(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】圧縮機システム
(51)【国際特許分類】
F04C 29/04 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
F04C29/04 D
(21)【出願番号】P 2022077799
(22)【出願日】2022-05-10
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 高貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智夫
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-096043(JP,A)
【文献】特開2019-100322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を圧縮する圧縮機本体を有し、圧縮気体を出力する気体圧縮機と、
前記圧縮気体と排熱回収液とを熱交換する熱交換器を有する排熱回収機と、を備える圧縮機システムであって、
前記気体圧縮機は、
前記気体圧縮機に供給される冷却液の流量を調整する流量調整弁
と、
圧縮気体の吐出温度を検出する第1の温度センサと、
前記流量調整弁の開閉の制御をする制御部を有し、
前記制御部は、
前記第1の温度センサにより検出された吐出温度が、第1の許容吐出空気温度未満の場合に、前記流量調整弁を絞るように制御をし、
前記第1の温度センサにより検出された吐出温度が、第1の許容吐出空気温度より高い温度である第2の許容吐出空気温度以上である場合に、前記流量調整弁を開くように制御をする圧縮機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機システムにおいて、
前記気体圧縮機は、
第1段圧縮機本体と、
第2段圧縮機本体と、
前記第2段圧縮機本体に供給される圧縮空気の吸込温度を検出する第2の温度センサ
と、をさらに有し、
前記流量調整弁は、前記第1段圧縮機本体に供給される冷却液の流量を調整するものであり、
前記第1の温度センサは、前記第1段圧縮機本体から出力された圧縮気体の吐出温度を検出するものであり、
前記制御部は、
前記第2の温度センサにより検出された吸込温度が、許容吸込空気温度以上である場合に、前記流量調整弁を開くように制御をする圧縮機システム。
【請求項3】
請求項
1に記載の圧縮機システムにおいて、
前記気体圧縮機は、
冷却液の温度を検出する第3の温度センサを有し、
前記制御部は、
前記第3の温度センサにより検出された冷却液の温度が、許容冷却液温度未満の場合に、前記流量調整弁を絞るように制御をし、
前記第3の温度センサにより検出された冷却液の温度が、許容冷却液温度以上である場合に、前記流量調整弁を開くように制御をする圧縮機システム。
【請求項4】
請求項1に記載の圧縮機システムにおいて、
前記制御部は、
前記第1の温度センサにより検出された吐出温度が、第1の許容吐出空気温度以上である場合に、前記流量調整弁を開くように制御をし、
前記第1の温度センサにより検出された吐出温度が、第1の許容吐出空気温度より高い温度である第2の許容吐出空気温度未満の場合に、前記流量調整弁を絞るように制御をする圧縮機システム。
【請求項5】
圧縮気体を出力する気体圧縮機と、圧縮気体と排熱回収液とを熱交換する熱交換器を有する排熱回収機と、を備える圧縮機システムの制御方法であって、
圧縮気体の吐出温度が、第1の許容吐出空気温度未満の場合に、気体圧縮機に供給される冷却液の流量を減少させる第1の制御ステップと、
圧縮気体の吐出温度が、第1の許容吐出空気温度より高い温度である第2の許容吐出空気温度以上である場合に、気体圧縮機に供給される冷却液の流量を増加させる第2の制御ステップと、を含む制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法において、
前記気体圧縮機は、第1段圧縮機本体と、第2段圧縮機本体とを有しており、
前記第1の制御ステップは、前記第1段圧縮機本体から出力された圧縮気体の吐出温度が、第1の許容吐出空気未満の場合に、前記第1段圧縮機本体に供給される冷却液の流量を減少させる制御であり、
前記第2の制御ステップは、前記第1段圧縮機本体から出力された圧縮気体の吐出温度が、第2の許容吐出空気温度以上である場合に、前記第1段圧縮機本体に供給される冷却液の流量を増加させる制御であり、さらに、
前記第2段圧縮機本体の吸込温度が、許容吸込空気温度以上である場合に、前記第1段圧縮機本体に供給される冷却液の流量を増加させる第3の制御ステップと、を含む制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載の制御方法において、
気体圧縮機に供給される冷却液の温度が、許容冷却液温度未満の場合に、気体圧縮機に供給される冷却液の流量を減少させる第4の制御ステップと、
気体圧縮機に供給される冷却液の温度が、許容冷却液温度以上である場合に、気体圧縮機に供給される冷却液の流量を増加させる第5の制御ステップと、を含む制御方法。
【請求項8】
請求項5に記載の制御方法において、
圧縮気体の吐出温度が、第1の許容吐出空気温度以上であり、第2の許容吐出空気温度未満の場合に、気体圧縮機に供給される冷却液の流量を減少させる第6の制御ステップと、を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体圧縮機からの排熱を回収する圧縮機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
気体圧縮機で排熱回収を可能にした制御システムが特許文献1には記載されている。この特許文献1には、圧縮気体が通常よりも高温な状態となる警報温度未満を可能な限り維持できるように圧縮機、圧縮気体、潤滑油を冷却しつつ、それら高温熱源からの熱回収を継続することが可能な圧縮機システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、吐出温度に応じて冷却系統を変更させ排熱回収量を向上させる制御システムが記載されていた。特許文献1の技術では、冷却系統を変更させるために複雑な構造となる。また、圧縮機の吐出温度を上昇させて排熱回収量を向上させることについては十分に配慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、簡易的な構造で、圧縮機の吐出温度を上昇させ、排熱回収量を向上させるようにした圧縮機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい一例としては、気体を圧縮する圧縮機本体を有し、圧縮気体を出力する気体圧縮機と、前記圧縮気体と排熱回収液とを熱交換する熱交換器を有する排熱回収機と、を備える圧縮機システムであって、
前記気体圧縮機は、流量調整弁を有し、
前記圧縮気体の温度に応じて、前記流量調整弁により、前記圧縮機本体に供給する冷却液の流量が調整される圧縮機システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易的な構造で、圧縮機の吐出温度を上昇させ、排熱回収量を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例における圧縮機システムの系統図である。
【
図2】制御盤からの指令による圧縮機システムにおける制御のフローチャートである。
【
図3】実施例における圧縮機システムの空気圧縮機を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本実施例における圧縮機システムの系統図である。本実施例では、圧縮機ユニットとして水冷式の無給油式スクリュー圧縮機を適用した例について説明する。
図1に示すように圧縮機システム100は、空気圧縮機の筐体内に設置されている、圧縮機本体21、圧縮機本体22を備える空気圧縮機1と、筐体外の熱交換器31、熱交換器32を備える排熱回収機2とで構成される。
【0011】
図3は、実施例1における圧縮機システムの空気圧縮機1を示す構成図である。空気圧縮機1は、
図3に示すように、圧縮機本体21、圧縮機本体22等の各機器が設置されているベースと、圧縮機本体21、圧縮機本体22等の各機器を覆うようにベース上に設置された金属等の複数のパネルで構成されている箱型のカバー(筐体)を有しており、防音性に優れたものである。
図3では、排熱回収機2の構成は省略しており、排熱回収機2は、空気圧縮機1の筐体の外部に配置される。
【0012】
圧縮機本体21、圧縮機本体22は、図示しない雄ロータ及び雌ロータの一対のスクリューロータを備えている。また、圧縮機本体21、圧縮機本体22は、筐体内に配置されている主電動機18によって、例えば動力伝達機構を介して駆動されるように構成されている。なお、動力は電動機に限るものではなく、内燃機関等であってもよい。
【0013】
圧縮機本体21は、空気流れの上流側に配置されている第1段の圧縮機であり、圧縮機本体22は、第1段の圧縮機本体21に対して空気の流れの下流側に配置されている第2段の圧縮機本体である。
【0014】
本実施例における圧縮機本体21、圧縮機本体22はオイルフリースクリュー圧縮機であるため、油や水といった液体を圧縮作動室に注入する給液式の空気圧縮機と異なり、空気圧縮時に発生する熱によって圧縮機本体21、圧縮機本体22が特に発熱する傾向にある。そして、圧縮した後の空気は高温であるから、これを圧縮空気の需要元が使用するには適さない場合もある。このため、空気圧縮機1では、冷却液が各部に供給されるようになっている。さらに、本実施例の空気圧縮機1は、後述するように、圧縮機本体21、圧縮機本体22が空気を圧縮する際に発生する排熱を回収可能に構成されている。
【0015】
排熱回収機2は、筐体外に配置されている排熱回収用の熱交換器31、熱交換器32を備える。熱交換器31、熱交換器32は、圧縮機本体21、圧縮機本体22が発生する排熱の利用側から送られる排熱回収液としての排熱回収液と、圧縮機本体21、圧縮機本体22から吐出される圧縮空気との熱交換を行うものである。
【0016】
熱交換器31は、第1段の圧縮機本体21と、第2段の圧縮機本体22との間に配置されている中間段排熱回収用熱交換器であり、熱交換器32は、第2段の圧縮機本体22の吐出側(下流側)に配置されている吐出段排熱回収用熱交換器である。
【0017】
また、空気圧縮機1は、筐体内に配置されている冷却用の熱交換器51、52を備える。冷却用の熱交換器51、熱交換器52は、空気圧縮機1の外部から送られる冷却液としての冷却液と圧縮機本体21、圧縮機本体22から吐出される圧縮空気との熱交換を行うものである。
【0018】
冷却用の熱交換器51は、第1段の圧縮機本体21と第2段の圧縮機本体22との間に配置されているインタークーラである(以降、熱交換器51をインタークーラと称す)。
【0019】
冷却用の熱交換器52は、第2段の圧縮機本体22の吐出側に配置されているアフタークーラである(以降、熱交換器52をアフタークーラと称す)。
【0020】
第1段の圧縮機本体21と、第2段の圧縮機本体22との間において、上流側から順に中間段排熱回収用の熱交換器31と、インタークーラ51とが配置されている。また、第2段の圧縮機本体22の吐出側において、上流側から順に吐出段排熱回収用の熱交換器32と、アフタークーラ52とが配置されている。なお、場合によっては、排熱回収用の熱交換器31、熱交換器32と、インタークーラ51、アフタークーラ52との配置順序が逆となる構成であってもよい。
【0021】
第1段の圧縮機本体21、中間段排熱回収用の熱交換器31、インタークーラ51、第2段の圧縮機本体22、吐出段排熱回収用の熱交換器32及びアフタークーラ52は、圧縮対象の空気が流通する空気配管6で接続されている。
【0022】
尚、上記の流通経路はロード運転(負荷運転)時である。アンロード運転(無負荷運転)時においては、放風空気が、圧縮機本体21、熱交換器31、インタークーラ51、圧縮機本体22、熱交換器32を流通後、アンロード運転により逆止弁10が全閉となる為、放風配管4から大気に放出するように構成されている。
【0023】
また、排熱回収用の熱交換器31、熱交換器32で圧縮空気と熱交換する排熱回収液が流通する排熱回収液配管7と、冷却用のインタークーラ51、アフタークーラ52で圧縮空気と熱交換する冷却液が流通する冷却液配管8とが、別々に独立した経路として筐体に配置されている。
【0024】
排熱回収液配管7は、排熱の利用側から循環用ポンプ14の運転により送られる排熱回収液が流入する排熱回収液流入口71から、中間段排熱回収用の熱交換器31及び吐出段排熱回収用の熱交換器32を経て、排熱の利用側に向けて送る排熱回収液が流出する排熱回収液流出口72に接続されている。
【0025】
冷却液配管8は、冷却液流入口80から、第1冷却液配管81と、第2冷却液配管82と、第3冷却液配管83と、第4冷却液配管85とに分岐した後、それぞれが合流して冷却液流出口84に接続するように構成されている。冷却液流入口80は、空気圧縮機1の外部に在る、例えば冷却塔16等から送られる冷却液が流入する入口である。また、冷却液流出口84は、冷却塔16等に向けて送る冷却液が流出する出口である。
【0026】
第1冷却液配管81は、冷却液流入口80からアフタークーラ52を経て冷却液流出口84に接続する。第2冷却液配管82は、冷却液流入口80から、オイルクーラ9、第2段の圧縮機本体22のケーシングに設けられている冷却ジャケットを経て、冷却液流出口84に接続する。第3冷却液配管83は、冷却液流入口80からインタークーラ51を経て冷却液流出口84に接続する。第4冷却液配管85は、第1段の圧縮機本体21のケーシングに設けられている冷却ジャケットを経て冷却液流出口84に接続する。
【0027】
また、
図1に示すように、第1段の圧縮機本体21の上流側の第4冷却液配管85に流量調整弁15を備える。また、第1段の圧縮機本体21の下流の空気配管6に1段吐出空気温度センサ11を備える。また、インタークーラ51と第2段の圧縮機本体22の中間の空気配管6に2段吸込空気温度センサ12を備える。また、冷却液流出口84の上流に冷却液出口温度センサ13を備える。これら温度センサ11、12、13の検出温度に応じて、第1段の圧縮機本体21への冷却液の流量を、流量調整弁15により、調節するように構成されている。
【0028】
オイルクーラ9は、図示は省略するが、圧縮機本体21、圧縮機本体22の軸受部や、動力伝達機構等を潤滑する潤滑油を冷却するための水冷式の熱交換器である。オイルクーラ9で冷却された潤滑油は、圧縮機本体21、圧縮機本体22の軸受部等を潤滑した後、油溜り(図示せず)に貯留される。その後、潤滑油は、オイルポンプ(図示せず)等の搬送機構でオイルクーラ9に導かれて冷却され、この潤滑経路を循環するように構成されている。
【0029】
また、
図3に示すように、空気圧縮機1の筐体内には制御盤17が備えてある。制御盤17は、圧縮機本体21、圧縮機本体22の吐出温度、吸込み温度等の各種温度監視や、各種バルブ等(図示せず)の開閉の指示を出している。
【0030】
制御盤は、マイコンなどのプロセッサーや記憶部を備える制御部としての役割をする。プロセッサーは記憶装置に記憶されたプログラムを読み出し、後述する
図2の処理フローを実行して、流量調整弁15の開閉を制御する。
【0031】
次に、このように構成された圧縮機システム100の動作について説明する。
図1において、空気圧縮機1は、第1段の圧縮機本体21の上流側に配置されている容量調整弁(図示せず)を介して空気を吸い込み、第1段の圧縮機本体21で空気を圧縮する。
【0032】
その後、圧縮された高温空気(例えば約160℃程度)は、中間段排熱回収用の熱交換器31で必要な熱量を交換し、さらにインタークーラ51で冷却される。
【0033】
中間段排熱回収用の熱交換器31には、圧縮された高温空気と排熱回収液とが流れて熱交換が行われ、インタークーラ51には、中間段排熱回収用の熱交換器31で熱交換されて温度が低下した圧縮空気と、冷却液とが流れて熱交換が行われる。
【0034】
ここで、各部に設置された温度センサ11、温度センサ12、温度センサ13において検出された温度に応じて、流量調整弁15により第1段の圧縮機本体21に供給する冷却液の流量を調節することにより、第1段の圧縮機本体21から吐出される圧縮空気をさらに高い温度を保つことで排熱回収量を増加させることが可能となる。
【0035】
次に、インタークーラ51で冷却された空気(例えば約40℃程度)は、さらに圧力を上げるために第2段の圧縮機本体22で圧縮される。その後、圧縮された高温空気(例えば約160℃程度或いはこれよりも更に高温)は、吐出段排熱回収用の熱交換器32で再び必要な熱量を交換し、さらにアフタークーラ52で冷却される。そして、アフタークーラ52で冷却された空気(例えば約40℃程度)は、圧縮空気の需要元に送られる。
【0036】
一方、排熱回収液は、循環用ポンプ14の運転により排熱の利用側から排熱回収液流入口71を介して流入し、排熱回収液配管7を流れるとともに、排熱回収用の熱交換器31、熱交換器32で圧縮空気と熱交換した後、排熱回収液流出口72から排熱の利用側に向けて流出する。
【0037】
図2は、本実施例における圧縮機システム100において、第1段の圧縮機本体21から吐出される圧縮空気を高温に保つ制御のフローチャートである。これら制御フローは制御盤17からの指令によって実施される。
【0038】
気体圧縮機が運転すると制御盤17に電力が供給され、流量調整弁15の制御を開始する(S201)。
【0039】
1段吐出空気温度センサ11により取得した1段吐出空気温度Tdと、定めておいた許容吐出空気温度とを比較する(S202)。1段吐出空気温度Tdが、180℃以上の場合、S207に進み、流量調整弁15を開ける処理へ移行する。
【0040】
ここでは許容吐出空気温度として定めておいた温度を180℃としたが、この温度は、1段吐出空気警報温度-30℃とした。この数値は、あくまでも一例である。ここで、1段吐出空気警報温度は、1段吐出空気温度Tdが警報を必要とするレベルであることを示す異常な温度を意味する。1段吐出空気温度Tdが180℃未満の場合、S203に進む。
【0041】
2段吸込空気温度センサ12により取得した2段吸込空気温度Ts2と、定めておいた許容吸込空気温度とを比較する(S203)。2段吸込空気温度Ts2が40℃以上の場合、S207に進み、流量調整弁15を開ける処理へ移行する。
【0042】
ここでは許容吸込空気温度を40℃としたが、この温度は、2段吸込空気警報温度-5℃とした。この数値は、あくまでも一例である。ここで、2段吸込空気警報温度は、2段吸込空気温度Ts2が警報を必要とするレベルであることを示す異常な温度を意味する。2段吸込空気温度Ts2が40℃未満の場合、S204に進む。
【0043】
冷却液出口温度センサ13により取得した冷却液出口温度Twoと、定めておいた許容冷却液出口温度とを比較する(S204)。冷却液出口温度Twoが40℃以上の場合には、S207に進み、流量調整弁15を開ける処理へ移行する。
【0044】
ここでは許容冷却液出口温度を40℃としたが、この温度は、冷却液出口警報温度-5℃とした。冷却液入口警報温度を基準として、例えば冷却液入口警報温度+5℃として許容冷却液出口温度を定めてもよい。この数値はあくまでも一例である。ここで、冷却液入口警報温度や冷却液出口警報温度は、冷却液の温度が警報を必要とするレベルであることを示す異常な温度を意味する。冷却液出口温度Twoが40℃未満の場合、S205に進む。
【0045】
制御盤17からの指令により、流量調整弁15が絞られ(閉方向)冷却液流量を減少させる(S205)。これに伴って、1段吐出空気温度Tdは上昇する。
【0046】
S205の後に、1段吐出空気温度センサ11により取得した1段吐出空気温度Tdと、定めておいた許容吐出空気温度とを比較する(S206)。1段吐出空気温度Tdが200℃以上の場合、S207に進み、流量調整弁15を開ける処理へ移行する。ここでは定めておいた温度として許容吐出空気温度を200℃としたが、この温度は、1段吐出空気警報温度-10℃とした。この数値はあくまでも例である。1段吐出空気温度Tdが200℃未満の場合、S205に戻り、流量調整弁15が調整され(閉方向)冷却液の流量が少ない状態を維持する。S205とS206において、1段吐出空気温度Tdを、S202での許容吐出空気温度より1段吐出空気警報温度に近づけるまで許容吐出空気温度を高くしている。このように、流量調整弁15を絞っておくことで、排熱回収水の温度上昇量を増加させることができる。
【0047】
S207では、制御盤17からの指令により、流量調整弁15が調整され弁が全開となり、冷却液量を増加させる。流量調整弁が全開のままS208に進む。
【0048】
S208では、制御盤17により流量調整弁が全開のまま、一定時間経過後を確認後、S202にもどり、再び制御フローへ戻る。
【0049】
本実施例では、排熱の利用側から送られる排熱回収水は、例えば温度が70~90℃の高温水である。そして、高温水である排熱回収水は、排熱回収用の熱交換器31、熱交換器32での圧縮空気との熱交換によって、例えば5~10℃程度温度上昇させられて、排熱の利用側に戻される。
【0050】
ここで、本実施例では流量調整弁により高い吐出温度に調整することにより、排熱回収水の温度上昇量を増加させることができる。これにより、排熱回収量を増加させることができる。
【0051】
また、冷却水は、例えば冷却塔16から冷却液流入口80を介して流入して冷却液配管8を流れるとともに、インタークーラ51、アフタークーラ52における圧縮空気のほか各部を冷却した後、冷却液流出口84から冷却塔16に向けて流出する。温度が上昇した冷却水は、冷却塔16で大気と熱交換することによって冷やされる。
【0052】
本実施例の制御フローを実行することにより、第1段の圧縮機本体21に供給する冷却液の流量が減少し、冷却液出口温度が上昇する。これにより、冷却塔16の負荷が増加することを防ぐ為、冷却水出口温度も監視し、規定の温度を超過しないよう冷却液の流量を調整できる。
【0053】
本実施例では、流量調整弁を設けることにより、冷却液を絞り、圧縮機本体からの圧縮気体の吐出温度を上昇させ排熱回収量を上昇させることができる。
【0054】
上記の実施例では、空気圧縮機の筐体の外に、排熱回収機を配置した圧縮機システムの例で説明したが、空気圧縮機の筐体内に、排熱回収機を配置する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 空気圧縮機、2 排熱回収機、11 1段吐出空気温度センサ、12 2段吸込空気温度センサ、13 冷却液出口温度センサ、15 流量調整弁、100 圧縮機システム