(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】電子部品の接地電流測定構造体
(51)【国際特許分類】
G01R 15/14 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
G01R15/14 Z
(21)【出願番号】P 2021070201
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000103208
【氏名又は名称】コーセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 一成
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐基
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-008932(JP,A)
【文献】特開2015-064278(JP,A)
【文献】特開平07-333251(JP,A)
【文献】特開平01-066563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00-15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を搭載した基板と当該基板を内部に包含する導電性の筐体とを備えた機器における、電子部品の接地電流測定構造体であって、
前記筐体の内部に配置された導電性の接続部材と、
絶縁体と、
前記絶縁体を介して前記筐体に固定された導電性の固定部材と、
接地電流測定用の導電性の測定用部材とを備え、
前記接続部材の一端は、前記電子部品に電気的に接続されると共に前記基板に固定され、前記接続部材の他端は、前記固定部材に電気的に接続されると共に、前記固定部材により前記絶縁体を介して前記筐体に固定され、それにより前記接続部材と前記固定部材は前記筐体から絶縁され、
前記測定用部材は前記筐体の外部から前記固定部材に着脱可能であ
り、
前記電子部品の接地電流を測定する際には、接地された前記筐体の外部から前記測定用部材の一端を前記固定部材に固定すると共に、前記測定用部材の他端を前記筐体に固定し、電流計を前記測定用部材に配置し、前記電子部品と前記筐体との間で前記接続部材、前記固定部材および前記測定用部材を介して流れる接地電流を測定する、接地電流測定構造体。
【請求項2】
前記測定用部材の一端は前記筐体の外部において前記固定部材に着脱可能であり、前
記測定用部材の他端は前記筐体の外部において前記筐体に着脱可能である、請求項1に記載の、接地電流測定構造体。
【請求項3】
前記測定用部材は前記
筐体の外部から前記固定部材に着脱可能である接地用部材を兼ねる、請求項
1または
2に記載の、接地電流測定構造体。
【請求項4】
前記固定部材の一部は前記筐体の外部に露出され、前記測定用部材
の一端は前記筐体の外部から前記固定部材の一部に着脱可能である、請求項1から
3のいずれか
1項に記載の、接地電流測定構造体。
【請求項5】
電子部品を内部に包含する導電性の筐体を備えた機器における、電子部品の接地電流測定構造体であって、
前記筐体の内部に配置された導電性の接続部材と、
絶縁体と、
前記絶縁体を介して前記筐体に固定された導電性の固定部材と、
接地電流測定用の導電性の測定用部材とを備え、
前記接続部材の一端は、前記電子部品に電気的に接続され、前記接続部材の他端は、前記固定部材に電気的に接続されると共に、前記固定部材により前記絶縁体を介して前記筐体に固定され、それにより前記接続部材と前記固定部材は前記筐体から絶縁され、
前記測定用部材は前記筐体の外部から前記固定部材に着脱可能であ
り、
前記電子部品の接地電流を測定する際には、接地された前記筐体の外部から前記測定用部材の一端を前記固定部材に固定すると共に、前記測定用部材の他端を前記筐体に固定し、電流計を前記測定用部材に配置し、前記電子部品と前記筐体との間で前記接続部材、前記固定部材および前記測定用部材を介して流れる接地電流を測定する、接地電流測定構造体。
【請求項6】
前記測定用部材の一端は前記筐体の外部において前記固定部材に着脱可能であり、前記測定用部材の他端は前記筐体の外部において前記筐体に着脱可能である、請求項5に記載の、接地電流測定構造体。
【請求項7】
前記測定用部材は前記筐体の外部から前記固定部材に着脱可能である接地用部材を兼ねる、請求項5または6に記載の、接地電流測定構造体。
【請求項8】
前記固定部材の一部は前記筐体の外部に露出され、前記測定用部材の一端は前記筐体の外部から前記固定部材の一部に着脱可能である、請求項5から7のいずれか1項に記載の、接地電流測定構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品の接地電流測定構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に、電子部品、例えば、ノイズフィルタ等を搭載した機器においては、基板に搭載されたノイズフィルタを導電性の接続金具を介して機器の筐体に接続するようにして接地を行っている。
図1(a)、
図1(b)、
図1(c)はこのような従来のノイズフィルタの接地構造体の一例を示す。
図1(a)は従来のノイズフィルタの接地構造体の一例概略構成を示す斜視図、
図1(b)は
図1(a)における一点鎖線B-B‘に沿った接地構造体の側断面図、
図1(c)はその構造体において接地電流測定を行う際の状態を示す概略斜視図である。
【0003】
図1(a)、
図1(b)、
図1(c)のノイズフィルタの接地構造体101は、導電性の接続部材と導電性の第1と第2の固定金具とで構成される。
図1(a)、
図1(b)に示すように、ノイズフィルタ(図示省略)は基板102の表面に搭載され、ノイズフィルタを搭載した基板102は導電性の筐体106内に配置される。ノイズフィルタのYコンデンサ120は、基板102の表面において、リードワイヤ122および銅パターン124を介して導電性の第1の固定金具、例えば、ボルト108の頭部に接続される。ボルト108のネジ部は基板102を貫通し、基板の裏面に配置された導電性の接続部材である接続金具104の一端部104aに設けられた貫通孔と螺合されることにより、接続金具104を基板102の裏面に固定する。接続金具104の他端部104bは、筐体106の表面上に以下のようにして固定される。即ち、筐体106の裏面には導電性の第2の固定金具、例えば、ボルト110が配置され、ボルト110のネジ部は筐体106に設けられた貫通孔を貫通し、接続金具104の他端部104bに設けられた貫通孔と螺合する。それにより、接続金具104の他端部104bは筐体106の表面に固定される。
このようにして、ノイズフィルタのYコンデンサ120は、リードワイヤ122、銅パターン124、ボルト108および接続金具104を介して筐体106電気的に接続されると共に、基板102は筐体106内で接続金具104等により支持される。
【0004】
このようなノイズフィルタの接地構造体101において、筐体106の外部からノイズフィルタの接地電流の測定をする場合は、基板102および接続金具104を筐体106から機能絶縁した上で、接続金具104を導体、例えば、ハーネス132により筐体106に接続し測定を行う必要がある。即ち、
図1(c)に示すように、ボルト110を外して接続金具104の他端部104bの筐体106への接続を解除することで、接続金具104を筐体106から機能絶縁し、ハーネス132を接続金具104の他端部104bと筐体106の表面とに接続する。次いで、電流計、例えば、クランプ式電流プローブ130によりハーネス132に流れる電流を測定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、
図1(a)、
図1(b)、
図1(c)に示す従来のノイズフィルタの接地構造体101においては、 接地電流の測定を行うためには、ボルト110を外して接続金具104を筐体106から一旦分離する必要があり、測定完了後には、再びボルト110を用いて接続金具104を筐体106に固定する必要があり大変手間であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、上記課題を解決するようにした電子部品の接地電流測定構造体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の態様に係る電子部品の接地電流測定構造体は、以下の構成を備える。
電子部品を搭載した基板と当該基板を内部に包含する導電性の筐体とを備えた機器における、電子部品の接地電流測定構造体であって、
前記筐体の内部に配置された導電性の接続部材と、
絶縁体と、
前記絶縁体を介して前記筐体に固定された導電性の固定部材と、
接地電流測定用の導電性の測定用部材とを備え、
前記接続部材の一端は、前記電子部品に電気的に接続されると共に前記基板に固定され、前記接続部材の他端は、前記固定部材に電気的に接続されると共に、前記固定部材により前記絶縁体を介して前記筐体に固定され、それにより前記接続部材と前記固定部材は前記筐体から絶縁され、
前記測定用部材は前記筐体の外部から前記固定部材に着脱可能である、接地電流測定構造体。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明による電子部品の接地電流測定構造体においては、電子部品に接続された接続部材を筐体から取り外す必要なく、電子部品の接地電流の測定を筐体の外部から容易に行うことができ、さらには電子部品の接地を筐体の外部から容易に行うこともできる。
【0009】
本発明の他の目的、特徴及び利点は添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1(a)】従来のノイズフィルタの接地構造体の一例の概略構成を示す斜視図である。
【
図1(b)】
図1(a)における一点鎖線B-B‘に沿った接地構造体の側断面図である。
【
図1(c)】
図1(a)の構造体において接地電流測定を行う際の状態を示す概略斜視図である。
【
図2(a)】本発明の実施の形態に係るノイズフィルタの接地電流測定構造体の概略構成を示す斜視図である。
【
図2(b)】
図2(a)における一点鎖線A-A‘に沿った接地電流測定構造体の側断面図である。
【
図2(c)】
図2(a)における接地電流測定構造体の分解図である。
【
図3(a)】
図2(a)に示す接地電流測定構造体の基板付近の具体的構成例を示す側断面図である。
【
図3(b)】
図2(a)に示す接地電流測定構造体の基板付近の別の具体的構成例を示す側断面図である。
【
図4(a)】
図2(a)に示す接地電流測定構造体において接地電流測定を行う際の状態を示す、
図2(a)における一点鎖線A-A‘に沿った接地電流測定構造体の側断面図である。
【
図4(b)】
図4(a)に示す接地電流測定用の部材の斜視図である。
【
図5(a)】
図2(a)に示す接地電流測定構造体において接地を行う際の状態を示す、
図2の(a)における一点鎖線A-A‘に沿った接地電流測定構造体の側断面図である。
【
図5(b)】
図5(a)に示す接地用の部材の斜視図である。
【
図6】ノイズフィルタが基板を介さずに搭載されている機器における、接地電流測定構造体の構成および接地電流測定を行う際の状態を示す接地電流測定構造体の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて例示的に詳しく説明する。
以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確立されるものであり、以下の個別の実施形態によって限定されるものではない。
【0012】
以下に、本発明による、電子部品、例えば、ノイズフィルタ等を搭載した機器における接地電流測定構造体について説明する。以下の説明および添付図面において、同一機能を有するものには同一符号を付してその説明を省略する。
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)は、本発明の実施の形態に係るノイズフィルタの接地電流測定構造体1を示す。
図2(a)は本発明の実施の形態に係るノイズフィルタの接地電流測定構造体1の概略構成を示す斜視図、
図2(b)は
図2(a)における一点鎖線A-A‘に沿った接地電流測定構造体1の側断面図、
図2(c)は接地電流測定構造体1の分解図である。
【0013】
図2(a)、
図2(b)に示すように、ノイズフィルタ等(図示省略)を搭載した機器は、ノイズフィルタを搭載した基板2および基板2を内部に包含する筐体6を備える。
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)のノイズフィルタの接地構造体1は、接続部材と、第1と第2の固定部材と、絶縁体と、後述する接地電流測定用の導電性の測定用部材(
図4(a)、
図4(b)参照)とで構成される。
図2(a)、
図2(b)に示すように、ノイズフィルタは基板2の表面2aに搭載され、ノイズフィルタを搭載した基板2は導電性の筐体6内に配置される。筐体6は例えば、直方体形状を有するが、
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)においては、筐体6の底面のみを示す。ノイズフィルタのコンデンサ、例えば、Yコンデンサ20は、基板2の表面2aにおいて、例えば、リードワイヤ22および銅パターン24を介して導電性の第1の固定部材(固定金具)、例えば、ボルト8の頭部8aに電気的に接続される。基板2には、ボルト8のネジ部8bとほぼ同じ直径の貫通孔2hが設けられ、ボルト8のネジ部8bは貫通孔2hを通り基板2の裏面2b側に露出される。
【0014】
基板2の裏面2bと筐体6の表面6aとの間には導電性の接続部材である接続金具4が配置される。接続金具4は、例えば、細板状で全体としてZ字状である。接続金具4の一端部4aには、ボルト8のネジ部8bとほぼ同じ直径の貫通孔4ahが設けられ、貫通孔4ahはメネジとして構成される。ボルト8のネジ部8bは、貫通孔2hを通り、基板2の裏面2b側において、一端部4aの貫通孔4ahと螺合される。それにより、接続金具4の一端部4aは、ボルト8により基板2の裏面2bに固定される。
【0015】
図3(a)、
図3(b)は
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)に示す接地電流測定構造体の基板2付近の具体的構成例を示す側断面図であり、
図3(a)は、
図2(a)と同様に基板2の表面2a側に銅パターン24が配置された例、
図3(b)は基板2の裏面2b側に銅パターン24が配置された例を示す。
図3(a)の例においては、基板2の表面2aの上に銅パターン24が配置され、その上にレジスト34が塗布されている。例えば、側断面がL字形状の薄板状の導電性部材である接続金具36は、その一端部36aがレジスト34上に配置され、他端部36bがレジスト34、銅パターン24および基板2に設けられた貫通孔2h1を貫通して裏面2bに露出されている。ここで、他端部36bは銅パターン24に半田等により電気的に接続される。また、一端部36aには貫通孔36hが設けられ、それをボルト8のネジ部8bが貫通し一端部4aの貫通孔4ahと螺合されることで、接続金具36はボルト8に電気的に接続されると共に、基板2に固定される。
この状態で、コンデンサ20に一端が接続されたリードワイヤ22の他端を、銅パターン24に半田等により接続する。
【0016】
図3(b)の例においては、基板2の裏面2bの上に銅パターン24が配置され、その上にレジスト34が塗布されている。接続金具36は、その一端部36aが基板2の表面2aの上に配置され、他端部36bが、基板2に設けられた貫通孔2h1および銅パターン24、レジスト34を貫通して裏面2b側に露出されている。ここで、他端部36bは銅パターン24に半田等により電気的に接続される。また、一端部36aには貫通孔36hが設けられ、それをボルト8のネジ部8bが貫通し一端部4aの貫通孔4ahと螺合されることで、接続金具36はボルト8に電気的に接続されると共に、基板2に固定される。
この状態で、コンデンサ20に一端が接続されたリードワイヤ22の他端を、銅パターン24に半田等により接続する。
【0017】
図2(a)、
図2(b)に示すように、接続金具4の他端部4bは、合成樹脂等の絶縁体を介して、以下に説明するようにして絶縁状態、例えば、機能絶縁状態で筐体6の表面6aに固定される。
絶縁体は絶縁体12と絶縁体14とで構成される。絶縁体14は、
図2(c)に示すように、例えば、直径の大きい円柱状部分14aと、それより直径の小さい円柱状部分14bとが一体化して構成される。筐体6には、絶縁体14の円柱状部分14bとほぼ同じ直径の貫通孔6hが設けられ、絶縁体14の円柱状部分14bが貫通孔6hに嵌装されるようになっている。絶縁体14には、円柱状部分14a、14bの各中心を貫通する貫通孔14hが設けられている。貫通孔14hの直径は、導電性の第2の固定部材(固定金具)、例えば、ボルト10のネジ部10bの直径とほぼ同じである。
【0018】
絶縁体12は、
図2(c)に示すように、例えば、絶縁体14の円柱状部分14aとほぼ同じ直径の円柱形状であり、その表面12a側には、裏面12b側に向かって窪んだ円柱形状凹部12cが設けられている。凹部12cの底面の中心からは、裏面12b側に貫通する貫通孔12hが設けられ、その直径はボルト10のネジ部10bの直径とほぼ同じである。
接続金具4の他端部4bは、例えば、絶縁体12とほぼ同じ直径の円柱形状部分4b1と、それより小さい直径であって凹部12cとほぼ同じ直径の円柱形状部分4b2とが一体化して構成される。他端部4bの中心部には、ボルト10のネジ部10bの直径とほぼ同じ直径の貫通孔4bhが設けられている。貫通孔4bhはメネジとして構成される。
【0019】
このような構成において、絶縁体14の円柱状部分14bを、筐体6の裏面6b側から筐体6の貫通孔6hに嵌装させる。また、絶縁体12を、その貫通孔12hの中心が筐体6の貫通孔6hの中心と一致するよう、裏面12bを筐体6の表面6a上に載置する。さらに、接続金具4の他端部4bの円柱形状部分4b2を絶縁体12の凹部12cに嵌装させる。
この状態で、ボルト10のネジ部10bを、順次、絶縁体14の貫通孔14h、絶縁体12の貫通孔12hに挿入し、接続金具4の他端部4bの貫通孔4bhと螺合させる。それにより、接続金具4の他端部4bは、ボルト10により筐体6の表面2b側に絶縁体12を介して固定される。
【0020】
これにより、ボルト10の一部である頭部10aは筐体6の外部に露出し、かつ、
ボルト10は、絶縁体14により筐体6とは絶縁、例えば、機能絶縁された状態で、接続金具4の他端部4bと電気的に接続される。また、接続金具4の他端部4bも絶縁体12により筐体6とは絶縁、例えば、機能絶縁された状態でボルト10と電気的に接続される。従って、基板2、接続金具4およびボルト10が筐体6から機能絶縁された状態で、ノイズフィルタのYコンデンサ20は、リードワイヤ22、銅パターン24、ボルト8、接続金具4を介してボルト10に電気的に接続されると共に、基板2は筐体6内で接続金具4等により支持される。
【0021】
このようなノイズフィルタのYコンデンサ20の接地電流測定構造体1において、筐体6の外部からノイズフィルタのYコンデンサ20の接地電流の測定をする場合について、
図4(a)、
図4(b)を参照して説明する。
図4(a)は、接地電流測定構造体1において接地電流測定を行う際の状態を示す、
図2(a)における一点鎖線A-A‘に沿った接地電流測定構造体1の側断面図、
図4(b)は接地電流測定用の部材の斜視図である。
接地電流測定用の導電性の測定用部材、例えば、測定金具40は、
図4(a)、
図4(b)に示すように、例えば、側断面がΩ字形状の薄板状の導電性部材であって、一端部40aと他端部40bにそれぞれ、例えば、半円形状の切り欠き40h1、40h2を有する。これら切り欠き40h1、40h2の直径はボルト10のネジ部10bとほぼ同じかやや大きいものである。
【0022】
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)に示す接地電流測定構造体1は、基板2、接続金具4およびボルト10が筐体6から機能絶縁され、かつボルト10の一部である頭部10aは筐体6の外部に露出した状態である。従って、筐体6の外部からノイズフィルタの接地電流の測定を行う際には、ボルト10の頭部10aを回して緩め、測定金具40の一端部40aの切り欠き40h1内にボルト10のネジ部10bが嵌装されるように、ボルト10の頭部10aと絶縁体14の円柱状部分14aとの間の隙間に、測定金具40の一端部40aを挿入する。次いで、ボルト10の頭部10aを逆方向に回して測定金具40の一端部40aを固定する。
【0023】
同様に、筐体6に結合された導電性の固定金具、例えば、筐体6の貫通孔を貫通して筐体6に螺合されたボルト42の頭部を回して緩め、測定金具40の他端部40bの切り欠き40h2内にボルト42のネジ部が嵌装されるように、ボルト42の頭部と筐体6の裏面6bとの間の隙間に、測定金具40の他端部40bを挿入する。次いで、ボルト42の頭部を逆方向に回して測定金具40の他端部40bを固定する。
【0024】
この状態において、電流計、例えば、クランプ式電流プローブ30を、
図4(a)に示すように測定金具40の中央部40cに配置し、測定金具40に流れる電流を測定する。測定が終わると、ボルト10、42をそれぞれ緩めて測定金具40を外し、その後、ボルト10、42を締める。
【0025】
このようなノイズフィルタの接地電流測定構造体1において、筐体6の外部からノイズフィルタのYコンデンサ20を接地する場合について、
図5(a)、
図5(b)を参照して説明する。
図5(a)は、接地電流測定構造体1において接地を行う際の状態を示す、
図2(a)における一点鎖線A-A‘に沿った接地電流測定構造体1の側断面図、
図5(b)は接地用の部材の斜視図である。
導電性の接地用部材、例えば、接地金具44は、
図4(a)、
図4(b)に示すように、例えば、側断面がΩ字形状の薄板状の導電性部材であって、一端部44aと他端部44bにそれぞれ、例えば、半円形状の切り欠き44h1、44h2を有する。これら切り欠き44h1、44h2の直径はボルト10のネジ部10bとほぼ同じかやや大きいものである。
【0026】
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)に示す接地電流測定構造体1においては、ノイズフィルタのYコンデンサ20はリードワイヤ22、銅パターン24、ボルト8、接続金具4を介してボルト10に電気的に接続され、かつボルト10の頭部10aは筐体6から露出した状態である。従って、筐体6の外部からノイズフィルタのYコンデンサ20の接地を行う際には、ボルト10の頭部10aを回して緩め、接地金具44の一端部44aの切り欠き44h1内にボルト10のネジ部10bが嵌装されるように、ボルト10の頭部10aと絶縁体14の円柱状部分14aとの間の隙間に、接地金具44の一端部40aを挿入する。次いで、ボルト10の頭部10aを逆方向に回して接地金具44の一端部44aを固定する。
【0027】
同様に、ボルト42の頭部を回して緩め、ボルト42の頭部と筐体6の裏面6bとの間の隙間に、接地金具44の他端部44bの切り欠き44h2内にボルト42のネジ部が嵌装されるように、接地金具44の他端部44bを挿入する。次いで、ボルト42の頭部を逆方向に回して接地金具44の他端部44bを固定する。
【0028】
このようにして、筐体6の外部からノイズフィルタのYコンデンサ20の接地を行うことができる。接地状態を解除する場合は、ボルト10、42をそれぞれ緩めて接地金具44を外し、その後、ボルト10、42を締める。
【0029】
次に、ノイズフィルタが基板を介さずに搭載されている機器における、本発明の別の実施の形態に係るノイズフィルタの接地電流測定構造体について、
図6を参照して説明する。
図6は、ノイズフィルタが基板2を介さずに搭載されている機器における、接地電流測定構造体1Aの構成および接地電流測定を行う際の状態を示す接地電流測定構造体1Aの側断面図であり、
図4(a)に対応するものである。
接地電流測定構造体1Aの接続金具4Aは、
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)ないし
図5(a)、
図5(b)の接続金具4における一端部4aが設けられていない点で異なる。ノイズフィルタのYコンデンサ20は、リードワイヤ26を介して接続金具4Aに電気的に接続される。
【0030】
このように構成された接地電流測定構造体1Aにおいては、
図4(a)、
図4(b)を参照して説明した場合と同様にして測定金具40を用いてノイズフィルタの接地電流の測定を行うことができる。
また、
図5(a)、
図5(b)を参照して説明した場合と同様にして接地金具44を用いてノイズフィルタの接地を行うことができる。
【0031】
以上の実施形態においては、接地電流測定用の測定金具40が接地用の接地金具44を兼ねるようにしてもよく、即ち、接地電流測定用の測定金具40をそのまま接地用の接地金具44として用いてもよい。
絶縁体12、14の形状、材質も上記に限るものではなく、同様の機能を有するものであればよい。
また、接続金具4の形状も上記に限るものではなく、例えば、他端部4bの円柱形状部分4b2を省き、他端部4bを円柱形状部分4b1のみで構成し、それに対応して絶縁体12の凹部12cを省くようにしてもよい。
【0032】
接続金具4の一端部4aを基板2に固定する導電性の第1の固定部材(固定金具)、接続金具4の他端部4bを筐体6に固定する導電性の第2の固定部材(固定金具)としてはそれぞれボルトに限るものではなく、同様の機能を有する他の固定部材を用いてよい。例えば、第1の固定部材としては、ボルトに代えてブラインドリベット等のリベットを用いてもよい。
また、固定部材としてのボルト10の頭部10aを省き、接続金具4の他端部4bとネジ部10bとを一体化し、ネジ部10bの先端を貫通孔12h、貫通孔14h、貫通孔6hを介して筐体6の裏面6b側に露出させ、ネジ部10bの先端をナット等と螺合させ、他端部4bを筐体6に固定させるようにしてもよい。
【0033】
さらに、測定金具40、接地金具44の形態は上記に限るものではなく、導電性部材であって第2の固定部材に着脱可能なものであればよい。
また、上記実施形態においては、電子部品としてノイズフィルタを用いた場合について説明したが、他の電子部品にも適用可能であることは言うまでもない。
【0034】
以上のように構成された本発明による電子部品の接地電流測定構造体においては、ノイズフィルタ等の電子部品に接続された接続部材を筐体から取り外す必要なく、電子部 品の接地電流の測定を筐体の外部から容易に行うことができ、さらには筐体の外部において接続部材を筐体に容易に接地することもできる。
【0035】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0036】
2 基板
4 接続部材
6 筐体
8 固定部材(ボルト)
10 固定部材(ボルト)
40 測定用部材(測定金具)
44 接地用部材(接地金具)