(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/41 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
G01N27/41 325H
(21)【出願番号】P 2021090825
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 俊輔
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191021(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0100842(US,A1)
【文献】国際公開第2017/014033(WO,A1)
【文献】特開平08-247981(JP,A)
【文献】特開2016-085131(JP,A)
【文献】国際公開第2019/013342(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0315109(US,A1)
【文献】韓国特許第10-2018-0085186(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/416
G01N 27/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置されている絶縁層と、
固体電解質層とを備え、
前記基板には、前記基板を厚さ方向に貫通しているキャビティが形成されており、
前記絶縁層は、前記キャビティの周囲にある前記基板上に配置されている周辺部と、前記キャビティ上にあり、かつ前記周辺部に接続されているメンブレン部とを有しており、
前記メンブレン部は、可動部を含み、
前記可動部は、前記可動部の周囲にある前記メンブレン部を前記厚さ方向に貫通している貫通穴が形成されることにより、前記厚さ方向に沿って変位可能であり、
前記固体電解質層は、前記可動部上に配置されて
おり、
前記貫通穴は、平面視において、曲線状に形成されている、ガスセンサ。
【請求項2】
前記固体電解質層は、イットリア安定化ジルコニアにより形成されている、請求項
1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記絶縁層中に配置されている配線をさらに備え、
前記配線は、前記可動部中に配置されているヒータ部と、前記周辺部中に配置されてい
る端部と、前記ヒータ部及び前記端部を接続している接続部とを有しており、
前記接続部を構成している前記配線の前記可動部の基端における幅は、前記ヒータ部を
構成している前記配線の幅よりも大きい、請求項1
又は請求項
2に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2017/014033号(特許文献1)に記載のガスセンサは、基板と、絶縁層と、固体電解質層と、マイクロヒータとを有している。基板には、基板を厚さ方向に貫通しているキャビティが形成されている。絶縁層は、基板上に配置されている。絶縁層は、キャビティの周囲にある基板上にある部分(以下「周辺部」とする)と、キャビティ上にあり、かつ周辺部に接続されている部分(以下「メンブレン部」とする)とを有している。固体電解質層は、メンブレン部上にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のガスセンサの動作時には、固体電解質層が、マイクロヒータにより高温に(例えば、500℃程度に)加熱される。その結果、特許文献1に記載のガスセンサでは、固体電解質層が熱応力で破損してしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、固体電解質層が熱応力により破損してしまうことを抑制可能なガスセンサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のガスセンサは、基板と、基板上に配置されている絶縁層と、固体電解質層とを備える。基板には、基板を厚さ方向に貫通しているキャビティが形成されている。絶縁層は、キャビティの周囲にある基板上に配置されている周辺部と、キャビティ上にあり、かつ、周辺部に接続されているメンブレン部とを有している。メンブレン部は、可動部を含む。可動部は、可動部の周囲にあるメンブレン部を基板の厚さ方向に貫通している貫通穴が形成されることにより、基板の厚さ方向に沿って変位可能である。固体電解質層は、可動部上に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示のガスセンサによると、固体電解質層が熱応力により破損してしまうことを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1B】絶縁層70及び多孔質金属層80の図示を省略したガスセンサ100の平面図である。
【
図3】
図1AのIII-IIIにおける断面図である。
【
図4】ガスセンサ100の製造方法を示す工程図である。
【
図5】第1絶縁層形成工程S2を説明するための断面図である。
【
図6】配線形成工程S3を説明するための断面図である。
【
図7】第2絶縁層形成工程S4を説明するための断面図である。
【
図8】多孔質酸化物層形成工程S5を説明するための断面図である。
【
図9】第1多孔質金属層形成工程S6を説明するための断面図である。
【
図10】固体電解質層形成工程S7を説明するための断面図である。
【
図11】パターンニング工程S8を説明するための断面図である。
【
図12】第3絶縁層形成工程S9を説明するための断面図である。
【
図13】第2多孔質金属層形成工程S10を説明するための断面図である。
【
図14】貫通穴形成工程S11を説明するための断面図である。
【
図15】変形例1に係るガスセンサ100の断面図である。
【
図16】変形例2に係るガスセンサ100の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0010】
(実施形態に係るガスセンサの構成)
以下に、実施形態に係るガスセンサ(以下「ガスセンサ100」とする)の構成を説明する。ガスセンサ100は、例えば、酸素・湿度センサである。但し、ガスセンサ100は、これに限られない。
【0011】
図1Aは、ガスセンサ100の平面図である。
図1Bは、絶縁層70及び多孔質金属層80の図示を省略したガスセンサ100の平面図である。
図2は、
図1AのII-IIにおける断面図である。
図3は、
図1AのIII-IIIにおける断面図である。
図1A中では、配線30が点線により示されている。
図1A、
図1B、
図2及び
図3に示されるように、ガスセンサ100は、基板10と、絶縁層20と、配線30と、多孔質酸化物層40と、多孔質金属層50と、固体電解質層60と、絶縁層70と、多孔質金属層80とを有している。
【0012】
基板10は、第1主面10aと、第2主面10bとを有している。第1主面10a及び第2主面10bは、基板10の厚さ方向における端面である。第2主面10bは、第1主面10aの反対面である。基板10には、キャビティCが形成されている。キャビティCは、基板10の厚さ方向に沿って基板10を貫通している。キャビティCは、平面視において(第1主面10a側から基板10の厚さ方向に沿って見た際に)、矩形状になっている。基板10は、例えば、単結晶シリコンにより形成されている。
【0013】
絶縁層20は、基板10上に配置されている。より具体的には、絶縁層20は、第1主面10a上に配置されている。絶縁層20は、例えば、第1層21と、第2層22と、第3層23と、第4層24とを有している。
【0014】
第1層21は、基板10(第1主面10a)上に配置されている。第1層21は、例えば、シリコン酸化物により形成されている。第2層22は、第1層21上に配置されている。第2層22は、例えば、シリコン窒化物により形成されている。第3層23は、第2層22上に配置されている。第3層23は、例えば、シリコン酸化物により形成されている。第4層24は、第3層23上に配置されている。第4層24は、例えば、シリコン酸化物により形成されている。
【0015】
絶縁層20のうちのキャビティCの周囲にある基板10上に配置されている部分を、周辺部20aとする。絶縁層20のうちのキャビティC上にある部分を、メンブレン部20bとする。メンブレン部20bは、周辺部20aに接続されている。これにより、メンブレン部20bは、キャビティC上において支持されている。
【0016】
配線30は、絶縁層20中に配置されている。より具体的には、配線30は、第3層23上に配置されており、かつ第4層24により覆われている。配線30の周囲は、バリア層31により覆われている。バリア層31により、絶縁層20と配線30との密着性が確保されている。配線30は、例えば、白金により形成されている。バリア層31は、例えば、チタン酸化物により形成されている。なお、バリア層31のうちの第3層23上に配置されている部分を第1部分31aとし、バリア層31のうちの配線30を覆っている部分を第2部分31bとする。
【0017】
配線30は、ヒータ部30aと、端部30bと、接続部30cとを有している。ヒータ部30aは、配線30を蛇行させることにより構成されている。ヒータ部30aは、メンブレン部20b中に配置されている。端部30bは、周辺部20a中に配置されている。接続部30cは、ヒータ部30aと端部30bとを接続している。
【0018】
多孔質酸化物層40は、絶縁層20上に配置されている。多孔質酸化物層40は、例えば、タンタル酸化物により形成されている。多孔質酸化物層40は、多孔質であるため、ガスセンサ100により検知されるガス(被検知ガス)の流路となる。
【0019】
多孔質金属層50は、多孔質酸化物層40上に配置されている。多孔質金属層50は、例えば、白金により形成されている。多孔質金属層50は、電極部50aと、端部50bと、接続部50cとを有している。電極部50aは、多孔質酸化物層40を介在させてメンブレン部20b上にある。端部50bは、多孔質酸化物層40を介在させて周辺部20a上にある。接続部30cは、電極部50aと端部50bとを接続している。
【0020】
固体電解質層60は、多孔質金属層50上に配置されている。より具体的には、固体電解質層60は、電極部50a上に配置されている。固体電解質層60は、イオン伝導性を有している。固体電解質層60は、例えば、イットリア安定化ジルコニアにより形成されている。
【0021】
絶縁層70は、多孔質酸化物層40、多孔質金属層50及び固体電解質層60を覆うように、絶縁層20上に配置されている。但し、絶縁層70には、固体電解質層60の上面を少なくとも部分的に露出させる開口部が形成されている。絶縁層70は、例えば、シリコン酸化物により形成されている層とタンタル酸化物により形成されている層とがスタックされている層である。
【0022】
絶縁層70上には、パッド部30d及びパッド部50dが配置されている。パッド部30dは、端部30bを露出させるように絶縁層20(第4層24)及び絶縁層70に形成されている開口部(図示せず)を介して、端部30bに電気的に接続されている。パッド部50dは、端部50bを露出させるように絶縁層70に形成されている開口部(図示せず)を介して端部50bに電気的に接続されている。
【0023】
多孔質金属層80は、電極部80aと、パッド部80bと、接続部80cとを有している。電極部80aは、固体電解質層60上に配置されている。パッド部80bは、絶縁層70を介在させて絶縁層20上にある。接続部80cは、電極部80aとパッド部80bとを接続している。
【0024】
メンブレン部20b及びメンブレン部20b上にある絶縁層70には、貫通穴THが形成されている。貫通穴THは、基板10の厚さ方向に沿って、メンブレン部20b及び絶縁層70を貫通している。メンブレン部20bは、可動部20cを有している。可動部20cの周囲には、貫通穴THがある。これにより、可動部20cは、可動部20cの基端側を支点として、基板10の厚さ方向に沿って変位可能になっている。貫通穴THは、例えば、U字形である。ヒータ部30a、電極部50a、固体電解質層60及び電極部80aは、可動部20c上にある。
【0025】
接続部30cを構成している配線30の可動部20cの基端における幅は、ヒータ部30aを構成している配線30の幅よりも大きくなっている。
【0026】
(実施形態に係るガスセンサ100の動作)
以下に、ガスセンサ100の動作を説明する。ここでは、被検知ガス中の酸素ガスを検知する場合を例に、ガスセンサ100の動作を説明する。
【0027】
配線30に電流を流すことにより、ヒータ部30aが抵抗発熱する。これにより、固体電解質層60が加熱され、イオン伝導性を発現する。なお、固体電解質層60がイットリア安定化ジルコニアである場合には、固体電解質層60がヒータ部30aにより500℃程度まで加熱される。
【0028】
パッド部50d及びパッド部80bは、それぞれ、電源の負極及び正極に接続される。被検知ガスは、多孔質酸化物層40及び電極部50aを通って、電極部50aと固体電解質層60との界面に到達する。電極部50aと固体電解質層60との界面に到達した被検知ガス中の酸素ガスは、電極部50aから電子を受け取ることにより酸素イオンになる。
【0029】
この酸素イオンは、固体電解質層60を通って、固体電解質層60と電極部80aとの界面に到達する。固体電解質層60と電極部80aとの界面に到達した酸素イオンは、電極部80aに対して電子を放出し、酸素ガスになる。これにより、パッド部50dとパッド部80bとの間に電流が流れる。この電流は、被検知ガス中の酸素ガスの濃度に比例する。そのため、この電流を検知することにより、被検知ガス中の酸素ガスの濃度を測定することができる。
【0030】
(実施形態に係るガスセンサ100の製造方法)
以下に、ガスセンサ100の製造方法を説明する。
【0031】
図4は、ガスセンサ100の製造方法を示す工程図である。
図4に示されるように、ガスセンサ100の製造方法は、準備工程S1と、第1絶縁層形成工程S2と、配線形成工程S3と、第2絶縁層形成工程S4と、多孔質酸化物層形成工程S5と、第1多孔質金属層形成工程S6と、固体電解質層形成工程S7と、パターンニング工程S8と、第3絶縁層形成工程S9と、第2多孔質金属層形成工程S10と、貫通穴形成工程S11と、キャビティ形成工程S12とを有している。
【0032】
準備工程S1では、基板10が準備される。なお、準備工程S1において準備された基板10には、キャビティCが形成されていない。
【0033】
図5は、第1絶縁層形成工程S2を説明するための断面図である。
図5に示されるように、第1絶縁層形成工程S2では、第1層21、第2層22及び第3層23が順次形成される。第1層21、第2層22及び第3層23の形成は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて行われる。
【0034】
図6は、配線形成工程S3を説明するための断面図である。
図6に示されるように、配線形成工程S3では、配線30及びバリア層31が形成される。配線形成工程S3では、第1に、第1部分31aが形成される。第1部分31aは、バリア層31の構成材料を成膜及びパターンニングすることにより形成される。この成膜は、例えばスパッタ法を用いて行われる。このパターンニングは、フォトリソグラフィ法を用いたマスクの形成及び当該マスクを用いたエッチングにより行われる。
【0035】
配線形成工程S3では、第2に、配線30が形成される。配線30は、配線30の構成材料を成膜及びパターンニングすることにより形成される。この成膜は、例えばスパッタ法を用いて行われる。このパターンニングは、フォトリソグラフィ法を用いたマスクの形成及び当該マスクを用いたエッチングにより行われる。配線形成工程S3では、第3に、第2部分31bが形成される。第2部分31bは、バリア層31の構成材料を成膜及びパターンニングすることにより形成される。この成膜は、例えばスパッタ法を用いて行われる。このパターンニングは、フォトリソグラフィ法を用いたマスクの形成及び当該マスクを用いたエッチングにより行われる。
【0036】
図7は、第2絶縁層形成工程S4を説明するための断面図である。
図7に示されるように、第2絶縁層形成工程S4では、第4層24が形成される。第4層24の形成は、例えば、CVD法を用いて行われる。
図8は、多孔質酸化物層形成工程S5を説明するための断面図である。
図8に示されるように、多孔質酸化物層形成工程S5では、多孔質酸化物層40が形成される。多孔質酸化物層40の形成は、例えば、蒸着法を用いて行われる。
【0037】
図9は、第1多孔質金属層形成工程S6を説明するための断面図である。
図9に示されるように、第1多孔質金属層形成工程S6では、多孔質金属層50が形成される。多孔質金属層50は、例えば、スパッタ法を用いて形成される。
【0038】
図10は、固体電解質層形成工程S7を説明するための断面図である。
図10に示されるように、固体電解質層形成工程S7では、固体電解質層60が形成される。固体電解質層60は、固体電解質層60の構成材料を成膜及びパターンニングすることにより形成される。この成膜は、例えばスパッタ法を用いて行われる。このパターンニングは、例えばドライエッチングにより行われる。
図11は、パターンニング工程S8を説明するための断面図である。
図11に示されるように、パターンニング工程S8では、多孔質酸化物層40及び多孔質金属層50のパターンニングが行われる。このパターンニングは、例えばドライエッチングにより行われる。
【0039】
図12は、第3絶縁層形成工程S9を説明するための断面図である。
図12に示されるように、第3絶縁層形成工程S9では、絶縁層70が形成される。絶縁層70の形成は、例えばスパッタ法を用いて行われる。なお、絶縁層70には、エッチングが行われることにより、固体電解質層60を露出させる開口部が形成される。
図13は、第2多孔質金属層形成工程S10を説明するための断面図である。
図13に示されるように、第2多孔質金属層形成工程S10では、多孔質金属層80が形成される。多孔質金属層80は、多孔質金属層80の構成材料を成膜及びパターンニングすることにより形成される。この成膜は、例えばスパッタ法により行われる。このパターンニングは、例えばドライエッチングにより行われる。
【0040】
図14は、貫通穴形成工程S11を説明するための断面図である。
図14に示されるように、貫通穴形成工程S11では、絶縁層20及び絶縁層70に、貫通穴THが形成される。貫通穴THの形成は、例えばドライエッチングにより行われる。キャビティ形成工程S12では、キャビティCが形成される。キャビティCは、例えば、ウェットエッチングにより形成される。以上により、
図1A、
図1B、
図2及び
図3に示される構造のガスセンサ100が形成される。
【0041】
(実施形態に係るガスセンサの効果)
以下に、実施形態に係るガスセンサ100の効果を説明する。
【0042】
ガスセンサ100により被検知ガスの検知を行う際には、ヒータ部30aが固体電解質層60を加熱する。ヒータ部30aにより固体電解質層60が加熱した際にメンブレン部20bが固体電解質層60の熱膨張を拘束すると、固体電解質層60が熱応力により割れてしまうことがある。このことは、固体電解質層60がイットリア安定化ジルコニアのように加熱を要する温度が高い材料で形成されている場合に、顕著である。
【0043】
しかしながら、ガスセンサ100では、メンブレン部20bが可動部20cを有しており、可動部20c上に固体電解質層60が配置されている。可動部20cは、周囲に貫通穴THが形成されていることにより、基板10の厚さ方向に沿って変位可能である。そのため、固体電解質層60が加熱された際に、可動部20cが変位して固体電解質層60に加わる熱応力を緩和し、固体電解質層60に割れが生じにくい。
【0044】
ガスセンサ100では、接続部30cを構成している配線30の可動部20cの基端における幅が、ヒータ部30aを構成している配線30の幅よりも大きくなっている。そのため、ガスセンサ100では、可動部20cの変位に伴って配線30が断線してしまうことが抑制されている。
【0045】
(変形例1)
図15は、変形例1に係るガスセンサ100の断面図である。絶縁層20は、
図15に示されるように、第4層24上に配置されている第5層25と、第5層25上に配置されている第6層26とをさらに有していてもよい。第5層25は、例えば、シリコン窒化物により形成されている。第6層26は、例えば、シリコン酸化物により形成されている。ガスセンサ100は、配線90をさらに有していてもよい。配線90は、例えば、白金により形成されている。配線90は、絶縁層20中に配置されている。より具体的には、配線90は、第5層25上に配置されており、かつ第6層26に覆われている。
【0046】
配線90の周囲には、バリア層91が配置されている。バリア層91は、例えばチタン酸化物により形成されており、バリア層91と絶縁層20(第5層25及び第6層26)との密着性を確保している。配線90は、可動部20c中に蛇行配置されている部分を有しており、当該部分が温度センサ部90aを構成している。
【0047】
(変形例2)
図16は、変形例2に係るガスセンサ100の平面図である。貫通穴THは、平面視において、
図16に示されるように、曲線状に形成されていてもよい。これにより、可動部20cの周囲における応力集中を抑制することが可能となる。
【0048】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0049】
10 基板、10a 第1主面、10b 第2主面、20 絶縁層、20a 周辺部、20b メンブレン部、20c 可動部、21 第1層、22 第2層、23 第3層、24 第4層、25 第5層、26 第6層、30 配線、30a ヒータ部、30b 端部、30c 接続部、30d パッド部、31 バリア層、31a 第1部分、31b 第2部分、40 多孔質酸化物層、50 多孔質金属層、50a 電極部、50b 端部、50c 接続部、50d パッド部、60 固体電解質層、70 絶縁層、80 多孔質金属層、80a 電極部、80b パッド部、80c 接続部、90 配線、90a 温度センサ部、91 バリア層、90a 温度センサ部、100 ガスセンサ、C キャビティ、S1 準備工程、S2 第1絶縁層形成工程、S3 配線形成工程、S4 第2絶縁層形成工程、S5 多孔質酸化物層形成工程、S6 第1多孔質金属層形成工程、S7 固体電解質層形成工程、S8 パターンニング工程、S9 第3絶縁層形成工程、S10 第2多孔質金属層形成工程、S11 貫通穴形成工程、S12 キャビティ形成工程、TH 貫通穴。