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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】神経刺激システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20241122BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021534954
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 IB2019060771
(87)【国際公開番号】W WO2020128748
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】62/782,825
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517155196
【氏名又は名称】ガルバニ バイオエレクトロニクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ダニエル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ドネガ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,デビッド カール リー
(72)【発明者】
【氏名】メン,シュー
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0046407(US,A1)
【文献】特表2015-509442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経を電気刺激するシステムであって、
神経を電気刺激する、互いに第1の距離、離間されている第1の刺激装置及び第2の刺激装置、並びに
工程a)第1の距離及び神経の活動電位の伝播速度の関数として時間間隔を設定する、
工程b)第1の刺激装置を第1の刺激期間にわたり活性化することにより、神経の電気活性を誘導する、及び
工程c)第1の期間の終了後に時間間隔が経過した後に、第2の刺激装置を第2の刺激期間にわたり活性化する
ために構成された制御装置
を含み、
時間間隔が、第1の距離を神経の活動電位の伝播速度で割った商と等しいか、又はそれより大きい第1の期間を含む、システム。
【請求項2】
神経の活動電位の伝播速度が0.5mm/msである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離が、3mmと等しい若しくは3mmより大きいか、5mmと等しい若しくは5mmより大きいか、6mmと等しい若しくは6mmより大きいか、又は6.4mmと等しい、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離が、3mmと等しいか若しくは3mmより大きく、かつ第1の期間が、6msと等しい若しくは6msより長いか、
第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離が、5mm以上であり、かつ第1の期間が、10msと等しい若しくは10msより長いか、
第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離が、6mm以上であり、かつ第1の期間が、12msと等しい若しくは12msより長いか、又は
第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離が6.4mmであり、第1の期間が、12.8msと等しい若しくは12.8msより長い、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記時間間隔の設定が、前記第1の期間と刺激からの神経の回復を可能にするバッファ期間との合計である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
バッファ期間が、神経において誘導された電気活性の効果が前記第2の刺激装置の位置で既定閾値未満に下がる又は消失するために必要とされる時間の長さ以上である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
バッファ期間が10ms以上である、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
時間間隔が、第1の刺激期間の半分以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
第1の刺激装置及び第2の刺激装置のそれぞれが、1つ以上の電極を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
第1の刺激装置及び第2の刺激装置を神経に電気結合するための装着手段をさらに含み、装着手段が、神経を受容するための内径を有する開口部を画定する、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
内径が5mmと等しい若しくは5mmより大きい、及び/又は
内径が13mmと等しい若しくは13mm未満である、及び/又は
内径が7.5mmである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
システムが神経に装着されている、及び/又はシステムが神経を包囲する、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
神経が自律神経であり、及び/又は神経が脾臓神経である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
神経が無髄である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
制御装置がさらに、
第2の刺激期間の終了後に時間間隔が経過した後に、工程b)を行うために構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
制御装置がさらに、
工程b)及びc)を繰り返して、第1の刺激装置及び第2の刺激装置を交互に刺激するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
第1の刺激期間及び第2の刺激期間が互いに等しい、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
第3の電極を含み、任意選択で、第3の電極が、第1の電極及び第2の電極よりも大きな表面積を有し、さらに任意選択で、第3の電極がIPGケースである、請求項9から17のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、神経を電気刺激するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患の治療において患者の神経を特定の頻度で電気刺激することが望ましい。しかしながら、神経は、ある特定レベルを超えた頻度で刺激されると疲労しやすい(活動電位伝導遅延(APCS)とも呼ばれて知られている)。例えば、脾臓神経血管束中の神経を構成するC線維、無髄線維は、疲労、APCSの対象であり、特定の頻度で刺激されると時間と共にあまり反応しなくなる。低下した反応性は、膜を横切る分極及び再分極の活動電位プロファイルの延長によることがある(Ringkamp et al. 2010 PLoS ONE 5(2): e9076 doi:1371/journal.pone.0009076)。
【0003】
C線維、無髄線維は、活性化のために、体性神経のより太い神経線維と比べてはるかに高レベルの電気刺激を必要とする。それが、疲労、APCSの問題を悪化させる。高い活性化閾値は、神経活性化が、電流密度及び電場の湾曲(field curvature)が最も高い電極接点の近傍で起こるということも意味する。軸索の活性化は、まず電極接点の最近傍で起こり、電極接点から離れている軸索(例えば、線維束内の軸索又は神経血管束の解剖学的構造内の軸索)は後に活性化されるか、又はまったく活性化されない。
【0004】
活性化閾値は、アノードパルス(すなわち、アノードから発するパルス)と比べてカソードパルス(すなわち、カソードから発するパルス)の方が低い。閾値のこの違いは、軸索の分極性静止膜電位に起因し得る。しかしながら、カソードパルスは、神経線維がカソード接触面のきわめて近傍にある場合、接触端においてアノード遮断を引き起こし得る。アノード遮断は、神経に沿って接点から離れる活動電位伝播を遮断し得る。それに反して、脱分極が接触端で起こることから、アノードパルスは、電極近傍にある神経の活性化においてより効果的であり得る。
【0005】
従来の双極神経界面は、標的器官に近い方の電極(すなわち遠位接点)を例外なくカソードとして使用し、標的器官から離れた方の電極(すなわち近位接点)を例外なくアノードとして使用する。カソード表面近傍の線維は、接触端でのアノード遮断の対象である。その上、アノード接触面からかなり下層の線維は、より高い閾値活性化ゆえ、活性化されないことがある。その上、単極電極と比較してバイポーラ電極ではより高いコンプライアンス電圧が必要とされ、コンプライアンス電圧により電流が限定されている。従来の双極刺激は、近傍の神経線維を活性化するために各接点の能力を十分に活用していない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Ringkamp et al. 2010 PLoS ONE 5(2): e9076 doi:1371/journal.pone.0009076
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、例えば、神経疲労、APCSを低下させ、アノード遮断を低下させ、下層の神経線維の活性化を可能にさせることにより、神経線維をより効果的に電気刺激するシステムへの需要が存在する。新規システムは、軸索発火させて標的構造を活性化させるより大きく且つより均一なボーラスを産生し、より効果的な療法を生み出すであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、神経を電気刺激するシステムが存在し、該システムは、神経を電気刺激する、互いに第1の距離、離間されている第1の刺激装置及び第2の刺激装置、並びにa)第1の距離及び神経の活動電位の伝播速度の関数として時間間隔を設定し、b)第1の刺激装置を第1の刺激期間(first stimulation period)にわたり活性化することにより神経の電気活性を誘導し、c)第1の期間(first time period)の終了後に時間間隔が経過した後に、第2の刺激装置を第2の刺激期間にわたり活性化するように構成された制御装置を含む。
【0009】
このやり方で、本システムは、第1の刺激装置によって印加される刺激と第2の刺激装置によって印加される刺激との間に遅延(すなわち、時間間隔)を導入する。この遅延が、第2の刺激が印加される前に第1の刺激から神経が回復(すなわち、再分極)するための時間を与える。特に、この遅延は、刺激装置間の間隔及び神経の活動電位の伝播速度の関数であり、刺激が第1の刺激装置から第2の刺激装置へと伝わるためにかかる時間より遅延が大きくなるように設定するために使用できる。それによって、第1の刺激の結果として神経が第2の刺激装置の位置でなおも刺激状態にある間、第2の刺激装置が神経を活性化しない(又は神経のさらなる刺激を妨げる)ことが確保される。例えば、第2の刺激装置は、第1の刺激装置の活動電位が第2の刺激装置の位置近傍にある間は神経を活性化しようとしない。その上、異なる位置に配置された2つの刺激装置を使用することにより、ある特定位置で印加される刺激の数が減少するため、その位置での神経疲労、APCSが低下する。
【0010】
時間間隔は、第1の距離を神経の活動電位の伝播速度で割った商とほぼ等しいか、又はそれより大きい第1の期間を含んでもよい。このやり方で、遅延は、刺激が第1の刺激装置から第2の刺激装置へと伝わるためにかかる時間以上であり得る。それによって、第1の刺激の結果として神経が第2の刺激装置の位置でなおも刺激状態にある間、第2の刺激装置が神経を活性化しないことが確保される。例えば、第2の刺激装置は、第1の刺激の活動電位が第2の刺激装置の位置近傍にある間は神経を活性化しようとしない。
【0011】
一例では、神経の活動電位の速度がおよそ0.5mm/msである。神経が、自律神経、例えば脾臓神経である場合にそうであり得る。一例では、第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離が、3mmとほぼ等しいか、又は3mmより大きい。第1の距離が3mmとほぼ等しいか、又は3mmより大きい場合、第1の期間は、6msとほぼ等しいか、又は6msより長い。第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離が、5mm以上である場合、第1の期間は、10msとほぼ等しいか、又は10msより長い。第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離がおよそ6mmである場合、第1の期間は、12msとほぼ等しいか、又は12msより長い。第1の距離がおよそ6.4mmである場合、第1の期間は、12.8msとほぼ等しいか、又は12.8msより長い。これらのパラメータにより、第1の刺激の結果として神経が第2の刺激装置の位置でなおも刺激状態にある間、第2の刺激装置が神経を活性化しないことが確保される。例えば、それらのパラメータは、第1の刺激の結果としての活動電位が、第2の刺激装置の位置近傍にある間は第2の刺激装置が神経を活性化しようとしないようなものである。
【0012】
時間間隔は、第1の期間と刺激からの神経の回復を可能にするバッファ期間との合計として設定されてもよい。それが、神経が、第2の刺激の印加前に完全に回復するために十分な時間を有することを確保するために役立つ。バッファ期間は、神経において誘導された電気活性の効果が第2の刺激装置の位置で既定閾値未満に下がる又は消失するために必要とされる時間の長さ以上であり得る。例えば、バッファ期間は、10ms以上であり得る。これが、自律神経線維が回復するために十分な長さの時間を与える。神経のナトリウムチャンネルは再び電気活性化され得るという点で、神経の電気活性は神経のナトリウムチャンネルの回復と関連する。バッファ期間の終了は、神経の相対不応期後に設定してもよい。それは、ナトリウムチャンネルの大部分が興奮性状態へと回復したときであり得る。
【0013】
時間間隔は、最初の刺激期間(first time stimulation period)の半分と同等以下である。それが、第1の刺激と第2の刺激との間の時間の好ましい最大長さである。神経が最も興奮性の高い状態へと回復するためにできるだけ長い時間を有するためには、パルス間の時間を最大化することが望ましい。無髄線維、例えばC線維が活性化された場合、別の神経よりも長い時間が回復に必要とされ得る。
【0014】
第1の刺激装置及び第2の刺激装置のそれぞれは、1つ以上の電極を含み得る。システムはさらに、第1の刺激装置及び第2の刺激装置を神経に電気結合するための装着手段を含んでもよく、ただし、該装着手段は、神経を受容するための内径を有する開口部を画定する。内径は、5mmとほぼ等しいか、又は5mmより大きくてもよい。内径は、13mmとほぼ等しいか、又は13mm未満であってもよい。内径はほぼ7.5mmであってもよい。
【0015】
システムは、神経に装着されていてもよい。システムは、神経組織、例えば神経血管束に装着されていてもよい。神経は、自律神経、例えば患者の脾臓神経であり得る。神経は無髄神経であり得る。
【0016】
システムは、神経を包囲し得て、例えば、システムは、神経を部分的又は完全に包囲し得る。神経を包囲するシステムは、神経に装着していてもよい。神経を包囲するシステムは、神経に装着していなくてもよいが、神経と物理的接触した状態であり得る。神経は、自律神経、例えば患者の脾臓神経であり得る。神経は無髄神経であり得る。
【0017】
制御装置はさらに、第2の刺激期間の終了後に時間間隔が経過した後に、工程b)を行うために構成されていてもよい。制御装置はさらに、工程c)及びd)を繰り返して第1の刺激装置及び第2の刺激装置を交互に刺激するように構成されていてもよい。それゆえ、第1の刺激装置及び第2の刺激装置は、交互に且つ繰り返し刺激され得る。第1の刺激期間及び第2の刺激期間は互いにほぼ等しくてもよい。それが、第1の刺激装置と第2の刺激装置との間での刺激の均衡を保つため、刺激装置によるいかなる疲労、APCSの影響も均一化する。
【0018】
本発明の別の一態様では、神経を電気刺激するシステムが存在し、該システムは、互いに第1の距離、離間されている、神経を第1の刺激部位で電気刺激する第1の刺激装置及び神経を第2の刺激部位で電気刺激する第2の刺激装置、第1の刺激装置を第1の刺激期間にわたり活性化することにより第1の刺激部位及び第2の刺激部位で神経の電気活性を誘導し、第2の刺激部位での誘導された電気活性の量が電気活性の閾値未満に下がった後にのみ、第2の刺激装置を活性化するように構成された制御装置を含む。
【0019】
本発明の別の一態様では、神経を電気刺激する方法であって、第1の刺激装置を神経の第1の刺激部位に配置する工程、第2の刺激装置を神経の第2の刺激部位に配置する工程、第1の刺激装置を第1の期間にわたり活性化することにより神経の電気活性を第1及び第2の刺激部位で誘導する工程、並びに第2の刺激部位での誘導された電気活性の量が電気活性の閾値未満に下がった後にのみ、第2の刺激装置を第2の期間にわたり活性化する工程を含む方法が存在する。
【0020】
本発明の実施形態を、以下の図を参照して、例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】脾臓神経の反応性が印加されたパルス数及び刺激の頻度に対して変動する様子をピーク応答の百分率として示す図である。
図2】神経刺激システムの一例を示す図である。
図3】神経刺激システムの別の例を示す図である。
図4】刺激タイミングのシーケンスの一例を示す図である。
図5】刺激タイミングのシーケンスの別の例を示す図である。
図6】刺激タイミングのシーケンスのさらなる一例を示す図である。
図7-1】脾臓神経(無髄軸索)を異なる頻度で刺激する間のパルス数が及ぼす潜時(下側)、それゆえ伝導速度、並びに複合活動電位(CAP)の相対振幅(上側)への影響を示す図である。
図7-2】脾臓神経(無髄軸索)を異なる頻度で刺激する間のパルス数が及ぼす潜時(下側)、それゆえ伝導速度、並びに複合活動電位(CAP)の相対振幅(上側)への影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、脾臓神経、無髄線維の反応性が印加されたパルス数に対して変動する様子を、ピーク応答の百分率として示す。図1に示すように、脾臓神経を30Hzの頻度で刺激した場合、神経の疲労、APCSの比率が高い。10Hzの刺激頻度も同じく神経の疲労、APCSを引き起こすが、より低速である。それに反して、1Hzの頻度での神経の刺激及び10Hzでの5秒ごとの5パルスによる神経の刺激は、より低い疲労、APCSを引き起こす。1Hzの頻度での神経の刺激は、伝導遅延をほぼ引き起こさず、10Hzでの5秒ごとの5パルスによる神経の刺激も同じく効果的に伝導遅延を妨げる。しかしながら、刺激がそれらの頻度及び刺激パターンに限定されることは望ましくない。1Hzと10Hzとの間の頻度が望ましい。
【0023】
無髄線維は、条件刺激に続く刺激にさらされると、2つのパルス間の遅延(刺激の頻度)、さらには生成されるパルスの総数に依存して、伝導速度の低下を示す。CAPを記録すると、この現象は、CAP振幅の低下及び潜時の延長、伝導速度の低下として現れる。
【0024】
図2に関して、神経3を電気刺激するシステム1が存在する。該システムは、刺激装置5、7によって印加される刺激を制御する制御装置9と動作可能に接続された第1の刺激装置5及び第2の刺激装置7を含む。該刺激装置5、7は、神経界面9、例えば電極カフに装着されている。該神経界面9は、神経3を受容するためのサイズの内径(id1)を有する開口部を含む。第1の刺激装置5と第2の刺激装置7とは、第1の距離(d1)で離間されている。
【0025】
内径(id1)は、5mmとほぼ等しいか、又は5mmより大きくてもよい。内径(id1)は、13mmとほぼ等しいか、又は13mm未満であってもよい。内径(id1)は、ほぼ7.5mmであってもよい。これらのパラメータは、人間被験者の脾臓神経と共に使用する時に好ましい。
【0026】
図2に示される例では、第1の刺激装置5が第1の電極11を含み、第2の刺激装置7が第2の電極13を含む。制御装置9は、電極の一方に制御装置9が負電流を印加するアノードパルス又は電極の一方に制御装置9が正電流を印加するカソードパルスのいずれかを与えるために電極11、13を刺激するように構成されている。
【0027】
制御装置9は、第1の刺激期間にわたって神経3に第1の電気刺激を与えるために第1の刺激装置5を活性化するように構成されている。その電気刺激は、神経3の活動電位であり得る、神経3の電気活性を誘導する。その電気活性は、神経に沿って、第1の刺激装置5と第2の刺激装置7との間を伝わる。
【0028】
制御装置9は、第2の刺激期間にわたって神経3に第2の刺激を与えるために第2の刺激装置7を活性化するようにも構成されている。その電気刺激は、神経の活動電位であり得る、神経3の電気活性を誘導する。その電気活性は、神経に沿って、第2の刺激装置7と第1の刺激装置75との間を伝わる。
【0029】
制御装置9は、第1段階の間、第1の電極11をカソードとして及び第2の電極12をアノードとして動作させるように構成されていてもよい。次いで、制御装置9は、第2段階の間、第1の電極11をアノードとして及び第2の電極13をカソードとして動作させるように構成されていてもよい。第1及び第2の段階は、同じ刺激期間内にあり得る。
【0030】
制御装置9は、第1の刺激装置5の刺激と第2の刺激装置7の刺激との間の遅延を定義する時間間隔を設定するように構成されている。これは、予めプログラムされていてもよい、及び/又は制御装置9が、時間間隔を操作者が設定できるユーザインタフェースを装備して提供されていてもよい。
【0031】
図3を参照すると、図2を参照して記載されたシステム1に類似する、神経3を電気刺激するシステム1が存在する。図3に示されるシステム1では、第1の刺激装置5が、第1の電極11と第3の電極12とを含む。その上、第2の刺激装置7が、第2の電極13と第3の電極12とを含む。したがって、第1の刺激装置11と第2の刺激装置7とは、第3の電極12を共有する。
さらなる一実施形態では、第3の電極が、第1及び第2の電極よりも大きな表面積を有する。第3の電極は、例えばIPGケースであり得る。
【0032】
制御装置9は、電極の一方に制御装置9が負電流を印加するアノードパルス又は電極の一方に制御装置9が正電流を印加するカソードパルスのいずれかを与えるために電極11、12、13を刺激するように構成されている。
【0033】
前記の様式と同様の様式で、制御装置9は、第1の刺激期間にわたって神経3に第1の電気刺激を与えるために第1の刺激装置5を活性化するように構成されている。一例では、その電気刺激は、アノードパルス又はカソードパルスのいずれかを与えるための、第1の電極11及び/又は第3の電極12の刺激を含む。アノードパルスの場合、制御装置9は、第1の電極11又は第3の電極12のいずれか一方に負電流を印加する。カソードパルスの場合、制御装置9は、第1の電極11又は第3の電極12のいずれか一方に正電流を印加する。
【0034】
制御装置9は、第2の刺激期間にわたって神経3に第2の電気刺激を与えるために第2の刺激装置7を活性化するようにも構成されている。一例では、その電気刺激は、アノードパルス又はカソードパルスのいずれかを与えるための、第2の電極13及び第3の電極12の刺激を含む。アノードパルスの場合、制御装置9は、第2の電極13又は第3の電極12のいずれか一方に負電流を印加する。カソードパルスの場合、制御装置9は、第2の電極13又は第3の電極12のいずれか一方に正電流を印加する。
【0035】
制御装置9は、第1段階の間、第1の電極11及び/又は第2の電極13をカソードとして並びに第3の電極12をアノードとして動作させるように構成されていてもよい。次いで、制御装置9は、第2段階の間、第1の電極11及び/又は第2の電極13をアノードとして並びに第3の電極12をカソードとして動作させるように構成されていてもよい。第1及び第2の段階は、同じ刺激期間内にあり得る。
【0036】
図4は、図2及び図3を参照して記載されたシステム1によって与えられる刺激のタイミングのシーケンスの一例を示す。第1の刺激装置5によって与えられる刺激を示す第1のタイミングシーケンス101、第2の刺激装置7によって与えられる刺激を示す第2のタイミングシーケンス102、並びに第1及び第2の刺激装置5、7によって与えられる刺激の、神経3での複合効果を示す複合タイミングシーケンス103が存在する。
【0037】
図2から図4を参照すると、まず第1の刺激装置5が、第1の刺激期間(t1)にわたって、第1の電気刺激111により神経3を刺激する。次に第2の刺激装置7が、第2の刺激期間(t2)にわたって、第2の電気刺激121により神経3を刺激する。次いで第1の刺激装置5が、第1の刺激期間にわたって、第3の電気刺激112により神経3を刺激した後に、第2の刺激装置7が、第2の刺激期間にわたって、第4の刺激122により神経3を刺激する。このプロセスは、繰返し可能であるため、第1及び第2の刺激装置5、7が、交互に活性化されることになる。
【0038】
図4中、刺激111、121、112、122は矩形波パルスであるが、これは一例にすぎず、異なる刺激パターン、例えば、パルスバースト及び/又は二相パルスが使用可能である。
【0039】
図4に見られるように、第1の電気刺激112と第2の電気刺激121との間には時間間隔(ti)が存在する。これが、第1の刺激112の終了と第2の刺激121の開始との間の遅延である。
【0040】
時間間隔(ti)は、第2の刺激が活性化される前に、第1の刺激によって誘導された電気活性が第2の刺激装置の近傍で低下することを確保するために設定されている。この遅延は、刺激装置5、7間の間隔(すなわち第1の距離d1)及び神経の活動電位の伝播速度の関数として設定されている。
【0041】
この例では、時間間隔(ti)が、第1の距離(d1)及び伝播速度の関数によって定義される、少なくとも1つの成分(tc)(すなわち、第1の期間)を含む。この関数は、第1の期間が、第1の距離(d1)を神経の活動電位の伝播速度(v)で割った商とほぼ等しいか、又はそれより大きいということを定義する。伝播速度は、電気信号が刺激装置5、7間を伝わる速度である。関数は次のように示され得る:
【0042】
【数1】
【0043】
例えば、自律神経、例えば脾臓神経の無髄C線維の伝播速度は、0.5mm/msである。刺激期間t1及びt2はそれぞれ1msと等しくてもよい。
【0044】
それゆえ、関数は、以下の表で示されるように第1の期間を定義し得て、表1に示される有効複合刺激頻度率(combined effective stimulation frequency rate)をもたらす。
【0045】
【表1】
【0046】
表1を参照すると、システムは、神経の疲労、APCSの問題を低下させながら、より高い刺激頻度を可能にすると評価できる。
【0047】
この別の例では、時間間隔(ti)が、少なくとも、前記で取り上げた関数によって定義される第1の期間(tc)とバッファ期間(tb)とを含む。時間間隔(ti)は、第1の期間(tc)とバッファ期間(tb)との合計以上であると定義される。この関数は次のように示され得る:
【0048】
【数2】
【0049】
バッファ期間(tb)は、10ms以上であり得る。それが、自律神経線維の回復に十分な長さの時間を与える。しかしながら、神経の種類に応じて、他の期間を使用することが可能である。例えば、異なる線維タイプ及び直径は、異なる不応期を有するであろう。有髄線維は、数ミリ秒程度の非常に短い回復時間を有する。C線維のような無髄線維は、10ms程度の回復時間を必要とする。ある線維タイプ内での回復時間は、直径が大きい場合は短く、直径が小さい場合は長くなるであろう。同じく、バッファ期間(tb)の長さの延長は、次の刺激が印加される前に神経が完全に回復する可能性を高めるが、頻度は減らす。他方、バッファ期間(tb)の長さの短縮は、次の刺激が印加される前に神経が完全に回復する可能性を下げるが、頻度は増やす。バッファ期間(tb)は、頻度と回復との間の最適トレードオフを見出すために調整可能である。操作者は、制御装置9のユーザインタフェースとの相互作用によりバッファ期間(tb)を調整できる。
【0050】
表2は、伝播速度(v)が0.5mm/msであり、刺激期間(t1、t2)がそれぞれである場合の時間間隔(ti)値及びその結果生じる頻度率を示す。
【0051】
【表2】
【0052】
表2を参照すると、システムは、神経の疲労、APCSの問題を低下させながら、高い刺激頻度を可能にすると評価できる。
【0053】
図5及び図6は、システム1によって与えられる刺激パターンの特殊例を示す。図5を参照すると、システム1は、アノード活性化及びカソード活性化を可能にするために、それぞれの刺激装置5、7での波形極性(waveform polarity)を交互に変える。すでに説明したように、アノード刺激は、接触面に非常に近傍の神経線維を活性化できるのに対して、カソード刺激は、下層の線維を活性化できる。それゆえ、図5に示す波形を使用することにより、電極近傍の線維も電極から離れた線維も活性化することが可能である。
【0054】
図5は、双極神経界面の遠位接点(Ed)、近位接点(Ep)及びケースによって供給される電流を示す。図示のように、神経界面は、対称二相性波形で神経を刺激する。この例では、ケースは常にアノードとして利用され、近位接点及び遠位接点は常に、180°ずれた位相の同速度で作動する2つの異なるタイミングチャネルを有するカソードである。180度位相がずれているとは、線維が両接点によって活性化されるイベントにおける回復時間を最大化するために、シーケンス間隔が、タイミングチャネルの間隔の半分であることを意味する。
【0055】
脾臓神経の長さに沿って互いにおよそ6mm離間されている近位接点と遠位接点とを有する双極神経界面の場合、伝導速度0.5m/sの活動電位が接点間を伝播するには、およそ12msかかるであろう。神経が利用できる回復時間は、間隔引くおよそ12msの半分又は10pps刺激に対する38msである(すなわち、50msシーケンス間隔)。言い換えると、活動電位が第2の接点に伝播するために12msかかる場合、線維は、その第2の接点において、通過中の活動電位による活性化から回復するために38ms有する。各接点でのパルス繰返し数は10ppsであるため、第1の触発(contact fire)から第2の触発まで50msあることになる(第2の接点での回復時間50ms-12ms=38ms)。第1の刺激済み無髄線維、例えばC線維の回復時間(不応時間(refractory time))は10ms未満である。これは、平均パルス繰返し数がおよそ1ppsであれば、バースト率(burst rate)は、30ppsまで疲労、APCS又は進出ブロック(exit block)を伴わないであろうことを示唆する。ナトリウムチャンネルの活性化前に活性化部位での膜の分極反転を避けることにより活性化閾値を下げるためには、各パルスの電荷回復期(charge recovery phase)が少なくとも0.1msだけ遅れる。
【0056】
図5に示される交流単極刺激は、刺激装置の全出力電流を、埋込み型パルスジェネレータ(IPG)ケースのより大きい表面積を使用する接点の一部に集中させ、必要とされるコンプライアンス電圧を低下させ、IPGポケット刺激を回避するために電流密度を低下させることを可能にする。
【0057】
図6は、近位接点及び遠位接点をアノード及びカソードとして順番に並べるためには4つのタイミングチャネルを必要とする刺激パターンを示す。これにより、接触面の非常に近傍の線維がアノードパルスによって活性化され得るのに対して、下層の線維はカソードパルスによって活性化される。2つのタイミングチャネルに限定されている場合、図5で示される交流単極刺激と同じ効果を達成するためには交流双極波形を使用してもよい。
【0058】
再充電段階(recharge phase)によるあらゆる可能な活性化を避けるための方法として、この例では受動的電荷回復を使用する。対称二相パルスを用いた場合でさえも再充電段階の活性化はないようである。なぜなら、閾下初期段階後の膜の分極の反転は、一般的に非興奮性であるからである。
【0059】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」並びに「からなる」を含み、例えば、Xを「含む」組成物は、Xのみからなってもよく、又は付加的なものを含んでもよい、例えばX+Y。異なる指定がない限り、本明細書中で記載される各実施形態は、本明細書中で記載される別の実施形態と組み合わせてもよい。
【0060】
本明細書に記載される方法は、有形記憶媒体上の機械可読形式のソフトウェアにより、例えば、本明細書で記載される方法のいずれかの全工程を行うために調整されているコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムの形式で、該プログラムがコンピュータ上で実行される場合、且つ該コンピュータプログラムがコンピュータ可読媒体上に具体化されていることがある場合に行われ得る。有形(又は非一時的な)記憶媒体の例は、ディスク、サムドライブ、メモリカード等を含み、伝播信号は含まない。該ソフトウェアは、方法工程を任意の適切な順序で又は同時に行えるように、並列処理装置又は逐次処理装置上での実行に適切であり得る。これは、ファームウェア及びソフトウェアが、個別に取引可能な有価商品(valuable commodity)であり得ることを認める。所望の機能を遂行するためには「ダム端末」若しくは標準ハードウェア上で実行するか、又は「ダム端末」若しくは標準ハードウェアを制御するソフトウェアを包含することが意図される。所望の機能を遂行するためには、シリコンチップをデザインするため又はユニバーサルプログラマブルチップを構成するために使用されるような、ハードウェア構成を「記載する」又は定義するソフトウェア、例えば、HDL(hardware description language)ソフトウェアを包含することも意図される。
【0061】
本明細書で記載されるモジュール、例えば、制御装置が、ハードウェア又はソフトウェアに実装されていてもよいことが好都合であろう。さらに、モジュールは、システムの様々な部位に実装されていてもよい。
【0062】
当業者は、プログラム命令を記憶するために使用される記憶装置をネットワーク上で分散できることを理解するであろう。例えば、リモートコンピュータが、ソフトウェアとして記載されたプロセスの一例を記憶してもよい。ローカルコンピュータ又は端末コンピュータが、リモートコンピュータにアクセスして、プログラムを実行するためにソフトウェアの一部又は全部をダウンロードしてもよい。その代わりに、ローカルコンピュータが、必要に応じて複数のソフトウェアをダウンロードするか、又はいくつかのソフトウェア命令をローカル端末上で実行していくつかをリモートコンピュータ(若しくはコンピュータネットワーク)上で実行してもよい。当業者は、当業者に公知の従来技術を使用して、ソフトウェア命令の全部又は一部を専用サーキット、例えばDSP、プログラマブルロジックアレイ等により遂行できることも理解するであろう。
【0063】
本明細書で与えられた任意の範囲値又はデバイス値は、当業者には自明であるように、見出された効果が失われることなく拡張又は変更され得る。
【0064】
前記の利益及び利点は、一実施形態に関する場合も、又はいくつかの実施形態に関する場合もあると理解される。実施形態は、前記の問題の一部若しくは全部を解決する実施形態又は前記の利益及び利点の一部若しくは全部を有する実施形態に限定されない。
【0065】
「ある」項目への任意の言及は、それらの項目の1つ以上に関する。用語「含む」は、本明細書中、同定された方法ブロック又は要素を含むことを意味するために使用するが、そのようなブロック又は要素は排他的リストを含まず、且つ方法又は装置は付加的ブロック又は要素を含み得ることを意味するために使用する。
【0066】
本明細書で記載される方法の工程は、任意の適切な順序で、又は必要に応じて同時に遂行可能である。その上、個々のブロックは、本明細書で記載された主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、いずれかの方法からも削除され得る。前記の例のいずれかの態様は、さらなる例を形成するために、見出された効果が失われることなく前記の別の例のいずれかの態様と組み合わせ可能である。前記のモジュールのいずれかは、ハードウェア又はソフトウェアに実装され得る。
【0067】
好ましい実施形態の前記の記載は、単に例として与えられている、且つ当業者によって様々に改変され得ると理解される。様々な実施形態をある程度詳細に、又は1つ以上の個々の実施形態に関連付けて前記で記載したが、当業者は、特許請求の範囲を逸脱することなしに、開示した実施形態に対する多数の変更を行うことができるであろう。
本発明は、以下の態様を含む。
[項1]
神経を電気刺激するシステムであって、
神経を電気刺激する、互いに第1の距離、離間されている第1の刺激装置及び第2の刺激装置、並びに
a)第1の距離及び神経の活動電位の伝播速度の関数として時間間隔を設定する、
b)第1の刺激装置を第1の刺激期間にわたり活性化することにより、神経の電気活性を誘導する、及び
c)第1の期間の終了後に時間間隔が経過した後に、第2の刺激装置を第2の刺激期間にわたり活性化する
ために構成された制御装置
を含むシステム。
[項2]
時間間隔が、第1の距離を神経の活動電位の伝播速度で割った商とほぼ等しいか、又はそれより大きい第1の期間を含む、項1に記載のシステム。
[項3]
神経の活動電位の伝播速度がおよそ0.5mm/msである、項2に記載のシステム。
[項4]
第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離が、3mmとほぼ等しいか、又は3mmより大きい、項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
[項5]
第1の期間が、6msとほぼ等しいか、又は6msより長い、項3又は4に記載のシステム。
[項6]
第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の第1の距離が、5mm以上である、項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
[項7]
第1の期間が、10msとほぼ等しいか、又は10msより長い、項3又は6に記載のシステム。
[項8]
第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の前記第1の距離が、およそ6mmである、項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
[項9]
第1の期間が、12msとほぼ等しいか、又は12msより長い、項3又は8に記載のシステム。
[項10]
第1の距離がおよそ6.4mmである、項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
[項11]
第1の期間が、12.8msとほぼ等しいか、又は12.8msより長い、項3又は10に記載のシステム。
[項12]
前記時間間隔の設定が、前記第1の期間と刺激からの神経の回復を可能にするバッファ期間との合計である、項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
[項13]
バッファ期間が、神経において誘導された電気活性の効果が前記第2の刺激装置の位置で既定閾値未満に下がる又は消失するために必要とされる時間の長さ以上である、項12に記載のシステム。
[項14]
バッファ期間が10ms以上である、項12又は13に記載のシステム。
[項15]
時間間隔が、最初の刺激期間の半分以下である、項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
[項16]
第1の刺激装置及び第2の刺激装置のそれぞれが、1つ以上の電極を含む、項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
[項17]
第1の刺激装置及び第2の刺激装置を神経に電気結合するための装着手段をさらに含み、装着手段が、神経を受容するための内径を有する開口部を画定する、項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
[項18]
内径が5mmとほぼ等しいか、又は5mmより大きい、項17に記載のシステム。
[項19]
内径が13mmとほぼ等しいか、又は13mm未満である、項17又は18に記載のシステム。
[項20]
内径がほぼ7.5mmである、項17から19のいずれか一項に記載のシステム。
[項21]
システムが神経に装着されている、項1から20のいずれか一項に記載のシステム。
[項22]
システムが神経を包囲する、項1から21のいずれか一項に記載のシステム。
[項23]
神経が自律神経である、項21又は22に記載のシステム。
[項24]
神経が脾臓神経である、項21から23のいずれか一項に記載のシステム。
[項25]
神経が無髄である、項21又は22に記載のシステム。
[項26]
制御装置がさらに、
第2の刺激期間の終了後に時間間隔が経過した後に、工程b)を行うために構成されている、項1から25のいずれか一項に記載のシステム。
[項27]
制御装置がさらに、
工程c)及びd)を繰り返して、第1の刺激装置及び第2の刺激装置を交互に刺激するように構成されている、項25に記載のシステム。
[項28]
第1の刺激期間及び第2の刺激期間が互いにほぼ等しい、項1から27のいずれか一項に記載のシステム。
[項29]
第3の電極を含む、項16から28のいずれか一項に記載のシステム。
[項30]
第3の電極が、第1の電極及び第2の電極よりも大きな表面積を有する、項29に記載のシステム。
[項31]
第3の電極がIPGケースである、項30に記載のシステム。
[項32]
神経を電気刺激するシステムであって、
互いに第1の距離、離間されている、神経を第1の刺激部位で電気刺激する第1の刺激装置及び神経を第2の刺激部位で電気刺激する第2の刺激装置、
第1の刺激装置を第1の刺激期間にわたり活性化することにより第1の刺激部位及び第2の刺激部位で神経の電気活性を誘導し、
第2の刺激部位での誘導された電気活性の量が電気活性の閾値未満に下がった後にのみ、第2の刺激装置を活性化する
ように構成された制御装置
を含むシステム。
[項33]
神経を電気刺激する方法であって、
第1の刺激装置を神経の第1の刺激部位に配置する工程、
第2の刺激装置を神経の第2の刺激部位に配置する工程、
第1の刺激装置を第1の期間にわたり活性化し、それにより神経の電気活性を第1の刺激部位及び第2の刺激部位で誘導する工程、並びに
第2の刺激部位での誘導された電気活性の量が電気活性の閾値未満に下がった後にのみ、第2の刺激装置を第2の期間にわたり活性化する工程
を含む方法。
【符号の説明】
【0068】
1 システム
3 神経
5 第1の刺激装置
7 第2の刺激装置
9 制御装置
11 第1の電極
12 第3の電極
13 第2の電極
101 第1のタイミングシーケンス
102 第2のタイミングシーケンス
103 複合タイミングシーケンス
111 第1の電気刺激
112 第3の電気刺激
121 第2の電気刺激
122 第4の電気刺激
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】