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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】商品登録装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20241122BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G07G1/00 311D
G07G1/12 301E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021040212
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139709
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂晃
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181253(JP,A)
【文献】特開2020-021419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に付された無線タグからタグ情報を読み取る読取部と、
当該タグ情報を登録する商品登録部と、
以前の取引で登録されたタグ情報を記憶する記憶部と
表示部と、を含み、
前記読取部が読み取ったタグ情報が前記記憶部に記憶されているタグ情報と一致する場合には、
前記表示部は、前記読取部が読み取ったタグ情報に対応する商品を示す情報を、今回の取引で既に登録されている商品を示す情報とは異なる領域に表示し、
前記商品登録部は、前記読取部が読み取ったタグ情報を登録しない、
商品登録装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記読取部が読み取ったタグ情報が前記記憶部に記憶されているタグ情報と一致する場合に、複数の取引の間で同一の商品が重複して読み取られたことを示すアラートを表示する、
請求項1に記載の商品登録装置。
【請求項3】
前記記憶部は、今回の取引に係る支払いが完了した後、以前の取引で登録されたタグ情報として、今回の取引で登録されたタグ情報を記憶する、
請求項1又は請求項に記載の商品登録装置。
【請求項4】
前記商品登録部は、前記読取部が読み取ったタグ情報が前記記憶部に記憶されているタグ情報と一致する場合に、当該タグ情報が読み取られなくなるまで他の商品の登録を中断する、
請求項1から請求項のうちのいずれか一項に記載の商品登録装置。
【請求項5】
商品に付された無線タグからタグ情報を読み取ることと、
当該タグ情報を登録することと、
以前の取引で登録されたタグ情報を記憶することと
読み取ったタグ情報が記憶されているタグ情報と一致する場合には、
読み取ったタグ情報に対応する商品を示す情報を、今回の取引で既に登録されている商品を示す情報とは異なる領域に表示することと、
読み取ったタグ情報を登録しないことと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品登録装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の無線タグから、当該無線タグが付された物品の情報が書き込まれたタグ情報を読み取る技術が知られている。例えば、商品に付された無線タグから商品情報を読み取り、今回の取引に係る商品として商品情報を登録する商品登録装置がある。
【0003】
しかしながら、例えば無線タグとの間で交信するアンテナの付近に既に会計が終了した取引に係る商品が残っている場合など、会計が終了した商品に付された無線タグから商品情報が読み取られ、今回の取引に係る商品として登録されるおそれがあった。一方で、会計が終了した商品がアンテナの付近から取り除かれるまで今回の取引に係る商品情報の読み取りの開始を待つ場合、商品の登録に係るスループットが低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、商品の登録に係るスループットを向上することができる商品登録装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の商品登録装置は、読取部と、商品登録部と、記憶部と、表示部と、を含む。前記読取部は、商品に付された無線タグからタグ情報を読み取る。前記商品登録部は、当該タグ情報を登録する。前記記憶部は、以前の取引で登録されたタグ情報を記憶する。前記読取部が読み取ったタグ情報が前記記憶部に記憶されているタグ情報と一致する場合には、前記表示部は、前記読取部が読み取ったタグ情報に対応する商品を示す情報を、今回の取引で既に登録されている商品を示す情報とは異なる領域に表示し、前記商品登録部は、前記読取部が読み取ったタグ情報を登録しない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係るPOS(Point of Sales)システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るRFIDスキャナのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るPOS端末(商品登録装置)のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るPOSシステムの機能構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るPOS端末で実行される商品登録処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る商品登録処理における表示画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態に係る商品登録装置及びプログラムについて説明する。なお、実施形態は、商品に付された無線タグから読み取られた商品情報を登録する商品登録装置及びプログラムを例示するが、本実施形態に係る技術は、例えば流通システムにおいて、物品に付された無線タグから読み取られた物品情報を登録する装置及びシステムとして実現することもできる。
【0008】
図1は、実施形態に係るPOS(Point of Sales)システム1の構成の一例を示す図である。POSシステム1は、図1に示すように、RFID(Radio Frequency Identification)タグ3、RFIDスキャナ5及びPOS端末7を含む。RFIDスキャナ5及びPOS端末7は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルなどの接続線Wを介して、互いに通信可能に接続される。なお、RFIDスキャナ5及びPOS端末7の間は、有線に限らず無線で接続されても構わない。ここで、POSシステム1は、無線タグ読取システムの一例である。
【0009】
RFIDタグ3は、ICタグ等とも呼ばれ、ICチップ及びアンテナを薄いフィルムに内蔵した構造を有している。RFIDタグ3は、アンテナが電波を受信すると電力が発生し、発生した電力によってICチップ内のフラッシュメモリなどのメモリに記憶されている情報(実施形態ではタグ情報)を発信する無線タグである。タグ情報は、任意の形式に従い内部メモリに格納されればよく、例えばSGTIN(Serialized Global Trade Item Number)形式などの各種の形式が適宜利用可能である。
【0010】
一例として、タグ情報は、サイズなどを示す情報、ヘッダー、企業コード、商品名及びシリアル(タグID)の各項目を示すバイナリ形式の複数のビット列が結合されて構成されている。サイズなどを示す情報は、タグ情報に含まれる各情報のデータサイズなどを示すバイナリ値である。ヘッダーは、タグ情報のデータ形式を識別するためのバイナリ値である。企業コードは、事業者を示すコードを示すバイナリ値である。商品名は、商品を示すコードを示すバイナリ値である。ここで、企業コード及び商品名の組は、実地形態の商品コードに対応する。タグIDは、複数のRFIDタグ3の各々に固有のシリアルナンバーを示すバイナリ値である。ここで、商品コードは、RFIDタグ3が付された商品を識別する商品識別子の一例である。タグIDは、RFIDタグ3を識別するタグ識別子の一例である。
【0011】
RFIDタグ3は、例えば粘着面を有し、粘着力で商品等の物品に貼付される。なお、RFIDタグ3は、商品等の物品にバンドなどで取り付けられていてもよい。また、RFIDタグ3は、商品等の物品の包装に埋め込まれるなど、商品等の物品の包装の一部として形成されることにより物品に取り付けられていても構わない。ここで、RFIDタグ3は、無線タグの一例である。
【0012】
RFIDスキャナ5は、商品に付されたRFIDタグ3からタグ情報を読み取る。RFIDスキャナ5は、RFIDタグ3から読み取ったタグ情報を、POS端末7からの出力要求に応じてPOS端末7に出力する。なお、RFIDスキャナ5は、例えば据え置き型であるが、持ち運び可能なハンディタイプのスキャナとして実現されても構わない。ここで、RFIDスキャナ5は、無線タグ読取装置の一例である。
【0013】
図2は、実施形態に係るRFIDスキャナ5のハードウェア構成の一例を示す図である。RFIDスキャナ5は、図2に示すように、プロセッサ51、メモリ52、リーダ531、アンテナ532、操作部54及び通信I/F55を有する。プロセッサ51、メモリ52、リーダ531、アンテナ532、操作部54及び通信I/F55は、バス59などを介して接続されている。
【0014】
プロセッサ51は、メモリ52のROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)に記憶された各種プログラムやデータファイル等を読み出して、メモリ52のRAM(Random Access Memory)にロードする。プロセッサ51は、メモリ52のRAMにロードされた各種プログラムやデータファイルなどと協働することで、RFIDスキャナ5の動作を統括的に制御する。
【0015】
リーダ531は、アンテナ532を用いることで、RFIDタグ3からタグ情報を読み取るための変調波(電波)を所定の時間間隔(例えば、数十ミリ秒間隔)で発信させる。また、リーダ531は、アンテナ532を介してRFIDタグ3が保持するタグ情報を読み取り、読み取ったタグ情報をプロセッサ51に出力する。アンテナ532は、リーダ531に接続されている。アンテナ532は、例えば略平板状の筐体の内部に配置される。アンテナ532の筐体上には、客が購入する商品や当該商品を収納した買い物カゴ等が載置される。アンテナ532は、RFIDタグ3と交信可能な電波を上方に向けて出力することで、買い物カゴ内に収納された各商品のRFIDタグ3との間でタグ情報読み取りのための交信を行う。なお、RFIDスキャナ5は、ゲート状の筐体を有していてもよい。この場合、アンテナ532は、ゲート状の筐体の内部に配置され、RFIDタグ3と交信可能な電波をゲートの内側に向けて出力する。操作部54は、ユーザ操作を受け付ける各種の操作キーを有する。通信I/F55は、POS端末7と接続するためのインタフェース回路である。RFIDスキャナ5は、通信I/F55を介してPOS端末7に接続される。
【0016】
POS端末7は、客が購入する商品に付されたRFIDタグ3やバーコードなどのコードシンボルから読み取られた商品コードに基づいて、その買上げ商品の登録処理や精算処理などを行うPOSレジスタである。具体的には、POS端末7は、RFIDスキャナ5で読み取られたタグ情報に含まれる商品コードに基づき、当該商品コードに対応する商品の取引(商取引)に係る処理を実行する。また、POS端末7は、コードスキャナ76で読み取られたバーコードなどのコードシンボルが示す商品コードに基づき、当該商品コードに対応する商品の取引(商取引)に係る処理を実行する。取引は、商品の購入に係る一連の手続きを意味する。より具体的には、POS端末7は、取引が開始されると、RFIDスキャナ5に対しタグ情報の出力を要求することで、RFIDスキャナ5で読み取られたタグ情報を取得する。POS端末7は、店舗で販売される各商品の商品コードと、当該商品の商品名、価格等の商品情報とを関連付けた商品マスタを参照することで、RFIDスキャナ5で読み取られたタグ情報に含まれる商品コードに対応する商品を購入対象の商品として特定する。ここで、POS端末7は、商品登録装置の一例である。
【0017】
図3は、実施形態に係るPOS端末7のハードウェア構成の一例を示す図である。POS端末7は、図3に示すように、プロセッサ71、メモリ72、ディスプレイ73、操作部74、通信I/F75、コードスキャナ76、ドロワ77及びプリンタ78を有する。プロセッサ71、メモリ72、ディスプレイ73、操作部74、通信I/F75、コードスキャナ76、ドロワ77及びプリンタ78は、バス79などを介して接続されている。
【0018】
プロセッサ71は、メモリ72のROMやHDDに記憶された各種プログラムやデータファイル等を読み出して、メモリ72のRAMにロードする。プロセッサ71は、メモリ72のRAMにロードされた各種プログラムやデータファイルなどと協働することで、POS端末7の動作を統括的に制御する。
【0019】
ディスプレイ73は、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイであり、取引の内訳等の各種情報を表示する。操作部74は、テンキー、取引開始キー、精算開始キーなどの各種操作キーを有し、ユーザ操作を受け付ける。通信I/F75は、RFIDスキャナ5やPOSシステム1の外部に接続するためのインタフェース回路である。コードスキャナ76は、例えばRFIDタグ3が付されていない商品について、当該商品に付されたバーコードなどのコードシンボルを読み取る。コードシンボルには、商品の種別を識別するための商品コードなどが保持される。ドロワ77は、例えばPOS端末7の本体の下部に設けられ、硬貨や紙幣を収納する。プリンタ78は、領収書などのレシートを印字し、POS端末7の本体に設けられているレシート排出口から印字したレシートを排出する。なお、コードスキャナ76、ドロワ77及びプリンタ78のそれぞれは、POS端末7に設けられず、POS端末7の外部に設けられて通信I/F75を介して接続されていてもよい。ここで、ディスプレイ73は、表示部の一例である。
【0020】
なお、プロセッサ51,71としては、それぞれ、例えばCPU(Central Processing Unit)が利用されるが、GPU(Graphics Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサが利用されても構わない。
【0021】
メモリ52,72のRAMは、ワーキングメモリとして利用され、それぞれ、プロセッサ51,71が演算処理を実行する際にデータが格納される揮発性メモリである。また、メモリ52,72のROMやHDDは、それぞれ、プロセッサ51,71が実行する制御プログラムなどのプログラムやパラメータなどのデータを記憶する不揮発性メモリである。なお、メモリ52,72としては、それぞれ、例えばRAM、ROM及びHDDが利用されるが、SSD(Solid State Drive)やフラッシュメモリなどの他の不揮発性メモリが利用されても構わない。
【0022】
なお、RFIDスキャナ5及びPOS端末7は、1つの装置として一体に形成されていても構わない。
【0023】
図4は、実施形態に係るPOSシステムの機能構成の一例を示す図である。なお、POSシステム1の各装置が実現する機能の一部又は全部は、2以上の装置の協働により実現されてもよいし、各装置に搭載された専用回路などのハードウェア構成により実現されても構わない。
【0024】
RFIDタグ3は、RFIDスキャナ5からのタグ情報を読み出す電波を受信すると、受信された電波に応じて内部メモリに記憶されているタグ情報を発信する。
【0025】
RFIDスキャナ5のプロセッサ51は、メモリ52のRAMにロードされた制御プログラムを実行することにより、読取部501及び出力部502としての機能を実現する。
【0026】
読取部501は、商品に付されたRFIDタグ3からタグ情報を読み取る。具体的には、読取部501は、アンテナ532からの電波に応じたRFIDタグ3からの電波により、RFIDタグ3からタグ情報を読み取る。
【0027】
出力部502は、RFIDタグ3から読み取られたタグ情報をPOS端末7へ出力する。
【0028】
POS端末7のプロセッサ71は、メモリ72のRAMにロードされた制御プログラムを実行することにより、商品登録部701、会計処理部702、重複チェックバッファ部703及び表示制御部704としての機能を実現する。
【0029】
商品登録部701は、RFIDスキャナ5により商品に付されたRFIDタグ3からタグ情報を読み取り、読み取られたタグ情報を登録する。具体的には、商品登録部701は、RFIDスキャナ5からのタグ情報に含まれる商品コードに基づいて商品登録処理を行う。商品登録処理は、RFIDスキャナ5により読み取られた商品を購入対象の商品として登録する処理である。例えば、商品登録部701は、商品登録処理において、商品情報を登録した商品登録ファイルを生成する。ここで、商品登録部701は、RFIDスキャナ5により商品に付されたRFIDタグ3からタグ情報を読み取る読取部の一例であるとも表現することができる。
【0030】
一方で、商品登録部701は、同一の商品が今回の取引又は以前の取引で登録されていると判定された場合には商品を登録しない。このため、商品登録部701は、読み取られたタグ情報と、今回の取引において既に登録されたタグ情報との間におけるタグIDの重複の有無に基づいて、同一の商品が今回の取引で既に登録されているか否かを判定する。また、商品登録部701は、読み取られたタグ情報と、以前の取引において登録されたタグ情報との間におけるタグIDの重複の有無に基づいて、同一の商品が以前の取引で登録されているか否かを判定する。
【0031】
また、商品登録部701は、今回の取引に係る支払いが完了した後、重複チェックバッファ部703の第2の重複チェックバッファをクリアし、格納されていた以前の取引で登録された商品のタグ情報を削除させる。また、商品登録部701は、重複チェックバッファ部703の第1の重複チェックバッファに格納されている、今回の取引で登録された商品のタグ情報を第2の重複チェックバッファに格納させる。その後、商品登録部701は、重複チェックバッファ部703の第1の重複チェックバッファをクリアし、今回の取引で登録された商品のタグ情報を削除する。換言すれば、商品登録部701は、今回の取引に係る支払いが完了した後、重複チェックバッファ部703の第1の重複チェックバッファに格納されていた今回の取引で登録された商品のタグ情報を、以前の取引で登録された商品のタグ情報として第2の重複チェックバッファに格納させる。
【0032】
会計処理部702は、商品登録部701により登録された商品に関する会計処理を行う。会計処理は、商品登録ファイルに基づいて行われる、一取引の会計に係る処理である。
【0033】
重複チェックバッファ部703は、第1の重複チェックバッファ及び第2の重複チェックバッファを用いてタグ情報を記憶する。ここで、重複チェックバッファ部703は、記憶部の一例である。
【0034】
第1の重複チェックバッファは、今回の取引に関するタグ情報を格納する記憶領域である。つまり、重複チェックバッファ部703は、第1の重複チェックバッファを用いて、今回の取引で登録されたタグ情報を記憶する。第1の重複チェックバッファには、例えば商品が登録されるごとに、登録された商品のタグ情報が随時追加される。つまり、会計処理部702により実行される会計処理は、第1の重複チェックバッファに格納されたタグ情報に基づいて行われる。ここで、第1の重複チェックバッファに格納されるタグ情報は、第1のタグ情報の一例である。
【0035】
第2の重複チェックバッファは、以前の取引に関するタグ情報を格納する記憶領域である。つまり、重複チェックバッファ部703は、第2の重複チェックバッファを用いて、以前の取引で登録されたタグ情報を記憶する。第2の重複チェックバッファには、例えば各取引の支払いが完了するごとに、その取引で登録された商品のタグ情報が随時追加される。ここで、第2の重複チェックバッファに格納されるタグ情報は、第2のタグ情報の一例である。
【0036】
表示制御部704は、会計処理が開始されるとき、登録済領域101を含む表示画面100(図6参照)をディスプレイ73に表示する。ここで、登録済領域101とは、表示画面100に設けられる領域であって、登録された商品の商品情報が表示される領域である。また、表示制御部704は、タグ情報が読み取られた商品と同一の商品が以前の取引で登録されていると商品登録部701が判定した場合に、未登録領域103を含む表示画面100をディスプレイ73に表示する。ここで、未登録領域103とは、表示画面100に設けられる領域であって、同一の商品が以前の取引で登録されている商品の商品情報が表示される領域である。登録済領域101と未登録領域103とは、例えば互いに異なる領域であるが、これに限らない。登録済領域101と未登録領域103とは、表示画面100において視覚的に区別できればよく、包含関係にあってもよい。なお、表示制御部704は、表示部の一例であると表現することもできる。
【0037】
ここで、本実施形態に係るPOSシステム1において、以前の取引とは、例えば直前の回(前回)の取引である。あるいは、以前の取引とは、前回及び前々回の取引など、直前の複数回に亘る取引であってもよい。また、以前の取引とは、直近で登録された商品の数により規定されていてもよい。以前の取引の範囲を規定する商品の数は、任意に設定可能である。一例として、以前の取引とは、直近で登録された100点の商品に係る取引である。以下、説明の簡単のために、以前の取引とは、前回の取引であるとした場合を例に説明を続ける。
【0038】
以下、図面を参照して、実施形態に係るPOSシステム1で実行される処理の流れについて説明する。図5は、実施形態に係るPOS端末7で実行される商品登録処理の一例を示すフローチャートである。図6は、実施形態に係る商品登録処理における表示画面100の一例を示す模式図である。
【0039】
会計処理部702は、今回の取引に関する会計処理を開始する(S101)。表示制御部704は、会計処理が開始されるとき、登録された商品の商品情報が表示される登録済領域101を含む表示画面100をディスプレイ73に表示する。なお、S101の処理の段階では、登録済領域101には登録された商品が表示されていない。
【0040】
商品登録部701は、RFIDスキャナ5によりタグIDを含むタグ情報が読み取られた否かを判定する(S102)。
【0041】
タグIDが読み取られたと判定された場合(S102:Yes)、商品登録部701は、今回の取引に関する第1の重複チェックバッファを参照してタグIDの重複をチェックする(S103)。また、商品登録部701は、タグIDの重複があるか否かを判定する(S104)。
【0042】
第1の重複チェックバッファを参照する重複チェックにおいて、タグIDの重複があると判定されなかった場合(S104:No)、商品登録部701は、前回の取引に関する第2の重複チェックバッファを参照してタグIDの重複をチェックする(S105)。また、商品登録部701は、タグIDの重複があるか否かを判定する(S106)。
【0043】
第2の重複チェックバッファを参照する重複チェックにおいて、タグIDの重複があると判定されなかった場合(S106:No)、商品登録部701は、読み取られたタグ情報のタグIDに基づき商品を登録する(S107)。
【0044】
表示制御部704は、登録された商品の商品情報を登録済領域101に表示する(S108)。図6は、登録された商品の商品情報として、商品名と、商品名ごとの個数、商品名ごとの合計金額と、登録された商品の全体の合計金額とが表示される場合を例示する。
【0045】
また、商品登録部701は、重複チェックバッファ部703の第1の重複チェックバッファに読み取られたタグIDを追加する(S109)。その後、図5の流れはS111の処理へ進む。
【0046】
一方で、第2の重複チェックバッファを参照する重複チェックにおいて、タグIDの重複があると判定された場合(S106:Yes)、表示制御部704は、S102でタグ情報が読み取られたと判定された商品の商品情報を表示画面100の未登録領域103に表示する(S110)。図6は、タグIDが前回の取引において登録された商品と重複する商品の商品情報として、商品名が表示される場合を例示する。その後、図5の流れはS111の処理へ進む。
【0047】
タグIDが読み取られたと判定されなかった場合(S102:No)、第1の重複チェックバッファを参照する重複チェックにおいてタグIDの重複があると判定された場合(S104:Yes)、S109の処理の後又はS110の処理の後、会計処理部702は、支払いが完了したか否かを判定する(S111)。支払いは、例えば顧客により表示画面100の支払いボタン105が選択された後に実行される。例えば商品登録部701は、支払いボタン105が選択されたとき、登録済領域101に表示されている商品情報が登録された商品登録ファイルを生成する。また、会計処理部702は、当該商品登録ファイルに基づいて会計処理を行う。
【0048】
支払いが完了したと判定されなかった場合(S111:No)、図5の処理は、S102の処理に戻る。
【0049】
一方で、支払いが完了したと判定された場合(S111:Yes)、商品登録部701は、重複チェックバッファ部703の第1の重複チェックバッファに含まれるタグIDにより、第2の重複チェックバッファを更新する(S112)。具体的には、商品登録部701は、重複チェックバッファ部703の第2の重複チェックバッファに格納されているタグIDを削除する。また、商品登録部701は、重複チェックバッファ部703の第1の重複チェックバッファに格納されている登録された商品のタグIDを、第2の重複チェックバッファに複製する。その後、商品登録部701は、重複チェックバッファ部703の第1の重複チェックバッファに格納されているタグIDを削除する。
【0050】
このように、第1の重複チェックバッファ及び第2の重複チェックバッファを参照する重複チェックにおいて、タグIDの重複があると判定された場合、図5の流れは、S107の処理を実行しない。換言すれば、商品登録部701は、タグIDの重複があると判定された場合には、タグ情報が読み取られた商品を登録しない。
【0051】
RFIDスキャナ5の読取範囲内に会計済みの商品が存在する場合に次の取引の読み取りを開始すると、会計済みの商品が今回の取引に係る商品として登録されるおそれがあった。RFIDスキャナ5の読取範囲内に会計済みの商品が存在する場合としては、例えばRFIDスキャナ5の近辺に作荷スペースが設けられている場合、商品登録のスペースと作荷スペースとが共通のスペースである場合、袋詰めされた商品を把持する顧客がPOS端末7の付近にいる場合などがあり得る。一方で、会計済みの商品がRFIDスキャナ5の読取範囲外になるまで次の取引に係る読み取りの開始を待つ場合、商品の登録に係るスループットが低下する。
【0052】
このような中、実施形態のPOS端末7によれば、今回の取引において先に登録された商品に限らず、以前の取引において登録された商品を比較対象としてさらに用いて、商品登録時の重複チェックを行うことができる。つまり、実施形態のPOSシステム1によれば、RFIDスキャナ5が読み取ったタグ情報が、POS端末7のメモリ72に記憶されている、以前の取引で登録されたタグ情報と一致する場合には、RFIDスキャナ5が読み取ったタグ情報を登録しない。
【0053】
したがって、実施形態に係る技術によれば、今回の取引において先に登録された商品を対象とした重複チェックにより読み取りの漏れやエラーを低減しつつ、以前の取引において登録された商品を対象とした重複チェックにより会計済みの商品の誤登録を抑制することができる。会計済みの商品の誤登録を抑制できれば、次の取引に係る読み取りの開始を、会計済みの商品がRFIDスキャナ5の読取範囲外になるまで待つ必要がなくなるため、商品の登録に係るスループットを向上することができる。
【0054】
また、会計済みの商品の誤登録が抑制されるため、支払い完了と同時に次の取引に係る商品登録のために読み取り用の電波を発信してもよい。これにより、店員などのユーザが会計済みの商品の有無を確認した後に読み取り開始ボタンを操作するといった操作ステップを省くことができるため、商品の登録に係るスループットを向上することができる。
【0055】
また、直前の取引の支払い完了と同時に読み取りを開始できるため、商品がRFIDスキャナ5の読取範囲に載置され終わる前であっても商品の登録を開始できる。これにより、読取率を向上することができる。
【0056】
また、実施形態のPOS端末7によれば、タグ情報が読み取られた商品のうち、以前の取引において登録された商品がある場合には、当該商品を、今回の取引において登録された商品とは分けて表示する。これにより、ユーザは、当該商品を読み取った際に商品登録されない原因を把握することができる。
【0057】
なお、実施形態のPOS端末7において、表示制御部704は、同一の商品が以前の取引で登録されていると判定された場合に、当該商品が複数の取引の間で重複して読み取られたことを示すアラートをディスプレイ73に表示してもよい。アラートは、文字情報の表示により行われてもよいし、アイコンの表示により行われてもよい。文字情報としては、例えば「会計済みの商品が近くにあるから注意してください。」といったユーザへ注意を促すための文章であってもよい。なお、アラートは、他のPOS端末7や複数のPOS端末7を管理する管理装置等に出力されてもよい。
【0058】
なお、実施形態のPOS端末7において、商品登録部701は、同一の商品が以前の取引で登録されていると判定された場合に、当該商品のタグ情報が読み取られなくなるまで他の商品の登録を中断してもよい。一例として、図5のS106の処理において、第2の重複チェックバッファを参照する重複チェックによりタグIDの重複があると判定された場合、商品登録部701は、当該タグIDがS102の処理で読み取られなくなるまで、他のタグIDに関するS107からS109の処理を実行しない。また、商品登録部701は、同一の商品が以前の取引で登録されていると判定された場合に、当該商品のタグ情報が読み取られなくなるまで、支払いの処理を実行しなくてもよい。例えば、商品登録部701は、同一の商品が以前の取引で登録されていると判定された場合に、当該商品のタグ情報が読み取られなくなるまで、支払いボタン105を無効化する。このとき、表示制御部704は、支払いボタン105を示すアイコンの表示をグレーアウトしたり、アイコン表示を中断したりしてもよい。この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
以上説明したとおり、実施形態によれば、商品の登録に係るスループットを向上することができる。
【0060】
なお、本実施形態の各装置(RFIDスキャナ5及びPOS端末7)で実行される各制御プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0061】
本実施形態の各装置(RFIDスキャナ5及びPOS端末7)で実行される各制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0062】
さらに、本実施形態の各装置(RFIDスキャナ5及びPOS端末7)で実行される各制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の各装置(RFIDスキャナ5及びPOS端末7)で実行される各制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0063】
本実施形態のRFIDスキャナ5で実行される制御プログラムは、上述した各部(読取部501及び出力部502)を含むモジュール構成となっている。CPU(プロセッサ51)は、上記記憶媒体から制御プログラムを読み出して、上記各部を主記憶装置上にロードする。これにより、読取部501及び出力部502が、主記憶装置上に生成される。
【0064】
本実施形態のPOS端末7で実行される制御プログラムは、上述した各部(商品登録部701、会計処理部702、重複チェックバッファ部703及び表示制御部704)を含むモジュール構成となっている。CPU(プロセッサ71)は、上記記憶媒体から制御プログラムを読み出して、上記各部を主記憶装置上にロードする。これにより、商品登録部701、会計処理部702、重複チェックバッファ部703及び表示制御部704が、主記憶装置上に生成される。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 POSシステム(無線タグ読取システム)
3 RFIDタグ(無線タグ)
5 RFIDスキャナ(無線タグ読取装置)
501 読取部
502 出力部
51 プロセッサ
52 メモリ
531 リーダ
532 アンテナ
54 操作部
55 通信I/F
59 バス
7 POS端末
701 商品登録部(読取部)
702 会計処理部
703 重複チェックバッファ部(記憶部)
704 表示制御部(表示部)
71 プロセッサ
72 メモリ
73 ディスプレイ(表示部)
74 操作部
75 通信I/F
76 コードスキャナ
77 ドロワ
78 プリンタ
79 バス
100 表示画面
101 登録済領域
103 未登録領域
105 支払いボタン
W 接続線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【文献】特開2008-299404号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6