置される。また、破断シート3は、着脱シート2における貫通部1aを覆う領域と少なくとも一部が重なるように配置される。つまり、また、破断シート3(具体的には、破断シート3の前記一方向の一端側の領域)は、貫通部1aの少なくとも一部(本実施形態では、全体)を覆うように配置される。また、破断シート3は、前記他方向の両端部が着脱シート2と重ならないように配置される。また、破断シート3は、前記一方向の他端側の領域が着脱シート2と重ならないように配置される。
【0043】
破断シート3は、着脱シート2と重なる領域の少なくとも一部(好ましくは、全体)が着脱シート2に貼り付けられ、着脱シート2と重ならない領域の少なくとも一部(好ましくは、全体)が本体シート1に貼り付けられる。また、破断シート3は、着脱シート2の本体シート1からの剥離強度よりも強い剥離強度で、本体シート1に貼り付けられることが好ましい。また、破断シート3は、着脱シート2と重なる領域に隣接する領域が本体シート1から剥離しない(具体的には、着脱シート2が本体シート1から剥離する際に剥離しない)ように構成されることが好ましい。破断シート3を本体シート1および着脱シート2に貼り付ける方法としては、特に限定されず、例えば、ヒートシール、超音波シール、接着剤、粘着剤等を用いることができる。
【0044】
破断シート3は、着脱シート2を本体シート1から剥離した際に、着脱シート2を覆う領域の前記他方向の両側の位置で破断可能である。具体的には、破断シート3は、着脱シート2を覆う領域の前記他方向の両側の位置に、前記一方向に延びる(より好ましくは、着脱シート2の端縁に沿って延びる)易破断部3aを備える。該易破断部3aの一端部は、破断シート3の前記一方向の一端縁に達するように形成される。また、易破断部3aの他端部は、着脱シート2の前記一方向の他端部よりも破断シート3の前記一方向の他端側に位置する。また、易破断部3aは、破断シート3の一部が線状にハーフカットされて形成されてもよく、ミシン目によって形成されてもよい。
【0045】
破断シート3の厚みとしては、特に限定されず、例えば、25~100μmであってもよく、20~60μmであってもよく、25~50μmであってもよい。着脱シート2を構成するシート材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(OPP、CPP)、紙、混抄紙、合成紙(例えば、ポリプロピレンを主原料とするもの)等が挙げられる。また、着脱シート2としては、上記のシート材を単独または積層して用いてもよい。
【0046】
上記のように構成される包装シート10は、図8に示すように、着脱シート2を本体シート1から剥離して、本体シート1の貫通部1aを露出させる際に、破断シート3の一部が破断する。具体的には、着脱シート2を本体シート1から剥離することで、着脱シート2によって破断シート3の一部(具体的には、着脱シート2と重なる部分)が持ち上げられる。これにより、破断シート3が易破断部3aで破断する。
このように、着脱シート2の剥離に伴って破断シート3が破断することで、各包装形態が開封された後に再封されたこと把握することができる。このため、各包装形態が悪意によって開封されるのを抑制することができる。さらに、着脱シート2と破断シート3とが重なる領域は、着脱シート自体よりもコシ感(剛性)が強くなるため、着脱シート2を本体シート1に再度貼り付けて再封する作業が容易になる。
【0047】
以上のように、各実施形態に係る加熱食品用包装シート10、包装容器100、および、包装体200は、水蒸気を確実に排出できる。
【0048】
即ち、包装シート10を用いて食品Xを包装した状態で、該食品Xを加熱する際に、着脱シート2を本体シート1から剥離することで、貫通部1aが露出した状態になる。このため、加熱によって生じる水蒸気を貫通部1aから確実に排出できる。また、食品Xの加熱後には、貫通部1aを覆うように着脱シート2を本体シート1に再度貼り付けることで、貫通部1aからの異物の侵入と、貫通部1aからの食品の流出を防止できる。
【0049】
また、第一実施形態の包装シート10では、上記のように加熱食品用包装シート10を用いて包装された状態で食品が加熱された後、着脱シート2を本体シート1に再度貼り付けることで、貫通部1aから食品が漏れ出すのを抑制することができる。また、着脱シート2の空気流通部2bが、本体シート1の貫通部1aと重なるように配置されることで、食品の加熱後に、該食品を収容した空間の内圧が下がった際に、空気流通部2bから本体シート1側へ空気が流通し、該空気が本体シート1の貫通部1aから食品を収容した空間へ流入する。これにより、食品を収容した空間が意図しない程度にまで陰圧になるのを防止することができる。
【0050】
また、着脱シート2の粘着層を備える領域を線状に貫通するように空気流通部2bが形成されることで、空気流通部2bでの空間の流通が生じない状態(例えば、食品を収容した空間とその外側の空間との気圧差が少ない状態)では、粘着層によって空気流通部2bが閉塞される。これにより、空気流通部2bから食品が漏れ出すのを抑制することができる。
【0051】
また、第二実施形態の包装シート10では、着脱シート2を本体シート1から剥離する際に破断シート3が破断するため、着脱シート2が本体シート1から剥がされたことを容易に把握することができる。
【0052】
また、着脱シート2が摘み部2aを備えることで、本体シート1からの着脱シート2の剥離と破断シート3の破断とを容易に行うことができる。
【0053】
また、着脱シート2における摘み部2aから前記一方向の他端側に離れた領域を破断シート3が覆うことで、摘み部2aを摘まみ易くなるため、着脱シート2の剥離をより容易に行うことができる。
【0054】
なお、本発明に係る加熱食品用包装シート、包装容器、および、包装体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0055】
例えば、第一実施形態の加熱食品用包装シート10において空気流通部2bを備えないように構成してもよい。
【0056】
また、第二実施形態の加熱食品用包装シート10において空気流通部2bを備えるように構成してもよい。斯かる場合には、破断シート3は、空気流通部2bを覆わないように配置される。これにより、破断シート3は、本体シート1の貫通部1aの一部のみを覆う、または、貫通部1aを覆わないように配置される。
【0057】
また、上記実施形態では、本体シート1の貫通部1aは、複数の貫通口から構成されているが、これに限定されず、例えば、一つまたは複数の切り込み線、または、一つの貫通口から構成されてもよい。また、貫通部1aを構成する各貫通口は、直線状に延びるように形成されているが、これに限定されず、例えば、貫通部1aが一つの貫通口または一つの切り込み線から構成され、該貫通口または切り込み線がU字状、V字状等に形成されてもよい。
【0058】
また、第一実施形態では、空気流通部2bは、本体シート1の貫通部1aの一部のみと重なるように構成されているが、これに限定されず、例えば、空気流通部2bの全体が貫通部1aと重なるように構成してもよい。また、第一実施形態では、空気流通部2bは、本体シート1の貫通部1aと重なるように構成されているが、これに限定されず、例えば、貫通部1aの近傍に(具体的には、貫通部1aと重なることなく)形成されてもよい。斯かる場合には、着脱シート2は、貫通部1aを囲む枠状の領域が本体シート1に貼り付けられ、斯かる枠状の領域の内側の領域が本体シート1に貼り付かないように構成する。そして、斯かる枠状の領域の内側に空気流通部2bが形成される。
【符号の説明】
【0059】
1…本体シート、1a…貫通部、2…着脱シート、2a…摘み部、2b…空気流通部、3…破断シート、3a…易破断部、10…加熱食品用包装シート、100…包装容器、100a…容器本体、100b…開口部、200…包装体、300…包装袋、R…収容空間、X…食品
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図8