(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】気体圧縮システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20241122BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F04B49/10 331P
F04B49/06 341L
(21)【出願番号】P 2022579268
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004350
(87)【国際公開番号】W WO2022168270
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】任 之家
(72)【発明者】
【氏名】青柳 則夫
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-021072(JP,A)
【文献】特開2012-042127(JP,A)
【文献】特開平09-149061(JP,A)
【文献】特開2014-152699(JP,A)
【文献】国際公開第2020/084939(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/10
F04B 49/06
F24H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧縮機と、前記複数の圧縮機から供給される圧縮気体を貯留する共通タンクと、前記圧縮機の運転台数を制御するマスタ制御を行う台数制御装置と、前記複数の圧縮機及び前記台数制御装置を互いに通信可能に接続する通信ネットワークとを備え、
前記複数の圧縮機の各々は、気体を圧縮する圧縮機本体と、前記台数制御装置からの指令を受信し前記圧縮機本体を制御するスレーブ制御を行う制御部と、圧縮した気体を貯留する個別タンクとを備えた、気体圧縮システムにおいて、
各制御部は、
前記台数制御装置からの安否通知を受信したかどうかにより、前記台数制御装置の異常又は前記台数制御装置との間の通信の異常が発生したかどうかを判定し、
前記異常が発生したと判定した場合に、前記圧縮機の単独制御運転を開始し、
その後、マスタ制御を承継する
優先順位が高いほど早くなるタイミングで、マスタ宣言を自身以外の他の制御部へ送信
し、
その後、前記他の制御部からスレーブ宣言を受信した場合に、マスタ制御を承継する一方、前記他の制御部からスレーブ宣言を受信しない場合に、前記圧縮機の単独制御運転を継続するように構成されたことを特徴とする気体圧縮システム。
【請求項2】
第1圧縮機及び複数の第2圧縮機からなる複数の圧縮機と、前記複数の圧縮機から供給される圧縮気体を貯留する共通タンクと、前記複数の圧縮機を互いに通信可能に接続する通信ネットワークとを備え、
前記第1圧縮機は、気体を圧縮する第1圧縮機本体と、前記圧縮機の運転台数を制御するマスタ制御と前記マスタ制御に連携して前記第1圧縮機本体を制御するスレーブ制御を行う第1制御部と、圧縮した気体を貯留する個別タンクとを備え、
前記複数の第2圧縮機の各々は、気体を圧縮する第2圧縮機本体と、前記第1制御部からの指令を受信し前記第2圧縮機本体を制御するスレーブ制御を行う第2制御部と、圧縮した気体を貯留する個別タンクとを備えた、気体圧縮システムにおいて、
各第2制御部は、
前記第1制御部からの安否通知を受信したかどうかにより、前記第1制御部の異常又は前記第1制御部との間の通信の異常が発生したかどうかを判定し、
前記異常が発生したと判定した場合に、前記第2圧縮機の単独制御運転を開始し、
その後、マスタ制御を承継する
優先順位が高いほど早くなるタイミングで、マスタ宣言を自身以外の他の第2制御部へ送信
し、
その後、前記他の第2制御部からスレーブ宣言を受信した場合に、マスタ制御を承継する一方、前記他の第2制御部からスレーブ宣言を受信しない場合に、前記第2圧縮機の単独制御運転を継続するように構成されたことを特徴とする気体圧縮システム。
【請求項3】
複数の圧縮機とは別置きされた台数制御装置のマスタ制御により、前記圧縮機の運転台数を制御し、前記複数の圧縮機の各々に組み込まれた制御部のスレーブ制御により、前記台数制御装置の指令に応じて、前記複数の圧縮機の各々に組み込まれた圧縮機本体を制御する、気体圧縮システムの制御方法において、
各制御部が、
前記台数制御装置からの安否通知を受信したかどうかにより、前記台数制御装置の異常又は前記台数制御装置との間の通信の異常が発生したかどうかを判定し、
前記異常が発生したと判定した場合に、前記圧縮機の単独制御運転を開始し、
その後、マスタ制御を承継する
優先順位が高いほど早くなるタイミングで、マスタ宣言を自身以外の他の制御部へ送信
し、
その後、前記他の制御部からスレーブ宣言を受信した場合に、マスタ制御を承継する一方、前記他の制御部からスレーブ宣言を受信しない場合に、前記圧縮機の単独制御運転を継続することを特徴とする気体圧縮システムの制御方法。
【請求項4】
複数の圧縮機のうちの一つである第1圧縮機に組み込まれた第1制御部のマスタ制御により、前記圧縮機の運転台数を制御し、前記第1制御部のスレーブ制御により、前記第1制御部のマスタ制御に連携して、前記第1圧縮機に組み込まれた第1圧縮機本体を制御し、前記複数の圧縮機のうちの残りである複数の第2圧縮機の各々に組み込まれた第2制御部のスレーブ制御により、前記第1制御部の指令に応じて、前記複数の第2圧縮機の各々に組み込まれた第2圧縮機本体を制御する、気体圧縮システムの制御方法において、
各第2制御部が、
前記第1制御部からの安否通知を受信したかどうかにより、前記第1制御部の異常又は前記第1制御部との間の通信の異常が発生したかどうかを判定し、
前記異常が発生したと判定した場合に、前記第2圧縮機の単独制御運転を開始し、
その後、マスタ制御を承継する
優先順位が高いほど早くなるタイミングで、マスタ宣言を自身以外の他の第2制御部へ送信
し、
その後、前記他の第2制御部からスレーブ宣言を受信した場合に、マスタ制御を承継する一方、前記他の第2制御部からスレーブ宣言を受信しない場合に、前記第2圧縮機の単独制御運転を継続することを特徴とする気体圧縮システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体圧縮システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業業界では、気体圧縮システムを用いて、圧縮気体を生産ラインに供給して生産活動を行う。気体圧縮システムは、複数の圧縮機を備える。これにより、複数の圧縮機のうちのいずれかが故障しても、圧縮気体を生産ラインに供給して生産活動を継続することが可能である。また、生産ラインの稼働状況に応じて圧縮機の運転台数を増減させて、省エネを図ることが可能である。
【0003】
圧縮機の運転台数を制御する方法は、複数の圧縮機とは別置された台数制御装置のマスタ制御による方法(一般的な台数制御方式であって、集中制御方式と称す)と、複数の圧縮機のうちのいずれかに組み込まれた制御部のマスタ制御による方法(群制御方式と称す)とがある。特許文献1は、群制御方式の気体圧縮システムを開示する。この気体圧縮システムは、台数制御装置を不要とするから、コストの低減を図ることが可能である。
【0004】
特許文献1の気体圧縮システムは、第1圧縮機及び複数の第2圧縮機からなる複数の圧縮機と、複数の圧縮機を互いに通信可能に接続する通信ネットワークとを備える。第1圧縮機は、空気を圧縮する第1圧縮機本体と、圧縮機の運転台数を制御するマスタ制御とこのマスタ制御に連携して第1圧縮機本体を制御するスレーブ制御を行う第1制御部とを備える。各第2圧縮機は、空気を圧縮する第2圧縮機本体と、第1制御部からの指令に応じて第2圧縮機本体を制御するスレーブ制御を行う第2制御部とを備える。
【0005】
第1圧縮機の第1制御部は、第1圧縮機(詳細には、第1制御部以外の機器)が故障した場合に、複数の第2圧縮機の第2制御部へ設定変更信号を送信する。各第2圧縮機の第2制御部は、マスタ制御を承継する優先順位を予め記憶している。優先順位が最も高い第2圧縮機が故障していなければ、その第2制御部が設定変更信号に応じて選択されてマスタ制御を承継する。これにより、圧縮機の運転台数の制御を継続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の群制御方式の気体圧縮システムでは、第1圧縮機の第1制御部から第2圧縮機の第2制御部へ設定変更信号が送信され、この設定変更信号に応じて第2制御部がマスタ制御を承継する。そのため、第1制御部の異常が発生した場合や、第1制御部と第2制御部の間の通信の異常が生じた場合に、第2制御部が設定変更信号を受信できず、マスタ制御を承継することができない。したがって、圧縮機の運転台数の制御を継続することができない。
【0008】
集中制御方式の気体圧縮システムに対し、特許文献1のマスタ制御を承継する技術を採用した場合を想定する。この気体圧縮システムでは、台数制御装置から圧縮機の制御部へ設定変更信号が送信され、この設定変更信号に応じて制御部がマスタ制御を承継する。そのため、台数制御装置の異常が発生した場合や、台数制御装置と制御部の間の通信の異常が生じた場合に、制御部が設定変更信号を受信できず、マスタ制御を承継することができない。したがって、圧縮機の運転台数の制御を継続することができない。
【0009】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、上述した異常が生じた場合でも、圧縮機の運転台数の制御を継続することを課題の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求の範囲に記載の構成を適用する。本発明は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、複数の圧縮機と、前記複数の圧縮機から供給される圧縮気体を貯留する共通タンクと、前記圧縮機の運転台数を制御するマスタ制御を行う台数制御装置と、前記複数の圧縮機及び前記台数制御装置を互いに通信可能に接続する通信ネットワークとを備え、前記複数の圧縮機の各々は、気体を圧縮する圧縮機本体と、前記台数制御装置からの指令を受信し前記圧縮機本体を制御するスレーブ制御を行う制御部と、圧縮した気体を貯留する個別タンクとを備えた、気体圧縮システムにおいて、各制御部は、前記台数制御装置からの安否通知を受信したかどうかにより、前記台数制御装置の異常又は前記台数制御装置との間の通信の異常が発生したかどうかを判定し、前記異常が発生したと判定した場合に、前記圧縮機の単独制御運転を開始し、その後、マスタ制御を承継する優先順位が高いほど早くなるタイミングで、マスタ宣言を自身以外の他の制御部へ送信し、その後、前記他の制御部からスレーブ宣言を受信した場合に、マスタ制御を承継する一方、前記他の制御部からスレーブ宣言を受信しない場合に、前記圧縮機の単独制御運転を継続するように構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異常が生じた場合でも、圧縮機の運転台数の制御を継続することができる。
【0012】
なお、上記以外の課題、構成及び効果は、以下の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態における気体圧縮システムの構成を表す概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態におけるマスタ制御の処理手順を表すフローチャートである。
【
図3】本発明の第1の実施形態におけるマスタ制御承継の処理手順を表すフローチャートである。
【
図4】本発明の第1の実施形態の動作の一例を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の動作の他の例を説明するための図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態における気体圧縮システムの構成を表す概略図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態におけるマスタ制御承継の処理手順を表すフローチャートである。
【
図8】本発明の第2の実施形態の動作の一例を説明するための図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態の動作の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における気体圧縮システムの構成を表す概略図である。
【0016】
本実施形態の気体圧縮システムは、4台の圧縮機1A,1B,1C,1Dと、圧縮機1A,1B,1C,1Dから吐出された圧縮気体(詳細には、例えば圧縮空気)を貯留する貯留タンク2とを備え、取出弁3及び供給配管4を介し貯留タンク2から生産ライン(図示せず)へ圧縮気体を供給するようになっている。
【0017】
また、本実施形態の気体圧縮システムは、集中制御方式であって、貯留タンク2内の圧力を検出する圧力センサ5と、圧力センサ5で検出された圧力に基づき、圧縮機の運転台数を制御するマスタ制御を行う台数制御装置6と、圧縮機1A,1B,1C,1D及び台数制御装置6を互いに通信可能に接続する有線式又は無線式の通信ネットワーク7とを備える。
【0018】
台数制御装置6は、詳細を図示しないものの、例えば、プログラムや設定を記憶するメモリと、プログラムや設定に基づいて処理を実行するプロセッサと、プロセッサと通信ネットワーク7の間に介在する通信インターフェイスと、ユーザインターフェイス(詳細には、例えばタッチパネル)とを有する。ユーザインターフェイスは、通信ネットワーク7を介し取得された圧縮機1A,1B,1C,1Dの情報を表示すると共に、ユーザが設定を入力可能としている。
【0019】
圧縮機1Aは、気体(詳細には、例えば空気)を圧縮する圧縮機本体8Aと、圧縮機本体8Aを駆動するモータ9Aと、例えば台数制御装置6からの指令に応じてモータ9Aを制御し、ひいては圧縮機本体8Aを制御するスレーブ制御を行う制御部10Aと、圧縮機本体8Aの吐出側に設けられ、配管11を介し貯留タンク2に接続されたタンク12Aと、タンク12A内の圧力を検出する圧力センサ13Aと、図示しないユーザインターフェイス(詳細には、例えばディスプレイ及び押しボタン)とを備える。なお、圧力センサ13Aで検出された圧力は、圧力センサ5で検出された圧力とほぼ同じである。
【0020】
制御部10Aは、詳細を図示しないものの、例えば、プログラムや設定を記憶するメモリと、プログラムや設定に基づいて処理を実行するプロセッサと、プロセッサと通信ネットワーク7の間に介在する通信インターフェイスとを有する。ユーザインターフェイスは、圧縮機1Aの情報を表示すると共に、ユーザが設定を入力可能としている。
【0021】
圧縮機1B,1C,1Dは、圧縮機1Aと同様の構成である。すなわち、圧縮機1Bは、圧縮機本体8B、モータ9B、制御部10B、タンク12B、圧力センサ13B、及びユーザインターフェイスを備える。圧縮機1Cは、圧縮機本体8C、モータ9C、制御部10C、タンク12C、圧力センサ13C、及びユーザインターフェイスを備える。圧縮機1Dは、圧縮機本体8D、モータ9D、制御部10D、タンク12D、圧力センサ13D、及びユーザインターフェイスを備える。
【0022】
台数制御装置6は、定期的に(例えば10秒毎に)、通信ネットワーク7を介し圧縮機1Aの制御部10A、圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、及び圧縮機1Dの制御部10Dへリクエスト信号を送信する。各圧縮機の制御部(すなわち、圧縮機1Aの制御部10A、圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、又は圧縮機1Dの制御部10D)は、リクエスト信号に応じて、台数制御装置6へアンサ信号(詳細には、例えば圧縮機本体、モータ、及び圧力センサ等の機器が正常状態であるかどうかを示す情報を含むもの)を送信する。
【0023】
台数制御装置6は、各圧縮機の制御部からのアンサ信号を受信したかどうかにより、各圧縮機の制御部の異常又は各圧縮機の制御部との間の通信の異常が発生したかどうかを判定する。また、各圧縮機の制御部からのアンサ信号を受信した場合に、アンサ信号に含まれた情報に基づき、各圧縮機が正常状態であるかどうかを判定する。そして、前述した判定結果によって制御対象となる圧縮機を把握しつつ、マスタ制御(すなわち、圧縮機の運転台数の制御)を行う。
【0024】
本実施形態のマスタ制御の詳細について、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態におけるマスタ制御の処理手順を表すフローチャートである。
【0025】
台数制御装置6は、圧力センサ5で検出された圧力が所定の範囲内となるように、圧縮機の運転台数を制御する。詳しく説明すると、台数制御装置6は、圧力センサ5で検出された圧力が予め設定された上限値Puまで上昇したどうかを判定する(ステップS1)。そして、圧力センサ5で検出された圧力が上限値Puまで上昇した場合に、駆動中の圧縮機のうちのいずれかを停止する指令を出力する。圧縮機の制御部は、前述の停止指令に応じて圧縮機本体を停止させる。これにより、圧縮機の運転台数が減少する(ステップS2)。
【0026】
また、台数制御装置6は、圧力センサ5で検出された圧力が予め設定された下限値Pd(但し、Pd<Pu)まで下降したどうかを判定する(ステップS3)。そして、圧力センサ5で検出された圧力が下限値Pdまで下降した場合に、停止中の圧縮機のうちのいずれかを駆動する指令を出力する。圧縮機の制御部は、前述の駆動指令に応じて圧縮機本体を駆動させる。これにより、圧縮機の運転台数が増加する(ステップS4)。
【0027】
ここで、本実施形態の特徴として、各圧縮機の制御部は、台数制御装置6からのリクエスト信号(安否通知)を受信したかどうかにより、台数制御装置6の異常又は台数制御装置6との間の通信の異常が発生したかどうかを判定する。そして、前述した異常が発生した場合に、圧縮機1Aの制御部10A、圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、及び圧縮機1Dの制御部10Dのうちのいずれかがマスタ制御を承継するようになっている。なお、本実施形態では、ユーザが台数制御装置6のユーザインターフェイス又は圧縮機のユーザインターフェイスを用いて、マスタ制御を承継する優先順位を予め設定している。
【0028】
本実施形態のマスタ制御承継の詳細について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態におけるマスタ制御承継の処理手順を表すフローチャートである。
【0029】
各圧縮機の制御部(すなわち、圧縮機1Aの制御部10A、圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、又は圧縮機1Dの制御部10D)は、定期的に、台数制御装置6からの安否通知を受信したかどうかにより、台数制御装置6の異常又は台数制御装置6との間の通信の異常が発生したかどうかを判定する(ステップS11)。
【0030】
各圧縮機の制御部は、前述の異常が発生したと判定したときに、単独制御へ移行すると共に(ステップS12)、承継タイマを起動する(ステップS13)。圧縮機1Aの制御部10Aが単独制御へ移行した場合を例にとり、単独制御について説明する。圧縮機1Aの制御部10Aは、圧力センサ13Aで検出された圧力が所定の範囲内となるように、圧縮機本体8Aを制御する。すなわち、圧力センサ13Aで検出された圧力が上限値Puまで上昇した場合に、圧縮機本体8Aを停止させ、圧力センサ13Aで検出された圧力が下限値Pdまで下降した場合に、圧縮機本体8Aを駆動させる。
【0031】
承継タイマの設定時間は、マスタ制御を承継する優先順位に基づいて設定されている。例えば、圧縮機1Aの制御部10Aの優先順位が1位であれば、その承継タイマの設定時間が(T×1)に設定され、圧縮機1Bの制御部10Bの優先順位が2位であれば、その承継タイマの設定時間が(T×2)に設定され、圧縮機1Cの制御部10Cの優先順位が3位であれば、その承継タイマの設定値が(T×3)に設定され、圧縮機1Dの制御部10Dの優先順位が4位であれば、その承継タイマの設定値が(T×4)に設定されている(但し、例えば、T=1秒)。これにより、優先順位が高いほど早くなるタイミングで、マスタ機能を承継するマスタ宣言を送信するように設定されている。
【0032】
各圧縮機の制御部は、承継タイマの設定時間が経過するまで、自身以外の他の制御部からのマスタ宣言を受信したかどうかを判定する(ステップS14)。そして、他の制御部からのマスタ宣言を受信することなく、承継タイマの設定時間が経過すれば、全ての他の制御部へマスタ宣言を送信する(ステップS15,S16)。
【0033】
各圧縮機の制御部は、承継タイマの設定時間が経過する前に、自身以外の他の制御部からのマスタ宣言を受信すれば、マスタ宣言の送信元である制御部へスレーブ宣言(詳細には、他の制御部からの指令に応じて圧縮機本体を制御する宣言)を送信して、マスタ宣言を送信しない(ステップS17)。
【0034】
マスタ宣言を送信した制御部は、自身以外の他の制御部からのスレーブ宣言を受信することにより、制御対象となる圧縮機を把握する。その後、マスタ制御を承継して群制御へ移行する(ステップS18,S19)。スレーブ宣言を送信した制御部は、マスタ宣言の送信元である制御部からの駆動指令又は停止指令を受信することにより、群制御へ移行する(ステップS20)。なお、マスタ宣言を送信した制御部は、自身以外の他の制御部からのスレーブ宣言を受信しなければ、単独制御を継続する(ステップS21)。
【0035】
次に、本実施形態の動作及び作用効果を説明する。
【0036】
例えば
図4で示すように、圧縮機1A,1B,1C,1Dと台数制御装置6の間の通信の異常が発生し、圧縮機1A,1B,1C,1Dの相互の通信が正常である場合を想定する。
【0037】
台数制御装置6は、圧縮機1Aの制御部10A、圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、及び圧縮機1Dの制御部10Dからのアンサ信号を受信しないことにより、マスタ制御を停止する。圧縮機1Aの制御部10A、圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、及び圧縮機1Dの制御部10Dは、台数制御装置6からの安否通知を受信しないことにより、台数制御装置6の異常又は台数制御装置6との間の通信の異常が発生したと判定する。その後、圧縮機1A,1B,1C,1Dのうちの圧縮機1Aの優先順位が最も高いから、圧縮機1Aの制御部10Aから圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、及び圧縮機1Dの制御部10Dへマスタ宣言が送信され、これに応じて圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、及び圧縮機1Dの制御部10Dから圧縮機1Aの制御部10Aへスレーブ宣言が送信される。その後、圧縮機1Aの制御部10Aは、マスタ制御を承継する。したがって、圧縮機の運転台数の制御を継続することができる。その結果、省エネを図ることができる。
【0038】
また、例えば
図5で示すように、圧縮機1C,1Dと台数制御装置6の間の通信の異常が発生し、圧縮機1A,1Bと台数制御装置6の間の通信が正常であり、圧縮機1C,1Dの相互の通信が正常である場合を想定する。
【0039】
台数制御装置6は、圧縮機1Aの制御部10A及び圧縮機1Bの制御部10Bからのアンサ信号を受信するものの、圧縮機1Cの制御部10C及び圧縮機1Dの制御部10Dからのアンサ信号を受信しないことにより、制御対象を圧縮機1A,1Bに縮小する。圧縮機1Cの制御部10C及び圧縮機1Dの制御部10Dは、台数制御装置6からの安否通知を受信しないことにより、台数制御装置6の異常又は台数制御装置6との間の通信の異常が発生したと判定する。その後、圧縮機1C,1Dのうちの圧縮機1Cの優先順位が最も高いから、圧縮機1Cの制御部10Cから圧縮機1Dの制御部10Dへマスタ宣言が送信され、これに応じて圧縮機1Dの制御部10Dから圧縮機1Cの制御部10Cへスレーブ宣言が送信される。その後、圧縮機1Cの制御部10Cは、マスタ制御を承継する。したがって、圧縮機の運転台数の制御を継続することができる。その結果、省エネを図ることができる。
【0040】
なお、第1の実施形態において、マスタ制御を承継する圧縮機1A~1Dの優先順位は、ユーザによって設定された場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば台数制御装置6によって設定されてもよい。この変形例について説明する。
【0041】
台数制御装置6は、各圧縮機の制御部からのアンサ信号に含まれる情報であって、圧縮機本体、モータ、及び圧力センサ等の機器が正常状態であるかどうかを示す情報以外に、例えば、圧縮機の製造年月、累積運転時間、故障発生回数、及び製造番号を取得する。そして、制御開始前又は定期的に、制御対象となる圧縮機(詳細には、制御部の異常又は台数制御装置6との間の通信の異常が発生しておらず、かつ、機器が正常状態である圧縮機)に対して、前述した製造年月、累積運転時間、故障発生回数、及び製造番号に基づき、優先順位を設定する。
【0042】
詳しく説明すると、例えば、圧縮機の製造年月が新しいほど、圧縮機の優先順位が高くなるように設定する。圧縮機の製造年月が同じであれば、例えば、圧縮機の累積運転時間と故障発生回数に基づいて算出された故障発生率が低いほど、圧縮機の優先順位が高くなるように設定する。なお、圧縮機の故障発生率は、故障の種類(詳細には、例えばモータ又は圧力センサ等の故障個所)に応じて故障発生回数の重みづけが行われて算出されてもよい。圧縮機の故障発生率が同じであれば、圧縮機の累積運転時間が短いほど、圧縮機の優先順位が高くなるように設定する。圧縮機の累積運転時間が同じであれば、圧縮機の製造番号が小さいほど、圧縮機の優先順位が高くなるように設定する。
【0043】
台数制御装置6は、上述した各圧縮機の優先順位を、各圧縮機の制御部へ送信する。各圧縮機の制御部は、優先順位に応じて、承継タイマの設定時間を設定する。
【0044】
上述した変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、第1の実施形態においては、台数制御装置6から圧縮機1Aの制御部10A、圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、及び圧縮機1Dの制御部10Dへ送信するリクエスト信号に関し、その詳細について説明しなかったが、各制御部が共有すべき情報として、例えば、貯留タンク2内の圧力の検出値と、圧力の上限値及び下限値と、現在時刻と、正常な圧縮機の台数と、圧縮機1A~1Dの優先順位とのうちのいずれかを含んでいてもよい。
【0046】
本発明の第2の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0047】
図6は、本実施形態における気体圧縮システムの構成を表す概略図である。
【0048】
本実施形態の気体圧縮システムは、群制御方式であって、圧縮機1Aの制御部10Aのマスタ機能によって圧縮機の運転台数を制御するように構成されており、台数制御装置6を不要とする。
【0049】
なお、圧縮機1Aは、請求の範囲に記載の第1圧縮機に相当し、圧縮機本体8Aは、請求の範囲に記載の第1圧縮機本体に相当し、制御部10Aは、請求の範囲に記載の第1制御部に相当する。そのため、以降、「第1圧縮機1A」、「第1圧縮機本体8A」、「第1制御部10A」と称して説明する。また、圧縮機1B,1C,1Dは、請求の範囲に記載の第2圧縮機に相当し、圧縮機本体8B,8C,8Dは、請求の範囲に記載の第2圧縮機本体に相当し、制御部10B,10C,10Dは、請求の範囲に記載の第2制御部に相当する。そのため、以降、「第2圧縮機1B,1C,1D」、「第2圧縮機本体8B,8C,8D」、「第2制御部10B,10C,10D」と称して説明する。
【0050】
第1圧縮機1Aの第1制御部10Aは、定期的に(例えば10秒毎に)、通信ネットワーク7を介し第2圧縮機1Bの第2制御部10B、第2圧縮機1Cの第2制御部10C、及び第2圧縮機1Dの第2制御部10Dへリクエスト信号を送信する。各第2圧縮機の第2制御部(すなわち、第2圧縮機1Bの第2制御部10B、第2圧縮機1Cの第2制御部10C、又は第2圧縮機1Dの第2制御部10D)は、リクエスト信号に応じて、第1圧縮機1Aの第1制御部10Aへアンサ信号(詳細には、例えば圧縮機本体、モータ、及び圧力センサ等の機器が正常状態であるかどうかを示す情報を含むもの)を送信する。
【0051】
第1圧縮機1Aの第1制御部10Aは、各第2圧縮機の第2制御部からのアンサ信号を受信したかどうかにより、各第2圧縮機の第2制御部の異常又は各第2圧縮機の第2制御部との間の通信の異常が発生したかどうかを判定する。また、各第2圧縮機の第2制御部からのアンサ信号を受信した場合に、アンサ信号に含まれた情報に基づき、各第2圧縮機が正常状態であるかどうかを判定する。そして、制御対象である第1圧縮機と共に、前述した判定結果によって制御対象となる第2圧縮機を把握しつつ、マスタ制御(すなわち、圧縮機の運転台数の制御)を行う。
【0052】
第1圧縮機1Aの第1制御部10Aは、圧力センサ13Aで検出された圧力が所定の範囲内となるように、圧縮機の運転台数を制御する。詳しく説明すると、第1圧縮機1Aの第1制御部10Aは、圧力センサ13Aで検出された圧力が予め設定された上限値Puまで上昇したどうかを判定する。そして、圧力センサ13Aで検出された圧力が上限値Puまで上昇した場合に、駆動中の第2圧縮機のうちのいずれかを停止する指令を出力する。第2圧縮機の第2制御部は、前述の停止指令に応じて圧縮機本体を停止させる。あるいは、第1圧縮機1Aの第1制御部10Aは、圧縮機本体8Aが駆動中であれば、圧縮機本体8Aを停止させる。これにより、圧縮機の運転台数が減少する。
【0053】
また、第1圧縮機1Aの第1制御部10Aは、圧力センサ13Aで検出された圧力が予め設定された下限値Pd(但し、Pd<Pu)まで下降したどうかを判定する。そして、圧力センサ13Aで検出された圧力が下限値Pdまで下降した場合に、停止中の第2圧縮機のうちのいずれかを駆動する指令を出力する。第2圧縮機の第2制御部は、前述の駆動指令に応じて圧縮機本体を駆動させる。あるいは、第1圧縮機1Aの第1制御部10Aは、圧縮機本体8Aが停止中であれば、圧縮機本体8Aを駆動させる。これにより、圧縮機の運転台数が増加する。
【0054】
ここで、本実施形態の特徴として、各第2圧縮機の第2制御部は、第1圧縮機1Aの第1制御部10Aからのリクエスト信号(安否通知)を受信したかどうかにより、第1制御部10Aの異常又は第1制御部10Aとの間の通信の異常が発生したかどうかを判定する。そして、前述した異常が発生した場合に、第2圧縮機1Bの第2制御部10B、第2圧縮機1Cの第2制御部10C、及び第2圧縮機1Dの第2制御部10Dのうちのいずれかがマスタ制御を承継するようになっている。なお、本実施形態では、ユーザが圧縮機のユーザインターフェイスを用いて、マスタ制御を承継する優先順位を予め設定している。
【0055】
本実施形態のマスタ制御承継の詳細について、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態におけるマスタ制御承継の処理手順を表すフローチャートである。
【0056】
各第2圧縮機の第2制御部(すなわち、第2圧縮機1Bの第2制御部10B、第2圧縮機1Cの第2制御部10C、又は第2圧縮機1Dの第2制御部10D)は、定期的に、第1圧縮機1Aの第1制御部10Aからの安否通知を受信したかどうかにより、第1制御部10Aの異常又は第1制御部10Aとの間の通信の異常が発生したかどうかを判定する(ステップS31)。
【0057】
各第2圧縮機の第2制御部は、前述の異常が発生したと判定したときに、単独制御へ移行すると共に(ステップS32)、承継タイマを起動する(ステップS33)。第2圧縮機1Bの第2制御部10Bが単独制御へ移行した場合を例にとり、単独制御について説明する。第2圧縮機1Bの第2制御部10Bは、圧力センサ13Bで検出された圧力が所定の範囲内となるように、第2圧縮機本体8Bを制御する。すなわち、圧力センサ13Bで検出された圧力が上限値Puまで上昇した場合に、第2圧縮機本体8Bを停止させ、圧力センサ13Bで検出された圧力が下限値Pdまで下降した場合に、第2圧縮機本体8Bを駆動させる。
【0058】
承継タイマの設定時間は、マスタ制御を承継する優先順位に基づいて設定されている。例えば、第2圧縮機1Bの第2制御部10Bの優先順位が1位であれば、その承継タイマの設定時間が(T×1)に設定され、第2圧縮機1Cの第2制御部10Cの優先順位が2位であれば、その承継タイマの設定時間が(T×2)に設定され、第2圧縮機1Dの第2制御部10Dの優先順位が3位であれば、その承継タイマの設定値が(T×3)に設定されている(但し、例えば、T=1秒)。これにより、優先順位が高いほど早くなるタイミングで、マスタ機能を承継するマスタ宣言を送信するように設定されている。
【0059】
各第2圧縮機の第2制御部は、承継タイマの設定時間が経過するまで、自身以外の他の第2制御部からのマスタ宣言を受信したかどうかを判定する(ステップS34)。そして、他の第2制御部からのマスタ宣言を受信することなく、承継タイマの設定時間が経過すれば、全ての他の第2制御部へマスタ宣言を送信する(ステップS35,S36)。
【0060】
各第2圧縮機の第2制御部は、承継タイマの設定時間が経過する前に、自身以外の他の第2制御部からのマスタ宣言を受信すれば、マスタ宣言の送信元である第2制御部へスレーブ宣言(詳細には、他の第2制御部からの指令に応じて圧縮機本体を制御する宣言)を送信して、マスタ宣言を送信しない(ステップS37)。
【0061】
マスタ宣言を送信した第2制御部は、自身以外の他の第2制御部からのスレーブ宣言を受信することにより、制御対象となる第2圧縮機を把握する。その後、マスタ制御を承継して群制御へ移行する(ステップS38,S39)。スレーブ宣言を送信した第2制御部は、マスタ宣言の送信元である第2制御部からの駆動指令又は停止指令を受信することにより、群制御へ移行する(ステップS40)。なお、マスタ宣言を送信した第2制御部は、自身以外の他の第2制御部からのスレーブ宣言を受信しなければ、単独制御を継続する(ステップS41)。
【0062】
次に、本実施形態の動作及び作用効果を説明する。
【0063】
例えば
図8で示すように、第2圧縮機1B,1C,1Dと第1圧縮機1Aの間の通信の異常が発生し、第2圧縮機1B,1C,1Dの相互の通信が正常である場合を想定する。
【0064】
第1圧縮機1Aの第1制御部10Aは、第2圧縮機1Bの第2制御部10B、第2圧縮機1Cの第2制御部10C、及び第2圧縮機1Dの第2制御部10Dからのアンサ信号を受信しないことにより、マスタ制御を停止し、単独運転へ移行する。第2圧縮機1Bの第2制御部10B、第2圧縮機1Cの第2制御部10C、及び第2圧縮機1Dの第2制御部10Dは、第1圧縮機1Aの第1制御部10Aからの安否通知を受信しないことにより、第1制御部10Aの異常又は第1制御部10Aとの間の通信の異常が発生したと判定する。その後、第2圧縮機1B,1C,1Dのうちの第2圧縮機1Bの優先順位が最も高いから、第2圧縮機1Bの第2制御部10Bから第2圧縮機1Cの第2制御部10C及び第2圧縮機1Dの第2制御部10Dへマスタ宣言が送信され、これに応じて第2圧縮機1Cの第2制御部10C及び第2圧縮機1Dの第2制御部10Dから第2圧縮機1Bの第2制御部10Bへスレーブ宣言が送信される。その後、第2圧縮機1Bの第2制御部10Bは、マスタ制御を承継する。したがって、圧縮機の運転台数の制御を継続することができる。その結果、省エネを図ることができる。
【0065】
また、例えば
図9で示すように、第2圧縮機1C,1Dと第1圧縮機1Aの間の通信の異常が発生し、第2圧縮機1Bと第1圧縮機1Aの間の通信が正常であり、第2圧縮機1C,1Dの相互の通信が正常である場合を想定する。
【0066】
第1圧縮機1Aの第1制御部10Aは、第2圧縮機1Bの第2制御部10Bからのアンサ信号を受信するものの、第2圧縮機1Cの第2制御部10C及び第2圧縮機1Dの第2制御部10Dからのアンサ信号を受信しないことにより、制御対象を圧縮機1A,1Bに縮小する。第2圧縮機1Cの第2制御部10C及び第2圧縮機1Dの第2制御部10Dは、第1圧縮機1Aの第1制御部10Aからの安否通知を受信しないことにより、第1制御部10Aの異常又は第1制御部10Aとの間の通信の異常が発生したと判定する。その後、第2圧縮機1C,1Dのうちの第2圧縮機1Cの優先順位が最も高いから、第2圧縮機1Cの第2制御部10Cから第2圧縮機1Dの第2制御部10Dへマスタ宣言が送信され、これに応じて第2圧縮機1Dの第2制御部10Dから第2圧縮機1Cの第2制御部10Cへスレーブ宣言が送信される。その後、第2圧縮機1Cの第2制御部10Cは、マスタ制御を承継する。したがって、圧縮機の運転台数の最大値が減少することなく、圧縮機の運転台数の制御を継続することができる。
【0067】
なお、第1の実施形態においては、例えば
図4で示すように、圧縮機1A,1B,1C,1Dと台数制御装置6の間の通信の異常が発生した場合に、圧縮機1Aの制御部10Aがマスタ制御を承継することを説明し、その後の詳細について説明しなかったが、第2の実施形態と同様の方法を用い、圧縮機1Aの制御部10Aの異常などが発生した場合に、圧縮機1Bの制御部10B、圧縮機1Cの制御部10C、及び圧縮機1Dの制御部10Dのうちのいずれかがマスタ制御を承継してもよい。
【0068】
また、第1及び第2の実施形態において、気体圧縮システムは、4台の圧縮機を備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、2台、3台、又は5台以上の圧縮機を備えてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1A,1B,1C,1D…圧縮機、6…台数制御装置、7…通信ネットワーク、8A,8B,8C,8D…圧縮機本体、10A,10B,10C,10D…制御部