(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】掃除機ヘッドおよび電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/04 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
A47L9/04 A
(21)【出願番号】P 2021524639
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(86)【国際出願番号】 JP2019022742
(87)【国際公開番号】W WO2020246026
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-06-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】土田 和慶
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】関口 哲生
【審判官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-514661(JP,A)
【文献】米国特許第5077863(US,A)
【文献】米国特許第4426751(US,A)
【文献】米国特許第7441306(US,B2)
【文献】特開2018-754(JP,A)
【文献】特表2018-521707(JP,A)
【文献】特開2019-25150(JP,A)
【文献】特開2015-154836(JP,A)
【文献】特開2007-61346(JP,A)
【文献】特開平5-228083(JP,A)
【文献】特開2001-245831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機ヘッドの筐体であるハウジングであって、清掃対象面に対向する吸込み口を有し、前記清掃対象面と反対の側に上面部を有するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、第1の軸部と、前記第1の軸部に取り付けられた第1のブラシ部とを有する第1の回転ブラシと、
前記ハウジングに設けられ、第2の軸部と、前記第2の軸部に取り付けられた第2のブラシ部とを有する第2の回転ブラシと、
前記第1の回転ブラシと前記第2の回転ブラシとの間に設けられ、前記吸込み口につながる吸引エリアと、
前記ハウジングの上面部に設けられた、掃除機本体との接続部と、
前記ハウジング内において前記吸引エリアと前記第2の回転ブラシとの間に設けられ、前記第2の回転ブラシの前記第2のブラシ部に接触する仕切板と
を有し、
前記第1の回転ブラシと前記第2の回転ブラシとは、互いに反対方向に回転し、
前記第1の軸部および前記第2の軸部は、前記ハウジングの外部
で且つ前記ハウジングの下方に突出する
掃除機ヘッド。
【請求項2】
前記第1の回転ブラシおよび前記第2の回転ブラシは、それぞれの前記清掃対象面に対向する外周面が互いに接近する方向に回転する
請求項1に記載の掃除機ヘッド。
【請求項3】
前記掃除機ヘッドの進行方向において、前記第1の回転ブラシは前方に配置され、前記第2の回転ブラシは後方に配置され、
前記第1の回転ブラシは、前記清掃対象面に対向する外周面が後方に移動する方向に回転し、
前記第2の回転ブラシは、前記清掃対象面に対向する外周面が前方に移動する方向に回転する
請求項1または2に記載の掃除機ヘッド。
【請求項4】
前記第1の軸部が回転によって描く最大円の直径D1と、前記第2の軸部が回転によって描く最大円の直径D2とが、D1>D2を満たす
請求項1から3までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記清掃対象面に当接して基準面を規定する当接部を有し、
前記基準面から前記第1の回転ブラシの回転中心までの距離H1と、前記基準面から前記第2の回転ブラシの回転中心までの距離H2とが、H1>H2を満たす
請求項1から4までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項6】
前記第1の回転ブラシおよび前記第2の回転ブラシは、前記吸込み口から前記ハウジングの外部に突出する
請求項1から5までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項7】
前記第2の回転ブラシの前記第1の回転ブラシとは反対の側に、繊維体を有する
請求項1から6までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項8】
前記吸込み口に対して、前記第1の回転ブラシおよび前記第2の回転ブラシの回転軸の方向の両側に、それぞれ繊維体を有する
請求項1から7までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項9】
前記仕切板は、前記ハウジングの前記清掃対象面に対向する底面部から、前記第2の回転ブラシの回転方向に延在し、
前記第2の回転ブラシの回転中心と前記第2の回転ブラシの最下点とを結ぶ直線と、前記第2の回転ブラシの前記回転中心と前記仕切板の先端部とを結ぶ直線とのなす角が、90度以上である
請求項1から8までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項10】
前記第2の回転ブラシの繊維の配設密度は、前記第1の回転ブラシの繊維の配設密度よりも高い
請求項1から9までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記上面部において、前記第2の回転ブラシに近い側に、掃除機本体との接続部が設けられている
請求項1から10までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項12】
前記第1の回転ブラシおよび前記第2の回転ブラシを回転させるモータを有する
請求項1から11までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項13】
前記モータと前記第1の回転ブラシとを連結するプーリおよびタイミングベルトを有し、
前記モータと前記第1の回転ブラシとが互いに同方向に回転する
請求項12に記載の掃除機ヘッド。
【請求項14】
前記モータと前記第2の回転ブラシとを連結するギアを有し、
前記モータと前記第2の回転ブラシとが互いに反対方向に回転する
請求項12または13に記載の掃除機ヘッド。
【請求項15】
前記モータは、前記第1の回転ブラシまたは前記第2の回転ブラシに内蔵されている
請求項12に記載の掃除機ヘッド。
【請求項16】
前記第1の回転ブラシを回転させる第1のモータと、前記第2の回転ブラシを回転させる第2のモータとを有する
請求項1から11までの何れか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項17】
前記第1の回転ブラシに前記第1のモータが内蔵され、
前記第2の回転ブラシに前記第2のモータが内蔵されている
請求項16に記載の掃除機ヘッド。
【請求項18】
前記ハウジングは、前記接続部につながるパイプを介して、前記掃除機本体と接続されている
請求項1から17までのいずれか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項19】
請求項1から18までの何れか1項に記載の掃除機ヘッドと、
集塵容器と送風機とを有する掃除機本体と、
前記掃除機ヘッドと前記掃除機本体とを連結するパイプと
を備えた電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機およびその掃除機ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機の掃除機ヘッドは、掃除機本体とパイプによって接続されたハウジングと、ハウジング内に設けられ、床面のゴミを掻き出す回転ブラシとを有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回転ブラシが掻き出したゴミの一部はハウジング内に吸引されず、後方に飛ばされる。このようなゴミは、床面に残る。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ゴミを効率よく吸引可能な掃除機ヘッドおよび電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による掃除機ヘッドは、掃除機ヘッドの筐体であるハウジングであって、清掃対象面に対向する吸込み口を有し、清掃対象面と反対の側に上面部を有するハウジングと、ハウジングに設けられ、第1の軸部と第1の軸部に取り付けられた第1のブラシ部とを有する第1の回転ブラシと、ハウジングに設けられ、第2の軸部と第2の軸部に取り付けられた第2のブラシ部とを有する第2の回転ブラシと、第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間に設けられ、吸込み口につながる吸引エリアと、ハウジングの上面部に設けられた、掃除機本体との接続部と、ハウジング内において吸引エリアと第2の回転ブラシとの間に設けられ、第2の回転ブラシの第2のブラシ部に接触する仕切板とを有する。第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとは、互いに反対方向に回転する。第1の軸部および第2の軸部は、ハウジングの外部で且つハウジングの下方に突出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、第1の回転ブラシで掻き取れなかったゴミを、第2の回転ブラシで掻き取ることができる。また、吸引エリアが第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間に設けられているため、両方の回転ブラシで掻き取られたゴミを吸引エリアに導いて吸引することができる。そのため、ゴミを効率よく吸引することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施の形態1の掃除機ヘッドを示す図である。
【
図3】実施の形態1の掃除機ヘッドの各構成要素の平面的な配置を示す図である。
【
図4】実施の形態1の掃除機ヘッドを示す底面図である。
【
図5】実施の形態1の掃除機ヘッドのハウジングと当接ローラを示す図である。
【
図6】実施の形態1の第1の回転ブラシ(A)および第2の回転ブラシ(B)を示す図である。
【
図7】実施の形態1の第1の回転ブラシの一構成例(A)および第2の回転ブラシの一構成例(B)を示す図である。
【
図8】実施の形態1の第1の回転ブラシの他の構成例を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態1の掃除機ヘッドを充電スタンドに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】実施の形態1の掃除機ヘッドによるゴミの吸引状態を示す模式図である。
【
図11】実施の形態1の掃除機ヘッドによるゴミの吸引状態を示す模式図である。
【
図12】実施の形態1の掃除機ヘッドの仕切り板を示す図である。
【
図13】実施の形態1の掃除機ヘッドの仕切り板を示す図である。
【
図14】実施の形態2の掃除機ヘッドの各構成要素の平面的な配置を示す図である。
【
図15】実施の形態3の掃除機ヘッドの各構成要素の平面的な配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
<電気掃除機の全体構成>
図1は、実施の形態1の電気掃除機1を示す図である。電気掃除機1は、ここでは、コードレスタイプのスタンド型電気掃除機である。電気掃除機1は、掃除機本体6と、掃除機ヘッド3と、これらを接続するパイプ7とを有する。
【0011】
掃除機ヘッド3は、後述する吸込み口32(
図2)を有し、清掃対象面である床面のゴミを吸い込む部分である。
【0012】
パイプ7は、一端が掃除機ヘッド3に取り付けられ、他端が掃除機本体6に取り付けられている。パイプ7は、掃除機ヘッド3に接続される接続部71を有し、掃除機ヘッド3に対する角度が変化し得るように構成されている。パイプ7は、掃除機本体6と掃除機ヘッド3との間の流路を構成する。
【0013】
掃除機本体6は、集塵容器61と、電動送風機62と、制御回路63と、バッテリ64と、把持部65と、スイッチ66とを有する。
【0014】
電動送風機62は、送風機モータと羽根車とを有し、掃除機ヘッド3からパイプ7を経て集塵容器61に至る吸引風を発生する。集塵容器61は、電動送風機62の吸引風によって吸い込まれた空気から、ゴミを分離して収容する。
【0015】
制御回路63は、電動送風機62の送風機モータ、および掃除機ヘッド3内の後述するモータ40(
図2)を制御する。バッテリ64は、電動送風機62の送風機モータ、掃除機ヘッド3内のモータ40、および制御回路63に電力を供給する。
【0016】
把持部65は、操作者が把持する取っ手である。スイッチ66は、操作者が電気掃除機1をオンオフするための操作部である。スイッチ66がオンされることにより、電動送風機62および掃除機ヘッド3の後述する回転ブラシ10,20(
図2)が回転を開始する。
【0017】
<掃除機ヘッドの構成>
次に、掃除機ヘッド3の構成について説明する。
図2は、掃除機ヘッド3の構成を示す図である。
図2において、電気掃除機1の把持部65(
図1)を把持した操作者が、電気掃除機1を前方に押し出すときの掃除機ヘッド3の進行方向を「前方」とし、矢印Fで示す。また、前方と反対の方向を「後方」とし、矢印Rで示す。
【0018】
掃除機ヘッド3は、筐体としてのハウジング30を有する。ハウジング30は、清掃対象面である床面に対向する底面部31と、その反対側の上面部34とを有する。電気掃除機1が使用される状態では、底面部31は水平、すなわち床面と平行である。ハウジング30の底面部31には、開口部である吸込み口32が形成されている。ハウジング30の上面部34の後方には、パイプ7につながる開口部である連通部36が形成されている。
【0019】
掃除機ヘッド3は、ハウジング30内に、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20を有する。第1の回転ブラシ10は前方に配置され、第2の回転ブラシ20は後方に配置されている。第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20は、吸込み口32からハウジング30の外部に突出している。
【0020】
第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20は、互いに平行な回転軸C1,C2を中心として回転する。第1の回転ブラシ10の回転軸C1および第2の回転ブラシ20の回転軸C2は、いずれも、掃除機ヘッド3の幅方向すなわち左右方向に平行である。
【0021】
第1の回転ブラシ10は、図中矢印A1で示す反時計回り方向に回転する。すなわち、第1の回転ブラシ10は、吸込み口32から突出した外周面、すなわち清掃対象面である床面に対向する外周面が後方に移動するように回転する。
【0022】
第2の回転ブラシ20は、図中矢印A2で示す時計回り方向に回転する。すなわち、第2の回転ブラシ20は、吸込み口32から突出した外周面、すなわち清掃対象面である床面に対向する外周面が前方に移動するように回転する。
【0023】
言い換えると、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20は、互いに反対方向に回転する。より具体的には、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20は、清掃対象面である床面に対向する外周面が互いに接近する方向に回転する。
【0024】
ハウジング30内において、第1の回転ブラシ10と第2の回転ブラシ20との間には、吸引エリア33が形成される。吸引エリア33は、吸込み口32とつながっており、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20によって床面から掻き取られたゴミが収容されるエリアである。
【0025】
ハウジング30内において、吸引エリア33と第2の回転ブラシ20との間には、仕切部材としての仕切板35が設けられている。仕切板35は、底面部31から第2の回転ブラシ20の回転方向に沿って延在している。この仕切板35に隣接して、上述した連通部36が配置されている。
【0026】
仕切板35は、第2の回転ブラシ20の後述するブラシ部22に接触するように形成されている。仕切板35は、第2の回転ブラシ20のブラシ部22に埋まりやすい小さいゴミまたは比重の重いゴミを、ブラシ部22から掻き出す作用を有する。
【0027】
ハウジング30は、底面部31および上面部34に加えて、前側、後側および左右両側にも壁部を有する。すなわち、ハウジング30は、吸込み口32および連通部36を除き、密閉された構造を有する。
【0028】
図3は、掃除機ヘッド3における各構成要素の平面的な配置を示す図である。第1の回転ブラシ10はシャフト13を有し、このシャフト13は、ハウジング30内に設けられた一対の軸受部14により回転可能に支持されている。同様に、第2の回転ブラシ20はシャフト23を有し、このシャフト23は、ハウジング30内に設けられた一対の軸受部24により回転可能に支持されている。
【0029】
ハウジング30内には、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20を駆動するモータ40が設けられている。モータ40は、ここでは、第2の回転ブラシ20の後方に配置されている。
【0030】
モータ40の出力軸41には、ギア43と、プーリ42とが取り付けられている。このプーリ42と、第1の回転ブラシ10のシャフト13に取り付けられたプーリ44との間には、タイミングベルト45が掛け渡されている。モータ40の回転は、プーリ42、タイミングベルト45およびプーリ44を介して、第1の回転ブラシ10に伝達される。
【0031】
また、モータ40の出力軸41に取り付けられたギア43は、第2の回転ブラシ20のシャフト23に取り付けられたギア46と噛み合っている。モータ40の回転は、ギア43,46を介して、第2の回転ブラシ20に伝達される。
【0032】
図4は、掃除機ヘッド3を示す底面図である。上記の通り、掃除機ヘッド3のハウジング30には吸込み口32が形成されており、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20が吸込み口32から下方に突出している。吸込み口32は、ここでは長方形の開口部である。
図4では、吸込み口32の内側を破線のハッチングで示す。
【0033】
底面部31において吸込み口32の後方には、繊維体51が配置されている。繊維体51は、掃除機ヘッド3の幅方向すなわち左右方向に延在する。また、底面部31において吸込み口32の左右両側には、繊維体52がそれぞれ配置されている。繊維体52は、前後方向に延在する。
【0034】
繊維体51,52は、吸込み口32の前方を除く三方を囲むように配置されている。繊維体51,52は、いずれも、例えばフェルトで形成されている。フェルトとは、化学繊維等の繊維をシート状に圧縮したものであり、不織布とも称される。なお、繊維体51,52は、ブラシであってもよい。
【0035】
繊維体51,52は、床面に接することにより、ハウジング30と床面とで形成される空間の密閉性を高める作用を奏する。
【0036】
掃除機ヘッド3は、当接部としての当接ローラ55,56,57を有する。当接ローラ55はハウジング30の前方に配置され、当接ローラ56はハウジング30の前後方向の中央に配置され、当接ローラ57はハウジング30の後方に配置されている。また、当接ローラ55,56,57は、ハウジング30の左右両側に配置されている。
【0037】
図5は、ハウジング30および当接ローラ55,56,57を示す図である。当接ローラ55,56,57は、いずれもハウジング30に回転可能に設けられ、底面部31から突出して床面に当接する。当接ローラ55,56,57の最下部は、床面に相当する平面である基準面Gを規定する。
【0038】
なお、当接ローラの配置および個数は、適宜変更可能である。また、当接ローラの代わりに、床面に対して摺動する摺動面を設けてもよい。
【0039】
図6(A)は、第1の回転ブラシ10を示す側面図である。第1の回転ブラシ10は、回転軸C1を中心とする芯部11と、芯部11の外周に取り付けられたブラシ部12とを有する。芯部11は、回転軸C1の方向の両端に上述したシャフト13(
図3)を有し、軸受部14(
図3)によって回転可能に支持されている。
【0040】
芯部11の回転軸C1に直交する面内における断面形状は、例えば、
図7(A)に示す正三角形である。芯部11は、
図7(A)に示す断面が、回転軸C1の方向に進むにつれて周方向に変位する形状を有する。すなわち、芯部11は、三角柱を、回転軸C1を中心としてひねった形状を有する。
【0041】
第1の回転ブラシ10が回転すると、芯部11において回転軸C1から最も離れた最外端11a(
図7(A))は、円T1を描いて移動する。芯部11の最外端11aの軌跡である円T1は、直径D1を有する。また、掃除機ヘッド3が床面に置かれた状態で、床面すなわち基準面Gから回転軸C1までの高さを、H1とする。
【0042】
なお、芯部11の形状は、
図7(A)に示した形状に限定されるものではなく、後述する
図8に示す形状であってもよい。
【0043】
ブラシ部12は、例えば、ナイロン(ポリアミド合成樹脂)、ポリプロピレン、またはポリエステル等の化学繊維、若しくはカーボン繊維で構成されている。ブラシ部12の繊維の太さの調整により、繊維の硬さが調整されている。
【0044】
図6(B)は、第2の回転ブラシ20を示す側面図である。第2の回転ブラシ20は、回転軸C2を中心とする芯部21と、芯部21の外周に取り付けられたブラシ部22とを有する。芯部21は、回転軸C2の方向の両端に上述したシャフト23(
図3)を有し、軸受部24(
図3)によって回転可能に支持されている。
【0045】
芯部21の回転軸C2に直交する面内における断面形状は、例えば、
図7(B)に示す正三角形である。芯部21は、
図7(B)に示す断面が、回転軸C2の方向に進むにつれて周方向に変位する形状を有する。すなわち、芯部21は、三角柱を、回転軸C2を中心としてひねった形状を有する。
【0046】
第2の回転ブラシ20が回転すると、芯部21において回転軸C2から最も離れた最外端21a(
図7(B))は、円T2を描いて移動する。芯部21の最外端21aの軌跡である円T2は、直径D2を有する。また、掃除機ヘッド3が床面に置かれた状態で、床面すなわち基準面Gから回転軸C2までの高さを、H2とする。
【0047】
なお、芯部21の形状は、
図7(B)に示した形状に限定されるものではなく、後述する
図8に示す形状であってもよい。
【0048】
ブラシ部22は、例えば、ナイロン(ポリアミド合成樹脂)、ポリプロピレン、またはポリエステル等の化学繊維、若しくはカーボン繊維で構成されている。ブラシ部22の繊維の太さの調整により、硬さが調整されている。
【0049】
図6(A)および(B)に示したように、芯部11の最外端11aの軌跡である円T1の直径D1は、芯部21の最外端21aの軌跡である円T2の直径D2よりも大きい。すなわち、D1>D2が成り立つ。
【0050】
操作者が掃除機ヘッド3を前方に動かす際、第1の回転ブラシ10は床面を後方に押すように回転するため、掃除機ヘッド3の移動を補助する。一方、第2の回転ブラシ20は床面を前方に押すように回転するため、掃除機ヘッド3の移動に対して抵抗となる。上記のD1>D2が成り立つことにより、第1の回転ブラシ10が床面を押す力が第2の回転ブラシ20が床面を押す力よりも大きくなるため、操作者の負荷が軽減される。
【0051】
また、掃除機ヘッド3が床面に置かれた状態で、床面から第1の回転ブラシ10の回転軸C1までの距離H1は、床面から第2の回転ブラシ20の回転軸C2までの距離H2よりも長い。すなわち、H1>H2が成り立つ。
【0052】
言い換えると、第2の回転ブラシ20は、第1の回転ブラシ10と比較して、床面との距離が近い。そのため、第2の回転ブラシ20と床面との間の密着性が高くなり、第1の回転ブラシ10で掻き取られなかったゴミが、第2の回転ブラシ20によって効率よく掻き取られる。
【0053】
図8は、第1の回転ブラシ10の他の構成例を示す斜視図である。
図8に示した第1の回転ブラシ10は、芯部11とブラシ部12とを有する。芯部11は、円筒状の中心軸110と、中心軸110の周囲にスパイラル状に形成されたブレード111とを有する。ブレード111は、回転軸C1を中心として複数、例えば5個形成されている。周方向に隣り合うブレード111の間には、溝部113が形成される。
【0054】
ブレード111は、回転軸C1と反対側に、先端すなわち最外端112を有する。第1の回転ブラシ10の回転時にブレード111の最外端112が描く軌跡は、
図6(A)を参照して説明した円T1となる。ブラシ部12は、ブレード111の最外端112に形成されている。
【0055】
ブレード111が回転軸C1と平行に延びている場合には、ブラシ部12が床面に接しているときと、溝部113が床面に対向するときとで、第1の回転ブラシ10の床面からの高さが変動し、振動が生じる。
【0056】
これに対し、スパイラル状のブレード111の最外端112にブラシ部12が形成されている場合には、第1の回転ブラシ10の回転時に常に一部のブラシ部12が床面に接するため、第1の回転ブラシ10の振動が抑制される。なお、
図8に示した形状は、第2の回転ブラシ20にも適用可能である。
【0057】
図9は、電気掃除機1を充電スタンド9に取り付けた状態を示す図である。充電スタンド9は、台座部91と、支柱部92とを有する。台座部91は、電気掃除機1の掃除機ヘッド3が載置される部分である。支柱部92は、台座部91から上方に延在する。支柱部92の上部には、電気掃除機1の掃除機本体6が載置される。
【0058】
電気掃除機1の掃除機本体6には、バッテリ64に接続された受電部67(
図1)が備えられている。充電スタンド9の支柱部92には、掃除機本体6の受電部67に接続される給電部が設けられている。また、充電スタンド9は、商用電源に接続されている。電気掃除機1を充電スタンド9に取り付けると、受電部67と給電部との接続により、バッテリ64への充電が行われる。
【0059】
<電気掃除機の動作>
次に、実施の形態1の電気掃除機1の基本動作について、
図1~3を参照して説明する。操作者が電気掃除機1の把持部65を把持し、スイッチ66を押すと、制御回路63が電動送風機62を駆動する。電動送風機62は、掃除機ヘッド3からパイプ7を経て集塵容器61を通る吸引風を発生する。
【0060】
制御回路63は、また、掃除機ヘッド3のモータ40を駆動する。モータ40の回転は、プーリ42、タイミングベルト45およびプーリ44を介して第1の回転ブラシ10に伝達され、第1の回転ブラシ10が回転する。また、モータ40の回転は、ギア43およびギア46を介して第2の回転ブラシ20に伝達され、第2の回転ブラシ20が回転する。
【0061】
電動送風機62で発生した吸引風によって、掃除機ヘッド3の吸込み口32からゴミを含む空気が吸引される。掃除機ヘッド3から吸い込まれた空気は、パイプ7を介して掃除機本体6に達する。掃除機本体6内では、集塵容器61でゴミが空気から分離され、収容される。
【0062】
次に、掃除機ヘッド3におけるゴミの吸引について、さらに説明する。
図10は、掃除機ヘッド3によるゴミの吸引状態を示す模式図である。第1の回転ブラシ10は、矢印A1で示すように、床面に接する外周面が後方に移動するように回転する。そのため、操作者が電気掃除機1を前方に移動させると、第1の回転ブラシ10が床面を後方に押すことにより電気掃除機1の前方への移動を補助する。
【0063】
第1の回転ブラシ10の回転により、床面上のゴミD1は、第1の回転ブラシ10のブラシ部12に掻き取られる。ブラシ部12に掻き取られたゴミD1は、第1の回転ブラシ10の回転によって吸引エリア33内を上方に運ばれ、上述した吸引風によって、矢印B1で示すように連通部36からパイプ7に吸い込まれる。
【0064】
一方、床面上の一部のゴミD2は、第1の回転ブラシ10によって後方に飛ばされる。このように第1の回転ブラシ10によって後方に飛ばされたゴミD2は、第2の回転ブラシ20のブラシ部22によって捕集される。
【0065】
第2の回転ブラシ20のブラシ部22に捕集されたゴミD2は、第2の回転ブラシ20の回転によって吸引エリア33内を上方に運ばれ、吸引風によって、矢印B2で示すように連通部36からパイプ7に吸い込まれる。
【0066】
図11は、掃除機ヘッド3によるカーペット上のゴミの吸引状態を示す模式図である。第1の回転ブラシ10と第2の回転ブラシ20とが同方向に回転する掃除機ヘッドでは、両回転ブラシ10,20の回転方向にカーペットの毛Wが倒れてしまい、毛の間のゴミを吸引することが難しい。
【0067】
これに対し、この実施の形態1では、第1の回転ブラシ10と第2の回転ブラシ20とが反対方向に回転するため、第1の回転ブラシ10によって倒れたカーペットの毛Wを、第2の回転ブラシ20によって引き起こすか、または反対側に倒すことができる。そのため、カーペットの毛Wの間のゴミを第2の回転ブラシ20で掻き出すことができる。
【0068】
電気掃除機1の使用時には、掃除機ヘッド3を前方に移動させるだけでなく、後方にも移動させる。第1の回転ブラシ10は、床面を後方に押すように回転するため、掃除機ヘッド3の前方への移動を補助する一方、掃除機ヘッド3の後方への移動に対しては抵抗となる。また、第2の回転ブラシ20は、床面を前方に押すように回転するため、掃除機ヘッド3の後方への移動を補助する一方、掃除機ヘッド3の前方への移動に対しては抵抗となる。
【0069】
一般に、電気掃除機1の使用時には、掃除機ヘッド3を前方に移動させる頻度の方が、掃除機ヘッド3を後方に移動させる頻度よりも多い。この実施の形態1では、第1の回転ブラシ10の芯部11の直径D1が第2の回転ブラシ20の芯部21の直径D2よりも大きいため(D1>D2)、掃除機ヘッド3の前方への移動が確実に補助される。
【0070】
また、掃除機ヘッド3のハウジング30の後方にはパイプ7が接続されるため、第2の回転ブラシ20の芯部21の直径D2が第1の回転ブラシ10の芯部11の直径D1よりも小さければ、掃除機ヘッド3をよりコンパクトに構成することができる。
【0071】
また、第2の回転ブラシ20は、第1の回転ブラシ10によって掻き取られなかったゴミを掻き取る必要がある。そこで、この実施の形態1では、床面から第2の回転ブラシ20の回転軸C2までの距離H2を、床面から第1の回転ブラシ10の回転軸C1までの距離H1よりも短くしている。
【0072】
これにより、第2の回転ブラシ20を床面に接近させることができ、ハウジング30の後方部分と床面との間の空間の密閉性を高くできるため、より効率よくゴミを掻き取ることができる。なお、掃除機ヘッド3に対する床面の位置は、上述した当接ローラ55,56,57によって規定される基準面G(
図5)で表される。
【0073】
一方、第2の回転ブラシ20を床面に接近させると、床面上のゴミとの接触によって第2の回転ブラシ20が上下に振動する可能性がある。この実施の形態1では、第2の回転ブラシ20の後方に、フェルト等で形成された繊維体51が設けられているため、第2の回転ブラシ20が振動した場合でも、ハウジング30の後方部分と床面との間の空間の密閉性を高く保つことができる。すなわち、第2の回転ブラシ20により、より効率よくゴミを掻き取ることができる。
【0074】
ここで、床面上の大きなゴミは第1の回転ブラシ10で掻き取りやすいが、小さなゴミおよび比重の重いゴミは第1の回転ブラシ10で掻き取りにくい。第1の回転ブラシ10で掻き取れなかったこれらのゴミは、第2の回転ブラシ20で掻き取られる。
【0075】
但し、小さなゴミおよび比重の重いゴミは、第2の回転ブラシ20のブラシ部22に埋まりやすい。そこで、仕切板35により、第2の回転ブラシ20のブラシ部22に埋まったゴミをブラシ部22から引きはがす。
【0076】
図12は、第2の回転ブラシ20および仕切板35を示す図である。仕切板35は、ブラシ部22の先端に接触する当接面35bを有する。第2の回転ブラシ20が回転すると、ブラシ部22が撓みながら当接面35bに摺接する。ブラシ部22が仕切板35の先端35aを通過すると、ブラシ部22が撓む前の状態に戻り、その際に、ブラシ部22に埋まっていたゴミが弾き出される。ブラシ部22から弾き出されたゴミは、連通部36からパイプ7に吸い込まれる。
【0077】
ここで、第2の回転ブラシ20の回転軸C2と、第2の回転ブラシ20の最下点とを結ぶ線を、直線L1とする。また、第2の回転ブラシ20の回転軸C2と、第2の回転ブラシ20の回転方向における仕切板35の先端35aとを結ぶ線を、直線L2とする。直線L1と直線L2とのなす角θは、90度以上であることが望ましい。
【0078】
図13は、仕切板35の他の構成例を示す図である。
図13に示した例では、直線L1と直線L2とのなす角θは、90度である。この場合、仕切板35の先端35aを通過した時点でのブラシ部22の繊維は水平方向に延在している。そのため、ブラシ部22の繊維上にゴミが保持され、連通部36からパイプ7に吸い込まれる。
【0079】
これに対し、直線L1と直線L2とのなす角θが90度未満の場合には、仕切板35の先端35aを通過した時点でブラシ部22の繊維は下向きであるため、ゴミが繊維から床面に滑り落ちる可能性がある。そのため、直線L1と直線L2とのなす角θは、90度以上であることが望ましい。
【0080】
また、第2の回転ブラシ20のブラシ部22における繊維の配設密度は、第1の回転ブラシ10のブラシ部12における繊維の配設密度よりも高いことが望ましい。ブラシ部における繊維の配設密度は、芯部の単位表面積当たりの繊維の断面積である。繊維の断面積とは、繊維の本数と、繊維の1本当たりの断面積との積である。
【0081】
第2の回転ブラシ20のブラシ部22の繊維を高密度で配置することにより、第1の回転ブラシ10で掻き取られなかったゴミを、第2の回転ブラシ20で効率よく掻き取ることができる。
【0082】
なお、第1の回転ブラシ10のブラシ部12は、例えば、繊維(ブラシ毛)が植毛されたシートを芯部11に固定することで形成される。同様に、第2の回転ブラシ20のブラシ部22は、例えば、繊維(ブラシ毛)が植毛されたシートを芯部21に固定することで形成される。
【0083】
第1の回転ブラシ10のブラシ部12および第2の回転ブラシ20のブラシ部22は、いずれも、複数種類の繊維を組み合わせて構成してもよい。例えば、硬い繊維と軟らかい繊維とを組み合わせてもよいし、硬い繊維と、軟らかい繊維と、両者の中間の繊維とを組み合わせてもよい。
【0084】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、実施の形態1によれば、吸込み口32を有するハウジング30内に、第1の回転ブラシ10と第2の回転ブラシ20とを有し、第1の回転ブラシ10と第2の回転ブラシ20との間に、吸込み口32につながる吸引エリア33を有する。また、第1の回転ブラシ10と第2の回転ブラシ20とは、互いに反対方向に回転する。そのため、第1の回転ブラシ10で掻き取られなかったゴミを、第2の回転ブラシ20で効率よく掻き取り、吸引エリア33を介してパイプ7に吸い込むことができる。
【0085】
また、掃除機ヘッド3の進行方向において、第1の回転ブラシ10は前方に配置され、第2の回転ブラシ20は後方に配置され、第1の回転ブラシ10は、床面に対向する外周面が後方に移動する方向に回転し、第2の回転ブラシ20は、床面に対向する外周面が前方に移動する方向に回転する。そのため、掃除機ヘッド3を前方に移動させる場合には、第1の回転ブラシ10の回転が掃除機ヘッド3の移動を補助し、掃除機ヘッド3を後方に移動させる場合には、第2の回転ブラシ20の回転が掃除機ヘッド3の移動を補助する。これにより、操作者の負荷を軽減することができる。
【0086】
また、第1の回転ブラシ10は、第1の軸部である芯部11と、第1のブラシ部であるブラシ部12とを有し、第2の回転ブラシ20は、第2の軸部である芯部21と、第2のブラシ部であるブラシ部22とを有する。そのため、各ブラシ部12,22を構成する繊維により、床面のゴミを効率よく掻き取ることができる。
【0087】
また、芯部11が回転によって描く最大円T1の直径D1と、芯部21が回転によって描く最大円T2の直径D2とが、D1>D2を満たすため、掃除機ヘッド3を前方に移動させる際の補助力を大きくすることができ、操作者の負担をさらに軽減することができる。
【0088】
また、床面に相当する基準面Gから第1の回転ブラシ10の回転軸C1までの距離H1が、基準面Gから第2の回転ブラシ20の回転軸C2までの距離H2よりも長いため(H1>H2)、第2の回転ブラシ20を床面に接近させることができ、これにより、第1の回転ブラシ10で掻き取られなかったゴミを、第2の回転ブラシ20で効率よく掻き取ることができる。
【0089】
また、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20は、吸込み口32からハウジング30の外部に突出しているため、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20で床面から掻き取ったゴミを、吸込み口32から吸引エリア33に移動させ、パイプ7に吸い込むことができる。
【0090】
また、第2の回転ブラシ20の後方、すなわち第2の回転ブラシ20に対して第1の回転ブラシ10とは反対の側に、繊維体51が設けられているため、ハウジング30と床面との間の空間の密閉性を高め、第2の回転ブラシ20で効率よくゴミを掻き取ることができる。
【0091】
また、ハウジング30の吸込み口32の左右両側、すなわち回転軸C1,C2の方向の両側に、繊維体52が設けられているため、ハウジング30と床面との間の空間の密閉性をさらに高め、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20で効率よくゴミを掻き取ることができる。
【0092】
また、吸引エリア33と第2の回転ブラシ20との間に、仕切板35が設けられているため、第2の回転ブラシ20のブラシ部22に埋まりやすいゴミを、効率よくブラシ部22から掻き出すことができる。
【0093】
また、第2の回転ブラシ20の回転軸C2と第2の回転ブラシ20の最下点とを結ぶ直線L1と、第2の回転ブラシ20の回転軸C2と仕切板35の先端35aとを結ぶ直線L2とのなす角が、90度以上であるため、第2の回転ブラシ20のブラシ部22の繊維上からゴミが床面に落下することが防止される。
【0094】
また、第2の回転ブラシ20のブラシ部22を構成する繊維の配設密度が、第1の回転ブラシ10のブラシ部12を構成する繊維の配設密度よりも高いため、第2の回転ブラシ20の高密度に配置された繊維で効率よくゴミを掻き取ることができる。
【0095】
また、掃除機ヘッド3が、共通のモータ40で第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20を回転させるため、掃除機ヘッド3の構成が簡単になる。
【0096】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。
図14は、実施の形態2の掃除機ヘッド3Aの各構成要素の平面的な配置を示す図である。実施の形態1では、共通のモータ40によって第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20を回転させていた。これに対し、実施の形態2では、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20を、第1のモータ40Aおよび第2のモータ40Bでそれぞれ回転させる。
【0097】
第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20は、いずれも実施の形態1と同様に構成されている。但し、第2の回転ブラシ20のシャフト23には、ギア46(
図3)ではなく、プーリ47が取り付けられている。第1の回転ブラシ10のプーリ44と、第2の回転ブラシ20のプーリ47とは、掃除機ヘッド3Aの幅方向すなわち左右方向において、互いに反対側に位置する。
【0098】
第1のモータ40Aおよび第2のモータ40Bは、いずれも、第2の回転ブラシ20の後方に配置されている。第1のモータ40Aおよび第2のモータ40Bは、それぞれの出力軸41A,41Bが互いに反対方向を向くように配置されている。
【0099】
第1のモータ40Aの出力軸41Aには、プーリ42Aが取り付けられている。第1のモータ40Aのプーリ42Aと、第1の回転ブラシ10のプーリ44との間には、実施の形態1と同様、タイミングベルト45が掛け渡されている。
【0100】
そのため、第1のモータ40Aが回転すると、プーリ42A、タイミングベルト45およびプーリ44を介して、第1の回転ブラシ10が第1のモータ40Aと同方向に回転する。
【0101】
第2のモータ40Bの出力軸41Bには、プーリ42Bが取り付けられている。第2のモータ40Bのプーリ42Bと、第2の回転ブラシ20のプーリ47との間には、タイミングベルト48が掛け渡されている。
【0102】
そのため、第2のモータ40Bが回転すると、プーリ42B、タイミングベルト48およびプーリ47を介して、第2の回転ブラシ20が第2のモータ40Bと同方向に回転する。
【0103】
実施の形態2では、第1の回転ブラシ10のプーリ44と第2の回転ブラシ20のプーリ47とが、左右方向において互いに反対側に位置するため、掃除機ヘッド3Aの構成を左右対称に近付けることができる。そのため、例えば、第2の回転ブラシ20の軸方向の長さを、第1の回転ブラシ10の回転軸C1の方向の長さと同じにすることができる。
【0104】
また、モータ40A,40Bの個々にかかる負荷は、実施の形態1のモータ40にかかる負荷よりも小さいため、モータ40A,40Bをいずれも小型のモータで構成することができる。
【0105】
実施の形態2の掃除機ヘッド3Aの構成は、上述した点を除き、実施の形態1の掃除機ヘッド3と同様に構成されている。
【0106】
この実施の形態2では、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20が、それぞれ第1のモータ40Aおよび第2のモータ40Bによって回転するため、掃除機ヘッド3Aの構成を左右対称に構成することが可能になり、掃除機ヘッド3Aのレイアウトが容易になる。
【0107】
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。
図15は、実施の形態3の掃除機ヘッド3Bの各構成要素の平面的な配置を示す図である。この実施の形態3では、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20が、第1のモータ40Aおよび第2のモータ40Bをそれぞれ内蔵している。
【0108】
第1の回転ブラシ10は、実施の形態1で説明したように、軸受部14によって回転可能に支持されている。但し、第1の回転ブラシ10のシャフト13には、プーリ44は取り付けられていない。
【0109】
第1の回転ブラシ10は、芯部11(
図7(A))の内側に中空部分を有し、この中空部分に、第1のモータ40Aが挿入されている。第1のモータ40Aの出力軸41Aには、嵌合部401が取り付けられ、この嵌合部401が第1の回転ブラシ10の内側に嵌合している。
【0110】
また、第1のモータ40Aは、ハウジング30の側壁から回転軸C1と平行に延在する支軸301によって、ハウジング30に対して固定されている。支軸301は、第1の回転ブラシ10のシャフト13の内部に挿通されている。
【0111】
第1のモータ40Aが回転すると、出力軸41Aに取り付けられた嵌合部401が回転し、嵌合部401に嵌合する第1の回転ブラシ10が回転する。
【0112】
第2の回転ブラシ20は、実施の形態1で説明したように、軸受部24によって回転可能に支持されている。但し、第2の回転ブラシ20のシャフト23には、プーリ47は取り付けられていない。
【0113】
第2の回転ブラシ20は、芯部21(
図7(B))の内側に中空部分を有し、この中空部分に、第2のモータ40Bが挿入されている。第2のモータ40Bの出力軸41Bには、嵌合部402が取り付けられ、この嵌合部402が第2の回転ブラシ20の内周に嵌合している。
【0114】
また、第2のモータ40Bは、ハウジング30の側壁から回転軸C2と平行に延在する支軸302によって、ハウジング30に対して固定されている。支軸302は、第2の回転ブラシ20のシャフト23の内部に挿通されている。
【0115】
第2のモータ40Bが回転すると、出力軸41Bに取り付けられた嵌合部402が回転し、嵌合部402に嵌合する第2の回転ブラシ20が回転する。
【0116】
実施の形態3の掃除機ヘッド3Bの構成は、上述した点を除き、実施の形態2の掃除機ヘッド3Aと同様に構成されている。
【0117】
この実施の形態3では、第1の回転ブラシ10および第2の回転ブラシ20が、第1のモータ40Aおよび第2のモータ40Bをそれぞれ内蔵しているため、実施の形態2で説明した効果に加えて、掃除機ヘッド3Bをさらに小型化することが可能になる。
【0118】
なお、上述した実施の形態1~3では、コードレスタイプの電気掃除機1について説明したが、コードレスタイプには限定されない。また、電気掃除機1は、スタンド型に限らず、例えばキャニスタ型であってもよい。
【0119】
また、実施の形態1~3では、前方、後方、上方、下方、および左右という表現を用いたが、掃除機ヘッドの向きを限定するものではない。例えば、実施の形態1~3では、第1の回転ブラシ10は前方に配置され、第2の回転ブラシ20は後方に配置されていると説明した。しかしながら、第2の回転ブラシ20がパイプ7との連通部36と同じ側に設けられ、第1の回転ブラシ10が連通部36と反対の側に設けられていればよい。
【0120】
以上、本発明の望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変形を行なうことができる。
【符号の説明】
【0121】
1 電気掃除機、 3,3A,3B 掃除機ヘッド、 6 掃除機本体、 7 パイプ、 9 充電スタンド、 10 第1の回転ブラシ、 11 芯部、 11a 最外端、 12 ブラシ部、 13 シャフト、 14 軸受部、 20 第2の回転ブラシ、 21 芯部、 21a 最外端、 22 ブラシ部、 23 シャフト、 24 軸受部、 30 ハウジング、 31 底面部、 32 吸込み口、 33 吸引エリア、 34 上面部、 35 仕切板、 35a 先端、 35b 当接面、 36 連通部、 40 モータ、 40A 第1のモータ、 40B 第2のモータ、 41,41A,41B 出力軸、 42,42A,42B プーリ、 43 ギア、 44 プーリ、 45 タイミングベルト、 46 ギア、 47 プーリ、 48 タイミングベルト、 51,52 繊維体、 55,56,57 当接ローラ(当接部)、 61 集塵容器、 62 電動送風機、 63 制御回路、 64 バッテリ、 65 把持部、 66 スイッチ、 71 接続部。