IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特許-厨房制御システム及び報知装置 図1
  • 特許-厨房制御システム及び報知装置 図2
  • 特許-厨房制御システム及び報知装置 図3
  • 特許-厨房制御システム及び報知装置 図4
  • 特許-厨房制御システム及び報知装置 図5
  • 特許-厨房制御システム及び報知装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】厨房制御システム及び報知装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20241122BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A47J27/14 Z
F24C15/00 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021191118
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2023077721
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中西 正洋
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-217054(JP,A)
【文献】特開2005-250857(JP,A)
【文献】特開2006-338348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0208927(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14-27/18
F24C 7/02- 7/04
F24C 15/00-15/36
G06Q 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理工程に基づいて食材を処理する複数の厨房機器を制御する厨房制御システムであって、
前記厨房機器で処理された前記食材の、前記調理工程に関して後工程となる厨房機器への移送が可能となる移送時期を算出する移送時期算出部と、
前記厨房機器における、前記調理工程に関して前工程となる厨房機器からの前記食材の受け入れが可能となる受入時期を算出する受入時期算出部と、
前記厨房機器における前記食材の移送可否状態と前記食材の受入可否状態とを報知する報知装置と、を備える厨房制御システム。
【請求項2】
前記報知装置はディスプレイユニットであり、前記ディスプレイユニット上で前記厨房機器を特定するために、前記厨房機器の種類の識別が可能な機器表示要素が用いられ、前記移送可否状態と前記受入可否状態とが前記機器表示要素に付帯して表示される請求項1に記載の厨房制御システム。
【請求項3】
前記受入可否状態が前記機器表示要素の一方側に表示され、前記移送可否状態が前記機器表示要素の他方側に表示される請求項2に記載の厨房制御システム。
【請求項4】
前記機器表示要素は、前記調理工程の流れに合うように、順列配置される請求項2または3に記載の厨房制御システム。
【請求項5】
前記機器表示要素は、厨房内における前記厨房機器の実際の設置位置に合うように、配置される請求項2または3に記載の厨房制御システム。
【請求項6】
前記厨房機器における調理状態が、対応する前記機器表示要素に付帯して表示される請求項2から5のいずれか一項に記載の厨房制御システム。
【請求項7】
前記報知装置は、POSシステムからの販売データを報知する請求項1から6のいずれか一項に記載の厨房制御システム。
【請求項8】
調理工程に基づいて食材を処理する複数の厨房機器の状態を報知する報知装置であって、
前記厨房機器で処理された前記食材の、前記調理工程に関して後工程となる厨房機器への移送が可能となる移送時期と、前記厨房機器における、前記調理工程に関して前工程となる厨房機器からの前記食材の受け入れが可能となる受入時期と、から生成された、前記厨房機器における前記食材の移送可否状態と前記食材の受入可否状態とを報知する報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理工程に基づいて食材を処理する複数の厨房機器を制御する厨房制御システム及び報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、炊飯機器と保温機器と飯盛機器とを含む調理機器(厨房機器)に設けられた重量測定手段により測定された測定結果に基づき各調理機器の調理状況を示す表示手段としてのタブレットと、このタブレットにより表示された情報に基づき各調理機器の調理状態を管理する制御手段とを備える調理機器オペレーションシステムが開示されている。タブレットは、各調理機器で不足する飯の追加指示の表示、保温機器にて保温されている飯の保温時間に基づく廃棄情報の表示、煮焚機器の調理状況の表示などを行う。
【0003】
特許文献2には、オーダ情報に基づく被調理物情報から選択される、グリドル、フライヤーなどの調理機器(厨房機器)を表す機器情報及び調理時間を表す時間情報を生成する処理部と、被調理物情報、機器情報、時間情報を含む業務支援情報を提示する情報提示部とを備える調理支援システムが開示されている。さらに、処理部は、オーダ情報に関係付けられたグループ情報または調理時間情報に応じて調理順序を設定する調理情報を生成し、情報提示部に提示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-217054号公報
【文献】特開2021-099614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
厨房には、連続的に協調しながら食材を調理していく複数台の厨房機器が配置されている。例えば、スーパーマーケットの寿司製造施設の厨房や大型の回転寿司店の厨房では、協調して寿司飯を作り出す調理厨房機器群として、洗米器、炊飯器、酢合わせ器、握り器が、配置されている。このような協調型調理厨房機器群は、個々の厨房機器の調理状態だけに基づいて個々の厨房機器の動作を制御すると、厨房機器群における調和が崩れて、満足できる調理済食材が提供できなくなる。各厨房機器は、多くの場合、受け入れた食材を適正時間だけ保持または処理する前処理や調理済の食材を適正時間だけ保持する後処理を必要とする。さらに、各厨房機器への食材の受け入れ(投入)や各厨房機器から食材の移送(排出)のタイミングは、当該厨房機器の調理工程における前工程となる厨房機器及び調理工程における後工程となる厨房機器の調理状態も考慮する必要がある。つまり、厨房機器群全体としての協調的な調理が実現するように、各厨房機器が制御されなければならない。また、厨房での調理作業では、厨房機器自体が行う調理に関しては機械化及び自動化が進んでいるが、厨房機器同士の連係作業、つまり、前工程厨房機器からの食材の移送、後工程厨房機器の食材の受け入れは、厨房作業員の仲介や確認が必要となる。非熟練の厨房作業員が、厨房機器に対する食材の移送作業及び食材の受け入れ作業を適切に行うためには、前工程厨房機器における食材の移送を促す報知と、後工程厨房機器の食材の受け入れを促す報知とが必要である。しかしながら、特許文献1や特許文献2によるシステムでは、各厨房機器への食材の受け入れや各厨房機器から食材の移送のタイミングを報知することは、意図されていない。
【0006】
このような実情に鑑み、本発明の目的は、厨房機器群が全体として協調的に制御されて、食材が適正に調理されるように、各厨房機器への食材の受け入れや各厨房機器から食材の移送のタイミングを報知することができる厨房制御システム及び報知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
調理工程に基づいて食材を処理する複数の厨房機器を制御する、本発明による厨房制御システムは、前記厨房機器で処理された前記食材の、前記調理工程に関して後工程となる厨房機器への移送が可能となる移送時期を算出する移送時期算出部と、前記厨房機器における、前記調理工程に関して前工程となる厨房機器からの前記食材の受け入れが可能となる受入時期を算出する受入時期算出部と、前記厨房機器における前記食材の移送可否状態と前記食材の受入可否状態とを報知する報知装置を備える。
【0008】
この構成によれば、調理工程に基づいて食材を処理する複数の厨房機器を構成する各厨房機器への食材の受け入れタイミング、及び各厨房機器から食材の移送タイミングは、調理工程における各厨房機器の前工程となる厨房機器及び後工程となる厨房機器との移送時期と受入時期とを考慮して決定される。その決定結果である、食材の移送可否状態と前記食材の受入可否状態とが、報知装置を通じて報知される。この報知を通じて、厨房作業員は厨房機器に対する食材の移送作業及び食材の受け入れ作業を適切に行うことができる。これにより、食材を連続的に調理して食材を料理品にする調理工程に用いられる複数の厨房機器が、全体として協調的に制御され、食材が適正に調理される。
【0009】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記報知装置はディスプレイユニットであり、前記ディスプレイユニット上で前記厨房機器を特定するために、前記厨房機器の種類の識別が可能な機器表示要素が用いられ、前記移送可否状態と前記受入可否状態とが前記機器表示要素に付帯して表示される。この構成では、各厨房機器における食材の移送可否状態と食材の受入可否状態とが、当該厨房機器を特定することができる機器表示要素(アイコン、シンボルマーク、イラスト、ピクトグラムなど)に付帯して、ディスプレイユニットに表示される。これにより、厨房作業員は、ディスプレイユニットを一瞥するだけで、各厨房機器の食材の移送可否状態と食材の受入可否状態とを把握することができ、的確に次に必要な作業を行うことができる。
【0010】
機器表示要素に付帯させた食材の移送可否状態と食材の受入可否状態とは、厨房作業員が厨房機器の状態を把握することを支援する。厨房作業員のより直感的な把握を支援するために、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記受入可否状態が前記機器表示要素の一方側に表示され、前記移送可否状態が前記機器表示要素の他方側に表示される。この構成では、移送可否状態を表す情報と受入可否状態を表す情報が、厨房機器に対する食材の流れに対応させて表示することができる。例えば、厨房における食材の流れに対応させて、移送可否状態と受入可否状態とが表示させることで、厨房作業員は、各厨房機器における移送可否状態と受入可否状態とを直感的に把握することができる。
【0011】
ディスプレイユニットの1つの大画面で、複数の厨房機器の移送可否状態と受入可否状態をする場合、厨房作業員が厨房機器の特定を誤ってしまう可能性がある。このような誤りを低減させるため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記機器表示要素は、前記調理工程の流れに合うように、順列配置される。各厨房機器を表す機器表示要素が調理工程の流れ通りに画面に配置されていると、厨房作業員が厨房機器の特定を誤る可能性は低減する。厨房機器の特定を誤ることを低減させるための、他の実施形態の1つでは、前記機器表示要素は、厨房内における前記厨房機器の実際の設置位置に合うように、配置される。このような機器表示要素の表示形態では、ディスプレイユニットの画面での機器表示要素の配置が、現実の厨房機器の配置に対応しているので、厨房作業員は、画面での機器表示要素と実際の厨房機器とを容易に対応させることができる。
【0012】
各厨房機器による調理は自動化を進んでいるので、調理が開始すれば、調理の終了まで、厨房作業員が操作することは少ない。しかしながら、各厨房機器の調理状態、例えば、調理前、調理中、調理終了、残り調理時間などが、ディスプレイユニットに表示されると、調理工程の把握のために好都合である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記厨房機器における調理状態が、対応する前記機器表示要素に付帯して表示される。
【0013】
牛丼店や寿司店などの大規模な飲食店の厨房では、実際の顧客の注文や予想される注文に合わせて調理を行う必要がある。このため、報知装置によって報知される情報に、実注文データ及び注文予測データを含む販売データが含まれることが好適である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記報知装置は、POSシステムからの販売データを報知する。この販売データは、POSシステムから得ることができる。もちろん、本格的なPOSシステムでなくても、電子レジスターや注文タブレットなどから販売データを得ることも可能である。
【0014】
本発明の対象には、調理工程に基づいて食材を処理する複数の厨房機器の状態を報知する報知装置も含まれている。つまり、本発明による報知装置は、調理工程に基づいて食材を処理する複数の厨房機器の状態を報知するものであり、前記厨房機器で処理された前記食材の、前記調理工程に関して後工程となる厨房機器への移送が可能となる移送時期と、前記厨房機器における、前記調理工程に関して前工程となる厨房機器からの前記食材の受け入れが可能となる受入時期と、から生成された、前記厨房機器における前記食材の移送可否状態と前記食材の受入可否状態とを報知する。この報知を通じて、厨房作業員は厨房機器に対する食材の移送作業及び食材の受け入れ作業を適切に行うことができる。これにより、食材を連続的に調理して食材を料理品にする調理工程に用いられる複数の厨房機器が、全体として協調的に制御され、食材が適正に調理される。なお、上述した厨房制御システムにおける別実施形態の内容や、その作用効果も、本発明の報知装置に適用可能である。

【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】厨房制御システムの基本構成図である。
図2】厨房機器群と厨房管理コンピュータの間での情報の流れを説明する機能ブロック図である。
図3】ディスプレイユニットにおける表示画面の一例を示す模式図である。
図4】複数の厨房における厨房機器群を集中管理する厨房制御システムの基本構成図である。
図5】複数の厨房を集中管理する厨房制御システムにおける表示画面の一例を示す模式図である。
図6】厨房機器の具体的な制御構成の一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を用いて、本発明による厨房制御システムを説明する。図1には、厨房制御システムに基本構成図が示されている。
【0017】
図1では、調理工程に基づいて食材を処理する4つの厨房機器1が示されている。この調理工程は、第1調理工程、第2調理工程、第3調理工程、第4調理工程からなる。第1調理工程を受け持つ厨房機器1には符号「A」が付与され、第2調理工程を受け持つ厨房機器1には符号「B」が付与され、第3調理工程を受け持つ厨房機器1には符号「C」が付与され、第4調理工程を受け持つ厨房機器1には符号「D」が付与されている。例えば、調理工程が米から寿司飯(酢飯の小塊)を作る工程であれば、第1調理工程は洗米、第2工程は炊飯、第3工程は酢合わせ、第4工程は握りとなり、厨房機器「A」は洗米器、厨房機器「B」は炊飯器、厨房機器「C」は酢合わせ器、厨房機器「D」は握り器となる。調理工程が米からチャーハンを作る工程であれば、調理工程は、第1調理工程、第2調理工程、第3調理工程から構成され、最終行程の第3工程が炒飯となり、厨房機器「C」は炒飯器である。調理工程が小麦粉からうどんを作る工程などであっても、厨房機器1の数と種類は変わるが、本発明による厨房制御システムの適用が可能である。
【0018】
図1にも示されているが、調理工程の流れに沿って、初期食材(例えば、米)が、各厨房機器1での調理を経て、最終食材として寿司飯となる。寿司飯に寿司ネタを載せると握り寿司になるので、最終の厨房機器1として寿司ネタ載せ器が用いられてもよい。厨房機器1は、食材を受け入れる機能と、受け入れた食材を調理する機能、調理した食材を移送(排出)する機能を有する。ここでは、調理工程を構成する1つのサブ調理工程が割り当てられた特定の厨房機器の前工程で用いられる厨房機器1は、この特定の厨房機器に対する前工程厨房機器と称せられる。同様に、この特定の厨房機器の後工程で用いられる厨房機器1はこの特定の厨房機器に対する後工程厨房機器と称せられる。図1の例では、厨房機器「A」は、厨房機器「B」の前工程厨房機器であり、厨房機器「B」は、厨房機器「A」の後工程厨房機器であるとともに厨房機器「C」の前工程厨房機器である。厨房機器「C」は、厨房機器「B」の後工程厨房機器であるとともに厨房機器「D」の前工程厨房機器である。厨房機器「D」は、厨房機器「C」の後工程厨房機器である。
【0019】
図1の基本構成図に示されているように、上述した複数の厨房機器1(以下、これを厨房機器群とも称する)を管理するための厨房管理コンピュータ5が、厨房に備えられている。厨房機器群と厨房管理コンピュータ5とは、有線式または無線式のLANでデータ交換可能に接続されており、厨房機器群から機器状態や調理状態を示す機器情報が厨房管理コンピュータ5に送られる。厨房管理コンピュータ5に構築された調理管理部51は、受け取った機器情報に基づいて、各厨房機器1の機器状態や調理状態、さらには厨房機器群を構成している厨房機器1の相互関係状態を検知し、各厨房機器1が必要とする制御情報を生成し、各厨房機器1に与える。
【0020】
厨房管理コンピュータ5は、厨房作業員に種々の情報を与える報知装置6と接続されており、報知装置6は、情報のグラフィック表示のためのディスプレイユニット60を備えている。厨房管理コンピュータ5に構築された報知部52は、調理管理部51によって検知された各厨房機器1の機器状態や調理状態、厨房機器群を構成している厨房機器1の相互関係状態などを表す報知データを生成し、報知装置6に送る。
【0021】
さらに、厨房管理コンピュータ5には、POSシステム2がデータ通信可能に接続されており、POSシステム2から実注文データや注文予測データを含む販売データが送られてくる。なお、POSシステム2は通信とコンピュータで大規模にシステム化されたものだけではなく、このPOSシステム2には、電子レジスターや注文タブレットなども含まれている。調理管理部51は、取得した販売データも参照して、各厨房機器1に対する制御情報を生成する。さらに、報知部52も、取得した販売データを経時的に処理して、販売状況を表す報知データを生成し、報知装置6に送る。
【0022】
次に、図2の機能ブロック図を用いて、上述した本発明の基本構成における厨房機器群と厨房管理コンピュータ5の間での情報(データ)の流れを説明する。
【0023】
各厨房機器1には、制御ユニット4が備えられている。制御ユニット4には、調理実行部41、受入時期算出部42、移送時期算出部43が含まれている。調理実行部41は、厨房機器1による食材の調理を行うために装備されている動作機器に調理動作の実行を命じる実行指令を与える。例えば、厨房機器1がガス炊飯器であれば、ガスの点火、ガス火の調整、ガスの消化などの実行指令を与える。厨房機器1が酢合わせ器であれば、酢の適量吐出、撹拌機構の作動などの実行指令を与える。
【0024】
受入時期算出部42は、厨房機器1が調理すべき食材を受け入れる受入時期を算出する。この受入時期とは、当該厨房機器1が食材をこの厨房機器1の前工程厨房機器から受け入れることができるタイミングである。例えば、米から寿司飯をつくる調理工程における1つの厨房機器1が酢合わせ器であれば、前工程厨房機器は炊飯器であり、炊飯器で炊きあがった飯を酢合わせ器が受け入れることができるタイミングが、酢合わせ器の受入時期である。この受入時期には、種々の条件は設定されており、厨房機器1の調理容器が空となった時点が必ずしも受入時期ではない。食材を受け入れる容器の状態(温度など)や受け入れる食材の温度なども、受入時期を算出するためのファクタとなるからである。
【0025】
移送時期算出部43は、厨房機器1における調理済み食材の移送時期を算出する。この移送時期とは、この厨房機器1で調理された食材をこの厨房機器1の後工程厨房機器に送ることができるタイミングである。例えば、米から寿司飯をつくる調理工程におけるこの厨房機器1が炊飯器であれば、後工程厨房機器は酢合わせ器であり、炊飯器で炊きあがった飯を酢合わせ器に移送(排出)すること可能となるタイミングが、炊飯器の移送時期である。この移送時期にも、種々の条件は設定されており、調理完了時点が必ずしも移送時期ではない。調理が完了した食材の温度、食材の品質保持期間(炊飯であれば蒸らし時間)なども、移送時期を算出するためのファクタとなる。例えば、厨房機器1が炊飯器であれば、炊き上げ飯の移送時期を、炊き上げ時からの蒸らし時間の経過後で、かつ炊き上げ飯の温度が所定温度以上を保持している間とするという条件が設定される。また、厨房機器1が酢合わせ器であれば、酢合わせした酢飯は、所定の待機時間の経過後に、後工程厨房機器である握り器に移送するという条件が設定される。
【0026】
各厨房機器1の受入時期算出部42から、それぞれの厨房機器1を識別する識別情報とともに受入時期が、厨房管理コンピュータ5の調理管理部51に送られる。同様に、各厨房機器1の移送時期算出部43から、それぞれの厨房機器1を識別する識別情報とともに移送時期が、厨房管理コンピュータ5の調理管理部51に送られる。調理管理部51は、全ての厨房機器1から取得した移送時期と受入時期とに基づいて、各厨房機器からの食材の移送、及び各厨房機器における食材の受け入れを決定する。特定の厨房機器1からの食材の移送、及び特定の厨房機器1における食材の受け入れは、当該厨房機器1を基点として調理工程の前工程に位置する少なくとも1つ以上の前工程厨房機器の受入時期や移送時期、及び当該厨房機器1を基点として調理工程の後工程に位置する少なくとも1つ以上の後工程厨房機器の受入時期や移送時期を考慮して決定される。
【0027】
調理管理部51は、調理の自動制御又は半自動制御が可能な厨房機器1に対して調理の実行を命じる実行指令を与えることができる。調理管理部51は、各厨房機器1から送られてくる、移送時期、受入時期、調理状態などの機器情報、及び、POSシステム2から送られてくる販売情報(実注文、予約注文、曜日や天候に合わせた予想顧客数及び予想注文など)に基づいて、厨房機器群が協調的に動作するように群管理を行うことも可能である。
【0028】
このように構成された厨房制御システムでは、曜日、天候の急変、来客数の数によって、これから必要となる最終食材(例えば寿司飯)の量が予測され、同時に、最終食材のおいしさを維持できるように調理工程、特に全調理工程の時間が管理される。この管理は、厨房作業の開始から厨房作業の終了まで行われ、各サブ調理工程で実施される調理量は動的に変更される。例えば、閉店時間近くで最終食材が不足する場合、特別に算出された初期食材の量で、調理工程が実行される。
【0029】
上述した厨房制御システムの基本構成では、各サブ調理工程の調理を行う厨房機器1の数は、1台であったが、もちろん複数台であってもよい。この場合、各サブ調理工程で調理された食材がどの厨房機器1で調理されたものであるかを特定するため、各サブ調理工程で調理された食材には、調理を行った厨房機器1の機器IDとともにサブロット番号が順次付与される。したがって、最終食材には、各サブ調理工程で与えられたサブロット番号からなるロット番号と、その最終食材に係った厨房機器1の機器IDとからなるロット情報が付与される。ロット情報は調理管理部51が管理する調理状態に含まれる。これにより、厨房管理コンピュータ5は、調理工程におけるどのサブ調理行程であっても、そこで調理される食材の調理履歴を管理することができる。
【0030】
長期に蓄積されたロット情報に基づいて、サブ調理工程の食材調理を行う任意の厨房機器1から最終食材が提供できるまでの予想時間を算出すること、現状の注文数から最終食材の予定通りの提供が可能であるかどうかを算出すること、現状の注文数及びこれからの予測注文数から中途食材または最終食材の余剰量を算出することも可能である。さらには、初期食材の在庫が減少度合い、つまり初期食材の発注時期の算出も可能である。その際、発注された初期食材が発注先から厨房に配送されるまでの時間も考慮される。また、初期食材の在庫状態や在庫期間もロット情報に含められると中途食材や最終食材で見つけ出された食材異常(無視などの異物混入や不良品混入など)の在庫状態や在庫期間のチェックが可能となる。
【0031】
さらに、調理管理部51は、厨房機器群に対する管理情報のうち、厨房作業員に報知すべき情報を報知装置6で報知するために報知部52に転送する。厨房作業員に報知すべき情報には、各厨房機器1の調理状態を表す情報である調理状態情報、移送可否情報、受入可否情報が含まれる。調理状態情報の内容は、「調理前」、「調理中」、「残り調理時間」「調理済食材保管中」、「調理済食材保管量」、「調理済食材保管時間」などである。受入可否情報は各厨房機器1における食材の移送(排出)が可能であるかどうかを示す情報であり、移送可否情報は各厨房機器1における食材の受け入れが可能であるかどうかを示す情報である。これらの情報は厨房機器1によって異なるので、それぞれの情報には厨房機器1の識別情報が付与されている。
【0032】
報知部52は、与えられた調理状態情報、移送可否情報、受入可否情報をディスプレイユニット60に表示するための報知データを生成して報知装置6に送る。なお、報知部52にも、POSシステム2から厨房作業員に報知すべき販売情報が送られてくるので、報知データには、この販売情報も含まれる。
【0033】
図3には、報知データに基づいてディスプレイユニット60に表示された表示画面の一例が模式的に示されている。この例では、調理工程は、米から寿司飯を作る工程で4つのサブ調理工程(洗米、炊飯、酢合わせ、握り)からなり、1つのサブ調理工程に1つの厨房機器1が使用されているとする。なお、握りのサブ調理工程には、寿司飯の小塊に寿司ネタを載せる工程が含まれてもよい。
【0034】
表示面の最上段には、各厨房機器1の機器表示要素10が、調理工程の順に横並びしている。機器表示要素10は、対応する厨房機器1の種類が識別可能なように、その形状を対応する厨房機器1の形状に似せることが好ましいが、図3では、単に四角形でその調理内容を文字で示している。各機器表示要素10の左側に示された受入矢印61と右側に示された移送矢印62とはそれぞれ、調理管理部51によって決定された受入可否状態と移送可否状態を報知する点滅シンボルである。受入矢印61の点滅は、その機器表示要素10に対応する厨房機器1の食材の受け入れが可能であること、及び当該厨房機器1が食材の受け入れを要求していることを報知している。この二つの報知内容(受け入れ可能状態と受け入れ要求状態)を、点灯色や点滅時間等で区別するようにしてもよい。この受入矢印61が食材の受け入れを要求するように点滅した場合、対応する厨房機器1に食材を投入することを厨房作業員に促すことになる。同様に、移送矢印62の点滅は、その機器表示要素10に対応する厨房機器1における食材の移送が可能なこと、及び厨房機器1からの食材の移送が要求されていることを報知している。この二つの報知内容(移送可能状態と移送要求状態)も、点灯色や点滅時間等で区別するようにしてもよい。この移送矢印62が食材の移送を要求するように点滅した場合、対応する厨房機器1から調理済み食材を移送することを厨房作業員に促すことになる。なお、図3では、受入矢印61と移送矢印62とは、機器表示要素10の左右に配置されているが、機器表示要素10の上下に配置されてもよい。
【0035】
表示面の最上段に横並びした機器表示要素10の下側には、対応する厨房機器1が「調理中」であるか、調理済食材の保存中を表す「調理保存中」であるか、「調理終了」しているかを示す調理状態報知灯63が配置されている。調理状態報知灯63の下側には、対応する厨房機器1の調理状態情報の内容を示すための調理内容欄64が配置されている。調理内容欄64には、調理処理量、調理残り時間、調理食材の種別、調理済食材の量などが表示される。
【0036】
ディスプレイユニット60の表示面の最下段には、販売内容(注文内容)が表示される販売内容欄65と、厨房機器1のトラブルや厨房作業員への指示などが表示される緊急連絡欄66が配置されている。販売内容欄65に表示可能な販売内容は、リアルタイムで注文を受けている調理種類と件数と注文時刻、予約を受けている調理種類と件数と引き渡し予定時刻、注文予測シミュレーションによって予測される調理種類と件数と注文時刻、などである。注文予測シミュレーションは、季節、曜日、天候等を因子として注文量が推定される厨房または店舗ごとの数理モデルを利用して行われる。
【0037】
販売内容欄65に表示可能なその他の事項を以下に列挙する:
・現在の注文状態(例えば店舗の込み具合)
・店舗付近の人動状況(通信キャリアなどから提供される)
・各厨房機器1で調理されている食材が最終食材として提供されるまでの時間
・在庫されている初期食材が最終食材として提供されるまでの時間
・各厨房機器1で調理されている食材と注文との関係
・各厨房機器1で調理されているロット情報に基づく食材の履歴
・ロット情報に基づく最終食材毎の調理履歴
・サブ調理工程の食材調理を行う任意の厨房機器1から最終食材が提供できるまでの予想時間
これらの事項は、スペースの関係で、好ましくは別ウインドウでの販売内容欄65に表示される。
【0038】
緊急連絡欄66に表示可能なその他の事項を以下に列挙する:
・最終食材の提供が遅れている食材に関して、各サブ調理工程を行っている厨房機器1から最終食材が提供できるまでの予想時間
・現状の注文数及びこれからの予測注文数から算出された中途食材または最終食材の余剰量
・初期食材の発注時期
・中途食材や最終食材で見つけ出された食材異常に関する情報
これらの事項も、スペースの関係で、好ましくは別ウインドウでの販売内容欄65に表示される。
【0039】
上述した販売内容欄65や緊急連絡欄66に表示可能な事項は、予め選択可能である。複数のディスプレイユニット60を用意し、特定の事項は特定のディスプレイユニット60のみに表示されるように構成してもよい。
【0040】
調理状態報知灯63、調理内容欄64、販売内容欄65に報知されている報知内容のデータに販売ID(注文ID)がリンクされている場合には、その報知内容とともに、販売ID(注文ID)もしくは販売内容(注文内容)が付与される。図3の例では、各厨房機器1に対応する機器表示要素10は、調理工程の順に横並びしていたが、調理工程の順に縦並びしてもよい。さらには、機器表示要素10は、厨房内における厨房機器1の実際の設置位置に合うように、配置してもよい。これにより、厨房作業員は、厨房機器群における厨房機器1の位置関係を容易に把握で、的確に厨房機器1における食材の受け入れ作業や移送作業を行うことができる。
【0041】
図1から図3で示した基本構成では、この厨房制御システムは、1つの厨房施設における、複数の厨房機器1と厨房管理コンピュータ5と報知装置6とPOSシステム2と関係付けられていた。本発明の厨房制御システムは、各地域の厨房施設に設置された厨房管理コンピュータ5を集中管理する大規模厨房制御システムに拡張されてもよい。この拡張された大規模厨房制御システムの基本構成が図4に示されている。
【0042】
図4に示された大規模厨房制御システムでは、図1図6で示された厨房管理コンピュータ5及びPOSシステム2が、各地に点在した厨房施設のそれぞれに配置されている。各厨房管理コンピュータ5は、公衆データ回線やインターネットなどのデータ通信網を介して、全ての厨房管理コンピュータ5及びPOSシステム2を管理する中央管理コンピュータ9に接続されている。
【0043】
中央管理コンピュータ9には、各厨房施設の厨房管理コンピュータ5から機器情報や調理管理情報などが送られ、各厨房施設のPOSシステム2から販売データが送られる。中央管理コンピュータ9から各厨房施設の厨房管理コンピュータ5には、厨房機器群に対する制御条件や可動計画、厨房作業員に対する連絡などが送られる。
【0044】
厨房管理コンピュータ5から中央管理コンピュータ9に送られる機器情報には、各厨房施設を特定する厨房IDと各厨房機器1を特定する機器IDとによってリンクされた機器情報と調理管理情報とが含まれている。機器情報には、当該厨房機器1の状態を経時的に記録した機器状態データや当該厨房機器1で行われた調理を経時的に記録した調理データなどが含まれている。調理管理情報には、厨房機器1と厨房管理コンピュータ5との間で交換された、受入時期、実行指令、調理状態、移送時期などを経時的に記録した情報が含まれている。
【0045】
中央管理コンピュータ9は、入出力処理部90、モニタ装置8、厨房データベース管理部94によって管理される厨房データベース95を備える。さらに、中央管理コンピュータ9には、アプリケーション機能部として、厨房機器管理部91、調理管理部92、画面情報生成部93、販売管理部96が構築されている。
【0046】
厨房機器管理部91は、厨房管理コンピュータ5から送られてきた機器状態データに基づいて、厨房施設ごとの厨房機器群を管理する。調理管理部92は、厨房管理コンピュータ5から送られてきた調理データや調理管理情報に基づいて、厨房施設ごとの調理を管理する。画面情報生成部93は、後で詳説するモニタ画面をモニタ装置8に表示するための画面情報を生成する。厨房データベース管理部94は、厨房管理コンピュータ5及びPOSシステム2から送られてきたデータを、所定の抽出条件で抽出可能に、厨房データベース95に収納管理する。販売管理部96は、POSシステム2から送られてきた販売(注文)データに基づいて、厨房施設における売り上げの管理を行う。販売管理部96は、これまで取得した販売データに基づいて、販売予想情報や注文予想情報も生成する。
【0047】
図5には、画面情報生成部93によって生成された画面情報により、モニタ装置8のモニタ80に表示された表示画面の一例が示されている。この例では、中央管理コンピュータ9は、広域に店舗を展開している寿司チェーン本部に設置されている。表示画面には、中央管理コンピュータ9が管理する地域の地図が背景として描画されている。厨房施設を有する店舗を示す店舗シンボル81が、実地図位置に対応させて地図上に配置されている。
【0048】
店舗シンボル81に隣接して、当該店舗シンボル81に対応する厨房施設における厨房機器群の管理画面82が別ウインドウで表示される。管理画面82には種々の管理情報を表示することができるが、その1つは、図3で示した厨房機器群の調理状態、受入可否状態、移動可否状態などであり、この画面から特定店舗における厨房機器群の稼働状態が把握できる。また、厨房データベース95に格納されているデータを用いて、特定店舗における1日の厨房機器群の機器状態や調理状態、及び販売(売上)高を、経時的にグラフ化して表示することも可能である。
【0049】
広域に展開された店舗を集中管理する中央管理コンピュータ9により、時系列に沿った、各店舗の厨房機器群の稼働状況や各店舗の販売状況が管理されるとともに、各店舗における各厨房機器1の動作機器群7Aや調理センサ群7Bの動作状態や故障状況なども管理される。さらに、各厨房機器1の保守点検計画や故障予測も、厨房データベース95に格納されているデータを用いて行われる。
【0050】
次に、厨房機器1の一般的な制御構成を図6の機能ブロック図を用いて説明する。この厨房機器1は、動作機器群7Aと、調理センサ群7B、と制御ユニット4とを備えている。動作機器群7Aには、調理を行うために動作する動作機器が含まれている。この動作機器は制御ユニット4からの動作指令や厨房作業員の操作指令に基づく制御信号により動作する。調理センサ群7Bには、動作機器の状態や調理される食材の状態を検出する調理センサが含まれている。調理センサからのセンサ信号は、制御ユニット4に入力される。
【0051】
制御ユニット4は、前述した調理実行部41、受入時期算出部42、移送時期算出部43のほかに、入出力I/F40、調理条件設定部44、通信部45を備えている。
【0052】
入出力I/F40は、調理センサ群7Bからのセンサ信号を処理して、制御ユニット4や厨房管理コンピュータ5の機能部によって取り扱い可能な形態のデータ、例えば、機器状態データや調理データなどに変換する入力データ処理を行う。さらに、入出力I/F40は、調理実行部41によって生成された調理の実行を命じる実行指令を自動制御可能なまたは半自動制御可能な動作機器群7Aに制御信号として送る出力データ処理を行う。なお、手動式の動作機器群7Aに送る動作指令は、厨房作業員に対して対応する調理機器の操作を促すランプ点滅信号やブザー報知信号となる。
【0053】
調理条件設定部44は、受入時期算出部42による受入時期の算出時に用いられる上述した条件や、移送時期算出部43による移送時期の算出時に用いられる上述した条件を設定する。この条件は、厨房機器1の種類や調理する食材によって異なり、厨房機器1において手動設定することが可能であるが、予め条件が記録されている厨房管理コンピュータ5からリモート設定することも可能である。
【0054】
厨房機器1の具体的な構成は、厨房機器1の種類によって異なる。例えば、厨房機器1が洗米器であれば、洗米タンクと、洗米タンク内の米を攪拌する攪拌機構と、洗米タンクに水を供給する給水ノズルと、洗米タンクから米や水を排出する排出部が装備される。したがって、動作機器群7Aとして、攪拌機構を動かすモータ、給水ノズルを調整する電磁ソレノイドなどが用いられる。調理センサ群7Bとして、給水される水の温度を測定する温度センサ、攪拌機構の攪拌速度を測定する速度センサ、洗米タンク内の水と米の重さを測定する計量センサなどが含まれる。厨房機器1が炊飯機であれば、米を炊飯する炊飯釜と、炊飯釜を加熱するガスコンロ、炊飯釜の蓋体、蓋体開閉可能な蓋体の開口を開閉するシャッタ、などが装備される。したがって、動作機器群7Aとして、ガスコンロの火加減を行うガス調整器、シャッタの開閉を行うシャッタモータなどが用いられる。調理センサ群7Bとして、炊飯釜内部の圧力を測定する圧力センサ、炊飯釜内部の温度を測定する温度センサ、シャッタの開閉度を測定する開閉度センサなどが用いられる。
【0055】
厨房機器群が寿司飯調理工程を実行する厨房機器1から構成されている場合、厨房管理コンピュータ5は、各厨房機器1の制御ユニット4からの情報、特に調理センサ群7Bのセンサ信号から算出された情報に基づいて、寿司飯調理工程を構成する各サブ調理工程を管理する。サブ調理工程には、投入された米を計量器により計量する計量工程、米を洗米器で洗米する洗米工程、洗米器で洗米された米をザル上げするザル上げ工程、炊飯器におけるザル上げされた米と適正量の水とを設定する水加減工程、炊飯器でお米を所定時間浸す浸し工程、炊飯機にて炊飯を行う炊飯工程、炊き上がった飯を炊飯器で蒸らす蒸らし工程、蒸らし上がった飯を酢合わせ器で酢合わせする酢合わせ工程、酢合わせした飯を握り器に供給する寿司飯供給工程などが含まれる。厨房管理コンピュータ5は、これらの各工程を、当該工程の前工程及び後工程の調理状況及び販売(注文)状況を考慮して、顧客を待たせないように、かつ食材の余剰が生じないように、管理する。厨房機器群が寿司飯調理工程を行う厨房制御システムでは、食材としての米が適正に調理されるように、各厨房機器1への食材の受け入れや各厨房機器1から食材の移送のタイミングが制御される。
【0056】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施の形態における、制御ユニット4、厨房管理コンピュータ5、中央管理コンピュータ9に構築された各機能部の分け方の一例であり、図示された機能部の統合や分割は任意に行われてもよい。また、調理工程の統合や分割も任意に行われてもよい。
(2)上述した実施の形態では、各厨房機器1の制御ユニット4は、各制御ユニット4と接続している厨房管理コンピュータ5とデータ交換することで、厨房機器1同士が協調してそれぞれに割り当てられた調理を行っていた。つまり、厨房管理コンピュータ5が各厨房機器1を統括制御していた。これに代えて、厨房管理コンピュータ5の機能を各厨房機器1の制御ユニット4に与えて、厨房機器1同士がデータ交換することで、厨房管理コンピュータ5を省略し、各厨房機器1が他の厨房機器1と連係して協調的に制御する分散型の構成を採用してもよい。その場合、報知装置6は各厨房機器1に対応するように配置されてもよいし、あるいは、各厨房機器1から送られてくる機器情報または表示データに基づいて、報知装置6が統合的な表示画面をディスプレイユニット60に表示させてもよい。
(3)ディスプレイユニット60は、厨房内に複数台設けられてもよいし、小型のディスプレイユニット60を厨房作業員が携帯してもよい。それらの各ディスプレイユニット60には、同一の画面が表示されてもよいし、それぞれ専用化された画面が表示されてもよい。各ディスプレイユニット60には、複数の異なる画面のための表示データが送られ、任意に選択表示可能であってもよい。
【0057】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、調理工程に基づいて食材を処理する複数の厨房機器を制御する厨房制御システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 :厨房機器
10 :機器表示要素
2 :POSシステム
4 :制御ユニット
41 :調理実行部
42 :受入時期算出部
43 :移送時期算出部
44 :調理条件設定部
5 :厨房管理コンピュータ
51 :調理管理部
6 :報知装置
60 :ディスプレイユニット
9 :中央管理コンピュータ
8 :モニタ装置
80 :モニタ
91 :厨房機器管理部
92 :調理管理部
93 :画面情報生成部
95 :厨房データベース
96 :販売管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6