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特許7592045ロータを支承し、当該ロータを磁気的に軸線方向に位置決めするための磁石を有するポンプ、及びこれに関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ロータを支承し、当該ロータを磁気的に軸線方向に位置決めするための磁石を有するポンプ、及びこれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/048 20060101AFI20241122BHJP
   F04D 29/046 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F04D29/048
F04D29/046 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022073436
(22)【出願日】2022-04-27
(62)【分割の表示】P 2020010768の分割
【原出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2022130358
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】62/800,264
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516005359
【氏名又は名称】ホワイト ナイト フルイド ハンドリング インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】White Knight Fluid Handling Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】トム シモンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョフリー ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】コートニー パーソンズ
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-159075(JP,A)
【文献】特開2007-092646(JP,A)
【文献】特開2004-346925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/048
F04D 29/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、ロータと、インペラとを備え、
前記ステータは、駆動磁石と、該駆動磁石の前記ロータの軸線方向に対向しあう両側にそれぞれ配置された1つ又は複数の永久磁石と、前記ステータの第1軸線方向端部に配置された少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石と、を有し、
前記ロータは、前記ステータ内に同軸に配置されており、前記駆動磁石と整列した電機子と、前記1つ又は複数の永久磁石と整列した1つ又は複数の相補型永久磁石と、前記ロータの第1軸線方向端部に配置されるとともに前記少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石から前記ロータの軸線方向に位置がずれているプル磁石と、を有し、
前記インペラは、前記ロータの前記第1軸線方向端部の反対側における前記ロータの第2軸線方向端部で前記ロータに接続され、前記ロータと共に回転するように構成されており、
前記ロータの1つ又は複数の相補型永久磁石及び前記ステータの1つ又は複数の永久磁石は、1つ又は複数の磁気ベアリングを生成するように構成されており、
前記プル磁石は、前記少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石と相互作用するように構成され、前記ロータを前記ステータに対して前記ロータの軸線方向において位置決めし、
前記少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石は、前記少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石と前記プル磁石との間の相互作用を介して前記プル磁石に作用する前記ロータの軸線方向の力を調整するように構成された電磁石であり、
前記電機子及び前記駆動磁石は、前記ロータを前記ステータに対して回転させるように構成されている、ポンプ。
【請求項2】
前記ポンプに接続された電子制御装置をさらに含み、前記電子制御装置は、前記少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石によって使用される電流を監視する、請求項1記載のポンプ。
【請求項3】
前記電子制御装置は、前記少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石への電流を約12アンペア以下の範囲内に維持する、請求項2記載のポンプ。
【請求項4】
前記電子制御装置は、前記少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石への電力を調整して、前記ステータに対する前記ロータの軸線方向位置を維持する、請求項3記載のポンプ。
【請求項5】
前記ロータと前記ステータとの間に流体通路を更に備える、請求項1記載のポンプ。
【請求項6】
前記ロータと前記ステータとの間に配置されるハウジングであって、前記ロータを前記ステータから隔離し、かつ前記ハウジングと前記ロータとの間に前記流体通路を規定するハウジングを更に備える、請求項5記載のポンプ。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記ロータに面し且つ流体と接触する前記ハウジングの面に隆起した又は窪んだ外観のパターンを備える、請求項6記載のポンプ。
【請求項8】
前記ポンプは、前記ステータの軸線を水平面にして設置されており、
前記ステータの半径方向側に配置されたリフト磁石を更に備え、
前記リフト磁石は、前記ロータと前記リフト磁石との間の半径方向距離が変化するにつれて変化する荷重を前記ロータに生じさせるように構成される、請求項1記載のポンプ。
【請求項9】
前記リフト磁石は永久磁石である、請求項8記載のポンプ。
【請求項10】
電気モータと、インペラと、を備え、
前記電気モータは、ロータと、少なくとも2つの磁気ベアリングと、位置決め磁石組立品と、流体通路とを有し、
前記ロータは、ステータに対して回転するように構成され、前記ステータ内の駆動磁石が、前記ロータ内の永久磁石に回転力を与えるように構成されており、
前記少なくとも2つの磁気ベアリングは、前記ステータ内の前記駆動磁石の前記ステータの軸線方向において対向しあう両端部に配置されるとともに、少なくとも2つの相補型永久磁石を有し、該少なくとも2つの相補型永久磁石は、回転永久磁石と固定永久磁石とを有し、前記回転永久磁石は、前記ロータの軸線方向に対向しあう両端部に担持され、前記固定永久磁石は、前記駆動磁石の前記ステータの軸線方向に対向しあう両端部で前記ステータに取り付けられており、
前記位置決め磁石組立品は、前記電気モータの第1軸線方向端部に設けられ、前記ステータに接続された電磁的軸線方向位置決め磁石と、前記ロータに接続された永久プル磁石とを有し、前記電磁的軸線方向位置決め磁石は、前記永久プル磁石から前記ステータの軸線方向に位置がずれるとともに、前記永久プル磁石と相互作用するよう構成され、前記電気モータの長手方向軸線に沿う方向において前記ロータに力を発生させ、
前記流体通路は、前記ロータを通り、前記ロータの第1軸線方向端部から前記ロータの第2軸線方向端部に流体を移送するように構成され、
前記インペラは、前記電気モータの前記第1軸線方向端部とは反対側の、前記ロータの軸線方向端部で前記ロータに接続されている、ポンプ組立品。
【請求項11】
前記ロータと前記ステータとの間に規定された流体経路であって、前記ロータの前記第2軸線方向端部に隣接する前記ステータの第2軸線方向端部から、前記ロータの前記軸線方向の第2端部に隣接する前記ステータの第1軸線方向端部に流体を移送するように構成された流体経路を更に備える、請求項10記載のポンプ組立品。
【請求項12】
前記ステータと前記ロータとの間に位置決めされたステータスリーブを更に備える、請求項10記載のポンプ組立品。
【請求項13】
前記ステータスリーブの内面は、前記ロータに面し、且つ、隆起した又は窪んだ外観のパターンを有する表面を備える、請求項12記載のポンプ組立品。
【請求項14】
前記ステータ内に配置された少なくとも1つの位置センサであって、前記ロータの前記回転永久磁石の少なくとも1つと実質的に整列された少なくとも1つの位置センサを更に備える、請求項10記載のポンプ組立品。
【請求項15】
前記位置センサは、磁気近接センサ、ホールセンサ、超音波センサ、誘導センサ、レーザセンサ、光センサ、容量センサ、及び赤外線センサから選択される、請求項14記載のポンプ組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2019年2月1日に出願された米国仮特許出願第62/800,264号の利益を主張するものであり、本開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、液体をポンピングするためのポンプ、及びこのようなポンプの製造及び使用に関連する方法に関し、当該ポンプは、ロータとステータとを有するベアリングレス電磁モータを含み、当該ポンプでは、ステータ内でロータを支承するために磁石が使用される。
【背景技術】
【0003】
ベアリングレスポンプは、一般に、密封されたポンプハウジング内で磁力によって支承されるインペラを含む。ポンプは、一般に、回転磁界によって駆動され、当該回転磁界は、ポンプハウジング内のステータによって坦持された電磁石によって生成される。このようなポンプは、従来の機械的ベアリングを含まないという意味で「ベアリングレス」であるが、ステータ内でインペラ(又はロータ)を支承するために磁石が使用される。ベアリングレスポンプは、例えば、生物学的流体(例えば血液)又は純粋な液体(例えば超純水)等、搬送される流体が純粋(例えば、汚染されていない)のままでなければならない用途に有利となり得る。
【0004】
ベアリングレスポンプはまた、そうでなければ機械的ベアリングを破壊又は劣化させる攻撃的な液体(例えば、アルカリ性流体、酸性流体、腐食性流体、研磨性流体など)を搬送するために有用である。したがって、ベアリングレスポンプは、例えば、化学機械研磨、水処理、加工作業などの用途に使用するのに好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
種々の実施形態は、ステータと、ロータと、インペラとを含むポンプを含むことができる。ステータは、駆動磁石と、駆動磁石の軸線方向に対向しあう両端部に配置された1つ又は複数の永久磁石とを含むことができる。ステータはまた、ステータの第1軸線方向端部に配置された少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石を含むことができる。ロータは、ステータ内に同軸に配置されてもよい。ロータは、駆動磁石と整列した電機子と、1つ又は複数の永久磁石と整列した1つ又は複数の相補型永久磁石とを含むことができる。また、ロータは、ロータの第1軸線方向端部に配置されたプッシュ/プル磁石を含んでもよい。ロータの1つ又は複数の相補型永久磁石及びステータの1つ又は複数の永久磁石は、1つ又は複数の磁気ベアリングを生成するように構成されてもよい。プル磁石は、少なくとも1つの軸線方向位置決め磁石と相互作用するように構成され、ロータをステータに対して軸線方向において位置決めしてもよい。電機子及び駆動磁石は、ステータに対してロータを回転させように構成することができる。インペラは、第1軸線方向端部の反対側におけるロータの第2軸線方向端部でロータに接続されてもよい。インペラは、ロータと共に回転するように構成されてもよい。
【0006】
本開示の別の実施形態は、電気モータ及びインペラを含むポンプ組立品であってもよい。電気モータは、ロータと、少なくとも2つの磁気ベアリングと、位置決め磁石組立品とを含んでもよい。ロータは、ステータに対して回転するように構成されてもよい。ステータ内の駆動磁石は、ロータ内の永久磁石に回転力を付与するように構成されてもよい。少なくとも2つの磁気ベアリングは、ステータ内の駆動磁石における対向する両端部に配置されてもよい。少なくとも2つの磁気ベアリングは、少なくとも2つの相補型永久磁石を含むことができる。少なくとも2つの相補型永久磁石は、回転永久磁石及び固定永久磁石を含んでもよい。回転永久磁石は、ロータにおいて対向しあう両端部でロータに取り付けられてもよく、固定永久磁石は、駆動磁石の対向しあう両端部でステータに取り付けられてもよい。位置決め磁石組立品は、電気モータの第1長手方向端部にあってもよい。位置決め磁石組立品は、ステータに接続された電磁的軸線方向位置決め磁石と、ロータに接続された永久プッシュ/プル磁石とを含んでもよい。電磁的軸線方向位置決め磁石は、永久プッシュ/プル磁石と相互作用して、電気モータの長手方向軸に沿う方向においてロータに力を発生させるように構成されてもよい。インペラは、電気モータの第1長手方向端部と反対のロータの長手方向端部でロータに接続されてもよい。
【0007】
本開示の別の実施形態は、磁気浮上ポンプにおけるロータ位置を制御する方法であってもよい。この方法は、位置センサを用いてステータに対するロータの軸線方向位置を検出するステップを含むことができる。この方法は、ロータの軸線方向端部に位置決めされた位置決め電磁石に電圧を出力して、位置設定点でロータの位置決めを行うステップを更に含むことができる。この方法は、位置決め電磁石での電流を検出するステップを含むことができる。この方法は、電流を電流設定点と比較するステップをさらに含むことができる。次いで、電流と電流設定点との間の差を生成することができる。また、本方法は、位置設定点に調整を出力し、当該差を補正するステップを含んでもよい。
【0008】
本明細書は、本開示の実施形態とみなされるものを特に指摘し、明確に主張する特許請求の範囲で終了するが、本開示の実施形態の様々な特徴及び利点は、添付の図面と併せて読まれる場合、本開示の例示的な実施形態の以下の説明からより容易に確定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るポンプの等角図である。
図2図2は、図1に示すポンプの断面図である。
図3図3は、図2に示すポンプの実施形態の断面図における部分拡大図である。
図4図4は、図2に示すポンプの実施形態の断面図における部分拡大図である。
図5図1図4に示すポンプにおけるステータ組立品及びロータ組立品の分解組立図である。
図6図5に示すロータ組立品の部分分解組立図である。
図7図6に示すロータ組立品の一部の分解組立図である。
図8図5に示すステータ組立品の部分分解組立図である。
図9図8に示すステータ組立品の一部の分解組立図である。
図10】本開示の一実施形態に係る制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で提示される例示は、特定のポンプ又はその構成要素の実際の図であることを意味するものではなく、本開示の例示的な実施形態を説明するために使用される理想化された表現にすぎない。図面は、必ずしも縮尺通りではない。図の間での共通の要素は、同じ数字表示を保持することができる。
【0011】
本明細書で使用されるように、「第1」、「第2」、「上部」、「下部」などの関連用語は、一般に、開示及び添付の図面を理解する際の明確さ及び便宜のために使用され、文脈がそうでないことを明確に示す場合を除いて、特定の優先傾向、向き、又は順序を暗示するものでもないし、これらに依存するものでもない。
【0012】
本明細書で使用されるように、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組合せ及び全ての組合せを意味し、これらを含む。
【0013】
本明細書で使用されるように、「垂直」及び「横方向」という用語は、図に示された方向を指す。
【0014】
本明細書で使用されるように、所与のパラメータに関して「実質的に」又は「約」という用語は、所与のパラメータ、特性、又は条件が、許容可能な製造公差内などの小さな分散度で満たされることを当業者が理解する程度を意味し、含む。例えば、実質的に満たされるパラメータは、少なくとも約90%満たされ、少なくとも約95%満たされ、少なくとも約99%満たされ、又はさらに100%満たされてもよい。
【0015】
本明細書で使用される「磁性材料」という用語は、強磁性材料、フェリ磁性材料、反強磁性材料、及び常磁性材料を意味し、これらを含む。
【0016】
ベアリングレスポンプ(例えば、磁気浮上ポンプなど)は、複数の利点を提供し得る。
従来のベアリングから脱却すると、一般的なベアリングとシールの組み合わせにおける固有の摩擦により、摩擦損失が減少する可能性がある。従来のベアリングから脱却すると、磨耗した部品が原因でポンプを再構築又は交換しなければならなくなる前に、ポンプ要素の動作時間(寿命など)が長くなることもある。従来のベアリングから脱却すると、従来のベアリングで改善されていた追加の変数が、ベアリングレスポンプにも導入される。例えば、従来のベアリングは、ポンプの回転部分(例えば、軸、インペラ、ロータなど)を、半径方向(例えば、中心軸を中心として)及び長手方向(例えば、中心軸線に沿って軸線方向、横方向)の両方に配置することができる。また、磁気軸受は、ポンプの回転部分を軸線方向及び長手方向の両方に位置させることもできるが、磁気軸受は、ポンプの回転部分を、従来の機械的軸受よりも大きい距離だけ移動させることができる(例えば、シフト、スリップ、変位など)。用途によっては、付加的な動きが望ましくない場合があり、及び/又は付加的な動きが、付加的な摩耗、部品の損傷、及び他の潜在的な問題を生じさせる場合がある。
【0017】
図1は、本開示に係るポンプ100の一実施形態を示す。ポンプ100は、本体102及びポンプハウジング104を含んでもよい。本体102は、モータ(例えば、直流モータ、交流モータ等)、及び/又はポンプ100の駆動構成要素を含むことができる。本体102は、ポート106を含むことができ、当該ポート106により、電力及び/又は電気信号(例えば、電気)が、外部電源及び/又は制御装置/駆動装置から本体102内のモータに伝達されることを可能にする。本体102は、取り付け構造体108を含むことができる。
【0018】
取り付け構造体108は、ポンプ100を静止物体(例えば、壁、床、取り付けパッド、構造、フレームなど)に固定するために使用されてよい。いくつかの実施形態では、取り付け構造体108は、フランジ110を含むことができ、当該フランジ110は、自身を貫通して延びる少なくとも1つの穴112(例えば、スロット、開口部など)を有する。穴112は、例えばボルト、スタッド、ねじ、ストラップ(例えば、金属ストラップ、ポリマーストラップ、布ストラップ、ナイロンストラップ、バンドストラップ、クランプストラップ等)、ケーブル、ブラケット、フック等の取り付け器具を支えるように構成することができる。いくつかの実施形態では、取り付け構造体108は、一体型の取り付け器具(例えば、スタッド、クランプ、ねじ付きインサートなど)を含んでもよい。
【0019】
本体102はまた、当該本体102から延びる1つ又は複数のフィン114(例えば、突出部、プレートなど)を含み得る。いくつかの実施形態では、フィン114は、モータからの熱伝達(例えば、モータの冷却)又は本体102内部の他の構成要素からの熱伝達を補助するように構成されてもよい。図1に示すように、フィン114は、直線状(例えば実質的に直線状)であってもよく、本体102から半径方向外側に延在してもよく、本体102の長手方向軸線に平行に配向されてもよい。いくつかの実施形態では、フィン114は、中心軸線L100の周りに円周方向に(例えば、一連のリング、螺旋、渦巻きなどで)延在する実質的に円形(例えば、環状など)であってもよい。
【0020】
ポンプハウジング104は、背面板120を含んでもよい。背面板120は、1つ又は複数の冷却ポート122を含んでもよい。冷却ポート122は、流体(例えば、空気、水など)がフィン114の上を流れるように構成することができる。いくつかの実施形態において、冷却ポート122は、受動的な流体の流れを導くように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ファン又はポンプなどの補助装置が背面板120に連結されてもよく、流体が冷却ポート122を通ってフィン114の上へ強制的に流れるように構成することができる。例えば、補助装置は、冷却ポート122を通って流体を吸引するように構成されてもよく、これにより、流体がフィン114の上を流れ、次いで補助装置によって冷却ポート122を通って吸引され得る。いくつかの実施形態において、補助装置は、冷却ポート122を通ってからフィン114の上を流体が強制的に流れるように構成されてもよい。
【0021】
ポンプハウジング104は、入口ポート116及び出口ポート118を含んでもよい。
インペラハウジング104は、インペラ(例えば、ロータ、パドル、プロペラ、タービンなど)を収容してもよく、当該インペラは、入口ポート116を通じて流体を受け取り、出口ポート118を通じて流体を排出するように構成されている。いくつかの実施形態において、インペラは、出口ポート118(例えば、ポンプ)を通じて流体を排出する前に、入口ポート116における流体よりも高い圧力に流体を加圧するように構成されてもよい。他の実施形態では、インペラは、入口ポート116を通じて高圧で流体を受け取り、出口ポート118を通じてより低い圧力で流体を排出するように構成されてもよい。高圧流体は、インペラを回転させて流体の圧力を回転エネルギに変換し、次いで、電気エネルギ又は何らかの他の形態の機械エネルギに変換することができる。
【0022】
図2は、ポンプ100の断面図を示す。本体102は、ステータ組立品220、ポンプハウジング組立品210、及びロータ組立品230を包囲してもよい。ステータ組立品220は、1つ又は複数の永久磁石222及び1つ又は複数の駆動磁石224を含んでもよい。駆動磁石224は、例えば、電磁石、巻線、整流子、コイル、電機子などであってもよく、ロータ組立品230の周囲に磁界を発生させるように構成されている。1つ又は複数の永久磁石222は、実質的に環状(例えば、リング形状、円形等)であってもよい。
永久磁石222は、スペーサ226(例えば、シム、環状リングなど)に対して静止してもよい。ステータ組立品220は、プル磁石228及びリフト磁石229を更に含むことができる。プル磁石228及びリフト磁石229は、ステータに対するロータ組立品230の位置を制御又は維持するように構成することができる。いくつかの実施形態では、プル磁石228及びリフト磁石229のうちの少なくとも1つは、電磁石であってもよい。
いくつかの実施形態では、プル磁石228及びリフト磁石229のうちの少なくとも1つは、永久磁石であってもよい。
【0023】
ロータ組立品230は、1つ又は複数の相補型永久磁石232、電機子234、スペーサ236、及び相補型プル磁石238を含んでもよい。相補型永久磁石232及び電機子234は、実質的に環状の形状であってもよい。電機子234は、例えば、コイル、巻線、導体、永久磁石などであってもよく、駆動磁石224によって生成される磁界からロータ組立品230に回転力を生成するように構成されてもよい。相補型永久磁石232は、長手方向軸線L100に沿って、ステータ組立体220の永久磁石222と軸線方向において実質的に整列させることができる。相補型プル磁石238は、ステータ組立品220のプル磁石228と軸線方向において実質的に整列していなくてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、永久磁石222及び相補型永久磁石232によって生成された磁界は、受動型ベアリング(例えば、磁気ベアリング、非接触ベアリングなど)を形成してもよい。例えば、永久磁石222及び相補型永久磁石232は、永久磁石222と相補型永久磁石232との間に反発力を誘発するように構成されてもよい。当該反発力によって、ロータ組立体230がステータ組立体220内で浮上し、これにより、ロータ組立体230がステータ組立体220にあらゆる点で物理的に接触しないようにすることができる。このような非接触による相互作用は、モータ内の摩擦損失を低減し得る。さらに、経路240(例えば、通路、進路など)は、流体がそこを通過することができるように、ロータ組立品230とステータ組立品220との間に形成することができる。流体は、潤滑流体、冷却流体、洗浄流体、フラッシング流体、ブローバイ流体、又は任意の他のタイプの流体であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、永久磁石222及び相補型永久磁石232のうちの少なくとも1つは、比較的高強度の磁性材料から形成されてもよい。高強度磁性材料は、少なくとも約42MGOe、少なくとも約52MGOe、又はそれらの組み合わせなど、少なくとも約5MGOeの最大エネルギ積を有することができる。いくつかの実施形態では、永久磁石222及び相補型永久磁石232のうちの少なくとも1つは、アルニコ(例えば、アルミニウム、ニッケル、及びコバルトの合金)、ネオジム合金、又はサマリウムコバルト合金などの磁性材料から形成されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、プル磁石228及び相補型プル磁石238は、ステータ組立品220に対するロータ組立品230の軸線方向位置を制御するように構成されてもよい。例えば、プル磁石228は、図4に関してより詳細に後述するように、相補型プル磁石238に軸線方向の力を誘起するように構成されてもよい。プル磁石228及び相補型プル磁石238は、電子制御装置によって制御することができる。例えば、制御装置260は、ステータ組立品220内に収容されてもよい。いくつかの実施形態では、電子制御装置は、外部に(例えば、ステータ組立品220から分離して)配置されてもよい。
【0027】
インペラ250はロータ組立体230に接続(例えば、取り付け、連結など)されてもよく、これにより、ロータ組立体230の任意の回転がインペラ250に付与される、及び/又はインペラ250の任意の回転がロータ組立体230に付与される。インペラ250は、例えばボルト、スタッド、ねじ、キー、ねじ山(例えば、管用ねじ、平行ねじ等)のような機械的接続を介してロータ組立体230に接続することができる。いくつかの実施形態では、インペラ250は、接着剤(例えば、膠状の接着剤、エポキシ樹脂の接着剤など)又は物理化学プロセス(例えば、はんだ付け、溶接など)によってロータ組立品230に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、インペラ250は、接触接続(例えば、プレス嵌め、摩擦嵌めなど)を介してロータ組立体230に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、インペラ250は、上述した要素又は方法の組み合わせによってロータ組立体230に接続することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ロータ組立品230がステータ組立品220に対して回転するときに、電機子234と駆動磁石224との間でエネルギを伝達することができる。例えば、電機子234に回転力を誘起することができる駆動磁石224に電気を加えることができる。回転力は、ロータ組立体230をステータに対して回転させることができる。
別の実施形態では、インペラ250の回転によって、ロータ組立体230をステータに対して回転させることができる。電気子234が駆動磁石224に対して回転すると、電機子234は、電気エネルギを発生する駆動磁石224に電流を誘起することができる。
【0029】
図3は、図2におけるポンプ100の実施形態の永久磁石222及び相補型永久磁石232の拡大図を示す。ロータ組立体230は、ロータ組立体230の異なる部分を保持及び分離するように構成された複数の構造部分を含んでもよい。例えば、ロータ組立品230は、前部保持構造体304を備える前部支持体302を含んでもよく、当該前部保持構造体304は、第1軸線方向端部306上に相補型永久磁石232を保持するように構成されている。第1相補型永久磁石232aは、前部保持構造体304に対して配置されてもよい。スペーサ236が、第1相補型永久磁石232aと第2相補型永久磁石232bとの間に配置されてもよい。第2相補型永久磁石232bは、電機子支持体308によって適所に固定されてもよい。電機子支持体308は、前部中央スペーサ310を含んでもよく、当該前部中央スペーサ310は、第1相補型永久磁石232a、第2相補型永久磁石232b、及びスペーサ236を、前部保持構造体304と前部中央スペーサ310との間に挟むように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態において、前部保持構造体304と前部中央スペーサ310との間の空間は、調節可能であってもよい。例えば、電機子支持体308は、前部支持体302の上にねじ込むことができる。いくつかの実施形態では、電機子支持体308は、当該電機子支持体308の内面にねじ山を有するカラーであってもよく、当該ねじ山は、前部支持体302の外面のねじ山と接合するように構成されている。いくつかの実施形態において、前部支持体302と電機子支持体308との間の接合面は、比較的滑らかであってもよく、これにより、電機子支持体308は、前部支持体302に沿って軸線方向に摺動できる。電機子支持体308及び前部支持体302は、前部保持構造304と前部中央スペーサ310との間において、第1相補型永久磁石232a、第2相補型永久磁石232b、及びスペーサ236を、別個の器具(例えば、ボルト、ねじ、スタッド、ばね留め具、ねじ留め具など)を用いて固定してもよい。
【0031】
ステータ組立品220内の永久磁石222は、同様の保持構造体を含んでもよい。例えば、ステータ組立品220は、前部保持要素312及び第2前部保持要素318を含んでもよく、当該前部保持要素312は、第1永久磁石222aの先端316と接触するように構成されており、当該第2前部保持要素318は、前部保持要素312と当該第2保持要素318との間に、第2永久磁石222b、第1永久磁石222a、及びスペーサ226を挟むように構成されている。いくつかの実施形態において、前部保持要素312及び第2前部保持要素318は、ボルト結合を用いて一緒に固定されてもよい。他の実施形態では、前部保持要素312及び第2前部保持要素318は、ねじ結合、又は電機子支持体308及び前部支持体302に関して上述したものと同様の他の結合によって一緒に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、前部保持要素312及び第2前部保持要素318は、ステータ組立品220の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、前部保持要素312及び第2前部保持要素318は、本体102の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、前部保持要素312及び第2前部保持要素318は、本体102の部分とステータ組立品220の部品との組み合わせであってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、位置センサ320が、当該位置測定器322と実質的に位置合わせされたステータ組立品220内に位置決めされてもよい。いくつかの実施形態では、位置測定器322は、永久磁石であってもよい。いくつかの実施形態では、位置測定器322は、例えば加熱素子、反射素子などの、位置センサ320と相互作用するように構成された別の要素であってもよい。位置センサ320は、ステータ組立品220に対するロータ組立品230の軸線方向位置に対応する信号を生成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、センサ320は、磁気近接センサ、ホール効果センサ、超音波センサ、誘導センサ、レーザセンサ、光センサ、容量センサ、赤外線センサなどであってもよい。いくつかの実施形態では、制御装置260は、位置センサ320からの信号を監視することができる。制御装置260は、以下に詳述するようにプル磁石228への電力を調整し、ロータ組立体230の軸線方向の力を調整し、これによりロータ組立体230の軸線方向の位置を制御することができる。
【0033】
位置センサ320は、接合部330を介して前側保持要素312に結合されてもよい。
いくつかの実施形態において、図3に示されるように、接合部330はボルト結合部であってもよい。いくつかの実施形態では、接合部330は、膠状の接着剤又はエポキシ樹脂の接着剤などの接着接合部であってもよい。いくつかの実施形態において、接合部330は、ばね締結具、ボルト締結具等の締結接合部であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、1つ以上の位置センサ320があってもよく、例えば、1個~10個のセンサ、1個~5個のセンサ、又は1個~3個のセンサであってもよい。いくつかの実施形態では、制御装置260は、全てのセンサからの平均軸線方向位置を監視することができる。例えば、制御装置260は、複数の位置センサ320の各センサから個々の読値を受け取り、当該位置センサ320からの読値を内部で平均化することができる。いくつかの実施形態では、位置センサ320は、平均化回路に配線されてもよく、当該平均化回路は、制御装置260に単一の平均化された入力を提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、制御装置260は、複数の位置センサ320を個別に監視し、最小値、最大値、平均値、中央値などを決定することができる。いくつかの実施形態では、制御装置260は、異なる値を用いて異なる処理を実行するように構成されてもよい。例えば、制御装置260は、位置センサ320からの最大値又は最小値が定義された閾値を上回る又は下回るときに、警報(例えば、可聴警報、警報信号、ドライ接点警報、安全回路等)を生成することができる。いくつかの実施形態では、閾値は、損傷が生じる前に、当該警報がポンプ100の動作を停止し得るような位置に定義されてもよい。
【0036】
制御装置260は、ロータ組立体230の軸線方向位置を、約0.5mm以内、又はさらには約0.25mm以内に制御するように構成することができる。
【0037】
図4は、図2に示すポンプ100の実施形態におけるプル磁石228及び相補型プル磁石238の拡大図を示す。プル磁石228及び相補型プル磁石238によって生成される磁場は、ロータ組立品230に軸線方向の力を生成することができる。プル磁石228は電磁石であってもよく、これにより、軸線方向の力が調整されて、ロータ組立品230を所望の軸線方向位置に維持する。例えば、ロータ組立品230及び相補型プル磁石238がポンプハウジング表面242から離れる軸線方向に移動する場合、プル磁石228は、ポンプハウジング表面242に向かって増大した軸線方向の力を発生することができる。
代替的に、ロータが近すぎるか、又はポンプハウジング表面242に接触する場合、プル磁石228は、軸線方向の力を減少させるか、又は相補型プル磁石238及びロータ組立品230をポンプハウジング表面242から離れる方向に押す反発力を誘発することさえある。いくつかの実施形態では、ポンプハウジング表面242は、ロータ組立品230の軸線方向位置を許容範囲内に維持するように構成された強固な止め具であってもよく、これにより、例えばインペラ250のようなロータ組立品230の重要な部品の損傷が実質的に防止される。
【0038】
いくつかの実施形態(例えば、ポンプ100がステータの軸を垂直方向にして設置される場合では)、リフト磁石229は当該組立品の一部ではない。他の実施形態(例えば、ポンプ100がステータの軸線を水平面にして設置される場合)では、リフト磁石229は、相補型プル磁石238に反発するように構成された永久磁石であってもよい。リフト磁石229は、プル磁石238近傍のステータ組立品220の端部に配置することができる。リフト磁石229は、ロータ組立体230に荷重を導入することができる。当該荷重は、相補型プル磁石238が重力方向に半径方向下方に移動するにつれて増加し、当該荷重は、相補型プル磁石238が重力方向に半径方向上方に移動するにつれて減少し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、ロータ組立品230を回転させるために必要なアンペアを監視することができる。例えば、ポンプ100は、駆動磁石224(図2)でのアンペアを監視することができる内部回路又は制御装置を含んでもよい。例えば、内部回路は、駆動磁石224に伝達される配線を、ポンプ100内の他の電気構成要素から隔離することができる。センサ(例えば、電流トランスデューサ、抵抗センサ、光ファイバセンサ、ホール効果センサなど)は、絶縁回路を監視し、制御装置又は内部回路は、絶縁回路内のアンペアを監視し、絶縁回路内のアンペアを記録し、かつ/又は絶縁回路内のアンペアに基づいてポンプの別の構成要素を制御することができる。いくつかの実施形態では、制御装置の幾つか又は全部が、外部に配置されてもよく、これにより、センサは、ポンプ100への電力入力装置内又は電力入力装置上に配置され、当該センサは外部制御装置によって分析されてもよい。いくつかの実施形態では、ロータ組立品230の回転数を監視することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、ロータ組立体230の軸線方向位置は、プル磁石228への電力を増減させることによって制御することができる。例えば、ロータ組立体がその位置設定点から軸線方向に離れるにつれて、プル磁石228に供給されるアンペアが増減し得る。電力の増減は、プル磁石228と相補型プル磁石238との相互作用を変化させ、ロータ組立品230の位置を変更し、ロータ組立品230をその位置設定点に戻す。
【0041】
プル磁石228への電力は、PIDループ、ステップアンドウェイトアルゴリズム、閉ループ制御、フィードフォワード制御などの制御アルゴリズムを介して制御されてもよい。制御アルゴリズムは、プル磁石228へのアンペアに関する位置設定点及び電流設定点を含んでもよい。例えば、制御アルゴリズムは、位置センサ320と比較した位置測定器322の位置を監視し、その位置を位置設定点と比較することができる。次いで、制御アルゴリズムは、プル磁石228への電力に適切な調整を行い、位置測定器322の監視された位置と位置設定点との間のいかなる差異も補正する。次に、制御アルゴリズムは、プル磁石228に向かうアンペアを電流設定点と比較し、実際のアンペアと電流設定点との間の計算された差に基づいて、それに応じて位置設定点を調整することができる。いくつかの実施形態では、電流設定点は、ポンプ100内のロータ組立品230を浮揚させるために必要な最低電力であると予想される設定数値であってもよい。例えば、電流設定点は、約0アンペア~約12アンペアであってよく、例えば約5アンペア~約10アンペア、又は約7アンペアであってよい。いくつかの実施形態では、制御アルゴリズムは、電力使用量を最小限に抑え、最小電力使用量に達するまで(例えば、あらゆる調整が電力使用量の増加をもたらすように)制御ループを通じて調整を行うことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、ロータ組立体230の軸線方向位置は、プル磁石228のアンペアと位置センサ320を監視する組み合わせを通じて制御されてもよい。
【0043】
図5は、ポンプ100の分解組立図を示す。ステータ組立品220及びロータ組立品230は、軸線L100の周りに実質的に同軸であってもよい。ロータ組立品230は、ステータ組立品220によって規定されるボア506内に少なくとも部分的に配置されるように構成することができる。インペラ250は、ロータ組立体230に、当該ロータ組立体230の第1端部510において取り付けることができる。ロータ組立品230は、ステータ組立品220のボア506内で回転するように構成することができる。インペラ250は、ロータ組立体230と共に回転するように構成することができる。インペラ250は、入口512を通して流体を吸い込み、ベーン514(例えば、ブレード、フルートなど)を通してより高い圧力で流体を排出するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ベーン514は、より低い圧力で比較的高い体積の流れを提供するように構成することができる。他の実施形態では、ベーン514は、より高い圧力で比較的低い体積の流れを提供するように構成することができる。また、ロータ組立体230の回転速度は、流体の流量体積及び/又は圧力に影響を与え得る。
【0044】
図6は、インペラ250(図2)の駆動軸として機能するロータ組立体230の部分分解組立図を示す。ロータ組立品230は、シェル602内に収容されてよい。また、シェル602は、流体(例えば、冷却流体、潤滑流体、フラッシング流体、洗浄流体など)が、ロータ組立品230の内部構成要素に直接接触することなく流れることができる表面を備えてよい。いくつかの実施形態では、シェル602は、例えばポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)など)、非鉄金属(例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼など)などの非鉄材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、シェル602は、耐食性材料(例えば、ポリマー、アルミニウムなど)から形成されてもよく、又は耐食性コーティング(例えば、ゴムコーティング、ポリマーコーティングなど)を有してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、外面604は、滑らかな表面であってもよい。いくつかの実施形態において、外面604は、隆起した又は窪んだ外観(例えば、ディンプル、リッジ、ベーン、溝、フィン等)のパターンを含んでもよい。
【0046】
ロータ組立品230は、中心シャフト606の上に同心円状に組み立てることができる。いくつかの実施形態では、中心シャフト606は中空であってもよい。例えば、中心シャフト606は、当該シャフト606の長手方向長さを通る開口部、通路、又は経路を規定し得る。流体は、当該中心シャフトを通って流れることができる。例えば、流体は、シェル602の外面604の周りを循環し、次いで中心シャフト606を通過してもよいし、流体は、まず、中心シャフト606を通過し、次いで、シェル602の外面604の周りから抜け出てもよい。
【0047】
中心シャフト606は、前部連結要素608に連結(例えば、取り付け、結合等)されてもよい。いくつかの実施形態では、中心シャフト606は、器具(例えば、ねじ、ボルト、スタッド、リベット、ピンなど)で前部連結要素608に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、中心シャフト606は、接着剤(例えば、膠状の接着剤、エポキシ樹脂の接着剤など)、溶接、又ははんだで前部連結要素608に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、中心シャフト606は、締まり嵌め(例えば、圧入、摩擦嵌めなど)を介して前部連結要素608に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、中心シャフト606は、前部連結要素608の一部として形成されてもよい。例えば、中心シャフト606は、前部連結要素608から押し出され又は引き出されてもよく、又は、前部連結要素608及び中心シャフト606は、鍛造又は金型成形のような工程で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、中心シャフト606は、いくつかの取り付け手段の組み合わせを介して前部連結要素608に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、シェル602は、溶接、接着、ねじ接続、機械的締結具等によって、前部連結要素608に接続するように構成されてもよい。
【0048】
前部連結要素608は、ロータ組立体230をインペラ250(図5)に取り付けるように構成することができる。いくつかの実施形態では、前部連結要素608は、インペラ250(図5)に接続するためのねじ接続(例えば、管用ねじ、機械ねじ、雄ねじ、雌ねじなど)を備えることができる。いくつかの実施形態では、前部連結要素608は、インペラ250(図5)に接続するための器具(例えば、スタッド、ピン、キーストックなど)又は器具を受容する外観(例えば、孔、ねじ孔、溝、トラックなど)を備えてもよい。
いくつかの実施形態では、前部連結要素608は、インペラ250(図5)に圧入されるように構成された表面を備えてもよい(例えば、締まり嵌め)。いくつかの実施形態では、前部連結要素608は、接続機構の組み合わせを介してインペラ250(図5)に取り付けるように構成されてもよい。
【0049】
前部連結要素608に続いて、ロータ組立品230は、相補型永久磁石232及び相補型スペーサ236のパターンを含んでもよい。相補型永久磁石232は、ステータ組立品220(図2図5、及び図9)における対応する永久磁石222と相互作用するように構成されており、これにより磁気ベアリングを形成する。スペーサ236は、ロータ組立品230が組み立てられると、相補型永久磁石232を正しい軸線方向位置に位置決めし、相補型永久磁石232を適切な位置に保持するように構成されてもよい。スペーサ236は、相補型永久磁石232の正しい軸線方向位置を規定するために、異なる位置に異なる厚さを有してもよい。相補型永久磁石232及び相補型スペーサ236は、前部磁気ベアリング組立品620及び後部磁気ベアリング組立品622を形成するように配置されてよい。前部磁気ベアリング組立品620及び後部磁気ベアリング組立品622のそれぞれは、少なくとも1つの相補型永久磁石232及び少なくとも1つのスペーサ236を含んでよい。いくつかの実施形態では、前部磁気ベアリング組立品620は、少なくとも1つのスペーサ236によって分離された少なくとも2つの相補型永久磁石232を含んでもよい。同様に、後部磁気ベアリング組立品622は、少なくとも1つのスペーサ236によって分離された少なくとも2つの相補型永久磁石232を含んでもよい。別の実施形態では、前部磁気ベアリング組立品620及び後部磁気ベアリング組立品622のうちの少なくとも一方は、少なくとも2つのスペーサ236によって分離された少なくとも3つの相補型永久磁石232を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前部磁気ベアリング組立品620及び/又は後部磁気ベアリング組立品622は、例えば4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の相補型永久磁石232などの追加の相補型永久磁石232を含むことができる。同様に、前部磁気ベアリング組立品620及び/又は後部磁気ベアリング組立品622は、例えば3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上のスペーサ236などの追加のスペーサ236を含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、前部磁気ベアリング組立品620及び後部磁気ベアリング組立品622のうちの一方又は両方の隣接する相補型永久磁石232は、反対の極性で配向されてよく、これにより、隣接する相補型永久磁石232が、ロータ組立品230における隣接する相補型永久磁石232間に反発力を生じさせ、前部中央スペーサ310、及び/又は後部中央スペーサ618、及び/又は前部保持構造体304、及び/又は後部保持構造体626に対して、相補型永久磁石232を押し付ける。
いくつかの実施形態では、前部磁気ベアリング組立品620及び後部磁気ベアリング組立品622のうちの一方又は両方の隣接する相補型永久磁石232は、同じ極性で配向されてよく、これにより、隣接する相補型永久磁石232が、ロータ組立品230における隣接する相補型永久磁石232間に引力を生じさせ、隣接する相補型永久磁石232間のスペーサ236に対して相補型永久磁石232を引き寄せる。
【0051】
位置測定器322は、前部磁気ベアリング組立品620及び後部磁気ベアリング組立品622の一方における端部に配置されてよい。例えば、位置測定器322は、前部磁気ベアリング組立品620の前方であって、前部磁気ベアリング組立品620と前部連結要素608との間に配置されてよい。位置測定器322は、ステータ組立品220(図3)内の位置センサ320と相互作用するように構成されてよい。
【0052】
電機子234は、2つの中央スペーサ310、618の間に配置することができる。前部中央スペーサ310は、電機子234と前部磁気ベアリング組立品620との間に配置されてよい。後部中央スペーサ618は、電機子234と後部磁気ベアリング組立品622との間に配置されてよい。前部磁気ベアリング組立品620、後部磁気ベアリング組立品622、中央スペーサ310、618、及び電機子234の組立体は、前部保持構造体304と後部保持構造体626との間に固定されてよい。
【0053】
電機子234は、ステータ組立品220(図5)によって与えられる磁気インパルスを回転に変換するように構成することができる。電機子234は、電機子234の回転がロータ組立体230全体を回転させることもできるように、ロータ組立体230に固定することができる。いくつかの実施形態では、電機子234は中心シャフト606に固定されてよく、これにより、電機子234の回転が中心シャフト606に直接伝達され、中心シャフトが当該回転を前部連結要素608及び他の回転要素に伝達する。いくつかの実施形態では、電機子234は、前部中央スペーサ310及び後部中央スペーサ618のうちの少なくとも1つに固定されてよく、当該前部中央スペーサ310及び後部中央スペーサ618は、対応する前部磁気ベアリング組立品620及び/又は後部磁気ベアリング組立品622に接続され得る。前部磁気ベアリング組立品620及び/又は後部磁気ベアリング組立品622は、それぞれの前部保持構造体304又は後部保持構造体626に接続されてもよい。前部保持構造体304は、中心シャフト606及び/又は前部連結要素608のうちの少なくとも1つに接続されてもよく、後部保持構造体626は、中心シャフト606に接続されてもよい。このような実施形態では、電機子234は、一連の相互接続された部品を介して、中心シャフト606及び/又は前部連結要素608に回転を伝達することができる。
【0054】
ロータ組立体230は、後部保持構造体626の後方(例えば、後側、後続等)に配置された相補型プル磁石238を含んでもよい。相補型プル磁石238は、ステータ組立体220(図5)における少なくとも1つの対応するプル磁石228(図2及び図9)と相互作用するように構成することができ、これにより、ステータ組立体220(図5)内のロータ組立体230の軸線方向位置を保持及び/又は補正する。いくつかの実施形態では、相補型プル磁石238は中心シャフト606に固定されてよい。いくつかの実施形態では、相補型プル磁石238は、後部保持構造体626に固定されてよい。いくつかの実施形態では、相補型プル磁石238は、シェル602によってロータ組立品230に固定されてよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、ロータ組立体230は、容易に分解され、再組立されるように構成されてよく、これにより、例えば相補型永久磁石232、相補型スペーサ236、相補型電機子234、相補型プル磁石238などの個々の構成要素が、必要に応じて取り外され、交換され得る。例えば、個々の構成要素は、個々の構成要素が摩耗、破損、又は他の欠陥がある場合に交換されてもよい。いくつかの実施形態では、ロータ組立体230は、ユニットとして交換されるように構成されてよい。例えば、ロータ組立体230をステータ組立体220(図5)から取り外し、交換用ロータ組立体230をその位置に挿入することができる。いくつかの実施形態では、ロータ組立体230は、ユニットとして交換可能であり、再構築可能である。
【0056】
図7は、図6に示すロータ組立品230の一部の分解組立図を示す。前部保持構造体304は、例えばねじ(例えば、管用ねじ、機械ねじなど)、溝、隆起、タブなどの外部接合構造702を含んでよく、当該外部接合構造702は、前部中央スペーサ310内の相補型内部接合構造704と接合するように構成されている。相補型内部接合構造704は、前部保持構造体304の外部接合構造702を受け入れるように構成されてよく、当該外部接合構造702は、前部保持構造体304を前部中央スペーサ310に固定する。
【0057】
前部保持構造体304と前部中央スペーサ310との間の距離は、外部接合構造702と相補型内部接合構造704との間の接触面によって規定されてよい。いくつかの実施形態では、前部保持構造体304と前部中央スペーサ310との間の距離は一定であってもよい(例えば、前部磁気ベアリング組立品620のサイズにかかわらず、ロータ組立品230が組み立てられるたびに距離は同じままである)。いくつかの実施形態において、前部保持構造体304と前部中央スペーサ310との間の距離は、調節可能であってもよい。例えば、外部接合構造702と相補型内部接合構造704との間のねじ切りされた接触面は、前部保持構造体304が前部中央スペーサ310にねじ込まれるか、又は外されるにつれて、前部保持構造体304と前部中央スペーサ310との間の距離が変化することを可能にし得る。
【0058】
後部保持構造体626はまた、外部接合要素706を含んでもよい。いくつかの実施形態では、後部中央スペーサ618は、外部接合要素706と接合するように構成された相補型内部接合要素708を含むことができる。いくつかの実施形態では、外部接合要素706は、前部中央スペーサ310の内部接合構造704と接合するように構成されてもよい。
【0059】
後部保持構造体626と後部中央スペーサ618との間の距離は、外部接合要素706と相補型内部接合要素708との間の接触面によって規定されてもよい。いくつかの実施形態では、後部保持構造体626と後部中央スペーサ618との間の距離は、一定であってもよい(例えば、後部磁気ベアリング組立品622のサイズにかかわらず、ロータ組立品230が組み立てられるたびに距離は同じままである)。いくつかの実施形態では、後部保持構造体626と後部中央スペーサ618との間の距離は、例えばねじ切りされた接触面などで調節可能であってもよい。
【0060】
後部保持構造体626と前部中央スペーサ310との間の距離は、外部接合要素706と相補型内部接合構造704との間の接触面によって規定されてもよい。いくつかの実施形態では、後部保持構造体626と前部中央スペーサ310との間の距離は一定であってもよい(例えば、後部中央スペーサ618及び電機子234と組み合わされた後部磁気ベアリング組立品622のサイズにかかわらず、ロータ組立品230が組み立てられるたびに距離は同じままである)。いくつかの実施形態では、後部保持構造体626と前部中央スペーサ310との間の距離は、例えばねじ切りされた接触面などで調節可能であってもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、後部保持構造体626の外部接合要素706と後部中央スペーサ618の相補型内部接合要素708との間の接合は、フローティング接続(floating
connection)であってもよい。例えば、後部中央スペーサ618は、後部保持構造体626に摺動可能に接続されてよく、これにより、後部中央スペーサ618は後部保持構造体626に対して軸線方向に移動できる。後部保持構造体626と後部中央スペーサ618との間の距離は、後部保持構造体626と前部中央スペーサ310との間の、例えば電機子234及び/又は後部磁気ベアリング組立品622などの中間要素によって規定することができる。
【0062】
図8は、ステータ組立品800及びステータスリーブ802(例えば、ハウジング、アイソレータ、壁等)の分解組立図を示す。ステータスリーブ802は、ポンプハウジングに固定され、ロータ組立品230(図5)とステータ組立品800との間に配置されるように構成される。ロータ組立品230(図5)は、ステータスリーブ802のボア804に挿入されてもよい。いくつかの実施形態において、ボア804は、ロータ組立体230(図5)にすきま嵌め(例えば、わずかに大きい、数パーセント大きい等)を提供するような寸法とすることができる。例えば、ボア804は、当該ボア804の内径がロータ組立体230(図5)の外径よりも約5μm~約5mm大きく、例えば約2mm~約4mm大きくなるような寸法にすることができる。
【0063】
ステータスリーブ802は、当該ステータスリーブ802の内面806(例えば、ロータ組立品230(図5)に対向する面)上に隆起又は窪んだ外観808(例えば、ディンプル、リッジ、ベーン、溝、フィンなど)のパターンを含んでもよい。当該内面806におけるパターンは、ロータ組立体230(図5)とステータスリーブ802の内面806との間に存在し及び/又は流れ得る流体の回転流を少なくとも部分的に(例えば、部分的に、実質的に、完全に等)減少させることができる。回転する組立品内での流体の回転流は、特定の回転速度で調和振動(例えば、オイルホワール、オイルウィップ、流体ウィップなど)を生じさせ得る。補正しない場合、当該調和振動は破壊をもたらし得る。隆起した又は窪んだ外観のパターンは、回転流によって導入される破壊的振動を実質的に低減し得る。
【0064】
ステータスリーブ802は、ステータ組立品220内に少なくとも部分的に配置され得る。ステータスリーブ802は、ステータ組立品220をロータ組立品230(図5)から隔離するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ステータスリーブ802は、流体がステータ組立品220に接触するのを実質的に防止しながら、流体がロータ組立品230(図5)の周りを流れることを可能にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ステータスリーブ802は、ロータ組立品230(図5)との間で故障が発生した場合(例えば、ロータ組立品230(図5)が破損し、ロータ組立品230(図5)が不適切に位置合わせされるなど)に、ステータ組立品220を接触又は破片から保護するように構成されてもよい。ステータスリーブ802は、例えばポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)など)や非鉄金属(例えば、アルミニウム、銅など)などの強固な非鉄材料から形成されてもよい。
いくつかの実施形態では、ステータスリーブ802は、耐食性材料(例えば、ポリマー、アルミニウムなど)から形成されてもよく、又は耐食性コーティング(例えば、ゴムコーティング、ポリマーコーティングなど)を有してもよい。
【0065】
ステータ組立品220は、ステータスリーブ802を受け入れるように構成された開口部812を規定する環状要素の組立品から形成することができる。いくつかの実施形態では、ステータ組立品220の環状要素は、ステータスリーブ802に取り付けられ(例えば、固定され、取り付けられ、等々)てもよい。いくつかの実施形態では、ステータ組立品220の環状要素は、外部本体、ハウジング、又はケーシング(例えば、本体102(図1))に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、ステータ組立品220の環状要素は、ステータ組立品220の他の環状要素に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ステータ組立品220の環状要素は、上述した要素の組み合わせに取り付けることができる。
【0066】
図9は、図8のステータ組立品220の分解組立図を示す。ステータ組立品220の環状要素は、前部磁気ベアリング組立品920、後部磁気ベアリング組立品922、駆動磁石224、前部保持要素312、後部保持構造体926、及びプル磁石228を含んでもよい。前部磁気ベアリング組立品920及び後部磁気ベアリング組立品922は、それぞれ、少なくとも1つの永久環状磁石222を含んでもよい。幾つかの実施形態では、環状要素は、図6及び図7に示すロータ組立体230に関して上述したものと同様に、スペーサを使用して位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、スペーサは、本体102(図2)などの取り付け構造体に一体化されてもよい。
【0067】
図6図8及び図9を参照する。前部磁気ベアリング組立品920及び後部磁気ベアリング組立品922は、ロータ組立品230の前部磁気ベアリング組立品620及び後部磁気ベアリング組立品622と相互作用するように構成することができる。例えば、ステータ組立品220の前部磁気ベアリング組立品920及び後部磁気ベアリング組立品922は、各々の永久磁石222がロータ組立品230の対応する相補型永久磁石232と整列するように位置決め(例えば、間隔を空けて)されてもよい。いくつかの実施形態では、各々の永久磁石222は、永久磁石222の極性(例えば、北極、南極)が、ロータ組立品230の対応する相補型永久磁石232の極性と整合するように配向されてもよく、これにより、永久磁石222と対応する相補型永久磁石232との間の磁界によって反発力が生じる。いくつかの実施形態では、各々の永久磁石222は、永久磁石222の極性がロータ組立品230の対応する相補型永久磁石232の極性と反対になるように配向されてもよく、これにより、永久磁石222と対応する相補型永久磁石232との間の磁界によって吸引力が生じる。いくつかの実施形態では、永久磁石222の一部は、ロータ組立品の対応する相補型永久磁石232と整合した極性を有するように配向されてもよく、他の永久磁石222が、対応する相補型永久磁石232と反対の極性を有するように配向されてもよい。例えば、前部磁気ベアリング組立品920の永久磁石222は、ロータ組立品230の前部磁気ベアリング組立品620の対応する相補型永久磁石232と整合した極性を有するように配向されてもよく、後部磁気ベアリング組立品922の永久磁石222は、後部磁気ベアリング組立品622の対応する相補型永久磁石232と反対の極性を有するように配向されてもよい。別の例では、前部磁気ベアリング組立品920及び後部磁気ベアリング組立品922のそれぞれは、ロータ組立品230の対応する相補型永久磁石232と整合した極性を有して配向された少なくとも1つの永久磁石222と、ロータ組立品230の対応する相補型永久磁石232と反対の極性を有して配向された少なくとも1つの永久磁石222とを含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、前部磁気ベアリング組立品920及び後部磁気ベアリング組立品922の一方又は両方の隣接する永久磁石222は、同じ極性を有して配向されてよく、これにより、隣接する永久磁石222がステータ組立品220内の隣接する永久磁石222間に反発力を生じさせる。いくつかの実施形態では、前部磁気ベアリング組立品920及び後部磁気ベアリング組立品922の一方又は両方の隣接する永久磁石222は、対向する極性を有して配向されてよく、これにより、隣接する永久磁石222がステータ組立品220内の隣接する永久磁石222間に吸引力を生じさせる。
【0069】
駆動磁石組立品224は、ロータ組立品230の電機子234と実質的に整列し、電機子234と相互作用するように構成することができる。例えば、電流を駆動磁石224に供給することができる。駆動磁石224は、電流から磁界を発生させることができ、この磁界は、電機子234に回転力を生じさせ得る。電流は、外部ソース(例えば、発電機、線電力、変圧器、インバータ、モータ制御装置、可変周波数駆動装置など)から生じることがある。いくつかの実施形態では、内部回路(例えば、制御基板、モータ制御装置、速度制御装置など)が、電流を修正してもよい。いくつかの実施形態では、ポンプは、制御装置260を含んでもよく、当該制御装置260は、電流の一部を電力に転用し、当該制御装置260及び/又はポンプの他の構成要素を動作させることができる。いくつかの実施形態では、制御装置260及び相補型プル磁石228のような他の構成要素は、例えば独立した電源を通して、ポンプから別々に給電されてもよい。制御装置260は、電流を駆動磁石224に送る前に、当該電流を修正(例えば、振幅、周波数、電圧、アンペアなどを変化させる)することができる。いくつかの実施形態では、制御装置260は、駆動磁石224に供給されている電流を監視することができる。いくつかの実施形態では、制御装置260は、駆動磁石224に供給されている電流に基づいて、ポンプの他の構成要素を制御してもよい。例えば、制御装置260は、駆動磁石224に供給されているアンペアを監視することができ、駆動磁石224に供給されているアンペアに基づいてプル磁石228に供給されている電流を制御することができる。
【0070】
図10は、ポンプ100のための制御システムの概略図を示す。制御システムは、制御装置260を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御装置260は、ポンプ100と一体化されてもよい。いくつかの実施形態では、制御装置260は、ポンプ100の外部にあってもよい。例えば、制御装置260は、ポート106(図1)を通ってポンプ100内に通過する電気ケーブル1002及び/又は信号ワイヤ1004を介してポンプ100に接続されてもよい。例えば、電気ケーブル1002は、駆動磁石224及び/又はプル磁石228のうちの1つ又は複数に電力を供給することができる。
【0071】
制御装置260は、電機子224及び/又はプル磁石228を流れる電力を制御することができる。例えば、110ボルト交流(VAC)、120VAC、208VAC、240VAC、277VAC、480VACなどの線間電圧電源1006は、制御装置260を通過してもよい。いくつかの実施形態では、線間電圧電源1006は、単相交流、二相交流、又は三相交流であってもよい。制御装置260は、線間電圧電源1006を処理するように構成されてもよい。例えば、制御装置260は、フィルタ1008を含むことができる。フィルタ1008は、出力スパイクなどの、線間電圧電源1006からのノイズをフィルタリングするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ1008は、電圧削減による節電(brown outs)、位相損失、出力スパイクなどの、線間電圧電源1006における問題を検出するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ1008は、問題が検出された場合に電力を中断するように構成されてもよく、これにより、制御装置260及び/又はポンプ100の内部要素が線間電圧電源1006から保護され得る。いくつかの実施形態では、制御装置260は、電力変換装置1010を含むことができる。例えば、電力変換装置1010は、交流電源を直流電源(例えば、整流器)に変換、又は直流電源を交流電源(例えば、インバータ)に変換するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電力変換装置1010は、線間電圧電源1006の電圧及び/又はアンペア数を変化させるように構成されてもよい(例えば、変圧器)。
【0072】
いくつかの実施形態では、制御装置260は、1つ又は複数の駆動部を含むことができ、当該駆動部は、制御装置260を通って、1つ又は複数の駆動部1012を有する電機子224及び/又はプル磁石228に流れる電力を制御するように構成されている。例えば、制御装置260は、電機子224及び/又はプル磁石に流れる電力の周波数を調整するように構成された可変周波数駆動部(VFD)を含むことができる。周波数を調整することにより、制御装置260は、電機子の速度及び/又はプル磁石228によって生成される磁界を制御することができる。いくつかの実施形態では、駆動部1012は、制御装置260からの電力を選択的にオン及びオフに切り替えることによって、電機子224及び/又はプル磁石228への電力を制御することができ、したがって、制御装置260から供給されている電力を低減することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、制御装置260は、電機子224及び/又はプル磁石228のうちの1つへの電力のみを制御することができる。例えば、制御装置260は、電機子224に供給されている電力とは無関係にプル磁石228への電力を制御することによって、ロータ組立品230の軸線方向位置を制御するように構成することができる。制御装置260は、位置センサ320を通してロータ組立体230の軸線方向位置を監視し、それに従ってプル磁石228への電力を制御することができる。電機子224への電力は、独立して制御され且つ監視されてよく、これにより、ポンプの速度、圧力、及び/又は流量がロータ組立品230の軸線方向位置とは無関係に制御され得る。
【0074】
制御装置260は、ユーザインターフェース1014を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース1014は、例えばタッチスクリーン、モニター、スクリーンなどの表示器であってもよい。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース1014は、制御システム、建物管理システム(BMS)、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、サーバ、クラウドなどの遠隔計算装置と通信するように構成された通信モジュールであってもよい
【0075】
制御装置260は、アナログ入力1016及び/又はデジタル入力1018を受信するように構成され得る。例えば、制御装置260は、例えば設定点、プロセスフィードバック、システム要件、システムセンサ読値などのアナログ入力1016を受信するように構成することができる。デジタル入力1018は、システム有効化、ポンプ有効化、初期化、制御有効化、警報、システム安全性(例えば、高圧、高温、低温、低圧、手動キルスイッチ等)等を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アナログ入力は、例えば電圧信号(例えば、0~5VDC、0~10VDCなど)、抵抗信号(例えば、測温抵抗体(RTD)など)、又は電流信号(例えば、0~20ミリアンペア(mA)、4~20mAなど)などの信号であってもよい。
【0076】
制御装置260は、アナログ出力1020及び/又はデジタル出力1022を他の構成要素及び/又は使用者に提供するように構成され得る。例えば、制御装置260は、グラフィックユーザインターフェース(GUI)、スプレッドシート、一続きの光源を介して等、表示装置を介してユーザに提供され得るアナログ出力1020及び/又はデジタル出力1022を供給してもよい。アナログ出力1020及び/又はデジタル出力1022は、電圧信号(例えば、0~10VDC、0~5VDC、10~30VDCなど)又は電流信号(例えば、4~20mA、0~20mAなど)などの信号を介して他の構成要素に提供され得る。いくつかの実施形態では、アナログ出力1020は、モータ速度、ロータ位置、設定点などを含んでもよい。デジタル出力1022は、モータ状況、エラー、警報などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、制御装置260は、センサ読値(例えば、モータ温度、ロータ位置、モータ速度など)などのモータ情報を、ポンプ100内のセンサから受信してもよい。例えば、位置センサ320(図3)は、信号ワイヤ1004を介して直接に、又は制御装置260内の通信インターフェースを介して、ロータ位置を制御装置260に提供することができる。
【0077】
制御装置260はまた、ネットワーク接続部1024を含んでもよい。ネットワーク接続1024は、制御装置260及び/又はユーザインターフェース1014を、予備ポンプ、相補デバイス、制御デバイスなどの追加の制御装置及び/又はシステム装置に接続するように構成され得る。例えば、ポンプ100は、例えばBMSシステム、プラント制御システム、プロセス制御システムなどのシステムレベル制御システムを介して制御されてもよい。制御装置260は、ポンプ100及び/又は制御装置260からの情報を、ネットワーク接続部1024を介してシステムに通信するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク接続部は、例えばRS232(例えば、シリアル)、RS485、RJ45(例えば、イーサネット(登録商標))、RJ11、RJ14、RJ25などの通信ケーブル接続であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、制御装置260は、モータ内の追加の特徴を監視することができる。制御装置260は、温度センサ(例えば、測温抵抗体(RTD)、負の温度係数(NTC)、熱電対など)、位置センサ(例えば、ホール効果、近接性、誘導など)、電流センサ(例えば、変換器、ホール効果など)などのセンサを使用してもよい。制御装置260は、センサ読値を外部ソース(例えば、監視システム、ディスプレイ、警報システム、制御システム等)に中継することができる。いくつかの実施形態では、制御装置260は、読値に基づいて、ポンプ速度の変更、他の構成要素(例えば、プル磁石228など)の動作の変更及び/又はパラメータの変更、警報の生成、ポンプの停止などの処理を実行することができる。
【0079】
ベアリングレスポンプは、摩擦低減により、より高い効率を達成する一方で、その摩擦低減は、摩耗の低減をもたらさないかもしれない。例えば、ベアリングレスポンプは、ロータの軸線方向の動きが増大することを許容するものであり、この動きは、有害な振動をもたらすおそれがある。更に、摩擦を減らすことで達成可能なより高い回転速度は、更なる有害な振動を導入する可能性がある。本開示の実施形態は、ベアリングレスポンプに固有の有害な振動を制御(例えば、低減、実質的に低減、排除など)することができる。有害な振動を減少させることにより、運転寿命の増加、修理のための休止時間の減少、運転費用及び修理費用の低減が可能になる。また、本開示の一部の実施形態は、ポンプが故障した場合や、ポンプの再構築又は修理が必要とされる場合に発生する休止時間の長さを低減し得る。
【0080】
一部の環境では、ポンプは、故障によるポンプ性能低下がシステムへの壊滅的な障害をもたらす可能性のある重要なシステムで使用される。他のシステムでは、故障によるポンプ性能低下は、大きな経済的損失をもたらすことがある。ポンプの動作寿命の延長及び/又は修理が必要とされる休止時間の低減は、ポンプを利用する工程に対する経済的負担の低減をもたらし得る。なぜなら、重要なシステムでの余剰が低減され、高価値システムでの経済的損失が低減及び/又は回避され得るためである。
【0081】
本明細書では、本開示を、特定の例示された実施形態に関して説明してきたが、当業者は、本開示がそのように限定されないことを認識し、理解するであろう。むしろ、例示された実施形態に対する多くの追加、削除、及び修正は、以下に特許請求される開示の範囲から逸脱することなく、その法律的な均等の範囲を含めて行われ得る。さらに、1つの実施形態からの特徴は、本発明者によって意図される開示の範囲内に依然として包含されながら、別の実施形態の特徴と組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10