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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】眼収差計特性化システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/103 20060101AFI20241122BHJP
   A61B 3/107 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61B3/103
A61B3/107
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022519543
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 IB2020059186
(87)【国際公開番号】W WO2021064619
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】マックス ホール
(72)【発明者】
【氏名】トーマス パドリック
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン ジェイ サーバー
【審査官】渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-533516(JP,A)
【文献】特開2010-099354(JP,A)
【文献】特表2005-512627(JP,A)
【文献】特開2005-103103(JP,A)
【文献】特開平06-235619(JP,A)
【文献】特表2018-538566(JP,A)
【文献】特表2007-531559(JP,A)
【文献】特開2007-007277(JP,A)
【文献】特表2016-527984(JP,A)
【文献】特表2019-521760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
G01B 9/00 - 9/10
G01B 11/00 -11/30
G01M 11/00 -11/08
G01N 21/00 -21/01
G01N 21/17 -21/61
G06F 18/00 -18/40
G06N 3/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼収差測定システムであって、
前記眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットに関連する波面センサデータを提供するよう構成される波面センサと、
前記波面センサと通信するよう構成される論理デバイスであって、
前記眼収差測定システムに関連する収差計モデル及び眼モデルに基づいて、前記眼収差測定システムのための複合解析エンジンを特定することであって、前記収差計モデル及び前記眼モデルは、前記波面センサによって提供される波面センサデータに基づき、特定し、
前記特定された複合解析エンジンに基づいて、前記眼収差測定システムのためのコンパクト解析エンジンを生成するよう構成される、論理デバイスと、を備え
前記論理デバイスは、
前記眼収差測定システムに関連する前記収差計モデルを生成し、
生成された前記収差計モデルに基づいて、前記複合解析エンジンを特定するよう構成され、
前記複合解析エンジンを特定することは、
前記収差計モデル内の前記眼収差測定システムに関連するシステム収差に基づいて、前記眼モデルの複数の選択される位置ずれに対応する波面センサデータの複数の補正されたセットを生成することと、
ニューロンの入力層と、ニューロンの出力層と、前記入力層と前記出力層との間に結合されるニューロンの複数の隠れ層とを備えるニューラルネットワークを形成することと、
グラウンドトゥルース出力データとして前記眼モデルの前記複数の選択される位置ずれ、及び、訓練入力データとして前記眼モデルの前記波面センサデータの対応する複数の補正されたセットを用いて、前記ニューラルネットワークの前記入力層、前記出力層、及び前記隠れ層の各ニューロンに関連する少なくとも1つの訓練可能重み付け行列を、教師あり学習エンジンを介して訓練することと、を含む、眼収差測定システム。
【請求項2】
前記論理デバイスは、
前記眼収差測定システムに関連する前記眼モデルを生成し、
生成された前記眼モデルに基づいて、前記複合解析エンジンを特定するよう構成される、
請求項1に記載の眼収差測定システム。
【請求項3】
前記眼モデルを生成することは、
前記眼収差測定システムによって監視される前記光学ターゲットとして配置されるダブルパスモデルターゲットを介して、前記眼収差測定システムの少なくとも前記波面センサを照明することと、
複数の選択される位置ずれに従って、前記眼収差測定システムの光軸に対して、前記ダブルパスモデルターゲットの交換可能な眼収差モデルの位置及び/又は配向を変化させて前記波面センサによって提供される波面センサデータの対応する複数のセットを生成することと、
前記複数の選択される位置ずれ及び前記波面センサデータの対応する複数のセットを前記眼モデルとして格納することと、を含む、
請求項2に記載の眼収差測定システム。
【請求項4】
前記ダブルパスモデルターゲットは、
前記交換可能な眼収差モデルと、
前記交換可能な眼収差モデルに着脱自在に結合され、前記交換可能な眼収差モデルの前記位置及び/又は配向を変化させて、前記複数の選択される位置ずれ及び前記波面センサデータの対応する複数のセットを生成するよう構成される6自由度運動アクチュエータと、を備える、
請求項3に記載の眼収差測定システム。
【請求項5】
前記複合解析エンジンを特定することは、
ニューロンの入力層と、ニューロンの出力層と、前記入力層と前記出力層との間に結合されるニューロンの少なくとも1つの隠れ層とを備えるニューラルネットワークを形成することと、
グラウンドトゥルース出力データとして前記眼モデルの位置ずれ、及び、訓練入力データとして前記眼モデルの波面センサデータの対応するセットを用いて、前記ニューラルネットワークの前記入力層、前記出力層、及び前記隠れ層の各ニューロンに関連する少なくとも1つの訓練可能重み付け行列を、教師あり学習エンジンを介して訓練することと、を含む、
請求項2に記載の眼収差測定システム。
【請求項6】
前記収差計モデルを生成することは、
前記眼収差測定システムによって監視される前記光学ターゲットとして配置されるシングルパスモデルターゲットを介して、前記眼収差測定システムの少なくとも前記波面センサを照明することと、
複数の選択される焦点ぼけ屈折力に従って前記シングルパスモデルターゲットの焦点ぼけ収差を変化させて、前記波面センサによって提供される波面センサデータの複数のセットを生成することと、
前記波面センサデータの複数のセットに基づいて、前記眼収差測定システムに関連するシステム収差を特定することと、
前記システム収差及び/又は前記波面センサデータの複数のセットを前記収差計モデルとして格納することと、を含む、
請求項1に記載の眼収差測定システム。
【請求項7】
前記シングルパスモデルターゲットは、
前記眼収差測定システムの光軸に沿って配向される光源ビームを生成するよう構成されるレーザ又はスーパールミネッセントダイオードを備える平面波網膜源と、
前記シングルパスモデルターゲットの前記焦点ぼけ収差を変化させて、複数の基準インターフェログラム及び対応する波面センサデータを生成するよう構成される直線運動アクチュエータに結合されるレンズシステムと、を備える、
請求項6に記載の眼収差測定システム。
【請求項8】
前記コンパクト解析エンジンを生成することは、
ニューロンの入力層と、ニューロンの出力層と、前記入力層と前記出力層との間に結合されるニューロンの少なくとも1つの隠れ層とを備えるコンパクトニューラルネットワークを形成することと、
前記複合解析エンジンの複数の隠れ層に関連する1つ以上の複合解析パラメータに基づいて、前記コンパクトニューラルネットワークの前記入力層、前記出力層、及び/又は前記隠れ層の各ニューロンに関連する重み付け行列を生成することと、を含む、
請求項1に記載の眼収差測定システム。
【請求項9】
方法であって、
眼収差測定システムに関連する収差計モデル及び眼モデルに基づいて、前記眼収差測定システムのための複合解析エンジンを特定することであって、前記収差計モデル及び前記眼モデルは、前記眼収差測定システムの波面センサによって提供される波面センサデータに基づく、特定することと、
前記特定された複合解析エンジンに基づいて、前記眼収差測定システムのためのコンパクト解析エンジンを生成することと、を含み、
更に、
前記眼収差測定システムに関連する前記収差計モデルを生成することと、
生成された前記収差計モデルに基づいて、前記複合解析エンジンを特定することと、を含み、
前記複合解析エンジンを特定することは、
前記収差計モデル内の前記眼収差測定システムに関連するシステム収差に基づいて、前記眼モデルの複数の選択される位置ずれに対応する波面センサデータの複数の補正されたセットを生成することと、
ニューロンの入力層と、ニューロンの出力層と、前記入力層と前記出力層との間に結合されるニューロンの複数の隠れ層とを備えるニューラルネットワークを形成することと、
グラウンドトゥルース出力データとして前記眼モデルの前記複数の選択される位置ずれ、及び、訓練入力データとして前記眼モデルの前記波面センサデータの対応する複数の補正されたセットを用いて、前記ニューラルネットワークの前記入力層、前記出力層、及び前記隠れ層の各ニューロンに関連する少なくとも1つの訓練可能重み付け行列を、教師あり学習エンジンを介して訓練することと、を含む、方法。
【請求項10】
更に、
前記眼収差測定システムに関連する前記眼モデルを生成することと、
生成された前記眼モデルに基づいて、前記複合解析エンジンを特定することと、を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記眼モデルを生成することは、
前記眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットとして配置されるダブルパスモデルターゲットを介して、前記眼収差測定システムの少なくとも前記波面センサを照明することと、
複数の選択される位置ずれに従って、前記眼収差測定システムの光軸に対して、前記ダブルパスモデルターゲットの交換可能な眼収差モデルの位置及び/又は配向を変化させて前記波面センサによって提供される波面センサデータの対応する複数のセットを生成することと、
前記複数の選択される位置ずれ及び前記波面センサデータの対応する複数のセットを前記眼モデルとして格納することと、を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ダブルパスモデルターゲットは、
前記交換可能な眼収差モデルと、
前記交換可能な眼収差モデルに着脱自在に結合され、前記交換可能な眼収差モデルの前記位置及び/又は配向を変化させて、前記複数の選択される位置ずれ及び前記波面センサデータの対応する複数のセットを生成するよう構成される6自由度運動アクチュエータと、を備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複合解析エンジンを特定することは、
ニューロンの入力層と、ニューロンの出力層と、前記入力層と前記出力層との間に結合されるニューロンの少なくとも1つの隠れ層とを備えるニューラルネットワークを形成することと、
グラウンドトゥルース出力データとして前記眼モデルの位置ずれ、及び、訓練入力データとして前記眼モデルの波面センサデータの対応するセットを用いて、前記ニューラルネットワークの前記入力層、前記出力層、及び前記隠れ層の各ニューロンに関連する少なくとも1つの訓練可能重み付け行列を、教師あり学習エンジンを介して訓練することと、を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記収差計モデルを生成することは、
前記眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットとして配置されるシングルパスモデルターゲットを介して、前記眼収差測定システムの少なくとも前記波面センサを照明することと、
複数の選択される焦点ぼけ屈折力に従って前記シングルパスモデルターゲットの焦点ぼけ収差を変化させて、前記波面センサによって提供される波面センサデータの複数のセットを生成することと、
前記波面センサデータの複数のセットに基づいて、前記眼収差測定システムに関連するシステム収差を特定することと、
前記システム収差及び/又は前記波面センサデータの複数のセットを前記収差計モデルとして格納することと、を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記シングルパスモデルターゲットは、
前記眼収差測定システムの光軸に沿って配向される光源ビームを生成するよう構成されるレーザ又はスーパールミネッセントダイオードを備える平面波網膜源と、
前記シングルパスモデルターゲットの前記焦点ぼけ収差を変化させて、複数の基準インターフェログラム及び対応する波面センサデータを生成するよう構成される直線運動アクチュエータに結合されるレンズシステムと、を備える、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記コンパクト解析エンジンを生成することは、
ニューロンの入力層と、ニューロンの出力層と、前記入力層と前記出力層との間に結合されるニューロンの少なくとも1つの隠れ層とを備えるコンパクトニューラルネットワークを形成することと、
前記複合解析エンジンの複数の隠れ層に関連する1つ以上の複合解析パラメータに基づいて、前記コンパクトニューラルネットワークの前記入力層、前記出力層、及び/又は前記隠れ層の各ニューロンに関連する重み付け行列を生成することと、を含む、
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の1つ以上の実施形態は、一般に、眼収差測定に関し、特に、例えば、臨床又は術中の眼収差測定を改善するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼手術は、角膜及び/又は眼の表面を再成形すること、眼内デバイス及び/又は人工眼内レンズ(IOL)の挿入及び/又は交換、並びに/或いは、眼の能動光学コンポーネントの他の外科的操作を伴う可能性がある。最適な術後視力転帰を達成するために、良好な術前臨床評価及び手術計画、並びに手術計画の実行の術中監視が重要である。
【0003】
眼収差計によって行われる眼収差測定は、通常、手術前に眼の特徴を明らかにし、手術の進行を監視し、手術の成功を評価するために用いられる一般的な方法である。従来の眼収差計は、多くの場合、不正確な手術計画及び患者にとって最適状態に及ばない手術又は視力転帰に繋がる可能性のある眼球運動並びに/又は収差計自体の位置合わせ不良及び光学収差に関連する種々の測定誤差に悩まされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、当該技術分野において、患者にとって最適化された手術又は視力転帰に繋がる、臨床及び/又は術中眼収差測定を改善するシステム及び方法に対するニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
改良された眼収差測定を提供するシステム及び方法のための技法を開示する。1つ以上の実施形態によれば、眼収差測定システムは、眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットに関連する波面センサデータを提供するよう構成される波面センサと、波面センサと通信するよう構成される論理デバイスとを含んでいてもよい。論理デバイスは、眼収差測定システムに関連する収差計モデル及び/又は眼モデルに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システムのための複合解析エンジンを特定するよう構成されてもよく、収差計モデル及び眼モデルは、波面センサによって提供される波面センサデータに少なくとも部分的に基づいている。論理デバイスはまた、特定された複合解析エンジンに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システムのためのコンパクト解析エンジンを生成するよう構成されてもよい。
【0006】
他の実施形態において、方法は、眼収差測定システムに関連する収差計モデル及び/又は眼モデルに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システムのための複合解析エンジンを特定することであって、収差計モデル及び眼モデルは、眼収差測定システムの波面センサによって提供される波面センサデータに少なくとも部分的に基づくことと、特定された複合解析エンジンに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システムのためのコンパクト解析エンジンを生成することとを含んでいてもよい。
【0007】
幾つかの実施形態によれば、非一時的機械読取可能媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに方法を実行させるよう適合される複数の機械読取可能命令を含んでいてもよい。方法は、眼収差測定システムに関連する収差計モデル及び/又は眼モデルに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システムのための複合解析エンジンを特定することであって、収差計モデル及び眼モデルは、眼収差測定システムの波面センサによって提供される波面センサデータに少なくとも部分的に基づくことと、特定された複合解析エンジンに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システムのためのコンパクト解析エンジンを生成することとを含んでいてもよい。
【0008】
更なる実施形態において、眼収差測定システムは、眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットに関連する波面センサデータを提供するよう構成される波面センサと、波面センサと通信するよう構成される論理デバイスとを含んでいてもよい。論理デバイスは、波面センサによって提供される波面センサデータを少なくとも含む眼収差測定出力データを受信し、受信された眼収差測定出力データに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットの相対位置及び/又は配向に対応する推定眼位ずれを特定し、推定眼位ずれに少なくとも部分的に基づいて、受信された眼収差測定出力データに対応するユーザフィードバックを生成するよう構成されてもよい。
【0009】
他の実施形態において、方法は、波面センサを備える眼収差測定システムから眼収差測定出力データを受信することであって、眼収差測定出力データは、眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットに関連する波面センサデータを少なくとも含むことと、受信された眼収差測定出力データに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットの相対位置及び/又は配向に対応する推定眼位ずれを特定することと、推定眼位ずれに少なくとも部分的に基づいて、受信された眼収差測定出力データに対応するユーザフィードバックを生成することとを含んでいてもよい。
【0010】
幾つかの実施形態によれば、非一時的機械読取可能媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに方法を実行させるよう適合される複数の機械読取可能命令を含んでいてもよい。方法は、波面センサを備える眼収差測定システムから眼収差測定出力データを受信することであって、眼収差測定出力データは、眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットに関連する波面センサデータを少なくとも含むことと、受信された眼収差測定出力データに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システムによって監視される光学ターゲットの相対位置及び/又は配向に対応する推定眼位ずれを特定することと、推定眼位ずれに少なくとも部分的に基づいて、受信された眼収差測定出力データに対応するユーザフィードバックを生成することとを含んでいてもよい。
【0011】
本発明の適用範囲は、参照によりこのセクションに組み込まれる特許請求の範囲によって定義される。本発明の実施形態のより完全な理解は、1つ以上の実施形態の以下の詳細な説明を考慮することによって、当業者に与えられると共に、その追加の利点を実現するであろう。最初に簡単に説明する添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態による、眼収差測定システムのブロック図を示す。
図2A-B】図2A-Bは、本開示の一実施形態による、眼収差測定システムのための収差測定特性化ターゲットのブロック図を示す。
図3図3は、本開示の一実施形態による、眼収差測定システムのブロック図を示す。
図4図4は、本開示の一実施形態による、眼収差測定システムを特性化するプロセスのフロー図を示す。
図5図5は、本開示の一実施形態による、眼収差測定システムを動作させるプロセスのフロー図を示す。
図6図6は、本開示の一実施形態による、多層ニューラルネットワークの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態及びそれらの利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。同様の参照番号は、図のうちの1つ以上に示す同様の要素を識別するために用いられることを正しく認識されたい。
【0014】
本開示の様々な実施形態によれば、眼収差測定システム及び方法は、従来のシステムに特有のシステム及び測定誤差を低減して、患者の眼の収差の実質的にリアルタイムの測定及び監視を提供する。例えば、患者の眼が眼収差測定又は検査中に固視すると、それは自然にドリフトする。この固視ドリフトは、眼の先端、傾斜、捩れ回転、並びにx、y、及びz位置の変化を含む。これらの位置ずれは、眼の波面特性収差の計算に誤差を生じさせる。これらの位置ずれの平均が0に近い場合、検査画像ストリームの個々のフレームからの波面収差測定値を平均化することは、位置合わせ不良によって引き起こされる誤差の大部分を除去することに十分である可能性がある。検査シーケンスのための位置ずれの平均が0に近くないことが分かっている場合、又は位置ずれが0に近い平均を有することが確認できない場合、測定誤差又はノイズは、位置ずれが予め設定された閾値を超えない波面センサデータ(例えば、ゼルニケ多項式展開によって表される)を平均化すること、複合解析方法(本明細書中に説明する)を用いて波面センサデータにおける位置合わせ不良に基づく誤差を訂正すること、一連の波面測定値に適用されるクラスタ解析に基づいて、及び/又はアイトラッカーデータに基づいて(例えば、各波面測定値について)眼の固視状態を特定することのうちの1つ又は組み合わせを含む、本明細書中に説明する様々な戦略を用いて低減することができる。推定された位置ずれ及び/又は波面測定に関するそれらの影響は、眼位ずれ測定基準に換算され、対応するグラフィックを有する表示ビューとして眼収差測定システムのユーザに提供されるか、又は眼収差測定システムに検査画像シーケンスからの画像を無視させるか、又は検査を中止及び/若しくは再開させるために用いられてもよい。従って、実施形態は、検査画像シーケンス中の眼球運動による臨床及び術中眼収差測定検査における変動を低減すること等によって、従来のシステムよりも信頼性が高く且つ正確な収差測定を提供しながら、実質的にリアルタイムの監視フィードバックを提供する。
【0015】
本開示の更なる実施形態において、眼収差測定システム及び方法は、システム収差の特徴を正確に明らかにし、そうでなければ患者の眼に関連する位置ずれによって劣化するであろう波面センサデータを補正するプラットフォーム及び技法を提供する。例えば、システム収差によって引き起こされるか、又は眼球運動中に生成される可能性のある誤差を考慮するため、本明細書中に説明する眼収差測定システムは、正確な高次収差(HOA)解析のための較正の2つの固有の形態:システム特性化プロセス、及び複合解析訓練プロセスのうちの1つ以上を採用してもよい。
【0016】
システム特性化プロセスのために、眼収差測定システムを用いて、実質的に0位置ずれで実質的に単一種類の可変収差(例えば、焦点ぼけ収差)を眼収差測定システムに提示するよう構成されるモデルターゲットによって生成される一連の基準インターフェログラム(例えば、波面センサデータの形態)を測定してもよい。基準インターフェログラムは、特定の眼収差測定システムの任意のシステム収差を特性化及び/又は定量化するために用いられてもよく、これは、後続の解析の前にそれを除去すること等によって、その特定の眼収差測定システムの波面センサによって提供される波面センサデータを補正するために用いることができる。
【0017】
複合解析訓練プロセスのために、眼収差測定システムは、異なる種類及び変化する収差強度(例えば、6次までのゼルニケ展開係数について)の選択を眼収差測定システムに提示するよう構成されるモデルターゲットにより生成される波面測定値のセットを、モデルターゲットの収差要素の先端、傾斜、捩れ回転、並びにx、y、及びz位置における可変位置ずれと共に取り込むために用いられてもよい。波面測定値のセットは、本明細書中に説明するように、眼収差測定システムによって実行され、例えば、未補正波面センサデータ、又は未補正波面センサデータとアイトラッカーデータとの組み合わせに基づいて、実質的に正確な推定位置ずれ及び/又は補正波面センサデータを生成するよう構成される、複合解析エンジンを訓練及び/又は精緻化するために用いられてもよい。従って、実施形態は、システム収差及び軸外又は斜眼収差測定から結果として生じる誤差の低減に起因して、収差測定の精度及び正確度を向上させること等によって、従来のシステムよりも信頼性が高く且つ正確な収差測定を提供する。その上、実施形態は、正確に補償又は補正され、従って特定の検査に含まれてもよい(例えば、検査画像シーケンスの所定の画像内に存在するか及び/又は検出される)位置ずれの範囲を増大させることによって、よりロバストな(例えば、信頼性が高く且つ迅速な)収差測定システムを提供する。
【0018】
図1は、本開示の一実施形態による、眼収差測定システム100のブロック図を示している。図1に示す実施形態において、眼収差測定システム100は、光学ターゲット102(例えば、患者の眼)の実質的にリアルタイムの(例えば、30Hz更新)監視を提供する一方で、そうでなければ眼収差測定システム100によって提供される眼収差測定を劣化させるであろう、患者の移動、システム光学収差、熱変動、振動、及び/又は他の特性化誤差等の共通の特性化誤差を連続的に補償するよう実装されてもよい。
【0019】
図1に示すように、眼収差測定システム100は、波面センサ120及び/又は眼収差測定システム100の他の要素のための光学ターゲット102を照射するために用いられるプローブビーム111を生成するビーコン110を含んでいる。眼収差測定システム100はまた、アイトラッカー130のための光学ターゲット102を照射するために用いられる発光ダイオード(LED)アレイ132、及びOCTセンサ122のための光学ターゲット102を照射するようOCTプローブビーム124を生成するために用いられるOCTビーコン123等の種々の他のセンサ固有ビーコン及び/又は光源を含んでいてもよい。ビームスプリッタ112~116は、プローブビーム111を光学ターゲット102に提供し、光学ターゲット102によって供給される関連するセンサビーム113、115、117(例えば、プローブビーム111の一部、OCTプローブビーム124、及び光学ターゲット102によって反射されるLEDアレイ132によって生成される光)を生成するために用いられる。ビーコン110、OCTビーコン123、LEDアレイ132、及び眼収差測定システム100の各センサ要素は、コントローラ140によって(例えば、通信リンク141~144を介して)制御されてもよく、コントローラ140はまた、ビーコン110、OCTビーコン123、LEDアレイ132、及び眼収差測定システム100のセンサ要素と、示すような、ユーザインターフェース146、サーバ150、分散サーバ154、及び他のモジュール148(例えば、任意の通信リンク145、149、及び155を介してアクセスされる)を含む眼収差測定システム100の他の要素との間のインターフェースとしても機能してもよい。
【0020】
典型的な動作において、コントローラ140は、波面センサ120、任意のOCTセンサ122、及び任意のアイトラッカー130のうちの1つ以上を初期化し、ビーコン110、OCTビーコン123、及び/又はLEDアレイ132を制御して光学ターゲット102を照射し、眼収差測定システム100の種々のセンサ要素から眼収差測定出力データ(例えば、波面センサデータ、アイトラッカーデータ、OCTセンサデータ)を受信する。コントローラ140は、本明細書中に説明するように、眼収差測定出力データ自体を処理してもよく(例えば、位置ずれを検出若しくは補正し、及び/又は波面センサデータから収差測定パラメータを抽出するよう)、又は処理するために眼収差測定出力データをサーバ150及び/又は分散サーバシステム154に(例えば、ネットワーク152を介して)提供してもよい。コントローラ140及び/又はサーバ150は、本明細書中に説明するように、ユーザインターフェース146においてユーザ入力を受信するよう(例えば、眼収差測定システム100の動作を制御するよう)、並びに/又は、眼収差測定出力データの表示ビュー及び/若しくは眼収差測定出力データの特性等のユーザインターフェース146の表示を介するユーザへの表示のためのユーザフィードバックを生成するよう構成されてもよい。コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、本明細書中に説明するように、眼収差測定システム100のシステム収差を特性化し、光学ターゲット102に関連する位置ずれを検出し、並びに/或いは波面センサデータ及び/又は関連収差分類係数を補正するよう、例えば、複合解析エンジン(例えば、ニューラルネットワークベースの分類及び/又は回帰エンジン)の機械学習及び/又は訓練を含む、眼収差測定システム100の動作及び/又は特性化に関連するデータを格納、処理、及び/又はそうでなければ操作するよう構成されてもよい。様々な実施形態において、眼収差測定システム100は、本明細書中に説明するように、共通特性化誤差を連続的に補償しながら、光学ターゲット102の光学収差測定の実質的にリアルタイムの監視及びユーザフィードバック(例えば、30Hz又はより高い周波数更新)を提供するよう構成されてもよく、これは、眼収差測定システム100を臨床及び術中検査に特に好適にする。
【0021】
ビーコン110は、主に波面センサ120と共に用いるためのプローブビーム111を生成するようコントローラ140によって制御されてもよいレーザ源(例えば、実質的にコヒーレントな光を生成する)及び/又はスーパールミネッセントダイオード(例えば、比較的低いコヒーレンス光を生成する「SLD」)によって実装されてもよい。OCTビーコン123は、主にOCTセンサ122と共に用いるためのOCTプローブビーム124を生成するようコントローラ140によって制御されてもよいレーザ源及び/又はスーパールミネッセントダイオード(例えば、OCTセンサ122に特に適した比較的低いコヒーレンス光を生成する)によって実装されてもよい。様々な実施形態において、OCTビーコンは、示すように、OCTセンサ122と一体化されてもよく、例えば、ビーコン110と一体化されてもよく、及び/又はビーコン110と同様に、それ自体の独立型ビーコンとして実装されてもよい(例えば、ビームスプリッタの適切な配置を用いて)。LEDアレイ132は、主にアイトラッカー130と共に用いるためにターゲット102を照明するようコントローラ140によって制御されてもよいLEDの成形又はパターン化されたアレイによって実装されてもよい。ビームスプリッタ112~116は、プローブビーム111を光学ターゲット102に照準及び/又は通過させ、プローブビーム111の少なくとも一部及び/又は光学ターゲット102によって生成された光源ビーム(例えば、プローブビーム111又は124の反射部分及び/又はLEDアレイ132から放出された光)を眼収差測定システム100の種々のセンサ素子に向けて方向転換させてセンサビーム113~117(例えば、センサビーム)を形成するよう構成される多数の光学コンポーネント(例えば、ペリクルビームスプリッタ、鏡面)のいずれかによって実装されてもよい。光学ターゲット102は、例えば、患者の眼であってもよく、又は、例えば、本明細書中に説明するように、シングルパス(プローブビーム111がオフであり、光学ターゲット102がそれ自体の照明を生成する)又はダブルパス(例えば、プローブビーム111がオンである通常動作)モデルターゲットによって実装されてもよい。
【0022】
波面センサ120は、光学ターゲット102からのプローブビーム111の少なくとも反射によって生成されるセンサビーム117の光学波面等の光学波面の収差を測定するよう構成されるデバイス又はデバイスアーキテクチャの任意の1つ又は組み合わせとして実装されてもよく、波面センサ120は、関連する波面センサデータを提供するよう構成されてもよい。例えば、波面センサ120は、Shack-Hartmann波面センサ、位相シフトシュリーレン法波面センサ、波面曲率センサ、ピラミッド波面センサ、共通経路干渉計、多方向シャーリング干渉計、Ronchiテスタ、シャーリング干渉計、及び/又は眼科で用いるための構成することができる他の波面センサのうちの任意の1つ又は組み合わせとして実装されてもよい。波面センサ120によって提供される波面センサデータは、ゼルニケ係数、例えば、フーリエ、コサイン、若しくはハートレー変換、又は円柱若しくはデカルト座標におけるテイラー多項式、又はインターフェログラムを含む、種々の形式で表されてもよい。
【0023】
OCTセンサ122は、比較的低いコヒーレンス光及び低コヒーレンス干渉法を用いて、光学ターゲット102等の光学散乱媒体内からマイクロメートル及び/又はサブマイクロメートル解像度の2次元及び3次元画像を取り込むよう構成され、関連するOCTセンサデータを提供するよう構成されるデバイス又はデバイスアーキテクチャの任意の1つ又は組み合わせで実装されてもよい。例えば、OCTセンサ122は、眼科における使用のために構成されることが可能なOCTセンサアーキテクチャの任意の1つ又は組み合わせとして実装されてもよい。アイトラッカー130は、従来のアイトラッカー又は眼底カメラを含む、光学ターゲット102の配向及び/若しくは位置並びに/又は光学ターゲット102の特徴(例えば、網膜、瞳孔、虹彩、角膜、水晶体)を追跡するよう構成され、関連するアイトラッカーデータを提供するよう構成されるデバイス又はデバイスアーキテクチャの任意の1つ又は組み合わせで実装されてもよい。幾つかの実施形態において、アイトラッカー130は、ターゲット102に関連する1つ以上の種類のプルキニエ反射の画像を取り込むよう構成されてもよい。
【0024】
コントローラ140は、例えば、眼収差測定システム100及び/又は眼収差測定システム100の要素の様々な動作を制御するための制御ループ又はプロセスを実装するソフトウェア命令等の適切な命令を実行、格納、及び/又は受信するよう適合されてもよい、任意の適切な論理デバイス(例えば、処理デバイス、マイクロコントローラ、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、メモリストレージデバイス、メモリリーダ、又は他のデバイス若しくはデバイスの組み合わせ)として実装されてもよい。かかるソフトウェア命令はまた、センサ信号を処理する、センサ情報を特定する、ユーザフィードバックを提供する(例えば、ユーザインターフェース146を通して)、動作パラメータについてデバイスに問い合わせる、デバイスの動作パラメータを選択する、又は本明細書中に説明する様々な動作(例えば、眼収差測定システム100の種々のデバイスの論理デバイスによって行われる動作)のうちのいずれかを行う実行するための方法も実装してもよい。
【0025】
更に、機械読取可能媒体が、コントローラ140にロードし、それによる実行のための非一時的命令を格納するために提供されてもよい。これら及び他の実施形態において、コントローラ140は、必要に応じて、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、1つ以上のインターフェース、並びに/或いは眼収差測定システム100のデバイスとインターフェースするための種々のアナログ及び/又はデジタルコンポーネント等の他の構成要素と共に実装されてもよい。例えば、コントローラ140は、例えば、経時的に、センサ信号、センサ情報、複合解析パラメータ、較正パラメータ、較正点のセット、訓練データ、基準データ、及び/又は他の動作パラメータを格納し、かかる格納されたデータを眼収差測定システム100の他の要素に提供するよう適合されてもよい。幾つかの実施形態において、コントローラ140は、ユーザインターフェース146と一体化されていてもよい。
【0026】
ユーザインターフェース146は、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジョイスティック、ノブ、仮想現実ヘッドセット、並びに/又はユーザ入力を受け入れること及び/若しくはユーザにフィードバックを提供することが可能な任意の他のデバイスのうちの1つ以上として実装されてもよい。様々な実施形態において、ユーザインターフェース146は、コントローラ140等の眼収差測定システム100の他のデバイスにユーザ入力を提供するよう適合されてもよい。ユーザインターフェース146はまた、本明細書中に説明する種々のプロセス及び/又は方法のうちのいずれかを実装するソフトウェア命令等の命令を実行するよう適合されてもよい1つ以上の論理デバイスにより実装されてもよい。例えば、ユーザインターフェース146は、通信リンクを形成し、通信(例えば、センサデータ、制御信号、ユーザ入力、及び/又は他の情報)を送信及び/又は受信し、1つ以上の動作のためのパラメータを特定し、並びに/或いは本明細書で説明する種々の他のプロセス及び/又は方法を実行するよう適合されてもよい。
【0027】
幾つかの実施形態において、ユーザインターフェース146は、ユーザ入力を受け入れて、例えば、通信リンク(例えば、サーバ150及び/又は分散サーバシステム154への)を形成し、眼収差測定システム100の動作のための特定のパラメータを選択し、センサデータを処理する方法を選択し、連接モデルターゲットの位置及び/又は配向を調整し、並びに/或いはそうでなければ眼収差測定システム100及び眼収差測定システム100内部のデバイスの動作を容易にするよう適合されてもよい。ユーザインターフェース146がユーザ入力を受け入れると、ユーザ入力は、1つ以上の通信リンクを介してシステム100の他のデバイスに送信されてもよい。一実施形態において、ユーザインターフェース146は、かかるデータ及び/又はパラメータのグラフ又はマップを含む表示の一部として、様々なセンサデータ及び/又は他のパラメータの時系列を表示するよう適合されてもよい。幾つかの実施形態において、ユーザインターフェース146は、例えば、コントローラ140の制御ループ若しくはプロセスパラメータ、又は眼収差測定システム100の任意の他の要素の制御ループ若しくはプロセスパラメータを修正するユーザ入力を受け入れるよう適合されてもよい。
【0028】
他のモジュール148は、眼収差測定システム100の動作を容易にするよう構成されるセンサ及び/又はデバイスのうちの任意の1つ又は組み合わせを含んでいてもよい。例えば、他のモジュール148は、眼収差測定システム100の1つ以上の要素の動作に関連する1つ以上の温度を測定するよう構成される温度センサ、眼収差測定システム100の周りの周囲湿度を測定するよう構成される湿度センサ、眼収差測定システム100の動作に関連する振動振幅及び/又は存在を測定するよう構成される振動センサ、患者が供給する光学ターゲット102の姿勢、動き、又は他の特性を測定するよう構成される患者センサ、並びに/或いは眼収差測定システム100の動作を容易にし、且つ/又は眼収差測定システム100の動作に特有の共通システム誤差を補正することに役立つセンサデータを提供することができる他のセンサを含んでいてもよい。追加の実施形態において、他のモジュール148は、ターゲット102に関連する1つ以上の種類のプルキニエ反射の画像を取り込むよう構成されるLEDアレイ132とアイトラッカー130との組み合わせに類似した追加の照明及びカメラシステムを含んでいてもよい。
【0029】
サーバ150は、例えば、コントローラ140と同様に実装されてもよく、ニューラルネットワークを訓練するか又は他の種類の機械学習を実装するために、本明細書中に説明するように、例えば、比較的大きい訓練データのセットを含む、1人又は複数の患者に関連する比較的大きいデータセットを格納、処理、及び/又はそうでなければ操作するために用いられるパーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータの種々の要素を含んでいてもよい。分散サーバシステム154は、例えば、コントローラ140及び/又はサーバ150の複数の実施形態の分散された組み合わせとして実装されてもよく、ニューラルネットワークを訓練するか又は分散的に他の種類の機械学習を実装するために、本明細書中に説明するように、比較的大きい訓練データのセットを含む比較的大きいデータセットの格納、処理、及び/又は他の操作を容易にするよう構成されるネットワーキング及びストレージデバイス並びに機能を含んでいてもよい。ネットワーク152は、有線及び/又は無線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、セルラーネットワークのうちの1つ以上として、並びに/或いは他のネットワークプロトコル及び/又はトポロジーに従って実装されてもよい。
【0030】
図2A~Bは、本開示の一実施形態による、眼収差測定システム100のための収差測定特性化ターゲット202A~Bのブロック図を示す。図2Aに示す実施形態において、収差測定特性化ターゲット202Aは、眼収差測定システム100に関連する光学収差を特性化するよう構成されるシングルパスモデルターゲットとして実装されてもよい。図2Aに示すように、収差測定特性化ターゲット/シングルパスモデルターゲット202Aは、レンズシステム262を通して光源ビーム211を生成し、光学収差システム100の光軸に沿って配向される(例えば、ビームスプリッタ116を出るプローブビーム111と整合される)、レーザ又はSLD源260を含んでいる。様々な実施形態において、光源260は、例えば、制御可能な輻輳力を有する発散球面波面、制御可能な輻輳力を有する収束球面波面、又は0屈折力を有する平面波を生成するよう構成されてもよい。レンズシステム262は、マウント265を介して直線運動アクチュエータ264に結合され、これにより、レンズシステム262をその光軸に沿って移動させてシングルパスモデルターゲット202Aの焦点ぼけ収差を変化させて、複数の基準インターフェログラム及び対応する波面センサデータ(例えば、波面センサ120によって提供される)を生成することを可能にしている。かかる基準インターフェログラム及び/又は対応する波面センサデータは、例えば、図3の収差計モデル360として集約及び格納され、本明細書中に説明するように、眼収差測定システム100に関連するシステム収差を補正するために用いられてもよい。
【0031】
幾つかの実施形態において、レンズシステム262は、アメリカ国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)(NIST)トレース可能レンズとして実装されてもよく、直線運動アクチュエータ264は、眼収差測定システム100によって監視される患者によって一般的に経験される焦点ぼけ収差の範囲に従って、例えば、5.0Dのステップ、又はより高い分解能ステップで、-12~6ジオプトリー又は0~±5ジオプトリー等の既知及び予め定義された焦点ぼけ屈折力(例えば、焦点ぼけ収差)を有する光源ビーム211を生成するよう、光源260から離間される位置セットにレンズシステム262を位置決めするよう構成される、比較的高精度のアクチュエータステージとして実装されてもよい。結果として得られた収差計モデル360を用いて、ショットノイズ、熱変動、及び振動に起因するものを含む様々なシステム収差を補償してもよい。
【0032】
図2Bに示すように、収差測定特性化ターゲット/ダブルパスモデルターゲット202Bは、1つ以上のマウント273を介して6自由度(6DOF)運動アクチュエータ272に着脱自在に結合される交換可能な眼収差モデル270を含み、ここで6DOF運動アクチュエータ272は、交換可能な眼収差モデル270の位置及び/又は配向を変化させて、複数の選択された(例えば、既知の)位置ずれ(例えば、眼収差測定システム100の光軸に対する)及び対応する複数の波面センサデータのセットを生成するよう構成される。かかる位置ずれ及び対応する波面センサデータは、例えば、図3の眼モデル370として集約及び格納され、本明細書中に説明するように、複合解析エンジン又はコンパクト解析エンジンを訓練して、眼科ターゲット102に関連する位置ずれを検出し、対応する波面センサデータを補正するために用いられてもよい。
【0033】
幾つかの実施形態において、交換可能な眼収差モデル270は、それぞれが正確な量の予め定義された眼収差(例えば、6次までのゼルニケ展開についてミクロン単位で表される振幅等の正確且つ予め定義されたゼルニケ係数振幅によって表される)で形成される交換可能な眼収差モデルのセットの1つの要素を形成してもよい。一実施形態において、かかる交換可能な眼収差モデルは、透明なポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を用いてコンタクトレンズ旋盤上で切断してもよい。より一般的には、かかる交換可能な眼収差モデルは、眼収差測定システム100によって行われる測定値とのグラウンドトゥルース比較のために、NISTに対するトレーサビリティを有する第三者プロファイラによって測定されてもよい。様々な実施形態において、6DOF運動アクチュエータ272は、代表的な座標フレーム280A~Bによって示すように、x軸、y軸、及びz軸に沿った交換可能な眼収差モデル270のマイクロメートル分解能位置決め、並びにθy(先端)、θx(傾斜)、及びθz(捩れ)方向を中心とした交換可能な眼収差モデル270のマイクロラジアン配向を提供するよう構成されてもよい。
【0034】
一般的な動作において、セット(例えば、10個以上のセット)内の各交換可能な眼収差モデル270は、順に、6DOF運動アクチュエータ272に取り付けられてもよく、コントローラ140は、6DOF運動アクチュエータ272を制御して、交換可能な眼収差モデル270を、眼収差測定システム100によって監視される患者によって一般に経験される位置ずれの範囲内の(例えば、眼収差測定システム100の光軸に対する)相対位置及び/又は配向のセットに位置決め及び/又は配向するよう構成されてもよい。一実施形態において、位置ずれのセットは、約40,000個の異なる位置ずれを含む可能性がある。様々な実施形態において、位置ずれの組み合わせられたセット及び波面センサデータの対応するセット(例えば、波面センサ120によって提供される)は、本明細書中に説明するように、複合又はコンパクト解析エンジンを特定するために用いられてもよい、教師ありデータセット(例えば、眼モデル370)を形成してもよい。かかる解析エンジンは、アイトラッカー130によっても測定されてもよい光学ターゲット102の位置ずれを補償するために用いられてもよい。より一般的には、収差測定特性化ターゲット202A~Bによって実行される特性化の組み合わせは、光学ターゲット102の位置合わせ不良によって生じる波面センサデータにおけるシステム収差及び誤差の両方を補償又は補正するために用いられてもよい。
【0035】
図3は、本開示の一実施形態による、眼収差測定システム300のブロック図を示している。図3に示す実施形態において、眼収差測定システム300は、収差測定特性化ターゲット202A~Bを介して眼収差測定システム100によって生成される特性化データを用いて、複合解析エンジン350及び/又はコンパクト解析エンジン340を生成するよう構成されてもよく、これは、本明細書中に説明するように、共通の特性化誤差を連続的に補償しながら、光学ターゲット102の光学収差測定の実質的にリアルタイムの監視及びユーザフィードバック(例えば、30Hz以上の周波数更新)を提供するために、眼収差測定システム100の動作中に用いられてもよい。
【0036】
図3に示すように、眼収差測定システム300は、眼収差測定システム100に類似するが、眼収差測定システム100又は300の動作において用いられる種々のデータ構造及び実行可能プログラム命令に関する更なる詳細を有する。例えば、コントローラ140は、コンパクト解析エンジン340と共に実装されるように示され、サーバ150及び分散サーバシステム154はそれぞれ、収差計モデル360、眼モデル370、訓練データ392、教師あり学習エンジン390、複合解析/ニューラルネットワークエンジン350、及びコンパクト解析エンジン340のうちの1つ以上と共に実装されるか、又はそれらを格納するように示されている。破線は、概して、特定の要素の任意の格納及び/又は実装を示すが、様々な実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び分散サーバシステム154のそれぞれは、本明細書中に説明するように、識別された要素及び/又は追加要素のいずれかを実装又は格納してもよい。
【0037】
一般に、収差計モデル360は、眼収差測定システム100を特性化するようシングルパスモデルターゲット202Aの使用に関連するセンサデータを集約することによって生成されてもよく、眼モデル370は、光学ターゲット102に関連するパラメータ空間を特性化するようダブルパスモデルターゲット202Bの使用に関連するセンサデータを集約することによって生成されてもよく、訓練データ392は、図6の要素に関して本明細書中に説明するように、収差計モデル360及び/又は眼モデル370を組み込むことによって、並びに/或いは訓練データのシミュレートされたセットを生成及び集約することによって生成されてもよい。教師あり学習エンジン350は、静的学習エンジンとして、及び/又は訓練データ392を用いて複合解析エンジン350を生成するよう構成される手続き通りに生成される学習エンジン(例えば、遺伝的アルゴリズム更新可能学習エンジン)に従って実装されてもよい。複合解析エンジン350は、例えば、ディープニューラルネットワークとして実装されてもよく、及び/又は本明細書中に説明するように、分類及び/又は回帰のための高密度K最近傍(k-NN)データベースを含む、他の種々のニューラルネットワークアーキテクチャ又は複合解析方法体系を含む、他の複合解析方法体系を用いて実装されてもよい。コンパクト解析エンジン340は、例えば、コントローラ140による比較的低リソースではあるが、高性能実行により適した形態等のコンパクト形態の複合解析エンジン350として実装されてもよく、このため、ディープニューラルネットワーク及び/又は他の複合解析方法体系として実装されてもよい。特定の実施形態において、コンパクト解析エンジン340は、複合解析エンジン350よりも少ない隠れ層及び/又はニューロン/層を有するニューラルネットワークとして実装されてもよい。
【0038】
図4は、本開示の一実施形態による、眼収差測定システム100及び/又は300を特性化するプロセス400のフロー図を示している。プロセス400の任意のステップ、サブステップ、サブプロセス、又はブロックは、図4によって示す実施形態とは異なる順序又は構成で実行されてもよいことを正しく認識されたい。例えば、他の実施形態において、1つ以上のブロックがプロセスから除外されてもよいか、又はそれに追加されてもよい。更に、ブロック入力、ブロック出力、種々のセンサ信号、センサ情報、較正パラメータ、及び/又は他の動作パラメータは、対応するプロセスの後続部分に移動する前に、1つ以上のメモリに格納されてもよい。プロセス400は、図1図3を参照して説明するシステム、プロセス、制御ループ、及び画像を参照して説明されるが、プロセス400は、それらのシステム、プロセス、制御ループ、及び画像とは異なり、例えば、電子デバイス、センサ、アセンブリ、モバイル構造体、及び/又はモバイル構造体属性の異なる選択を含む他のシステムによって実行されてもよい。
【0039】
ブロック402において、眼収差測定システムに関連する収差計モデルが生成される。例えば、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、眼収差測定システム100によって監視される光学ターゲット102として配置されるシングルパスモデルターゲット202Aの光源260を制御し、レンズシステム262を通して光源ビーム211を生成して、波面センサ120及び/又は眼収差測定システム100の他の要素を照射するよう構成されてもよい。コントローラ140は、複数の選択される焦点ぼけ屈折力に従ってシングルパスモデルターゲット202Aの焦点ぼけ収差を変化させて、例えば、波面センサ120によって提供される波面センサデータの複数のセットを生成するよう構成されてもよい。コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、波面センサ120によって提供される波面センサデータの複数のセットに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システム100に関連するシステム収差を特定するよう構成されてもよい。システム収差及び/又は波面センサデータの関連セットは、収差計モデル360として(例えば、サーバ150及び/又は分散サーバシステム154上に)格納されてもよい。
【0040】
ブロック404において、眼収差測定システムに関連する眼モデルが生成される。例えば、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、眼収差測定システム100のビーコン110を制御してプローブビーム111を生成し、眼収差測定システム100によって監視される光学ターゲット102として配置されるダブルパスモデルターゲット202Bを照明するよう構成されてもよく、これは順に、波面センサ120、アイトラッカー130、OCTセンサ122、及び/又は眼収差測定システム100の他の要素のうちの1つ以上を照明する(例えば、プローブビーム111の反射を介して)。コントローラ140は、複数の選択される位置ずれに従って、眼収差測定システム100の光軸111に対して、ダブルパスモデルターゲット202Bの交換可能な眼収差モデル270の位置及び/又は配向を変化させて、例えば、波面センサ120によって提供される波面センサデータの対応する複数のセットを生成するよう構成されてもよい。複数の選択される位置ずれ及び/又は波面センサデータの対応する複数のセットは、眼モデル370として(例えば、サーバ150及び/又は分散サーバシステム154上に)格納されてもよい。同様の技法を用いて、アイトラッカー130からのアイトラッカーデータ及びOCTセンサ122からのOCTセンサデータを眼モデル370に組み込んでもよい。
【0041】
ブロック406において、複合解析エンジンが特定される。例えば、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、ブロック402において生成された収差計モデル360及び/又はブロック404において生成された眼モデル370に少なくとも部分的に基づいて、複合解析エンジン350を特定するよう構成されてもよい。幾つかの実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、それぞれが複数のニューロンを備える入力層620、出力層640、及び、入力層620と出力層640との間に結合される少なくとも1つの隠れ層630~639を含むディープニューラルネットワーク600を形成するよう構成されてもよい。コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、本明細書で説明するように、グラウンドトゥルース出力データとして眼モデル370の位置ずれ、及び、訓練入力データとして眼モデル370の波面センサデータの対応するセットを用いて、ニューラルネットワーク600の入力層、出力層、及び隠れ層の各ニューロンに関連する少なくとも訓練可能重み付け行列Wを、教師あり学習エンジン390を介して訓練するよう構成されてもよい。結果として得られたディープニューラルネットワークは、複合解析エンジン350として格納され、用いられてもよい。他の実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、本明細書中に説明するように、ニューラルネットワーク600を形成し、複合解析エンジン350を特定するために教師あり学習エンジン390を用いてニューラルネットワーク600の1つ以上の複合解析パラメータを訓練する前に、収差計モデル360内の眼収差測定システムに関連するシステム収差に少なくとも部分的に基づいて、眼モデル370の複数の選択される位置ずれに対応する波面センサデータの複数の補正されたセットを生成するよう構成されてもよい。
【0042】
ブロック408において、コンパクト解析エンジンが生成される。例えば、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、入力層620、出力層640、及び入力層620と出力層640との間に結合される単一の隠れ層630を備えるコンパクトニューラルネットワーク600を形成し、複合解析エンジン350の複数の隠れ層630~639に関連する1つ以上の複合解析パラメータに少なくとも部分的に基づいて、コンパクトニューラルネットワーク600の入力、出力、及び/又は隠れ層の各ニューロンに関連する重み付け行列Wを生成するよう構成されてもよい。生成時に、コンパクト解析エンジン340は、コントローラ140に格納されるか、又はそうでなければそれと一体化されるか若しくはそれによって実装されてもよく、これは、本明細書中に説明するように、コンパクト解析エンジン340を用いて、実質的にリアルタイム(例えば、30フレーム/秒)のユーザフィードバック(例えば、種々のグラフィックを含む表示ビュー)、並びに、眼位ずれ、眼収差、及び/又は光学ターゲット102の他の特性の信頼性が高く且つ正確な監視を生成することができる。
【0043】
図5は、本開示の一実施形態による、眼収差測定システム100及び/又は300を動作させるプロセス500のフロー図を示している。プロセス500の任意のステップ、サブステップ、サブプロセス、又はブロックは、図5によって示す実施形態とは異なる順序又は構成で実行されてもよいことを正しく認識されたい。例えば、他の実施形態において、1つ以上のブロックがプロセスから除外されてもよいか、又はそれに追加されてもよい。更に、ブロック入力、ブロック出力、種々のセンサ信号、センサ情報、較正パラメータ、及び/又は他の動作パラメータは、対応するプロセスの後続部分に移動する前に、1つ以上のメモリに格納されてもよい。プロセス500は、図1図3を参照して説明するシステム、プロセス、制御ループ、及び画像を参照して説明されるが、プロセス500は、それらのシステム、プロセス、制御ループ、及び画像とは異なり、例えば、電子デバイス、センサ、アセンブリ、モバイル構造体、及び/又はモバイル構造体属性の異なる選択を含む他のシステムによって実行されてもよい。
【0044】
ブロック502において、眼収差測定出力が受信される。例えば、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、波面センサ120によって提供される少なくとも波面センサデータを含む眼収差測定出力データを受信するよう構成されてもよい。より一般的には、眼収差測定出力データは、本明細書中に説明するように、波面センサ120によって提供される波面センサデータ、OCTセンサ122によって提供されるOCTセンサデータ、アイトラッカー130によって提供されるアイトラッカーデータ、及び/又は眼収差測定システム100によって提供される他の出力データのうちの任意の1つ以上を含んでいてもよい。
【0045】
ブロック504において、推定される眼位ずれが特定される。例えば、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、ブロック502において受信された眼収差測定出力データに少なくとも部分的に基づいて、眼収差測定システム100によって監視される光学ターゲット102(例えば、患者の眼)の相対位置及び/又は配向に対応する推定眼位ずれを特定するよう構成されてもよい。幾つかの実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、ブロック502において受信されたアイトラッカーセンサデータに少なくとも部分的に基づいて、推定眼位ずれを特定するよう構成されてもよい。他の実施形態において、ブロック502において受信される波面センサデータは、波面センサ測定値の時系列を含み、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、各波面センサ測定値について、波面センサ測定値に対応する波面推定眼位ずれを特定することによって、推定眼位ずれを特定するよう構成されてもよい。
【0046】
例えば、一実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、各波面センサ測定値について、光学ターゲット102の対応する推定相対位置及び/又は配向(例えば、光学ターゲット102の推定眼位)を特定することと、1つ以上のプリセット又は適応クラスタ閾値に少なくとも部分的に基づいて、光学ターゲットの推定相対位置及び/又は配向の1つ以上のクラスタを識別することと、1つ以上の識別されたクラスタのうちの最大の1つの幾何中心に少なくとも部分的に基づいて、固視位置を特定することと、各波面センサ測定値について、固視位置と、波面センサ測定値に対応する光学ターゲットの推定相対位置及び/又は方位との間の差(例えば、固視位置と、波面センサ測定値の時系列に対応する光学ターゲット102の推定眼位との間の差)に少なくとも部分的に基づいて、推定眼位ずれを特定することとによって、推定眼位ずれを特定するよう構成されてもよい。眼収差測定システム100がアイトラッカー130を含む関連する実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、波面センサ測定値毎に、波面センサ測定値に対応する固視閾値パラメータ及びアイトラッカーセンサデータに少なくとも部分的に基づいて、光学ターゲットの対応する固視状態を特定し、特定された対応する固視状態に少なくとも部分的に基づいて、光学ターゲット102の対応する推定相対位置及び/又は配向を特定する前に、波面センサ測定値のサブセットを除外することによって、推定眼位ずれを特定するよう構成されてもよい。例えば、かかる技法は、アイトラッカー130によって検出されるように、光学ターゲット102が固視状態ではないと検出される間に取得される波面センサ測定値を排除してもよい。
【0047】
ブロック506において、補正された眼収差測定出力データが特定される。例えば、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、ブロック504において特定された推定眼位ずれ及び/又はブロック502において受信された波面センサデータに少なくとも部分的に基づいて、補正された眼収差測定出力データを特定するよう構成されてもよい。波面センサデータが波面センサ測定値の時系列を含む幾つかの実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、各波面センサ測定値について、波面センサ測定値に関連する推定眼位ずれを特定し、予め設定された最大許容ずれ以下である関連する推定眼位ずれを有する各波面センサ測定値に少なくとも部分的に基づいて、補正された波面センサ測定値として平均波面センサ測定値を生成することによって、補正された眼収差測定出力データを特定するよう構成されてもよい。かかる予め設定された最大許容ずれは、眼収差測定システム100の製造業者及び/又はユーザによって選択又は設定されてもよい。
【0048】
他の実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、各波面センサ測定値について、波面センサ測定値に関連する推定眼位ずれを特定し、予め設定された最大許容ずれ以下である関連する推定眼位ずれを有する各波面センサ測定値について、波面センサ測定値及び/又は関連する推定眼位ずれに少なくとも部分的に基づいて補正された波面センサ測定値を特定し、補正された波面センサ測定値に少なくとも部分的に基づいて平均波面センサ測定値を生成することによって、補正された眼収差測定出力データを特定するよう構成されてもよい。例えば、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、本明細書中に説明するように、眼収差測定システム100の複合解析エンジン350又はコンパクト解析エンジン340を各波面センサ測定値に適用して、対応する波面推定眼位ずれ及び/又は補正された波面センサ測定値を生成することによって、補正された波面センサ測定値を特定するよう構成されてもよい。
【0049】
ブロック508において、ユーザフィードバックが生成される。例えば、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、ブロック504において特定された推定眼位ずれに少なくとも部分的に基づいて、ブロック502において受信された眼収差測定出力データに対応するユーザフィードバックを生成するよう構成されてもよい。幾つかの実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、推定された眼位ずれに少なくとも部分的に基づいて眼位ずれ測定基準を特定し、眼収差測定システム100のユーザインターフェース146を介して眼位ずれ測定基準を報告することによって、ユーザフィードバックを生成するよう構成されてもよい。他の実施形態において、コントローラ140、サーバ150、及び/又は分散サーバシステム154は、ブロック504において特定された推定眼位ずれ及び/又はブロック506において特定された補正された眼収差測定出力データに少なくとも部分的に基づいて、ユーザフィードバックを生成するよう構成されてもよい。様々な実施形態において、かかるユーザフィードバックは、本明細書中に説明するように、ブロック504において特定された推定眼位ずれに少なくとも部分的に基づく眼位ずれ測定基準の実質的リアルタイム表示ビュー、ブロック504において特定された補正された眼収差測定出力データに少なくとも部分的に基づく眼収差マップの実質的リアルタイム表示ビュー、及び/又は、推定された眼位ずれのうちの少なくとも1つが予め設定された最大許容ずれより大きいことを示す可聴及び/又は視覚警報を含んでいてもよい。
【0050】
本開示の実施形態は、従って、本明細書中に説明するように、実質的にリアルタイム(例えば、30フレーム/秒)のユーザフィードバック(例えば、種々のグラフィックを含む表示ビュー)、並びに、眼位ずれ、眼収差、及び/又は光学ターゲット102の他の特性の信頼性が高く且つ正確な監視を提供することができる。かかる実施形態は、種々の種類の臨床及び術中眼検査を支援し、改善された手術結果を提供することに役立つために用いられてもよい。
【0051】
図6は、本開示の一実施形態による、多層又は「ディープ」ニューラルネットワーク(DNN)600の図を示している。幾つかの実施形態において、ニューラルネットワーク600は、システム100及び/又は300に関して説明する1つ以上のモデル及び/又は解析エンジンのそれぞれを実装するために用いられるニューラルネットワークを代表していてもよい。ニューラルネットワーク600は、入力層620を使用して入力データ610を処理する。様々な実施形態において、入力データ610は、本明細書中に説明するように、1つ以上のモデル及び/又は解析モデルを生成及び/又は訓練するよう、1つ以上のモデル及び/又は解析エンジンに提供される収差測定出力データ及び/又は訓練データに対応していてもよい。幾つかの実施形態において、入力層620は、ニューラルネットワーク600の残りの部分による処理のために入力データ610をスケーリング、バイアス、フィルタリング、範囲制限、及び/又はそうでなければ調整することによって入力データ610を調整するために用いられる複数のニューロン又はノードを含んでいてもよい。他の実施形態において、入力層620は、入力データ610をエコーするよう構成されてもよい(例えば、入力データ610が既に適切にスケーリングされ、バイアスされ、フィルタリングされ、範囲制限され、及び/又はそうでなければ調整されている場合)。入力層620における各ニューロンは、隠れ層630のニューロン/ノードに提供される出力を生成する。隠れ層630には、入力層620からの出力を処理する複数のニューロン/ノードが含まれる。幾つかの実施例において、隠れ層630のニューロンのそれぞれが出力を生成し、次いでその出力が、隠れ層639で終わる1つ以上の追加の隠れ層を介して伝播される。隠れ層639は、以前の隠れ層からの出力を処理する複数のニューロン/ノードを含む。図6に示す実施形態において、隠れ層639の出力は、出力層640に供給される。様々な実施形態において、出力層640は、出力データ650を形成するよう隠れ層639からの出力をスケーリング、バイアス、フィルタリング、範囲制限、及び/又はそうでなければ調整することによって、隠れ層639からの出力を調整するために用いられてもよい1つ以上のニューロン/ノードを含む。代替的な実施形態において、ニューラルネットワーク600は、1つの隠れ層のみを有するニューラルネットワーク、再帰層を有するニューラルネットワーク、及び/又は、分類及び/又は回帰のためのK最近傍(k-NN)データベースを含む他の様々なニューラルネットワークアーキテクチャ若しくは複合解析方法体系を含む、異なるニューラルネットワーク又は他の処理アーキテクチャに従って実装されてもよい。
【0052】
幾つかの実施例において、入力層620、隠れ層631~639、及び/又は出力層640のそれぞれは、1つ以上のニューロンを含む。一実施例において、入力層620、隠れ層631~639、及び/又は出力層640のそれぞれは、同じ数又は異なる数のニューロンを含んでいてもよい。特定の実施形態において、ニューラルネットワーク600は、各層において最大2~4000個のニューロンを有する合計約6つの層を含んでいてもよい。様々な実施例において、かかる構成ニューロンのそれぞれは、式a=f(Wx+b)に従うような、その入力xの組み合わせ(例えば、訓練可能な重み付け行列/ベクトルWを用いて生成される加重和)を受信し、任意の訓練可能なバイアスbを受信し、活性化関数fを適用して出力aを生成するよう構成されてもよい。活性化関数fは、例えば、修正線形単位活性化関数として、又は、上限及び/若しくは下限を有する活性化関数、対数シグモイド関数、双曲線正接関数のうちの任意の1つ若しくは組み合わせとして、並びに/又は他の活性化関数形式に従って実装されてもよい。かかるネットワークにおける各ニューロンは、本明細書で説明するように、同じ又は異なる活性化関数及び/又は異なる種類の活性化関数に従って動作するよう構成されてもよい。回帰アプリケーションに対応する特定の実施形態において、出力層640のニューロンのみは、かかる線形活性化関数を適用してそれらそれぞれの出力を生成するよう構成されてもよい。
【0053】
様々な実施形態において、ニューラルネットワーク600は、訓練データ(例えば、訓練データ392)の選択されたセットをニューラルネットワーク600に系統的に提供し、ここで訓練データの各セットは、1セットの入力訓練データと、対応するセットのグラウンドトゥルース(例えば、期待される)出力データ(例えば、収差計モデル360及び眼モデル370の組み合わせ)とを含み、次いで、結果として生じる出力データ650(例えば、ニューラルネットワーク600によって提供される訓練出力データ)とグラウンドトゥルース出力データ(例えば、「訓練誤差」)との間の差を特定するか、及び/又はそうでなければ比較すること等によって、教師あり学習(例えば、教師あり学習エンジン390として実装される)を用いて訓練されてもよい。幾つかの実施形態において、訓練誤差は、ニューラルネットワーク600の様々な訓練可能重み、バイアス、及び/又は他の複合解析パラメータを調整するようニューラルネットワーク600にフィードバックされてもよい。幾つかの実施形態において、かかる訓練誤差は、例えば確率的勾配降下法及び/又は他のバックプロパゲーション法を含む、1つ又は種々のバックプロパゲーション法を用いて、ニューラルネットワーク600へのフィードバックとして提供されてもよい。1つ以上の実施例において、訓練データの選択されたセットの比較的大きなグループが、全体的な損失関数(例えば、訓練データの各セットの差に基づく平均二乗誤差)が予め設定された最大許容損失閾値に又はそれ未満に収束するまで、ニューラルネットワーク600に複数回提示されてもよい。
【0054】
追加の実施形態において、教師あり学習エンジン390は、本明細書で説明するように、ニューラルネットワーク600の複合解析パラメータを訓練する(例えば、複合解析エンジン350を生成する)ことを助けるよう、半教師あり学習、弱教師あり学習、能動学習、構造化予測、及び/又は他の一般化された機械学習法を含むよう構成されてもよい。例えば、教師あり学習エンジン390は、訓練データのシミュレートされたセットを生成するよう構成されてもよく、各セットは、シミュレートされた入力訓練データとシミュレートされたグラウンドトゥルース出力データの対応するセットとを含み、訓練データのシミュレートされたセットに少なくとも部分的に基づいて教師あり学習を実行する。入力訓練データ及びグラウンドトゥルースデータのシミュレートされたセットのそれぞれは、(例えば、シミュレートされたダブルパスモデルターゲットに関連する収差パラメータ及び/又は位置ずれを調整するよう)入力訓練データを修正し、対応するシミュレートされたグラウンドトゥルースデータを生成するようシミュレートされていないグラウンドトゥルースデータを補間することによって生成されてもよい。様々な実施形態において、教師あり学習エンジン390は、それぞれが眼モデル370に対応する訓練データのセットから少なくとも僅かに逸脱するシミュレートされた訓練データの1つ又は何百万ものセットをシミュレートし、かかるシミュレートされた訓練データの1つ又は何百万ものセットに従ってニューラルネットワーク600を訓練するよう構成されてもよい。
【0055】
適用可能な場合、本開示によって提供される様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを用いて実装されてもよい。また、適用可能な場合、本明細書中に説明する様々なハードウェアコンポーネント及び/又はソフトウェアコンポーネントは、本開示の精神から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はその両方を備える複合コンポーネントに組み合わせることができる。適用可能な場合、本明細書中に説明する様々なハードウェアコンポーネント及び/又はソフトウェアコンポーネントは、本開示の精神から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、又はその両方を備えるサブコンポーネントに分離することができる。更に、適用可能な場合、ソフトウェアコンポーネントはハードウェアコンポーネントとして実装することができ、逆もまた同様であることが考えられる。
【0056】
非一時的命令、プログラムコード、及び/又はデータ等の本開示によるソフトウェアは、1つ以上の非一時的機械読取可能媒体上に格納することができる。また、本明細書中で特定されるソフトウェアは、ネットワーク化された及び/又は他の1つ以上の汎用又は専用コンピュータ及び/又はコンピュータシステムを用いて実装することができるも考えられる。適用可能な場合、本明細書中に説明する様々なステップの順序は、変更され、複合ステップに組み合わされ、及び/又はサブステップに分離されて、本明細書中に説明する特徴を提供することができる。
【0057】
上で説明した実施形態は、本発明を例示するが、限定するものではない。また、多くの修正及び変形が本発明の原理に従って可能であることは言うまでもない。従って、本発明の適用範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。
図1
図2A-B】
図3
図4
図5
図6