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特許7592084量子デバイスの中の共振器の周波数シフトを容易にするスイッチ・デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】量子デバイスの中の共振器の周波数シフトを容易にするスイッチ・デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/00 20230101AFI20241122BHJP
   B81B 7/02 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H10N60/00
B81B7/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022530929
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2020084815
(87)【国際公開番号】W WO2021115991
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】16/709,350
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】アディガ、ヴィヴェカナンダ
(72)【発明者】
【氏名】サンドバーグ、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ソルグン、フィラット
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジェリー
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-537841(JP,A)
【文献】特表2018-533253(JP,A)
【文献】国際公開第2019/077398(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/055467(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/00
B81B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
キュービットに結合された読出し共振器と、
前記読出し共振器を横切って形成されたスイッチ・デバイスであり、前記スイッチ・デバイスの位置に基づいて前記読出し共振器の周波数をシフトする、前記スイッチ・デバイスと
を含み、
前記読出し共振器の周波数は、前記スイッチ・デバイスが前記読出し共振器と物理的にほぼじかに接触した位置である閉位置と、前記スイッチ・デバイスが前記読出し共振器から離れた位置である開位置に基づいてシフトされる、デバイス。
【請求項2】
前記スイッチ・デバイスが、無線周波マイクロエレクトロメカニカル・システム・スイッチを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
閉位置で、前記スイッチ・デバイスが、前記読出し共振器の前記周波数または前記読出し共振器の共振条件のうちの少なくとも一方をシフトする、無線周波短絡または接地のうちの少なくとも一方を前記読出し共振器上で引き起こす、請求項1ないし2のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項4】
閉位置で、前記スイッチ・デバイスが、前記読出し共振器を、λ/2の第1の共振波長を有する第1の読出し共振器からλ/4の第2の共振波長を有する第2の読出し共振器に変換し、または前記読出し共振器の周波数を変化させる、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
閉位置で、前記スイッチ・デバイスが、前記読出し共振器の前記周波数をシフトして、前記キュービットを、前記デバイスの外部の1つまたは複数の構成要素から分離し、それによって、前記キュービットのコヒーレンスの向上、前記キュービットのデフェージングの低減または前記デバイスのパーセル損失の低減のうちの少なくとも1つを容易にする、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
デバイスであって、
複数のキュービットに結合されたバス共振器と、
前記バス共振器を横切って形成されたスイッチ・デバイスであり、前記スイッチ・デバイスの位置に基づいて前記バス共振器の周波数をシフトする、前記スイッチ・デバイスと
を含み、
前記バス共振器の周波数は、前記スイッチ・デバイスが前記バス共振器と物理的にほぼじかに接触した位置である閉位置と、前記スイッチ・デバイスが前記バス共振器から離れた位置である開位置に基づいてシフトされる、デバイス。
【請求項7】
前記スイッチ・デバイスが、無線周波マイクロエレクトロメカニカル・システム・スイッチを含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記スイッチ・デバイスが、前記バス共振器に沿った中間点において前記バス共振器を横切って形成された、請求項6ないし7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
閉位置で、前記スイッチ・デバイスが、前記バス共振器の前記周波数または前記バス共振器の共振条件のうちの少なくとも一方をシフトする、無線周波短絡または接地のうちの少なくとも一方を前記バス共振器上で引き起こす、請求項6ないし8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
閉位置で、前記スイッチ・デバイスが、前記バス共振器を、λ/2の共振波長を有する単一のバス共振器からλ/4の共振波長を有する2つのバス共振器に変換する、請求項6ないし9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
閉位置で、前記スイッチ・デバイスが、前記バス共振器の前記周波数をシフトして、前記複数のキュービットの第1のキュービットを前記複数のキュービットの第2のキュービットから分離し、それによって、前記第1のキュービットもしくは前記第2のキュービットのうちの少なくとも一方のキュービットのコヒーレンスの向上もしくはデフェージングの低減または前記デバイスのパーセル損失の低減のうちの少なくとも1つを容易にする、
請求項6ないし10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
方法であって、
スイッチ・デバイスを使用して、前記スイッチ・デバイスの位置に基づいて、キュービットに結合された読出し共振器の周波数をシフトすることを含み、前記スイッチ・デバイスが前記読出し共振器を横切って形成され、
前記読出し共振器の周波数は、前記スイッチ・デバイスが前記読出し共振器と物理的にほぼじかに接触した位置である閉位置と、前記スイッチ・デバイスが前記読出し共振器から離れた位置である開位置に基づいてシフトされる、
方法。
【請求項13】
前記スイッチ・デバイスを閉位置に移動させて、前記読出し共振器の前記周波数または前記読出し共振器の共振条件のうちの少なくとも一方をシフトする、無線周波短絡または接地のうちの少なくとも一方を前記読出し共振器上で引き起こすこと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記スイッチ・デバイスを閉位置に移動させて、前記読出し共振器を、λ/2の第1の共振波長を有する第1の読出し共振器からλ/4の第2の共振波長を有する第2の読出し共振器に変換すること
をさらに含む、請求項12ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記スイッチ・デバイスを閉位置に移動させて、前記キュービットを、前記キュービットを含む量子デバイスの外部の1つまたは複数の構成要素から分離すること
をさらに含む、請求項12ないし14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第2のスイッチ・デバイスを使用して、前記第2のスイッチ・デバイスの位置に基づいて、複数のキュービットに結合されたバス共振器の周波数をシフトすることをさらに含み、前記第2のスイッチ・デバイスが前記バス共振器を横切って形成されている、
請求項12ないし15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記形成が、
前記第2のスイッチ・デバイスを、前記バス共振器に沿った中間点において前記バス共振器を横切って形成すること
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のスイッチ・デバイスを閉位置に移動させて、前記バス共振器の前記周波数または前記バス共振器の共振条件のうちの少なくとも一方をシフトする、無線周波短絡または接地のうちの少なくとも一方を前記バス共振器上で引き起こすこと
をさらに含む、請求項16ないし17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のスイッチ・デバイスを閉位置に移動させて、前記バス共振器を、λ/2の共振波長を有する単一のバス共振器からλ/4の共振波長を有する2つのバス共振器に変換すること
をさらに含む、請求項16ないし18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のスイッチ・デバイスを閉位置に移動させて、前記複数のキュービットの第1
のキュービットを前記複数のキュービットの第2のキュービットから分離すること
をさらに含む、請求項16ないし19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題開示(subject disclosure)は、量子デバイスの中の共振器の周波数をシフトすることに関し、より詳細には、本主題開示は、量子デバイスの中の共振器の周波数をシフトするスイッチ・デバイスおよび該スイッチ・デバイスを形成する方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
以下に、本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的理解を提供する概要を示す。この概要が、鍵となる要素もしくは決定的に重要な要素を識別すること、または、この概要が、特定の実施形態の範囲もしくは特許請求の範囲を限定することは意図されていない。その唯一の目的は、後に示すより詳細な説明に対する前置きとして、着想を、簡略化された形で示すことにある。本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態では、量子デバイスの中の共振器の周波数をシフトするスイッチ・デバイスを容易にするデバイス、システム、方法、コンピュータ実施方法(computer-implemented method)、装置もしくはコンピュータ・プログラム製品、またはこれらの組合せが説明される。
【0003】
一実施形態によれば、デバイスは、キュービット(qubit)に結合された読出し共振器(readout resonator)を含むことができる。このデバイスはさらに、読出し共振器を横切って形成されたスイッチ・デバイスであり、スイッチ・デバイスの位置に基づいて読出し共振器の周波数をシフトする、スイッチ・デバイスを含むことができる。
【0004】
一実施形態によれば、デバイスは、複数のキュービットに結合されたバス共振器(bus resonator)を含むことができる。このデバイスはさらに、バス共振器を横切って形成されたスイッチ・デバイスであり、スイッチ・デバイスの位置に基づいてバス共振器の周波数をシフトする、スイッチ・デバイスを含むことができる。
【0005】
一実施形態によれば、方法は、スイッチ・デバイスを使用して、スイッチ・デバイスの位置に基づいて、キュービットに結合された読出し共振器の周波数をシフトすることを含むことができる。このスイッチ・デバイスは読出し共振器を横切って形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、スイッチ・デバイスを使用した量子デバイスの中の共振器の周波数シフトを容易にすることができる例示的で非限定的なシステムの上面図である。
図2A】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、スイッチ・デバイスを使用した量子デバイスの中の共振器の周波数シフトを容易にすることができる例示的で非限定的な量子デバイスの正射影図である。
図2B】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、スイッチ・デバイスを使用した量子デバイスの中の共振器の周波数シフトを容易にすることができる例示的で非限定的な量子デバイスの正射影図である。
図3A】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、その上に犠牲層が形成された誘電体基板を含む例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
図3B】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、その上に犠牲層が形成された誘電体基板を含む例示的で非限定的なデバイスの断面図である。
図4A】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、犠牲層の部分を除去した後の、図3Aおよび3Bの例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
図4B】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、犠牲層の部分を除去した後の、図3Aおよび3Bの例示的で非限定的なデバイスの断面図である。
図5A】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、誘電体基板の部分を除去した後の、図4Aおよび4Bの例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
図5B】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、誘電体基板の部分を除去した後の、図4Aおよび4Bの例示的で非限定的なデバイスの断面図である。
図6A】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導層を形成した後の、図5Aおよび5Bの例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
図6B】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導層を形成した後の、図5Aおよび5Bの例示的で非限定的なデバイスの断面図である。
図7】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導層の部分および犠牲層の残りの部分を除去した後の、図6Aおよび6Bの例示的で非限定的なデバイスの例示的で非限定的な代替実施形態の上面図である。
図8】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、誘電体層を形成した後の、図7の例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
図9】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、第2の犠牲層を形成した後の、図8の例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
図10】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、金属層を堆積させてスイッチ・デバイスを形成した後の、図9の例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
図11】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、第2の犠牲層を除去した後の、図10の例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
図12】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、量子デバイスの中の共振器の周波数をシフトするスイッチ・デバイスの実施を容易にすることができる例示的で非限定的な方法の流れ図である。
図13】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、量子デバイスの中の共振器の周波数をシフトするスイッチ・デバイスの実施を容易にすることができる例示的で非限定的な方法の流れ図である。
図14】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的で非限定的な動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は例示だけが目的であり、以下の詳細な説明が、実施形態を限定すること、または実施形態の用途もしくは使用を限定すること、あるいはその両方を限定することは意図されていない。さらに、上記の「背景技術」もしくは「発明の概要」または「発明を実施するための形態」に示された明示のまたは暗示の情報によって拘束されることも意図されていない。
【0008】
次に、図面を参照して1つまたは複数の実施形態を説明する。全体を通じて、同じ要素を指すために同じ参照符号が使用されている。以下の説明では、説明の目的上、1つまたは複数の実施形態のより完全な理解を提供するために、数多くの特定の詳細が示される。しかしながら、さまざまなケースにおいて、それらの特定の詳細なしで1つまたは複数の実施形態を実施することができることは明白である。本出願の図面は、例示だけを目的として提供されたものであり、そのため、図面は一定の倍率では描かれていないことに留意されたい。
【0009】
量子コンピューティングは一般に、コンピューティング機能および情報処理機能を実行する目的で量子-機械現象を使用することである。量子コンピューティングは、一般にトランジスタを用いて2進値に対して演算を実行する古典的コンピューティングと対照をなすものと見ることができる。すなわち、古典的コンピュータは、0または1であるビット値に対して演算を実行することができるが、量子コンピュータは、0および1の両方の重ね合わせを含む量子ビット(キュービット)に対して演算を実行し、多数の量子ビットをもつれさせる(entangle)ことができ、干渉を使用する。
【0010】
量子コンピューティングは、その計算の複雑さのために古典的コンピュータ上で全くまたは実際上解決することができない課題を解決する可能性を有する。しかしながら、量子コンピューティングでは、例えば量子デバイスの1つもしくは複数のキュービットを読み取り、または量子デバイスのキュービットをもつれさせ(例えば量子デバイスのトポロジ(topology)を変更し)、あるいはその両方を実行するための非常に特殊なハードウェアが必要となる。
【0011】
図1は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、スイッチ・デバイスを使用した量子デバイスの中の共振器の周波数シフトを容易にすることができる例示的で非限定的なシステム100の上面図を示している。システム100は量子デバイス102を含むことができる。一例では、量子デバイス102が、超伝導回路、量子回路、量子ハードウェア、量子プロセッサ、量子コンピュータもしくは別の量子デバイス、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0012】
量子デバイス102は読出し共振器104を含むことができる。読出し共振器104は、コプレーナ導波路(coplanar waveguide)読出し共振器を含むことができる。図3A~11を参照して後に説明するように、読出し共振器104は、誘電体基板106を使用して形成されたものとすることができる。
【0013】
量子デバイス102はさらにスイッチ・デバイス108を含むことができる。スイッチ・デバイス108は、無線周波マイクロエレクトロメカニカル・システム・スイッチ(radio frequency microelectromechanical system switch)を含むことができる。一例では、スイッチ・デバイス108が、読出し共振器104を横切って懸架されたブリッジ構造体を含むことができる。図3A~11を参照して後に説明するように、スイッチ・デバイス108は、金属層110を使用して、図1に示されているように読出し共振器104を横切って形成されたものとすることができる。量子デバイス102はさらに、図6A、6Bおよび7を参照して後に説明するようにして形成することができる超伝導層112を含むことができる。
【0014】
システム100はさらに、読出し共振器104に結合されたキュービット(図1には示されていない)もしくはマイクロ波読出し線114またはその両方を含むことができる。例えば、マイクロ波読出し線114は、図1に示されているように量子デバイス102の入力ポートのところで(あるいは、いくつかの実施形態では、量子デバイス102上の別の位置もしくは読出し共振器104に沿った別の位置、または量子デバイス102上の読出し共振器104に沿った別の位置で)読出し共振器104に(例えば容量的にまたは誘導的に)結合されたものとすることができる。例えば、マイクロ波読出し線114は、読出し共振器104の結合容量(coupling capacitance)がある量子デバイス102上の位置で読出し共振器104に結合されたものとすることができる。いくつかの実施形態ではさらに、上で説明したとおり読出し共振器104に結合されたものとすることができるこのようなキュービットの読出し(例えばこのようなキュービットの量子状態の読出し)を可能にすることができる例えばベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)などのキュービット読出し構成要素(図1には示されていない)に、マイクロ波読出し線114を結合することができる。本明細書で利用されているとおり、1つの要素が別の要素に「結合されている」と書かれているとき、その結合は、限定はされないが、容量結合、誘導結合、化学結合、通信結合、電気結合、物理結合、動作可能結合、光学結合、熱結合もしくは別のタイプの結合、またはこれらの組合せを含む、1つまたは複数の異なるタイプの結合を記述しうる。
【0015】
システム100はさらに、図1に示されているようにマイクロ波読出し線114を介して量子デバイス102に結合されたものとすることができる電圧源116(図1ではDCとして示されている)を含むことができる。電圧源116は、スイッチ・デバイス108を開くこともしくは閉じることまたはその両方を容易にするために、読出し共振器104もしくはスイッチ・デバイス108またはその両方にDCバイアス(例えばDC電圧)を印加することができる直流(DC)電圧源を含むことができる。例えば、電圧源116は、スイッチ・デバイス108を読出し共振器104の方へ移動させる(例えば引っ張る)ことを容易にするために、読出し共振器104もしくはスイッチ・デバイス108またはその両方にDCバイアスを印加することができる。例えば、電圧源116は、スイッチ・デバイス108を読出し共振器104の方へ下方向に(例えば図1に示された量子デバイス102の要素に関して下方向に)引っ張ることを容易にするために、読出し共振器104もしくはスイッチ・デバイス108またはその両方にDCバイアスを印加することができる。
【0016】
電圧源116は、本明細書で閉位置と定義された位置までスイッチ・デバイス108を読出し共振器104の方へ移動させる(例えば引っ張る)ことを容易にするために、読出し共振器104もしくはスイッチ・デバイス108またはその両方にDCバイアスを印加することができる。閉位置は、スイッチ・デバイス108が読出し共振器104と物理的にほぼじかに接触した位置である。上で説明した閉位置へのスイッチ・デバイス108のこのような移動は、量子デバイス102の入力ポートのところで結合容量を短絡しうる、無線周波(RF)短絡(例えばRF短絡回路)もしくは接地(例えば接地回路)またはその両方を読出し共振器104上で引き起こしうる。閉位置へのスイッチ・デバイス108のこのような移動は、RF短絡もしくは接地またはその両方を読出し共振器104上で引き起こしうるが、(図1には示されていない)いくつかの実施形態において、量子デバイス102の部分もしくは読出し共振器104の部分またはその両方が、電流の流れを防ぐことができる(例えばDC電流の流れもしくはDC回路の短絡またはその両方を防ぐことができる)、その上に形成された誘電体層(例えば図8~11に示された、後に説明する誘電体層802)を有することができるときには、(例えば電圧源116を介して)DCバイアスを印加した結果生じるDC回路が依然として開いていることがありうる。
【0017】
上で説明した閉位置へ移動させたときにこのようなRF短絡を引き起こすことにより、スイッチ・デバイス108は、それによって、読出し共振器104の共振条件(resonance condition)をシフトすることができる。例えば、上で説明した閉位置へ移動させたときにこのようなRF短絡を引き起こすことにより、スイッチ・デバイス108は、それによって、読出し共振器104の共振周波数を、λ/2の共振波長(例えばλ/2の共振周波数)からλ/4の共振波長(例えばλ/4の共振周波数)にシフトすることができる。スイッチ・デバイス108が閉位置にあるときの読出し共振器104の共振周波数のλ/2からλ/4へのこのようなシフトは、スイッチ・デバイス108による、λ/2の共振波長(例えばλ/2の共振周波数)を有する読出し共振器からλ/4の共振波長(例えばλ/4の共振周波数)を有する読出し共振器への読出し共振器104の変換を構成しうる。
【0018】
スイッチ・デバイス108が閉位置にあるときの読出し共振器104の共振周波数のλ/2からλ/4へのこのようなシフトは、読出し共振器104に結合されたものとすることができる量子デバイス102のキュービットを、量子デバイス102の外部の1つまたは複数の構成要素(例えばVNA)から分離しうる。スイッチ・デバイス108が閉位置にあるときの読出し共振器104の共振周波数のλ/2からλ/4へのこのようなシフトはさらに、キュービットを、キュービットがそこへエネルギーを緩和しうる固有インピーダンス環境(例えば50オーム(Ohm))から切り離しうる。このタイプの損失はパーセル損失(Purcell loss)と呼ばれる。例えば、スイッチ・デバイス108が閉位置にあるときの読出し共振器104の共振周波数のλ/2からλ/4へのこのようなシフトは、このようなキュービットを、量子デバイス102の外部の環境から分離しうる(例えば切り離しうる)。閉位置にあるとき、スイッチ・デバイス108は、読出し共振器104の周波数をシフトして、キュービットをこのような外部構成要素から分離し、それによって、キュービットのコヒーレンスの向上、キュービットのデフェージング(dephasing)の低減もしくは量子デバイス102のパーセル損失の低減、またはこれらの組合せを容易にすることができることを認識すべきである。例えば、マイクロ秒で測定される時間の間に、オンタイム間もしくはオフタイム間またはその両方でスイッチ・デバイス108を(例えば制御されていない環境で1000億サイクル超)サイクル動作させる(例えば閉位置間もしくは開位置間またはその両方でサイクル動作させる)ことができるいくつかの実施形態では、スイッチ・デバイス108が、室温(例えば華氏約70度(°F)(摂氏約21度(℃)))における約0.10デシベル(dB)の挿入損失を容易にすることができる。
【0019】
上で説明したとおり、スイッチ・デバイス108は、読出し共振器104を横切って(例えば部分的に横切って)懸架されたブリッジ構造体を含むことができる。いくつかの実施形態では、スイッチ・デバイス108のこのようなブリッジ構造体を、金属層110を構成する材料を使用して形成されたものとすることができ、そのような材料はあるばね定数を有しうる。DCバイアスが除かれると(例えば電圧源116によって印加されたDC電圧がオフにされると)、スイッチ・デバイス108のそのようなブリッジ構造体のばね定数によって、スイッチ・デバイス108は、読出し共振器104から離れる方向に移動することができる。例えば、DCバイアスが除かれると、スイッチ・デバイス108のそのようなブリッジ構造体のばね定数は、スイッチ・デバイス108を、読出し共振器104から離れる方向に(例えば図1に示された量子デバイス102の要素に関して上方向に)、本明細書で開位置と定義されたその元の位置まで移動させうる(例えば引っ張りうる)。
【0020】
DCバイアスが除かれ、スイッチ・デバイス108が開位置に移動すると、スイッチ・デバイス108は、それによって、読出し共振器104の共振周波数を、λ/4の共振波長(例えばλ/4の共振周波数)からλ/2の共振波長(例えばλ/2の共振周波数)にシフトすることができる。スイッチ・デバイス108が開位置にあるときの読出し共振器104の共振周波数のλ/4からλ/2へのこのようなシフトは、スイッチ・デバイス108による、λ/4の共振波長(例えばλ/4の共振周波数)を有する読出し共振器からλ/2の共振波長(例えばλ/2の共振周波数)を有する読出し共振器への読出し共振器104の変換を構成しうる。スイッチ・デバイス108が開位置にあるときの読出し共振器104の共振周波数のλ/4からλ/2へのこのようなシフトは、上で説明したキュービットを、量子デバイス102の外部の1つまたは複数の構成要素(例えばVNA)に結合しうる。読出し共振器104の周波数をλ/4からλ/2にシフトさせ、上で説明したキュービットの例えばVNAなどの外部構成要素へのこのような結合を可能にするために、スイッチ・デバイス108が開位置に移動すると、スイッチ・デバイス108は、それによって、キュービットの外部のそのような構成要素による信号(例えばRF信号、マイクロ波信号、光学信号など)の送信を可能にすることができる。したがって、スイッチ・デバイス108が開位置にあるとき、スイッチ・デバイス108は、そのような外部構成要素(例えばVNA)を使用したキュービットの読出し(例えばキュービットの量子状態の受動読取り)を可能にすることができる。
【0021】
スイッチ・デバイス108が、どのようにして、読出し共振器104の周波数(例えば共振周波数)を、閉位置に移動したときにλ/2からλ/4にシフトし、開位置に移動したときにλ/4からλ/2にシフトすることができるのかを説明した上記の例に基づき、スイッチ・デバイス108は、スイッチ・デバイス108の位置に基づいて、読出し共振器104の周波数をシフトすることができることを認識すべきである。
【0022】
図2Aおよび2Bは、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、スイッチ・デバイスを使用した量子デバイスの中の共振器の周波数シフトを容易にすることができる例示的で非限定的な量子デバイス200の正射影図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0023】
量子デバイス200は、限定はされないが、超伝導回路、量子回路、量子ハードウェア、量子プロセッサ、量子コンピュータもしくは別の量子デバイス、またはこれらの組合せを含む、量子デバイスを含むことができる。量子デバイス200はバス共振器202を含むことができる。図3A~11を参照して後に説明するように、バス共振器202は、誘電体基板106を使用して形成されたものとすることができる。
【0024】
量子デバイス200はさらにスイッチ・デバイス204を含むことができる。スイッチ・デバイス204は、無線周波マイクロエレクトロメカニカル・システム・スイッチを含むことができる。一例では、スイッチ・デバイス204が、バス共振器202を横切って形成されたカンチレバー(cantilever)構造体を含むことができる。図3A~11を参照して後に説明するように、スイッチ・デバイス204は、金属層110を使用して、図2Aおよび2Bに示されているようにバス共振器202を横切って形成されたものとすることができる。いくつかの実施形態では、例えば図2Aおよび2Bに示されているように、スイッチ・デバイス204を、バス共振器202の中間点(midpoint)で(例えばバス共振器202に沿った中間の位置で)バス共振器202を横切って形成されたものとすることができる。量子デバイス200はさらに、図6A、6Bおよび7を参照して後に説明するようにして形成することができる超伝導層112を含むことができる。
【0025】
図2Aまたは2Bには示されていないが、量子デバイス200はさらに、バス共振器202に結合されたものとすることができる少なくとも2つのキュービットを含むことができる。例えば、量子デバイス200は、バス共振器202に結合されたものとすることができる、図2Aおよび2Bに示されたキュービット1およびキュービット2を含むことができる。
【0026】
図2Aまたは2Bには示されていないが、量子デバイス200を、例えば電圧源116などの電圧源に結合することができる。電圧源116は、(例えば図2Aによって示されているように)スイッチ・デバイス204を開くこと、もしくは(例えば図2Bによって示されているように)スイッチ・デバイス204を閉じること、またはその両方を容易にするために、バス共振器202もしくはスイッチ・デバイス204またはその両方にDCバイアス(例えばDC電圧)を印加することができる直流(DC)電圧源を含むことができる。例えば、電圧源116は、スイッチ・デバイス204をバス共振器202の方へ移動させる(例えば引っ張る)ことを容易にするために、バス共振器202もしくはスイッチ・デバイス204またはその両方にDCバイアスを印加することができる。例えば、電圧源116は、スイッチ・デバイス204をバス共振器202の方へ下方向に(例えば図2Aおよび2Bに示された量子デバイス200の要素に関して下方向に)引っ張ることを容易にするために、バス共振器202もしくはスイッチ・デバイス204またはその両方にDCバイアスを印加することができる。
【0027】
電圧源116は、本明細書で閉位置と定義された位置(図2Bでは係合したスイッチとして示されている)までスイッチ・デバイス204をバス共振器202の方へ移動させる(例えば引っ張る)ことを容易にするために、バス共振器202もしくはスイッチ・デバイス204またはその両方にDCバイアスを印加することができる。閉位置は、スイッチ・デバイス204がバス共振器202と物理的にほぼじかに接触した位置である。上で説明した閉位置へのスイッチ・デバイス204のこのような移動は、キュービット1とキュービット2との間の結合を短絡しうる(例えばキュービット1とキュービット2とを切り離しうる)、無線周波(RF)短絡(例えばRF短絡回路)もしくは接地(例えば接地回路)またはその両方をバス共振器202上で引き起こしうる。閉位置へのスイッチ・デバイス204のこのような移動は、RF短絡もしくは接地またはその両方をバス共振器202上で引き起こしうるが、(図2Aまたは2Bには示されていない)いくつかの実施形態において、量子デバイス200の部分もしくはバス共振器202の部分またはその両方が、電流の流れを防ぐことができる(例えばDC電流の流れもしくはDC回路の短絡またはその両方を防ぐことができる)、その上に形成された誘電体層(例えば図8~11に示された、後に説明する誘電体層802)を有することができるときには、(例えば電圧源116を介して)DCバイアスを印加した結果生じるDC回路が依然として開いていることがありうる。
【0028】
上で説明した閉位置へ移動させたときにこのようなRF短絡を引き起こすことにより、スイッチ・デバイス204は、それによって、バス共振器202の共振条件をシフトすることができる。例えば、上で説明した閉位置へ移動させたときにこのようなRF短絡を引き起こすことにより、スイッチ・デバイス204は、それによって、バス共振器202の共振周波数を、λ/2の共振波長(例えばλ/2の共振周波数)からλ/4の共振波長(例えばλ/4の共振周波数)にシフトすることができる。スイッチ・デバイス204を、バス共振器202に沿った中間点で形成されたものとすることができる、例えば図2Aおよび2Bに示されているようないくつかの実施形態では、スイッチ・デバイス204が閉位置にあるときのバス共振器202の共振周波数のλ/2からλ/4へのこのようなシフトが、スイッチ・デバイス204による、λ/2の共振波長(例えばλ/2の共振周波数)を有する単一のバス共振器からλ/4の共振波長(例えばλ/4の共振周波数)をそれぞれが有する2つのバス共振器へのバス共振器202の変換を構成しうる。
【0029】
スイッチ・デバイス204が閉位置にあるときのバス共振器202の共振周波数のλ/2からλ/4へのこのようなシフトは、バス共振器202に結合されたものとすることができる量子デバイス200の第1のキュービットを、やはりバス共振器202に結合されたものとすることができる量子デバイス200の1つまたは複数の第2のキュービットから分離しうる。例えば、スイッチ・デバイス204が閉位置にあるときのバス共振器202の共振周波数のλ/2からλ/4へのこのようなシフトは、図2Aおよび2Bに示されたキュービット1をキュービット2から分離しうる(例えば切り離しうる)。閉位置にあるとき、スイッチ・デバイス204は、バス共振器202の周波数をシフトして、このような第1のキュービット(例えばキュービット1)を、量子デバイス200の1つまたは複数の第2のキュービット(例えばキュービット2)から分離し、それによって、第1のキュービットおよび/もしくは第2のキュービットのコヒーレンスの向上および/もしくはデフェージングの低減、ならびに/または量子デバイス200のパーセル損失の低減を容易にすることができることを認識すべきである。例えば、マイクロ秒で測定される時間の間に、オンタイム間もしくはオフタイム間またはその両方でスイッチ・デバイス204を(例えば制御されていない環境で1000億サイクル超)サイクル動作させる(例えば閉位置間もしくは開位置間またはその両方でサイクル動作させる)ことができるいくつかの実施形態では、スイッチ・デバイス204が、室温(例えば華氏約70度(°F)(摂氏約21度(℃)))における約0.10デシベル(dB)の挿入損失を容易にすることができる。
【0030】
上で説明したとおり、スイッチ・デバイス204は、バス共振器202を横切って形成されたカンチレバー構造体を含むことができる。いくつかの実施形態では、スイッチ・デバイス204のこのようなカンチレバー構造体を、金属層110を構成する材料を使用して形成されたものとすることができ、そのような材料はあるばね定数を有しうる。DCバイアスが除かれると(例えば電圧源116によって印加されたDC電圧がオフにされると)、スイッチ・デバイス204のそのようなカンチレバー構造体のばね定数によって、スイッチ・デバイス204は、(例えば図2Aによって示されているように)バス共振器202から離れる方向に移動することができる。例えば、DCバイアスが除かれると、スイッチ・デバイス204のそのようなカンチレバー構造体のばね定数は、スイッチ・デバイス204を、バス共振器202から離れる方向に(例えば図2Aおよび2Bに示された量子デバイス200の要素に関して上方向に)、本明細書で開位置と定義されたその元の位置(図2Aでは開いたスイッチとして示されている)まで移動させうる(例えば引っ張りうる)。
【0031】
DCバイアスが除かれ、スイッチ・デバイス204が(図2Aでは開いたスイッチとして示されている)開位置に移動すると、スイッチ・デバイス204は、それによって、バス共振器202の共振周波数を、λ/4の共振波長(例えばλ/4の共振周波数)からλ/2の共振波長(例えばλ/2の共振周波数)にシフトすることができる。スイッチ・デバイス204が開位置にあるときのバス共振器202の共振周波数のλ/4からλ/2へのこのようなシフトは、スイッチ・デバイス204による、λ/4の共振波長(例えばλ/4の共振周波数)を有するバス共振器からλ/2の共振波長(例えばλ/2の共振周波数)を有するバス共振器へのバス共振器202の変換を構成しうる。スイッチ・デバイス204が開位置にあるときのバス共振器202の共振周波数のλ/4からλ/2へのこのようなシフトは、量子デバイス200の2つ以上のキュービットを結合することができ、それによって、(例えば光学信号、RF信号、マイクロ波信号などを介した)そのようなキュービット間の通信、もしくはそのようなキュービットのもつれ、またはその両方を可能にすることができる。反対に、上で説明したとおり、スイッチ・デバイス204が閉位置にあるとき、スイッチ・デバイス204は、量子デバイス200のそのような2つ以上のキュービットを切り離すことができ、それによって、そのようなキュービットを互いから分離することを可能にすること、ならびに/またはそのようなキュービット間の通信を遮断すること(例えば、キュービット間での例えば光学信号、RF信号、マイクロ波信号などの信号の送信および/もしくは受信を遮断すること)ができる。したがって、量子デバイス200のトポロジ(例えばキュービットの結合構成(coupling configuration))を変化させるために、スイッチ・デバイス204を、(例えばDCバイアスを介して)開位置または閉位置に移動させることができることを認識すべきである。
【0032】
スイッチ・デバイス204が、どのようにして、バス共振器202の周波数(例えば共振周波数)を、閉位置に移動したときにλ/2からλ/4にシフトし、開位置に移動したときにλ/4からλ/2にシフトすることができるのかを説明した上記の例に基づき、スイッチ・デバイス204は、スイッチ・デバイス204の位置に基づいて、バス共振器202の周波数をシフトすることができることを認識すべきである。
【0033】
図3A~11は、本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示の1つまたは複数の実施形態を製造するために実施することができる例示的で非限定的な多ステップ製造シーケンスを示している。例えば、図3A~11に示された非限定的な多ステップ製造シーケンスを実施して、量子デバイスの中の共振器の共振周波数をシフトするスイッチ・デバイスを含む量子デバイスを製造することができる。例えば、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態によれば、図3A~11に示された非限定的な多ステップ製造シーケンスを実施して、図11に示された量子デバイス1100aもしくは量子デバイス1100bまたはその両方を製造することができ、そのようなデバイスはそれぞれ、量子デバイス102もしくは量子デバイス200またはその両方の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。
【0034】
図3A~11を参照して後に説明するように、本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)の製造は、半導体デバイス(例えば集積回路)の中の電子工学ベースのシステム、デバイス、構成要素もしくは回路、またはこれらの組合せの漸進的形成を容易にする、例えばフォトリソグラフィ・ステップもしくは化学処理ステップの多ステップ・シーケンス、またはフォトリソグラフィ・ステップおよび化学処理ステップの多ステップ・シーケンスを含むことができる。例えば、本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)は、限定はされないが、フォトリソグラフィ、マイクロリソグラフィ、ナノリソグラフィ、ナノインプリント・リソグラフィ、フォトマスキング技術、パターニング技術、フォトレジスト技術(例えばポジ型フォトレジスト、ネガ型フォトレジスト、ハイブリッド型フォトレジストなど)、エッチング技術(例えば反応性イオン・エッチング(RIE)、ドライ・エッチング、ウェット・エッチング、イオン・ビーム・エッチング、プラズマ・エッチング、レーザ・アブレーションなど)、蒸着技術、スパッタリング技術、プラズマ・アッシング技術、熱処理(例えば急速熱アニール、炉アニール、熱酸化など)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、物理蒸着(PVD)、分子線エピタキシ(MBE)、電気化学堆積(ECD)、化学機械平坦化(CMP)、裏面研削技術、もしくは集積回路を製造するための別の技術、あるいはこれらの組合せを含む、技術を使用することによって製造することができる。
【0035】
図3A~11を参照して後に説明するように、本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)は、さまざまな材料を使用して製造することができる。例えば、本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)は、限定はされないが、集積回路を製造するために上で説明した技術のうちの1つもしくは複数の技術とともに利用することができる導電性材料、半導体材料、超伝導材料、誘電体材料、ポリマー材料、有機材料、無機材料、非導電性材料もしくは別の材料、またはこれらの組合せを含む、1つまたは複数の異なる材料クラスの材料を使用して製造することができる。
【0036】
層(フィルムとも呼ばれる)、領域もしくは基板、またはこれらの組合せなどの1つの要素が、別の要素「上に」または別の要素「の上に」あると書かれているとき、その1つの要素は、その別の要素上にじかにあることができ、または介在要素が存在することもできることが理解されるであろう。対照的に、1つの要素が、別の要素「上にじかにある」または別の要素「の上にじかにある」と書かれているとき、介在要素は存在しない。1つの要素が、別の要素「の下方に」または別の要素「の下に」あると書かれているとき、その1つの要素は、その別の要素の下方もしくその別の要素の下にじかにあることができ、または介在要素が存在することもできることも理解されるであろう。対照的に、1つの要素が、別の要素「の下方にじかにある」または別の要素「の下にじかにある」と書かれているとき、介在要素は存在しない。1つの要素が別の要素に「結合されている」と書かれているとき、その結合は、限定はされないが、化学結合、通信結合、電気結合、物理結合、動作可能結合、光学結合、熱結合もしくは別のタイプの結合、またはこれらの組合せを含む、1つまたは複数の異なるタイプの結合を記述しうることも理解されるであろう。
【0037】
図3Aおよび3Bはそれぞれ、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、その上に犠牲層が形成された誘電体基板を含む例示的で非限定的なデバイス300の上面図および断面図を示している。図3Bは、線302によって規定された平面に沿って見た、デバイス300の側断面図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0038】
デバイス300は誘電体基板106を含むことができる。誘電体基板106は基板層を含むことができる。誘電体基板106は、限定はされないが、シリコン(Si)、サファイヤ(例えば酸化アルミニウム(Al))、シリコン-ゲルマニウム(SiGe)、シリコン-ゲルマニウム-炭素(SiGeC)、炭化シリコン(SiC)、ゲルマニウム(Ge)合金、III/V族化合物半導体、II/VI族化合物半導体もしくは別の材料、またはこれらの組合せを含む、半導体特性を有する任意の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、誘電体基板106が、限定はされないが、シリコン/シリコン-ゲルマニウム(Si/SiGe)、シリコン/炭化シリコン(Si/SiC)、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、シリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(SGOI)もしくは別の層状半導体、またはこれらの組合せを含む、層状半導体を含むことができる。誘電体基板106は、約50マイクロメートル(μm)から約1,000μmまでの範囲の厚さ(例えば高さ)を含むことができる。
【0039】
デバイス300はさらに、誘電体基板106上に形成された犠牲層304を含むことができる。犠牲層304は犠牲酸化物層を含むことができる。犠牲層304は、限定はされないが、PVD、CVD、ALD、PECVD、スピンオン・コーティング、スパッタリングもしくは別の堆積プロセス、またはこれらの組合せを含む、1種または数種の堆積プロセスを使用して誘電体基板106上に形成されたものとすることができる。犠牲層304は、約50マイクロメートル(nm)から約500nmまでの範囲の厚さ(例えば高さ)を含むことができる。
【0040】
図4Aおよび4Bはそれぞれ、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、犠牲層の部分を除去した後の、図3Aおよび3Bの例示的で非限定的なデバイス300の上面図および断面図を示している。図4Bは、線402によって規定された平面に沿って見た、デバイス400の側断面図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0041】
デバイス400は、リソグラフィ・プロセスもしくはエッチング・プロセスまたはその両方を実行して犠牲層304の部分を除去した後の、デバイス300の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。例えば、デバイス400は、デバイス300上にキュービット・ポケットおよび/または1つもしくは複数の共振器を画定するためのリソグラフィ・プロセス(例えば上で定義した1種または数種のフォトリソグラフィ、パターニングおよび/またはフォトレジスト技術を含むリソグラフィ・パターニング・プロセス)、ならびに/あるいは犠牲層304の部分を除去して図4Aおよび4Bに示されたデバイス400を形成するためのエッチング・プロセスを実行した後の、デバイス300の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。
【0042】
図5Aおよび5Bはそれぞれ、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、誘電体基板の部分を除去した後の、図4Aおよび4Bの例示的で非限定的なデバイス400の上面図および断面図を示している。図5Bは、線502によって規定された平面に沿って見た、デバイス500の側断面図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0043】
デバイス500は、エッチング・プロセスを実行して誘電体基板106の部分を除去し、その結果として図5Aおよび5Bに示されているようにリッジ(ridge)504を形成した後の、デバイス400の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。例えば、デバイス500は、デバイス400上で異方性エッチング・プロセスまたは等方性エッチング・プロセスを実行して誘電体基板106の部分を除去し、その結果として図5Aおよび5Bに示されているようにリッジ504を形成した後の、デバイス400の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。
【0044】
図6Aおよび6Bはそれぞれ、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導層を形成した後の、図5Aおよび5Bの例示的で非限定的なデバイス500の上面図および断面図を示している。図6Bは、線602によって規定された平面に沿って見た、デバイス600の側断面図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0045】
デバイス600は、誘電体基板106上、犠牲層304の残りの部分上もしくはリッジ504上、またはこれらの組合せ上に図6Aおよび6Bに示されているように超伝導層112を形成した後の、デバイス500の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。超伝導層112は超伝導金属を含むことができる。例えば、超伝導層112は、ニオブ(Nb)もしくは別の超伝導金属またはその両方を含むことができる。超伝導層112は、限定はされないが、PVD、CVD、ALD、PECVD、スピンオン・コーティング、スパッタリングもしくは別の堆積プロセス、またはこれらの組合せを含む、1種または数種の堆積プロセスを使用して、誘電体基板106上、犠牲層304の残りの部分上もしくはリッジ504上、またはこれらの組合せ上に形成されたものとすることができる。超伝導層112は、約20nmから約500nmまでの範囲の厚さ(例えば高さ)を含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、上で説明し図6Aおよび6Bに示した、誘電体基板106上、犠牲層304の残りの部分上もしくはリッジ504上、またはこれらの組合せ上への超伝導層112の形成に基づいて、超伝導層112の部分もしくは犠牲層304の残りの部分の全てまたはその両方をデバイス600から除去して、リッジ504の各々の表面(例えば上面)を露出させることができる。例えば、上で説明し図6Aおよび6Bに示した超伝導層112のこのような形成に基づいて、超伝導層112の部分もしくは犠牲層304の残りの部分の全てまたはその両方を、図6Bに示された線604までデバイス600から除去して、リッジ504の各々の表面(例えば上面)を露出させることができる。このような超伝導層112の部分もしくは犠牲層304の残りの部分の全てまたはその両方は、化学機械研磨(CMP)プロセスもしくは酸化物除去プロセスまたはその両方を使用して、図6Bに示された線604までデバイス600から除去することができる。
【0047】
上で説明したこのような超伝導層112の部分もしくは犠牲層304の残りの部分の全てまたはその両方の除去を実行して、量子デバイスの初期キュービット回路を画定することができる。例えば、上で説明したこのような超伝導層112の部分もしくは犠牲層304の残りの部分の全てまたはその両方の除去を実行して、量子デバイス102もしくは図11に示された、後に説明する量子デバイス1100aまたはその両方の読出し共振器104を画定することができる。別の例では、上で説明したこのような超伝導層112の部分もしくは犠牲層304の残りの部分の全てまたはその両方の除去を実行して、量子デバイス200もしくは図11に示された、後に説明する量子デバイス1100bまたはその両方のバス共振器202を画定することができる。
【0048】
図7は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導層の部分および犠牲層の残りの部分を除去した後の、図6Aおよび6Bの例示的で非限定的なデバイス600の例示的で非限定的な代替実施形態の上面図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0049】
図7に示されたデバイス700aは、超伝導層112の部分もしくは犠牲層304の残りの部分の全てまたはその両方を除去して上で説明したように読出し共振器104を画定した後の、デバイス600の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。やはり図7に示されたデバイス700bは、超伝導層112の部分もしくは犠牲層304の残りの部分の全てまたはその両方を除去して上で説明したようにバス共振器202を画定した後の、デバイス600の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、図8~11を参照して後に説明するように、デバイス700aを、図11に示された量子デバイス1100aに発展させることができ、量子デバイス1100aは、量子デバイス102の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。いくつかの実施形態では、図8~11を参照して後に説明するように、デバイス700bを、やはり図11に示された量子デバイス1100bに発展させることができ、量子デバイス1100bは、量子デバイス200の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。
【0051】
図8は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、誘電体層を形成した後の、図7の例示的で非限定的なデバイス700a、700bの上面図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0052】
図8に示されたデバイス800aは、図8に示されているように誘電体層802を形成した後の、デバイス700aの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。やはり図8に示されたデバイス800bは、図8に示されているように誘電体層802を形成した後の、デバイス700bの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。
【0053】
誘電体層802は、限定はされないが、窒化シリコン(SiN)、ダイヤモンドもしくは別の誘電体材料、またはこれらの組合せを含む、誘電体材料を含むことができる。誘電体層802は、a)デバイス700aもしくはデバイス700bまたはその両方に誘電体層802を堆積させるための、上で定義した1種もしくは数種の堆積プロセス(例えばPVD、CVD、ALD、PECVD、スピンオン・コーティング、スパッタリングなど)、b)誘電体層802の形状を画定するためのリソグラフィ・プロセス(例えば上で定義した1種もしくは数種のフォトリソグラフィ技術、パターニング技術もしくはフォトレジスト技術、またはこれらの組合せを含むリソグラフィ・パターニング・プロセス)、あるいはc)誘電体層802の不必要な部分を除去して図8に示されたデバイス800aもしくはデバイス800bまたはその両方を形成するためのエッチング・プロセス、あるいはこれらの組合せを使用して、図8に示されているように形成することができる。
【0054】
図9は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、第2の犠牲層を形成した後の、図8の例示的で非限定的なデバイス800a、800bの上面図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0055】
図9に示されたデバイス900aは、図9に示されているように第2の犠牲層902を形成した後の、デバイス800aの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。やはり図9に示されたデバイス900bは、図9に示されているように第2の犠牲層902を形成した後の、デバイス800bの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。
【0056】
第2の犠牲層902は、チタン(Ti)もしくは別の材料またはその両方を含むことができる。第2の犠牲層902は、a)デバイス800aもしくはデバイス800bまたはその両方に第2の犠牲層902を堆積させるための、上で定義した1種もしくは数種の堆積プロセス(例えばPVD、CVD、ALD、PECVD、スピンオン・コーティング、スパッタリングなど)、b)第2の犠牲層902の形状を画定するためのリソグラフィ・プロセス(例えば上で定義した1種もしくは数種のフォトリソグラフィ技術、パターニング技術もしくはフォトレジスト技術、またはこれらの組合せを含むリソグラフィ・パターニング・プロセス)、あるいはc)第2の犠牲層902の不必要な部分を除去して図9に示されたデバイス900aもしくはデバイス900bまたはその両方を形成するためのエッチング・プロセス、あるいはこれらの組合せを使用して、図9に示されているように形成することができる。
【0057】
図10は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、金属層を堆積させてスイッチ・デバイスを形成した後の、図9の例示的で非限定的なデバイス900a、900bの上面図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0058】
図10に示されたデバイス1000aは、金属層110を堆積させて図10に示されているようにスイッチ・デバイス108を形成した後の、デバイス900aの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。やはり図10に示されたデバイス1000bは、金属層110を堆積させて図10に示されているようにスイッチ・デバイス204を形成した後の、デバイス900bの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。
【0059】
金属層110は、アルミニウム(Al)もしくは別の材料またはその両方を含むことができる。金属層110は、a)デバイス900aもしくはデバイス900bまたはその両方に金属層110を堆積させるための、上で定義した1種もしくは数種の堆積プロセス(例えばPVD、CVD、ALD、PECVD、スピンオン・コーティング、スパッタリングなど)、b)金属層110の形状を画定する(例えばスイッチ・デバイス108もしくはスイッチ・デバイス204またはその両方の形状を画定する)ためのリソグラフィ・プロセス(例えば上で定義した1種もしくは数種のフォトリソグラフィ技術、パターニング技術もしくはフォトレジスト技術、またはこれらの組合せを含むリソグラフィ・パターニング・プロセス)、あるいはc)金属層110の不必要な部分を除去して図10に示されたデバイス1000aのスイッチ・デバイス108もしくはデバイス1000bのスイッチ・デバイス204またはその両方を形成するためのエッチング・プロセス、あるいはこれらの組合せを使用して、図10に示されているように形成することができる。
【0060】
図11は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、第2の犠牲層を除去した後の、図10の例示的で非限定的なデバイス1000a、1000bの上面図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0061】
図11に示された量子デバイス1100aは、図11に示されているように第2の犠牲層902を除去した後の、デバイス1000aの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。やはり図11に示された量子デバイス1100bは、図11に示されているように第2の犠牲層902を除去した後の、デバイス1000bの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。第2の犠牲層902は、デバイス1000aもしくはデバイス1000bまたはその両方の1つもしくは複数の要素(例えば誘電体基板106、金属層110、超伝導層112など)を形成するのに使用した材料と両立するエッチング物質を使用したエッチング・プロセスを実行することによって、デバイス1000aもしくはデバイス1000bまたはその両方から除去することができる。例えば、第2の犠牲層902は、過酸化物、フッ化水素(HF)蒸気もしくは別のエッチング物質、またはこれらの組合せを使用したエッチング・プロセスを実行することによって、デバイス1000aもしくはデバイス1000bまたはその両方から除去することができる。
【0062】
上で説明したとおり、量子デバイス1100aは、量子デバイス102の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができ、量子デバイス1100aは、図1を参照して上で説明したように読出し共振器104の共振周波数を(例えば電圧源116を使用してDCバイアスを印加することによって)シフトすることができるスイッチ・デバイス108を含むことができる。それに加えて、またはその代わりに、上で説明したとおり、量子デバイス1100bは、量子デバイス200の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができ、量子デバイス1100bは、図2を参照して上で説明したようにバス共振器202の共振周波数を(例えば電圧源116を使用してDCバイアスを印加することによって)シフトすることができるスイッチ・デバイス204を含むことができる。
【0063】
本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)を、さまざまな技術に関連づけることができる。例えば、量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100aおよび/もしくは量子デバイス1100bを、半導体および/もしくは超伝導体デバイス技術、半導体および/もしくは超伝導体デバイス製造技術、量子コンピューティング・デバイス技術、量子コンピューティング・デバイス製造技術、無線周波マイクロエレクトロメカニカル・システム・スイッチ技術、無線周波マイクロエレクトロメカニカル・システム・スイッチ製造技術、ならびに/または他の技術に関連づけることができる。
【0064】
本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)は、上に挙げたさまざまな技術に対する技術的改良を提供することができる。例えば、本明細書に記載されているとおり、量子デバイス102および/もしくは量子デバイス1100aのスイッチ・デバイス108が閉位置にあるとき、スイッチ・デバイス108は、読出し共振器104の周波数をλ/2からλ/4にシフトして、キュービットを、量子デバイス102の外部の1つもしくは複数の構成要素から分離し、それによって、キュービットのコヒーレンスの向上、キュービットのデフェージングの低減、ならびに/または量子デバイス102および/もしくは量子デバイス1100aのパーセル損失の低減を容易にすることができる。別の例では、本明細書に記載されているとおり、量子デバイス200および/もしくは量子デバイス1100bのスイッチ・デバイス204が閉位置にあるとき、スイッチ・デバイス204は、バス共振器202の周波数をλ/2からλ/4にシフトして、第1のキュービットを1つもしくは複数の第2のキュービットから分離し、それによって、第1のキュービットおよび/もしくは第2のキュービットのコヒーレンスの向上および/もしくはデフェージングの低減、ならびに/または量子デバイス200および/もしくは量子デバイス1100bのパーセル損失の低減を容易にすることができる。
【0065】
本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態、例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100aもしくは量子デバイス1100b、またはこれらの組合せは、このようなデバイスに関連した処理ユニットに対する技術的改良を提供することができる。例えば、上で説明したスイッチ・デバイス108もしくはスイッチ・デバイス204またはその両方を使用して、量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100aもしくは量子デバイス1100b、またはこれらの組合せの1つもしくは複数のキュービットのコヒーレンスを向上させ、もしくはデフェージングを低減させ、またはその両方を達成することによって、このようなデバイスは、それによって、このようなデバイスのうちの1つまたは複数のデバイスを含む量子コンピューティング・デバイス(例えば量子プロセッサ)の処理効率、性能もしくは正確さ、またはこれらの組合せの向上を容易にすることができる。量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100aもしくは量子デバイス1100b、またはこれらの組合せを含む量子コンピューティング・デバイス(例えば量子プロセッサ)の処理効率、性能もしくは正確さ、またはこれらの組合せのこのような向上はさらに、高速量子コンピューティングもしくは場合により汎用の(possibly universal)量子コンピューティング、またはその両方を容易にすることができる。
【0066】
本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)の実用的用途は、このようなデバイスを、このようなデバイスのトポロジ(例えばキュービットの結合構成)を変化させるように、独立して実装すること、もしくは量子コンピューティング・デバイス(例えば量子コンピュータ)内に実装すること、またはその両方で実装することができることである。このような実用的用途は、このようなデバイス上で実行される1つまたは複数のコンパイル・ジョブ(例えば量子コンピューティング・ジョブ)の出力(例えば計算結果もしくは処理結果またはその両方)を改良することができる。
【0067】
本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)は、比較的に新しい量子コンピューティング技術によって駆動される新たな手法を提供することを認識すべきである。例えば、量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100aもしくは量子デバイス1100b、またはこれらの組合せは、1つもしくは複数のキュービットのコヒーレンスを向上させ、および/もしくはデフェージングを低減させ、ならびに/またはこのようなデバイスのパーセル損失を低減させるための新たな手法を提供する。
【0068】
本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)をハードウェアもしくはソフトウェアまたはその両方に結合して、その性質において高度に技術的であり、抽象的ではなく、人間による一組の頭脳行為として実行することができない課題を解決することができる。例えば、量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100aもしくは量子デバイス1100b、またはこれらの組合せを、情報を処理することができ、もしくは抽象的ではなく、人間による一組の頭脳行為として実行することができない計算を実行することができ、またはその両方を達成することができる量子コンピューティング・デバイス内に実装することができる。
【0069】
本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)は、人間の知性で複製することができないまたは人間が実行することができない電気構成要素、機械構成要素および回路のさまざまな組合せを利用することができることを認識すべきである。例えば、このような量子デバイスの1つまたは複数の共振器の共振周波数をシフトすることができる1つまたは複数のスイッチ・デバイス(例えばスイッチ・デバイス108、スイッチ・デバイス204)を含む量子デバイス(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)を製造することは、人間の知力を超える操作である。例えば、ある期間に、このようなスイッチ・デバイスを利用するこのような量子デバイスによって処理されるデータの量、そのようなデータを処理する速度もしくはデータのタイプ、またはこれらの組合せは、同じ期間に人間の知性が処理することができる量よりも大きな量、処理することができる速度よりも速い速度、もしくは処理することができるデータ・タイプとは異なるデータ・タイプ、またはこれらの組合せとなりうる。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)はさらに、上で参照した動作も実行している間に、1つまたは複数の他の機能を実行する(例えば完全にパワーオンされる、完全に実行されるなど)ように完全に動作可能でありうる。このような同時多動作実行は人間の知力を超えることも認識すべきである。本明細書に記載された、もしくは図に示された、または本明細書に記載されかつ図に示された主題開示のさまざまな実施形態(例えば量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100a、量子デバイス1100bなど)は、人間ユーザなどの実体が手動で取得することが不可能な情報を含むことができることも認識すべきである。量子デバイス102、量子デバイス200、量子デバイス1100aもしくは量子デバイス1100b、またはこれらの組合せに含まれる情報のタイプ、量もしくは多様性、またはこれらの組合せは、人間ユーザによって手動で取得された情報よりも複雑なものでありうる。
【0071】
図12は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、量子デバイスの中の共振器の周波数をシフトするスイッチ・デバイスの実施を容易にすることができる例示的で非限定的な方法1200の流れ図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0072】
方法1200は、コンピューティング・システム(例えば図14に示された、後に説明する動作環境1400)もしくはコンピューティング・デバイス(例えば図14に示された、後に説明するコンピュータ1412)またはその両方によって実施することができる。非限定的で例示的な実施形態では、このようなコンピューティング・システム(例えば動作環境1400)もしくはこのようなコンピューティング・デバイス(例えばコンピュータ1412)またはその両方が、1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のメモリ・デバイスを含むことができ、この1つまたは複数のメモリ・デバイスは、この1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに図12に示された方法1200の非限定的な操作を含む本明細書に記載された操作の実行を容易にすることができる実行可能命令をその上に記憶することができる。非限定的な例として、この1つまたは複数のプロセッサは、半導体および/または超伝導デバイスの製造を実行するように動作可能な1つもしくは複数のシステムもしくは機器またはその両方を指揮もしくは制御または指揮および制御することによって、本明細書に記載された操作、例えば方法1200の実行を容易にすることができる。別の非限定的な例として、この1つまたは複数のプロセッサは、上で説明したようにDCバイアスを提供するように動作可能な1つもしくは複数のシステムもしくは機器(例えば電圧源116)またはその両方を指揮もしくは制御または指揮および制御することによって、本明細書に記載された操作、例えば方法1200の実行を容易にすることができる。
【0073】
1202で、方法1200は、キュービット(例えば量子デバイス102のキュービット)に結合された読出し共振器(例えば読出し共振器104)を横切ってスイッチ・デバイス(例えばスイッチ・デバイス108)を(例えばコンピュータ1412を介して)形成することを含むことができる。
【0074】
1204で、方法1200は、スイッチ・デバイスを(例えば電圧源116もしくはコンピュータ1412またはその両方を使用してDCバイアスを印加することにより)使用して、スイッチ・デバイスの位置(例えば閉位置もしくは開位置またはその両方)に基づいて、読出し共振器の周波数をシフトする(例えば、図1を参照して上で説明したように、読出し共振器104の共振周波数をλ/2からλ/4におよびλ/4からλ/2にシフトする)ことを含むことができる。
【0075】
図13は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、量子デバイスの中の共振器の周波数をシフトするスイッチ・デバイスの実施を容易にすることができる例示的で非限定的な方法1300の流れ図を示している。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0076】
方法1300は、コンピューティング・システム(例えば図14に示された、後に説明する動作環境1400)もしくはコンピューティング・デバイス(例えば図14に示された、後に説明するコンピュータ1412)またはその両方によって実施することができる。非限定的で例示的な実施形態では、このようなコンピューティング・システム(例えば動作環境1400)もしくはこのようなコンピューティング・デバイス(例えばコンピュータ1412)またはその両方が、1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のメモリ・デバイスを含むことができ、この1つまたは複数のメモリ・デバイスは、この1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに図13に示された方法1300の非限定的な操作を含む本明細書に記載された操作の実行を容易にすることができる実行可能命令をその上に記憶することができる。非限定的な例として、この1つまたは複数のプロセッサは、半導体および/または超伝導デバイスの製造を実行するように動作可能な1つもしくは複数のシステムもしくは機器またはその両方を指揮もしくは制御または指揮および制御することによって、本明細書に記載された操作、例えば方法1300の実行を容易にすることができる。別の非限定的な例として、この1つまたは複数のプロセッサは、上で説明したようにDCバイアスを提供するように動作可能な1つもしくは複数のシステムもしくは機器(例えば電圧源116)またはその両方を指揮もしくは制御または指揮および制御することによって、本明細書に記載された操作、例えば方法1300の実行を容易にすることができる。
【0077】
1302で、方法1300は、スイッチ・デバイス(例えばスイッチ・デバイス108)を(例えばコンピュータ1412もしくは電圧源116またはその両方を使用してDCバイアスを印加することにより)使用して、スイッチ・デバイスの位置(例えば閉位置、開位置など)に基づいて、キュービット(例えば量子デバイス102のキュービット)に結合された読出し共振器の周波数をシフトする(例えば、図1を参照して上で説明したように、読出し共振器104の共振周波数をλ/2からλ/4におよびλ/4からλ/2にシフトする)ことを含むことができ、このスイッチ・デバイスは、(例えばコンピュータ1412を介して、)読出し共振器を横切って形成されている。
【0078】
1304で、方法1300は、第2のスイッチ・デバイス(例えばスイッチ・デバイス204)を(例えばコンピュータ1412もしくは電圧源116またはその両方を使用してDCバイアスを印加することにより)使用して、第2のスイッチ・デバイスの位置(例えば閉位置、開位置など)に基づいて、複数のキュービット(例えば図2Aおよび2Bを参照して上で説明したキュービット1およびキュービット2)に結合されたバス共振器の周波数をシフトする(例えば、図2を参照して上で説明したように、バス共振器202の共振周波数をλ/2からλ/4におよびλ/4からλ/2にシフトする)ことを含むことができ、この第2のスイッチ・デバイスは、バス共振器を横切って形成されている。
【0079】
説明を単純にするため、本明細書に記載された方法(例えばコンピュータ実施方法)は、一連の動作として示され、説明される。主題である革新は、示された動作によって、もしくは動作の順序によって、またはその両方によって限定されるものではなく、例えば、動作は、さまざまな順序でもしくは同時に、またはその両方で実施することができ、本明細書に示されていない他の動作および本明細書に記載されてない他の動作とともに実施することができることを理解および認識すべきである。さらに、開示された主題に従って本明細書に記載された方法(例えばコンピュータ実施方法)を実施するのに、示された全ての動作が必要であるというわけではない。さらに、代替として、そのような方法を、状態図または事象によって、相互に関係づけられた一連の状態として表すことができることを当業者は理解および認識するであろう。さらに、以下に開示される方法(例えばコンピュータ実施方法)および本明細書の全体を通して開示される方法(例えばコンピュータ実施方法)は、そのような方法(例えばコンピュータ実施方法)をコンピュータに移送および転送することを容易にするために、製品上に記憶することができることも認識すべきである。本明細書で使用されるとき、製品という用語は、コンピュータ可読デバイスまたはストレージ媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラムを包含することが意図されている。
【0080】
開示された主題のさまざまな態様に対する背景を提供するため、図14および以下の議論は、開示された主題のさまざまな態様を実施することができる適当な環境の一般的な説明を提供することが意図されている。図14は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的で非限定的な動作環境のブロック図を示している。例えば、動作環境1400を使用して、本明細書に記載された主題開示の1つまたは複数の実施形態の実施態様を容易にすることができる、図12の例示的で非限定的な方法1200もしくは図13の例示的で非限定的な方法1300またはその両方を実施することができる。簡潔にするため、対応するそれぞれの実施形態で使用されている同じ要素もしくはプロセスまたはその両方の繰返しの説明は省く。
【0081】
図14を参照すると、本開示のさまざまな態様を実施するための適当な動作環境1400はさらに、コンピュータ1412を含むことができる。コンピュータ1412はさらに、処理ユニット1414、システム・メモリ1416およびシステム・バス1418を含むことができる。システム・バス1418は、限定はされないがシステム・メモリ1416を含むシステム構成要素を処理ユニット1414に結合する。処理ユニット1414は、使用可能なさまざまなプロセッサのうちの任意のプロセッサとすることができる。デュアル・マイクロプロセッサおよびその他のマルチプロセッサ・アーキテクチャを処理ユニット1414として使用することもできる。システム・バス1418は、限定はされないがインダストリアル・スタンダード・アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネル・アーキテクチャ(MCA)、エンハンストISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、VESAローカル・バス(VLB)、ペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(PCI)、カード・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスト・グラフィクス・ポート(AGP)、Firewire(IEEE 1394)、およびスモール・コンピュータ・システムズ・インタフェース(SCSI)を含む使用可能なさまざまなバス・アーキテクチャのうちの任意のバス・アーキテクチャを使用した、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺バスもしくは外部バス、またはローカル・バス、あるいはこれらの組合せを含む、いくつかのタイプのバス構造体のうちの任意のバス構造体とすることができる。
【0082】
システム・メモリ1416はさらに、揮発性メモリ1420および不揮発性メモリ1422を含むことができる。不揮発性メモリ1422には基本入出力システム(BIOS)が記憶されており、BIOSは、起動中などにコンピュータ1412内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む。コンピュータ1412はさらに、取外し可能/非取外し可能な揮発性/不揮発性コンピュータ・ストレージ媒体を含むことができる。図14は例えばディスク・ストレージ1424を示している。ディスク・ストレージ1424はさらに、限定はされないが、磁気ディスク・ドライブ、フロッピー(R)・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュ・メモリ・カードまたはメモリ・スティックのようなデバイスを含むことができる。ディスク・ストレージ1424はさらに、他のストレージ媒体とは別個の、または他のストレージ媒体と組み合わされた、ストレージ媒体を含むことができる。システム・バス1418へのディスク・ストレージ1424の接続を容易にするため、通常は、インタフェース1426などの取外し可能なまたは非取外し可能なインタフェースが使用される。図14はさらに、適当な動作環境1400の中で説明した基本コンピュータ・リソースとユーザとの間の媒介物として機能するソフトウェアを示している。このようなソフトウェアはさらに、例えばオペレーティング・システム1428を含むことができる。ディスク・ストレージ1424に記憶することができるオペレーティング・システム1428は、コンピュータ1412のリソースの制御および割振りを実行するように機能する。
【0083】
システム・アプリケーション1430は、例えばシステム・メモリ1416またはディスク・ストレージ1424に記憶されたプログラム・モジュール1432およびプログラム・データ1434を介したオペレーティング・システム1428によるリソースの管理を利用する。本開示は、さまざまなオペレーティング・システムまたはオペレーティング・システムの組合せを用いて実施することができることを認識すべきである。ユーザは、入力デバイス1436を介してコンピュータ1412にコマンドまたは情報を入力する。入力デバイス1436は、限定はされないが、マウスなどのポインティング・デバイス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイクロホン、ジョイスティック、ゲーム・パッド、衛星アンテナ、スキャナ、TVチューナ・カード、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、ウェブ・カメラなどを含む。これらの入力デバイスおよびその他の入力デバイスは、インタフェース・ポート1438を介し、システム・バス1418を通して処理ユニット1414に接続する。インタフェース・ポート1438は、例えばシリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポートおよびユニバーサル・シリアル・バス(USB)を含む。出力デバイス1440は、入力デバイス1436と同じタイプのポートのうちのいくつかのポートを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータ1412に入力を提供すること、およびコンピュータ1412から出力デバイス1440に情報を出力することができる。とりわけモニタ、スピーカおよびプリンタのように、専用アダプタを必要とするいくつかの出力デバイス1440があることを示すために、出力アダプタ1442が提供されている。例として、出力アダプタ1442は、限定はされないが、出力デバイス1440とシステム・バス1418の間の接続手段を提供するビデオ・カードおよびサウンド・カードを含む。リモート・コンピュータ1444などの他のデバイスもしくはデバイス・システムまたはその両方は、入力機能と出力機能の両方を提供することに留意すべきである。
【0084】
コンピュータ1412は、ネットワーク化された環境内で、リモート・コンピュータ1444などの1つまたは複数のリモート・コンピュータへの論理接続を使用して動作することができる。リモート・コンピュータ1444は、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサ・ベースの機器、ピア・デバイスまたは他の一般的なネットワーク・ノードなどであることができ、通常はさらに、コンピュータ1412に関して説明した要素のうちの多くの要素または全ての要素を含むことができる。簡潔にするため、リモート・コンピュータ1444にはメモリ・ストレージ・デバイス1446だけが示されている。リモート・コンピュータ1444は、ネットワーク・インタフェース1448を介してコンピュータ1412に論理的に接続されており、次いで通信接続1450を介して物理的に接続されている。ネットワーク・インタフェース1448は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、セル方式ネットワークなどの有線もしくは無線通信ネットワークまたはその両方を包含する。LAN技術は、光ファイバ分散データ・インタフェース(FDDI)、銅線分散データ・インタフェース(CDDI)、Ethernet(R)、トークン・リングなどを含む。WAN技術は、限定はされないが、ポイント・ツー・ポイント・リンク、回線交換ネットワーク、例えば統合サービス・デジタル・ネットワーク(ISDN)およびその変形物、パケット交換ネットワーク、ならびにデジタル加入者線(DSL)を含む。通信接続1450は、ネットワーク・インタフェース1448をシステム・バス1418に接続するのに使用されるハードウェア/ソフトウェアを指す。図を分かりやすくするために、通信接続1450はコンピュータ1412の内側に示されているが、通信接続1450をコンピュータ1412の外側に置くこともできる。例示だけが目的だが、ネットワーク・インタフェース1448に接続するためのハードウェア/ソフトウェアはさらに、通常の電話機グレードのモデム、ケーブル・モデムおよびDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタならびにEthernet(R)カードなどの内部および外部技術を含むことができる。
【0085】
本発明は、インテグレーションの可能な任意の技術的詳細レベルにおいて、システム、方法、装置もしくはコンピュータ・プログラム製品、またはこれらの組合せであることがある。コンピュータ・プログラム製品は、本発明の態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読ストレージ媒体を含むことができる。このコンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスが使用するための命令を保持および記憶することができる有形のデバイスとすることができる。このコンピュータ可読ストレージ媒体は例えば、限定はされないが、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光学ストレージ・デバイス、電磁気ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイスまたはこれらの適当な組合せとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リードオンリー・メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル・リードオンリー・メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リードオンリー・メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、機械的にコード化されたデバイス、例えばパンチカードまたはその上に命令が記録された溝の中の一段高くなった構造体、およびこれらの適当な組合せを含みうる。本明細書で使用されるとき、コンピュータ可読ストレージ媒体は、それ自体が一過性の信号、例えば電波もしくは他の自由に伝搬する電磁波、ウェーブガイドもしくは他の伝送体内を伝搬する電磁波(例えば光ファイバ・ケーブル内を通る光パルス)、または電線を通して伝送される電気信号であると解釈されるべきではない。
【0086】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体から対応するそれぞれのコンピューティング/処理デバイスにダウンロードすることができ、またはネットワーク、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークもしくは無線ネットワークまたはこれらの組合せを介して外部コンピュータもしくは外部ストレージ・デバイスにダウンロードすることができる。このネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータもしくはエッジ・サーバ、またはこれらの組合せを含むことができる。それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インタフェースは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信し、それらのコンピュータ可読プログラム命令を、対応するそれぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体に記憶するために転送する。本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、もしくは集積回路用のコンフィギュレーション・データであってもよく、またはSmalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同種のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれた、ソース・コードもしくはオブジェクト・コードであることができる。このコンピュータ可読プログラム命令は、全体がユーザのコンピュータ上で実行されてもよく、一部がユーザのコンピュータ上で実行されてもよく、独立型ソフトウェア・パッケージとして実行されてもよく、一部がユーザのコンピュータ上で、一部がリモート・コンピュータ上で実行されてもよく、または全体がリモート・コンピュータもしくはリモート・サーバ上で実行することができる。上記の最後のシナリオでは、リモート・コンピュータを、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されたものとすることができ、またはこの接続を、外部コンピュータに対して(例えばインターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)実施することができる。いくつかの実施形態では、本発明の態様を実行するために、例えばプログラム可能論理回路、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)またはプログラム可能論理アレイ(PLA)を含む電子回路が、このコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用してその電子回路をパーソナライズすることにより、このコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0087】
本明細書では、本発明の態様が、本発明の実施形態による方法、装置(システム)およびコンピュータ・プログラム製品の流れ図もしくはブロック図またはその両方の図を参照して説明される。それらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のそれぞれのブロック、およびそれらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施することができることが理解される。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、機械を形成する汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに、それらのコンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行されるこれらの命令が、これらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のブロックに指定された機能/動作を実施する手段を生成するような態様で提供することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令はさらに、特定の方式で機能するようにコンピュータ、プログラム可能データ処理装置もしくは他のデバイスまたはこれらの組合せに指図することができるコンピュータ可読ストレージ媒体に、その中に命令が記憶されたコンピュータ可読ストレージ媒体が、これらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のブロックに指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製品を含むような態様で、記憶することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令はさらに、コンピュータ、他のプログラム可能装置または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータによって実施されるプロセスを生成するために、このコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置または他のデバイス上に、このコンピュータ、他のプログラム可能装置または他のデバイス上で実施されるこれらの命令が、これらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のブロックに指定された機能/動作を実施するような態様で、ロードすることができる。
【0088】
添付図中の流れ図およびブロック図は、本発明のさまざまな実施形態によるシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能および動作を示している。この点に関して、それらの流れ図またはブロック図のそれぞれのブロックは、指定された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメントまたは部分を表しうる。いくつかの代替実施態様では、これらのブロックに示された機能を、図に示された順序とは異なる順序で実施することができる。例えば、連続して示された2つのブロックを、実際には、実質的に同時に実行することができ、または、含まれる機能によってはそれらのブロックを逆の順序で実行することもできる。それらのブロック図もしくは流れ図またはその両方の図のそれぞれのブロック、ならびにそれらのブロック図もしくは流れ図またはその両方の図のブロックの組合せを、指定された機能もしくは動作を実行しまたは専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せを実施するハードウェアベースの専用システムによって実施することができることにも留意すべきである。
【0089】
以上に、1台のコンピュータ上もしくは複数のコンピュータ上またはその両方で実行されるコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行命令の一般的な文脈で主題を説明したが、他のプログラム・モジュールと組み合わせて本開示を実施することもできることを当業者は認識するであろう。一般に、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行し、もしくは特定の抽象データ型を実装し、またはその両方を実行する、ルーチン、プログラム、構成要素、データ構造などを含む。さらに、本発明のコンピュータ実施方法は、シングルプロセッサまたはマルチプロセッサ・コンピュータ・システム、ミニコンピューティング・デバイス、メインフレーム・コンピュータ、コンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス(例えばPDA、電話機)、マイクロプロセッサ・ベースのまたはプログラム可能な家庭用または産業用電子機器などを含む、他のコンピュータ・システム構成を用いて実施することもできることを当業者は認識するであろう。示された態様は、通信ネットワークを通してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実施することもできる。しかしながら、全部ではないにせよ、本開示の一部の態様を、独立型コンピュータ上で実施することもできる。分散コンピューティング環境では、ローカル・メモリ・ストレージ・デバイスとリモート・メモリ・ストレージ・デバイスの両方にプログラム・モジュールを置くことができる。例えば、1つまたは複数の実施形態では、1つもしくは複数の分散メモリ・ユニットを含むことができるメモリまたは1つもしくは複数の分散メモリ・ユニットからなることができるメモリからコンピュータ実行可能構成要素を実行することができる。本明細書で使用されるとき、用語「メモリ」と「メモリ・ユニット」は相互に交換可能である。さらに、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態は、コンピュータ実行可能構成要素のコードを分散方式で実行すること、例えば、コンピュータ実行可能構成要素のコードを、1つまたは複数の分散メモリ・ユニットからのコードを実行するように連合しまたは協力して機能する多数のプロセッサ内で実行することができる。本明細書で使用されるとき、用語「メモリ」は、1つの位置にある単一のメモリもしくはメモリ・ユニット、または1つもしくは複数の位置にある多数のメモリもしくはメモリ・ユニットを包含しうる。
【0090】
本出願で使用されるとき、用語「構成要素」、「システム」、「プラットフォーム」、「インタフェース」などは、1つもしくは複数の特定の機能を有する実体であって、コンピュータに関係した実体もしくはオペレーショナル・マシンに関係した実体を指すことができ、またはそのようは実体を含むことができ、またはその両方であることができる。本明細書に開示された実体は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアであることができる。例えば、構成要素は、限定はされないが、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プログラムもしくはコンピュータ、またはこれらの組合せであることができる。例として、サーバ上で実行されるアプリケーションとサーバの両方が構成要素であることがある。プロセスもしくは実行スレッドまたはその両方の中に、1つまたは複数の構成要素が存在することができ、構成要素は、1つのコンピュータ上に限局されていること、もしくは2つ以上のコンピュータ間に分散化されていること、またはその両方であることができる。他の例では、さまざまなデータ構造がその上に記憶されたさまざまなコンピュータ可読媒体から、対応するそれぞれの構成要素を実行することができる。構成要素は、ローカル・プロセスもしくはリモート・プロセスまたはその両方を介して、例えば1つまたは複数のデータ・パケット(例えば、ローカル・システム内で、分散システム内で、もしくはインターネットなどのネットワークを横切って、またはこれらの組合せで、他のシステムとともに、信号を介して別の構成要素と対話している1つの構成要素からのデータ)を有する信号に従って通信することができる。別の例として、構成要素は、電気または電子回路によって操作される機械部品によって提供される特定の機能を有する装置であることができ、この電気または電子回路は、プロセッサによって実行されるソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションによって操作される。このような場合、プロセッサは、装置内または装置外に置くことができ、ソフトウェア・アプリケーションまたはファームウェア・アプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。別の例として、構成要素は、機械部品を含まない電子構成要素を介して特定の機能を提供する装置であることができ、それらの電子構成要素は、電子構成要素の機能を少なくとも部分的に与えるソフトウェアまたはファームウェアを実行するためのプロセッサまたは他の手段を含むことができる。一態様では、構成要素が、例えばクラウド・コンピューティング・システム内で、仮想機械を介して電子構成要素をエミュレートすることができる。
【0091】
さらに、用語「または」は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することが意図されている。すなわち、特段の記載がある場合、または文脈から明白である場合を除き、「XがAまたはBを使用する」は、自然な包括的置換のうちのいずれかを意味することが意図されている。すなわち、XがAを使用する場合、XがBを使用する場合、またはXがAとBの両方を使用する場合、「Xが、AまたはBを使用する」は、上記のいずれの事例の下でも満たされる。さらに、特段の記載がある場合、または単数形を指示していることが文脈から明白である場合を除き、本明細書および添付図面で使用される冠詞「a」および「an」は、一般に、「1つまたは複数」を意味すると解釈すべきである。本明細書で使用されるとき、用語「例」もしくは「例示的な」またはその両方は、例、事例または例示として役に立つものであることを意味するために利用される。誤解を避けるために言うと、本明細書に開示された主題はこのような例によって限定されない。さらに、「例」もしくは「例示的な」またはその両方として本明細書に記載された任意の態様または設計を、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈する必要は必ずしもなく、あるいは、そのような態様または設計が、当業者に知られている等価の例示的な構造体および技術を排除することも意味しない。
【0092】
本明細書で使用されるとき、「プロセッサ」という用語は、限定はされないが、シングルコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行機能を有するシングルコア・プロセッサ、マルチコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行機能を有するマルチコア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術を有するマルチコア・プロセッサ、パラレル・プラットフォーム、および分散共用メモリを有するパラレル・プラットフォームを含む、実質的に任意のコンピューティング処理ユニットまたはデバイスを指しうる。さらに、プロセッサは、本明細書に記載された機能を実行するように設計された集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)、ディスクリート・ゲートまたはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、またはこれらの任意の組合せを指しうる。さらに、プロセッサは、空間使用を最適化し、またはユーザ機器の性能を強化するために、限定はされないが、分子ベースおよび量子ドット・ベースのトランジスタ、スイッチおよびゲートなどのナノスケール・アーキテクチャを利用することができる。プロセッサを、コンピューティング処理ユニットの組合せとして実施することもできる。本開示では、「ストア」、「ストレージ」、「データ・ストア」、「データ・ストレージ」、「データベース」などの用語、ならびに構成要素の動作および機能に関連する実質的に任意の他の情報ストレージ構成要素が、「メモリ」またはメモリを含む構成要素として具体化された実体である「メモリ構成要素」を指すために利用される。本明細書に記載されたメモリもしくはメモリ構成要素またはその両方は、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリであることができ、または揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含むことができることを認識すべきである。例として、不揮発性メモリは、限定はされないが、リードオンリー・メモリ(ROM)、プログラマブルなROM(PROM)、消去可能なプログラマブルROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリまたは不揮発性のランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリはRAMを含むことができ、RAMは、例えば外部キャッシュ・メモリとして機能することができる。例として、限定はされないが、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトRambus RAM(DRRAM)、ダイレクトRambusダイナミックRAM(DRDRAM)およびRambusダイナミックRAM(RDRAM)など、多くの形態のRAMが使用可能である。さらに、本明細書のシステムまたはコンピュータ実施方法の開示されたメモリ構成要素は、限定はされないが、これらのタイプのメモリおよび他の適当なタイプのメモリを含むことが意図されている。
【0093】
以上に説明したことは、システムおよびコンピュータ実施方法の単なる例を含む。当然ながら、本開示を説明するために、構成要素またはコンピュータ実施方法の考えうるあらゆる組合せを記載することは不可能だが、本開示の他の多くの組合せおよび置換が可能であることを当業者は理解することができる。さらに、詳細な説明、特許請求の範囲、付録および図面において用語「含む(includes)」、「有する(has)」、「所有する(possesses)」などが使用される範囲で、このような用語は、用語「備える/含む(comprising)」が、請求項中で転換語として使用されているときに解釈されるのと同様に、包括的であることが意図されている。
【0094】
さまざまな実施形態の以上の説明は例示のために示したものであり、以上の説明が網羅的であること、または、以上の説明が、開示された実施形態だけに限定されることは意図されていない。当業者には、記載された実施形態の範囲および思想を逸脱しない多くの変更および変形が明らかとなろう。本明細書で使用した用語は、実施形態の原理、実用的用途、もしくは市販されている技術にはない技術的改善点を最もよく説明するように、または本明細書に開示された実施形態を当業者が理解できるように選択した。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14