(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】局所スキンケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9794 20170101AFI20241122BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241122BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241122BHJP
A61K 36/58 20060101ALI20241122BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241122BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241122BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20241122BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20241122BHJP
A61K 31/335 20060101ALI20241122BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20241122BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20241122BHJP
A61K 31/726 20060101ALI20241122BHJP
A61K 31/728 20060101ALI20241122BHJP
A61K 36/886 20060101ALI20241122BHJP
A61K 36/889 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241122BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241122BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241122BHJP
A61K 31/609 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/68 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20241122BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20241122BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61P17/00
A61P43/00 121
A61K36/58
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/12
A61K31/19
A61K31/335
A61K31/375
A61K31/355
A61K31/726
A61K31/728
A61K36/886
A61K36/889
A61K47/06
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/44
A61K31/609
A61K8/67
A61K8/68
A61K8/92
A61K8/9789
A61Q19/00
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/73
A61K8/42
A61K8/63
A61K8/81
(21)【出願番号】P 2023142791
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2020546974の分割
【原出願日】2019-03-07
【審査請求日】2023-09-04
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516011671
【氏名又は名称】オキュソフト インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】OCuSOFT,Inc.
【住所又は居所原語表記】30444 SW Freeway Rosenberg TEXAS 77471 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】アドキンス、ナット ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】スミス、トロイ
【審査官】井上 莉子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-537214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/117061(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0190627(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0003509(US,A1)
【文献】特表2008-508189(JP,A)
【文献】特表2001-522878(JP,A)
【文献】特表2016-502550(JP,A)
【文献】特表2007-532521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A61Q
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に有効な量の水、アロエベラ葉液汁、ココヤシオイル、加水分解グリコサミノグリカン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、メリアアザジラクタ葉抽出物、ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィン、ラウレス-7、ラウリミノジプロピオン酸トコフェリルリン酸二ナトリウム、アセチルテトラペプチド-40、カプリリルグリコール、ブチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム、シモンジア・キネンシス種子油、ラウレス-4、サリチロイルフィトスフィンゴシン、グリチルリチン酸二カリウム、アスコルビルリン酸ナトリウム、フェノキシエタノール、およびカプリリルグリコールからなる、酒さの治療を必要とする人において酒さを治療するためのクリーム。
【請求項2】
前記サリチロイルフィトスフィンゴシンが0.1%~1%で存在する、請求項1に記載のクリーム。
【請求項3】
前記クリームは25℃において30,000~50,000cPsの粘度を有する、請求項1に記載のクリーム。
【請求項4】
前記クリームのpHは4.5~6.0の間である、請求項1に記載のクリーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、皮膚の発赤を治療するために使用される局所塗布製剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の発赤は一般的な症状である。皮膚の発赤は、酒さ(rosacea)、皮膚アレルギー、特定のスキンケア製品またはトリートメントの使用、美容処置、運動、および、場合によっては基礎疾患によって引き起こされることがある。例えば、酒さは、顔面に発赤および目に見える血管を生じ、小さな赤い膿の詰まった吹き出物を生じることもある。これらの兆候または症候は、数週間から数か月の期間で突発し、その後しばらくの間軽減する。発赤は必ずしも不安材料ではないかもれないが、この皮膚症状に苦しむ人にとっては、恥ずかしく、腹立たしく、不快である場合がある。
【0003】
抗発赤クリームは、刺激を止め、皮膚に潤いを与えるために一般的に使用される。しかしながら、全ての抗発赤クリームが効果的であるわけではないか、または、皮膚の発赤の根本原因を治療できる配合物を含んでいるわけではない。いくつかの抗発赤クリームには、連続して何週間も毎日使用した場合に皮膚が薄くなることを引き起こす可能性のある、ステロイドや他の成分が含まれている。いくつかの保湿剤は、不安定で皮膚刺激を引き起こすか、または、不十分な保湿能力を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、皮膚の発赤および皮膚の炎症を軽減する安定な組成物が必要とされている。この組成物はステロイドまたは他の同様の物質を含まないのがよい。この組成物はまた、どんな刺激も他の有害な副作用も引き起こすことなく、皮膚に潤いを与え、穏やかにするのがよい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によると、本発明は、水などの皮膚科学的に許容可能なビヒクルと、そのビヒクルに溶解している複数の成分とを有する局所スキンケア組成物である。前記複数の成分は、天然油配合物;複数のビタミン;および0.1-1wt%サリチロイルフィトスフィンゴシンを含む。前記組成物は、まぶたまたは目領域への塗布には適さない。前記天然油配合物は、アロエベラ葉液汁抽出物;ココヤシ(ココナッツオイル);加水分解グリコサミノグリカン;およびトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含む。前記複数のビタミンは、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンCの塩/誘導体、ビタミンEの塩/誘導体、およびそれらの混合物からなる群から選択される。一態様において、前記複数のビタミンは、アスコルビルリン酸ナトリウム;ラウリミノジプロピオン酸トコフェリルリン酸二ナトリウム;およびホホバ油を含む。前記複数の成分はさらに、(A)乾燥ニーム葉抽出物(メリアアザジラクタ);および(B)アセチル化テトラペプチドを備える。前記複数の成分は、さらに増粘剤を含む。前記増粘剤は、ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィン、ラウレス-7およびそれらの混合物からなる群から選択される。前記複数の成分は、さらに、以下の塩を含む:(A)ヒアルロン酸;および(B)グリチルリチン酸。
【0006】
一態様において、局所スキンケア組成物は、噴霧乾燥粉末アロエベラ;ココヤシ(ココナッツオイル);乾燥ニーム葉抽出物(メリアアザジラクタ);アセチルテトラペプチド-40;ヒアルロン酸ナトリウム;グリチルリチン酸二カリウム;約0.2wt%サリチロイルフィトスフィンゴシン;アスコルビルリン酸ナトリウム;および水を含む。前記組成物はさらに、ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィン、ラウレス-7およびそれらの混合物からなる群から選択される増粘剤を含む。前記組成物はさらに、加水分解グリコサミノグリカンを含む。前記組成物は、ラウリミノジプロピオン酸トコフェリルリン酸二ナトリウムを含む。
【0007】
組成物は、ローション、クリーム、セラム、ジェル、スティック、スプレー、軟膏、液体洗浄液、泡(foam)、およびムースからなる群から選択される形態である。組成物は25℃において、30,000-50,000cPsの粘度を有する。組成物は、4.5-6.0の間のpHを有する。
【0008】
別の実施形態において、皮膚発赤を有する人を治療するための方法であって、本明細書に記載した局所スキンケア組成物の有効量を投与すること;および前記組成物を皮膚に留まらせておくことを含む。ある実施形態において、スキンケア組成物は、すすぐ必要なしに製剤の残りとして皮膚に留まらせておくことができる。前記組成物は、皮膚の発赤の軽減を引き起こすように60日間投与され得る。一態様において、本方法はさらに、前記局所スキンケア組成物の投与の前に、毛穴を詰まらせない組成物で肌を予備洗浄することをさらに含む。
【0009】
さらに別の実施形態において、本発明は、(A)抗発赤組成物を収容している第1の容器であって、前記抗発赤組成物は、約7-12重量%(wt%)のアロエベラ葉液汁抽出物;約3-9wt%のココヤシ(ココナッツオイル);約1-4wt%ビタミンEおよび/またはビタミンEの誘導体;および約0.1-1wt%サリチロイルフィトスフィンゴシン;を含む前記第1の容器と、(B)第2組成物を収容している第2の容器であって、前記第2組成物は、毛穴を詰まらせないクレンザーであり、前記クレンザーは、ラウリン酸PEG-80ソルビタン;トリデセス硫酸ナトリウム;コカミドプロピルヒドロキシスルタイン;ジステアリン酸PEG-150;ラウロアンホ二酢酸ナトリウム;ラウレス-13カルボン酸ナトリウム;およびPEG-15ココポリアミンを含む、前記第2の容器とを備えるキットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
用語および熟語「発明」、「本発明」、「本願発明」および同様の用語および熟語は、本明細書に使用されるとき、非限定的であり、本主題を任意の単一の実施形態に限定することは意図されておらず、むしろ、記載されたすべての可能な実施形態を包含する。
【0011】
本明細書に使用されるとき、すべての重量パーセント(wt%)は、特に明記しない限り、スキンケア組成物の総wt%に基づく。加えて、全ての組成物の割合は、特に明記しない限り、100wt%に等しい合計に基づく。
【0012】
組成物およびそれらの使用方法は、本明細書を通して開示される成分または工程のうちの任意のものを「備える(comprise)」ことができ、または当該任意のもの「から本質的になる(consist essentially of)」または「からなる(consist of)」ことができる。本明細書および特許請求の範囲で使用されるとき、単語「備える(comprising)」(およびその任意の変形語)、「有する(having)」(およびその任意の変形語)、「含む(including)」(およびその任意の変形語)、または「収容する(containing)」(およびその任意の変形語)は、包括的または非限定(open-ended)であり、本発明の成分を含むことができ、本明細書に記載される他の成分または要素を除外しない。特許請求の範囲および/または明細書において、用語「備える(comprising)」と組み合わせて使用されるとき、単語「1つの(“a”、“an”)」の使用は、「1つ」を意味する場合があるが、「1つ以上」「少なくとも1つ」および「1つまたは1つより多い」の意味とも一致する。本明細書に使用されるとき、「から本質的になる」とは、本発明が請求項に記載されたものに加えて追加の成分を含む場合があることを意味する(ただし、追加の成分が特許請求する発明の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合に限る)。一般に、そのような追加の成分は、まったく存在しないか、微量でのみ存在する場合がある。しかしながら、(有用性の程度とは対照的に)組成物の有用性が維持される限り、本発明の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更し得る材料を重量の約10%まで含むことがありうる。
【0013】
本明細書に記載されるすべての範囲は、2つの値の「間の」範囲を記載するものを含め、両端点を含む。「約」、「一般的に」、「実質的(substantially)」などの用語は、それが絶対的ではないように用語または値を変更するものとして解釈されたい。そのような用語は、それらの用語が当業者によって理解されるようにそれらが変更する状況および用語によって定義されるであろう。非限定的な一実施形態において、それら用語は5%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内であると定義される。用語「実質的」およびその変形は、当業者によって理解されるように明記されているものの大部分ではあるが必ずしも全面的にそうではないものとして定義され、非限定的な一実施形態において、実質的は0.5%-5%の範囲内を表す。
【0014】
本明細書に使用されるとき、組成物の「有効量」という用語は、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。当業者によって理解されるように、物質の有効量は、所望の生物学的エンドポイントや患者などのような要因に応じて異なりうる。いくつかの実施形態において、組成物の治療有効量は、疾患、病気、および/または症状に苦しんでいるまたは罹患しやすい対象に投与されるとき、皮膚の発赤および皮膚炎症の1つ以上の症候の治療、抑制、軽減、防止、および/または遅延に十分な量である。用語「治療する」または「軽減する」またはこれらの用語の任意の変形には、皮膚の発赤の測定可能な減少が含まれる。例えば、皮膚発赤を治療するための組成物の有効量/治療有効量は、皮膚発赤と炎症に関連する1つ以上の症候または特徴の発生を低減、改善、緩和、抑制、防止、発症の遅延、重症度の低減、および/または発生率の低減する量である。
【0015】
スキンケア製品は健康的で魅力的な皮膚を得るために使用される。本発明は、サリチロイルフィトスフィンゴシン、天然油およびビタミンを含有する局所スキンケア組成物を提供する。本組成物は、発赤、皮膚の斑点状/しみ状の外観および炎症を効果的に軽減/改善することができる。本組成物は、皮膚の弾力性などの皮膚のきめの改善を促進し、柔軟性を回復させ、剥離を低減し、それにより老化の兆候を最小限に抑えることができる。スキンケア組成物の特定の実施形態は、抗菌性および抗真菌性を含む抗炎症特性を有する。本組成物は、皮膚の自然なバランスを維持するように皮膚の保湿をさらに促進する。
【0016】
本明細書に使用されるとき、用語「スキンケア組成物」「製品」「組成物」および複数形の用語を含む同様の単語は、互換的に使用できる。具体的には、用語スキンケア組成物は、皮膚の発赤を軽減するために、皮膚またはその任意の部分に擦り込まれ、広げられ、導入され、またはその他塗布され得る組成物を含む。用語「スキンケア組成物」および他の用語は、具体的にはヒトの皮膚に塗布するための局所用組成物が含まれる。用語「局所塗布」は、スキンケア組成物を皮膚の表面に塗布することを意味する。
【0017】
本発明は、従来技術では十分に取り組まれていなかった課題に取り組み、従来技術とは異なるその課題に対する解決策を提供する。各成分(およびその割合)は、皮膚の発赤および刺激を治療するために慎重に選択されている。実施形態のうちのいくつかは、特に、大腸菌(E.coli)、緑膿菌(P.aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、C.アルビカンス(C.albicans)、A.ブラジリエンシス(A.brasiliensis)および他の微生物などの1つ以上の微生物によって引き起こされる皮膚症状を治療する。スキンケア組成物は、酒さ、アレルギー反応、過剰な免疫反応および美容処置による皮膚の発赤および炎症を軽減するために使用され得る。好ましくは、本発明のスキンケア組成物は、皮膚に通常の量を塗布した後、目に見える残留物または際立った粘着性を残すことなく、迅速かつきれいに乾燥するように作られる。スキンケア組成物は安定しており、皮膚に塗布した場合、過度の毒性、不適合、またはアレルギー反応を回避するように作られる。本発明の局所スキンケア組成物は、皮膚への塗布後に際立った滴りまたは溜まりを回避するように選択された粘度を有することができる。
【0018】
有利には、スキンケア組成物は、皮膚科学的に許容可能なビヒクルと、そのビヒクルに溶解した1つ以上の成分とを含む。その成分は、選択されたビヒクルに対して混和性(compatible)を有しており、その選択されたビヒクル中で安定であるように選択される。一実施形態において、ビヒクルは水を含む。水は蒸留水でも脱イオン水であり得る。しかしながら、アルコールまたはプロピレングリコールなどの他の適切なビヒクルもまた使用することができる。溶解される成分には、天然油配合物、複数のビタミン、およびスフィンゴイド脂質が含まれる。
【0019】
天然油または保湿剤には、アロエベラ葉液汁(aloe barbadensis leaf juice)またはアロエベラ、ココヤシ(cocos nucifera)(ココナッツオイル)、グリコサミノグリカン、加水分解グリコサミノグリカンおよびトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが含まれるが、これらに限定されない。アロエベラは、剥離の低減および柔軟性の回復によって、乾燥した肌または傷ついた肌の外観を向上させる。アロエは概してアロエ植物の葉から得られる。アロエは、傷の治癒と皮膚の炎症を改善する。ココヤシ(ココナッツ)オイルは、皮膚の弾力性を促進する皮膚コンディショニング剤である。加水分解グリコサミノグリカンは、保湿剤およびコンディショニング剤として機能する。加水分解グリコサミノグリカンは水と効率的に結合し、深部水分補給を増加させ、皮膚の弾力性とハリを改善する。トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、ココナッツオイルに由来する皮膚コンディショニング剤である。
【0020】
スキンケア組成物は、さらに1つ以上のビタミンまたはビタミン誘導体を含む。例えば、組成物は、アスコルビン酸またはその塩、リン酸トコフェリルまたは酢酸トコフェリルおよびシモンジア・キネンシス(Simmondsia Chinensis)(ホホバ)種子油などのビタミンCおよびビタミンEの供給源を含み得る。一実施形態において、スキンケア組成物は、アスコルビルリン酸ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸トコフェリルリン酸二ナトリウム(DLTP)、ホホバ油を含む。アスコルビルリン酸ナトリウムは、コラーゲンの生成、組織の修復、および神経伝達物質の合成に必要な必須栄養素であるビタミンCを提供する。DLTPはビタミンEから単離される。DLTPは、にきび治療、傷跡治療、酒さ治療、および保湿剤として、コンディショナー成分として、日焼け止め成分として使用され、およびアンチエイジングのために使用される。DLTP。炎症を起こした部位に塗布すると、皮膚の発赤および炎症の減少を効果的に促進でき、皮膚の炎症を軽減できる。ホホバ種子油は皮膚コンディショニング剤または皮膚軟化剤である。ホホバ種子油は、抗菌性があり、ビタミンEが含まれている。
【0021】
スフィンゴイド脂質は、フィトスフィンゴシン(PSG)またはその誘導体などの抗菌剤、抗炎症剤、および抗刺激剤を備える。用語「抗刺激(anti-irritant)」は、本明細書に使用されるとき、皮膚などの身体部分の痛み、荒れ、または炎症を防止または軽減する薬剤である。PSGは、1日を通して保湿力を高めるために、外表皮の天然脂質層を模倣する水結合剤である。PSGは抗発赤および皮膚の引き締め性があり、微生物を抑制することができる。有益なことに、PSGは抗菌性および傷の治癒性の両方を有し、0.1%という低濃度で抗炎症剤として機能する。ある特定の態様においては、スキンケア組成物は、サリチル酸およびその誘導体でエステル化されたPSGを含む。
【0022】
サリチロイルPSG(Salicyloyl PSG)は、サリチル酸と共有結合している、天然起源の、皮膚と同一のPSGの誘導体である。サリチロイルPSGおよびその誘導体は、皮膚の修復および皮膚の再生、皮膚からの水分の損失の防止、表皮細胞の成長を制御し、表皮細胞の分化のサポートおよびアポトーシスによって老化の兆候を最小限に抑えること、コラーゲン合成を促進し、その分解を低減することによって、成熟または光老化した真皮の状態を改善すること、真皮-表皮接合部を強化すること、および炎症を起こした皮膚を落ち着かせることに寄与する。
【0023】
スキンケア組成物は、有利には、メリアアザジラクタ葉抽出物、ヒアルロン酸またはその塩、グリチルリチンまたはグリチルリチン酸またはグリチルリジン酸またはその塩、トコフェロールおよびトコフェロールエステルなどの他の成分を含むことができるが、これらに限定されない。
【0024】
メリアアザジラクタ(ニーム葉)抽出物には、殺虫性、殺線虫性、殺真菌性、殺菌性、抗炎症性、抗腫瘍性、収斂性、および他の有益な特性がある。
一実施形態において、スキンケア組成物はヒアルロン酸ナトリウムを含む。ヒアルロン酸ナトリウムは、水分を回復させることによりおよび摩擦またはすりむきの防止を補助することにより、皮膚の潤滑剤として機能する。結合組織の細胞外基質に広く分布しているのは、多糖類である。ヒアルロン酸ナトリウムは、他のどの天然物質よりも多くの水を保持でき、例えばその重量の1000倍までの水を保持できる。ヒアルロン酸ナトリウムは、真皮の深くに到達でき、水と結合し、保水し、水を引き付ける。また、皮膚/血液の微小循環および栄養吸収を促進する。ヒアルロン酸ナトリウムは、その特大の水和性のおかげで、より滑らかで、しわの減少したより柔らかな肌、および、全般的によりふっくらとした外観を促進することができる。
【0025】
一実施形態において、スキンケア組成物はグリチルリジン酸二カリウムすなわちグリチルリチン酸二カリウム(甘草の根の抽出物)を含む。剥離を低減し、柔軟性を回復させることにより、乾燥または損傷した皮膚の外観を向上させることができる。
【0026】
一実施形態において、スキンケア組成物はアセチルテトラペプチド-40などのアセチル化トコフェロールを含む。これは、肌への刺激を軽減し、過剰な免疫反応または炎症によって引き起こされた顔面の発赤の発生を減少させる。
【0027】
スキンケア組成物は、さらに、1つ以上の増粘剤を含み得る。例えば、ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィン、ラウレス-7およびそれらの混合物を含むことができるが、これらに限定されない。ポリアクリルアミドはさらに成分を結合し、特定の製品を皮膚に保持するように機能する。C13-14イソパラフィンは、また、他の成分の溶媒としても働き得る。ラウレス-7は、界面活性剤/乳化剤として機能することができる。
【0028】
スキンケア組成物はカプリリルグリコール、ブチレングリコール、ラウレス-4、およびフェノキシエタノールなどの他の成分を含むこともできる。カプリリルグリコールは、防腐剤として機能する抗菌活性のある皮膚軟化剤である。ブチレングリコールは、また、ビヒクルおよび粘度低下剤としても機能できる。ラウレス-4は界面活性剤のクレンジングおよび可溶化剤として機能する。フェノキシエタノールは防腐剤である。
【0029】
特定の一実施形態では、組成物は、水、アロエベラ葉液汁;ココヤシ(ココナッツ)オイル;加水分解グリコサミノグリカン;トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル;メリアアザジラクタ葉抽出物;ポリアクリルアミド;C13-14イソパラフィン;ラウレス-7;ラウリミノジプロピオン酸トコフェリルリン酸二ナトリウム;アセチルテトラペプチド-40;カプリリルグリコール;ブチレングリコール;ヒアルロン酸ナトリウム;シモンジア・キネンシス(ホホバ)種子油;ラウレス-4;サリチロイルフィトスフィンゴシン;グリチルリチン酸二カリウム;アスコルビルリン酸ナトリウム;およびフェノキシエタノールを含む。
【0030】
一実施形態において、組成物は、約50-70wt%蒸留水、約7-12wt%アロエベラ葉液汁抽出物および、好ましくは、噴霧乾燥アロエベラ粉末;約3-9wt%ココヤシ(ココナッツ)オイル;約0.1-1wt%の好ましくは約0.2wt%サリチロイルフィトスフィンゴシン;約2-7wt%加水分解グリコサミノグリカン;約2-7wt%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルおよびメリアアザジラクタ葉抽出物;約2-7wt%ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィンおよびラウレス-7;約1-5wt%ラウリミノジプロピオン酸トコフェリルリン酸二ナトリウム;約1-3wt%アセチルテトラペプチド-40およびカプリリルグリコール;約1-3wt%ブチレングリコール;約0.1-3wt%ヒアルロン酸ナトリウム;約0.1-3wt%シモンジア・キネンシス(ホホバ)種子油;約0.1-3wt%ラウレス-4;約0.1-3wt%グリチルリチン酸二カリウム;約0.01-1wt%アスコルビルリン酸ナトリウム;約0.1-3wt%フェノキシエタノールおよび0.1-1wt%カプリリルグリコールを含む。
【0031】
非限定的な一実施形態において、スキンケア組成物は不透明な白色から灰色がかった白色の粘性のあるローションで、特有の匂いがする。スキンケア組成物は25℃において4.5-5.5の間のpH範囲を有する。好ましくは、スキンケア組成物は5.00と6.00との間のpHを有する。ある実施形態において、スキンケア組成物は5.65のpHを有する。スキンケア組成物は25℃において、30,000-50,00cPsの粘度を有し得る(Brookfield LVT;スピンドルTEで6rpm)。好ましくは、スキンケア組成物は30,000-40,000cPsの粘度を有する。スキンケア組成物の比重は0.8000-1.100である。好ましくは、スキンケア組成物の比重は0.990-1.000である。
【0032】
スキンケア組成物は安定であり、皮膚発赤を治療するために皮膚に塗布した場合、刺激がまったくないか、わずかの刺激(すなわち、全くない、またはほんのわずかの許容できる皮膚刺激性)を引き起こし得る。スキンケア組成物は、ほとんどの皮膚発赤症状の根源だけでなくその結果として生じる症状を治療するためにも使用され得、それにより患者コンプライアンスの改善につながる。また、症候を長期間緩和するための抗炎症性もまた付加されている。本発明の組成物に適用されるとき、用語「安定な」は、通常の周囲空気および光条件下(すなわち、家の居間に通常存在する空気および光の条件)室温(約25℃)で少なくとも1か月間保存された場合、スキンケア組成物が平らで不活性な表面上に置かれたときに(すなわちその容器から取り除かれたときに)同等の色を有すると定義される。スキンケア組成物は、上記で定義された色の安定性の他に、スキンケア組成物の安定性は、さらに物理的安定性(例えば、粘度、匂い、外観、テクスチャーなど)および化学的安定性を含みうるがこれらに限定されない。
【0033】
この新スキンケア組成物は、前述の比率において連続プロセスまたはバッチプロセスを含む様々な方法で作製することができる。非限定的な一例において、ラウレス-4、ココナッツオイルおよびホホバ油を1つの器で共に加熱するとともに、熱した蒸留水、噴霧乾燥アロエベラ粉末グリチルリチン酸二カリウム、フェノキシエタノールおよびサリチロイルフィトスフィンゴシンを別の器で、共に加熱およびせん断混合する。これら2つの混合物が60-90℃であるときに、2つの混合物を高速スイープ混合法を使用して混ぜ合わせる。この混合物を15-20℃だけ冷却し、増粘剤、すなわちポリアクリルアミド、C14-C14イソパラフィンおよびラウレス-7を混合物に加え、約5-15分間よく混合する。次に、ブチレングリコールを混合物に加え、よく混合する。混合物をもう10-20℃だけさらに冷却する。アスコルビルリン酸ナトリウムを除く残りの成分を冷却された混合物に加える。続いて、さらに5-15分間よく混合する。最後に、アスコルビルリン酸ナトリウム(または蒸留水に事前に混合されたアスコルビルリン酸ナトリウムの溶液)をその溶液に加え、さらに5-15分よく混合する。次に、得られた組成物を、目に見える残留物が残らないように、濾紙および/またはメンブランフィルターを使用して濾過することができる。
【0034】
スキンケア組成物は当技術分野で知られている任意の手段によって投与することができる。好ましくは、組成物は局所製剤として処方される。
一実施形態によれば、本発明は、赤く、炎症を起こした皮膚を治療する方法である。その方法は、有効量の本発明のスキンケア組成物を必要に応じて、皮膚発赤に苦しむ人の顔、首、および任意の患部に局所的に塗布することを含む。有効量は、一般的に、少量のスキンケア組成物を含む。スキンケア組成物は、患部またはその周辺、特に顔の皮膚に軽く擦り込まれる場合がある。一実施形態において、本方法は、組成物を有限の時間にわたって皮膚に留まらせておくことを含む。ある実施形態において、スキンケア組成物は、皮膚に留まらせておいてよく、洗い流す必要がない。最適な効果のために、スキンケア組成物は30-90日間の、および好ましくは少なくとも60日の、毎日のスキンケア療法の一部として使用され得る。1つ以上の実施形態において、最大の効果および結果のために、使用者は、組成物を患部に1日複数回、例えば1日2-3回塗布してもよい。交替で、必要に応じてスキンケア組成物が塗布されてもよい。スキンケア組成物は、炎症を起こした皮膚の鎮静を促進し、皮膚に潤いを与え、発赤および炎症の軽減を引き起こす。スキンケア組成物は、塗布後すぐに赤く炎症を起こした肌を落ち着かせるように働くことができる。
【0035】
目または目の周囲の領域へのスキンケア組成物の塗布を避けることは重要である。本方法は、さらに、薬剤が残っている指/指先で目領域に触れないようにするために、使用者に塗布後に手を洗うように指示することを含む。使用者は、本組成物を塗布するとき保護手袋を着用し、本製品が目に広がることを避けるために鏡を使用することを推奨されてもよい。ある実施形態において、本方法はさらに、(指を使用する代わりに、または加えて)適切な塗布具を使用してスキンケア組成物を塗布することを含む。適切な塗布具を含みうる。適切な塗布具は、パッド、ブラシ、綿棒、スポンジ、パフ、ロールオン式の塗布具、および他のそのような用具を含みうる。
【0036】
ある実施形態において、本方法はさらに、塗布(または再塗布)の前に患部を予備洗浄(または洗浄)することを含む。予備洗浄は、穏やかな、毛穴を詰まらせないクレンザーを使用することを含む場合がある。少量のクレンザーは、目領域を避けて、濡れた肌に擦り込まれ得る。その後、皮膚を完全にすすぎ、軽くたたいて乾かす。ある実施形態において、クレンザーは、水、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、トリデセス硫酸ナトリウム、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ジステアリン酸PEG-150、ラウロアンホ二酢酸ナトリウム、ラウレス-13カルボン酸ナトリウム、キサンタンガム、PEG-15ココポリアミン、塩化ナトリウム、フェノキシエタノール、およびソルビン酸カリウムを含む組成物を含みうる。
【0037】
さらに別の実施形態において、皮膚の発赤および炎症の治療または改善に使用される本発明のスキンケア組成物は、キットに含まれ得る。キットは容器を含むことができる。容器は、ボトル、ディスペンサー、加圧容器、金属チューブ、プラスチックチューブ、または組成物を保持可能な他のタイプの容器からなる群から選択することができる。キットおよび/または容器は、その表面に製品の証印(product indicia)を含み得る。証印は、例えば、単語、熟語、略語、絵、または記号であり得る。
【0038】
スキンケア組成物はローション、クリーム、セラム、ジェル、スティック、スプレー、軟膏、液体洗浄液、泡、およびムースからなる群から選択される形態である。したがって、容器は、上記の形態のうちのいずれかで所定量の組成物を分注するように構成される。容器は、スプレー機構、ポンプ機構、または圧搾機構を有し得る。当業者は、キットが本発明のスキンケア組成物の塗布、使用および保管のための使用説明書もまた含み得ることを認識するであろう。
【0039】
ある実施形態において、キットはさらに、適切な塗布具を含みうる。塗布具は、パッド、ブラシ、綿棒、スポンジ、パフおよびロールオン式の塗布具からなる群から選択されてもよい。キットには、また、1つ以上の保護手袋も含まれ得る。
【0040】
ある別の実施形態において、キットは、本発明の局所スキンケア組成物を含む第1の容器と、第2の容器とを含んでもよい。第2の容器は、本明細書に記載される所定の量の毛穴を詰まらせないクレンザーを保持および分注するように作られうる。
【0041】
ある実施形態において、キットは、本発明の局所スキンケア組成物を収容する第1の容器と、まぶた洗浄組成物を保持および分注するための別の容器とを含んでもよい。まぶた洗浄組成物は、(a)少なくとも7つの菌株を実質的に除去する抗菌剤の混合物であって、当該混合物は、ポリアミノプロピルビグアニド、1,2-グリコール、および、スフィンゴイド脂質を含み、そのスフィンゴイド脂質はサリチロイルフィトスフィンゴシンである;(b)まぶた洗浄組成物を5.5と7.5との間のpHに維持する混合された界面活性剤溶液であって、その混合された界面活性剤溶液は、起泡力を有する;(c)泡安定剤;および(d)保湿剤を備え得る。さらに別の実施形態において、キットは、本発明の局所スキンケア組成物を収容する第1の容器と、1つ以上の事前に湿らされた単回使用クレンジングパッドとを含み得る。パッドは、まぶた洗浄組成物を事前に染み込ませることができる。さらに別の実施形態において、キットは、本発明の局所スキンケア組成物を収容する第1の容器と、まぶたクレンジングおよびまぶた洗浄組成物または局所スキンケア組成物を受け取るための1つ以上のパッドを含む第2の容器とを含み得る。パッドは、けば立ちのない織物材料、すなわち、レーヨンまたはまぶた洗浄組成物または局所スキンケア組成物を受け取ることができる別の適切な材料などの適切な織物を含むことができる。パッドは単回使用使い捨てパッドでもよい。一実施形態において、1つ以上のパッドは密封可能な容器に含まれてもよい。一態様において、密封可能な容器は、箱または包装を備えてよい。包装は、プラスチックまたは金属箔材料を含む任意の適切な材料で作られる場合がある。
【0042】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明において様々な変更および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮および本明細書に開示された本発明の実施から、当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、単なる例示とみなされることが意図されている。