(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】IL-4Rアンタゴニストを投与することにより喘息を治療するまたは予防するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241122BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20241122BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241122BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241122BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241122BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20241122BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241122BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20241122BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P11/06
A61P37/08
A61K39/395 D
A61P43/00 105
A61P11/00
A61K39/00 A
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
(21)【出願番号】P 2022502423
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 US2020042075
(87)【国際公開番号】W WO2021011614
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-13
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ヘリベルト・シュタウディンガー
(72)【発明者】
【氏名】アリエール・テパー
(72)【発明者】
【氏名】ニキル・アミン
(72)【発明者】
【氏名】シヴァン・ハレル
(72)【発明者】
【氏名】ニール・グラハム
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-527364(JP,A)
【文献】N Engl J Med.,2013年,Vol.368, No.26,pp.2455-2466
【文献】N Engl J Med.,2018年,Vol.378, No.26,pp.2486-2496
【文献】Respir Med case Rep,Vol.28,2019年06月,100875
【文献】Clinic Rev Allerg Immunol,2016年,Vol.50,pp.252-272
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)を有する対象を治療するための方法で使用するための、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物であって、
該抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5
のアミノ酸配列を含む
、3つの重鎖CD
Rである、HCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8
のアミノ酸配列を含む
、3つの軽鎖CD
Rである、LDCR1、LCDR2およびLCDR3を含み、
該対象は、少なくと
も1000IU/mLの総血清IgEレベル、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベル、または少なくと
も500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する、前記医薬組成物。
【請求項2】
対象は、少なくと
も1000IU/mLの総血清IgEレベル、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベル、および少なくと
も500細胞/μlのベースライン血中好酸球数のうち少なくとも2つを有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
対象は、少なくと
も1000IU/mLの総血清IgEレベル、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベル、および少なくと
も500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
抗体またはその抗原結合フラグメント
の負荷投与量
が対象に投与され、
その後、維持量
が複数回投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメン
ト600mgであり、各維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメン
ト300mgであり、該各維持量は、2週毎(q2w)に投与される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメン
ト400mgであり、各維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメン
ト200mgであり、該各維持量は、2週毎(q2w)に投与される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、もしくは肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす;または
治療は、年間喘息悪化における低減をもたらす、
請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
治療は、総血清IgEレベルおよび血清中のアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベルの一方または両方における減少をもたらす、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
治療は、TARCレベル、エオタキシン-3レベルおよび末梢血中好酸球レベルの1つまたはそれ以上における減少をもたらす、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項12】
FeNO(ppb)は、低減される、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項13】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
抗体は、デュピルマブである、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
対象は、中等症から重症のコントロール不良な喘息を有する、または併存する喘息を示す、および/もしくは併存する嚢胞性線維症を示す、請求項1~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年4月2日出願の米国仮出願第63/004,084号、2019年7月22日出願の米国仮出願第62/877,031号、2019年7月16日出願の米国仮出願第62/874,747号、および2020年5月7日出願の欧州特許出願第20315237.6号の優先権の利益を主張し、それらの内容物は、あらゆる目的のために参照によってそれらの全体を組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、喘息、例えばアレルギー性喘息、および関連する状態、例えば、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の治療および/または予防に関する。本発明は、それを必要とする患者において喘息、例えばアレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息などを治療または予防するためのインターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストの投与に関する。本発明はまた、それを必要とする患者においてABPA、例えば、喘息と併存するABPA、嚢胞性線維症と併存するABPA、ならびに/または喘息および嚢胞性線維症の両方と併存するABPAを治療または予防するためのインターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストの投与にも関する。
【背景技術】
【0003】
喘息は、気道過敏性、急性および慢性気管支収縮、気道浮腫、ならびに粘液栓によって特徴付けられる気道の慢性炎症性疾患である。喘息の炎症の構成成分には、肥満細胞、好酸球、Tリンパ球、好中球、上皮細胞、およびそれらの生物学的産物を含めた、多くの細胞のタイプが関与すると考えられる。喘息を伴う患者は、喘鳴、息切れ、咳、および胸部絞扼感の症状と共に存在することが多い。ほとんどの喘息患者の場合、コントローラー療法および気管支拡張薬療法のレジメンは、適切な長期の制御を提供する。吸入コルチコステロイド(ICS)は、喘息症状を制御する上で「黄金律」と考えられ、吸入β2-アゴニストは、最も有効な気管支拡張薬が、現在利用可能である。試験によって、吸入長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)とのICSの併用療法が、高用量のICS単独よりも良好な喘息コントロールを提供することが示された。その結果、併用療法は、低用量のICS単独で制御されない対象用の推奨される治療である。
【0004】
それにもかかわらず、抗炎症薬および気管支拡張薬を組み合わせた最大推奨治療にもかかわらず、喘息を伴う母集団の5%~10%は、症候性疾患を有すると推定されている。さらに、この重症喘息母集団は、入院、救急サービスの使用、および予定外の受診によって、全医療費の50%まで占めている。これらの患者の多くが、多くの細胞および分子の機序によりICSに対する反応が乏しいため、この重症喘息母集団における新たな療法について未だ満たされていないニーズがある。さらに、骨代謝、副腎機能、および小児の成長に対する全身性および吸入コルチコステロイドの長期の有害作用によって、コルチコステロイドの使用の量を最小限にすることが試みられる。喘息患者の大部分が、現在の治療である程度管理されるが、重症のコントロール不良喘息(例えば、重症のコルチコステロイド難治性喘息またはステロイド不耐性の喘息)を伴う患者は、疾患を適切に制御することができる治療上の治療オプションがほとんどない。療法に対する無応答性の結果または療法のコンプライアンスの欠如によって、喘息コントロールを喪失し、最終的に喘息が悪化する。
【0005】
重症喘息を伴う患者の推定45%は、それらの疾患を制御するために、ならびに肺組織への恒久的な損傷のリスクの増加、進行性の固定性気道閉塞、および肺機能の低下の加速に関連する生命を脅かす悪化を予防するために、全身性グルココルチコイドを要する。しかしながら、全身性グルココルチコイドは、非選択的に作用し、重大な多臓器毒性および広範な免疫抑制に関連する。悪化および肺機能障害を予防し、喘息症状およびコントロールを改善し、経口グルココルチコイドの必要を減らすまたは取り除く、より安全なおよびより有効な標的療法が必要である。
【0006】
喘息を伴う患者のおよそ20%は、標準治療のコントローラー療法を最大化したにもかかわらず、再発性の悪化および持続性の症状を伴うコントロール不良の、中等症から重症の疾患がある。この母集団は、罹患率(特に、悪化)のリスクが増加し、かなりの医療資源を占める。これらの患者は、最大限の治療にもかかわらず、肺機能を実質的に低下させ、無情にも、肺機能をさらに喪失するということになっている。現在承認された治療は、これらの患者におけるこの無情な低下を遅くする、または肺機能を常におよび有意義に高めることが示されていない。
【0007】
タイプ2高値型喘息は、最も一般的なタイプの持続型のコントロール不良な喘息である(非特許文献1)。タイプ2高値型喘息には、重複する表現型のアレルギー性喘息(空気アレルゲンに対する特定の免疫グロブリンE(IgE)発現の増加を特徴とする)ならびに好酸球性喘息(血液および/または気道/組織の好酸球増加症を特徴とする)が含まれる(非特許文献1、上記;非特許文献2;非特許文献3)。
【0008】
アレルギー感作は、小児および成人において喘息の発端および重症度に関する強いリスク因子である(非特許文献4)。この疾患の症状および継続的な炎症プロセスに対処する現在のアレルギー性喘息療法は、基礎となる調節異常を起こした免疫応答に影響を与えないことから、アレルギー性喘息進行のコントロールに極めて限定される(非特許文献5)。
【0009】
ABPAは、気道に生着したアスペルギルス属種(例えば、A.フミガーツス(A.fumigatus))に対する過敏症によって引き起こされるアレルギー性の肺障害である。ABPAは、ほとんどの場合、喘息または嚢胞性線維症を有する対象で起こる。
【0010】
ABPAは、臨床的に、喘鳴、呼吸困難、呼吸器の悪化、気管支過敏症、喀血または喀痰を伴う咳(患者の31~69%において茶色がかった黒色の粘液栓の喀出)、粘液栓の形成を伴う中心性気管支拡張症、ならびに著しく上昇したIgEおよび血液および組織の好酸球増加症を特徴とする。
【0011】
現在のところABPAに特異的な承認された薬物はない。現在の治療の主流は、全身性コルチコステロイドであり、アジュバント療法として抗真菌剤が使用されている。しかしながら、ABPA患者の50%より多くが、コルチコステロイドの治療効能の限界または著しい副作用のいずれかのために、治療が不十分であるかまたは効果的に治療されていない。したがって、ABPAを伴う患者は、未だ満たされていない医療上の高い必要性を有する。
【0012】
嚢胞性線維症(CF)はまた、膵線維症としても公知であり、これは、概ね肺に、ただし膵臓、肝臓、腎臓、および腸にも影響を与える遺伝的障害である。長期にわたる問題としては、頻繁な肺感染の結果としての呼吸や粘液の喀出の困難さが挙げられる。他の兆候および症状としては、なかでも、副鼻腔感染症、成長不良、脂肪便、指および足指のばち状化、ならびに男性の不妊症が挙げられる。対象は、様々な程度の症状を有し得る。
【0013】
CFは、常染色体劣性の方式で遺伝する。これは、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)タンパク質の遺伝子の両方のコピーにおける突然変異の存在によって引き起こされる。単一の作業用コピーを有するものはキャリアーであり、そうでないものの大部分が正常である。CFTRは、汗、消化液、および粘液の生産に関与する。CFTRが機能的ではない場合、分泌物は、通常薄いが、その代わりに濃くなる。この状態は、汗の試験および遺伝学的試験によって診断される。世界の一部の地域では、出生時における乳児のスクリーニングが行われている。
【0014】
嚢胞性線維症のための治療法はない。肺感染症は、静脈内、吸入、または経口で与えることができる抗生物質で治療される。時には、抗生物質であるアジスロマイシンが長期にわたり使用される。また高張食塩水およびサルブタモールの吸入も有用であり得る。肺移植は、肺機能が悪化し続ける場合の選択肢であり得る。膵酵素置換および脂溶性ビタミン補充は、特に若年層において重要である。平均寿命は、先進国世界で42~50歳である。CFは多臓器疾患である一方、肺の問題は、罹患および死亡の主な原因である。他のCFの症状としては、膵機能不全、腸閉塞、汗における電解質レベルの上昇(最も一般的な診断試験を基準として)、および男性不妊症が挙げられる。CFは、北欧人の先祖の中で最もよく見られ、2,500~4,000人の新生児のうち約1人に影響を与える。25人のうち約1人がキャリアーである。CFのための治療は利用可能であるが、より有効な療法が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【文献】Fahy(2015)Nat.Rev.Immunol.15:57~65
【文献】Campoら(2013)J.Investig.Allergol.Clin.Immunol.23:76~88
【文献】Wenzel(2012)Clin Exp Allergy 42:650~8
【文献】Goughら(2015)Pediatr.Allergy Immunol.26:431~437
【文献】Dhamiら(2017)Eur.J.Allergy Clin.Immunol.72(12):1825~1848
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
喘息、例えばアレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息など、ならびにABPAなどの障害、例えば、CFと併存するABPA、喘息と併存するABPA、および喘息とCFの両方と併存するABPAなどの治療および/または予防のための新規の標的療法への必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様によれば、アレルギー性喘息を有する対象を治療するための方法が提供される。本方法は、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、該対象は、少なくとも約700IU/mLの総血清IgEレベルを有する。
【0018】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約150細胞/μlまたは少なくとも約300細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。
【0019】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約25ppb、または少なくとも約20ppbのベースライン呼気一酸化窒素(FeNO)レベルを有する。
【0020】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約0.35kU/Lのアレルゲン特異的IgEレベルを有する。
【0021】
ある特定の模範的な実施形態では、アレルゲンは、動物(例えば、チリダニ(例えば、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)またはヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus))、ゴキブリ、ネコまたはイヌ)、真菌(例えば、アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、クラドスポリウム・ハーバルム(Cladosporium herbarum)またはアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus))および植物からなる群から選択される。
【0022】
ある特定の模範的な実施形態では、アレルゲンは、ネコのふけ、イヌのふけ、チャバネゴキブリおよびトウヨウゴキブリからなる群から選択される。
【0023】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。
【0024】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。
【0025】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0026】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。
【0027】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。
【0028】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0029】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0030】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0031】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間重症喘息悪化における低減をもたらす。
【0032】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。
【0033】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0034】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0035】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0036】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息を有する。
【0037】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存するアレルギー性喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0038】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0039】
別の態様によれば、アレルギー性喘息を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約300細胞/μlのベースライン血中好酸球レベルを有する、方法が提供される。
【0040】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約25ppb、または少なくとも約20ppbのベースライン呼気一酸化窒素(FeNO)レベルを有する。
【0041】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約700IU/mLの総血清IgEレベルを有する。
【0042】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約0.35kU/Lのアレルゲン特異的IgEレベルを有する。
【0043】
ある特定の模範的な実施形態では、アレルゲンは、チリダニ、ゴキブリ、ネコのふけ、イヌのふけ、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、アルテルナリア・アルテルナータ、クラドスポリウム・ハーバルム、アスペルギルス・フミガーツス、チャバネゴキブリおよびトウヨウゴキブリからなる群から選択される。
【0044】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。
【0045】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。
【0046】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0047】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。
【0048】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0049】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0050】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0051】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間重症喘息悪化における低減をもたらす。
【0052】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。
【0053】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0054】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0055】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0056】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息を有する。
【0057】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存するアレルギー性喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0058】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、若年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0059】
別の態様によれば、アレルギー性喘息を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約20ppbのベースライン呼気一酸化窒素(FeNO)レベルを有する、方法が提供される。
【0060】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも25ppbのベースラインFeNOレベルを有する。
【0061】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約150細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約300細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。
【0062】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約700IU/mLの総血清IgEレベルを有する。
【0063】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約0.35kU/Lのアレルゲン特異的IgEレベルを有する。
【0064】
ある特定の模範的な実施形態では、アレルゲンは、チリダニ、ゴキブリ、ネコのふけ、イヌのふけ、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、アルテルナリア・アルテルナータ、クラドスポリウム・ハーバルム、アスペルギルス・フミガーツス、チャバネゴキブリおよびトウヨウゴキブリからなる群から選択される。
【0065】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。
【0066】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。
【0067】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0068】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。
【0069】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0070】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0071】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0072】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間重症喘息悪化における低減をもたらす。
【0073】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。
【0074】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0075】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0076】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0077】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存するアレルギー性喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0078】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0079】
別の態様において、アレルギー性喘息を有する対象において努力呼気肺活量(FEV1)によってまたは肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能を改善する方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約700IU/mLの総血清IgEレベルを有する、方法が提供される。
【0080】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0081】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0082】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0083】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息を有する。
【0084】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存するアレルギー性喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0085】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0086】
別の態様では、アレルギー性喘息を有する対象において年間重症喘息悪化を低減する方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約700IU/mLの総血清IgEレベルを有する、方法が提供される。
【0087】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0088】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0089】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0090】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息を有する。
【0091】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存するアレルギー性喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0092】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0093】
別の態様では、アレルギー性喘息を有する対象において喘息コントロール質問表(ACQ-5)スコアを改善する方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約700IU/mLの総血清IgEレベルを有する、方法が提供される。
【0094】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0095】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0096】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0097】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息を有する。
【0098】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存するアレルギー性喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0099】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0100】
別の態様では、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する、方法が提供される。
【0101】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。
【0102】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約0.35kU/Lのアレルゲン特異的血清IgEレベルを有する。ある特定の模範的な実施形態では、アレルゲンは、アスペルギルス・フミガーツスである。
【0103】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。
【0104】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。
【0105】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0106】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。
【0107】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0108】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0109】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0110】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間重症喘息悪化における低減をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、総血清IgEレベルにおける減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、血清中のアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEにおける減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、TARCレベル、エオタキシン-3レベルおよび末梢血中好酸球レベルの1つまたはそれ以上における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、FeNO(ppb)は、低減される。
【0111】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0112】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0113】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0114】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良な喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0115】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0116】
別の態様では、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベルを有する、方法が提供される。
【0117】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約300細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。
【0118】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する。
【0119】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。
【0120】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。
【0121】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。
【0122】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0123】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。
【0124】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。
【0125】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0126】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0127】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0128】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間重症喘息悪化における低減をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、総血清IgEレベルにおける減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、血清中のアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEにおける減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、TARCレベル、エオタキシン-3レベルおよび末梢血中好酸球レベルの1つまたはそれ以上における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、FeNO(ppb)は、低減される。
【0129】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0130】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0131】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0132】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良な喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0133】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0134】
別の態様では、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する、方法が提供される。
【0135】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約0.35kU/Lのアレルゲン特異的血清IgEレベルを有する。
【0136】
ある特定の模範的な実施形態では、アレルゲンは、アスペルギルス・フミガーツスである。
【0137】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する。
【0138】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。
【0139】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。
【0140】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0141】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。
【0142】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0143】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0144】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0145】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間重症喘息悪化における低減をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、総血清IgEレベルにおける減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、血清中のアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEにおける減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、TARCレベル、エオタキシン-3レベルおよび末梢血中好酸球レベルの1つまたはそれ以上における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、FeNO(ppb)は、低減される。
【0146】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の配列の重鎖可変領域(HCVR)および配列番号2の配列の軽鎖可変領域(LCVR)を含む。
【0147】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0148】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0149】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良な喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0150】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0151】
別の態様では、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に関連する喘息を有する対象において努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能を改善する方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する、方法が提供される。
【0152】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0153】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0154】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0155】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0156】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0157】
別の態様では、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に関連する喘息を有する対象において年間重症喘息悪化を低減する方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する、方法が提供される。
【0158】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0159】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0160】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0161】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0162】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0163】
別の態様では、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に関連する喘息を有する対象において喘息コントロール質問表(ACQ-5)スコアを改善する方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する、方法が提供される。
【0164】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0165】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0166】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0167】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0168】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0169】
別の態様では、併存するアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)および嚢胞性線維症(CF)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する。
【0170】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。
【0171】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約0.35kU/Lのアレルゲン特異的血清IgEレベルを有する。ある特定の模範的な実施形態では、アレルゲンは、アスペルギルス・フミガーツスである。
【0172】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。
【0173】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。
【0174】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0175】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。
【0176】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0177】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0178】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0179】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。
【0180】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、総血清IgEレベルおよび血清中のアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベルの一方または両方における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、TARCレベル、エオタキシン-3レベルおよび末梢血中好酸球レベルの1つまたはそれ以上における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、FeNO(ppb)は、低減される。
【0181】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0182】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0183】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0184】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間喘息悪化における低減をもたらす。
【0185】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0186】
別の態様では、併存するアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)および嚢胞性線維症(CF)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベルを有する、方法が提供される。
【0187】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約300細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。
【0188】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。
【0189】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。
【0190】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0191】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。
【0192】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0193】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0194】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0195】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。
【0196】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、総血清IgEレベルおよび血清中のアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベルの一方または両方における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、TARCレベル、エオタキシン-3レベルおよび末梢血中好酸球レベルの1つまたはそれ以上における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、FeNO(ppb)は、低減される。
【0197】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0198】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0199】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0200】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間喘息悪化における低減をもたらす。
【0201】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0202】
別の態様では、併存するアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)および嚢胞性線維症(CF)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する、方法が提供される。
【0203】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約0.35kU/Lのアレルゲン特異的血清IgEレベルを有する。ある特定の模範的な実施形態では、アレルゲンは、アスペルギルス・フミガーツスである。
【0204】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する。
【0205】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。
【0206】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。
【0207】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0208】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。
【0209】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0210】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0211】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0212】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。
【0213】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、総血清IgEレベルおよび血清中のアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベルの一方または両方における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、TARCレベル、エオタキシン-3レベルおよび末梢血中好酸球レベルの1つまたはそれ以上における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、FeNO(ppb)は、低減される。
【0214】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0215】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0216】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0217】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間喘息悪化における低減をもたらす。
【0218】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0219】
別の態様では、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベル、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベル、または少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する、方法が提供される。
【0220】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベル、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベル、および少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数のうち少なくとも2つを有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベル、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベル、および少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を有する。
【0221】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、負荷投与量として、続いて複数の維持量として対象に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、2週毎(q2w)に投与される。
【0222】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgである。
【0223】
ある特定の模範的な実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約400mgである。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量のそれぞれは、抗体またはその抗原結合フラグメント約200mgである。
【0224】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量は、少なくとも24週間投与される。
【0225】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量の2週間後に投与される。
【0226】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、努力呼気肺活量(FEV1)によって、または肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定される肺機能における改善をもたらす。
【0227】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、総血清IgEレベルおよび血清中のアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベルの一方または両方における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、TARCレベル、エオタキシン-3レベルおよび末梢血中好酸球レベルの1つまたはそれ以上における減少をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、FeNO(ppb)は、低減される。
【0228】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0229】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0230】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0231】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、中等症から重症のコントロール不良な喘息を有する。ある特定の模範的な実施形態では、治療は、年間重症喘息悪化における低減をもたらす。
【0232】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0233】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0234】
別の態様では、喘息を有する対象を治療するための方法であって、2つまたはそれより多くの用量のインターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象は、ワクチンをさらに投与される、方法が提供される。
【0235】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの投与は、ワクチンを投与する前に一時的に中止される。
【0236】
ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、抗体またはその抗原結合フラグメントが対象に最後に投与されてから少なくとも7日後に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、抗体またはその抗原結合フラグメントが対象に最後に投与されてから約7日~約60日後に投与される。
【0237】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの投与は、ワクチンの投与の後、再開される。
【0238】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ワクチンの投与の約1日~約90日後に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ワクチンの投与の約7日後に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ワクチンの投与の約14日後に投与される。
【0239】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ワクチンの投与の約21日後に投与される。
【0240】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントの効能は、ワクチンの投与によって減少されない。
【0241】
ある特定の模範的な実施形態では、対象の努力呼気肺活量(FEV1)は、ワクチンの投与の前と後でほぼ同じである。
【0242】
ある特定の模範的な実施形態では、対象におけるワクチンの効能は、抗体またはその抗原結合フラグメントの投与によって減少されない。
【0243】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、ワクチンの投与の後に血清防御的な中和力価を生じる。
【0244】
ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、生ワクチンである。ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、生きた弱毒化した黄熱病ウイルスを含む。ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、黄熱病ウイルスに対して特異的である。
【0245】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0246】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0247】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0248】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0249】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0250】
別の態様では、対象にワクチンを投与するための方法であって、ワクチンの投与の前、その間、またはその後に、対象は、少なくとも1つの用量のインターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む、方法が提供される。
【0251】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、2型炎症性疾患を有する。ある特定の模範的な実施形態では、2型炎症性疾患は、喘息、アレルギー性鼻炎、鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSsNP)、好酸球性食道炎(EoE)、アトピー性皮膚炎(AD)、食物および環境アレルギー、アスピリンによって悪化する呼吸器疾患(AERD)、および他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)によって悪化する呼吸器疾患のうちの1つまたはいずれかの組合せからなる群から選択される。
【0252】
ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、抗体またはその抗原結合フラグメントの最後の用量の約1日~約90日後に、対象に投与される。
【0253】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0254】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9の重鎖配列および配列番号10の軽鎖配列を含む。
【0255】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0256】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、喘息を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、嚢胞性線維症を示す。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、併存する喘息および併存する嚢胞性線維症を示す。
【0257】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、成人である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、青少年である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、小児である。
【0258】
他の実施形態は、次の詳細な説明、図面、表および添付の特許請求の範囲の総説から明らかになる。
【0259】
本発明の前述のおよび他の特徴および利点は、添付の図面と合わせられる例示的な実施形態の次の詳細な説明からより十分に理解される。本発明のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面/写真を含む。カラーの図面/写真を有する本発明のコピーは、必要な料金の請求および支払い後、本庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0260】
【
図1-1】
図1A~
図1Eは、年間重症悪化率へのデュピルマブの作用を示す図である。
図1Aは、デュピルマブが、総合的なアレルギー性喘息サブグループにおいて、ならびにアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった総合的な喘息サブグループにおいて総合的な年間重症悪化率を低減させたことを示す。
図1Bは、アレルギー性喘息サブグループにおける、ならびにアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった喘息サブグループにおけるデュピルマブの作用を示し、対象は、150細胞/μL以上の血中好酸球レベルを有していた。
図1Cは、アレルギー性喘息サブグループにおける、ならびにアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった喘息サブグループにおけるデュピルマブの作用を示し、対象は、300細胞/μL以上の血中好酸球レベルを有していた。
図1Dは、アレルギー性喘息サブグループにおける、ならびにアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった喘息サブグループにおけるデュピルマブの作用を示し、対象は、≧25ppbのベースライン血中FeNOを有していた。
図1Eは、アレルギー性喘息サブグループにおける、ならびにアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった喘息サブグループにおけるデュピルマブの作用を示し、対象は、血清総IgE>700IU/mLを有していた。CI、信頼区間;FeNO、呼気一酸化窒素;ITT、治療企図;q2w、2週毎。
【
図2A】総合的なアレルギー性喘息サブグループにおける、およびアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった総合的な喘息サブグループにおけるFEV
1(L)へのデュピルマブの作用を示す図である。
図2Aは、総合的なアレルギー性喘息サブグループにおける52週の治療期間中のベースラインFEV
1における変化を示し、第12週におけるベースライン血中好酸球レベル、FeNOレベル、またはベースライン血清総IgEレベルによってさらに定義されたサブグループにおける作用の規模を示す。
【
図2B】総合的なアレルギー性喘息サブグループにおける、およびアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった総合的な喘息サブグループにおけるFEV
1(L)へのデュピルマブの作用を示す図である。
図2Bは、アレルギー性喘息の基準を満たしていなかった総合的な喘息サブグループにおける52週の治療期間中のベースラインFEV
1における変化を示し、第12週におけるベースライン血中好酸球レベル、FeNOレベル、またはベースライン血清総IgEレベルによってさらに定義されたサブグループにおける作用の規模を示す。
【
図3】総合的なアレルギー性喘息サブグループ、およびアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった総合的な喘息サブグループにおける52週の治療期間中の喘息コントロールへのデュピルマブの作用(ACQ-5によって測定される)を示す図である。ACQ-5、5項目喘息コントロール質問表;LS、最小二乗;q2w、2週毎;SE、標準誤差。
【
図4A】様々なバイオマーカーへのデュピルマブの作用を示す図である。
図4Aは、血清総IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す。CI、信頼区間;FeNO、呼気一酸化窒素;q2w、2週毎;TARC、胸腺および活性化調節ケモカイン。
【
図4B】様々なバイオマーカーへのデュピルマブの作用を示す図である。
図4Bは、FeNOレベルへのデュピルマブの作用を示す。CI、信頼区間;FeNO、呼気一酸化窒素;q2w、2週毎;TARC、胸腺および活性化調節ケモカイン。
【
図4C】様々なバイオマーカーへのデュピルマブの作用を示す図である。
図4Cは、総合的なアレルギー性喘息サブグループ、およびアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった総合的な喘息サブグループ(曝露された集団)における52週の治療期間中の血清TARCレベルへのデュピルマブの作用を示す。CI、信頼区間;FeNO、呼気一酸化窒素;q2w、2週毎;TARC、胸腺および活性化調節ケモカイン。
【
図5-1】
図5A~
図5Hは、アレルギー性喘息サブグループにおける52週の治療期間中の抗原特異的血清IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す図である。
図5Aは、A.フミガーツスに曝露されたアレルギー性喘息サブグループにおける≧0.35kU/mL(曝露された集団)の抗原特異的血清IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す。
図5Bは、ネコのふけに曝露されたアレルギー性喘息サブグループにおける抗原特異的血清IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す。
図5Cは、コナヒョウヒダニ(D.farinae)に曝露されたアレルギー性喘息サブグループにおける抗原特異的血清IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す。
図5Dは、ヤケヒョウヒダニ(D.pteronyssinus)に曝露されたアレルギー性喘息サブグループにおける抗原特異的血清IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す。
図5Eは、イヌのふけに曝露されたアレルギー性喘息サブグループにおける抗原特異的血清IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す。
図5Fは、チャバネゴキブリに曝露されたアレルギー性喘息サブグループにおける抗原特異的血清IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す。
図5Gは、A.テヌイス/アルテルナータに曝露されたアレルギー性喘息サブグループにおける抗原特異的血清IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す。
図5Hは、C.ハーバルム/ホルモデンドラム(hormodendrum)に曝露されたアレルギー性喘息サブグループにおける抗原特異的血清IgEレベルへのデュピルマブの作用を示す。CI、信頼区間;q2w、2週毎。
【
図6】
図6A~
図6Bは、IgE≧700IU/mlの患者の統計解析を示す図である。
図6Aは、正常な分布を確認するための残差のヒストグラムを示す。
図6Bは、正常な分布を示すq-qプロットを示す。
【
図7】治療企図(ITT)母集団におけるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)を伴う患者の52週の治療期間中の年間重症悪化率を示す図である。
【
図8】ITT母集団における第24週および第52週の気管支拡張薬投与前の一秒量(FEV1)におけるベースラインからの最小二乗(LS)平均変化を示す図である。
【
図9】アスペルギルス・フミガーツス(Af)に曝露された患者集団における第52週の総血清IgEレベルを示す図である。
【
図10】Afに曝露された患者集団における第52週の総血清Af特異的IgEレベルを示す図である。
【
図11】Afに曝露された患者集団における第52週の絶対FeNO(ppb)レベルを示す図である。
【
図12】ABPAの血清学的な証拠を有するITT患者集団における52週の治療期間中の年間重症悪化率へのデュピルマブq2wの作用を示す図である。
【
図13】ABPAの血清学的な証拠を有するITT患者集団における52週の治療期間中の気管支拡張薬投与前のFEV1(L)へのデュピルマブq2wの作用を示す図である。
【
図14】ABPAの血清学的な証拠を有するITT患者集団における52週の治療期間中のACQ-5スコアへのデュピルマブq2wの作用を示す図である。
【
図15】
図15A~
図15Bは、ABPAの血清学的な証拠を有する曝露された患者における52週の治療期間中の血清総IgE(IU/mL)(
図15A)およびA.フミガーツス特異的血清IgE(IU/mL)(
図15B)へのデュピルマブq2wの作用を示す図である。
【
図16-1】
図16A~
図16Dは、ABPAの血清学的な証拠を有する曝露された患者における52週の治療期間中の2型バイオマーカーへのデュピルマブq2wの作用を示す図である。FeNO(ppb)(
図16A)、TARC(pg/mL)(
図16B)、エオタキシン-3(pg/mL)(
図16C)、および末梢血中好酸球(細胞/μL)(
図16D)。
【
図17】
図17A~
図17Bは、ワクチン接種前および後の中和YFV-17D抗体のプラーク低減中和力価(PRNT
50)を示す図である。
図17Aは、ワクチン接種前の力価が得られた23名の患者の一致した中和力価を示す。
図17Bは、すべての患者のワクチン接種前および後のデータを示す。
図17Bにおいて、37.4mg/Lの平均C
trough濃度より低いデュピルマブ濃度を有する患者は黒丸で示され、それに対して37.4mg/Lより高い血清濃度を有する患者は白丸で示される。力価<1:10は、血清反応陰性と定義され、そのような値を「1」と指定した。
図17A~
図17Bは、すべての37名のワクチン接種した患者が、ワクチン接種後に血清防御的な黄熱病中和力価を有していたことを示す。
【
図18】ワクチン接種前のデュピルマブ濃度に対する(log)PRNT力価の増加(接種後対接種前の力価)を示す図である。23名の患者のうち15名において、YFV投与の同じ日にワクチン接種前のPKサンプルを収集した。すべての13名の37.4mg/Lより高い血清デュピルマブ濃度を有する患者は、YFVの後に血清防御的なPRNT力価を有していた。これらの患者のうち12名が、ワクチン接種後力価の増加を実証し、一方でこれらの13名の患者のうち1名は力価の増加を実証しなかったが、すでにベースライン時に血清防御的な閾値の範囲内であった。これらの患者のPRNT力価レベルにおける倍率変化は、
図18で実証される。接種前力価<1:10であり、10を使用して力価倍数の増加を計算した。
【
図19】LTS12551試験における黄熱病ワクチン接種を受けた患者における黄熱病ワクチン接種の前および後の平均絶対FEV
1(L)を示す図である。
図19は、YFVを投与する前の来診からYFVを投与した後の最初の来診の間、FEV
1が安定していたことを示す。BL:親試験のベースライン;YF前:黄熱病ワクチン接種の前の最後の来診;YF後:黄熱病ワクチン接種の後の最初の来診;FU:追跡期間中の来診。
【
図20】LTS12551試験における黄熱病ワクチン接種を受けた患者における黄熱病ワクチン接種の前および後のFEV1(L)におけるベースラインからの平均変化を示す図である。
図20は、YFVを投与する前の来診からYFVを投与した後の最初の来診の間、FEV1が安定していたことを示す。BL:親試験のベースライン;YF前:黄熱病ワクチン接種の前の最後の来診;YF後:黄熱病ワクチン接種の後の最初の来診;FU:追跡期間中の来診。
【発明を実施するための形態】
【0261】
本発明を説明する前に、本発明は、かかる方法および条件が変わり得るため、記載した特定の方法および実験条件に限定されないということが理解されるものとする。本発明の範囲が、添付した特許請求の範囲によりのみ限定されるため、本明細書中で用いられる用語は、特定の実施形態のみを記述する目的のためであり、限定することを意図しないということも理解されるものとする。
【0262】
別段に定義されていない限り、本明細書において使用されているすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当技術分野の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。
【0263】
本明細書で使用される場合、用語「約」とは、特定の列挙した数値に関して用いる場合、その値は、列挙した値から1%以下まで変わり得るという意味である。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現には、99および101ならびにその間のすべての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)が含まれる。
【0264】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療すること」などは、症状を緩和する、一時的にもしくは恒久的に症状の因果関係を除去する、または指定された障害もしくは状態の症状の出現を予防するもしくは遅くすることを意味する。
【0265】
本明細書中に記載のものと類似のまたは等価の任意の方法および材料が、本発明の実行において用いることができるが、典型的な方法および材料は、ここに記載される。本明細書で述べたすべての刊行物は、参照によってその全体を本明細書に組み入れる。
【0266】
喘息および/またはABPA悪化の発生率を低下させるための方法
それを必要とする対象において喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)および/またはABPA(ABPA、喘息に関連するABPA、CFに関連するABPA、喘息およびCFに関連するABPAなど)の悪化の発生率を低下させるための方法であって、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が提供される。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストは、IL-4Rと特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントである。本明細書で特徴付けられる本方法の文脈において用いることができる模範的な抗IL-4R抗体は、本明細書の他所で記載されている。
【0267】
本明細書で使用される場合、「喘息の悪化」という表現は、喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)の1種またはそれ以上の症状または兆候の重症度および/または頻度および/または持続時間の増加を意味する。「喘息の悪化」はまた、喘息についての治療的介入(例えば、ステロイド治療、吸入コルチコステロイド治療、入院など)を要する、およびまたはそれにより治療可能である、対象の呼吸器の健康状態の任意の増悪が含まれる。2つのタイプの喘息の悪化事象、すなわち、喘息コントロールの喪失(LOAC)事象および重症の悪化事象がある。
【0268】
本明細書で使用される場合、「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の悪化」または「ABPAの悪化」という表現は、それだけに限らないが、喘鳴、呼吸困難、呼吸器の悪化、気管支過敏症、喀血、喀痰を伴う咳(茶色がかった黒色の粘液栓の喀出)、粘液栓の形成を伴う中心性気管支拡張症、著しく上昇した総IgE、著しく上昇したAf特異的IgEおよび組織の好酸球増加症などのABPAの1つまたはそれ以上の症状または兆候の重症度および/または頻度および/または持続時間の増加を意味する。
【0269】
ある特定の実施形態によれば、ABPAの悪化は、HLA-DR2血清型(例えば、サブタイプHLA-DRB1*1501、サブタイプ*HLA-DRB1*1503、もしくはサブタイプ*HLA-DRB1*1601)またはHLA-DR5血清型(例えば、サブタイプHLA-DRB1*1101、サブタイプHLA-DRB1*1104、もしくはサブタイプHLA-DRB1*1202)を有する対象で起こり、場合により対象は、Af抗原に曝露されると、これらの血清型および/またはサブタイプのうちの1つを有していない対象と比べて、ABPAを発生させる感受性を増加させる。
【0270】
ある特定の実施形態によれば、喘息コントロールの喪失(LOAC)事象は、次のうちの1つまたはそれ以上として定義される:(a)連続2日間における24時間における(ベースラインと比較して)サルブタモール/アルブテロールもしくはレボサルブタモール/レブアルブテロールの追加の緩和薬パフが6回以上;(b)来診2における4倍以上の用量でのICSの増加;および(c)3日以上の全身性コルチコステロイドの使用;または(d)喘息のため全身性コルチコステロイドを必要とする入院もしくは緊急治療室の来診。
【0271】
ある特定の例では、喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)の悪化は、「重症喘息の悪化事象」として分類することができる。重症喘息(例えば、重症アレルギー性喘息)の悪化事象は、インシデントの前に摂取させる用量の4倍以上での全身性コルチコステロイドまたは吸入コルチコステロイドのいずれかによる治療の形態での即時の介入を必要とするインシデントを意味する。ある特定の実施形態によれば、重症喘息(例えば、重症アレルギー性喘息)の悪化事象は、3日間以上の全身性コルチコステロイドの使用;または喘息のため入院もしくは緊急治療室の来診を必要とする、全身性コルチコステロイドを必要とする、喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)の悪化と定義される。したがって、一般的な表現「喘息の悪化」は、「重症喘息の悪化」のより詳細な下位範疇を含み包含する。したがって、それを必要とする患者において重症喘息の悪化の発生率を低下させるための方法が含まれる。
【0272】
喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)および/またはABPAの悪化の「発生率の低下」とは、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与されている対象が、治療前より治療後により少ない喘息もしくはABPAの悪化(すなわち、少なくとも1回のより少ない悪化)を経験すること、または医薬組成物による治療の開始の少なくとも4週間後(例えば、4、6、8、12、14週以上後)喘息の悪化を経験しないことを意味する。あるいは、喘息および/またはABPAの悪化の「発生率の低下」とは、医薬組成物の投与後、対象が喘息の悪化を経験する可能性が、医薬組成物を投与されていない対象と比較して、少なくとも10%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%以上)減少することを意味する。
【0273】
それを必要とする対象において喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)および/またはABPAの悪化の発生率を低下させるための方法であって、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与する工程、ならびに吸入コルチコステロイド(ICS)のうち1回もしくはそれ以上の維持量および/または第2のコントローラー、例えば、長時間作用性β-アゴニスト(LABA)もしくはロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTA)のうち1回もしくはそれ以上の維持量を、対象に投与する工程を含む、方法が提供される。適当なICSには、それだけには限らないが、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、例えば、Flovent(商標))、ブデソニド、モメタゾン(例えば、フロ酸モメタゾン、例えば、Asmanex(商標))、フルニソリド(例えば、Aerobid(商標))、酢酸デキサメタゾン/フェノバルビタール/テオフィリン(例えば、Azmacort(商標))、ジプロピオン酸ベクロメタゾンHFA(Qvar(商標))などが含まれる。適当なLABAには、それだけには限らないが、サルメテロール(例えば、Serevent(商標))、ホルモテロール(例えば、Foradil(商標))などが含まれる。適当なLTAには、それだけには限らないが、モンテルカスト(例えば、Singulaire(商標))、ザフィルルーカスト(例えば、Accolate(商標))などが含まれる。
【0274】
それを必要とする対象において喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)および/またはABPAの悪化の発生率を低下させるための方法であって、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与する工程、ならびに1つまたはそれ以上の緩和薬薬剤を対象に投与して、1種またはそれ以上の喘息関連症状を除去または減少させる工程を含む、方法が提供される。適当な緩和薬薬剤には、それだけには限らないが、即効性β2-アドレナリン受容体刺激薬、例えば、アルブテロール(すなわち、サルブタモール、例えば、Proventil(商標)、Ventolin(商標)、Xopenex(商標)など)、ピルブテロール(例えば、Maxair(商標))、メタプロテレノール(例えば、Alupent(商標))などが含まれる。
【0275】
喘息関連および/またはABPA関連パラメーターを改善するための方法
それを必要とする対象において1つまたはそれ以上の喘息関連および/またはABPA関連パラメーターを改善するための方法であって、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法も提供される。(前述した通り)喘息の悪化および/またはABPAの悪化の発生率の低下は、1つまたはそれ以上の喘息関連パラメーターおよび/またはABPA関連パラメーターの改善と相関する可能性がある;しかしながら、このような相関は必ずしもすべての場合で観察されるとは限らない。
【0276】
「喘息関連パラメーター」、「ABPA関連喘息パラメーター」および「アレルギー性喘息関連パラメーター」の例には、次が含まれる:(1)一秒量(FEV1)におけるベースライン(例えば、第12週における)からの相対的変化パーセント;(2)肺容量25~75%における強制呼気速度(FEF25~75%)によって測定されるベースライン(例えば、第12週における)からの相対的変化パーセント;(3)治療期間中の喘息コントロールの喪失事象の年率;(4)治療期間中の重症悪化事象の年率;(5)治療期間中の喘息コントロールの喪失事象までの時間;(6)治療期間中の重症悪化事象までの時間;(7)全試験期間中の喘息コントロールの喪失事象までの時間;(8)全試験期間中の重症悪化事象までの時間;(9)医療資源の利用;(10)i)朝晩の喘息症状スコア、ii)ACQ-5スコア、iii)AQLQスコア、iv)朝晩のPEF、v)症状緩和のためのサルブタモール/アルブテロールもしくはレボサルブタモール/レブアルブテロールの吸入回数/日数、vi)夜間中途覚醒における、ベースライン(例えば、第12週における)からの変化;または(11)i)22項目の鼻副鼻腔疾患評価項目(SNOT-22)、ii)病院不安・抑うつスコア(HADS:Hospital Anxiety and Depression Score)、iii)EuroQual質問表(EQ-5D-3LもしくはEQ-5D-5L)におけるベースライン(例えば、第12週もしくは第24週における)からの変化。「喘息関連パラメーターの改善」とは、FEV1、AM PEFもしくはPM PEFのうち1つもしくはそれ以上のベースラインからの増加、および/または毎日のアルブテロール/レブアルブテロールの使用、ACQ5スコア、平均の夜間の覚醒状態もしくはSNOT-22スコアのうち1つまたはそれ以上のベースラインからの減少を意味する。本明細書で使用される場合、喘息関連パラメーターに関して、用語「ベースライン」とは、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与前もしくは投与時の患者についての喘息関連パラメーターの数値を意味する。
【0277】
喘息関連(例えば、アレルギー性喘息関連)パラメーターまたはABPA関連喘息パラメーターが「改善された」かどうかを決定するために、パラメーターは、ベースライン時に、および本明細書に記載される医薬組成物の投与後の時点で、定量化される。例えば、喘息関連パラメーターは、医薬組成物による初回治療後、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、14日目に、もしくは3週目、4週目、5週目、6週目、7週目、8週目、9週目、10週目、11週目、12週目、13週目、14週目、15週目、16週目、17週目、18週目、19週目、20週目、21週目、22週目、23週目、24週目、またはそれ以上で測定することができる。治療の開始後の特定の時点でのパラメーターの値とベースライン時のパラメーターの値との間の差を用いて、喘息関連パラメーターの「改善」(例えば、場合によっては、測定されている特定のパラメーターに応じて、増加または減少)がされているかどうかを確立する。
【0278】
本明細書で使用される場合、用語「獲得する」または「獲得すること」とは、物理的実体または値、例えば、喘息関連パラメーターを「直接獲得すること」または「間接的に獲得すること」により、物理的実体、または値、例えば、数値の所有を得ることを意味する。「直接獲得すること」とは、物理的実体または値を得るために、ある方法を行う(例えば、合成または分析方法を行う)ことを意味する。「間接的に獲得すること」とは、別のパーティーまたは供給源(例えば、物理的実体または値が直接獲得される第三者検査室)から物理的実体または値を受け取ることを指す。物理的実体を直接獲得することには、物質的存在、例えば、出発材料の物理的な変化を含む、方法を行うことが含まれる。模範的な変化には、2種以上の出発材料から物理的実体を作製すること、物質を剪断するまたは断片化すること、物質を分離するまたは精製すること、2種以上の別々の実体を混合物に合わせること、共有または非共有結合を壊すまたは形成することを含む化学反応を行うことが含まれる。値を直接獲得することには、サンプルまたは別の物質の物理的な変化を含む方法を行うこと、例えば、物質、例えば、サンプル、分析物、または試薬の物理的な変化を含む分析方法を行うこと(本明細書中で、時折、「物理分析」と称する)が含まれる。
【0279】
間接的に獲得される情報は、例えば、書面または電子形態、例えば、オンラインデータベースまたはアプリケーション(「App」)などで供給される、報告の形態で提供することができる。報告または情報は、例えば、医療機関、例えば、病院もしくは診療所;または医療提供者、例えば、医師もしくは看護師により提供することができる。
【0280】
一秒量(FEV1)。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与によって、一秒量(FEV1)のベースラインからの増加をもたらす。FEV1を測定するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、2005年米国胸部学会(ATS)/欧州呼吸器学会(ERS)の推奨にかなう肺活量計を用いて、患者においてFEV1を測定することができる。ATS/ERS Standardization of Spirometryは、ガイドラインとして用いることができる。肺活量測定は、少なくとも6時間のアルブテロール保留後6~10AMの間で一般に行われる。肺機能検査は、座位で一般に測定され、最高測度が、FEV1について(リットルで)記録される。
【0281】
抗IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物による治療の開始後の第12週における少なくとも0.05LのベースラインからFEV1を増加させる治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストのそれを必要とする対象への投与は、第12週に、約0.05L、0.10L、0.12L、0.14L、0.16L、0.18L、0.20L、0.22L、0.24L、0.26L、0.28L、0.30L、0.32L、0.34L、0.36L、0.38L、0.40L、0.42L、0.44L、0.46L、0.48L、0.50L、またはそれ以上、ベースラインからFEV1を増加させる。
【0282】
FEF25~75%。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与によって、FEF25~75%のベースラインからの増加をもたらす。FEFを測定するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、2005年米国胸部学会(ATS)/欧州呼吸器学会(ERS)の推奨にかなう肺活量計を用いて、患者においてFEV1を測定することができる。FEF25~75%(強制呼気速度25%~75%の間)は、人が、最大呼気中のその空気の中間流量(middle half)(すなわち、努力性肺活量またはFVC)を空にすることができる速さ(1秒当たりのリットルで)である。パラメーターは、FVCの25パーセントが、呼気される時点から、FVCの75パーセントが、呼気される時点までの平均の流動に関する。対象のFEF25~75%は、小気道疾患および/または炎症の程度のような、小気道機能に関する、情報を提供する。FEF25~75%の変化は、閉塞性肺疾患の早期の指標である。ある特定の実施形態では、FEF25~75%パラメーターの改善および/または増加は、ベースラインと比較された場合の、少なくとも10%、25%、50%以上の改善である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、対象において正常FEF25~75%値(例えば、平均50~60%から130%までの範囲の値)をもたらす。
【0283】
朝晩の最大呼気流量(AM PEFおよびPM PEF)。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、朝(AM)および/または晩(PM)最大呼気流量(AM PEFおよび/またはPM PEF)のベースラインからの増加をもたらす。PEFを測定するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、PEFを測定する一方法によれば、患者は、朝(AM)および晩(PM)のPEF(ならびに毎日のアルブテロールの使用、朝晩の喘息症状スコア、および緊急時の薬剤を必要とする喘息症状による夜間の覚醒状態の数)を記録するために電子PEFメーターが支給される。患者は、デバイスの使用を指導され、電子PEFメーターの書面の使用説明書が、患者に提供される。さらに、医療専門家は、電子PEFメーターにおける適切な変数の記録の仕方に関して患者を指導することができる。AM PEFは、任意のアルブテロールを投与する前に、起床(6am~10amの間)後15分以内に、一般に行われる。PM PEFは、任意のアルブテロールを投与する前に晩(6pm~10pmの間)に一般に行われる。対象は、それらのPEFを測定する少なくとも6時間前にアルブテロールを保留することを試みるべきである。3種のPEF努力は、患者により行われ、3つすべての値は、電子PEFメーターにより記録される。通常、最高値が、評価のために用いられる。ベースラインAM PEFは、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の第1の用量の投与の7日前に記録された平均AM測定として算出することができ、ベースラインPM PEFは、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の第1の用量の投与の7日前に記録された平均PM測定として算出することができる。
【0284】
抗IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物による治療の開始後の第12週に少なくとも1.0L/分のベースラインからのAM PEFおよび/またはPM PEFの増加をもたらす治療方法が提供される。例えば、模範的な実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストのそれを必要とする対象への投与は、第12週に約0.5L/分、1.0L/分、1.5L/分、2.0L/分、2.5L/分、3.0L/分、3.5L/分、4.0L/分、4.5L/分、5.0L/分、5.5L/分、6.0L/分、6.5L/分、7.0L/分、7.5L/分、8.0L/分、8.5L/分、9.0L/分、9.5L/分、10.0L/分、10.5L/分、11.0L/分、12.0L/分、15L/分、20L/分以上のベースラインからのPEFの増加をもたらす。
【0285】
アルブテロール/レブアルブテロールの使用。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、毎日のアルブテロールまたはレブアルブテロールの使用のベースラインからの減少をもたらす。アルブテロール/レブアルブテロールの吸入数は、日記、PEFメーター、または他の記録デバイスで患者により毎日記録することができる。本明細書に記載される医薬組成物による治療中、アルブテロール/レブアルブテロールは、一般に、症状について必要な場合に、定期的でなくまたは予防的に使用してもよい。アルブテロール/レブアルブテロールの吸入/日のベースライン数は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の第1の用量の投与前の7日間の平均に基づいて算出することができる。
【0286】
抗IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物による治療の開始後第12週に、1日に当たり少なくとも0.25パフのベースラインからのアルブテロール/レブアルブテロールの使用の減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストのそれを必要とする対象への投与は、12週目に、1日当たり約0.25パフ、1日当たり0.50パフ、1日当たり0.75パフ、1日当たり1.00パフ、1日当たり1.25パフ、1日当たり1.5パフ、1日当たり1.75パフ、1日当たり2.00パフ、1日当たり2.25パフ、1日当たり2.5パフ、1日当たり2.75パフ、1日当たり3.00パフ以上のベースラインからのアルブテロール/レブアルブテロールの使用の減少をもたらす。
【0287】
OCSの使用。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、OCS、例えば、経口プレドニゾンと併せて用いることができる。OCSの投与数は、日記、PEFメーター、または他の記録デバイスで患者により毎日記録することができる。本明細書に記載される医薬組成物による治療中、プレドニゾンの時々の短期の使用は、一般に、急性喘息エピソード、例えば、気管支拡張薬および他の抗炎症剤が、症状をコントロールすることができないエピソードをコントロールするために用いることができる。他の態様では、プレドニゾンは、ICSと同時にまたはICSの代替として用いられる。経口プレドニゾンは、約5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mgまたは40mgの投与量で投与することができる。OCSは、1日1回または1日複数回(例えば、1日2回、1日3回、1日4回など)、場合により、投与することができる。
【0288】
ある特定の模範的な実施形態では、OCSの使用における対象の依存性を減らすまたは取り除くための方法が提供される。ステロイド依存性を減らすまたは取り除くことは、非常に有利であり、望ましい。ある特定の実施形態では、OCS用量の50%以上(例えば、50%、60%、70%、80%、90%以上)の減少は、ある一定の期間に(例えば、24週目に)、IL-4R抗体療法の投与後に達成される。ある特定の実施形態では、OCSは、負荷投与量の投与後、第1の用量の投与の40週間、45週間、50週間、52週間以上後に実質的に除去される。他の実施形態では、OCSの使用のレベルは、1日当たり5mg未満(例えば、1日当たり5mg、4mg、3mg、2mg未満またはそれ以下)まで低下される。他の実施形態では、OCSの使用への依存性は、IL4R抗体またはそのフラグメントによる治療の3カ月、6カ月、9カ月または1年後に、実質的に除去される。
【0289】
5項目喘息コントロール質問表(ACQ)スコア。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、5項目喘息コントロール質問表(ACQ5)スコアのベースラインからの減少をもたらす。ACQ5は、喘息コントロールを評価するための有効な質問表である。
【0290】
抗IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物による治療の開始後第12週に少なくとも0.10ポイントのベースラインからのACQ5スコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストのそれを必要とする対象への投与は、12週目に約0.10ポイント、0.15ポイント、0.20ポイント、0.25ポイント、0.30ポイント、0.35ポイント、0.40ポイント、0.45ポイント、0.50ポイント、0.55ポイント、0.60ポイント、0.65ポイント、0.70ポイント、0.75ポイント、0.80ポイント、0.85ポイントまたはそれ以上のベースラインからのACQスコアの減少をもたらす。
【0291】
夜間の覚醒状態。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、平均の夜間の覚醒状態数のベースラインからの減少をもたらす。
【0292】
ある特定の実施形態では、本方法は、治療の開始後12週目に一夜当たり少なくとも約0.10倍までベースラインからの平均の夜間の覚醒状態数を減少させる。例えば、IL-4Rアンタゴニストのそれを必要とする対象への投与は、12週目に、ベースラインからの平均の夜間の覚醒状態数の一夜当たり約0.10倍、一夜当たり0.15倍、一夜当たり0.20倍、一夜当たり0.25倍、一夜当たり0.30倍、一夜当たり0.35倍、一夜当たり0.40倍、一夜当たり0.45倍、一夜当たり0.50倍、一夜当たり0.55倍、一夜当たり0.60倍、一夜当たり0.65倍、一夜当たり0.70倍、一夜当たり0.75倍、一夜当たり0.80倍、一夜当たり0.85倍、一夜当たり0.90倍、一夜当たり0.95倍、一夜当たり1.0倍、一夜当たり2.0倍またはそれ以上の減少をもたらし得る。
【0293】
22項目の鼻副鼻腔疾患評価項目(SNOT-22)スコア。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、22項目の鼻副鼻腔疾患評価項目(SNOT-22)のベースラインからの減少をもたらす。SNOT-22は、生活の質に対する慢性鼻副鼻腔炎の影響を評価する有効な質問表である(Hopkinsら、2009年、Clin.Otolaryngol.34巻:447~454頁)。
【0294】
抗IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物による治療の開始後12週目に少なくとも1ポイントのベースラインからのSNOT-22スコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストのそれを必要とする対象への投与は、12週目に、ベースラインからのSNOT-22スコアの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13ポイントまたはそれ以上の減少をもたらし得る。
【0295】
バイオマーカー。ある特定の実施形態では、対象は、バイオマーカー、例えば、アレルギー性喘息(例えば、重症のコントロール不良なアレルギー性喘息)に関連するバイオマーカーおよび/またはABPAに関連するバイオマーカーによって測定される肺機能の改善を経験する。例えば、バイオマーカーは、呼気一酸化窒素(FeNO)、エオタキシン-3、総IgE、アレルゲン特異的IgE(例えば、Afに関連するIgE)、ペリオスチン、好酸球(Eos)レベル、または胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC)であり得る。ある特定の実施形態では、肺機能の改善は、(必要に応じて)治療後第4週、第12週または第24週に低下または増加により示される。
【0296】
喘息および/またはABPAを治療するための方法
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象において、喘息、例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症のコントロール不良な喘息またはコントロール不十分な喘息、ならびにこれらのいずれかのアレルギー性の形態などを治療するための方法であって、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が提供される。特定の実施形態では、本方法は、対象においてアレルギー性喘息、例えば、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息を治療するのに有用である。他の特定の実施形態では、本方法は、対象においてABPAに関連する喘息を治療するのに有用である。
【0297】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象においてABPAを治療するための方法であって、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が提供される。特定の実施形態では、本方法は、併存する喘息、例えば、中等症から重症のコントロール不良な喘息を有する対象においてABPAを治療するのに有用である。
【0298】
本明細書で使用される場合、用語「喘息」は、「間欠型喘息」、または「気管支喘息」と同義的に用いることができる。「喘息」、「気管支喘息」および「間欠型喘息」、ならびにこれらのそれぞれのアレルギー性の形態とは、次のうちの1つまたはいずれかの組合せが該当する喘息を指す:週当たり2日もしくは数日症状が起こる;症状が、日常の活動を妨げない;夜間症状が、月当たり2日未満起こる;または1回もしくはそれ以上の肺機能検査(例えば、80%超の一秒量(FEV1)および/もしくは最大呼気流量(PEF))は、対象が喘息発作に罹患していない場合、正常である。
【0299】
本明細書で使用される場合、用語「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」または「ABPA」とは、気道に損傷を与え、永続的な肺損傷を引き起こす可能性がある、対象の肺におけるアスペルギルス抗原、典型的には、アスペルギルス・フミガーツスに対する過敏反応を指す。ABPAは、患者の健康歴(喘息および/または嚢胞性線維症の存在を含む)、X線および/またはCTスキャン、アレルギー皮膚試験、ならびに血液IgEレベル(例えば、総IgEおよび/またはアスペルギルス特異的IgE、例えば、Af特異的IgE)のあらゆる組合せによって診断することができる。ある特定の実施形態では、ABPAは、(1)総血清IgEレベル;(2)好酸球増加症;(3)アスペルギルス特異的IgE、例えば、Af特異的血清IgE;および(4)アスペルギルス特異的IgE、例えば、Af特異的血清IgGの1つまたはそれ以上の組合せによって診断される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、対象が、次のバイオマーカー:(1)1000IU/mLより高いベースライン血清IgEレベル;(2)0.35kU/Lより高いAf特異的ベースライン血清IgEレベル;および(3)500細胞/μLより高いのベースライン血中好酸球レベルの1つまたはそれ以上(例えば、1、2、または3つすべて)を示す場合、ABPAと診断される。
【0300】
ある特定の実施形態では、ABPAは、HLA-DR2血清型(例えば、サブタイプHLA-DRB1*1501、サブタイプ*HLA-DRB1*1503、もしくはサブタイプ*HLA-DRB1*1601)またはHLA-DR5血清型(例えば、サブタイプHLA-DRB1*1101、サブタイプHLA-DRB1*1104、もしくはサブタイプHLA-DRB1*1202)を有する対象で診断される。
【0301】
本明細書で使用される場合、用語「ABPAに関連する喘息」とは、併存する喘息およびABPAを有する対象を指す。
【0302】
「IgE」とは、ε重鎖を含有し、免疫グロブリン構造に5つのドメインを有する単量体である抗体アイソタイプを指す。IgEは、典型的には血漿中に1μg/mL未満の濃度で存在し、血清中で約2日の半減期を有する(AbbasおよびLichtman(2004)Basic Immunology functions and disorders of the immune system.第2版.Philadelphia:Saunders)。単位kU/LまたはIU/mL(これらの単位は同義的に用いることができる)は、末梢血液中のIgEのレベルを表すのに使用されることが多く、1kU/Lは2.4ng/mLに等しい(SeagroattおよびAnderson(1981)E.J.Biol Stand.9:431)。
【0303】
IgE(例えば、総血清IgEおよび/またはアレルゲン特異的IgE)は、当技術分野で公知の様々な方法を使用して決定することができる。例えば、血清サンプルが放射性ヨウ素でタグ付けされたIgEと反応するPRIST(ペーパーラジオイムノソルベント試験)を使用することができる。結合した放射性ヨウ素が検出され、これは、血清サンプル中の総IgEの量に比例する。臨床免疫学において、免疫グロブリンの個々のクラスのレベルは、対象の抗体プロファイルを特徴付けるための比濁分析(または濁度測定)によって測定することができる。IgEレベルを測定する他の方法としては、それだけには限られないが、ELISA、免疫蛍光法、ウェスタンブロット、免疫拡散、免疫電気泳動法などが挙げられる。血清IgE濃度の測定は、UniCAP 250(登録商標)システム(Pharmacia、Uppsala、Sweden)を使用して実行することができる(G.J.Gleich、A.K.AverbachおよびN.A.Swedlund、Measurement of IgE in normal and allergic serum by radioimmunoassay.J.Lab.Clin.Med.77(1971)、690頁を参照のこと)。
【0304】
アレルギー性喘息とは、アレルゲン、例えば、吸入されたアレルゲン、例えばチリダニ、ペットのふけ、花粉、真菌などが引き金となる喘息を指す。本明細書で使用される場合、用語「アレルギー性喘息」とは、1つまたはそれ以上のアレルギーマーカー、例えば、総血清IgE(例えば、≧30IU/mLの総血清IgE、≧700IU/mLの総血清IgE、もしくは≧1000IU/mLの総血清IgE)、および/または少なくとも1つの陽性のアレルゲン特異的IgE値(例えば、≧0.35kU/Lのアレルゲン特異的IgE値)と組み合わされた喘息を指す。ある特定の実施形態では、アレルゲンは、空気中に浮遊する空気アレルゲン(例えば、一年生の空気アレルゲンまたは通年性空気アレルゲン)である。
【0305】
ある特定の模範的な実施形態では、アレルギー性喘息を有する対象は、約≧5IU/mL、約≧10IU/mL、約≧20IU/mL、約≧30IU/mL、約≧40IU/mL、約≧50IU/mL、約≧60IU/mL、約≧70IU/mL、約≧80IU/mL、約≧90IU/mL、約≧100IU/mL、約≧110IU/mL、約≧120IU/mL、約≧130IU/mL、約≧140IU/mL、約≧150IU/mL、約≧160IU/mL、約≧170IU/mL、約≧180IU/mL、約≧190IU/mL、約≧200IU/mL、約≧250IU/mL、約≧300IU/mL、約≧350IU/mL、約≧400IU/mL、約≧450IU/mL、約≧500IU/mL、約≧550IU/mL、約≧600IU/mL、約≧650IU/mL、約≧700IU/mL、約≧750IU/mL、約≧800IU/mL、約≧850IU/mL、約≧900IU/mL、約≧950IU/mL、約≧1000IU/mL以上の総血清IgEレベルを有する。特定の模範的な実施形態では、アレルギー性喘息を有する対象は、約700IU/mLより高い総血清IgE(例えば、高い総血清IgE)を有する。他の特定の模範的な実施形態では、アレルギー性喘息を有する対象は、約1000IU/mLより高いの総血清IgE(例えば、非常に高い総血清IgE)を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、ImmunoCAPアッセイを使用して測定した場合、少なくとも700IU/mLの総血清IgEレベルを有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、ImmunoCAPアッセイを使用して測定した場合、少なくとも1000IU/mLの総血清IgEレベルを有する。
【0306】
ある特定の模範的な実施形態では、アレルギー性喘息を有する対象は、約≧0.05kU/L、約≧0.10kU/L、約≧0.15kU/L、約≧0.20kU/L、約≧0.21kU/L、約≧0.22kU/L、約≧0.23kU/L、約≧0.24kU/L、約≧0.25kU/L、約≧0.26kU/L、約≧0.27kU/L、約≧0.28kU/L、約≧0.29kU/L、約≧0.30kU/L、約≧0.31kU/L、約≧0.32kU/L、約≧0.33kU/L、約≧0.34kU/L、約≧0.35kU/L、約≧0.36kU/L、約≧0.37kU/L、約≧0.38kU/L、約≧0.39kU/L、約≧0.40kU/L、約≧0.45kU/L、約≧0.50kU/L、約≧0.55kU/L、約≧0.60kU/L、約≧0.65kU/L、約≧0.70kU/Lの量で、またはそれより多くの量で存在する、少なくとも1つの陽性のアレルゲン特異的IgE値を有する。
【0307】
本明細書で使用される場合、「通年性空気アレルゲン」とは、一年中環境中に存在し得る空気中に浮遊するアレルゲン、例えばチリダニ、真菌、ふけなどを指す。通年性空気アレルゲンとしては、それだけには限らないが、アルテルナリア・アルテルナータ、アスペルギルス・フミガーツス、オーレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クラドスポリウム・ハーバルム、コナヒョウヒダニ(Dermatofagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatofagoides pteronyssinus)、ムコール・ラセマサス(Mucor racemosus)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、フォーマ・ベタエ(Phoma betae)、セトメラノマ・ロストラタ(Setomelanomma rostrata)、ステムフィリウム・ハーバルム(Stemphylium herbarum)、ネコのふけ、イヌのふけ、ウシのふけ、ニワトリの羽、ガチョウの羽、アヒルの羽、ゴキブリ(例えば、チャバネゴキブリ、トウヨウゴキブリ)、マウスの尿、落花生の粉末、木の実の粉末などが挙げられる。
【0308】
本明細書で使用される場合、「季節性空気アレルゲン」とは、季節的に環境中に存在する空気中に浮遊するアレルゲン、例えば花粉および胞子を指す。季節性空気アレルゲンとしては、それだけに限らないが、樹木花粉(例えば、カバノキ、ハンノキ、スギ、ハシバミ、シデ、セイヨウトチノキ、ヤナギ、ポプラ、リンデン、マツ、カエデ、オーク、オリーブなど)、牧草花粉(例えば、ライグラス、オオアワガエリ(cat’s tail)など)、雑草の花粉(例えば、ブタクサ、オオバコ、イラクサ、ヨモギ、シロザ、カタバミなど)、特定の季節、温度などの間に増加する真菌性胞子(例えば、糸状菌)などが挙げられる。
【0309】
本明細書で使用される場合、用語「持続型喘息」または「持続型気管支喘息」とは、(気管支)喘息/間欠型(気管支)喘息よりも重症である喘息を意味する。持続型喘息または持続型気管支喘息に罹患している対象は、次のうちの1つまたはそれ以上を経験する、すなわち、週当たり2日を超える症状;日常の活動を妨げる症状;月当たり2日を超えて発生する夜間症状;または対象が、喘息発作に罹患していない場合正常でない1種もしくはそれ以上の肺機能検査(例えば、一秒量(FEV1)および/または最大呼気流量(PEF)80%未満);対象は、毎日喘息コントロール薬剤に依存する;対象は、重症喘息の急激な再燃が起きた最後の年から1回を超える全身性ステロイド薬を投与している;または喘息症状の軽減のための週当たり2日を超える短時間作用性β-2アゴニストの使用。
【0310】
喘息/間欠型喘息、気管支喘息/間欠型気管支喘息、および持続型喘息/持続型気管支喘息、ならびにこれらのそれぞれのアレルギー性の形態は、「軽症」、「中等症」、「重症」または「中等症から重症」として分類することができる。「軽症間欠型喘息」または「軽症間欠型気管支喘息」は、週1回未満の症状を有する、および一秒量(FEV1)または最大呼気流量(PEF)が≧80%であると定義される。「軽症持続型喘息」または「軽症持続型気管支喘息」は、症状の頻度が、週当たり1回を超えるが、1日当たり1回未満であり、FEV1またはPEFの可変性が<20%~30%であるという点で異なる。「中等症間欠型喘息」または「中等症間欠型気管支喘息」は、週1回未満の症状を有する、および一秒量(FEV1)または最大呼気流量(PEF)が60~80%であると定義される。「中等症持続型喘息」または「中等症持続型気管支喘息」またはそのアレルギー性の形態は、毎日の症状、活動および/または睡眠に影響し得る悪化、週1回を超える夜間症状、吸入短時間作用性β-2アゴニストの毎日の使用があり、一秒量(FEV1)または最大呼気流量(PEF)が60~80%であると定義される。「重症間欠型喘息」または「重症間欠型気管支喘息」またはそのアレルギー性の形態は、週1回未満の症状を有する、および一秒量(FEV1)または最大呼気流量(PEF)が60%であると定義される。「重症持続型喘息」または「重症持続型気管支喘息」は、毎日の症状、活動および/または睡眠に影響をし得る頻繁な悪化、頻繁な夜間症状、身体活動の制限、吸入短時間作用性β-2アゴニストの毎日の使用があり、一秒量(FEV1)または最大呼気流量(PEF)が60%であると定義される。「中等症から重症の間欠型喘息」または「中等症から重症の間欠型気管支喘息」またはそのアレルギー性の形態は、中等症間欠型喘息/中等症間欠型気管支喘息のものと重症間欠型喘息/重症間欠型気管支喘息のものとの間の症状を有すると定義される。「中等症から重症の持続型喘息」または「中等症から重症の持続型気管支喘息」またはそのアレルギー性の形態は、中等症持続型喘息/中等症持続型気管支喘息のものと重症持続型喘息/重症持続型気管支喘息のものとの間の症状を有すると定義される。
【0311】
本明細書で使用される場合、用語「不適切にコントロールされた喘息」またはそのアレルギー性の形態とは、「Expert Panel Report 3:Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma」、National Heart,Blood and Lung Institute、NIH、2007年8月28日により定義される通り、喘息が、「十分にコントロールされない」または「非常に不十分にコントロールされた」患者を指す。「十分にコントロールされない喘息」またはそのアレルギー性の形態は、週当たり2日を超える症状、週当たり1~3回の夜間の覚醒状態、正常な活動に対するいくつかの制限、週当たり2日を超える症状コントロールのための短時間作用性β2-アゴニストの使用があり、FEV1の予測されるおよび/または自己最高記録が60~80%、ATAQスコアが1~2、ACQスコアが1.5またはそれ以上、ACTスコアが16~19であると定義される。「非常に不十分にコントロールされた喘息またはそのアレルギー性の形態」は、1日を通しての症状、週当たり4回以上の夜間の覚醒状態、正常な活動に対する極度な制限、症状コントロールのための1日当たり数回の短時間作用性β2-アゴニストの使用があり、FEV1の予測されるおよび/または自己最高記録が60%未満、ATAQスコアが3~4、ACQスコアがN/A、ACTスコアが15以下であると定義される。
【0312】
いくつかの実施形態では、対象が、喘息管理に関する国際指針(GINA:Global Initiative for Asthma)2009ガイドライン、および次の基準のうち1つまたはそれ以上:i)IL-4Rアンタゴニストの負荷投与量の投与前の1カ月以上にわたるICS/LABAの安定な用量による中等量のもしくは高用量のICS/LABA(2回のプロピオン酸フルチカゾン250μg、1日2回もしくは等効力のICS1日投薬量)での既存の治療;ii)IL-4Rアンタゴニストの負荷投与量の投与前の正常と予測されるFEV1 40~80%;iii)IL-4Rアンタゴニストの負荷投与量の投与前にのACQ-5スコア1.5以上;iv)IL-4Rアンタゴニストの負荷投与量の投与前に、サルブタモール/アルブテロール200μg~400μg(2~4回の吸入)の後のFEV1の少なくとも12%および200mLの可逆性;またはv)IL-4Rアンタゴニストの負荷投与量の投与前に、次の事象:(a)喘息悪化のために、1回以上の全身性(経口もしくは非経口)ステロイドバーストによる治療、(b)喘息悪化のために入院もしくは緊急時/至急の診療来診のうちのいずれかを1年以内に経験したことに基づいて、医師からこのような診断を受ける場合、対象は「中等症から重症のコントロール不良な」喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)を有すると同定される
【0313】
「重症喘息」または「重症アレルギー性喘息」とは、適切なコントロールが、吸入コルチコステロイドおよび追加のコントローラー(例えば、長時間作用性吸入β2アゴニスト、モンテルカスト、および/もしくはテオフィリン)による高用量治療によりもしくは経口コルチコステロイド治療(例えば、1年当たり少なくとも6カ月)により達成できない、または治療が減少される場合喪失する、喘息を指す。ある特定の実施形態では、重症喘息には、高用量ICSおよび少なくとも1種の追加のコントローラー(例えば、LABA、モンテルカスト、もしくはテオフィリン)または経口コルチコステロイド>6カ月/年で治療される喘息が含まれ、次のうち少なくとも1つ、すなわち、ACT<20またはACQ>1.5;過去12カ月で少なくとも2回の悪化;過去12カ月で病院で治療されるもしくは機械的換気を要する少なくとも1回の悪化;または(FEV1/FVCが正常下限以下である場合)FEV1<80%は、治療が減らされる場合に起こるまたは起こるはずである。
【0314】
「ステロイド依存性喘息または「ステロイド依存性アレルギー性喘息」」とは、次の治療、すなわち、過去12カ月での頻繁な、短期の経口コルチコステロイド治療バースト;過去12カ月での高用量吸入コルチコステロイドの定期的な使用;注射された長時間作用性コルチコステロイドの定期的な使用;経口コルチコステロイドの毎日の使用;隔日経口コルチコステロイド;または過去1年以内の経口コルチコステロイドの長期使用のうちの1つまたはそれ以上を要する、喘息を指す。
【0315】
「経口コルチコステロイド依存性喘息」または「経口コルチコステロイド依存性アレルギー性喘息」とは、12カ月間にわたって30日間の経口コルチコステロイド(OCS)フィルが≧3回であり、第1のOCSフィルの12カ月以内に一次喘息診断を受けた対象を指す。OCS依存性喘息を伴う対象は、次の、少なくとも3カ月間医師に処方されたLABAおよび高用量ICS(総1日投与量>500μg プロピオン酸フルチカゾン乾燥粉末配合物当量)を投与している(ICSおよびLABAは、併用製品の一部であり得る、もしくは別々の吸入器により投与することができる);標準的な医療行為による追加の維持喘息コントローラー薬剤、例えば、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)、テオフィリン、長時間作用性ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、2次ICSおよびクロモンを投与している;≧7.5~≦30mgの間の用量(プレドニゾンもしくはプレドニゾロン当量)で喘息の治療のためのOCSを投与する;隔日に投与されるOCS用量(もしくは隔日に異なる用量)を受けている;予測される正常値の朝気管支拡張薬(BD)投与前のFEV1<80%;BD(アルブテロール/サルブタモール)投与後の可逆性FEV1≧12%および≧200mL(アルブテロール/サルブタモール4パフ投与の15~30分後)により記述された通り喘息のエビデンスを有する;または12カ月以内に少なくとも1回の喘息の悪化事象の履歴を有する、のうち1つまたは任意の組合せも経験し得る。
【0316】
一態様では、(a)血中好酸球レベルが、マイクロリットル当たり少なくとも300細胞を示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0317】
他の態様では、(a)血中好酸球レベルが、マイクロリットル当たり200~299細胞を示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0318】
他の態様では、(a)血中好酸球レベルが、マイクロリットル当たり200細胞未満を示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0319】
一態様では、(a)マイクロリットル当たり少なくとも150細胞の血中好酸球レベルを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0320】
一態様では、(a)マイクロリットル当たり少なくとも300細胞の血中好酸球レベルを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0321】
一態様では、(a)≧20ppbのベースラインFeNOレベルを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0322】
一態様では,(a)≧25ppbのベースラインFeNOレベルを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0323】
一態様では、(a)≧50ppbのベースラインFeNOレベルを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0324】
一態様では、(a)≧30IU/mLのベースライン総IgEレベルを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0325】
一態様では、(a)≧700IU/mLのベースライン総IgEレベルを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0326】
一態様では、(a)≧1000IU/mLのベースライン総IgEレベルを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0327】
一態様では、(a)≧0.15kU/Lのベースラインアレルゲン特異的IgEを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0328】
一態様では、(a)≧0.35kU/Lのベースラインアレルゲン特異的IgEを示す患者を選択する工程と;(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、喘息を治療するための方法が提供される。
【0329】
関連している態様では、基礎療法への追加療法を含む、喘息を治療するための方法が提供される。ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、一定期間(例えば、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、5カ月、12カ月、18カ月、24カ月またはそれ以上)(「安定相」とも呼ばれる)、基礎療法を行っている喘息患者への追加療法として投与される。いくつかの実施形態では、基礎療法は、ICSおよび/またはLABAを含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、(a)ICS、LABA、またはその組合せを含む、基礎喘息療法でコントロールされない、中等症から重症の喘息を有する患者を選択する工程と;IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、1回またはそれ以上の喘息の悪化の治療のためのICSおよび/またはLABAに対する喘息患者の依存を減らすための方法が提供される。
【0331】
いくつかの実施形態において、喘息に関連する、または喘息と併存する状態または合併症、例えば慢性鼻副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、統一気道疾患(unified airway disease)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、以前はチャーグ-ストラウス症候群として公知)、胃食道逆流性疾患(GERD)、アトピー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、血管炎、嚢胞性線維症(CF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性好酸球性肺炎(CEP)および運動誘発性気管支攣縮を治療または軽減するための方法が提供される。
【0332】
持続型喘息(例えば、持続型アレルギー性喘息)を治療するための方法も提供される。本明細書で使用される場合、用語「持続型喘息」とは、対象が、日中および/または夜に少なくとも週1回の症状があり、その症状が、数時間から数日続くことを意味する。ある特定の代替的な実施形態では、持続型喘息は、「軽症持続型」(例えば、日常活動もしくは睡眠を妨げるほどの重症な症状が、週2回を超えるが、毎日より少ないかつ/もしくは肺機能が、正常であるもしくは気管支拡張薬の吸入により可逆的である場合)、「中等症持続型」(例えば、睡眠が少なくとも週1回妨げられるおよび/もしくは肺機能が中等度に異常である症状が、毎日起こる)、または「重症持続型」(例えば、承認された薬剤の正しい使用にもかかわらず症状が持続するおよび/もしくは肺機能が深刻に影響を受ける場合)である。
【0333】
インターロイキン-4受容体アンタゴニスト
本明細書において特徴付けられる方法は、IL-4Rアンタゴニストを含む治療用組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「IL-4Rアンタゴニスト」は、in vitroまたはin vivoでIL-4Rが細胞上で発現されると、IL-4Rに結合するかまたはそれと相互作用し、IL-4Rの正常な生物学的なシグナル伝達機能を阻害する任意の薬剤である。IL-4Rアンタゴニストのカテゴリの限定されない例には、小分子IL-4Rアンタゴニスト、抗IL-4Rアプタマー、ペプチド系IL-4Rアンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ」分子)、および抗体またはヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体の抗原結合フラグメントが含まれる。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストは、本明細書の他の部分に記載されている、方法の文脈において用いることができる抗IL-4R抗体を含む。例えば、一実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントであり、それぞれ配列番号1および2の重鎖可変領域(HCVR)および軽鎖可変領域(LCVR)からの重鎖および軽鎖(相補的決定領域)CDR配列を含む。
【0334】
用語「ヒトIL-4R」(hIL-4R)とは、インターロイキン-4(IL-4)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体、例えば、IL-4Rαを指す。
【0335】
用語「抗体」とは、4本のポリペプチド鎖、ジスルフィド結合により相互接続された2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、ならびにそれらの多量体(例えば、IgM)を指す。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書でLCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、相補的決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細区画することができ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、さらに保存される領域で分散することができる。各VHおよびVLは、次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端まで配列される、3つのCDRおよび4つのFRから構成される。異なる実施形態では、抗IL-4R抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であっても、自然にまたは人工的に修飾されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2種以上のCDRの並列分析(side-by-side analysis)に基づいて定義することができる。
【0336】
用語「抗体」はまた、完全な抗体分子の抗原結合フラグメントを含む。本明細書で使用される場合、用語抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合フラグメント」などには、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然起源の、酵素により得られる、合成の、または遺伝子改変のポリペプチドまたは糖タンパク質が含まれる。抗体の抗原結合フラグメントは、任意の適当な標準的な技法、例えば、タンパク質消化またはDNAコード化抗体可変、場合により、定常ドメインの操作および発現を用いる組換え遺伝子工学技法を用いた、例えば、完全な抗体分子に由来し得る。かかるDNAは、公知であり、かつ/または例えば、商業的供給源、(例えば、ファージ抗体ライブラリを含めた)DNAライブラリから容易に入手でき、もしくは合成することができる。DNAは、例えば、1つもしくはそれ以上の可変および/もしくは定常ドメインを適当な配置に配列する、またはコドンを導入する、システイン残基を創出する、アミノ酸を修飾する、付加する、もしくは欠失させるために、化学的にまたは分子生物学技法を用いることにより配列し操作することができる。
【0337】
抗原結合フラグメントの限定されない例には:(i)Fabフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント;(iii)Fdフラグメント;(iv)Fvフラグメント;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAbフラグメント;および(vii)抗体の超可変領域(例えば、単離された相補的決定領域(CDR)例えば、CDR3ペプチドなど)、または束縛されたFR3-CDR3-FR4ペプチドを模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位が含まれる。他の操作された分子、例えば、ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュール免疫医薬品(SMIPs:smすべて modular immunopharmaceuticals)、およびシャーク可変IgNARドメインなども、「抗原結合フラグメント」という表現の範囲内に包含される。
【0338】
抗体の抗原結合フラグメントは、一般に、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成物であり得、1つまたはそれ以上のフレームワーク配列に隣接するまたはそれを有するフレーム単位である少なくとも1種のCDRを一般に含む。VLドメインに関連するVHドメインを有する抗原結合フラグメントにおいて、VHおよびVLドメインは、任意の適当な配列で互いに対して位置し得る。例えば、可変領域は、2量体であり得、VH-VH、VH-VLまたはVL-VL2量体を含有する。あるいは、抗体の抗原結合フラグメントは、単量体VHまたはVLドメインを含むことができる。
【0339】
ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合される少なくとも1つの可変ドメインを含むことができる。本明細書に記載される抗体の抗原結合フラグメント内で見出すことができる可変および定常ドメインの限定されない、模範的な配置には、(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;および(xiv)VL-CLが含まれる。上に挙げた模範的な配置のうちいずれかを含めた、可変および定常ドメインの任意の配置では、可変および定常ドメインは、互いに直接連結してもよく、完全なもしくは部分的なヒンジまたはリンカー領域により連結してもよい。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子中で隣接する可変および/または定常ドメイン間の可動性または半可動性の結合をもたらす少なくとも2個(例えば、5、10、15、20、40、60個またはそれ以上)のアミノ酸からなり得、一般に、ヒンジ領域は、2~60個の間のアミノ酸、一般に、5~50の間、または、一般に、10~40個の間のアミノ酸からなり得る。さらに、本明細書に記載される抗体の抗原結合フラグメントは、互いにおよび/または1つもしくはそれ以上の単量体VHもしくはVLドメインと(例えば、ジスルフィド結合により)非共有結合性会合において、上に挙げた可変および定常ドメイン配置のうちのいずれかのホモ2量体またはヘテロ2量体(または他の多量体)を含むことができる。
【0340】
完全な抗体分子と同様に、抗原結合フラグメントは、単一特異性でも多特異性(例えば、二重特異性)でもよい。抗体の多特異性抗原結合フラグメントは、少なくとも2つの異なる可変ドメインを一般に含み、各可変ドメインは、別々の抗原にまたは同じ抗原において異なるエピトープに特異的に結合すことが可能である。任意の多特異性抗体フォーマットは、当技術分野で利用可能なルーチンの技法を用いて、本明細書に記載される抗体の抗原結合フラグメントとの関連での使用に適合することができる。
【0341】
抗体の定常領域は、抗体が補体を固定し、細胞依存性細胞毒性を媒介する能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が、細胞毒性を媒介するのが望ましいか否かに基づいて選択することができる。
【0342】
用語「ヒト抗体」には、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体が含まれる。それにもかかわらず、本明細書に記載されるヒト抗体は、例えば、CDR、特に、CDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的突然変異生成によりまたはin vivoにおける体細胞突然変異により導入される突然変異)を含むことができる。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、別の哺乳動物種、例えば、マウスなどの生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含まない。
【0343】
用語「組換えヒト抗体」には、組換え手段により製造される、発現される、創出されるもしくは単離される、すべてのヒト抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされる組換え発現ベクターを用いて発現される抗体(さらに以下に記載される)、組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体(さらに以下に記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylorら(1992年)Nucl.Acids Res.20巻:6287~6295を参照のこと)または他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う他の任意の手段により製造される、発現される、創出されるもしくは単離される抗体が含まれる。かかる組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、かかる組換えヒト抗体は、in vitro突然変異生成(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックの動物が用いられる場合、in vivo体細胞突然変異生成)にかけられ、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来するおよびそれらに関連する時、in vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー内で天然に存在し得ない配列である。
【0344】
ヒト抗体は、ヒンジ不均一性に関連する2つの形態で存在することができる。1つの形態では、免疫グロブリン分子は、2量体が、鎖間の重鎖ジスルフィド結合により結合される適当な4つの鎖構築物およそ150~160kDaを含む。第2の形態では、2量体は、鎖間のジスルフィド結合によって連結されず、共有結合した軽鎖および重鎖(ハーフ抗体(half-antibody))から構成される分子約75~80kDaは、形成される。これらの形態は、さらに親和性精製後に、分離することが極めて難しい。
【0345】
様々な無処置のIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現の頻度は、それだけには限らないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的差異による。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一のアミノ酸置換は、第2の形態の出現(Angalら(1993)Molecular Immunology 30巻:105頁)を、ヒトIgG1ヒンジを用いて一般に観察されたレベルに有意に下げることができる。例えば、製造において、望ましい抗体の形態の収率を改善することが望ましいこともある、ヒンジ、CH2、またはCH3領域において1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体が、提供される。
【0346】
「単離された抗体」とは、その自然環境の少なくとも1種の構成成分を同定されているおよび分離されているおよび/またはそれから回復している抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1種の構成成分からから分離されているもしくはそれから除去されている抗体、または抗体が、天然に存在するもしくは自然に産生される組織もしくは細胞から分離されているもしくはそれから除去されている抗体は、「単離された抗体」である。単離された抗体には、組換え細胞内のin situにおける抗体も含まれる。単離された抗体は、少なくとも1回の精製または単離工程にかけられている抗体である。ある特定の実施形態によれば、単離された抗体は、他の細胞材料および/または化学物質が実質的になくてもよい。
【0347】
用語「特異的に結合する」などは、抗体またはその抗原結合フラグメントが、生理学的条件下で比較的安定している抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、本発明において特徴付けられる通りIL-4Rを「特異的に結合する」抗体は、IL-4Rと結合する抗体、またはその部分を含み、KDは、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて測定された通り、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、または約0.5nM未満である。しかしながら、ヒトIL-4Rと特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例えば、他の(非ヒト)種から得られたIL-4R分子への交差反応性を有し得る。
【0348】
本方法のために有用な抗IL-4R抗体は、抗体が由来した、対応する生殖系列配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域における1個またはそれ以上のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の置換および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の挿入および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の欠失)を含み得る。かかる突然変異は、本明細書中で開示されるアミノ酸配列を、例えば、公共の抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することにより、容易に確認することができる。本明細書中で開示されるアミノ酸配列のうちのいずれに由来する、抗体、およびそれらの抗原結合フラグメントの使用を伴う方法であって、1個もしくはそれ以上のフレームワークおよび/または1個もしくはそれ以上の(例えば、四量体抗体に対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12個もしくは抗体のHCVRおよびLCVRに対して1、2、3、4、5もしくは6個)のCDR領域内の1種またはそれ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10種のアミノ酸)は、抗体が由来する生殖系列配列の対応する残基、または別のヒト生殖系列配列の対応する残基、または対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に突然変異する(かかる配列の変化は、本明細書において集合的に「生殖系列突然変異」と称する)、方法が提供される。当業者は、本明細書中で開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から始まって、1種もしくはそれ以上の個別の生殖系列突然変異またはそれらの組合せを含む、多数の抗体および抗原結合フラグメントを容易に製造することができる。ある特定の実施形態では、VHおよび/またはVLドメイン内のフレームワークおよび/またはCDR残基のすべては、抗体が由来する元の生殖系列配列において見出された残基に戻って突然変異する。他の実施形態では、ある特定の残基のみ、例えば、FR1の第1の8個のアミノ酸内でもしくはFR4の最後の8個のアミノ酸内で見出された突然変異した残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内で見出された突然変異した残基のみが、元の生殖系列配列に戻って突然変異する。他の実施形態では、フレームワークおよび/またはCDR残基のうち1つまたはそれ以上は、異なる生殖系列配列の対応する残基(すなわち、抗体が本来由来する生殖系列配列と異なる生殖系列配列)に突然変異する。さらに、抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内の2回以上の生殖系列突然変異の任意の組合せを含んでもよく、例えば、ある特定の個別の残基は、特定の生殖系列配列の対応する残基に突然変異し、元の生殖系列配列と異なるある特定の他の残基は、維持されるまたは異なる生殖系列配列の対応する残基に突然変異する。獲得した後、1つまたはそれ以上の生殖系列突然変異を含む抗体および抗原結合フラグメントは、1つまたはそれ以上の所望の特性、例えば、結合特異性の改善、結合親和性の増加、(場合によっては)アンタゴニストのまたはアゴニストの生物学的特性の改善または増強、免疫原性の低下などについて容易に試験することができる。こうした一般の方式において得られた抗体および抗原結合フラグメントの使用は、本発明内で包含される。
【0349】
1回またはそれ以上の保存的置換を有する、本明細書中で開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のうちいずれかの変種を含む、抗IL-4R抗体の使用を伴う方法。例えば、本明細書中で開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のうちいずれかに対して、例えば、10回以下、8回以下、6回以下、4回以下などの保存的アミノ酸置換によって、HCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列を有する抗IL-4R抗体の使用が提供される。
【0350】
用語「表面プラズモン共鳴」とは、例えば、BIAcore(商標)システム(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を用いて、バイオセンサーマトリックス内でタンパク質濃度の変更を検出することにより、リアルタイム相互作用の分析を可能にする、光学的現象を指す。
【0351】
用語「KD」とは、特定の抗体抗原相互作用の平衡解離定数を指す。
【0352】
用語「エピトープ」とは、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域における特定の抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原は、1つを超えるエピトープを有し得る。したがって、異なる抗体は、抗原において異なる領域に結合することができ、異なる生物学的効果を有し得る。エピトープは、立体構造でも直鎖でもよい。立体構造のエピトープは、直鎖のポリペプチド鎖の異なるセグメントから得られた空間的に並列されるアミノ酸により産生される。直鎖エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基により産生されるものである。ある特定の状況において、エピトープは、抗原における糖類、ホスホリル基、またはスルホニル基の部分を含むことができる。
【0353】
ヒト抗体の製造
トランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を生成するための方法は、当技術分野で公知である。任意のかかる公知の方法は、ヒトIL-4Rを特異的に結合するヒト抗体を作製するために用いることができる。
【0354】
VELOCIMMUNE(登録商標)技術(例えば、米国特許第6,596,541号、Regeneron Pharmaceuticalsを参照のこと)またはモノクローナル抗体を生成するための任意の他の公知の方法を用いて、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有するIL-4Rへの高親和性キメラ抗体は、最初に単離される。VELOCIMMUNE(登録商標)技術には、マウスが抗原刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を産生するような、内因性マウス定常領域遺伝子座に操作可能に連結されるヒト重鎖および軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの生成を使用する。抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAは、単離され、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をコードするDNAに操作可能に連結される。次いで、DNAは、完全ヒト抗体を発現することが可能である細胞中で発現される。
【0355】
一般に、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、目的の抗原で曝露され、リンパ性細胞(例えば、B細胞)は、抗体を発現するマウスから回収される。リンパ性細胞は、骨髄腫細胞株と融合して、不死のハイブリドーマ細胞株を製造することができ、かかるハイブリドーマ細胞株は、スクリーニングされ、選択されて、目的の抗原に特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株が同定される。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAは、単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結することができる。かかる抗体タンパク質は、細胞、例えば、CHO細胞中で産生することができる。あるいは、軽鎖および重鎖の抗原特異的キメラ抗体または可変ドメインをコードするDNAは、抗原特異的リンパ球から直接単離することができる。
【0356】
最初に、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体は、単離される。抗体は、当業者に公知の標準的な手順を用いて、親和性、選択性、エピトープなどを含めた、望ましい特徴について特徴付けられ、選択される。マウス定常領域は、所望のヒト定常領域と置き換えられて、本明細書に記載される完全ヒト抗体、例えば、野生型もしくは修飾されたIgG1またはIgG4が産生される。選択された定常領域が、特定の使用によって変わることがあり、高親和性抗原結合および標的特異性の特徴は、可変領域に存在する。
【0357】
一般に、本方法において用いることができる抗体は、固相においてまたは溶相中で固定化される抗原に結合することにより測定される場合、前述した通り、高親和性を有する。マウス定常領域は、所望のヒト定常領域と置き換えられて、本明細書に記載される完全ヒト抗体が産生される。選択された定常領域が、特定の使用によって変わることがあり、高親和性抗原結合および標的特異性の特徴は、可変領域に存在する。
【0358】
一実施形態では、本明細書に記載される方法の文脈において用いることができるIL-4Rと特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含まれる3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含む。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含まれる3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含むことができる。HCVRおよびLCVRアミノ酸配列内でCDRを同定するための方法および技法は、当技術分野で周知であり、本明細書中で開示されるその指定されたHCVRおよび/またはLCVRアミノ酸配列内でCDRを同定するために用いることができる。CDRの境界を同定するために用いることできる模範的な慣例には、例えば、Kabatの定義、Chothiaの定義、およびAbM定義が含まれる。一般用語において、Kabatの定義は、配列多様性に基づき、Chothiaの定義は、構造ループ領域の位置に基づき、AbM定義は、KabatとChothiaのアプローチとの間の折衷である。例えば、Kabat、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991年);Al-Lazikaniら、J.Mol.Biol.273巻:927~948(1997年);およびMartinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86巻:9268~9272頁(1989年)を参照のこと。公共のデータベースはまた、抗体内のCDR配列を同定するために利用可能である。
【0359】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1および2の重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列対(HCVR/LCVR)から得られた6種のCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。
【0360】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3/4/5/6/7/8のアミノ酸配列を有する6種のCDR(HCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3)を含む。
【0361】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1および2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。
【0362】
ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号1および2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含むデュピルマブである。
【0363】
ある特定の実施形態では、抗体配列は、デュピルマブであり、配列番号9および10の重鎖/軽鎖アミノ酸配列対を含む。
【0364】
デュピルマブHCVRアミノ酸配列:
EVQLVESGGGLEQPGGSLRLSCAGSGFTFRDYAMTWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDRLSITIRPRYYGLDVWGQGTTVTVS(配列番号1)。
【0365】
デュピルマブLCVRアミノ酸配列:
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLYSIGYNYLDWYLQKSGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGFYYCMQALQTPYTFGQGTKLEIK(配列番号2)。
【0366】
デュピルマブHCDR1アミノ酸配列:
GFTFRDYA(配列番号3)。
【0367】
デュピルマブHCDR2アミノ酸配列:
ISGSGGNT(配列番号4)。
【0368】
デュピルマブHCDR3アミノ酸配列:
AKDRLSITIRPRYYGL(配列番号5)。
【0369】
デュピルマブLCDR1アミノ酸配列:
QSLLYSIGYNY(配列番号6)。
【0370】
デュピルマブLCDR2アミノ酸配列:
LGS(配列番号7)。
【0371】
デュピルマブLCDR3アミノ酸配列:
MQALQTPYT(配列番号8)。
【0372】
デュピルマブHCアミノ酸配列:
EVQLVESGGGLEQPGGSLRLSCAGSGFTFRDYAMTWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDRLSITIRPRYYGLDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号9)(アミノ酸1~124=HCVR;アミノ酸125~451=HC定常)。
【0373】
デュピルマブLCアミノ酸配列:
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLYSIGYNYLDWYLQKSGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGFYYCMQALQTPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号10)(アミノ酸1~112=LCVR;アミノ酸112~219=LC定常)。
【0374】
医薬組成物
IL-4Rアンタゴニストを患者に投与する工程を含む方法であって、IL-4Rアンタゴニストが、医薬組成物内に含有される、方法が提供される。本明細書に記載される医薬組成物は、適当な移動、送達、耐性などを提供する適当な担体、添加剤、および他の薬剤と共に配合される。多数の適切な配合物は、すべての薬剤師に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAにおいて見出すことができる。これらの配合物には、例えば、粉末、パスタ剤、軟膏剤、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有ベシクル(例えば、LIPOFECTIN(商標))、DNAコンジュゲート、無水吸収パスタ剤、水中油型および油中水型乳剤、乳剤carbowax(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固形ゲル剤、ならびにcarbowaxを含有する半固形混合物が含まれる。Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998年)J.Pharm.Sci.Technol.52巻:238~311頁も参照のこと。
【0375】
患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢およびサイズ、症状、状態、投与の経路などに応じて変わり得る。用量は、一般に、体重または体表面積に従って算出される。状態の重症度に応じて、治療の頻度および持続時間は、調整することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物を投与するための有効な投与量およびスケジュールは、経験に基づき決定することができ、例えば、患者の進行は、定期的評価、および適宜調整される用量によりモニターすることができる。さらに、投与量の種間のスケーリングは、当技術分野で周知の方法を用いて行うことができる(例えば、Mordentiら、1991年、Pharmaceut.Res.8巻:1351頁)。
【0376】
様々な送達系は、公知であり、本明細書に記載される医薬組成物を投与するために用いることができ、例えば、リポソームにおけるカプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、変異ウイルスを発現することが可能な組換え細胞、受容体によって媒介されるエンドサイトーシスである(例えば、Wuら、1987年、J.Biol.Chem.262巻:4429~4432頁を参照のこと)。投与の方法には、それだけには限らないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、気管内、硬膜外、および経口経路が含まれる。本組成物は、任意の好都合な経路により、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚の裏層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を通した吸収により投与してもよく、他の生物活性薬剤と一緒に投与してもよい。
【0377】
本明細書に記載される医薬組成物は、標準の針およびシリンジにより皮下にまたは静脈内に送達することができる。さらに、皮下送達に関して、ペン型送達デバイス(例えば、ペン型自己注射器)は、本明細書に記載される医薬組成物を送達することにおいて容易に適用される。そのようなペン型送達デバイスは、再利用可能または使い捨てであり得る。再利用可能なペン型送達デバイスは、医薬組成物を含有する取り替え可能なカートリッジを一般に利用する。カートリッジ内のすべての医薬組成物が投与され、カートリッジが空になったら、空のカートリッジは、容易に廃棄し、医薬組成物を含有する新たなカートリッジと取り替えることができる。次いで、ペン型送達デバイスは、再利用することができる。使い捨てのペン型送達デバイスにおいて、取り替え可能なカートリッジはない。むしろ、使い捨てのペン型送達デバイスは、デバイス内のリザーバーに保持される医薬組成物が予め充填される。リザーバーは医薬組成物が空になったら、デバイス全体は廃棄される。
【0378】
多数の再利用可能なペン型および自己注射器送達デバイスは、医薬組成物の皮下送達における用途がある。例には、それだけには限らないが、ほんのわずかな例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford、Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems社、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、およびOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt、Germany)が含まれる。本明細書に記載される医薬組成物の皮下送達における用途がある使い捨てのペン型送達デバイスの例には、それだけには限らないが、ほんのわずかな例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)自己注射器(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs、Abbott Park IL)が含まれる。大量送達デバイス(例えば、大量注射器)の例には、それだけには限らないが、ボーラス注射器、例えば、BD Libertas West SmartDose、Enable Injections、SteadyMed PatchPump、Sensile SenseTrial、YPsomed YpsoDose、Bespak Lapasなどが含まれる。
【0379】
洞への直接投与の場合、本明細書に記載される医薬組成物は、例えば、マイクロカテーテル(例えば、内視鏡およびマイクロカテーテル)、エアロゾライザー、粉末ディスペンサー、ネブライザーまたは吸入器を用いて投与してもよい。本方法には、エアロゾル化した配合物の形態での、IL-4Rアンタゴニストのそれを必要とする対象への投与が含まれる。例えば、IL-4Rに対するエアロゾル化した抗体は、患者において喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)および/またはABPAを治療するために投与してもよい。エアロゾル化した抗体は、例えば、参照によってその全体を本明細書に組み入れる米国特許第8,178098号に記載される通り、製造することができる。
【0380】
ある特定の状況において、医薬組成物は、制御放出系で送達することができる。一実施形態では、ポンプは、用いることができる(Langer、上記を参照;Sefton、1987年、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14巻:201頁を参照のこと)。別の実施形態では、ポリマー材料は、用いることができ;Medical Applications of Controlled Release、Langer and Wise(編)、1974年、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照のこと。さらなる他の実施形態では、制御放出系は、組成物の標的の近くに置くことができ、したがって、全身投与量のほんの一部だけを要する(例えば、Goodson、1984年、in Medical Applications of Controlled Release、上記、2巻、115~138頁を参照のこと)。他の制御放出系は、Langer、1990年、Science 249巻:1527~1533頁の総説で論じられる。
【0381】
注射用製剤は、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴静注などのための剤形を含み得る。これらの注射用製剤は、公知の方法により製造することができる。例えば、注射用製剤は、例えば、抗体もしくは前述したその塩を、注射用に常法により用いられる無菌の水性媒体または油性媒体に溶解する、懸濁するまたは乳化することにより、製造することができる。注射用の水性媒体として、例えば、生理的食塩水、グルコースを含有する等張液および他の補助剤などがあり、これは、適切な可溶化剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物))などと組み合わせて用いることができる。油性媒体として、例えば、ゴマ油、ダイズ油などが用いられ、これらは、可溶化剤、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと組み合わせて用いてもよい。したがって、製造される注射は、一般に、適切なアンプルに充てんされる。
【0382】
有利には、前述した経口または非経口使用のための医薬組成物は、有効成分の用量に適合するのに適した単位投与量で剤形に製造される。単位投与量におけるかかる剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射(アンプル)、坐剤などが含まれる。
【0383】
本明細書に記載される、用いることができる抗IL-4R抗体を含む模範的な医薬組成物は、例えば、米国特許出願公開第2012/0097565号に開示されている。
【0384】
投与量
本明細書に記載される方法に従って対象に投与されるIL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)の量は、一般に、治療有効量である。本明細書で使用される場合、語句「治療有効量」とは、(a)喘息の悪化の発生率の低下;(b)1つもしくはそれ以上の喘息関連パラメーターの改善(本明細書の他の部分で定義される通り);および/または(c)上気道炎症状態の1つもしくはそれ以上の症状もしくは兆候の検出可能な改善のうちの1つもしくはそれ以上をもたらすIL-4Rアンタゴニストの量を意味する。「治療有効量」はまた、対象において喘息の進行を抑制する、予防する、低減する、または遅延するIL-4Rアンタゴニストの量を含む。
【0385】
抗IL-4R抗体の場合では、治療有効量は、抗IL-4R抗体約0.05mg~約700mg、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約3.0mg、約5.0mg、約7.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、または約700mgであり得る。ある特定の実施形態では、抗IL-4R抗体300mgが、投与される。
【0386】
個別の用量の範囲内で含有されるIL-4Rアンタゴニストの量は、患者の体重キログラム当たりの抗体ミリグラム(すなわち、mg/kg)に関して表すことができる。例えば、IL-4Rアンタゴニストは、患者の体重kg当たり約0.0001~約10mgの用量で患者に投与してもよい。例えば、L-4Rアンタゴニストは、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、または6mg/kgの用量で投与することができる。
【0387】
いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの用量は、好酸球数によって変わり得る。例えば、対象は、血中好酸球数(すなわち、高血中好酸球数)が≧300細胞/μL、もしくは300~499細胞/μLもしくは≧500細胞/μL(HEos);血中好酸球数が、200~299細胞/μL(中等症血中好酸球);または血中好酸球数が<200細胞/μL(低血中好酸球)であり得る。
【0388】
いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの用量は、FeNO値によって変わり得る。例えば、対象は、FeNO値≧50ppb(例えば、高いFeNO);FeNO値≧25ppb;FeNO値約25ppb~約50ppb;FeNO値<50ppb;FeNO値<25ppb(例えば、低いFeNO);またはFeNO値<20ppb(例えば、低いFeNO)を有していてもよい。
【0389】
いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの用量は、総血清IgE値によって変わり得る。例えば、対象は、総血清IgE値≧30IU/mL;総血清IgE値≧700IU/mLの(例えば、高い血清IgE);または総血清IgE値≧1000IU/mL(例えば、非常に高い血清IgE)を有していてもよい。
【0390】
いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの用量は、アレルゲン特異的IgE値によって変わり得る。いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの用量は、Af特異的IgE値によって変わり得る。例えば、対象は、アレルゲン特異的IgE値≧0.15kU/L;またはアレルゲン特異的IgE値≧0.35kU/Lを有していてもよい。
【0391】
ある特定の実施形態では、本方法は、IL-4Rアンタゴニストの1回もしくはそれ以上の維持量約200~約300mgを含む。
【0392】
ある特定の実施形態では、ICSおよびLABAは、IL-4Rアンタゴニストの投与の持続時間の間投与される。
【0393】
ある特定の実施形態では、負荷投与量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む。
【0394】
ある特定の実施形態では、負荷投与量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0395】
ある特定の実施形態では、負荷投与量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含み、この用量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgに増加させることができる。
【0396】
他の実施形態では、負荷投与量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、4週おきに投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む。
【0397】
他の実施形態では、負荷投与量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、4週おきに投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0398】
他の実施形態では、負荷投与量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、週1回投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む。
【0399】
他の実施形態では、負荷投与量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、週1回投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0400】
他の実施形態では、負荷投与量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、3週おきに投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む。
【0401】
他の実施形態では、負荷投与量は、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、3週おきに投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0402】
一実施形態では、対象は、6~<18歳であり、IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメントは、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0403】
別の実施形態では、対象は、12~<18歳であり、IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメントは、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0404】
別の実施形態では、対象は、6~<12歳であり、IL-4R抗体またはそれらの抗原結合フラグメントは、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0405】
別の実施形態では、対象は、2~<6歳であり、IL-4R抗体またはそれらの抗原結合フラグメントは、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0406】
さらなる他の実施形態では、対象は、<2歳であり、IL-4R抗体またはそれらの抗原結合フラグメントは、2mg/kgまたは4mg/kgで投与される。
【0407】
併用療法
本明細書に記載される方法のある特定の実施形態は、IL-4Rアンタゴニストと組み合わせて1つまたはそれ以上の追加の治療薬を対象に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」という表現は、追加の治療薬が、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の前に、その後にまたはそれと同時に投与されることを意味する。いくつかの実施形態では、用語「と組み合わせて」には、IL-4Rアンタゴニスト、および第2の治療薬の逐次または同時投与が含まれる。喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)もしくは関連する状態もしくは合併症を治療するための、または少なくとも1回の悪化を低減するための方法であって、相加または相乗活性のための第2の治療薬と組み合わせて、IL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む、方法が提供される。
【0408】
例えば、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「前」に投与する場合、追加の治療薬は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の約72時間、約60時間、約48時間、約36時間、約24時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分、約15分、または約10分前に投与してもよい。IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「後」に投与する場合、追加の治療薬は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の約10分、約15分、約30分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、または約72時間後に投与してもよい。IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物と「同時の」投与は、追加の治療薬が、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の5分未満の範囲以内で(その前に、その後に、もしくはそれと同時に)別々の剤形で対象に投与される、または追加の治療薬およびIL-4Rアンタゴニストを含む、合わせた単回投与量の配合物として、対象に投与されることを意味する。
【0409】
追加の治療薬は、例えば、別のIL-4Rアンタゴニスト、IL-1アンタゴニスト(例えば、米国特許第6,927,044号に記載されているIL-1アンタゴニストを含む)、IL-6アンタゴニスト、IL-6Rアンタゴニスト(例えば、米国特許第7,582,298号に記載されている抗IL-6R抗体を含む)、TNFアンタゴニスト、IL-8アンタゴニスト、IL-9アンタゴニスト、IL-17アンタゴニスト、IL-5アンタゴニスト、IgEアンタゴニスト、CD48アンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、抗真菌薬、NSAID、長時間作用性β2アゴニスト(例えば、サルメテロールまたはホルモテロール)、吸入コルチコステロイド(例えば、フルチカゾンまたはブデソニド)、全身性コルチコステロイド(例えば、経口または静脈内)、メチルキサンチン、ネドクロミルナトリウム、クロモリンナトリウム、またはそれらの組合せでもよい。例えば、ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物は、長時間作用性β2アゴニストおよび吸入コルチコステロイド(例えば、フルチカゾン+サルメテロール(例えば、Advair(登録商標)(GlaxoSmithKline));またはブデソニド+ホルモテロール(例えば、SYMBICORT(登録商標)(Astra Zeneca)))を含む組合せと組み合わせて投与される。
【0410】
いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストと組み合わせて投与される追加の治療薬は、ワクチンである。ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、ウイルス性ワクチンまたは細菌性ワクチンである。ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、生きた(例えば、生きた弱毒化した)ウイルス性ワクチンまたは生きた(例えば、生きた弱毒化した)細菌性ワクチンである。
【0411】
適当なワクチンには、それだけに限らないが、アデノウイルス、炭疽(例えば、AVAワクチン(BioThrax))、コレラ(例えば、Vaxchora)、ジフテリア(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Td(Tenivac、ジェネリック)、DT(ジェネリック)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、A型肝炎(例えば、HepA(Havrix、Vaqta)、HepA-HepB(Twinrix))、B型肝炎(例えば、HepB(Engerix-B、Recombivax HB、Heplisav-B)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、HepA-HepB(Twinrix))、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型(Hib)(例えば、Hib(ActHIB、PedvaxHIB、Hiberix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、ヒトパピローマウイルス(HPV)(例えば、HPV9(Gardasil 9))、インフルエンザ(flu)(例えば、IIV(またIIV3、IIV4、RIV3、RIV4およびccIIV4とも称される)(Afluria、Fluad、Flublok、Flucelvax、FluLaval、Fluarix、Fluvirin、Fluzone、Fluzone High-Dose、Fluzone Intradermal)、LAIV(FluMist))、日本脳炎(例えば、JE(Ixiaro))、麻疹(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、髄膜炎菌(例えば、MenACWY(Menactra、Menveo)、MenB(Bexsero、Trumenba))、流行性耳下腺炎(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、百日咳(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、肺炎球菌(例えば、PCV13(Prevnar13)、PPSV23(Pneumovax23))、ポリオ(例えば、Polio(Ipol)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、狂犬病(例えば、Rabies(Imovax Rabies、RabAvert))、ロタウイルス(例えば、RV1(Rotarix)、RV5(RotaTeq))、風疹(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、帯状ヘルペス(例えば、ZVL(Zostavax)、RZV(Shingrix))、天然痘(例えば、Vaccinia(ACAM2000))、破傷風(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Td(Tenivac、ジェネリック)、DT(ジェネリック)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、結核、腸チフス(例えば、Typhoid Oral(Vivotif)、腸チフス菌多糖類(Typhoid Polysaccharide)(Typhim Vi))、水痘(例えば、VAR(Varivax)、MMRV(ProQuad))、黄熱病(例えば、YF(YF-Vax))などが含まれる。適当なワクチンはまた、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み入れる米国疾病対策予防センター(US Centers for Disease Control)のワクチンリスト(cdc.gov/vaccines/vpd/vaccines-list.html)でも列挙されている。
【0412】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、不活化ワクチン、組換えワクチン、結合ワクチン、サブユニットワクチン、多糖類ワクチン、またはトキソイドワクチンである。いくつかの実施形態では、ワクチンは、黄熱病ワクチンである。いくつかの実施形態では、ワクチンにより治療された対象は、2型炎症性疾患のために、IL-4Rアンタゴニストと同時に治療される。いくつかの実施形態では、ワクチンにより治療された対象は、喘息のために、IL-4Rアンタゴニストと同時に治療される。
【0413】
ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンによる治療の前に中止または終結される。ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンの投与の前に、約1~約9(例えば、約1、約1と1/2、約2、約2と1/2、約3、約3と1/2、約4、約4と1/2、約5、約5と1/2、約6、約6と1/2、約7、約7と1/2、約8、約8と1/2、約9またはそれ以上)週間中止される。いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンの投与の前に、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、または約60日間中止される。
【0414】
ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンによる治療の後、再開される。ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンの投与の後、約1~約14(例えば、約1、約1と1/2、約2、約2と1/2、約3、約3と1/2、約4、約4と1/2、約5、約5と1/2、約6、約6と1/2、約7、約7と1/2、約8、約8と1/2、約9、約9と1/2、約10、約10と1/2、約11、約11と1/2、約12、約12と1/2、約13、約13と1/2、約14、約14と1/2、またはそれ以上)週間で再開される。いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンの投与の後、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、または約90日で再開される。
【0415】
ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの有効性は、ワクチンと組み合わせた投与によって、またはそれに続くワクチンの投与によって減少されない。いくつかの実施形態では、対象の努力呼気肺活量(FEV1)は、ワクチンの投与の前と後で安定している。
【0416】
いくつかの実施形態では、ワクチンの有効性は、IL-4Rアンタゴニストと組み合わせた投与によって、またはIL-4Rアンタゴニストの前のおよび/もしくはそれに続く投与によって減少されない。いくつかの実施形態では、ワクチンがIL-4Rアンタゴニストと共投与される場合、対象は、ワクチンに対する血清防御的な中和力価を発生させる。
【0417】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は本明細書に記載されるワクチンが投与され、その場合、ワクチンの投与の前、その間、またはその後に、対象は少なくとも1つの用量のIL-4Rアンタゴニストが投与される。
【0418】
いくつかの実施形態では、ワクチンが投与された対象は、2型炎症性疾患を有する。ある特定の模範的な実施形態では、2型炎症性疾患は、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性鼻副鼻腔炎、鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSsNP)、好酸球性食道炎(EoE)、アトピー性皮膚炎(AD)、食物および環境アレルギー、アスピリンによって悪化する呼吸器疾患(AERD)、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)によって悪化する呼吸器疾患のうちの1つまたはいずれかの組合せである。
【0419】
投与レジメン
ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの複数回の用量は、定義された時間的経過にわたって対象に投与してもよい。かかる方法は、IL-4Rアンタゴニストの複数回の用量を対象に逐次に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「逐次的に投与する」とは、IL-4Rアンタゴニストの各用量は、異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば,時間、日数、週間、または月)により分けられた異なる日に対象に投与されるという意味である。IL-4Rアンタゴニストの単一の初回量、その後、IL-4Rアンタゴニストの1回またはそれ以上の第2の用量、場合により、その後、IL-4Rアンタゴニストの1回またはそれ以上の第3の用量を、患者に逐次的に投与する工程を含む方法が提供される。
【0420】
週約4回、週2回、週1回(q1w)、2週毎に1回(2週毎は、隔週、2週間に1回またはq2wと同義的に用られる)、3週毎に1回(3週間に1回またはq3w)、4週毎に1回(毎月またはq4w)、5週毎に1回(q5w)、6週毎に1回(q6w)、8週毎に1回(q8w)、12週毎に1回(q12w)の投与頻度で、または治療応答が達成される限りそれより低い頻度で、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法が、提供される。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含むある特定の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mg、または300mgの量の週1回の投薬は、使用することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mg、または300mgの量の2週毎に1回の投与(2週毎は、隔週、2週間に1回またはq2wと同義的に用られる)を採用してもよい。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mg、または300mgの量の3週間に1回の投薬は、使用することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mg、または300mgの量の4週間に1回の投薬(毎月投薬)は、使用することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mg、または300mgの量の5週間に1回の投薬は、使用することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mg、または300mgの量の6週間に1回の投薬は、使用することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mg、または300mgの量の8週間に1回の投薬は、使用することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態では、約75mg、100mg、150mg、200mg、または300mgの量の12週間に1回の投薬は、使用することができる。一実施形態では、投与の経路は、皮下である。
【0421】
用語「週」とは、(n×7日)±2日、例えば(n×7日)±1日、または(n×7日)の期間を意味し、「n」は、週の数、例えば、1、2、3、4、5、6、8、12週間またはそれ以上を示す。
【0422】
用語「初回量」、「第2の用量」、および「第3の用量」とは、IL-4Rアンタゴニストの投与の時系列を意味する。したがって、「初回量」は、治療レジメンの開始時に投与される用量(「ベースライン用量」とも称する)であり;「第2の用量」は、初回量の後に投与される用量であり;「第3の用量」は、第2の用量の後に投与される用量である。初回量、第2の用量、および第3の用量は、IL-4Rアンタゴニストの同じ量をすべて含むことができるが、一般に、投与の回数に関して互いに異なり得る。しかしながら、ある特定の実施形態では、初回量、第2の用量および/または第3の用量において含有されるIL-4Rアンタゴニストの量は、治療中に互いに変わる(例えば、必要に応じて上げたり下げたりして調整される)。ある特定の実施形態では、2回以上(例えば、2、3、4、または5回)の用量は、「負荷投与量」として治療レジメンの開始時に投与され、続いて、より少ない回数で投与されるその後の用量(例えば、「維持量」)で投与される。一実施形態では、維持量は、負荷投与量より少なくてもよい。例えば、IL-4Rアンタゴニストの1回またはそれ以上の負荷投与量600mgは、その後、維持量約75mg~約300mgを投与することができる。
【0423】
ある特定の実施形態では、負荷投与量は、IL-4Rアンタゴニスト約400~約600mgである。一実施形態では、負荷投与量は、IL-4Rアンタゴニスト400mgである。別の実施形態では、負荷投与量は、IL-4Rアンタゴニスト600mgである。
【0424】
ある特定の実施形態では、維持量は、IL-4Rアンタゴニスト約200~約300mgである。一実施形態では、維持量は、IL-4Rアンタゴニスト200mgである。別の実施形態では、維持量は、IL-4Rアンタゴニスト300mgである。
【0425】
ある特定の実施形態では、負荷投与量は、維持量の2倍である。
【0426】
いくつかの実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む(隔週は、2週毎、2週間に1回またはq2wと同義的に用られる)。
【0427】
いくつかの実施形態では、対象は、OCS依存性喘息を有し、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む。
【0428】
いくつかの実施形態では、対象は、併存する中等症から重症のアトピー性皮膚炎を有し、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む。
【0429】
いくつかの実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0430】
いくつかの実施形態では、対象は、OCS依存性喘息を有し、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0431】
いくつかの実施形態では、対象は、併存する中等症から重症のアトピー性皮膚炎を有し、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、隔週投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0432】
いくつかの実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、4週おきに投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む。
【0433】
いくつかの実施形態では、対象は、OCS依存性喘息を有し、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、4週目毎に投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む。
【0434】
いくつかの実施形態では、対象は、併存する中等症から重症のアトピー性皮膚炎を有し、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント600mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、4週目毎に投与される抗体またはその抗原結合フラグメント300mgを含む。
【0435】
いくつかの実施形態では、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、4週目毎に投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0436】
いくつかの実施形態では、対象は、OCS依存性喘息を有し、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、4週目毎に投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0437】
いくつかの実施形態では、対象は、併存する中等症から重症のアトピー性皮膚炎を有し、負荷投与量は、抗体またはその抗原結合フラグメント400mgを含み、1回またはそれ以上の維持量は、4週目毎に投与される抗体またはその抗原結合フラグメント200mgを含む。
【0438】
模範的な一実施形態では、各第2および/または第3の用量は、直前の用量の1~14(例えば、1、1と1/2、2、2と1/2、3、3と1/2、4、4と1/2、5、5と1/2、6、6と1/2、7、7と1/2、8、8と1/2、9、9と1/2、10、10と1/2、11、11と1/2、12、12と1/2、13、13と1/2、14、14と1/2またはそれ以上)週間後に投与される。語句「直前の用量」とは、一連の多回投与で、その用量を妨げない順序でその次の用量の投与前に患者に投与される、IL-4Rアンタゴニストの用量を意味する。
【0439】
本方法は、IL-4Rアンタゴニストのかなり多数の第2および/または第3の用量を患者に投与する工程を含むことができる。例えば、ある特定の実施形態では、単一の第2の用量のみ、患者に投与される。他の実施形態では、2回以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の第2の用量は、患者に投与される。例えば、ある特定の実施形態では、単一の第3の用量のみ、患者に投与される。他の実施形態では、2回以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の第3の用量が、患者に投与される。
【0440】
複数の第2の用量を含む実施形態では、各第2の用量は、他の第2の用量と同じ回数で投与してもよい。例えば、各第2の用量は、直前の用量の1~2週間後に患者に投与してもよい。類似的に、複数の第3の用量を含む実施形態では、各第3の用量は、他の第3の用量と同様の回数で投与してもよい。例えば、各第3の用量は、直前の用量の2~4週間後に患者に投与してもよい。あるいは、第2および/または第3の用量が患者に投与される回数は、治療レジメンの間に変わり得る。投与の回数は、臨床検査後に個別の患者の必要性に応じて医師により、治療中に調整することもできる。
【0441】
喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)または関連する状態を治療するための、IL-4Rアンタゴニストおよび第2の治療薬の患者への逐次投与を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、IL-4Rアンタゴニストの1回もしくはそれ以上の用量、その後、第2の治療薬の1回もしくはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回もしくはそれ以上)の用量を投与する工程を含む。例えば、IL-4Rアンタゴニストの1回もしくはそれ以上の用量約75mg~約300mgは、投与することができ、その後、第2の治療薬(例えば、本明細書の他の部分に記載される通り、吸入コルチコステロイドまたはβ2-アゴニストまたは任意の他の治療薬)の1回またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の用量は、喘息の1種またはそれ以上の症状を治療する、緩和する、軽減するまたは寛解させるために、投与することができる。いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、1つまたはそれ以上の喘息関連パラメーターの改善をもたらす1回またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の用量で投与され、その後、喘息の少なくとも1種の症状の再発を予防するために第2の治療薬が投与される。代替的な実施形態は、IL-4Rアンタゴニスト、ならびに第2の治療薬の同時投与に関係する。例えば、IL-4Rアンタゴニストの1回またはそれ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の用量が投与され、第2の治療薬が、IL-4Rアンタゴニストに対して類似のまたは異なる回数で別々の投与量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の治療薬は、IL-4Rアンタゴニストの前、その後またはそれと同時に投与される。
【0442】
ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、隔週で、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、30週間、32週間、34週間、36週間、38週間、40週間、42週間、44週間、46週間、48週間またはそれ以上投与される。他の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、4週間に1回、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間、40週間、44週間、48週間またはそれ以上投与される。詳細な実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、少なくとも24週間投与される。
【0443】
重症のコントロール不良な喘息(例えば、重症のステロイド依存性喘息)を有する対象を治療するための方法であって、IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントの負荷投与量を対象に投与する工程を含む、方法が提供される。ある特定の実施形態では、本方法には、1種もしくは複数の抗体またはその抗原結合フラグメントの維持量を、対象に投与する工程を含み、その複数の維持量は、治療期中に投与される。治療期は、誘導期、OCS減少期、およびOCS維持期を含む。
【0444】
ある特定の模範的な実施形態では、誘導期は、対象が、それらのOCS用量を連続的に投与される間の期間を含む。ある特定の模範的な実施形態では、減少期は、対象が、誘導期中に投与される用量に対してより低いOCS用量が投与される期間を含む。ある特定の模範的な実施形態では、維持期は、対象が、OCSのある特定の適当な量または用量が投与される期間を含む。あるいは、維持期は、OCS療法/投与が、減らされるまたは取り除かれる期間を含む。ある特定の実施形態では、患者によるOCSの使用は、完全に除去され、患者は、IL4R抗体またはそのフラグメントによる治療の1年未満の範囲内に(例えば、初回治療1年、6カ月、3カ月または1カ月以内に)ステロイドを用いない。
【0445】
別の態様では、重症のステロイド依存性喘息および/または重症のコントロール不良な喘息を有する対象を治療するための方法は、インターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント約600mgの負荷投与量を対象に投与する工程、および抗体またはその抗原結合フラグメントの複数の維持量を対象に投与する工程を含む。各維持量は、抗体またはその抗原結合フラグメント約300mgであり、複数の維持量は、誘導期、経口コルチコステロイド(OCS)減少期、および維持期を含む治療期間中に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1および2を含むHCVR/LCVR配列対からの重鎖および軽鎖CDR配列を含む。
【0446】
治療集団
本明細書で提供される方法は、IL-4Rアンタゴニストを含む治療用組成物をそれを必要とする対象に投与する工程を含む。「それを必要とする対象」という表現は、喘息(例えば、アレルギー性喘息、例えば、中等症から重症のコントロール不良なアレルギー性喘息もしくはABPAに関連する喘息)および/もしくはABPAの1種もしくはそれ以上の症状もしくは兆候を示す、または喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)および/もしくはABPAと診断されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。例えば、「それを必要とする対象」は、例えば、治療前に、1つまたはそれ以上の喘息関連(例えば、アレルギー性喘息関連)パラメーター、例えば、損なわれたFEV1(例えば、2.0L未満)、損なわれたFEF25~75%;損なわれたAM PEF(例えば、400L/分未満)、損なわれたPM PEF(例えば、400L/分未満)、少なくとも2.5のACQ5スコア、一晩で少なくとも1回の夜間の覚醒状態、および/またはSNOT-22スコアが少なくとも20などを示す(または示したことがある)対象を含み得る。様々な実施形態では、本方法は、それを必要とする患者における、軽症、中等症から重症、および重症の喘息(例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など)および/またはABPAを治療するために用いることができる。ある特定の実施形態では、本方法は、それを必要とする患者における、軽症、中等症から重症、および重症の喘息、例えば、アレルギー性喘息、ABPAに関連する喘息、中等症から重症の喘息、持続型喘息など、および/またはABPAを治療するために用いることができ、患者は、さらに併存する中等症から重症のアトピー性皮膚炎を示す。
【0447】
ある特定の実施形態では、「それを必要とする対象」は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベル、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベル、または少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を示すヒトまたは非ヒト動物を意味する。ある特定の実施形態では、「それを必要とする対象」は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベル、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベル、および少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数のうち少なくとも2つを示すヒトまたは非ヒト動物を意味する。ある特定の実施形態では、「それを必要とする対象」は、少なくとも約1000IU/mLの総血清IgEレベル、0.35kU/Lより大きいアスペルギルス・フミガーツス特異的IgEレベル、および少なくとも約500細胞/μlのベースライン血中好酸球数を示すヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0448】
関連した実施形態では、「それを必要とする患者」は、IL-4Rアンタゴニストを投与される前に、ICS/LABAの組合せを処方されていたまたは現在ICS/LABAの組合せを投与している対象であり得る。ICSの例には、フロ酸モメタゾン、ブデソニド、およびプロピオン酸フルチカゾンが含まれる。LABAの例には、ホルモテロールおよびサルメテロールが含まれる。ICS/LABA療法の例には、フルチカゾン/サルメテロール併用療法およびブデソニド/ホルモテロール併用療法が含まれる。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与の直前に2週間以上のICS/LABAの定期的なコース(かかる事前の治療は、本明細書中で「基礎治療」と称される)を受けてきた患者に、IL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む方法が提供される。基礎治療がIL-4Rアンタゴニストの投与と組み合わせて継続される治療方法が提供される。さらに他の実施形態では、ICS構成成分、LABA構成成分、またはその両方の量は、IL-4Rアンタゴニストの投与の開始前または開始後に漸減される。いくつかの実施形態では、少なくとも≧12カ月間持続型喘息を伴う患者を治療する方法が提供される。一実施形態では、持続型喘息を伴う患者は、治療薬、例えば、コルチコステロイドによる治療に抵抗し得、本方法に従って、IL-4Rアンタゴニストを投与することができる。
【0449】
いくつかの実施形態では、「それを必要とする対象」は、喘息関連バイオマーカーの上昇したレベルを有する対象であり得る。喘息関連および/またはABPA関連バイオマーカーの例としては、それだけに限らないが、IgE(例えば、総IgEおよび/またはA.フミガーツス特異的IgE)、胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC)、血中好酸球、エオタキシン-3、CEA、YKL-40、ならびにペリオスチンが挙げられる。いくつかの実施形態では、「それを必要とする対象」は、血中好酸球≧300細胞/μL、200~299細胞/μL、または<200細胞/μLを有する対象であり得る。一実施形態では、「それを必要とする患者」は、呼気一酸化窒素(FeNO)により測定した通り、気管支または気道炎症のレベルが上昇した対象であり得る。別の実施形態では、「それを必要とする対象」は、上昇したエオタキシンレベルを有する対象であり得る。別の実施形態では、「それを必要とする対象」は、上昇したTARCレベルを有する対象であり得る。別の実施形態では、「それを必要とする対象」は、上昇したIgEレベル(例えば、総IgEおよび/またはA.フミガーツス特異的IgEレベル)を有する対象であり得る。
【0450】
いくつかの実施形態では、「それを必要とする患者」は、対象の年齢18歳以上、対象12歳以上、対象の年齢12~17歳(12~<18歳)、対象の年齢6~11歳(6~<12歳)、および対象の年齢2~5歳(2~<6歳)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、「それを必要とする患者」は、成人、青少年、および小児からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、「それを必要とする患者」は、成人年齢18歳以上、青少年年齢12~17歳(12~<18歳)、小児年齢6~11歳(6~<12歳)、および小児年齢2~5歳(2~<6歳)からなる群から選択される。対象は、2歳未満、例えば、12~23カ月、または6~11カ月であり得る。
【0451】
いくつかの実施形態では、「それを必要とする患者」は、習慣的な喫煙者である対象である。いくつかの実施形態では、対象は、喫煙する、例えば、紙巻きタバコ、葉巻、煙管、水煙管、および/または気化器(すなわち、「ベープス(vapes)」)を吸う習慣的な喫煙者である。いくつかの実施形態では、対象は、紙巻きタバコを年間10箱以上吸う喫煙歴がある習慣的な喫煙者である。いくつかの実施形態では、対象は、習慣的な喫煙者であり、年間10箱より少ない紙巻きタバコを吸う喫煙歴がある。いくつかの実施形態では、対象は、習慣的な喫煙者であり、年間1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50箱またはそれ以上を超えて紙巻きタバコを吸う喫煙歴がある。いくつかの実施形態では、対象は、6カ月、1年、2年、3年、5年、10年間またはそれ以上吸う喫煙歴がある、習慣的な喫煙者である。
【0452】
いくつかの実施形態では、「それを必要とする患者」は、喫煙経験者である対象である。いくつかの実施形態では、対象は、紙巻きタバコ、葉巻、煙管、水煙管および/またはベープスを吸う履歴がある喫煙経験者である。いくつかの実施形態では、対象は、紙巻きタバコを年間10箱以上吸う喫煙歴がある喫煙経験者である。いくつかの実施形態では、対象は、年間10箱より少ない数を吸う喫煙歴がある、喫煙経験者である。いくつかの実施形態では、対象は、年間1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50箱またはそれ以上を超えて紙巻きタバコを吸う喫煙歴がある、喫煙経験者である。いくつかの実施形態では、対象は、6カ月、1年、2年、3年、5年、10年間またはそれ以上吸う喫煙歴がある、喫煙経験者である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12カ月間喫煙を止めている喫煙経験者である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも6カ月間喫煙を止めている喫煙経験者である。いくつかの実施形態では、対象は、恒久的に喫煙を止めることを意図している喫煙経験者である。
【0453】
いくつかの実施形態では、「それを必要とする患者」は、非-喫煙者である対象である。いくつかの実施形態では、対象は、紙巻きタバコ、葉巻、煙管、水煙管および/またはベープスを吸う履歴がない非-喫煙者である。いくつかの実施形態では、対象は、タバコを吸う履歴がない非-喫煙者である。
【0454】
いくつかの実施形態では、「それを必要とする対象」は、ワクチン、例えばウイルス性ワクチンまたは細菌性ワクチンにより治療される対象である。いくつかの実施形態では、ワクチンは、生ワクチン、例えば、生きた(例えば、生きた弱毒化した)ウイルス性ワクチンまたは生きた(例えば、生きた弱毒化した)細菌性ワクチンである。
【0455】
適当なワクチンには、それだけに限らないが、アデノウイルス、炭疽(例えば、AVAワクチン(BioThrax))、コレラ(例えば、Vaxchora)、ジフテリア(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Td(Tenivac、ジェネリック)、DT(ジェネリック)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、A型肝炎(例えば、HepA(Havrix、Vaqta)、HepA-HepB(Twinrix))、B型肝炎(例えば、HepB(Engerix-B、Recombivax HB、Heplisav-B)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、HepA-HepB(Twinrix))、インフルエンザ菌b型(Hib)(例えば、Hib(ActHIB、PedvaxHIB、Hiberix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、ヒトパピローマウイルス(HPV)(例えば、HPV9(Gardasil 9))、インフルエンザ(flu)(例えば、IIV(またIIV3、IIV4、RIV3、RIV4およびccIIV4とも称される)(Afluria、Fluad、Flublok、Flucelvax、FluLaval、Fluarix、Fluvirin、Fluzone、Fluzone High-Dose、Fluzone Intradermal)、LAIV(FluMist))、日本脳炎(例えば、JE(Ixiaro))、麻疹(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、髄膜炎菌(例えば、MenACWY(Menactra、Menveo)、MenB(Bexsero、Trumenba))、流行性耳下腺炎(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、百日咳(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、肺炎球菌(例えば、PCV13(Prevnar13)、PPSV23(Pneumovax23))、ポリオ(例えば、Polio(Ipol)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、狂犬病(例えば、Rabies(Imovax Rabies、RabAvert))、ロタウイルス(例えば、RV1(Rotarix)、RV5(RotaTeq))、風疹(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、帯状ヘルペス(例えば、ZVL(Zostavax)、RZV(Shingrix))、天然痘(例えば、Vaccinia(ACAM2000))、破傷風(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Td(Tenivac、ジェネリック)、DT(ジェネリック)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、結核、腸チフス(例えば、Typhoid Oral(Vivotif)、腸チフス菌多糖類(Typhoid Polysaccharide)(Typhim Vi))、水痘(例えば、VAR(Varivax)、MMRV(ProQuad))、黄熱病(例えば、YF(YF-Vax))などが含まれる。適当なワクチンはまた、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み入れる米国疾病対策予防センター(US Centers for Disease Control)のワクチンリスト(cdc.gov/vaccines/vpd/vaccines-list.html)でも列挙されている。
【0456】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、不活化ワクチン、組換えワクチン、結合ワクチン、サブユニットワクチン、多糖類ワクチン、またはトキソイドワクチンである。いくつかの実施形態では、ワクチンは、黄熱病ワクチンである。いくつかの実施形態では、ワクチンにより治療された対象は、2型炎症性疾患のために、IL-4Rアンタゴニストと同時に治療される。いくつかの実施形態では、ワクチンにより治療された対象は、喘息のために、IL-4Rアンタゴニストと同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、ワクチンの投与の前に、IL-4Rアンタゴニストによる治療を中止する。
【0457】
ある特定の実施形態において、対象は、IL-4Rアンタゴニストによる治療を、ワクチンの投与の前に、約1~約9(例えば、約1、約1と1/2、約2、約2と1/2、約3、約3と1/2、約4、約4と1/2、約5、約5と1/2、約6、約6と1/2、約7、約7と1/2、約8、約8と1/2、約9、またはそれ以上)週間中止する。ある特定の実施形態では、対象は、IL-4Rアンタゴニストによる治療を、ワクチンの投与の前に、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、または約60日間中止する。
【0458】
ある特定の実施形態では、対象は、ワクチンによる治療の後、IL-4Rアンタゴニストによる治療を再開する。ある特定の実施形態では、対象は、ワクチンの投与の後、1~14(例えば、約1、約1と1/2、約2、約2と1/2、約3、約3と1/2、約4、約4と1/2、約5、約5と1/2、約6、約6と1/2、約7、約7と1/2、約8、約8と1/2、約9、約9と1/2、約10、約10と1/2、約11、約11と1/2、約12、約12と1/2、約13、約13と1/2、約14、約14と1/2、またはそれ以上)週間でIL-4Rアンタゴニストによる治療を再開する。ある特定の実施形態では、対象は、IL-4Rアンタゴニストによる治療を、ワクチンの投与の後、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、または約90日で再開する。
【0459】
健康な対象における正常なIgEレベルは、典型的には約100IU/mL未満である(例えば、IMMUNOCAP(登録商標)アッセイ(Phadia,Inc.Portage、MI)を使用して測定した場合)。したがって、約100IU/mLより高い、約150IU/mLより高い、約500IU/mLより高い、約700IU/mLより高い、約1000IU/mLより高い、約1500IU/mLより高い、約2000IU/mLより高い、約2500IU/mLより高い、約3000IU/mLより高い、約3500IU/mLより高い、約4000IU/mLより高い、約4500IU/mLより高い、または約5000IU/mLより高い血清IgEレベルである、上昇した血清IgEレベルを示す対象を選択する工程、およびIL-4Rアンタゴニストの治療有効量を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【0460】
健康な対象における正常なアスペルギルス・フミガーツス(Af)特異的IgEレベルは、典型的には約0.10kU/L未満である(例えば、IMMUNOCAP(登録商標)アッセイ(Phadia,Inc.Portage、MI)を使用して測定した場合)。したがって、約0.1kU/L以上、約0.35kU/Lより高い、約0.70kU/Lより高い、約3.50kU/Lより高い、約17.50kU/Lより高い、約50.00kU/Lより高い、または約100.00kU/Lより高い血清IgEレベルである、上昇した血清IgEレベルを示す対象を選択する工程、およびIL-4Rアンタゴニストの治療有効量を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【0461】
ある特定の実施形態では、IgEレベル(例えば、総IgEレベルおよび/またはA.フミガーツス特異的IgEレベル)は、ベースラインと比べて改善され、例えば、ベースラインから、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%またはそれ以上改善される。
【0462】
健常な対象におけるTARCレベルは、106ng/L~431ng/Lの範囲内であり、平均が約239ng/Lである。(TARCレベルを測定するための模範的なアッセイ系は、R&D Systems社、Minneapolis、MNによりカタログ番号DDN00として提供されたTARC定量的ELISAキットである。)したがって、約431ng/Lより高い、約500ng/Lより高い、約1000ng/Lより高い、約1500ng/Lより高い、約2000ng/Lより高い、約2500ng/Lより高い、約3000ng/Lより高い、約3500ng/Lより高い、約4000ng/Lより高い、約4500ng/Lより高い、または約5000ng/Lより高い血清TARCレベルである、上昇したTARCレベルを示す対象を選択する工程、およびIL-4Rアンタゴニストの治療有効量を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法が提供される。ある特定の実施形態では、TARCレベルは、ベースラインと比べて改善され、例えば、ベースラインから、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%またはそれ以上改善される。
【0463】
エオタキシン-3は、Th2サイトカインIL-4およびIL-13によりアップレギュレートされる、気道上皮細胞により放出されるケモカインのグループに属する(Lillyら、1999年、J.Allergy Clin.Immunol.104巻:786~790頁)。IL-4Rアンタゴニストを投与して、例えば、約100pg/mlを超える、約150pg/mlを超える、約200pg/mlを超える、約300pg/mlを超える、または約350pg/mlを超える、エオタキシン-3レベルの上昇を伴う患者を治療する工程を含む方法が提供される。血清エオタキシン-3レベルは、例えば、ELISAにより測定することができる。ある特定の実施形態では、血清エオタキシン-3レベルは、ベースラインと比べて改善され、例えば、ベースラインから、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%またはそれ以上改善される。
【0464】
ペリオスチンは、Th2媒介炎症プロセスに関与する細胞外マトリックスタンパク質である。ペリオスチンレベルは、喘息を伴う患者において上方制御されることが見出されている(Jiaら、2012 J Allergy Clin Immunol.130:647~654.e10.doi:10.1016/j.jaci.2012.06.025.2012年8月1日に電子出版)。上昇したレベルのペリオスチンを有する患者を治療するためのIL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む方法が提供される。
【0465】
呼気一酸化窒素(FeNO)は、気管支または気道炎症のバイオマーカーである。FeNOは、IL-4およびIL-13を含めた炎症性サイトカインに応答して気道上皮細胞により生成される(Alwingら、1993年、Eur.Respir.J.6巻:1368~1370頁)。健常な成人におけるFeNOレベルは、2~30十億分率(ppb)の範囲である。FeNOを測定するための模範的なアッセイは、Aerocrine AB社、Solna、SwedenによるNIOX装置を用いることによる。評価は、肺活量測定前および少なくとも1時間の絶食後に行われる。例えば、約30ppbを超える、約31ppbを超える、約32ppbを超える、約33ppbを超える、約34ppbを超える、または約35ppbを超える、呼気NO(FeNO)のレベルの上昇を伴う患者に、IL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む方法が提供される。
【0466】
癌胎児性抗原(CEA)(CEA細胞接着分子5[CEACAM5]としても知られている)は、肺の非腫瘍性疾患に関連して見出される腫瘍マーカーである(Marechalら、1988年、Anticancer Res.8巻:677~680頁)。血清中CEAレベルは、ELISAによって測定することができる。例えば、約1.0ng/mlを超える、約1.5ng/mlを超える、約2.0ng/mlを超える、約2.5ng/mlを超える、約3.0ng/mlを超える、約4.0ng/mlを超える、または約5.0ng/mlを超える、CEAのレベルの上昇を伴う患者に、IL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む方法が提供される。
【0467】
YKL-40(そのN-末端アミノ酸チロシン(Y)、リジン(K)およびロイシン(L)に由来し、その分子量は40kDである)は、アップレギュレートされ、喘息の悪化、IgE、および好酸球に関連することが見出された、キチナーゼ様タンパク質である(Tangら、2010年 Eur.Respir.J.35巻:757~760頁)。血清YKL-40レベルは、例えば、ELISAによって測定される。例えば、約40ng/mlを超える、約50ng/mlを超える、約100ng/mlを超える、約150ng/mlを超える、約200ng/mlを超える、または約250ng/mlを超える、IL-4RアンタゴニストをYKL-40のレベルの上昇を伴う患者に投与する工程を含む方法が提供される。
【0468】
ペリオスチンは、線維症に関連する分泌されたマトリックス細胞タンパク質であり、その発現は、培養された気管支上皮細胞および気管支線維芽細胞中で組換えIL-4およびIL-13によりアップレギュレートされる(Jiaら(2012年)J.Allergy Clin.Immunol.130巻:647頁)。ヒト喘息患者において、ペリオスチン発現レベルは、上皮下線維症の指標である網状基底膜(reticular basement membrane)の厚さと相関する。同文献。IL-4Rアンタゴニストを、ペリオスチンのレベルが上昇した患者に投与する工程を含む方法が提供される。
【0469】
誘導された喀痰中の好酸球および好中球は、気道炎症の十分に確立された直接のマーカーである(Djukanovicら、2002年、Eur.Respire.J.37巻:1S~2S)。喀痰は、高張食塩水の吸入によって誘導され、当技術分野で公知の方法、例えば、欧州呼吸器学会のガイドラインに従って、細胞数のために処理される。
【0470】
いくつかの実施形態では、対象は、次の群:血中好酸球数(高血中好酸球)≧300細胞/μL(HEos)もしくは300~499細胞/μLもしくは≧500細胞/μL、血中好酸球数200~299細胞/μL(中等血中好酸球)、または血中好酸球数<200細胞/μL(低血中好酸球)に層別化され、好酸球レベルに基づいた用量または投薬レジメンで抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメントを投与される。
【0471】
いくつかの実施形態では、対象は、次の群:血中好酸球数≧300細胞/μL、300~499細胞/μL、もしくは≧500細胞/μL(高血中好酸球);血中好酸球数≧150細胞/μL(中等血中好酸球);または血中好酸球数<150細胞/μL(低血中好酸球)に層別化され、好酸球レベルに基づいた用量または投薬レジメンで抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメントを投与される。
【0472】
いくつかの実施形態では、対象は、血中好酸球数≧150細胞/μL、血中好酸球数≧300細胞/μL、血中好酸球数300~499細胞/μL、または血中好酸球数≧500細胞/μLにより定義された「好酸球表現型」喘息を有し、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメントを投与される。
【0473】
いくつかの実施形態では、対象は、以下のグループ:≧30IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度;≧100IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度;≧200IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度;≧300IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度;≧400IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度;≧500IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度;≧600IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度;≧700IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度(例えば、高い血清IgE);≧800IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度;≧900IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度;または≧1000IU/mLの総ベースライン血清IgE濃度(例えば、非常に高いIgE)に階層化され、IgG濃度に基づく用量または用量レジメンで抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメントを投与される。
【0474】
いくつかの実施形態では、対象は、以下のグループ:≧0.05kU/Lのアレルゲン特異的IgE(例えば、A.フミガーツス特異的)濃度;≧0.10kU/Lのアレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度;≧0.15kU/Lのアレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度;≧0.20kU/Lのアレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度;≧0.25kU/Lのアレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度;≧0.30kU/Lのアレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度;≧0.35kU/Lのアレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度;≧0.40kU/Lのアレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度;≧0.45kU/Lのアレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度;または≧0.50kU/Lのアレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度に階層化され、アレルゲン特異的(例えば、A.フミガーツス特異的)IgE濃度に基づく用量または用量レジメンで抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメントを投与される。
【0475】
いくつかの実施形態では、対象は、以下のグループ:≧20ppbのベースラインFeNO値;≧25ppbのベースラインFeNO値;≧50ppbのベースラインFeNO値(例えば、高いFeNO);<25ppbのベースラインFeNO値(例えば、低いFeNO);<50ppbのベースラインFeNO値;または約25ppb~約50ppbのベースラインFeNO値に階層化され、FeNO値に基づく用量または用量レジメンで抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメントを投与される。
【0476】
薬力学的な喘息関連パラメーターおよび/またはABPA関連パラメーターを評価するための方法
IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与によって生じる、それを必要とする対象において1つもしくはそれ以上の薬力学的な喘息関連パラメーターおよび/または1つもしくはそれ以上の薬力学的なABPA関連パラメーターを評価するための方法が提供される。(前述した通り)喘息の悪化の発生率の低下または(前述した通り)1つもしくはそれ以上の喘息関連パラメーターの改善は、1つまたはそれ以上の薬力学的な喘息関連パラメーターの改善と相関し得るが;そのような相関は、すべての場合において必ずしも観察されるわけではない。
【0477】
「薬力学的な喘息関連パラメーター」または「薬力学的なABPA関連パラメーター」の例としては、例えば、以下:(a)バイオマーカー発現レベル;(b)血清タンパク質およびRNA分析;(c)誘導された痰中の好酸球および好中球レベル;(d)呼気酸化窒素(FeNO);ならびに(e)血中好酸球数が挙げられる。「薬力学的な喘息関連パラメーターの改善」とは、例えば、1種またはそれ以上のバイオマーカー、例えば、TARC、エオタキシン-3またはIgEのベースラインからの減少、喀痰中の好酸球もしくは好中球、FeNO、ペリオスチンまたは血中好酸球数の減少を意味する。本明細書で使用される場合、薬力学的な喘息関連パラメーターに関して用語「ベースライン」とは、本明細書に記載される医薬組成物の投与前または投与時の患者についての薬力学的な喘息関連パラメーターの数値を意味する。
【0478】
薬力学的な喘息関連パラメーターまたは薬力学的なABPA関連パラメーターを評価するために、パラメーターは、ベースラインで、および医薬組成物の投与後の時点で定量化される。例えば、薬力学的な喘息関連パラメーターまたは薬力学的なABPA関連パラメーターは、医薬組成物での最初の治療後の、約1日目、約2日目、約3日目、4日目、約5日目、約6日目、約7日目、約8日目、約9日目、約10日目、約11日目、約12日目、約14日目、または約3週目、約4週目、約5週目、約6週目、約7週目、約8週目、約9週目、約10週目、約11週目、約12週目、約13週目、約14週目、約15週目、約16週目、約17週目、約18週目、約19週目、約20週目、約21週目、約22週目、約23週目、約24週目に、またはそれより後に測定してもよい。治療の開始後の特定の時点でのパラメーターの値とベースライン時のパラメーターの値との間の差を用いて、薬力学的な喘息関連パラメーターの変化、例えば、「改善」(例えば、場合によっては、測定される特定のパラメーターに応じて、増加または減少)があるかどうかを確立する。
【0479】
ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの、患者への投与は、特定のバイオマーカーの発現の変化、例えば、減少または増加をもたらす。喘息関連バイオマーカーおよび/またはABPA関連バイオマーカーとしては、それだけに限らないが、以下:(a)総IgE;(b)Af特異的IgE;(c)胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC);(d)YKL-40;(e)血清中の癌胎児性抗原;(f)血漿中のエオタキシン-3;(g)血清中のペリオスチン;ならびに(h)血清中の好酸球レベルが挙げられる。例えば、喘息患者および/またはABPA患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、TARCもしくはエオタキシン-3レベルの減少、または総血清IgEレベルの減少の1つまたはそれ以上を引き起こす可能性がある。その低下は、IL-4Rアンタゴニストの投与後約1週目、約2週目、約3週目、約4週目、約5週目またはそれ以上に検出することができる。バイオマーカーの発現は、当技術分野で公知の方法によりアッセイすることができる。例えば、タンパク質レベルは、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)により測定することができる。RNAレベルは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応に結合された逆転写(RT-PCR)により測定することができる。
【0480】
上記で論じた通り、バイオマーカーの発現は、血清中のタンパク質またはRNAの検出によりアッセイすることができる。血清サンプルを用いて、IL-4Rアンタゴニストによる治療に対する応答に関連する追加のタンパク質もしくはRNAバイオマーカー、IL-4/IL-13シグナル伝達、喘息、アトピーまたは(例えば、可溶性IL-4Rα、IL-4、IL-13、ペリオスチンを測定することによる)好酸球性疾患をモニターすることもできる。いくつかの実施形態では、RNAサンプルを用いて、RNAレベル(非遺伝分析)、例えば、バイオマーカーのRNAレベルを決定し、他の実施形態では、RNAサンプルは、トランスクリプトームシーケンシング(例えば、遺伝分析)のために用いられる。
【0481】
配合物
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、i)IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント約150mg/mL、ii)ヒスチジン約20mM、iii)アセテート約12.5mM、iv)スクロース約5%(w/v)、v)塩酸アルギニン約25mM、viポリソルベート80)約0.2%(w/v)を含む組成物に製剤化され、配合物のpHは、約5.9であり、配合物の粘度は、約8.5センチポイズである。
【0482】
代替の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、i)IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント約175mg/mL、ii)ヒスチジン約20mM、iii)アセテート約12.5mM、iv)スクロース約5%(w/v)、v)塩酸アルギニン約50mM、およびvi)ポリソルベート80約0.2%(w/v)を含む組成物に製剤化され、配合物のpHは、約5.9であり、配合物の粘度は、約8.5センチポイズである。
【0483】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0484】
適当な安定化された配合物は、あらゆる目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み入れるUS8,945,559にも記載されている。
【0485】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これは、さらなる限定として解釈されるべきではない。図面ならびに本出願にわたり引用されたすべての参考文献、特許および公開された特許出願の内容は、あらゆる目的のために明示的に参照によって本明細書に組み入れる。
【0486】
さらに、本発明に従って、当技術分野の技術の範囲内の従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術を採用することができる。このような技術は、文献で詳細に説明されている。例えば、GreenおよびSambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版(2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York;DNA Cloning:A Practical Approach、第I巻および第II巻(D.N.Glover編、1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization[B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1985)];Transcription And Translation [B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1984)];Animal Cell Culture [R.I.Freshney編(1986)];Immobilized Cells And Enzymes[IRL Press、(1986)];B.Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照されたい。
【実施例】
【0487】
次の例は、本発明において特徴付けられる方法および組成物をどのように作製し用いるかの完全な開示および記載を当業者に提供するために示され、本発明者らが、これらの発明と考えるものの範囲を限定することを意図していない。用いられる数(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するよう努めているが、一部の実験誤差および偏差は、考慮するべきである。別段示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、平均の分子量であり、温度は、摂氏温度であり、圧力は、大気圧であるか、または大気圧に近い。
【0488】
次の実施例において用いられる模範的なIL-4Rアンタゴニストは、デュピルマブと名付けられたヒト抗IL-4R抗体である(本明細書では「mAb1」とも称される)。
【実施例1】
【0489】
方法-アレルギー性喘息
試験デザイン
QUESTは、第3相のランダム化二重盲検プラセボ対照試験であり、コントロール不良な中等症から重症の喘息を伴う患者におけるデュピルマブの効能および安全性を評価した。12歳以上の合計1902名の患者を、2:2:1:1の比率で、52週にわたるアドオン皮下デュピルマブ200mg(負荷投与量400mg)もしくは300mg(負荷投与量600mg)2週毎(q2w)または体積を合わせたプラセボにランダム化した。この試験は、ヘルシンキ宣言、International Conference on Harmonization Good Clinical Practiceガイドラインおよび適用可能な規制要件に従って実行された。独立したデータおよび安全性監視委員会は、患者の安全性データの盲検モニタリングを実行した。各試験センターにおける地域の治験審査委員会または倫理委員会が、治験の実行および文書管理を監視した。すべての患者が治験参加の前に書面によるインフォームドコンセントを提供した。
【0490】
QUEST試験においてベースライン時にアレルギー性喘息の証拠を有するおよび有さない患者のサブグループにおける主要な喘息アウトカム尺度へのデュピルマブの作用を比較した。アレルギー性喘息は、オマリズマブを用いた生物療法への適格を決定するための米国の臨床実践における最も一般的な基準(すなわち、ベースライン時に、総血清IgE≧30IU/mLおよび≧1つの通年性空気アレルゲン特異的IgE≧0.35kU/L)を使用して定義された(米国食品医薬品局、ウェブサイトで入手可能:accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2003/omalgen062003LB.pdf)。デュピルマブ治療は総IgEの重量または血清レベルによって限定されないため、血清総IgEの上限は特定されなかった。
【0491】
中程度から高用量の吸入グルココルチコイドおよび最大2回の追加のコントローラーでの治療を受けている、医師によって少なくとも12カ月間喘息と診断された(喘息管理に関する国際指針(GINA:Global Initiative for Asthma)2014ガイドラインに基づき)成人および青少年(≧12歳)を試験に登録した。適格患者は以下の基準を満たしていた:気管支拡張薬使用前の1秒量(FEV1)が、成人の予測される正常値の≦80%および青少年の予測される正常値の≦90%であること;≧12%および200mLのFEV1可逆性;5項目喘息コントロール質問表(ACQ-5)における≧1.5のスコア;ならびに入院、緊急診療、または3日もしくはそれ以上の全身性グルココルチコイドでの治療に至った前年における喘息の悪化。完全な組み入れおよび除外基準は、Clinical Trials.gov(LIBERTY ASTHMA QUEST(NCT02414854))に公開されており、この試験は、その全体が参照によって本明細書に組み入れる。
【0492】
患者
患者が以下に基づいてアレルギー性喘息の基準を満たすかどうかによって患者を分類した:ベースライン時に総血清IgE≧30IU/mLおよび≧1つの陽性通年性空気アレルゲン特異的IgE値(≧0.35kU/L)。使用された通年性アレルゲンは、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、アルテルナリア・アルテルナータ、クラドスポリウム・ハーバルム、ネコおよびイヌのふけ、チャバネゴキブリ、トウヨウゴキブリならびにアスペルギルス・フミガーツスであった。経皮アレルギー皮膚試験は実行しなかった。表1に、この試験のベースラインの人口統計学をまとめて示す。
【0493】
合計1083名の患者(QUEST試験ITT母集団の57%)は、アレルギー性喘息を定義するのに使用された基準を満たした:ベースライン時における、総血清IgE≧30IU/mLおよび≧1つの陽性通年性空気アレルゲン特異的IgE≧0.35kU/L。残りの患者(n=819;ITT母集団の43%)は、アレルギー性喘息の基準を満たしていなかった。これらの819名の患者のうち、7%(n=55)は、ベースライン時に≧1つの陽性通年性空気アレルゲン特異的IgEを有していたが、<30IU/mLの総血清IgEであり、14%(n=114)は、≧1つの陽性の季節性アレルゲンを有していたが、すべての通年性アレルゲンに対して陰性と試験され、38%(n=314)は、アレルギー性鼻炎の病歴を有していたが、すべての通年性および季節性アレルゲンに対して陰性と試験され、41%(n=336)は、アレルギー性鼻炎の病歴を有しておらず、すべての通年性および季節性アレルゲンに対しても陰性と試験された。
【0494】
アレルギー性喘息の基準を満たした患者は、アレルギー性喘息の基準を満たしていなかったサブグループと比較して、全般的により若く(52.5歳に対して平均44.5歳)、早い年齢で喘息発症を有しており(34.2歳に対して平均21.6歳)、より高い比率が、併存するアトピー性の状態を有していた(64%に対して96%)(表1)。さらに、アレルギー性喘息サブグループは、前年におけるより少ない平均重症悪化(2.30に対して1.94)およびより高い平均気管支拡張薬投与前FEV1(1.67Lに対して1.85L)を有していた。これらの患者はまた、アレルギー性喘息の基準を満たしていなかった患者と比較して、より高い血清TARC濃度(277pg/mLに対して327pg/mLの中央値)および類似のレベルのFeNO(23ppbに対して26ppbの中央値)および血中好酸球数(260細胞/μLに対して250細胞/μLの中央値)も有していた。
【0495】
エンドポイント
分析されたエンドポイントは、アレルギー性喘息基準を満たしたおよび満たさなかった患者のサブグループにおける52週の治療期間にわたる年間重症悪化率、気管支拡張薬投与前のFEV1(L)のベースラインからの変化、およびACQ-5スコアのベースラインからの変化であった。各サブグループ内で、52週の治療期間中の重症悪化および第12週における気管支拡張薬投与前のFEV1(L)のベースラインからの変化も、150細胞/μL以上、300細胞/μL以上のベースライン血中好酸球、および≧25ppbのベースライン呼気一酸化窒素(FeNO)を有する患者の集団で分析した。追加の分析を、米国においてオマリズマブ療法が指定されない患者であるベースライン血清総IgE>700IU/mLを有するアレルギー性喘息患者のサブセットに実行した。
【0496】
2型炎症の以下のバイオマーカー:血清総IgEレベル;FeNOレベル;ならびに血清胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC)レベルへのデュピルマブ治療の作用も、アレルギー性喘息対非アレルギー性喘息サブグループで評価した。52週の治療期間中に試験された通年性空気アレルゲンのそれぞれに対する血清特異的IgEレベルへのデュピルマブ治療の作用も、ベースライン時に陽性(≧0.35kU/L)と試験された患者で検査した。
【0497】
【0498】
統計解析
効能分析は、サブグループ(すなわち、ベースライン時に総血清IgE≧30IU/mLおよび≧1つの陽性通年性空気アレルゲン特異的IgE値(≧0.35kU/L)を有するまたは有さない)で分けたすべてのランダム化した患者と定義された治療企図(ITT)母集団に実行された。各サブグループにつき、介入を受けたかどうかに関係なく4つの割り付けられた治療群(デュピルマブ対プラセボ)に従ってデータを分析した(Castroら(2018)New Engl.J.Med.378:2486~96)。52週の治療期間にわたる年間重症悪化率を、共変量として割り付けられた介入群、年齢、地理的な地域、ベースライン好酸球層、吸入グルココルチコイドのベースライン用量、および前年における重症悪化の回数を含む負の二項回帰モデルを使用して分析した。52週の治療期間中に起こったすべての重症悪化は、患者が治療中かどうかに関係なく含まれた。
【0499】
52週の治療期間中の気管支拡張薬投与前のFEV1(L)およびACQ-5スコアのベースラインからの変化を、共変量として4つの割り付けられた介入群、年齢、地理的な地域、ベースライン好酸球層、吸入グルココルチコイドのベースライン用量、来診、来診対介入の交互作用(visit-by-intervention interaction)、対応するベースライン値、およびベースライン対来診の交互作用(baseline-by-visit interaction)を含む反復測定を用いた混合効果モデルを使用して分析した。加えて、性別およびベースライン身長も、FEV1分析の共変量として含まれた。治療が中断された場合、52週の治療期間にわたり中断後に記録されたすべての測定が含まれた。
【0500】
薬物療法を研究するために曝露されたすべての患者と定義された曝露された集団において、バイオマーカー分析を実行した。両方の患者サブグループについて、2型炎症の主要なバイオマーカーとみなされる好酸球およびFeNOのレベルのベースラインからの変化におけるデュピルマブと合わせたプラセボとの差を、共変量として4つの割り付けられた介入群、年齢、性別、地理的な地域、ベースライン好酸球層、吸入グルココルチコイドのベースライン用量、および対応するベースライン値を含む共分散モデルのランク分析を使用して分析した。特異的IgEの分析のために、分析を、ベースライン時に特異的IgEに関して陽性(≧0.35kU/L)の患者に制限した。
【0501】
各デュピルマブ用量と合わせたプラセボとの比較に関する<0.05の名目上のP値(各サブグループ内)を統計学的に有意とみなした。
【0502】
ベースライン血清IgE>700IU/mLを有するアレルギーサブグループの線形混合モデルからの残差を検査して、正常に分配された集団を確認した。
図6に、残差のヒストグラムに加えてq-qプロットを示す。
【実施例2】
【0503】
年間重症喘息悪化率-アレルギー性喘息
アレルギー性喘息サブグループにおいて、デュピルマブが、合わせたプラセボと比較して、調整された年間重症悪化率を、200mg q2wでは36.9%(95%信頼区間(CI)13.4%~54.0%;名目上のP=0.004)、および300mg q2wでは45.5%(95%CI 26.0%~59.9%;名目上のP<0.001;
図1A)低減した。アレルギー性喘息の基準を満たしていなかった患者において、調整された年間重症悪化事象率も、デュピルマブ200mg q2wでは60.0%(95%CI 42.7%~72.1%;名目上のP<0.001)、および300mg q2wでは44.6%(95%CI 21.5%~60.9%;名目上のP<0.001)、プラセボと比較して有意に低減した(
図1A)。アレルギー性喘息サブグループとアレルギー性喘息の基準を満たしていなかったサブグループの両方において、デュピルマブ200mgおよび300mg q2wは有意に(すべて名目上のP<0.01)、150細胞/μL以上および300細胞/μL以上のベースライン血中好酸球を有する患者、ならびにベースラインFeNO≧25ppbを有する患者において重症悪化率を低減させた。作用の規模は、それぞれの全体のサブグループと比較して数値的により大きかった(
図1B~1D)。ベースライン血清総IgE>700IU/mLを有するアレルギー性喘息サブグループの患者のなかでも、両方のデュピルマブ用量は、52週の治療期間中、合わせたプラセボと比較して重症悪化率を有意に(名目上のP<0.001)低減させ、作用の規模は、総合的なアレルギー性喘息サブグループに対して数値的により大きかった(
図1E)。
【実施例3】
【0504】
気管支拡張薬投与前のFEV
1-アレルギー性喘息
第12週において、デュピルマブ200mgおよび300mg q2wの治療は、気管支拡張薬投与前のFEV
1を、プラセボに対して、アレルギー性喘息サブグループでは、それぞれ最小二乗(LS)平均0.13L(95%CI 0.05~0.20;名目上のP<0.001)および0.16L(95%CI 0.09~0.23;名目上のP<0.001)、ならびに基準を満たさなかった患者では、それぞれプラセボに対して0.14L(95%CI 0.07~0.22;名目上のP<0.001)および0.09L(95%CI 0.01~0.16;名目上のP=0.02)有意に改善した(
図2A)。重症悪化に関して観察されたように、第12週における気管支拡張薬投与前のFEV
1のプラセボに対する改善の規模は、それぞれの全体のサブグループと比べて、150細胞/μL以上のおよび300細胞/μL以上のベースライン血中好酸球を有する患者ならびにベースラインFeNO≧25ppbを有する患者における規模に等しいかまたはそれより大きかった(すべての名目上のP<0.05;
図2B)。ベースライン血清総IgE>700IU/mLを有するアレルギー性喘息サブグループの患者のなかでも、デュピルマブ300mg q2wは、全体のサブグループと比較して第12週において気管支拡張薬投与前のFEV
1への類似の作用の規模を示し(プラセボに対するLS平均差0.12L(95%CI -0.03~0.26;名目上のP=0.11))、それに対してより大きい作用の規模が、デュピルマブ200mg q2wで治療した患者で観察された(プラセボに対するLS平均差0.27L(95%CI 0.13~0.42);名目上のP<0.001)。
【0505】
アレルギーおよび非アレルギーサブグループの両方において、気管支拡張薬投与前のFEV
1における改善が、第2週における最初の評価という早期に観察され、第52週まで持続した(
図2A)。
【実施例4】
【0506】
喘息コントロール-アレルギー性喘息
アレルギー性喘息サブグループにおいて、ACQ-5スコアにおけるベースラインからのLS平均変化が、第24週において、デュピルマブ200mg q2w治療患者では、-0.28のプラセボに対する差で-1.39(標準誤差[SE]0.05)(95%CI -0.46~-0.11;名目上のP<0.01)、およびデュピルマブ300mg q2w治療患者では、-0.26のプラセボに対する差で-1.42(SE0.05)(95%CI -0.44~-0.08;名目上のP<0.01)改善された(
図3)。アレルギー性喘息基準を満たさなかったサブグループにおいて、第24週におけるベースラインからのACQ-5スコアの改善は、デュピルマブ200mg q2w治療患者では、-0.44のプラセボに対する差で-1.51(SE0.06)(95%CI -0.65~-0.22;名目上のP<0.0001)、およびデュピルマブ300mg q2wで治療した患者では、-0.08のプラセボに対する差で-1.35(SE0.06)の改善が観察された(95%CI -0.29~0.12;名目上のP=0.43)(
図3)。
【実施例5】
【0507】
血清総IgEおよび空気アレルゲン特異的IgE-アレルギー性喘息
アレルギー性喘息サブグループおよびアレルギー性喘息の基準を満たしていなかったサブグループにおいて、デュピルマブ200mgおよび300mg q2w用量レジメンの両方が、第12週において合わせたプラセボと比較して総血清IgEを有意に低減させた(最も早い評価された時点;名目上のP<0.001;
図4A)。総血清IgEにおける低減は治療期間にわたり徐々に起こった(すべての時点においてプラセボに対して名目上のP<0.001)。
【0508】
ベースライン時にそれぞれの通年性空気アレルゲンに対して陽性(≧0.35kU/L)と試験されたアレルギー性喘息を伴う患者において、抗原特異的血清IgEレベルのパーセンテージにおけるベースラインからの有意な低減が、評価された8種の通年性空気アレルゲンのそれぞれにつき経時的に観察された(
図5A~H)。これらの低減は、第12週において(最も早い評価された時点)合わせたプラセボと比較して統計学的に有意であり(名目上のP<0.05)、52週の治療期間にわたり続いた。ベースライン時にトウヨウゴキブリアレルゲンに対して陽性と試験された患者は、有意義な分析を可能にするには少なすぎた。
【実施例6】
【0509】
FeNOおよび血清TARC-アレルギー性喘息
アレルギー性喘息サブグループとアレルギー性喘息の基準を満たしていなかったサブグループの両方において、デュピルマブ200mgおよび300mg q2w用量レジメン対プラセボは、2週間の治療の後における最初の評価によるFeNOの著しい減少と関連していた。FeNOの減少は52週の治療期間にわたり持続した(すべての時点での名目上のP<0.001)(
図4B)。第52週までに、両方のサブグループにおけるデュピルマブ200mgおよび300mg q2w用量の中央値FeNO値は、公開された健常人の中央値(16ppb)に類似していた。
【0510】
アレルギー性喘息サブグループとアレルギー性喘息の基準を満たしていなかったサブグループの両方において、血清TARC濃度は、デュピルマブ200mgまたは300mg q2wで治療した患者において第12週(最も早い評価された時点)で合わせたプラセボと比べて有意に低減した。これらの低減は52週の治療期間にわたり持続した(すべての時点での名目上のP<0.001)(
図4C)。
【実施例7】
【0511】
議論-アレルギー性喘息
デュピルマブは、アレルギー性喘息を伴う患者において、重症悪化率を有意に低減させ、FEV1および喘息コントロールを改善した(ACQ-5によって測定した場合)。FEV1および喘息コントロールにおける改善は、第2週における最初の評価によって明白であり、52週の治療期間にわたり持続した。2つのデュピルマブ用量間で、それらそれぞれのプラセボに対する悪化率および喘息コントロールの規模に多少の変動が観察された。科学的な理論に縛られる意図はないが、これは、2つの異なる体積を合わせたプラセボを使用する必要性に関連する可能性があった。重症悪化率における低減およびFEV1における改善は、2型炎症バイオマーカーのより高いベースラインレベルを有する患者においてより大きかった。この試験におけるアレルギー性喘息の基準を満たした患者の比率(57%)は、全QUEST集団において≧1回のアトピー性の状態の病歴を報告した患者より有意に低かった(Castroら(2018)New Engl.J.Med.378:2486~96)。この差は、主として、アレルギー性鼻炎の病歴を有していたが空気アレルゲンに対する過敏症の証拠を有していなかった患者の除外、季節性アレルゲンに対してのみ(低い程度ではあるが)過敏症を有していた患者の除外、および通年性アレルゲン感受性を有するが、その総血清IgEが<30IU/mLであった患者の除外に起因する。このグローバル試験における特異的IgE測定のタイミングは、各国/地域におけるピークの季節性アレルゲン曝露に一致するように設計されなかったことを認識すべきである。
【0512】
デュピルマブは、アレルギー性喘息を伴う患者ならびにアレルギー性喘息の基準を満たしていなかった患者において有効であることが示された。これらの知見は、喘息においてIgE媒介および非IgE媒介2型炎症を促進することにおけるIL-4およびIL-13の重要な役割を裏付ける。この試験で観察された臨床上の利益は、ベースライン時に血清総IgEが700IU/mLを超えるアレルギー性喘息を伴う患者に及んだ。これは、米国でオマリズマブを用いた抗IgE療法が指定されないアレルギー性喘息患者の臨床的に関連するサブセットである。(2019年4月2日にアクセスした、USDAのウェブサイト:accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2003/omalgen062003LB.pdfを参照のこと)。デュピルマブの投与は、オマリズマブとは異なり、コントロール不良な中等症から重症の喘息を伴う青少年および成人患者における体重および血清中の総血清IgEによって限定されないため、このサブグループは分析に組み入れた。
【0513】
IgE生産の抑制におけるデュピルマブの作用機序と一致して、デュピルマブは、アレルギー性喘息を伴う患者において血清総IgEおよび空気アレルゲン特異的IgEを有意に低減させ、アレルギー性喘息の基準を満たしていなかった患者において血清総IgEを低減させた。
【0514】
同様に、デュピルマブは、両方の患者サブグループにおいてFeNOおよび血清TARCを含む他の2型炎症バイオマーカーのレベルを有意に低減させた。総IgEおよび特異的IgEにおける減退は、FeNOなどの他のバイオマーカーと比べてより遅い。IgE濃度における減退は、52週の治療期間中にプラトーに達しなかった。
【0515】
まとめると、これは、ベースライン時における総血清IgE≧30IU/mLおよび≧1つの通年性空気アレルゲン特異的IgE≧0.35kU/Lの存在によって定義されるアレルギー性喘息を伴う患者におけるデュピルマブでの二重のIL-4およびIL-13阻害の臨床的および薬力学的作用の最初の実証である。デュピルマブは、サブグループにかかわらず52週の治療期間中に重症悪化率を有意に低減させ、FEV1を改善し、喘息コントロール(ACQ-5)における臨床的に意味のある改善を実証し、治療は、全試験集団において全般的によく許容された。FeNO、総IgE、およびTARCを含む2型炎症のマーカーも、両方のサブグループにおいてデュピルマブ治療で有意に低減した。この試験からの知見は、喘息のIgEおよび非IgE媒介炎症経路におけるIL-4およびIL-13の役割を裏付ける。デュピルマブ療法によるIL-4/IL-13阻害は、アレルギー性および非アレルギー性喘息表現型の両方にとって有益である。
【実施例8】
【0516】
コントロール不良な中等症から重症の喘息およびアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の血清学的な証拠を有する患者におけるデュピルマブの効能
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は、アスペルギルス・フミガーツス(Af)抗原に対する過敏症によって引き起こされる重度のアレルギー性肺疾患である。真菌に曝露された場合、喘息を伴う患者がすべてABPAを発症するとは限らない。しかしながら、遺伝的素因(HLA-DR2(HLA-DRB1*1501および*HLA-DRB1*1503)およびHLA-DR5)を有する個体は、Af抗原に曝露された場合、ABPAを発症させやすい。またIL-4RαおよびIL-13のSNPも遺伝学的感受性に関与し、これらの個体は、非常に高いIgE、好酸球増加症、上昇したFeNOなどを伴う深刻な2型免疫応答を起こす。
【0517】
ABPA治療の主流は、全身性ステロイド薬である。しかしながら、すべての患者が全身性ステロイド薬に応答するとは限らず、この疾患は、気管支拡張症および線維症に進行する可能性がある。したがって、ABPAを伴う対象を治療するための未だ満たされていない高い必要性がある。
【0518】
試験
第3相LIBERTY ASTHMA QUEST試験(NCT02414854)。プラセボに対してアドオンのデュピルマブ(200mgまたは300mg)を2週毎に受けているABPAの血清学的な証拠を有する患者(ベースライン血清総IgE>1000IU/mL、陽性血清IgE-Af>0.35IU/mL、血中好酸球>500細胞/μL)を評価した。
【0519】
集団
QUESTに登録された中等症から重症の喘息を伴う1902名の患者のなかでも、30名のABPAの血清学的な証拠を有する患者(ABPA-S)を同定した(1.6%)。QUESTのこれらのおよび残りの治療企図(ITT)母集団(n=1872)のベースライン特徴は、表2に示される。ベースライン時に、ABPA-Sを有する患者と有さない患者において、平均年齢、FEV1、ACQ-5、または喘息生活の質質問表(Quality of Life Questionnaire)(AQLQ)において有意義な差は観察されなかったが、ABPA-S患者は、ABPA-Sを有さない喘息患者と比較して、2型バイオマーカーである好酸球、IgE、およびFeNOのより高いベースラインレベルを有していた。
【0520】
エンドポイント/来診
年間重症悪化事象率(全身性コルチコステロイドでの3日以上の治療、または全身性コルチコステロイドを必要とする入院もしくは緊急治療室の来診を必要とする喘息症状の悪化と定義される)、および気管支拡張薬投与前のFEV1(L)におけるベースラインからの変化、および患者によって報告された5項目喘息コントロール質問表(ACQ-5)スコアは、52週の治療期間にわたりベースライン時および定期的に評価された(
図7)。ITT母集団において、気管支拡張薬投与前のFEV1(L)におけるベースラインからのLS平均変化を第24週および第52週に決定した(
図8)。曝露された集団において、総(絶対)血清IgEを第52週に決定した(
図9)。曝露された集団において、総(絶対)Af特異的血清IgEを第52週に決定した(
図10)。曝露集団において、総(絶対)FeNOレベルを第52週に決定した(
図11)。
【0521】
治療アーム
統合されたデュピルマブ200mg q2w、デュピルマブ300mg q2w、および合わせたプラセボ。
【0522】
結果
52週の治療期間中の年間重症悪化率を、負の二項回帰モデルを使用して分析した。ベースラインから第24週および52週までのFEV1におけるLS平均変化を、反復測定を用いた混合効果モデルを使用して決定した。第52週における総IgE、IgE-Af、およびFeNOを、ウィルコクソン順位和検定を使用して評価した。
【0523】
ABPA-Sを有する患者において、デュピルマブは、プラセボと比較して、調整された年間重症悪化率を81.1%有意に低減させた(95%信頼区間[CI]0.052~0.693;P=0.01)(
図12)。
【0524】
気管支拡張薬投与前のFEV1
気管支拡張薬投与前のFEV1における数値的な改善が、プラセボで治療したABPA-Sを有する患者と比べて、デュピルマブで治療したABPA-Sを有する患者で観察された。改善は、患者を評価した第1の時点である第2週もの早期に観察され、52週の治療期間にわたり維持された(
図13)。プラセボに対してデュピルマブは、ABPA-Sを有する患者において、気管支拡張薬投与前のFEV
1を、第12週に0.21L(95%CI -0.18~0.60;P=0.28)、および第52週に0.33L(-0.02~0.68;P=0.07)の最小二乗(LS)平均差で改善した。
【0525】
喘息コントロール
ABPA-Sを有する患者において、デュピルマブは、治療開始後の2週もの早期にACQ-5スコアを改善し、プラセボに対して-0.56(95%CI -1.09~-0.02;P<0.05)のLS平均差であった。これは、52週の治療期間にわたり続き、各時点におけるACQ-5スコアは、第12週および第16週を除いて数値的に改善された。第52週において、デュピルマブは、ACQ-5スコアを、プラセボに対して-0.20(-0.86~0.46;P=0.54)のLS平均差で改善した(
図14)。
【0526】
血清総IgEおよびA.フミガーツス特異的IgE
ABPA-S患者において、ABPA-Sを有さない喘息患者と比較してベースライン血清総IgEが著しく上昇した(中央値の値:2148~3383IU/mL対159~165IU/mL)。処置の間、12週目における最も早い評価された時点からの血清総IgEにおける実質的な低減が、プラセボで治療したABPA-S患者と比較して、デュピルマブで治療したABPA-S患者で観察された(
図15A)。これらの低減は治療期間にわたり徐々に減退し続け、第52週には血清総IgE濃度中央値は、691.5IU/mLであり(95%CI 323.0~2617.0)、ベースラインからの中央値パーセンテージ変化は、-75.6%であった(-81.6から-44.6)。プラセボ治療患者において、第52週における濃度は、1714.0IU/mL(95%CI 727.0~3048.0)であり、ベースラインからの中央値パーセンテージ変化は、-19.6%であった(95%CI -56.3~102.6;P<0.01)(
図15A)。これは、QUEST試験の全ITT母集団で観察された血清総IgEにおけるベースラインからの中央値パーセンテージ変化に類似していたことから(デュピルマブ-69.5%[95%CI -79.0~-56.9]、それに対しプラセボ-3.6%[95%CI -22.7~20.8])、デュピルマブを用いたベースラインからの血清総IgEの中央値パーセンテージ変化が、ベースラインIgE値に関わりなく類似していたことが実証される。
【0527】
またABPA-Sを有する患者におけるデュピルマブ治療も、A.フミガーツス特異的IgEのレベルを2.4IU/mLのベースライン中央値の値から抑制した(95%CI 0.6~11.2)(プラセボ群ベースライン中央値の値3.0IU/mL[95%CI 0.5~28.8])。これらの低減は、第12週までに明白であった。さらなる段階的な低減の後、デュピルマブ治療患者において、第52週におけるA.フミガーツス特異的IgE濃度中央値は、0.8IU/mLであり(95%CI 0.1~2.6)、ベースラインからの中央値パーセンテージ変化は、-74.8%であった(95%CI -83.5~-56.2)。プラセボ治療患者における対応する値は、4.6IU/mL(95%CI 0.6~21.5)および-40.4%(95%CI -71.2~208.9;P<0.05)であった(
図15B)。
【0528】
他の2型バイオマーカー
ABPA-Sを有する患者において、FeNOのベースライン濃度中央値は、デュピルマブおよびプラセボ群それぞれにおいて49.0ppb(95%CI 24.0~68.0)および31.0ppb(95%CI 19.0~63.0)であった。デュピルマブは、第2週の治療もの早期に、ベースラインからFeNO濃度を減少させ、デュピルマブ群では、18.0ppbの濃度中央値(95%CI 12.0~26.0)および-50.8%の中央値パーセンテージ変化(95%CI -62.5~-41.9)であり、それに対し、プラセボ群では、38.0ppb(95%CI 23.0~50.0)、-5.0%のパーセンテージ変化(95%CI -25.4~50.0)であった(P<0.01)。FeNOにおける低減は、第52週まで持続し、デュピルマブ治療患者では、18.0ppbの中央値(95%CI 12.0~26.0)および-60.0%の中央値パーセンテージ変化(95%CI -75.0~-32.7)であり、それに対し、プラセボ治療患者では、25.0ppbの中央値(95%CI 10.0~56.0)および-24.3%の中央値パーセンテージ変化(95%CI -52.2~57.1)であった(P<0.05)(
図16A)。デュピルマブ治療は、健常人の場合の16ppbの公開された中央値の値に類似したレベルにFeNOを低減した。
【0529】
ABPA-Sを有する患者において、TARCの血清濃度もデュピルマブ治療によって低減された。ベースライン血清TARC濃度の中央値は、デュピルマブおよびプラセボ群それぞれにおいて553.0pg/mL(95%CI 442.0~1510.0)および646.0pg/mL(385.0~894.0)であった。第12週において、デュピルマブは、血清TARC濃度を257.0pg/mLの中央値に低減し(193.0~438.0)、ベースラインからの中央値パーセンテージ変化は、-62.0%(-76.0~-35.3)であり、それに対しプラセボで治療した患者では、674.0pg/mL(462.0~900.0)の中央値の値、および-10.1%(-17.9~15.1)の中央値パーセンテージ変化であった(P<0.01)。これらの有意な低減は、52週の治療期間にわたり持続し、デュピルマブで治療した患者では、第52週において234.0pg/mLの中央値の値(182.0~336.0)および-66.1%のベースラインからの中央値パーセンテージ変化(-79.6~-51.0)であり、それに対し、プラセボでは、580.0pg/mL(451.0~1020.0)および-17.4%(-35.7~25.8)(P<0.01)であった(
図16B)。
【0530】
デュピルマブでの治療はまた、ABPA-Sを有する患者においてエオタキシン-3の血清濃度も低減した。低減は第12週から観察され、デュピルマブ治療患者では、24.5pg/mLの中央値の値(95%CI 18.0~41.7)および-64.9%のベースラインからの中央値パーセンテージ変化(-83.3~-44.7)であり、それに対し、プラセボで治療したグループでは、53.1pg/mL(23.0~125.0)および-5.4%(-40.6~34.8)であった(P<0.01)。これらの低減は、第52週まで持続し、デュピルマブ群では、23.2pg/mLの中央値の値(16.1~32.1)および-73.1%のパーセンテージ変化(-85.0~-48.6)であり、それに対し、プラセボ群では、35.7pg/mL(19.3~78.7)および-29.3%(-80.2~27.2)(P<0.05)であった(
図16C)。
【0531】
ABPA-S患者において、ベースライン時の血中好酸球数中央値は上昇した(好酸球825~1075個/μL)。第52週において、デュピルマブで治療した患者は、595.0細胞/μLの血中好酸球数中央値(95%CI 360.0~1160.0)および-31.3%のベースラインからの中央値パーセンテージ変化(-55.2~0)を有し、それに対し、プラセボ治療患者では、590.0細胞/μL(340.0~1080.0)および-45.5%(-55.5~0)であった(P=0.69)(
図16D)。
【0532】
ABPA-Sを有する患者における安全性
ABPA-Sを有する患者における治療下で発現した有害事象(TEAE)の発生率は、受けた治療に関わりなく類似していた(デュピルマブ組合せにおいて94.4%およびプラセボ組合せにおいて100%)(表3)。プラセボを受けた患者よりデュピルマブを受けた患者においてより高い率で起こる最も頻度の高いTEAEは、上気道感染症であった(デュピルマブを受ける患者の27.8%、それに対し、プラセボを受ける患者の25.0%)。注射部位反応(国際医薬用語集の高位語(Medical Dictionary for Regulatory Activities High Level Term))は、デュピルマブ治療患者の16.7%で起こり、それに対しプラセボ治療患者では0%であった。治験プロトコールにつき、52週の介入期間中、好酸球数>3000/mm3の全症例を、有害事象として報告した。デュピルマブ200mg、2週毎(q2w)で治療した1名のABPA-S患者(5.6%)が、中等症の好酸球増加症を報告した。これは、検査所見であり、関連する症状はなく、患者は52週の治療期間を終えた。デュピルマブ300mgまたはプラセボで治療した患者は好酸球増加症を報告しなかった。1名(5.6%)のデュピルマブ治療患者および2名(16.7%)のプラセボ治療患者で重篤なTEAEが報告された。この集団では、死亡に至るTEAEは報告されなかった。
【0533】
議論
LIBERTY ASTHMA QUEST試験において、デュピルマブは、ABPA-Sの診断基準を満たすとして事後に同定された患者のサブグループにおいて有益な作用を実証した。デュピルマブでの治療は、重症悪化率を著しく低減させ、肺機能改善への傾向を実証した。FEV1の改善は、恐らく小さいサンプルサイズのために統計的有意性を満たさなかったが、デュピルマブ治療患者における第52週での510mLのベースラインからの平均変化は臨床的に意味を有していた。FEV1改善は治療開始の2週後という早期に迅速に起こり、52週の治療期間にわたり持続した。またデュピルマブ治療は、典型的には症状の制御が難しい患者のこのサブグループにおいて喘息コントロール(ACQ-5スコア)も改善した。
【0534】
ABPAの病態生理学と一致して、この患者のサブグループは、ロバストな2型炎症の証拠を有し、ABPAの血清学的な証拠を有さない喘息患者と比較して、FeNO、血中好酸球、TARC、血清総IgE、およびA.フミガーツス特異的IgEを含む2型バイオマーカーのベースラインレベルは著しく上昇した。科学的な理論に縛られる意図はないが、ABPA患者における増加したFeNO濃度は、アレルギー性応答によって促進されない併存性気道炎症を表す可能性があり、これはさらに、2型炎症のためのマーカーとしてのFeNOの有用性を強調する。明確なABPAの診断上の特徴のうち2つは、総IgEおよびA.フミガーツス特異的IgEの非常に高い血清濃度である。ABPAを伴う患者からのB細胞はIL-4に対してより高い感受性を有し、A.フミガーツス抗原に対して大量のIgE、IgG、およびIgA抗体を自発的に産生することが試験から示されている。実際に、血清総IgE濃度は、疾患活動性を評価するためにABPAの管理において定期的にモニターされ、ほぼ正常なレベルへの低減が疾患寛解のマーカーとみなされる。デュピルマブでの治療は、総IgEおよび特異的IgEの両方を著しく抑制し、これは、IL-4およびIL-13シグナル伝達をブロックすることによってB細胞のアイソタイプスイッチを阻害し、それゆえにIgEの生産を阻害するというデュピルマブの作用機序と一致していた。加えて、デュピルマブで治療したABPA-S患者において、2型炎症のバイオマーカーもまた、血液(TARCおよびエオタキシン-3)と局所気道(FeNO)の両方において迅速に抑制されたことから、そのIL-4とIL-13の二重遮断を介して、デュピルマブはABPA患者に共通する基礎となる病原性の2型炎症を迅速にコントロールできたことが示される。
【0535】
デュピルマブは、ABPA患者において一般的に十分許容され、デュピルマブおよびプラセボ治療患者においてTEAEの出現は類似していた。デュピルマブ治療患者で観察された最も頻度の高いTEAEは上気道感染症であった。喘息を伴う患者で観察されている一時的な好酸球増加症とは異なり、この分析において、1名のみ(5.6%)のデュピルマブで治療したABPA患者が、これらの患者はベースライン時に過好酸性であるにもかかわらず(925.0細胞/μLの中央値濃度)、治療期間中に好酸球増加症を報告した。さらに、第52週における好酸球数が不変の喘息試験の場合とは異なり、この分析において、ABPA-S患者は、52週の治療期間中に血中好酸球数中央値における全体的な低減を示した。
【0536】
臨床的に、ABPAを伴う喘息患者は、ABPAを有さない患者と比較して、不良な症状コントロールおよびより頻繁な悪化を有する。喘息とは異なり、ABPA診断が遅いかまたは疾患の治療が不十分である場合、それは肺機能の減退や末期線維性肺疾患に進行する。これらのデータは、基礎となる病原性の2型炎症を制御することによって症状および肺機能を改善する、ABPAを伴う患者のための新規の治療としてのデュピルマブの有用性を示す。
【0537】
【0538】
【実施例9】
【0539】
黄熱病ワクチン事後分析:以前のデュピルマブ喘息臨床試験に参加した喘息を伴う患者におけるデュピルマブの長期の安全性および忍容性を評価するための非盲検の拡張試験
試験デザイン
LTS12551(TRAVERSE)試験は、試験DRI12544において治療および追跡期間を終えた、または試験EFC13579、EFC13691、もしくはPDY14192において治療期間を終えた喘息を伴う患者におけるデュピルマブ300mg q2wの長期の安全性および忍容性を評価するための、多国籍多施設共同単一アーム非盲検拡張試験であった。DRI12544(N=776)は、中等症から重症のコントロール不良な喘息を伴う成人患者で24週間の皮下(SC)デュピルマブの異なる用量およびレジメンを比較する、第2b相のランダム化二重盲検プラセボ対照用量決定並行群間比較試験であった。PDY14192(N=42)は、コントロール不良な持続型喘息を伴う成人の気道炎症への12週間のSCデュピルマブ300mg q2wの作用の第2a相探索的ランダム化二重盲検プラセボ対照試験であった。EFC13579(N=1902)は、コントロール不良な持続型喘息を伴う成人および青少年患者において52週間のデュピルマブ200mgおよび300mg q2w SCの効能および安全性を評価するための、第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であった。EFC13691(N=210)は、重症のOCS依存性喘息を伴う成人および青少年患者における24週間のデュピルマブ300mg q2w SCの効能および安全性を評価するための第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験であった。
【0540】
試験LTS12551が進行中でありながらも、ブラジルにおける黄熱病の大発生は、リスクのある地域にいるすべてのワクチン接種していない個体への黄熱病ワクチン(YFV)投与を必要とした。治験依頼者は、大発生の影響を受けた領域においてYFVを必要とするすべての患者にYFV(弱毒生ワクチン)の投与を許容する地域のプロトコール修正5を実行した。すべての影響を受けた患者は、デュピルマブの中断が必要であり、ワクチン投与は、デュピルマブ中断後に行うことが可能であった。患者は、十分な黄熱病中和力価(すなわち、プラーク低減中和力価;PRNT)の実証後、治験担当医師の裁量でデュピルマブを再び開始することが可能であった。ワクチン接種していない患者は、大発生が静まった後、試験治療を再び開始するのに適格となった。
【0541】
すべての患者が、デュピルマブ治療が再確立されたかどうかに関係なく、試験終了まで継続して追跡された。黄熱病ワクチン接種が計画された患者の場合、ワクチン接種前および後の抗体力価と共に薬物の薬物動態学(PK)および免疫原性を評価するためのサンプルは、4~6週の前と4~6週の両方に収集され、患者の同意の上、ワクチン接種後に最大8週拡張してもよかった。まとめると、37名の患者がデュピルマブでの治療を中断し、その後YFVでワクチン接種した。治療をする医師の裁量で中和力価の実証の後に患者がデュピルマブ治療の再開が可能であったにもかかわらず、結果の遅れのためにデュピルマブを再開した患者はいなかった。
【0542】
YFVの事後分析を実行して、LTS12551試験に参加しYFVを受けた37名の患者のこのサブセットにおいてYFVの体液性免疫応答および安全性/忍容性を評価した。
【0543】
試験の目的
この試験の目的は、試験LTS12551に参加しデュピルマブで治療された中等症から重症の喘息を伴う患者において弱毒生ワクチンであるYFVの体液性免疫応答、安全性および忍容性を評価することであった。
【0544】
患者
この分析には、LTS12551試験(非盲検の喘息試験)に参加しYFVを受けた合計37名の患者が含まれた。これらのうち33名がEFC13579試験からの繰り越しであり、4名がEFC13691試験からの繰り越しであった。EFC13579から登録された患者のうち11名が親試験でプラセボで事前に治療され、次いでLTS12551試験でデュピルマブを受け(プラセボ/デュピルマブカテゴリー)、22名が親試験でデュピルマブで事前に治療され、LTS12551試験でデュピルマブを続けた(デュピルマブ/デュピルマブカテゴリー)。EFC13691試験から登録された患者のうち3名の患者が親試験でプラセボで事前に治療され、次いでLTS12551試験でデュピルマブを受け(プラセボ/デュピルマブカテゴリー)、1名が親試験でデュピルマブで事前に治療され、LTS12551試験でデュピルマブを続けた(デュピルマブ/デュピルマブカテゴリー)。
【0545】
人口統計学および他のベースラインの特徴
YFVを受けた37名の患者のベースラインの人口統計および患者の特徴は、全般的に、各親試験において事前にプラセボまたはデュピルマブを受けた患者間で類似していた(以下の表4を参照)。集団の平均年齢は、24~68歳の範囲で46.5歳であり、5名(13.5%)の患者が≧65歳であり、12名(32.4%)の患者が男性であった。平均(SD)BMI(ボディ・マス・インデックス)は、30.1(5.7)kg/m2であった。
【0546】
【0547】
病歴
表5に患者の併存症の病歴を提示する。患者の大半(91.9%)が併存する疾患の病歴を有しており、アレルギー性鼻炎が最も高頻度であった(86.5%)。
【0548】
【0549】
安全性評価
曝露の程度
表6に、黄熱病ワクチン接種前のLTS12551での曝露された集団における治験薬への曝露の程度を要約する。試験LTS12551におけるデュピルマブでの治療の平均(SD)持続時間は、242.2(34.4)日の期間であり、YFVを受けたすべての患者にわたり同様であった。EFC13579試験からの繰り越しであった患者において、平均治療期間は、プラセボ/デュピルマブおよびデュピルマブ/デュピルマブカテゴリー間で同様であった(それぞれ255.0および230.1日)。EFC13691試験からの繰り越しであった患者において、平均治療期間は、プラセボ/デュピルマブおよびデュピルマブ/デュピルマブカテゴリー間で同様であった(それぞれ274.7および268.0日)。
【0550】
【0551】
表7で示されるように、デュピルマブの最後の用量と黄熱病ワクチン接種との間の時間は7日から51日まで様々であり、平均(SD)は22.3(±11.9)日であった。
【0552】
【0553】
表8で示されるように、黄熱病ワクチン接種後のすべての患者の平均(SD)追跡期間は、186.6(±72.3)日および98~553日の範囲であった。
【0554】
【0555】
有害事象
合計37名の患者がYFVを受けた。デュピルマブの最後の用量の7~51日後にワクチンを投与した。37名の患者のうち1名が、ワクチンを受けた後に体の痛み、倦怠感および眩暈の非重篤な有害事象を経験し、これは、「ワクチン接種合併症」として報告された。これは、アトピー性皮膚炎(AD)、アレルギー性結膜炎、および慢性鼻副鼻腔炎の病歴を有する45歳女性患者で起こった。この事象は、黄熱病ワクチン接種の7日後に起こり、2週間以内に回復した。残りの36名の患者は、ワクチンを許容し、黄熱病ワクチン接種に関連する可能性があるいかなる有害事象も報告しなかった。ワクチンに対する過敏性反応の報告はなかった。結果の遅れによりデュピルマブを再開した患者はいなかった。LTS12551試験において黄熱病ワクチン接種を受けた37名の患者のなかで、死亡、治療下に発現したSAE(重篤な有害事象)、または他の有意なAE(有害事象)は報告されなかった。
【0556】
安全性の結論
デュピルマブ中断の7~51日後に投与されたYFVは、喘息を伴う37名の患者のグループにおいて十分に許容された。これらの患者37名のうち36名がYFVに対するいかなる有害反応も報告しなかった。1名の患者が一時的な非重篤な有害事象を報告したが十分回復したことから、これは、黄熱病ワクチン接種に対する共通反応である(Monath TP、Nichols R、Archambault WT、Moore L、Marchesani R、Tian Jら、Comparative safety and immunogenicity of two yellow fever 17D vaccines(ARILVAX and YF-VAX)in a phase III multicenter,double-blind clinical trial.Am J Trop Med Hyg.2002;66(5):533~541.)。それゆえに、この治験において治療レベルまたは治療量未満のレベルのデュピルマブを有する患者は、YFVを許容した。
【0557】
薬物動態、免疫応答、および免疫原性評価
ワクチンに対する体液性免疫応答
YFVに対する体液性免疫応答を、標準的なプラーク低減中和力価(PRNT)アッセイ(Q Squared solutions,LLC)を使用して決定し、そこではウイルスの50%が中和される相互希釈(PRNT50)が計算された。すべての37名の患者のワクチン後中和力価を得て、37名の患者のうち23名のワクチン前およびワクチン後PRNT力価を得た(表9)。患者の黄熱病ワクチン接種および/または感染症の前病歴は不明であった。
図17Aおよび17Bで示されるように、ワクチン接種前の血清を提供した23名の患者のうち、13名が、PRNT<1:10(「血清反応陰性」と定義される)を有し、一方で他の10名の患者が、1:10~1:160の範囲内の力価を有していた(「血清反応陽性」と定義される)。
【0558】
すべての37名の患者が、ワクチン接種後に、PRNT力価>1:10と定義される血清防御的な力価を示し、ワクチン接種後の平均力価は1:7699であった(±10951SD;中央値2560、80~40960の範囲)。
図17Aおよび17Bで示されるように、23名の患者のうち2名が、ワクチン接種後にブーストされないワクチン接種前の力価を有していたが、両方の患者はすでに、YFVの前に血清防御的な力価を有していた。したがって、ワクチン前およびワクチン後の力価を有するセロコンバージョンを実証した13名の患者を含むすべての37名のワクチン接種した患者が、ワクチン接種後、血清防御的な黄熱病中和力価を有していた。
【0559】
【0560】
薬物動態学および免疫原性の評価
ワクチン接種前およびワクチン接種後のPKおよびADA(抗薬物抗体)サンプルを収集した。ワクチン接種前およびワクチン接種後に、血清における機能的なデュピルマブ濃度を測定した。37名の患者のうち、35および34名の患者が、それぞれ収集されたワクチン接種前のPKサンプルおよびワクチン接種前のADAサンプルを有していた。すべての37名の患者が、ワクチン接種後の収集されたPKおよびADAサンプルを有していた。19名の患者が、ワクチン接種日に得られたPKサンプルを有していた。16名の患者が、YFV投与の前に得られたワクチン前のPKを有していた(表9)。
【0561】
表10に、最後のデュピルマブ用量から黄熱病ワクチン接種の投与までの期間、ワクチン接種前のPKサンプリングから黄熱病ワクチン接種の投与までの期間、ならびに黄熱病ワクチン接種の投与からワクチン接種後のPKサンプリングまでの期間を要約する。
【0562】
黄熱病ワクチン接種の前および後のデュピルマブ濃度
黄熱病ワクチン接種の時点で、患者は、LTS12551においてデュピルマブ300mg q2wに少なくとも24週間曝露されており、第24週に73.3mg/Lの平均トラフ濃度で定常状態に達した。平均して、最後のデュピルマブ用量からYFVの投与までの期間はおよそ3週であった(18日の期間中央値、表7)。37名のうち35名の患者において、ワクチン接種前のPKサンプルを収集した。すべてのワクチン接種前のPKサンプルの平均濃度は59.5mg/Lであったが、すべてのPKサンプルが黄熱病ワクチン接種投与の同じ日に収集されたとは限らなかった(表11)。19名の患者において、ワクチン接種前のPKサンプルをYFV投与と同じ日に収集した。これらの患者の血清における平均デュピルマブ濃度は、72.5mg/Lであり、これは、喘息およびADにおけるデュピルマブの臨床試験でのデュピルマブ300mg q2wで治療した患者で観察されたデュピルマブの定常状態の平均トラフ濃度に類似していた。16名の患者について、ワクチン接種前のPKサンプルをYFV投与の1~25日前に収集し、これらの患者について、平均濃度は、44.0mg/Lであった。
【0563】
YFV投与のおよそ5週間後(28~54日の範囲)および最後のデュピルマブ用量のおよそ8週間後(39~79日)に、ワクチン後のPKサンプルを収集した(表10)。ワクチン接種後のPKサンプルの観察された平均濃度は、300mg q2wの最後の定常状態用量の後におよそ8週間のウォッシュアウト期間で予測されるデュピルマブ濃度の範囲内の13.7mg/L(N=37)であった(表11)。
【0564】
【0565】
【0566】
23名の患者のうち15名において、YFV投与の同じ日にワクチン接種前のPKサンプルを収集した。これらの15名の患者におけるデュピルマブの平均濃度は、76.4mg/Lであった。15名の患者のうち13名は、37.4mg/Lの平均トラフ濃度より高いデュピルマブ濃度を有していた。親の第3相試験(EFC13579)において200mg q2wでの喘息患者で観察された定常状態の平均トラフ濃度が37.4mg/Lであったため、このレベルを超える血清中の濃度は、治療的と仮定され、IL-4Rα遮断の飽和レベルと一致していた。
【0567】
すべての13名の37.4mg/Lより高い血清デュピルマブ濃度を有する患者は、YFVの後に血清防御的なPRNT力価を有していた。これらの患者のうち12名が、ワクチン接種後力価の増加を実証し、一方でこれらの13名の患者のうち1名は力価の増加を実証しなかったが、すでにベースライン時に血清防御的な閾値の範囲内であった。これらの患者のPRNT力価レベルにおける倍数変化は、
図18で実証される。ワクチン接種後のすべての13名の患者の中和力価は、デュピルマブ濃度<37.4mg/Lを有していた患者におけるワクチン接種後力価(1:160~1:40960)に匹敵する1:80~1:40960の範囲であった。
【0568】
まとめると、ワクチン前およびワクチン後のPKおよびPRNT力価を有する23名の患者のこのサブセットにおいて、血清デュピルマブレベルとPRNT力価との間にどのような関係も考えられなかった。
【0569】
黄熱病ワクチン接種の前および後のADA発生率および力価
表12に、患者で観察されたYFV投与の前および後のADA発生率ならびにADA力価カテゴリーを要約する。3名の患者において、陽性ADAアッセイ応答が、黄熱病ワクチン接種前および後の両方で観察された。陽性ADAアッセイ応答を有する患者のなかでも、1名の患者は低いADA力価(<1000)を有し、2名の患者は高いADA力価(>10000)を有していた。各ADA力価カテゴリーにおける患者の数は、黄熱病ワクチン接種の前および後で変化しなかったことから、ADA応答に対する黄熱病ワクチン接種の明らかな影響はなかったことが示唆される。試験終了時に、黄熱病ワクチン接種の前および後に陽性であった3名の患者に加えて、追跡期間中の来診で、さらに1名の患者において陽性ADAアッセイ応答が観察された。したがって、追跡期間中の来診において、陽性ADAアッセイ応答を有する合計4名の患者のなかでも、2名の患者は低いADA力価(<1000)を有し、2名の患者は高いADA力価(>10000)を有していた。
【0570】
【0571】
免疫応答およびデュピルマブPKに基づく結論
免疫応答およびデュピルマブPKのデータは、デュピルマブの治療的な血清レベルが、弱毒生ワクチンである黄熱病ワクチン接種に対する防御免疫応答を阻害しないことを示唆する。デュピルマブはワクチン接種後に再び開始されなかったため、血清レベルは、ワクチン接種後力価評価まで減退し続けた。
【0572】
デュピルマブの効能のワクチンに対する免疫応答の影響
デュピルマブ効能への黄熱病ワクチン接種の起こり得る影響を、ワクチン投与前および後のFEV
1における変化を検査することによって評価した。黄熱病ワクチン接種のためにデュピルマブでの治療を中断したすべての患者は、LTS12551において平均0.7年間デュピルマブに曝露されており、デュピルマブ中断の前に肺機能の安定な改善を達成した(表6)。FEV
1は、YFVを投与する前の来診からYFV後の最初の来診時の間で安定していた(
図19、
図20)。平均(SD)FEV
1は、それぞれ2.08(0.83)Lおよび1.98(0.79)Lであった(表13)。一般的に、EFC13579およびDRI12544で観察されたデータに基づいて、FEV
1レベルは、デュピルマブ中断の約12週後に落ちると予想することができる。
【0573】
【0574】
結論
地域的な黄熱病大発生への応答において、LTS12551に登録された37名の患者がデュピルマブ治療を中断し、その後YFVを受けた。デュピルマブは、生きた弱毒化した黄熱病ウイルスワクチンの効能を減少させなかった。YFVを供給されたすべての37名の患者が、抗体保有率と一致するワクチン後黄熱病ウイルス抗体力価を実証した。23名の患者についてワクチン接種前および後の中和力価を得て、これらの患者のうち15名は、YFV投与の日に得られたワクチン接種前の血清を有していた。これらの23名の患者のうち10名は、ワクチン前PRNT力価>1:10を有していたことから、以前にウイルスに曝露された可能性または以前にワクチン接種した可能性が示される。残りの13名の患者は、PRNT力価<1:10を有していたことから(すなわち、「血清反応陰性」)、以前の曝露または経時的な抗体応答の漸減がなかったことが示唆される。ワクチン接種後の28~42日に得られた平均ワクチン接種後力価レベルは、1:7699(±10951SD;中央値2560、80~40960の範囲)であり、2名を除きすべての患者が増加したワクチン接種後の力価を示し、すべての23名の患者が黄熱病に対する抗体保有率と一致するレベルで中和力価を示した。
【0575】
治療的なレベルのデュピルマブは、デュピルマブに対する血清防御的な免疫応答を阻害しないようであった。ワクチン前およびワクチン後黄熱病力価の両方を有していた15名の患者では、ワクチン接種と同じ日にPK測定値も得た。ワクチン接種の時点で、15名の患者のうち13名が、喘息においてIL-4Rαを飽和させるのに十分とみなされる血清レベル(示された200mg q2wレジメンに基づく)である37.4mg/Lの平均濃度より高い血清中デュピルマブ濃度を有していた。すべての13名の患者が、血清防御的な免疫応答を実証した。13名の患者のうち12名がワクチン接種後の中和力価の増加を実証したが、1名の患者の血清サンプルは、ワクチン接種前および後で同じ中和力価を有していた。これらのデータは、ワクチン接種の時点で治療的な血清中デュピルマブ濃度は血清防御的な免疫応答を阻害しないことを裏付け、これらの13名の患者のうち1名を除きすべてが、黄熱病に対する中和抗体力価のブーストを示した。
【0576】
YFVはすべての曝露された患者にとって十分に許容された。YFVを受けた37名の患者のなかでも、1名の患者が、「ワクチン接種合併症」(すなわち、体の痛み、倦怠感および眩暈)として報告される非重篤な有害事象を報告し、これは、YFVに対する共通の反応であり、患者の最大30%で報告された(Monath TP、Nichols R、Archambault WT、Moore L、Marchesani R、Tian Jら、Comparative safety and immunogenicity of two yellow fever 17D vaccines(ARILVAX and YF-VAX)in a phase III multicenter,double-blind clinical trial.Am J Trop Med Hyg.2002;66(5):533~541.)。患者の症状は非重篤として報告され、患者は2週間以内に十分回復した。
【0577】
黄熱病ウイルスワクチン接種は、デュピルマブの効能に影響を与えないようであった。ワクチン接種したすべての患者が、FEV1によって測定した場合、患者の肺機能における安定な改善を達成した。FEV1は、黄熱病ウイルスワクチン接種の前と後の両方で安定なままであった。
【0578】
全体としてみると、これらのデータは、最近デュピルマブを中断した喘息患者における黄熱病ワクチン接種の全体的な安全性および忍容性を裏付ける。科学的な理論に縛られる意図はないが、治療的な血清レベルのデュピルマブを有していた喘息患者と、治療量未満の血清レベルを有していた喘息患者との間でワクチン接種後の中和抗体力価が同様に増加したことから、デュピルマブの場合において、生きた弱毒化したYFVに対する適応免疫系の体液性アームの免疫生成能力が維持されることが示される。
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