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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20241122BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B60Q1/26 A
E02F9/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021107069
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2023005278
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 真士
(72)【発明者】
【氏名】鳥取 紀太
(72)【発明者】
【氏名】田仲 亮介
(72)【発明者】
【氏名】山中 麻帆
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-310159(JP,A)
【文献】特開昭61-050845(JP,A)
【文献】特開2017-019454(JP,A)
【文献】特開平03-025038(JP,A)
【文献】特開2019-026169(JP,A)
【文献】実開昭62-026746(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/26
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプが固定される固定部と、
前記固定部を支持すると共に、当該固定部の位置を、前記ランプの少なくとも一部がフェンダよりも車体外側に位置する使用位置と、前記ランプが前記フェンダよりも車体内側に位置する収納位置と、の間で切り換え可能な支持部と、
前記ランプに接続される配線と、
を具備し、
前記支持部は、
作業者が搭乗するステップよりも車体前側に配置された安全フレームに設けられ、
前記安全フレームは、
車体に固定される下部フレームと、
下部フレームに対して前後に揺動可能となるように設けられる上部フレームと、
を具備し、
前記支持部は、
前記下部フレームに固定されると共に、前記固定部を前記収納位置に切り換えた状態において、前記ランプの照射面が車体内側を向くように前記固定部を支持し、
前記固定部は、
平板状に形成され、前記ランプの前記照射面と反対側の面に対して固定される平板部を具備し、
前記平板部には、
前記固定部を前記収納位置に切り換えた状態において、前記ランプの前記照射面と反対側の面及び前記平板部の間から、前記配線を前記平板部よりも車体内側に向かって導出する凹部が形成される、
作業車両。
【請求項2】
前記支持部は、
前記下部フレームよりも車体前側に前記ランプが位置するように前記固定部を支持し、
前記配線は、
前記下部フレームの車体前側と車体内側とを通るように配置される、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記ランプは、
前記ステップよりも車体前側に配置され、
前記支持部は、
前記使用位置にある前記固定部を前方に向かって回動させることで、前記収納位置に切り換える、
請求項1又は請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記支持部は、
前記固定部を前記収納位置に切り換えた状態において、前記ランプの少なくとも一部が前記安全フレームよりも車体内側に位置するように前記固定部を支持する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記支持部は、
前記使用位置にある前記固定部を後方に向かって回動させることで、前記収納位置に切り換える、
請求項に記載の作業車両。
【請求項6】
前記固定部を、前記使用位置又は前記収納位置に保持可能な保持機構をさらに具備する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプを具備する作業車両の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランプを具備する作業車両の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、キャビンの左右フロントピラーから側方へ突出するようにコンビランプアームを設け、そのコンビランプアームの先端にランプ(ウインカー及び作業灯)を取り付けた作業車両が開示されている。特許文献1に記載の技術では、複数種類のランプ(ウインカー及び作業灯)を共通の部材(コンビランプアーム)に取り付けることで、製作コストの削減を図ることができる。
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の技術では、ランプが左右に突出するように設けられているため、狭い場所での作業中(例えば、樹木の間での管理作業中等)にランプが周囲の作物や障害物(樹木等)等と干渉するおそれがあり、ひいては作物やランプが傷付くおそれがある点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-19454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ランプが周囲の作物や障害物等に干渉するのを防止することが可能な作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、ランプが固定される固定部と、前記固定部を支持すると共に、当該固定部の位置を、前記ランプの少なくとも一部がフェンダよりも車体外側に位置する使用位置と、前記ランプが前記フェンダよりも車体内側に位置する収納位置と、の間で切り換え可能な支持部と、前記ランプに接続される配線と、を具備し、前記支持部は、作業者が搭乗するステップよりも車体前側に配置された安全フレームに設けられ、前記安全フレームは、車体に固定される下部フレームと、下部フレームに対して前後に揺動可能となるように設けられる上部フレームと、を具備し、前記支持部は、前記下部フレームに固定されると共に、前記固定部を前記収納位置に切り換えた状態において、前記ランプの照射面が車体内側を向くように前記固定部を支持し、前記固定部は、平板状に形成され、前記ランプの前記照射面と反対側の面に対して固定される平板部を具備し、前記平板部には、前記固定部を前記収納位置に切り換えた状態において、前記ランプの前記照射面と反対側の面及び前記平板部の間から、前記配線を前記平板部よりも車体内側に向かって導出する凹部が形成されるものである。
請求項2においては、前記支持部は、前記下部フレームよりも車体前側に前記ランプが位置するように前記固定部を支持し、前記配線は、前記下部フレームの車体前側と車体内側とを通るように配置されるものである。
【0011】
請求項3においては、前記ランプは、前記ステップよりも車体前側に配置され、前記支持部は、前記使用位置にある前記固定部を前方に向かって回動させることで、前記収納位置に切り換えるものである。
【0013】
請求項4においては、前記支持部は、前記固定部を前記収納位置に切り換えた状態において、前記ランプの少なくとも一部が前記安全フレームよりも車体内側に位置するように前記固定部を支持するものである。
【0016】
請求項5においては、前記支持部は、前記使用位置にある前記固定部を後方に向かって回動させることで、前記収納位置に切り換えるものである。
【0017】
請求項6においては、前記固定部を、前記使用位置又は前記収納位置に保持可能な保持機構をさらに具備するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
請求項1においては、ランプ(固定部)の位置を収納位置に切り換えることで、ランプが周囲の作物や障害物等に干渉するのを防止することができる。これによって、幅の狭い場所での作業が可能となる。また、作物を傷めたり、ランプが傷つくのを抑制することができる。また、請求項1においては、収納位置においてランプの照射面が車体内側を向くため、ランプ(特に、照射面)が傷つくのを効果的に抑制することができる。また、請求項1においては、収納位置において、平板部(固定部)によってランプを外側から保護することができ、ランプが傷つくのを効果的に抑制することができる。
請求項2においては、配線が周囲の作物や障害物等に干渉するのを防止することができる。
【0022】
請求項3においては、ランプを収容位置に切り換える場合、ステップから離れる方向(前側)に回動させることで、ランプが作業者の邪魔になるのを防止することができる。
【0024】
請求項4においては、収納位置において、ランプの少なくとも一部が安全フレームよりも車体内側に位置するため、ランプが傷つくのを効果的に抑制することができる。
【0027】
請求項5においては、固定部(ランプ)を後方に納めることで、周囲の作物や障害物等に干渉するのを抑制することができる。
【0028】
請求項6においては、ランプ(固定部)を所定の位置(使用位置及び収納位置)に安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第一実施形態に係るトラクタの全体的な構成を示した側面図。
図2】ランプ及び支持機構を示した前方斜視図。
図3】ランプ及び支持機構を示した拡大前方斜視図。
図4】ランプ及び支持機構を示した後方分解斜視図。
図5】ランプ及び支持機構を示した後方斜視図。
図6】固定部(ランプ)が使用位置から持ち上げられた状態を示した後方斜視図。
図7】固定部(ランプ)が収納位置に切り換えられた状態を示した後方斜視図。
図8】収納位置に切り換えられたランプ及び支持機構を示した拡大前方斜視図。
図9】(a)使用位置におけるランプを示した正面図。(b)収納位置におけるランプを示した正面図。
図10】ランプ及び支持機構を示した平面一部断面図。
図11】第二実施形態に係るランプ及び支持機構を示した平面一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0031】
まず、主に図1から図4を参照して、本発明の第一実施形態に係るトラクタ1の全体構成について説明する。
【0032】
トラクタ1は、主として機体フレーム2、前輪3、変速装置4、後輪5、フェンダ6、エンジン7、ボンネット8、運転操作部9、前部安全フレーム14、後部安全フレーム15、ランプ16、配線17及び支持機構100を具備する。
【0033】
機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けて配置される。機体フレーム2の前部は左右一対の前輪3に支持される。機体フレーム2の後部には変速装置4が設けられる。変速装置4の後部は左右一対の後輪5に支持される。後輪5は、左右一対のフェンダ6によって上方及び前方が覆われている。機体フレーム2の前後中途部にはエンジン7が設けられる。エンジン7はボンネット8に覆われる。エンジン7の後方には、作業者がトラクタ1を運転するための運転操作部9が設けられる。
【0034】
運転操作部9には、ステップ10、ステアリングポスト11、クラッチペダル12、座席13等が設けられる。
【0035】
ステップ10は、作業者が搭乗するための床面を形成するものである。ステップ10の側部には、作業者がステップ10に搭乗するのを補助するための補助ステップ10aが設けられる。運転操作部9の前部には、ステアリングポスト11が設けられる。ステアリングポスト11の上部には、トラクタ1を操舵するためのステアリングホイール11aが設けられる。
【0036】
ステップ10の前部(ステアリングポスト11の左側方)には、トラクタ1のクラッチ機構(不図示)を操作するためのクラッチペダル12が設けられる。また、図示しないが、ステップ10には、その他種々の操作ペダル(アクセルペダル、ブレーキペダル等)が設けられる。運転操作部9の後部には、作業者が着座するための座席13が設けられる。
【0037】
運転操作部9の前後には、運転操作部9に搭乗した作業者を保護するための前部安全フレーム14及び後部安全フレーム15が設けられる。前部安全フレーム14は、運転操作部9よりも前方に設けられる。前部安全フレーム14は、機体フレーム2の後部に固定される下部フレーム14aと、下部フレーム14aに対して前後に揺動可能となるように設けられる上部フレーム14bと、を具備する。後部安全フレーム15は、運転操作部9よりも後方に設けられる。
【0038】
ランプ16は、必要に応じて発光可能な照明器具である。本実施形態に係るランプ16は、複数の用途(方向指示器や車幅灯)に用いることが可能な照明器具(いわゆる、コンビネーションランプ)である。ランプ16は、主としてランプハウジング16a及び透光カバー16bを具備する(図3及び図4参照)。
【0039】
ランプハウジング16aは、光を照射する発光体(電球等)が設けられる部材である。透光カバー16bは、ランプハウジング16aに設けられた発光体を覆う部材である。発光体からの光は、透光カバー16bを透過して外部へと照射される。すなわち、ランプ16のうち、透光カバー16bが設けられた側の面(例えば図3(a)では、ランプ16の前側面)が光を外部へと照射する照射面となる。ランプ16(ランプハウジング16a)の背面(照射面と反対側の面)には、電力の供給や制御信号の送信を行うための配線17が接続される(図4参照)。
【0040】
ランプ16は、運転操作部9よりも前方において、ボンネット8の左右両側方にそれぞれ配置される。ランプ16は、支持機構100を介して前部安全フレーム14(より詳細には、下部フレーム14a)に設けられる。
【0041】
このようなトラクタ1において、エンジン7の動力は、変速装置4で変速された後、適宜の動力伝達機構を介して前輪3及び後輪5に伝達される。エンジン7の動力によって前輪3及び後輪5が回転駆動され、トラクタ1の走行が行われる。ステアリングホイール11aは、その回動操作量に応じて左右一対の前輪3・3の切れ角を調節(変更)し、トラクタ1を操舵することができる。
【0042】
次に、主に図4及び図5を用いて、支持機構100の構成について説明する。なお、支持機構100はトラクタ1の車体の左右にそれぞれ設けられているが、左右の支持機構100の構成は左右対称であるため、以下では左側の支持機構100に着目して説明を行う。
【0043】
支持機構100は、ランプ16を支持するためのものである。支持機構100は、後述する固定部130(ひいては、ランプ16)の位置を、ランプ16の少なくとも一部が左右方向においてフェンダ6よりも車体外側に位置する使用位置(図3図9(a)参照)と、ランプ16がフェンダ6よりも車体内側に位置する収納位置(図8図9(b)参照)と、の間で切り換えることができる。なお、図1から図5には、固定部130を使用位置に切り換えた状態を示している。以下では、当該状態に基づいて支持機構100の構成を説明する。支持機構100は、主として支持部110、防振部材120、固定部130及び保持機構140を具備する。
【0044】
図4及び図5に示す支持部110は、後述する固定部130を介してランプ16を支持するものである。支持部110は、主として第一平板部111及び挿通部112を具備する。
【0045】
第一平板部111は、板面を左右に向けた平板状に形成される部分である。第一平板部111は、上下に延びる部分と、その下部から前方に突出する部分からなる側面視L字状に形成される。
【0046】
挿通部112は、軸線方向を上下に向けた円柱状に形成される部分である。挿通部112の下端部は、第一平板部111の前下部に固定される。これによって挿通部112は、第一平板部111の前下部から上方に向かって突出するように配置される。
【0047】
防振部材120は、トラクタ1の車体からランプ16へと振動が伝達されるのを抑制するための部材である。防振部材120は、矩形板状に形成される。防振部材120は、ゴム等の防振性を有する素材により形成される。
【0048】
固定部130は、ランプ16が固定される部分である。固定部130は、主として第二平板部131及び円筒部132を具備する。
【0049】
第二平板部131は、板面を前後に向けた平板状に形成される部分である。第二平板部131は、上下に延びる部分と、その上下中途部から側方(右方)に突出する部分からなる背面視T字状に形成される。第二平板部131には、凹部131aが形成される。
【0050】
凹部131aは、第二平板部131の上下中央部分を後方に向かって凹ませることで形成される部分である。凹部131aは、左右に長い略楕円状に形成される。
【0051】
円筒部132は、軸線方向を上下に向けた円筒状に形成される部分である。円筒部132は、第二平板部131の右端部に固定される。円筒部132には、切欠部132aが形成される。
【0052】
切欠部132aは、円筒部132の下端部を上方に向かって切り欠くように形成される。切欠部132aは、円筒部132の下端部の前後左右の4箇所に形成される。これによって切欠部132aは、互いに等間隔に(円筒部132の軸線を中心として90度ごとに)形成される。
【0053】
保持機構140は、固定部130を使用位置又は収納位置に保持するものである。保持機構140は、主としてピン141、スプリング142、平座金143及び止め輪144を具備する。
【0054】
ピン141は、円筒状に形成された部材である。ピン141は、挿通部112の下部を左右に挿通するように設けられる。ピン141は、左右両端部がそれぞれ挿通部112から左右に突出するように配置される。
【0055】
スプリング142は、固定部130を下方に向かって付勢する部材である。スプリング142は、圧縮コイルばねにより構成される。
【0056】
平座金143は、円環平板状に形成される部材である。止め輪144は、挿通部112に係合可能な部材である。
【0057】
上述の如く構成された支持機構100において、第一平板部111は、前部安全フレーム14の下部フレーム14aの外側面(左側面)にボルト等の固定具によって固定される。これによって、支持部110は前部安全フレーム14に固定される。この際、下部フレーム14aと第一平板部111との間には防振部材120が配置される。これによって、トラクタ1の車体から支持部110(ひいては、ランプ16)へと振動が伝達されるのを抑制することができる。支持部110が前部安全フレーム14に固定された状態では、挿通部112は前部安全フレーム14(下部フレーム14a)よりも前側に位置している。
【0058】
また、第二平板部131は、ランプ16(ランプハウジング16a)の背面にボルト等の固定具によって固定される。この際、ランプ16に接続された配線17は、ランプ16と第二平板部131との間(より詳細には、第二平板部131の凹部131a)を介して車体内側(右方)に向かって導出される(図10参照)。
【0059】
また、挿通部112には、円筒部132、スプリング142及び平座金143が順に挿通される。さらに平座金143の上方において、止め輪144が挿通部112の上端部に係止される。止め輪144によって、円筒部132、スプリング142及び平座金143が挿通部112から抜け落ちるのを防止することができる。
【0060】
この状態においては、スプリング142によって円筒部132が下方に付勢され、図5に示すように円筒部132の下端部に形成された切欠部132aがピン141と係合する。このため、挿通部112に対する円筒部132の回転が規制され、固定部130(ランプ16)は使用位置に保持される。使用位置において、固定部130は、第二平板部131が円筒部132から車体外側(左方)に向かって突出するように配置される。また固定部130に固定されたランプ16は、照射面(透光カバー16b)を前に向けた状態で配置される。
【0061】
このようにしてランプ16は、支持機構100を介して前部安全フレーム14に取り付けられる。このように、トラクタ1のうち比較的剛性の高い前部安全フレーム14にランプ16を取り付けることで、ランプ16を強固に支持することができる。
【0062】
また図10に示すように、ランプ16は、前部安全フレーム14より前側に配置されることになる。すなわちランプ16は、作業者が搭乗するステップ10よりも前側に配置される。ランプ16に接続された配線17は、前部安全フレーム14(下部フレーム14a)の内側(右側)を通るように配置される。当該配線17は、電源となるバッテリやステアリングポスト11内に配置された制御基板等(不図示)と適宜接続される。
【0063】
固定部130(ランプ16)を使用位置から収納位置に切り換える場合、図6に示すように、スプリング142の付勢力に抗して、固定部130を上に持ち上げる。これによって、切欠部132aとピン141との係合が解除されて、円筒部132が挿通部112に対して回転できる状態になる。
【0064】
この状態で、固定部130(ランプ16)を前方に向かって回動させる。固定部130が使用位置から90度回動すると、使用位置においてピン141が係合していた切欠部132aとは異なる切欠部132aと、ピン141との位置が一致する。この状態で、図7に示すように、固定部130を下に下げて切欠部132aとピン141を係合させる。これによって、固定部130(ランプ16)を収納位置で保持することができる。
【0065】
なお、上述の操作とは逆の操作を行うことで、固定部130(ランプ16)を収納位置から使用位置へと切り換えることができる。
【0066】
以下では、上述のように構成されたランプ16の、使用位置及び収納位置における配置について説明する。
【0067】
トラクタ1で道路を走行する場合など、ランプ16を使用する場合には、ランプ16が使用位置に切り換えられる。図9(a)に示すようにトラクタ1を前方向から見た視点(正面視)において、ランプ16が使用位置に切り換えられている状態では、ランプ16の左端部は、フェンダ6の外側端部(図中の補助線L1参照)よりも外側(左側)に位置している。このように使用位置では、ランプ16を比較的外側に位置させることができるため、ランプ16の光がボンネット8によって遮られ難くなり、ランプ16からの光によってトラクタ1の前方を照らし易くなる。また、トラクタ1の前方からランプ16を視認し易くなる。
【0068】
一方、圃場で作業を行う場合など、ランプ16を使用する必要がない場合には、ランプ16を収納位置に切り換えることができる。図9(b)に示すようにトラクタ1を前方向から見た視点(正面視)において、ランプ16が収納位置に切り換えられている状態では、ランプ16は、フェンダ6の外側端部(図中の補助線L1参照)よりも内側(右側)に位置している。このように収納位置では、ランプ16をフェンダ6よりも内側に位置させることができるため、ランプ16が周囲の作物や障害物等に干渉するのを防止することができる。これによって、狭い場所でのトラクタ1による作業が可能となる。また、作物を傷めたり、ランプ16が傷つくのを抑制することができる。
【0069】
また、図10に実線で示すように、ランプ16が収納位置に切り換えられている状態では、ランプ16の照射面(透光カバー16b)が車体内側(右側)を向くように配置される。これによって、ランプ16の照射面が傷つくのを効果的に抑制することができる。さらにこの状態では、ランプ16の外側(左側)に第二平板部131が位置することになるため、第二平板部131によってランプ16を外側から保護することができ、ひいてはランプ16が傷つくのを効果的に抑制することができる。
【0070】
また、図10に示すように、ランプ16が収納位置に切り換えられている状態では、ランプ16の少なくとも一部が前部安全フレーム14(下部フレーム14a)の外側面(図中の補助線L2参照)よりも車体内側に位置するように配置される。これによって、ランプ16が傷つくのを効果的に抑制することができる。
【0071】
また、図10に示すように、ランプ16は使用位置から収納位置に切り換えられる場合、前方に向かって回動する。これによって、ランプ16を作業者が搭乗するステップ10から離れる方向に移動させることができるため、ランプ16が作業者による作業(例えば、ステップ10への乗り降りや、クラッチペダル12の操作等)の邪魔になるのを防止することができる。
【0072】
以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車両)は、
ランプ16が固定される固定部130と、
前記固定部130を支持すると共に、当該固定部130の位置を、前記ランプ16の少なくとも一部がフェンダ6よりも車体外側に位置する使用位置と、前記ランプ16が前記フェンダ6よりも車体内側に位置する収納位置と、の間で切り換え可能な支持部110と、
を具備するものである。
このように構成することにより、ランプ16(固定部130)の位置を収納位置に切り換えることで、ランプ16が周囲の作物や障害物等に干渉するのを防止することができる。
【0073】
また、前記支持部110は、
前記固定部130を前記収納位置に切り換えた状態において、前記ランプ16の照射面が車体内側を向くように前記固定部130を支持するものである。
このように構成することにより、収納位置においてランプ16の照射面が車体内側を向くため、ランプ16(特に、照射面)が傷つくのを効果的に抑制することができる。
【0074】
また、前記固定部130は、
平板状に形成され、前記ランプ16の前記照射面と反対側の面に対して固定される第二平板部131(平板部)を具備するものである。
このように構成することにより、収納位置において、第二平板部131(固定部130)によってランプ16を外側から保護することができ、ランプ16が傷つくのを効果的に抑制することができる。
【0075】
また、前記ランプ16は、
作業者が搭乗するステップ10よりも車体前側に配置され、
前記支持部110は、
前記使用位置にある前記固定部130を前方に向かって回動させることで、前記収納位置に切り換えるものである。
このように構成することにより、ランプ16を収容位置に切り換える場合、ステップ10から離れる方向(前側)に回動させることで、ランプ16が作業者の邪魔になるのを防止することができる。
【0076】
また、前記支持部110は、
前記ステップ10よりも車体前側に配置された前部安全フレーム14(安全フレーム)に設けられるものである。
このように構成することにより、ランプ16を強固に支持することができる。
【0077】
また、前記支持部110は、
前記固定部130を前記収納位置に切り換えた状態において、前記ランプ16の少なくとも一部が前記前部安全フレーム14よりも車体内側に位置するように前記固定部130を支持するものである。
このように構成することにより、収納位置において、ランプ16の少なくとも一部が前部安全フレーム14よりも車体内側に位置するため、ランプ16が傷つくのを効果的に抑制することができる。
【0078】
また、前記ランプ16に接続され、前記前部安全フレーム14の車体内側を通るように配置される配線17をさらに具備するものである。
このように構成することにより、配線17が周囲の作物や障害物等に干渉するのを防止することができる。
【0079】
また、トラクタ1は、
前記固定部130を、前記使用位置又は前記収納位置に保持可能な保持機構140をさらに具備するものである。
このように構成することにより、ランプ16(固定部130)を所定の位置(使用位置及び収納位置)に安定して保持することができる。
【0080】
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、本発明に係る作業車両の一実施形態である。
また、本実施形態に係る第二平板部131は、本発明に係る平板部の一実施形態である。
また、本実施形態に係る前部安全フレーム14は、本発明に係る安全フレームの一実施形態である。
【0081】
次に、図11を用いて本発明の変形例(第二実施形態)について説明する。第二実施形態に係る支持部110は、使用位置にある固定部130(ランプ16)を後方に向かって回動させることで、収納位置に切り換えるように構成されている。
【0082】
具体的には、使用位置においては、第一実施形態と同様、ランプ16の照射面は前方を向くように配置される(図11の二点鎖線参照)。この状態から固定部130(ランプ16)を後方に向かって90度回動させることで、固定部130を収納位置に切り換えることができる。収納位置では、ランプ16の照射面が外側を向くことになる。
【0083】
なお、第二実施形態では、固定部130及びランプ16を後方に回動させた際に、固定部130等と前部安全フレーム14とが干渉しないように、挿通部112(固定部130の回動支点)を前部安全フレーム14より後方に配置しているが、各部材の配置はこれに限定するものではなく、任意に変更可能である。
【0084】
このように、第二実施形態に係る前記支持部110は、
前記固定部130を前記収納位置に切り換えた状態において、前記ランプ16の照射面が車体外側を向くように前記固定部130を支持するものである。
このように構成することにより、収納位置においてランプ16の照射面が車体外側を向くため、ランプ16の背面(ランプハウジング16aや、ランプハウジング16aに設けられた発光体等)が傷つくのを効果的に抑制することができる。
【0085】
また、前記支持部110は、
前記使用位置にある前記固定部130を後方に向かって回動させることで、前記収納位置に切り換えるものである。
このように構成することにより、固定部130(ランプ16)を後方に納めることで、周囲の作物や障害物等に干渉するのを抑制することができる。
【0086】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0087】
例えば、上記実施形態では、作業車両としてトラクタ1を例示したが、本発明はその他種々の作業車両(農業車両、建設車両、産業車両等)に適用することが可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、ランプ16は前部安全フレーム14に設けられるものとしたが、他の安全フレーム(後部安全フレーム15)や、その他の部材(例えば、フェンダ6等)に設けることも可能である。
【0089】
また、上記実施形態では、ランプ16はステップ10よりも前側に配置されるものとしたが、ランプ16を前後方向においてステップ10と同等の位置に配置することや、ステップ10よりも後側に配置することも可能である。例えば、ランプ16をステップ10よりも後方(フェンダ6や後部安全フレーム15等)に設けた場合には、ランプ16を後方(ステップ10から離れる方向)へと回動させる構成とすることによって、ランプ16が作業者の邪魔になるのを抑制することができる。
【0090】
また、使用位置及び収納位置におけるランプ16(固定部130)の配置(位置や向き等)は一例であり、任意に変更することができる。例えば、使用位置にある固定部130を90度回動させることで収納位置に切り換える構成を例示したが、位置を切り替える際の角度は任意に変更することができる。例えば、固定部130を使用位置から180度回動させることで収納位置に切り換える構成とすることも可能である。またランプ16は、使用位置において照射面を後方に向けるものであってもよい。
【0091】
また、本実施形態では、ランプ16は方向指示器や車幅灯として用いるものとして説明したが、ランプ16の用途はこれに限定するものではなく、本発明は種々の用途のランプ16に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 トラクタ
6 フェンダ
9 ステップ
14 前部安全フレーム
16 ランプ
17 配線
100 支持機構
110 支持部
120 防振部材
130 固定部
131 第二平板部
140 保持機構
図1
図2
図3
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図5
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図11