(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/06 20120101AFI20241122BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20241122BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20241122BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B60W40/06
B60W30/10
B60W60/00
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2022128959
(22)【出願日】2022-08-12
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】井上 大地
(72)【発明者】
【氏名】田村 祥
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084137(JP,A)
【文献】特開2020-057146(JP,A)
【文献】国際公開第2021/065559(WO,A1)
【文献】特開2019-156171(JP,A)
【文献】特開2021-149321(JP,A)
【文献】特開2022-039951(JP,A)
【文献】特開2018-200501(JP,A)
【文献】特開2004-206275(JP,A)
【文献】特開2021-146767(JP,A)
【文献】国際公開第2022/157906(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の走行車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識する第1認識部と、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識する第2認識部と、
前記第1認識部と前記第2認識部との認識結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行する運転制御部と、を備え、
前記運転制御部は、前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1認識部により認識された前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記前方走行車両は、前記自車両の走行車線上を走行する第1他車両と、前記走行車線の隣接車線を走行する第2他車両とを含む、
車両制御装置。
【請求項2】
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の走行車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識する第1認識部と、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識する第2認識部と、
前記第1認識部と前記第2認識部との認識結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行する運転制御部と、を備え、
前記運転制御部は、前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1認識部により認識された前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記走行位置情報は、走行軌跡を含み、
前記運転制御部は、前記第1区画線と前記前方走行車両の走行軌跡とが合致する場合に、第2運転制御を実行する、
車両制御装置。
【請求項3】
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の走行車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識する第1認識部と、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識する第2認識部と、
前記第1認識部と前記第2認識部との認識結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行する運転制御部と、を備え、
前記運転制御部は、前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1認識部により認識された前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記運転制御部は、前記第1認識部により認識された前記自車両の走行車線を区画する2つの第1区画線のうちの一方と、前記地図情報から認識された前記自車両の走行車線を区画する2つの第2区画線のうちの一方とを用いて合致するか否かを判定する、
車両制御装置。
【請求項4】
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の走行車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識する第1認識部と、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識する第2認識部と、
前記第1認識部と前記第2認識部との認識結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行する運転制御部と、を備え、
前記運転制御部は、前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1認識部により認識された前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記運転制御部は、前記第2運転制御を実行した後に、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致した場合に、前記第2運転制御を実行してから所定期間が経過または所定距離を走行するまで、前記第2運転制御を継続する、
車両制御装置。
【請求項5】
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の走行車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識する第1認識部と、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識する第2認識部と、
前記第1認識部と前記第2認識部との認識結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行する運転制御部と、を備え、
前記運転制御部は、前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1認識部により認識された前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記運転制御部は、前記第2運転制御を実行してから所定期間が経過または所定距離を走行した後に、前記第2運転制御を終了する、
車両制御装置。
【請求項6】
前記走行位置情報は、走行軌跡を含み、
前記運転制御部は、前記第1他車両と前記第2他車両のそれぞれの走行軌跡を取得し、取得したそれぞれの走行軌跡の形状と前記第1区画線の形状とが合致する場合に、前記第2運転制御を実行する、
請求項
1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記運転制御部は、前記第1認識部により所定期間内に前記第1他車両および前記第2他車両が認識された場合に、前記第2運転制御を実行する、
請求項
1に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記運転制御部は、前記自車両または前記自車両の利用者が、前記運転制御の実行する権限を有する場合に、前記第1運転制御および前記第2運転制御を実行する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項9】
コンピュータが、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識し、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識し、
認識した結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行し、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記前方走行車両は、前記自車両の走行車線上を走行する第1他車両と、前記走行車線の隣接車線を走行する第2他車両とを含む、
車両制御方法。
【請求項10】
コンピュータが、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識し、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識し、
認識した結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行し、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記走行位置情報は、走行軌跡を含み、
前記第1区画線と前記前方走行車両の走行軌跡とが合致する場合に、第2運転制御を実行する、
車両制御方法。
【請求項11】
コンピュータが、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識し、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識し、
認識した結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行し、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記検知デバイスの出力に基づいて認識された前記自車両の走行車線を区画する2つの第1区画線のうちの一方と、前記地図情報から認識された前記自車両の走行車線を区画する2つの第2区画線のうちの一方とを用いて合致するか否かを判定する、
車両制御方法。
【請求項12】
コンピュータが、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識し、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識し、
認識した結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行し、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記第2運転制御を実行した後に、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致した場合に、前記第2運転制御を実行してから所定期間が経過または所定距離を走行するまで、前記第2運転制御を継続する、
車両制御方法。
【請求項13】
コンピュータが、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識し、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識し、
認識した結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行し、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行
し、
前記第2運転制御を実行してから所定期間が経過または所定距離を走行した後に、前記第2運転制御を終了する、
車両制御方法。
【請求項14】
コンピュータに、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識させ、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識させ、
認識された結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行させ、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行させ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行さ
せ、
前記前方走行車両は、前記自車両の走行車線上を走行する第1他車両と、前記走行車線の隣接車線を走行する第2他車両とを含む、
プログラム。
【請求項15】
コンピュータに、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識させ、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識させ、
認識された結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行させ、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行させ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行さ
せ、
前記走行位置情報は、走行軌跡を含み、
前記第1区画線と前記前方走行車両の走行軌跡とが合致する場合に、第2運転制御を実行させる、
プログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識させ、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識させ、
認識された結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行させ、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行させ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行さ
せ、
前記検知デバイスの出力に基づいて認識された前記自車両の走行車線を区画する2つの第1区画線のうちの一方と、前記地図情報から認識された前記自車両の走行車線を区画する2つの第2区画線のうちの一方とを用いて合致するか否かを判定させる、
プログラム。
【請求項17】
コンピュータに、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識させ、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識させ、
認識された結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行させ、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行させ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行さ
せ、
前記第2運転制御を実行した後に、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致した場合に、前記第2運転制御を実行してから所定期間が経過または所定距離を走行するまで、前記第2運転制御を継続させる、
プログラム。
【請求項18】
コンピュータに、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識させ、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識させ、
認識された結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行させ、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行させ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行さ
せ、
前記第2運転制御を実行してから所定期間が経過または所定距離を走行した後に、前記第2運転制御を終了させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて自動運転技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。これに関連して、物標位置データから自車両の左右に存在する複数の走路境界のそれぞれに優先度を設定し、優先度の高い走路境界の物標位置データと、地図情報に含まれる物標位置情報とを照合して自車両の自己位置を推定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動運転技術においては、カメラ等により車両周辺の認識精度、地図情報の精度や更新タイミング等によっては、走行車線を区画する道路区画線を適切に認識できずに自動運転が継続できないといった課題があった。
【0005】
本発明の態様は、上記課題の解決のため、車両周辺の認識結果に応じて、より適切な運転制御を実行することができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとしたものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両制御装置は、自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の走行車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識する第1認識部と、前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識する第2認識部と、前記第1認識部と前記第2認識部との認識結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行する運転制御部と、を備え、前記運転制御部は、前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1認識部により認識された前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行する、車両制御装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記前方走行車両は、前記自車両の走行車線上を走行する第1他車両と、前記走行車線の隣接車線を走行する第2他車両とを含むものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記走行位置情報は、走行軌跡を含み、前記運転制御部は、前記第1他車両と前記第2他車両のそれぞれの走行軌跡を取得し、取得したそれぞれの走行軌跡の形状と前記第1区画線の形状とが合致する場合に、前記第2運転制御を実行するものである。
【0009】
(4):上記(1)の態様において、前記走行位置情報は、走行軌跡を含み、前記運転制御部は、前記第1区画線と前記前方走行車両の走行軌跡とが合致する場合に、第2運転制御を実行するものである。
【0010】
(5):上記(2)の態様において、前記運転制御部は、前記第1認識部により所定期間内に前記第1他車両および前記第2他車両が認識された場合に、前記第2運転制御を実行するものである。
【0011】
(6):上記(1)の態様において、前記運転制御部は、前記第1認識部により認識された前記自車両の走行車線を区画する2つの第1区画線のうちの一方と、前記地図情報から認識された前記自車両の走行車線を区画する2つの第2区画線のうちの一方とを用いて合致するか否かを判定するものである。
【0012】
(7):上記(1)の態様において、前記運転制御部は、前記第2運転制御を実行した後に、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致した場合に、前記第2運転制御を実行してから所定期間が経過または所定距離を走行するまで、前記第2運転制御を継続するものである。
【0013】
(8):上記(1)の態様において、前記運転制御部は、前記第2運転制御を実行してから所定期間が経過または所定距離を走行した後に、前記第2運転制御を終了するものである。
【0014】
(9):上記(1)の態様において、前記運転制御部は、前記自車両または前記自車両の利用者が、前記運転制御の実行する権限を有する場合に、前記第1運転制御および前記第2運転制御を実行するものである。
【0015】
(10):この発明の一態様に係る車両制御方法は、コンピュータが、自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識し、前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識し、認識した結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行し、前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行する、車両制御方法である。
【0016】
(11):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識させ、前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識させ、認識された結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行させ、前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行させ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
上記(1)~(11)の態様によれば、車両周辺の認識結果に応じて、より適切な運転制御を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る車両制御装置を含む車両システム1の構成図である。
【
図2】第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。
【
図3】第1の場面における運転制御について説明するための図である。
【
図4】第2の場面における運転制御について説明するための図である。
【
図5】カメラ区画線が地図区画線により区画された車線内に存在する場合について説明するための図である。
【
図6】カメラ区画線CL1、CL2のうち一方が分岐車線L3内に存在する場合について説明するための図である。
【
図7】第3の場面における運転制御について説明するための図である。
【
図8】カメラ区画線と地図区画線とが成す角度に基づいて実行する運転制御を決定することについて説明するための図である。
【
図9】第1の実施例における運転制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施例における運転制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】第1制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】第2制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】第2制御処理の変形例の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】第3制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下では、一例として、車両制御装置が自動運転車両に適用された実施形態について説明する。自動運転とは、例えば、自動的に車両の操舵または速度のうち、一方または双方を制御して運転制御を実行することである。上述した運転制御には、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control System)やTJP(Traffic Jam Pilot)、LKAS(Lane Keeping Assistance System)、ALC(Automated Lane Change)、CMBS(Collision Mitigation Brake System)等の運転制御が含まれてもよい。また、自動運転車両は、車両の利用者(例えば、乗員)の手動操作による運転制御(いわゆる手動運転)が実行されてもよい。また、以下では、左側通行の法規が適用される場合について説明するが、右側通行の法規が適用される場合、左右を逆に読み替えればよい。
【0020】
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御装置を含む車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池等のバッテリ(蓄電池)の放電電力を使用して動作する。
【0021】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転操作子80と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。カメラ10と、レーダ装置12と、LIDER14と、物体認識装置16とを組み合わせたものが「検知デバイスDD」の一例である。HMI30は、「出力装置」の一例である。自動運転制御装置100は、「運転制御部」の一例である。
【0022】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面、車体の前頭部等に取り付けられる。後方を撮像する場合、カメラ10は、リアウインドシールド上部やバックドア等に取り付けられる。側方を撮像する場合、カメラ10は、ドアミラー等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0023】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、周辺の物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0024】
LIDAR14は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0025】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度等を認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。また、物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。その場合、車両システム1(検知デバイスDD)の構成から物体認識装置16が省略されてもよい。
【0026】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワークを利用して、例えば、自車両Mの周辺に存在する他車両、自車両Mを利用する利用者の端末装置、或いは管理サーバSV等の各種サーバ装置と通信する。
【0027】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を出力すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30には、例えば、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キー、マイク等が含まれる。
【0028】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、ヨーレート(例えば、自車両Mの重心点を通る鉛直軸回りの回転角速度)を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。また、車両センサ40は、車両の位置を検出する位置センサが設けられていてもよい。位置センサは、「位置計測部」の一例である。位置センサは、例えば、GPS(Global Positioning System)装置から位置情報(経度・緯度情報)を取得するセンサである。また、位置センサは、ナビゲーション装置50のGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51を用いて位置情報を取得するセンサであってもよい。車両センサ40は、位置センサにおける所定時間における位置情報の差分(すなわち距離)から自車両Mの速度を導出してもよい。車両センサ40により検出した結果は、自動運転制御装置100に出力される。
【0029】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キー等を含む。GNSS受信機51は、車両センサ40に設けられてもよい。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、POI(Point Of Interest)情報等を含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。ナビゲーション装置50は、決定した地図上経路を、MPU60に出力する。
【0030】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0031】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線数、道路区画線(以下、区画線と称する)の種類、車線の中央の情報あるいは道路境界の情報等を含んでいる。第2地図情報62には、道路境界が、車両が通過(横断、接触も含む)不可能な構造物を含む境界か否かの情報を含んでいてもよい。構造物とは、例えば、ガードレール、縁石、中央分離帯、フェンス等である。通過不可能とは、通常起こり得ないような車両の振動を許容するのであれば通過できる程度の低い段差が存在することを含んでもよい。また、第2地図情報62には、道路形状情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、駐車場情報、電話番号情報等が含まれてよい。道路形状情報とは、例えば、道路の曲率半径(或いは曲率)、幅員、勾配等である。第2地図情報62は、通信装置20が外部装置と通信することにより、随時、アップデート(更新)されてよい。第1地図情報54および第2地図情報62は、地図情報として一体に設けられていてもよい。また、地図情報は、記憶部190に記憶されていてもよい。
【0032】
運転操作子80は、例えば、ステアリングホイールと、アクセルペダルと、ブレーキペダルとを備える。また、運転操作子80は、シフトレバー、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含んでもよい。運転操作子80の各操作子には、例えば、乗員による操作子の操作量あるいは操作の有無を検出する操作検出部が取り付けられている。操作検出部は、例えば、ステアリングホイールの操舵角や操舵トルク、アクセルペダルやブレーキペダルの踏込量等を検出する。そして、操作検出部は、検出結果を自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一方または双方に出力する。
【0033】
自動運転制御装置100は、自車両Mに対して自動運転に属する各種運転制御を実行する。自動運転制御装置100は、例えば、実行可否判定部110と、第1制御部120と、第2制御部160と、HMI制御部180と、記憶部190とを備える。実行可否判定部110と、第1制御部120と、第2制御部160と、HMI制御部180とは、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。上述のプログラムは、予め自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM、メモリカード等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置やカードスロット等に装着されることで自動運転制御装置100の記憶装置にインストールされてもよい。
【0034】
記憶部190は、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。記憶部190には、例えば、権限情報192、実施形態における各種情報、プログラム等が格納される。権限情報192には、例えば、自車両Mまたは自車両Mの乗員(例えば、運転者)が本実施形態における運転制御(例えば、第1制御部120、第2制御部160における制御)の実行を許可されているか否かを示す情報が格納される。また、権限情報には、運転制御が実行可能な期間(例えば、2022年12月31まで)や回数(残り150回)が格納されてよい。なお、回数とは、例えば、自車両Mの作動が開始(イグニッションオン)してから終了(イグニッションオフ)するまでを1回としたときの回数である。
【0035】
また、記憶部190には、地図情報(例えば、第1地図情報54および第2地図情報62)が格納されていてもよい。
【0036】
実行可否判定部110は、自車両Mまたは乗員が、本実施形態における運転制御を実行する権限(以下、実行権限と称する)を有しているか否かを判定し、実行権限を有する場合に第1制御部120および第2制御部160等における運転制御の実行を許可し、実行権限を有していない場合に上述の運転制御の実行を禁止する。なお、実行権限の有無については、例えば、管理サーバSVで管理され、事前登録等により利用許諾を得ることで、課金額等に応じた所定期間または所定回数の実行権限が与えられる。
【0037】
ここで、実行可否判定について具体的に説明する。例えば、実行可否判定部110は、自車両Mを識別する識別情報または乗員を識別する識別情報のうち一方または双方を取得する。この場合、実行可否判定部110は、予め記憶部190に記憶された自車両Mの識別情報を取得してもよく、HMI30が乗員から識別情報の入力を受け付けることで取得してもよい。この場合、実行可否判定部110は、HMI制御部180に乗員の識別情報の入力を促す情報(画像、音声)をHMI30から出力させてもよい。
【0038】
実行可否判定部110は、識別情報を取得した場合に、通信装置20を介して、実施形態における運転制御の使用を管理する管理サーバSVに送信して実行権限の問い合わせを行う。管理サーバSVは、自車両Mから送信された識別情報を受信し、受信した識別情報に対応付けられた運転制御の実行権限情報を取得し、取得した実行権限情報を自車両Mに送信する。実行可否判定部110は、管理サーバSVにより送信された実行権限情報を受信し、自車両Mまたは乗員の少なくとも一方が実施形態における運転制御の実行権限を有する場合には、後述する第1制御部120および第2制御部160による運転制御の実行を許可し、実行権限を有していない場合には運転制御の実行を禁止する。
【0039】
なお、実行可否判定部110は、自車両Mおよび乗員の両方に実行権限がない場合には、HMI制御部180を介して管理サーバSVへの事前登録(課金)等が必要であることをHMI30から出力させて乗員に通知させてもよい。また、実行可否判定部110は、HMI30から直接管理サーバSVへの登録手続きができるようなインタフェースをHMI制御部180に提供させてもよい。また、実行可否判定部110は、自車両Mおよび乗員の両方が実行権限を有する場合に後述する全ての運転制御の実行を許可し、一方のみの実行権限を有する場合には、実行可能な運転制御の種類を制限してもよい。
【0040】
また、実行可否判定部110は、自車両Mの作動時(例えば、イグニッションオン状態となったとき)に、管理サーバSVに実行権限を有するか否かの判定を行い、管理サーバSVから取得した実行可否情報を権限情報192として記憶部190に記憶させてもよい。これにより、実行可否判定部110は、自車両Mが作動するごとに管理サーバSVに問い合わせする必要がなく、記憶部190に格納された権限情報192を参照することで、自車両Mが運転制御を実行できるか否かを容易に判定することができる。以下の説明では、実行可否判定部110により、自車両Mまたは乗員Mは、実施形態の運転制御の実行権限を有していると判定されたものとして説明する。
【0041】
図2は、第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。行動計画生成部140と、第2制御部160とは、「運転制御部」の一例である。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを平行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示等がある)に基づく認識とが平行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。また、第1制御部120は、例えば、MPU60やHMI制御部180等からの指示に基づいて自車両Mの自動運転に関する制御を実行する。
【0042】
認識部130は、検知デバイスDDの認識結果(カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14から物体認識装置16を介して入力された情報)に基づいて、自車両Mの周辺状況を認識する。例えば、認識部130は、自車両Mの周辺に存在する物体の位置、速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、例えば、物体が他車両等の移動体である場合に、移動体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば、他車両が車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0043】
また、認識部130は、例えば、第1認識部132と、第2認識部134とを備える。これらの機能の詳細については、後述する。
【0044】
行動計画生成部140は、自動運転により自車両Mを走行させる行動計画を生成する。例えば、行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に認識部130による認識結果または地図情報から取得された自車両Mの現在位置に基づく周辺の道路形状等に基づいて、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自車両Mが自動的に(運転者の操作に依らずに)将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0045】
行動計画生成部140は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。イベントには、例えば、自車両Mを一定の速度で同じ車線を走行させる定速走行イベント、自車両Mの前方の所定距離以内(例えば100[m]以内)に存在し、自車両Mに最も近い他車両に自車両Mを追従させる追従走行イベント、自車両Mを自車線から隣接車線へと車線変更させる車線変更イベント、道路の分岐地点で自車両Mを目的地側の車線に分岐させる分岐イベント、合流地点で自車両Mを本線に合流させる合流イベント、自動運転を終了して手動運転に切り替えるためのテイクオーバーイベント等が含まれる。また、イベントには、例えば、自車両Mを一旦隣接車線に車線変更させて先行車両を隣接車線において追い越してから再び元の車線へと車線変更させる追い越しイベント、自車両Mの前方に存在する障害物を回避するために自車両Mに制動および操舵の少なくとも一方を行わせる回避イベント等が含まれてよい。
【0046】
また、行動計画生成部140は、例えば、自車両Mの走行時に認識された自車両Mの周辺状況に応じて、現在の区間に対して既に決定したイベントを他のイベントに変更したり、現在の区間に対して新たなイベントを設定したりしてよい。また、行動計画生成部140は、HMI30への乗員の操作に応じて、現在の区間に対して既に設定したイベントを他のイベントに変更したり、現在の区間に対して新たなイベントを設定したりしてよい。行動計画生成部140は、設定したイベントに応じた目標軌道を生成する。
【0047】
また、行動計画生成部140は、例えば、判定部142と、実行制御部144とを備える。これらの機能の詳細については、後述する。
【0048】
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0049】
第2制御部160は、例えば、目標軌道取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。目標軌道取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率半径(或いは曲率)に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0050】
図1に戻り、HMI制御部180は、HMI30により、乗員に所定の情報を通知する。所定の情報には、例えば、自車両Mの状態に関する情報や運転制御に関する情報等の自車両Mの走行に関連のある情報が含まれる。自車両Mの状態に関する情報には、例えば、自車両Mの速度、エンジン回転数、シフト位置等が含まれる。また、運転制御に関する情報には、例えば、自動運転による運転制御の実行の有無や、自動運転を開始するか否かを問い合わせる情報、自動運転による運転制御状況に関する情報、自動化レベルに関する情報、自動運転から手動運転に切り替わる場合に乗員に運転を促す情報等が含まれる。また、所定の情報には、テレビ番組、DVD等の記憶媒体に記憶されたコンテンツ(例えば、映画)等の自車両Mの走行に関連しない情報が含まれてもよい。また、所定の情報には、例えば、自動運転における現在位置や目的地、自車両Mの燃料の残量に関する情報が含まれてよい。HMI制御部180は、HMI30により受け付けられた情報を通信装置20、ナビゲーション装置50、第1制御部120等に出力してもよい。
【0051】
また、HMI制御部180は、乗員への問い合わせ情報や実行可否判定部110による判定結果をHMI30に出力させてもよい。また、HMI制御部180は、HMI30に出力させる各種情報を、通信装置20を介して自車両Mの利用者が利用する端末装置に送信してもよい。
【0052】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80のアクセルペダルから入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0053】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80のブレーキペダルから入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、ブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0054】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80のステアリングホイールから入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0055】
[認識部および行動計画生成部]
次に、認識部130(第1認識部132、第2認識部134)、および行動計画生成部140(判定部142、実行制御部144)の機能の詳細について説明する。なお、以下では、主に実行制御部144で実行される運転制御の内容を幾つかの場面に分けて説明する。
【0056】
[第1の場面]
図3は、第1の場面における運転制御について説明するための図である。第1の場面は、例えば、自車両Mが分岐区間や合流区間等の車線変化区間(例えば、車線増減を含む区間)を走行する場合であって、自車両Mの前方(所定距離以内)であり、且つ自車両Mの走行車線とその隣接車線のそれぞれに他車両が存在する場面である。以下、車線変化区間の一例として分岐区間を用いて説明する。また、第1の場面では、自車両Mは、分岐区間の本線を走行すると共に、LKAS制御が実行されているものとする。後述する第2、第3の場面においても同様とする。
【0057】
図3の例では、検知デバイスDDにより認識された区画線CL1、CL2と、自車両Mの位置情報に基づいて地図情報(例えば、第2地図情報62)から得られる区画線ML1~ML5とが示されている。地図情報において、車線L1は区画線ML1とML2とで区画され、車線L2は区画線ML2とML3とで区画させ、車線L3は区画線ML4とML5とで区画される。車線L1およびL2は、同一方向(X軸方向)に進行可能であり、車線L3は、車線L1、L2を本線としたときの分岐車線である。また、
図3において、自車両Mは、速度VMで車線L1上を走行し、他車両m1は、自車両Mの走行車線の前方であって、車線L1を速度Vm1で走行し、他車両m2は、自車両Mの前方であって、車線L1の隣接車線である車線L2を速度Vm2で走行しているものとする。区画線CL1、CL2は、「第1区画線」の一例である。区画線ML1~ML5は、「第2区画線」の一例である。
【0058】
第1認識部132は、自車両の周辺状況を検知した検知デバイスDDの出力に基づいて、自車両Mの周辺状況を認識する。例えば、第1認識部132は、カメラ10により撮像された画像(以下、カメラ画像)に基づいて、自車両Mの走行車線を区画する左右の区画線CL1、CL2を認識する。以下、区画線CL1、CL2を「カメラ区画線CL1、CL2」と称する場合がある。例えば、第1認識部132は、カメラ画像を解析し、画像において隣接画素との輝度差が大きいエッジ点を抽出し、エッジ点を連ねて画像平面におけるカメラ区画線CL1、CL2を認識する。また、第1認識部132は、自車両Mの代表点の位置を基準とした、カメラ区画線CL1、CL2の位置を車両座標系(例えば、
図3のXY平面座標)に変換する。また、第1認識部132は、例えば、カメラ区画線CL1、CL2の曲率半径または曲率を認識してもよい。また、第1認識部132は、カメラ区画線CL1、CL2の曲率変化量を認識してもよい。曲率変化量とは、例えば、カメラ10によって認識されるカメラ区画線CL1、CL1の自車両Mから見て前方X[m]における曲率の時間変化率である。また、第1認識部132は、カメラ区画線CL1およびCL2のそれぞれの曲率半径、曲率、または曲率変化量を平均して、カメラ区画線CL1、CL2により区画される車線の曲率半径、曲率、または曲率変化量を認識してもよい。カメラ区画線CL1、CL2は、カメラ10以外の検知デバイスの出力に基づいて認識または補正されてよい。
【0059】
また、第1認識部132は、自車両Mの周辺に存在する他車両を認識する。例えば、第1認識部132は、自車両Mの周辺状況を検知した検知デバイスDDの出力に基づいて、自車両Mの前方であって、自車両Mから所定距離以内の位置で走行する他車両(前方走行車両)を認識する。前方走行車両には、例えば、自車両Mと同一車線を走行する先行車両または自車両Mの走行車線の進行方向と同一方向に進行可能な隣接車線を走行する並走車両のうち、一方または双方が含まれる。先行車両(または並走車両)が複数存在する場合には、自車両Mから最も近い先行車両(または並走車両)が認識されてよい。先行車両は「第1他車両」の一例である。並走車両は「第2他車両」の一例である。
【0060】
図3の例において、第1認識部132は、前方走行車両として、他車両m1、m2を認識する。また、第1認識部132は、他車両m1、m2の位置(自車両Mとの相対位置)、速度(自車両Mとの相対速度)を認識したり、他車両m1、m2の走行車線を認識する。また、第1認識部132は、他車両m1、m2のそれぞれの走行車線上の走行位置を認識する。また、第1認識部132は、他車両m1、m2の走行位置情報を認識してもよい。走行位置情報とは、例えば、所定時間における他車両m1、m2のそれぞれの代表点の走行時の位置を基準にした走行軌跡K1、K2である。また、第1認識部132は、走行軌跡K1、K2のそれぞれの曲率半径、曲率、または曲率変化量を認識してもよい。
【0061】
第2認識部134は、例えば、車両センサ40やGNSS受信機51により検出された自車両Mの位置に基づいて地図情報から自車両Mの周辺(所定距離以内)の車線の区画線を認識する。例えば、第2認識部134は、自車両Mの位置情報に基づいて地図情報を参照し、自車両Mの進行方向または自車両Mが進行可能な方向に存在する区画線ML1~ML5を認識する。以下、区画線ML1~ML5を「地図区画線ML1~ML5」と称する場合がある。
【0062】
また、第2認識部134は、認識した地図区画線ML1~ML5のうち、自車両Mの走行車線を区画する区画線として地図区画線ML1、ML2を認識してもよい。また、第2認識部134は、第2地図情報62から地図区画線ML1~ML5のそれぞれの曲率半径、曲率、または曲率変化量を認識する。また、第2認識部134は、地図区画線ML1~ML5のそれぞれの曲率半径、曲率、または曲率変化量を平均して、地図区画線により区画される車線の曲率半径、曲率、または曲率変化量を認識してもよい。
【0063】
判定部142は、第1認識部132で認識されたカメラ区画線CL1、CL2と、第2認識部134で認識された地図区画線ML1、ML2とが合致するか否かを判定する。例えば、判定部142は、自車両Mから見て左側の最も近い位置に存在する区画線CL1とML1との合致度合、および自車両Mから見て右側の最も近い位置に存在する区画線CL2とML2との合致度合を導出する。そして、判定部142は、導出した合致度合が閾値以上である場合に、カメラ区画線と地図区画線と合致すると判定し、閾値未満である場合に合致していないと判定する。合致するか否かの判定は、所定のタイミングまたは周期で繰り返し実行させる。
【0064】
例えば、判定部142は、車両座標系の平面(XY平面)において、自車両Mの代表点の位置を基準に、カメラ区画線CL1、CL2を重畳させると共に、地図区画線ML1、ML2を重畳させる。そして、判定部142は、例えば、比較対象の区画線(区画線CL1とML1、区画線CL2とML2)を判定する場合に、それぞれの区画線の合致度合が閾値以上の場合に区画線が合致すると判定し、閾値未満の場合に合致しないと判定する。合致とは、例えば、横位置(例えば、図中Y軸方向)の乖離(例えば、横位置のずれ量)が少ないことである。また、乖離は、例えば、区画線の曲率変化量の差分や、比較対象の2つの区画線によって成す角度でもよく、これらの組み合わせであってもよい。また、判定部142は、区画線CL1とML1との合致度合または区画線CL2とML2との合致度合のうち、一方のみを用いて判定を行ってもよい。一方のみで合致判定を行うことで、双方で判定する場合に比して、処理負荷を軽減することができる。また、双方で合致度合を判定することで、判定精度を向上させることができる。
【0065】
実行制御部144は、判定部142による判定結果に基づいて、運転制御部(行動計画生成部140、第2制御部160)で実行する運転制御を決定し、決定した運転制御を実行する。「運転制御を決定する」とは、運転制御の内容(種類)を決定することや、運転制御を実行するか否か(抑制するか)を決定することが含まれてよい。「運転制御を実行する」とは、運転制御を切り替えて実行することに加え、すでに実行中の運転制御を継続することが含まれてよい。運転制御を抑制するとは、運転制御を実行しないことだけでなく、運転制御の自動化レベルを下げることが含まれてもよい。
【0066】
ここで、第1の場面において、実行制御部144により実行される運転制御には、少なくとも第1運転制御と、第2運転制御とが含まれる。第1運転制御は、例えば、第1認識部132または第2認識部134で認識された区画線(例えば、カメラ区画線と地図区画線と合致している部分の区画線)に基づいて、自車両Mの操舵または速度のうち、少なくとも操舵制御を実行する運転制御である。例えば、第1運転制御は、自車両Mの代表点が区画線によって区画される車線の中央を通過するように自車両Mを走行させる運転制御である。第2運転制御は、例えば、第1認識部132により認識されたカメラ区画線と前方走行車両の走行位置情報とに基づいて、自車両Mの操舵または速度のうち、少なくとも操舵制御を実行する運転制御である。第2運転制御は、例えば、複数のカメラ区画線のうち、他車両m1、m2の走行軌跡K1、K2と形状が合致するカメラ区画線に沿った軌道上を自車両Mの代表点が走行するように自車両Mを走行させる運転制御である。
【0067】
更に、運転制御には、地図区画線よりもカメラ区画線を優先して、自車両Mの操舵または速度のうち、少なくとも操舵制御を実行する第3運転制御や、カメラ区画線よりも地図区画線を優先して、自車両Mの操舵または速度のうち、少なくとも操舵制御を実行する第4運転制御が含まれてもよい。地図区画線よりもカメラ区画線を優先するとは、例えば、基本的にはカメラ区画線に基づく処理を行うが、例えばカメラ区画線の認識精度が閾値より低くなったり、認識できなくなった場合に一時的に地図区画線に基づく処理に切り替えることである。また、カメラ区画線よりも地図区画線を優先するとは、基本的には地図区画線に基づく処理を行うが、例えば地図区画線が特定できなかったり、一時的にカメラ区画線に基づく処理に切り替えることである。第3運転制御や第4運転制御は、例えば、カメラ区画線および地図区画線が合致していない場合の運転制御である。
【0068】
また、運転制御には、自動化レベル(自動化の度合の一例)が異なる複数の運転制御のうちが含まれてもよい。自動化レベルは、例えば、第1レベルと、第1レベルよりも運転制御の自動化の度合が低い第2レベルと、第2レベルよりも運転制御の自動化の度合が低い第3レベルとが含まれる。また、自動化レベルには、第3レベルよりも運転制御の自動化の度合が低い第4レベル(第4制御度合の一例)が含まれてもよい。ここで、自動化レベルとは、標準化された情報や法規等で定められたレベルであってもよく、それとは無関係に設定される指標値であってもよい。したがって、自動化レベルの種類や内容、数については、以下の例に限定されない。運転制御の自動化の度合が低いとは、例えば、運転制御における自動化率が小さく、運転者に課されるタスクが大きい(重度である)ことである。また、運転制御の自動化が低いとは、自動運転制御装置100が自車両Mの操舵または加減速を制御する度合が低い(運転者が操舵または加減速の操作に介入する必要度合が高い)ことである。運転者に課されるタスクとは、例えば、自車両Mの周辺監視や、運転操作子の操作等である。運転操作子の操作には、例えば、運転者がステアリングホイールを把持している状態(以下、ハンズオン状態)であることが含まれる。運転者に課されるタスクは、例えば、自車両Mの自動運転の維持に必要な乗員へのタスク(ドライバータスク)である。したがって、課されたタスクを乗員が実行できない場合は、自動化レベルが下がることになる。例えば、第1レベルの運転制御には、例えば、ACC、ALC、LKAS、TJP等の運転制御が含まれてよい。また、第2または第3レベルの運転制御には、例えば、ACC、ALC、LKAS等の運転制御が含まれてよい。第4レベルの運転制御には、手動運転が含まれてよい。また、第4レベルの運転制御には、例えば、ACC等の運転制御が実行されてよい。第1~第4レベルのうち、第1レベルは運転制御の自動化の度合が最も高いものであり、第4レベルは運転制御の自動化の度合が最も低いものである。
【0069】
また、第1レベルにおいては、乗員に課されるタスクはない(運転者に課されるタスクが最も軽度)。また、第2レベルにおいて乗員に課されるタスクは、例えば、車両Mの周辺(特に前方)監視である。また、第3レベルにおいて乗員に課されるタスクは、例えば、車両Mの周辺監視に加えてハンズオン状態であることが含まれる。また、第4レベルにおいて乗員(例えば、運転者)に課されるタスクは、例えば、車両Mの周辺監視およびハンズオン状態であることに加えて、運転操作子80による車両Mの操舵および速度を制御するための操作である。つまり、第4レベルの場合は、すぐに乗員に運転交代ができる状態であり、運転者に課されるタスクが最も重度である。各自動化レベルにおける運転制御の内容や乗員に課されるタスクについては、上述した例に限定されない。自動運転制御装置100は、車両Mの周辺状況や乗員が実行中のタスクに基づいて、第1~第4レベルのうち何れかのレベルの運転制御が実行される。
【0070】
例えば、実行制御部144は、判定部142によりカメラ区画線と地図区画線とが合致すると判定した場合に第1運転制御を実行し、カメラ区画線と地図区画線とが合致していないと判定した場合に第2運転制御を実行する。以下では、主に第2運転制御について具体的に説明する。
【0071】
実行制御部144は、第2運転制御を実行する場合に、自車両Mから見た前方の所定区間において、他車両m1、m2の走行軌跡K1、K2の形状と、カメラ区画線の形状とが合致しているか否かを判定する。この場合、実行制御部144は、走行軌跡K1、K2の形状と、カメラ区画線の形状との合致度合が閾値以上である場合に合致していると判定し、閾値未満の場合に合致していないと判定する。形状合致度合とは、例えば、比較対象(走行軌跡K1、K2と、カメラ区画線C1、C2)の位置の合致度合を含めず、それぞれの曲率半径(曲率や曲率変化量でも良い)や、比較対象の所定区間における距離の変化量等に基づいて導出され、曲率半径が近いほど、および/または、距離の変化量が小さいほど形状合致度合は大きくなる。また、形状合致度合は、曲率半径や距離の変化量に代えて(または加えて)、比較対象の2つの区画線によって成す角度によって導出されてもよい。この場合、角度が小さいほど形状合致度合は大きくなる。実行制御部144は、所定区間における比較対象(例えば、走行軌跡K1とカメラ区画線C1、走行軌跡K2とカメラ区画線C2)の合致度合の平均(外れ値は除く)や個々の合致判定結果の多数決等によって、形状が合致するか否かを最終的に判定してもよい。多数決の場合は、例えば、複数の比較対象で比較した場合に、合致する数が合致しない数より多い場合に、形状が合致していると判定する。
【0072】
そして、走行軌跡K1、K2とカメラ区画線C1、C2とが合致していると判定した場合、実行制御部144は、車線L1、L2の進行方向に他車両m1、m2が走行しているものと判定し、カメラ区画線C1、C2に基づいて自車両Mが走行させる第2運転制御を実行する。このように、先行車両である他車両m1の走行軌跡K1だけでなく並走車両である他車両m2の走行軌跡K2を用いることで、自車両Mの走行車線の信頼性やカメラ区画線の信頼性を向上させることができる。また、LKAS等の運転制御を継続させることができ、制御継続性をより向上させることができる。また、他車両m1、m2が同時に車線変更する可能性が低いため、それぞれの走行軌跡K1、K2を用いることで、カメラ区画線の認識が正しいか否かのより適切な判定と、判定結果に基づく運転制御の切り替えを、より適切に行うことができる。
【0073】
なお、第1の場面において、実行制御部144は、他車両m1、m2の少なくとも一方が認識できなくなった場合や、他車両m1、m2は認識できているが走行軌跡K1、K2の少なくとも一方が認識できなくなった場合に、運転制御を抑制してもよい。また、実行制御部144は、走行軌跡K1、K2と、カメラ区画線C1,C2との形状合致度合が閾値以上であっても、走行軌跡K1とK2との距離が第1所定距離以上である場合(離れすぎている場合)や、第1所定距離より小さい第2所定距離未満(近すぎる場合)に、走行軌跡K1、2の少なくとも一方を誤認識している可能性が高いため、運転制御を抑制してもよい。
【0074】
また、実行制御部144は、走行軌跡K1とK2の形状が合致しない場合であっても、走行軌跡K1、K2の少なくとも一方の形状がカメラ区画線CL1、CL2の形状と合致する場合(合致度合が閾値以上である場合)に、形状が合致した方のカメラ区画線に基づく運転制御(第2運転制御)を実行し、形状が合致しない場合に運転制御を抑制してもよい。これにより、走行軌跡K1、K2を用いて、第1認識部132により認識された区画線が正しいものであるか否かを判定することができ、第1認識部132により認識された区画線や他車両の位置等に基づいて、運転制御を継続させることができる。
【0075】
また、実行制御部144は、上述した条件に加えて、更に第1認識部132により他車両m1およびm2(走行軌跡K1およびK2)が第1所定期間内に認識された場合(つまり、それぞれを認識したタイミングが第1所定期間内)に、第2運転制御を実行してもよく、第1所定期間内に認識されていない場合に、第2運転制御を実行しない(または、第1運転制御および第2運転制御以外の制御を実行する)ようにしてもよい。これにより、運転制御が継続して実行されるため走路上の物体との接触回避をより確実に行うことができる。
【0076】
また、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線とが合致しないと判定された場合に、走行経路K1、K2を用いた判定結果に基づいて第2運転制御を継続させるが、その後に合致していると判定された場合であっても、第2運転制御の実行が開始されてから所定時間が経過するまでは、他の運転制御に移行せずに、第2運転制御を継続させてもよい。これにより、運転制御の頻繁な切り替えを抑制して、運転制御をより安定化させることができる。また、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線とが合致しないと判定された状態で、走行軌跡K1、K2を用いた判定結果に基づいて第2運転制御の実行が開始されてから所定時間が経過した場合(または自車両Mが所定距離を走行した場合)に、第2運転制御を終了してもよい。これにより、カメラ区画線と地図区画線とが合致しないと判定された状態で運転制御が長時間継続されることを抑制することができる。この場合、実行制御部144は、手動運転に切り替えてもよく、運転制御の自動化レベルを現在のレベルよりも下げる制御を実行してもよい。なお、実行制御部144は、上述した所定時間が経過することに代えて(または加えて)、自車両Mが所定距離以上走行することを条件としてもよい。
【0077】
上述した第1の場面によれば、車線変化区間において、カメラ区画線と地図区画線とが合致しない場合であっても、前方走行車両の走行軌跡を用いて運転制御の内容を決定することで、より適切な運転制御を実行することができる。したがって、運転制御(例えば、LKAS制御)の継続性を向上させることができる。また、第1の場面では、先行車両と並走車両の両方の走行軌跡を用いることで、走路全体の変化をより精度よく推測することができる。
【0078】
[第2の場面]
次に、第2の場面について説明する。第2の場面は、例えば、第1の場面と比較して前方走行車両のうち先行車両(第1他車両)は存在するが、並走車両(第2他車両)が存在しない場面である。この場合、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線との位置関係と、先行車両の車幅とに基づいて第2運転制御が実行可能であるか否かを判定する。以下では、主に第1の場面と異なる内容を中心として説明し、第1の場面と同様の処理についての説明は省略する。後述の第3の場面についても同様とする。
【0079】
図4は、第2の場面における運転制御について説明するための図である。
図4の例では、
図3と同様に、検知デバイスDDに含まれるカメラ10により認識されたカメラ区画線CL1、CL2と、自車両Mの位置情報に基づいて地図情報を参照して認識された地図区画線ML1~ML5とが示されている。また、
図4において、自車両Mは、速度VMで車線L1上を走行し、他車両m1は、自車両Mの前方であって、車線L1を速度Vm1で走行しているものとする。
【0080】
第2の場面において、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線とが合致する場合には、第1運転制御を実行する。また、合致しないと判定された場合、実行制御部144は、例えばカメラ区画線CL1、CL2と、他車両m1の走行軌跡K1との位置関係とに基づいて、実行する運転制御を決定する。
【0081】
例えば、実行制御部144は、カメラ区画線CL1、CL2は、他車両m1の走行軌跡K1と、カメラ区画線CL1、CL2とが平行であるか否かを判定する。例えば、実行制御部144は、他車両m1の走行軌跡K1とカメラ区画線CL1との距離(最短距離)D1の変化量△D1が閾値以上である場合に平行であると判定し、閾値未満である場合に平行ではないと判定する。変化量△D1とは、例えば、自車両Mの位置から所定処理までの区間においてカメラ区画線CL1の延伸方向に所定間隔でプロットした各点における走行軌跡K1との距離(横幅)の変化量である。なお、実行制御部144は、走行軌跡K1とカメラ区画線CL1との距離に代えて(または加えて)、走行軌跡K1とカメラ区画線CL2との距離を用いてもよい。また、実行制御部144は、走行軌跡K1とカメラ区画線CL1(またはCL2)との形状合致度合が閾値以上である場合に平行であると判定し、閾値未満である場合に平行ではないと判定してもよい。実行制御部144は、平行であると判定された場合に、平行である対象のカメラ区画線に基づく第2運転制御または地図区画線よりもカメラ区画線を優先して第3運転制御を実行し、平行ではないと判定された場合に運転制御の実行を抑制する。このように、第2の場面では、カメラ区画線と地図区画線とが合致しない場合であっても、カメラ区画線CL1、CL2と走行軌跡K1とが平行の場合に運転制御を実行(継続)させることができる。
【0082】
また、第2の場面において、カメラ区画線と地図区画線とが合致しないと判定された場合、実行制御部144は、分岐車線L3の地図区画線ML4、ML5と、カメラ区画線CL1、CL2との位置関係および他車両m1の位置について、実行する運転制御を決定してもよい。例えば、実行制御部144は、分岐車線L3内にカメラ区画線CL1、CL2が含まれるか否かを判定する。この場合、実行制御部144は、区画線CL1、CL2のうち、少なくとも一方が車線L3内に存在するか否かを判定してもよい。
図4の例では、区画線CL1、CL2の両方とも分岐車線L3内に存在しない。また、他車両m1は、分岐車線L3内を走行していない。この場合、実行制御部144は、上述の内容を認識した場合に、地区区画線ML4、ML5が誤っている(または最新地図のものではない)と判断して、地図区画線よりもカメラ区画線を優先して第3運転制御を実行する。この場合、実行制御部144は、例えば、ハンズオン状態での第4レベルの運転制御を実行する。
【0083】
図5は、カメラ区画線が地図区画線により区画された車線内に存在する場合について説明するための図である。
図5の例は、カメラ区画線CL1、CL2と地図区画線ML4、ML5とが合致しない場合であって、且つ、分岐車線L3内にカメラ区画線CL1、CL2の両方が存在する場面を示している。この場合、分岐車線L3内にカメラ区画線CL1、CL2で区画された車線が存在する形になり、他車両m1が分岐方向へ走行している可能性があり得る。したがって、この場合に、実行制御部144は、カメラ区画線よりも地図区画線を優先して運転制御(第4運転制御)を実行させる。この場合、実行制御部144は、例えば、運転者がステアリングホイールを把持していない状態(以下、ハンズオフ状態)での第2レベルの運転制御を実行する。
【0084】
図6は、カメラ区画線CL1、CL2のうち一方が分岐車線L3内に存在する場合について説明するための図である。
図6の例では、区画線CL1が分岐車線L3内に存在している。この場合、分岐車線L3と区画線CL1、CL2の位置関係のみでは、他車両m1が分岐車線を走行しているのか、区画線CL1、CL2で区画された車線を走行しているのかを判定することができない。したがって、実行制御部144は、第1認識部132および第2認識部134により認識されるカメラ区画線および地図区画線(より具体的には他車両m1の進行方向に沿って延伸する地図区画線)のうち、車線L3内のカメラ区画線CL1と、カメラ区画線CL1から見て他車両m1側に存在する(他車両m1とラップする側に存在する)地図区画線ML5との距離Waと、カメラ画像または車車間通信により他車両m1と通信することで取得した他車両m1の車幅Wbとに基づいて、実行する運転制御を決定する。距離Waは、カメラ区画線CL1と、地図区画線CL2とが同一方向に延伸していない(平行でない場合)には、所定区間における平均距離や最短距離でもよい。また、車幅Wbは、実際の他車両m1の車幅に、所定のマージン量が付加されてよい。
【0085】
例えば、距離Waが車幅Wbより大きくない(距離Waが車幅Wb以下である(Wa≦Wb))と判定した場合、実行制御部144は、地図区画線よりもカメラ区画線を優先して第3運転制御を実行する。この場合、実行制御部144は、例えば、ハンズオン状態での第4レベルの運転制御を実行する。また、実行制御部144は、距離Waが車幅Wbより大きい(Wa>Wb)と判定した場合、カメラ区画線よりも地図区画線を優先して運転制御(第4運転制御)を実行する。この場合、実行制御部144は、例えば、ハンズオフ状態での第2レベルの運転制御を実行する。なお、実行制御部144は、距離Waが車幅Wbより大きいと判定した場合に加えて、他車両m1が存在する分岐車線L3内に存在する場合を条件に付加してもよい。
【0086】
なお、第2の場面において、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線とが合致しない場合に、カメラ区画線CL1、CL2のうち少なくとも一方が分岐車線L3内に存在するか否かを判定する前に、分岐区画線とカメラ区画線とが成す角度(乖離角度)が所定角度以上か否かを判定してもよい。乖離角度が所定角度以上であると判定した場合、実行制御部144は、地図区画線よりもカメラ区画線を優先して運転制御(第3運転制御)を実行する。この場合、実行制御部144は、例えば、ハンズオン状態での第3または第4レベルの運転制御を実行する。また、所定角度以上ではないと判定した場合、実行制御部144は、上述したように、カメラ区画線CL1、CL2のうち少なくとも一方が分岐車線L3内に存在するか否かに応じて運転制御を決定する。
【0087】
なお、第2の場面において、実行制御部144は、先行車両である他車両m1が存在せず、並走車両のみが存在する場合に運転制御を抑制してもよい。また、実行制御部144は、他車両m1から車線L1から車線L2に車線変更(移動)することで、先行車両から並走車両となった場合に運転制御を抑制してもよい。これにより、前方走行車両の有無や挙動に基づいて、より適切に運転制御を実行(または抑制)することができる。
【0088】
また、第2の場面において、実行制御部144は、運転制御を実行した後に、カメラ区画線と地図区画線とが合致した場合に、運転制御を実行してから所定期間が経過するまで、運転制御を継続してもよい。これにより、運転制御の頻繁な切り替えを抑制して、運転制御をより安定化させることができる。また、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線とが合致しないと判定された状態で運転制御を実行してから所定期間が経過した後に運転制御を終了してもよい。これにより、カメラ区画線と地図区画線とが合致しないと判定された状態で運転制御が長時間継続されることを抑制することができる。この場合、実行制御部144は、手動運転に切り替えてもよく、運転制御の自動化レベルを現在のレベルよりも下げる制御を実行してもよい。なお、実行制御部144は、所定時間が経過することに代えて(または加えて)、自車両Mが所定距離以上走行することを条件としてもよい。
【0089】
上述した第2の場面によれば、車線変化区間において、カメラ区画線と地図区画線とが合致しない場合であっても、先行車両の走行軌跡がカメラ区画線に沿って延伸している場合(走行軌跡とカメラ区画線とが平行である場合、先行車両の走行軌跡とカメラ区画線との距離の変化量が閾値未満である場合)に、運転制御(例えば、LKAS制御)を継続させることができ、運転制御の継続性を向上させることができる。また、カメラ区画線と地図区画線とのずれ量(乖離角度を含む)や、先行車両の車幅との関係に基づいて、より適切な運転制御を実行させることができる。
【0090】
[第3の場面]
次に、第3の場面について説明する。第3の場面は、例えば、分岐車線を含む分岐区間において、カメラ区画線と地図区画線とが合致せず、且つ、周辺に前方走行車両が存在しない(または並走車両のみが存在する場合であってもよい)場面である。この場合、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線とが合致しない場合に、カメラ区画線と地図区画線との位置関係または角度差(乖離角度)のうち一方または双方に基づいて、実行する運転制御を決定する。
【0091】
図7は、第3の場面における運転制御について説明するための図である。
図7の例では、第1認識部132によりカメラ区画線として区画線CL1~CL3が認識され、第2認識部134により地図区画線として区画線ML1~ML5が認識されているものとする。
【0092】
図7の例において、判定部142は、区画線CL1とML1、または、区画線CL2とML2とが合致しているか否かを判定する。判定部142により合致していないと判定され、且つ、前方走行車両が存在しない場合、実行制御部144は、走行車線の分岐方向(図中左側)に対して、一対のカメラ区画線CL1、CL2により区画される車線に、一対の地図区画線ML4、ML5のうち自車両Mから離れた位置に存在する地図区画線ML5が存在するか否かを判定する。カメラ区画線CL1、CL2により区画される車線内に地図区画線ML5が存在する場合、実行制御部144は、カメラ区画線CL1、CL2と地図区画線ML5とのそれぞれの距離Wc1、Wc2が所定距離Dth1以上であるか否かを判定する。そして、距離Wc1、Wc2が所定距離Dth1以上である場合であって、且つ、分岐方向に対してカメラ区画線CL1よりも自車両Mの手前側に別のカメラ区画線CL3が認識されている場合、実行制御部144は、カメラ区画線により区画された車線を走行することを優先する第3運転制御を実行する。別のカメラ区画線CL3は、「他の区画線」の一例である。なお、実行制御部144は、カメラ区画線CL3が認識されることに加えて、カメラ区画線CL3に最も近い地図区画線ML4との距離が閾値未満の場合に、第3運転制御を実行するようにしてもよい。
【0093】
また、実行制御部144は、距離Wc1、Wc2のうち一方が、所定距離Dth1未満であって、且つ、カメラ区画線CL3が認識されていない場合、地図区画線ML4、ML5により区画線された車線を走行することを優先する第4運転制御を実行する。これにより、カメラ区画線と地図区画線が合致せず、且つ前方走行車両が存在しない場合であっても、区画線の位置関係や認識状況に基づいて、運転制御を実行(継続)させることができる。
【0094】
図8は、カメラ区画線と地図区画線とが成す角度(乖離角度)に基づいて実行する運転制御を決定することについて説明するための図である。
図8の例において、判定部142は、区画線CL1とML1、または、区画線CL2とML2とが合致しているか否かを判定する。判定部142により合致していないと判定され、且つ、前方走行車両が存在しない場合、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線との延伸方向の角度差を認識する。例えば、実行制御部144は、カメラ区画線CL1、CL2の延伸方向である第1方向と、分岐車線L3を区画する地図区画線ML4、ML5の延伸方向である第2方向とが成す角度が所定角度θth以上であるか否かを判定する。
図8の例では、カメラ区画線CL1における第1方向と、地図区画線ML5における第2方向とが成す角度θ1が所定角度θth以上であるか否かを判定しているが、カメラ区画線CL2と地図区画線ML4とが成す角度を用いてもよい。ただし、分岐車線L3と連結している地図区画線ML4、ML5のうち自車両Mから遠い方の区画線ML5と、カメラ区画線CL1、CL2のうち、分岐車線L3側の区画線CL1との角度θ1を用いて判定することで、車線変化している側の認識結果を用いて、より適切は判定を行うことができる。
【0095】
また、実行制御部144は、角度θ1により判定に代えて(または加えて)、カメラ区画線CL1における第1方向と地図区画線ML1における第2方向とが成す角度θ2が所定角度θth以上であるか否かを判定してもよい。実行制御部144は、角度θ1(またはθ2)が所定角度θth以上であると判定した場合、第1認識部132により認識されたカメラ区画線が正しいものと判定し、第3運転制御を実行することを決定する。
【0096】
また、第3の場面において、実行制御部144は、第3運転制御または第4運転制御等の運転制御を実行した後にカメラ区画線と地図区画線とが合致した場合に、運転制御を実行してから所定期間が経過するまで継続させてもよい。これにより、運転制御の頻繁な切り替えを抑制して、運転制御をより安定化させることができる。また、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線とが合致しないと判定された状態で運転制御を実行してから所定期間が経過した後に運転制御を終了してもよい。これにより、カメラ区画線と地図区画線とが合致しないと判定された状態で運転制御が長時間継続されることを抑制することができる。この場合、実行制御部144は、手動運転に切り替えてもよく、運転制御の自動化レベルを現在のレベルよりも下げる制御を実行してもよい。なお、実行制御部144は、所定時間が経過することに代えて(または加えて)、自車両Mが所定距離以上走行することを条件としてもよい。
【0097】
上述した第3の場面によれば、車線変化区間において、カメラ区画線と地図区画線とが合致せず、且つ前方走行車両が存在しない場合であっても、カメラ区画線と地図区画線との相対的なずれ量やそれぞれの区画線によって成す角度に基づいて、より適切な運転制御を実行することができ、運転制御(例えば、LKAS制御)の継続性を向上させることができる。
【0098】
[処理フロー]
以下、実施形態の自動運転制御装置100により実行される処理について説明する。以下では、自動運転制御装置100により実行される処理のうち、主に区画線の認識状況等に基づく運転制御処理を中心として説明するものとする。また、以下では、幾つかの実施例に分けて説明する。また、以下に示す処理は、所定タイミングまたは所定周期で繰り返し実行されてよく、自動運転制御装置100による自動運転が実行中の間、繰り返し実行されてよい。
【0099】
[第1の実施例]
図9は、第1の実施例における運転制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9の例において、第1認識部132は、車両の周辺状況を検知した検知デバイスDDの出力に基づいて、自車両Mの周辺に存在する区画線(カメラ区画線)を認識する(ステップS100)。次に、第2認識部134は、自車両Mの位置情報に基づいて地図情報を参照し、地図情報から自車両Mの周辺に存在する区画線(地図区画線)を認識する(ステップS110)。次に、判定部142は、カメラ区画線と地図区画線とを比較し(ステップS120)、カメラ区画線と地図区画線とが合致するか否かを判定する(ステップS130)。
【0100】
カメラ区画線と地図区画線とが合致すると判定した場合、実行制御部144は、合致した区画線(カメラ区画線または地図区画線)に基づく運転制御(第1運転制御)を実行する(ステップS140)。また、カメラ区画線と地図区画線とが合致しないと判定した場合、実行制御部144は、自車両Mの前方を走行する他車両(前方走行車両)が存在するか否かを判定する(ステップS150)。前方走行車両が存在すると判定した場合、実行制御部144は、前方走行車両の走行位置情報に基づく運転制御(第2運転制御)を実行する(ステップS160)。また、ステップS150の処理において、前方走行車両が存在しないと判定した場合、実行制御部144は、運転制御を抑制する(ステップS170)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0101】
[第2の実施例]
図10は、第2の実施例における運転制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2の実施例は、上述した第1の実施例と比較すると、ステップS160~S170の処理に代えて、ステップS200~S280の処理が存在する点で相違する。したがって、以下では、主にステップS200~S280の処理を中心として説明する。
【0102】
図10のステップS150の処理において、前方走行車両が存在する場合、前方走行車両として、先行車両および並走車両が存在するか否かを判定する(ステップS200)。先行車両および並走車両が存在すると判定した場合、実行制御部144は、後述する第1制御処理を実行する(ステップS220)。第1制御処理は、例えば、上述した第1の場面において実行される処理である。また、実行制御部144は、先行車両および並走車両が存在しないと判定した場合、先行車両のみが存在するか否かを判定する(ステップS240)。先行車両のみが存在すると判定した場合、実行制御部144は、後述する第2制御処理を実行する(ステップS260)。第2制御処理は、例えば、上述した第2の場面において実行される処理である。また、先行車両のみが存在しないと判定した場合(言い換えると、並走車両が存在すると判定した場合)、実行制御部144は、後述する第3制御処理を実行する(ステップS280)。また、ステップS150において、前走走行車両が存在しないと判定された場合も、実行制御部144は、第3制御処理を実行する。第3制御処理は、例えば、上述した第3の場面において実行される処理である。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0103】
[第1制御処理]
図11は、第1制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11の例において、実行制御部144は、先行車両および並走車両のそれぞれの走行軌跡を取得する(ステップS221)。次に、実行制御部144は、それぞれの走行軌跡とカメラ区画線とを比較し(ステップS222)、所定区間において形状が合致するか否かを判定する(ステップS223)。ステップS223の処理では、例えば、実行制御部144は、比較対象の合致度合の平均(外れ値は除く)や個々の合致判定結果の多数決等によって、所定区間において形状が合致するかを最終的に判定する。形状が合致する判定した場合、実行制御部144は、カメラ区画線に基づく運転制御(第2運転制御)を実行する(ステップS224)。
【0104】
また、ステップS223の処理において、形状が合致しないと判定した場合、実行制御部144は、第2運転制御運転制御を抑制する(ステップS225)。これにより本フローチャートの処理は、終了する。
【0105】
[第2制御処理]
図12は、第2制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12の例において、実行制御部144は、先行車両の走行軌跡を取得する(ステップS261)。次に、実行制御部144は、取得した走行軌跡とカメラ区画線とを比較し(ステップS262)、距離の変化量が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS263)。距離の変化量が閾値未満であると判定した場合、実行制御部144は、カメラ区画線に基づく運転制御(第2運転制御)またはカメラ区画線を優先して運転制御(第3運転制御)を実行する(ステップS264)。また、ステップS263において、距離の変化量が閾値未満ではない(閾値以上である)と判定した場合、実行制御部144は、運転制御を抑制する(ステップS265)。これにより本フローチャートの処理は、終了する。
【0106】
なお、第2制御処理では、
図12の処理に代えて、カメラ区画線と地図区画線との位置関係と、先行車両の車幅とに基づく運転制御の切り替えを実行してもよい。
図13は、第2制御処理の変形例の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13の例において、実行制御部144は、2つの区画線(カメラ区画線、地図区画線)の延伸方向により成される角度が所定角度以上であるか否かを判定する(ステップS270)。角度が所定角度以上でないと判定された場合、実行制御部144は、地図区画線で区画された車線内にカメラ区画線が存在するか否かを判定する(ステップS271)。地図区画線で区画された車線内にカメラ区画線が存在すると判定した場合、実行制御部144は、地図区画線で区画された車線内に2つのカメラ区画線が存在するか否かを判定する(ステップS272)。
【0107】
2つのカメラ区画線が存在しないと判定した場合、実行制御部144は、車線内に存在するカメラ区画線と、そのカメラ区画線から見て先行車両側に存在する地図区画線との距離Waを取得し(ステップS273)、先行車両の車幅Wbを取得する(ステップS274)。ステップS273およびS274の処理順序は、逆であってもよい。
【0108】
次に、実行制御部144は、距離Waが車幅Wbより大きいか否かを判定する(ステップS275)。距離Waが車幅Wbより大きくない(距離Waが車幅Wb以下である)と判定した場合、実行制御部144は、カメラ区画線を優先して運転制御(第3運転制御)を実行する(ステップS276)。この場合、実行制御部144は、例えば、カメラ区画線を優先してハンズオン状態での第4レベルの運転制御を実行する。また、実行制御部144は、距離Waが車幅Wbより大きいと判定した場合、またはステップS272の処理において、車線内に2つのカメラ区画線が存在する場合に、地図区画線を優先して運転制御(第4運転制御)を実行する(ステップS277)。この場合、実行制御部144は、例えば、ハンズオフ状態での第2レベルの運転制御を実行する。なお、実行制御部144は、距離Waが車幅Wbより大きいと判定した場合に加えて、他車両m1が存在する分岐車線L3内に存在する場合を条件に付加してもよい。
【0109】
また、ステップS271の処理において、地図区画線で区画された車線内にカメラ区画線が存在しないと判定した場合、実行制御部144は、カメラ区画線に基づく運転制御(第3運転制御)を実行する(ステップS276)。この場合、実行制御部144は、例えば、カメラ区画線を優先してハンズオン状態での第4レベルの運制御制御を実行させる。また、ステップS270の処理において、角度が所定角度以上であると判定した場合も、実行制御部144は、カメラ区画線に基づく運転制御(第3運転制御)を実行する(ステップS276)。この場合、実行制御部144は、例えば、カメラ区画線を優先してハンズオン状態での第3または第4レベルの運転制御を実行する。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0110】
[第3制御処理]
図14は、第3制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14の例において、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線の位置およびそれぞれの区画線の延伸方向を比較する(ステップS281)。次に、実行制御部144は、カメラ区画線と地図区画線との距離が所定距離以上であるか否かを判定する(ステップS282)。所定距離以上であると判定した場合、実行制御部144は、分岐方向に別のカメラ区画線が認識されているか否かを判定する(ステップS283)。別のカメラ区画線が認識されていると判定した場合、実行制御部144は、地図区画線よりもカメラ区画線を優先して自車両Mを走行させる運転制御(第3運転制御)を実行する(ステップS284)。この場合、実行制御部144は、例えば、カメラ区画線を優先してハンズオン状態での第3または第4レベルの運転制御を実行する。
【0111】
また、ステップS282の処理において、カメラ区画線と地図区画線との距離が所定距離以上ではないと判定した場合、または、ステップS283の処理において、分岐方向に別のカメラ区画線が認識されていないと判定した場合、実行制御部144は、2つの区画線(カメラ区画線、地図区画線)の延伸方向により成される角度が所定角度以上であるか否かを判定する(ステップS285)。ここでの所定角度は、上述したステップS270の処理における所定角度とは異なる値でもよい。所定角度以上であると判定した場合、実行制御部144は、ステップS284の処理を実行する。また、所定角度以上ではない(所定角度未満である)と判定した場合、実行制御部144は、カメラ区画線よりも地図区画線を優先して運転制御を実行する(ステップS286)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0112】
[変形例]
なお、上述した第1~第3の場面における実行制御部144の処理は、例えば、自車両Mが車線変化区間を走行する場合または走行することが予測される場合(車線変化区間から所定距離以内を走行する場合)に実行され、他の道路状況の場合(例えば、車線変化区間ではない区間を走行する場合)には、他の運転制御が実行されてよい。
【0113】
また、実行制御部144は、第1の場面(例えば、先行車両と並走車両が存在する場合)であっても、第2の場面で説明した内容と同様の処理を行って自車両Mの運転制御を決定してもよく、第1および第2の場面のように先行車両が存在する場合であっても第3の場面で説明した内容と同様の処理を行って自車両Mが実行する運転制御を決定してもよい。例えば、実行制御部144は、第1の場面に該当する場合であっても、認識した先行車両と並走車両の認識確度(自車両Mの走行車線または隣接車線を走行する他車両であるか否かの確からしさを示す指標値)が閾値以下である場合には、第3の場面における処理を実行する。
【0114】
また、実行制御部144は、先行車両(または並走車両)が複数存在する場合には、自車両Mから最も近い先行車両(または並走車両)を用いて、どの運転制御を実行するかの判定を行ったが、最も近い先行車両(または並走車両)が警察車両や消防車両等の特定車両(緊急車両)等である場合に、通常車両(一般車両)と異なる挙動を行う可能性があるため、判定対象の車両から除外してもよい。
【0115】
上述した実施形態によれば、車両制御装置において、自車両Mの周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、自車両Mの走行車線を区画する第1区画線および自車両Mの前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識する第1認識部132と、自車両Mの位置情報に基づいて、地図情報から自車両Mの周辺の車線を区画する第2区画線を認識する第2認識部134と、第1認識部132と第2認識部134との認識結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行する運転制御部(行動計画生成部140、第2制御部160)と、を備え、運転制御部は、自車両Mが車線変化区間を走行する場合であって、且つ、第1認識部132により認識された第1区画線と第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、第1区画線と第2区画線とが合致しない場合に前記前方走行車両の走行位置情報に基づく第2運転制御を実行することにより、車両周辺の認識結果に応じて、より適切な運転制御を実行することができる。また、実施形態によれば、運転制御の継続性をより向上させることができる。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0116】
また、実施形態によれば、カメラ区画線と地図区間線とがアンマッチになり易い車線変化区間において、カメラ区画線と地図区画線のずれ量、角度差、前方走行車両が存在する場合の走行軌跡、先行車両の車幅等に基づいて、より適切な情報を用いて運転制御を実行(継続)させることができる。
【0117】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)、
自車両の周辺状況を検知した検知デバイスの出力に基づいて、前記自車両の周辺の車線を区画する第1区画線および前記自車両の前方に存在する前方走行車両を含む周辺状況を認識し、
前記自車両の位置情報に基づいて、地図情報から前記自車両の周辺の車線を区画する第2区画線を認識し、
認識した結果に基づいて、前記自車両の操舵または速度のうち少なくとも操舵を制御する運転制御を実行し、
前記自車両が車線変化区間を走行する場合であって、且つ、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致する場合に合致した区画線に基づく第1運転制御を実行し、前記第1区画線と前記第2区画線とが合致しない場合に前記第1区画線と前記前方走行車両の走行位置情報とに基づく第2運転制御を実行する、
運転制御装置。
【0118】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0119】
1…車両システム、10…カメラ、12…レーダ装置、14…LIDAR、16…物体認識装置、20…通信装置、30…HMI、40…車両センサ、50…ナビゲーション装置、60…MPU、80…運転操作子、100…自動運転制御装置、110…実行可否判定部、120…第1制御部、130…認識部、132…第1認識部、134…第2認識部、140…行動計画生成部、142…判定部、144…実行制御部、160…第2制御部、162…目標軌道取得部、164…速度制御部、166…操舵制御部、180…HMI制御部、190…記憶部、200…走行駆動力出力装置、210…ブレーキ装置、220…ステアリング装置、M…自車両、SV…管理サーバ