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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】3次元造形装置、および造形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20241122BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20241122BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241122BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20241122BHJP
   B29C 64/232 20170101ALI20241122BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20241122BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20241122BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/245
B29C64/232
B29C64/106
B33Y50/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021095978
(22)【出願日】2021-06-08
(65)【公開番号】P2022187797
(43)【公開日】2022-12-20
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 雅和
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-005869(JP,A)
【文献】特開2016-165778(JP,A)
【文献】特開2017-132141(JP,A)
【文献】特許第6362954(JP,B2)
【文献】特開2019-007072(JP,A)
【文献】特開2017-013493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/393
B33Y 30/00
B33Y 10/00
B29C 64/245
B29C 64/232
B29C 64/106
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージを昇降させる昇降装置と、
前記ステージの上に粘性流体を吐出して、前記昇降装置により前記ステージを昇降させることで前記粘性流体を積層させて3次元造形物を造形する造形ユニットと、
前記ステージに記されたマークを撮像する撮像装置と、
前記昇降装置の作動により前記ステージが第1の高さに位置している際の前記マークの撮像データと、前記昇降装置の作動により前記ステージが前記第1の高さと異なる第2の高さに位置している際の前記マークの撮像データとに基づいて、前記ステージの昇降方向の鉛直方向に対する傾斜角度と、当該傾斜角度の傾斜方向とを演算する演算装置と、
前記演算装置により演算された前記傾斜角度と前記傾斜方向とに基づいて、前記造形ユニットの作動を制御する制御装置と、
を備える3次元造形装置。
【請求項2】
前記ステージに記された複数の前記マークを撮像する前記撮像装置と、
前記昇降装置の作動により前記ステージが前記第1の高さに位置している際の前記複数のマークの撮像データと、前記昇降装置の作動により前記ステージが前記第2の高さに位置している際の前記複数のマークの撮像データとに基づいて、前記傾斜角度と、前記傾斜方向と、鉛直方向を軸心とする前記ステージの回転角度とを演算する前記演算装置と、
を備える請求項1に記載の3次元造形装置。
【請求項3】
ステージを昇降させる昇降装置と、
前記ステージの上に粘性流体を吐出して、前記昇降装置により前記ステージを昇降させることで前記粘性流体を積層させて3次元造形物を造形する造形ユニットと、
前記ステージに記されたマークを撮像する撮像装置と、
を備える3次元造形装置を用いて、3次元造形物を造形する造形方法であって、
前記昇降装置の作動により前記ステージが第1の高さに位置している際の前記マークの撮像データと、前記昇降装置の作動により前記ステージが前記第1の高さと異なる第2の高さに位置している際の前記マークの撮像データとに基づいて、前記ステージの昇降方向の鉛直方向に対する傾斜角度と、当該傾斜角度の傾斜方向とを演算する演算工程と、
前記演算工程において演算された前記傾斜角度と前記傾斜方向とに基づいて、前記造形ユニットの作動を制御して3次元造形物を造形する造形工程と、
を含む造形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージの上に粘性流体を積層させて3次元造形物を造形する3次元造形装置、および造形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、ステージの上に3次元造形物を造形する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6362954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、ステージの上に粘性流体を積層させて適切に3次元造形物を造形することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、ステージを昇降させる昇降装置と、前記ステージの上に粘性流体を吐出して、前記昇降装置により前記ステージを昇降させることで前記粘性流体を積層させて3次元造形物を造形する造形ユニットと、前記ステージに記されたマークを撮像する撮像装置と、前記昇降装置の作動により前記ステージが第1の高さに位置している際の前記マークの撮像データと、前記昇降装置の作動により前記ステージが前記第1の高さと異なる第2の高さに位置している際の前記マークの撮像データとに基づいて、前記ステージの昇降方向の鉛直方向に対する傾斜角度と、当該傾斜角度の傾斜方向とを演算する演算装置と、前記演算装置により演算された前記傾斜角度と前記傾斜方向とに基づいて、前記造形ユニットの作動を制御する制御装置と、を備える3次元造形装置を開示する。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本明細書は、ステージを昇降させる昇降装置と、前記ステージの上に粘性流体を吐出して、前記昇降装置により前記ステージを昇降させることで前記粘性流体を積層させて3次元造形物を造形する造形ユニットと、前記ステージに記されたマークを撮像する撮像装置と、を備える3次元造形装置を用いて、3次元造形物を造形する造形方法であって、前記昇降装置の作動により前記ステージが第1の高さに位置している際の前記マークの撮像データと、前記昇降装置の作動により前記ステージが前記第1の高さと異なる第2の高さに位置している際の前記マークの撮像データとに基づいて、前記ステージの昇降方向の鉛直方向に対する傾斜角度と、当該傾斜角度の傾斜方向とを演算する演算工程と、前記演算工程において演算された前記傾斜角度と前記傾斜方向とに基づいて、前記造形ユニットの作動を制御して3次元造形物を造形する造形工程と、を含む造形方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、ステージにマークが記されており、ステージが第1の高さに位置している際のマークの撮像データとステージが第2の高さに位置している際のマークの撮像データとに基づいて、ステージの昇降方向の鉛直方向に対する傾斜角度と、傾斜方向とが演算される。そして、演算された傾斜角度及び傾斜方向に基づいて、3次元造形物が造形される。これにより、ステージの上に粘性流体を積層させて適切に3次元造形物を造形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】回路形成装置を示す図である。
図2】制御装置を示すブロック図である。
図3】樹脂積層体が形成された状態の回路基板を示す断面図である。
図4】樹脂積層体の上に配線が形成された状態の回路基板を示す断面図である。
図5】樹脂積層体が形成される際にパレットが昇降される状態を示す図である。
図6】樹脂積層体が形成される際にパレットが昇降される状態を示す図である。
図7】鉛直方向に対して傾斜した状態で下降するパレットを示す図である。
図8】パレットを示す平面図である。
図9】カメラにより撮像されるパレットを示す図である。
図10】カメラにより撮像されたパレットを概念的に示す図である。
図11】鉛直方向に対して傾斜した状態で下降するパレットを概念的に示す図である。
図12】パレットを示す平面図である。
図13】カメラにより撮像されるパレットを示す図である。
図14】カメラにより撮像されたパレットを概念的に示す図である。
図15】カメラにより撮像されたパレットを概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に第1実施例の回路形成装置10を示す。回路形成装置10は、搬送装置20と、第1造形ユニット22と、第2造形ユニット24と、撮像ユニット26と、制御装置(図2参照)28とを備える。それら搬送装置20と第1造形ユニット22と第2造形ユニット24と撮像ユニット26とは、回路形成装置10のベース29の上に配置されている。ベース29は、概して長方形状をなしており、以下の説明では、ベース29の長手方向をX軸方向、ベース29の短手方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向と称して説明する。なお、Z軸方向は、鉛直方向と同じ方向である。
【0010】
搬送装置20は、X軸スライド機構30と、Y軸スライド機構32とを備えている。そのX軸スライド機構30は、X軸スライドレール34とX軸スライダ36とを有している。X軸スライドレール34は、X軸方向に延びるように、ベース29の上に配設されている。X軸スライダ36は、X軸スライドレール34によって、X軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、X軸スライド機構30は、電磁モータ(図2参照)38を有しており、電磁モータ38の駆動により、X軸スライダ36がX軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸スライド機構32は、Y軸スライドレール50とテーブル52とを有している。Y軸スライドレール50は、Y軸方向に延びるように、ベース29の上に配設されており、X軸方向に移動可能とされている。そして、Y軸スライドレール50の一端部が、X軸スライダ36に連結されている。そのY軸スライドレール50には、テーブル52が、Y軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、Y軸スライド機構32は、電磁モータ(図2参照)56を有しており、電磁モータ56の駆動により、テーブル52がY軸方向の任意の位置に移動する。これにより、テーブル52は、X軸スライド機構30及びY軸スライド機構32の駆動により、ベース29上の任意の位置に移動する。
【0011】
テーブル52は、基台60と、保持装置62と、昇降装置(図2参照)64とを有している。基台60は、平板状に形成され、上面にパレット(図3参照)70が載置される。保持装置62は、基台60のX軸方向の両側部に設けられている。そして、基台60に載置されたパレット70のX軸方向の両縁部が、保持装置62によって挟まれることで、パレット70が固定的に保持される。また、昇降装置64は、基台60の下方に配設されており、基台60を昇降させる。
【0012】
第1造形ユニット22は、回路基板の配線を造形するユニットであり、第1印刷部72と、焼成部74とを有している。第1印刷部72は、インクジェットヘッド(図2参照)76を有しており、インクジェットヘッド76が金属インクを線状に吐出する。金属インクは、ナノメートルサイズの金属、例えば銀の微粒子が溶剤中に分散されたものである。なお、金属微粒子の表面は分散剤によりコーティングされており、溶剤中での凝集が防止されている。また、インクジェットヘッド76は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズルから金属インクを吐出する。
【0013】
焼成部74は、赤外線照射装置(図2参照)78を有している。赤外線照射装置78は、吐出された金属インクに赤外線を照射する装置であり、赤外線が照射された金属インクは焼成し、配線が形成される。なお、金属インクの焼成とは、エネルギーを付与することによって、溶媒の気化や金属微粒子の保護膜、つまり、分散剤の分解等が行われ、金属微粒子が接触または融着をすることで、導電率が高くなる現象である。そして、金属インクが焼成することで、金属製の配線が形成される。
【0014】
また、第2造形ユニット24は、回路基板の樹脂層を造形するユニットであり、第2印刷部84と、硬化部86とを有している。第2印刷部84は、インクジェットヘッド(図2参照)88を有しており、インクジェットヘッド88は紫外線硬化樹脂を吐出する。紫外線硬化樹脂は、紫外線の照射により硬化する樹脂である。なお、インクジェットヘッド88は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式でもよく、樹脂を加熱して気泡を発生させ複数のノズルから吐出するサーマル方式でもよい。
【0015】
硬化部86は、平坦化装置(図2参照)90と照射装置(図2参照)92とを有している。平坦化装置90は、インクジェットヘッド88によって吐出された紫外線硬化樹脂の上面を平坦化するものであり、例えば、紫外線硬化樹脂の表面を均しながら余剰分の樹脂を、ローラもしくはブレードによって掻き取ることで、紫外線硬化樹脂の厚みを均一させる。また、照射装置92は、光源として水銀ランプもしくはLEDを備えており、吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、吐出された紫外線硬化樹脂が硬化し、樹脂層が形成される。
【0016】
撮像ユニット26は、テーブル52の基台60に載置されたパレット70を撮像するユニットであり、カメラ100を有している。カメラ100は、下方を向いた姿勢でベース29の上方に配設されており、テーブル52の基台60に載置されたパレット70の上面を上方から撮像する。
【0017】
また、制御装置28は、図2に示すように、コントローラ110と、複数の駆動回路112と、画像処理装置114と、記憶装置116とを備えている。複数の駆動回路112は、上記電磁モータ38,56、保持装置62、昇降装置64、インクジェットヘッド76、赤外線照射装置78、インクジェットヘッド88、平坦化装置90、照射装置92に接続されている。コントローラ110は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路112に接続されている。これにより、搬送装置20、第1造形ユニット22、第2造形ユニット24、撮像ユニット26の作動が、コントローラ110によって制御される。また、コントローラ110は、画像処理装置114に接続されている。画像処理装置114は、カメラ100によって得られた撮像データを処理するものであり、コントローラ110は、撮像データから各種情報を取得する。また、記憶装置116は、撮像データに基づいて演算された各種情報を記憶する。
【0018】
回路形成装置10では、上述した構成によって、テーブル52の基台60に載置されたパレット70の上に樹脂積層体が形成され、その樹脂積層体の上面に配線が形成されることで、回路基板が形成される。
【0019】
具体的には、テーブル52の基台60にパレット70がセットされると、テーブル52が、第2造形ユニット24の下方に移動する。そして、第2造形ユニット24において、図3に示すように、パレット70の上に樹脂積層体122が形成される。樹脂積層体122は、インクジェットヘッド88からの紫外線硬化樹脂の吐出と、吐出された紫外線硬化樹脂への照射装置92による紫外線の照射とが繰り返されることにより形成される。
【0020】
詳しくは、第2造形ユニット24の第2印刷部84において、インクジェットヘッド88が、パレット70の上面に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。続いて、紫外線硬化樹脂が薄膜状に吐出されると、硬化部86において、紫外線硬化樹脂の膜厚が均一となるように、紫外線硬化樹脂が平坦化装置90によって平坦化される。そして、照射装置92が、その薄膜状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、パレット70の上に薄膜状の樹脂層124が形成される。
【0021】
続いて、インクジェットヘッド88が、その薄膜状の樹脂層124の上に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。そして、平坦化装置90によって薄膜状の紫外線硬化樹脂が平坦化され、照射装置92が、その薄膜状に吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することで、薄膜状の樹脂層124の上に薄膜状の樹脂層124が積層される。このように、薄膜状の樹脂層124の上への紫外線硬化樹脂の吐出と、紫外線の照射とが繰り返され、複数の樹脂層124が積層されることで、樹脂積層体122が形成される。
【0022】
次に、樹脂積層体122が形成されると、テーブル52が第1造形ユニット22の下方に移動する。そして、第1造形ユニット22の第1印刷部72において、インクジェットヘッド76が、図4に示すように、樹脂積層体122の上面に金属インク130を、回路パターンに応じて線状に吐出する。続いて、回路パターンに応じて吐出された金属インク130に、第1造形ユニット22の焼成部74において、赤外線照射装置78が赤外線を照射する。これにより、金属インク130が焼成し、樹脂積層体122の上面に配線132が形成される。
【0023】
このように、第2造形ユニット24においてパレット70の上に樹脂積層体122が形成されて、第1造形ユニット22において樹脂積層体122の上に配線132が形成されることで、回路基板136が形成される。なお、第2造形ユニット24において樹脂積層体122が形成される際に、パレット70が昇降装置64の作動により下降しながら、複数の樹脂層124が積層されることで樹脂積層体122が形成される。
【0024】
詳しくは、第2造形ユニット24において樹脂積層体122が形成される前に、テーブル52の基台60が昇降装置64の作動により上昇し、基台60にセットされているパレット70の上面が、図5(A)に示すように、Hの高さに位置する。なお、高さHは、昇降装置64の可動範囲のうちのテーブル52が最も上昇した際のパレット70の上面の高さである。そして、高さHに位置しているパレット70の上面に、図5(B)に示すように、上述した手順で樹脂層124が形成される。つまり、高さHに位置しているパレット70の上面に、紫外線硬化樹脂が吐出され、その紫外線硬化樹脂が平坦化された後に、紫外線硬化樹脂に紫外線が照射されることで、1層目の樹脂層124が形成される。なお、樹脂層124の厚さがtとなるように、紫外線硬化樹脂の吐出量,平坦化される際の紫外線硬化樹脂の厚さなどが制御されている。
【0025】
そして、パレット70の上面に1層目の樹脂層124が形成されると、テーブル52の基台60が昇降装置64の作動により、tに相当する距離、下降する。これにより、基台60にセットされているパレット70の上面が、図5(C)に示すように、(H-t)の高さに位置する。そして、高さ(H-t)に位置しているパレット70の1層目の樹脂層124aの上面に、図5(D)に示すように、2層目の樹脂層124bが形成される。なお、2層目の樹脂層124bの厚さも、1層目の樹脂層124aと同様に、tである。そして、3層目以降の樹脂層124が形成される際にも、基台60が昇降装置64の作動により、tに相当する距離、下降した後に、厚さtの樹脂層124の上に、厚さtの樹脂層124が積層される。
【0026】
なお、上述したように、昇降装置64の可動範囲のうちのテーブル52が最も上昇した際のパレット70の上面の高さはHであり、昇降装置64の可動範囲のうちのテーブル52が最も下降した際のパレット70の上面の高さはHである。このため、図6に示すように、パレット70の上面に、複数の樹脂層124を積層させることで、最大厚さ(H-H)の樹脂積層体122を形成することができる。
【0027】
このように、パレット70が昇降装置64の作動によりtに相当する距離、下降する毎に、パレット70の上面において樹脂層124が積層されることで樹脂積層体122が形成される。ただし、昇降装置64において、Z軸方向、つまり、鉛直方向にパレット70を昇降させる精度は公差内の基準を満たしているが、装置毎に固有のズレが僅かに生じるため、昇降装置64によるパレット70の昇降方向が、鉛直方向に対して傾斜している場合がある。つまり、昇降装置によりパレット70が下降する際に、鉛直方向でなく、図7に示すように、斜め下方に下降する場合がある。このように、パレット70が昇降装置64により斜め下方に下降する場合には、パレット70の上面において樹脂層124が積層される際にズレが生じて、樹脂積層体122、つまり、3次元造形物の造形精度が低下する。
【0028】
そこで、回路形成装置10では、図8に示すように、パレット70の角にマーク120が記されている。そして、そのマーク120の撮像データに基づいて、パレット70の昇降方向の鉛直方向に対する傾斜角度と、その傾斜角度の傾斜方向とが演算されて、演算された傾斜角度及び傾斜方向を利用して積層される樹脂層124のズレが補正される。
【0029】
詳しくは、パレット70の昇降方向の傾斜角度及び傾斜方向を演算するための演算コマンドが用意されており、その演算コマンドが制御装置28に入力されると、テーブル52が撮像ユニット26のカメラ100の下方に移動する。なお、演算コマンドは、回路形成装置10の初回起動時に入力されるが、演算コマンドが制御装置28に入力される前に、テーブル52の基台60にパレット70がセットされる。このため、樹脂層124等の3次元造形物が形成されていない状態のパレット70がカメラ100の下方に移動する。なお、パレット70に記されているマーク120がカメラ100の撮像範囲に入るように、テーブル52はカメラ100の下方に移動する。
【0030】
そして、昇降装置64の作動により上昇した際のパレット70がカメラ100により撮像され、昇降装置64の作動により下降した際のパレット70もカメラ100により撮像される。この際、パレット70を上昇させた際のパレット70の撮像位置と、パレット70を下降させた際のパレット70の撮像位置とを上下方向において、できるだけ離間させることが好ましい。このため、パレット70を上昇させた際のパレット70の撮像位置を、昇降装置64の作動によりパレット70を最も上昇させた高さHとし、パレット70を下降させた際のパレット70の撮像位置を、昇降装置64の作動によりパレット70を最も下降させた高さHとすることが好ましい。ただし、カメラ100の被写界深度は、然程広くなく、パレット70を昇降させる昇降装置の可動範囲より狭い。つまり、カメラ100の被写界深度は、パレット70の昇降範囲より狭い。具体的には、カメラ100の被写界深度の最も高い位置はHであり、最も低い位置はH(>H)である。
【0031】
このため、図9(A)に示すように、昇降装置64の作動によりパレット70をHまで上昇させた際に、カメラ100によりパレット70のマーク120を撮像する。また、図9(B)に示すように、昇降装置64の作動によりパレット70をHまで下降させた際に、カメラ100によりパレット70のマーク120を撮像する。そして、コントローラ110において、パレット70をHまで上昇させた際のマーク120の撮像データに基づいて、マーク120の座標位置(以下、「上昇時マーク位置」と記載する)が演算される。また、パレット70をHまで下降させた際のマーク120の撮像データに基づいて、マーク120の座標位置(以下、「下降時マーク位置」と記載する)が演算される。なお、演算された上昇時マーク位置A1(XA1,YA1)及び下降時マーク位置A2(XA2,YA2)を、図10のXY座標において示す。
【0032】
この図から、パレット70がHからHまで下降する際に、パレット70は、上昇時マーク位置A1を始点とし、下降時マーク位置A2を終点とするベクトルの向う方向に、そのベクトルの線分に相当する距離、ズレながら下降していることが解る。つまり、パレット70がHからHまで下降する際に、パレット70は、図11に示すように、長辺KA1を高さとし、短辺A1A2を底辺とする直角三角形の斜辺KA2に沿って、下降する。このため、長辺KA1と斜辺KA2との為す角度αが、パレット70の昇降方向の鉛直方向に対する傾斜角度となる。また、上昇時マーク位置A1を始点とし、下降時マーク位置A2を終点とするベクトルの向う方向が、その傾斜角度の傾斜方向となる。なお、長辺KA1の長さ寸法は(H-H)であり、短辺A1A2の長さ寸法は、上昇時マーク位置A1(XA1,YA1)及び下降時マーク位置A2(XA2,YA2)に基づいて演算される。そして、下記式に従ってパレット70の昇降方向の傾斜角度αが演算される。
tanα=長辺KA1の長さ寸法/短辺A1A2の長さ寸法
また、その傾斜角度αの傾斜方向は、上昇時マーク位置A1(XA1,YA1)及び下降時マーク位置A2(XA2,YA2)に基づいて演算される。
【0033】
このように、パレット70の昇降方向の傾斜角度αと、その傾斜角度αの傾斜方向が演算されると、それら傾斜角度α及び傾斜方向が記憶装置116に記憶される。そして、樹脂積層体122が形成される際に、記憶装置116に記憶されている傾斜角度α及び傾斜方向を利用して、積層される樹脂層124のズレが補正される。詳しくは、例えば、N層目の樹脂層124が形成される前に、そのN層目の樹脂層124が形成される際のパレット70の上面の高さHに基づいて、パレット70のズレ量Lが演算される。パレット70のズレ量Lの、N層目の樹脂層124が形成される際のパレット70の下降量(H-H)に対する比率は、図11に示すように、傾斜角度αの正接(tangent)と等しいため、パレット70のズレ量Lは、下記式に従って演算される。
L=tanα×(H-H
【0034】
そして、N層目の樹脂層124が形成される際に、演算されたパレット70のズレ量Lに相当する距離、記憶装置116に記憶されている傾斜方向にズレた位置に、N層目の樹脂層124が形成される。これにより、パレット70の昇降方向が鉛直方向に対して傾斜している場合においても、樹脂層124を適切に積層し、精度良く樹脂積層体122を形成することができる。
【0035】
また、従来は、パレット70の昇降方向の傾斜角度及び傾斜方向を作業者が手動で計測し、計測した値を制御装置28に手動で入力していた。一方で、回路形成装置10では、作業者が演算コマンドを入力するだけで、パレット70の昇降方向の傾斜角度及び傾斜方向が自動で演算され、演算された値が制御装置28に自動で入力される。これにより、作業者の負担を軽減することが可能となる。また、作業者による傾斜角度などの計測ミス,計測値の制御装置への入力ミス等の人為的なミスの発生を防止することも可能となる。
【0036】
さらに言えば、回路形成装置10だけでなく、他の回路形成装置においてもパレット70の昇降方向は鉛直方向に対して傾斜している場合があり、パレット70の昇降方向の傾斜角度は装置毎に異なっている。このため、種々の回路形成装置において3次元造形物が造形される際に、装置固有のズレが生じていた。そこで、種々の回路形成装置において、回路形成装置10と同じ構成を適用することで、3次元造形物が造形される際の装置固有のズレを補正することが可能となる。これにより、種々の回路形成装置での造形品質の差を少なくすることが可能となる。
【0037】
なお、パレット70の昇降方向の傾斜角度α及び、その傾斜角度αの傾斜方向は、上述したように、パレット70がHからHまで下降する際の上昇時マーク位置A1と下降時マーク位置A2とに基づいて演算されている。そして、演算された傾斜角度α及び傾斜方向は記憶装置116に記憶されている。このため、HとHとの間に位置しているパレット70にN層目の樹脂層124を形成する際に、記憶装置116に記憶されている傾斜角度α及び傾斜方向を上述した手法で適用することは、当然、可能である。一方で、HとHとの間にパレットが位置していない場合、つまり、パレットがHより下降し、HとHとの間に位置している場合であっても、パレットは、HとHとの間と同様に、記憶装置116に記憶されている傾斜角度α及び傾斜方向に向って下降すると推定できる。このため、HとHとの間以外に位置しているパレット70にN層目の樹脂層124を形成する際にも、記憶装置116に記憶されている傾斜角度α及び傾斜方向が上述した手法で適用される。
【0038】
また、上記説明において、演算コマンドは回路形成装置10の起動時に入力され、その演算コマンドの入力により演算された傾斜角度α及び傾斜方向は記憶装置116に記憶される。そして、記憶装置116に記憶された傾斜角度α及び傾斜方向を利用して、第2造形ユニット24の作動が制御されて、樹脂積層体122が形成される。つまり、回路形成装置10の起動時に1回だけ、傾斜角度α及び傾斜方向が演算されて、その傾斜角度α及び傾斜方向を利用して、以降の樹脂積層体122の造形工程が繰り返し実行される。これにより、回路形成装置10における3次元造形物の生産タクトへの影響を最小限に抑えることができる。ただし、故障,破損等による部品の交換時等には、再度、演算コマンドを制御装置28に入力することで、傾斜角度α及び傾斜方向を再演算することが好ましい。
【0039】
また、上述した第1実施例の回路形成装置では、パレットのマークの撮像データに基づいて、傾斜角度と傾斜方向とが演算されているが、第2実施例の回路形成装置では、傾斜角度と傾斜方向だけでなく、パレットの鉛直方向を軸心とする回転角度も演算される。詳しくは、第2実施例の回路形成装置では、図12に示すように、パレット70に2つのマーク150,152が記されている。2つのマーク150,152は、パレット70の中心を挟んで対向する2つの角に記されている。また、第1実施例の回路形成装置では、パレット70がHとHとの異なる2箇所の高さに位置している際にマーク120が撮像されているが、第2実施例の回路形成装置では、HとHとの間の異なる3箇所以上の高さに位置している際にマーク150,152が撮像される。以下に、第2実施例の回路形成装置において、HとHとの間の異なる3箇所の高さに位置している際にマーク150,152が撮像される場合について説明する。
【0040】
具体的には、図13(A)に示すように、昇降装置64の作動によりパレット70をHまで上昇させた際に、カメラ100によりパレット70のマーク150,152を撮像する。また、図13(B)に示すように、昇降装置64の作動によりパレット70をHとHとの中間のHまで下降させた際に、カメラ100によりパレット70のマーク150,152を撮像する。さらに、図13(C)に示すように、昇降装置64の作動によりパレット70をHまで下降させた際に、カメラ100によりパレット70のマーク150,152を撮像する。そして、コントローラ110において、パレット70をHまで上昇させた際のマーク150,152の撮像データに基づいて、マーク150,152の座標位置(以下、「第1マーク位置」と記載する)が演算される。また、パレット70をHまで下降させた際のマーク150,152の撮像データに基づいて、マーク150,152の座標位置(以下、「第2マーク位置」と記載する)が演算される。さらに、パレット70をHまで下降させた際のマーク150,152の撮像データに基づいて、マーク150,152の座標位置(以下、「第3マーク位置」と記載する)が演算される。なお、演算された第1マーク位置A1,B1及び第2マーク位置A2,B2を、図14のXY座標においてに示し、演算された第2マーク位置A2,B2及び第3マーク位置A3,B3を、図15のXY座標においてに示す。
【0041】
まず、図14から、パレット70がHからHまで下降する際に、パレット70のマーク150は、第1マーク位置A1を始点とし、第2マーク位置A2を終点とするベクトルの向う方向に、そのベクトルの線分に相当する距離、ズレながら下降していることが解る。このため、第1実施例と同様の手法に基づいて、パレット70のマーク150の昇降方向の傾斜角度および、その傾斜角度の傾斜方向が演算される。また、パレット70がHからHまで下降する際に、パレット70のマーク152は、第1マーク位置B1を始点とし、第2マーク位置B2を終点とするベクトルの向う方向に、そのベクトルの線分に相当する距離、ズレながら下降していることが解る。このため、第1実施例と同様の手法に基づいて、パレット70のマーク152の昇降方向の傾斜角度および、その傾斜角度の傾斜方向が演算される。そして、演算されたマーク150,152の昇降方向の傾斜角度および傾斜方向が記憶装置116に記憶される。また、第1マーク位置A1と第1マーク位置B1とを結ぶ直線と、第2マーク位置A2と第2マーク位置B2とを結ぶ直線との交差する角度β1が、パレット70がHからHまで下降する際のパレット70の鉛直方向を軸心とする回転角度となる。このため、パレット70がHからHまで下降する際のパレット70の回転角度β1が、第1マーク位置A1,B1と第2マーク位置A2,B2とに基づいて演算される。そして、演算されたパレット70の回転角度β1が記憶装置116に記憶される。
【0042】
また、図15から、パレット70がHからHまで下降する際に、パレット70のマーク150は、第2マーク位置A2を始点とし、第3マーク位置A3を終点とするベクトルの向う方向に、そのベクトルの線分に相当する距離、ズレながら下降していることが解る。このため、第1実施例と同様の手法に基づいて、パレット70のマーク150の昇降方向の傾斜角度および、その傾斜角度の傾斜方向が演算される。また、パレット70がHからHまで下降する際に、パレット70のマーク152は、第2マーク位置B2を始点とし、第3マーク位置B3を終点とするベクトルの向う方向に、そのベクトルの線分に相当する距離、ズレながら下降していることが解る。このため、第1実施例と同様の手法に基づいて、パレット70のマーク152の昇降方向の傾斜角度および、その傾斜角度の傾斜方向が演算される。そして、演算されたマーク150,152の昇降方向の傾斜角度および傾斜方向が記憶装置116に記憶される。また、第2マーク位置A2と第2マーク位置B2とを結ぶ直線と、第3マーク位置A3と第3マーク位置B3とを結ぶ直線との交差する角度β2が、パレット70がHからHまで下降する際のパレット70の鉛直方向を軸心とする回転角度となる。このため、パレット70がHからHまで下降する際のパレット70の回転角度β2が、第2マーク位置A2,B2と第3マーク位置A3,B3とに基づいて演算される。そして、演算されたパレット70の回転角度β2が記憶装置116に記憶される。
【0043】
そして、第2実施例の回路形成装置において、樹脂積層体122が形成される際に、記憶装置116に記憶されている傾斜角度,傾斜方向,回転角度を利用して、積層される樹脂層124のズレが補正される。なお、第2実施例において記憶装置116に記憶されている傾斜角度および傾斜方向を利用して、積層される樹脂層124のズレを補正する方法は、第1実施例と同じであるため説明を省略する。ただし、第2実施例において傾斜角度及び傾斜方向を利用して樹脂層124のズレが補正される場合には、N層目の樹脂層が形成される際のパレットの高さに応じた傾斜角度及び傾斜方向が用いられる。つまり、N層目の樹脂層124が形成される際にパレット70がHとHとの間に位置している場合には、パレット70がHからHまで下降する際の傾斜角度に基づいて、パレット70のズレ量Lが演算される。そして、演算されたズレ量L及び、パレット70がHからHまで下降する際の傾斜方向を補正するように、N層目の樹脂層124が形成される。また、N層目の樹脂層124が形成される際にパレット70がHとHとの間に位置している場合には、パレット70がHからHまで下降する際の傾斜角度に基づいて、パレット70のズレ量Lが演算される。そして、演算されたズレ量L及び、パレット70がHからHまで下降する際の傾斜方向を補正するように、N層目の樹脂層124が形成される。
【0044】
また、記憶装置116に記憶されているパレット70の回転角度を利用して、積層される樹脂層124のズレが補正される場合には、N層目の樹脂層124を、その樹脂層の中心を通る鉛直方向を軸心として、記憶装置116に記憶されている回転角度、回転させた状態で形成する。なお、回転角度を利用して樹脂層124のズレが補正される場合においても、傾斜角度及び傾斜方向を利用して樹脂層124のズレが補正される場合と同様に、N層目の樹脂層が形成される際のパレットの高さに応じた回転角度が用いられる。つまり、N層目の樹脂層124が形成される際にパレット70がHとHとの間に位置している場合には、N層目の樹脂層を、パレット70がHからHまで下降する際の回転角度β1、回転させた状態で形成する。また、N層目の樹脂層124が形成される際にパレット70がHとHとの間に位置している場合には、N層目の樹脂層を、パレット70がHからHまで下降する際の回転角度β2、回転させた状態で形成する。このように、パレット70の回転角度を利用して、樹脂積層体122が形成される際に積層される樹脂層124のズレが補正されることで、精度良く樹脂積層体122を形成することが可能となる。
【0045】
また、制御装置28のコントローラ110は、図2に示すように、演算部170と制御部172とを有している。演算部170は、パレット70の昇降方向の傾斜角度,その傾斜角度の傾斜方向,パレット70の回転角度を演算するための機能部である。制御部172は、演算された傾斜角度,傾斜方向,回転角度に基づいて第2造形ユニット24の作動を制御し、樹脂積層体122を形成するための機能部である。
【0046】
なお、上記実施例において、回路形成装置10は、3次元造形装置の一例である。第2造形ユニット24は、造形ユニットの一例である。昇降装置64は、昇降装置の一例である。パレット70は、ステージの一例である。カメラ100は、撮像装置の一例である。マーク120,150,152は、マークの一例である。回路基板136は、3次元造形物の一例である。演算部170は、演算装置の一例である。制御部172は、制御装置の一例である。また、演算部170により実行される工程は、演算工程の一例である。制御部172により実行される工程は、制御工程の一例である。
【0047】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記第1実施例では、パレット70がHとHとの異なる2箇所の高さに位置している際にマークが撮像されているが、第2実施例と同じように、パレット70がHとHとの間の異なる3箇所以上の高さに位置している際にマークが撮像されてもよい。
【0048】
また、上記実施例では、パレット70にマークが記されているが、テーブル52の基台60にマークが記されてもよい。このような場合には、テーブル52の基台60がステージとして機能し、その基台60の上面においてパレット70を介して樹脂積層体122が形成される。また、基台60の上面に直接的に樹脂積層体122が形成されてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、パレット70の昇降範囲より狭い被写界深度のカメラ100が採用されているが、パレット70の昇降範囲より広い被写界深度のカメラが採用されてもよい。このように、パレット70の昇降範囲より広い被写界深度のカメラが採用される場合には、第1実施例において、パレット70がHとHとの異なる2箇所の高さに位置している際にマークが撮像される。
【0050】
また、上記実施形態では、3次元造形物を造形するための樹脂として、紫外線硬化樹脂が採用されているが、2液混合型硬化性樹脂,熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂などの種々の硬化性樹脂を採用することができる。また、3次元造形物を造形するための素材として、樹脂に限定されず、流体が硬化する素材であれば、種々の素材を採用することができる。
【0051】
また、上記実施例では、3次元造形物として回路基板136が採用されているがフィギュアなどの種々の3次元造形物を採用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10:回路形成装置(3次元造形装置) 24:第2造形ユニット(造形ユニット) 64:昇降装置 70:パレット(ステージ) 100:カメラ(撮像装置) 120:マーク 136:回路基板(3次元造形物) 150:マーク 152:マーク 170:演算部(演算装置) 172:制御部(制御装置)
図1
図2
図3
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図5
図6
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図9
図10
図11
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