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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】燃料供給所管理システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20241122BHJP
【FI】
B67D7/32 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021114444
(22)【出願日】2021-07-09
(65)【公開番号】P2023010358
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2022-10-13
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】門脇 正天
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一浩
(72)【発明者】
【氏名】富樫 純一
(72)【発明者】
【氏名】野澤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】増田 彰
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】小川 恭司
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-295698(JP,A)
【文献】特開2000-79997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給対象に燃料を供給する複数の燃料供給機と、
表示手段を有すると共に前記各燃料供給機による燃料の供給を管理する管理機と、
前記複数の燃料供給機の各々に対応する燃料供給エリアを撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影された画像に基づいて記燃料供給エリアの異常の有無を判定する異常判定手段と、
前記複数の燃料供給機の供給状態を表示する一覧画面と、
前記複数の燃料供給機のうち、一の燃料供給機の供給状態と、前記異常判定手段により判定された前記一の燃料供給機に対応する燃料供給エリアの判定結果と、前記カメラにより撮影された当該燃料供給エリアの画像と、を表示する詳細画面と、
を切換えて前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料供給所管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料供給所管理システムであって、
前記表示制御手段は、前記一覧画面において前記異常判定手段により異常と判定された燃料供給エリアを報知させた後、前記一覧画面で係員が燃料供給エリアを指定した場合に、前記一覧画面を前記詳細画面に切換えることを特徴とする燃料供給所管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料供給所管理システムであって、
記表示制御手段は、前記異常判定手段により異常が無いと判定された場合には、前記詳細画面において供給を許可するボタンを表示させることを特徴とする燃料供給所管理システム。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれかに記載の燃料供給所管理システムであって、
前記表示制御手段は、前記一覧画面に表示される燃料供給エリアの前記異常判定手段による判定結果を、判定結果別に異なる色で表示させることを特徴とする燃料供給所管理システム。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれかに記載の燃料供給所管理システムであって、
前記表示制御手段は、前記詳細画面において、燃料供給機による供給を停止させる停止のボタンを表示させ、前記異常判定手段によって異常と判定された場合には、前記異常判定手段による判定結果および前記停止のボタンを同一の表示色で表示させることを特徴とする燃料供給所管理システム。
【請求項6】
請求項3に記載の燃料供給所管理システムであって、
前記表示制御手段は、前記異常判定手段によって異常と判定された場合には、前記詳細画面において、前記供給を許可するボタンに代えて、確認のボタンを表示させることを特徴とする燃料供給所管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料の供給を行う給油所に適用される燃料供給所管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給油対象に燃料を供給する複数の給油機と、表示装置を有すると共に前記各給油機による給油を管理する管理機と、前記各給油機に対応する給油エリアの状況を撮影する監視カメラと、を備えた給油所管理装置が開示されている。この給油所管理装置では、複数の給油エリアの稼働状況を表示装置に表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-238899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、特許文献1では、複数の給油エリアの稼働状況を表示装置に表示しているから、特定の給油エリアの稼働状況の詳細を確認するためには、現場に移動しなくてはならず、係員の負担となっている。
【0005】
そこで、監視カメラで撮影された画像の解析に基づいて、各給油エリアの稼働状況の異常の有無を判定し、この判定結果を表示装置に表示させることが考えられる。そのような場合、表示装置には、複数の給油エリアに関する情報と画像解析により判定された情報とが表示される。従って、表示装置に多くの情報が表示されることになり、係員が確認すべき情報を見落としたり、見誤ったりする虞がある。
【0006】
本発明の一実施形態の目的は、複数の燃料供給エリアの稼働状況に関する情報を簡単に、かつ正確に係員が得ることにより、燃料供給所を効率よく管理できるようにした燃料供給所管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、燃料供給対象に燃料を供給する複数の燃料供給機と、表示手段を有すると共に前記各燃料供給機による燃料の供給を管理する管理機と、前記複数の燃料供給機の各々に対応する燃料供給エリアを撮影するカメラと、前記カメラにより撮影された画像に基づいて記燃料供給エリアの異常の有無を判定する異常判定手段と、前記複数の燃料供給機の供給状態を表示する一覧画面と、前記複数の燃料供給機のうち、一の燃料供給機の供給状態と、前記異常判定手段により判定された前記一の燃料供給機に対応する燃料供給エリアの判定結果と、前記カメラにより撮影された当該燃料供給エリアの画像と、を表示する詳細画面と、を切換えて前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えている。

【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、複数の燃料供給エリアの稼働状況に関する情報を簡単に、かつ正確に係員が得ることができ、燃料供給所を効率よく管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による給油所管理システムを模式的に示す全体構成図である。
図2図1中の通信端末に表示される正常状態での一覧画面を示す説明図である。
図3】通信端末に表示される異常状態での一覧画面を示す説明図である。
図4図1中の通信端末に表示される正常状態での詳細画面を示す説明図である。
図5】通信端末に表示される異常状態での詳細画面を示す説明図である。
図6】給油所管理システムの制御処理を示す流れ図である。
図7図6の制御処理に続く流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態による燃料供給所管理システムの代表例として、ガソリン等の液体燃料を供給する給油所を管理する給油所管理システムを例に挙げ、図1ないし図7に従って詳細に説明する。
【0011】
図1は、燃料供給所管理システムとしての給油所管理システムを実施した給油所1を模式的に示している。図1において、給油所1の屋外には、例えば8台の給油機21~28が設置されている。給油機21~28は、給油対象となる車両にガソリン等の液体燃料を供給する。給油機21~28は、例えば2つの給油系統を備えている。なお、給油機は、単一の給油系統を備えたものでもよく、3つ以上の給油系統を備えたものでもよい。
【0012】
また、給油所1には、複数の監視カメラ31~3nが設けられている。複数の監視カメラ31~3nは、複数の給油機21~28に対応する燃料供給エリアとしての給油エリアの状況を検出する検出手段を構成している。監視カメラ31~3nは、複数の給油機21~28の稼働状況、例えば、給油レーンの状態、給油者による給油機21~28の操作状態等を監視するために、給油所1の全体を撮影している。監視カメラ31~3nは、後述のセルフサービスコントローラ5に無線または有線で接続されている。監視カメラ31~3nで撮影された画像は、給油エリアの情報としてセルフサービスコントローラ5に送信される。
【0013】
給油所1には、管理室4が設けられている。管理室4(屋内)には、例えば、給油機21~28に対する給油許可の制御処理等を行うセルフサービスコントローラ(以下「SSコントローラ」という)5と、販売時点情報管理を行うPOS端末(図示せず)と、が設けられている。
【0014】
SSコントローラ5は、後述する通信端末7(モニタ8)と共に、給油機21~28による給油を管理する管理機である。SSコントローラ5は、例えば、メインモニタ5Aと、後述の異常判定手段9、表示制御手段10、給油制御手段11と、を備えている。
【0015】
SSコントローラ5は、信号線6を介して、給油機21~28や監視カメラ31~3nに接続されている。このとき、SSコントローラ5と給油機21~28、監視カメラ31~3nとは、信号線6によるLAN(Local Area Network)によって相互に接続されている。なお、通信方式は、例えば、SS-LAN通信、Ethernet通信、Wi-Fi通信、Bluetooth(登録商標)通信、Wi-SUN通信、LTE通信、LPWA通信、ZigBee通信、WirelessHART通信、EnOcean通信等、どのような通信方式であっても構わない。これにより、SSコントローラ5と給油機21~28、監視カメラ31~3nとは、相互に各種の信号の送信と受信が可能となっている。また、SSコントローラ5は、無線方式の通信手段によって通信端末7に接続されている。
【0016】
通信端末7は、SSコントローラ5と共に管理機の役割を有する。通信端末7は、例えば、携帯可能なタブレット端末、スマートフォンによって構成されている。通信端末7は、液晶パネル、有機ELパネル等からなるタッチ式のモニタ8を有している。また、通信端末7は、SSコントローラ5との間で信号の送信および受信が可能となっている。モニタ8は、管理機の表示手段を構成している。また、通信端末7のモニタ8とSSコントローラ5のメインモニタ5Aに表示される内容は、同一のものでも良いし、給油機21~28の給油管理可能な画面構成であれば、これに限らない。なお、本発明においては、通信端末7のモニタ8に表示される画面を用いて説明する。
【0017】
これにより、図2図3に示すように、通信端末7のモニタ8には、給油機21~28に対応する全部の給油エリアの稼働状況と、図4図5に示すように、複数の給油エリアのうち、特定した一の給油エリアの稼働状況と、異常判定手段9により判定された一の給油エリアの判定結果と、が表示される。そして、全部の給油機21~28に対応する給油エリアの稼働状況を一括して表示するのが一覧画面(図2図3に示す画面)となる。一方、複数の給油エリアのうち、特定した一の給油エリアの稼働状況(給油者の行動、給油ノズルの取り扱い等)と異常判定手段9により判定された一の給油エリアの判定結果および設定された油種や給油量とを表示するのが詳細画面(図4図5に示す画面)となる。なお、図2図5では、後述する異常判定手段9による異常と判定された際の係員への注意喚起としての表示に用いられる赤色を黒色で表現し、緑色をハッチングで表現している。
【0018】
図2図3の一覧画面と図4図5の詳細画面とは、後述の表示制御手段10によって切換えられる。また、通信端末7は、係員がモニタ8をタッチ(例えば、モニタ8に表示された給油許可のボタン8Hや選択ボタン8A1~8A8に指先やペンを接触)することで、給油許可信号、画面の切換え信号等をSSコントローラ5に送信することができる。
【0019】
図2の一覧画面は、異常判定手段により給油エリアに異常が無いと判定された場合の画面である。一覧画面には、例えば、給油機21~28に個別に対応する選択ボタン8A1~8A8と、給油機21~28の給油動作を一斉に停止するボタン8Bと、給油機21~28のうち、選択した給油機21~28の給油動作を停止するボタン8Cと、一覧画面を詳細画面に切換える確認のボタン8Dと、を表示することができる。具体的に、選択ボタン8A1~8A8は、給油機21~28毎に区画された矩形状の表示領域として表示され、当該表示領域を係員がタッチすることで、選択ボタン押下信号(画面の切換え信号等)がSSコントローラ5に送信される。
【0020】
ここで、図2は、異常判定手段9により給油エリアに異常が無いと判定された状態を示しており、表示されている確認のボタン8Dおよび停止のボタン8Cは、非アクティブ状態である(表示されているが、押下しても機能しない状態を点線で示している)。当該ボタン8D,8Cは、例えば、係員により選択ボタン8A1~8A8が選択、または異常判定手段9により異常と判定されたことにより、アクティブ状態となる(図3参照)。また、図2では、確認ボタン8Dは、表示されているが、異常判定手段9が給油エリアに異常が有ると判定した場合のみ表示される構成であってもよい。
【0021】
選択ボタン8A1~8A8には、選択ボタン8A1に示すような三角形のアイコン(給油中)を表示することができる。選択ボタン8A1~8A8には、三角形のアイコン以外にも、給油待ちを示すアイコン、給油の一時停止を示すアイコン等を表示することができる。異常判定手段9により各給油エリアに異常が無いと判定された場合、例えば、選択ボタンの表示は、その表示領域にて白地の上に黒、赤、青等の異色でアイコンが表示される。
【0022】
また、異常判定手段9により各給油エリアに異常が無いと判定された場合、一覧画面には、設定器(図示せず)を用いて顧客により各種給油に関する情報(油種、給油量、給油金額)が設定されたことによる、給油許可待状態(図示せず)が表示される(対応する選択ボタン内に「給油待ち」のアイコンが表示される)。そして、係員により当該選択ボタンが押下されると図4の詳細画面に切換わる。
【0023】
また、各給油エリアに異常が有る場合、図3の一覧画面において、確認のボタン8D、停止のボタン8Cが表示されると共に当該給油エリアに対応する選択ボタン8A1の表示領域が赤色表示される。係員は、当該給油エリアまたは選択ボタン8A1を指定(押下)することにより、図3の一覧画面を図5の詳細画面に切換えることができる。また、確認のボタン8Dは、当該給油エリアを指定(対応する選択ボタンを押下)することにより表示されるようにしてもよい。
【0024】
選択ボタン8A1~8A8、一斉停止のボタン8B、停止のボタン8C、確認のボタン8D等は、SSコントローラ5の出力信号を受信してモニタ8に表示される。また、選択ボタン8A1~8A8、ボタン8B~8Dは、その表示領域を係員がタッチすることで、それぞれの動作信号をSSコントローラ5に向けて出力することができる。また、一斉停止のボタン8B、停止のボタン8Cの表示は、その表示領域にて赤色地の上に白抜き文字で表示される。これにより、係員に対してより強調して異常を報知させることができる。なお、上述した一覧画面は、一例を示したものであり、レイアウト、表示数等はこれに限るものではない。
【0025】
図3の一覧画面においては、後述する異常判定手段9により給油機21に異常が有ると判定された場合に、選択ボタン8A1、ボタン8Bおよびボタン8Cの表示領域の内部にて、アイコンや数字を除いた箇所を例えば、赤色表示させる。また、その後、係員により選択ボタン8A1、または確認のボタン8Dが押下されると、給油機21の詳細画像(監視カメラ31~3nの画像を含む表示)に遷移する。これにより、係員は、給油機21に異常が発生したことを把握でき、詳細画面にて監視カメラ31~3nで撮影された映像から詳細な給油状況を理解することができる。
【0026】
図4の詳細画面は、異常判定手段9により異常が無いと判定された場合(正常な状態)の画面が表示される。この詳細画面には、例えば、一覧画面の一斉停止のボタン8B、停止のボタン8Cと、許可のボタン8Hと、詳細画面に切換えられた際に指定された給油エリアの画像を表示する画像表示部8Eと、画像表示部8Eの上側に表示される給油状態表示部8Fと、画像表示部8Eの下側に表示される異常判定結果表示部8Gと、を表示することができる。また、詳細画面には、油種や給油量等を表示することもできる。一方、異常判定手段9により異常が有ると判定された場合(異常判定結果が危険または注意の場合)には、許可のボタン8Hに代えて、確認のボタン8Dが表示され、画像表示部8Eには、異常判定手段9により異常有りと判定した画像が表示される。なお、上述した詳細画面は、一例を示したものであり、レイアウト、表示数等はこれに限るものではない。
【0027】
給油状態表示部8Fには、給油機の稼働状況として、待機中(車両待ち)、給油待ち(例えば、給油ノズルを車両の給油口に挿入する作業途中)、給油中、等を文字やアイコンで表示することができる。また、異常判定結果表示部8Gには、喫煙、ノズル挿入不良等の危険項目、給油機21~28から給油ノズルを外した給油ノズルの外れ等の注意項目、給油ノズルが給油口に正しく挿入されている正常項目、機器の故障等で給油機の稼働状況等を検知することができない検知無し、を含む項目を文字やアイコンで表示することができる。
【0028】
図5の詳細画面の確認のボタン8Dは、画像表示部8Eに表示された画像を係員が目視で確認し、給油エリアに異常が無いと判断されたときに押下(タッチ)される。この確認のボタン8Dが押下されると、異常が解消されたと判定され、確認のボタン8D(図5の詳細画面)が給油を許可する許可のボタン8H(図4の詳細画面)に切換わる。なお、給油エリアに異常が無いと判定されている場合に、一覧画面から詳細画面に切換わった場合には、当該確認ボタンは許可ボタンとなる。
【0029】
異常判定手段9は、例えば、SSコントローラ5に内蔵されている。異常判定手段9は、監視カメラ31~3nが撮影した画像の情報に基づいて給油エリアに異常が発生したか否かを判定する。具体的には、異常判定手段9は、監視カメラ31~3nが撮影した給油エリアの画像(図3参照)と、正しい給油作業を予め学習させた学習済モデルと、を用いて、正しい給油作業を検知できない場合には異常と判定する。即ち、異常判定手段9は、AI(人工知能)の機械学習による画像認識技術により判定している。この場合、AIは、給油者の動作、車両の給油口の位置、給油ノズルの位置、給油ノズルの向き等の情報を基にして、各給油エリアの異常の有無を判定する。また、異常判定手段9は、予め学習した正しい給油作業の画像との比較から異常の有無を判定できない場合もあり、その場合には、不明(係員による注意が必要)と判定する。これにより、異常判定手段9は、異常判定の際、「危険レベル」、「注意レベル」、「正常レベル」のいずれかを判定する。なお、異常判定手段9は、上記以外にも、給油機21~2nや給油所1内の各機器の異常の有無も判定する。
【0030】
表示制御手段10は、例えば、SSコントローラ5に内蔵されている。表示制御手段10は、異常判定手段9が各給油エリアの異常の有無を判定した際に利用した情報および異常判定手段9による判定結果を通信端末7のモニタ8に表示させる。具体的には、表示制御手段10は、図2図3の一覧画面では、複数の給油エリア毎の稼働状況を一括して表示させる。
【0031】
また、表示制御手段10は、図4図5の詳細画面では、監視カメラ31~3nが撮影した画像(映像も含む)をモニタ8の画像表示部8Eに表示させ、特定した給油エリアの稼働状況を給油状態表示部8Fに表示させ、特定した給油エリアを異常判定手段9が判定した結果を異常判定結果表示部8Gに表示させる。
【0032】
さらに、表示制御手段10は、図3の一覧画面において、異常判定手段9により異常と判定された給油エリア、例えば、給油機21に対応する給油エリアを報知させる。具体的には、一覧画面の選択ボタン8A1の色を赤色(図3では黒色)に変更する。異常と判定された給油エリアが報知されると、係員は、図3の一覧画面の選択ボタン8A1を押下して給油エリアを指定することにより、図3の一覧画面を図5の詳細画面に切換えることができる。これにより、通信端末7のモニタ8には、異常判定手段9により異常と判定された給油エリアの情報(状況)を拡大して表示することができる。また、異常判定手段9により異常ではない(異常が発生していない)と判定された場合には、例えば、一覧画面の選択ボタン8A1の色を緑色に変更させてもよい。これにより、係員は、異常判定手段9によりどのような判定がなされたのかが容易に把握でき、複数の給油エリアを監視する上で、異常判定手段により、異常が発生したと判定された給油エリア、異常が無いと判定された給油エリアが混在している場合には、異常が発生したと判定された給油エリアを優先的に対応することができる。
【0033】
図1に示すように、給油制御手段11は、通信端末7のモニタ8の詳細画面(図4)に表示された給油を許可するボタン8Hを係員が押下したことにより通信端末7から送信された信号(許可ボタン操作信号)を受信した場合に、給油機21~28へ給油許可信号を送信する。それにより、給油許可信号を受信した給油機21~28の給油ポンプ(図示せず)が駆動し、給油が可能となる。
【0034】
次に、図2ないし図7を参照して、本実施形態による表示制御手段10および給油制御手段11の給油所管理システムの制御処理の一部について説明する。なお、図6図7に示す流れ図のステップは、それぞれ「S」という表記を用い、例えばステップ1を「S1」として示す。
【0035】
図6図7に示す制御処理を開始する。S1では、各給油エリアの情報として、各給油機21~28の給油状態と、監視カメラ31~3nによって撮影した画像等の情報からなる監視情報と、をSSコントローラ5で受信する。S2では、通信端末7のモニタ8に図2に示す一覧画面を表示し、給油状態をアイコンで示す。例えば、選択ボタン8A1に三角形のアイコンが表示されており、給油機21が給油中であることを示している。
【0036】
S3では、異常判定手段9によってS1にて取得した監視情報に基づいて、給油状態が危険レベルか否かを判定する。危険レベルであると判定された場合、S3で「YES」と判定し、S4に移行する。S4では、図3に示すように、選択ボタン8A1を赤色とし、係員に報知する。ここで、一覧画面に、給油動作を許可するボタンが表示されている場合には、この許可するボタンが確認のボタン8Dに切換わる。
【0037】
S5では、一覧画面の選択ボタン8A1または確認のボタン8Dを係員が操作(押下、タッチ)したか否かを判定し、操作したと判定された場合には、S6に移って、モニタ8を図3の一覧画面から監視カメラ31~3nによって撮影した画像が表示された図5の詳細画面に切換える。続いて、S7では、給油状態として「給油中」の文字を給油状態表示部8Fに表示する。また、異常判定手段の判定結果である「ノズル挿入不良」の文字を異常判定結果表示部8Gに表示し、S9に進む。なお、S5にて、ボタン操作されていないと判定されている場合には、S8にて所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していない場合には、S5の処理を繰り返す。一方、S8にて所定時間経過した場合には、後述するS21にて係員に報知させて終了する。
【0038】
これにより、図5の詳細画面では、給油エリアの画像を大きく表示でき、給油状態表示部8Fに「給油中」であることを赤色で表示でき、異常判定結果表示部8Gに「ノズル挿入不良」であることを赤色で表示できる。S9では、詳細画面に表示された確認のボタン8Dが操作されたか否かを判定して、操作したと判定された場合には、S10に進み、図4の詳細画面のように、異常判定結果表示部8Gを赤色から緑色に表示変更させると共に、異常判定結果表示部8Gの表示を「ノズル挿入OK」に変更する。具体的には、異常判定手段9により異常と判定された場合、図5の詳細画面によって給油エリアの現状を正確に把握した係員は、異常に対して各種対応を行った後に、当該確認ボタン8Dを操作する。これにより、異常状態が解消されたものとして、赤色表示が通常状態(正常状態:緑色)に戻る。また、S9にて、確認ボタン8Dが操作されていない場合には、S11にて所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していない場合には、S9の処理を繰り返す。一方、S11にて所定時間経過した場合には、後述するS21にて係員に報知させて終了する。
【0039】
また、S10にてアイコンを赤色から緑色に表示変更させた後、S22にて、給油を許可するボタン8Hを表示させて、S23に進む。このS23では、係員により許可のボタン8Hが操作されたか否かを判定し、操作したと判定された場合にはS24に進み、操作したと判定されない場合には、S23の判定を繰り返す。次にS24では、給油機(ポンプ)に対し給油許可信号(給油機21~28のポンプ駆動信号)を送信し、本制御を終了する。これにより、異常が発生した場合に、係員による確認(異常解消)がなされた後に、給油機21~28へ給油許可信号が送信できるので、給油作業の安全化が図られる。
【0040】
一方、S3で「NO」と判定された場合には、図7のS12に移る。このS12では、異常判定手段9による判定結果が注意レベルか否かを判定する。注意レベルであると判定された場合、S12で「YES」と判定し、S13に移行する。S13では、選択ボタン8A1を黄色とし、係員に報知する。また、一覧画面で、給油動作を許可するボタンが表示されている場合には、この許可するボタンが確認のボタン8Dに切換わる。
【0041】
S14では、一覧画面の選択ボタン8A1または確認のボタン8Dを係員が操作(押下、タッチ)したか否かを判定し、操作したと判定された場合にはS15に移って、モニタ8を図3の一覧画面から監視カメラ31~3nによって撮影した画像が表示された図5の詳細画面に切換える。続いて、S16では、給油状態として「給油中」の文字を給油状態表示部8Fに表示する。また、異常判定手段の判定結果である「ノズル外れ」の文字を異常判定結果表示部8Gに表示する。なお、S14にて、ボタン操作されていないと判定されている場合には、S17にて所定時間経過したか否かは判定し、所定時間経過していない場合には、S14の処理を繰り返す。一方、S17にて所定時間経過した場合には、後述するS21にて係員に報知させて終了する。
【0042】
これにより、図5の詳細画面では、給油エリアの画像を大きく表示でき、給油状態表示部8Fに「給油中」であることを黄色で表示でき、異常判定結果表示部8Gに「ノズル外れ」であることを黄色で表示できる。その後、S9に移る。
【0043】
また、S12で「NO」と判定された場合には、S18に移る。このS18では、異常判定手段9による判定結果が正常レベルか否かを判定する。正常レベルであると判定された場合、S18で「YES」と判定し、S19に移行する。S19では、選択ボタン8A1を緑色とする。
【0044】
さらに、S18で「NO」と判定された場合には、S20に移る。このS20では、例えば、機器の故障等(監視カメラ31~3nからの信号が受信できない等)で検知することができなかったり、そもそも異常判定手段9による異常有無の判定を行っていなかったりした場合を含み、その場合には「検知無し」として、アイコンを灰色表示させる。続くS21では、「検知無し」であることを係員に報知する。これにより、係員は、機器の故障等(監視カメラ31~3nからの信号が受信できない等)や異常判定手段9による異常有無の判定を行っていないことが把握できる。また、「検知無し」の原因としては、信号線6の断絶や通信環境の悪化も考えられる。
【0045】
かくして、本実施形態によれば、表示制御手段10は、複数の給油機21~28に対応する給油エリア毎の稼働状況を表示する一覧画面(図2)と、複数の燃料供給エリアのうち、異常判定手段9により判定された一の給油エリアの判定結果を含む当該一の燃料供給エリアの詳細情報を表示する詳細画面(図3)と、を切換えて通信端末7のモニタ8に表示させることができる。
【0046】
従って、通信端末7のモニタ8の詳細画面には、特定した一の給油エリアの稼働状況、例えば、給油エリアの画像を大きく表示できる。この上で、異常判定手段9によって異常が有ると判定された際には、その給油エリアの給油状態と異常判定手段による判定結果とを表示することができる。
【0047】
これにより、係員は、モニタ8の詳細画面を目視することにより、異常が有ると判定された給油エリアの稼働状況に関する情報を簡単に、かつ正確に得ることができる。この結果、給油所1の各給油エリアを効率よく管理することができる。
【0048】
また、表示制御手段10は、図3の一覧画面において異常判定手段9により異常と判定された給油エリアを報知させた後、一覧画面で係員が給油エリアを指定した場合、即ち、モニタ8の選択ボタン8A1~8A8のいずれかを押下した場合に、図3一覧画面を図5の詳細画面に切換えることができる。これにより、係員が気になる給油エリアの稼働状況を詳細画面で確認することができる。
【0049】
さらに、表示制御手段10は、異常判定手段9による一の給油エリアに関する判定結果と共に監視カメラ31~3nにより撮影された画像を図4図5の詳細画面に表示させることができる。これにより、係員は、給油エリアの現在の状況を目視で確認することができ、稼働状況を正確に把握することができる。
【0050】
なお、実施形態では、8台の給油機21~28を備えた給油所1を例に挙げて説明したが、本発明は、1台の給油機を備えた給油所に適用してもよく、2台~7台の給油機を備えた給油所に適用してもよく、9台以上の給油機を備えた給油所に適用してもよい。また、上述の実施形態では、1個の通信端末7を備えた給油所1を例に挙げて説明したが、本発明は、2個以上の通信端末を備えた給油所に適用してもよい。
【0051】
実施形態では、通信端末7によって各種の操作を行った場合を例示している。しかし、本発明では、通信端末7と一緒にSSコントローラ5によって各種の操作を行うようにしてもよい。
【0052】
実施形態では、表示制御手段10は、モニタ8の選択ボタン8A1~8A8のいずれか、または確認のボタン8Dを押下することで一覧画面を詳細画面に切換えるようにした場合を例示している。しかし、異常判定手段9が異常と判定したときに自動的に一覧画面を詳細画面に切換えるようにしてもよい。
【0053】
また、実施形態では、液体燃料を車両等へ供給する給油機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、CNGやLPG等の燃料を車両等に供給する燃料供給機が備えられた燃料供給所に適用してもよい。
【0054】
また、実施形態では、異常判定手段9は給油者の給油行動についての異常の有無を判定したが、これに限らず、給油機等の機器や給油所内の各機器の通信状況から異常の有無を判定してもよい。また、実施形態では、AI(人工知能)の機械学習による画像認識技術を用いて、給油エリアの画像と正しい給油作業を予め学習させた学習済モデルとから、正しい給油作業を検知できない場合には異常と判定したが、これに限らず、例えば、異常な給油作業を予め学習させた学習済モデルを用いて異常の有無を判定してもよい。さらには、機械学習が必要なAI(人工知能)以外を用いた画像認識技術を用いてもよいし、カメラ以外の外部センサの出力データから得られた情報により異常の有無を判定してもよい。
【0055】
次に、上記実施形態に含まれる燃料供給所管理システムとして、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0056】
第1の態様としては、燃料供給対象に燃料を供給する複数の燃料供給機と、表示手段を有すると共に前記各燃料供給機による燃料の供給を管理する管理機と、前記各燃料供給機に対応する燃料供給エリアの状況を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された情報に基づいて前記各燃料供給エリアの異常の有無を判定する異常判定手段と、前記複数の燃料供給エリア毎の稼働状況を表示する一覧画面と、前記異常判定手段により判定された前記一の燃料供給エリアの判定結果を含む当該一の燃料供給エリアの詳細情報を表示する詳細画面と、を切換えて前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0057】
第2の態様としては、第1の態様において、前記表示制御手段は、前記一覧画面において前記異常判定手段により異常と判定された燃料供給エリアを報知させた後、前記一覧画面で係員が燃料供給エリアを指定した場合に、前記一覧画面を前記詳細画面に切換えることを特徴としている。
【0058】
第3の態様としては、第1の態様において、前記検出手段は、燃料供給所内を撮影するカメラからなり、前記表示制御手段は、前記異常判定手段による前記一の燃料供給エリアに関する判定結果と共に前記カメラにより撮影された画像を前記詳細画面に表示させることを特徴としている。
【0059】
第4の態様としては、第1ないし3のいずれかの態様において、前記表示手段は、前記詳細画面において給油許可に関する許可のボタンを表示してなり、前記表示制御手段は、前記異常判定手段により異常が無いと判定された場合には、前記詳細画面において前記許可のボタンを表示させることを特徴としている。
【0060】
第5の態様としては、第1ないし4のいずれかの態様において、前記表示制御手段は、前記一覧画面に表示される燃料供給エリアの前記異常判定手段による判定結果を、判定結果別に異なる色で表示させることを特徴としている。
【0061】
第6の態様としては、第1ないし5のいずれかの態様において、前記表示手段は、前記一覧画面または前記詳細画面において燃料供給機による給油を停止させるための停止のボタンが表示されてなり、前記表示制御手段は、前記異常判定手段によって異常と判定された場合には、前記異常判定手段による判定結果および前記停止のボタンを同一の表示色で表示させることを特徴としている。
【符号の説明】
【0062】
1 給油所(燃料供給所)
1~28 給油機(燃料給油機)
1~3n 監視カメラ(検出手段)
5 セルフサービスコントローラ(管理機)
5A メインモニタ(表示手段)
7 通信端末(管理機)
8 モニタ(表示手段)
8A1~8A8 選択ボタン
8C 停止のボタン
8D 確認のボタン
8E 画像表示部
8F 給油状態表示部
8G 異常判定結果表示部
8H 給油の許可のボタン
9 異常判定手段
10 表示制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7