(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】換気扇
(51)【国際特許分類】
F24F 7/10 20060101AFI20241122BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20241122BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F24F7/10 101F
F24F13/20 205
H05K7/00 L
(21)【出願番号】P 2022121563
(22)【出願日】2022-07-29
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】澤野 友祐
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 毅
(72)【発明者】
【氏名】永▲崎▼ 大輔
(72)【発明者】
【氏名】古谷 靖明
(72)【発明者】
【氏名】角田 裕磨
(72)【発明者】
【氏名】宮本 和真
(72)【発明者】
【氏名】戸田 吉保
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-162540(JP,U)
【文献】特開2020-180730(JP,A)
【文献】実開昭63-165888(JP,U)
【文献】特開平08-005120(JP,A)
【文献】特開2011-179789(JP,A)
【文献】特開2006-054324(JP,A)
【文献】実開昭59-175932(JP,U)
【文献】特開2006-078129(JP,A)
【文献】国際公開第2021/157070(WO,A1)
【文献】特開2013-231585(JP,A)
【文献】実開平03-100745(JP,U)
【文献】国際公開第2018/069964(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
F24F 13/20
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸込口および排気口が設けられた本体部と、
前記吸込口から前記排気口へ気流を形成する送風機と、
上部に設けられた挿通穴から挿通される外部電源電線が面する第1側板を有するケースと、前記外部電源電線を前記送風機に接続する電源線接続部が下部に設けられた接続端子と、を有し、前記ケースの前記第1側板は前記第1側板に前記接続端子を取り付けるためのねじである突起部を有し、前記本体部の内部に配置される電源接続装置と、
を備
える換気扇であって、
前記ケースの前記第1側板における上部から前記突起部までの間に、前記突起部の先端部より
も突出して前記外部電源電線をガイドするガイド部を設けることを特徴とする換気扇。
【請求項2】
前記電源線接続部は、前記接続端子の下部に配置され、
前記電源線接続部の下側を覆う端子台キャップを備え、
前記ガイド部は、前記端子台キャップの前記第1側板からの突出量よりも、前記第1側板から突出していることを特徴とする請求項
1に記載の換気扇。
【請求項3】
前記ガイド部は、
前記ケースの前記第1側板に対し上側から下側に向かって傾斜する第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部の第1側板に対する傾斜角度は、45度以下であることを特徴とする請求項
2に記載の換気扇。
【請求項4】
前記ガイド部は、
凸の円弧状であり、円弧の半径が前記外部電源電線の直径の1/2以上であることを特徴とする請求項
2に記載の換気扇。
【請求項5】
前記電源接続装置は、
前記ケースの前記第1側板と対向する第2側板を有し、前記接続端子を覆うカバ
ーを備え
ることを特徴とする請求項
1に記載の換気扇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気扇に関する。
【背景技術】
【0002】
換気扇の中には、天井に取付けられ、天井から吸込んだ室内の空気をダクトを通じて室外へ排気するものがある。この種の換気扇は、電源接続装置を有し、電源接続装置を通じて外部電源電線と内部配線とを電気的に接続する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部電源電線の挿入経路上に、部品勘合部の段差、またはねじ等の突起部がある場合、電源接続装置への外部電源電線の接続時に、外部電源電線が突起部に引掛かり、外部電源電線、電源接続装置、または周辺部品に応力が加わることで、周辺部品の損壊、外部電源電線の被覆破れによる漏電、トラッキング現象などの不具合を発生させるといった課題がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、外部電源電線、電源接続装置および周辺部品を損壊させずに、外部電源電線を電源接続装置に接続することが可能な換気扇を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の換気扇は、空気の吸込口および排気口が設けられた本体部と、吸込口から排気口へ気流を形成する送風機と、上部に設けられた挿通穴から挿通される外部電源電線が面する第1側板を有するケースと、外部電源電線を送風機に接続する電源線接続部が下部に設けられた接続端子と、を有し、ケースの第1側板は第1側板に接続端子を取り付けるためのねじである突起部を有し、本体部の内部に配置される電源接続装置と、を備える。本開示の換気扇は、ケースの第1側板における上部から突起部までの間に、突起部の先端部よりも突出して外部電源電線をガイドするガイド部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の換気扇によれば、外部電源電線、電源接続装置および周辺部品を損壊させずに、外部電源電線を電源接続装置に接続することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1にかかる換気扇の構成を示す側面断面図
【
図2】実施の形態1にかかる換気扇の構成を示す他の側面断面図
【
図3】実施の形態1にかかる換気扇の構成を示す下面図
【
図4】実施の形態1にかかる換気扇の電源接続装置の構成を示す斜視図
【
図5】実施の形態1にかかる換気扇の電源接続装置の構成を示す分解斜視図
【
図6】実施の形態1にかかる換気扇の電源接続装置の構成を示す側面断面図
【
図7】実施の形態1にかかる換気扇の電源接続装置の主要部の構成を拡大して示す側面断面図
【
図8】実施の形態2にかかる換気扇の電源接続装置の主要部の構成を拡大して示す側面断面図
【
図9】実施の形態2にかかる換気扇の電源接続装置において、外部電源電線の挿通時の状態を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる換気扇を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる換気扇100の構成を示す側面断面図である。
図2は、実施の形態1にかかる換気扇100の構成を示す他の側面断面図である。
図3は、実施の形態1にかかる換気扇100の構成を示す下面図である。
図3では、換気扇100の化粧グリル12が省略され、端子カバー14が開いている。
図4は、実施の形態1にかかる換気扇100の電源接続装置9の構成を示す斜視図である。
図5は、実施の形態1にかかる換気扇100の電源接続装置9の構成を示す分解斜視図である。
図6は、実施の形態1にかかる換気扇100の電源接続装置9の構成を示す側面断面図である。
図7は、実施の形態1にかかる換気扇100の電源接続装置9の主要部の構成を拡大して示す側面断面図である。
【0011】
図1から
図3に示すように、換気扇100は、ダクト用の換気扇である。換気扇100は、天井33に形成された開口34を通じて天井裏に配置され、屋外に通じるダクト35に接続され、室内の空気を換気する。換気扇100は、本体1と、送風機6と、ダクト接続枠5と、ファンケーシング7と、電源接続装置9と、化粧グリル12と、を備える。本体1は直方体状の外形を有する。本体1内に、送風機6と、ファンケーシング7と、電源接続装置9とが組み込まれている。本体1の中央に送風機6が配置されている。ファンケーシング7は、吸込口2を有し、送風機6を収納する。送風機6は、室内側の下面の吸込口2から側面のダクト接続枠5の排気口30に向かう排気流を形成する。ダクト接続枠5の排気口30は、ダクト35に接続されている。本体1、ファンケーシング7、およびダクト接続枠5を含めて本体部と称する。
【0012】
送風機6は、モータ10と、モータ10に取付けられた遠心式のファン11と、を備える。モータ10は、本体1の天板17に取り付けられている。モータ10は、ファン11を駆動する。本体1の下側には、外向きに張り出すフランジ3が形成されており、フランジ3を介して本体1が建物の天井33に取付けられる。本体1の一側面には、図示しない吹出口を備えた接続部4が形成されている。接続部4の上下方向の移動によってダクト接続枠5が係脱される。意匠部品としての化粧グリル12は、本体1に取付けるためのスプリング13を備えている。スプリング13をファンケーシング7に具備されているスプリング固定部8に引掛けることにより、化粧グリル12が本体1に固定される。
【0013】
電源接続装置9とモータ10とは、不図示のモータ電線により電気的に接続されている。
図4~
図7に示すように、電源接続装置9は、電源線接続部15を含む接続端子19と、接続端子19を取付けるケース20と、接続端子19を覆うカバー21と、を備える。
図1、
図2に示すように、電源接続装置9は、端子カバー14によって下部が覆われることで風路部と隔離されており、埃、湿気の侵入が抑制されている。外部電源電線16を電源接続装置9に接続する電源線接続部15は、端子カバー14の近傍に配置され、本体1を建物の天井33に取付けた後に、端子カバー14を開くことで確認可能である。外部電源電線16は、本体1の天板17側に設けられた挿入口としての開口部17aから挿入され、電源接続装置9の電源線接続部15に接続される。
【0014】
外部電源電線16を通じて供給された電力が電源接続装置9を介してモータ電線からモータ10に流れることで、電気エネルギーがモータ10のシャフトの回転運動に変換される。モータ10のシャフトの回転によってファン11が回転し、ファンケーシング7によって形成された風路内に空気の流れが形成される。
【0015】
前述したように、電源接続装置9は、接続端子19と、ケース20と、カバー21と、で構成されている。接続端子19は、
図2、
図4~
図7に示すように、ねじ22でケース20に取付けられている。電源接続装置9のケース20は、本体1の天板17の開口部17aの近傍に取付けられている。ケース20の第1側板20aの上部から突出するようにフランジ部20bが形成され、フランジ部20bに、外部電源電線16が挿通される挿通穴18が設けられている。外部電源電線16は、本体1の天板17の開口部17a、ケース20の挿通穴18を挿通され、ケース20の第1側板20aの近傍を通り、電源接続装置9の下部まで挿入され、外部電源電線16の先を上向きにして電源線接続部15に接続される。すなわち、外部電源電線16は、
図2、
図7に示すように、本体1の下側の付近でおよそ180度逆向きに屈曲され、電源接続装置9の下面側の開口部より電源線接続部15に接続される。このように構成することで、外部電源電線16の電源線接続部15への接続作業を室内側から実施することが可能になる。なお、外部電源電線16が挿通される挿通穴18を、電源接続装置9に設けるのではなく、本体1に設けてもよい。
【0016】
図7に示すように、電源接続装置9のケース20の第1側板20aは、接続端子19の側面19aを覆っている。第1側板20aには、接続端子19がねじ22で取付けられている。カバー21は、側面19aと対向する側面19bを覆う第2側板21aを有する。第2側板21aは第1側板20aと対向する。接続端子19の天面19cと、側面19aおよび側面19bと直交する側面19dおよび側面(不図示)は、ケース20とカバー21との重複部により覆われる。接続端子19は、下部に電源線接続部15を有する。
【0017】
図7に示すように、外部電源電線16は、前述したように、本体1の天板17の開口部17a、ケース20の挿通穴18を挿通された後、ケース20の第1側板20aの近傍を通り、電源接続装置9の下部まで挿入され、外部電源電線16の先を上向きにして電源線接続部15に接続される。
【0018】
また、
図7に示すように、電源接続装置9の下面部には、ケース20とカバー21の下面部のすきまを塞ぐための端子台キャップ31が取付けられている。端子台キャップ31は難燃樹脂製で、ケース20の第1側板20aの外側の下面側を覆ってはめ込まれ、下面側からカバー21に挟まれて固定される。また、端子台キャップ31においては、接続端子19の電源線接続部15に対応する位置に穴31bが設けられ、穴31bに外部電源電線16が挿通される。
【0019】
端子台キャップ31は、樹脂製であり、ケース20とカバー21とに密着し、ケース20とカバー21との下面部のすきまを塞ぐので、電源接続装置9の内部への埃の侵入を抑制することができる。また、電源線接続部15に対応する位置のみに穴31bが設けられているので、外部電源電線16の挿入時に電源線接続部15以外の箇所を外部電源電線16の先端の銅線によって傷つけるのを防止することができる。
【0020】
電源接続装置9のケース20の第1側板20aからねじ22の先端が突出し、突起部が形成される。また、電源接続装置9の下部側のケース20とカバー21との重複部は、端子台キャップ31で覆われており、電源接続装置9のケース20の第1側板20aの下部付近には端子台キャップ31の端面によって端面突起部31aが形成される。ねじ22の先端の突起部および端子台キャップ31の端面突起部31aは、角部のRが外部電源電線16の直径の1/4以下の尖った形状で形成される。
【0021】
実施の形態1においては、電源接続装置9のケース20の第1側板20aには、ねじ22の先端の突起部よりも上部側にガイド部23が設けられる。すなわち、外部電源電線16の挿入経路における挿入口としての開口部17aから突起部としてのねじ22の先端までの間に、突起部としてのねじ22の先端より突出して外部電源電線16をガイドするガイド部23が設けられている。ガイド部23は、上側から下側に向かってケース20の第1側板20aから外側の外部電源電線16側へ傾斜する、第1傾斜部としての上側傾斜面231と、下側から上側に向かってケース20の第1側板20aから外側の外部電源電線16側へ傾斜する下側傾斜面233と、上側傾斜面231と下側傾斜面233との交差部を滑らかにつなぐ角部曲面232と、を有する。上側傾斜面231の傾斜角度は、第1側板20aから45度以下の傾きで形成される。角部曲面232は、角部の半径であるRが任意の曲率の曲面で形成される。
【0022】
ガイド部23は、
図4に示すように、水平方向に同一の断面形状であり、端子台キャップ31の端面突起部31aよりも広い幅で設けられる。
【0023】
ケース20は板金加工により形成され、ガイド部23は、ケース20と一体の押出成形で形成される。押出成形とすることで、ガイド部23を滑らかな曲面で形成することができる。
【0024】
ケース20の第1側板20aから外部電源電線16側へのガイド部23の突出量は、ねじ22の先端の突起部の第1側板20aからの突出量よりも大きくなるように形成される。また、ケース20の第1側板20aから外部電源電線16側へのガイド部23の突出量は、端子台キャップ31の端面突起部31aの第1側板20aからの突出量よりも大きくなるように形成される。
【0025】
ガイド部23を有さない場合、外部電源電線16の挿入時に、ねじ22の先端の突起部に外部電源電線16が引掛かり、外部電源電線16の被覆が破れてしまう可能性がある。また、外部電源電線16の挿入時に、外部電源電線16が端子台キャップ31に引掛かり、外部電源電線16の挿入性が悪化したり、端子台キャップ31が破損する問題がある。
【0026】
実施の形態1では、ねじ22の突出高さおよび端子台キャップ31の突出高さよりも、突出高さが高いガイド部23がケース20に設けられている。このため、外部電源電線16の接続時に、ねじ22および端子台キャップ31に干渉することなく、外部電源電線16を電源線接続部15に接続できる。したがって、ねじ22の損壊または外部電源電線16の被覆破れによる漏電、トラッキング現象などの不具合を抑制することが可能である。また、上側傾斜面231の傾斜角度を、第1側板20aから45度以下の傾きで形成しているので、外部電源電線16の挿入時に外部電源電線16が引掛かかることなく滑らかに挿入することができる。
【0027】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2にかかる換気扇の電源接続装置の主要部の構成を拡大して示す側面断面図である。
図9は、実施の形態2にかかる換気扇の電源接続装置において、外部電源電線の挿通時の状態を示す側面断面図である。実施の形態2においては、ガイド部24が曲面で形成されている。ガイド部24は、凸の円弧状であり、円弧の半径であるRが外部電源電線16の直径の1/2以上である。
図9に示すように、中心の銅線16aを剥いた状態で外部電源電線16を挿入した場合でも、銅線16aがガイド部24の曲面に沿って挿入され、被覆外周部がガイド部24の曲面部に接するので、被覆を傷つけることなく挿入することができる。
【0028】
なお、上記の説明においては、ダクト用換気扇について述べたが、その他の送風機、換気扇、空調機器にも本開示を適用可能である。
【0029】
以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 本体、2 吸込口、3 フランジ、4 接続部、5 ダクト接続枠、6 送風機、7 ファンケーシング、8 スプリング固定部、9 電源接続装置、10 モータ、11 ファン、12 化粧グリル、13 スプリング、14 端子カバー、15 電源線接続部、16 外部電源電線、16a 銅線、17 天板、17a 開口部、18 挿通穴、19 接続端子、19a,19b,19d 側面、19c 天面、20 ケース、20a 第1側板、20b フランジ部、21 カバー、21a 第2側板、22 ねじ、23,24 ガイド部、30 排気口、31 端子台キャップ、31a 端面突起部、31b 穴、33 天井、34 開口、35 ダクト、100 換気扇、231 上側傾斜面、232 角部曲面、233 下側傾斜面。