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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】フック収納構造
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
E02F3/36 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021124925
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023019870
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】山崎 辰雄
(72)【発明者】
【氏名】槇野 裕太
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-042544(JP,A)
【文献】特開2019-138002(JP,A)
【文献】特開2007-161397(JP,A)
【文献】特開2019-056256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/28- 3/413
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のリンク装置にフックを収納するフック収納構造であって、
前記リンク装置は、対向配置された一対のリンクを備え、
前記フックは、前記一対のリンクの間に回動可能に支持される基部と、湾曲形成された鍵部と、
前記フック収納構造は、前記一対のリンクの間で回動可能に支持される押さえ部材を、前記鍵部の端部に当接する当接位置に固定することにより、前記フックの回動を禁止するロック位置と、前記押さえ部材の前記当接位置での固定を解除することにより、前記フックの回動禁止を解除する解除位置との間で切り替えられるロック機構を備え
前記ロック機構は、前記押さえ部材と一体となって回動し、前記一対のリンクの一方のリンクに対して回動可能で且つ回動軸方向に移動可能に取り付けられ、前記回動軸方向と直交する方向に突設された突設部を有するロック軸と、
前記一方のリンクと前記押さえ部材との間に配置されていて、前記一方のリンクに対して固定され、前記一対のリンクの他方のリンクの側に凹設された第1溝部を有する支持部材と、
前記ロック軸を前記一方のリンクの側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記ロック機構を前記ロック位置へ切り替えると、前記ロック軸が前記押さえ部材と共に所定の回動方向へ回動して、前記押さえ部材が前記鍵部の端部に当接して前記フックの回動を禁止すると共に、前記突設部が前記付勢部材の付勢力によって前記第1溝部に向けて付勢される一方、
前記ロック機構を前記解除位置へ切り替えると、前記ロック軸が前記押さえ部材と共に前記回動方向と逆方向へ回動して、前記押さえ部材と前記鍵部の端部との当接が解除されて前記フックの回動禁止を解除すると共に、前記突設部が前記付勢部材の付勢力に抗して前記第1溝部への付勢を解除されることを特徴とするフック収納構造。
【請求項2】
前記一方のリンクは、前記ロック軸の端部を視認できるように設置されたロック軸孔を有することを特徴とする請求項に記載のフック収納構造。
【請求項3】
前記ロック機構を前記ロック位置へ回動させると、前記突設部が前記第1溝部に係合することを特徴とする請求項又はに記載のフック収納構造。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記押さえ部材の回動領域を規制する回り止めを備えることを特徴とする請求項ないしの何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項5】
前記押さえ部材は、前記鍵部を前記一方のリンク及び前記他方のリンクの少なくとも一方側から覆うガイド部材を有することを特徴とする請求項ないしの何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項6】
前記支持部材は、前記一対のリンクの他方のリンクの側で前記第1溝部と異なる位置に凹設された第2溝部を有し、
前記ロック軸を前記押さえ部材と共に前記解除位置へ回動させると、前記突設部が前記付勢部材の付勢力によって前記第2溝部に向けて付勢されることを特徴とする請求項ないしの何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項7】
前記フックは、前記鍵部を前記一対のリンクの間に収納する収納方向又は前記鍵部を前記一対のリンクの間から引き出す展開方向へ回動し、
前記フック収納構造は、前記基部を前記収納方向の側から保持する保持部材を備えることを特徴とする請求項ないしの何れか1項に記載のフック収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル等の建設機械のバケットリンク等のリンク装置にフックを収納するフック収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショベル等の建設機械は、ブーム、アーム及びバケット等で構成される作業機を備えていて、バケットによる掘削作業等を行うことができる。また、建設機械は、作業機を用いて物を吊り下げるために、バケットの端部にフックを備えている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されるフック付き作業具リンクは、第1プレートを含むリンク部材と、固定位置と固定解除位置との間で移動可能にリンク部材に支持されたフックと、固定位置にあるフックの鉤部内に挿通されたロック位置と鉤部内から抜け出したロック解除位置との間で移動可能なピンと、ピンがロック位置にあるときにピンを中心として移動可能位置と移動規制位置との間で回転可能な突出部材と、突出部材が移動可能位置にあるときにはピンのロック位置とロック解除位置との間の移動を可能とし、かつ突出部材が移動規制位置にあるときにピンがロック解除位置へ移動することを規制する補助部材とを備えている。突出部材および補助部材の双方は、第1プレートに対して、固定位置にあるフックとは反対側に位置している。なお、突出部材に取り付けられた止め輪が補助部材に引っ掛けられることで、突出部材がピンを中心に回転することが拘束される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-77519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に開示される技術では、止め輪が補助部材に係止されることで突出部材を移動規制位置に固定する。しかし、フック付き作業具リンクは油圧ショベルのバケットに取り付けられるので、掘削中に止め輪の係止が外れて、突出部材の移動規制位置への固定が解除されてしまい、突出部材が回転してフックが収納部から展開されてしまう恐れがある。このように、フックはバケットに取り付けられるために、バケットを用いた掘削中では、フックの収納を維持することが困難である。なお、フックを堅固に収納すれば、フックの収納を維持することができるが、フックの使用時に展開し難くなる。
【0006】
本発明は、安全にフックを収納でき、かつ簡易にフックを展開できるフック収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のフック収納構造は、建設機械のリンク装置にフックを収納するフック収納構造であって、前記リンク装置は、対向配置された一対のリンクを備え、前記フックは、前記一対のリンクの間に回動可能に支持される基部と、湾曲形成された鍵部と、を備え、前記フック収納構造は、前記一対のリンクの間で回動可能に支持される押さえ部材を、前記鍵部の端部に当接する当接位置に固定することにより、前記フックの回動を禁止するロック位置と、前記押さえ部材の前記当接位置での固定を解除することにより、前記フックの回動禁止を解除する解除位置との間で切り替えられるロック機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安全にフックを収納でき、かつ簡易にフックを展開できるフック収納構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る建設機械の例を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを収納した状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを収納した状態を示す正面図である。
図4】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを収納した状態を示す側面図である。
図5】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを展開した状態を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを展開した状態を示す正面図である。
図7】本発明の実施形態に係るリンク装置において、ロック機構の支持部材の例を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係るリンク装置において、ロック機構の押さえ部材の例を示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係るリンク装置において、ロック機構の支持部材の他の例を示す斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係るリンク装置において、ロック機構の支持部材の他の例を示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係るリンク装置において、ロック機構の支持部材の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態として建設機械1について図を参照して説明する。図1は、本実施形態の建設機械1を示す斜視図である。
【0011】
建設機械1は、例えば、建設現場や解体現場、鉱山等で用いられ、作業者の操作に応じて土木作業や建築作業等の作業を行う。本実施形態において、建設機械1は、土砂の掘削作業等を行う油圧ショベルで構成される。建設機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備え、下部走行体2の上方で上部旋回体3及び作業機4が旋回可能に設けられた作業車として構成されている。作業機4は、本発明のフック収納構造100を有し、フック収納構造100の詳細は後述する。
【0012】
下部走行体2は、左右一対のクローラ10と、フレーム11とを備えている。一対のクローラ10は、上部旋回体3のエンジン12から動力を受けて駆動して建設機械1の走行等を行う。フレーム11は、一対のクローラ10の間に設けられ、上部旋回体3を旋回可能に支持する。
【0013】
上部旋回体3は、エンジン12と、キャビン13とを備えている。キャビン13の内部には、作業者が着座するための運転席や、各種情報を表示するための表示装置や、作業者が操作するための操作装置等が設置されている。操作装置は、建設機械1の走行及び上部旋回体3の旋回の操作や、作業機4の作業の操作等を受け付け、例えば、作業機4のブーム20、アーム21及びバケット22の回動操作を受け付ける。
【0014】
作業機4は、作業者の操作に応じて土砂の掘削作業等の各種作業を行う。作業機4は、上部旋回体3に取り付けられていて、ブーム20と、アーム21と、掘削作業用のバケット22とから構成されている。以下の作業機4の説明において、上部旋回体3に近い側を基端側とし、上部旋回体3から遠い側(バケット22に近い側)を先端側とする。
【0015】
建設機械1は、作業機4を作動油の油圧動力によって駆動するもので、ブーム20、アーム21及びバケット22をそれぞれ駆動する油圧アクチュエータ(図示せず)を備えている。建設機械1は、エンジン12で生じた動力を利用して、油圧タンク(図示せず)から作動油を油圧ポンプ(図示せず)によって油圧アクチュエータへ供給し、油圧ポンプによって加圧された作動油を動力伝達媒体として油圧アクチュエータを駆動する。
【0016】
ブーム20は、下部走行体2と上部旋回体3とからなる機体に対して油圧駆動するブームシリンダ24によって回動可能に設けられている。例えば、ブーム20は、上部旋回体3の下部付近に基端を有し、基端を支点にして延在していて、上下に回動するように構成される。
【0017】
アーム21は、ブーム20の先端に取り付けられていて、ブーム20に対して油圧駆動するアームシリンダ25によって回動可能に設けられている。例えば、アーム21は、ブーム20の先端付近に基端を有し、基端を支点にして延在していて、上下又は前後に回動するように構成される。
【0018】
バケット22は、アーム21の先端に取り付けられていて、アーム21に対して油圧駆動するバケットシリンダ26によって回動可能に設けられている。例えば、バケット22は、アーム21の先端付近に基端を有し、基端を支点にして上下又は前後に回動するように構成される。
【0019】
具体的には、アーム21の先端と、バケット22の基端の外面に設けられたバケットブラケット27の基端とが、左右方向を軸方向とするバケット軸28によって軸支されていて、これにより、バケット22がアーム21に対して回動可能である。バケットブラケット27は、一対のブラケット27aからなり、アーム21の先端は、一対のブラケット27aの間に介設されている。
【0020】
また、バケットシリンダ26の先端と、バケットブラケット27の先端とが、リンク装置30を介して連結されている。ここで、バケットシリンダ26の先端とリンク装置30の基端とが、左右方向を軸方向とする第1リンク軸31によって軸支され、バケットブラケット27の先端とリンク装置30の先端とが、左右方向を軸方向とする第2リンク軸32によって軸支されている。これにより、リンク装置30がバケットシリンダ26及びバケットブラケット27に対してそれぞれ回動可能であり、バケットシリンダ26がアーム21に対して伸縮することで、バケット22が回動する。リンク装置30の先端は、一対のブラケット27aの間に介設されている。また、リンク装置30は、図2図6に示すように、一対のリンク30a、30bからなり、バケットシリンダ26の先端は、一対のリンク30a、30bの間に介設されている。
【0021】
更に、アーム21の先端側と、リンク装置30の基端とが、一対のリンク支持部材33を介して連結されている。ここで、アーム21と各リンク支持部材33の基端とが、左右方向を軸方向とする第3リンク軸34によって軸支され、リンク装置30の基端と各リンク支持部材33の先端とが第1リンク軸31によって軸支されている。これにより、各リンク支持部材33がアーム21及びリンク装置30に対してそれぞれ回動可能である。アーム21の先端側は、一対のリンク支持部材33の基端の間に介設され、リンク装置30の基端は、一対のリンク支持部材33の先端の間に介設されている。
【0022】
次に、リンク装置30について図2図6を参照して説明する。図2は、フック36を収納したリンク装置30の斜視図を示し、図3は、フック36を収納したリンク装置30の正面図を示し、図4は、フック36を収納したリンク装置30の側面図を示す。また、図5は、フック36を展開したリンク装置30の斜視図を示し、図6は、フック36を展開したリンク装置30の正面図を示す。
【0023】
リンク装置30は、長尺の板状に形成された一対のリンク30a、30bを対向配置して構成される。リンク装置30は、リンク装置30に対して回動可能なフック36を備えていて、フック36を収納するフック収納構造100を有する。フック36は、リンク装置30に軸支される基部37と、物を吊り下げるために湾曲形成された鍵部38とを有し、鍵部38は、スイベル等を介して基部37に取り付けられて、基部37に対して回転可能になっている。
【0024】
また、フック収納構造100は、リンク装置30に収納したフック36の回動を禁止するためのロック機構50を有し、本実施形態のロック機構50は、一対のリンク30a、30bのうち、一方のリンク30aに取り付けられる。以下、一方のリンク30aの説明において、他方のリンク30bに対向する側を内側とし、その反対側を外側とする。また、他方のリンク30bの説明において、一方のリンク30aに対向する側を内側とし、その反対側を外側とする。
【0025】
一対のリンク30a、30bの基端には、第1リンク軸31が左右方向に貫通して挿入される基端軸孔40が形成され、一対のリンク30a、30bの先端には、第2リンク軸32が左右方向に貫通して挿入される先端軸孔41が形成されている。一対のリンク30a、30bの先端の間に、フック36の基部37が介設されていて、第2リンク軸32が基部37のフック軸孔(図示せず)に貫通して、フック36が第2リンク軸32によって軸支されている。これにより、フック36は、第2リンク軸32の周りを回動可能となり、鍵部38が一対のリンク30a、30bの間に収納される収納位置と、鍵部38が一対のリンク30a、30bの間から展開される展開位置との間を回動する。
【0026】
ロック機構50は、収納位置のフック36のリンク装置30に対する回動を禁止するロック位置と、フック36の回動禁止を解除する解除位置との間で切り替えられるように構成される。ロック機構50が取り付けられる一方のリンク30aは、ロック機構50を軸支するためのロック軸孔42を有する(図4参照)。
【0027】
ロック機構50は、一方のリンク30aに固定される支持部材51と、一方のリンク30aに軸支されるロック軸52と、ロック軸52に取り付けられる押さえ部材53と、ロック軸52及び押さえ部材53を一方のリンク30aの側に付勢する付勢部材54とを備える。
【0028】
支持部材51は、図7に示すように、第1板部分56aと第2板部分56bとからなるL字状の支持板56と、第2板部分56bの背面に立設された軸受板57とから構成される。第1板部分56aの背面を一方のリンク30aの内側面(他方のリンク30bに対向する面)に合わせると共に、第2板部分56bを一方のリンク30aの基端側に向けた状態で、支持板56が一方のリンク30aに締結される。
【0029】
軸受板57は、一方のリンク30aのロック軸孔42に対応する位置に軸受孔58を有していて(図7参照)、軸受板57の内側面(他方のリンク30bに対向する面)には、第1溝部59が、軸受孔58の中心を通る直線状に延びるように設けられ、例えば、V字型に凹設されている。
【0030】
軸受板57は、軸受孔58よりも基端側に回り止め60を備えていて、回り止め60は、軸受板57の内側(他方のリンク30bに対向する側)に向けて突出していて、例えば、円柱状に形成される。回り止め60は、ロック軸52と一体となって回動する押さえ部材53の回動領域を規制するものであり、例えば、解除位置向き(展開方向)の回動を所定の回動角度に規制する位置と、ロック位置向き(収納方向)の回動を所定の回動角度に規制する位置とに配置される。
【0031】
ロック軸52は、ロック軸孔42及び軸受孔58に貫通して挿入され、一方のリンク30aに対して回動可能で、且つ回動軸方向に移動可能に取り付けられる。ロック軸52は、一方のリンク30aの外側に突出しない一方、支持部材51の軸受板57の内側に突出する長さで形成される。ロック軸52は、一方のリンク30aの外側から見てロック軸孔42から露出していて、ロック軸孔42を介して視認、操作可能に設けられる。
【0032】
また、ロック軸52は、図8に示すように、回動軸方向と直交する方向に突設された突設部62を備え、突設部62は、軸受板57よりも内側でロック軸52に設けられる。突設部62は、例えば、第1溝部59に係合する太さの円柱状又は円筒状に形成され、スプリングピンで構成されてロック軸52を貫通して設けられる。
【0033】
押さえ部材53は、図8に示すように、S字状に湾曲した板状に形成され、フック36の鍵部38の先端を収容可能な第1湾曲部64と、第1湾曲部64から延びた第2湾曲部65とから構成される。押さえ部材53は、一対のリンク30a、30bの間で、フック36の収納方向の側に第1湾曲部64を配置し、展開方向の側に第2湾曲部65を配置して設けられ、第1湾曲部64が、ロック軸52の内側(他方のリンク30bに対向する側)の端部に一体的に取り付けられている。
【0034】
押さえ部材53の内側(他方のリンク30bに対向する側)には、フック36の鍵部38を内側から覆う板状のガイド部材66が一体的に取り付けられている。支持部材51及び押さえ部材53は、ガイド部材66と支持部材51の支持板56との間の距離が、フック36の鍵部38の厚みよりわずかに長いように構成される。
【0035】
付勢部材54は、例えば、一方のリンク30aと支持部材51の軸受板57との間でロック軸52に挿入されるコイルばねで構成され、ロック軸52を外側(一方のリンク30aの側)へ付勢する付勢力を有する。
【0036】
次に、フック収納構造100によるリンク装置30のフック36を収納する動作を説明する。
【0037】
先ず、図5及び図6に示すように、フック36の鍵部38が一対のリンク30a、30bの間の収納位置から離間する展開方向に、フック36を展開した状態を説明する。
【0038】
このとき、ロック機構50は解除位置に切り替えられていて、ロック軸52及び押さえ部材53は解除位置に回動した状態である。また、ロック軸52の突設部62は支持部材51の軸受板57の第1溝部59から離脱して軸受板57の内側面に当接していて、ロック軸52は付勢部材54の付勢力に抗して内側(他方のリンク30bに対向する側)に押された状態である。
【0039】
次に、図2図4に示すように、フック36を展開した状態から、フック36の鍵部38が一対のリンク30a、30bの間に収納される収納方向に、フック36を回動して収納する動作を説明する。
【0040】
このとき、収納方向に回動するフック36の鍵部38は、支持部材51の支持板56と押さえ部材53のガイド部材66との間に挿入され、収納方向に回動する鍵部38の先端が、押さえ部材53の第1湾曲部64に当接しながら収納方向に押し込むことになる。このように第1湾曲部64が収納方向に押されることにより、押さえ部材53がロック軸52と共に収納方向に回動し、鍵部38の先端が第1湾曲部64の凹部に収納されてフック36が収納位置に収納される。更に、鍵部38の展開方向の側が第2湾曲部65の凸部に当接してフック36の展開方向への回動が禁止される。なお、作業者は、第2湾曲部65を操作して押さえ部材53の収納方向への回動を補助してもよい。押さえ部材53の収納方向への回動は、回り止め60によって所定の回動角度に規制されている。
【0041】
また、ロック軸52と共に突設部62が収納方向に回動して、支持部材51の軸受板57の第1溝部59に対応する位置に移動する。ロック軸52が付勢部材54の付勢力によって外側(一方のリンク30aの側)へ付勢され、突設部62が第1溝部59に対して付勢されて第1溝部59に係合する。突設部62の第1溝部59への係合により、ロック軸52の回動が禁止され、押さえ部材53の回動が禁止される。換言すれば、押さえ部材53を鍵部38の端部に当接する位置(当接位置)に固定することにより、フック36の回動が禁止される。これにより、ロック機構50はロック位置に切り替えられ、ロック軸52及び押さえ部材53はロック位置に回動した状態が維持され、収納位置に収納されたフック36のリンク装置30に対する回動が禁止される。なお、ロック軸52が付勢部材54によって外側へ付勢されることで、ロック軸52と共に押さえ部材53も外側に向かって移動し、これにより、フック36の鍵部38が、支持部材51の支持板56と押さえ部材53のガイド部材66との間に挟持され、フック36がより確実に収納される。
【0042】
次に、ロック機構50をロック位置から解除位置へと切り替えて、フック36の回動禁止を解除する動作を説明する。
【0043】
作業者は、付勢部材54の付勢力に抗して、一方のリンク30aのロック軸孔42から露出しているロック軸52を、外側から内側へと押圧し、及び/又は押さえ部材53のガイド部材66と他方のリンク30bとを握持することで、押さえ部材53及びロック軸52を一方のリンク30aから離間する方向に移動させる。これにより、付勢部材54によるロック軸52の外側への付勢が軽減され、突設部62の第1溝部59への付勢が軽減されて、突設部62の第1溝部59への係合が解除される。突設部62の第1溝部59との係合解除により、ロック軸52の回動禁止が解除され、押さえ部材53の回動禁止が解除される。
【0044】
作業者は、押さえ部材53をロック軸52と共に展開方向に回動させてロック機構50を解除位置へ切り替えることができ、これにより、押さえ部材53の第2湾曲部65の凸部に対する鍵部38の当接が解除され、フック36を展開方向に回動させて展開させることができる。換言すれば、押さえ部材53の当接位置での固定を解除することにより、フック36の回動禁止を解除する。押さえ部材53の展開方向への回動は、回り止め60によって所定の回動角度に規制されている。なお、作業者は、押さえ部材53の第2湾曲部65を操作して第1湾曲部64を展開方向に引き起こすことで、第1湾曲部64の凹部に当接するフック36の鍵部38を展開方向へ引き起こしてフック36の展開方向への回動を補助してもよい。
【0045】
上記のように、本実施形態によれば、建設機械1のリンク装置30にフック36を収納するフック収納構造100において、リンク装置30は、対向配置された一対のリンク30a、30bを備える。フック36は、一対のリンク30a、30bの間に回動可能に支持される基部37と、湾曲形成された鍵部38とを備える。フック収納構造100は、一対のリンク30a、30bの間で回動可能に支持される押さえ部材53を、鍵部38の端部に当接する当接位置に固定することにより、フック36の回動を禁止するロック位置と、押さえ部材53の当接位置での固定を解除することにより、フック36の回動禁止を解除する解除位置との間で切り替えられるロック機構50を備える。
【0046】
具体的には、ロック機構50は、ロック軸52と、押さえ部材53と、支持部材51と、付勢部材54とを備える。ロック軸52は、一対のリンク30a、30bの一方のリンク30aに対して回動可能で且つ回動軸方向に移動可能に取り付けられ、回動軸方向と直交する方向に突設された突設部62を有する。押さえ部材53は、一対のリンク30a、30bの間に配置されていて、ロック軸52と一体となって回動する。支持部材51は、一方のリンク30aと押さえ部材53との間に配置されていて、一方のリンク30aに対して固定され、一対のリンク30a、30bの他方のリンク30bの側に凹設された第1溝部59を有する。付勢部材54は、ロック軸52を一方のリンク30aの側に付勢する。ロック機構50をロック位置へ切り替えると、ロック軸52が押さえ部材53と共に所定の回動方向へ回動して、押さえ部材53が鍵部38の端部に当接してフック36の回動を禁止すると共に、突設部62が付勢部材54の付勢力によって第1溝部59に向けて付勢される。ロック機構50を解除位置へ切り替えると、ロック軸52が押さえ部材53と共に回動方向と逆方向へ回動して、押さえ部材53と鍵部38の端部との当接が解除されてフック36の回動禁止を解除すると共に、突設部62が付勢部材54の付勢力に抗して第1溝部59への付勢を解除される。
【0047】
これにより、フック36の回動を禁止する押さえ部材53のロック位置の姿勢を、付勢部材54による突設部62の第1溝部59への付勢によって安全に維持することができ、フック36の回動をより確実に禁止して安全にフック36を収納することができる。なお、突設部62、第1溝部59及び付勢部材54は、一対のリンク30a、30bの間に収容されて保護されているので、付勢部材54による突設部62の第1溝部59への付勢が、掘削中に意図せずに解除されることを抑制することができる。一方、付勢部材54による突設部62の第1溝部59への付勢は、作業者による簡易な操作によって解除することができ、フック36を簡易に展開することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、一方のリンク30aは、ロック軸52の端部を視認できるように設置されたロック軸孔42を有する。これにより、一方のリンク30aのロック軸孔42から露出しているロック軸52を操作することで、押さえ部材53及びロック軸52を一方のリンク30aから離間する方向に移動させることができる。このように、作業者による簡易な操作によって、押さえ部材53及びロック軸52のロック位置を解除して、ロック機構50のロック位置を解除することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ロック機構50をロック位置へ回動させると、突設部62が第1溝部59に係合する。これにより、付勢部材54による突設部62の第1溝部59への付勢を、より安全に維持することができ、フック36の回動をより確実に禁止して安全にフック36を収納することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、ロック機構50は、押さえ部材53の回動領域を規制する回り止め60を備える。これにより、押さえ部材53やロック軸52が必要以上に回動されることを防止し、各部品の破損を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、押さえ部材53は、鍵部38を他方のリンク30bの側から覆うガイド部材66を有する。あるいは、ガイド部材66は、鍵部38を一方のリンク30aの側から覆うように構成されてもよく、若しくは、一方のリンク30a及び他方のリンク30bの両側から覆うように構成されてもよい。これにより、鍵部38を保護すると共に、押さえ部材53及びロック軸52を保護することができ、各部品の破損を抑制することができる。
【0052】
なお、上記した実施形態では、支持部材51の軸受板57は、ロック位置に回動したロック軸52の突設部62と係合するために、V字状に凹設された第1溝部59を有する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、支持部材51の軸受板57は、ロック位置に回動したロック軸52の突設部62と係合するために、図9に示すように、コ字状(U字状)に凹設された第1溝部59を有して構成されてもよい。これにより、突設部62を第1溝部59に対してよりしっかりと係合させることができ、付勢部材54による突設部62の第1溝部59への付勢を、より安全に維持することができる。
【0053】
更に、支持部材51の軸受板57は、解除位置に回動したロック軸52の突設部62と係合するために、図9に示すように、第1溝部59と異なる位置に凹設された第2溝部68を有して構成されてもよい。なお、第2溝部68は、第1溝部59よりも浅い深さで形成されてよい。ロック機構50を解除位置へ切り替えるために、押さえ部材53と共にロック軸52を解除位置へ回動させると、突設部62が付勢部材54の付勢力によって第2溝部68に向けて付勢されて第2溝部68に係合する。これにより、フック36の回動禁止を解除する押さえ部材53の解除位置の姿勢を、付勢部材54による突設部62の第2溝部68への付勢によって安全に維持することができ、フック36の回動禁止の解除を安全に維持することができる。
【0054】
更に、他の例では、図10及び図11に示すように、一方のリンク30aに固定される支持部材51は、収納位置に収納されたフック36を保持する保持部材70を備える。図10は、リンク装置30において、一対のリンク30a、30bを除いた構成を示す。保持部材70は、例えば、支持部材51の支持板56と一体的に構成されて一方のリンク30aに固定され、支持板56の第1板部分56aの先端側に設けられる。保持部材70は、断面半円形状の円筒状に形成され、フック36の基部37やスイベル等を収納方向の側から保持するように配置される。これにより、フック36を保護すると共に、フック36が必要以上に回動されることを防止し、各部品の破損を抑制することができる。
【0055】
なお、上記した実施形態では、ロック機構50は、支持部材51が一方のリンク30aにのみ支持されると共に、押さえ部材53がロック軸52を介して支持部材51及び一方のリンク30aにのみ軸支される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、押さえ部材53及び/又はガイド部材66を他方のリンク30bに軸支する他の回動軸を備えて構成されてもよい。
【0056】
なお、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う建設機械もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 建設機械
4 作業機
21 アーム
22 バケット
26 バケットシリンダ
27 バケットブラケット
27a ブラケット
30 リンク装置
30a、30b リンク
36 フック
37 基部
38 鍵部
42 ロック軸孔
50 ロック機構
51 支持部材
52 ロック軸
53 押さえ部材
54 付勢部材
59 第1溝部
60 回り止め
62 突設部
66 ガイド部材
68 第2溝部
70 保持部材
100 フック収納構造
図1
図2
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図10
図11