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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】射出成形コンポーネント
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20241122BHJP
   B29C 45/37 20060101ALI20241122BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20241122BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20241122BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20241122BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20241122BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/37
F21V5/00 510
F21V5/00 530
G02B3/00
G02B3/00 A
H01L33/00 L
H01L33/58
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022525666
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2020080675
(87)【国際公開番号】W WO2021089479
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-06-29
【審判番号】
【審判請求日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/115389
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】20157225.2
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】キン ヘクシ
(72)【発明者】
【氏名】リウ ユーハン
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】橿本 英吾
【審判官】宮澤 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-103811(JP,A)
【文献】特開2005-138334(JP,A)
【文献】特開2000-263616(JP,A)
【文献】特開平3-114814(JP,A)
【文献】特開平2-67118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
B29D 11/00-11/02
G02B 3/00- 3/14
G01N 3/00- 3/62
G01N 33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形コンポーネントであって、
機能部分、及び
品質管理部分、
を含み、
前記品質管理部分は、射出成形収縮に応じて可視的に歪むように構成される少なくとも1つの突出部を含み、これにより、前記少なくとも1つの突出部の収縮がない場合、アクションが取られる必要はない、非破壊外観品質管理検査を可能にし、
前記少なくとも1つの突出部は、射出成形収縮に応じて変形の受けやすさが異なる突出部のセットを含む、射出成形コンポーネント。
【請求項2】
前記機能部分は、前記少なくとも1つの突出部に比べて急激ではない特徴を有する滑らかな面を有する、請求項1に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項3】
前記機能部分は、レンズ要素を含む、請求項2に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項4】
前記機能部分は、レンズ要素のアレイを含む、請求項3に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項5】
前記突出部のセットは、各々異なるサイズの突出部を含む、請求項1に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項6】
前記突出部のセットは、同じ高さであるが、異なる厚さの少なくとも3つの異なる突出部を含む、請求項1又は5に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項7】
前記異なる厚さは、各々0.1mm~1.0mmの範囲にある、請求項6に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項8】
前記突出部のセットは、同じ厚さであるが、異なる高さの少なくとも2つの異なる突出部を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項9】
前記異なる高さは、各々1mm~5mmの範囲にある、請求項8に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項10】
前記少なくとも1つの突出部は、柱高方向に垂直な面において、円形又は矩形断面を有する柱状部を含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項11】
当該射出成形コンポーネントは、100cm以上の面積となる長さ及び幅を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項12】
当該射出成形コンポーネントは、LED光をビーム整形するためのレンズプレートを含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の射出成形コンポーネント。
【請求項13】
ハウジングと、前記ハウジングに設けられるLED光源構成と、前記LED光源構成の光出力のビーム成形のためのレンズプレートとを含む照明器具であって、前記レンズプレートは、請求項12に記載の射出成形コンポーネントを含む、照明器具。
【請求項14】
コンポーネントを形成するために射出モールドを用いることを含む、射出成形方法であって、前記コンポーネントは、
機能部分、及び
品質管理部分、
を有し、
前記品質管理部分は、射出成形収縮に応じて可視的に歪むように構成される少なくとも1つの突出部を含み、これにより、前記少なくとも1つの突出部の収縮がない場合、アクションが取られる必要はない、非破壊外観品質管理検査を可能にし、前記少なくとも1つの突出部は、射出成形収縮に応じて変形の受けやすさが異なる突出部のセットを含む、射出成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に射出成形コンポーネント(injection molded component)に関する。とりわけ、本発明は、成形プロセス中に発生する収縮に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形中の収縮は、よく知られた問題である。実際、収縮は考慮され、最終的に生産される製品が、射出成形プロセスの冷却及び固化フェーズ中の収縮にもかかわらず所望の形態を有するようにモールドを設計することが知られている。
【0003】
一部のコンポーネントは、とりわけ良好な品質及び形状の再現性を必要とし、これは、サイズが大きくなるとますます困難になる。
【0004】
製品の形状が製品の性能に極めて重要である例は、射出成形レンズ又はレンズアレイである。このようなレンズ又はレンズアレイは、例えば、平面の均一な照明を提供するためにLEDモジュールに適用される。無論、他の多くのビーム整形オプティクスが、射出成形コンポーネントとして設計されてもよい。
【0005】
平面照明を実現するための一つのアプローチは、(ワイドビーム強度分布とも呼ばれる)いわゆるバットウィング強度分布(batwing intensity distribution)を用いることである。バットウィングという用語は、極座標プロット(polar plot)における強度分布のピークが高い形状(highly peaked shape)を指す。
【0006】
バットウィング配光は、例えば140°のビーム角にまで、平面の均一な照明を可能にする。このような配光、したがってレンズデザインは、例えば、街路照明及びウォールウォッシャアプリケーションに用いられる。これらの例では、バットウィング分布は遠距離場(far field)の平面を対象としている。照明される表面は、光モジュール寸法よりもはるかに大きな距離に位置付けられる。
【0007】
図1は、バットウィングの強度分布の一例を極座標プロットとして示している。この例の2つのウイング10、12は、法線の両側60度にピーク強度を有し、目的は、120°の全範囲で均一な表面照明を提供することである。強度は、単位角度あたりに照らされる表面積が急峻に増加するため、グレージング角でより高くなる。
【0008】
リング14は、垂直方向の光強度である。回転対称光分布の場合、これは同様にバットウィング分布となる。線状光源の場合は、これは、例えば、円(すなわち、ランバート(Lambertian))分布である。
【0009】
LEDから所望のバットウィングプロファイルを作成するためには、ランバート点光源(Lambertian point source)に適用されるよく知られたコサイン4乗則(cosine fourth law)(照度がコサインの4乗の関数に従って低下する)を補償する光学コンポーネントが必要とされる。斯くして、光学設計は、LED出力強度分布からランバート強度分布をバットウィング分布に変更する必要がある。
【0010】
ランバート強度分布をバットウィング強度分布に変えることができる2つの既知のレンズデザインがある。
【0011】
第1の例は、いわゆるピーナッツデザインであり、第2の例は、いわゆるバブルオプティックである。
【0012】
例として、ピーナッツレンズデザイン20が、(上から及び横から)図2に示され、このようなレンズのアレイが、図3に示されている。
【0013】
図3の各レンズ20は、LEDアレイのLED30の上に設けられ、道路照明照明器具等、照明器具を形成する。ランバート分布をバットウィングに変化させる面は、ピーナッツレンズの場合は外側レンズ面であり、バブルオプティックの場合は内側面である。
【0014】
このタイプのレンズ及びレンズアレイに射出成形を用いることが知られている。しかしながら、図3に示されるように、大きなレンズプレートを作る場合、光学面における射出成形収縮(injection molding shrinkage)のリスクがある。これは、配光精度に影響を及ぼすことになる。
【0015】
射出成形プロセスを監視する既知のプロシージャは、配光が劣化していることが判明し、したがって光学面の精度が疑われる場合、製品のレーザスキャン又は3Dスキャンが行われることである。無論、これには高いコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
それゆえ、とりわけ、欠陥又は問題ができるだけ早く特定されることができ、規格外製品の生産及び販売が防止されることができるように、射出成形プロセスの精度を監視することができる低コストソリューションの必要性がある。しかしながら、大量生産環境では、多数の製造された製品に対して詳細な光学分析試験を行うことは現実的ではないため、光計測(photometric measurement)の回数は最小限に抑えられるべきである。
【0017】
US20170291343A1は、キャビティ毎の異常を検出することが可能な成形システムを開示している。
【0018】
DE102017003001A1は、物理量取得部が取得した物理量と、画像記憶条件設定部により設定された条件とに基づいて、物理量に対応する成形品の画像を記憶するか否かを決定し、決定結果に従って画像を記憶する画像記憶決定部を含む射出成形システムを開示している。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0020】
本発明の一態様による例によれば、射出成形コンポーネント(injection molded component)であって、
機能部分(functional portion)、及び
品質管理部分(quality control portion)、
を含み、
品質管理部分は、射出成形収縮(injection molding shrinkage)に応じて可視的に(visibly)歪むように構成される少なくとも1つの突出部(protrusion)を含み、これにより視覚品質管理検査(visual quality control inspection)を可能にする、射出成形コンポーネントが提供される。
【0021】
視覚検査のための品質管理部分を設けることにより、多数のコンポーネント(ましては各コンポーネント)が、低コストで検査されることができる。射出成形プロセスの品質におけるいかなる変化も、少なくとも1つの突出部の視覚検査によって監視されることができる。突出部は、例えば、収縮の程度に依存する高さを有してもよい。斯くして、高さの減少が見られ次第、問題のフラグが立てられることができる。突出部は、例えば、コンポーネントの機能部分のどの突出部よりも小さい寸法(すなわち、幅)を有する。
【0022】
高さ方向と直交する、コンポーネントの一般面に平行な方向における、この最小寸法は、本明細書では「厚さ」と呼ばれる。斯くして、品質管理部分における突出部は、(突出部に対応する高さを有する)機能部分における特徴の厚さよりも小さい厚さを有する。
【0023】
品質管理部分は、コンポーネントの主機能目的に干渉するものではなく、コンポーネントが主機能目的を果たすために必要とされるものではない。斯くして、品質管理部分は、視覚品質検査を実施することのみを目的として、ダミー部分として付加される。
【0024】
機能部分は、滑らかな面(smooth surface)を有してもよい。斯くして、射出成形プロセスにおける変化は、機能部分の視覚検査に基づいて観察することは困難である。機能部分は、突出部が、対応する厚さを有する機能部分におけるどの特徴よりも大きな高さを有するという点で、滑らか(smooth)である。
【0025】
機能部分は、例えば、レンズ要素を含む。レンズ機能は、屈折率境界(refractive index boundary)として機能する、表面の品質へのクリティカルな依存性(critical dependency)を有する。斯くして、射出成形問題の早期発見は、規格外製品が製造されることを防ぐために重要である。
【0026】
機能部分は、例えば、レンズ要素のアレイを含む。これらは、対応するLEDのアレイの上に設けるためのものであってもよく、1つのレンズは、対応するLED又はLEDのサブアレイに対するビーム整形を提供してもよい。
【0027】
コンポーネントは、射出成形収縮に応じて変形の受けやすさが異なる(different susceptibility to deformation)突出部のセットを含んでもよい。
【0028】
このようにして、突出部のセットの視覚検査、及びどの突出部が可視的な欠陥(visible flaw)を有するかの識別に基づいて、射出成形プロセスの異なる性能レベルが識別されることができる。
【0029】
突出部のセットは、例えば、各々異なるサイズの突出部を含む。
【0030】
異なるサイズの突出部は、収縮をより受けやすい又はより受けにくい(more or less susceptible to shrinkage)であろう。これらは、例えば、一列に配置されてもよい。異なるサイズが各々1つずつの突出部のセットがあってもよいが、異なる突出部サイズが各々複数例あってもよい。また、コンポーネントの領域にわたる射出成形品質の均一性が検査され得るように、コンポーネントの異なる場所に複数の突出部のセットがあってもよい。
【0031】
突出部のセットは、例えば、同じ高さであるが、異なる厚さの少なくとも3つの異なる突出部、例えば、同じ高さであるが、異なる厚さの5つの異なる突出部デザインを含む。
【0032】
この場合、異なる突出部における可視的な収縮(visible shrinkage)は、異なる深刻度レベル(levels of severity)を示してもよい。例えば、異なる収縮レベルは、最終製品に対して異なる影響を与えることになり、測光テスト(photometric test)を行う等、異なるアクションが適切であり得る。
【0033】
異なる厚さは、例えば、各々0.1mm~1.0mmの範囲にある。例えば、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm及び1.0mmの厚さのセットがあってもよい。
【0034】
突出部のセットは、同じ厚さであるが、異なる高さの少なくとも2つの異なる突出部を含んでもよい。異なる高さは、各々1mm~5mmの範囲にあってもよい。
【0035】
例えば、2mmの高さの突出部(又は各々2mmの高さを有する、異なる幅の突出部のセット)及び4mmの高さの突出部(又は各々4mmの高さを有する、異なる幅の突出部のセット)があってもよい。
【0036】
少なくとも1つの突出部は、例えば、柱高方向(column height direction)に垂直な面において、円形又は矩形(例えば、正方形)断面を有する柱状部(column)を含んでもよい。
【0037】
コンポーネント全体は、例えば、100cm以上の面積を有する。コンポーネントのサイズが大きくなると、コンポーネントは、射出成形中に収縮問題が発生しやすくなる。
【0038】
コンポーネントは、例えば、LED光をビーム整形するためのレンズプレートを含む。例えば、レンズプレートは、長さ30cm、幅15cmのサイズを有し、90個の個別ピーナッツレンズを有してもよい。
【0039】
本発明はまた、ハウジングと、ハウジングに設けられるLED光源構成と、LED光源構成の光出力のビーム成形のためのレンズプレートとを含む照明器具であって、レンズプレートは、上述したコンポーネントを含む、照明器具を提供する。
【0040】
本発明はまた、コンポーネントを形成するために射出モールド(injection mold)を用いることを含む、射出成形方法であって、コンポーネントは、
機能部分、及び
品質管理部分、
を有し、
品質管理部分は、射出成形収縮に応じて可視的に歪むように構成される少なくとも1つの突出部を含み、これにより視覚品質管理検査を可能にする、射出成形方法を提供する。
【0041】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明のより良好な理解のために、及び、どのようにして本発明が実施され得るかをより明らかに示すために、例としてのみ、添付の図面が参照される。
図1】バットウィングの強度分布の一例を極座標プロットとして示す。
図2】ピーナッツレンズデザインを示す。
図3】LEDアレイの上のピーナッツレンズのアレイを示す。
図4】本発明の一例によるコンポーネントを平面図で示す。
図5図4のコンポーネントを断面図で示す。
図6】突出部が射出モールド収縮に応じてどのように変化し得るかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明が、図を参照して述べられる。
【0044】
詳細な説明及び特定の例示は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示すものであるが、説明のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び有利な点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されることになるであろう。図面は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。同じ参照番号は、図面全体にわたって同じ又は類似の部分を示すために用いられることも理解されたい。
【0045】
本発明は、機能部分及び品質管理部分を有する、射出成形コンポーネントを提供する。品質管理部分は、射出成形収縮に応じて可視的に歪むように構成される少なくとも1つの突出部を含み、これにより視覚品質管理検査を可能にする。
【0046】
図4は、コンポーネントを平面図で示している。
【0047】
機能部分40は、コンポーネントの本体であり、所望の機能を果たすための三次元形状を有する。機能は光学的であってもよく、この目的のためにレンズ42のアレイが示されている。レンズは、射出成形プロセスにおける変化がレンズの視覚検査に基づいて観察することが困難であるように、概して滑らかな表面を有する。各レンズ42は、LEDのアレイの対応するLED(又はLEDのグループ)の上に設けられ、関連するLED又はLEDグループに対するビーム整形を提供する。
【0048】
機能部分40は、例えば、長さ30cm、幅15cmのレンズプレートを含み、90個の個別ピーナッツレンズを有する(図4の概略図には36個のみが示されている)。
【0049】
品質管理部分44は、コンポーネントの主要機能を損なわないエリア、すなわち、機能部分40から離れて位置付けられる。
【0050】
品質管理部分は、図4ではサイズが誇張されて示されている。例えば、コンポーネント全体が、照明器具の光出力窓を形成するために数十cmの寸法を有してもよいのに対し、品質管理部分は、10mm未満×10mm未満の寸法のエリアを占めてもよい。
【0051】
コンポーネント上の異なる場所に品質管理部分のセットがあってもよい。品質管理部分は、端部に位置する必要はない。代わりに、品質管理部分は、機能部分の特徴(この例ではレンズ)の間の空間が機能部分の役割を担っていない場合、機能部分の特徴と共に散在されてもよい。
【0052】
品質管理部分は、射出成形収縮に応じて可視的に歪むように構成される少なくとも1つの突出部46を含み、これにより視覚品質管理検査を可能にする。
【0053】
例は、5つの突出部のセット48を示している。セットの突出部は、射出成形収縮に応じて変形の受けやすさが異なる。これらはいずれも平面図で矩形であるが、異なる最小寸法(すなわち、短辺の長さ)を有する。これは、本明細書では厚さと呼ばれる寸法である。
【0054】
この厚さが、とりわけ重要である。長い方の寸法はそれほど重要ではない。実際、突出部は、正方形(又は任意の正多角形若しくは円等、縦横比が一致する他の形状)であってもよく、又はこの例で示されるように細長くてもよい。
【0055】
以下の表1は、セット48の5つの突出部のあり得る寸法の一例を示している。
【0056】
表1
【0057】
この例では、突出部は、図4にされるように(上から見た場合)矩形形状を有する。幅は徐々に狭くなっていくが、セットの突出部はすべて同じ高さを有する。
【0058】
例えば、異なる厚さは、一般的に、0.1mm~1.0mmの範囲にある。この例は5つの異なる突出部デザインを有するが、より少ない数(例えば、3又は4)であってもよく、又は6つ以上であってもよい。限界において、突出部は、1つだけであってもよい。
【0059】
重要なパラメータは、ここでは「厚さ」と呼ばれる、突出部の最小寸法である。円形の場合、これは直径である。長方形の場合、これは最短辺の長さであり、任意の他の形状の場合、対向する辺間の最短距離である。
【0060】
この厚さの寸法は、突出部が、可視的に歪むように収縮を受けやすく(the protrusion is susceptible to shrinkage such that it distorts visibly)、これにより視覚品質管理検査を可能にするように選択される。
【0061】
図5は、コンポーネントを断面図で示し、5つの異なる突出部46a~46eを示している(縮尺通りではない)。機能部分40は、突出部に比べて急激ではない特徴(less abrupt feature)を有するという点で滑らかである。レンズの曲面、及びこの曲面での光の屈折は、形状変化の視覚的識別を非常に困難にする。 突出部は、機能部分の非平滑部分を含む、機能部分のどの部分よりも、定義された収縮問題のより大きな視覚的外観(greater visual appearance)を有するように設計される。
【0062】
例えば、突出部は、機能部分のどの特徴よりも小さい厚さ対高さ比を有する垂直特徴を有する。上記突出部デザインは、5:15、4:15、3:15、2:15及び1:15の厚さ対高さ比を有する。とりわけ、突出部は、例えば、1mm等の閾値を超える高さを有する、対応する高さの機能部分のどの特徴よりも小さい厚さ対高さ比を有する垂直特徴を有する。斯くして、品質管理部分は、背が高く薄い突出部を有する。所与の厚さの突出部は、対応する厚さを有する機能部分におけるどの特徴よりも大きな高さを有するであろう。
【0063】
代替的に、又は追加的に、異なる高さの突出部があってもよい。
【0064】
例えば、表2は、5個ずつの2つのグループにおける、10個の突出部のセットを示している。各グループは、表1と同じ長さ及び幅寸法を有するが、高さ2mmの1グループ及び高さ4mmの1グループがある。
【0065】
表2
【0066】
異なる高さは、一般的に、1mm~5mmの範囲にあってもよい。
【0067】
視覚検査のための品質管理部分44を設けることにより、多数のコンポーネント(ましては各コンポーネント)が、低コストで検査されることができる。射出成形プロセスの品質におけるいかなる変化も、少なくとも1つの突出部の視覚検査によって監視されることができる。
【0068】
図6は、表1の突出部が射出モールド収縮(injection mold shrinkage)に応じてどのように変化し得るかを示している。
【0069】
図6Aは、収縮が全くないことを示している。生産された製品は完璧であり、アクションがとられる必要はない。
【0070】
図6Bは、非常にわずかな収縮を示している。これは、最も薄い突出部46eに影響を与え、高さの減少が視覚的に確認できる。これは製品に影響を与えないかもしれないが、さらなる問題について慎重に生産を監視するために使用されてもよい。
【0071】
図6Cは、わずかな収縮を示している。これは、最も薄い2つの突出部46d、46eに影響を与え、高さの減少が視覚的に確認できる。 これは製品の機能に影響を与える可能性があり、さらなる測光テストをトリガするために使用されてもよい。例えば、サプライヤ品質エンジニア(SQE:supplier quality engineer)に通知されてもよい。
【0072】
図6Dは、中程度の収縮を示している。これは、最も薄い3つの突出部46c、46d、46eに影響を与えている。最も薄いものは全く形成されていない。これは、製品の機能に影響を与えるため、生産ラインからすべての製品を検査し、さらなるテストを行う必要性をトリガしてもよい。
【0073】
図6Eは、激しい収縮を示し、図6Fは、非常に激しい収縮を示している。
【0074】
突出部は、収縮の程度に依存する高さを有することが分かる。斯くして、高さの減少が見られ次第、問題のフラグが立てられることができる。 突出部のセットの視覚検査、及びどの突出部が可視的な欠陥を有するかの識別に基づいて、射出成形プロセスの異なる性能レベルが識別されてもよい。適切な是正措置、並びに、さらなる品質管理手段及びアクションが取られることができる。
【0075】
本発明は、射出成形プロセスの品質を確保することが困難になる、例えば100cm以上の面積を有する、大面積コンポーネント、とりわけ、レンズプレート等、機能部分の形状が極めて重要であるコンポーネントにとりわけ関心がある。別の利点は、大きな製品はコストが高いことである。容易な検査方法は、不具合を早期に発見し、廃品となる不良品の数を減らすのに役立つことができる。
【0076】
しかしながら、本発明は、他の製品に適用されてもよく、一般的に、射出成形プロセスの品質管理に関心がある。
【0077】
本発明はまた、上述したコンポーネントを形成するために射出モールドを用いることを含む、射出成形方法を提供する。
【0078】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体等の、好適な媒体において記憶/頒布されてもよいが、インターネット、又は他の有線若しくは無線の電気通信システム等を介して、他の形態で頒布されてもよい。「に適合される」という用語が特許請求の範囲又は明細書において使用される場合、「に適合される」という用語は、「に構成される」という用語と同等であることが意図されていることに留意されたい。請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6