(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】排気に空気を噴射するための装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/32 20060101AFI20241122BHJP
F01N 3/34 20060101ALI20241122BHJP
F02F 1/00 20060101ALI20241122BHJP
F02F 7/00 20060101ALI20241122BHJP
F02F 11/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F01N3/32 B ZAB
F01N3/34 A
F02F1/00 A
F02F7/00 L
F02F11/00 B
F02F7/00 N
(21)【出願番号】P 2022514193
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2020075939
(87)【国際公開番号】W WO2021058360
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-08-18
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アルメイダ, フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーブル, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ, ヴァンバッテン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェネツィアーニ, トマ
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-301320(JP,A)
【文献】特開2012-241769(JP,A)
【文献】特開昭58-106287(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017219167(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006048176(DE,A1)
【文献】米国特許第03869859(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/32
F01N 3/34
F02F 1/00
F02F 7/00
F02F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼機関(3)の排気に空気を噴射するための空気噴射システム(4)であって、
空気噴射装置(17)と、
電磁弁(20)と、
を備え、
前記空気噴射装置(17)は、シリンダヘッド(6)とシリンダヘッドカバー(13)とを含み、前記シリンダヘッドカバーは、第1の空気管(25)が形成された本体を含み、前記シリンダヘッドは、第2の空気管(26)とガス排気管(9)とが形成された本体を含み、前記第1の空気管(25)は、空気噴射ポンプ(19)
へ上流側で接続されることが可能であり、前記第1の空気管(25)は、前記第2の空気管(26)
へ下流側で接続されており、前記第2の空気管(26)は、ガス排気管(9)
へ下流側で接続されており、前記電磁弁(20)は前記シリンダヘッドカバー(13)に固定されており、前記電磁弁(20)は第1の空気管(25)
へ下流側で接続されて
おり、前記シリンダヘッド(6)は複数のガス排気管(9)を含み、前記第2の空気管(26)は、チャンバ(27)と複数の空気管部分(28)とを含み、各々の空気管部分(28)は、前記チャンバ(27)へ上流側で接続されており、各々の空気管部分は、それぞれ下流側で前記ガス排気管(9)のうちの1つに接続されている
ことを特徴とする、空気噴射システム(4)。
【請求項2】
前記シリンダヘッド(6)と前記シリンダヘッドカバー(13)との間の第2のシール装置(32)、を備え、前記第2のシール装置は、前記第1の空気管または前記第2の空気管からの空気または排気ガスの漏れを防ぐことができることを特徴とする、請求項1に記載の空気噴射システム(4)。
【請求項3】
前記第2のシール装置(32)が金属シールを含むことを特徴とする、請求項2に記載の空気噴射システム(4)。
【請求項4】
前記第1の空気管(25)は前記第2の空気管(26)の上に垂直に配置されており、前記第2の空気管(26)は前記第1の空気管(25)を延長し、前記第1の空気管(25)または前記第2の空気管(26)内に形成された凝縮物が、前記第1の空気管または前記第2の空気管に停滞することができないように、前記第2の空気管(26)は前記ガス排気管(9)の上に垂直に配置されていることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載の空気噴射システム(4)。
【請求項5】
前記シリンダヘッドカバー(13)は、前記電磁弁(20)用の固定境界面(24)を備え、前記固定境界面(24)は、空気または排気ガスの漏れを防ぐことを目的とした第3のシール装置(33)を含むことを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の空気噴射システム(4)。
【請求項6】
電磁弁用の支持体(23)を備え、前記支持体(23)は、前記シリンダヘッドカバー(13)に直接固定されており、前記電磁弁(20)は、前記支持体(23)に直接固定されており、前記支持体は、前記第1の空気管(25)
へ下流側で接続された空気収集チャンバを含むことを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の空気噴射システム(4)。
【請求項7】
前記シリンダヘッドカバーが、前記空気収集チャンバの容積を増加させるための切り欠きを備えることを特徴とする、請求項
6に記載の空気噴射システム(4)。
【請求項8】
前記シリンダヘッド(6)と前記シリンダヘッドカバー(13)との間に第1のシール装置(31)を備え、前記第1のシール装置は、シリンダヘッド(6)の本体の外側へのオイル蒸気の漏れを防ぐことができ、前記第1のシール装置(31)は、樹脂シールを含むことを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の空気噴射システム(4)。
【請求項9】
燃焼機関(3)を備え、前記燃焼機関(3)が、請求項1から
8のいずれか一項に記載の空気噴射システム(4)を備えることを特徴とする、パワートレイン(2)。
【請求項10】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の空気噴射システム(4)、および/または請求項
9に記載のパワートレイン(2)を備えることを特徴とする自動車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼機関の排気に空気を噴射するための装置に関する。本発明はまた、燃焼機関の排気に空気を噴射するためのシステムに関する。本発明はまた、そのような空気噴射装置および/またはそのような空気噴射システムを含むパワートレインに関する。本発明は、最終的に、そのようなパワートレインおよび/またはそのような空気噴射装置および/またはそのような空気噴射システムを含む自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内燃機関は、二次空気噴射システムとも呼ばれる、排気に空気を噴射するためのシステムを有し得る。加圧された新鮮な空気を燃焼機関の排気管に噴射すると、排気管内で特定の残留物が燃焼する。この燃焼により、触媒コンバータ、微粒子フィルタ、選択的触媒還元装置などの汚染防止部材の上流にある排気ガスの温度が上昇する。これらの汚染防止部材は、特定の排気ガス温度(例えば約400°C)でのみ有効であるため、排気に空気を噴射するシステムを統合することで、その動作を改善することができる。特に、エンジン始動時に排気に空気を噴射するシステムにより、汚染防止部材の温度上昇を加速し、汚染防止基準を満たすことができる。
【0003】
排気に空気を噴射するシステムは、一般に、空気フィルタの出口で捕捉された空気を加圧する空気噴射ポンプ、空気の流量を制御する電磁弁、および排気マニホールドに向けて空気を拡散するシステムで構成される。これらのシステムは、多数の管で構成されている。したがって、これらのシステムは重くてかさばり、エンジン区画にこれらのシステムを統合するのは難しい場合がある。さらに、これらのシステムは簡単に汚れる可能性がある。多数の管間の境界面も漏れを発生させる可能性がある。したがって、排気に空気を噴射するためのシステムは、信頼性が低い場合がある。最終的に、多数の空気管が圧力降下を引き起こす。したがって、空気噴射システムのポンプは、これらの圧力降下を補償するのに十分強力でなければならない。
【0004】
発明の提示
本発明の目的は、上記の欠点を克服し、従来技術から知られている装置を改善する、排気に空気を噴射するための装置を提供することである。
【0005】
より正確には、本発明の第1の主題は、特に軽量でコンパクトな、排気に空気を噴射するための装置である。
【0006】
本発明の第2の主題は、容易に汚れないように排気に空気を噴射するための装置である。
【0007】
本発明の第3の主題は、空気漏れまたは排気ガス漏れを引き起こさない、排気に空気を噴射するための装置である。
【0008】
本発明の第4の主題は、最小の圧力降下を生成する、排気に空気を噴射するための装置である。
【0009】
本発明の第5の主題は、修理のための可能な介入の目的のために容易にアクセス可能な、排気に空気を噴射するための装置である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、燃焼機関の排気に空気を噴射するための空気噴射システムに関し、空気噴射システムは、
- 排気に空気を噴射するための装置と、
- 電磁弁と、
を備え、
空気噴射装置は、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとを含み、シリンダヘッドカバーは、第1の空気管が形成された本体を含み、シリンダヘッドは、第2の空気管とガス排気管とが形成された本体を含み、第1の空気管は、空気噴射ポンプへ上流側で接続されることが可能であり、第1の空気管は、第2の空気管へ下流側で接続されており、第2の空気管は、ガス排気管へ下流側で接続されており、電磁弁はシリンダヘッドカバーに固定されており、電磁弁は第1の空気管へ下流側で接続されている。
【0011】
空気噴射システムは、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間の第2のシール装置を備えていてもよく、第2のシール装置は、第1の空気管または第2の空気管からの空気または排気ガスの漏れを防ぐことができる。
【0012】
第2のシール装置は金属シールを含み得る。
【0013】
シリンダヘッドは複数のガス排気管を含んでいてもよく、第2の空気管は、チャンバと複数の空気管部分とを含んでいてもよく、各々の空気管部分は、前記チャンバへ上流側で接続されており、各々の空気管部分は、ガス排気管のうちの1つへそれぞれ下流側で接続されている。
【0014】
第1の空気管は第2の空気管の上に垂直に配置されていてもよく、第2の空気管は第1の空気管を延長してもよく、第1の空気管または第2の空気管内に形成された凝縮物が、第1の空気管または第2の空気管に停滞することができないように、第2の空気管は、ガス排気管の上に垂直に配置されている。
【0015】
シリンダヘッドカバーは、電磁弁用の固定境界面を備えていてもよく、固定境界面は、空気または排気ガスの漏れを防ぐことを目的とした第3のシール装置を含む。
【0016】
空気噴射システムは、電磁弁用の支持体を備えていてもよく、前記支持体は、シリンダヘッドカバーに直接固定されており、電磁弁は、前記支持体に直接固定されており、前記支持体は、第1の空気管へ下流側で接続された空気収集チャンバを含む。
【0017】
シリンダヘッドカバーは、空気収集チャンバの容積を増加させるための切り欠きを備えていてもよい。
【0018】
空気噴射システムは、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間に第1のシール装置を備えていてもよく、第1のシール装置は、シリンダヘッド本体の外側へのオイル蒸気の漏れを防ぐことができ、第1のシール装置は、樹脂シールを含む。
【0019】
本発明はまた、燃焼機関を備え、燃焼機関が上記のように規定された空気噴射システムを備える、パワートレインに関する。
【0020】
本発明はまた、上記のように規定された空気噴射システム、および/または上記のように規定されたパワートレインを備える自動車に関する。
【0021】
本発明のこれらの主題、特徴および利点は、添付の図を参照して非限定的な例として与えられる1つの特定の実施形態の以下の説明において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による、排気に空気を流入させるための装置を含む自動車の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、排気に空気を流入させるための装置を備えた燃焼機関の断面の側面図である。
【
図3】排気に空気を流入させるための装置のシリンダヘッドカバーの等角投影図である。
【
図4】シリンダヘッドカバーの上から見た等角図である。
【
図5】シリンダヘッドカバーの下から見た等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による、パワートレイン2を備えた自動車1を概略的に示している。車両1はどのような種類でも構わない。特に、車両1は、例えば、自家用車、多目的車、トラックまたはバスであり得る。パワートレイン2は、燃焼機関3と、排気に空気を噴射するためのシステム4とを備えている。
【0024】
以下の説明において、上流および下流は、空気または排気ガスの自然な流れの方向を参照して規定される。空気または排気ガスは上流から下流に循環する。また、車両1は水平面に静止していると考えられる。垂直軸Zは、下から上に向けられたベクトルで表される。
【0025】
燃焼機関3は、燃料、例えばガソリンまたはディーゼルの燃焼の場所であるシリンダが形成されるエンジンブロック5を備えている。シリンダは任意の数にすることができ、例えば、3シリンダ、4シリンダ、6シリンダ、8シリンダなどである。燃焼機関3はまた、エンジンブロック5に固定されたシリンダヘッド6を備えている。シリンダヘッド6は、シリンダの上部を閉じる燃焼機関の構成要素である。シリンダヘッド6は、特に、吸気弁、排気弁7、ならびに吸気弁および排気弁7に機械的に接続されているカムシャフト8を収容または支持する。排気弁は、各シリンダをガス排気管9から分離する機械的部材である。ガス排気管9は、排気ガス、すなわち、シリンダ内の燃料の燃焼から生じるガスを排出するためにシリンダヘッドに形成されたチャネルである。シリンダヘッドは、シリンダと同じ数の別個のガス排気管9を含み得る。各ガス排気管は、シリンダからシリンダヘッドの外側に向かって排気ガスを運ぶ。
【0026】
パワートレインはまた、例えば、ガス排気管9の出口でシリンダヘッドに対して固定される排気マニホールド10を備えた排気装置を備えている。排気マニホールドは、ガス排気管と同じ数の入口と単一の出口とを含み得る。排気マニホールドは排気管11の下流に接続されており、排気管11はそれ自体が汚染防止部材12の下流に接続されている。汚染防止部材は、例えば、触媒コンバータ、微粒子フィルタ、選択的触媒還元装置(selective catalytic reduction device:SCR装置、とも呼ばれる)、または排気ガス中の粒子の含有量を消毒または低減することができる任意の他の部材であり得る。汚染防止部材により、最適な方法で動作するために、排気ガスが温度閾値、例えば約400℃の閾値に到達することを必要とすることができる。
【0027】
燃焼機関3はまた、シリンダヘッドカバー13を備えている。シリンダヘッドカバーは、燃焼機関3の上部であり、シリンダヘッド6を覆っている。
図2に示すように、シリンダヘッドカバー13は、シリンダヘッド6に垂直に載るように取り付けられ得る。実質的に水平面P1は、シリンダヘッドカバー13をシリンダヘッド6から垂直に分離することができる。シリンダヘッド6は2つの下半軸受14を含んでいてもよく、シリンダヘッドカバー13は2つの上半軸受15を含んでいてもよい。2つの下半軸受14は、2つの上半軸受15と協働して、2つのカムシャフトを支持する2つの軸受を形成する。シリンダヘッド6とシリンダヘッドカバー13とによって形成されたアセンブリは、カムシャフト8と弁7とを特に配置することができる密封された内部容積16を形成する。燃焼機関の様々な可動要素を潤滑するために、特にカムシャフトおよび弁を潤滑するために、この内部容積16に蒸気または液滴の形態のオイルが置かれ得る。
【0028】
シリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーは一体の構成要素にすることができる。シリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーは金属製であってもよい。シリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーは機械加工および/または鋳造によって得ることができる。シリンダヘッドカバーは、例えば固定ネジによって、密閉された方法でシリンダヘッドに固定されている。
図3、
図4および
図5に見られるように、シリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーはまた、例えば、噴射装置および/またはスパークプラグを受け入れることを目的とした補強リブ、開口部を含み得る。
【0029】
排気に空気を噴射するためのシステム4は、シリンダヘッド6とシリンダヘッドカバー13とに形成された空気噴射装置17を備えている。システムはまた、空気フィルタ18と、空気噴射ポンプ19と、電磁弁20とを備えている。空気フィルタ18は、第1の外部管21によって空気噴射ポンプ19へ下流側で接続されている。空気噴射ポンプ19は、第2の外部管22によって電磁弁20へ下流側で接続されている。
【0030】
空気フィルタ18は、外部からの新鮮な空気を抜き取り、濾過することができる部材である。特に、空気フィルタ18は、空気中に浮遊している粒子をろ過して、排気に空気を噴射するためのシステムに粒子がさらに入ることを防ぐことができる。空気フィルタ18はまた、燃料の燃焼を可能にするために、吸気管を介してシリンダに供給される新鮮な空気を濾過するのに役立ち得る。
【0031】
空気噴射ポンプ19、またはより簡単に言えば空気ポンプ19は、空気フィルタ18から来る空気を加圧することができるポンプである。空気噴射ポンプ19は、電気エネルギー源と電子制御ユニットとに電気的に接続され得る。空気噴射ポンプ19の起動は、電子制御ユニットによって発せられる制御コマンドによって制御され得る。
【0032】
電磁弁20は、電磁弁20を通過する空気の流量を制御することができる部材である。電磁弁20は、電子制御ユニットに電気的に接続されたコネクタを含み得る。電子制御ユニットが発する制御コマンドにより、電磁弁を通過する空気の流量を制御することができる。電磁弁20は、支持体23を介してシリンダヘッドカバー13に固定されている。支持体23は、シリンダヘッドカバーに直接固定され、例えば、ネジ留めされ、電磁弁は、支持体23に直接固定され、例えば、ネジ留めされている。支持体23は、
図4にはっきりと見えるシリンダヘッドカバーの固定境界面24に固定されている。したがって、電磁弁は、張り出すことなく、燃焼機関3に対してしっかりと保持される。電磁弁のこのような固定は、特に信頼性が高く、振動に強い。支持体23は、空気噴射装置17
へ下流側で接続された空気収集チャンバを備えている。支持体23はまた、空気収集チャンバ
へ上流側でおよび空気噴射装置17
へ下流側で、特にシリンダヘッドカバーに形成された第1の空気管25に接続されたチャネルを含み得る。変形として、支持体23およびシリンダヘッドカバーは、1つのみの構成要素を形成し得る。言い換えれば、電磁弁はシリンダヘッドカバーに直接固定され得る。
【0033】
シリンダヘッドカバーはまた、材料を節約し、収集チャンバの容積を増加させるために、切り欠きを含み得る。この切り欠きは、有利には電磁弁20の下に位置し得る。
【0034】
次に、空気噴射装置17、すなわち、燃焼機関の本体に形成された排気に空気を噴射するためのシステム4の一部について、より詳細に説明する。
【0035】
シリンダヘッドカバー13は、第1の空気管25が形成された本体を備えている。同様に、シリンダヘッドは、第2の空気管26およびガス排気管9が形成された本体を備えている。したがって、第1の空気管25および第2の空気管は、それぞれシリンダヘッドカバー13の本体およびシリンダヘッド6の本体に実現される切り欠きである。第1の空気管25は、第2の空気管26へ下流側で接続されている(すなわち、突き合わせられている)。第2の空気管26は、ガス排気管9へ下流側で接続されている。
【0036】
したがって、第1の空気管25は、シリンダヘッドカバーの上面に配置され得る入口と、シリンダヘッドカバーの下面に配置され得る出口とを備え、下面はシリンダヘッド6と接触している。入口から出口まで、つまり上流から下流への第1の空気管に沿って進むことにより、第1の空気管が下向きの、または局所的に水平な軌道をたどることがわかる。
【0037】
同様に、第2の空気管26は、シリンダヘッドの上面に配置された入口と、シリンダヘッドの側面に配置され得る出口とを備えている。入口から出口まで、つまり上流から下流へと第2の空気管に沿って進むことにより、第2の空気管が下向きの、または局所的に水平な軌道をたどることもわかる。
【0038】
第1の空気管25は、第2の空気管26の上に配置されている。第2の空気管は、第1の空気管25を延長し、ガス排気管9の上に配置されている。したがって、第1の空気管で形成された液体または凝縮物はそこで停滞することができず、重力下で第2の空気管に向かって放出される。同様に、第2の空気管で形成された液体または凝縮物はそこで停滞することができず、重力下でガス排気管9に向かって放出される。換言すれば、第1の空気管25も第2の空気管26も、液体の保持容積を形成する低点を含まない。第1の空気管および第2の空気管の向きは、任意の液体または凝縮物の重力下での流れを排気管に向かって促進するように、可能な限り垂直にされ得る。
【0039】
図1、
図2、および
図5を参照すると、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとによって形成されるアセンブリは、第1のシール装置31と第2のシール装置32とを含み、これらは両方とも、平面P1に沿ってシリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間に配置されている。第1のシール装置は、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとによって形成されたアセンブリの外側へのオイル蒸気の漏れを防ぐことができる。第1のシール装置は、潤滑油を加圧することができる内部容積16の周りに配置され得る。第2のシール装置は、空気噴射装置の第1の空気管または第2の空気管からの空気または排気ガスの漏れを防ぐことができる。第2のシール装置は、第1の空気管と第2の空気管との間に形成された境界面の周りに配置されている。第2のシール装置は、第1の空気管および第2の空気管の断面の形状を実質的に再現する形状、例えば、ほぼ円形またはほぼ長方形の形状を有し得る。
【0040】
したがって、2つのシール装置は異なる制約を受ける。第1の装置は、潤滑油を積んだ環境に耐えるように設計され、第2の装置は、上流から来る加圧空気、または場合によってはガス排気管9から上流方向に散発的に上昇する高温の排気ガスに耐えるように設計されている。有利には、第1のシール装置31は、樹脂シールを含み得る。第2のシール装置は、金属シールを含み得る。変形の実施形態では、空気噴射装置は、オイル、加圧空気、および排気ガスに対して同時に耐性がある単一のシール装置を含んでいてもよい。この単一のシール装置は、例えば、金属シールであってもよい。ただし、単一のシール装置は、異なる種類の2つの別個のシール装置よりも実装が複雑で費用がかかる。
【0041】
図4を参照すると、ケーシングカバーはまた、電磁弁20を保持する支持体23のための固定境界面24上に配置された第3のシール装置33を備えている。第2のシール装置と同様に、第3のシール装置33は、上流から来る加圧空気または場合によってはガス排気管9から上流方向に散発的に上昇する排気ガスに耐えるように設計されている。第3のシール装置は、金属シールを含み得る。
【0042】
このように形成された排気に空気を噴射するためのシステムにより、従来技術から知られている排気に空気を噴射するためのシステムと比較して、空気管を節約することが可能になる。具体的には、本発明のシステムでは、電磁弁20とシリンダヘッドカバーとの間に配管を設ける必要がない。これにより、燃焼機関が位置するエンジン区画のスペースが節約される。さらに、空気管25および26によって形成された管ラインは、燃焼機関を軽量化するのに役立つ。
【0043】
図2を参照すると、燃焼機関3は、車両のボンネット34から短い距離に位置し得る。電磁弁は、車両のボンネット34の真下にアクセスできるように配置され得る。したがって、メンテナンスおよび/またはその可能な交換が容易になる。
【0044】
燃焼機関の運転中は、空気噴射ポンプにより外部から新鮮な空気が吸い込まれる。新鮮な空気は、空気フィルタ18を介して排気に空気を噴射するためのシステム4に入り、次に、第1の外部管21を通過し、次に空気噴射ポンプ19を通過する。空気は、空気噴射ポンプ19によって加圧され、第2の外部管22を通過し、次に電磁弁20に到達する。電子制御ユニットによって制御される電磁弁の状態に応じて、電磁弁20を通過する空気の流量を調整することができる。次に、空気は支持体23を通過し、次にシリンダヘッドカバー13の空気噴射装置に到達する。第3のシール装置33により、支持体23とシリンダヘッドカバーとの間の境界面で空気または排気ガスの漏れが発生しない。次に、空気は第1の空気管25を通過し、シリンダヘッドに統合されている第2の空気管26に到達する。第2のシール装置32により、第1の空気管と第2の空気管との間の境界面で空気または排気ガスの漏れが発生しない。次に、空気はチャンバ27に到着し、そこから空気管部分28に分配される。次に、空気は、排気弁7に可能な限り近いガス排気管9に噴射される。ガス排気管までの外部からの空気の経路により、様々なガス排気管9内の低い圧力降下と良好な分布の均一性が提供される。このように排気ガスと混合された空気により、排気ガス中に存在する残留物の燃焼が可能になる。したがって、燃焼機関が始動するとすぐに、排気ガスの温度が急速に上昇し得る。次に、排気ガスは、燃焼機関3から排出され、排気マニホールド10、排気管11、および汚染防止部材12を通過する。排気ガスが高温になっているため、汚染防止部材が最適に作動する。このように処理された排気ガスは、その後、車両から排出され得る。排気に空気を噴射するためのシステム内に凝縮物が形成されると、凝縮物は重力下でガス排気管9に向かって導かれる。したがって、凝縮物は排気に空気を噴射するためのシステムの管の1つに停滞または蓄積することはできない。この操作と並行して、シリンダヘッド6内の様々な可動部材を加圧されたオイルで潤滑することができる。加圧されたオイルは、第1のシール装置31により、シリンダヘッドカバーとシリンダヘッドとの間の境界面を通って逃げない。