(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール、バッテリーパック、及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241122BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20241122BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241122BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20241122BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20241122BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20241122BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241122BHJP
H01M 10/613 20140101ALN20241122BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/293
H01M50/249
H01M50/213
H01M10/658
H01M10/643
H01M10/625
H01M10/613
(21)【出願番号】P 2022563473
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 KR2021012645
(87)【国際公開番号】W WO2022080686
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131449
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン-オ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ-ウォン・チェ
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510463(JP,A)
【文献】特表2020-507194(JP,A)
【文献】特開2000-108687(JP,A)
【文献】特表2014-528973(JP,A)
【文献】国際公開第2014/208423(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0375076(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 50/293
H01M 50/249
H01M 50/213
H01M 10/658
H01M 10/643
H01M 10/625
H01M 10/613
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、
内部空間が形成され、前記内部空間に前記複数の電池セルを収容するように構成されたモジュールケースと、
前記複数の電池セルが収容された前記モジュールケースの前記内部空間のうちの少なくとも一部に充填されるように構成された高分子部材と、
前記高分子部材の内部に少なくとも一部が位置し、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つと前記モジュールケースとの間の空間及び前記複数の電池セル同士の間の空間の一つ以上の空間に介在された充填材と、
を含み、
前記充填材は、
前記高分子部材とは異なるプラスチック素材を含む、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記高分子部材は、シリコーン樹脂を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記高分子部材は、前記モジュールケースの前記内部空間のうちの少なくとも一部に充填された後、硬化した形態を有する、請求項1または2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記充填材は、多数の粒子を備えて前記高分子部材の内部に分散している、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記充填材は、相異なるサイズの多数の粒子を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
複数の電池セルと、
内部空間が形成され、前記内部空間に前記複数の電池セルを収容するように構成されたモジュールケースと、
前記複数の電池セルが収容された前記モジュールケースの前記内部空間のうちの少なくとも一部に充填されるように構成された高分子部材と、
前記高分子部材の内部に少なくとも一部が位置し、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つと前記モジュールケースとの間の空間及び前記複数の電池セル同士の間の空間の一つ以上の空間に介在された充填材と、
を含み、
前記充填材は、
プラスチック素材を含み、且つ内部に空き空間が形成されている
、バッテリーモジュール。
【請求項7】
前記充填材は、内部に消火物質が収容されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
複数の電池セルと、
内部空間が形成され、前記内部空間に前記複数の電池セルを収容するように構成されたモジュールケースと、
前記複数の電池セルが収容された前記モジュールケースの前記内部空間のうちの少なくとも一部に充填されるように構成された高分子部材と、
前記高分子部材の内部に少なくとも一部が位置し、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つと前記モジュールケースとの間の空間及び前記複数の電池セル同士の間の空間の一つ以上の空間に介在された充填材と、
を含む、バッテリーモジュールであって、
前記充填材は、内部に難燃性液体が収容されている、バッテリーモジュール。
【請求項9】
複数の電池セルと、
内部空間が形成され、前記内部空間に前記複数の電池セルを収容するように構成されたモジュールケースと、
前記複数の電池セルが収容された前記モジュールケースの前記内部空間のうちの少なくとも一部に充填されるように構成された高分子部材と、
前記高分子部材の内部に少なくとも一部が位置し、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つと前記モジュールケースとの間の空間及び前記複数の電池セル同士の間の空間の一つ以上の空間に介在された充填材と、
を含む、バッテリーモジュールであって、
前記充填材は、前記高分子部材の一部が挿入されるように構成されている、バッテリーモジュール。
【請求項10】
複数の電池セルと、
内部空間が形成され、前記内部空間に前記複数の電池セルを収容するように構成されたモジュールケースと、
前記複数の電池セルが収容された前記モジュールケースの前記内部空間のうちの少なくとも一部に充填されるように構成された高分子部材と、
前記高分子部材の内部に少なくとも一部が位置し、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つと前記モジュールケースとの間の空間及び前記複数の電池セル同士の間の空間の一つ以上の空間に介在された充填材と、
を含む、バッテリーモジュールであって、
前記充填材は、外層、及び多孔質の内層を有する粒子を多数個備える、バッテリーモジュール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを少なくとも一つ含む、バッテリーパック。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを少なくとも一つ含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年10月12日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0131449号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーモジュール、バッテリーパック、及び自動車に関し、より詳しくは、製造コストを節減し、火災に対する安全性を向上させたバッテリーモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などの二次電池が商用化しているが、中でもリチウム二次電池はニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
そして、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に収納されている円筒型電池セルと、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに収納されているパウチ型二次電池とに分類され得る。
【0005】
また、近年、電子デバイス、自動車などに適用される大容量バッテリーモジュールの需要が増加している。このような大容量バッテリーモジュールは、複数の電池セル、例えば複数の円筒型電池セルを備える。
【0006】
しかし、このようなバッテリーモジュールは、複数の円筒型電池セルの一部に熱暴走や火災、爆発などが発生すると、高温の熱、電極組立体の破片、火炎及びガスなどが排出され、隣接した他の電池セルの温度を上昇させることがある。これにより、隣接した他の電池セルへと熱暴走や火災などが伝播し、より大きい2次火災や爆発が発生することで、その被害が加重されるおそれがある。
【0007】
さらに、複数の円筒型電池セル同士の間またはモジュールケースと電池セルとの間はその空間が殆ど非常に狭く、この場合、複数の電池セル同士の間で生じる熱や火炎の伝播に非常に脆弱であるという問題がある。また、狭い空間のため、熱や火炎の伝播を防止するための別途の部材を備えるのに多くの制約がある。さらに、従来のバッテリーモジュールの場合、内部の熱または火炎の伝播防止のため特定の材料を投入する構成も試みられているが、このような特定の材料が高価であるという問題もある。これにより、従来のバッテリーモジュールは、熱や火災などに対する安全性を効率的に確保し難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、上記の問題点を解決するために創案されたものであって、熱や火災などに対する安全性を効率的に確保可能なバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車などを提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、複数の電池セルと、内部空間が形成され、内部空間に複数の電池セルを収容するように構成されたモジュールケースと、複数の電池セルが収容されたモジュールケースの内部空間のうちの少なくとも一部に充填されるように構成された高分子部材と、高分子部材の内部に少なくとも一部が位置し、複数の電池セルのうちの少なくとも一つとモジュールケースとの間の空間及び複数の電池セル同士の間の空間の一つ以上の空間に介在された充填材と、を含む。
【0011】
高分子部材は、シリコーン樹脂を含み得る。
【0012】
高分子部材は、モジュールケースの内部空間のうちの少なくとも一部に充填された後、硬化した形態を有し得る。
【0013】
充填材は、多数の粒子を備えて高分子部材の内部に分散した形態で構成され得る。
【0014】
充填材は、プラスチック素材またはセラミック素材を含み得る。
【0015】
充填材は、相異なるサイズの多数の粒子を備え得る。
【0016】
充填材は、内部に空き空間が形成され得る。
【0017】
充填材は、内部に消火物質が収容され得る。
【0018】
充填材は、内部に難燃性液体が収容され得る。
【0019】
充填材は、高分子部材の一部が挿入されるように構成され得る。
【0020】
充填材は、外層、及び多孔質の内層を有する粒子を多数個備え得る。
【0021】
そして、上記の目的を達成するため、本発明の他の一態様によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュールを少なくとも一つ含む。
【0022】
また、上記の目的を達成するため、本発明のさらに他の一態様による自動車は、本発明によるバッテリーモジュールを少なくとも一つ含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、安全性及び経済性に優れたバッテリーモジュールなどを確保することができる。
【0024】
特に、本発明の一態様によれば、高分子部材及び充填材をモジュールの内部に含むことで、熱や火炎の伝播防止性能、爆発防止性能などをより効果的に確保することができる。
【0025】
さらに、高分子部材は、複数の電池セルのうちの一つが発火及び爆発した場合、隣接した他の電池セルへと火炎が伝達されないように防御壁の役割を果たすことができる。これにより、複数の電池セルが連鎖爆発するか又は火災が拡がることを効果的に防止することができる。
【0026】
また、本発明の一態様によれば、比較的に低コストでな熱/火炎の伝播防止性能などが確保され、安全性とともに経済性に優れたバッテリーモジュールまたはバッテリーパックなどを具現することができる。
【0027】
特に、本発明の一態様によれば、電池セルの発火や爆発などを遅延させるため、高分子部材としてシリコーン樹脂(シリコーン高分子)がパックの内部に注入される場合、充填材によってシリコーン樹脂の量を減らすことができる。
【0028】
したがって、本発明のこのような一態様によれば、比較的に高価であるシリコーン樹脂の量を減らすことができるため、製造コストを節減することができる。
【0029】
また、本発明の一態様によれば、充填材の密度がシリコーン樹脂よりも低く構成された場合、バッテリーモジュールの軽量化に有利である。
【0030】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを概略的に示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの一部構成を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの内部構成を概略的に示した図である。
【
図4】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの内部構成を概略的に示した図である。
【
図5】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの内部の一部構成を概略的に示した図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した図である。
【
図11】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使われた用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0033】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0034】
また、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されるが、このような用語は説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【0035】
図1は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを概略的に示した斜視図であり、
図2は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの一部構成を分解して概略的に示した分離斜視図であり、
図3は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの内部構成を概略的に示した図である。特に、
図3の場合、
図1のC-C’線に沿った断面構成を示した図面である。また、
図2では図示の便宜上、高分子部材及び充填材の図示は省略した。
【0036】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100は、複数の電池セル110、モジュールケース130、高分子部材140、及び充填材150を含む。
【0037】
具体的には、電池セル110は、円筒型電池缶を備える円筒型電池セルであり得る。円筒型電池セル110は、上部および/または下部に電極端子111、112が位置し得る。例えば、円筒型電池セル110は、上部に正極端子111及び負極端子112が備えられ得る。さらに、円筒型電池セルの場合、上端のキャップ組立体が正極端子111であり、電池セルのボディ、すなわち電池缶(ケース)が負極端子112であり得る。また、正極端子111と負極端子112とは、互いに離隔して位置し得る。正極端子111と負極端子112とは、互いに電気的に絶縁し得る。
【0038】
また、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100は、バスバー120をさらに含み得る。バスバー120は、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材質を含み得る。複数の電池セル110は、バスバー120を通じて電気的に直列、並列、または直列及び並列に接続され得る。また、バスバー120は、金属ワイヤ121を通じて電池セル110の正極端子111または負極端子112と電気的に接続され得る。例えば、金属ワイヤ121の一端部は電池セル110の正極端子と接触し、他端部はバスバー120と接触するように構成され得る。または、バスバー120は、金属ワイヤ121なしに、電極端子111、112と直接接触してもよい。
【0039】
このような電池セル110の構成は、本発明の出願時点で当業者に周知であるため、本明細書では詳細な説明を省略する。また、
図3に電池セル110の一例を示したが、本発明によるバッテリーモジュール100は、特定の形態の電池セル110の構成に限定されない。すなわち、本発明の出願時点で公知の多様な形態の電池セル110が本発明によるバッテリーモジュール100に採用され得る。
【0040】
また、モジュールケース130は、内部空間が形成され、該内部空間に複数の電池セル110が収容されるように構成され得る。例えば、モジュールケース130は、複数の電池セル110を収容するように内部が空いている箱状であり得る。より具体的な例として、モジュールケース130は、上部フレーム133及び下部フレーム134を備え得る。ここで、上部フレーム133は、複数の電池セル110の上部及び側部を囲むように構成され得る。そして、下部フレーム134には、複数の電池セル110の一部分が挿入されるように構成された複数の載置溝Hが備えられ得る。例えば、下部フレーム134の載置溝Hは、電池セル110の中央を基準にして下部が挿入されるように構成され得る。
【0041】
さらに、モジュールケース130は、上部および/または下部に複数の露出口131が備えられ得る。複数の露出口131はそれぞれ、複数の電池セル110の上部が外部に露出するように、モジュールケース130の一部分が打ち抜かれた形態で構成され得る。例えば、
図2に示されたように、複数の電池セル110の上部に備えられた電極端子111、112が外部に露出するように、上部フレーム133の上面に複数の露出口131が備えられ得る。
【0042】
高分子部材140は、モジュールケース130の内部空間のうちの少なくとも一部空間に充填されるように構成され得る。さらに、モジュールケース130の内部空間には複数の電池セル110が収納されているため、電池セルが占める空間以外の空間のうちの少なくとも一部に高分子部材140が満たされ得る。特に、高分子部材140は、
図3に示されたように、複数の電池セル110同士の間の空間、及び複数の電池セルとモジュールケース130の内面との間の空間のうちの一つ以上に備えられ得る。
【0043】
充填材150は、高分子部材140の内部に少なくとも一部が位置し得る。すなわち、充填材150は、全体が高分子部材140の内部に埋め込まれるか、または、一部が高分子部材140の外部に露出した形態で高分子部材140の内部に埋め込まれ得る。そして、充填材150は、高分子部材140とともに、複数の電池セルのうちの少なくとも一つとモジュールケースの内面との間の空間に介在され得る。また、充填材150は、高分子部材140とともに、複数の電池セル110同士の間の空間に介在され得る。
【0044】
本発明のこのような構成によれば、バッテリーモジュール100の内部に相異なる物性または特性を有する高分子部材140と充填材150が存在することで、多様な性能をともに確保するのに有利である。例えば、高分子部材140は、熱や火災などに対する安全性を確保可能な材料から構成され、充填材150は剛性に優れるか又は軽量かつ安価な材料から構成され得る。この場合、熱や火災などに対する安全性とともに、剛性、軽量性、経済性などに優れたバッテリーモジュールを具現することができる。さらに、高分子部材140は、複数の電池セル110のうち、いずれか一つが発火及び爆発した場合、隣接した他の電池セル110へと火炎が拡散しないように防御壁の役割を果たすことができる。これにより、複数の電池セル110が連鎖爆発するか又は火災が拡がることを効果的に防止することができる。
【0045】
高分子部材140は、シリコーン樹脂(silicone resin)を含み得る。このような実施形態によれば、熱や火災などに対するバッテリーモジュール100の安全性確保に有利である。例えば、電池セル110とモジュールケース130との間にこのようなシリコーン樹脂が位置する場合、電池セル110の熱や火災などがモジュールケース130の外部に伝播することを防止することができる。また、この場合、電池セル110の爆発防止に有利であるだけでなく、爆発が起きても爆発破片がバッテリーモジュール100の外部に飛散することを最大限に抑制することができる。また、電池セル110同士の間にシリコーン樹脂が位置する場合、電池セル110同士の間で熱や火災などが相互に伝播することを防止することができる。したがって、この場合、バッテリーモジュールの内部で熱暴走が伝播するなどを防止することができる。シリコーン高分子樹脂はシロキサン結合による主要骨格を有する人工高分子化合物であり得る。しかし、本発明の高分子部材140に使われる樹脂は、いずれか一つに特定されず、本発明の出願時点で公知の多様な種類の樹脂が本発明の高分子部材140として採用され得る。例えば、高分子部材140は、エポキシ樹脂を含み得る。
【0046】
高分子部材140は、モジュールケース130の内部空間のうちの少なくとも一部に充填された後、硬化した形態を有し得る。特に、高分子部材140は、モジュールケース130の内部に電池セル110が収納された状態で、液体、ゲルまたはゾルなどの流動性を有する流体状態でモジュールケース130の内部に注入された後、硬化した形態を有し得る。
【0047】
例えば、高分子部材140は、液体シリコーン樹脂の形態でモジュールケース130の内部空間に注入され、電池セル110同士の間の空間および/または電池セル110とモジュールケース130との間の空間へと流れ込み得る。そして、高分子部材140は、一定時間が経過するかまたは冷却などを通じて硬化した形態で構成され得る。さらに、高分子部材140は、常温で固体状態であり得る。
【0048】
充填材150は、多数の粒子を備え得る。そして、このような充填材150の多数の粒子は、高分子部材140の内部に分散した形態で構成され得る。特に、充填材150に備えられた多数の粒子はそれぞれ、ペレット状であり得る。このようなペレットは、射出成形や粉末圧着などの多様な方式で製造され得る。このような構成において、一つのペレットが一つの粒子であると言える。したがって、充填材150は、多数のペレット151を備えると言える。このような多数の粒子、すなわちペレット151は、流体状態の高分子部材140と混合された後、モジュールケース130の内部に注入され得る。そして、流体状態の高分子部材140がモジュールケース130の内部で硬化することで、位置が固定された形態を有するように構成され得る。
【0049】
特に、多数のペレット151は、モジュールケース130の内部空間に複数の電池セル110が収容された状態で注入され得る。このとき、充填材150として多数のペレット151がモジュールケース130の内部空間に注入された後、流体状態の高分子部材140がモジュールケース130の内部空間に注入され得る。または、充填材150としての多数のペレット151が流体状態の高分子部材140と予め混合されて混合物を形成した後、ペレット151と高分子部材140との混合物がモジュールケース130の内部空間に注入されてもよい。
【0050】
充填材150の粒子、例えばペレット151は、流体状態の高分子部材140がモジュールケース130の内部空間に注入される過程で、モジュールケース130と電池セル110との間、および/または、複数の電池セル110同士の間に介在されるように構成され得る。そのため、充填材150の粒子、すなわちペレット151は、モジュールケース130と電池セル110との間および/または複数の電池セル110同士の間の空間に挿入可能なサイズ又は形態を有し得る。
【0051】
本発明のこのような実施形態によれば、ペレット151のような充填材150を通じて、高分子部材140とは異なる特性をバッテリーモジュール100の内部で容易に達成できる。例えば、充填材150によって、バッテリーモジュール100の機械的剛性を高めるのに有利である。例えば、バッテリーモジュール100に外部衝撃が加えられる場合、高分子部材140の内部に高分子部材140よりも機械的剛性が高い多数のペレット151が付け加えられているため、バッテリーモジュール100の剛性を向上することができる。したがって、この場合、複数の電池セル110を外部衝撃からより効果的に保護することができる。さらに、このような実施形態によれば、充填材150である多数のペレット151によって電池セル110同士の間で衝撃が伝達されることを減少できる。
【0052】
また、上記の実施形態によれば、バッテリーモジュール100の製造コストの低減に有利である。特に、熱や火災などに対する安全性確保のため、高分子部材140としてシリコーン樹脂が使われる場合、シリコーン樹脂が高価であるとの短所がある。しかし、上記の実施形態によれば、シリコーン樹脂のような高価な材料の使用量を減らすことができるため、バッテリーモジュール100の製造コストを低減可能である。
【0053】
また、上記の実施形態によれば、バッテリーモジュール100の軽量化にも有利である。例えば、充填材150を高分子部材140よりも軽い物質で構成すると、バッテリーモジュール100の重量を減らすことができる。
【0054】
充填材150は、プラスチック素材を含み得る。ここで、充填材150として使われるプラスチック素材は、本発明の出願時点で公知の多様な材料が採用され得る。特に、充填材150は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み得る。PTFEの場合、表面エネルギー(surface energy)が低いため、より有利である。また、ポリプロピレンやポリエチレンも表面エネルギーが低い素材であり、充填材150の材料として用いられ得る。
【0055】
このように相対的に表面エネルギー(表面張力)の低いプラスチックからなる充填材150を使用する場合、流体状態の高分子部材140と混合するとき、高分子部材140の粘性の影響力を減らし得る。したがって、流体状態の高分子部材140内で充填材150をより容易に分散させることができる。したがって、この場合、高分子部材140の内部で充填材150が均一に分散することで、製造効率を高め、充填材150による効果、例えば機械的剛性の確保により有利である。
【0056】
他にも、充填材150は、他の多様なプラスチック素材、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどを含み得る。
【0057】
さらに、上記のようなプラスチック素材の場合、軽くて安価であり、成形が容易であるという長所を有し得る。したがって、このような実施形態によれば、バッテリーモジュール100の軽量化及びコスト節減の面で有利である。また、プラスチック素材の場合、断熱性の確保に有利である。したがって、電池セル110同士の間または電池セル110とモジュールケース130との間での熱伝達をより効果的に遮断することができる。
【0058】
また、充填材150は、セラミック素材を含み得る。セラミック素材は、砂、ガラス、セメント、粘土、耐火物、研磨材、及びファインセラミックスのうちのいずれか一つ以上を含み得る。そして、砂は、石英、石灰岩、鉄鉱石、磁鉄鉱、玄武岩、黒曜石、カンラン石のうちのいずれか一つ以上を含み得る。
【0059】
セラミック素材の場合、熱や火炎に強い特性を有する材質を含み得る。この場合、充填材150による熱や火炎の遮断効果をより向上することができる。
【0060】
また、本発明のバッテリーモジュール100は、複数の電池セル110を冷却するための冷却部材160を含み得る。
図2に示されたように、冷却部材160は、下部フレーム134の下部に位置し得る。例えば、冷却部材160は、外部の冷媒が内部に注入され、電池セル110から熱を吸収して昇温した冷媒が外に排出されるように構成され得る。一例として、冷却部材160は、熱伝導性に優れたアルミニウム合金材料を含み得る。
【0061】
一方、充填材150の粒子、例えばペレット151は、多様な形態で構成され得る。例えば、
図3に示されたように、ペレット151は、外形が球状であり得る。このような実施形態によれば、ペレット151が球状であるため、電池セル110との摩擦力が最小化できる。また、このように、ペレット151が球状であることで、複数の電池セル110同士の間の空いた空間に高い密度で均一に充填されるのに有利である。さらに、本発明のこのような実施形態によれば、外部衝撃がバッテリーモジュール100に加えられた場合、電池セル110にペレット151が衝突するとき、衝突による電池セル110の損傷を最小化することができる。
【0062】
図4は、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの内部構成を概略的に示した図である。本実施形態及び後述する他の実施形態において、上述した実施形態で説明した内容を同一または類似に適用可能な部分は詳細な説明を省略し、相異なる部分を主に説明する。
【0063】
図4を参照すると、充填材150の粒子は、粉末状で構成され得る。この場合、充填材150は、多数の粉末状粒子152を備えると言える。上述した実施形態におけるペレット151がプラスチック素材やセラミック素材などが特定の形状に加工または成形されたものであるとすれば、本実施形態での粉末状粒子152は、プラスチック素材やセラミック素材が粉砕された形態であると言える。ここで、粉末状粒子152は、ペレット151よりも小さいサイズを有し得る。例えば、粉末状粒子152のサイズ(平均粒径)は1μm~1mmであり得る。
【0064】
このような多数の粉末状粒子152は、流体状態の高分子部材140と混合された状態でモジュールケース130の内部に注入され得る。そして、高分子部材140が硬化すれば、多数の粉末状粒子152は高分子部材140内に分散して位置し得る。
【0065】
本発明のこのような実施形態によれば、高分子部材140および/または充填材150の注入工程をより容易に行うことができる。すなわち、流体状態の高分子部材140と多数の粉末状粒子152との混合物をモジュールケース130の内部に注入する場合、粉末状粒子152の粒子サイズによって注入される混合物の粘性を容易に調節できる。したがって、作業者が混合物の粘性を適切に調節してモジュールケース130内部への注入時間を短縮するなど、注入工程の効率がより向上できる。
【0066】
図5は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの内部の一部構成を概略的に示した図である。
【0067】
図5を参照すると、充填材150は、相異なるサイズの多数の粒子を備え得る。例えば、
図5のように、充填材粒子として多数のペレット151が高分子部材140の内部に含まれる場合、多数のペレット151の一部は相対的にサイズ(粒径)が大きく、他の一部は相対的に小さいサイズ(粒径)を有し得る。より具体的な例として、一部のペレット151は約1mmの粒径を有し、他のペレット151は約0.5mmの粒径を有し得る。
【0068】
このような実施形態において、相異なるサイズを有する多数の粒子、すなわちペレット151は、電池セル110同士の間の相異なる離隔空間に位置し得る。例えば、多数のペレット151のうち、相対的に小さいサイズのペレット151は、
図5にG1で示された部分のように、電池セル110同士の間の狭い空間に位置し得る。一方、相対的に大きいサイズのペレット151は、
図5にG2で示された部分のように、電池セル110同士の間の空間のうちの相対的に広い離隔空間または電池セル110とモジュールケース130の内面との間の空間に位置し得る。
【0069】
したがって、本発明のこのような実施形態によれば、充填材150として相異なるサイズの多数の粒子を備えることで、多様な大きさの空間により多くの充填材150を流れ込ませることができる。特に、モジュールケース130の内部空間には多様な大きさの空間が存在し得る。このとき、狭い空間には小さいサイズの粒子を投入することで、高分子部材140と充填材150とが適切な比率で存在してそれぞれの機能を十分に達成することができる。また、広い空間には大きいサイズの粒子を投入することで、高分子部材140の投入量を減らして、充填材150によって高分子部材140の粘性が過度に高くなることを防止することができる。
【0070】
また、この場合、高分子部材140内でペレット151などの粒子が偏らず均一に分散し得る。すなわち、本発明のこのような実施形態によれば、充填材150として少なくとも二つのサイズを有する多数の粒子を備える場合、多数の粒子が特定の部分に偏ることなく、高分子部材140内で均一に広がった状態になり易い。したがって、高分子部材140と多数の粒子、例えば多数のペレット151との混合体による機械的剛性の確保効果をさらに向上させることができる。したがって、バッテリーモジュール100に外部衝撃が加えられる場合、向上した機械的剛性によって、外部衝撃に対して電池セル110を保護する効果をより改善できる。
【0071】
また、充填材150は、相異なる重量(密度)を有する多数の粒子を備え得る。すなわち、充填材150は、重量が相異なる多数の粒子群を含み得る。例えば、充填材150は、三種の相異なる重量を有する多数の粒子を備え得る。このとき、重量に応じて多数の粒子は三種の粒子群に区分されるが、それぞれ第1粒子群、第2粒子群及び第3粒子群と言える。ここで、第1粒子群に属した粒子は最も重く、第2粒子群に属した粒子は第1粒子群の粒子よりも軽い重量を有し得る。そして、第3粒子群に属した粒子は第2粒子群の粒子よりも軽い重量を有し得る。
【0072】
このように充填材150として相異なる重量を有する多数の粒子が含まれる場合、モジュールケース130の内部に充填材150をより均一に分散させるのに有利である。例えば、本実施形態のように重量が相異なる三種の粒子群が含まれる場合、流体状態の高分子部材140にこのような粒子が混合された状態でモジュールケース130の内部に注入された後、重量によって三種の粒子群が上下方向に分散し得る。すなわち、流体状態の高分子部材140が硬化する前に流動性を有した状態で、多数の粒子は重量によってモジュールケース130の内部で上下方向に分散し得る。すなわち、重量が最も重い第1粒子群は電池セル110の下端部周辺に位置し、重量が最も軽い第3粒子群は電池セル110の上端部周辺に位置し得る。そして、中間重量を有する第2粒子群は電池セル110の中央部周辺に位置し得る。
【0073】
一方、このような重量の差は、比重または密度の差として現れ得る。例えば、第1粒子群は、流体状態の高分子部材140よりも比重が高い材質から構成され得る。そして、第3粒子群は、流体状態の高分子部材140よりも比重が低い材質から構成され得る。また、第2粒子群は、流体状態の高分子部材140と比重が類似の材質から構成され得る。
【0074】
また、充填材150は、相異なる形状(外形)を有する多数の粒子を備え得る。例えば、充填材150は、四角柱状の粒子、三角柱状の粒子、球状の粒子、及び少なくとも一つの表面が曲面状である粒子のうちの少なくとも二つ以上の粒子を含み得る。
【0075】
モジュールケース130の内部空間には多様な形状の空間が存在し得るため、上記の実施形態によれば、各空間の形状に適した形状の粒子が投入され得る。したがって、この場合、モジュールケース130の内部における粒子の均一な分散に有利である。
【0076】
図6は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【0077】
図6を参照すると、充填材150として含まれた粒子、例えばペレット151は、内部に空き空間Sが形成され得る。例えば、ペレット151は、空き空間Sを囲む外壁Wを有し得る。そして、このようなペレット151の空き空間Sには空気が満たされ得る。このとき、ペレット151が電池セル110のスウェリングや移動などによって押し付けられる場合、弾力的に電池セル110を支持可能である。さらに、ペレット151は、複数の電池セル110によって押し付けられる場合、体積が減少するかまたは外形が変化する形態で構成され得る。
【0078】
したがって、本発明のこのような実施形態によれば、内部に空気のような気体のみを含む空き空間Sを有する形態の粒子を通じて、バッテリーモジュール100の外部衝突や電池セル110のスウェリングなどでよって、電池セル110に加えられる圧力または衝撃を緩衝することができる。
【0079】
特に、ペレット151のような粒子の外壁Wが弾性を有するプラスチック材質で構成される場合、このようなペレット151の緩衝効果をより容易に確保できる。
【0080】
図7は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【0081】
図7を参照すると、充填材150としてのペレット151は、内部に消火物質を収容した形態で構成され得る。特に、充填材150は、消火物質が収容された多数のペレット151を備え得る。ここで、ペレット151には収容空間が形成され、該収容空間には消火物質151aが含まれ得る。特に、ペレット151は、内部に消火物質151aが充填したカプセル状で構成され得る。ここで、消火物質151aは、例えば、炭酸カリウムのような無機塩の濃溶液、化学泡、空気泡、二酸化炭素、または水であり得る。外にも、ペレット151のような充填材150の粒子に含まれた消火物質としては、本発明の出願時点で公知の固体、液体または気体状態の多様な消火剤が採用され得る。このような実施形態でペレット151は、所定温度で溶融するように構成され得る。例えば、ペレット151は、300℃以上で溶融し、内部の収容空間に収容された消火物質151aを外部に排出するように構成され得る。
【0082】
したがって、本発明のこのような構成によれば、消火物質151aが収容されたペレット151によって、バッテリーモジュール100の安全性がより向上できる。例えば、バッテリーモジュール100に収容された複数の電池セル110のうちの一部で火災及び爆発が発生した場合、ペレット151の外壁が溶融し、内部に収容された消火物質151aが外部に排出されることで、電池セル110の火災を早期に抑制して伝播を効果的に遮断することができる。これにより、本発明は、火災安全性を大きく高めることができる。
【0083】
図8は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【0084】
図8を参照すると、充填材150として含まれたペレット151は、難燃性液体が収容された形態で構成され得る。特に、充填材150は、難燃性液体が収容された多数のペレット151を備え得る。このとき、ペレット151の内部には収容空間が形成され、該収容空間に難燃性液体151bが備えられ得る。さらに、ペレット151は、難燃性液体151bが収容されたカプセル状で構成され得る。ここで、難燃性液体151bは、例えば、難燃性添加剤が混合された高分子樹脂であり得る。このような難燃性添加剤は、アルミナ三水和物、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、リン系難燃剤などであり得る。そして、高分子樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、またはポリカーボネート樹脂などであり得る。
【0085】
本発明のこのような実施形態によれば、難燃性液体151bが収容されたペレット151を通じて、バッテリーモジュール100の安全性が向上できる。例えば、複数の電池セル110のうちの一部で火災及び爆発が発生した場合、ペレット151の外壁が溶融し、内部に収容された難燃性液体151bが外部に排出される。したがって、この場合、火災が発生した電池セル110の内部または外部に難燃性液体151bが供給されるか、または、電池缶の破裂した部分を密閉可能である。このような面で火災安全性を大きく向上させることができる。
【0086】
図9は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【0087】
図9を参照すると、充填材150として含まれた多数のペレット151は、高分子部材140の一部が挿入されるように構成され得る。そのため、充填材150粒子であるペレット151には、少なくとも一つの流通口151cが形成され得る。ここで、流通口151cは、
図9に示されたように、ペレット151の一端から他端まで貫通する形態で構成され得る。または、流通口151cは、ペレット151の一端から中央部分の所定地点まで凹んだ形態で構成されてもよい。このような実施形態によれば、高分子部材140が流動性を有するとき、流通口151cの内部に浸透し得る。そして、その後、高分子部材140が硬化すれば、高分子部材140の一部がペレット151の流通口151cに挿入された形態になり得る。
【0088】
本発明のこのような実施形態によれば、充填材150であるペレット151の均一な分散により有利である。特に、ペレット151の内部を完全に貫通する形態で流通口151cが形成される場合、ペレット151と高分子部材140との比重(重量)差を緩和させることができる。例えば、ペレット151が高分子部材140よりも比重の低い物質からなっても、流通口151cの内部に高分子部材140が流れ込むことで、流体状態の高分子部材140中でペレット151が専ら上側に浮かぶことなく、下方に移動し得る。したがって、この場合、モジュールケース130の上部のみにペレット151が存在することなく、下部にも存在するようになる。
【0089】
また、上記の実施形態によれば、充填材150であるペレット151の内部に高分子部材140が存在し得る。したがって、多くのペレット151が固まった部分が存在しても、高分子部材140の特性を一定水準以上に発現させることができる。
【0090】
図10は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した図である。
【0091】
図10を参照すると、充填材150として含まれたそれぞれのペレット151は、多数の粉末151dが圧着によって互いに機械的に結合された形態で構成され得る。または、圧着された多数の粉末151d同士の間には結合剤などがさらに含まれ得る。ここで、粉末151dは、プラスチック素材の粉末またはセラミック素材の粉末であり得る。このような実施形態において、ペレット151は、外部衝撃によって分解されるように構成され得る。すなわち、ペレット151は、多数の粉末が機械的に結合された状態であるため、バッテリーモジュールに大きい衝撃が加えられる場合、粉末や多くの破片形態に分解(分離)可能な程度の結合力を有し得る。
【0092】
本発明のこのような実施形態によれば、ペレット151が粉末などの形態に分解される過程で衝撃を緩和させることができる。また、ペレットの分解によって生成された粉末や破片によって電池セル110が損傷されることを防止できる。
【0093】
図11は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールに含まれた充填材の粒子構成を概略的に示した断面図である。
【0094】
図11を参照すると、充填材150として含まれた多数の粒子、例えばペレット151は、外層151e及び内層151fを備え得る。ここで、内層151fは、多孔質形態で構成され得る。ここで、内層151fには空気が満たされ得る。そして、外層151eは、密閉した形態で構成され、内部に多孔質の内層151fが収容され得る。すなわち、ペレット151は、外部物質が内部に浸透しないように密閉した形態の外層151eを有し得る。
【0095】
例えば、ペレット151の内層151fは、発泡樹脂によって多孔質形態に形成され得る。一例として、内層151fを形成する発泡樹脂は、発泡性ポリスチレン樹脂であり得る。そして、ペレット151の外層151eは、多孔質内層の外部を高分子樹脂によってコーティングした形態で構成され得る。一例として、外層151eを形成する高分子樹脂は、ポリ塩化ビニルであり得る。
【0096】
本発明のこのような実施形態によれば、ペレット151に備えられた多孔質内層151fによって衝撃緩和効果が確保される。さらに、上記の実施形態の場合、外層151eが密閉した形態で構成され、多孔質内層151fに流体状態の高分子部材140が浸透することを防止できる。したがって、この場合、高分子部材140の使用量をさらに減らすことができる。また、この場合、充填材150の重量を下げるのにより有利である。
【0097】
また、充填材150は、相異なる形態で構成された多数の粒子を備え得る。特に、上述した多くの実施形態による多様な形態の粒子が本発明の充填材150に一緒に備えられ得る。
【0098】
例えば、充填材150は、
図6に示されたような形態で構成されたペレット151群と
図7に示されたような形態で構成されたペレット151群とを一緒に備え得る。または、充填材150は、
図8に示されたような形態で構成されたペレット151群と
図9に示されたような形態で構成されたペレット151群とを一緒に備え得る。または、充填材150は、
図6~
図11に示されたような形態で構成されたペレット151のうちの三種以上のペレット151を含むように構成され得る。
【0099】
本発明のこのような実施形態によれば、モジュールケース130の内部空間で、充填材150を構成する粒子がより均一に分散配置可能である。例えば、内部に空気が収容された
図6のペレット151と内部に消火物質151aが収容された
図7のペレット151とが一緒に充填材150として含まれる場合、
図6のペレット151が
図7のペレット151よりも軽くなり得る。したがって、
図6のペレット151はモジュールケース130の内部空間で上部に位置し、
図7のペレット151はモジュールケース130の内部空間で下部に位置し得る。
【0100】
他の例として、内部に難燃性液体151bが収容された
図8のペレット151と流通口151cが形成された
図9のペレット151とが一緒に充填材150として含まれる場合、
図9のペレット151は
図8のペレット151よりも下部に配置され得る。
【0101】
さらに他の例として、
図10のペレット151と
図11のペレット151とが一緒に充填材150として含まれる場合、
図11のペレット151は多孔質内層151fのため
図10のペレット151よりも上部に配置され得る。
【0102】
したがって、このような実施形態によれば、充填材150をモジュールケース130の内部空間で上下方向に円滑に分散配置できる。
【0103】
また、本発明の上記の実施形態によれば、多くの形態のペレット151によって、充填材150に多様な特性を持たせることができる。特に、各ペレット151の多様な特性は、該当特性が必要な部分に配置可能である。
【0104】
例えば、
図7または
図8のペレット151は、電池セル110の正極端子111が位置する部分(
図3において、上部)に配置され得る。この場合、正極端子側に高温のガスや火災が排出される場合、ペレット151の内部に収容された消火物質151aや難燃性液体151bが迅速に排出できる。したがって、発火や火災などの抑制または拡散防止に有利である。
【0105】
そして、このようなペレット151以外の他のペレット151として、
図6、
図10または
図11のペレット151が電池セル110のボディ中央部分(
図3でZ軸方向の中央部)に位置し得る。この場合、電池セル110にスウェリングや外部衝撃などが発生したとき、電池セル110同士の間でまたはモジュールケース130から電池セル110に、衝撃が伝達されることを緩和させることができる。
【0106】
したがって、本発明のこのような実施形態によれば、バッテリーモジュール100の部分毎の特性に応じて適切な形態で構成された多様なペレット151が充填材150として含まれ、本発明による効果、例えばバッテリーモジュール100の安全性などをより向上させることができる。
【0107】
一方、本発明によるバッテリーパックは、上述した本発明によるバッテリーモジュール100を一つ以上含み得る。また、本発明によるバッテリーパックは、このようなバッテリーモジュール100の他にバッテリーパックに通常備えられる多様な構成要素、例えばバッテリーモジュール100と電気的に接続されるBMS(Battery Management System:バッテリ管理システム)などを含み得る。特に、このようなBMSは、バッテリーモジュール100に含まれた複数の電池セル110の充放電などを制御するために各種の回路や素子などを備え得る。
【0108】
一方、本発明による自動車は、上述した本発明によるバッテリーモジュール100を一つ以上含み得る。特に、自動車は、電気自動車、電気スクーター、電気車椅子、または電気バイクなどのように電気によって駆動される搭乗装置であり得る。また、本発明による自動車は、バッテリーモジュール100の外に自動車に含まれる他の多様な構成要素、例えば車体やモータ、インバータなどをさらに含み得る。
【0109】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない
【符号の説明】
【0110】
100:バッテリーモジュール
110:電池セル
111:電極端子
120:バスバー
121:金属ワイヤ
130:モジュールケース
131:露出口
133:上部フレーム
134:下部フレーム
140:高分子部材
150:充填材
151:ペレット
152:粉末状粒子
151a:消火物質
151b:難燃性液体
151c:流通口
151d:粉末
151e:外層
151f:内層
160:冷却部材
H:載置溝
S:空き空間