(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】複数の1回分量サイズを安全に制御するためのディスペンサおよびディスペンサシステム
(51)【国際特許分類】
A47K 5/12 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
A47K5/12
(21)【出願番号】P 2022568559
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 US2021031496
(87)【国際公開番号】W WO2021231251
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2024-04-17
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506190555
【氏名又は名称】ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビュエル,シェルビー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブロック,マーク エー
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-246932(JP,A)
【文献】特開2016-104122(JP,A)
【文献】特開2020-039658(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0055658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石鹸、消毒剤、または、ローション用のタッチフリーディスペンサであって、
ハウジングと、
可動カバーと、
プロセッサと、
ディスペンサメモリと、
詰め替えレセプタクルと、
データタグが固定された取り外し可能で交換可能な詰め替えユニットであって、前記データタグがデータタグメモリを備える、詰め替えユニットと、
可変出力制御カードレセプタクルと、
前記ディスペンサメモリを取り外さずに取り外せるように構成されている可変出力制御カードと、
前記可変出力制御カード上に位置する可変出力制御カードメモリと、
前記プロセッサを、前記可変出力制御カードメモリとの回路通信状態、および前記詰め替えユニットのデータタグメモリとの回路通信状態とするための1つまたは複数のリーダと、
物体を感知するためのセンサと、
を備え、
前記可変出力制御カードメモリ上のデータは、前記データタグメモリに記憶されたディスペンサ出力量に関係なくディスペンサ出力量を設定するために使用される、
タッチフリーディスペンサ。
【請求項2】
前記データタグは、前記ディスペンサ出力量を示すデータを含む、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項3】
前記詰め替えユニットを前記ディスペンサから取り外すと、前記可変出力制御カードが前記ディスペンサ内に残存する、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項4】
前記詰め替えユニットを前記ディスペンサに設置すると、前記可変出力制御カードを取り外すことができない、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項5】
前記可変出力制御カードレセプタクルは、前記詰め替えユニットを前記ディスペンサに設置すると、前記詰め替えユニットの下方に位置する、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項6】
前記可変出力制御カードレセプタクルは、前記詰め替えユニットを前記ディスペンサに設置すると、前記詰め替えユニットの背後に位置する、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項7】
前記カバーが開位置から閉位置に移動されるたびに、前記プロセッサが前記可変出力
制御カードからデータを読み取る、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項8】
前記可変出力制御カードが長方形である、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項9】
前記可変出力制御カードは、前記可変出力制御カードレセプタクルによって少なくとも部分的に取り囲まれている、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項10】
前記可変出力制御カードレセプタクルがスロットである、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項11】
単一のリーダが前記可変出力
制御カードからデータを読み取るとともに、前記詰め替えユニット上のデータタグを読み取る、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項12】
前記ディスペンサメモリに記憶された、前記ディスペンサ出力量を設定するためのロジックを更に備える、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項13】
前記可変出力制御カードメモリ上のデータは、予め設定された量を設定量だけ減少させる、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項14】
前記可変出力制御カードメモリ上のデータは、予め設定された量を設定量だけ増加させる、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項15】
第2の可変出力制御カードを更に備える、請求項1に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項16】
前
記可変出力制御カードが第1のカラーコードを有し、前記第2の可変出力
制御カードが第2のカラーコードを有する、請求項15に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項17】
石鹸、消毒剤、または、ローション用のタッチフリーディスペンサであって、
ハウジングと、
可動カバーと、
プロセッサと、
ディスペンサメモリと、
詰め替えレセプタクルと、
可変出力制御カードレセプタクルと、
前記ディスペンサメモリを取り外さずに取り外せるように構成されている可変出力制御カードと、
前記可変出力制御カード上に位置する可変出力制御カードメモリと、
前記プロセッサを前記可変出力制御カードとの回路通信状態とするためのリーダと、
ディスペンサ出力量を調整するための前記可変出力制御カード上のデータと、
物体を感知するセンサと、
を備え、
詰め替えユニットを前記ディスペンサから取り外すと、前記可変出力制御カードが前記ディスペンサ内に残存する、
タッチフリーディスペンサ。
【請求項18】
前記詰め替えユニットを前記ディスペンサに設置すると、前記可変出力制御カードレセプタクルが前記詰め替えユニットの下方に位置する、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項19】
前記詰め替えユニットを前記ディスペンサに設置すると、前記可変出力制御カードレセプタクルが前記詰め替えユニットの背後に位置する、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項20】
第2の可変出力制御カードを更に備える、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項21】
前
記可変出力制御カードが第1のカラーコードを有し、前記第2の可変出力制御カードが第2のカラーコードを有する、請求項20に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項22】
前記カバーが開位置から閉位置に移動した後に、前記プロセッサが前記可変出力
制御カードメモリからデータを読み取る、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項23】
前記ハウジング内に位置するポンプを更に備え、前記ポンプは、前記詰め替えユニットを前記ディスペンサから取り外すと、前記ディスペンサと共に残存する、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項24】
前記ポンプが順次作動するダイアフラムポンプである、請求項23に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項25】
前記ポンプが泡ポンプである、請求項24に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項26】
前記可変出力制御カードが長方形である、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項27】
前記可変出力制御カードは、前記可変出力制御カードレセプタクルによって少なくとも部分的に取り囲まれている、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項28】
前記可変出力制御カードレセプタクルがスロットである、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項29】
前記ハウジングは、前記詰め替えユニットに接続されるバッテリと係合するためのレセプタクルを備え、前記レセプタクルは、前記バッテリから前記ディスペンサへの電力の伝送を可能にする、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項30】
前記ディスペンサメモリに記憶された、予め設定された分配出力量を設定するためのロジックを更に備える、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項31】
前記可変出力制御
カードメモリに記憶された、予め設定された量を設定量だけ減少させるためのロジックを更に備える、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項32】
前記可変出力制御
カードメモリに記憶された、予め設定された量を設定量だけ増加させるためのロジックを更に備える、請求項17に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項33】
石鹸、消毒剤、または、ローション用のタッチフリーディスペンサであって、
ハウジングと、
可動カバーと、
プロセッサと、
ディスペンサメモリと、
前記
ディスペンサメモリに記憶された、前記ディスペンサを作動させるとデフォルト分配1回分量が分配されるようにするためのロジックと、
前記ディスペンサメモリを取り外さずに可変出力制御カードを取り外すことができるように構成されている可変出力制御カードレセプタクルと、
前記プロセッサを前記可変出力制御カードとの回路通信状態とするためのカードリーダと、
流体の詰め替えユニットを受けるための詰め替えレセプタクルと、
物体を感知するセンサと、
前記
ディスペンサメモリに記憶されたロジックと、
を備え、
前記ロジックは、前記可変出力制御カードが前記可変出力制御カードレセプタクル内にあるときに、前記プロセッサに前記可変出力制御カー
ドからデータを読み取らせ、
前記ロジックは、前記プロセッサに、前記可変出力制御カードから読み取ったデータの関数としてディスペンサ出力量を設定させて、前記デフォルト分配1回分量をオーバーライドさせ、
前記詰め替えユニットを取り外すと、前記可変出力制御カードが前記ディスペンサと共に残存する、
タッチフリーディスペンサ。
【請求項34】
前記可変出力制御カードレセプタクルに挿入された前記可変出力制御カードを更に備え、前記可変出力制御カードは、前記ディスペンサ出力量を示すデータを継続する可変出力制御カードメモリを更に備える、請求項33に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項35】
前記詰め替えユニットを前記ディスペンサに設置すると、前記可変出力制御カードを前記ディスペンサから取り外すことができない、請求項34に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項36】
前記カードリーダが無線カードリーダである、請求項33に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項37】
前記カードリーダが、前記プロセッサを有線接続を介した回路通信状態とする、請求項33に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項38】
前記可変出力制御カードレセプタクルが前記詰め替えレセプタクルの背後に位置する、請求項33に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項39】
前記可変出力制御カードを前記ディスペンサに挿入すると、前記可変出力制御カードレセプタクルが前記可変出力制御カードの少なくとも3つの面を取り囲む、請求項33に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項40】
前記可変出力制御カードが業界特有の可変出力制御カードである、請求項33に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項41】
前記可変出力制御カードがカラーインジケータを有し、前記カラーインジケータが1回分量サイズを示す、請求項34に記載のタッチフリーディスペンサ。
【請求項42】
タッチフリーディスペンサの出力量を調整する方法であって、
可変出力制御カードレセプタクルと、
可変出力制御カードからデータを読み取るためのカードリーダと、
レセプタクルと、
カバーと、
プロセッサと、
ディスペンサメモリと、
前記
ディスペンサメモリに記憶された、第1のディスペンサ出力量を設定するためのロジックと、
を有する、タッチフリーディスペンサを用意するステップと、
詰め替えユニットを用意するステップと、
前記可変出力制御カードレセプタクルに前記可変出力制御カードを挿入するステップと、
前記プロセッサに前記可変出力制御カードからデータを読み取らせるステップと、
前記第1のディスペンサ出力量とは異なる前記可変出力制御カードから読み取ったデータの関数として、前記プロセッサに第2のディスペンサ出力量を設定させるステップと、
を含み、
前記可変出力
制御カードが、前記詰め替えユニットとは別個であり、前記ディスペンサメモリとも別個であり、
前記詰め替えユニットを前記ディスペンサから取り外すと、前記可変出力
制御カードが前記ディスペンサ内に残存する、
タッチフリーディスペンサの出力量を調整する方法。
【請求項43】
データタグを有する前記詰め替えユニットを用意するステップと、前記カードリーダに前記データタグからデータを読み取らせるステップとを更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記カードリーダが無線カードリーダである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記カードリーダは、前記プロセッサを前記可変出力制御カードとの有線回路通信状態とする、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年5月14日に出願された、「複数の1回分量サイズを安全に制御するためのディスペンサおよびディスペンサシステム(DISPENSERS AND DISPENSER SYSTEMS FOR SECURELY CONTROLLING A PLURALITY OF DOSE SIZES)」と題される、米国仮特許出願第63/024,600号の優先権および利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、タッチフリーの石鹸ディスペンサシステムおよび消毒剤ディスペンサシステムに関し、より詳細には、ユーザに分配される1回分量のサイズを変更するための安全なシステムを有するディスペンサに関する。
【背景技術】
【0003】
ハンズフリー(またはタッチフリー)ディスペンサでは、液体または泡ポンプは、一般に、駆動サイクルを通じてポンプを駆動して1回分量の流体を分配するアクチュエータによって作動される。分配される流体のサイズまたは量は一般に製造時に設定される。
【0004】
一般に、タッチフリーディスペンサは、ユーザの手を検出してユーザの手の上に1回分量の流体を分配する赤外線センサなどの感知デバイスを利用する。分配される流体の1回分量のサイズは、一般に、製造時に設定される標準的な量である。多くの場合、ディスペンサから分配される流体の標準的な量を変更するまたは変えることが望ましい。
【0005】
場合によっては、標準的な量が減少される。例えば、ポンプの「ショートストローク」を引き起こす機械デバイスなどの様々な機械的機構が標準的な量を減少させるために利用されてきた。「ロストモーション・調整可能出力泡ポンプを伴う泡ポンプ(Foam Pumps with Lost Motion and Adjustable Output Foam Pumps)」と題される米国特許第8,955,718号は、分配される1回分量を変更するための幾つかの機械的機構を開示する。これらの機械的機構は、ディスペンサを提供している施設の同意なしに、改ざん、削除、または、追加される場合がある。施設の提供者は、例えば、手消毒ガイドラインに従って1回分量が設定されているなど、分配されるべき1回分量の設定量に理由があることが多いため、施設の提供者は、1回分量のサイズをその知識を伴うことなく変更してほしくない。
【0006】
場合によっては、例えば、ディスペンサのボタンを押すかあるいはセレクタスイッチを選択可能な設定に動かすことによって量が電子的に変更される。「離散的分配サイクルを伴うディスペンサ(Dispenser with Discrete Dispense Cycles)」と題される米国特許第8,302,812号は、ユーザが分配されるべき流体の量を変更できるようにする1つまたは複数のボタンを押すことによって1回分量を電子的に変更する1つの方法を開示する。分配される流体の量をユーザが決定できるようにすると、施設が遵守している手消毒ガイドラインに違反する場合がある。結果的に無駄遣いになる場合もある。更に、量選択可能スイッチが隠される場合でも、悪意のある個人がスイッチを見つけて、分配されている「標準的な」量を変更または変える場合がある。
【0007】
更に、幾つかのディスペンサシステムでは、ディスペンサが詰め替えユニットに保存された情報を読み取って、その情報を使用して分配量を設定する。これについては、例えば、米国特許第10,459,460号および米国特許第9,357,887号を参照されたい。その後、いずれはそのディスペンサに関して分配されるべき流体の量を設定するために詰め替えユニットに保存された情報が使用される。このタイプの分配システムに伴う問題は、異なる量の流体を分配する必要がある様々なエリアを施設が有する場合に、施設が複数の異なる詰め替えユニットを購入して適切な詰め替えユニットが正しいディスペンサに配置されるようにしなければならないことである。したがって、適切な人員によって1回分量を安全に変更でき、悪意のある個人が分配されるべき流体の量を変更できる能力を制限できるディスペンサが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
分配されるべき複数の異なる量の流体を安全に制御するためのタッチフリー石鹸、消毒剤、または、ローションディスペンサの典型的な実施形態。典型的なタッチフリー石鹸、消毒剤、または、ローションディスペンサは、ハウジング、可動カバー、プロセッサ、メモリ、流体の詰め替え容器を受けるための詰め替えレセプタクル、および、可変出力制御カードレセプタクルを含む。可変出力制御カードレセプタクルは、詰め替えユニットが詰め替えレセプタクルに挿入されるときに可変出力制御カードを挿入できないまたは可変出力制御カードレセプタクルから取り外すことができないように詰め替えレセプタクルに近接して位置する。ディスペンサは、プロセッサを可変出力制御カードとの回路通信状態および詰め替えユニットデータタグとの回路通信状態におくためのリーダを更に含む。更に、ディスペンサは、物体を感知するためのセンサ、可変出力制御カード、および、取り外し可能で交換可能な詰め替えユニットを含む。データタグは詰め替えユニットに固定され、VOCカードは、ディスペンサ出力量を設定するための可変出力制御カード上のデータを含む。
【0009】
他の典型的なタッチフリー石鹸、消毒剤、または、ローションディスペンサは、ハウジング、可動カバー、プロセッサ、メモリ、流体の詰め替え容器を受けるための詰め替えレセプタクル、および、可変出力制御カードレセプタクルを含む。可変出力制御カードレセプタクルは、詰め替えユニットが詰め替えレセプタクルに挿入されるときに可変出力制御カードを挿入できないまたは可変出力制御カードレセプタクルから取り外すことができないように詰め替えレセプタクルに近接して位置する。プロセッサを可変出力制御カードとの回路通信状態におくためのリーダ、物体を感知するためのセンサ、および、可変出力制御カードも提供される。可変出力制御カード上のデータは、ディスペンサ出力量を設定するために使用される。ディスペンサから詰め替えユニットが取り外されるときに可変出力制御はディスペンサ内に残存する。
【0010】
更に他の典型的なタッチフリー石鹸、消毒剤、または、ローションディスペンサは、ハウジング、可動カバー、プロセッサ、メモリ、可変出力制御カードレセプタクル、プロセッサを可変出力制御カードとの回路通信状態におくためのカードリーダ、流体の詰め替え容器を受けるための詰め替えレセプタクル、および、物体を感知するためのセンサを含む。メモリは、可変出力制御カードレセプタクル内に位置する可変出力制御カードからデータをプロセッサに読み取らせるためのロジックを含む。更に、メモリは、データに応じてディスペンサ出力量をプロセッサに設定させるためのロジックを含む。詰め替えユニットが取り外されるときに可変出力制御カードがディスペンサと共に残存する。
【0011】
タッチフリーディスペンサの出力量を調整する典型的な方法は、可変出力制御カードレセプタクル、可変出力制御カードからデータを読み取るためのカードリーダ、詰め替え容器を受けるためのレセプタクル、カバー、プロセッサ、および、メモリを有するタッチフリーディスペンサを用意するステップを含む。プロセッサに可変出力制御カードからデータを読み取らせるためのロジックがメモリに記憶される。メモリには、可変出力カードから読み取られるデータに応じてディスペンサの出力量を設定するためのロジックも記憶される。方法は、詰め替えユニットを用意するステップと、可変出力制御カードレセプタクルに挿入されるべき可変出力制御カードを用意するステップとを更に含む。可変出力カードは詰め替えユニットとは別個のものであり、この場合、可変出力カードは、詰め替えユニットがディスペンサから取り外されるときにディスペンサ内に残存する。方法は、リーダに可変出力制御カードからデータを読み取らせるステップと、可変出力制御カードから読み取られるデータに応じてディスペンサの出力量を設定させるステップとを更に含む。
【0012】
他の典型的なタッチフリーディスペンサは、ハウジング、プロセッサ、ディスペンサメモリ、流体の詰め替え容器を受けるための詰め替えレセプタクル、および、データタグが固定された取り外し可能で交換可能な詰め替えユニットを含み、データタグはデータタグメモリを備える。可変出力制御カードレセプタクル、可変出力制御カード、可変出力制御カード上に位置する可変出力制御カードメモリ、プロセッサを可変出力制御カードメモリとの回路通信状態および詰め替えユニットデータタグメモリとの回路通信状態におくための1つまたは複数のリーダ、物体を感知するためのセンサも含まれる。可変出力制御カードメモリ上のデータは、データタグメモリに記憶されるディスペンサ出力量に関係なくディスペンサ出力量を設定するために使用される。
【0013】
他の典型的なタッチフリーディスペンサは、プロセッサ、ディスペンサメモリ、流体の詰め替え容器を受けるための詰め替えレセプタクル、可変出力制御カードレセプタクル、可変出力制御カード、および、可変出力制御カード上に位置する可変出力制御カードメモリを含む。プロセッサを可変出力制御カードとの回路通信状態におくためのリーダ、および、物体を感知するためのセンサも設けられる。可変出力制御カード上のデータは、ディスペンサ出力量を調整するために使用され、また、可変出力制御は、詰め替えユニットがディスペンサから取り外されるときにディスペンサ内に残存する。
【0014】
他のタッチフリー石鹸、消毒剤、または、ローションディスペンサは、プロセッサ、メモリ、ディスペンサの作動時にデフォルト分配1回分量を分配させるためにメモリに記憶されるロジック、可変出力制御カードレセプタクル、プロセッサを可変出力制御カードとの回路通信状態におくためのカードリーダ、流体の詰め替え容器を受けるための詰め替えレセプタクル、および、物体を感知するためのセンサを含む。ディスペンサは、メモリに記憶されるロジックを更に含む。ロジックは、可変出力制御カードが可変出力制御カードレセプタクル内に位置するときにプロセッサに可変出力制御カードメモリからデータを読み取らせる。プロセッサに、可変出力制御カードから読み取られるデータに応じてディスペンサ出力量を設定させるとともに、デフォルト分配1回分量をオーバーライドさせるための更なるロジックも含まれる。更に、詰め替えユニットがディスペンサから取り外されるときに、可変出力制御カードがディスペンサと共に残存する。
【0015】
タッチフリーディスペンサの出力量を調整するための他の典型的な方法論またはロジックは、可変出力制御カードレセプタクル、可変出力制御カードからデータを読み取るためのカードリーダ、詰め替え容器を受けるためのレセプタクル、プロセッサ、ディスペンサメモリ、第1のディスペンサ出力量を設定するためのディスペンサメモリに記憶されるロジックを有するタッチフリーディスペンサを用意するステップを含む。方法論は、詰め替えユニットを用意するステップと、可変出力制御カードレセプタクルに可変出力制御カードを挿入するステップとを更に含み、可変出力カードは詰め替えユニットとは別個のものであり、可変出力カードは、詰め替えユニットがディスペンサから取り外されるときにディスペンサ内に残存する。更に、方法論は、プロセッサに可変出力制御カードからデータを読み取らせるステップと、第1のディスペンサ出力量とは異なる可変出力カードから読み取られるデータに応じて第2のディスペンサ出力量を設定させるステップとを含む。
【0016】
本発明のこれらならびに他の特徴および利点は、以下の説明および添付図面に関してより良く理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】詰め替えユニットが設置されてカバーが閉じられた典型的なディスペンサの斜視図である。
【0018】
【
図2】カバーが開いた状態の
図1の典型的なディスペンサの斜視図である。
【0019】
【
図3】詰め替えユニットが取り外されて、カバーが開いており、可変出力制御(「VOC:Variable Output Control」)カードが設置されていない、
図1の典型的なディスペンサの斜視図である。
【0020】
【0021】
【
図5】詰め替えユニットが取り外されて、カバーが開いており、VOCカードが設置されている、
図1の典型的なディスペンサの斜視図である。
【0022】
【
図6】典型的なディスペンサの一般的な例示的概略図である。
【0023】
【
図7】VOCを使用してディスペンサの出力量サイズを安全に制御するための典型的な方法論またはロジックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下は、本開示の全体にわたって使用される典型的な用語の定義を含む。全ての用語の単数形と複数形はいずれもそれぞれの意味に含まれる。別段に言及される場合を除き、全ての用語の大文字および非大文字の形式は、それぞれの意味に含まれる。
【0025】
本明細書で使用される「回線通信」は、デバイス間の通信関係を示す。直接的な電気的接続、電磁気的接続、および、光接続と、間接的な電気的接続、電磁気的接続、および、光接続は、回路通信の例である。2つのデバイスは、信号が何らかの他のデバイスによって変更されるかどうかに関係なく、一方のデバイスからの信号が他方のデバイスにより受信される場合、回路通信状態にある。例えば、以下、すなわち、増幅器、フィルタ、変圧器、オプトアイソレータ、デジタルもしくはアナログバッファ、アナログ積分器、他の電子回路、光ファイバトランシーバまたは衛星のうちの1つまたは複数によって分離される2つのデバイスは、信号が中間デバイスによって変更されても、一方のデバイスからの信号が他方のデバイスに通信されれば、回路通信状態にある。他の例として、電磁センサは、それが信号から電磁放射線を受信する場合、信号と回路通信状態にある。最後の例として、互いに直接に接続されないがいずれも例えばCPUなどの第3のデバイスとインタフェースをとることができる2つのデバイスは回路通信状態にある。
【0026】
また、本明細書で使用される、電圧と、デジタル化された電圧を表わす値とは、この出願の目的のために同等であるとみなされ、したがって、本明細書で使用される「電圧」という用語は、信号、または、信号を表わすプロセッサにおける値、または、信号を表わす値から決定されるプロセッサにおける値のいずれかを指す。
【0027】
本明細書で使用される「信号」は、1つまたは複数の電気信号、アナログまたはデジタル信号、1つまたは複数のコンピュータ命令、ビットまたはビットストリームなどを含むが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用される「回路」と同義の「ロジック」は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/または、機能を果たすまたはアクションを実行するためのそれぞれの組み合わせを含むが、これらに限定されない。例えば、所望の用途またはニーズに基づいて、ロジックは、ソフトウェア制御されたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)または他のプログラムされたロジックデバイスなどのディスクリートロジックを含み得る。ロジックは、ソフトウェアとして完全に具現化することもできる。本明細書で特定されて説明される回路は、所望の機能を果たすために多くの異なる形態を有することができる。
【0029】
本明細書に開示されるブロック図またはロジックフロー図は典型例であり、更なるブロックまたはステップを典型的なロジック図に付加することができるまたは典型的なロジック図から削除することができる。更に、1つのロジック図からのブロックまたはステップを他の典型的なロジック図に含めることができる。更に、別段に言及されなければ、ブロックまたはステップを図示された順序とは異なる順序で実行することができる。
【0030】
詳細な説明で特定される値は、典型例であり、特定のディスペンサおよび/または詰め替え形態に関して必要に応じて決定される。したがって、本明細書に開示されて特許請求の範囲に記載される発明概念は、本明細書に開示される実施形態を説明するために使用される特定の値または値の範囲に限定されない。
【0031】
図1は、スライドカバー110を伴う典型的なディスペンサ100を示す。典型的なディスペンサ100は、2つのレール202(
図2)を有するベース101を含む。カバー110は、レール202に固定して、レール202上で上下にスライドする。カバー110は、
図1に示される閉鎖位置と
図2に示される開放位置との間をスライドする。幾つかの実施形態では、ベース101がレール202を1つだけ有する。他の実施形態では、ベース101が3つ以上のレール202を有する。典型的な実施形態は、カバー110が開かれるときに下方にスライドすることを示すが、幾つかの実施形態では、カバーが上方にまたは横にまたは任意の他の方向にスライドすることができる。幾つかの実施形態では、カバーが2つ以上の部分に分割されてもよく、カバーが開かれるときにそれぞれの部分が異なる方向にスライドする。幾つかの実施形態において、カバー110は、ヒンジ(図示せず)によりベース101に取り付けられてもよく、側部、下端、または、上端から揺動して開いてもよい。この典型的な実施形態において、カバー110は、それが閉じられるときに詰め替えユニット150の一部を覆う。幾つかの実施形態において、カバー110は、詰め替えユニット150を完全に取り囲むことができる。
【0032】
ディスペンサ100は、カバー110と係合してカバー110を閉位置にロックするラッチ320(
図3および
図5)を含む。典型的なラッチ機構は、「SLIDE OPEN REFILLABLE DISPENSER」と題されてその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,149,575号に示されて説明されている。ラッチ320は、閉じられたままになるように付勢され、作動部材122を押すことによって開かれる。作動部材122は外側に付勢され、作動部材122を解放すると、ラッチ380の一部であるボルト(図示せず)をラッチ位置に動かすことができる。ボルト(図示せず)は、カバー110が閉じられるときにカバー110をその閉位置に保持する。ラッチを開くと、ボルト(図示せず)がラッチ解除位置に移動し、カバー110がその開位置まで下方にスライドできるようになる。カバー110は、開かれると、作動部材122の一方もしくは両方を押すことによってまたは押さなくても閉じられ得る。ラッチ320は、作動部材122を押すことによって開くことができないようにロックされ得る。この典型的な実施形態において、ベース101のキー開口部380にキー(図示せず)を挿入すると、ラッチ320がロックされる。
【0033】
幾つかの実施形態において、ベースカバープレート(図示せず)は、カバー110が閉位置にあるときに、カバー110の上端に近接して位置し得る。幾つかの実施形態において、ベースカバープレートは、ディスペンサ100内に少なくとも部分的に受けられる詰め替えユニット150を少なくとも部分的に支持する。閉じられると、カバー110および詰め替えユニット150がベースカバープレートを隠す。カバー110を開くと、ディスペンサ100に詰め替えユニット150を設置できるようにアクセスできる。この典型的な実施形態では、ポンプ(図示せず)がディスペンサ100に恒久的に設置され、詰め替えユニット150にはポンプが取り付けられていない。詰め替えユニット150は、ディスペンサ100と嵌合して詰め替えユニット150の内部をポンプ(図示せず)と流体連通させる嵌合部材(図示せず)を含む。幾つかの実施形態では、詰め替えユニット150がディスペンサ100に設置されると、詰め替えユニット150のポンプ(図示せず)がディスペンサ100の駆動ユニット(図示せず)によって係合される。駆動ユニットがポンプを作動させて詰め替えユニット150からの液体または泡を分配する。
【0034】
この典型的な実施形態では、詰め替えユニット150が垂直軸に沿って挿入(および除去)される。詰め替えユニット150上に位置するバッテリポッド(図示せず)が、ディスペンサ100のバッテリレセプタクル330と係合する。このとき、カバー110が閉じられ、カバー110は、詰め替えユニット150の少なくとも一部を覆う。カバー110は、カバー110が閉じられるときに詰め替えユニット150が取り外されるのを防止する。幾つかの実施形態において、カバーは、ポンプ(図示せず)および/または詰め替えユニット150の出口(図示せず)を覆う。幾つかの実施形態において、カバー110は、容器152を含む詰め替えユニット150全体を覆う。幾つかの実施形態では、カバー110が詰め替えユニットの一部を覆う。幾つかの実施形態では、詰め替えユニット150が容器および閉塞体(図示せず)を含み、閉塞体および容器の一部がカバー110によって覆われる。好ましくは、ラッチ320は、米国特許第10,149,575号に示されるようなラッチ320機構を覆うベースプレート(図示せず)によって覆われる。
【0035】
カバー110は、ベース101のレール202と係合してカバー110が閉位置(
図1)と開位置(
図2)との間でスライドできるようにするスライド112を含む。カバー110が開位置にあるとき、解放部材210にアクセス可能である。解放リング211に取り付けられる解放部材210は、時計回りに回転して、1つまたは複数のリテーナ343を後退させる。この典型的な実施形態において、詰め替えユニット150の少なくとも一部を受けるレセプタクル340は、ディスペンサ100に固定される円筒状カラー341を含む。円筒状カラー341は1つまたは複数の開口部342を含む。1つまたは複数のリテーナ343が解放リング211に接続されて1つまたは複数の開口部342を通じて突出する。この典型的な実施形態では、1つまたは複数のリテーナが弾性材料から形成され、また、この典型的な実施形態では、1つまたは複数のリテーナが2つ以上の弾性フィンガから形成される。解放リング211が回転されると、2つ以上の弾性フィンガは、それと共に回転し、1つまたは複数の開口部342の側面に接触すると撓む。弾性フィンガは弾力があるため、撓むと解放リング211を反対方向に付勢する。1つまたは複数のリテーナ343が1つまたは複数の開口部342を通じて延在すると、1つまたは複数のリテーナ343は、詰め替えユニット150上の1つまたは複数のキャッチ(図示せず)と係合して、詰め替えユニット150を適所に保持する。詰め替えユニット150を取り外すために、ユーザは、解放部材210と係合して解放リング211を時計回りに回転させる。解放リング211を時計回りに回転させると、1つまたは複数の解放部材343が偏向して詰め替えユニット150上の1つまたは複数のキャッチ(図示せず)から外れ、それにより、持ち上げて取り外すことができる。
【0036】
幾つかの実施形態において、解放部材210および解放リング211は、例えば、ばねなどの付勢デバイスによって、反時計回りの方向に付勢され、この場合、1つまたは複数のリテーナ343が1つまたは複数のキャッチ(図示せず)と係合するように構成される。この典型的な実施形態において、詰め替えユニット150は、ディスペンサ100に設置されるべく垂直方向に下げられる。この典型的な実施形態において、詰め替えユニット150は電力ポッドまたはバッテリ(図示せず)を含み、電力ポッドまたはバッテリは、コネクタ330と係合して電力を電力ポッドからディスペンサ100に伝送する。詰め替えユニット150は、解放部材210を回転させずに、したがって解放リング211を回転させずに、ディスペンサ100から取り外すことができない。幾つかの実施形態では、詰め替えユニット150をレセプタクル340に設置することができまたは押し込むことができ、また、1つまたは複数の解放部材343は、邪魔にならないところに偏向するように構成されるとともに、それらの非偏向位置に付勢されて戻り、そこで、詰め替えユニット150の1つまたは複数のキャッチ(図示せず)と係合する。このようにして、カバー110を開けずに詰め替えユニット150を設置することができる。
【0037】
この典型的な実施形態において、カバー110は、それがディスペンサ100に設置されるときに詰め替えユニット150の下部を取り囲む。詰め替えユニット150内の流体は、従来の方法でポンプ(図示せず)と流体連通状態におかれる。任意選択的なドリップトレイ108が、詰め替えユニット150から分配される未使用の流体を受け取るべく、装着部106の下方のベース101とカバー110とに取り付けられる。
【0038】
ディスペンサ100はスロット380を含む。スロット380は、可変出力カード(「VOC」)400(
図4)を受けるように構成される。VOCカード400はハウジング402を含む。この典型的な実施形態において、ハウジング402は長方形の形状を有するが、他の形状が使用されてもよい。ハウジング402は、上面420、前面421、後面422、右側面423、左側面424、および、底425を有する。VOCカード400はメモリ410を含む。メモリ410は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM)、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能なリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュ、ROM、または、同様のもの、あるいは、異なるタイプのメモリの組み合わせなどの任意のタイプのメモリであってよい。好ましい実施形態では、メモリ410が無線周波数識別デバイス(「RFID」)である。メモリ410は、無線で読み取られてもよく、あるいは、ハード接続または1つもしくは複数の接点を介して読み取られてもよい。
【0039】
VOCカード400は、ポンプハウス350におけるスロット380内に嵌合する。この典型的な実施形態において、VOCカード400は、詰め替えユニット150がディスペンサ100から取り外されるときにのみ取り外すことができる。幾つかの実施形態では、VOCカード400が設置された時点で、VOCカード400は、ポンプハウス350をディスペンサ100から取り外さない限り、ディスペンサ100から取り外されなくてもよい。幾つかの実施形態において、VOCカード400は、作動部材122または解放リング211に接続されるラッチ(図示せず)によって適所にロックされる。したがって、VOCカード400をディスペンサ100から取り外すために、ユーザは、VOCカード400を取り外すことができるようになる前に、作動部材122または解放部材210/解放リング211と係合する必要がある。幾つかの実施形態では、VOCカード400を取り外すために隠された解放部材(図示せず)が係合される必要がある場合がある。好ましくは、VOCカード400の上端はスロット400の上端と面一である。幾つかの実施形態では、VOCカード400をディスペンサ100から取り外すために工具(図示せず)が必要とされる。例えば、工具(図示せず)は、人の指では掴めないVOCカード400の部分を掴むことができるように構成されてもよい。
【0040】
幾つかの実施形態において、VOCカードスロット380またはVOCカードレセプタクルは、詰め替えユニット150がディスペンサ100に設置されるときに詰め替えユニット150の下方に位置する。幾つかの実施形態において、VOCカードスロット380は、詰め替えユニット150が設置されるときに詰め替えユニットの背後に位置する。幾つかの実施形態において、VOCカードスロット380は、カバー110が閉じられるときにカバー110の背後に位置し、カバー110が開いているときに見える。幾つかの実施形態において、VOCカードスロット380は、詰め替えユニット150の下方に位置して詰め替えユニット150の背面に近接している。
【0041】
幾つかの実施形態では、VOCカード400を取り外すためにディスペンサ100と通信するべく第2のVOCカード400またはハンドヘルドデバイスが必要とされる場合がある。例えば、スマートフォン上のアプリケーションは、ブルートゥース(登録商標)接続を介してディスペンサ100と通信し、VOCカード400を排出するようにディスペンサ100に指示することができる。幾つかの実施形態において、VOCカード400は、ポンプハウス350におけるスロット380に挿入される時期を示す単一の面、例えば上面420を有する。幾つかの実施形態では、VOCカード400がドア(図示せず)の背後に隠される。
【0042】
VOCカード400は、分配1回分量を示すデータまたは情報をメモリ410内に含む。情報は、例えば、ポンプ稼働時間、ポンプ回転数、モータ回転数、ポンプ稼働時間/ディスペンサ100におけるプロセッサ(図示せず)が電圧に基づいて稼働時間を調整して一貫した出力を与えることができるようにする電圧曲線であってもよい。VOCカード400は、以下に説明するようにリーダ(図示せず)によって読み取ることができる。幾つかの実施形態では、VOCカード400上のメモリ410が無線で読み取られる。幾つかの実施形態では、VOCカード400上のメモリ410が無線周波数識別デバイス(RFID)であり、リーダがRFIDリーダである。幾つかの実施形態では、VOCカード400が接点を有し、リーダ(図示せず)が嵌合接点を有し、リーダがVOCカード400を有線接続を介してプロセッサ(図示せず)との回路通信状態におく。幾つかの実施形態において、リーダ(図示せず)は、VOCカード400からデータを無線で読み取り、詰め替えユニット150上に位置する別個の任意選択的なデータタグ621からデータを読み取るように構成される。
【0043】
データタグ621は、電子キーと呼ばれる場合がある。データタグ621は、例えばリーダ623によって無線で読み取ることができる。データタグ621は、例えば、認可された販売代理店情報、製造情報、ロット番号、有効期限、流体内容物、詰め替えユニットの容量、ポンプのタイプおよび/またはサイズ(ポンプに詰め替えユニットが設けられる場合)、詰め替え有効期限、現在の量などの詰め替えユニット610に固有のデータを含む。幾つかの実施形態では、データタグ621が所望のモータまたはポンプの速度情報も含み得る。
【0044】
したがって、幾つかの実施形態において、ディスペンサ600は、2つの別個のデータソース、すなわち、VOCカード624およびデータタグ621からデータを読み取るように位置するおよび/または構成される単一のリーダ623を有する。本明細書中に記載されるように、VOCカード624は、ディスペンサ600の量出力を設定するために使用されるデータを含む。幾つかの実施形態において、データタグ621は、ディスペンサ600の量出力を設定するために使用され得るデータを含む。幾つかの実施形態では、VOCカード624がディスペンサ600に挿入されない場合、データタグ621上のデータは出力量を設定するために使用されるが、VOCカード624が設置される場合、プロセッサは、VOCカード624上のデータを使用して出力量を設定し、本質的にデータタグ621上の任意の量出力データをオーバーライドする。
【0045】
幾つかの実施形態では、異なるVOCカード400が色分けされる。例えば、青色は、例えば2ミリリットルのフルサイズの1回分量のためのものであってもよい。赤色は、例えば、1.5ミリリットルなど、より小さい1回分量サイズであってもよい。黄色は、例えば、1ミリリットルなどの最小1回分量サイズであってもよい。したがって、例えば小学校などの施設は、予期される使用に基づいてディスペンサの分配量を確実に調整することができる。例えば、子供用バスルームなど、小さな子供がディスペンサを使用する可能性が高いエリアでは、黄色のVOCカード400をディスペンサに挿入することができる。例えば教師用ラウンジや教師用バスルームなど、教師が使用するエリアでは、これらのディスペンサに青色のVOCカード400を設置することができる。
【0046】
一部のVOCカード400は、選択された産業のために特別に指定されてもよい。第1のVOCカードは、病院のVOCカードであってもよく、例えば、2.0ミリリットルに設定されてもよい。第2のVOCカードは、工場用であってもよく、例えば2.5ミリリットルに設定されてもよい。第3のVOCカードは、オフィス設定用であってもよく、例えば1.0ミリリットルに設定されてもよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、VOCカード400がスロット380に挿入されない場合、ディスペンサ100は、例えば1.5ミリリットルの予め設定された量をデフォルトに設定する。
【0048】
幾つかの実施形態において、VOCカード400は、予め設定された量を増大または減少させる。例えば、幾つかの実施形態では、VOCカード400が+0.5ミリリットルであり、予め設定された量が1.5ミリリットルであり、したがって、VOCカード400がディスペンサに挿入されると、ディスペンサは2.0ミリリットル(1.5+0.5)を分配する。VOCカード400は、予め設定された量を任意の量だけ増大または減少させることができる。幾つかの実施形態では、VOCカード400が+0.5ミリリットルのVOCカードである。幾つかの実施形態では、VOCカード400が+1.0ミリリットルのVOCカードである。幾つかの実施形態では、VOCカード400が+1.5ミリリットルのVOCカードである。幾つかの実施形態では、VOCカード400が-0.5ミリリットルのVOCカードである。幾つかの実施形態では、VOCカード400が-1.0ミリリットルのVOCカードである。幾つかの実施形態では、VOCカード400が-1.5ミリリットルのVOCカードである。
【0049】
図6は、典型的なディスペンサ600を示す。ディスペンサ600はハウジング602を含む。ハウジング602は、本明細書に記載の構成要素および詰め替えユニット610を完全に取り囲むことができる。幾つかの実施形態において、ハウジング602は、図示のように詰め替えユニット610の一部を取り囲む。幾つかの実施形態では、ハウジング602が詰め替えユニット610を取り囲んでいない。ハウジング602内にはシステム回路630が位置する。システム回路630は、単一の回路基板上にあってもよく、または、複数の回路基板上にあってもよい。更に、システム回路630の一部は、回路基板上になくてもよく、むしろ、必要に応じて他の構成要素に個別に実装されて電気的に接続されてもよい。この実施形態において、システム回路630は、プロセッサ632、メモリ633、ヘッダ634、永久電源636、電圧調整器638、カバースイッチ回路640、物体センサ642、モータ648、コンデンサバンク645、コンデンサ制御回路646、交換可能な電源インタフェースレセプタクル644、パルス幅変調回路680、および、スイッチングデバイス682、モータエンコーダ650および任意選択的なブレーキ650を含む。モータ648はポンプ690を駆動する。
【0050】
この典型的な実施形態において、ポンプ690は、例えば、以下に特定されて本明細書に組み込まれるものなど、順次作動されるロータリーダイアフラム泡ポンプである。この典型的な実施形態において、ポンプ690は、永久ポンプであり、ディスペンサハウジング602に固定されたままである。この典型的な実施形態において、ポンプ690は、泡ポンプであり、詰め替えユニット610がディスペンサ600に装着される場合、空気入口692を通じて空気を引き込んで液体入口691から液体を引き込む。ポンプ690は、ディスペンサ600から泡を分配するための泡出口696を有する。幾つかの実施形態において、ポンプ190は、液体ポンプであり、空気入口692を必要としない。幾つかの実施形態において、ポンプ690は、詰め替えユニット610の一部であり、取り外されて詰め替えユニット610と置き換えられる。幾つかの実施形態において、詰め替えユニット610は、定期的に詰め替えされて取り外されたり交換されたりしない永久容器または半永久容器(図示せず)と置き換えられる。この典型的な実施形態において、ディスペンサ600は、任意選択的なエンコーダ652および任意選択的なブレーキ654を含む。
【0051】
ディスペンサ600はリーダ623を含む。VOCカード624がディスペンサ600に挿入されると、リーダ623はVOCカード624に記憶されたデータを読み取ることができる。データは、上記で詳しく説明したように、ディスペンサから分配されるべき流体の量を示す。VOCカード624は、リーダ623を介してプロセッサ632に通信され得るデータを収容するメモリを含む。メモリは任意のタイプのメモリでよく、プロセッサとの回路通信は無線通信または有線通信であってもよい。好ましい実施形態において、VOCカード624内のメモリは、無線周波数識別デバイス(「RFID」)であり、好ましくは読み取り/書き込みRFIDである。幾つかの実施形態において、リーダ623は、VOCカード624からデータを読み取り、データタグ631からもデータを読み取るように位置するおよび/または構成される。
【0052】
典型的なタッチフリーディスペンサは、「近距離場応答を利用する電子的に適合された分配システムおよび関連方法(Electronically Keyed Dispensing System And Related Methods Utilizing Near Field Response)」と題される米国特許第7,837,066号、「タッチフリーディスペンサ用の電力システムおよび電源を含む詰め替えユニット(Power Systems For Touch-Free Dispensers and Refill Units Containing a Power Source)」と題される米国特許第9,172,266号、「測定された量の材料をハンズフリー分配するための装置(Apparatus for Hands-Free Dispensing of a Measured Quantity of Material)」と題される米国特許第7,909,209号、「測定された量の材料をハンズフリー分配するための装置(Apparatus for Hands-Free Dispensing of a Measured Quantity of Material)」と題される米国特許第7,611,030号、「近距離場応答を利用する電子的に適合された分配システムおよび関連方法(Electronically Keyed Dispensing Systems and Related Methods Utilizing Near Field Response)」と題される米国特許第7,621,426号、および、「単一セル動作およびバッテリバンキングを伴うタッチフリーディスペンサ(Touch-Free Dispenser with Single Cell Operation and Battery Banking)」と題される米国特許公開第8,960,498号に示されて記載され、これらの特許は全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。開示された特徴または構成要素のうちの1つまたは複数の様々な構成要素が、本発明のディスペンサで使用され得る。更に、幾つかの実施形態では、順次作動するダイアフラムポンプがタッチフリーディスペンサで利用される。典型的な順次作動ダイアフラムポンプおよび関連するディスペンサは、米国特許第9,943,196号、米国特許第10,065,199号、米国特許第10,080,466号、米国特許第10,080,467号、米国特許第10,143,339号、および、米国特許第10,080,468号に示されて記載され、これらの特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0053】
プロセッサ632は、例えば、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)などのディスクリートロジック、他のプログラムされたロジックデバイスなど、任意のタイプのプロセッサであってもよい。プロセッサ632はヘッダ634と回路通信状態にある。ヘッダ634は、ユーザがシステム回路630に接続して、回路をプログラムし、回路で診断を実行し、および/または、回路から情報を取り出すことができるようにする回路接続ポートである。幾つかの実施形態において、ヘッダ634は、上記で特定された機能を遠隔的に実行できるように構成された、例えば無線RF、ブルートゥース(登録商標)、ANT(登録商標)などの無線送信/受信回路を含む。
【0054】
プロセッサ632は、メモリ633と回路通信状態にある。メモリ633は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラム可能なリードオンリーメモリ(PROM)、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能なリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュ、ROMなど、または、異なるタイプのメモリの組み合わせなどの任意のタイプのメモリであってもよい。幾つかの実施形態では、メモリ633がプロセッサ632とは別個であり、幾つかの実施形態では、メモリ633がプロセッサ632上または内部に存在する。
【0055】
例えば、1つまたは複数のバッテリなどの任意選択的な永久電源636も設けられる。永久電源636は、好ましくは、ディスペンサ600の寿命にわたって永久電源136を交換する必要がないように設計される。永久電源636は、電圧調整回路638と回路通信状態にある。1つの典型的な実施形態において、電圧調整回路138は、プロセッサ632、物体センサ642、ストローク終了検出回路647、および、ドア回路140に調整された電力を供給する。永久電源636は、少量の電力を必要として永久電源636を時期尚早に消耗させない他の回路に電力を供給するために使用されてもよい。永久電源が使用されない場合、または、任意選択的に永久電源を伴う場合でも、電圧調整回路638が別の電源に接続される。
【0056】
また、プロセッサ632も、ディスペンサ600のカバー(図示せず)がいつ閉じられるかをプロセッサ632が知ることができるように、任意選択的なカバー回路640と回路通信状態にある。幾つかの実施形態において、カバーは、詰め替え610を取り外して交換するまたは容器を詰め替えするために、ディスペンサハウジングに対してスライドする、または、1つまたは複数のヒンジポイントでディスペンサハウジングから離れるように揺動することによって開く従来のカバーである。幾つかの実施形態において、「カバー」は、電子機器にアクセスするためにおよび/または詰め替えユニット610を取り外して交換するために開くことができるディスペンサの単なる一部である。幾つかの実施形態において、プロセッサ632は、カバーが開いている場合にディスペンサ600が流体の1回分量を分配できるようにしない。カバー回路640は、例えば、機械的スイッチ、磁気スイッチ、近接スイッチなどの任意のタイプの回路であってもよい。プロセッサ632も、物体が分配領域に存在するかどうかを検出するために物体センサ642と回路通信状態にある。物体センサ642は、例えば、赤外線センサおよび検出器、近接センサ、撮像センサ、熱センサなど、任意のタイプの受動または能動物体センサであってもよい。
【0057】
更に、プロセッサ632は、パルス幅変調回路680と回路通信状態にある。パルス幅変調回路680はスイッチングデバイス682と回路通信状態にある。この典型的な実施形態において、スイッチングデバイス682は、コンデンサバンク645およびモータ648と回路通信状態にある。幾つかの実施形態において、スイッチングデバイス682は、単独でまたは任意選択的なコンデンサバンク645と組み合わせて、異なる電源(図示せず)と回路通信状態にある。幾つかの実施形態において、コンデンサバンク645は、1つもしくは複数の通常のバッテリおよび/または1つもしくは複数の充電式バッテリと交換される。動作中、プロセッサ632は、1つまたは複数の信号をパルス幅変調回路680に供給し、これにより、パルス幅変調回路680は、スイッチングデバイス682を制御して、コンデンサ645によって供給される電力を変調し、モータ648を駆動する。変調された電力信号のより詳細な説明については、「タッチフリーディスペンサ(Touch-Free Dispenser)」と題される米国特許公開第2019/0133384号、および、「石鹸、消毒剤、または、ローションディスペンサドライブモータを動的に制御するための電力システム(Power Systems for Dynamically Controlling a Soap, Sanitizer or Lotion Dispenser Drive Motor)」と題される米国特許公開第2017/0049276号に記載される。これらの米国特許はいずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
モータ648(および任意の関連する歯車装置)は、泡ポンプ690(幾つかの実施形態では液体ポンプであってもよい)を動作させる。この典型的な実施形態では、ディスペンサ600がエンコーダ652を含む。エンコーダ652は、例えば、光学エンコーダであってもよい。幾つかの実施形態において、エンコーダ652は、モータの1回転あたり少なくとも約4回、プロセッサ632に出力を供給する。幾つかの実施形態において、エンコーダ652は、モータの1回転あたり少なくとも約8回、プロセッサ632に出力を供給する。幾つかの実施形態において、エンコーダ652は、モータの1回転あたり少なくとも約16回、プロセッサ632に出力を供給する。幾つかの実施形態では、エンコーダ652が4スロット光学エンコーダである。幾つかの実施形態では、エンコーダ652が8スロット光学エンコーダである。幾つかの実施形態では、エンコーダ652が16スロットエンコーダである。エンコーダ652は、モータ652の回転および/またはその分数を正確にカウントするために使用される。
【0059】
この典型的な実施形態では、ディスペンサ600が任意選択的なブレーキ654も含む。必要な1回分量サイズが分配された後、任意選択的なブレーキ654を使用してモータ652を停止することができる。ブレーキ654がない場合、モータ652は、回転(またはフリーホイール)し続け、必要以上の流体を分配することができる。更に、例えば、モータ速度、流体容器612内の真空圧、駆動電圧など、様々な要因がフリーホイールの回転量に影響を与える場合がある。したがって、フリーホイールの移動量は、分配ごとに異なり得る。任意選択的なブレーキ654の使用は、個々の分配間の1回分量サイズの変動を排除するのに役立ち得る。
【0060】
詰め替えユニット610は、ユニットとしてディスペンサ600に容易に挿入されて、ディスペンサ600から取り外される。詰め替えユニット610は、容器612および閉塞体616を含む。幾つかの実施形態において、容器612は非崩壊型容器であり、また、空気が容器内に流れ込むことができるようにして容器612の崩壊を防止するために、通気孔(図示せず)が閉塞体616に含まれる。幾つかの実施形態では、容器612が折り畳み可能な容器であり、容器612から流体が除去されると潰れる。幾つかの実施形態において、詰め替えユニット610は、例えば、個人衛生のために使用される発泡性石鹸、消毒剤、ローション、保湿剤、または、他の液体などの発泡性液体613も含む。幾つかの実施形態において、詰め替えユニット610は、泡ディスペンサではなく液体ディスペンサで使用するためのものであり、発泡していないまたは発泡性ではない場合もある液体で満たされる。
【0061】
更に、幾つかの実施形態において、詰め替えユニット610は、任意選択的なエネルギー源620を含む。エネルギー源620は、例えば、単一の「AA」電池、コイン電池、9ボルト電池などの任意の電源であってよい。幾つかの実施形態において、エネルギー源620は、詰め替えユニット610の内容物を分配するためにモータ652(および関連する歯車装置)に直接に動力を与えるのに十分な電力を有していない。エネルギー源620は、詰め替えユニット610と共にディスペンサ600に挿入され、ディスペンサ600から詰め替えユニット610と共に取り外される。幾つかの実施形態では、詰め替えユニット610が電源を有さず、ディスペンサ600は、詰め替えユニット610から電力を受けることなく詰め替えユニット610の内容物を分配するのに十分な電力を受ける。
【0062】
この典型的な実施形態において、システム回路630は、コンデンサ645のバンク、および、プロセッサ632と回路通信状態にあるコンデンサ制御回路646も含む。コンデンサ645のバンクおよびコンデンサ制御回路646は、交換可能な電源インタフェースレセプタクル644およびアクチュエータドライブ648と回路通信状態にある。交換可能な電源インタフェースレセプタクル644は、詰め替えユニット610がディスペンサ600に挿入されるときに交換可能なエネルギー源620を受けるおよび/またはさもなければ交換可能なエネルギー源620と電気的に結合するように構成される。幾つかの実施形態では、コンデンサおよびコンデンサ回路が1つまたは複数のバッテリと置き換えられる。バッテリは充電式または非充電式であってもよい。
【0063】
動作中、詰め替えユニット610がディスペンサ600に挿入されると、プロセッサ632およびコンデンサ制御回路646は、コンデンサ645のバンクを並列に充電させる。1つの典型的な一実施形態では、2つ以上のコンデンサが存在する。幾つかの実施形態において、コンデンサは、1回分量の泡を分配するために必要な電力がモータ650および関連する歯車装置に給電するには大きすぎる。大きすぎるコンデンサは、コンデンサの定格電圧よりも低いレベルまで充電されることが好ましい。コンデンサ645のバンクは全容量未満に充電されるため、コンデンサが所定期間にわたってアイドル状態にあるとき、コンデンサにおける放電はより少ない。幾つかの実施形態において、コンデンサは、それらの全容量の約50%未満まで充電される。幾つかの実施形態において、コンデンサは、それらの全容量の約75%未満まで充電される。幾つかの実施形態において、コンデンサは、それらの全容量の約90%未満まで充電される。
【0064】
物体が分配ゾーン内にあるとプロセッサ632が物体センサ642を介して決定すると、プロセッサ632により、コンデンサ制御回路646は、コンデンサ645を直列に配置して、スイッチングデバイス682に電力を供給し、パルス幅変調回路680と協働するスイッチングデバイス682は、モータ650に給電して泡ポンプ690を動作させるべく変調された電力を提供する。1回分量が分配された時点で、プロセッサ632は、コンデンサ645の電荷をチェックする。電荷が閾値を下回る場合、プロセッサ632は、コンデンサ制御回路646にコンデンサ645を充電させる。コンデンサ645は並列に充電される。
【0065】
典型的なディスペンサ600が電源としてのコンデンサと共に示されて記載されるが、例えば充電式バッテリなど、他のタイプの電源が使用されてもよい。上記のタッチフリーディスペンサのための回路に関する更なる典型的なディスペンサおよび更なる詳細は、2013年2月19日に出願された「タッチフリーディスペンサ用の電力システムおよび電源を含む詰め替えユニット(Power Systems for Touch Free Dispensers and Refill Units Containing a Power Source)」と題される米国特許出願第13/770,360号により完全に記載されて示されており、この米国特許出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0066】
幾つかの実施形態において、プロセッサ632は、詰め替えユニット610に残っている流体の量を監視する。プロセッサ632は、例えば、レベルセンサ、近接センサ、赤外線検出を用いて流体レベルを検出し、分配された流体の量を蓄積してそれを詰め替えユニット等に関する総量と比較することにより、流体の量を監視できる。詰め替えユニット610が空であるまたは空に近いとプロセッサ632が決定すると、プロセッサ632は、交換可能なエネルギー源620に、コンデンサ645をそれらの最大充電まで充電させる、または、交換可能なエネルギー源620が完全に消耗するまたは可能な限り消耗するまでコンデンサ645を充電させる。したがって、詰め替えユニット610および交換可能なエネルギー源620が取り外されると、可能な限り多くのエネルギーが交換可能なエネルギー源620から取り除かれる。
【0067】
本明細書では、典型的な方法論およびロジック図が提供される。別段言及されなければ、更なるブロックまたはステップが含まれてもよく、より少ないブロックまたはステップが使用されてもよく、ブロックまたはステップが異なる順序で実行されてもよく、1つの方法論またはロジック図からの1つまたは複数のブロックが他の方法論またはブロック図に組み込まれてもよい。当業者は、プロセッサ制御ディスペンサが本明細書に記載の機能を果たすことができるようにディスペンサをプログラムするべくロジック図および/または方法論を使用することができる。
【0068】
図7は、ディスペンサでVOCカードを使用するための典型的な方法論またはロジック
図700である。方法論はブロック702で始まる。ブロック704において、プロセッサはシステムにVOCカードをチェックさせる。VOCカードは、例えば、VOCカードが設置されるときにスイッチが関与している、プロセッサがVOCカードからデータを読み取ろうとしていて、データが存在する場合はVOCカードが存在するなど、任意の方法によって、あるいは、VOCカードが検出されたかどうかを決定するための任意の他の方法によって検出されてもよい。ブロック706では、VOCカードが検出されたかどうかに関する決定が行なわれる。VOCカードが検出されない場合、方法論はブロック712に流れ、ディスペンサの出力がデフォルト量に設定される。幾つかの実施形態において、デフォルト量は、3ミリリットル(「ml」)出力である。幾つかの実施形態では、デフォルト量が2.5ml出力である。幾つかの実施形態では、デフォルト量が2ml出力である。幾つかの実施形態では、デフォルト量が1.5ml出力である。幾つかの実施形態では、デフォルト量が1.0ml出力である。幾つかの実施形態では、デフォルト量が0.5ml出力である。幾つかの実施形態では、デフォルト量が出力なしである。最後の例では、VOCカードがディスペンサから取り外されている場合、ディスペンサは出力を何ら分配しない。
【0069】
ブロック706でVOCカードが検出される場合、ブロック708でVOCカードからデータが読み取られる。VOCカードからデータを読み取ろうとすることによってVOCカードの検出が行なわれた場合には、ブロック706でデータが読み取られた可能性がある。ブロック701では、VOCカードから読み取られたデータに応じて出力量が設定される。データは、1つもしくは複数の量、1つもしくは複数のポンプ稼働時間、1つもしくは複数の増分または減分などであってもよい。
【0070】
出力量が設定された後、方法論はブロック714に流れ、ディスペンサは設定された分配速度を使用してその通常の態様で動作し続ける。この典型的な方法論において、詰め替えユニットは、詰め替えユニットがディスペンサに設置されるときにVOCカードを取り外すまたは挿入することができない位置に位置する。したがって、ブロック710または712で量が設定された時点で、プロセッサは、VOCカードが取り外されているまたは設置されているかどうかを確かめるべく継続的にチェックする必要がない。結果として、この典型的な方法論では、ブロック716においてカバーの開閉スイッチが作動されるかどうかをプロセッサが監視する。詰め替えユニットを取り外す/交換するために、この典型的な方法論では、カバーが開放されなければならない。カバーが開放されて閉じられる場合、方法論はブロック704にループバックする。カバーが開放/閉鎖されていない場合、方法論はブロック714にループバックする。
【0071】
タッチフリーディスペンサの出力量を調整する典型的な方法は、可変出力制御カードレセプタクル、可変出力制御カードからデータを読み取るためのカードリーダ、詰め替え容器を受けるためのレセプタクル、カバー、プロセッサ、および、メモリを有するタッチフリーディスペンサを用意するステップを含む。プロセッサに可変出力制御カードからデータを読み取らせるためのロジックがメモリに記憶される。メモリには、可変出力カードから読み取られたデータに応じてディスペンサ出力量を設定するためのロジックも記憶される。方法は、詰め替えユニットを用意するステップ、および、可変出力制御カードレセプタクルに挿入されるべき可変出力制御カードを用意するステップを更に含む。可変出力カードは詰め替えユニットとは別個のものであり、この場合、可変出力カードは、詰め替えユニットがディスペンサから取り外されるときにディスペンサ内に残存する。方法は、リーダに可変出力制御カードからデータを読み取らせるステップと、可変出力制御カードから読み取られたデータに応じてディスペンサの出力量を設定させるステップとを更に含む。
【0072】
本発明の様々な発明の態様、概念、および、特徴は、典型的な実施形態において組み合わせて具現化されるものとして本明細書で説明および例示され得るが、これらの様々な態様、概念、および、特徴は、多くの代替的な実施形態において、個別にまたは様々な組み合わせでおよびそれらの部分的組み合わせで使用され得る。添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限したり、何らかの形で限定したりすることは出願人の意図ではない。本明細書で明示的に除外されない限り、そのような組み合わせおよび部分的組み合わせは全て、本発明の範囲内にあることが意図されている。更に、代替の材料、構造、構成、方法、回路、デバイス、および、構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、制御ロジック、形成に関する代替、適合性および機能などの本発明の様々な態様、概念、および、特徴に関する様々な代替の実施形態が本明細書に記載される場合があるが、そのような説明は、現在知られているまたは今後開発されるかにかかわらず、利用可能な代替実施形態の完全または網羅的なリストであることを意図していない。当業者は、たとえそのような実施形態が本明細書に明示的に開示されていなくても、本発明の範囲内の追加の実施形態および使用に発明の態様、概念または特徴の1つまたは複数を容易に採用することができる。更に、本発明の幾つかの特徴、概念、または態様が好ましい構成または方法であるとして本明細書に記載されている場合でも、そのような説明は、明示的に述べられていない限り、そのような特徴が必要とされまたは必要であることを示唆することを意図していない。更に、典型的または代表的な値および範囲を含めて、本開示の理解を助けることができる。しかしながら、そのような値および範囲は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、明確に述べられている場合にのみ臨界値または範囲であることを意図している。更に、様々な態様、特徴、および概念が本明細書において発明的または発明の一部を形成するものとして明示的に特定される場合があるが、そのような特定は排他的であることを意図するものではなく、むしろ、本明細書に十分に記載される発明的な態様、概念、および特徴が、そのようなものとしてまたは特定の発明の一部として明示的に特定されることなく存在し得る。典型的な方法またはプロセスの説明は、全ての場合に必要であるとして全てのステップを含めることに限定されず、また、明示的に述べられていない限り、ステップが提示される順序が必要とされるまたは必要であると解釈されるわけではない。