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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】液体物質の吐出に適した装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/24 20060101AFI20241122BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B05B7/24
A61J1/05 313H
A61J1/05 313C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021568571
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 ES2020070254
(87)【国際公開番号】W WO2020229713
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】19382382.0
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520007813
【氏名又は名称】ブリル エンジンズ エセ エレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブイサン ファーラー ジュゼップ
(72)【発明者】
【氏名】ニエト カビア ローラ
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-200768(JP,A)
【文献】特開2014-180664(JP,A)
【文献】特表2018-522669(JP,A)
【文献】特表2000-511499(JP,A)
【文献】米国特許第05881956(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00- 3/18,
7/00-11/10
A61J 1/00-19/06
B65D 1/00- 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用物質などの液体物質(2)を吐出するのに適した装置(1)であって、
- 吐出される前記物質(2)を大気圧よりも高い圧力で収容する容器(3)と、
- 前記物質を外部に吐出するためのディスペンサ(4)であって、管状構造(50)内で待機位置(B1)と装填位置(B2)との間で移動可能であり加圧された前記物質(2)の圧力によって負荷がかけられて初期状態で前記待機位置(B1)となるピストン要素(41)を含み、前記待機位置(B1)は、前記管状構造(50)の内面と前記ピストン要素(41)の外面との間に事前装填室(45)が形成されるのを防止する位置であり、したがってその位置は、吐出される1回分(2a)の前記物質が前記事前装填室(45)へ溢れ出ることを防ぎ、前記ディスペンサ(4)は、前記事前装填室(45)と前記外部との間の接続を可能にし得る弁要素(60)を含む、ディスペンサ(4)と、
を備え、
- 前記ピストン要素(41)は、コレクタ(46)を含み、
- 前記弁要素(60)は、前記ピストン要素(41)の前記コレクタの内側に配置されており、
- 前記装置(1)は、前記ディスペンサ(4)の操作機構(6)をさらに組み込んでおり、
- 前記操作機構(6)は、ユーザから操作されることで、順に、
先ず、一定量の空気(7)を送り込んで、その一定量の空気(7)の圧力が前記ピストン要素(41)を前記待機位置(B1)から前記装填位置(B2)に移動するために使用され、前記容器(3)から1回分(2a)の前記物質(2)が前記ピストン要素の第3の連絡経路(45b)を介して前記事前装填室(45)へ溢れ出ることができようにし、
続いて、前記弁要素(60)を機械的に作動させて、前記事前装填室(45)を前記ピストン要素の第2の連絡経路(45a)と前記弁要素の少なくとも導管(722)とを介して外部に接続すること、および前記一定量の空気(7)を前記ピストン要素の第1の連絡経路(44a)と、前記弁要素の少なくとも第1の空気分配回路(73)を介して外部に接続することを同時に可能にする、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)であって、前記操作機構(6)が、
- 前記ピストン要素(41)を前記待機位置(B1)から移動するために使用される、外部から捕捉された前記一定量の空気(7)を圧送および圧縮することができる圧送手段(61)と、前記弁要素(60)を機械的に作動させるように用意されているトリガ(62)と、を備え、
- 前記操作機構(6)が、可動操作部(63)であって、1回の動きで、先ず、前記圧送手段(61)を作動させて前記ピストン要素(41)を前記待機位置から移動させ、前記1回分(2a)の前記物質(2)を前記事前装填室(45)へ溢れ出させ、続いて前記トリガ(62)を作動させ、それと同時に前記弁要素(60)を作動させて、前述の前記事前装填室(45)の外部への接続、および前記ピストン要素(41)を待機位置から動かすために以前に使用された前記一定量の空気(7)の外部への接続を同時に可能にする、可動操作部(63)を有する、
ことを特徴とする装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置(1)であって、前記弁要素(60)は、前記1回分(2a)の前記物質と前記一定量の空気(7)とのインライン混合物を、前記インライン混合物を外部に排出する前に生成するように準備されることを特徴とする装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の装置(1)であって、前記事前装填室(45)の容積および圧送された前記空気(7)の容積は、混合される1回分(2a)の質量および空気(7)の質量の比率が排出される前記物質(2)の発泡効果を引き起こすように選択されることを特徴とする装置(1)。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の装置(1)であって、
- 前記ディスペンサ(4)は、前記管状構造(50)をさらに含み、
- 前記管状構造(50)は、上部の開口の径を小さくする肩と、前記上部よりも下側に設けられて径方向外方に張り出すフランジと、を含み、
- 前記ピストン要素(41)は、前記管状構造(50)の内側に配置されており、
- 前記ピストン要素(41)は、前記管状構造(50)の前記上部の開口内側に配置された前記コレクタ(46)と、前記管状構造(50)の前記肩の内面と対向する上側環状部と、前記管状構造(50)の前記フランジの下面と対向する下側環状部と、を含み、
- 前記事前装填室(45)は、前記管状構造(50)の前記肩の内面と、前記ピストン要素(41)の前記上側環状部の上面との間に形成され、
- 膨張室(44)は、前記管状構造(50)の前記フランジの下面と前記ピストン要素(41)の前記下側環状部の上面との間に形成され、
- 前記膨張室(44)は、前記膨張室(44)の外側から一定量の空気(7)が送り込まれて膨張し、
- 前記ピストン要素(41)は、前記容器(3)内の加圧された前記物質(2)によって前記ピストン要素(41)にかかる圧力の効果によって前記ピストン要素(41)が通常とる前記待機位置(B1)と、前記装填位置(B2)との間で移動可能であり、前記ピストン要素(41)の前記下側環状部の上面は、前記管状構造の前記フランジの下面と対向しており、それによって前記膨張室(44)を画定し、前記膨張室(44)の内部に空気(7)を送り込むことによる前記膨張室(44)の体積の増加が、前記ピストン要素(41)の前記装填位置(B2)への移動を促進し、前記ピストン要素(41)が前記装填位置(B2)に移動する時に、前記ピストン要素(41)が吐出される1回分(2a)の前記物質(2)が溢れ出る前記事前装填室(45)を画定するように、前記ピストン要素の前記上側環状部の上面は、前記管状構造の前記肩の内面と対向しており、前記ピストン要素(41)は、
・前記膨張室(44)と前記ピストン要素(41)に形成された前記コレクタ(46)との間の空気のための前記第1の連絡経路(44a)と、
・前記事前装填室(45)と前記ピストン要素(41)に形成された前記コレクタ(46)との間の前記1回分の物質のための前記第2の連絡経路(45a)と、
・前記容器(3)の内部と前記事前装填室(45)との間の前記物質のための前記第3の連絡経路(45b)と、をさらに含み、
- 前記弁要素(60)は、ある程度の遊びで前記ピストン要素(41)の前記コレクタ(46)に差し込まれ、前記コレクタ(46)に対するその相対位置は、前記第1および第2の連絡経路(44a、45a)から前記外部への流体接続を可能または無効にし、前記弁要素(60)は、前記ピストン要素(41)に対して初期状態で前記外部への前記流体接続を無効にする位置である閉位置(C1)となるように力がかかり、
前記操作機構(6)は可動操作部(63)を有し、前記操作機構(6)の前記操作部(63)は、作動ストロークに従って、待機位置(A1)から吐出位置まで移動可能であり、それにより、
・第1の移動段階(A1.1)において、前記操作部は、前記外部から捕捉された前記空気(7)を前記膨張室(44)に押し出し、前記空気(7)を前記膨張室(44)中で圧縮し、前記膨張室(44)の体積を増加させ、前記ピストン要素(41)の前記装填位置(B2)への移動を促進し、前記第3の連絡経路(45b)を介して、前記容器(3)内の圧力に実質的に等しい圧力で放出される1回分(2a)の前記物質が自動的に前記事前装填室(45)へ溢れ出るように、前記事前装填室(45)に必要なスペースを作り出し、
・第2の移動段階(A1.2)において、前記操作部は、トリガ(62)を引いて、前記弁要素(60)が空気(7)と1回分(2a)の前記物質の前記第1および第2の連絡経路(44a、45a)と前記外部との間の前述の流体接続が可能になる排出位置(C2a、C2b)となるまで前記トリガ(62)と共に前記弁要素(60)を前記コレクタ(46)に対して移動させる、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の装置(1)であって、前記弁要素(60)は、前記コレクタ(46)に差し込まれ、前記待機位置(B1)と前記装填位置(B2)との間の前記ピストン要素の移動方向と一致する軸方向に遊びを有してガイドされて、前記軸方向の動きは、空気(7)および1回分(2a)の前記物質の前記第1および第2の連絡経路(44a、45a)と前記外部との間の前記流体接続をそれぞれ可能または無効にする動きであることを特徴とする装置(1)。
【請求項7】
請求項6に記載の装置(1)であって、前記弁要素(60)は、中央排出管(71)と、前記排出位置(C2a、C2b)において前記弁要素(60)に供給される前記1回分(2a)を、異なる出口から前記ピストン要素(41)の第2の連絡経路(45a)を介して前記中央排出管(71)に導くことを可能にする前記1回分の前記物質のための分配回路(72)とを含むことを特徴とする装置(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(1)であって、前記1回分の前記物質のための前記分配回路(72)が、前記中央排出管(71)に収束する少なくとも2つの導管(722、723)を含むことを特徴とする装置(1)。
【請求項9】
請求項7または8に記載の装置(1)であって、前記弁要素(60)は、第1の排出位置(C2a)において、物質(2)と空気(7)とのインライン混合物を生成するために、前記弁要素(60)に供給された前記空気を、前記ピストン要素(41)の前記第1の連絡経路(44a)を介して前記中央排出管(71)に導くことを可能にする前記第1の空気分配回路(73)を有することを特徴とする装置(1)。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載の装置(1)であって、前記弁要素(60)は、第2の排出位置(C2b)において、前記ピストン要素(41)の前記第1の連絡経路(44a)を介して前記弁要素(60)に供給された前記空気(7)を、前記中央排出管(71)の外側を介して前記装置の前記外部の方へ導くことを可能にする第2の空気分配回路(74)を有することを特徴とする装置(1)。
【請求項11】
請求項9または10に記載の装置(1)であって、前記弁要素(60)が前記コレクタ(46)に差し込まれており、排出される前記空気(7)を供給する前記ピストン要素(41)の前記第1の連絡経路(44a)に接続される前記空気分配回路(73、74)を選択するために、前記弁要素(60)と前記ピストン要素(41)との間の角度位置を変えることができ、それによって物質(2)と空気(7)との混合物を生成するかどうかを選択することを特徴とする装置(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の装置(1)であって、前記物質(2)は、一方の側に大気圧が加えられ、他方の側に真空が加えられる膨張ヘッド(34a)を備えたプッシュピストン(34b)の圧力にさらされた前記容器(3)に封入されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項13】
請求項12に記載の装置(1)であって、前記容器(3)が、
- 管状構造の外側エンクロージャ(32)であって、少なくとも
- 大きな横断面を有する端部(32a)と、
- 横断面が小さく、元々は前記物質(2)で満たされ、前記ディスペンサ(4)と連絡している封じ込め部分(32b)と、を含む、外側エンクロージャ(32)と、
- マルチプライヤピストン(34)であって、
- 前記外側エンクロージャ(32)の前記端部(32a)の横断面に対応し、前記端部の壁上を密封された支持体でスライドする前記膨張ヘッド(34a)と、
- 前記外側エンクロージャ(32)の前記封じ込め部分(32b)の横断面に対応し、密封された支持体で前記封じ込め部分の壁上をスライドする前記プッシュピストン(34b)と、を含み、
前記プッシュピストン(34b)と前記エンクロージャ(32)の前記端部(32a)とは、真空状態である環状室(36)を画定し、前記環状室(36)は、前記マルチプライヤピストン(34)の位置に応じて容積が変化する、マルチプライヤピストン(34)と、
を含むことを特徴とする装置(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の装置(1)であって、前記外側エンクロージャ(32)は、前記封じ込め部分(32b)に接続され、前記封じ込め部分(32b)の横断面に対し、横断面が減少し、前記ディスペンサ(4)に結合している首部分(32c)を有し、前記マルチプライヤピストン(34)は、前記外側エンクロージャ(32)の前記首部分(32c)の横断面に対応する横断面を有し、前記首部分(32c)の壁上を支持されてスライドするプッシュヘッド(34c)を有することを特徴とする装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体物質を吐出するのに適した装置に関し、容器の中に含まれる眼科用物質などの液体医薬物質を吐出するのに特に適した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の中に含まれる液体物質を吐出することを可能にする多くの技術的解決策が現在知られている。
【0003】
すべての既知の解決策が、眼科用製品または人間の目に適用することを目的とした製品の吐出に適しているわけではない。例えば、吐出される物質が加圧されて容器に収容され、推進剤として作用する加圧ガスと混合される解決策は適切ではない。
【0004】
眼科用製品を調剤するのに実際に適している既知の解決策の中には、容器に貯蔵された液体物質を吸引するための吸引部分と、圧送操作を実行するために吸引部分の片側に結合されたピストン要素を備え、それにより物質が事前に決定された量で排出または噴霧される圧送部分と、薬を放出するために圧送部分の上端に設置された出口と、を含むディスペンサを備えたものがある。一例は、欧州特許第2992967号に記載されている。
【0005】
前述の圧送部分の上端に設置された出口は、さまざまな方法で構成され得る。欧州特許第2992967号では、2つの異なる形態が想定されており、1つは眼科用物質を滴下形式で吐出するのに適しており、もう1つは別の形式の物質を鼻に噴霧するなどの噴霧モードで投与するのに適している。第2の形態では、ディスペンサは、前述の噴霧モードを可能にするために渦形成溝を備えている。
【0006】
本発明の1つの目的は、既知の装置に代わり、容器からの吸引を必要とせず、物質を吐出しようとするたびに負圧を加え、物質量を加え、容器の外に同量の物質(以下、用量と呼ぶ)を常に得ることができる装置である。
【0007】
眼科用物質は一般的に水よりも粘性がある。この事実により、放出される物質の量、出口圧力、およびその他の目的を制御するなどの目的を達成することは非常に困難になる。
【0008】
他の目的の中には、特に重要なものがあり、それは、一定用量の物質が放出される方法を選択できることである。
【0009】
一方では、欧州特許第2992967号に従ってディスペンサに実装された渦形成溝を備えた解決策は、物質を鼻に投与する変形において、水と同様の粘度で、噴霧モードで物質を吐出するのに適している可能性があるが、粘度の高い眼科用製品の噴霧には適していない。欧州特許第2992967号によって提案されたような解決策では、物質の出口圧力を大幅に上げる必要がある。
【0010】
一方、欧州特許第2992967号では、吹出しモードに応じて、ディスペンサに2つの異なる変形、すなわち、滴下または噴霧のいずれかが想定されている。
【0011】
これらの2つの変形では、出口の形状が異なるだけでなく、滴下モードで吐出する場合、物質を噴霧するために必要となる高圧は有益ではない。具体的には、ディスペンサには、圧送部分のピストン用のブレーキ手段、または物質の出口圧力を下げるための他の手段が装備されている必要がある。
【0012】
眼科用物質を噴霧することができるのに適した解決策が望ましい。さらに、同じ装置が、投与される正確な量の制御を失うことなく、ユーザによって決定される、滴の形態および噴霧化された形態の一定用量の粘性物質を放出または吐出するのにも適していることが望ましい。
【0013】
したがって、本発明の別の目的は、この特徴を簡単かつ単純な方法で提供することができ、その結果、産業的に実行可能である装置である。産業的に実行可能とは、装置に過度のコストをかけず、したがって市場から過度のコストを除外する解決策を意味する。
【0014】
さらに、装置は、容器内に残っている物質の量に関係なく、一定の出口圧力を保証する解決策を用意するか、またはそれと互換性があることも望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
提案された装置は、眼科用物質などの液体物質を人間の目に適用するのに適した、請求項1に記載の装置である。
【0016】
装置は、
- 大気圧よりも高い圧力Pで吐出される物質を含む容器と、
- 物質を外部に吐出するためのディスペンサであって、加圧された物質の圧力によって負荷がかけられ、初期設定で待機位置を採用するピストン要素であって、容器内の圧力Pに実質的に等しい圧力pで吐出される一定用量の物質によって事前装填室が溢れるのを防ぐ、ピストン要素と、前述の事前装填室と外部との間の接続を可能にすることができる弁要素と、を含む、ディスペンサと、を備えている。
【0017】
装置はさらに、
ディスペンサの作動機構であって、最初に、一定量の空気を圧縮し、その圧力を使用してピストン要素をその待機位置から移動させ、一定用量の物質を事前装填室に溢れさせ、続いて、弁要素を機械的に作動させ、同時に前述の事前装填室の外部への接続、ならびにピストン要素をその待機位置から移動させるために以前に使用された一定量の空気との接続を可能にする、作動機構、を組み込む。
【0018】
実際には、1つが一定用量の物質によって形成され、もう1つが以前に圧縮された一定量の空気によって形成される外部への2つの流体の流れが得られ、ピストン要素をその待機位置から移動するために使用される。これにより、これらの流れを一緒にまたは別々に吐出することができ、さまざまな分配モードが可能になる。
【0019】
本発明の一変形例では、作動機構は、ピストン要素をその待機位置から移動させるために使用される、外部から捕捉された一定量の空気を圧送および圧縮することができる圧送手段と、弁要素を機械的に作動させるように用意されたトリガとを含む。
【0020】
この変形では、作動機構は、可動アクチュエータであって、1回の移動で最初にポンプ手段を作動させ、ピストン要素をその待機位置から移動させ、一定用量の物質が事前装填室に溢れ、続いてトリガを作動させ、それとともに、前述の事前装填室の外側への接続、およびピストン要素をその待機位置から移動させるために以前に使用された一定量の空気への接続を同時に可能にする弁要素を含む、可動アクチュエータを有する。
【0021】
所望の実施形態によれば、弁要素は、一定用量の物質と一定量の空気とのインライン混合物を生成してから、それを外部に放出するように用意される。さらに、弁要素は、事前装填室に蓄積された用量および圧縮ガスの体積の外側への接続を可能にするだけでなく、物質と空気のインライン混合用量を生成するように適合させることもできる。
【0022】
さらに、所望の実施形態では、事前装填室の容積および圧送された空気の容積は、混合される用量質量および空気質量の比率が放出された物質の発泡効果を引き起こすように選択される。
【0023】
この発泡効果は、吐出される物質を推進するために高圧を使用する必要なしに、上記物質を噴霧することを可能にする。
【0024】
一実施形態では、ディスペンサは、ピストン要素が、前述のピストン要素に対する容器内の加圧物質によって及ぼされる圧力の影響のために通常使用される待機位置と装填位置との間でぴったりと移動可能である管状構造を備え、ピストン要素は、
- 膨張可能な膨張室を決定し、その内部に送り込まれる空気による膨張室の容積の増加がピストン要素の装填位置への移動を促進するように、装置の1つまたは複数の固定部分に関連し、および
- ピストン要素が装填位置に移動したときに吐出される一定用量の物質で溢れる、事前装填室を決定するように、装置の別の固定された部分または複数の部分に関連している。
【0025】
ピストン要素は、
- 膨張室とピストン要素に形成されたコレクタとの間の空気の第1の連絡経路と、
事前装填室とピストン要素に形成された前述のコレクタとの間の一定用量の物質のための第2の連絡経路と、
- 容器の内部と事前装填室との間の物質の第3の連絡経路と、をさらに含み、このすべてが、
コレクタに対するその相対位置が外部への第1および第2の連絡経路間の流体接続を可能または無効にするような方法で、弁要素がある程度の遊びを持ってピストン要素のコレクタに差し込まれ、弁要素は、ピストン要素に対して初期設定で外部への上記流体接続を無効にする位置である閉位置を採用するように強制され、作動機構のアクチュエータは、作動ストロークに従って、待機位置から吐出位置まで移動可能である。
【0026】
前述のすべては、
- 第1の移動段階では、アクチュエータは外部から捕捉された空気を膨張室に向けて押し出し、膨張室内で圧縮し、その体積を増やし、ピストン要素の装填位置への移動を促進し、第3の連絡経路を介して、容器内の圧力Pに実質的に等しい圧力pで放出される一定用量の物質によって自動的に溢れるように事前装填室に必要なスペースを作成し、
- 第2の移動段階では、アクチュエータがトリガを引いて動作させ、それとともに弁要素を引き、弁要素が排出位置を採用するまでコレクタに対して弁要素を動かし、空気と一定用量の物質との第1および第2の連絡経路の間の外部への前述の流体接続をそれぞれ可能にする、ように実行される。
【0027】
建設的な変形例では、弁要素は、待機位置とその装填位置との間のピストン要素の移動方向と一致するように軸方向に遊びを持ってコレクタにガイドされて差し込まれ、この軸方向の動きは、空気と一定用量の物質の第1および第2の連絡経路間の流体接続をそれぞれ有効または無効にする動きである。
【0028】
本発明の一変形によれば、弁要素は、中央排出管と、排出位置において、弁要素に供給された用量を異なる出口からピストン要素の第2の連絡経路を通る中央排出管に導くことを可能にする一定用量の物質のための分配回路とを備えている。
【0029】
物質と空気のインライン混合物を生成することを目的として、一定用量の物質のための分配回路は、中央排出管に収束する少なくとも2つの導管を含み得る。
【0030】
弁要素は、いくつかの空気分配回路を有していてもよく、これにより、ユーザは、噴霧モードまたは滴下モードなど、物質を分配するためのいくつかの分配モードから選択することができる。
【0031】
したがって、本発明の特に望ましい変形において、弁要素は、物質と空気のインライン混合物を生成するために、排出位置において、ピストン要素の第1の連絡経路を介して弁要素に供給された空気を中央排出管に導くことを可能にする第1の空気分配回路を有することが提供される。
【0032】
同じ弁要素が、別の排出位置で、ピストン要素の第1の連絡経路を介して、外部に、しかし中央排出管の外側に、弁要素に供給された空気を導くことを可能にする第2の空気分配回路を有することが想定される。
【0033】
第1の空気分配回路と第2の空気分配回路との間で選択するために、弁要素がそれ自体の周りを回転して動くことができることが想定される。
【0034】
したがって、建設的な変形では、弁要素がコレクタに接続されており、弁要素とピストン要素との間の角度位置は、排出される空気を供給するピストン要素の第1の連絡経路に接続する空気分配回路を選択し、それによってそれが物質と空気の混合物を生成するかどうかを選択するために変化することができる。
【0035】
残留物質の量に関係なく、容器内の一定の圧力Pを保証するために、本発明の1つの変形例では、物質は、一方の側に大気圧が適用され、もう一方の側に真空が適用される膨張ヘッドを備えたプッシュピストンの圧力にさらされて、容器内に封入される。
【0036】
必要に応じて、建設的な方法で一定用量の物質の発泡効果を生み出すのに十分な圧力Pを達成することを目的として、容器は、管状構成の外側エンクロージャであって、少なくとも、
- 大きな横断面、P1を持つ端部と、
- 元々物質で満たされ、ディスペンサと連絡している、小さな横断面P2の封じ込め部分と、を含む、外側エンクロージャと、
マルチプライヤピストンであって、
- 外側エンクロージャの端部の横断面に対応し、上記端部の壁上を密封された支持体でスライドする横断面P1’を備えた膨張ヘッドと、
- 外側エンクロージャの封じ込め部分の横断面に対応する横断面P2’を有し、密封された支持体で上記封じ込め部分の壁上をスライドするプッシュピストンと、を含み、
プッシュピストンとエンクロージャの端部とが、真空状態で環状室を決定し、マルチプライヤピストンの瞬間的な位置に応じて体積が変化する、マルチプライヤピストンと、を備えている。
【0037】
前述の大小の用語は、絶対参照に関しては使用されていないが、P1>P2を示すために単に使用されている。これは、P1’>P2’を意味する。
【0038】
P2’/P1’比は1/2に近くなる可能性があるが、この特定のケースでは、P1’はP2’の約2倍である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1a】本発明を例示する装置を示す。
図1b図1の装置の主要コンポーネントの分解図である。
図1c図1の装置の平面図である。
図2a図1の装置の長手方向断面の詳細図であり、特に、ピストン要素は初期設定で待機位置B1を採用し、弁要素は閉位置C1を採用する、90°での切断面による、ディスペンサに対応する領域の詳細図である。
図2b図1の装置の長手方向断面の詳細図であり、特に、ピストン要素は初期設定で待機位置B1を採用し、弁要素は閉位置C1を採用する、90°での切断面による、ディスペンサに対応する領域の詳細図である。
図3】ピストン要素の上面斜視図である。
図4a図3の切断面AAによるピストン要素の断面図である。
図4b図3の切断面BBによるピストン要素の断面図である。
図5】ピストン要素の上面斜視図である。
図6図2bと同じ切断面による、ディスペンサに対応する領域の、図1の装置の長手方向断面の別の詳細図であるが、ピストン要素が装填位置B2を採用し、弁要素は引き続き閉位置C1を採用している。
図7a】90°での切断面による弁要素の縦断面図である。
図7b】90°での切断面による弁要素の縦断面図である。
図8】ピストン要素と弁要素との間の遊びに対応する領域の詳細図であり、弁要素は、いくつかの可能な排出位置を採用している。特に、図8は、一定用量の噴霧された物質を吐出するのに適した、装填位置B2を採用するピストン要素および第1の排出位置C2aを採用する弁要素を示している。
図9a】ピストン要素と弁要素との間の遊びに対応する領域の詳細図であり、弁要素は、いくつかの可能な排出位置を採用している。特に、図9aは、図8に示される切断面NNに対応する横断面図である。
図9b】ピストン要素と弁要素との間の遊びに対応する領域の詳細図であり、弁要素は、いくつかの可能な排出位置を採用している。特に、図9bは、図8に示される切断面nnに対応する横断面図である。
図10】ピストン要素と弁要素との間の遊びに対応する領域の詳細図であり、弁要素は、いくつかの可能な排出位置を採用している。特に、図10は、装填位置B2を採用するピストン要素と、第2の排出位置C2bを採用する弁要素を示しており、滴下形式で一定用量の物質を吐出するのに適している。
図11a】ピストン要素と弁要素との間の遊びに対応する領域の詳細図であり、弁要素は、いくつかの可能な排出位置を採用している。特に、図11aは、図10に示される切断面NNに対応する横断面図である。
図11b】ピストン要素と弁要素との間の遊びに対応する領域の詳細図であり、弁要素は、いくつかの可能な排出位置を採用している。特に、図11bは、図10に示される切断面nnに対応する横断面図である。
図12a】最大まで充填されたときの、図1の装置の容器の長手方向断面の詳細図である。
図12b】空にされたときの、図1の装置の容器の長手方向断面の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明を例示する装置1は、眼科的に適用される、典型的には、大気圧よりも高い圧力P条件にさらされる1mmから50mm/秒の間の動粘度を有する物質を含む容器3を含む。容器3は、容器3の内側と外側との間の接続を可能にするための手段を備えたディスペンサ4によって上部が閉じられている。
【0041】
しかしながら、この接続は直接的なものではなく、ディスペンサ4は、容器3の内側と外側との間の中間である、事前装填室に以前に蓄積された単回用量の物質のみを外側に放出するように構成されている。
【0042】
可動部品によるディスペンサ4の作動機構6(操作機構6)は、最初に、一定用量の物質が上記事前装填室に蓄積することを可能にし、次いで、上記事前装填室と外部との間の接続を有効にする。作動機構は、外部から捕捉された一定量の空気を使用して可動部品の一部を作動させ、一定量の空気は、一定用量の物質が事前装填室から放出されたときに空気/物質のインライン混合物を生成するために使用することもできる。
【0043】
図2aおよび図2bは、容器3の開口部、特に上記容器が備えられている首部32cに結合されたディスペンサ4の詳細図を示している。図2aおよび図2bの助けを借りて、図1bの分解図とともに、前述の操作を可能にするディスペンサ4の構成要素と機構6との間の相互関係を以下に説明する。
【0044】
取り付け位置、ディスペンサ4および容器3は、ピストン要素41をカプセル化する。ピストン要素41は、固定された管状構造50を通ってぴったりと移動し、ピストン要素は、上記管状構造50のそれぞれの上部および下部41a、41bの2つの反対側の端部を通って突出する。
【0045】
管状構造50は、ピストン要素41の異なる幅の2つの部分の間の遷移として機能する外側環状ステップ42と協働して、その体積が、管状構造50に対するピストン要素41の瞬間的な位置に依存するであろう同じ事前装填室45との間を決定する上部の狭い通路51を有する。この例では、管状構造50のこの上部の狭い通路51は、管状構造50の主要部分50aに結合された、元々は別個の部品である上部冠50bによって形成されている。
【0046】
管状構造50、特にその主要部分50aは、その容積がピストン要素41の瞬間的な位置を決定する膨張室44をその間に決定するために、ピストン要素41の拡張されたベース43と協働する容器3の首部32cの開口部に適合する環状端部52と前述の首部32cとを備えたより低い仕上げを有する。この膨張室44は、装置1の外部から捕捉されて推進される大量の空気で満たされるように意図されており、それに適している。
【0047】
事前装填室45を形成するための管状構造50とピストン要素41との間のシールは、この例では、その上端が、管状構造50の上部冠50bと、上記管状構造50から突出するピストン要素41の上端41aとの間に閉じ込められているカラーの形態の第1の弾性膜48によって確保されている。
【0048】
管状構造50の2つの部分からなる構造により、その下端近くに形成された第1の膜48の角度の付いた横方向の環状付属物48aを押すことができる。第1の膜48の環状付属物48aを一緒に取り付ける、管状構造50の部分、すなわち冠50bと主要部分50aとの間の相互接続は、例えば弾性変形可能な締結具による圧力による結合であり得る。
【0049】
膨張室44を決定する部品間のシールは、この例では、その内周49aがピストン要素41の膨張した基部43に固定され、その外周49bが容器3のネック32cの開口部の上端に固定されている環状形態の第2の弾性膜49によって確保されている。
【0050】
事前装填室45および膨張室44のシールを確実にする他の方法が可能である。
【0051】
図3から図5は、ディスペンサ4の動作において重要な役割を果たすピストン要素41の特定の特徴を示している。具体的には、それらの図は、膨張室44とピストン要素41の上端に形成されたコレクタ46との間の第1の連絡経路44a、事前装填室45とピストン要素41に形成された前述のコレクタ46との間の第2の連絡経路45a、および容器3の内側と事前装填室45との間の第3の連絡経路45bをどのように構成するかを示している。
【0052】
コレクタ46は、コレクタ46に取り付けられた異なる位置を採用する能力を備えた弁要素60(図7aおよび図7bを参照)の取り付けを受けるように特別に設計された特定の構成を有する。一方では、弁要素60は、ピストン要素41に対して軸方向に移動して、事前装填室45と膨張室44との間における外部との流体接続を有効または無効にすることができる。また、弁要素60は、それ自体の周りを回転し、ピストン要素41に対して異なる角度位置をとることができる。この回転能力の特徴については、以下でさらに説明する。
【0053】
この例では、膨張室44とコレクタ46との間の第1の連絡経路44aは、流体循環の方向において、その入口端が膨張室44に流れ込む、(図4aおよび図4bに示されるピストン要素の向きによる)水平部分と、その出口端がコレクタ46の基部に流れ込む垂直部分と、を有する角度の付いた導管によって形成されている。
【0054】
この例では、事前装填室45とコレクタ46との間の第2の連絡経路45aは、ピストン要素41の上端41aの壁を通過する2つの横方向の溝によって形成されている。
【0055】
この例では、容器3の内側と事前装填室45との間の第3の連絡経路45bは、その両端がそれぞれ容器3および事前装填室45に流れ込む2つの垂直導管によって形成されている。
【0056】
ディスペンサ4において、弁要素60は、ディスペンサ4の作動機構6の一部を形成するトリガ62と係合し、トリガ62は、例では、管状構造50と、ピストン要素41の上端とによって形成されたアセンブリを覆う中空片によって形成されている。この例では、この中空片は、一般的な釣鐘形状を有し、管状構造50上に適合し、装置1の長手方向軸の周りでそれ自体の周りを回転する能力を有する。トリガ62の回転は、弁要素60の回転を引き起こし、ピストン要素41に対するその角度位置を変更する。
【0057】
トリガ62を形成する中空片はまた、管状構造50によってその動きにおいて案内されて、垂直に動く能力を有する。
【0058】
トリガ62は、管状構造50の環状端部52に対して収縮位置にそれを配置する傾向がある弾性手段(図面には見えない)によって保持される。
【0059】
以下で詳細に説明するように、トリガ62と弁要素60とは相互に関連しており、その結果、トリガ62の特定の垂直方向の上方方向への移動は、それらが一緒に上方方向に移動するために、機械的抗力による弁要素60の移動を引き起こす。
【0060】
作動機構6は、外部から捕捉された一定量の空気を膨張室44に圧送および圧縮することができる圧送手段61をさらに備えている。
【0061】
この例では、管状構造50の環状端部52は、容器3のネック32cとともに、ゴム製の保持ダックビル逆止弁のような逆止弁53によって空気吸引室54を決定する周囲スカート52aのような垂直構造を有する。この環状空気吸引室54は、装置1のユーザが操作することができるアクチュエータ63(操作部63)のピストン部材63aによって底部が閉じられている。アクチュエータ63は、管状構造50の環状端部52と前述のピストン部材63aとの間に装填されたばね64によって保持される。
【0062】
ばね64の作用は、アクチュエータ63または管状構造50のいずれかと別個または一体の弾性特性を有する別の構成要素によって実行され得る。
【0063】
ディスペンサ4は、トリガ62と回転して結合されているが、容器3を包む外側装飾要素68に取り付けられている外側セレクタ65によって完成されている。図13aおよび図13bは、この装飾要素68を備えた装置1によって提供されるアセンブリの印象を示している。この例では、ディスペンサ1には、アクチュエータ部材63に関連付けられた人間工学的ボタン69が設けられている(図13aおよび図13bでは隠れている)。
【0064】
例えば弾性固定手段によるセレクタ65の装飾要素への固定は、図2aおよび図2bに示されるように、ディスペンサ4の構成要素を初期設定の配置でパッケージ化する。
【0065】
この位置では、初期設定で:
- ピストン要素41は、第1の膜48の介在により、ピストン要素41の環状ステップ42が管状構造50の冠50bに対して適用される位置である、容器3内の加圧物質2の圧力Pによって負荷される待機位置B1を採用する。
- この位置では、事前装填室45に浸水可能な容積はなく、膨張室44は収縮している。
- 弁要素60は、ピストン要素41に対して閉位置C1を採用する。この位置では、コレクタ46と外部との間のすべての接続が弁要素60によって遮断されているとすると、事前装填室45または膨張室44からの外部との接続はない。
- アクチュエータ63は、ばね64によって保持される待機位置A1を採用する。
【0066】
ユーザが、図2aおよび図2bに示される位置から開始して、一定用量の物質2を吐出したい場合、ユーザは、アクチュエータ63を上方向に作動させる。これにより、次のように2段階で1回分2aの物質2が放出される。
- 第1の移動段階A1.1において、アクチュエータ63のピストン部材63aは、吸引室54に含まれる空気7の一定体積を膨張室44に押し出し、その体積は、圧力によって膨張し、その結果、装填位置B2に到達するまでピストン要素41の動きを(図面の方向で下向きに)引き起こし、このピストン要素上で容器3に貯蔵された物質2によって及ぼされる力に打ち勝つ。
ピストン要素41のこの動きは、容器3の内部にある圧力Pに実質的に等しい圧力pで吐出される1回分2aの物質2で自動的に溢れるように、事前装填室45内に必要な空間を作り出し、物質2は、ピストン要素41が設けられている第3の連絡経路45bを通って容器3から事前装填室45に流れる。
ディスペンサ4のこの状態を図6に示す。
弁要素60は、2つの間の摩擦によってピストン要素41と共に移動し、ピストン要素41に対して閉位置C1を採用し続けることに留意されたい。
- 第2の移動段階A1.2では、アクチュエータ63がトリガ62と接触してトリガ62を作動させ、移動させ、トリガ62を(図面の向きで上向きに)移動中の弁要素60を引張り、排出位置C2に配置し、これにより、事前装填室45および膨張室44の外部との流体接続が可能になる。この接続により、事前装填室45に蓄積された1回分2aの物質2、および第1の放出段階でピストン要素41を動かすために使用される膨張室に蓄積された一定量の空気7を吐出することができる。
図8および図10は、弁要素60がピストン要素41に対して閉位置C1から排出位置C2に移動した直後の瞬間の両方のディスペンサ4を示しており、いずれの場合も、弁要素60は、ピストン要素41に関して異なる角度位置を採用している。
【0067】
膨張室44の排気により、圧力Pの用量の物質2の影響により、ピストン要素41は自動的に待機位置B1に戻り、事前装填室45を閉じる。アクチュエータ63に外力を加えることをやめることにより、トリガ62に作用する弾性手段の効果によって、および同じピストン部材63aに作用するばね64の効果によって、ディスペンサ4の構成要素は、図2aおよび図2bの元の位置に配置された状態に戻る。
【0068】
本発明を例示する装置1の弁要素60とピストン要素41との間の関係は、以下により詳細に説明される。
【0069】
前述の例では、弁要素60(図7aおよび図7bを参照)は、中央排出管71を含み、吐出する1回分2aの物質(事前装填室45から来る)と、同排出管71内の一定量の空気7(膨張室44から来る)とのインライン混合物を、その外部への排出前に生成するように用意される。
【0070】
実際、有利には、事前装填室45の容積および膨張室44に圧送される空気の容積は、噴霧された吐出を達成するために、混合される用量質量2aおよび空気質量7の比率が、排出される物質2の発泡効果を引き起こすように選択される。
【0071】
この目的のために、弁要素60(図7aおよび図7bを参照)は、排出位置C2において、異なる出口から弁要素60に、ピストン要素の第2の連絡経路45aを通って中央排出管71に供給される用量2aを導くことを可能にする物質の用量72のための分配回路を有する。
【0072】
物質の用量72のためのこの分配回路は、中央排出管71で収束する2つの導管722、723を含む。
【0073】
次に、弁要素60は、排出位置C2において、ピストン要素41のコレクタ46に到達する空気7の量を、物質2とこの量の空気7のインライン混合用量を生成するために、後者の第1の連絡経路44aを通って中央排出管71に導くことを可能にする第1の空気分配回路73を有する。
【0074】
この第1の空気分配回路73は、この例では、流体の循環の方向に、その入口端が低レベルでコレクタ46に流れ込む水平部分(図面に表される弁要素60の向きによる)と、中央排出管71と軸方向に整列した垂直部分とを備えた角度の付いた導管によって形成されている。
【0075】
1回分2aの物質2を導く導管722および723が、空気7の体積が流れる中央排出管71の同じ点に収束することに留意されたい。実際には、これにより、空気流7が粘性物質2の周辺電流に注入され、所望の発泡効果と、結果として生じる物質と空気との混合物の噴霧化が促進される。
【0076】
弁要素60はまた、排出位置C2において、外部に、しかし中央排出管71の外側に、第1の連絡経路44aを介してコレクタ46に到達する空気7を導くことを可能にする第2の空気分配回路74を有する。これにより、ディスペンサ4内の空気7の体積と混合することなく、1回分2aの物質2を滴下形式で吐出することができる。
【0077】
この第2の空気分配回路74は、この例では、流体の循環の方向に、その入口端が中程度のレベルでコレクタ46に流れ込む垂直部分(図面に表される弁要素60の向きによる)と、高レベルでコレクタ46に流入する水平部分とを備えた角度の付いた導管によって形成されている。この導管に関連して、弁要素60は、導管の入口開口部への空気7の流れに適したコレクタ46の壁との空間を残す垂直チャネル74aを備えている。
【0078】
ピストン要素に対する弁要素60の角度位置に従って、外部への接続は、上記空気分配回路73または74の1つで選択的に可能になり、外部への接続は、常に、物質の用量72の分配回路で有効になる。
【0079】
この目的のために、コレクタ46は、弁要素60の第1の空気分配回路73の入口開口部および第2の空気分配回路74の出口と配置されて、それらのうちの1つを通る空気の通過を妨げるように用意される。
【0080】
具体的には(図5を参照)、低レベルでは、コレクタ46は、前述の第1の空気分配回路73の入口開口部と一致する場合に、コレクタ46との間の流体接続を可能にする上記コレクタ46上に形成された入口66によって、所定の第1の角度ウィンドウ内の第1の空気分配回路73の入口開口部に空気が流れるための空間のみを可能にする。この同じ状況において、第2の空気分配回路74の出口開口部は、前述の出口のレベルでコレクタ46の壁によって閉じられるであろう。
【0081】
この状況は、図8図9aおよび図9bに表されており、弁要素60のこの第1の排出位置は、C2aとして指定されている。
【0082】
コレクタ46は、第1の角度ウィンドウとは異なる第2の角度ウィンドウで異なる動作をするのに適している。具体的には、その入口開口部が前述の入口66と一致しないが、この出口開口部と外側との間、例えば、弁要素60の外側、およびそれと管状構造50の上部冠50bとの間の流体接続を可能にする第2の空気分配回路74の出口開口部のレベルで上記コレクタ46に形成されたノッチまたは中空67によって、空気がこの第2の角度ウィンドウ内の第2の空気分配回路74の出口開口部を通って流れるための空間を残すとすると、第1の空気分配回路73の入口を閉じるのに適している。
【0083】
この状況は、図10図11aおよび図11bに表されており、弁要素60のこの第2の排出位置は、C2bとして指定されている。
【0084】
本発明を例示する実施形態では、約90°の角度の第1の角度ウィンドウと第2の角度ウィンドウとの間である。
【0085】
言い換えれば、吐出、噴霧、または滴下モードを選択するために、ユーザは、外側装飾要素65を約90°回転させなければならない。図面に示されているように(図1cを参照)、外側装飾要素65は、弁要素60の現在の位置、したがってディスペンサ4が噴霧モードにあるか滴下モードにあるかを示す、ユーザによって視覚的に知覚できる彫刻または別の形式の外側表示を有する。この例では、トリガ62に回転して結合されている(同様に弁要素60と係合している)装飾要素65は、90°の円周弧に溝65aを有し、そこを通って回転ストッパとして機能する固定ロッドが通過または挿入される。溝65aの両端でのこのロッドの支持により、噴霧モードまたは滴下モードに対応する位置が決定される。
【0086】
図12aおよび図12bは、この例では、容器3が、横断面P1を備えた端部32aを一緒に決定する2つの部品からなるエンクロージャ32と、横断面がP2であり、P1>P2である封じ込め部分32bと、ディスペンサ4にしっかりと結合された首部32cを容器に提供する上部と、を備えることを示している。この例では、首部32cは、元々残りの部分から分離された部品で構成されているが、本発明は、エンクロージャ32が単一の部品である他の実施形態を企図している。
【0087】
マルチプライヤピストン34およびエンクロージャ32は、真空条件にさらされる2つの室、すなわち、物質2を含む封じ込め室37と環状室36とを決定する。封じ込め室37の可能な容量は、10mlから20mlの間で構成され、例えば、10mlである。
【0088】
この目的のために、マルチプライヤピストン34は、膜または機械的シールによって外側エンクロージャ32の内壁にシールされている。
【0089】
封じ込め室37が物質で満たされ、容器3がディスペンサ4によって閉じられると、封じ込め室は、マルチプライヤピストン34に対する大気圧によって及ぼされる効果のために崩壊する傾向がある。これは、次に、外部と接触し、物質2と接触するマルチプライヤピストン34の表面間の関係の影響により、大気圧よりも大きい圧力Pを物質に及ぼす。
【0090】
本発明のこの変形例の動作を成功させるために必要な条件の1つは、マルチプライヤピストン34とエンクロージャ32との間に良好なシールがあることである。シールは、吐出装置4の事前装填室45および膨張室44をそれぞれ密封するためにピストン要素41で使用されるものと同様に、ジョイント、グリースまたはワックス材料の助けを借りて、あるいは弾性膜を使用することによって、滑り接触にすることができる。
【0091】
この例では、マルチプライヤピストン34は、剛性材料でできており、エンクロージャ32の端部32aの横断面P1に対応する横断面P1’を有し、上記端部の壁上を密封された支持体でスライドする膨張ヘッド34aと、エンクロージャ32の封じ込め部分32bの横断面P2に対応する横断面P2’を有し、密封された支持体で上記封じ込め部分の壁上をスライドするプッシュピストン34bと、を有し、プッシュピストン34bおよびエンクロージャ32の端部32aは、真空条件下で環状室36を決定し、マルチプライヤピストン34の位置に応じて可変容積を有する。
【0092】
例えば、P2/P1’の比率は0.7~0.3の間である。理想的な関係は、P2’/P1’が0.5に近い関係である。
【0093】
P1’およびP2’の可能な値は、例えば、P1’=804mm、およびP2’=415mmである。
【0094】
エンクロージャ32は、封じ込め部分32bの後に、縮小された横断面P3を有し、ディスペンサ4との結合として機能する首部分32cを有する。さらに、マルチプライヤピストン34は、エンクロージャ32の首部分32cの横断面に対応する横断面P3’を備え、上記首部分32cの壁上を密封された支持でスライドするプッシュヘッド34cを有する。首部32cと一致するこのプッシュヘッド34cは、封じ込め室37の充填を促進することを可能にする。
【0095】
表面比P1’>P2’は、約1.3から1.9バールの間の絶対圧力Pで容器3内の物質2aの貯蔵を可能にする。この圧力は、容器内の残りの物質2の含有量に関係なく一定に保たれる。
【0096】
圧送手段61に関して、物質のこの圧力P範囲に対応して、圧送手段61は、約1.9バールの絶対圧力で外部から空気7を膨張室44に蓄積するように構成され、圧力Pを克服するか、少なくとも等しくし、ピストン要素41をその待機位置B1から移動させるのに十分であるように構成される。同様に、この空気圧7は、吐出される1回分2aの物質2とインラインで混合される場合、混合物を噴霧することを意図した発泡効果を引き起こすのに十分であろう。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b