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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】情報処理方法、装置及び通信機器
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/21 20230101AFI20241122BHJP
   H04W 28/02 20090101ALI20241122BHJP
   H04W 72/1268 20230101ALI20241122BHJP
【FI】
H04W72/21
H04W28/02
H04W72/1268
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022562035
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2021086160
(87)【国際公開番号】W WO2021204243
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-11
【審判番号】
【審判請求日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】202010275729.5
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】劉 進華
【合議体】
【審判長】中木 努
【審判官】廣川 浩
【審判官】本郷 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-125875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24- 7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継機器に応用される情報処理方法であって、
プリエンプティブバッファ状態報告BSRをトリガするステップと、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするステップと、を含み、
前記第1状況は、
アップリンクデータの受信状況と、
レギュラーBSR及び周期的BSRのうちの少なくとも一方であるターゲットBSRのトリガ状況と、のうちの少なくとも1つを含む情報処理方法。
【請求項2】
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、前記プリエンプティブBSRをキャンセルする前記ステップは、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、受信が期待されるデータを受信した場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、前記プリエンプティブBSRをキャンセルする前記ステップは、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、受信が期待されるデータのうちの最高優先度の論理チャネルグループLCGに対応するデータを受信した場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするステップを含請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、前記プリエンプティブBSRをキャンセルする前記ステップは、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、前記ターゲットBSRがトリガされ、且つ第1優先度が第2優先度以上である場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするステップを含み、
前記第1優先度は、前記ターゲットBSRに対応する最高優先度のLCGの優先度であり、前記第2優先度は、受信が期待されるデータに対応する最高優先度のLCGの優先度である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、前記プリエンプティブBSRをキャンセルする前記ステップは、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、前記ターゲットBSRがトリガされ、且つ前記プリエンプティブBSRを運ぶための媒体アクセス制御プロトコルデータユニットMAC PDUが前記プリエンプティブBSRと前記ターゲットBSRを同時に運ぶことができない場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
中継機器に応用される情報処理装置であって、
プリエンプティブBSRをトリガするためのトリガモジュールと、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするための処理モジュールと、を含み、
前記第1状況は、
アップリンクデータの受信状況と、
レギュラーBSR及び周期的BSRのうちの少なくとも一方であるターゲットBSRのトリガ状況と、のうちの少なくとも1つを含む情報処理装置。
【請求項7】
前記処理モジュールは、具体的に、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、受信が期待されるデータを受信した場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするためのものである請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記処理モジュールは、具体的に、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、受信が期待されるデータのうちの最高優先度のLCGに対応するデータを受信した場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするためのものであ請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記処理モジュールは、具体的に、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、前記ターゲットBSRがトリガされ、且つ第1優先度が第2優先度以上である場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするためのものであり、
前記第1優先度は、前記ターゲットBSRに対応する最高優先度のLCGの優先度であり、前記第2優先度は、受信が期待されるデータに対応する最高優先度のLCGの優先度である請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記処理モジュールは、具体的に、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、前記ターゲットBSRがトリガされ、且つ前記プリエンプティブBSRを運ぶためのMAC PDUが前記プリエンプティブBSRと前記ターゲットBSRを同時に運ぶことができない場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするためのものである請求項6に記載の装置。
【請求項11】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムとを備え、前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行されると、請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理方法のステップが実現される、通信機器。
【請求項12】
コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理方法のステップが実現される、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年4月9日に中国で出願した中国特許出願番号No.202010275729.5の優先権を主張し、その全ての内容は引用によって本文に取り込まれる。
【0002】
本発明は、通信技術分野に関し、特に、情報処理方法、装置及び通信機器に関する。
【背景技術】
【0003】
プリエンプティブバッファ状態報告(Buffer Status Report,BSR)は、受信されたBSR又は受信が期待されるデータに基づいてトリガされるBSR報告である。プリエンプティブBSRは、スケジューリング要求(Scheduling Request,SR)の送信をトリガすることができるが、プリエンプティブBSRのトリガ後、セルフバックホール(integrated access backhaul,IAB)移動端末(Mobile Termination,MT)は、SRの送信機会を待つ必要があり、SRの送信後、IAB MTは、さらに、親IABノードのスケジューリングを待つ必要がある。しかしながら、親IABノードからのアップリンク伝送許可を受信した後にプリエンプティブBSRを送信しようとするときに、受信が期待されるデータが既に変わった可能性がある。この場合に、プリエンプティブBSRのトリガ条件が既になくなり、或いは変更したので、親IABノードのスケジューリングに寄与しないプリエンプティブBSRを送信しては、親IABノードのアップリンクスケジューリングへの妨害になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、従来の技術ではプリエンプティブBSRの送信によってアップリンクスケジューリングへの妨害になる可能性があるという課題を解決するために、情報処理方法、装置及び通信機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術課題を解決するために、本発明は、次のように実現する。
【0006】
第1側面において、本発明の実施例は、中継機器に応用される情報処理方法であって、
プリエンプティブBSRをトリガするステップと、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするステップと、を含み、
前記第1状況は、
アップリンクデータの受信状況と、
レギュラーBSR及び周期的BSRのうちの少なくとも一方であるターゲットBSRのトリガ状況と、のうちの少なくとも1つを含む情報処理方法を提供する。
【0007】
第2側面において、本発明の実施例は、中継機器に応用される情報処理装置であって、
プリエンプティブBSRをトリガするためのトリガモジュールと、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするための処理モジュールと、を含み、
前記第1状況は、
アップリンクデータの受信状況と、
レギュラーBSR及び周期的BSRのうちの少なくとも一方であるターゲットBSRのトリガ状況と、のうちの少なくとも1つを含む情報処理装置を提供する。
【0008】
第3側面において、本発明の実施例は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムとを備え、前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行されると、前記情報処理方法のステップを実現できる通信機器を提供する。
【0009】
第4側面において、本発明の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、前記情報処理方法のステップを実現できるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施例において、プリエンプティブBSRをトリガした後に、プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける状況、例えばアップリンクデータの受信状況及び/又はターゲットBSRのトリガ状況に応じて、プリエンプティブBSRをキャンセルすることができる。よって、無効なプリエンプティブBSRの送信を回避してリソースを節約するとともに、無効なプリエンプティブBSRによるアップリンクスケジューリングへの妨害を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下において、本発明の実施例に用いられる図面を簡単に説明し、当然ながら、以下の説明における図面は本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面から他の図面に想到し得る。
図1】本発明の実施例におけるIABシステムの構造模式図である。
図2】本発明の実施例におけるIABシステムの集約ユニット-分散ユニット(Centralized Unit-Distributed Unit,CU-DU)の構造の模式図である。
図3】本発明の実施例の情報処理方法のフローチャートである。
図4】本発明の実施例におけるプリエンプティブBSRのキャンセルプロセスの模式図の1つである。
図5】本発明の実施例におけるプリエンプティブBSRのキャンセルプロセスの模式図の1つである。
図6】本発明の実施例におけるプリエンプティブBSRのキャンセルプロセスの模式図の1つである。
図7】本発明の実施例におけるプリエンプティブBSRのキャンセルプロセスの模式図の1つである。
図8】本発明の実施例の情報処理装置の構造模式図である。
図9】本発明の実施例の通信機器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下において、本発明の実施例に用いられる図面を簡単に説明し、当然ながら、以下の説明における図面は本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面から他の図面に想到し得る。
【0013】
本発明の実施例を理解しやすくするために、まず、以下の内容を説明する。
【0014】
図1を参照し、図1は、本発明の実施例におけるIABシステムの構造模式図である。IABシステムでは、IABノードは、分散ユニット(Distributed Unit,DU)機能部と移動端末(Mobile Termination,MT)機能部とを含む。MTにより、アクセスポイント(即ち、IABノード node)は、上流アクセスポイント(即ち、親IABノード,parent IAB node)を見つけ、当該上流アクセスポイントのDUと、バックホールリンク(backhaul link)と呼ばれる無線接続を確立することができる。IABノードは、完全なバックホールリンクを確立すると、そのDU機能をオンにし、DU機能は、セルサービスを提供し、即ち、ユーザー機器(User Equipment,UE)にアクセスサービスを提供できる。セルフバックホールループに、サービスdonor IABノード(又はIAB donorという)が含まれ、donor IABノードと直接接続されている有線伝送ネットワークが存在する。
【0015】
IABシステムの集約ユニット-分散ユニット(Centralized Unit-Distributed Unit,CU-DU)の構造図は、図2に示されるものであってもよい。セルフバックホールループにおいて、全てのIABノードのDUは、同一のCUノードに接続されており、当該CUノードは、F1-APプロトコルによりDUに対する配置を行う。CUは、無線リソース制御(Radio Resource Control,RRC)プロトコルによりMTを配置する。Donor IABノードは、MT機能部を有していない。
【0016】
IABシステムは、アクセスポイントが密に配置されている場合に有線伝送ネットワークの配置が足りないという状況を解決し、つまり、有線伝送ネットワークがない場合にアクセスポイントは無線バックホールを利用できるようにするために導入されたものである。
【0017】
本発明の実施例において、BSRの種類は、少なくとも以下の2つに分けられてもよい。1)レギュラーBSR(Regular BSR):当該Regular BSRは、現在のデータ送信ありの論理チャネル(Logical Channel,LCH)よりも優先度の高いLCHがデータ送信なしからデータ送信ありに変更した場合、全てのLCHがデータ送信なしのときに1つのLCHがデータ送信ありに変更した場合、再送BSRタイマー(retxBSR-Timer)がタイムアウトしたときに少なくとも1つのLCHにまだ送信する必要のあるデータが存在する場合のいずれかにおいてトリガされてもよい。2)周期的BSR(Periodic BSR):当該Periodic BSRは、周期的BSRタイマー(periodicBSR-Timer)がタイムアウトした場合にトリガされてもよい。
【0018】
LCHは、論理チャネルグループ(LCH Group,LCG)に属し、BSRのBS(バッファサイズ,buffer size)は、LCG単位で報告され、最大8つのLCGまで配置可能である。Regular BSRは、SRの送信をトリガできる。前回のSRの送信後に許可(grant)を与えられない場合に、SRの再送をトリガできる。
【0019】
本発明の実施例において、プリエンプティブBSRは、pre-emptive BSRである。プリエンプティブBSRは、受信されたBSR又は受信が期待されるデータに基づいてトリガされることができる。なお、受信されたBSRについて、受信が期待されるデータの存在を表す場合がある。
【0020】
アップリンクデータの伝送遅延を低減するために、IABノードがUE又は下流IABノードのBSR(又はSR)を受信した後に、pre-emptive BSRをトリガしてもよく、又は、当該IABノードに受信が期待されるデータがある場合、pre-emptive BSRをトリガしてもよい。受信が期待されるデータは、下流IABノード又はサービス対象のUEに送信されたアップリンク伝送許可によって決定することができる。プリエンプティブBSRをトリガした後に、SRの送信をトリガしてアップリンク伝送リソースを要求することができ、アップリンク伝送リソースを取得した場合に、IABノードは、プリエンプティブBSRを生成して親IABノードに送信し、プリエンプティブBSRをキャンセルすることができる。ここで、プリエンプティブBSRは、ロングBSRフォーマット(format)でのみ伝送してもよく、受信が期待されるデータのLCGに応じて3~11バイトを占有する。
【0021】
プリエンプティブBSRのトリガから送信までの時間間隔については、主にSRリソースの周期、親IABノードのスケジューリング、物理層伝送パラメータの配置などに依存する。プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRを含む媒体アクセス制御(Media Access Control,MAC)プロトコルデータユニット(Protocol Data Unit,PDU)の生成までの時間間隔は、数ミリ秒から数十ミリ秒、さらに、それ以上になる場合がある。
【0022】
図3を参照し、図3は、本発明の実施例で提供される情報処理方法のフローチャートであり、当該方法は、中継(relay)機器(当該中継機器は、例えばIABノード機器又は他の場面における中継機器)に応用される。図3に示すように、この方法は、以下のステップを含む。
【0023】
ステップ301:プリエンプティブBSRをトリガする。
【0024】
本実施例において、プリエンプティブBSR(pre-emptive BSR)は、受信されたBSR又は受信が期待されるデータに基づいてトリガされることができる。
【0025】
ステップ302:プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、プリエンプティブBSRをキャンセルする。
【0026】
選択的に、当該第1状況は、
プリエンプティブBSRのトリガ時の受信が期待されるデータの受信状況であってもよいアップリンクデータの受信状況と、
レギュラーBSR及び周期的BSRのうちの少なくとも一方であるターゲットBSRのトリガ状況と、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
つまり、本実施例における中継機器(例えば、IAB MT)は、受信されたBSR又は受信が期待されるデータに基づくプリエンプティブBSRのトリガからアップリンク伝送許可の受信(又はMAC PDUの構築)までの間、アップリンクデータの受信状況及び/又はターゲットBSR(regular BSR及び/又はperiodic BSR)のトリガ状況に応じて、プリエンプティブBSRをキャンセルするか否かを決定することができる。このプリエンプティブBSRのキャンセルは、プリエンプティブBSRの送信のキャンセル、又は、トリガされたプリエンプティブBSRのキャンセルとして理解できる。
【0028】
本発明の実施例の情報処理方法により、プリエンプティブBSRをトリガした後に、プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける状況、例えばアップリンクデータの受信状況及び/又はターゲットBSRのトリガ状況に応じて、プリエンプティブBSRをキャンセルすることができる。よって、無効なプリエンプティブBSRの送信を回避してリソースを節約することができるとともに、無効なプリエンプティブBSRによるアップリンクスケジューリングへの妨害を回避することができる。
【0029】
本発明の実施例において、プリエンプティブBSRがトリガされた後にプリエンプティブBSRをキャンセルする方式は、以下のいずれか1つを含んでもよい。
【0030】
(1)プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、受信が期待されるデータを受信した場合に、プリエンプティブBSRをキャンセルする。
【0031】
この(1)でのプリエンプティブBSRのキャンセル方式としては、具体的に、受信が期待されるデータが全て受信された後でのみ、プリエンプティブBSRをキャンセルする。例えば、IAB MTがプリエンプティブBSRを運ぶMAC PDUを構築するプロセスにおいて、受信が期待されるデータが0となり、即ち、受信が期待されるデータが全て受信された場合に、トリガされたプリエンプティブBSRをキャンセルすることができる。IAB MTは受信が期待されるデータの一部のみを受信した場合に、トリガされたプリエンプティブBSRをキャンセルしない。
【0032】
この(1)における方式によれば、IAB MTは、プリエンプティブBSRを生成してMAC PDUに入れる際に、プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成までの期間のアップリンクデータの受信状況に応じて、下流ノード又はUEからのBSRに対応するデータ、又は、過去に発行されたアップリンク伝送許可によって決定された、受信が期待されるデータが全て受信されたか否かを判断することができ、受信が完了した場合、即ち、受信が期待されるデータが0となった場合に、プリエンプティブBSRの送信をキャンセルすることができる。
【0033】
例えば、図4に示すように、UE又はIABノード1はBSRに基づいてIABノード2へのSRの送信をトリガし、IABノード2は、UE又はIABノード1に許可を与えた後にUE又はIABノード1で送信されたBSRを運ぶMAC PDUを受信し、プリエンプティブBSRをトリガした。その後、IABノード2はプリエンプティブBSRに基づいてIABノード3へのSRの送信をトリガし、IABノード3からの許可を受信した。この場合、
IABノード2がプリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成(MAC PDUの構築)までのプロセスにおいて、受信が期待されるデータを全て受信した場合、即ち、受信が期待されるデータが全て受信された場合に、プリエンプティブBSRの送信をキャンセルすることができ、つまり、IABノード3に送信される、構築されたMAC PDUにプリエンプティブBSRが含まれないか、又はプリエンプティブBSRを含むMAC PDUをIABノード3に送信しない。このように、IABノード2が無効なプリエンプティブBSRを送信することを回避してリソースを節約するとともに、無効なプリエンプティブBSRによる親IABノード(IABノード3)のスケジューリングへの妨害を回避することができる。
【0034】
(2)プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、第1データのうちの最高優先度のLCGに対応するデータを受信した場合に、プリエンプティブBSRをキャンセルし、前記第1データは受信が期待されるデータである。
【0035】
この(2)のプリエンプティブBSRのキャンセル方式としては、具体的に、期待される高優先度のLCGに対応する受信対象のデータが全て受信された後でのみ、プリエンプティブBSRをキャンセルする。例えば、IAB MTがプリエンプティブBSRを運ぶMAC PDUを構築するプロセスにおいて、期待される高優先度のLCGに対応する受信対象のデータが全て受信された場合に、トリガされたプリエンプティブBSRをキャンセルすることができる。IAB MTが高優先度のLCGに対応する受信対象のデータの一部を受信した場合に、トリガされたプリエンプティブBSRをキャンセルしない。
【0036】
この(2)における方式によれば、IAB MTは、プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成までの期間に、受信が期待されるデータのうちの高優先度のLCGに対応するデータを全て受信した場合に、プリエンプティブBSRの送信をキャンセルすることができる。
【0037】
例えば、図5に示すように、UE又はIABノード1はBSRに基づいてIABノード2へのSRの送信をトリガし、IABノード2は、UE又はIABノード1に許可を与えた後にUE又はIABノード1で送信されたBSRを運ぶMAC PDUを受信し、プリエンプティブBSRをトリガした。その後、IABノード2はプリエンプティブBSRに基づいてIABノード3へのSRの送信をトリガし、IABノード3からの許可を受信した。この場合、
IABノード2がプリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成(MAC PDUの構築)までのプロセスにおいて、受信が期待されるデータのうちの高優先度のLCGに対応する受信対象のデータを全て受信した場合に、プリエンプティブBSRの送信をキャンセルすることができ、つまり、IABノード3に送信される、構築されたMAC PDUにプリエンプティブBSRが含まれないか、又はプリエンプティブBSRを含むMAC PDUをIABノード3に送信しない。このように、IABノード2が無効なプリエンプティブBSRを送信することを回避してリソースを節約するとともに、無効なプリエンプティブBSRによる親IABノード(IABノード3)のスケジューリングへの妨害を回避することができる。
【0038】
(3)プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、ターゲットBSRがトリガされ、且つ第1優先度が第2優先度以上である場合に、プリエンプティブBSRをキャンセルし、前記第1優先度は、ターゲットBSRに対応する最高優先度のLCGの優先度であり、前記第2優先度は、受信が期待されるデータに対応する最高優先度のLCGの優先度である。
【0039】
この(3)のプリエンプティブBSRのキャンセル方式としては、具体的に、regular BSR及び/又はperiodic BSRのトリガ状況に応じてプリエンプティブBSRをキャンセルする。例えば、IAB MTがプリエンプティブBSRを運ぶMAC PDUの構築前にregular BSR及び/又はperiodic BSRをトリガし、且つ当該regular BSR及び/又はperiodic BSRによって報告される最高優先度のLCGの優先度がプリエンプティブBSRによって報告される最高優先度のLCGの優先度以上である場合に、トリガされたプリエンプティブBSRをキャンセルすることができる。
【0040】
この(3)における方式によれば、プリエンプティブBSRの生成時に、regular BSR及び/又はperiodic BSRが既にトリガされ、且つ当該regular BSR及び/又はperiodic BSRで指示された、データありのLCGのうちの最高優先度のLCGの優先度が、データ受信を期待するLCGのうちの最高優先度のLCGの優先度以上である場合に、プリエンプティブBSRをキャンセルすることができる。
【0041】
例えば、図6に示すように、UE又はIABノード1はBSRに基づいてIABノード2へのSRの送信をトリガし、IABノード2は、UE又はIABノード1に許可を与えた後にUE又はIABノード1で送信されたBSRを運ぶMAC PDUを受信し、プリエンプティブBSRをトリガした。その後、IABノード2はプリエンプティブBSRに基づいてIABノード3へのSRの送信をトリガし、IABノード3からの許可を受信した。この場合、
IABノード2は、プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成(MAC PDUの構築)までのプロセスにおいて、regular BSR及び/又はperiodic BSRが既にトリガされ、regular BSR及び/又はperiodic BSRで指示された、データありのLCGのうちの最高優先度のLCGの優先度である第1優先度が、データ受信を期待するLCGのうちの最高優先度のLCGの優先度である第2優先度以上である場合に、プリエンプティブBSRの送信をキャンセルすることができ、つまり、IABノード3に送信される、構築されたMAC PDUにプリエンプティブBSRが含まれないか、又はプリエンプティブBSRを含むMAC PDUをIABノード3に送信しない。このように、IABノード2が無効なプリエンプティブBSRを送信することを回避してリソースを節約するとともに、無効なプリエンプティブBSRによる親IABノード(IABノード3)のスケジューリングへの妨害を回避することができる。
【0042】
(4)プリエンプティブBSRのトリガからプリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、ターゲットBSRがトリガされ、且つプリエンプティブBSRを運ぶためのMAC PDUがプリエンプティブBSRとターゲットBSRを同時に運ぶことができない場合に、プリエンプティブBSRをキャンセルする。
【0043】
この(4)のプリエンプティブBSRのキャンセル方式としては、具体的に、MAC PDUの使用可能容量に基づいてプリエンプティブBSRをキャンセルするか否かを決定する。例えば、IAB MTがプリエンプティブBSRを運ぶMAC PDUの構築前にregular BSR及び/又はperiodic BSRが既にトリガされ、且つ当該regular BSR及び/又はperiodic BSRとプリエンプティブBSRを同時に運ぶのに当該MAC PDUの容量が足りない場合に、トリガされたプリエンプティブBSRをキャンセルすることができる。
【0044】
例えば、図7に示すように、UE又はIABノード1はBSRに基づいてIABノード2へのSRの送信をトリガし、IABノード2は、UE又はIABノード1に許可を与えた後にUE又はIABノード1で送信されたBSRを運ぶMAC PDUを受信し、プリエンプティブBSRをトリガした。その後、IABノード2はプリエンプティブBSRに基づいてIABノード3へのSRの送信をトリガし、IABノード3からの許可を受信した。この場合、
IABノード2は、プリエンプティブBSRのトリガからMAC PDUの構築までのプロセスにおいて、regular BSR及び/又はperiodic BSRが既にトリガされ、当該MAC PDUが当該regular BSR及び/又はperiodic BSRとプリエンプティブBSRを同時に運ぶのに不十分である場合に、プリエンプティブBSRの送信をキャンセルすることができ、つまり、IABノード3に送信される、構築されたMAC PDUにプリエンプティブBSRが含まれないか、又はプリエンプティブBSRを含むMAC PDUをIABノード3に送信しない。このように、IABノード2が無効なプリエンプティブBSRを送信することを回避してリソースを節約するとともに、無効なプリエンプティブBSRによる親IABノード(IABノード3)のスケジューリングへの妨害を回避することができる。
【0045】
図8を参照し、図8は、本発明の実施例で提供される情報処理装置の構造模式図であり、図8に示すように、当該情報処理装置80は、
プリエンプティブBSRをトリガするためのトリガモジュール81と、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおける第1状況に応じて、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするための処理モジュール82と、を含み、
前記第1状況は、
アップリンクデータの受信状況と、
レギュラーBSR及び周期的BSRのうちの少なくとも一方であるターゲットBSRのトリガ状況と、のうちの少なくとも1つを含む。
【0046】
選択的に、前記処理モジュール82は、具体的に、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、受信が期待されるデータを受信した場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするためのものである。
【0047】
選択的に、前記処理モジュール82は、具体的に、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、第1データのうちの最高優先度のLCGに対応するデータを受信した場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするためのものであり、
前記第1データは受信が期待されるデータである。
【0048】
選択的に、前記処理モジュール82は、具体的に、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、前記ターゲットBSRがトリガされ、且つ第1優先度が第2優先度以上である場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするためのものであり、
前記第1優先度は、前記ターゲットBSRに対応する最高優先度のLCGの優先度であり、前記第2優先度は、受信が期待されるデータに対応する最高優先度のLCGの優先度である。
【0049】
選択的に、前記処理モジュール82は、具体的に、
前記プリエンプティブBSRのトリガから前記プリエンプティブBSRの生成までのプロセスにおいて、前記ターゲットBSRがトリガされ、且つ前記プリエンプティブBSRを運ぶためのMAC PDUが前記プリエンプティブBSRと前記ターゲットBSRを同時に運ぶことができない場合に、前記プリエンプティブBSRをキャンセルするためのものである。
【0050】
本発明の実施例の端末80は、上記図3に示す方法の実施例で実現される各工程を実現するとともに、同じ有益な効果を達成することができ、重複を避けるために、ここで繰り返して説明しない。
【0051】
図9を参照し、図9は、本発明の実施例で提供される通信機器の構造模式図であり、図9に示すように、通信機器90は、プロセッサ91と、メモリ92と、前記メモリ92に記憶され、前記プロセッサ91によって実行可能なコンピュータプログラムとを備え、通信機器90における各構成要素は、バスインターフェース93によって結合され、上記コンピュータプログラムが前記プロセッサ91によって実行されると、上記図3に示す方法の実施例で実現される各工程を実現でき、且つ同様な技術効果を達成でき、重複を避けるために、ここで繰り返して説明しない。
【0052】
本発明の実施例は、更に、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体を提供し、該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、上記図3に示す方法の実施例の各工程を実現でき、且つ同様な技術効果を達成できる。重複を避けるために、ここで繰り返して説明しない。ここで、前記のコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)、磁気ディスク又は光ディスク等である。
【0053】
なお、本開示に記述したこれらの実施例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード又はそれらの組合せによって実現できる。ハードウェアによって実現する場合、モジュール、ユニット、サブモジュール、サブユニットなどは、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuits,ASIC)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processing,DSP)、デジタル信号処理装置(DSP Device,DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device,PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array,FPGA)、共通プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本出願に記載の機能を実行するための他の電子ユニット又はそれらの組合せにおいて実現することができる。
【0054】
説明すべきことは、本明細書において、用語「含む」、「からなる」又はその他のあらゆる変形は、非排他的包含を含むように意図され、それにより一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置は、それらの要素のみならず、明示されていない他の要素、又はこのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の要素をも含む点である。特に断らない限り、語句「1つの……を含む」により限定される要素は、該要素を含むプロセス、方法、物品又は装置に別の同じ要素がさらに存在することを排除するものではない。
【0055】
以上の実施形態に対する説明によって、当業者であれば上記実施例の方法がソフトウェアと必要な共通ハードウェアプラットフォームとの組合せという形態で実現できることを明確に理解可能であり、当然ながら、ハードウェアによって実現してもよいが、多くの場合において前者はより好ましい実施形態である。このような見解をもとに、本発明の技術的解決手段は実質的に又は従来技術に寄与する部分はソフトウェア製品の形で実施することができ、該コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体(例えばROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶され、端末(携帯電話、コンピュータ、サーバ、エアコン、又はネットワーク機器等であってもよい)に本発明の各実施例に記載の方法を実行させる複数の命令を含む。
【0056】
以上、図面を参照しながら本発明の実施例を説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されず、上記の具体的な実施形態は例示的なものに過ぎず、限定的なものではなく、本発明の示唆をもとに、当業者が本発明の趣旨及び特許請求の保護範囲から逸脱することなくなし得る多くの形態は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9