(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤の結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20241122BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20241122BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241122BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20241122BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241122BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20241122BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20241122BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20241122BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241122BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20241122BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241122BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20241122BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241122BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20241122BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20241122BHJP
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A61P 13/08 20060101ALI20241122BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241122BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241122BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20241122BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241122BHJP
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A61P 25/00 20060101ALI20241122BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241122BHJP
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A61P 31/00 20060101ALI20241122BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241122BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241122BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241122BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241122BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241122BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241122BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
A61K31/4985
A61P1/04
A61P1/18
A61P3/10
A61P7/02
A61P7/04
A61P7/06
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P11/00
A61P11/02
A61P11/06
A61P11/08
A61P13/08
A61P13/12
A61P17/00
A61P17/06
A61P19/02
A61P21/00
A61P21/04
A61P25/00
A61P25/28
A61P27/02
A61P29/00 101
A61P31/00
A61P31/12
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P37/06
A61P37/08
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2021512576
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(86)【国際出願番号】 US2019049419
(87)【国際公開番号】W WO2020051169
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-09-01
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ブレント・ダウティ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・エム・バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ピー・コームズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンジアン・ジア
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・レヴィ
(72)【発明者】
【氏名】エディ・ダブリュー・ユー
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/223414(WO,A1)
【文献】特許第7244504(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/4985
A61P 43/00
A61P 37/02
A61P 35/00
A61P 9/00
A61P 25/00
A61P 35/02
A61P 17/00
A61P 19/02
A61P 29/00
A61P 11/06
A61P 37/08
A61P 11/02
A61P 1/18
A61P 17/06
A61P 13/12
A61P 1/04
A61P 7/02
A61P 3/10
A61P 27/02
A61P 13/08
A61P 21/04
A61P 9/10
A61P 9/04
A61P 11/00
A61P 11/08
A61P 9/12
A61P 7/06
A61P 31/00
A61P 31/12
A61P 37/06
A61P 21/00
A61P 7/04
A61P 25/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの結晶であって、
2θにおいて8.6°±0.2°;9.5°±0.2°;10.3°±0.2°;13.0°±0.2°;13.6°±0.2°;14.2°±0.2°;14.9°±0.2°;17.3°±0.2°;19.2°±0.2°;20.6°±0.2°;24.0°±0.2°;及び28.7°±0.2°のピークのうち4つ以上のピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態IA;
2θにおいて9.1°±0.2°;11.1°±0.2°;12.6°±0.2°;13.5°±0.2°;18.0°±0.2°;19.0°±0.2°;20.5°±0.2°;及び21.9°±0.2°のピークのうち4つ以上のピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態IIA;ならびに
2θにおいて8.1°±0.2°;10.6°±0.2°;13.5°±0.2°;14.2°±0.2°;16.4°±0.2°;17.1°±0.2°;17.9°±0.2°;20.3°±0.2°;及び24.1°±0.2°のピークのうち4つ以上のピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態IIIA
から選択される結晶形態のものである、結晶。
【請求項2】
無水及び無溶媒和である、請求項1に記載の結晶。
【請求項3】
結晶形態が形態IAである、請求項1または2に記載の結晶。
【請求項4】
図1に示されるとおりのX線粉末回折パターンを有する、請求項3に記載の結晶。
【請求項5】
193℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有する、請求項3または4に記載の結晶。
【請求項6】
図2に示されるとおりの示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を有する、請求項3から5のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項7】
図3に示されるとおりの熱重量分析(TGA)を有する、請求項3から6のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項8】
結晶形態が形態IIAである、請求項1または2に記載の結晶。
【請求項9】
図4に示されるとおりのX線粉末回折パターンを有する、請求項8に記載の結晶。
【請求項10】
180℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有する、請求項8または9に記載の結晶。
【請求項11】
図5に示されるとおりの示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を有する、請求項8から10のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項12】
図6に示されるとおりの熱重量分析(TGA)を有する、請求項8から11のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項13】
結晶形態が形態IIIAである、請求項1または2に記載の結晶。
【請求項14】
図7に示されるとおりのX線粉末回折パターンを有する、請求項13に記載の結晶。
【請求項15】
143℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有する、請求項13または14に記載の結晶。
【請求項16】
図8に示されるとおりの示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を有する、請求項13から15のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項17】
図9に示されるとおりの熱重量分析(TGA)を有する、請求項13から16のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項18】
2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩の結晶であって、臭化水素酸に対する2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの化学量論比が1:1である、結晶。
【請求項19】
溶媒和結晶である、請求項18に記載の結晶。
【請求項20】
メタノール溶媒和物結晶である、請求項19に記載の結晶。
【請求項21】
単離されている、請求項1から20のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項に記載の結晶を含む、組成物。
【請求項23】
少なくとも1つの薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
PI3Kγキナーゼの活性を阻害するための医薬であって、請求項1から21のいずれか1項に記載の結晶を含む、前記医薬。
【請求項25】
前記結晶が、PI3Kα、PI3Kβ、及びPI3Kδのうちの1つ以上よりもPI3Kγに対する選択的阻害剤である、請求項24に記載の医薬。
【請求項26】
患者におけるPI3Kγキナーゼの異常な発現または活性と関連する疾患または障害を処置するための組成物であって、請求項1から21のいずれか1項に記載の結晶を含む、前記組成物。
【請求項27】
前記疾患または障害が、自己免疫疾患もしくは障害、がん、心血管疾患、または神経変性疾患である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
疾患または障害が、肺癌、黒色腫、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、結腸癌、子宮内膜癌、膀胱癌、皮膚癌、子宮癌、腎癌、胃癌、精上皮腫、奇形癌、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、または肉腫である、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記肉腫が、アスキン腫瘍、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性シュワン細胞腫、骨肉腫、胞状軟部肉腫、血管肉腫、葉状嚢胞肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、デスモイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、血管周囲細胞腫、血管肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、または未分化多形肉腫である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記疾患または障害が、急性骨髄性白血病、急性単球性白血病、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、皮膚T細胞リンパ腫、大顆粒リンパ球性白血病、成熟(末梢)T細胞新生物(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、またはリンパ芽球性リンパ腫である、請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
前記成熟(末梢)T細胞新生物(PTCL)が、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞顆粒リンパ球性白血病、侵攻性NK細胞性白血病、菌状息肉腫/セザリー症候群、未分化大細胞型リンパ腫(T細胞型)、腸管症型T細胞リンパ腫、成人T細胞性白血病/リンパ腫、または血管免疫芽球性T細胞リンパ腫である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記未分化大細胞リンパ腫(ALCL)が、全身性ALCLまたは原発性皮膚ALCLである、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
前記疾患または障害が、バーキットリンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞性白血病、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、前リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄線維症、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脾性辺縁帯リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞性白血病、髄外性形質細胞腫、くすぶり型骨髄腫(別名、無症候性骨髄腫)、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項26に記載の組成物。
【請求項34】
前記非ホジキンリンパ腫(NHL)が、再発性NHL、難治性NHL、再発性濾胞性NHL、低悪性度NHL(iNHL)、または侵攻性NHL(aNHL)である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
前記バーキットリンパ腫が、風土性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、またはバーキット様リンパ腫である、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
前記疾患または障害が、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、膵炎、乾癬、アナフィラキシー、糸球体腎炎、炎症性腸疾患、血栓症、髄膜炎、脳炎、糖尿病性網膜症、良性前立腺肥大症、重症筋無力症、シェーグレン症候群、骨関節炎、再狭窄、またはアテローム性動脈硬化症である、請求項26に記載の組成物。
【請求項38】
前記疾患または障害が、心臓肥大、心筋細胞の機能不全、急性冠症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、血圧上昇、虚血、虚血再灌流、血管収縮、貧血、細菌感染症、ウイルス感染症、移植片拒絶、腎臓病、アナフィラキシーショック線維症、骨格筋萎縮、骨格筋肥大、血管新生、敗血症、移植片対宿主病、同種もしくは異種移植、糸球体硬化症、進行性腎線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、自己免疫性溶血性貧血、脈管炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、天疱瘡、または膜性腎症である、請求項26に記載の組成物。
【請求項39】
前記特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が、再発性ITPまたは難治性ITPである、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記脈管炎が、ベーチェット病、コーガン症候群、巨細胞性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、高安動脈炎、バージャー病(閉塞性血栓血管炎)、中枢神経系脈管炎、川崎病、結節性多発性動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、混合型クリオグロブリン血症性血管炎(本態性またはC型肝炎ウイルス(HCV)誘発性)、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、過敏性脈管炎、顕微鏡的多発性血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、または抗好中球細胞質抗体関連(ANCA)全身性脈管炎(AASV)である、請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
前記疾患または障害が、アルツハイマー病、中枢神経系損傷、または脳卒中である、請求項26に記載の組成物。
【請求項42】
化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの結晶を調製するプロセスであって、前記化合物を溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、前記混合物から前記化合物を結晶化させることとを含む、前記プロセス。
【請求項43】
前記溶媒が、酢酸イソプロピルを含む、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
前記溶媒が、ヘプタンをさらに含む、請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記混合物
を70℃か
ら90℃の温度に加熱することをさらに含む、請求項42から44のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項46】
前記混合物を室温に冷却することをさらに含む、請求項45に記載のプロセス。
【請求項47】
前記溶媒が、メタノールを含む、請求項42に記載のプロセス。
【請求項48】
前記混合物
を50℃か
ら70℃の温度に加熱することをさらに含む、請求項42に記載のプロセス。
【請求項49】
前記混合物を室温に冷却することをさらに含む、請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの臭化水素酸塩を調製するプロセスであって、前記化合物を溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、臭化水素酸を前記混合物に添加することとを含む、前記プロセス。
【請求項51】
前記溶媒が、メタノールを含む、請求項50に記載のプロセス。
【請求項52】
前記臭化水素酸が、前記混合物に臭化水素酸の水溶液として添加される、請求項50または51に記載のプロセス。
【請求項53】
1当量の2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドに基づいて過剰量の臭化水素酸が前記混合物に添加される、請求項50から52のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項54】
1当量の前記2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドに基づい
て1.1か
ら1.5当量の臭化水素酸が前記混合物に添加される、請求項50から53のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項55】
前記2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩
を単離することをさらに含む、請求項50から54のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項56】
前記2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩が、結晶として単離される、請求項55に記載のプロセス。
【請求項57】
前記2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩が、メタノール溶媒和物結晶として単離される、請求項55または56に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん及びその他の疾患の処置に有用なPI3K阻害剤である2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド及び8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの塩及び結晶形態に関する。
【発明の背景】
【0002】
化合物、式Aを有する2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、式Bを有する8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド及び式Cを有する8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d
3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド
【化1】
は、がんを含む様々な疾患の処置に有用なホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤である。薬物の開発に対して、一般に調製、精製、再現性、安定性、バイオアベイラビリティ、及びその他の特徴に関する望ましい特性を有する薬物の形態を利用するのが有利である。したがって、本明細書中に示されている式A、式B及び式Cの化合物の塩及び結晶形態は、重篤な疾患の処置のためのPI3K阻害剤の開発に対する継続的な必要性に対処する。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、式Aの化合物の塩及び結晶形態、式Bの化合物の結晶形態ならびに式Cの化合物の結晶形態:
【化2】
を提供する。
【0004】
本発明は、本明細書中に示されている式Aの化合物の塩及び結晶形態ならびに少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む組成物をさらに提供する。本発明は、式Bの化合物の結晶形態及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む組成物をさらに提供する。本発明は、式Cの化合物の結晶形態及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む組成物をさらに提供する。
【0005】
本発明は、本発明の塩及び結晶形態を調製するためのプロセスをさらに提供する。
【0006】
本発明は、患者におけるPI3Kキナーゼの異常な発現または活性と関連する疾患を処置する方法であって、患者に治療有効量の本発明の塩または結晶形態を投与することを含む方法をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IAに関するXRPDパターンを示す。
【
図2】2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IAに関するDSC実験の結果を示す。
【
図3】2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IAに関するTGA実験の結果を示す。
【
図4】2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IIAに関するXRPDパターンを示す。
【
図5】2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IIAに関するDSC実験の結果を示す。
【
図6】2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IIAに関するTGA実験の結果を示す。
【
図7】2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IIIAに関するXRPDパターンを示す。
【
図8】2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IIIAに関するDSC実験の結果を示す。
【
図9】2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IIIAに関するTGA実験の結果を示す。
【
図10】8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド、結晶形態IBに関するXRPDパターンを示す。
【
図11】8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド、結晶形態IBに関するDSC実験の結果を示す。
【
図12】8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド、結晶形態IIBに関するXRPDパターンを示す。
【
図13】8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド、結晶形態IIBに関するDSC実験の結果を示す。
【
図14】8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d
3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド、結晶形態ICに関するXRPDパターンを示す。
【
図15】8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d
3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド、結晶形態ICに関するDSC実験の結果を示す。
【
図16A】30%の確率レベルで描かれた熱楕円体を用いて2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩、メタノール溶媒和物形態の非対称結晶単位を示す。
【
図16B】30%の確率レベルで描かれた熱楕円体を用いて2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩の結晶単位を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、とりわけ、下記式Aを有するPI3K阻害剤2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの塩及び結晶形態に関し、
【化3】
これは、例えば、がんを含む様々な疾患の処置のための上記化合物の固体剤形の調製に有用である。
【0009】
本発明はまた、とりわけ、下記式Bを有するPI3K阻害剤8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態に関する。
【化4】
【0010】
本発明はまた、とりわけ、下記式Cを有するPI3K阻害剤8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d
3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態に関する。
【化5】
【0011】
一般に、同じ物質の異なる結晶形態は、例えば、吸湿性、溶解性、安定性等に関して異なるバルク特性を有する。高い融点を有する形態は、良好な熱力学的安定性を有することが多く、これは、固形物を含む薬物製剤の品質保持期間を長くするのに有利である。低い融点を有する形態は、熱力学的にあまり安定でないことが多いが、これらは、水溶性が高くなり、薬物のバイオアベイラビリティが高くなることになる点で有利である。吸湿性が低い形態は、熱及び湿度に対する安定性が望ましく、長期の保管中の分解に耐える。無水物の形態は、溶媒または水分含有量の変化による重量または組成物の変化を気にすることなく一貫して生成できるため望ましいことが多い。一方、水和または溶媒和形態は、吸湿性である可能性が低く、保管条件下における湿度に対して向上した安定性を示すこともある点で有利であり得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、「結晶形態」という用語は、結晶性物質のある特定の格子構成を指すことを意味する。同じ物質の異なる結晶形態は、一般に異なる結晶格子(例えば、単位格子)を有し、これは、各結晶形態に特有の異なる物理的特性に起因する。場合によっては、異なる格子構成は、異なる水または溶媒含有量を有する。異なる結晶格子は、固体状態特性評価方法によって、例えば、X線粉末回折(XRPD)によって特定することができる。他の特性評価方法、例えば、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、動的蒸気収着(DVS)、固体NMR等は、結晶形態の特定をさらに助け、同様に、安定性及び溶媒/水含有量の決定も助ける。
【0013】
物質の結晶形態は、溶媒和(例えば、水和)形態及び無溶媒和(例えば、無水)形態の両方を含む。水和形態は、結晶格子中に水を含む結晶形態である。水和形態は、水が格子中に半水和物、一水和物、二水和物等の特定の水/分子比で存在する化学量論的水和物であってもよい。水和形態はまた、水分含有量が可変で、湿度等の外的条件に左右される非化学量論的であってもよい。
【0014】
結晶形態は、最も一般的にXRPDによって特徴づけられる。反射(ピーク)のXRPDパターンは、典型的には特定の結晶形態のフィンガープリントとみなされる。XRPDピークの相対強度が、とりわけ、サンプルの調製技法、結晶サイズの分布、フィルタ、サンプルの取り付け手順、及び用いられる特定の機器に応じて広く変化し得ることは周知である。いくつかの事例では、機器の種類または設定(例えば、Niフィルタが使用されるか否か)に応じて、新たなピークが観測され得るか、または既存のピークが消失し得る。本明細書で使用される場合、「ピーク」という用語は、最大ピーク高さ/強度の少なくとも約4%の相対高さ/強度を有する反射を指す。さらに、機器の変化及び他の要因は、2シータ値に影響を及ぼし得る。したがって、本明細書で報告されるもの等のピーク割り当ては、プラスまたはマイナス約0.2°(2シータ)だけ変化し得、「実質的に」という用語は、本明細書でXRPDの文脈において使用される場合、上述の変化を包含することを意味する。
【0015】
同様に、DSC、TGA、またはその他の熱的実験に関する温度測定値は、機器、特定の設定、サンプル調製等に応じて約±4℃変化し得る。例えば、DSCに関して、観測される温度は、温度変化率ならびに利用されるサンプル調製技法及び特定の機器に左右されることが知られている。したがって、DSCサーモグラムに関して本明細書中で報告される値は、上記のとおり、±4℃だけ変化し得る。したがって、「実質的に」いずれかの図に示されるとおりのDSCサーモグラムを有する本明細書中で報告される結晶形態は、そのような変化に対応することが理解される。
【0016】
式Aの化合物の結晶形態
式Aの化合物は、例えば、無水、及び/または無溶媒和もしくは溶媒和である結晶形態を含む、多数の結晶形態として単離され得る。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態は、溶媒和である。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態は、無水である。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態は、無溶媒和である。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態は、無水及び無溶媒和である。「無水」とは、式Aの化合物の結晶形態が本質的に結晶格子構造中に結合水を含まない、すなわち、化合物が、結晶水和物を形成しないことを意味する。
【0017】
いくつかの実施形態において、本出願は、化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの結晶形態を調製するプロセスを提供する。いくつかの実施形態において、本プロセスは、2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドを溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、混合物から化合物を結晶化させることとを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、溶媒は、酢酸イソプロピルを含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、ヘプタンをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、溶媒は、メタノールを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、本プロセスは、混合物を約70℃から約90℃の温度に加熱することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、本プロセスは、混合物を約50℃から約70℃の温度に加熱することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、本プロセスは、混合物を室温に冷却することをさらに含む。
【0023】
本出願は、本明細書に示されているプロセスに従って調製される化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの結晶形態をさらに提供する。いくつかの実施形態において、結晶形態は、本明細書に記載されている形態IAである。いくつかの実施形態において、結晶形態は、本明細書に記載されている形態IIAである。いくつかの実施形態において、結晶形態は、本明細書に記載されている形態IIIAである。
【0024】
いくつかの実施形態において、本出願は、化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの臭化水素酸塩を調製するプロセスを提供する。いくつかの実施形態において、本プロセスは、式Aの化合物を溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、臭化水素酸を混合物に添加することとを含む。
【0025】
臭化水素酸塩を調製するプロセスのいくつかの実施形態において、溶媒は、メタノールを含む。
【0026】
臭化水素酸塩を調製するプロセスのいくつかの実施形態において、臭化水素酸は、混合物に臭化水素酸の水溶液として添加される。
【0027】
臭化水素酸塩を調製するプロセスのいくつかの実施形態において、1当量の2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドに基づいて過剰量の臭化水素酸が混合物に添加される。
【0028】
臭化水素酸塩を調製するプロセスのいくつかの実施形態において、1当量の2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドに基づいて約1.1から約1.5当量の臭化水素酸が混合物に添加される。
【0029】
臭化水素酸塩を調製するプロセスのいくつかの実施形態において、本プロセスは、2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩を実質的に単離することをさらに含む。
【0030】
臭化水素酸塩を調製するプロセスのいくつかの実施形態において、2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩は、結晶形態として単離される。
【0031】
臭化水素酸塩を調製するプロセスのいくつかの実施形態において、2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩は、メタノール溶媒和物結晶形態として単離される。
【0032】
いくつかの実施形態において、本出願は、本明細書に示されているプロセスに従って調製される2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの臭化水素酸塩をさらに提供する。いくつかの実施形態において、臭化水素酸塩は、結晶性である。いくつかの実施形態において、臭化水素酸塩は、溶媒和結晶形態である。いくつかの実施形態において、臭化水素酸塩は、メタノール溶媒和物結晶形態である。
【0033】
いくつかの実施形態において、本発明の結晶形態は、実質的に単離される。「実質的に単離される」とは、式Aの化合物の特定の結晶形態が不純物から少なくとも部分的に単離されることを意味する。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の結晶形態は、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満、約1%未満、または約0.5%未満の不純物を含む。不純物は、一般に、例えば、その他の結晶形態及びその他の物質を含む、実質的に単離された結晶形態ではないものを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態は、その他の結晶形態を実質的に含まない。「その他の結晶形態を実質的に含まない」という語句は、式Aの化合物の特定の結晶形態が、約80重量%超、約90重量%超、約95重量%超、約98重量%超、約99重量%超または約99.5重量%超の特定の結晶形態を含むことを意味する。
【0035】
式Aの化合物の結晶形態IA
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態は、形態IAである。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、無水及び無溶媒和である。式Aの化合物の形態IAの化合物の調製は、実施例1に記載されている。式Aの化合物の結晶形態IAは、一般に実施例2に記載されているとおりに調製することができる。
【0036】
式Aの化合物の結晶形態IAは、例えば、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、及び熱重量分析(TGA)に関する固有のシグネチャーによって特定することができる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、
図1に実質的に示されるとおりのXRPDパターンによって特徴づけられる。XRPDパターンのピークは、表1に列挙される。
【0037】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて8.6°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて9.5°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて10.3°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて14.9°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。
【0038】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:8.6°±0.2°;9.5°±0.2°;10.3°±0.2°;13.0°±0.2°;13.6°±0.2°;14.2°±0.2°;及び14.9°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:8.6°±0.2°;9.5°±0.2°;10.3°±0.2°;14.9°±0.2°;17.3°±0.2°;17.8°±0.2°;19.0°±0.2°;19.2°±0.2°;20.1°±0.2°;20.6°±0.2°;21.2°±0.2°;22.2°±0.2°;24.0°±0.2°;26.8°±0.2°;及び28.7°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:10.3°±0.2°;14.9°±0.2°;17.3°±0.2°;19.2°±0.2°;及び24.0°±0.2°。
【0039】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:8.6°±0.2°;9.5°±0.2°;10.3°±0.2°;13.0°±0.2°;13.6°±0.2°;14.2°±0.2°;14.9°±0.2°;17.3°±0.2°;19.2°±0.2°;20.6°±0.2°;24.0°±0.2°;及び28.7°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:8.6°±0.2°;9.5°±0.2°;10.3°±0.2°;14.9°±0.2°;17.3°±0.2°;17.8°±0.2°;19.0°±0.2°;19.2°±0.2°;20.1°±0.2°;20.6°±0.2°;21.2°±0.2°;22.2°±0.2°;24.0°±0.2°;26.8°±0.2°;及び28.7°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:9.5°±0.2°;10.3°±0.2°;14.9°±0.2°;17.3°±0.2°;19.2°±0.2°;20.6°±0.2°;24.0°±0.2°;及び28.7°±0.2°。
【0040】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の形態IAは、約193℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、
図2に実質的に示されるとおりのDSCサーモグラムを有する。
【0041】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IAは、
図3に実質的に示されるとおりのTGAトレースを有する。
【0042】
式Aの化合物の結晶形態IIA
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態は、形態IIAである。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、無水及び無溶媒和である。この結晶形態は、一般に実施例3に記載されているとおりに調製することができる。
【0043】
式Aの化合物の結晶形態IIAは、例えば、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、及び熱重量分析(TGA)に関する固有のシグネチャーによって特定することができる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、
図4に実質的に示されるとおりのXRPDパターンによって特徴づけられる。XRPDパターンのピークは、表2に列挙される。
【0044】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて9.1°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて11.1°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて21.9°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて12.6°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて13.6°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて18.0°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて19.0°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。
【0045】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:9.1°±0.2°;11.1°±0.2°;12.6°±0.2°;及び13.5°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:9.1°±0.2°;11.1°±0.2°;12.6°±0.2°;13.5°±0.2°;16.1°±0.2°;16.9°±0.2°;18.0°±0.2°;18.4°±0.2°;19.0°±0.2°;19.7°±0.2°;20.1°±0.2°;20.5°±0.2°;21.9°±0.2°;23.7°±0.2°;23.8°±0.2°;25.1°±0.2°;25.3°±0.2°;25.8°±0.2°;及び27.3°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:12.6°±0.2°;18.0°±0.2°;19.0°±0.2°;及び21.9°±0.2°。
【0046】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:9.1°±0.2°;11.1°±0.2°;12.6°±0.2°;13.5°±0.2°;18.0°±0.2°;19.0°±0.2°;20.5°±0.2°;及び21.9°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:9.1°±0.2°;11.1°±0.2°;12.6°±0.2°;13.5°±0.2°;16.1°±0.2°;16.9°±0.2°;18.0°±0.2°;18.4°±0.2°;19.0°±0.2°;19.7°±0.2°;20.1°±0.2°;20.5°±0.2°;21.9°±0.2°;23.7°±0.2°;23.8°±0.2°;25.1°±0.2°;25.3°±0.2°;25.8°±0.2°;及び27.3°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:12.6°±0.2°;18.0°±0.2°;19.0°±0.2°;20.5°±0.2°;及び21.9°±0.2°。
【0047】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の形態IIAは、約180℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、
図5に実質的に示されるとおりのDSCサーモグラムを有する。
【0048】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIAは、
図6に実質的に示されるとおりのTGAトレースを有する。
【0049】
式Aの化合物の結晶形態IIIA
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態は、形態IIIAである。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、無水及び無溶媒和である。この結晶形態は、一般に実施例4に記載されているとおりに調製することができる。
【0050】
式Aの化合物の結晶形態IIIAは、例えば、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、及び熱重量分析(TGA)に関する固有のシグネチャーによって特定することができる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、
図7に実質的に示されるとおりのXRPDパターンによって特徴づけられる。XRPDパターンのピークは、表3に列挙される。
【0051】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて8.1°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて10.6°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて13.5°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて14.2°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて20.3°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。
【0052】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:8.1°±0.2°;10.6°±0.2°;13.5°±0.2°;及び14.2°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:10.6°±0.2°;13.5°±0.2°;14.2°±0.2°;16.4°±0.2°;17.1°±0.2°;17.9°±0.2°;20.3°±0.2°;20.8°±0.2°;24.1°±0.2°;24.6°±0.2°;24.8°±0.2°;及び27.5°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:10.6°±0.2°;13.5°±0.2°;14.2°±0.2°;及び20.3°±0.2°。
【0053】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:8.1°±0.2°;10.6°±0.2°;13.5°±0.2°;14.2°±0.2°;16.4°±0.2°;17.1°±0.2°;17.9°±0.2°;20.3°±0.2°;及び24.1°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:10.6°±0.2°;13.5°±0.2°;14.2°±0.2°;16.4°±0.2°;17.1°±0.2°;17.9°±0.2°;20.3°±0.2°;20.8°±0.2°;24.1°±0.2°;24.6°±0.2°;24.8°±0.2°;及び27.5°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:10.6°±0.2°;13.5°±0.2°;14.2°±0.2°;16.4°±0.2°;17.1°±0.2°;17.9°±0.2°;20.3°±0.2°;及び24.1°±0.2°。
【0054】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の形態IIIAは、約143℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、
図8に実質的に示されるとおりのDSCサーモグラムを有する。
【0055】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の結晶形態IIIAは、
図9に実質的に示されるとおりのTGAトレースを有する。
【0056】
式Aの臭化水素酸塩
いくつかの実施形態において、本出願は、式Aの化合物の臭化水素酸塩を提供する。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の臭化水素酸塩は、臭化水素酸に対して1:1の化学量論比の2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドである。臭化水素酸塩形態は、一般に実施例11に記載されているとおりに調製することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、式Aの化合物の臭化水素酸塩は、結晶性である。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の臭化水素酸塩は、溶媒和結晶形態である。いくつかの実施形態において、式Aの化合物の臭化水素酸塩は、メタノール溶媒和物結晶形態である。
【0058】
式Bの化合物の結晶形態
式Bの化合物は、例えば、無水及び/または無溶媒和である結晶形態を含む、多数の結晶形態として単離され得る。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態は、無水である。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態は、無溶媒和である。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態は、無水及び無溶媒和である。「無水」とは、式Bの化合物の結晶形態が本質的に結晶格子構造中に結合水を含まない、すなわち、化合物が、結晶水和物を形成しないことを意味する。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書に示されている結晶形態は、例えば、8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドを溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、混合物から化合物を結晶化させることとを含むプロセスによって調製することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、本プロセスは、混合物を約70℃から約90℃の温度に加熱することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本プロセスは、混合物を室温に冷却することをさらに含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、溶媒は、酢酸イソプロピルを含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、ヘプタンをさらに含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、本出願は、本明細書に示されているプロセスに従って調製される化合物8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態を提供する。いくつかの実施形態において、結晶形態は、本明細書に記載されている形態IBである。いくつかの実施形態において、結晶形態は、本明細書に記載されている形態IIBである。
【0063】
いくつかの実施形態において、本発明の結晶形態は、実質的に単離される。「実質的に単離される」とは、式Bの化合物の特定の結晶形態が不純物から少なくとも部分的に単離されることを意味する。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の結晶形態は、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満、約1%未満、または約0.5%未満の不純物を含む。不純物は、一般に、例えば、その他の結晶形態及びその他の物質を含む、実質的に単離された結晶形態ではないものを含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態は、その他の結晶形態を実質的に含まない。「その他の結晶形態を実質的に含まない」という語句は、式Bの化合物の特定の結晶形態が、約80重量%超、約90重量%超、約95重量%超、約98重量%超、約99重量%超または約99.5重量%超の特定の結晶形態を含むことを意味する。
【0065】
式Bの化合物の結晶形態IB
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態は、形態IBである。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、無水及び無溶媒和である。式Bの化合物の調製は、実施例5及び6に記載されている。結晶形態IBは、一般に実施例7に記載されているとおりに調製することができる。
【0066】
式Bの化合物の結晶形態IBは、例えば、X線粉末回折(XRPD)及び示差走査熱量測定(DSC)に関する固有のシグネチャーによって特定することができる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、
図10に実質的に示されるとおりのXRPDパターンによって特徴づけられる。XRPDパターンのピークは、表4に列挙される。
【0067】
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて6.2°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて15.6°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて20.7°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;15.6°±0.2°;16.7°±0.2°;20.7°±0.2°;及び23.2°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.4°±0.2°;11.6°±0.2°;12.0°±0.2°;13.9°±0.2°;14.4°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;20.7°±0.2°;及び23.2°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;12.0 °±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;19.3°±0.2°;20.7°±0.2°;23.2°±0.2°;及び27.1°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.4°±0.2°;11.6°±0.2°;12.0°±0.2°;13.9°±0.2°;及び14.4°±0.2°。
【0068】
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:2θ:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.4°±0.2°;11.6°±0.2°;12.0°±0.2°;13.9°±0.2°;14.4°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;20.7°±0.2°;及び23.2°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;12.0 °±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;19.3°±0.2°;20.7°±0.2°;23.2°±0.2°;及び27.1°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;20.7°±0.2°;及び23.2°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.4°±0.2°;11.6°±0.2°;12.0°±0.2°;13.9°±0.2°;及び14.4°±0.2°。
【0069】
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の形態IBは、約174℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IBは、
図11に実質的に示されるとおりのDSCサーモグラムを有する。
【0070】
式Bの化合物の結晶形態IIB
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態は、形態IIBである。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、無水及び無溶媒和である。この結晶形態は、一般に実施例8に記載されているとおりに調製することができる。
【0071】
式Bの化合物の結晶形態IIBは、例えば、X線粉末回折(XRPD)及び示差走査熱量測定(DSC)に関する固有のシグネチャーによって特定することができる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、
図12に実質的に示されるとおりのXRPDパターンによって特徴づけられる。XRPDパターンのピークは、表5に列挙される。
【0072】
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて4.2°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて7.4°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて13.3°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて20.1°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて17.0°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて18.8°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。
【0073】
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:4.3°±0.2°;7.4°±0.2°;13.3°±0.2°;及び15.3°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:4.3°±0.2°;7.4°±0.2°;15.3°±0.2°;17.0°±0.2°;18.8°±0.2°;及び20.1°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:4.3°±0.2°;7.4°±0.2°;13.3°±0.2°;15.3°±0.2°;15.5°±0.2°;17.0°±0.2°;17.2°±0.2°;18.1°±0.2°;18.8°±0.2°;19.6°±0.2°;20.1°±0.2°;21.4°±0.2°;23.5°±0.2°;25.8°±0.2°;26.2°±0.2°;及び27.3°±0.2°。
【0074】
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:4.3°±0.2°;7.4°±0.2°;13.3°±0.2°;15.3°±0.2°;15.5°±0.2°;17.0°±0.2°;17.2°±0.2°;18.1°±0.2°;18.8°±0.2°;19.6°±0.2°;20.1°±0.2°;21.4°±0.2°;23.5°±0.2°;25.8°±0.2°;26.2°±0.2°;及び27.3°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:4.3°±0.2°;7.4°±0.2°;13.3 °±0.2°;15.3°±0.2°;15.5°±0.2°;17.0°±0.2°;17.2°±0.2°;18.8°±0.2°;及び20.1°±0.2°。
【0075】
いくつかの実施形態において、式Bの化合物の形態IIBは、約165℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Bの化合物の結晶形態IIBは、
図13に実質的に示されるとおりのDSCサーモグラムを有する。
【0076】
式Cの化合物の結晶形態
式Cの化合物は、例えば、無水及び/または無溶媒和である結晶形態を含む、多数の結晶形態として単離され得る。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態は、無水である。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態は、無溶媒和である。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態は、無水及び無溶媒和である。「無水」とは、式Cの化合物の結晶形態が本質的に結晶格子構造中に結合水を含まない、すなわち、化合物が、結晶水和物を形成しないことを意味する。
【0077】
いくつかの実施形態において、本出願は、化合物8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態を調製するプロセスを提供する。いくつかの実施形態において、本プロセスは、8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドを溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、混合物から化合物を結晶化させることとを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、本プロセスは、混合物を約70℃から約90℃の温度に加熱することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本プロセスは、混合物を室温に冷却することをさらに含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、溶媒は、酢酸イソプロピルを含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、ヘプタンをさらに含む。
【0080】
本出願は、本明細書に示されているプロセスに従って調製される化合物8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態を提供する。いくつかの実施形態において、結晶形態は、本明細書に記載されている形態ICである。
【0081】
いくつかの実施形態において、本発明の結晶形態は、実質的に単離される。「実質的に単離される」とは、式Cの化合物の特定の結晶形態が不純物から少なくとも部分的に単離されることを意味する。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の結晶形態は、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満、約1%未満、または約0.5%未満の不純物を含む。不純物は、一般に、例えば、その他の結晶形態及びその他の物質を含む、実質的に単離された結晶形態ではないものを含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態は、その他の結晶形態を実質的に含まない。「その他の結晶形態を実質的に含まない」という語句は、式Cの化合物の特定の結晶形態が、約80重量%超、約90重量%超、約95重量%超、約98重量%超、約99重量%超または約99.5重量%超の特定の結晶形態を含むことを意味する。
【0083】
式Cの化合物の結晶形態IC
いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態は、結晶形態ICである。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、無水及び無溶媒和である。式Cの化合物の式Cの化合物の調製は、実施例9に記載されている。式Cの化合物の結晶形態ICは、一般に実施例10に記載されているとおりに調製することができる。
【0084】
式Cの化合物の結晶形態ICは、例えば、X線粉末回折(XRPD)及び示差走査熱量測定(DSC)に関する固有のシグネチャーによって特定することができる。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、
図14に実質的に示されるとおりのXRPDパターンによって特徴づけられる。XRPDパターンのピークは、表6に列挙される。
【0085】
いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、2θにおいて6.2°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、2θにおいて11.9°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、2θにおいて16.7°±0.2°でのピークを含むXRPDパターンによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;18.8°±0.2°;19.9°±0.2°;20.7°±0.2°;21.2°±0.2°;22.3°±0.2°;23.2°±0.2°;及び27.0°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;及び21.2°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、2θにおいて以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.3°±0.2°;11.9°±0.2°;及び12.5°±0.2°。
【0086】
いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;18.8°±0.2°;19.9°±0.2°;20.7°±0.2°;21.2°±0.2°;22.3°±0.2°;23.2°±0.2°;及び27.0°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.3°±0.2°;11.9°±0.2°;12.5°±0.2°;13.8°±0.2°;14.4°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;20.7°±0.2°;及び21.2°±0.2°。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、2θにおいて2つ以上、3つ以上、または4つ以上の以下のピークを含むXRPDパターンを有する:6.2°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;20.7°±0.2°;及び21.2°±0.2°。
【0087】
いくつかの実施形態において、式Cの化合物の形態ICは、約179℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムによって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式Cの化合物の結晶形態ICは、
図15に実質的に示されるとおりのDSCサーモグラムを有する。
【0088】
使用の方法
本明細書に記載されている本発明の化合物(例えば、塩及び結晶形態)は、PI3Kγキナーゼの活性を阻害する。したがって、本明細書に記載されている本発明の塩及び結晶形態は、キナーゼを接触させることによってPI3Kγキナーゼを阻害する方法に使用され得る。いくつかの実施形態において、本発明の塩及び結晶形態は、有効量の本明細書に記載されている塩または結晶形態を投与することによって、阻害を必要とする個体/患者においてPI3Kγの活性を阻害する方法に使用され得る。いくつかの実施形態において、調節は、阻害である。いくつかの実施形態において、接触は、インビボである。いくつかの実施形態において、接触は、エクスビボである。有利なことに、本明細書に記載されている結晶形態は、動物試験においてより優れた有効性ならびに有利な安全性及び毒性プロファイルを示す。
【0089】
いくつかの実施形態において、PI3Kγは、変異を含む。変異は、1つのアミノ酸の別のアミノ酸との置き換え、または1つ以上のアミノ酸の欠失であり得る。そのような実施形態において、変異は、PI3Kγのキナーゼドメインに存在し得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、塩または結晶形態は、PI3Kδをさらに阻害する。
【0091】
本明細書に記載されている塩及び結晶形態は、選択的であり得る。「選択的」とは、塩または結晶形態が、少なくとも1つの他のキナーゼと比較して、それぞれ、より大きな親和性または効力でPI3Kγに結合するか、またはそれを阻害することを意味する。いくつかの実施形態において、本開示の塩及び結晶形態は、PI3Kδ、PI3Kα、及びPI3KβよりもPI3Kγの選択的阻害剤である。いくつかの実施形態において、本開示の塩及び結晶形態は、PI3Kα及びPI3KβよりもPI3Kγの選択的阻害剤である。いくつかの実施形態において、選択性は、本明細書に記載されるアッセイによって測定するとき、PI3Kδを少なくとも約2倍、3倍、5倍、10倍、または20倍上回り得る。いくつかの実施形態において、選択性は、各酵素の2μMのATP濃度で試験することができる。いくつかの実施形態において、本開示の塩及び結晶形態の選択性は、特定のPI3Kキナーゼ活性に関連する細胞アッセイによって決定することができる。
【0092】
本開示の別の態様は、キナーゼPI3Kγ関連疾患または障害の処置を必要とする個体に、治療有効量または用量の本開示の1つ以上の塩もしくは結晶形態またはその医薬組成物を投与することによって、個体(例えば、患者)におけるキナーゼPI3Kγ関連疾患または障害を処置する方法に関する。PI3Kγ関連疾患または障害には、過剰発現及び/または異常な活性レベルを含む、PI3Kγの発現または活性に直接または間接的に関連づけられる任意の疾患、障害、または状態が含まれ得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、自己免疫疾患もしくは障害、がん、心血管疾患、または神経変性疾患である。
【0094】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、黒色腫、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、結腸癌、子宮内膜癌、膀胱癌、皮膚癌、子宮癌、腎癌、胃癌、または肉腫である。いくつかの実施形態において、肉腫は、アスキン腫瘍、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、骨肉腫、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、葉状嚢肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、デスモイド腫瘍、線維形成性小丸細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、血管周囲細胞腫、血管肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、または未分化多形肉腫である。
【0095】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、中皮腫または腺癌である。いくつかの実施形態において、疾患または障害は、中皮腫である。いくつかの実施形態において、疾患または障害は、副腎癌である。
【0096】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、急性骨髄性白血病(例えば、急性単球性白血病)、小リンパ球性(lymphocyctic)リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、T細胞急性リンパ芽球性(actute lymphoblasic)白血病(T-ALL)、皮膚T細胞リンパ腫、大顆粒リンパ球性白血病、成熟(末梢)T細胞新生物(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、またはリンパ芽球性リンパ腫である。いくつかの実施形態において、成熟(末梢)T細胞新生物(PTCL)は、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞顆粒リンパ球性白血病、侵攻性NK細胞性白血病、菌状息肉腫/セザリー症候群、未分化(naplastic)大細胞型リンパ腫(T細胞型)、腸管症型T細胞リンパ腫、成人T細胞性白血病/リンパ腫、または血管免疫芽球性T細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態において、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性ALCLまたは原発性皮膚ALCLである。
【0097】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、バーキットリンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞性白血病、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、前リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄線維症、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脾性辺縁帯リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞性白血病、髄外性形質細胞腫、くすぶり型骨髄腫(別名、無症候性骨髄腫)、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0098】
MDSC(骨髄系由来抑制細胞)は、骨髄系列(骨髄幹細胞を起源とする細胞のファミリー)からの不均一な免疫細胞の群である。MDSCは、慢性感染症及びがん等の病的状況では、造血の変化の結果として強く増殖する。MDSCは、それらが免疫刺激特性ではなく強力な免疫抑制活性をもつ、他の骨髄系細胞型とは区別される。他の骨髄系細胞と同様に、MDSCは、T細胞、樹状細胞、マクロファージ、及びナチュラルキラー細胞を含む他の種類の免疫細胞と相互作用して、それらの機能を調節する。いくつかの実施形態において、例えば、本明細書に記載の化合物等は、マクロファージ及び/またはMDSCの浸潤の高い基礎レベルを伴う固形腫瘍を含む、MDSCの高い浸潤を伴うがん組織(例えば、腫瘍)に関連する方法に使用され得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、バーキットリンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞性白血病、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、前リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄線維症、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脾性辺縁帯リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞性白血病、髄外性形質細胞腫、くすぶり型骨髄腫(別名、無症候性骨髄腫)、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0100】
いくつかの実施形態において、非ホジキンリンパ腫(NHL)は、再発性NHL、難治性NHL、再発性濾胞性NHL、低悪性度NHL(iNHL)、または侵攻性NHL(aNHL)である。
【0101】
いくつかの実施形態において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0102】
いくつかの実施形態において、バーキットリンパ腫は、風土性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、またはバーキット様リンパ腫である。
【0103】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(erythematous)、喘息、アレルギー(例えば、アレルギー性鼻炎)、膵炎、乾癬、アナフィラキシー、糸球体腎炎、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、血栓症、髄膜炎、脳炎、糖尿病性網膜症、良性前立腺肥大症、重症筋無力症、シェーグレン症候群、骨関節炎、再狭窄、またはアテローム性動脈硬化症である。
【0104】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、心臓肥大、心筋細胞の機能不全、急性冠症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、血圧上昇、虚血、虚血再灌流、血管収縮、貧血(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、または真正赤血球性貧血)、細菌感染症、ウイルス感染症、移植片拒絶、腎臓病、アナフィラキシーショック線維症、骨格筋萎縮、骨格筋肥大、血管新生、敗血症、移植片対宿主病、同種もしくは異種移植、糸球体硬化症、進行性腎線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、特発性肺線維症、自己免疫性溶血性貧血、脈管炎、ループス腎炎、天疱瘡、または膜性腎症である。
【0105】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、心臓肥大、心筋細胞の機能不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血圧上昇、虚血、虚血再灌流、血管収縮、貧血(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、または真正赤血球性貧血)、細菌感染症、ウイルス感染症、移植片拒絶、腎臓病、アナフィラキシーショック線維症、骨格筋萎縮、骨格筋肥大、血管新生、敗血症、移植片拒絶、糸球体硬化症、進行性腎線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、自己免疫性溶血性貧血、脈管炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、天疱瘡、または膜性腎症である。
【0106】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、アルツハイマー病、中枢神経系損傷、または脳卒中である。
【0107】
いくつかの実施形態において、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、再発性ITPまたは難治性ITPである。
【0108】
いくつかの実施形態において、脈管炎は、ベーチェット病、コーガン症候群、巨細胞性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、高安動脈炎、バージャー病(閉塞性血栓血管炎)、中枢神経系脈管炎、川崎病、結節性多発性動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、混合型クリオグロブリン血症性血管炎(本態性またはC型肝炎ウイルス(HCV)誘発性)、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、過敏性脈管炎、顕微鏡的多発性血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、または抗好中球細胞質抗体関連(ANCA)全身性脈管炎(AASV)である。
【0109】
本開示は、本明細書に記載されている方法のいずれかにおいて使用するための、本明細書に記載されている塩または結晶形態をさらに提供する。
【0110】
本開示は、本明細書に記載されている方法のいずれかにおいて使用するための医薬の調製のための、本明細書に記載されている結晶形態、またはその薬学的に許容される塩の使用をさらに提供する。
【0111】
本明細書で使用される場合、「接触させること」という用語は、示される部分をインビトロ系またはインビボ系において一緒にさせることを指す。例えば、PI3Kを本開示の塩または結晶形態と「接触させること」は、本開示の結晶形態を、PI3Kを有するヒト等の個体または患者に投与することと、例えば、本開示の塩または結晶形態を、PI3Kを含有する細胞調製物または精製調製物を含有するサンプル中に導入することとを含む。
【0112】
本明細書に示されている塩及び結晶形態、またはその実施形態のいずれかは、十分な薬理学的プロファイル及び有望な生物薬剤学的特性、例えば、毒物学的プロファイル、代謝及び薬物動態的特性、溶解性、及び透過性を有し得ると考えられる。適切な生物薬剤学的特性の決定は、当業者の知識の範囲内であり、例えば、潜在的な毒性を決定するための細胞における細胞毒性または所定の標的もしくはチャネルの阻害の決定であることが理解される。
【0113】
本明細書で使用されるとき、互換的に使用される「個体」または「患者」という用語は、哺乳動物を含む任意の動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、最も好ましくはヒトを指す。
【0114】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という語句は、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医によって組織、系、動物、個体、またはヒトにおいて求められている生物学的または薬物的応答を引き出す、活性塩、結晶形態、または医薬品の量を指す。
【0115】
本明細書で使用されるとき、「処置すること」または「処置」という用語は、(1)疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態、または障害の病状または総体症状を経験しているかまたはそれを示している個体において疾患、状態、または障害を阻害すること(すなわち、病状及び/または総体症状のさらなる進展を停止させること)、及び(2)疾患を改善させること、例えば、疾患の重症度を低下させる等、疾患、状態、または障害の病状または総体症状を経験しているかまたはそれを示している個体において疾患、状態、または障害を改善させること(すなわち、病状及び/または総体症状を好転させること)、のうちの1つ以上を指すことができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明の塩及び結晶形態は、本明細書で言及される疾患のうちのいずれかの発症の予防または発症するリスクの低減、例えば、疾患、状態、または障害の素因があり得るが、その疾患の病状または総体症状をまだ経験していないかまたは示していない個体における、疾患、状態、または障害の発症の予防または発症するリスクの低減において有用であり得る。
【0117】
併用療法
I.免疫チェックポイント療法
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるPI3Kγ阻害剤は、本明細書に記載されるようながんの処置のために、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用することができる。一実施形態では、本明細書に記載されるような1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせは、黒色腫の処置のために使用され得る。本開示の塩及び結晶形態は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用され得る。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、CD20、CD28、CD40、CD122、CD96、CD73、CD47、GITR、CSF1R、JAK、PI3Kデルタ、PI3Kガンマ、TAM、アルギナーゼ、HPK1、CD137(4-1BBとしても知られている)、ICOS、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、VISTA、TIGIT、PD-1、PD-L1及びPD-L2等の免疫チェックポイント分子に対する阻害剤が含まれる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR、及びCD137から選択される刺激チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子は、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM3、TIGIT、及びVISTAから選択される阻害性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本開示の塩及び結晶形態は、KIR阻害剤、TIGIT阻害剤、LAIR1阻害剤、CD160阻害剤、2B4阻害剤及びTGFRベータ阻害剤から選択される1つ以上の薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0118】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるPI3Kγ阻害剤は、免疫チェックポイント分子、例えば、OX40、CD27、OX40、GITR、及びCD137(4-1BBとしても知られる)の1つ以上のアゴニストと組み合わせて使用され得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である。
【0120】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1の阻害剤、例えば、抗PD-1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ(MK-3475としても知られる)、デュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))、ピディリズマブ、SHR-1210、PDR001、MGA012、PDR001、AB122、またはAMP-224である。いくつかの実施形態において、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブまたはペムブロリズマブである。いくつかの実施形態において、抗PD1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態において、抗PD-1モノクローナル抗体は、MGA012である。いくつかの実施形態において、抗PD1抗体は、SHR-1210である。他の抗がん剤(複数可)には、4-1BB等の抗体療法剤(例えば、ウレルマブ、ウトミルマブ)が含まれる。
【0121】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446としても知られる)、またはMSB0010718Cである。いくつかの実施形態において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、MPDL3280AまたはMEDI4736である。
【0122】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1及びPD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-1/PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-1/PD-L1は、MCLA-136である。
【0123】
いくつかの実施形態において、阻害剤はMCLA-145である。
【0124】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CTLA-4の阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態において、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ、トレメリムマブ、AGEN1884、またはCP-675,206である。
【0125】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、LAG3の阻害剤、例えば、抗LAG3抗体である。いくつかの実施形態において、抗LAG3抗体は、BMS-986016、LAG525、またはINCAGN2385である。
【0126】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TIM3の阻害剤、例えば、抗TIM3抗体である。いくつかの実施形態において、抗TIM3抗体は、INCAGN2390、MBG453、またはTSR-022である。
【0127】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、GITRの阻害剤、例えば、抗GITR抗体である。いくつかの実施形態において、抗GITR抗体は、TRX518、MK-4166、INCAGN1876、MK-1248、AMG228、BMS-986156、GWN323、またはMEDI1873である。
【0128】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、OX40のアゴニスト、例えば、OX40アゴニスト抗体またはOX40L融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、抗OX40抗体は、MEDI0562、MOXR-0916、PF-04518600、GSK3174998、またはBMS-986178である。いくつかの実施形態において、OX40L融合タンパク質は、MEDI6383である。
【0129】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD20の阻害剤、例えば、抗CD20抗体である。いくつかの実施形態において、抗CD20抗体は、オビヌツズマブまたはリツキシマブである。
【0130】
本開示の塩及び結晶形態は、二重特異性抗体と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のドメインのうちの1つは、PD-1、PD-L1、CTLA-4、GITR、OX40、TIM3、LAG3、CD137、ICOS、CD3、またはTGFβ受容体を標的とする。
【0131】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるPI3Kγ阻害剤は、1つ以上の代謝酵素阻害剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態において、代謝酵素阻害剤は、IDO1、TDO、またはアルギナーゼの阻害剤である。IDO1阻害剤の例としては、エパカドスタット、NLG919、BMS-986205、PF-06840003、IOM2983、RG-70099、及びLY338196が挙げられる。
【0132】
全体を通して提供されるように、追加の化合物、阻害剤、薬剤等は、単一のもしくは連続的な剤形において本化合物と組み合わせられ得るか、またはそれらは、別々の剤形として同時にもしくは順次に投与され得る。
【0133】
II.がん治療
がん細胞の増殖及び生存は、複数のシグナル伝達経路によって影響を受け得る。したがって、活性を調節する標的において異なる選択性を示す異なる酵素/タンパク質/レセプター阻害剤を組み合わせて、そのような状態を処置するのに有用である。2つ以上のシグナル伝達経路(または所定のシグナル伝達経路に関与する2つ以上の生物学的分子)を標的とすることは、細胞集団において生じる薬物抵抗性の可能性を低減し、及び/または処置の毒性を低減することができる。
【0134】
本開示の塩及び結晶形態は、1つ以上のその他の酵素/タンパク質/レセプター阻害剤またはがん等の疾患の処置のための1つ以上の療法と組み合わせて使用され得る。併用療法で治療可能な疾患及び適応症の例には、本明細書に記載されているものが挙げられる。がんの例としては、固形腫瘍、及び血液癌等の液性腫瘍が挙げられる。
【0135】
例えば、化学療法薬、抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制剤、がん免疫療法剤、代謝酵素阻害剤、ケモカイン受容体阻害剤、及びホスファターゼ阻害剤等の、1つ以上の追加の医薬品、ならびに、例えばWO2006/056399に記載されるもの等の、Bcr-Abl、Flt-3、EGFR、HER2、JAK、c-MET、VEGFR、PDGFR、c-Kit、IGF-1R、RAF、及びFAKキナーゼ阻害剤等の標的療法。治療用抗体等のその他の薬剤が、PI3K関連疾患、障害または状態の処置のための本開示の塩及び結晶形態と組み合わせて使用されてもよい。1つ以上の追加の医薬品は、患者に同時にまたは順次に投与することができる。
【0136】
例えば、本明細書に開示されるような塩及び結晶形態は、がん及び本明細書に記載されている他の疾患または障害の処置のために、以下のキナーゼの阻害剤の1つ以上と組み合わせることができる:Akt1、Akt2、Akt3、TGF-βR、PKA、PKG、PKC、CaM-キナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、MEKK、ERK、MAPK、mTOR、EGFR、HER2、HER3、HER4、INS-R、IGF-1R、IR-R、PDGFαR、PDGFβR、CSFIR、KIT、FLK-II、KDR/FLK-1、FLK-4、flt-1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c-Met、Ron、Sea、TRKA、TRKB、TRKC、FLT3、VEGFR/Flt2、Flt4、EphA1、EphA2、EphA3、EphB2、EphB4、Tie2、Src、Fyn、Lck、Fgr、Btk、Fak、SYK、FRK、JAK、ABL、ALK、及びB-Raf。がんならびに本明細書に記載される他の疾患及び障害の処置のために本開示の塩及び結晶形態と組み合わせることができる阻害剤の非限定的な例としては、FGFR阻害剤(FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4、例えば、INCB54828、INCB62079、及びINCB63904)、JAK阻害剤(JAK1及び/またはJAK2、例えば、ルキソリチニブ、バリシチニブ、もしくはINCB39110)、IDO阻害剤(例えば、エパカドスタット、NLG919、またはBMS-986205)、LSD1阻害剤(例えば、INCB59872及びINCB60003)、TDO阻害剤、PI3K-デルタ阻害剤(例えば、INCB50797及びINCB50465)、Pim阻害剤、CSF1R阻害剤、TAM受容体チロシンキナーゼ(Tyro-3、Axl、及びMer)、HDAC8阻害剤等のヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、血管新生阻害剤、インターロイキン受容体阻害剤、ブロモ及びエクストラターミナルファミリーメンバー阻害剤(例えば、INCB54329及びINCB57643等のブロモドメイン阻害剤またはBET阻害剤)、ならびにアデノシン受容体アンタゴニスト、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0137】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている塩及び結晶形態は、PI3Kδ阻害剤と共に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている塩及び結晶形態は、JAK阻害剤と共に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている塩及び結晶形態は、JAK1またはJAK2阻害剤(例えば、バリシチニブまたはルキソリチニブ)と共に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている塩及び結晶形態は、JAK1阻害剤と共に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている塩及び結晶形態は、JAK2に対するよりも選択的であるJAK1阻害剤と共に投与される。
【0138】
併用療法で使用するための抗体の例には、トラスツズマブ(例えば、抗HER2)、ラニビズマブ(例えば、抗VEGF-A)、ベバシズマブ(商標名アバスチン、例えば、抗VEGF、パニツムマブ(例えば、抗EGFR)、セツキシマブ(例えば、抗EGFR)、リツキサン(抗CD20)及びc-METに対する抗体が含まれるがこれらに限定されない。
【0139】
以下の薬剤のうちの1つ以上が、本開示の塩及び結晶形態と組み合わせて使用されてもよく、非限定的なリストとして提示される:細胞増殖抑制剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、イリノテカン、カンプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、テモゾロミド、シクロホスファミド、SCH66336、R115777、L778,123、BMS214662、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)、EGFRに対する抗体、イントロン、ara-C、アドリアマイシン、サイトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、オキサリプラチン、ロイコビリン、ELOXATIN(商標)(オキサリプラチン)、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、テニポシド17.アルファ-.-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、メグストロールアセテート、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、メドロキシプロゲステロンアセテート、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミソール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、ヘキサメチルメラミン、アバスチン、HERCEPTIN(商標)(トラスツズマブ)、BEXXAR(商標)(トシツモマブ)、VELCADE(商標)(ボルテゾミブ)、ZEVALIN(商標)(イブリツモマブチウキセタン)、TRISENOX(商標)(三酸化ヒ素)、XELODA(商標)(カペシタビン)、ビノレルビン、ポルフィマー、ERBITUX(商標)(セツキシマブ)、チオテパ、アルトレタミン、メルファラン、トラスツズマブ、レロゾール、フルベストラント、エキセメスタン、イホスフォミド、リツキシマブ、C225(セツキシマブ)、カンパス(アレムツズマブ)、クロファラビン、クラドリビン、アフィジコロン、リツキサン、スニチニブ、ダサチニブ、テザシタビン、Sml1、フルダラビン、ペントスタチン、トリアピン、ジドックス、トリミドックス、アミドックス、3-AP、及びMDL-101,731。
【0140】
本開示の塩及び結晶形態は、例えば、化学療法、放射線療法、腫瘍標的療法、アジュバント療法、免疫療法、または外科手術によるがんを処置する他の方法と組み合わせてさらに使用することができる。免疫療法の例には、サイトカイン処置(例えば、インターフェロン、GM-CSF、G-CSF、IL-2)、CRS-207免疫療法、がんワクチン、モノクローナル抗体、養子T細胞移入、Toll受容体アゴニスト、STINGアゴニスト、腫瘍溶解性ウイルス療法、及びサリドマイドまたはJAK1/2阻害剤等を含む免疫調節小分子が挙げられる。塩及び結晶形態は、1つ以上の抗がん剤、例えば、化学療法薬と組み合わせて投与され得る。化学療法薬の例には、アバレリックス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、ベバシズマブ、ベキサロテン、バリシチニブ、ブレオマイシン、ボルテゾンビ、ボルテゾミブ、静注ブスルファン、経口ブスルファン、カルスステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルテパリンナトリウム、ダウノルビシン、デシタビン、デニロイキン、デニロイキンジフチトックス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エクリズマブ、エピルビシン、エルロチニブ、エストラムスチン、リン酸エトポシド、エトポシド、エキセメスタン、クエン酸フェンタニル、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンアルファ2a、イリノテカン、ジトシル酸ラパチニブ、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトキサレン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オラパリボキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パニツムマブ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ルキソリチニブ、ルカパリブ、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ボリノスタット、ニラパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブ、及びゾレドロネートのいずれかが含まれる。
【0141】
化学療法薬の追加の例としては、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、レブリミド、及びDNA損傷剤、例えば、メルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチン等が挙げられる。
【0142】
例となるステロイドには、デキサメタゾンまたはプレドニゾン等のコルチコステロイドが含まれる。
【0143】
例となるBcr-Abl阻害剤には、イマチニブメシル酸塩(GLEEVAC(商標))、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、及びポナチニブ、ならびに薬学的に許容される塩が含まれる。他の例となる好適なBcr-Abl阻害剤には、米国特許第5,521,184号、WO04/005281、及び米国 第60/578,491号に開示される属及び種の化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0144】
例となる好適なFlt-3阻害剤には、ミドスタウリン、レスタウルチニブ、リニファニブ、スニチニブ、マレイン酸スニチニブ、ソラフェニブ、キザルチニブ、クレノラニブ、パクリチニブ、タンヅチニブ、PLX3397及びASP2215、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。他の例となる好適なFlt-3阻害剤には、WO03/037347、WO03/099771、及びWO04/046120に開示されるような化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0145】
例となる好適なRAF阻害剤には、ダブラフェニブ、ソラフェニブ、及びベムラフェニブ、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。他の例となる好適なRAF阻害剤には、WO00/09495及びWO05/028444に開示されるような化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0146】
例となる好適なFAK阻害剤には、VS-4718、VS-5095、VS-6062、VS-6063、BI853520、及びGSK2256098、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。他の例となる好適なFAK阻害剤には、WO04/080980、WO04/056786、WO03/024967、WO01/064655、WO00/053595、及びWO01/014402に開示されるような化合物、ならびにその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0147】
いくつかの実施形態において、本開示の塩及び結晶形態は、特にイマチニブまたは他のキナーゼ阻害剤に抵抗性のある患者を処置するために、イマチニブを含む、1つ以上の他のキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0148】
いくつかの実施形態において、本開示の塩及び結晶形態は、がんの処置において化学療法薬と組み合わせて使用することができ、その毒性作用を悪化させることなく、化学療法剤単独に対する応答と比較して治療応答を改善し得る。いくつかの実施形態において、本開示の塩及び結晶形態は、本明細書に提供される化学療法薬と組み合わせて使用することができる。例えば、多発性骨髄腫の処置に使用される追加の医薬品には、メルファラン、メルファラン+プレドニゾン[MP]、ドキソルビシン、デキサメタゾン、及びベルケイド(ボルテゾミブ)が含まれ得るが、これらに限定されない。多発性骨髄腫の治療に使用されるさらなる追加の薬剤には、Bcr-Abl、Flt-3、RAF及びFAKキナーゼ阻害剤が含まれる。いくつかの実施形態において、その薬剤は、アルキル化剤、プロテアソーム阻害剤、コルチコステロイド、または免疫調節剤である。アルキル化剤の例としては、シクロホスファミド(CY)、メルファラン(MEL)、及びベンダムスチンが挙げられる。いくつかの実施形態において、プロテアソーム阻害剤は、カルフィルゾミブである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン(DEX)である。いくつかの実施形態において、免疫調節剤は、レナリドミド(LEN)またはポマリドミド(POM)である。相加効果または相乗効果は、本開示のPI3K阻害剤を追加の薬剤と組み合わせることの望ましい結果である。
【0149】
いくつかの実施形態において、本開示の塩及び結晶形態は、JAKまたはPI3Kδの阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0150】
薬剤は、単一のもしくは連続的な剤形において本化合物と組み合わせられ得るか、または薬剤は、別々の剤形として同時にもしくは順次に投与され得る。
【0151】
本開示の塩及び結晶形態は、感染症の処置のために、1つ以上の他の阻害剤または1つ以上の療法と組み合わせて使用することができる。感染症の例には、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、または寄生虫感染症が挙げられる。
【0152】
いくつかの実施形態において、デキサメタゾン等のコルチコステロイドは、本開示の化合物と組み合わせて患者に投与され、ここで、デキサメタゾンは、連続的ではなく断続的に投与される。
【0153】
本明細書に記載される本開示の塩及び結晶形態は、がん細胞、精製腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、及び炭水化物分子を含む)、細胞、及び免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子でトランスフェクトされた細胞等の別の免疫原と組み合わせることができる。使用され得る腫瘍ワクチンの非限定的な例には、gp100のペプチド、MAGE抗原、Trp-2、MARTI、及び/またはチロシナーゼ、あるいはサイトカインGM-CSFを発現するようにトランスフェクトされた腫瘍細胞等の黒色腫抗原のペプチドが含まれる。
【0154】
本明細書に記載される本開示の塩及び結晶形態は、がんの処置のためのワクチン接種プロトコルと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞は、GM-CSFを発現するように形質導入される。いくつかの実施形態において、腫瘍ワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBV及びHCV)及びカポジヘルペス肉腫ウイルス(KHSV)等のヒトのがんに関与するウイルス由来のタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、本開示の塩及び結晶形態は、腫瘍組織自体から単離された熱ショックタンパク質等の腫瘍特異的抗原と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、塩及び結晶形態は、樹状細胞免疫化と組み合わせて、強力な抗腫瘍応答を活性化することができる。
【0155】
本開示の塩及び結晶形態は、FeアルファまたはFeガンマ受容体発現エフェクター細胞を腫瘍細胞に向ける二重特異性大環状ペプチドと組み合わせて使用することができる。本開示の塩及び結晶形態はまた、宿主の免疫応答性を活性化する大環状ペプチドと組み合わせて使用することもできる。
【0156】
いくつかのさらなる実施形態では、本開示の塩及び結晶形態と他の治療用薬剤との組み合わせは、骨髄移植または幹細胞移植の前、その間、及び/またはその後に患者に投与することができる。本開示の塩及び結晶形態は、造血由来の様々な腫瘍の処置のために骨髄移植と組み合わせて使用することができる。
【0157】
塩及び結晶形態は、病原体、毒素、及び自己抗原に対する免疫応答を刺激するために、ワクチンと組み合わせて使用することができる。この治療アプローチが特に有用であり得る病原体の例には、現在有効なワクチンがない病原体、または従来のワクチンが完全には有効でない病原体が含まれる。これらには、これらに限定されないが、HIV、肝炎(A、B、及びC型)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、Staphylococcus aureus、Pseudomonas Aeruginosaが含まれる。
【0158】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こすウイルスには、これらに限定されないが、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザ、A型、B型、C型またはD型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、エボラウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-II、及びCMV、エプスタインバーウイルス)、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コルノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、マンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、伝染性ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、及びアルボウイルス性脳炎ウイルスが含まれる。
【0159】
本開示の方法により治療可能な感染症を引き起こす病原性細菌には、これらに限定されないが、chlamydia、rickettsial細菌、mycobacteria、staphylococci、streptococci、pneumonococci、meningococci及びconococci、klebsiella、proteus、serratia、pseudomonas、legionella、diphtheria、salmonella、bacilli、コレラ、破傷風、ボツリヌス症、炭疽菌、ペスト、レプトスピラ症、ならびにライム病菌が含まれる。
【0160】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性真菌には、これらに限定されないが、Candida(albicans、krusei、glabrata、tropicalis等)、Cryptococcus neoformans、Aspergillus(fumigatus、niger等)、Genus Mucorales(mucor、absidia、rhizophus)、Sporothrix schenkii、Blastomyces dermatitidis、Paracoccidioides brasiliensis、Coccidioides immitis、及びHistoplasma capsulatumが含まれる。本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性寄生生物の例には、Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleriafowleri、Acanthamoeba sp.、Giardia lambia、Cryptosporidium sp.、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania donovani、Toxoplasma gondi、及びNippostrongylus brasiliensisが含まれるがこれらに限定されない。
【0161】
これらの化学療法剤のほとんどを安全かつ効果的に投与するための方法は、当業者に知られている。また、それらの投与は、標準的な文献に記載されている。例えば、多くの化学療法剤の投与は、“Physicians’ Desk Reference”(PDR,e.g.,1996 edition,Medical Economics Company,Montvale,NJ)に記載されており、その開示は、その全体が記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0162】
医薬製剤及び剤形
製剤として用いられる場合、本開示の化合物(例えば、塩及び結晶形態)は、医薬組成物の形態で投与することができる。これらの組成物は、医薬分野で周知の様式で調製することができ、局所処置が所望されるか、または全身処置が所望されるか、及び処置対象となる領域に応じて、様々な経路によって投与することができる。投与は、局所(経皮、表皮、眼、ならびに鼻腔内、膣、及び直腸送達を含む粘膜への送達を含む)、肺(例えば、ネブライザーによるものを含む粉末またはエアロゾルの吸入または吹送による;気管内または鼻腔内)、経口または非経口であり得る。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内注射もしくは注入、または頭蓋内、例えば、髄腔内もしくは脳室内の投与が含まれる。非経口投与は、単回ボーラス用量の形態であり得るか、または、例えば、連続灌流ポンプによるものであってもよい。局所的投与のための医薬組成物及び製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐剤、スプレー、液体、及び粉末を含んでもよい。従来の薬学的担体、水性、粉末または油性の基材、増粘剤等が必要であり得るか、または所望とされ得る。
【0163】
本開示はまた、活性成分として、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容可能な担体(賦形剤)と組み合わせて含有する医薬組成物を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、局所投与に好適である。本開示の組成物の製造において、活性成分は典型的には、賦形剤と混合されるか、賦形剤によって希釈されるか、または、例えば、カプセル、サシェ、紙、もしくは他の容器の形態でそのような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として作用する固体、半固体、または液体物質であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ、エリキシル、懸濁液、エマルション、溶液、シロップ、エアロゾル(固体または液体媒体として)、例えば、10重量%までの活性化合物を含む軟膏、軟質及び硬質ゼラチンカプセル、坐剤、無菌注射用溶液、ならびに無菌包装粉末の形態であり得る。
【0164】
製剤を調製する際、他の成分と組み合わせる前に、活性化合物を粉砕して適切な粒径をもたらすことができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、それは、200メッシュ未満の粒径に粉砕できる。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は、製剤中で実質的に均一な分布、例えば、約40メッシュを提供するように粉砕することによって、調整することができる。
【0165】
本開示の化合物は、錠剤形成及び他の種類の製剤に好適な粒径を得るために、湿式粉砕等の既知の粉砕手順を使用して粉砕され得る。本開示の化合物の細分化された(ナノ粒子状の)調製物は、当該技術分野で知られているプロセスによって調製され得る。例えば、国際出願第WO2002/000196号を参照されたい。
【0166】
好適な賦形剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが含まれる。製剤は、追加として、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱物油等の滑沢剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁剤;安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル等の保存剤;甘味剤;ならびに風味剤を含むことができる。本開示の組成物は、当該技術分野で知られている手順を採用することによって、患者への投与後に活性成分の迅速、持続または遅延放出を提供するように製剤化され得る。
【0167】
組成物は、単位剤形で製剤化することができ、各投与量が約5~約1000mg(1g)、より通常は約100~約500mgの活性成分を含有する。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物に対する単位投与量(unitary dosage)として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位が、好適な医薬的賦形剤に関連して所望の治療効果を生み出すように算出された既定量の活性材料を含有する。
【0168】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、約5~約50mgの活性成分を含有する。当業者は、これが、約5~約10、約10~約15、約15~約20、約20~約25、約25~約30、約30~約35、約35~約40、約40~約45、または約45~約50mgの活性成分を含有する組成物を具体化することを理解する。
【0169】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、約50~約500mgの活性成分を含有する。当業者は、これが、約50~約100、約100~約150、約150~約200、約200~約250、約250~約300、約350~約400、または約450~約500mgの活性成分を含有する組成物を具体化することを理解する。
【0170】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、約500~約1000mgの活性成分を含有する。当業者は、これが、約500~約550、約550~約600、約600~約650、約650~約700、約700~約750、約750~約800、約800~約850、約850~約900、約900~約950、または約950~約1000mgの活性成分を含有する組成物を具体化することを理解する。
【0171】
本開示の方法及び使用において、本明細書に記載の化合物の同様の投与量が使用され得る。
【0172】
活性化合物は、広い投与量範囲にわたって有効であり得、一般に薬学的有効量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は通常、処置対象となる病態、選定された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の症状の重症度等を含めた関連性のある状況に応じて、医師により決定されることが理解されよう。
【0173】
錠剤等の固体組成物を調製するためには、主活性成分は、本開示の化合物の均質な混合物を含有する固体事前製剤組成物を形成するために薬学的賦形剤と混合される。これらの事前製剤組成物を均質なものとして言及する場合、組成物が錠剤、丸剤及びカプセル等の等しく有効な単位剤形に容易に細分化され得るように、活性成分は典型的には、組成物全体にわたって均一に分散される。次いでこの固体事前製剤は、例えば、約0.1~約1000mgの本開示の活性成分を含有する上述の種類の単位剤形に細分化される。
【0174】
本開示の錠剤または丸剤は、長期の作用という利点をもたらす剤形を提供するために、コーティングされ得るか、またはそうでなければ混和(compounded)され得る。例えば、錠剤または丸剤は、内側投与量(inner dosage)及び外側投与量(outer dosage)構成成分を含むことができ、後者が前者を覆う外被の形態にある。2つの成分は、胃における崩壊に抵抗し、かつその内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、または放出を遅延させることができる、腸溶性層によって分離することができる。そのような腸溶性層またはコーティングのために様々な物質が使用され得、そのような物質には、多数のポリマー酸ならびにポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースのような物質との混合物が含まれる。
【0175】
本開示の化合物及び組成物が経口投与のためにまたは注射によって組み込まれ得る液体形態には、水溶液、好適には味付けされたシロップ、水性または油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油等の食用油を有する味付けされたエマルション、ならびにエリキシル及び同様の薬学的ビヒクルが含まれる。
【0176】
吸入または吹送用の組成物は、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液及び懸濁液、ならびに粉末を含む。液体組成物または固体組成物には、上に記載されるような好適な薬学的に許容される賦形剤が含まれ得る。いくつかの実施形態において、組成物は、局所または全身効果のために口または鼻呼吸経路により投与される。組成物は、不活性ガスの使用により噴霧され得る。噴霧される溶液は、噴霧デバイスから直接的に吸入され得るか、または噴霧デバイスを、顔面マスク、栓塞子、もしくは間欠陽圧呼吸器に装着することができる。溶液、懸濁液、または粉末の組成物は、適切な様式で製剤を送達するデバイスから経口的または鼻腔に投与され得る。
【0177】
局所製剤は、1つ以上の従来の担体を含み得る。いくつかの実施形態において、軟膏は、水、及び例えば、流動パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、白色ワセリン等から選択される1つ以上の疎水性担体を含有することができる。クリームの担体組成物は、グリセロール及び1つ以上の他の構成成分、例えば、グリセリンモノステアリン酸塩、PEG-グリセリンモノステアリン酸塩、及びセチルステアリルアルコールと組み合わせた水に基づき得る。ゲルは、イソプロピルアルコール及び水を、例えば、グリセロール、ヒドロキシエチルセルロース等といった他の構成成分と好適に組み合わせて用いて製剤化することができる。いくつかの実施形態において、局所製剤は、少なくとも約0.1、少なくとも約0.25、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、または少なくとも約5重量%の本開示の化合物を含有する。局所製剤は、好適には、選択された適応症、例えば、乾癬または他の皮膚状態の治療のための指示書と任意に関連づけられた、例えば、100gのチューブ内に包装され得る。
【0178】
患者に投与される化合物または組成物の量は、投与されるもの、予防または治療等の投与の目的、患者の状態、投与の方法等に応じて変動するであろう。治療用途では、組成物は、疾患及びその合併症の症状を治癒するか、または少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で既に疾患に苦しんでいる患者に投与され得る。有効用量は、治療される疾患の状態、ならびに疾患の重症度、患者の年齢、体重、及び一般的な健康状態等の因子に基づいて担当の臨床医の判断に依存する。
【0179】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態であり得る。これらの組成物は、従来の殺菌技法によって殺菌され得るかまたは無菌ろ過され得る。水溶液は、そのままで使用するために包装または凍結乾燥され得るが、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。化合物調製物のpHは典型的には、3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8である。前述の賦形剤、担体、または安定化剤の所定の使用は、薬学的塩の形成をもたらすことが理解される。
【0180】
本開示の化合物の治療投与量は、例えば、治療が行われる特定の用途、化合物の投与手法、患者の健康及び状態、ならびに処方する医師の判断に応じて変化し得る。医薬組成物中の本開示の化合物の割合または濃度は、投与量、化学的性質(例えば、疎水性)、及び投与経路を含めたいくつかの要因に応じて様々であり得る。例えば、本開示の化合物は、非経口投与の場合は約0.1~約10%w/vの化合物を含有する生理的緩衝水溶液で提供され得る。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり約1μg/kg体重~約1g/kg体重である。いくつかの実施形態において、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/kg体重~約100mg/kg体重である。投与量は、疾患または障害の種類及び進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的有効性、賦形剤の配合、ならびにその投与経路等の変数に依存する可能性がある。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から導出された用量応答曲線から外挿することができる。
【0181】
本開示の組成物は、化学療法薬、ステロイド、抗炎症化合物、または免疫抑制剤等の1つ以上の追加の医薬品をさらに含むことができ、それらの例が本明細書に列挙される。
【0182】
標識化合物及びアッセイ方法
本開示の別の態様は、標識化合物の阻害結合によって、ヒトを含む、組織サンプル中でPI3Kの位置を特定して、それを定量するため、及びPI3Kリガンドを特定するために、画像化技法のみならず、インビトロ及びインビボの両方でのアッセイにおいても有用であろう本開示の標識化合物(例えば、塩及び結晶形態)(放射標識、蛍光標識等)に関する。本開示の化合物の原子のうちの1つ以上の置換もまた、差異化されたADME(吸着、分布、代謝、及び排泄)を生み出す上で有用であり得る。したがって、本開示は、かかる標識または置換化合物を含有するPI3Kアッセイを含む。
【0183】
本開示は、本開示の同位体標識化合物をさらに含む。「同位体的」または「放射標識」化合物とは、1つ以上の原子が、典型的に自然界で見出される(すなわち、天然に存在する)原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子と置き換えまたは置換されている本開示の化合物である。本開示の化合物に組み込まれ得る好適な放射性核種には、2H(重水素としてDとも記される)、3H(トリチウムとしてTとも記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I、及び131Iが含まれるが、これらに限定されない。例えば、本開示の化合物中の1つ以上の水素原子は、重水素原子によって置き換えられ得る(例えば、式(I)のC1~6アルキル基の1つ以上の水素原子は、-CH3が-CD3で置換されるように重水素原子で任意に置換され得る)。いくつかの実施形態において、本開示の式及び/または形態のアルキル基が、全て重水素化され得る。
【0184】
本明細書に提示される化合物の1つ以上の構成原子は、天然または非天然の存在量で、原子の同位体で置き換えられていてもよく、または置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、化合物は、少なくとも1つの重水素原子を含む。例えば、本明細書に提示される化合物における1つ以上の水素原子が、重水素原子と置き換えまたは置換され得る(例えば、C1-6アルキル基の1つ以上の水素原子は、-CH3が-CD3で置換されるように重水素原子で置き換えられ得る)。いくつかの実施形態において、化合物は、2つ以上の重水素原子を含む。いくつかの実施形態において、化合物は、1、1~2、1~3、1~4、1~5、または1~6個の重水素原子を含む。いくつかの実施形態において、化合物中の全ての水素原子は、重水素原子によって置き換えられ得るか、または置換され得る。
【0185】
いくつかの実施形態において、任意の式A置換基の炭素原子に結合した1、2、3、4、5、6、7、または8個の水素原子は、それぞれ、任意選択で重水素原子によって置き換えられる。
【0186】
同位体を有機化合物に含めるための合成方法は、当該技術分野で知られている(Deuterium Labeling in Organic Chemistry by Alan F.Thomas(New York,N.Y.,Appleton-Century-Crofts,1971;The Renaissance of H/D Exchange by Jens Atzrodt,Volker Derdau,Thorsten Fey and Jochen Zimmermann,Angew.Chem.Int.Ed.2007,7744-7765;The Organic Chemistry of Isotopic Labelling by James R.Hanson,Royal Society of Chemistry,2011)。同位体標識化合物は、NMR分光法、代謝実験、及び/またはアッセイ等の様々な試験に使用され得る。
【0187】
重水素等のより重い同位体での置換は、代謝安定性がより大きいことから生じるある特定の治療上の利点、例えば、増加したインビボ半減期または低減された必要投与量をもたらし得、それ故、一部の状況で好ましい場合がある。(例えば、A.Kerekes et.al.J.Med.Chem.2011,54,201-210;R.Xu et.al.J.Label Compd.Radiopharm.2015,58,308-312を参照されたい)。特に、1つ以上の代謝部位での置換は、治療上の利点のうちの1つ以上をもたらし得る。
【0188】
当該放射標識化合物に組み込まれる放射性核種は、その放射標識化合物の特定の用途に依存する。例えば、インビトロPI3K標識及び競合アッセイの場合、3H、14C、82Br、125I、131I、または35Sを組み込む化合物が有用であり得る。放射線を用いた画像化用途では、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Br、または77Brが有用であり得る。
【0189】
「放射標識」または「標識化合物」とは、少なくとも1つの放射性核種を組み込んだ化合物であることが理解される。いくつかの実施形態において、放射性核種は、3H、14C、125I、35S、及び82Brからなる群から選択される。
【0190】
本開示は、放射性同位体を本開示の化合物に組み込むための合成方法をさらに含むことができる。放射性同位体を有機化合物に組み込むための合成方法は、当該技術分野で周知であり、当業者であれば、本開示の化合物に適用可能な方法を容易に認識するであろう。
【0191】
本開示の標識化合物をスクリーニングアッセイで用いて、化合物を特定する/評価することができる。例えば、新たに合成されたか、または特定された、標識されている化合物(すなわち、試験化合物)は、PI3Kと接触させたときのその濃度変動を、標識の追跡を通して監視することによって、PI3Kに結合するその能力に関して評価することができる。例えば、試験化合物(標識)は、PI3Kに結合することが知られている別の化合物(すなわち、標準化合物)の結合を低減するその能力に関して評価することができる。したがって、PI3Kへの結合を標準化合物と競合する試験化合物の能力は、その結合親和性と直接相関がある。逆に、一部の他のスクリーニングアッセイでは、標準化合物が標識されており、試験化合物は標識されていない。したがって、標準化合物と試験化合物との間の競合を評価するために、標識された標準化合物の濃度が監視され、これにより試験化合物の相対的結合親和性が確認される。
【0192】
キット
本開示はまた、例えば、がん等のPI3K関連疾患または障害の処置または予防において有用な、医薬キットも含み、これは、治療有効量の本開示の塩及び結晶形態を含む医薬組成物を収容する1つ以上の容器を含む。当業者には明らかなように、そのようなキットは、必要に応じて、例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体を有する容器、追加の容器等の様々な従来の医薬キット構成要素のうちの1つ以上をさらに含むことができる。挿入物またはラベルのいずれかとして、投与される成分の量、投与のガイドライン、及び/または成分を混合するためのガイドラインを示す指示書も、キットに含めることができる。
【0193】
本発明を特定の実施例を用いてより詳細に説明する。以下の実施例は例示の目的のために提供され、いかなる様式でも本発明を限定することは意図されていない。当業者は、本質的に同じ結果をもたらすように変更または改変することができる、様々な重要でないパラメーターを容易に認識するであろう。実施例の塩及び結晶形態は、本明細書に記載される少なくとも1つのアッセイにより、PI3Kγ阻害剤であることが見出された。
【実施例】
【0194】
調製された化合物の一部の分取LC-MS精製を、Watersの質量分別システムで実施した。これらのシステムの動作に関する基本的な設備の設定、プロトコル、及び制御ソフトウェアは、文献に詳細に記載されている(例えば、“Two-Pump At Column Dilution Configuration for Preparative LC-MS”,K.Blom,J.Combi.Chem.,4,295(2002);“Optimizing Preparative LC-MS Configurations and Methods for Parallel Synthesis Purification”,K.Blom,R.Sparks,J.Doughty,G.Everlof,T.Haque,A.Combs,J.Combi.Chem.,5,670(2003);及び“Preparative LC-MS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization”,K.Blom,B.Glass,R.Sparks,A.Combs,J.Combi.Chem.,6,874-883(2004)を参照されたい)。分離された化合物は典型的には、以下の条件下で純度分析のための分析用液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)に供した:装置;Agilent1100シリーズ、LC/MSD、カラム:Waters Sunfire(商標)C18 5μm、2.1×50mm、緩衝液:移動相A:水中0.025%のTFA及び移動相B:アセトニトリル;2.0mL/分の流量で3分間で2%から80%へのBの勾配。
【0195】
調製した化合物の一部はまた、実施例に示されるように、MS検出器を有する逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)またはフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって分取規模で分離した。典型的な分取逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)のカラム条件は以下のとおりである:
pH=2での精製:Waters Sunfire(商標)C18、5μm、30×100mmまたはWaters XBridge(商標)C18、5μm、30×100mmカラム、移動相A:水中0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)及び移動相B:アセトニトリルで溶出;流量は60mL/分であり、分離勾配は、文献に記載されるようなCompound Specific Method Optimizationプロトコルを用いて各化合物に対して最適化した(例えば、“Preparative LCMS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization”,K.Blom,B.Glass,R.Sparks,A.Combs,J.Comb.Chem.,6,874-883(2004)を参照されたい)。
【0196】
pH=10精製:Waters XBridge(商標)C18 5μm、30×100mmカラム、移動相A:水中0.1%NH4OH及び移動相B:アセトニトリルで溶出;流量は60mL/分であり、分離勾配は、文献に記載されるようなCompound Specific Method Optimizationプロトコルを用いて各化合物に対して最適化した(例えば、“Preparative LCMS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization”,K.Blom,B.Glass,R.Sparks,A.Combs,J.Comb.Chem.,6,874-883(2004)を参照されたい)。
【0197】
以下の例では、Bruker D8 Advance ECOX線粉末回折計(XRPD)機器において以下のパラメーターを用いてX線粉末回折分析を行った:1.5418ÅのCu線源及びLYNXEYETM検出器及び40KV、25mAのX線出力。サンプル粉末をゼロバックグラウンドサンプルホルダーに分散させた。一般的な測定条件は以下であった:開始角度 -3°;終了角度 -30°;サンプル採取 -0.015度;及びスキャン速度 -2度/分。
【0198】
示差走査熱量測定(DSC)は、オートサンプラーを備えたTA Instrument示差走査熱量計、Discovery DSC2500で実行された。一般的な実験条件は、以下であった:10℃/分で20~300℃、50mL/分の窒素ガス流、アルミニウムサンプルパンを使用。
【0199】
オートサンプラーを備えたTA Instrument熱重量分析器TGA5500において以下の条件で熱重量分析(TGA)を行った:25℃から600℃までの10℃/分の傾斜;25mL/分バランスパージ流における窒素ガス;及び白金サンプルパン。
【0200】
実施例1.2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド
【化6】
ステップ1.1-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オール
【化7】
テトラヒドロフラン(65.4mL)中の3-ブロモ-4-メチルベンズアルデヒド(6.51g、32.7mmol)[Aldrich、565334]の溶液を0℃に冷却し、トリメチル(トリフルオロメチル)シラン(6.28mL、42.5mmol)で処理した。黄色の混合物を、テトラヒドロフラン中の1.0Mのテトラブチルアンモニウムフルオリド(0.654mL、0.654mmol)で0℃において処理し、0℃で数分間撹拌した。氷浴を除去し、得られた反応混合物を1.5時間撹拌した。反応混合物を、冷却して0℃に戻し、水(6.48mL、360mmol)及びテトラヒドロフラン中の1.0Mのテトラブチルアンモニウムフルオリド(6.54mL、6.54mmol)で処理した。氷浴を除去し、反応混合物を周囲温度で30分間撹拌した。黄色の反応混合物をブライン(150mL)で希釈し、酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、黄褐色の油を得た。ヘキサン中のメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(0%から50%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(8.42g、95.7%)を黄色の油として得た。C
9H
7BrF
3 (M-OH)
+に対するLCMS: m/z = 251.0, 253.0;実測値: 250.9, 252.8。
【0201】
ステップ2.1-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン
【化8】
0℃のジクロロメタン(125mL)中の1-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オール(8.41g、31.3mmol)の混合物を、Dess-Martinペルヨージナン(19.9g、46.9mmol)で処理し、RTで2.5時間撹拌した。反応混合物を(30℃に設定した水浴を用いた回転蒸発によって)濃縮して、油状固体にし、それをジエチルエーテル(200mL)で希釈し、より多くの固体を沈殿させた。この混合物をCelite(登録商標)でろ過し、そのCelite(登録商標)を追加のジエチルエーテル(200mL)ですすいだ。ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3×200mL)及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、油状固体を得た。油状固体を、ジエチルエーテル(150mL)と水(100mL)の間で分配した。有機層を、分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×75mL)及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、所望の生成物(7.93g、95.0%)を油として得、これをさらなる精製を行わずに使用した。C
9H
7BrF
3O (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 267.0, 269.0;実測値: 267.1, 268.9。
【0202】
ステップ3.2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンニトリル
【化9】
ジクロロメタン(29.7mL)中の1-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(7.92g、29.7mmol)の溶液を、トリメチルシリルシアニド(8.70mL、65.2mmol)、シアン化カリウム(0.290g、4.45mmol)、及び18-クラウン-6(0.290g、1.10mmol)で処理し、1時間撹拌した。18-クラウン-6の添加後の発熱のため、反応を氷浴で冷却した。反応混合物を(28℃に設定した水浴を用いた回転蒸発によって)濃縮して、赤茶色の固体を得た。固体をTHF(29.6mL)に溶解させ、0℃に冷却し、1.8MのHCl(10.9mL、19.6mmol)で処理し、室温(rt)で1.5時間撹拌した。反応混合物を、水(75mL)で希釈し、ジエチルエーテル(3×75mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。ヘキサンからの再濃縮により、所望の生成物(8.70g、99.8%)を橙色の固体として得、これをさらなる精製を行わずに使用した。C
9H
7BrF
3O (M-CN)
+に対するLCMS: m/z = 267.0, 269.0;実測値: 266.9, 269.0。
【0203】
ステップ4.2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド(2番目に溶出するエナンチオマー)
【化10】
0℃の1,4-ジオキサン(59.2mL)中の2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンニトリル(8.70g、29.6mmol)の溶液を、氷浴において予め冷却した濃HCl(9.00mL、108mmol)で処理した。0℃で撹拌しながら、反応混合物に、HClガスを45分間バブリングした。冷却浴を除去し、反応混合物を室温で61時間撹拌した。反応混合物に窒素を10分間バブリングして、HClの一部を除去し、0℃に冷却し、ブライン(200mL)、水(50mL)、及び酢酸エチル(200mL)で希釈した。有機層を分離し、水層を水(100mL)で希釈して、残りの固体を溶解させた。水層を酢酸エチル(100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、褐色の油を得た。ヘキサン中のMTBE(0%から60%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、ラセミ生成物を黄色の油状固体として得た。ラセミ混合物を分取キラルHPLC(Phenomenex Lux Amylose-1[21.2×250mm、5マイクロメートル]、ヘキサン中の95%エタノールにより18mL/分の流量で溶出、2mLのエタノール中の約100mgをロード)により分離して、所望の2番目に溶出するエナンチオマー(4.50g、48.8%)を粘性の黄色の油として得た。溶出された最初のエナンチオマーは、4.0分の保持時間を有した。溶出された2番目のエナンチオマーは、5.3分の保持時間を有した。
【0204】
2番目に溶出するエナンチオマー: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.85 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.63 - 7.53 (m, 2H), 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 2.35 (s, 3H)。C10H10BrF3NO2 (M+H)+に対するLCMS: m/z = 312.0, 314.0;実測値: 312.0, 314.0。
【0205】
ステップ5.3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-(4-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)プロパンアミド
【化11】
1,4-ジオキサン(57.2mL)中の2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド(3.57g、11.5mmol)(実施例1、ステップ4、2番目に溶出するエナンチオマー)の溶液を、ビス(ピナコラート)ジボロン(3.49g、13.7mmol)及び酢酸カリウム(3.71g、37.8mmol)で処理し、窒素で5分間脱気した。反応混合物を、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.482g、0.687mmol)で処理し、5分間脱気し、100℃で2.5時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(50mL)で希釈し、Celite(登録商標)でろ過し、追加の酢酸エチル(100mL)ですすいだ。ろ液を、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、褐色の泡にした。ヘキサン中のMTBE(0%から100%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(3.35g、81.5%)を粘稠な黄色の泡として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.96 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.63 (dd, J = 7.9, 2.1 Hz, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.51 - 7.40 (m, 1H), 7.21 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 2.46 (s, 3H), 1.30 (s, 12H)。C
16H
22BF
3NO
4 (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 360.2;実測値: 360.1。
【0206】
ステップ6.2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド
1,4-ジオキサン(133mL)中の3-ブロモ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミン(7.50g、26.7mmol)及び3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-(4-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)プロパンアミド(10.5g、29.4mmol)(実施例1、ステップ5)の溶液を、水(53.4mL、53.4mmol)中の1.0Mの炭酸カリウムで処理し、窒素で5分間脱気し、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(3.27g、4.00mmol)で処理し、窒素でさらに5分間脱気し、100℃で19時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(200mL)及びブライン(50mL)で処理し、Celiteでろ過し、そのCeliteを追加の酢酸エチルですすいだ。ろ液から水層を分離し、酢酸エチル(200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して褐色の泡にした。ジクロロメタン中のMeOH(0%から10%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物を赤/褐色の泡として得、これは、完全に純粋ではなかった。この材料を、ジクロロメタン中のMeOH(0%から15%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーにより再精製して、所望の生成物を橙色/褐色の泡として得たが、これも依然として完全に純粋ではなかった。この材料を、ヘキサン中の(5%のMeOHを含む)酢酸エチル(0%から100%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーにより再精製して、所望の生成物を白色の泡として得、これも依然として不純物を含んでいた。この材料を、ジクロロメタン中の(5%のMeOHを含む)アセトニトリル(0%から100%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーにより再精製して、所望の生成物(4.67g、40.4%)を白色の泡として得た。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 7.79 (s, 1H), 7.76 - 7.71 (m, 2H), 7.71 - 7.64 (m, 4H), 7.61 (d, J = 3.5 Hz, 2H), 7.51 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 2.23 (s, 3H)。C17H14F6N5O2 (M+H)+に対するLCMS: m/z = 434.1;実測値: 434.1。
【0207】
実施例2:2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IA(遊離塩基)の調製及び特性評価
バイアルに2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド(0.050g、0.115mmol)を入れ、酢酸イソプロピル(0.676mL)/ヘプタン(1.34mL)の1:2の予め混合された溶液を滴加しながら80℃で撹拌した。2mLを添加した後、固体は、完全には溶解せず、いくらかバイアルの底に残った。ほぼ全ての固体が溶解した後、新しい固体がバイアルの壁に生じていた。80℃で2時間撹拌した後、さらに固体が生じた。周囲温度に冷却後、固体をろ過し、ヘプタンで洗浄した。固体を回収し、減圧下で30分間乾燥して、2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド(形態IA)(33.2mg、66.4%)を白色の固体として得た。
【0208】
形態IAを、XRPD分析により結晶性固体と確認した。形態IAのXRPDパターンを
図1に示し、ピークデータを下記の表1に示す。
【表1】
【0209】
形態IAのDSC分析により、191.9℃の開始温度で最大が193.2℃の1つの吸熱ピークが明らかになった。DSCサーモグラムを
図2に示す。
【0210】
形態IAのTGA分析により、サンプルの分解のため200℃超で著しい重量損失が明らかになった。TGAサーモグラムを
図3に示す。
【0211】
形態IAは、無水、無溶媒和結晶形態と確認された。
【0212】
実施例3:2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IIA(遊離塩基)の調製及び特性評価
およそ100mgの2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド遊離塩基を、4mLの透明なガラスバイアル中の1mLの酢酸イソプロピルに溶解させた。周囲温度で撹拌しながら溶液に2mLのヘプタンを添加した。混合物を撹拌しながら80℃で2時間加熱した。混合物を、周囲温度に冷却し、1時間撹拌した。固体を、ろ過によって回収し、空気乾燥して、2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド(形態IIA)を得た。
【0213】
形態IIAを、XRPD分析により結晶性固体と確認した。形態IIAのXRPDパターンを
図4に示し、ピークデータを下記の表2に示す。
【表2】
【0214】
形態IIAのDSC分析により、177.2℃の開始温度で最大が179.7℃の1つの吸熱ピークが明らかになった。DSCサーモグラムを
図5に示す。
【0215】
形態IIAのTGA分析により、サンプルの分解のため200℃超で著しい重量損失が明らかになった。TGAサーモグラムを
図6に示す。
【0216】
形態IIAは、無水、無溶媒和結晶形態と確認された。
【0217】
実施例4:2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド、結晶形態IIIA(遊離塩基)の調製及び特性評価
およそ72mgの2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド遊離塩基を、4mLの透明なガラスバイアル中の1mLのMeOHに溶解させた。その溶液を周囲温度で蒸発乾燥させた。MeOH溶媒和物である得られた固体を、60℃、真空下で一晩乾燥させて、2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド(形態IIIA)を得た。
【0218】
形態IIIAを、XRPD分析により結晶性固体と確認した。形態IIIAのXRPDパターンを
図7に示し、ピークデータを下記の表3に示す。
【表3】
【0219】
形態IIIAのDSC分析により、134.3℃の開始温度で最大が143.0℃の1つの吸熱ピークが明らかになった。DSCサーモグラムを
図8に示す。
【0220】
形態IIIAのTGA分析により、サンプルの分解のため200℃超で著しい重量損失が明らかになった。TGAサーモグラムを
図9に示す。
【0221】
形態IIIAは、無水、無溶媒和結晶形態と確認された。
【0222】
実施例5~6.8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド(エナンチオマー1及び2)
【化12】
ステップ1.6,8-ジブロモ-3-ヨードイミダゾ[1,2-a]ピラジン
【化13】
DMF(12mL)中の6,8-ジブロモイミダゾ[1,2-a]ピラジン(0.50g、1.8mmol)[Combi-Blocks、OR-7964]の溶液にN-ヨードスクシンイミド(0.45g、2.0mmol)を添加した。その後、反応混合物を、60℃で15.5時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮した。得られた固体をジクロロメタン(DCM)中に取った。有機層を水及び飽和Na
2S
2O
3(aq)で連続的に洗浄した。その後、有機層を、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、及び濃縮して、表題の化合物を淡黄色の固体(0.64g、88%)として得た。C
6H
3Br
2IN
3 (M+H)
+に対するLCMS: 計算m/z = 401.8, 403.8, 405.8;実測値 401.8, 403.7, 405.6。
【0223】
ステップ2.6-ブロモ-3-ヨード-N-(4-メトキシベンジル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミン
【化14】
iPrOH(11.9mL)中の6,8-ジブロモ-3-ヨードイミダゾ[1,2-a]ピラジン(1.67g、3.57mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.24mL、7.13mmol)、及び(4-メトキシフェニル)メタンアミン(0.512mL、3.92mmol)の溶液をマイクロ波にて110℃で1時間加熱した。室温に冷却後、固体化した反応混合物を、イソプロパノール(75mL)及び水(19mL)で希釈し、10分間撹拌した。固体をろ過によって回収して、所望の生成物(1.41g、86.1%)を得、これをさらなる精製を行わずに使用した。C
14H
13BrIN
4O (M+H)
+に対するLCMS: 計算m/z = 458.9, 460.9;実測値 459.0, 461.0。
【0224】
ステップ3.6-ブロモ-3-ヨードイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミントリフルオロアセタート
【化15】
トリフルオロ酢酸(TFA、14.8mL)中の6-ブロモ-3-ヨード-N-(4-メトキシベンジル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミン(2.72g、5.92mmol)の溶液を、55℃で5.5時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、アセトニトリル(2×)で希釈した後、再濃縮した。固体を、酢酸エチル(12mL)で希釈し、室温で1時間撹拌した。スラリーを、ヘキサン(12mL)液滴で希釈し、室温で75分間撹拌した。固体を、ろ過によって回収して、所望の生成物(2.03g、75.7%)を得、これをさらなる精製を行わずに使用した。C
6H
5BrIN
4 (M+H)
+に対するLCMS: 計算m/z = 338.9, 340.9;実測値 338.8, 340.8。
【0225】
ステップ4.2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール
【化16】
0℃のテトラヒドロフラン(22.5mL)中の1-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)エタン-1-オン(1.20g、5.63mmol)[Aldrich、579734]の溶液を、トリメチル(トリフルオロメチル)シラン(1.00mL、6.76mmol)[Aldrich、488712]で処理し、0℃で5分間撹拌した。反応混合物を、0℃のテトラヒドロフラン(0.282mL、0.282mmol)中の1.0Mのテトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリドで処理し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、0℃に冷却し、追加のテトラヒドロフラン(6.76mL、6.76mmol)中の1.0Mのテトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリドで処理し、室温で30分間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(100mL)で希釈し、ブライン(2×75mL)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、粗製残留物を得た。ヘキサン中の酢酸エチル(0%~30%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(1.54g、96.7%)を黄色の油として得た。C
10H
9BrF
3 (M-OH)
+に対するLCMS: m/z = 265.0, 267.0;実測値: 264.9, 267.0。
【0226】
ステップ5.1,1,1-トリフルオロ-2-(4-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)プロパン-2-オール
【化17】
テトラヒドロフラン(4.95mL)中の2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール(0.252g、0.890mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.294g、1.16mmol)及び酢酸カリウム(0.288g、2.94mmol)の混合物を、窒素で5分間脱気した。反応混合物を、トリフェニルホスフィンパラジウムクロリド(0.025g、0.036mmol)で処理し、窒素でさらに5分間脱気し、135℃でマイクロ波にて20分間加熱した。反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、0.5マイクロメートルカートリッジを通してろ過し、それを酢酸エチルですすいだ。ろ液を、水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、粗製残留物を得た。ヘキサン中のエーテル(0%~50%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(272mg、92.5%)を無色の油として得た。C
16H
23BF
3O
3 (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 331.2;実測値: 331.2。
【0227】
ステップ6.2-(3-(8-アミノ-6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール
【化18】
エタノール(12.6ml)中の6-ブロモ-3-ヨードイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミントリフルオロアセタート(ステップ3、0.855g、1.89mmol)、1,1,1-トリフルオロ-2-(4-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)プロパン-2-オール(ステップ5;0.623g、1.89mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.131g、0.113mmol)の混合物を、水(1.89ml、3.77mmol)中の2.0Mの炭酸ナトリウムで処理し、窒素で5分間脱気し、マイクロ波反応器において、130℃で2時間加熱した。反応混合物を、部分的に濃縮して、エタノールを除去し、酢酸エチル及び水で希釈した。固体を、ろ過により除去し、ろ液の水層を分離し、酢酸エチル(2×)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、粗製残留物を得た。ジクロロメタン中のメタノール(0%~2%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(610mg、77.8%)を白色の泡として得た。C
16H
15BrF
3N
4O (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 415.0, 417.0;実測値: 415.0, 417.0。
【0228】
ステップ7.メチル8-アミノ-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキシラート
【化19】
メタノール(16.1ml)中の2-(3-(8-アミノ-6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール(ステップ6;0.250g、0.602mmol)の溶液を、トリエチルアミン(0.336ml、2.41mmol)で処理し、窒素で5分間脱気した。反応混合物を、Pd(dppf)
2CH
2Cl
2(0.049g、0.060mmol)で処理し、窒素でさらに5分間脱気し、反応表面下にガスを3分間バブリングすることによってCOで飽和させ、60℃で一晩加熱した。反応混合物を濃縮し、得られた赤色の油を酢酸エチル、水、及び飽和炭酸水素ナトリウムで希釈した。水層を分離し、酢酸エチル(2×)で再抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、褐色の油にした。ジクロロメタン中のメタノール(0%~4%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(158mg、66.5%)を黄褐色の油状固体として得た。C
18H
18F
3N
4O
3 (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 395.1;実測値: 395.1。
【0229】
ステップ8.8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド
THF(3.38mL)中のメチル8-アミノ-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキシラート(ステップ7、0.080g、0.203mmol)の溶液を、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール(0.181g、2.03mmol)、続いて、トリメチルアルミニウム(0.507mL、1.01mmol)(トルエン中2M)で処理し、80℃で一晩撹拌した。反応混合物を、追加のトリメチルアルミニウム(0.70ml、1.40mmol)(トルエン中2M)で処理し、80℃で一晩撹拌した。反応混合物を、室温に冷却し、メタノールで希釈し、Celite(登録商標)のパッドでろ過した。MeOH(2×)ですすいだ後、ろ液を濃縮して、黄褐色の油にした。シリカゲルクロマトグラフィー(0~5% MeOH/DCM)による精製により、表題の化合物を油状固体(26mg、28%)として得、これは、エナンチオマーの混合物であった。ラセミ混合物を、分取キラルHPLC(Phenomenex Lux Amylose-1[21.2×250mm、5マイクロメートル]、ヘキサン中の12%エタノールで18mL/分の流量で溶出、800μLのエタノール中の約8mgをロード)により分離した。溶出した最初のピークは、11.9分の保持時間を有した(実施例1;エナンチオマー1)。溶出した2番目のピークは、16.1分の保持時間を有した(実施例2、エナンチオマー2)。
【0230】
実施例5(エナンチオマー1): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.08 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 2.8 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.49 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.36 (s, 2H), 6.65 (s, 1H), 4.65 (s, 1H), 3.22 (d, J = 6.1 Hz, 2H), 2.15 (s, 3H), 1.70 (s, 3H), 1.09 (s, 6H)。C21H25F3N5O3 (M+H)+に対するLCMS: m/z = 452.2;実測値: 452.1。
【0231】
実施例6(エナンチオマー2): 1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.08 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 3.0 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.49 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.36 (s, 2H), 6.65 (s, 1H), 4.65 (s, 1H), 3.22 (d, J = 6.1 Hz, 2H), 2.15 (s, 3H), 1.70 (s, 3H), 1.09 (s, 6H)。C21H25F3N5O3 (M+H)+に対するLCMS: m/z = 452.2;実測値: 452.2。
【0232】
実施例7:8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド、結晶形態IB(遊離塩基)の調製及び特性評価
丸底フラスコに8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド(実施例6、ステップ8のエナンチオマー2;184g、408mmol)及び酢酸イソプロピル(950mL)を入れた。混合物を、80℃で1時間撹拌し、室温(RT)に冷却し、RTで一晩撹拌した。固体を回収して、8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド(形態IB、152g、82.8%)を得た。
【0233】
形態IBを、XRPD分析により結晶性固体と確認した。形態IBのXRPDパターンを
図10に示し、ピークデータを下記の表4に示す。
【表4】
【0234】
形態IBのDSC分析により、172.2℃の開始温度で最大が174.2℃の1つの吸熱ピークが明らかになった。DSCサーモグラムを
図11に示す。形態IBは、無水、無溶媒和結晶形態と確認された。
【0235】
実施例8:8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド、結晶形態IIB(遊離塩基)の調製及び特性評価
バイアルに8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド(実施例6、ステップ8のエナンチオマー2;252mg、0.559mmol)及び酢酸イソプロピル(1.25mL)を入れ、固体をゆっくりと溶解させた。混合物を、固体が存続するまでヘプタン(0.35mL)で処理した。混合物を80℃で30分間加熱し、RTで一晩撹拌した。固体を、回収して、8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド(形態IIB、116mg、46.0%)を得た。
【0236】
形態IIBを、XRPD分析により結晶性固体と確認した。形態IIBのXRPDパターンを
図12に示し、ピークデータを下記の表5に示す。
【表5】
【0237】
形態IIBのDSC分析により、161.7℃の開始温度で最大が165.4℃の1つの吸熱ピークが明らかになった。DSCサーモグラムを
図8に示す。形態IIBは、無水、無溶媒和結晶形態と確認された。
【0238】
実施例9.8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d
3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド
【化20】
ステップ1.1-(4-(メチル-d
3)フェニル)エタン-1-オン
【化21】
DMF(10.2mL)及び水(2.03mL)中の(4-アセチルフェニル)ボロン酸(1.00g、6.10mmol)[Aldrich、470821]、ビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(0.108g、0.152mmol)、及びフッ化セシウム(3.24g、21.4mmol)の溶液を、窒素で10分間脱気し、ヨードメタン-d
3(1.44mL、23.2mmol)で処理し、45℃で一晩撹拌した。反応混合物をrtに冷却し、水及び酢酸エチルで希釈した。水層を分離し、酢酸エチル(2×)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して(60~70トール、25℃浴)、所望の生成物(546mg、65.3%)を黄色の油として得、これをさらなる精製を行わずに使用した。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.86 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 7.26 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 2.58 (s, 3H)。C
9H
8D
3O (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 138.1;実測値: 138.1。
【0239】
ステップ2.1-(3-ブロモ-4-(メチル-d
3)フェニル)エタン-1-オン
【化22】
ジクロロメタン(24mL)中の塩化アルミニウム(13.6g、102mmol)の懸濁液を、シリンジにより1-(4-(メチル-d
3)フェニル)エタン-1-オン(6.35g、46.3mmol)液滴で5分にわたり処理した。シリンジ中の残った材料を、ジクロロメタン(7.0mL)ですすぎ、反応混合物に滴加した。最初の発熱後、反応混合物を、rtに3分間冷まし、35℃で5分間撹拌し、臭素(2.38mL、46.3mmol)液滴で5分にわたり処理した。反応混合物を、25分間撹拌した後、ジクロロメタン(50mL)、1NのHCl(100mL)、及び氷の混合物にゆっくりと添加した。残った反応混合物を、追加のジクロロメタンと共にジクロロメタン/HCl/氷混合物にすすぎ入れた。混合物を室温(rt)に温め、層を分離した。水層を、ジクロロメタン(2×75mL)で抽出した。合わせた有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム及びブラインで洗浄した。炭酸水素ナトリウム及びブライン洗浄液は、生成物を含み、これらを合わせて、1MのHClで酸性化し、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。有機層を、全て合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、黄色の油にした。ヘキサン中の酢酸エチル(0%~15%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(9.08g、90.8%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz,CDCl
3) δ 8.11 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.79 (dd, J = 7.9, 1.8 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 2.57 (s, 3H)。C
9H
7D
3BrO (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 216.0, 218.0;実測値: 216.0, 218.0。
【0240】
ステップ3.2-(3-ブロモ-4-(メチル-d
3)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール
【化23】
0℃のテトラヒドロフラン(168mL)中の1-(3-ブロモ-4-(メチル-d
3)フェニル)エタン-1-オン(9.08g、42.0mmol)の溶液を、トリメチル(トリフルオロメチル)シラン(8.07mL、58.8mmol)[Aldrich、488712]で処理し、0℃で5分間撹拌した。反応混合物を、0℃のテトラヒドロフラン(2.10mL、2.10mmol)中の1.0Mのテトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリドで処理し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、テトラヒドロフラン(12.6mL、12.6mmol)及び水(9.8mL)中の1.0Mのテトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリドで処理し、室温で30分間撹拌した。反応混合物を、水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、粗製残留物を得た。ヘキサン中の酢酸エチル(0%~20%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(13.3g、111%)を黄色の油として得た。
1H NMR (400 MHz,CDCl
3) δ 7.79 - 7.72 (m, 1H), 7.48 - 7.35 (m, 1H), 7.24 (s, 1H), 2.41 (br s, 1H), 1.76 (s, 3H)。
【0241】
ステップ4.1,1,1-トリフルオロ-2-(4-(メチル-d
3)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)プロパン-2-オール
【化24】
ジオキサン(24mL)中のビス(ピナコラート)ジボロン(12.8g、50.2mmol)及び酢酸カリウム(8.63ml、138mmol)の懸濁液を、2-(3-ブロモ-4-(メチル-d
3)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール(13.3g、41.8mmol)で処理した。残った2-(3-ブロモ-4-(メチル-d
3)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オールをジオキサン(106mL)ですすぎ、反応混合物に添加し、これを窒素で10分間脱気した。反応混合物を、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.16g、1.67mmol)で処理し、窒素でさらに10分間脱気し、100℃で一晩撹拌した。反応混合物をrtに冷却し、窒素で5分間脱気し、追加のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.16g、1.67mmol)で処理し、窒素でさらに5分間脱気し、100℃で4時間撹拌した。反応混合物をCelite(登録商標)でろ過し、THF及び酢酸エチルですすいだ。ろ液を、1:1の水/ブライン(300mL)で洗浄した。水層を、酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して褐色の油にした。ヘキサン中のMTBE(0%~20%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(14.4g、84.7%)を淡黄色の油として得た。
1H NMR (400 MHz,CDCl
3) δ 7.93 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.55 - 7.45 (m, 1H), 7.19 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 2.43 (br s, 1H), 1.77 (s, 3H), 1.34 (s, 12H)。C
16H
20D
3BF
3O
3 (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 334.2;実測値: 334.3。
【0242】
ステップ5.2-(3-(8-アミノ-6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-(メチル-d
3)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール(ラセミ混合物)
【化25】
ジオキサン(178mL)中の1,1,1-トリフルオロ-2-(4-(メチル-d
3)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)プロパン-2-オール(14.5g、35.6mmol)の溶液を、6-ブロモ-3-ヨードイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミン(12.1g、35.6mmol)で処理し、窒素で5分間脱気し、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(5.81g、7.11mmol)で処理し、窒素でさらに5分間脱気した。反応混合物を、水中の1.0Mの炭酸カリウム(107ml、107mmol)で処理し、窒素で5分間脱気し、80℃で一晩撹拌した。反応混合物を、rtに冷却し、Celite(登録商標)でろ過した。Celite(登録商標)を、酢酸エチル及び水ですすいだ。ろ液を、水(150mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、黒ずんだ油にした。ジクロロメタン中のメタノール(0%~5%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製及びヘキサン中の酢酸エチル(0%~100%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる再精製により、所望の生成物(13.8g、92.8%)を得た。C
16H
12D
3BrF
3N
4O (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 418.1, 420.1;実測値: 418.0, 420.0。
【0243】
ステップ6.2-(3-(8-アミノ-6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-(メチル-d
3)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オールの2番目に溶出するエナンチオマー
【化26】
2-(3-(8-アミノ-6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-(メチル-d
3)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オールのラセミ混合物を、分取キラルHPLC(Phenomenex Lux Amylose-1[21.2×250mm、5マイクロメートル]、ヘキサン中の20%エタノール、20mL/分の流量で溶出、4mLエタノール中の約200mgをロード)により分離した。溶出した最初のピークは、9.6分の保持時間を有した。溶出した2番目のピークは、14.6分の保持時間を有した。
【0244】
ピーク2: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.66 - 7.59 (m, 2H), 7.59 - 7.53 (m, 3H), 7.46 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.25 (s, 1H), 6.66 (s, 1H), 1.71 (s, 3H)。C16H12D3BrF3N4O (M+H)+に対するLCMS: m/z = 418.1, 420.1;実測値: 418.0, 420.0。
【0245】
ステップ7.メチル8-アミノ-3-(2-(メチル-d
3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキシラート(調製した単一のエナンチオマー)
【化27】
メタノール(163mL)及びDMF(40.7mL)中の2-(3-(8-アミノ-6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-(メチル-d3)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール(ステップ6のピーク2、4.95g、48.9mmol)の溶液を、トリエチルアミン(6.81mL、48.9mmol)で処理し、窒素で5分間脱気した。反応混合物を、Pd(dppf)
2CH
2Cl
2(0.998g、1.22mmol)で処理し、窒素でさらに5分間脱気し、反応表面下にガスを3分間バブリングすることによってCOで飽和させ、60℃で一晩加熱した。反応混合物を濃縮し、得られた油を酢酸エチル及び水で希釈した。水層を分離し、酢酸エチル(3×)で再抽出した。合わせた有機層を水、飽和塩化アンモニウム溶液、及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、褐色の油にした。ジクロロメタン中のメタノール(0%~5%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(4.49g、92.4%)を橙色の固体として得た。C
18H
15D
3F
3N
4O
3 (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 398.1;実測値: 398.3。
【0246】
ステップ8.8-アミノ-3-(2-(メチル-d
3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボン酸(調製した単一のエナンチオマー)
【化28】
メタノール(113mL)中のメチル8-アミノ-3-(2-(メチル-d
3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキシラート(4.49g、11.3mmol)(ステップ7からの単一のエナンチオマー)の溶液を、1.0Mの水酸化ナトリウム(56.5mL、56.5mmol)で処理し、室温で撹拌した。反応混合物を濃縮して、メタノールを除去し、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL、その後、20mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を、追加の1.0Mの水酸化ナトリウム(3×20mL)で抽出した。合わせた塩基性水層を、クエン酸(7.6g)でpH約5に調節した。水層をジクロロメタン(2×150mL)で抽出した。水層を、ブラインで希釈し、酢酸エチル(150mL)で抽出した。合わせた有機層を、濃縮して、所望の生成物(4.06g、93.8%)を黄褐色の固体として得、これをさらなる精製を行わずに使用した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.76 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.65 (dd, J = 8.2, 2.0 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.30 (br s, 2H), 6.66 (s, 1H), 1.71 (s, 3H)。C
17H
13D
3F
3N
4O
3 (M+H)
+に対するLCMS: m/z = 384.1;実測値: 384.2。
【0247】
ステップ9.8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド
DMF(106mL)中の8-アミノ-3-(2-(メチル-d3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボン酸(4.06g、10.6mmol)(ステップ8からの単一のエナンチオマー)の溶液を、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール(1.44g、16.2mmol)[Ark Pharm、AK-37803]及びHATU(6.16g、16.2mmol)で処理し、15分間撹拌し、トリエチルアミン(4.43mL、31.8mmol)で処理し、室温で3.5時間撹拌した。反応混合物を、水(500mL)及びブライン(100mL)で希釈し、酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。合わせた有機物を飽和塩化アンモニウム(150mL)、11%炭酸ナトリウム(150mL)、及びブライン(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、黄褐色の油にした。ジクロロメタン中のメタノール(0%~5%)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(4.28g、89.0%)を泡として得た。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.14 - 8.05 (m, 1H), 7.74 - 7.69 (m, 2H), 7.66 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.62 - 7.54 (m, 1H), 7.50 (dd, J = 8.2, 2.0 Hz, 1H), 7.38 (s, 2H), 6.67 (s, 1H), 4.67 (s, 1H), 3.23 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 1.71 (s, 3H), 1.10 (s, 6H)。C21H22D3F3N5O3 (M+H)+に対するLCMS: m/z = 455.2;実測値: 455.2。
【0248】
実施例10:8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド、結晶形態IC(遊離塩基)の調製及び特性評価
丸底に8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド(4.60g、10.1mmol)及び酢酸イソプロピル(25.5mL)を入れ、それを、80℃で加熱した。混合物を80℃で撹拌し、5分以内に固体が形成され始めた。混合物を、80℃で1時間撹拌した。加熱を中断し、混合物を1時間撹拌すると同時にrtに冷却した。混合物を、滴加漏斗からのヘプタン(25.5mL)液滴で35分にわたって処理し、室温で40分間撹拌した。固体を回収し、1:1の酢酸イソプロピル/ヘプタン(10mL)で洗浄し、減圧下、60℃で24時間乾燥して、8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d3)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミド(形態I)(4.16g、90.4%)を得た。
【0249】
形態ICを、XRPD分析により結晶性固体と確認した。形態ICのXRPDパターンを
図14に示し、ピークデータを下記の表6に示す。
【表6】
【0250】
形態ICのDSC分析により、173.4℃の開始温度で最大が179.0℃の1つの吸熱ピークが明らかになった。DSCサーモグラムを
図15に示す。形態ICは、無水、無溶媒和結晶形態と確認された。
【0251】
実施例11.2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸(HBr)塩
2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド遊離塩基(98.81mg)を、4mLの透明なガラスバイアル中の2.5mLのメタノールに溶解させた。溶液に42.4μLの6MのHBr水溶液(1.2当量)を添加し、十分に混合した。溶液を室温で蒸発させて、HBr塩結晶を得た。
【0252】
実施例12.単結晶2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸(HBr)塩の特性評価
結晶データ:C35 H32 Br2 F12 N10 O5、メタノールから、無色、不規則なプレート、約0.450×0.210×0.060mm、単斜晶系、C2、a=20.055(7)Å、b=10.115(4)Å、c=21.363(8)Å、ベータ=94.953(7)、体積=4318(3)Å3、Z=4、T=-40℃、式量=1060.52、密度=1.631g/cm3、μ(Mo)=1.98mm-1。
【0253】
データ収集:データ収集は、Bruker SMART APEX-II CCDシステム、MoKアルファ線、標準的な焦点管、アノード出力=50kV×30mA、結晶からプレートの距離=5.0cm、512×512ピクセル/フレーム、ビーム中心=(259.19,253.13)、総フレーム数=2635、振動/フレーム=0.50°、露出/フレーム=40.1秒/フレーム、SAINT統合、hkl最小/最大=(-26,26,-12,13,-27,27)、shelxへのデータ入力=38968、固有データ=9756、2シータ範囲=4.51から55.43°、2シータ 55.43に対する完全性=99.60%、R(int-xl)=0.0672、SADABS補正適用を使用して行った。
【0254】
解析及び精密化:結晶構造を、XS(Shelxtl)を使用して解析し、shelxtlソフトウェアパッケージを使用して精密化した。精密化は、F2に対する完全行列最小二乗法、Int.Tab.Vol C 表4.2.6.8及び6.1.1.4の散乱係数、データ数=9756、制限数=1、パラメーター数=584、データ/パラメーター比=16.71、F2に対する適合度=1.14、R指数[I>4シグマ(I)]R1=0.0648、wR2=0.1560、R指数(全データ)R1=0.1004、wR2=0.1719、ピーク及びホールの最大差=1.795及び-0.642e/Å3、精密化flackパラメーター=0.038(6)によって行った。全ての水素原子を、ライディングモデルを使用して理想化した。表7は、原子座標(×104)及び等価等方性変位パラメーター(Å2×103)を示す。U(eq)は、直交Uijテンソルの軌跡の3分の1と定義される。表8は、結合距離[Å]及び角度[度]を示す。表9は、異方性変位パラメーター(Å2×103)を示す。
【0255】
結果:この分析は、2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩の構造を確認した。非対称単位は、
図16A~16Bに示されるとおり2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの2つの分子、電荷のバランスを保つための2つのブロミド、及び1つのメタノール溶媒分子を含む。エナンチオマーの設定は、0.038(6)に精密化したFlackパラメーターに基づいた。この研究により、キラル中心C15=S-及びC35=S-の絶対立体配置が決定された。
【表7-1】
【表7-2】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表9-1】
【表9-2】
【0256】
実施例A.THP-1 RPS6 ELISAアッセイ
細胞溶解物中のリン酸化リボソームタンパク質S6(RPS6)を測定するために、THP-1細胞(ヒト急性単球性白血病)をATCC(Manassas,VA)から購入し、10%FBS(Gibco/Life Technologies、Carlsbad,CA)を含むRPMI中で維持する。アッセイのために、THP-1細胞をRPMI中で一晩血清飢餓処理し、次いで、ある濃度範囲の試験化合物の存在または不在下で、RPMI中(90μL中、2×105細胞/ウェル)、96ウェルの平底組織培養処理プレート(Corning、Corning,NY)にプレートする。カバーをかけたプレートを37℃、5%CO2で2時間インキュベートし、次いで、10nMのMCP-1(MYBioSource、San Diego,CA)を用いて、または用いずに37℃、5%CO2で15分間処理する。プレートを1600RPMで遠心分離し、上清を除去する。細胞を、プロテアーゼ阻害剤(Calbiochem/EMD、Germany)、PMSF(Sigma、St Louis MO)、HALTS(Thermo Fisher、Rockford,IL)を含む溶解バッファー(Cell Signaling,Danvers,MA)中に、ウェットアイス上で30分間溶解させる。試験前に細胞溶解物を-80℃で凍結させる。溶解物をヒト/マウス/ラットPhospho-RPS6 ELISA(R&D Systems,Inc.Minn,MN)で試験する。プレートは、波長補正を540として450nmに設定したマイクロプレートリーダー(SpectraMax M5-Molecular Devices、LLC Sunnyvale,CA)を用いて測定する。IC50の決定は、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを用いて、阻害剤濃度の対数に対して阻害剤の阻害パーセントの曲線を当てはめることによって行う。
【0257】
実施例B.PI3K-γのシンチレーション近接アッセイ
材料
[γ-33P]ATP(10mCi/mL)及びコムギ胚芽凝集素(WGA)YSi SPAシンチレーションビーズは、Perkin-Elmer(Waltham,MA)から購入した。脂質キナーゼ基質である、D-myo-ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PtdIns(4,5)P2)D(+)-sn-1,2-ジ-O-オクタノイルグリセリル、3-O-ホスホ結合(PIP2)、CAS 204858-53-7は、Echelon Biosciences(Salt Lake City,UT)から購入した。PI3Kγ(p110γ)組換えヒトタンパク質は、Life technology(Grand Island,NY)から購入した。ATP、MgCl2、DTT、EDTA、MOPS、及びCHAPSは、SigmaAldrich(St.Louis,MO)から購入した。
【0258】
キナーゼ反応は、Thermo Fisher Scientificからのポリスチレン製384ウェルGreiner Bio-one白色プレート中、25μLの最終体積で行った。阻害剤をまずDMSO中で連続希釈し、プレートウェルに添加してから、他の反応成分を添加した。アッセイにおけるDMSOの最終濃度は2%であった。PI3Kγアッセイは、20mMのMOPS(pH6.7)、10mMのMgCl2、5mMのDTT、及びCHAPS 0.03%中で、室温で実行した。ATPの添加によって反応を開始し、最終反応混合物は、20μMのPIP2、2μMのATP、0.5μCiの[γ-33P]ATP、13nMのPI3Kγからなっていた。反応物を120分間インキュベートし、163mMのリン酸カリウム(pH7.8)、20%グリセロール、25mMのEDTAの反応停止バッファー中に懸濁した40μLのSPAビーズの添加によって終了させた。SPAビーズの最終濃度は1.0mg/mLである。プレートの密封後、プレートを室温で一晩振とうし、1500rpmで10分間遠心分離し、生成物の放射能をTopcount(Perkin-Elmer)でのシンチレーション計数によって決定した。IC50の決定は、GraphPad Prism 6.0ソフトウェアを用いて、阻害剤濃度の対数に対して溶媒対照の活性のパーセントの曲線を当てはめることによって行った。
【0259】
実施例C.PI3Kδのシンチレーション近接アッセイ
材料
[γ-33P]ATP(10mCi/mL)及びコムギ胚芽凝集素(WGA)YSi SPAシンチレーションビーズは、Perkin-Elmer(Waltham,MA)から購入した。脂質キナーゼ基質である、D-myo-ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PtdIns(4,5)P2)D(+)-sn-1,2-ジ-O-オクタノイルグリセリル、3-O-ホスホ結合(PIP2)、CAS 204858-53-7は、Echelon Biosciences(Salt Lake City,UT)から購入した。PI3Kδ(p110δ/p85α)組換えヒトタンパク質は、Eurofins(St Charles,MO)から購入した。ATP、MgCl2、DTT、EDTA、MOPS、及びCHAPSは、SigmaAldrich(St.Louis,MO)から購入した。
【0260】
キナーゼ反応は、Thermo Fisher Scientificからのポリスチレン製384ウェルGreiner Bio-one白色プレート中、25μLの最終体積で行った。阻害剤をまずDMSO中で連続希釈し、プレートウェルに添加してから、他の反応成分を添加した。アッセイにおけるDMSOの最終濃度は2%であった。PI3Kδアッセイは、20mMのMOPS(pH6.7)、10mMのMgCl2、5mMのDTT、及びCHAPS 0.03%中で、室温で実行した。ATPの添加によって反応を開始し、最終反応混合物は、20μMのPIP2、2μMのATP、0.5μCiの[γ-33P]ATP、3.4nMのPI3Kδからなっていた。反応物を120分間インキュベートし、163mMのリン酸カリウム(pH7.8)、20%グリセロール、25mMのEDTAの反応停止バッファー中に懸濁した40μLのSPAビーズの添加によって終了させた。SPAビーズの最終濃度は1.0mg/mLである。プレートの密封後、プレートを室温で一晩振とうし、1500rpmで10分間遠心分離し、生成物の放射能をTopcount(PerkinElmer)でのシンチレーション計数によって決定した。IC50の決定は、GraphPad Prism 6.0ソフトウェアを用いて、阻害剤濃度の対数に対して溶媒対照の活性のパーセントの曲線を当てはめることによって行った。
【0261】
実施例1、5、6及び9の化合物を、実施例A、B、及びCに記載されるアッセイにおいて試験し、下記表Aに示されるIC
50値を有することが見出された。
【表10】
+は、≦100nMのIC
50を指し、++は、≦500nMのIC
50を指し、+++は、<2000nMのIC
50を指し、++++は、≧2000nMのIC
50を指す。
#は、≦100nMのIC
50を指し、##は、≦500nMのIC
50を指し、###は、<1000nMのIC
50を指し、####は、≧1000nMのIC
50を指す。
【0262】
本明細書に記載されるものに加えて、本発明の様々な改変が、前述の説明から当業者には明らかとなるであろう。そのような改変はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。本出願で引用された全ての特許、特許出願、及び刊行物を含む各参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
また、本願は下記の態様も包含する。
[態様1]
化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの結晶形態。
[態様2]
無水及び無溶媒和である、態様1に記載の結晶形態。
[態様3]
形態IAである、態様1または2に記載の結晶形態。
[態様4]
2θにおいて8.6°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様1から3のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様5]
2θにおいて9.5°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様1から4のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様6]
2θにおいて以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:8.6°±0.2°;9.5°±0.2°;10.3°±0.2°;13.0°±0.2°;13.6°±0.2°;14.2°±0.2°;及び14.9°±0.2°、態様1から5のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様7]
2θにおいて4つ以上の以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:8.6°±0.2°;9.5°±0.2°;10.3°±0.2°;13.0°±0.2°;13.6°±0.2°;14.2°±0.2°;14.9°±0.2°;17.3°±0.2°;19.2°±0.2°;20.6°±0.2°;24.0°±0.2°;及び28.7°±0.2°、態様1から6のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様8]
図1に実質的に示されるとおりのX線粉末回折パターンを有する、態様1から7のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様9]
約193℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有する、態様1から8のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様10]
図2に実質的に示されるとおりの示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を有する、態様1から9のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様11]
図3に実質的に示されるとおりの熱重量分析(TGA)を有する、態様1から10のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様12]
形態IIAである、態様1または2に記載の結晶形態。
[態様13]
2θにおいて9.1°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様1、2、及び12のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様14]
2θにおいて11.1°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様1、2、12、及び13のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様15]
2θにおいて12.6°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様1、2、及び12から14のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様16]
2θにおいて13.5°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様1、2、及び12から15のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様17]
2θにおいて以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:9.1°±0.2°;11.1°±0.2°;12.6°±0.2°;及び13.5°±0.2°、態様1、2、及び12から16のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様18]
2θにおいて4つ以上の以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:9.1°±0.2°;11.1°±0.2°;12.6°±0.2°;13.5°±0.2°;18.0°±0.2°;19.0°±0.2°;20.5°±0.2°;及び21.9°±0.2°、態様1、2、及び12から17のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様19]
図4に実質的に示されるとおりのX線粉末回折パターンを有する、態様1、2、及び12から18のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様20]
約180℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有する、態様1、2、及び12から19のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様21]
図5に実質的に示されるとおりの示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を有する、態様1、2、及び12から20のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様22]
図6に実質的に示されるとおりの熱重量分析(TGA)を有する、態様1、2、及び12から21のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様23]
形態IIIAである、態様1または2に記載の結晶形態。
[態様24]
2θにおいて8.1°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様1、2、及び23のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様25]
2θにおいて10.6°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様1、2、23、及び24のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様26]
2θにおいて13.5°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様1、2、及び23から25のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様27]
2θにおいて以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:8.1°±0.2°;10.6°±0.2°;13.5°±0.2°;及び14.2°±0.2°、態様1、2、及び23から26のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様28]
2θにおいて4つ以上の以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:8.1°±0.2°;10.6°±0.2°;13.5°±0.2°;14.2°±0.2°;16.4°±0.2°;17.1°±0.2°;17.9°±0.2°;20.3°±0.2°;及び24.1°±0.2°、態様1、2、及び23から27のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様29]
図7に実質的に示されるとおりのX線粉末回折パターンを有する、態様1、2、及び23から28のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様30]
約143℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有する、態様1、2、及び23から29のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様31]
図8に実質的に示されるとおりの示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を有する、態様1、2、及び23から30のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様32]
図9に実質的に示されるとおりの熱重量分析(TGA)を有する、態様1、2、及び23から31のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様33]
化合物8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態。
[態様34]
無水及び無溶媒和である、態様33に記載の結晶形態。
[態様35]
形態IBである、態様33または34に記載の結晶形態。
[態様36]
2θにおいて6.2°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様33から35のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様37]
2θにおいて15.6°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様33から36のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様38]
2θにおいて以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.4°±0.2°;11.6°±0.2°;12.0°±0.2°;13.9°±0.2°;14.4°±0.2°;15.6°±0.2°;16.7°±0.2°;20.7°±0.2°;及び23.2°±0.2°、態様33から37のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様39]
2θにおいて4つ以上の以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.4°±0.2°;11.6°±0.2°;12.0°±0.2°;13.9°±0.2°;14.4°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;20.7°±0.2°;及び23.2°±0.2°、態様33から37のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様40]
図10に実質的に示されるとおりのX線粉末回折パターンを有する、態様33から39のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様41]
約174℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有する、態様33から40のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様42]
図11に実質的に示されるとおりの示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を有する、態様33から41のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様43]
形態IIBである、態様33または34に記載の結晶形態。
[態様44]
2θにおいて4.2°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様33、34及び43のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様45]
2θにおいて13.3°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様33、34、43、及び44のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様46]
2θにおいて17.0°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様33、34、及び43から45のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様47]
2θにおいて18.8°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様33、34、及び43から46のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様48]
2θにおいて以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:4.3°±0.2°;7.4°±0.2°;13.3°±0.2°;及び15.3°±0.2°、態様33、34、及び43から47のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様49]
2θにおいて4つ以上の以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:4.3°±0.2°;7.4°±0.2°;13.3°±0.2°;15.3°±0.2°;15.5°±0.2°;17.0°±0.2°;17.2°±0.2°;18.8°±0.2°;及び20.1°±0.2°、態様33、34、及び43から47のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様50]
図12に実質的に示されるとおりのX線粉末回折パターンを有する、態様33、34、及び43から49のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様51]
約165℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有する、態様33、34、及び43から50のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様52]
図13に実質的に示されるとおりの示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を有する、態様33、34、及び43から50のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様53]
化合物8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d
3
)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態。
[態様54]
無水及び無溶媒和である、態様53に記載の結晶形態。
[態様55]
形態ICである、態様53または54に記載の結晶形態。
[態様56]
2θにおいて6.2°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様53から55のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様57]
2θにおいて11.9°±0.2°での少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、態様53から56のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様58]
2θにおいて以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.3°±0.2°;11.9°±0.2°;及び12.5°±0.2°、態様53から57のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様59]
2θにおいて4つ以上の以下のピークを含むX線粉末回折パターンを有する:6.2°±0.2°;10.4°±0.2°;11.3°±0.2°;11.9°±0.2°;12.5°±0.2°;13.8°±0.2°;14.4°±0.2°;15.6°±0.2°;16.0°±0.2°;16.7°±0.2°;20.7°±0.2°;及び21.2°±0.2°、態様53から58のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様60]
図14に実質的に示されるとおりのX線粉末回折パターンを有する、態様53から59のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様61]
約179℃で最大を有する吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有する、態様53から60のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様62]
図15に実質的に示されるとおりの示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を有する、態様53から61のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様63]
2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩である、塩。
[態様64]
臭化水素酸に対して1:1の化学量論比の2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドである、態様63に記載の塩。
[態様65]
実質的に単離されている、態様63または64に記載の塩。
[態様66]
結晶形態である、態様63または64に記載の塩。
[態様67]
溶媒和結晶形態である、態様66に記載の結晶形態。
[態様68]
メタノール溶媒和物結晶形態である、態様67に記載の結晶形態。
[態様69]
実質的に単離されている、態様1から62、67及び68のいずれか1つに記載の結晶形態。
[態様70]
態様1から62及び67から69のいずれか1つに記載の結晶形態または態様63から66のいずれか1つに記載の塩を含む、組成物。
[態様71]
少なくとも1つの薬学的に許容される担体をさらに含む、態様70に記載の組成物。
[態様72]
PI3Kγキナーゼの活性を阻害する方法であって、前記キナーゼを態様1から62及び67から69のいずれか1つに記載の結晶形態または態様63から66のいずれか1つに記載の塩と接触させることを含む、前記方法。
[態様73]
前記結晶形態は、PI3Kα、PI3Kβ、及びPI3Kδのうちの1つ以上よりもPI3Kγに対する選択的阻害剤である、態様72に記載の方法。
[態様74]
患者におけるPI3Kγキナーゼの異常な発現または活性と関連する疾患または障害を処置する方法であって、前記患者に治療有効量の態様1から62及び67から69のいずれか1つに記載の結晶形態または態様63から66のいずれか1つに記載の塩を投与することを含む、前記方法。
[態様75]
前記疾患または障害は、自己免疫疾患もしくは障害、がん、心血管疾患、または神経変性疾患である、態様74に記載の方法。
[態様76]
疾患または障害は、肺癌、黒色腫、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、結腸癌、子宮内膜癌、膀胱癌、皮膚癌、子宮癌、腎癌、胃癌、精上皮腫、奇形癌、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、または肉腫である、態様74に記載の方法。
[態様77]
前記肉腫は、アスキン腫瘍、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性シュワン細胞腫、骨肉腫、胞状軟部肉腫、血管肉腫、葉状嚢胞肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、デスモイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、血管周囲細胞腫、血管肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、または未分化多形肉腫である、態様76に記載の方法。
[態様78]
前記疾患または障害は、急性骨髄性白血病、急性単球性白血病、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、皮膚T細胞リンパ腫、大顆粒リンパ球性白血病、成熟(末梢)T細胞新生物(PTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、またはリンパ芽球性リンパ腫である、態様74に記載の方法。
[態様79]
前記成熟(末梢)T細胞新生物(PTCL)は、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞顆粒リンパ球性白血病、侵攻性NK細胞性白血病、菌状息肉腫/セザリー症候群、未分化大細胞型リンパ腫(T細胞型)、腸管症型T細胞リンパ腫、成人T細胞性白血病/リンパ腫、または血管免疫芽球性T細胞リンパ腫である、態様78に記載の方法。
[態様80]
前記未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、全身性ALCLまたは原発性皮膚ALCLである、態様78に記載の方法。
[態様81]
前記疾患または障害は、バーキットリンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞性白血病、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、前リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄線維症、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脾性辺縁帯リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞性白血病、髄外性形質細胞腫、くすぶり型骨髄腫(別名、無症候性骨髄腫)、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、態様74に記載の方法。
[態様82]
前記非ホジキンリンパ腫(NHL)は、再発性NHL、難治性NHL、再発性濾胞性NHL、低悪性度NHL(iNHL)、または侵攻性NHL(aNHL)である、態様81に記載の方法。
[態様83]
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、態様81に記載の方法。
[態様84]
前記バーキットリンパ腫は、風土性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、またはバーキット様リンパ腫である、態様81に記載の方法。
[態様85]
前記疾患または障害は、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、膵炎、乾癬、アナフィラキシー、糸球体腎炎、炎症性腸疾患、血栓症、髄膜炎、脳炎、糖尿病性網膜症、良性前立腺肥大症、重症筋無力症、シェーグレン症候群、骨関節炎、再狭窄、またはアテローム性動脈硬化症である、態様84に記載の方法。
[態様86]
前記疾患または障害は、心臓肥大、心筋細胞の機能不全、急性冠症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、血圧上昇、虚血、虚血再灌流、血管収縮、貧血、細菌感染症、ウイルス感染症、移植片拒絶、腎臓病、アナフィラキシーショック線維症、骨格筋萎縮、骨格筋肥大、血管新生、敗血症、移植片対宿主病、同種もしくは異種移植、糸球体硬化症、進行性腎線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、自己免疫性溶血性貧血、脈管炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、天疱瘡、または膜性腎症である、態様84に記載の方法。
[態様87]
前記特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、再発性ITPまたは難治性ITPである、態様86に記載の方法。
[態様88]
前記脈管炎は、ベーチェット病、コーガン症候群、巨細胞性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、高安動脈炎、バージャー病(閉塞性血栓血管炎)、中枢神経系脈管炎、川崎病、結節性多発性動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、混合型クリオグロブリン血症性血管炎(本態性またはC型肝炎ウイルス(HCV)誘発性)、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、過敏性脈管炎、顕微鏡的多発性血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、または抗好中球細胞質抗体関連(ANCA)全身性脈管炎(AASV)である、態様86に記載の方法。
[態様89]
前記疾患または障害は、アルツハイマー病、中枢神経系損傷、または脳卒中である、態様86に記載の方法。
[態様90]
化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの結晶形態を調製するプロセスであって、前記化合物を溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、前記混合物から前記化合物を結晶化させることとを含む、前記プロセス。
[態様91]
前記溶媒は、酢酸イソプロピルを含む、態様90に記載のプロセス。
[態様92]
前記溶媒は、ヘプタンをさらに含む、態様91に記載のプロセス。
[態様93]
前記混合物を約70℃から約90℃の温度に加熱することをさらに含む、態様90から92のいずれか1つに記載のプロセス。
[態様94]
前記混合物を室温に冷却することをさらに含む、態様93に記載のプロセス。
[態様95]
前記溶媒は、メタノールを含む、態様90に記載のプロセス。
[態様96]
前記混合物を約50℃から約70℃の温度に加熱することをさらに含む、態様90に記載のプロセス。
[態様97]
前記混合物を室温に冷却することをさらに含む、態様96に記載のプロセス。
[態様98]
態様90から97のいずれか1つに記載のプロセスに従って調製される、化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの結晶形態。
[態様99]
無水及び無溶媒和である、態様98に記載の結晶形態。
[態様100]
形態IAである、態様98または99に記載の結晶形態。
[態様101]
形態IIAである、態様98または99に記載の結晶形態。
[態様102]
形態IIIAである、態様98または99に記載の結晶形態。
[態様103]
化合物8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態を調製するプロセスであって、前記化合物を溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、前記混合物から前記化合物を結晶化させることとを含む、前記プロセス。
[態様104]
前記混合物を約70℃から約90℃の温度に加熱することをさらに含む、態様103に記載のプロセス。
[態様105]
前記混合物を室温に冷却することをさらに含む、態様103に記載のプロセス。
[態様106]
前記溶媒は、酢酸イソプロピルを含む、態様103から105のいずれか1つに記載のプロセス。
[態様107]
前記溶媒は、ヘプタンをさらに含む、態様106に記載のプロセス。
[態様108]
態様103から107のいずれか1つに記載のプロセスに従って調製される化合物8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-メチル-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態。
[態様109]
無水及び無溶媒和である、態様108に記載の結晶形態。
[態様110]
形態IBである、態様108または109に記載の結晶形態。
[態様111]
形態IIBである、態様108または109に記載の結晶形態。
[態様112]
化合物8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d
3
)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態を調製するプロセスであって、前記化合物を溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、前記混合物から前記化合物を結晶化させることとを含む、前記プロセス。
[態様113]
前記混合物を約70℃から約90℃の温度に加熱することをさらに含む、態様112に記載のプロセス。
[態様114]
前記混合物を室温に冷却することをさらに含む、態様112に記載のプロセス。
[態様115]
前記溶媒は、酢酸イソプロピルを含む、態様112から114のいずれか1つに記載のプロセス。
[態様116]
前記溶媒は、ヘプタンをさらに含む、態様115に記載のプロセス。
[態様117]
態様112から116のいずれか1つに記載のプロセスに従って調製される化合物8-アミノ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-3-(2-(メチル-d
3
)-5-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-カルボキサミドの結晶形態。
[態様118]
無水及び無溶媒和である、態様117に記載の結晶形態。
[態様119]
形態ICである、態様117または118に記載の結晶形態。
[態様120]
化合物2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの臭化水素酸塩を調製するプロセスであって、前記化合物を溶媒に溶解させて、混合物を形成することと、臭化水素酸を前記混合物に添加することとを含む、前記プロセス。
[態様121]
前記溶媒は、メタノールを含む、態様120に記載のプロセス。
[態様122]
前記臭化水素酸は、前記混合物に臭化水素酸の水溶液として添加される、態様120または121に記載のプロセス。
[態様123]
1当量の2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドに基づいて過剰量の臭化水素酸が前記混合物に添加される、態様120から122のいずれか1つに記載のプロセス。
[態様124]
1当量の前記2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドに基づいて約1.1から約1.5当量の臭化水素酸が前記混合物に添加される、態様120から123のいずれか1つに記載のプロセス。
[態様125]
前記2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩を実質的に単離することをさらに含む、態様120から124のいずれか1つに記載のプロセス。
[態様126]
前記2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩は、結晶形態として単離される、態様125に記載のプロセス。
[態様127]
前記2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド臭化水素酸塩は、メタノール溶媒和物結晶形態として単離される、態様125または126に記載のプロセス。
[態様128]
態様120から127のいずれか1つに記載のプロセスに従って調製される2-(3-(8-アミノ-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルフェニル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミドの臭化水素酸塩。
[態様129]
結晶性である、態様128に記載の臭化水素酸塩。
[態様130]
溶媒和結晶形態である、態様129に記載の臭化水素酸塩。
[態様131]
メタノール溶媒和物結晶形態である、態様129または130に記載の臭化水素酸塩。