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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】車両並びにその制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/00 20060101AFI20241122BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241122BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241122BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20241122BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B60W30/00
G08G1/16 C
B60W50/14
B60W30/12
B60W40/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023051953
(22)【出願日】2023-03-28
(65)【公開番号】P2024140675
(43)【公開日】2024-10-10
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西口 遼彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大智
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真吾
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/078740(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0023830(US,A1)
【文献】国際公開第2022/128528(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00
B60W 30/00
B60W 40/00
B60W 50/00
B60W 60/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置であって、
前記車両の操舵入力部に含まれる通知部を用いた通知を制御する通知制御手段と、
複数の状態から選択された動作状態で動作する走行制御手段と、を備え、
前記複数の状態は、運転支援をそれぞれ提供する第1の状態及び第2の状態を含み、
前記第1の状態において使用されない情報を含む地図情報が前記第2の状態において使用され、
前記第2の状態は、前記車両の運転者による前記操舵入力部の把持を条件とし、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第1の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行わず、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行う、制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記複数の状態は、前記運転者による前記操舵入力部の把持を条件とせず、前記地図情報を用いて前記運転支援を提供する第3の状態をさらに含み、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、第1の態様で前記通知部を用いた通知を行い、
前記走行制御手段が前記第3の状態で動作中に、前記第1の態様とは異なる第2の態様で前記通知部を用いた通知を行う、制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記通知制御手段は、前記走行制御手段が前記第2の状態又は前記第3の状態で動作するための条件が満たされなくなった場合に、前記第1の態様及び前記第2の態様とは異なる第3の態様で前記通知部を用いた通知を行う、制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記通知制御手段は、前記車両のメータ表示部を用いた表示をさらに制御し、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知及び前記メータ表示部を用いた表示を第1の色で行い、
前記走行制御手段が前記第3の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知及び前記メータ表示部を用いた表示を前記第1の色とは異なる第2の色で行う、制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の制御装置であって、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、前記車両の軌道情報と、前記車両の制御対象情報との少なくとも1つを前記第1の色で表示し、
前記走行制御手段が前記第3の状態で動作中に、前記車両の前記軌道情報と、前記車両の前記制御対象情報との少なくとも1つを前記第2の色で表示する、制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の制御装置であって、
前記メータ表示部を用いた表示は、前記運転支援の内容を示すアイコンを表示することを含み、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、前記アイコンを前記第1の色で表示し、
前記走行制御手段が前記第3の状態で動作中に、前記アイコンを前記第2の色で表示する、制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記通知制御手段は、前記第の状態で動作中に前記地図情報が不足した場合又は前記地図情報が前記車両の検知ユニットによる検知結果と一致しない場合に、前記通知部を用いた通知を終了する、制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記地図情報を提供するサーバに対して、前記運転者又は前記車両が前記地図情報を使用する権限を有することを示す情報を送信する送信手段をさらに備える、制御装置。
【請求項9】
コンピュータを請求項1乃至8の何れか1項に記載の制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の制御装置を備える車両。
【請求項11】
車両の制御方法であって、
通知制御手段が、前記車両の操舵入力部に含まれる通知部を用いた通知を制御する通知制御工程と、
走行制御手段が、複数の状態から選択された動作状態で動作する走行制御工程と、を備え、
前記複数の状態は、運転支援をそれぞれ提供する第1の状態及び第2の状態を含み、
前記第1の状態において使用されない情報を含む地図情報が前記第2の状態において使用され、
前記第2の状態は、前記車両の運転者による前記操舵入力部の把持を条件とし、
前記通知制御工程において、
前記第1の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行わず、
前記第2の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行う、制御方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両並びにその制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転支援技術として、加減速支援制御、車線維持支援制御或いは車線変更支援制御が知られている(特許文献1~3)。こうした制御は、車両の周辺を検知するセンサの検知結果や地図情報を用いて実行される。地図情報は、車両の経路誘導に用いられる比較的低精度の地図情報の他、車線内の位置情報を含んだ高精度の地図情報も活用されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5382218号公報
【文献】特開2018-103767号公報
【文献】特開2020-138578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両は様々な状態で運転支援を提供しうる。車両による運転支援の提供状態を運転者が把握できると、運転者が安心して運転支援を利用しやすくなる。本発明の一部の側面は、運転支援の状態を直感的に把握可能な通知を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態によれば、車両の制御装置であって、前記車両の操舵入力部に含まれる通知部を用いた通知を制御する通知制御手段と、複数の状態から選択された動作状態で動作する走行制御手段と、を備え、前記複数の状態は、運転支援をそれぞれ提供する第1の状態及び第2の状態を含み、前記第1の状態において使用されない情報を含む地図情報が前記第2の状態において使用され、前記第2の状態は、前記車両の運転者による前記操舵入力部の把持を条件とし、前記通知制御手段は、前記走行制御手段が前記第1の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行わず、前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行う、制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一部の実施形態によれば、運転支援の状態を直感的に把握可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一部の実施形態に係る車両の構成例を説明する模式図。
図2】一部の実施形態に係る制御装置の動作モードを説明する図。
図3】一部の実施形態に係る動作モードの遷移について説明する模式図。
図4】一部の実施形態に係るステアリングホイールの構成例を説明する模式図。
図5】一部の実施形態に係るメータ表示部の構成例を説明する模式図。
図6】一部の実施形態に係る通知態様例を説明する図。
図7】一部の実施形態に係る車両の制御方法例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
<制御装置とその適用例>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置CNTのブロック図と、その適用例である車両Vの概要図である。図1では、車両Vの概略が平面図と側面図とで示されている。本実施形態の車両Vは、一例として、セダンタイプの四輪の乗用車であり、例えばパラレル方式のハイブリッド車両でありうる。車両Vは、四輪乗用車に限られるものではなく、鞍乗型車両(自動二輪車、自動三輪車)であってもよいし、トラックやバスなどの大型車両であってもよい。
【0010】
制御装置CNTは、車両Vの運転支援を含む車両Vの制御を実行する電子回路であるコントローラ1を含む。コントローラ1は、複数のECU(Electronic Control Unit)を備える。ECUは例えば制御装置CNTの機能ごとに設けられる。各ECUは、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスには、プロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。インタフェースには、入出力インタフェースや通信インタフェースが含まれる。各ECUは、複数のプロセッサ、複数の記憶デバイス及び複数のインタフェースを備えていてもよい。記憶デバイスに格納されるプログラムは、CD-ROM等の記憶媒体を用いて制御装置CNTにインストールされることにより、記憶デバイスに格納されてもよい。これに加えて又はこれに代えて、記憶デバイスに格納されるプログラムは、無線通信を通じて外部のサーバからダウンロードされてもよい。
【0011】
コントローラ1は、パワーユニット(パワープラント)2を制御することによって車両Vの駆動(加速)を制御する。パワーユニット2は、車両Vの駆動輪を回転させる駆動力を出力する走行駆動部であり、内燃機関、モータ及び自動変速機を含むことができる。モータは、車両Vを加速させる駆動源として利用可能であるとともに、減速時等において発電機としても利用可能である(回生制動)。
【0012】
本実施形態の場合、コントローラ1は、アクセルペダルAPに設けられた操作検知センサ2aやブレーキペダルBPに設けられた操作検知センサ2bにより検知した運転者の運転操作や、回転数センサ2cで検知された車両Vの車速等に対応して、内燃機関やモータの出力を制御したり、自動変速機の変速段を切り替えたりする。自動変速機には車両Vの走行状態を検知するセンサとして、自動変速機の出力軸の回転数を検知する回転数センサ2cが設けられている。車両Vの車速は、回転数センサ2cの検知結果から演算可能である。
【0013】
コントローラ1は、油圧装置3を制御することによって車両Vの制動(減速)を制御する。ブレーキペダルBPに対する運転者の制動操作はブレーキマスタシリンダBMにおいて液圧に変換されて油圧装置3に伝達される。油圧装置3は、ブレーキマスタシリンダBMから伝達された液圧に基づいて、四輪にそれぞれ設けられたブレーキ装置3a(例えばディスクブレーキ装置)に供給する作動油の液圧を制御可能なアクチュエータである。
【0014】
コントローラ1は、油圧装置3が備える電磁弁等の駆動制御を行うことにより、車両Vの制動を制御することができる。また、コントローラ1は、ブレーキ装置3aによる制動力と、パワーユニット2が備えるモータの回生制動による制動力との配分を制御することにより、電動サーボブレーキシステムを構成することもできる。コントローラ1は、制動時にブレーキランプ3bを点灯させてもよい。
【0015】
コントローラ1は、電動パワーステアリング装置4を制御することによって車両Vの操舵を制御する。電動パワーステアリング装置4は、ステアリングホイールSTに対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。電動パワーステアリング装置4は、操舵操作のアシスト、又は、車両Vの前輪を自動操舵するための駆動力(操舵アシストトルクと表記することがある)を発揮する駆動ユニット4aを備える。駆動ユニット4aは駆動源としてモータを備える。また、電動パワーステアリング装置4は、操舵角を検知する操舵角センサ4bや、運転者が負担する操舵トルク(操舵負担トルクと呼び、操舵アシストトルクと区別する。)を検知するトルクセンサ4c等を含む。
【0016】
コントローラ1は、車両Vの後輪に設けられている電動パーキングブレーキ装置3cを制御する。電動パーキングブレーキ装置3cは、後輪をロックする機構を備える。コントローラ1は電動パーキングブレーキ装置3cによる後輪のロック及びロック解除を制御可能である。
【0017】
コントローラ1は、車内に情報を報知する情報出力装置5を制御する。情報出力装置5は、例えば、運転者に対して画像により情報を報知する表示装置5a、及び/又は、運転者に対して音声により情報を報知する音声出力装置5bを含む。表示装置5aは、例えばインストルメントパネルに設けられた表示装置や、ステアリングホイールSTに設けられた表示装置が含まれる。また、表示装置5aはヘッドアップディスプレイを含んでもよい。情報出力装置5は、乗員に対して振動や光により情報を報知してもよい。
【0018】
コントローラ1は、入力装置6を介して乗員(例えば運転者)からの指示入力を受け付ける。入力装置6は、運転者が操作可能な位置に配置され、例えば、運転者が車両Vに対して指示を行うスイッチ群6a、及び/又は、方向指示器(ウィンカ)を作動させるウィンカレバー6bを含む。
【0019】
コントローラ1は、車両Vの現在位置及び進路(姿勢)を認識・判定する。本実施形態の場合、車両Vには、ジャイロセンサ7aと、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ7bと、通信装置7cとが設けられる。ジャイロセンサ7aは、車両Vの回転運動(ヨーレート)を検知する。GNSSセンサ7bは、車両Vの現在位置を検知する。また、通信装置7cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。本実施形態の場合、コントローラ1は、ジャイロセンサ7a及びGNSSセンサ7bの検知結果に基づいて車両Vの進路を判定するとともに、当該進路に関する地図情報を通信装置7cを介してサーバから逐次取得してデータベース7d(記憶デバイス)に格納する。車両Vには、車両Vの加速度を検知する加速度センサなど、車両Vの状態を検知するための他のセンサが設けられてもよい。
【0020】
コントローラ1は、車両Vに設けられた各種の検知ユニットの検知結果に基づいて車両Vの運転支援を実行する。車両Vには、車両Vの外部(周囲状況)を検知する外界センサである周囲検知ユニット8a~8bと、車内の状況(乗員(特に運転者)の状態)を検知する車内センサである車内検知ユニット9a~9bとが設けられている。コントローラ1は、周囲検知ユニット8a~8bの検知結果に基づいて車両Vの周囲状況を把握し、当該周囲状況に応じて運転支援を実行することができる。また、コントローラ1は、車内検知ユニット9a~9bの検知結果に基づいて、運転支援を実行する際に運転者に課される所定の動作義務を運転者が行っているか否かを判定することができる。
【0021】
周囲検知ユニット8aは、車両Vの前方を撮影する撮像装置であり(以下、前方カメラ8aと表記することがある)、例えば車両Vのルーフ前部におけるフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。コントローラ1は、前方カメラ8aで撮影された画像を解析することにより、物標の輪郭抽出や道路上の車線の区画線(白線等)を抽出することができる。
【0022】
周囲検知ユニット8bは、ミリ波レーダであり(以下、レーダ8bと表記することがある)、電波を用いて車両Vの周囲の物標を検知し、物標までの距離や、車両Vに対する物標の方向(方位)を検知(計測)する。図1に示す例では、レーダ8bは5つ設けられており、車両Vの前部の中央に1つ、前部の左右の各隅部に1つずつ、後部の左右の各隅部に1つずつ設けられている。
【0023】
車両Vに設けられる周囲検知ユニットは、上記の構成に限られず、カメラの数及びレーダの数を変更してもよいし、車両Vの周囲の物標を検知するライダ(LIDAR:Light Detection and Ranging)が設けられてもよい。
【0024】
車内検知ユニット9aは、車内を撮影する撮像装置であり(以下、車内カメラ9aと表記することがある)、例えば車内Vのルーフ前部における車室内側に取り付けられる。本実施形態の場合、車内カメラ9aは、運転者(例えば運転者の目や顔)を撮影するドライバーモニタカメラである。コントローラ1は、車内カメラ9aで撮影された画像(運転者の顔画像)を解析することにより、運転者の視線や顔の向きを判定することができる。
【0025】
車内検知ユニット9bは、運転者によるステアリングホイールSTの把持を検知する把持センサであり(以下、把持センサ9bと表記することがある)、例えばステアリングホイールSTの少なくとも一部に設けられる。車内検知ユニットとしては、運転者の操舵トルクを検知するトルクセンサ4cが用いられてもよい。
【0026】
<運転支援制御の例>
運転者に対する車両Vの運転支援としては、例えば、加減速支援と車線維持支援と車線変更支援とが含まれる。加減速支援は、コントローラ1が周囲検知ユニット8の検知結果や地図情報に基づきパワーユニット2及び油圧装置3を自動制御することにより、所定の車速内で車両Vの加減速を自動的に制御する運転支援(ACC:Adaptive Cruise Control)である。ACCでは、先行車がある場合、先行車との車間距離を保つように車両Vの加減速を行うことも可能である。ACCにより運転者は加減速操作(アクセルペダルAPやブレーキペダルBPに対する操作)の操作負担が軽減される。
【0027】
車線維持支援は、コントローラ1が周囲検知ユニット8の検知結果や地図情報に基づき電動パワーステアリング装置4を自動制御することにより、車両Vを車線の内側に維持させる運転支援(LKAS:Lane Keeping Assist System)である。LKASにより運転者は車両Vの直進中に操舵操作(ステアリングホイールSTに対する操作)の操作負担が軽減される。
【0028】
車線変更支援は、コントローラ1が周囲検知ユニット8の検知結果や地図情報に基づきパワーユニット2、油圧装置3及び電動パワーステアリング装置4を自動制御することにより、隣接車線へ車両Vの走行車線を変更する運転支援(ALC:Auto Lane Changing、ALCA:Active Lane Change Assist)である。ALCはシステム要求に基づく車線変更支援であり、ALCAは乗員要求に基づく車線変更支援である。システム要求としては、例えば、目的地へ車両Vの経路誘導を行うナビゲーションシステムが車両Vの車線変更を要求した場合や、経路誘導の有無を問わず、先行車を追い越す場合を挙げることができる。乗員要求を行う場合、運転者は入力装置(例えばウィンカレバー6b)を操作することにより車線変更を指示する。ALC又はACLAにより運転者は車線変更時における車両Vの加減速操作及び操舵操作の操作負担が軽減される。
【0029】
運転支援制御の他の例としては、例えば、油圧装置3を制御することにより道路上の物標(例えば歩行者、他車両或いは障害物)との衝突回避を支援する衝突軽減ブレーキ、ABS機能、トラクションコントロール、及び/又は、車両Vの姿勢制御を含んでもよい。
【0030】
<運転支援モード>
本実施形態の場合、運転支援内容が異なる複数のモードのうち、1つのモードが選択的に設定される。図2はその説明図である。ここでは、3種類のモード1~3と、ACC、LKAS、ALC及びACLAの実行可否との関係が示されている。モードは状態と呼ばれてもよい。各モード1~3の運転支援内容はACC、LKAS、ALC又はACLAに限られるものではなく、他の運転支援内容を含んでもよい。また、ALCとACLAはいずれか一方のみであってもよい。
【0031】
モード1は、ACC、LKAS、ALC及びACLAのいずれも実行されない手動運転モードであり、運転者の手動運転操作を基調とするモードである。車両Vの起動時に最初に設定されるモードである。
【0032】
モード2及びモード3は、モード1において乗員が運転支援指示を行ったことを条件として設定されるモードである。モード2は、ACC及びLKASが実行可能な通常支援モードである。モード2ではALC及びACLAは実行されない。
【0033】
モード3はACC、LKAS、ALC及びACLAのいずれもが実行可能な拡張支援モードである。モード3は、車両Vが走行する道路(走行路)の情報を含む高精度地図情報をコントローラ1が取得していることを前提としたモードである。高精度地図情報は、目的地への経路誘導に用いられる地図情報(通常地図情報と呼ぶ場合がある)よりも、道路情報について精度の高い情報を有する地図情報である。すなわち、高精度地図情報は、通常地図情報に含まれない情報を含む。具体的に、高精度地図情報は、少なくとも車線内の位置情報を有してもよい。これは車両Vの車幅方向の位置を制御することに利用可能である。高精度地図情報は、カーブの有無や曲率、車線の増減、勾配など、道路の詳細な形状に関する情報をさらに含んでもよい。高精度地図情報は、例えば、地域或いは道路の区間毎に用意されており、高精度地図情報が配備されていない地域或いは道路の区間が存在し得る。
【0034】
モード3では、この高精度地図情報を用いることで車線変更支援(ALC及びACLA)を行う。すなわち、モード2において使用されない情報を含む高精度地図情報がモード3において使用される。高精度地図情報に含まれる車線内の位置情報と、GNSSセンサ7bで検知した車両Vの現在位置とを活用し、検知ユニット8a~8bの外界検知結果から周辺の他車両を認識しつつ、信頼性の高い、スムーズな車線変更支援を行うことができる。車線変更支援は、高精度地図情報を用いずに行われてもよい。
【0035】
モード2及びモード3は、いずれもACC及びLKASを実行可能なモードであるが、モード3では高精度地図情報を用いたACC、LKASを実行可能である。高精度地図情報を用いる点で、モード3のACC、LKASはそれぞれ、ACC with map、LKAS with mapと表されている。コントローラ1は、高精度地図情報から車両Vの進行先の道路情報を先取りして、車両Vの加減速や左右方向の位置制御を行うことができ、より信頼性の高い、スムーズなACC、LKASを乗員に提供できる。
【0036】
一部の実施形態において、モード3は、ステアリングホイールSTの把持義務が運転者に課されるモード3aと、ステアリングホイールSTの把持義務が運転者に課されないモード3bとを含んでもよい。制御装置CNTは、モード3aでの動作中に、車内検知ユニット9a、9bの検知結果に基づいて、運転者が所定のステアリングホイールSTの把持を行っているかどうかを判定してもよい。制御装置CNTは、運転者が所定のステアリングホイールSTの把持を行っていないと判定される場合に、ステアリングホイールSTの把持を行うことを促すための報知(警告)を情報出力装置5により行う。
【0037】
<モード設定の変遷例>
図3は運転支援モードの変遷例を示す図である。車両Vがモード1で走行中、位置P1にて入力装置6を介して運転者が運転支援指示を行うとモード2が設定される。コントローラ1は車両VのACC制御、LKAS制御を実行する。図中、×マークで示すように、車両VのALC制御、ALCA制御は行われない。運転者が車線変更を希望する場合、運転者自身の運転操作により車線変更を行うことになる。
【0038】
車両Vが走行する道路(走行路)は、区間Mにおいて高精度地図情報の提供がある道路である。コントローラ1は位置P2において地図提供サーバ100から通信回線を介して通信装置7cによって、区間Mの高精度地図情報を取得(受信)する。これにより運転支援モードはモード2からモード3に切り替えられる。コントローラ1は高精度地図情報を用いたACC制御、LKAS制御を実行する。また、図中、〇マークで示すようにシステム要求や乗員要求によりALC制御又はALCA制御を実行する。
【0039】
地図提供サーバ100によって提供される高精度地図情報の利用は、車両Vの運転者が高精度地図情報を利用する権限を有することを条件としてもよい。例えば、高精度地図情報の利用を希望する運転者は、サービスの利用登録を地図提供サーバ100に要求してもよい。この要求に応じて、地図提供サーバ100は、固有の情報(ID)を運転者又は車両Vに割り当て、自身の記憶装置に格納する。制御装置CNTは、高精度地図情報の利用の開始する前に、運転者又は車両Vに割り当てられた固有の情報を地図提供サーバ100へ送信する。この情報は、運転者又は車両Vが高精度地図情報を使用する権限を有することを示す。地図提供サーバ100は、自身の記憶装置を参照し、運転者又は車両Vが高精度地図情報を使用する権限を有することを確認できたことに応じて、制御装置CNTに高精度地図情報を提供する。
【0040】
<ステアリングホイールSTのインジケータの例>
図4を参照して、ステアリングホイールSTの構成例について説明する。ステアリングホイールSTは、車両Vの車室前方に配置されたインストルメントパネル400に取り付けられる。インストルメントパネル400は、メータ表示部401を含む。制御装置CNTは、メータ表示部401に、車両Vの情報及び状態を運転者に通知するための様々な計器類、メッセージ及びアイコンなどを表示する。図4の例において、メータ表示部401は、運転者から見てステアリングホイールSTの奥に位置する。
【0041】
ステアリングホイールSTは、リム402と、ハブ403と、スポーク404とを含む。リム402は、例えば円形の形状を有する。ハブ403は、リム402の内側に位置する。ハブ403は、インストルメントパネル400から延びるシャフトに接続される。ハブ403は、エアバッグを格納してもよい。スポーク404は、リム402とハブ403とを接続する。図4の例において、ステアリングホイールSTは、3つのスポーク404を含む。3つのスポーク404は、運転者から見て、ハブ403の右側、ハブ403の左側、ハブ403の下側に位置する。ステアリングホイールSTは、図4に示す構造以外の構造を有してもよい。
【0042】
ステアリングホイールSTは、インジケータ405を含む。インジケータ405は、運転者から視認可能な位置に配置される。図4の例において、インジケータ405は、スポーク404に含まれる。これに代えて、インジケータ405は、ステアリングホイールSTの他の部分、例えばリム402やハブ403に含まれてもよい。図4の例において、インジケータ405は、分離した2つの部分によって構成され、一方は右側のスポーク404に位置し、他方は左側のスポーク404に位置する。これに代えて、インジケータ405は1つの部分のみによって構成されてもよいし、3つ以上の部分によって構成されてもよい。インジケータ405は、運転者への通知を行う通知部の一例である。インジケータ405の代わりに他の通知部、例えばドットマトリクス型のディスプレイが使用されてもよい。
【0043】
制御装置CNTは、インジケータ405を用いた通知を制御してもよい。例えば、制御装置CNTは、インジケータ405を、消灯状態、点灯状態及び点滅状態のうちから選択した状態で動作させてもよい。制御装置CNTは、インジケータ405を用いて運転支援の動作状態を運転者に通知してもよい。例えば、制御装置CNTは、モード1(すなわち、運転支援を提供しない状態)で動作中に、インジケータ405を用いた通知を行わなくてもよい。具体的に、制御装置CNTは、モード1で動作中に、インジケータ405を消灯してもよい。
【0044】
制御装置CNTは、モード2(すなわち、高精度地図情報を用いずに運転支援を提供する状態)で動作中に、インジケータ405を用いた通知を行わなくてもよい。具体的に、制御装置CNTは、モード2で動作中に、インジケータ405を消灯してもよい。
【0045】
制御装置CNTは、モード3a(すなわち、車両Vの運転者によるステアリングホイールSTの把持を条件とし、高精度地図情報を用いて運転支援を提供する状態)で動作中に、インジケータ405を用いた通知を行ってもよい。具体的に、制御装置CNTは、モード3aで動作中に、インジケータ405を点灯させてもよい。
【0046】
制御装置CNTは、モード3b(すなわち、車両Vの運転者によるステアリングホイールSTの把持を条件とせず、高精度地図情報を用いて運転支援を提供する状態)で動作中に、インジケータ405を用いた通知を行ってもよい。具体的に、制御装置CNTは、モード3bで動作中に、インジケータ405を点灯させてもよい。
【0047】
制御装置CNTは、モード3aで動作中におけるインジケータ405を用いた通知と、モード3bで動作中におけるインジケータ405を用いた通知とを、同じ態様で行ってもよいし、異なる態様で行ってもよい。通知の態様の相違は、インジケータ405の発光色の相違であってもよいし、インジケータ405の輝度の相違であってもよいし、インジケータ405の発光部分のサイズの相違であってもよい。
【0048】
例えば、制御装置CNTは、モード3aで動作中に、インジケータ405を用いた通知を特定の色(例えば、緑色)で行い、モード3bで動作中に、インジケータ405を用いた通知を別の色(例えば、青色)で行ってもよい。具体的に、制御装置CNTは、モード3aで動作中に、インジケータ405を特定の色(例えば、緑色)で点灯させ、モード3bで動作中に、インジケータ405を別の色(例えば、青色)で点灯させてもよい。
【0049】
さらに、制御装置CNTは、特定の条件が満たされる場合に、インジケータ405による上述の通知の態様(例えば、青色での点灯及び緑色での点灯)とは異なる態様でインジケータ405を用いた通知を行ってもよい。特定の条件が満たされる場合のインジケータ405を用いた通知の態様は、インジケータ405をさらに別の色(例えば、アンバー)で点滅させることであってもよい。以下では、上述の特定の条件をアンバー点滅条件と表す。
【0050】
アンバー点滅条件は、モード3(モード3a又はモード3b)で動作中に、モード3で動作するための条件が満たされなくなったことを含んでもよい。例えば、制御装置CNTは、高精度地図情報が不足した場合又は高精度地図情報が車両Vの検知ユニット(例えば、周囲検知ユニット8a~8b)による検知結果と一致しない場合に、モード3で動作するための条件が満たされなくなったと判定してもよい。この場合に、制御装置CNTは、インジケータ405をアンバーで点滅させる。制御装置CNTは、モード3bで動作中にモード3bで動作するための条件が満たされなくなった場合に、運転者がステアリングホイールSTを把持したことに応じて動作状態をモード2に変更してもよい。また、制御装置CNTは、モード3aで動作中にモード3aで動作するための条件が満たされなくなった場合に、一定時間が経過後に動作状態をモード2に変更してもよい。何れの場合も、制御装置CNTは、モード2に変更後、インジケータ405を用いた通知を終了する。
【0051】
アンバー点滅条件は、モード3aで動作中に、モード3aで動作するための条件が満たされなくなったことを含んでもよい。例えば、制御装置CNTは、運転者がステアリングホイールSTから手を放した場合に、モード3aで動作するための条件が満たされなくなったと判定してもよい。この場合に、制御装置CNTは、インジケータ405をアンバーで点滅させ、運転者がステアリングホイールSTを把持したことに応じてモード3aを継続してもよい。
【0052】
上述の例では、車両VがステアリングホイールSTを有しており、ステアリングホイールSTにインジケータ405が含まれる。ステアリングホイールSTは、車両Vの操作入力部の一例であり、他の操作入力部が使用されてもよい。例えば、車両Vに、操作入力部としてジョイスティックが搭載されてもよい。この場合に、インジケータ405は、ジョイスティックに含まれてもよい。
【0053】
<メータ表示部401の表示例>
図5を参照して、メータ表示部401の表示例について説明する。制御装置CNTは、メータ表示部401を用いた表示を制御してもよい。まず、図5(a)を参照して、制御装置CNTがモードによらずに表示してもよい内容について説明する。制御装置CNTは、メータ表示部401の速度領域501に、車両Vの車速を表示してもよい。制御装置CNTは、メータ表示部401にタコメータ502及びスピードメータ503を表示してもよい。制御装置CNTは、メッセージ領域504に運転者へ向けたメッセージを表示してもよい。制御装置CNTは、図5(a)に示されない他の内容を表示してもよい。
【0054】
引き続き図5(a)を参照して、制御装置CNTがモード2で動作中にメータ表示部401に表示してもよい内容について説明する。制御装置CNTは、モード2においてACCを実行中に、ACCを実行中であることを示すアイコン505を表示してもよい。制御装置CNTは、モード2においてLKASを実行中に、LKASを実行中であることを示すアイコン506を表示してもよい。モード2では、運転者にステアリングホイールSTの把持義務が課される。アイコン506は、運転者にステアリングホイールSTの把持義務が課されていることも示す。アイコン505及び506はいずれも、運転支援の内容を示すアイコンの例である。
【0055】
制御装置CNTは、メータ表示部401に、車両Vの周囲の交通環境を表示してもよい。例えば、制御装置CNTは、車両V(自車両)を表すオブジェクト507と、車両Vの進行方向を走行する車両を表すオブジェクト509、510と、車両Vが走行中の道路の白線(区画線)を表すオブジェクト508L、508Rとを表示してもよい。ディスプレイ上に表示されるオブジェクトは、グラフィカルオブジェクトとも呼ばれうる。
【0056】
制御装置CNTは、モード2で動作中に、インジケータ405を用いた通知と同じ色を用いて、メータ表示部401の特定の内容の表示を行ってもよい。メータ表示部401においてインジケータ405と同じ色を用いて表示される内容は、運転支援の内容を示すアイコン(例えば、アイコン505及び506)を含んでもよい。例えば、制御装置CNTは、モード2で動作中にインジケータ405を緑色に点灯させるならば、メータ表示部401のアイコン505及び506を緑色で表示してもよい。
【0057】
メータ表示部401においてインジケータ405と同じ色を用いて表示される内容は、車両Vの周囲の交通環境によって示される制御対象情報を含んでもよい。制御対象情報とは、運転支援において制御の対象となるオブジェクトを示す情報のことであってもよい。例えば、制御装置CNTがACCを実行中であれば、先行車両を示すオブジェクト509が制御対象情報に含まれる。例えば、制御装置CNTがLKASを実行中であれば、車両Vの両側に位置する白線を示すオブジェクト508L及び508Rが制御対象情報に含まれる。例えば、制御装置CNTは、モード2で動作中にインジケータ405を緑色に点灯させるならば、メータ表示部401のオブジェクト508L、508R及び509を緑色で表示してもよい。
【0058】
インジケータ405の発光色とメータ表示部401の表示色とが同じであるとは、色空間を複数(例えば、5つ)の区画に分割した場合に、同じ区画に含まれることであってもよい。例えば、インジケータ405の発光色が薄緑であり、メータ表示部401の表示色が濃緑である場合に、両者は同じ色であるとみなされてもよい。以下の説明における同じ色についても同様である。
【0059】
図5(b)を参照して、制御装置CNTがモード3aで動作中にメータ表示部401に表示してもよい内容について説明する。モード3aで動作中にメータ表示部401に表示される内容は、モード2で動作中にメータ表示部401に表示される内容に、車両Vの軌道情報を示すオブジェクト511を追加したものであってもよい。車両Vの軌道情報とは、車両Vの走行予定の軌道を示す情報であってもよい。
【0060】
制御装置CNTは、モード3aで動作中に、インジケータ405を用いた通知と同じ色を用いて、メータ表示部401の特定の内容の表示を行ってもよい。メータ表示部401においてインジケータ405と同じ色を用いて表示される内容は、運転支援の内容を示すアイコン(例えば、アイコン505及び506)を含んでもよい。例えば、制御装置CNTは、モード3aで動作中にインジケータ405を青色に点灯させるならば、メータ表示部401のアイコン505及び506を青色で表示してもよい。
【0061】
メータ表示部401においてインジケータ405と同じ色を用いて表示される内容は、上述の制御対象情報及び上述の軌道情報を含んでもよい。例えば、制御装置CNTは、モード3aで動作中にインジケータ405を青色に点灯させるならば、メータ表示部401のオブジェクト508L、508R、509及び511を青色で表示してもよい。
【0062】
図5(c)を参照して、制御装置CNTがモード3bで動作中にメータ表示部401に表示してもよい内容について説明する。モード3bで動作中にメータ表示部401に表示される内容は、モード3aで動作中にメータ表示部401に表示されるアイコン506に代えてアイコン512を表示するものであってもよい。アイコン512は、LKASを実行中であることを示す。モード3bでは、運転者にステアリングホイールSTの把持義務が課されない。アイコン512は、運転者にステアリングホイールSTの把持義務が課されていないことも示す。アイコン512はいずれも、運転支援の内容を示すアイコンの例である。
【0063】
制御装置CNTは、モード3bで動作中に、インジケータ405を用いた通知と同じ色を用いて、メータ表示部401の特定の内容の表示を行ってもよい。メータ表示部401においてインジケータ405と同じ色を用いて表示される内容は、運転支援の内容を示すアイコン(例えば、アイコン505及び506)を含んでもよい。例えば、制御装置CNTは、モード3bで動作中にインジケータ405を青色に点灯させるならば、メータ表示部401のアイコン505及び506を青色で表示してもよい。
【0064】
メータ表示部401においてインジケータ405と同じ色を用いて表示される内容は、上述の制御対象情報及び上述の軌道情報を含んでもよい。例えば、制御装置CNTは、モード3bで動作中にインジケータ405を青色に点灯させるならば、メータ表示部401のオブジェクト508L、508R、509及び511を青色で表示してもよい。
【0065】
<通知態様のまとめ>
図6を参照して、一部の実施形態に係るインジケータ405及びメータ表示部401による通知態様を説明する。上述のように、制御装置CNTは、モード2(すなわち、高精度地図情報を使用しない運転支援)で動作中であれば、インジケータ405を用いた通知を行わず、モード3(すなわち、高精度地図情報を使用する運転支援)で動作中であれば、インジケータ405を用いた通知を行う。これによって、運転者は、制御装置2が実行中の運転支援が高精度地図情報を使用する運転支援かどうかを直感的に把握できる。また、制御装置CNTがモード3aで動作中であるかモード3bで動作中であるかに応じてインジケータ405を用いた通知の態様が異なるため、運転者はステアリングホイールSTを把持する義務が課されているかどうかを直感的に把握できる。制御装置CNTは、上述のアンバー点滅条件を満たす場合であっても、運転支援内容の内容を示すアイコン並び制御対象情報及び軌道情報の表示の色を維持してもよい。
【0066】
<車両Vの制御方法>
図7を参照して、車両Vの制御方法の例について説明する。図7の方法の工程は、制御装置CNTのコントローラ1に含まれるプロセッサが、メモリに格納されたプログラムを実行することによって行われてもよい。これに代えて、図7の方法の一部又は全部の工程は、特定用途向け集積回路(ASIC)のような専用集積回路によって行われてもよい。図7の方法は、車両Vが起動したことに応じて開始されてもよい。
【0067】
S701で、制御装置CNTは、車両Vのモードが変更されたかどうかを判定する。制御装置CNTは、車両Vのモードが変更されたと判定された場合(S701で「YES」)に処理をS702に遷移し、それ以外の場合(S702で「NO」)に処理をS704に遷移する。
【0068】
S702で、制御装置CNTは、変更後のモードで走行制御を開始する。変更後のモードがモード2又はモード3である場合に、制御装置CNTは運転支援を開始する。変更後のモードがモード1である場合に、制御装置CNTは運転支援を終了する。
【0069】
S702で、制御装置CNTは、上述し、図6に一例を記載したような態様で、車両Vの状態に応じた通知を行う。図7では説明のためにS702の後にS703を実行しているが、これらの工程はどちらが先に行われてもよい。その後、制御装置CNTは、再びS701において、モードの変更を待機する。
【0070】
S704で、制御装置CNTは、上述のアンバー点滅条件が満たされたかどうかを判定する。制御装置CNTは、アンバー点滅条件が満たされたと判定された場合(S704で「YES」)に処理をS705に遷移し、それ以外の場合(S704で「NO」)に処理をS701に遷移する。
【0071】
S705で、制御装置CNTは、インジケータ405でアンバーを点滅させる。その後、制御装置CNTは、再びS701において、モードの変更を待機する。モードが変更された場合に、S703が実行されることによって、インジケータ405でのアンバーの点滅が終了する。
【0072】
<実施形態のまとめ>
<項目1>
車両(V)の制御装置(CNT)であって、
前記車両の操舵入力部(ST)に含まれる通知部(405)を用いた通知を制御する通知制御手段(CNT)と、
複数の状態から選択された動作状態で動作する走行制御手段(CNT)と、を備え、
前記複数の状態は、運転支援をそれぞれ提供する第1の状態及び第2の状態を含み、
前記第1の状態において使用されない情報を含む地図情報が前記第2の状態において使用され、
前記第2の状態は、前記車両の運転者による前記操舵入力部の把持を条件とし、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第1の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行わず、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行う、制御装置。
この項目によれば、運転者の視界に入りやすい操作入力部に含まれる通知部を用いて通知を行うことによって、運転支援の状態を直感的に把握できる。
<項目2>
項目1に記載の制御装置であって、
前記複数の状態は、前記運転者による前記操舵入力部の把持を条件とせず、前記地図情報を用いて前記運転支援を提供する第3の状態をさらに含み、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、第1の態様で前記通知部を用いた通知を行い、
前記走行制御手段が前記第3の状態で動作中に、前記第1の態様とは異なる第2の態様で前記通知部を用いた通知を行う、制御装置。
この項目によれば、操舵入力部の把持が必要かどうかを直感的に把握できる。
<項目3>
項目2に記載の制御装置であって、
前記通知制御手段は、前記走行制御手段が前記第2の状態又は前記第3の状態で動作するための条件が満たされなくなった場合に、前記第1の態様及び前記第2の態様とは異なる第3の態様で前記通知部を用いた通知を行う、制御装置。
この項目によれば、特定の条件が満たされなくなったことを直感的に把握できる。
<項目4>
項目2に記載の制御装置であって、
前記通知制御手段は、前記車両のメータ表示部(401)を用いた表示をさらに制御し、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知及び前記メータ表示部を用いた表示を第1の色で行い、
前記走行制御手段が前記第3の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知及び前記メータ表示部を用いた表示を前記第1の色とは異なる第2の色で行う、制御装置。
この項目によれば、通知部とメータ表示部との両方で統一的な通知を行うことによって、運転支援の状態をいっそう直感的に把握できる。
<項目5>
項目4に記載の制御装置であって、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、前記車両の軌道情報(511)と、前記車両の制御対象情報(508L、508R、509)との少なくとも1つを前記第1の色で表示し、
前記走行制御手段が前記第3の状態で動作中に、前記車両の前記軌道情報と、前記車両の前記制御対象情報との少なくとも1つを前記第2の色で表示する、制御装置。
この項目によれば、通知部とメータ表示部の運転支援に関連する情報との両方で統一的な通知を行うことによって、運転支援の状態をいっそう直感的に把握できる。
<項目6>
項目4に記載の制御装置であって、
前記メータ表示部を用いた表示は、前記運転支援の内容を示すアイコン(505、506、512)を表示することを含み、
前記通知制御手段は、
前記走行制御手段が前記第2の状態で動作中に、前記アイコンを前記第1の色で表示し、
前記走行制御手段が前記第3の状態で動作中に、前記アイコンを前記第2の色で表示する、制御装置。
この項目によれば、通知部とメータ表示部の運転支援に関連する情報との両方で統一的な通知を行うことによって、運転支援の状態をいっそう直感的に把握できる。
<項目7>
項目1に記載の制御装置であって、
前記通知制御手段は、前記第1の状態で動作中に前記地図情報が不足した場合又は前記地図情報が前記車両の検知ユニット(8a、8b)による検知結果と一致しない場合に、前記通知部を用いた通知を終了する、制御装置。
この項目によれば、地図情報が使用できなくなったことを直感的に把握できる。
<項目8>
項目1に記載の制御装置であって、
前記地図情報を提供するサーバ(100)に対して、前記運転者又は前記車両が前記地図情報を使用する権限を有することを示す情報を送信する送信手段(CNT)をさらに備える、制御装置。
この項目によれば、権限の有する運転者又は車両に対して地図情報を提供できる。
<項目9>
コンピュータを項目1乃至8の何れか1項に記載の制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
この項目によれば、上述の利点を有するプログラムが提供される。
<項目10>
項目1乃至8の何れか1項に記載の制御装置を備える車両。
この項目によれば、上述の利点を有する車両が提供される。
<項目11>
車両(V)の制御方法(CNT)であって、
通知制御手段(CNT)が、前記車両の操舵入力部(ST)に含まれる通知部(405)を用いた通知を制御する通知制御工程(S703)と、
走行制御手段(CNT)が、複数の状態から選択された動作状態で動作する走行制御工程(S702)と、を備え、
前記複数の状態は、運転支援をそれぞれ提供する第1の状態及び第2の状態を含み、
前記第1の状態において使用されない情報を含む地図情報が前記第2の状態において使用され、
前記第2の状態は、前記車両の運転者による前記操舵入力部の把持を条件とし、
前記通知制御工程において、
前記第1の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行わず、
前記第2の状態で動作中に、前記通知部を用いた通知を行う、制御装置。
この項目によれば、運転者の視界に入りやすい操作入力部に含まれる通知部を用いて通知を行うことによって、運転支援の状態を直感的に把握できる。
【0073】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
V 車両、CNT 制御装置、ST ステアリングホイール、401 メータ表示部、405 インジケータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7